説明

場アシスト型ガス蓄積材料およびガス溶解度の制御方法

【解決手段】 改善されたガス蓄積密度/溶解度及び改善されたガス移動度を有する場アシスト型ガス蓄積材料が説明される。いくつかの実施形態においては、ガス蓄積材料は、ガス蓄積空間を具備し、印加場の印加中に電気双極子を維持するのに十分なイオン特性を有する材料であり、印加場は、材料を導通状態にさせず、ガスは、材料中のガス蓄積空間の中に蓄積される。他の実施形態においては、ガス蓄積材料は、ガス蓄積空間を具備し、印加場の印加中に、磁気双極子を向上するのに十分な磁気特性を有する材料であり、ガスは、材料中のガス蓄積空間の中に蓄積される。実施形態において、ガスは、材料を通って拡散可能であり、界の印加により、(a)ガス溶解度;(b)ガス取り込み;(c)ガス排出;及び(d)ガス移動度のうちの少なくとも1つを制御できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、場アシスト型ガス蓄積材料に関する。特に、本発明は、場の印加により、ガス蓄積密度又はガス溶解度及びガス移動度、並びにガスの取り込み及び排出を全て制御できるような場アシスト型ガス蓄積材料に関する。更に特定すると、本発明は、場の印加により、水素密度又は水素溶解度及び水素移動度、並びに水素の取り込み及び排出を全て制御できるような場アシスト型水素蓄積材料、及びそのような水素蓄積材料を具備する燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池技術は、急速に成長しつつある工業分野であり、数多くの極めて大きな利点をもたらす可能性を秘めている。現在の燃料電池市場は、約2億1800万ドルであるが、その額は、2004年までに24億ドル、2009年までに70億ドルまで跳ね上がると見積もられている。首尾よく実現されれば、燃料電池技術は、特に、外国産化石燃料への依存を減らすことによって国内のエネルギー保全を改善し、空中汚染物質の放出を著しく減少することにより、空気の質を向上するという利点を提供すると予測される。
【0003】
燃料電池は、極めて効率よくエネルギーを変換でき、輸送及び固定の双方の用途に使用できる。輸送に適用される場合、燃料電池車両は、従来の内燃機関車両に代わる有望な手段である。燃料電池車両は、水素を燃料として使用し、水及びエネルギーのみを放出する。これに対し、従来の内燃機関車両は、ガソリン又はディーゼルなどの化石燃料を燃焼し、有害な微粒子及び温室効果ガスを大気中に放出する。
【0004】
燃料電池車両には、他にも多くの利点がある。燃料電池車両は、従来の車両と比較して、3倍又はそれを超えるエネルギー効率を有する。燃料電池車両は、供給される燃料のエネルギーのうちの40〜45%以上を動力に変換する。これに対し、従来の内燃機関車両は、供給される燃料のエネルギーのうちのわずか16%を動力に変換するにすぎない。更に、燃料電池車両は、非常に数少ない可動部品(すなわち、燃料及び冷却剤を供給するために必要とされるポンプ及び送風機のみ)を含む電動機によって動作する。そのため、燃料電池車両においては、車両の振動及び騒音は、大幅に低減され、定期的保守(すなわち、オイル交換、点火プラグ交換など)は、不要になる。
【0005】
燃料電池の動作は、電力が取り出されている間に再充電可能なバッテリと非常によく似ている。しかし、バッテリが、電気を使用して再充電されるのに対し、燃料電池は、水素を使用して再充電される。通常、水素燃料電池は、水素及び酸素の化学エネルギーを水に変換して、電気及び熱を発生することにより動作する。発生された電気及び熱は、燃料電池車両の車輪に動力を与える電動機に供給される。
【0006】
当該技術分野において、水素は、燃料電池車両の理想的な燃料であると考えられる。水素は、宇宙に最も豊富に存在する元素であり、地球上で3番目に豊富に存在する元素である。また、水素は、多数の再生可能エネルギーから取り出すことができ、燃料電池において燃料として消費されるときに、二酸化炭素などの温室効果ガスを発生せずに水のみを生成する。最終用途配給のために水素を蓄積する従来の手段は、(1)液体水素又は気体水素、(2)炭化水素燃料(すなわち、化石燃料)及び(3)固体材料(すなわち、金属水素化物)を含む。
【0007】
燃料電池におけるエネルギー源として、液体水素又は気体水素を使用することは理想的ではない。水素は、可燃性が高く、燃焼させる際には、空気に対する水素の濃度を低く抑える必要がある。更に、他の液体燃料と比べて、水素の搬送及び貯蔵は困難である。また、現在、水素を一般に配給するために利用できるインフラは、ごく限られている。
【0008】
燃料として、純粋な水素を使用することにより提示される欠点を回避するために、多くの燃料電池構造は、メタノール、天然ガス及び石油留出物などの炭化水素燃料又はアルコール燃料を使用することに重点を置く。しかし、そのような構造には、独自の欠点がある。例えば、炭化水素燃料を水素、二酸化炭素及び水に分解する改質装置が必要なことは1つの欠点である。そのような改質装置により生成される水素は純粋ではないため、燃料電池の効率が低下する。更に、炭化水素燃料を水素に変換するために改質装置を追加すると、燃料電池の総効率は、約30〜40%まで低下する可能性がある。炭化水素燃料を使用することの欠点は他にもあり、例えば、(1)改質装置を内蔵することにより、燃料電池システムが複雑になり、そのための費用及び保守が付加されること;(2)改質装置が二酸化炭素を燃料電池のアノードまで到達させてしまうと、電池の性能が徐々に低下すること;及び(3)改質装置が、温室効果ガス及び他の空気汚染物質を生成することなどを含む。
