説明

塔状構造物用部材

【課題】 アングル材等を採用した柱とブレースとが、接合部の強度低下を招くことなく、柱等のころび角度に応じてそれらの接合接触面を整合・一致させる。
【解決手段】 塔状構造物における柱等を構成する板状部材の1つの表面をブレース等の板状接合部材の表面に一致するように、複数枚の板状部材1、2で構成される柱等のその板状部材相互の角度θを当該柱等のころび角度に応じて、増減させたことにより、ころび角度に応じて増減させた板状部材相互の角度を有する柱等の板状部材の表面とブレース等の板状接合部材の表面とが隙間なく整合して接触することが可能となり、ボルト等で締結しても無理な力が作用することなく接合することができ、しかも、柱等の板状部材は最初から必要な角度で製作されているので、柱等の板状部材とブレース等の板状部材との接合部は、従来のように折曲や部分加工を施す必要がないため、製作上の省力化が図れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塔状構造物における2以上の傾斜した柱等の構造部材間をブレース等の板状接合部材にて連結する塔状構造物用部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アングル材の柱等から構成されるアングル鉄塔では、その柱部材はアングル材単体またはアングル材2本を組み立てた十字形断面部材から構成される。鉄塔の柱等は下部から上部まで鉛直に起立している訳ではなく、例えば、図5(A)および図6に示すように、4本の柱が塔心に対して所定角度を以って内側に倒れて四角錐状に構築される「ころび」と称される構造を有している。通常は「ころび」の角度は緩やかなので断面が90度のアングル材はそのまま使用していた。前記例えば4本の柱10がころびによって内側に倒れて四角錐状に構築され、これらの柱10に同様のアングル材からなるブレース20等を接合する場合には、前記90度のフランジ間角度を有する柱10を構成する2枚のフランジ同士の水平断面上の角度は、90度よりも鉄塔の内側に狭まっており、柱10のアングル材の板面とブレース20のアングル材の板面との接触面は、図5(A)のB−B平断面図である図6に示すように、一致・整合せずに密着しない状態が引き起こされる。当然これらの接触面は、ころびがなければ、隙間なく一致する。また、このような柱10のアングル材の板面とブレース20のアングル材の板面との接触面の不一致は、図5(B)に示すように、4本の柱が塔心に対して所定角度を以って外側に倒れて上方に開いた、言わば逆四角錐状に構築される「ひらいた状態のころび」を有する烏帽子型鉄塔の柱10の構造を有するものでも生じる。
【0003】
これらの柱のアングル材の板面とブレースのアングル材の板面との間にできた隙間は、下記非特許文献1である、平成10年10月発行、社団法人日本鉄塔協会編「送電用山形鋼鉄塔製作基準」に記載されている(第23頁)ように、2mm以下の軽度の場合には「取合い」として接合ボルトの締結によって馴染ませていた。しかしながら、「ころび」の角度が大きくなると、ガセットプレートに角度をつけたりする等の変形加工で対応していた。前記「送電用山形鋼鉄塔製作基準」では、鉄塔製作基準が細かく規定されており、2本のアングル材を組み合わせた十字形断面の部材を柱に採用することも記載されており、また、それらを構成する十字形断面の板状部材の接合方法および継ぎ手方法等が詳述されている。また、鉄塔の柱を構成する山形鋼を工夫することで三角形状構造体を容易に提供することができる下記特許文献1に記載されたものも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−57880号公報(要約書参照)
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】平成10年10月発行、社団法人日本鉄塔協会編「送電用山形鋼鉄塔製作基準」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に開示された頂角60度の山形鋼では、図7(A)に示すように、頂角60度の山形鋼101は、平板状の2辺がその側端部で60度で交わるように一体化されており、これらの山形鋼101を、図7(B)、(D)に示すように、3角形の各隅に配置し、互いに隣接する山形鋼101の側辺同士を、例えば平鋼102で連結することにより、構造的に安定した3本柱の鉄塔が提供される。また、鉄塔ばかりでなく、図7(E)に示すように、水平方向に配置した梁として利用することもできる。しかしながら、該特許文献1に記載されたものは、頂角60度の山形鋼を3角形の各隅に配置することで、所定の定まった形状の鉄塔が構築されるに過ぎないものであった。
