説明

基板貼り合わせ装置、基板貼り合わせ方法及び重ね合わせ基板

【課題】2枚の基板の間に温度差が生じ、基板と基板との位置がずれる。
【解決手段】基板貼り合わせ装置は、重ね合わされた複数の基板を有する第一の重ね合わせ基板を加熱する第一の加熱部と、重ね合わされた複数の基板を有する第二の重ね合わせ基板を加熱する第二の加熱部と、前記第一の加熱部と前記第二の加熱部との間に配置された断熱部と、前記第一の重ね合わせ基板と前記第二の重ね合わせ基板とを前記断熱部を介して加圧する加圧部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板貼り合わせ装置、基板貼り合わせ方法及び重ね合わせ基板に関する。
【背景技術】
【0002】
位置合わせされた2枚の基板を重ね合わせて、加熱及び加圧することによって、2枚を1組とする基板を貼り合わす基板貼り合わせ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2009−49066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、2枚の基板の間に温度差が生じ、基板と基板との位置がずれるといった課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、重ね合わされた複数の基板を有する第一の重ね合わせ基板を加熱する第一の加熱部と、重ね合わされた複数の基板を有する第二の重ね合わせ基板を加熱する第二の加熱部と、前記第一の加熱部と前記第二の加熱部との間に配置された断熱部と、前記第一の重ね合わせ基板と前記第二の重ね合わせ基板とを前記断熱部を介して加圧する加圧部とを備える基板貼り合わせ装置を提供する。
【0005】
本発明の第2の態様においては、重ね合わされた複数の基板を有する第一の重ね合わせ基板を加熱する第一の加熱段階と、重ね合わされた複数の基板を有する第二の重ね合わせ基板を加熱する第二の加熱段階と、前記第一の加熱部と前記第二の加熱部との間に配置された断熱部を介して、前記第一の重ね合わせ基板と前記第二の重ね合わせ基板とを加圧する加圧段階とを備える基板貼り合わせ方法を提供する。
【0006】
本発明の第3の態様においては、重ね合わされた複数の基板を有する第一の重ね合わせ基板を加熱して、重ね合わされた複数の基板を有する第二の重ね合わせ基板を加熱して、前記第一の加熱部と前記第二の加熱部との間に配置された断熱部を介して、前記第一の重ね合わせ基板と前記第二の重ね合わせ基板とを加圧して貼り合わされた重ね合わせ基板を提供する。
【0007】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】基板貼り合わせ装置の全体構成図である。
【図2】貼り合わせ装置による重ね合わせ基板の貼り合せる工程を説明する図である。
【図3】貼り合わせ装置による重ね合わせ基板の貼り合せる工程を説明する図である。
【図4】貼り合わせ装置による重ね合わせ基板の貼り合せる工程を説明する図である。
【図5】貼り合わせ装置による重ね合わせ基板の貼り合せる工程を説明する図である。
【図6】貼り合わせ装置による重ね合わせ基板の貼り合せる工程を説明する図である。
【図7】貼り合わせ装置による重ね合わせ基板の貼り合せる工程を説明する図である。
【図8】加熱加圧装置の全体構成図である。
【図9】加熱加圧装置の制御系を説明するブロック図である。
【図10】加熱加圧工程を説明する図である。
【図11】補助加熱部材の位置合わせを説明する側面図である。
【図12】補助加熱部材の位置合わせを説明する側面図である。
【図13】補助加熱部材の位置合わせを説明する側面図である。
【図14】別の補助加熱部材の位置合わせを説明する概略図である。
【図15】別の補助加熱部材の位置合わせを説明する概略図である。
【図16】補助加熱部材が固定された加熱加圧装置の全体構成図である。
【図17】図16の加熱加圧装置による加熱加圧工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、基板貼り合わせ装置の全体構成図である。基板貼り合わせ装置10は、2枚の基板90、90を貼り合わせて、重ね合わせ基板92を製造する。尚、基板貼り合わせ装置10が、3枚以上の基板90を貼り合わせて、重ね合わせ基板92を製造するように構成してもよい。
【0011】
図1に示すように、基板貼り合わせ装置10は、筐体12と、常温部14と、高温部16と、制御部18とを備える。筐体12は、常温部14及び高温部16を囲むように形成されている。
【0012】
常温部14は、複数の基板カセット20、20、20と、基板ホルダラック22と、ロボットアーム24と、プリアライナ26と、仮接合部28と、ロボットアーム30とを有する。
【0013】
基板カセット20、20、20は、基板貼り合わせ装置10において結合されて貼り合わされる基板90を収容する。また、基板カセット20、20、20は、基板貼り合わせ装置10において結合されて貼り合わされた重ね合わせ基板92を収容する。基板カセット20、20、20は、筐体12の外面に脱着可能に装着されている。これにより、複数の基板90を基板貼り合わせ装置10に一括して装填できる。また、複数組の重ね合わせ基板92を一括して回収できる。基板貼り合わせ装置10によって貼り合わされる基板90は、単体のシリコンウエハ、化合物半導体ウエハ、ガラス基板等の他、それらに素子、回路、端子等が形成されていてもよい。また、装填された基板90が、既に複数のウエハが積層された重ね合わせ基板92であってもよい。
【0014】
基板ホルダラック22は、一対の基板90が重ね合わされた重ね合わせ基板92を上下方向から保持する基板ホルダ94を収容する。基板ホルダ94は、各組の重ね合わせ基板92の2枚の基板90を静電吸着により保持する。
【0015】
ロボットアーム24は、筐体12の内部であって、基板カセット20、20、20の近傍に配置されている。ロボットアーム24は、基板カセット20、20、20に装填されている基板90をプリアライナ26に搬送する。ロボットアーム24は、プリアライナ26の基板90を、後述する仮接合部28の移動ステージ38に載置された基板ホルダ94へと搬送する。ロボットアーム24は、結合されて移動ステージ38まで搬送された重ね合わせ基板92を基板カセット20、20、20の何れかに搬送する。