【0009】
水素燃料を化学的に貯蔵する水素蓄積材料は、燃料電池を広範囲にわたる適用可能な用途において、燃料電池用の水素の供給源として好都合であると考えられる。しかし、そのような材料で、十分な水素溶解度、蓄積密度及び移動度を実現することは困難であることが判明している。更に、燃料電池などの用途で、広い出力範囲にわたり、水素の取り込み及び放出の速度を制御することは、いまだに実現できていない。従って、他のガスからの選択的な水素分離、触媒作用、並びに車両用燃料電池、個人向け発電及び固定発電を含む多様な用途に対して、改善された水素蓄積材料が望まれる。
【0010】
過去30年ほどにわたる広範な研究活動は、固体金属水酸化物の形態で水素を貯蔵することに集中していた。金属水酸化物は、通常、金属及び合金が水素にさらされたときに、発熱を伴って生成される。水素の大半は、それらの金属及び/又は合金と反応し、新たな化合物を形成する。水素のごく一部は、発熱反応の中で原子水素に分解し、その後、金属格子中の間隙に侵入する。加熱、水酸化物の電界酸化、あるいは酸化物又は水との反応により、金属格子中の間隙から水素を回収し、使用できる。水素貯蔵のために金属水酸化物を使用することの利点の1つは、その他の蓄積媒体と比較して、金属水酸化物における水素蓄積の体積密度が相対的に高いことである。しかし、水酸化物からの水素の回収は、金属を再生することと同様に困難である。更に、金属によって、燃料電池システムの重量は、著しく増加する。
【0011】
周知の水素蓄積材料の例には、加熱時に水素を放出するFeTiH及びLaNiなどの金属水酸化物がある。FeTiHは、約1.9重量%の水素を含有し、LaNiは、約1.5重量%の水素を含有する。FeTiH及びLaNiは、許容できる回収温度を有するが、重量%単位の水素含有量は、車両用燃料電池として適用するには低すぎる。MgH及びTiHなどの他の金属水酸化物は、それぞれ、約7.6重量%と約4.0重量%という、先の2つの金属水酸化物より多い水素含有量を有するが、水素を回収するために、高温(すなわち、約100℃を超える温度)まで加熱されなければならない。ガス蓄積材料として金属水酸化物を使用することの他の欠点には、不均化反応、毒作用、使用に付随する容量の損失、及び蓄積合金のうちのいくつかの再生が必要であることなどがある。
【0012】
カーボンナノチューブは、使用可能であると思われるもう1つの水素蓄積材料であり、広範に研究されてきた。カーボンナノチューブは、五角形リングを含むキャップによって両端部が閉鎖された継ぎ目なしグラファイト円筒から構成されるフラレーン関連構造である。カーボンナノチューブ粉末は、充填が不効率になる傾向にあり、また、体積効率も劣る。更に、カーボンナノチューブの製造費用は高く、現在、事業用水素蓄積材料に適用するために必要とされる量のカーボンナノチューブを入手することは不可能である。
【0013】
他の周知の水素蓄積材料は、ゼオライトを含み、これは、多孔度の高い結晶質アルミノケイ酸塩である。しかし、ゼオライトの単位重量当たりの水素の質量を単位とするゼオライトの水素蓄積容量は、車両用燃料電池に適用するには不適切である。更に、ゼオライトからの水素の放出を開始するために、ゼオライトを加熱しなければならず、ゼオライトの大きな横断面における応答時間は、熱拡散により制限される。
【0014】
将来、経済的に水素を利用するためには、自動車への適用、電力配給用燃料電池への適用及び数多くの他の用途に合わせて、水素を貯蔵し、搬送するための効率のよい方法が必要である。先に説明した方法を含めて、水素貯蔵のためのいくつかの方法が提案されているが、現在、それらの材料又は方法は、いずれも、事業用として適用するのに必要とされる所望の水素溶解度及び水素蓄積密度、水素移動度及び/又は水素取り込み/放出能力を示していない。
【特許文献1】米国特許第4,965,578号公報
【特許文献2】米国特許第5,124,706号公報
【特許文献3】米国特許第5,371,501号公報
【特許文献4】米国特許第6,670,904号公報
【特許文献5】米国特許第6,720,812号公報
【特許文献6】米国特許第6,731,231号公報
【特許文献7】米国特許第6,798,864号公報
【特許文献8】米国特許第2004/0017494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、現在の水素蓄積材料の全ての欠点を持たない水素蓄積材料を提供することが望ましいであろう。
【0016】
水素蓄積材料について上述したが、更に、ガス蓄積材料には、他の様々なガスも蓄積でき、ガス分離、放出物質隔離及びガス流れの乾燥などの多種多様な目的のために、そのようなガス蓄積材料を利用できる。また、水素以外のガスを蓄積可能な改善されたガス蓄積材料も望まれる。
【0017】