【0007】
したがって、前述した非特許文献1および特許文献1に記載されたものでは、塔状構造物における柱部材の「ころび」に対応させて、ガセットプレートまたはブレースのアングル材の板面を柱部材におけるアングル材の板面と一致させて隙間を解消させることは想定されていなかった。したがって、例えば、地盤の劣悪な場所等においては、鉄塔柱脚間のひらきを大きくせざるを得ない一方で、鉄塔の高さは不変であるため、内側に傾斜する「ころび」角度が大きくなり、柱のアングル材にアングル材等によるブレースの板面を接合する場合には、両者の接触面を密着させるために、ガセットプレートの柱のアングル材との接合面を折り曲げる加工変形で対応させていた。あるいは、ブレースのアングル材との接合部のみを部分加工して対応させていた。しかしながら、ガセットプレート端部の折曲加工変形により、補強部材であるガセットプレートの強度低下を招いたり、ブレースのアングル材の部分加工によっても強度低下を招き易いものとなった。また、これらの変形加工は、接合場所毎に様々な形状や角度に仕上げなくてはならず、面倒な手間を要した。
【0008】
そこで、前述した非特許文献や特許文献に記載されたような、アングル材等を採用した柱とブレースとが、接合部の強度低下を招くことなく、柱等のころび角度に応じてそれらの接合接触面を整合・一致させることができ、かつ部分的な加工を要することのない塔状構造物用部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため本発明は、塔状構造物における2以上の柱等の構造部材間をブレース等の板状接合部材にて連結する塔状構造物用部材において、前記柱等を構成する板状部材の1つの表面をブレース等の板状接合部材の表面に一致するように、複数枚の板状部材で構成される柱等のその板状部材相互の角度を当該柱等のころび角度に応じて、増減させたことを特徴とする。また本発明は、前記複数枚の板状部材で構成される柱等が、3枚の板状部材から略十字形断面にて構成されたことを特徴とする。また本発明は、前記複数枚の板状部材で構成される柱等が、2枚の板状部材から略L字形断面にて構成されたことを特徴とする。また本発明は、前記複数枚の板状部材で構成される柱等が、1本の既製のアングル材をロールあるいはプレス加工等により板状部材相互の角度を増減させて構成されたことを特徴とする。また本発明は、前記複数枚の板状部材で構成される柱等が、2本の既製のアングル材を背中合せに接合して略十字断面に構成されたことを特徴とするもので、これらを課題解決のための手段とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、請求項1の構成要件である、塔状構造物における2以上の柱等の構造部材間をブレース等の板状接合部材にて連結する塔状構造物用部材において、前記柱等を構成する板状部材の1つの表面をブレース等の板状接合部材の表面に一致するように、複数枚の板状部材で構成される柱等のその板状部材相互の角度を当該柱等のころび角度に応じて、増減させたことにより、ころび角度に応じて増減させた板状部材相互の角度を有する柱等の構造部材の表面とブレース等の板状接合部材の表面とが隙間なく整合するため、ボルト等で締結しても無理な力が作用しないので、高い信頼性のもとに接合することができ、しかも、柱等を構成する板状部材とブレース等の板状接合部材のいずれもが折曲や部分加工を伴うことなく、最初からアングル材のフランジが必要な角度に製作されているので、平板状接合による高い強度が維持できる。
【0011】
また、請求項2の構成要件である、前記複数枚の板状部材で構成される柱等が、3枚の板状部材から略十字形断面にて構成された場合は、ころび角度に応じた板状部材が、1枚の主板状部材に対して安定して確実に2枚の副板状部材を所定の角度にて、隅肉程度の溶接にて簡便に精度良く組み立てることができる。しかも、長期使用に際しても、開断面であるが故に、腐食が外部から見えて保守・維持管理が容易である。
さらに、請求項3の構成要件である、前記複数枚の板状部材で構成される柱等が、2枚の板状部材から略L字形断面にて構成された場合は、前記略十字形断面のものと同様で、さらに少ない構成部材によって、平板同士の隅肉程度の溶接にて組み立てることができて、製作が容易で、必要最小限の板状部材から柱のアングル材を構成することができ、長期使用に際しても、開断面であるが故に、腐食が外部から見えて保守・維持管理が容易である。
【0012】
