説明

塗布容器

【課題】被塗布面と塗布容器の接する角度が様々に変化しても、また、長期に使用しても、塗布液を被塗布面に安定して供給でき、且つ、広範囲に塗り延ばすことができる塗布容器を提供する。
【解決手段】容器本体と内キャップと塗布体と外キャップとを有する塗布容器であって、前記内キャップの上端部には、第1吐出口を有し、前記塗布体は、弾性のある球面状の上部を有していて、該上部で上端部の周りに複数の第2吐出口を有し、前記内キャップと前記塗布体の間には、塗布液を一時保持する、塗布液貯留空間を有し、前記第1吐出口は、前記塗布体を上方から押圧することによって開口する封止機構によって封止されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より塗布容器は、制汗剤、肩こり用消炎剤や窓ガラスの撥水剤、靴磨きクリームなどを塗布する道具兼容器として広く用いられている。また、修正ペンのように、紙などの被塗布面に押し付けて、塗布液を吐出し、押し付け状態をとめると塗布液の吐出が止まる構造のものがある。
【0003】
これは、吐出口に内側から柱状のノックピンがバネによって押し付けられて密封状態を作っており、一部飛び出している柱状のノックピンの先端を押し込むとこの柱状のノックピンと吐出口に隙間が開いて、その隙間から塗布液が吐出できる構造になっている。
【0004】
その塗布容器の被塗布面に接して塗布液を塗布する塗布体として、スポンジを用いるものや、回転自在に保持されたボールを用いるものがある。
【0005】
スポンジを用いるものとしては、塗布容器の口部にスポンジをつけて、使用に際し容器を傾けて塗布液をスポンジに吸収させて滲み出させ、スポンジで塗布液を所定の部位に塗布させる塗布容器が有った(特許文献1)。
【0006】
また、ボールを塗布体として用いるものとしては、容器と、塗布ボールを保持する保持筒を具えた中栓と、キャップとからなる塗布容器で、保持筒内周面下端部に、塗布ボール面と接合する上端面を有する突出リングを設け、該突出リングと、保持筒の内周面、塗布ボールとの間に液貯め部を形成させ、保持筒の内周面に溝を設け、保持筒上端を密封するようにした塗布容器が有った(特許文献2)。
【0007】
公知文献を以下に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平5−35727号公報
【特許文献2】特開2005−186997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のこれらの塗布容器は、逆さにして被塗布面に押し付けることで、塗布液を吐出することはできるが、その塗布液を薄く延ばして塗布することができなかったり、スポンジのような多孔質のものを使用すると、使っている間に目詰まりして使用できなくなってしまったりすることがあった。
【0010】
また、制汗剤のように、身体の皮膚面に薄く塗り延ばす動作を考えると、被塗布面と塗布容器の接する角度は様々に変化し、既存の塗布容器の構造では液が出ないとか、さらに広範囲に塗り延ばすことができないなど問題があった。
【0011】
本発明は、被塗布面と塗布容器の接する角度が様々に変化しても、また、長期に使用し
ても、塗布液を被塗布面に安定して供給でき、且つ、広範囲に塗り延ばすことができる塗布容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は係る課題に鑑みなされたものであり、請求項1の発明は、容器本体と内キャップと塗布体と外キャップとを有する塗布容器であって、前記内キャップの上端部には、第1吐出口を有し、前記塗布体は、弾性のある球面状の上部を有していて、該上部で上端部の周りに複数の第2吐出口を有し、前記内キャップと前記塗布体の間には、塗布液を一時保持する、塗布液貯留空間を有し、前記第1吐出口は、前記塗布体を上方から押圧することによって開口する封止機構によって封止されていることを特徴とする塗布容器である。
【0013】
本発明の塗布容器は、以上のような構成であって、内キャップと塗布体の間に、塗布液を一時保持する、塗布液貯留空間を有して、内キャップの第1吐出口に、塗布体を上方から押圧することによって開口する封止機構が設けられているので、塗布体を押圧して、塗布液貯留空間に塗布液を一時保持することができ、被塗布面と塗布容器の接する角度が様々に変化しても、また、長期に使用しても、塗布液を被塗布面に安定して供給でき、且つ、広範囲に塗り延ばすことができる。
【0014】
本発明の請求項2の発明は、前記外キャップは、内面に環状突起を有し、該外キャップを閉めたときに、前記環状突起が、前記第2吐出口を外側から塞ぐことを特徴とする請求項1に記載の塗布容器である。
【0015】
本発明はさらに、上記構成によって、塗布体の第2吐出口を外側から塞ぐことができるので、使用しないときに、塗布液がこぼれたり、蒸散したりすることがない。
【0016】
本発明の請求項3の発明は、前記封止機構が、前記弾性体によって封止ピンが押し上げられ、該封止ピンが前記第1吐出口を内側から封止する機構であることを特徴とする請求項1または2に記載の塗布容器である。
【0017】
本発明はさらに、封止機構が、前記弾性体によって封止ピンが押し上げられ、該封止ピンが前記第1吐出口を内側から封止する機構であるので、簡単な構造で確実に、第1吐出口を封止することができ、塗布液を吐出するときは、容易に第1吐出口を開くことができる。
【0018】
本発明の請求項4の発明は、前記封止機構が、前記塗布体の上端部内面より下方に、前記第1吐出口を通って、一体として設けられ、柱状ピンの先端の膨らみ部が、前記第1吐出口を内側から封止する機構であることを特徴とする請求項1または2に記載の塗布容器である。