従って、軽量、小型であり、相対的に安価であり、安全で、使用しやすいガス蓄積材料を提供することが望ましいであろう。更に、現在可能であるよりも高いガス溶解度(すなわち、高いガス蓄積密度)及び高いガス移動度を実現するガス蓄積材料を提供することが望ましいであろう。また、そのような材料は、ガスの導入/取り込み及び放出を適切に制御できるメカニズムを具備することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の課題及びその他の課題は、本発明の実施形態により解決される。ここで説明する実施形態において使用されるガス蓄積材料は、多種多様な材料組成及び種類を含み、軽量、小型であり、相対的に安価であり、安全で、使用しやすい。更に、本発明の実施形態は、従来のガス蓄積材料に要求される温度より低い温度で、ガス蓄積材料へのガスの蓄積及びガス蓄積材料からのガスの放出を、より効率よく制御できる。
【0019】
本発明の実施形態は、高いガス蓄積密度及び高いガス移動度を有するガス蓄積材料を具備する。それらのガス蓄積材料は、ガス蓄積空間を具備し、印加場の印加中、電気双極子を維持するのに十分なイオン特性を有する材料であって、印加場の印加は、材料を導通状態にさせないような材料と;材料中のガス蓄積空間の中に蓄積され、材料を通って拡散可能なガスとを具備してもよい。ここで言う印加場は、可能であれば応力場又はひずみ場と組み合わされた電界から成る。
【0020】
本発明の他の実施形態は、大容量ガス蓄積材料を具備する。それらのガス蓄積材料は、結晶構造を含み且つ印加場の印加中、電気双極子を維持するのに十分なイオン特性を有する材料であって、印加場の印加は、材料を導通状態にさせないような材料と;材料中に蓄積されるガスとを具備してもよく、結晶構造は、所定の量の蓄積ガスを保持できる双極子を含むように特別に人工処理された結晶構造であり、蓄積されたガスは、人工処理結晶構造と結合して、材料の自由エネルギーを減少し、それにより、材料の有効ガス溶解度を増加する。それらのガス蓄積材料は、ガス蓄積材料へのガスの取り込み及びガス蓄積材料からのガスの放出を制御するメカニズムを更に具備してもよい。このメカニズムは、印加場(すなわち、電界、応力場、ひずみ場及びそれらの組み合わせ)から成ってもよい。
【0021】
電界の印加を利用するガス蓄積材料は、誘電体材料、圧電材料、強誘電性材料、セラミック材料、非金属材料、ポリマー材料、半導体材料及び/又は他の何らかの適切な材料を含んでもよい。
【0022】
本発明の更に別の実施形態は、高いガス蓄積密度及び高いガス移動度を有するガス蓄積材料を具備する。それらのガス蓄積材料は、ガス蓄積空間を含み且つ印加場の印加中、磁気双極子を整列させるのに十分な磁気特性を有する材料と;材料中のガス蓄積空間の中に蓄積され、材料を通って拡散可能なガスとを具備してもよい。これらの実施形態における印加場は、磁界単独であってもよく、あるいは応力場及び/又はひずみ場と組み合わされた磁界であってもよい。これらのガス蓄積材料は、強磁性要素を含む磁性材料であってもよく、磁性材料は、固体材料、金属、セラミック、ポリマー及び/又は磁性材料と非磁性材料の複合材料に組み込まれる。
【0023】
本発明の更に別の実施形態は、高いガス蓄積密度及び高いガス移動度を有するガス蓄積材料を具備する。これらのガス蓄積材料は、(a)ガス蓄積空間、(b)印加電界の印加中、電気双極子を維持するのに十分なイオン特性及び(c)印加磁界の印加中、磁気双極子を向上できる十分な磁気特性を有する材料と;材料中のガス蓄積空間の中に蓄積され、材料を通って拡散可能なガスとを具備してもよく、印加電界及び印加磁界の印加により、(a)ガス蓄積材料のガス溶解度、(b)ガス蓄積材料へのガスの取り込み、(c)ガス蓄積材料からのガスの排出及び(d)ガス蓄積材料の中におけるガス移動度のうちの少なくとも1つを制御できる。
【0024】
本発明のガス蓄積材料においては、印加場の印加により、(a)ガス蓄積材料のガス溶解度、(b)ガス蓄積材料へのガスの取り込み、(c)ガス蓄積材料からのガスの排出及び(d)ガス蓄積材料の中におけるガス移動度のうちの1つ以上を制御できる。
【0025】
上述のガス蓄積材料のうちのいずれかの中に蓄積されるガスは、水素、永久双極子を有するガス(すなわち、二酸化炭素)、蓄積材料を通して分子搬送又は原子搬送が可能な分極可能ガス(すなわち、ゼオライト中の窒素)及び/又は他の何らかの適切なガスであってもよい。
【0026】
本発明の実施形態においては、利用可能なガス蓄積空間1つ当たりのガス分子の平均占有率は、約25%を超える。
【0027】
本発明のガス蓄積材料の中の拡散経路は、結晶粒界、多孔構造(すなわち、天然の多孔構造又は人工の多孔構造)、欠陥(すなわち、材料の結晶格子構造における転位、材料の結晶格子構造における平面欠陥、表面不純物、材料の結晶格子構造の段差など)、ガス蓄積材料に固有の構造及び/又はガス蓄積材料のバルクなどから成る。
【0028】
実施形態においては、例えば、(a)異原子価(aliovalent)のカチオンとアニオンとを置換することによって、材料の結晶構造を化学的に変化させる方法;(b)材料の部分格子の中に間隙が存在するように、材料の結晶格子構造中に欠陥を形成する方法;(c)材料の部分格子の中に空孔が存在するように、材料の結晶格子構造中に欠陥を形成する方法;(d)材料の中でガスを移動自在にするガス拡散経路を形成するように、材料の結晶格子構造を選択的に変化させる方法及び/又は(e)印加場などを介して、材料中に双極子を導入する方法などの数多くの方法により、ガス蓄積空間又はガス蓄積密度を、少なくとも部分的に形成してもよい。
