説明

堀割道路の防音装置

【課題】堀割道路の騒音を低減し、かつ換気も十分行われ、フリッカー現象を軽減しつつ道路内の明るさも確保できる。
【解決手段】堀割道路の上部開口部21付近に設置される防音装置3であって、追って詳述するところの透光性吸音材および透光性遮音材で構成された複数の防音パネル4を、堀割道路上部開口部21を横架させかつ傾斜させた状態で並列させ、太陽光sが堀割内の路面22に当たらないよう所定の間隔の換気空間5を設けて設置した。概ね南北に延びる堀割道路において、前記防音パネル4を北側方向に向けて上向きの傾斜を設けて配置した形態とするのが、太陽光sの直射を遮るので好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、堀割道路から発生する騒音を防止するための防音装置に関する。
【背景技術】
【0002】
都市部などにおいては、環境対策のために堀割構造の道路を設置することがある。この堀割構造の道路(図5参照)は、上部が開放された略U形形状であり、道路を地下に設けることによって自動車騒音を低減する機能、自動車から発生する排気ガスを上部開口部11から換気する機能、また、昼間において道路内に上部開口部11からの採光により照明する機能を有するものである。
【0003】
しかし、交通量の増加や堀割内の壁面での騒音の反射による騒音値の上昇のため、地上に放射される騒音が十分軽減されないことや、上部開口部11から射し込む太陽光sが路面13に横梁材(ストラット)12の影を作り、フリッカー現象(路面のちらつき現象)を起こして安全性が損なわれることがあり、その対策として、堀割道路の上部開口部分にくの字形に屈曲させた多孔質吸音材などを一定間隔で配置した吸音ルーバー式の防音装置14の設置する技術が提案されている(図6参照)。(特許文献1、2を参照)
【0004】
しかしながら、このような吸音ルーバー式の防音装置14を設置すると、フリッカー現象や騒音低減の効果は達成できるものの、上部開口部11が防音装置14によって塞がれることになり、多孔質吸音材間には換気開口(通気開口)が設けられているものの、換気開口一箇所あたりの寸法が小さいことや換気経路が複雑であること、開口率も50%程度と小さいことから換気機能が不十分となり、壁面の汚れやスモッグの滞留により視界が暗くなり悪化する問題があった。
【0005】
また、吸音ルーバー式防音装置14の換気部開口からの間接光も僅かしか道路内に入らず、フリッカー現象は軽減するものの、道路内の明るさが著しく低下してトンネル内部のように暗くなるため、電気照明器具の設置が必要になる問題があった。さらに、防音装置14の吸音ルーバーはくの字形等に加工した多数の吸音材を縦に配置した複雑な構成であるためコストが高い問題があった。
【特許文献1】特公昭53−11145号公報「遮光、吸音ルーバー」特許請求の範囲、第1図の記載。
【特許文献2】実公平6−47932号公報「車両走行路天井用吸音ルーバー」請求項1、第1図の記載。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、堀割道路の騒音を低減し、かつ換気も十分行われ、フリッカー現象を軽減しつつ道路内の明るさも確保できる経済的な堀割道路の防音装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の問題は、堀割道路の上部開口部付近に設置される防音装置であって、複数の防音パネルを換気空間を介在させ、かつその換気空間を通じて太陽光が堀割内の道路面に直接に当らない位置関係に設置したことを特徴とする本発明の本発明の堀割道路の防音装置によって、解決することができる。
【0008】
また、本発明は、次の第1形態に具体化され得る。すなわち、前記発明において、堀割道路の上部開口部付近に設置される防音装置であって、透光性吸音材および透光性遮音材で構成された複数の防音パネルを、堀割道路を横架させて傾斜させた状態で並列させ、太陽光が堀割内の道路面に当たらないよう所定の間隔を設けて設置した堀割道路の防音装置である。この発明はさらに、概ね南北に延びる堀割道路において、前記防音パネルを北側方向に向けて上向きの傾斜を設けて配置した形態に具体化される。
【0009】
また、本発明は、次の第2形態に具体化され得る。すなわち、前記発明において、堀割道路の上部開口部付近に設置される防音装置であって、透光性吸音材及び透光性遮音材で構成された防音パネルを前記上部開口部の両側壁から内側に向けて延設し、一方の防音パネル先端部と他方の防音パネル先端部とが上下に離隔して設けられるよう配置した堀割道路の防音装置である。なお、この発明は、概ね東西に延びる堀割道路において、開口部南側壁から延設した防音パネル先端部が北側壁から延設した防音パネル先端部よりも上側になるように設置した形態に具体化される。