さらにまた、請求項4の構成要件である、前記複数枚の板状部材で構成される柱等が、1本の既製のアングル材をロールあるいはプレス加工等により板状部材相互の角度を増減させて構成された場合は、90度の板状部材間角度を有する既製のアングル材を用いて、ロールあるいはプレス加工等により板状部材(フランジ)間の角度が適切に調整され、安価で、簡便かつ容易に略L字形断面柱を得ることができる。
また、請求項5の構成要件である、前記複数枚の板状部材で構成される柱等が、2本の既製のアングル材を背中合せに接合して略十字形断面に構成された場合は、既製のアングル材の一対を組み合わせて溶接等を行えば、既製のアングル材を、ロールやプレス加工等により板状部材を変形させることなく、板状部材(フランジ)間の角度が適切に調整された略十字形断面柱を得ることができる。あるいは、既製のアングル材として、不等辺アングル材を用いることもでき、柱等の構造部材の設計自由度が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の構造用部材を用いて構築した鉄塔の要部正面図およびそのA−A平断面図ならびに柱の板状部材の要部拡大斜視図である。
【図2】本発明の構造用部材の第1実施例を示す平板を用いた略十字形断面柱の断面および正面図である。
【図3】本発明の構造用部材の第2実施例を示す平板を用いた略L字形断面柱の断面図である。
【図4】本発明の構造用部材の第3実施例を示す略L形断面を用いた略L字形断面柱および第4実施例を示す略十字形断面柱の各成形例を示す各断面図である。
【図5】鉄塔構造物における内側と外側への「ころび」の説明図である。
【図6】従来の既製のアングル材を柱に用いた場合の「ころび」によるブレースとの接合面における不整合を説明する図5(A)のB−B平断面図である。
【図7】従来の限定的な頂角を有する山形鋼を用いた構造物の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の塔状構造物用部材を実施するための好適な形態を図面に基づいて説明する。本発明の塔状構造物用部材は、図1に示すように、塔状構造物における2以上の柱10等を構成する板状部材1、2間をブレース20等の板状接合部材にて連結する塔状構造物用部材において、前記柱10等の板状部材1、2の1つの表面をブレース20等の板状接合部材の表面に一致するように、複数枚の板状部材1、2で構成される柱10等の板状部材1、2相互の角度θを当該柱10等のころび角度に応じて、増減させた(図1の実施例のものでは、ころびに応じて板状部材1、2相互の角度を増加させている)ことを特徴とする。
【0015】
図1は本発明の構造物用部材を用いて構築した鉄塔の要部正面図およびそのA−A平断面図ならびに柱の板状部材の要部拡大斜視図である。図示のものは、後述する図3や図4(A)に示した第2、第3実施例の略L字形断面柱を用いて所定のころび角度を以って構築された鉄塔である。図1(A)の鉄塔の適宜部位A−A断面にて見た平断面が図1(B)であるが、構築される鉄塔の柱10の所定のころび角度(柱10の外縁が、図1(B)における鉛直位置CからころんだD位置までの角度)に応じて、柱10における板状部材1、2間角度θを、予め90度+α(αは柱10における板状部材1、2間の角度θが水平断面上で90度になるように増加される角度分)とするものである。これによって、所定角度でのころびを有する柱10における板状部材1、2の表面は、鉄塔のいずれの高さ位置にても、接合されるべきブレース20の平板状の板状接合部材表面と平行となり、両者の接合接触面は整合・一致することになる。例えば、前記鉛直位置CからころんだD位置までのC点の垂直方向距離1000mm、C点の垂線上から面方向直角にD位置までの水平距離200mmのころび角度を有する柱の場合、増加すべき板状部材1、2間の角度α(=2β)=22.62度である(図1(D)参照。実線で示す柱10は、90度の板状部材間角度を有するものがころんだ状態の水平断面を表す)。
【実施例1】
【0016】
図2は本発明の構造物用部材の第1実施例を示す平板を用いた略十字形断面柱の断面および正面図である。本実施例では、鉄塔の柱10として、鋼をはじめとする金属材料からなる3枚の板状部材1、2、3から略十字形断面の柱10が構成される。長大の主板となる板状部材1に対してやや短い副板としての板状部材2、3を、柱10のころび角度に応じて所定の角度α(図示せず)を増加(あるいは減少)させた板状部材間角度θにて隅肉溶接、部分溶け込み溶接、完全溶接等により、断続溶接、あるいは連続溶接にて溶接される。接合されるブレース20との関連において、板状部材1、2、3の各部の寸法a、b、c(図2)は、適宜選定され、異なった長さが採用され得る。かくして、本実施例はもとより、他の実施例についても言えることであるが、ころび角度に応じた板状部材が、1枚の主板状部材に対して安定して確実に2枚の副板状部材を所定の角度にて、隅肉程度の溶接にて簡便に精度良く組み立てることができる。しかも、長期使用に際しても、開断面であるが故に、腐食が外部から見えて保守・維持管理が容易である。