【0029】
本発明の他の実施形態は、先に説明したガス蓄積材料を具備する燃料電池から成る。
【0030】
本発明のいくつかの好ましい形態を例示する添付の図面を参照して、以下の説明を読むうちに、本発明の他の特徴、面及び利点が、当業者には明らかになるであろう。図面全体を通して、同一の図中符号は、同一の部分を示す。
【0031】
様々な図を参照して、以下に、本発明のシステム及び方法を説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の理解を助ける目的で、図1〜図3に示される本発明のいくつかの実施形態及びそれらの実施形態を説明するために使用される特定の用語を参照する。ここで使用される用語は、説明の便宜上使用される言葉であり、本発明を限定しない。以下に開示される特定の構造及び機能の詳細は、本発明を限定するものとして解釈されてはならず、単に、様々な態様で本発明を採用することを当業者に教示するための典型的な基礎である特許請求の範囲の基本として解釈されるべきである。示される支持構造及びそれを製造する方法の変形又は変更、並びに、ここで示されるような本発明の原理をそのような別用途に適用した形態は、当業者には、通常、明らかであると思われるため、本発明の趣旨の範囲内に含まれると考えるべきである。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、図1〜図3に示されるガス蓄積システム8は、少なくとも1つのガス蓄積材料14と、ガス蓄積材料14のガス溶解度を制御するために、ガス蓄積材料14に印加される少なくとも1つの場10とを具備する。通常、ガス蓄積システム8の中に蓄積されるガスは水素であるが、必ず水素でなければならないということはない。水素は、イオン水素、分子水素、原子水素、ジュウテリウム、トリチウム、それらの何らかの組み合わせなどである。ガス蓄積システム8に蓄積できる他のガスは、一酸化炭素、酸素、二酸化炭素、窒素、メタン、窒素酸化物、硫黄酸化物及びそれらの組み合わせ、あるいは極性を有するか又は分極可能な何らかのガスを含む。
【0034】
一実施形態においては、ガス蓄積材料14は、誘電体である。ガス蓄積材料14が誘電体材料である場合、少なくとも1つの場10は、通常、電界(図1〜図3に示される)、応力場、ひずみ場又はそれらの組み合わせである。通常、ガス蓄積システム8は、温度制御手段及び圧力制御手段などの補足的な機能を具備する。いくつかの実施形態では、誘電体材料は、圧電材料、強誘電性材料、セラミック材料、非金属材料、有機材料又は半導体材料のうちの少なくとも1つである。圧電蓄積材料の場合、一実施形態は、チタン酸バリウムを含む。セラミックの場合、一実施形態は、Vを含む。有機材料の場合には、一実施形態は、フッ化ポリビニリデン(PVDF)又は微孔質金属‐有機立体網である。
【0035】
別の実施形態においては、ガス蓄積材料14は、磁性材料、例えば、強磁性材料、常磁性材料、反磁性材料又はフェリ磁性材料である。ガス蓄積材料14が磁性材料である場合、少なくとも1つの場10は、通常、磁界であり、磁界は、応力場、ひずみ場又は電界及びそれらの組み合わせなどの他の界と組み合わされてもよい。一実施形態においては、強磁性材料は、鉄、コバルト、マンガン、ニッケル及びそれらの組み合わせ、合金、並びにそれらの化合物のうちの少なくとも1つである。
【0036】
通常、本発明は、蓄積材料の単位質量当たり及び単位体積当たりの双方で、水素又は他のガスに対して使用可能なガス蓄積場所の密度が高いガス蓄積材料に関する。それらのガス蓄積場所の多くは、自然に存在するか、又は結晶構造への化学変化を経て形成される低エネルギー格子又は欠陥場所であるが、ガス蓄積場所は、材料の結晶構造への界誘起変化を経て形成される。そのような変化は、ガス移動度及びガス溶解度が向上したガス蓄積材料をもたらすと共に、結晶構造へのガスの導入及び結晶構造からのガスの放出を制御するためのゲーティングメカニズムを提供する。更に、それらの材料は、耐性に優れ、熱特性及び化学特性が安定し、相対的に安価に製造できる。ここで使用される用語「溶解度」は、「材料のバルク中、又は材料の表面、あるいはそれらの組み合わせの中に、ある量のガスを蓄積する容量」を意味する。
【0037】
ガス蓄積材料の結晶構造で、双極子が形成された結果として、結合場所が形成されることにより、ガス蓄積材料におけるガスの溶解度を増加できる。そのような材料においては、基本化合物の化学量を変化させることにより、双極子を形成又は向上できる。そのような変化は、例えば、アリオバレントなカチオンとアニオンとを化学的に置換するなど、多くの方法により実現できる。本発明によれば、材料中で、界(すなわち、応力場、ひずみ場及び/又は電界及び/又は磁界)を介して、双極子を形成又は向上してもよい。ガス蓄積材料におけるガスの溶解度は、材料の部分格子の中に間隙及び空孔が存在するように、材料の構造の中に結晶欠陥を形成することにより向上されてもよい。材料の結晶構造の選択的変化も、ガスに対して、更に容易な拡散経路を提供する。いくつかの基本化合物の構造の変化は、局所的な電子双極子又は磁気双極子を発生させ、それらの双極子は、ガスの付着場所を提供する。界により誘起された双極子及び界により向上された双極子は、ガス原子を分極し、ガス原子は、ガス蓄積システムの総自由エネルギーを減少するように、双極子に関して、自らの方向を定める。ガスの導入中、界が印加されている間、それらの双極子は、ガス原子を引き付け、保持する。その後、界が除去されると、双極子が存在しなくなるために、材料中のガスの有効溶解度は低下し、その結果、ガスは放出される。永久双極子により保持できるか、又は放出のために更に起動を必要とするような残留ガスを追い出すために、界の反転を採用できる。界の印加を制御することは、導入中のガスの取り込み及び需要サイクルの間のガスの放出を制御できる切り替えメカニズム又はゲーティングメカニズムとして機能する。