【0010】
さらに、これらの本発明の第1、第2の形態において、前記防音パネルの透光性吸音材が透光性の膜状材料と多孔板を積層した吸音材であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の堀割道路の防音装置は、つぎに列挙した通り、優れた効果がある。よって本発明は、従来の問題点を解消した防音装置として、工業的価値はきわめて大なるものがある。
(1)〔騒音低減効果〕吸音材と遮音材を組み合わせた防音パネルを配置した防音装置であるため、堀割上部から放出される自動車騒音を吸音や遮音や回折(音の回折)によって低減できる。また、直接の日射を遮るので、フリッカー現象を解消することができる。
【0012】
(2)〔排ガスの換気〕防音装置の換気空間の開口の寸法や面積が大きく設定されるので、自動車排ガスの自然換気が十分行われるから、道路内の排ガスの滞留が無くなり、視界が良くなって交通の安全性が向上するとともに壁面の汚れも軽減できる。
【0013】
(3)〔道路内の照度・路面の輝度〕透光性の防音パネルを利用するため、換気開口からの間接光に防音パネルを透過する透過光が付加されるので道路内をさらに明るくすることができる上に、防音パネルの透光性(透明度など)を調整することによって道路面の横架の影を緩和させて路面の輝度の変化軽減させることができるので交通の安全性が向上する。
【0014】
(4)〔コスト〕防音装置は平板状の吸音性遮音パネルを配置した簡単な構造であるため、装置のコストが大幅に軽減するうえ、道路内への電気器具照明の設置が不要になるので経済的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の堀割道路の防音装置に係る実施形態について、図1〜4を参照しながら説明する。
《第1実施形態》
本発明の第1実施形態は、図1(A、B)に示すように、堀割道路の上部開口部21付近に設置される防音装置3であって、追って詳述するところの透光性吸音材および透光性遮音材で構成された複数の防音パネル4を、堀割道路上部開口部21を横架させかつ傾斜させた状態で並列させ、太陽光sが堀割内の路面22に直接に当たらないよう所定の間隔の換気空間5を設けて設置した堀割道路の防音装置である。
【0016】
この実施形態は、概ね南北に延びる堀割道路において特に有効でであり、前記防音パネル4を北側方向に向けて上向きの傾斜を設けて配置した形態(図1B参照)とするのが、太陽光sの直射を遮るので好ましい。この場合、概ね南北に延びるとは、南北を中心にして左右、角度45°までの範囲をいうこととする。
【0017】
さらに以下に補足する。
a)防音パネル4は、横梁材(ストラット)23の上部に沿って斜め上方に向けて設置する。またこの防音パネル4の道路延長方向の設置間隔は、換気空間5に相当するが、横梁材の間隔(5m程度)でも良いが、間隔を小さくしてもよい。その間隔は0.5m〜横梁材の間隔(5m)が好ましい。狭すぎると排気ガスの換気機能が低下するし、また、広すぎると騒音低減効果が低下する。
【0018】
b)防音パネル4の上方向への長さは、上部開口部21の上端を超えない範囲とし、角度を調整しながら隣り合う防音パネルの下端部で太陽光sが遮られる程度に設定する。例えば、防音パネル4を北側に向けて斜め上方に立ち上げて設置して、その長さは、夏至における南中高度(78.5度)の太陽光が直接路面を照射しない長さ以上に設定する。なお、設置角度(水平に対する角度)を小さくすると、騒音低減効果は向上するが、換気空間が狭くなり排ガスの換気性(効果)は低下する。
なお、防音パネル4はボルトで横架や側壁直接又は鉄骨下地に固定する。また、上部開口部21の側壁21a、21bの少なくとも防音パネル4の端部が位置する部位には、板状の多孔質吸音材31を取り付けて吸音効果をより向上させるのがよい。更に吸音効果を大きくするために、側壁21a、21bの全高にわたって板状の多孔質吸音材31を取り付けてもよい。
【0019】
〔透光性の防音パネル〕
次に、本発明の防音パネル4について説明する(図4参照)
この防音パネル4は、透光性吸音材41と透光性遮音材42を所定の間隔(空気層43)を隔てて金属製の枠材44でパネル化したものである。
【0020】
(透光性吸音材)
この透光性吸音材41は、透光性の膜状材料の両側または片側に多孔板を配し積層される透光性、透視性の膜状材料であって、入射した音波をこの膜状材料の振動エネルギとして、さらに膜状材料と多孔板との摩擦エネルギとして吸収するものである。
【0021】