【0016】
プリアライナ26は、筐体12の内部であって、ロボットアーム24の近傍に配置されている。プリアライナ26は、仮接合部28に基板90を装填する場合に、高精度であるがゆえに、狭い仮接合部28の調整範囲にそれぞれの基板90が装填されるように、個々の基板90の位置を仮合わせする。これにより、仮接合部28における基板90の位置決めが、迅速且つ正確にできる。
【0017】
仮接合部28は、ロボットアーム24とロボットアーム30との間に配置されている。仮接合部28は、枠体34と、固定ステージ36と、移動ステージ38と、一対のシャッタ40及びシャッタ42とを有する。
【0018】
枠体34は、固定ステージ36及び移動ステージ38を囲むように形成されている。枠体34の基板カセット20、20、20側の面と、高温部16側の面は、基板90及び重ね合わせ基板92を搬入及び搬出可能に、開口されている。
【0019】
固定ステージ36は、枠体34の内側であって、基板カセット20、20、20の近傍に固定されている。固定ステージ36の下面は、基板90を保持した状態で、ロボットアーム30により移動ステージ38から搬送される基板ホルダ94を真空吸着する。
【0020】
移動ステージ38は、枠体34の内側であって、高温部16側に配置されている。移動ステージ38の上面は、基板90及び基板ホルダ94を真空吸着する。移動ステージ38は、枠体34の内部を水平方向及び鉛直方向に移動する。これにより、移動ステージ38が移動することによって、固定ステージ36に保持された基板90及び基板ホルダ94と、移動ステージ38に保持された基板90及び基板ホルダ94とが位置合わせされ、仮接合される。基板90と基板90は、接着剤によって仮接合してもよく、プラズマによって仮接合してもよい。
【0021】
シャッタ40は、枠体34の基板カセット20側の開口を開閉する。シャッタ42は、枠体34の高温部16側の開口を開閉する。枠体34及びシャッタ40、42に囲まれた領域は、空気調整機等に連通されて、温度管理される。これにより、基板90と基板90との位置合わせの精度が向上する。
【0022】
ロボットアーム30は、筐体12の内部であって、高温部16と仮接合部28との間に配置されている。ロボットアーム30は、基板ホルダラック22に収容されている基板ホルダ94を移動ステージ38へと搬送する。移動ステージ38に載置された基板ホルダ94は、ロボットアーム24によってプリアライナ26から搬送された基板90を静電吸着により保持する。ロボットアーム30は、移動ステージ38上に載置され、基板90を保持する基板ホルダ94を、裏返して固定ステージ36へと搬送する。固定ステージ36の下面は、ロボットアーム30によって搬送された基板ホルダ94を基板90とともに真空吸着する。ロボットアーム30は、移動ステージ38によって位置合わせされた一対の基板90を含む重ね合わせ基板92及び基板ホルダ94を真空吸着して、高温部16へと搬送する。ロボットアーム30は、高温部16において、結合されて貼り合わされた重ね合わせ基板92を高温部16から移動ステージ38へと搬送する。
【0023】
高温部16は、基板貼り合わせ装置10の貼り合わせ工程において、高温且つ真空状態に設定される。高温部16は、断熱壁46と、エアロック室48と、一対のシャッタ50及びシャッタ52と、ロボットアーム54と、3個の加熱加圧装置56と、ロボットアーム58と、冷却室60とを備える。尚、加熱加圧装置56の個数は、3個に限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0024】
断熱壁46は、高温部16を包囲する。これにより、断熱壁46は、高温部16の高い内部温度を維持するとともに、高温部16から外部への熱輻射を遮断する。この結果、断熱壁46は、高温部16の熱が常温部14に及ぼす影響を低減する。また、断熱壁46は、高温部16と外部との気体の流れを遮断する。
【0025】
エアロック室48は、常温部14と高温部16とを連結する。エアロック室48の常温部14側及び高温部16側は、一対の基板ホルダ94に保持された一対の基板90を含む重ね合わせ基板92を搬送可能に開口されている。
【0026】
シャッタ50は、エアロック室48の常温部14側の開口を開閉する。シャッタ50が開状態になると、エアロック室48が常温部14と連通される。これにより、エアロック室48は、常温部14と略同じ気圧となる。この状態で、ロボットアーム30は、エアロック室48と仮接合部28との間で、重ね合わせ基板92を搬送する。
【0027】
シャッタ52は、エアロック室48の高温部16側の開口を開閉する。エアロック室48内を真空排気後、シャッタ52が開状態になると、エアロック室48は、高温部16と連通される。これにより、エアロック室48は、高温部16と略同じ気圧となる。尚、貼り合わ工程において、シャッタ50及びシャッタ52の両方が開状態になることはない。
【0028】
ロボットアーム54は、シャッタ52が開状態において、ロボットアーム30によりエアロック室48に搬入された重ね合わせ基板92を何れかの加熱加圧装置56へと搬入する。
【0029】
加熱加圧装置56は、断熱壁46の内部に配置されている。3個の加熱加圧装置56は、断熱壁46の中心の周りに略等角度間隔で配置されている。加熱加圧装置56は、ロボットアーム54によってエアロック室48から搬入された2組の重ね合わせ基板92を保持する。加熱加圧装置56は、結合温度状態の2組の重ね合わせ基板92を同時に加圧する。そして、加熱加圧装置56は、重ね合わせ基板92の基板90が結合可能な結合温度まで搬入された2組の重ね合わせ基板92を昇温させる。これにより、加熱加圧装置56は、2組の重ね合わせ基板92を一度に結合して貼り合わせる。
【0030】
ロボットアーム58は、結合されて貼り合わされた重ね合わせ基板92を加熱加圧装置56から搬出する。ロボットアーム58は、加熱加圧装置56から搬出した重ね合わせ基板92を冷却室60へと搬入する。また、ロボットアーム58は、冷却室60にて冷却された重ね合わせ基板92を、シャッタ52が開状態において、エアロック室48へと搬送する。