【0038】
金属及び金属水酸化物は、長い間、水素蓄積材料として使用されてきたが、本発明の材料は、水素又は他のガスを蓄積する材料として、より好ましいことが判明するであろう。本発明の材料は、ガス蓄積材料として使用された場合、向上したガス移動度及びガス溶解度を示す。例えば、多くのセラミックは、その構造の内部に、正電荷及び負電荷の中心を有するイオン結合を主に含むが、いくつかのセラミック(すなわち、Al、SiC)は、更に、指向性結合である共有結合を相当量有することがある。これに対し、金属は、金属結合(すなわち、基本的には大量の電子)を含み、金属水酸化物は、主に、共有結合を含み、幾分かの金属結合及びイオン結合も含む。主としてイオン結合又は共有結合である材料(すなわち、セラミック)は、その構造を再配列することにより、電界及び材料中に導入された他のイオンに対して反応し、それにより、材料を導通状態にさせることなく、材料の形状、物理的構造又は電子的構造を変化させる。不対電子を有する材料、特に、いくつかのd系列又はf系列の元素(すなわち、Fe、Co、Nd、Sm)は、磁界に応答して、内部磁気双極子を整列する。この応答は、金属結合、イオン結合又は共有結合を有する材料において観測される。
【0039】
換言すると、主にイオン特性を有する材料(すなわち、セラミック)は、ファンデルワールス結合(すなわち、双極子‐双極子間相互作用)の可能性を示すか、又は有する。そのような主にイオン特性を有する材料に外部から電界を印加することにより、本発明は、材料中の電気双極子を増大し、水素などのガスとのファンデルワールス状結合を促進する。ガスは、電界誘起双極子に対抗するために、分極する(すなわち、電子軌道をシフトする)ことにより応答し、それにより、システムの自由エネルギーを低下する。これに対し、金属のような導電性を有する材料は、その非束縛電子の運動により、印加電界を消散し、それにより、電気双極子の形成を妨げるため、この種の材料は、印加電界と組み合わせて使用するのに適さない。
【0040】
本発明の他の実施形態においては、ガス溶解度又はガス移動度を向上するために、電界ではなく、磁界を印加することが更に望ましいであろう。例えば、磁気特性を著しく多く有する材料に磁界を印加すると、その内部の永久磁気双極子が整列され、それにより、材料の中に蓄積されるガスの溶解度及び移動度が増加する。単一の不対電子と、単一の陽子とを有する水素は、磁界に対して理想的な形で応答する。
【0041】
本発明のガス蓄積材料におけるガスの取り込み及び放出を制御するために、界、例えば、電界、磁界、応力場及びひずみ場を使用することにより、現在、典型的な圧力起動型ガス蓄積材料又は温度起動型ガス蓄積材料で可能であるより、はるかに速い応答時間を実現できる。典型的な圧力起動型ガス蓄積材料又は温度起動型ガス蓄積材料は、圧力又は温度が加えられた時点から応答するまでに、遅延がある。更に、大半の金属水酸化物が、蓄積されているガスを排出するために必要とされる高温(>100℃)は、問題である。これとは対照的に、本発明のガス蓄積材料は、どのような温度であっても、界に対してほぼ瞬時に応答するため、例えば、車両用燃料電池への適用などの多様な用途に対して、理想的である。この場合、界は、(1)ガス蓄積材料中のガスの溶解度を増加するため、(2)材料の熱拡散率に依存するのではなく、材料の速い応答時間を利用するため、(3)界の強度に比例してガスの放出を抑制するため、及び(4)ガスの低温脱着を可能にするために使用されることが可能であろう。
【0042】
マイカ、ゼオライト及びバーミキュライト(ヒル石)などのケイ酸塩材料は、開放チャネル及び積層構造から構成されるので、水素又は他のガスは、それらの拡散が容易な経路に沿って内部へ急速に侵入できる。ゼオライトなどの材料においては、ガスは、例えば、Si、Al、Mg、Na、O及びFを含む多面体により定義されるケージ状結晶構造の中の蓄積場所に捕捉される。ゼオライトにおける多くのガス吸着は、先に説明したような内部電界により強力に制御される。それらの内部電界及びそれらを支持する構造は、結晶構造を化学的に適合させることにより修正されてもよい。更に、結晶の化学的操作により、ガス拡散経路の大きさを変化させること、蓄積ケージの大きさを変化させること、又は蓄積ケージの電子状態を変化させることが可能であり、それにより、材料は、界の印加がない場合でも、より多くのガスを受け入れて、保持し、材料を通して、そのガスをより急速に拡散できる。また、ガス蓄積容量及びガス放出能力を向上するために、そのような構造に、電界又は磁界などの界が印加されてもよい。
【0043】