そして、前記透光性の膜状材料としては、無色または有色で透明、非透明のポリフッ化ビニル、ポリフッ化エチレン等のフッ素樹脂系フィルムやポリエステル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチエン、酢酸ビニル、ポリビニリデンなどの非遮光性の合成樹脂フィルムであって、厚さは6μm〜500μmが好ましい。
【0022】
前記多孔板は、透明や非透明のポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂等の板材に貫通孔明け加工した孔明きタイプの多孔板や網状の多孔板の他、ガラス、セラミックやアルミニウム、鉄など金属材料からなる網やエキスパンドメタルのような網状の多孔板、孔明き板タイプの多孔板も利用できるのであって、特に材料や孔の形状に限定はないが、一つの開口(孔)の大きさ(直径)は3〜50mmが好ましい。
【0023】
透光性材料からなる多孔板としては、前記の透明、非透明で有色または無色のポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂等やガラス、セラミックなど孔明き板や網状体などが好ましい。この場合、この多孔板の開口率は吸音性確保のため20〜40%が好ましい。また、多光板の透明度や色の程度は路面の設定輝度や照度に応じて適宜選択調整するものとする。
【0024】
非透光性材料からなる多孔板としては、アルミニウム、鉄など金属材料やガラス、セラミック、合成樹脂からなる孔明き板や網状体で、孔部で透光性を得るため、多孔板の開口率は40%以上とするのが、吸音性確保と透光性確保のため好ましい。
【0025】
前記膜状材料と多孔板の組み合わせは、1層の膜状材料の片面に1層の多孔板を配置して2層構成にしたり、1層の膜状材料に対して両側に多孔板を配置して3層構成のほか、前記3層構成に更に1層膜状材料を追加して多孔板の表面に配置した4層構成、1層の多孔板に対して両側に膜状材料を配置して3層構成があるが限定はない。本発明において、これら膜状材料と多孔板との積層とは、膜状材料の振動により両者間に摩擦が生ずる近接状態に構成されていることを意味する(以下同様)。この場合、積層パネルとして形状を保持するため、外周部分や必要に応じて中間部分などで部分的にビスなどで固定するものとする。
【0026】
なお、音波による膜状材料自身の振動と膜状材料と多孔板の摩擦が十分行われて吸音性が発揮できる用に、積層時の膜状材料の張り方の程度は要求される吸音性に応じて、弛み代を(−3%〜1%の範囲で)調整することが好ましい。
また、膜状材料の張り方によっては、皺ができて外観に影響することもあるので、この点も考慮して設定すればよい。
【0027】
前記のように多孔板を複数使用して積層の場合は、同じ材質で同じ開口寸法、開口率のものを組み合わせても良いし、異種材料、異なる開口寸法、開口率を組み合わせても良い。また、多孔板の開口率や透光性は路面の設定輝度や照度に応じて適宜に選択する。
【0028】
(パネル枠材)
防音パネル4を構成するパネル枠材44としては、アルミニウム、鉄などの金属や塩化ビニルなどの合成樹脂、などが用いられ得るが、アルミ合金またはスティール形材から組み立てられる四周辺からなる枠材が最も好ましい。
【0029】
(透光性遮音材)
防音パネル4の背面板として設けられる透光性遮音材42は、ポリカーボネート、塩化ビニール、メタクリル樹脂、スチロール樹脂、ABS樹脂、フッ化エチレン樹脂、アクリル樹脂などの合成樹脂やゴムであって無色または有色で透光性(透明、半透明)を有するものや透明、半透明のガラスなどの透光性、透視性を有するものを単独または複層にして用いる。その大きさは防音板の大きさにより決まる。また、その厚さは、必要とする遮音力(音響透過損失)から設定されるが、道路防音壁に用いる場合でプラスチック板の場合は3〜10mmが好ましい。
【0030】
(防音パネルの組立て、その他補足事項)
a)防音パネル4は、透光性吸音材41とパネル枠材44と透光性遮音板42とからなる。これら各部材は、リベット、ビス、接着剤などを用いてパネルに組み立てられる。そして、透光性吸音材41と遮音板42の間には空気層43を設けて構成し、透光性防音パネル4全体の厚さは音源の周波数に対応させて設定すればよいが、厚さを薄くすると高周波領域の吸音率が向上し、厚くすると低周波領域の吸音率が向上する。一般的には50〜200mmの厚さが適当である。また、防音パネルの大きさは、巾0.5〜2m、長さ2〜6mである。さらに、必要に応じて、パネル内の中間枠材などに多孔質吸音材を配置しても良い。
【0031】
b)透光性吸音材41をパネル枠材44に組み付ける際に吸音材41のいずれの面を表側にするかについては、例えば、2層構造の透光性吸音材の多孔板側を表側(多孔板が音源側、膜状材料がパネルの内側)にしても、膜状材料側を表側(膜状材料が音源側、多孔板がパネルの内側)にしてもいずれでも良く、使用条件や用途によって使い分ければよい。