【0031】
冷却室60は、ロボットアーム58によって搬入される、結合された重ね合わせ基板92を冷却する。
【0032】
制御部18は、基板貼り合わせ装置10の全体の動作を制御する。制御部18は、基板貼り合わせ装置10の電源投入、各種設定等をする場合に、ユーザが外部から操作する操作部を有する。更に、制御部18は、配備された他の機器と基板貼り合わせ装置10とを接続する接続部を有する。
【0033】
図2〜図7は、貼り合わせ装置による重ね合わせ基板の貼り合せ工程を説明する図である。貼り合わせ工程では、まず、ロボットアーム24が、基板カセット20の何れかから基板90をプリアライナ26へと搬送する。次に、図2に示すように、ロボットアーム30が、基板ホルダラック22から基板ホルダ94を移動ステージ38へと搬送する。移動ステージ38は、基板ホルダ94を真空吸着する。ロボットアーム24は、プリアライナ26によって位置が調整された基板90を、移動ステージ38に載置された基板ホルダ94の上方へと搬送する。
【0034】
次に、図3に示すように、ロボットアーム24は、基板ホルダ94上に基板90を載置する。基板ホルダ94は、載置された基板90を静電吸着する。ロボットアーム30は、基板90を保持する基板ホルダ94を移動ステージ38から固定ステージ36へと裏返して搬送する。図4に示すように、固定ステージ36は、基板90とともに基板ホルダ94をロボットアーム30から受け取った後、基板ホルダ94を真空吸着により保持する。
【0035】
次に、同様の動作によって、ロボットアーム30が移動ステージ38に基板ホルダ94を搬送した後、ロボットアーム24が移動ステージ38上の基板ホルダ94に基板90を搬送する。これにより、図5に示すように、移動ステージ38は、基板90を上側にして、基板90及び基板ホルダ94を保持するとともに、固定ステージ36は、基板90を下側にして、基板90及び基板ホルダ94を保持する。シャッタ40、42が閉状態となった後、移動ステージ38は、基板90及び基板ホルダ94を保持しつつ、基板90及び基板ホルダ94を保持する固定ステージ36の下方へと移動する。これにより、移動ステージ38の基板90と、固定ステージ36の基板90とが位置合わせされる。
【0036】
次に、図6に示すように、移動ステージ38が、上方へと移動して、移動ステージ38の基板90の上面と固定ステージ36の上面とが合わされる。固定ステージ36が基板ホルダ94の真空吸着を解除した後、移動ステージ38が重ね合わせ基板92を保持する基板ホルダ94を真空吸着した状態で、ロボットアーム30の方向へと移動する。
【0037】
次に、シャッタ50が開状態となり、エアロック室48と常温部14とが連通される。尚、シャッタ52は閉状態である。この状態で、ロボットアーム30が、移動ステージ38上の基板ホルダ94、94に保持された重ね合わせ基板92をエアロック室48へと搬送する。この後、シャッタ50が閉状態となるとともに、シャッタ52が開状態となり、エアロック室48が常温部14から遮断されるとともに、高温部16と連通される。この状態で、ロボットアーム54が、基板ホルダ94、94とともに重ね合わせ基板92をエアロック室48から加熱加圧装置56へと搬入する。この後、同様の動作が繰り返されて、ロボットアーム54が、基板ホルダ94、94とともに2組目の重ね合わせ基板92を加熱加圧装置56へと搬入する。これにより、加熱加圧装置56には、2組の重ね合わせ基板92が搬入される。
【0038】
加熱加圧装置56は、基板ホルダ94に保持された2組の重ね合わせ基板92、92を間接的に積層する。この状態で、加熱加圧装置56は、重ね合わせ基板92、92を上下方向から加圧しつつ、重ね合わせ基板92を結合温度まで加熱した後、結合温度を維持する。これにより、各組の重ね合わせ基板92の基板90、90が、一度に結合されて貼り合わされる。この後、ロボットアーム58が、貼り合わされた重ね合わせ基板92を冷却室60へと搬入する。冷却室60は重ね合わせ基板92を冷却する。
【0039】
次に、シャッタ52が開状態になるとともに、シャッタ50が閉状態となる。これにより、エアロック室48が常温部14から遮断され、高温部16と連通される。ロボットアーム58は冷却された重ね合わせ基板92を基板ホルダ94とともに、冷却室60からエアロック室48へと搬送する。
【0040】
次に、シャッタ52が閉状態となるとともに、シャッタ50が開状態になる。これにより、エアロック室48が高温部16から遮断されるとともに、常温部14と連通される。この状態で、ロボットアーム30が、重ね合わせ基板92を基板ホルダ94、94とともに1組毎、エアロック室48から移動ステージ38へと搬送する。図7に示すように、移動ステージ38上にて、ロボットアーム30により、重ね合わせ基板92が基板ホルダ94から分離される。この後、ロボットアーム24が、重ね合わせ基板92を基板カセット20、20、20の何れかに搬出する。これにより、基板貼り合わせ装置10による重ね合わせ基板92の貼り合わせ工程が終了して、重ね合わせ基板92が完成する。
【0041】
図8は、加熱加圧装置の全体構成図である。図8に示すように、加熱加圧装置56は、収容室62と、下押圧部64と、下保持部66と、複数の下主加熱部材68と、補助加熱部材70と、位置決め部材72と、上保持部74と、複数の上主加熱部材76と、複数の下部下温度検出部78と、複数の下部上温度検出部80と、複数の上部下温度検出部82と、複数の上部上温度検出部84と、真空ポンプ86とを備える。
【0042】
収容室62は、中空状に形成されている。収容室62は、加熱加圧装置56の主要部を収容して包囲する。収容室62は、重ね合わせ基板92を搬入及び搬出するために、開閉可能な上開口部及び下開口部を有する。収容室62は、2組の重ね合わせ基板92が搬入された後、真空状態にするために密閉される。
【0043】
下押圧部64は、下流体ポンプ102と、下伸縮部104とを有する。下流体ポンプ102は、下伸縮部104に油等の流体を供給、または、下伸縮部104から流体を排出する。下伸縮部104は、上下方向に伸縮可能に構成されている。下伸縮部104は、下流体ポンプ102から供給される流体によって上方へ伸張するとともに、下流体ポンプ102へ流体が排出されることにより下方へ収縮する。これにより、下押圧部64は、下主加熱部材68及び補助加熱部材70を重ね合わせ基板92とともに、上下方向へ移動させる。