【0017】
鉄塔の隅部を構成する柱10の数に関しては、2以上が採用される。つまり、2本の柱間にブレースが接合されるもの(この場合には、柱間に直交する方向に送電線が配設されるが、傾斜地等において設置面との関係で、2本の柱による鉄塔でもころび角度を設けざるを得ない場合が生じる)や、三角形鉄塔、四角形鉄塔、五角形鉄塔、六角形鉄塔・・・に採用される。その際の各形式の柱の板状部材間角度θは、柱3本以上では、それぞれ、60度±α、90度±α、108度±α、120度±αとなる。
【0018】
また、図2(B)に示すものは、前記複数枚の板状部材1、2、3等で構成される柱10等が、上部程断面寸法が小さく構成された場合で、通常、上部にいく程断面寸法が小さくなる塔状構造物に対応させて柱10等の板状部材も上部にいく程断面寸法を小さくできるので、塔状構造物における柱軸力に応じた合理的設計ができる。本実施例のものでは、図2(A)にて説明したような溶接方法により成形した十字形断面柱10について説明したが、上部にいく程断面寸法を小さくする柱10は、後述する各実施例のものによって成形された各柱10にも適用できることは言うまでもないことである。
【実施例2】
【0019】
図3は本発明の構造物用部材の第2実施例を示す平板を用いた略L字形断面柱の断面図である。本実施例のものでは、鉄塔の柱10として、鋼をはじめとする金属材料からなる2枚の板状部材1、2から略L字形断面柱10が構成される。柱10のころび角度に応じて所定の角度α(図示せず)を増加(あるいは減少)させた板状部材間角度θにて隅肉溶接、部分溶け込み溶接、完全溶接等により、断続溶接、あるいは連続溶接にて溶接される。接合されるブレース20との関連において、板状部材1、2の各部の寸法b、aは、適宜選定され、異なった長さが採用され得る。本実施例では、前記略十字形断面のものと同様に、平板同士の隅肉程度の溶接にて組み立てることができて、製作が容易で、必要最小限の板状部材から柱10を構成することができ、長期使用に際しても、開断面であるが故に、腐食が外部から見えて保守・維持管理が容易である。
【実施例3】
【0020】
図4(A)は本発明の構造物用部材の第3実施例を示す略L形断面柱の成形例を示す断面図である。本実施例のものは、前記第1および第2実施例のものと異なり、平板の組立材ではなく、例えば市販されている既製のアングル材(板状部材間角度が90度のもの)等を用いる。プレスにより成形したアングル材や市販の既製のアングル材(θは90度のまま)を基本材として、略L字形または略十字形断面柱を製作するものである。図4の図示の例はいずれもが、内側への「ころび」の場合を例示したが、外側への「ころび」の場合には板状部材間角度θを減少させることは当然である。図4(A)の例は、柱10のころび角度に応じて所定の角度αを増加させた板状部材1、2間角度θになるようにプレスあるいはロール加工によって成形したものである。プレス加工の場合は、所定の角度αを増加させた板状部材間角度θにプレスされるが、ロール加工に対応する場合は、加工中に、板状部材間角度θを調整することになる。
【実施例4】
【0021】
図4(B)(C)は本発明の構造物用部材の第4実施例の略十字形断面柱の各成形例を示す各断面図である。本実施例では、既製のアングル材の板状部材1、2の一対を背中合せにして溶接し、90度より大きい板状部材間角度θを得て略十字形断面柱を得るものである。図4(C)の例は、前記例のものと同様に、既製の不等辺アングル材の板状部材1、2の一対を、背中合せにして溶接して90度より大きい板状部材間角度θを得て略十字形断面柱を得るものであるが、本例では、接合されるブレース20が幅広のフランジに接合するように、不等辺アングル材の一対を用いて略十字形断面柱を得るものである。なお、図4(B)(C)にあって、外側への「ころび」に応じて柱10の90度より小さい板状部材間角度θ(90−α度)を得る場合には、θに合わせて既製の一対のアングル材間をすぼめて略十字形断面になるように組み合わせるだけでよいことは言うまでもないことである。
【0022】