【0032】
c)透光性遮音材42は、紫外線等に対する耐候性処理や表面硬さ向上のための処理や網などによる補強を施したものを用いてもよい。また、透光性吸音材41にも、紫外線などに対する耐候性処理を施しても良い。
さらに、防音パネル4の表面、裏面、内部に汚れ防止や窒素酸化物浄化のため二酸化チタン等の光触媒を塗布等によって付着させてもよい。
【0033】
また、自動車の排気ガスや大気中の煤塵などの汚れ物質を付着し難くしたり、また、付着物の雨水などによる自然除去を容易にするには、汚れ防止剤として、シリコン系ポリマー、フッ素系ポリマー、アクリル系ポリマー等の親水性材料やシリコンエマルジョン、アクリルエマルジョン、シリコンアクリルエマルジョン、アルキルアルコキシランエマルジョン等の撥水性材料を塗布しても良い。
【0034】
d)透光性防音パネルは、図1に例示するように、騒音源である堀割道路に沿って設けられた横梁材23に直接または、H形鋼材などによる下地にボルトなどで取り付けて設置する。この場合、透光性防音パネルの上端及び下端には、防音板を積み上げて設置するときのはめ込み部や両端部に落下防止用のワイヤーロープを通す孔(図示せず)を設けてもよい。
【0035】
e)なお、本発明の透光性防音パネル4を両面吸音性の防音板に構成する場合には、この透光性防音パネルの断面部材構成を透光性吸音材+空気層+透光性遮音板+空気層+透光性吸音材のように、両面に透光性吸音材を配置するものとする。
【0036】
f)防音パネル4には、必要に応じてパネル内部の中間枠材などに多孔質吸音材を配置しても良い。また、防音パネル4は、片側吸音性でも両側吸音性でも良い。また、防音パネル4は、L形状などに屈曲させたり、先端に消音装置を取り付けても良い。
【0037】
《第2実施形態》
次に本発明の第2形態について説明する(図2、3参照)。
この実施形態では、第1実施形態同様に堀割道路の上部開口部21付近に設置される防音装置であって、透光性吸音材及び透光性遮音材で構成された防音パネル4を前記上部開口部の両側壁21a、21bから内側に向けて延設し、一方の防音パネル先端部4aと他方の防音パネル先端部4bとが換気空間5を介して上下に離隔して設けられ、太陽光sが堀割内の路面22に当たらないよう設置した堀割道路の防音装置である。
【0038】
この実施形態は、概ね東西に延びる堀割道路において、特に有効でであり、開口部南側壁21bから延設した防音パネル先端部4bが、北側壁21aから延設した防音パネル先端部4aよりも上側になるように設置した形態(図2A参照)とするのが、太陽光sの直射を遮るので好ましい。この場合、概ね東西に延びるとは、東西を中心にして左右、角度45°までの範囲をいうこととする。
【0039】
本発明の防音装置は、道路の方位によって第1、第2実施形態の2種類を提案するのであるが、堀割道路が設置または設置予定の地域の状況や道路の向き(東西南北)を加味するとともに、騒音低減効果、排ガスの換気性、道路内への間接採光性を考慮して適宜設定する。
【0040】
この第2実施形態では、防音パネル4を堀割道路上部開口部21の両側の壁(21a、21b)から道路中心に向かって水平(図3参照)または斜め上方(図2参照)に伸ばし、壁に沿って道路の延長方向に設置するものである。
【0041】
この場合、南側防音パネル先端部4bが北側防音パネル先端部4aよりも上側に位置するようにし、長さは上側の防音パネル先端部4bから下方に向かう太陽光が下側防音パネルに当たるようにして、直接に路面22を照射しないように設定する。例えば、図示のように南中高度(夏至)の太陽光が直接路面を照射しない位置関係に設定すればよい。
【0042】
また、上部開口部21の側壁21a、21bの少なくとも防音パネル4の基部が位置する中間部分には、板状の多孔質吸音材31を取り付けて吸音効果をより向上させるのがよい。更に吸音効果を大きくするために、側壁21a、21bの全高にわたって板状の多孔質吸音材31を取り付けてもよい。
さらに、この実施形態における防音パネル4は、先に説明した第1実施形態の防音パネル4となんら変わりがないので、既述の防音パネル4に関する構成上の説明はすべて第2実施形態の場合にも適用されるものである。
【0043】
さらに、本発明の作用、効果に関して補足説明する。
(消音・防音)
堀割道路で自動車の走行によって発生した騒音は、設置された防音装置の防音パネルによって曲げられながら防音パネル4間の換気空間5を通って上方に放射されるが、換気空間5を通る際に透光性防音板の吸音材による吸音作用や曲がりの効果によって減衰される。なお、直接上方に抜けようとする騒音は防音パネルによって遮蔽される。また、騒音が開口部21から放射される際には、堀割の壁や防音パネルの先端による回折によって減衰する。