【0044】
下保持部66は、下押圧部64の上面に固定されている。下保持部66は、収容室62に搬入された2組の重ね合わせ基板92のうち、下側の重ね合わせ基板92を保持する。これにより、下保持部66は、下押圧部64の伸縮に伴って、下側の重ね合わせ基板92を保持しつつ上下移動する。下保持部66の上面は、平坦に形成されている。また、下保持部66の上面は、熱伝導の高い材料によって構成されている。これにより、下保持部66の上面は、基板ホルダ94を介して、下側の重ね合わせ基板92の下面を水平面内で略均一に押圧しつつ、下側の重ね合わせ基板92の下面を水平面内で略均一に加熱する加熱加圧板として機能する。下保持部66は、下側の重ね合わせ基板92の下面の圧力を検出する下面圧力検出部67を有する。下面圧力検出部67は、検出した圧力を圧力情報として制御部18へと出力する。
【0045】
複数の下主加熱部材68は、電気抵抗の大きい電熱線を含むヒータを適用できる。複数の下主加熱部材68は、同一水平面内に位置の分布が略均一となるように配置されている。これにより、複数の下主加熱部材68は、下側の重ね合わせ基板92の下面を水平面内で略均一に加熱する。そして、複数の下主加熱部材68は、重ね合わせ基板92の基板90と基板90とが結合可能な結合温度まで、重ね合わせ基板92を昇温させて、結合温度を保つ。
【0046】
補助加熱部材70は、下保持部66と上保持部74との間に配置されている。これにより、補助加熱部材70は、下保持部66と上保持部74とに2組の重ね合わせ92が保持される場合に2組の重ね合わせ基板92の間に挟まれる。補助加熱部材70は、中保持部材106と、下板部材108と、複数の下補助加熱部110と、上板部材112と、複数の上補助加熱部114とを有する。
【0047】
中保持部材106は、断熱部の一例である。中保持部材106は、円板形状に形成されている。中保持部材106は、上下方向及び水平方向において、収容室62の中央であって、一対の重ね合わせ基板92の間に配置されている。中保持部材106は、複数の下主加熱部材68及び複数の下補助加熱部110と、複数の上主加熱部材76及び複数の上補助加熱部114との間に配置されている。中保持部材106は、固定されずに、位置決め部材72の上部に載置されている。これにより、補助加熱部材70は、中保持部材106とともに、2組の重ね合わせ基板92の積層方向である上下方向に移動することができる。中保持部材106の外周部には、位置決め凹部116が形成されている。位置決め凹部116は、円錐形状に形成されている。中保持部材106は、熱伝導性の低い断熱材料によって構成されている。これにより、中保持部材106は、重ね合わせ基板92の間において、上下方向の熱の伝導を抑制する。
【0048】
下板部材108は、中保持部材106の下方に所定の間隔を開けて、中保持部材106に固定されている。平面視において、下板部材108は、中保持部材106の中央部に配置されている。下板部材108は、中保持部材106よりも平面積が小さい円板上に形成されている。下板部材108の下面は平坦に形成されている。これにより、下板部材108は、下押圧部64によって上昇された下側の重ね合わせ基板92の上面を、水平面内で略均一に押圧する。
【0049】
複数の下補助加熱部110は、電気抵抗の大きい電熱線を含むヒータを適用できる。複数の下補助加熱部110は、下板部材108の上面に配置されている。複数の下補助加熱部110は、中保持部材106の下側と重ね合わせ基板92との間に配置されている。複数の下補助加熱部110は、位置の分布が略均一となるように同一水平面内に配置されている。これにより、下補助加熱部110は、電力が供給されると、下板部材108を介して、下側の重ね合わせ基板92の上面を水平面内で略均一に加熱する。複数の下主加熱部材68及び複数の下補助加熱部110が、第一の重ね合わせ基板の一例である下側の重ね合わせ基板92を加熱する第一の加熱部の一例である。
【0050】
上板部材112は、中保持部材106の上方に所定の間隔を開けて、中保持部材106に固定されている。平面視において、上板部材112は、中保持部材106の中央部に配置されている。上板部材112は、中保持部材106よりも平面積が小さい円板上に形成されている。上板部材112の上面は、平坦に形成されている。これにより、上板部材112は、下押圧部64によって上昇されて、上保持部74に達した上側の重ね合わせ基板92の下面を、水平面内で略均一に押圧する。
【0051】
複数の上補助加熱部114は、電気抵抗の大きい電熱線を含むヒータを適用できる。複数の上補助加熱部114は、上板部材112の下面に配置されている。複数の上補助加熱部114は、中保持部材106の上側と重ね合わせ基板92との間に配置されている。これにより、一対の下補助加熱部110及び上補助加熱部114は、中保持部材106の両側と各重ね合わせ基板92との間に配置される。複数の上補助加熱部114は、位置の分布が略均一となるように同一水平面内に配置されている。これにより、電力が供給されると、上補助加熱部114は、上板部材112を介して、上側の重ね合わせ基板92の下面を水平面内で略均一に加熱する。
【0052】
上述したように、下補助加熱部110は、下側に配置された重ね合わせ基板92の基板90に対応して設けられている。また、上補助加熱部114は、上側に配置された重ね合わせ基板92の基板90に対応して設けられている。換言すれば、下補助加熱部110、及び、上補助加熱部114は、両側に配置された2組の重ね合わせ基板92に対して設けられている。
【0053】
位置決め部材72は、収容室62の内壁に固定されている。位置決め部材72は、上下方向において、収容室62の中央部に配置されている。位置決め部材72は、リング部材120と、複数の凸部122とを有する。リング部材120の外端は、収容室62の内壁に固定されている。複数の凸部122は、リング部材120の上面に固定されている。複数の凸部122は、上面が曲面の半球形状に形成されている。複数の凸部122は、平面視において、収容室62の中心の周りに等角度間隔で配置されている。複数の凸部122は、中保持部材106の外周部に形成された位置決め凹部116に係合することにより、水平面内の中保持部材106を位置決めする。これにより、複数の凸部122は下保持部66及び上保持部74に対する補助加熱部材70の相対位置を位置決めする。