ガス蓄積容量/ガス溶解度及びガス移動度を向上するために、化学的に変形する材料、又は界の印加を介して変形する材料として、強誘電性材料、強磁性材料、圧電材料及び誘電体材料は、特に理想的である。また、ガスの取り込み及び放出を制御するために界を使用する際にも、それらの材料は理想的である。圧電材料は、1種のセラミック材料であり、印加場(すなわち、応力場、ひずみ場又は電界)により、大きな内部双極子を誘起できる。圧電材料に応力又はひずみが加わると、その結果、正電荷及び負電荷の中心が分離し、界誘起双極子が形成される。この界誘起双極子は、水素などのガスを引き付ける働きをする。ガスは、分極し、ファンデルワールス状結合を形成するように、自らを配列するので、システムの自由エネルギーは減少し、界誘起双極子を相殺する。その正味効果は、圧電蓄積材料における水素溶解度の増加である。応力又はひずみの除去、反転又は減少により、双極子の強度が変化し、圧電蓄積材料の水素溶解度は、希望通りに変化する。これにより、水素の取り込み及び放出を制御するゲーティングメカニズムが成立する。
【0044】
界誘起双極子を形成するために、逆圧電効果が使用されてもよい。この場合、界は、応力場又はひずみ場ではなく、電界であってもよく、圧電材料に装着された電極を介して、圧電材料に電界を印加できるので、より好都合である。電界は、付随する誘起双極子と共に、圧電材料中に更に変位を発生させる。いくつかの材料においては、原子形態又は陽子形態の水素は、分子水素より高い移動度を有する。従って、この現象を利用するために、電界の印加中、電極として、分子水素を原子水素に分離するための周知の触媒材料(すなわち、Pd及びPt)が採用されてもよい。電界が印加されると、触媒電極により、分子水素は原子水素に解離し、電極中に溶解し、電極を通って蓄積材料へ搬送される。電界が印加されない場合であっても、材料を通して搬送するために、そのような触媒を使用して、より移動しやすい形態に分子水素を変換してもよい。
【0045】
多くのセラミックは、高い水素拡散速度を有すると知られていない。できる限り速く、ガスをガス蓄積材料の中へ移動させ、ガス蓄積材料から取り出すことは、ガス蓄積システムの動作には好都合であるので、ガス拡散速度を改善すること、又は材料のバルクを通る長い距離を経てガスを拡散させる必要なく、ガス蓄積材料に対してガスを導入・排出するための他の何らかの方法を得ることは有益であろう。ガス蓄積材料に対してガスを急速に導入・排出する方法の1つは、ガス蓄積材料におけるガス拡散率の高い経路を利用する方法である。そのような経路は、材料中に本来備わっているか、又は意図的に形成されてもよい。例えば、結晶粒界、欠陥構造及び転位は、自然に発生する水素拡散率の高い経路である。材料中に付加的なガス拡散率の高い経路を提供するために、材料の中に、多孔構造又は他の欠陥が人工的に形成されてもよい。材料中のガス溶解度を増加するための界誘起双極子及び材料中のガス移動度を増加するための高移動度拡散経路の双方を含む材料を利用することが理想的であろう。
【0046】
そこで、図1を参照すると、本発明の一実施形態において利用されるような、分子水素の解離及び原子水素としての分子水素の水素蓄積材料への蓄積を示した図が示される。この実施形態においては、ガス蓄積材料14を包囲する2つの電極12a、12bに、電界10が印加される。この場合、ガス蓄積材料14は、水素蓄積材料として示される。電極は、H(分子水素)をH(原子水素)に有効に分解する材料、例えば、プラチナ又はパラジウムから成るのが好ましい。この図の拡大部分に示されるように、電界が印加され、分子水素が原子水素に分解されると、原子水素16は分極し、蓄積材料中のアニオン18及びカチオン20と整列する。印加される電界、材料の組成及び材料の構造の相乗効果の結果、仮想双極子22が形成される。従って、電界の印加により、この水素蓄積材料の水素溶解度は向上し、それにより、電界の印加は、水素の取り込み及び放出を制御するゲーティングメカニズムとして作用することがわかる。
【0047】
次に、図2を参照すると、本発明の一実施形態において利用されるような、分子水素の解離及び陽子水素としての分子水素の水素蓄積材料への蓄積を示した図が示される。この実施形態においては、ガス蓄積材料14を包囲する2つの電極12a、12bの間に、電界10が印加される。この場合、ガス蓄積材料14は、水素蓄積材料として示される。電極は、印加される電界の助けを借りて、H(分子水素)をH(陽子水素)に有効に分解する材料、例えば、Pd又はPtから成るのが好ましい。この図の拡大部分に示されるように、電界が印加され、分子水素が陽子水素に分解されると、陽子水素17は、電界勾配に沿って材料中に拡散し、蓄積材料中のアニオン18及びカチオン20と整列する。印加される電界、材料の組成及び材料の構造の相乗効果の結果、仮想双極子22が形成される。水素の放出が必要になるまで、電子を外部コンデンサに蓄積できる。従って、電界の印加により、この水素蓄積材料の水素溶解度は向上し、それにより、電界の印加は、水素の取り込み及び放出を制御するゲーティングメカニズムとして作用することがわかる。
【0048】