また、図4(B)の例では、ロール加工で板状部材間角度θ’を90度より大きくまたは小さく形成した板状部材1、2の一対を背中合せにして溶接し、90度より小さいかまたは大きい板状部材間角度θを得て略十字形断面柱を得たり、図4(C)の例では、ロール加工で板状部材間角度θ’を90度より大きくまたは小さく形成した板状部材1、2の一対を、背中合せにして溶接して90度より小さいかまたは大きい板状部材間角度θを得て略十字形断面柱を得てもよい。内側へのまたは外側への「ころび」に応じて柱10の90度より大きいかまたは小さい板状部材間角度θ(90+α度または90−α度)を得る場合には、ロール加工により成形される板状部材間角度θ’は90度より小さくまたは大きくされることは言うまでもないことである。そのように構成する場合には、対向する板状部材間の角度を等しくできて、見栄えを向上させることができる。
【0023】
以上、本発明の実施例について説明してきたが、本発明の趣旨の範囲内で、鉄塔等の塔状構造物の形状(所定の「ころび角度」にて構成された錐状の塔状構造物、烏帽子状の塔状構造物、これらを組み合わせたもの、途中で「ころび角度」が変更するもの、さらには、無段階で「ころび角度」が変更するもの等を有する柱等を隅部に有するもの)、形式(2以上の柱等の数、すなわち塔状構造物の隅部に配設される柱等の数による三角形鉄塔、四角形鉄塔、五角形鉄塔、六角形鉄塔等)、柱等の板状部材とブレース等の板状接合部材との間の接合・連結形態(ボルト・ナット締結、溶接、リベット締結等)、3枚の平板状の板状部材あるいは2枚の平板状の板状部材から十字形断面柱あるいはL字形断面柱を構成する溶接成形方法(隅肉溶接、部分溶け込み溶接、完全溶接等、断続溶接、連続溶接等)、L形鋼のプレス成形方法あるいはL形鋼のロール成形方法、およびそれらロール成形されたL形鋼の略十字形断面柱への溶接成形方法(前述のものと同様な、隅肉溶接、部分溶け込み溶接、完全溶接等、断続溶接、連続溶接等)等については適宜選定できる。また、前記図4(B)(C)の実施例において、例えば、六角形またはそれ以上の鉄塔に適用する場合、一対の既製のアングル材の一辺同士をボルト等にて重合・接合して柱を構成できるように、前記一対のアングル材の各他辺をプレスあるいはロール成形して、それら他辺同士の間の角度(板状部材間角度120度+α=θ)を得るようにして溶接等の手間を省くこともできる。また、略L字形断面柱における板状部材間角度θを得るために、ヒンジ等により枢着された板状部材同士をターンバックル等により伸縮させて適切な板状部材間角度θを得るようにすることも本発明の範疇内にある。さらに、実施例に記載の諸元はあらゆる点で単なる例示に過ぎず限定的に解釈してはならない。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の塔状構造物用部材は、ブレース等が接合される塔状構造物における柱として、設計の要求に比較的自由な部材形状および寸法で対応することができ、ブレース接合部にも無理のない構造物用部材が提供される。また、鉄塔等の塔状構造物以外の構造物についても傾斜した柱等の構造物と補強板との接合部に適用が可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 平板状の板状部材
2 平板状の板状部材
3 平板状の板状部材
10 柱(十字形断面柱、L字形断面柱等)
20 ブレース
a 板の長さ(幅)寸法
b 板の長さ(幅)寸法
c 板の長さ(幅)寸法
θ 板状部材間角度
α、β 増加あるいは減少すべき角度
C−D ころび角度基準点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塔状構造物における2以上の柱等の構造部材間をブレース等の板状接合部材にて連結する塔状構造物用部材において、前記柱等を構成する板状部材の1つの表面をブレース等の板状接合部材の表面に一致するように、複数枚の板状部材で構成される柱等のその板状部材相互の角度を当該柱等のころび角度に応じて、増減させたことを特徴とする塔状構造物用部材。
【請求項2】
前記複数枚の板状部材で構成される柱等が、3枚の板状部材から略十字形断面にて構成されたことを特徴とする請求項1に記載の塔状構造物用部材。
【請求項3】
前記複数枚の板状部材で構成される柱等が、2枚の板状部材から略L字形断面にて構成されたことを特徴とする請求項1に記載の塔状構造物用部材。
【請求項4】
前記複数枚の板状部材で構成される柱等が、1本の既製のアングル材をロールあるいはプレス加工等により板状部材相互の角度を増減させて構成されたことを特徴とする請求項1に記載の塔状構造物用部材。
【請求項5】
前記複数枚の板状部材で構成される柱等が、2本の既製のアングル材を背中合せに接合して略十字断面に構成されたことを特徴とする請求項1に記載の塔状構造物用部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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