【0054】
上保持部74は、収容室62の上部の内面に固定されている。これにより、上保持部74の下面は、下押圧部64によって上方へ移動された上側の重ね合わせ基板92の上面に、基板ホルダ94を介して、接する。上保持部74の下面は、平坦に形成されている。これにより、下保持部66及び上保持部74は、下押圧部64の下伸縮部104の伸長駆動によって、上側の重ね合わせ基板92と下側の重ね合わせ基板92とを中保持部材106を介して、加圧する。尚、下保持部66及び上保持部74は、加圧部の一例である。また、上保持部74の下面は、熱伝導の高い材料によって構成されている。これにより、上保持部74の下面は、基板ホルダ94を介して、上側の重ね合わせ基板92の上面を水平面内で略均一に押圧しつつ、上側の重ね合わせ基板92の上面を水平面内で略均一に加熱する加熱加圧板として機能する。この結果、下保持部66及び上保持部74は、2枚の基板90、90を重ね合わせた2組の重ね合わせ基板92を積層して保持する。また、上保持部74は、上側の重ね合わせ基板92の上面の圧力を検出する上面圧力検出部75を有する。上面圧力検出部75は、検出した圧力を圧力情報として制御部18へと出力する。
【0055】
複数の上主加熱部材76は、電気抵抗の大きい電熱線を含むヒータを適用できる。複数の上主加熱部材76は、同一水平面内に位置の分布が略均一となるように配置されている。これにより、複数の上主加熱部材76は、上側の重ね合わせ基板92の上面を略均一に加熱する。そして、複数の上主加熱部材76は、上側の重ね合わせ基板92の基板90と基板90とが結合可能な結合温度まで、重ね合わせ基板92を昇温させて保つ。よって、少なくとも、下主加熱部材68及び上主加熱部材76は、下保持部66及び上保持部74により保持された2組の重ね合わせ基板92を両側から加熱して、2組の重ね合わせ基板92の各々の複数の基板90同士が結合する結合温度に保つ。複数の上主加熱部材76及び複数の上補助加熱部114は、第二の重ね合わせ基板の一例である上側の重ね合わせ基板92を加熱する第二の加熱部の一例である。
【0056】
複数の下部下温度検出部78は、下保持部66の上端部に設けられている。複数の下部下温度検出部78は、水平面内の位置の分布が均一となるように配置されている。これにより、下部下温度検出部78は、下側の重ね合わせ基板92の下面の温度を水平面内の複数個所で略均一に検出できる。
【0057】
複数の下部上温度検出部80は、補助加熱部材70の下板部材108の下端部に配置されている。複数の下部上温度検出部80は、水平面内の位置の分布が均一となるように配置されている。これにより、下部上温度検出部80は、基板ホルダ94を介して、下側の重ね合わせ基板92の上面の温度を水平面内の複数個所で略均一に検出できる。
【0058】
複数の上部下温度検出部82は、補助加熱部材70の上板部材112の上端部に配置されている。複数の上部下温度検出部82は、水平面内の位置の分布が均一となるように配置されている。これにより、上部下温度検出部82は、基板ホルダ94を介して、上側の重ね合わせ基板92の下面の温度を水平面内の複数個所で略均一に検出できる。
【0059】
複数の上部上温度検出部84は、上保持部74の下端部に配置されている。複数の上部上温度検出部84は、水平面内の位置の分布が均一となるように配置されている。これにより、上部上温度検出部84は、基板ホルダ94を介して、上側の重ね合わせ基板92の上面の温度を水平面内の複数個所で略均一に検出できる。
【0060】
下部下温度検出部78、下部上温度検出部80、上部下温度検出部82、及び、上部上温度検出部84は、複数の温度検出部の一例である。上述したように、下部下温度検出部78、下部上温度検出部80、上部下温度検出部82、及び、上部上温度検出部84は、2組の重ね合わせ基板92の4枚の基板90の各々に対応させている。下部下温度検出部78、下部上温度検出部80、上部下温度検出部82、及び、上部上温度検出部84には、熱電対、サーミスタ等によって温度を検出する温度センサを適用できる。
【0061】
真空ポンプ86は、収容室62の内部の気体を外部へと排気する。これにより、真空ポンプ86は、収容室62の内部の気圧を大気圧よりも低い真空状態にする。
【0062】
図9は、加熱加圧装置の制御系を説明するブロック図である。制御部18は、温度調整部の一例であって、パーソナルコンピュータ等を含む。制御部18は、下流体ポンプ102、下面圧力検出部67、上面圧力検出部75、真空ポンプ86、下主加熱部材68、下部下温度検出部78、上主加熱部材76、上部上温度検出部84、下補助加熱部110、下部上温度検出部80、上補助加熱部114、及び、上部下温度検出部82と信号を送受信可能に接続されている。
【0063】
制御部18は、下流体ポンプ102へと供給信号を出力することにより、下伸縮部104を伸張させる。これにより、制御部18は、下保持部66及び下側の重ね合わせ基板92を上方へと移動させる。制御部18は、下流体ポンプ102へと排出信号を出力することにより、下伸縮部104を収縮させる。これにより、制御部18は、下保持部66及び下側の重ね合わせ基板92を下方へと移動させる。制御部18は、下面圧力検出部67及び上面圧力検出部75から取得した圧力情報に基づいて、下流体ポンプ102の流体の供給量及び排気量を制御する。制御部18は、真空ポンプ86へと排気信号を出力することにより、収容室62の内部の気圧を下げて真空状態に設定する。
【0064】
制御部18は、複数の下部下温度検出部78から下側の重ね合わせ基板92の下面の複数個所の下部下温度情報を取得する。制御部18は、下部下温度情報に基づいて、複数の下主加熱部材68を制御する。ここで、制御部18が取得した複数個所の下部下温度情報が異なる場合、複数の下主加熱部材68を個別に制御してもよい。
【0065】