次に図3を参照すると、本発明の一実施形態において利用されるような、分子水素の水素蓄積材料への蓄積を示した図が示される。この実施形態においては、ガス蓄積材料14を包囲する2つの電極12a、12bの間に、電界10が印加される。この場合、ガス蓄積材料14は、水素蓄積材料として示される。この実施形態においては、水素蓄積材料14の構造は、Hをそのままの形で受け入れるように、十分に開放されていなければならない。そのような蓄積材料として、ゼオライトは、適切に機能できる。この図の拡大部分に示されるように、電界が印加されると、分子水素は、双極子蓄積場所に突き当たるまで、ケージ16の集合体により形成された開いたゼオライト経路を通って拡散する。双極子蓄積場所は、基礎となるゼオライト材料に、本来、備わっていてもよく、化学変化により形成又は向上されてもよい。あるいは電界の印加により形成又は向上されてもよい。その後、分子水素は、双極子蓄積場所に応答して分極し、蓄積材料中のアニオン及びカチオンと整列する。様々な特定のケージの中の多数の場所は、水素蓄積のための場所として作用することがわかっている。従って、そのように電界を印加することにより、この水素蓄積材料の水素溶解度は向上し、それにより、電界の印加は、水素の取り込み及び放出を制御するゲーティングメカニズムとして作用することがわかる。
【0049】
水素蓄積材料に水素を蓄積するいくつかの異なる態様を説明したが、本発明は、任意の適切な材料に任意の適切なガスを蓄積することを意図する。従って、そのような全ての実施形態は、本発明の趣旨の範囲内に含まれることが意図される。
【0050】
先に説明したように、本発明のガス蓄積材料は、燃料電池及び燃料電池を具備する車両などの多様な用途に対して、高性能ガス蓄積材料を実現できる。本発明のガス蓄積材料は、事業用、工業用及び顧客向けの製品として、将来、極めて有望であるという利点を示す。これらの材料は、気相の蓄積に使用されてもよく、車両用燃料電池への適用に特に適する。他の数多くの利点も、当業者には明らかであろう。
【0051】
本発明が直面する様々な要求を満たすように、本発明の様々な実施形態を説明した。それらの実施形態は、単に、本発明の様々な実施形態の原理を例示するにすぎないことを認識すべきである。本発明の趣旨の範囲から逸脱しない実施形態の数多くの変形及び適応は、当業者には明らかであろう。本発明は、多種多様な最終用途に有用なガス蓄積材料から成る。例えば、車両用燃料電池に適用される水素蓄積材料を説明したが、本発明の水素蓄積材料は、個人用発電装置などの多様な他の用途において使用されることも可能であろう。更に、多くの実施形態において、水素の蓄積を説明したが、本発明のガス蓄積材料に、他の適切なガスも蓄積できるであろう。また、セラミック及び電界、並びに金属及び磁界を詳細に説明したが、本発明においては、任意の適切な材料と、任意の種類の適切な印加場を利用できるであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲内に入る全ての適切な変更及び変形、並びにそれらと等価の構成を含むことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態において利用されるような、分子水素の解離及び原子水素としての分子水素の水素蓄積材料への蓄積を示した図である。
【図2】本発明の実施形態において利用されるような、分子水素の解離及び陽子水素としての分子水素の水素蓄積材料への蓄積を示した図である。
【図3】本発明の実施形態において利用されるような、分子水素の水素蓄積材料への蓄積を示した図である。
【符号の説明】
【0053】
8…ガス蓄積システム、10…電界、12a、12b…電極、14…ガス蓄積材料、16…原子水素、17…陽子水素、18…アニオン、20…カチオン、22…仮想双極子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのガス蓄積材料を有するガス蓄積システムであって、
前記ガス蓄積材料のガス溶解度を制御するために、前記ガス蓄積材料に少なくとも1つの場を印加することを特徴とするガス蓄積システム。
【請求項2】
前記ガス蓄積材料は、誘電体であることを特徴とする請求項1記載のガス蓄積システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの場は電界であることを特徴とする請求項2記載のガス蓄積システム。
【請求項4】
前記ガスは、水素であることを特徴とする請求項1記載のガス蓄積システム。
【請求項5】
水素は、水素イオン、水素分子及び水素原子から選択された少なくとも1つであることを特徴とする請求項4記載のガス蓄積システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの場は、応力場、ひずみ場及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項2記載のガス蓄積システム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの場は、応力場、ひずみ場及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを更に含むことを特徴とする請求項3記載のガス蓄積システム。
【請求項8】
前記ガス蓄積システムの温度を制御する手段を更に含むことを特徴とする請求項3記載のガス蓄積システム。
【請求項9】
前記ガス蓄積システムの圧力を制御する手段を更に含むことを特徴とする請求項3記載のガス蓄積システム。
【請求項10】