【0044】
(換 気)
自動車より発生する排気ガスなどは防音装置の換気空間5を通じて自然換気によって大気中に放出される。また、本発明では、換気性を考慮して換気開口寸法を大きくすることができるため、道路内に排ガスが滞留して視界が妨げられたり、環境が悪化することがない。
【0045】
(路面の明るさ(輝度)、照度)
本発明の防音パネル4が透光性であるため、堀割道路内は防音パネル間の換気空間5を通じた間接光と、防音パネル4自体を透過する透過光によって照明される(昼間の場合)。従って、防音パネル4の設置間隔や角度によって間接光が変化しても、防音パネルの透過光を吸音材や遮音材の条件設定によって任意に調整することによって、道路内の照度を適度に保持することができる。さらに、横梁材23の影による輝度変化を緩和させることができるからフリッカー現象を軽減することも可能となる。
【0046】
防音パネル4の透過光の明るさ色調などは、透光性吸音材の膜状材料の透明度や色、多光板の透明度、色、開口率、ならびに透光性遮音材の透明度や色、板厚を単独または組み合わせて選択することにより調整することができる。
【0047】
以上のように、本発明の防音装置は換気部開口が十分大きく設定でき、かつ太陽光が直接道路内に入らないように防音パネルが設置されているので、道路内の照度や路面の輝度が著しく変化することなく安定化されるため、交通の安全性が向上する。また、従来の防音装置に比べて道路内をより明るく設定できるので、交通の安全性が向上するという利点が得られるのである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1実施形態を説明するための要部断面図(A:進行方向を横切る断面、B:進行方向に沿った断面)。
【図2】第2実施形態を説明するための要部断面図(A:進行方向を横切る断面、B:進行方向に沿った断面)。
【図3】第2実施形態の変形を説明するための要部断面図(A:進行方向を横切る断面、B:進行方向に沿った断面)。
【図4】本発明の用いる防音パネルの正面図A、上面図B、側面断面図C。
【図5】一般的な堀割道路を説明するための要部断面図(A:進行方向を横切る断面、B:進行方向に沿った断面)。
【図6】堀割道路に設置される従来の防音装置を説明するための要部断面図(A:進行方向を横切る断面、B:進行方向に沿った断面)。
【符号の説明】
【0049】
21:上部開口部、21a、21b:側壁、22:路面、23:横梁材
3:防音装置、31:多孔質吸音材
4:防音パネル、41:透光性吸音材、42:透光性遮音材、43:空気層、44:枠材
5:換気空間
s:太陽光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
堀割道路の上部開口部付近に設置される防音装置であって、複数の防音パネルを換気空間を介在させ、かつその換気空間を通じて太陽光が堀割内の道路面に直接に当らない位置関係に設置したことを特徴とする堀割道路の防音装置。
【請求項2】
堀割道路の上部開口部付近に設置される防音装置であって、透光性吸音材および透光性遮音材で構成された複数の防音パネルを、堀割道路を横架させて傾斜させた状態で並列させ、太陽光が堀割内の道路面に当たらないよう所定の間隔を設けて設置したことを特徴とする請求項1に記載の堀割道路の防音装置。
【請求項3】
概ね南北に延びる堀割道路において、前記防音パネルを北側方向に向けて上向きの傾斜を設けて配置した請求項2の堀割道路の防音装置。
【請求項4】
堀割道路の上部開口部付近に設置される防音装置であって、透光性吸音材及び透光性遮音材で構成された防音パネルを前記上部開口部の両側壁から内側に向けて延設し、一方の防音パネル先端部と他方の防音パネル先端部とが上下に離隔して設けられるよう配置したことを特徴とする請求項1に記載の堀割道路の防音装置。
【請求項5】
概ね東西に延びる堀割道路において、開口部南側壁から延設した防音パネル先端部が北側壁から延設した防音パネル先端部よりも上側になるように設置した請求項4に記載の堀割道路の防音装置。
【請求項6】
前記防音パネルの透光性吸音材が透光性の膜状材料と多孔板を積層した吸音材である請求項2〜5のいずれかに記載の堀割道路の防音装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−342514(P2006−342514A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−166790(P2005−166790)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】