制御部18は、複数の下部上温度検出部80から下側の重ね合わせ基板92の上面の複数個所の下部上温度情報を取得する。制御部18は、下部上温度情報に基づいて、複数の下補助加熱部110を制御する。ここで、制御部18が取得した複数個所の下部上温度情報が異なる場合、複数の下補助加熱部110を個別に制御してもよい。
【0066】
制御部18は、上複数の上部下温度検出部82から上側の重ね合わせ基板92の下面の複数個所の上部下温度情報を取得する。制御部18は、上部下温度情報に基づいて、複数の上補助加熱部114を制御する。ここで、制御部18が取得した複数個所の上部下温度情報が異なる場合、複数の上補助加熱部114を個別に制御してもよい。
【0067】
制御部18は、複数の上部上温度検出部84から上側の重ね合わせ基板92の上面の複数個所の上部上温度情報を取得する。制御部18は、上部上温度情報に基づいて、複数の上主加熱部材76を制御する。ここで、制御部18が取得した複数個所の上部上温度情報が異なる場合、複数の上主加熱部材76を個別に制御してもよい。
【0068】
上述したように、制御部18は、それぞれに対応する温度情報に基づいて、下主加熱部材68、下補助加熱部110、上補助加熱部114、上主加熱部材76を別個に制御する。これにより、制御部18は、補助加熱部材70の下補助加熱部110及び上補助加熱部114と、下主加熱部材68及び上主加熱部材76の何れかの熱量を制御して、2組の重ね合わせ基板92、92の上面及び下面の温度を別個に調整する。
【0069】
次に、加熱加圧装置56における貼り合わせ工程の一工程である加熱加圧工程を説明する。まず、ロボットアーム54が、エアロック室48から下保持部66の上面へと、基板ホルダ94に保持された重ね合わせ基板92を搬入する。次に、ロボットアーム54が、エアロック室48から補助加熱部材70の上板部材112の上面に、基板ホルダ94に保持された次の重ね合わせ基板92を搬入する。これにより、図8に示すように、2枚の基板90が重ね合わされた2組の重ね合わせ基板92が、加熱加圧装置56に搬入される。尚、下保持部66及び上板部材112への重ね合わせ基板92の搬入の順序は適宜変更してよい。この後、収容室62が、密閉される。
【0070】
制御部18は、真空ポンプ86を駆動させて、収容室62の内部を排気する。制御部18は、下押圧部64の下流体ポンプ102を駆動させて、下伸縮部104へ流体を供給する。これにより、下伸縮部104が伸張するので、下保持部66及び下保持部66に保持されている重ね合わせ基板92が上昇する。この後、下側の重ね合わせ基板92を保持する基板ホルダ94の上面が補助加熱部材70の下板部材108の下面に接すると、補助加熱部材70及び上側の重ね合わせ基板92が、下保持部66及び下側の重ね合わせ基板92とともに上昇する。
【0071】
図10は、加熱加圧工程を説明する図である。図10に示すように、上側の重ね合わせ基板92を保持する基板ホルダ94の上面が、上保持部74の下面に接すると、2組の重ね合わせ基板92、92、下保持部66、及び、補助加熱部材70の上昇が停止する。これにより、2枚の基板90が重ね合わされた2組の重ね合わせ基板92が、下保持部66及び上保持部74によって、積層されて保持される。この状態で、制御部18は、下流体ポンプ102の駆動を継続して、下伸縮部104に流体を更に供給する。この結果、下保持部66及び上保持部74が、2組の重ね合わせ基板92、92を加圧する。
【0072】
制御部18は、重ね合わせ基板92、92を加圧させた状態で、下主加熱部材68、下補助加熱部110、上主加熱部材76、及び、上補助加熱部114を駆動する。これにより、下側の重ね合わせ基板92の下面及び上面が下主加熱部材68及び下補助加熱部110によって加熱されるとともに、上側の重ね合わせ基板92の下面及び上面が上補助加熱部114及び上主加熱部材76によって加熱される。この結果、重ね合わせ基板92は、それぞれの基板90と基板90同士が結合可能な結合温度まで昇温する。
【0073】
ここで、中保持部材106は、一対の重ね合わせ基板92の間の熱の伝導を抑制する。更に、制御部18は、下部下温度検出部78、下部上温度検出部80から下側の重ね合わせ基板92、92の上面及び下面の温度情報を取得する。制御部18は、取得した温度情報から、下側の重ね合わせ基板92の上面と下面との間に温度差が生じたと判定した場合、その温度差に対応させて、下主加熱部材68及び下補助加熱部110の電力供給を制御する。これにより、制御部18は、下主加熱部材68及び下補助加熱部110の熱量を別個に制御する。例えば、制御部18は、下側の重ね合わせ基板92の上面の温度が下面の温度よりも低いと判定すると、下主加熱部材68への電力供給を減少するか、若しくは、下補助加熱部110への電力供給を増加させる。これにより、下側の重ね合わせ基板92の上面と下面との間の温度差が縮小されて、結合温度が保たれる。この結果、重ね合わせ基板92の上側の基板90と下側の基板90との間の温度差に起因する基板90と基板90との間の位置ずれが低減される。
【0074】
同様に、制御部18は、上部上温度検出部84及び上部下温度検出部82から上側の重ね合わせ基板92、92の上面及び下面の温度情報を取得して、その温度情報に基づいて、上側の重ね合わせ基板92、92の上面と下面との間の温度差が小さくなるように、上主加熱部材76、及び、上補助加熱部114の電力供給及び熱量を別個に制御する。
【0075】
制御部18は、この状態を維持して、各重ね合わせ基板92、92の基板90と基板90とを結合して貼り合せる。この後、制御部18は、下流体ポンプ102を制御して、流体を排出する。これにより、下伸縮部104が収縮するので、下保持部66及び補助加熱部が、重ね合わせ基板92、92とともに下降する。
【0076】
図11、図12及び図13は、補助加熱部材の位置合わせを説明する側面図である。ここで、図11に示すように、水平方向において、補助加熱部材70が位置ずれした状態で下降した場合の補助加熱部材70の位置合わせを説明する。位置ずれした状態で、補助加熱部材70が更に下降すると、図12に示すように、中保持部材106の外周に形成された位置決め凹部116の頂点と、位置決め部材72の凸部122の中心とがずれた状態で、位置決め凹部116と凸部122とが接触する。この状態で更に補助加熱部材70が下降すると、位置決め位置決め凹部116が凸部122によって矢印方向に沿ってガイドされる。これにより、図13に示すように、位置決め凹部116の頂点と凸部122の中心とが位置合わせされて、補助加熱部材70が位置決めされる。