前記誘電体は、圧電材料、強誘電性材料、セラミック材料、非金属材料、有機材料又は半導体材料のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項2記載のガス蓄積システム。
【請求項11】
前記ガス蓄積材料は、磁性材料であることを特徴とする請求項1記載のガス蓄積システム。
【請求項12】
前記場は磁場であることを特徴とする請求項11記載のガス蓄積システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの場は、応力場、ひずみ場、又は電界及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを更に含むことを特徴とする請求項12記載のガス蓄積システム。
【請求項14】
高いガス蓄積密度と高いガス移動度とを有するガス蓄積材料において、
ガス蓄積空間を有する材料であって、印加場の印加中には、電気双極子を維持するのに十分なイオン特性を有するも導通状態にならないような材料と;
前記材料中の前記ガス蓄積空間の中に蓄積されるガスとを備えたガス蓄積材料であって、
前記ガスは前記材料を通って拡散可能であり、前記印加場の印加により、
前記ガス蓄積材料のガス溶解度;
前記ガス蓄積材料へのガスの取り込み;
前記ガス蓄積材料からのガスの排出;及び
前記ガス蓄積材料内部におけるガス移動度
のうちの少なくとも1つを制御できることを特徴とするガス蓄積材料。
【請求項15】
前記材料は、誘電体材料、圧電材料、強誘電性材料、セラミック材料、非金属材料、ポリマー材料及び半導体材料のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項14記載のガス蓄積材料。
【請求項16】
前記ガスは、水素、永久双極子を有するガス、前記ガス蓄積材料を介した分子搬送又は原子搬送が可能な分極可能ガス、のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項14記載のガス蓄積材料。
【請求項17】
印加場は、電界、応力場及びひずみ場のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項14記載のガス蓄積材料。
【請求項18】
高いガス蓄積密度と高いガス移動度を有するガス蓄積材料において、
ガス蓄積空間を具備し、印加場の印加中に、磁気双極子を向上するのに十分な磁気特性を有する材料と;
前記材料中の前記ガス蓄積空間の中に蓄積されるガスとを備え、
前記ガスは、前記材料を通って拡散可能であり、前記印加場の印加により、
前記ガス蓄積材料のガス溶解度;
前記ガス蓄積材料へのガスの取り込み;
前記ガス蓄積材料からのガスの排出;及び
前記ガス蓄積材料内部におけるガス移動度
のうちの少なくとも1つを制御できるガス蓄積材料。
【請求項19】
前記印加場は、磁界、応力場、ひずみ場のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項18記載のガス蓄積材料。
【請求項20】
前記ガスは、水素であることを特徴とする請求項18記載のガス蓄積材料。
【請求項21】
ガス蓄積材料中のガスの溶解度を制御する方法において、
少なくとも1つのガス蓄積材料を提供することと;
前記少なくとも1つのガス蓄積材料に、少なくとも1つの場を印加することとから成る方法。
【請求項22】
ガスを蓄積するために、前記ガス蓄積材料にガスを供給することを更に含むことを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記ガスは、水素であることを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項24】
少なくとも1つのガス蓄積材料を提供することは、少なくとも1つの誘電体材料を含むことを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項25】
少なくとも1つの場を印加することは、応力場、ひずみ場、電界及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを印加することを含むことを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項26】
少なくとも1つのガス蓄積材料を提供することは、少なくとも1つの磁性材料を含むことを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1つの場を印加することは、少なくとも1つの磁界を印加することを含むことを特徴とする請求項26記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−513039(P2007−513039A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533555(P2006−533555)
【出願日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/017489
【国際公開番号】WO2004/110922
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】