【0077】
これにより、補助加熱部材70は、位置決め部材72によって支持されるので、補助加熱部材70及び上側の重ね合わせ基板92の下降が停止する。この後、下側の重ね合わせ基板92及び下保持部66が、下伸縮部104の収縮に伴って、下降を継続する。制御部18は、下保持部66が図8に示す初期位置まで下降したと判定すると、下流体ポンプ102を停止する。この後、ロボットアーム58が、基板ホルダ94、94とともに重ね合わせ基板92、92を1組ずつ、冷却室60へと搬送する。これにより、加熱加圧工程は終了する。
【0078】
上述したように本実施形態による基板貼り合わせ装置10では、中保持部材106は、一対の重ね合わせ基板92の間の熱の伝導を抑制する。このため、制御部18が、下主加熱部材68、下補助加熱部110、上主加熱部材76、及び、上補助加熱部114の熱量を制御して、重ね合わせ基板92の上面及び下面の温度を容易に別個に制御できる。これにより、重ね合わせ基板92の上面及び下面の温度差を低減できるので、重ね合わせ基板92の上側の基板90及び下側の基板90の膨張等に起因する基板90、90同士の位置ずれを抑制できる。この結果、基板貼り合わせ装置10は、基板90と基板90との貼り合わせの精度を向上させて、電気的な接触不良等を低減できる。
【0079】
基板貼り合わせ装置10では、重ね合わせ基板92の上面及び下面に対応させた下部下温度検出部78、下部上温度検出部80、上部下温度検出部82、上部上温度検出部84を有する。これにより、制御部18は、重ね合わせ基板92の上面及び下面の温度情報を取得しつつ、下主加熱部材68、下補助加熱部110、上補助加熱部114、及び、上主加熱部材76を制御することができる。この結果、基板貼り合わせ装置10は、重ね合わせ基板92の上面及び下面の温度差を更に抑制できる。
【0080】
基板貼り合わせ装置10では、補助加熱部材70に位置決め凹部116を形成するとともに、位置決め凹部116を介して補助加熱部材70を位置決めする位置決め部材72の凸部122が設けられている。これにより、補助加熱部材70が、昇降等によって、水平方向の位置ずれを起こしても、補助加熱部材70の位置を初期状態に合わせることができる。
【0081】
図14及び図15は、別の補助加熱部材の位置合わせを説明する概略図である。図14に示すように、位置決め部材272は、リング部材220と、複数のガイド軸222とを有する。リング部材220の外端は、収容室62の内壁に固定されている。複数のガイド軸222は、リング部材220の上面に固定されている。ガイド軸222は、上下方向に延びる円柱状に形成されている。補助加熱部材70の中保持部材206の外周部には、ガイド穴216が形成されている。ガイド穴216の直径は、ガイド軸222の直径と略等しい。ガイド穴216には、ガイド軸222が挿通される。これにより、中保持部材206を含む補助加熱部材70が上下方向に移動すると、ガイド軸222がガイド穴216を摺動する。これにより、ガイド軸222が補助加熱部材70をガイドして、水平方向における、補助加熱部材70の位置ずれが抑制される。尚、ガイド軸222を中保持部材206に設け、リング部材220にガイド穴216を形成してもよい。
【0082】
図16は、補助加熱部材が固定された加熱加圧装置の全体構成図である。図16に示すように、本実施形態の加熱加圧装置356は、補助加熱部材370と、上押圧部364とを備える。補助加熱部材370の中保持部材406の外周部は、収容室62の内壁に固定されている。これにより、補助加熱部材370は、収容室62に対して、固定されて、移動不能となる。
【0083】
上押圧部364は、上流体ポンプ402と、上伸縮部404とを有する。上流体ポンプ402は、上伸縮部404に流体を供給、または、上伸縮部404から流体を排出する。上伸縮部404の下面は、上保持部74を保持する。上伸縮部404は、上下方向に伸縮可能に構成されている。上伸縮部404は、上流体ポンプ402から供給される流体によって下方へ伸張するとともに、上流体ポンプ402へ流体が排出されることにより上方へ収縮する。これにより、上押圧部364は、上保持部74とともに、上主加熱部材76を上下方向へ移動させる。
【0084】
図17は、図16の加熱加圧装置による加熱加圧工程を説明する図である。まず、加熱加圧装置356の下保持部66及び補助加熱部材370に重ね合わせ基板92、92がエアロック室48から搬入される。次に、制御部18が、収容室62の内部を真空状態にした後、下押圧部64の下流体ポンプ102及び上押圧部364の上流体ポンプ402を駆動させて、流体を、下伸縮部104及び上伸縮部404に供給する。これにより、下伸縮部104が上方へ伸張するとともに、上伸縮部404が下方へ伸張する。これにより、下保持部66が下側の重ね合わせ基板92とともに上方へ移動しつつ、上保持部74が下方へと移動する。これにより、図17に示すように、下側の重ね合わせ基板92を保持する基板ホルダ94の上面が、補助加熱部材370の下板部材108の下面に接するとともに、上保持部74の下面が上側の重ね合わせ基板92を保持する基板ホルダ94の上面に接する。この後、制御部18が、下流体ポンプ102、上流体ポンプ402、下主加熱部材68、下補助加熱部110、上主加熱部材76、及び、上補助加熱部114を制御して、2組の重ね合わせ基板92、92を加熱加圧する。この結果、各組の重ね合わせ基板92の基板90と基板90とが結合されて貼り合わされる。
【0085】
上述したように、加熱加圧装置356では、補助加熱部材70を収容室62に固定しているので、補助加熱部材70の位置ずれを抑制できる。これにより、加熱加圧装置356は、補助加熱部材70の位置合わせを省略できる。
【0086】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0087】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【0088】
上述した実施形態の各構成の形状、配置、個数等は、適宜変更してよい。
【0089】
上述した実施形態では、補助加熱部材70に位置決め凹部116を形成するとともに、位置決め部材72に凸部122を設けたが、補助加熱部材70に凸部122を設け、位置決め部材72に位置決め凹部116を形成してもよい。
【0090】
上述した実施形態では、下主加熱部材68、上主加熱部材76、下補助加熱部110、及び、上補助加熱部114を、電熱線を含むヒータによって構成したが、下主加熱部材68及び上主加熱部材76に磁場発生部を設けて、誘導加熱によって重ね合わせ基板92を加熱してもよい。この場合、補助加熱部材70の下板部材108及び上板部材112は、渦電流が大きく、電磁誘導による熱量の発生が大きい鉄等によって構成することが好ましい。尚、誘導加熱によって重ね合わせ基板92を加熱する場合、下補助加熱部110及び上補助加熱部114を省略してもよい。
【0091】
下部下温度検出部78、下部上温度検出部80、上部下温度検出部82、及び、上部上温度検出部84を、基板ホルダ94の熱輻射を計測して温度を検出するように構成してもよい。
【0092】
上述した実施形態では、2枚の基板90、90を有する2組の重ね合わせ基板92を同時に加熱及び加圧する例を示したが、3枚以上の基板90を有する重ね合わせ基板92、または、3組以上の重ね合わせ基板92を同時に加熱及び加圧してもよい。
【符号の説明】
【0093】
10 基板貼り合わせ装置、 12 筐体、 14 常温部、 16 高温部、 18 制御部、 20 基板カセット、 22 基板ホルダラック、 24 ロボットアーム、 26 プリアライナ、 28 仮接合部、 30 ロボットアーム、 34 枠体、 36 固定ステージ、 38 移動ステージ、 40 シャッタ、 42 シャッタ、 46 断熱壁、 48 エアロック室、 50 シャッタ、 52 シャッタ、 54 ロボットアーム、 56 加熱加圧装置、 58 ロボットアーム、 60 冷却室、 62 収容室、 64 下押圧部、 66 下保持部、 67 下面圧力検出部、 68 下主加熱部材、 70 補助加熱部材、 72 位置決め部材、 74 上保持部、 75 上面圧力検出部、 76 上主加熱部材、 78 下部下温度検出部、 80 下部上温度検出部、 82 上部下温度検出部、 84 上部上温度検出部、 86 真空ポンプ、 90 基板、 92 重ね合わせ基板、 94 基板ホルダ、 102 下流体ポンプ、 104 下伸縮部、 106 中保持部材、 108 下板部材、 110 下補助加熱部、 112 上板部材、 114 上補助加熱部、 116 位置決め凹部、 120 リング部材、 122 凸部、 206 中保持部材、 216 ガイド穴、 220 リング部材、 222 ガイド軸、 272 位置決め部材、 406 中保持部材、 356 加熱加圧装置、 364 上押圧部、 370 補助加熱部材、 402 上流体ポンプ、 404 上伸縮部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ね合わされた複数の基板を有する第一の重ね合わせ基板を加熱する第一の加熱部と、
重ね合わされた複数の基板を有する第二の重ね合わせ基板を加熱する第二の加熱部と、
前記第一の加熱部と前記第二の加熱部との間に配置された断熱部と、
前記第一の重ね合わせ基板と前記第二の重ね合わせ基板とを前記断熱部を介して加圧する加圧部とを備える基板貼り合わせ装置。
【請求項2】
前記複数の基板の各々に対応させた複数の温度検出部を
更に備える請求項1に記載の基板貼り合わせ装置。
【請求項3】
前記第一の加熱部及び前記第二の加熱部は誘導加熱により加熱する
請求項1または2に記載の基板貼り合わせ装置。
【請求項4】
前記第一の加熱部及び前記第二の加熱部の一部は、重ね合わせ基板の積層方向に移動することができる
請求項1から3のいずれか1項に記載の基板貼り合わせ装置。
【請求項5】
位置決め部材を更に備え、
前記断熱部及び前記位置決め部材の一方には、位置決め凹部が形成されるとともに、
前記断熱部及び前記位置決め部材の他方は、前記断熱部の相対位置を位置決めするために、前記位置決め凹部に係合される位置決め凸部を有する
請求項1から4のいずれか1項に記載の基板貼り合わせ装置。
【請求項6】
位置決め部材を更に備え、
前記断熱部及び前記位置決め部材の一方には、ガイド穴が形成されるとともに、
前記断熱部及び前記位置決め部材の他方は、前記ガイド穴に挿通され、前記断熱部をガイドするガイド軸を有する
請求項1から4のいずれか1項に記載の基板貼り合わせ装置。
【請求項7】
前記断熱部は、固定されている
請求項1から3のいずれか1項に記載の基板貼り合わせ装置。
【請求項8】
各重ね合わせ基板の前記複数の基板は、基板ホルダによって保持されている
請求項1から7のいずれか1項に記載の基板貼り合わせ装置。
【請求項9】
前記基板ホルダの熱輻射を計測する温度検出部を更に備える
請求項8に記載の基板貼り合わせ装置。
【請求項10】
重ね合わされた複数の基板を有する第一の重ね合わせ基板を加熱する第一の加熱段階と、
重ね合わされた複数の基板を有する第二の重ね合わせ基板を加熱する第二の加熱段階と、
前記第一の重ね合わせ基板と前記第二の重ね合わせ基板との間に配置された断熱部を介して、前記第一の重ね合わせ基板と前記第二の重ね合わせ基板とを加圧する加圧段階とを備える基板貼り合わせ方法。
【請求項11】
重ね合わされた複数の基板を有する第一の重ね合わせ基板を加熱して、
重ね合わされた複数の基板を有する第二の重ね合わせ基板を加熱して、
前記第一の重ね合わせ基板と前記第二の重ね合わせ基板との間に配置された断熱部を介して、前記第一の重ね合わせ基板と前記第二の重ね合わせ基板とを加圧して貼り合わされた重ね合わせ基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−256658(P2012−256658A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127828(P2011−127828)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】