【0019】
本発明はまた、封止機構が、前記塗布体の上端部内面より下方に一体として設けられた柱状ピンの先端の膨らみ部が、前記第1吐出口を内側から封止する機構であるので、簡単な構造で確実に、第1吐出口を封止することができ、塗布液を吐出するときは、容易に第1吐出口を開くことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の塗布容器は、以上のような構成からなっているので、被塗布面と塗布容器の接する角度が様々に変化しても、また、長期に使用しても、塗布液を被塗布面に安定して供給でき、且つ、広範囲に塗り延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の塗布容器の一例の一部を残して切断した状態を模式的に示した説明図である。
【図2】本発明の塗布容器の一例の封止機構を模式的に示した正面図である。
【図3】本発明の塗布容器の一例の塗布体を模式的に示した斜視図である。
【図4】本発明の塗布容器の他の例を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下本発明を実施するための形態につき説明する。図1は、本発明の塗布容器の一例の一部を残して切断した状態を模式的に示した説明図、図2は、本発明の塗布容器の一例の封止機構を模式的に示した正面図、図3は、本発明の塗布容器の一例の塗布体を模式的に示した斜視図である。
【0023】
本例の塗布容器1は、容器本体2と内キャップ3と塗布体4と外キャップ5とを有する。そして、内キャップ3の上端部には、第1吐出口6を有し、前記塗布体4は、弾性のある素材からなり、球面状の上部を有していて、該上部で上端部の周りに複数の第2吐出口7を有し、前記内キャップ3と前記塗布体4の間には、塗布液を一時保持する、塗布液貯留空間8を有する。
【0024】
前記第1吐出口6は、封止機構の弾性体9により下方から押し付けられた、柱状ノックピンからなる封止ピン10で、内側から封止されている。そして、前記塗布体4を上方から押圧することによって封止していた封止ピン10を押し下げ、第1吐出口6が開口される。
【0025】
容器本体2は、プラスチックでも良いし、ガラスは、金属でできていても良い。容器本体2の開口部には内キャップ3が取り付けられている。内キャップ3は、プラスチック素材であることが好ましいが、金属でできていてもかまわない。内キャップ3の上端部には、第1吐出口6が開けられていて、容器本体2の中の塗布液を内キャップ3と塗布体4の間の塗布液貯留空間8に吐出できるようになっている。
【0026】
内キャップ3の内部は中空となっていて、そして、中空部分にある弾性体9が柱状ノックピンからなる封止ピン10を押し上げて、第1吐出口6を内側から封止できるようになっている。
【0027】
弾性体9は螺旋状のプラスチックからなっていて、上下に押圧などによって伸び縮みするようになっている。また、封止ピン10は弾性体9の上端に設けられ、同じくプラスチックでなっている。
【0028】
そして、弾性体9の下端は、内キャップ3の下部に固定されている。これにより、柱状ノックピンからなる封止ピン10は弾性体9によって、第1吐出口6に差し込まれ、第1吐出口6を内側から封止していて、塗布容器1を逆さにして、塗布体4を押すことによって、封止ピン10が押されて、第1吐出口6との接触がはなれ、隙間が生じて開口され、塗布液が第1吐出口6より吐出され、塗布液貯留空間8に溜まる。押すのをやめると、封止ピン10が戻り、第1吐出口6に差し込まれ、第1吐出口6が内側から封止される。
【0029】
内キャップ3の上部には、塗布体4が液密に取り付けられている。本例では、内キャップ3を、塗布体4が覆うように取り付けられている。そして、塗布体4の下端部と内キャップ3と容器本体2の先端部が固定するように押さえられている。
【0030】
塗布体4の上部には、複数の第2吐出口7が、上端部を取り巻くようにその周りに開けられている。第2吐出口7の形状は、丸孔であることが、スムーズな塗布ができることか
ら好ましいが、これに限られることではない。
【0031】
塗布体4は、押されるとへこむ必要があり、ゴム弾性を有するエラストマーからなることが好ましい。孔の大きさは、丸孔の場合は直径が、1mm以上、3mm以下であることが好ましいが、塗布する塗布液の量と塗布液の粘性によって、調整すればよい。
【0032】
外キャップ5は、容器本体2と嵌合あるいは螺合して、閉めたときに、しっかり所定の位置までかぶさるようになっていて、外キャップ5の上部内面に設けられた環状突起11が塗布体4に開けられた第2吐出口7を外側から塞ぐようになっている。外キャップ5もプラスチックあるいは金属でできていることが好ましい。
【0033】
この塗布容器1を使うには、外キャップ5を外して、逆さにして、塗布体4の上端部を押して、容器本体2の中の塗布液を第1吐出口6を通して、塗布液貯留空間8に溜め、塗布面に塗布体4を押し付けて圧迫すると塗布液貯留空間8に溜まっていた塗布液が、第2吐出口7から塗布体4の外表面に出て、塗布面に塗布することが出きる。
【0034】
塗布容器1を仕舞うときは、外キャップ5を容器本体2に嵌合あるいは螺合させてはめる。これによって、第2吐出口7は環状突起11によって外側から塞がれる。また、第1吐出口6も、押圧されていないので、柱状ノックピンからなる封止ピン10で第1吐出口6が内側から封止されている。このように、第1吐出口6と第2吐出口7が閉まっているので、塗布液が漏れたり、蒸散したりすることがない。
【0035】
図4は、本発明の塗布容器の他の例を模式的に示した断面図である。
本例の塗布容器100も前述の塗布容器1と同様に、容器本体2と内キャップ3と塗布体4と外キャップ5とを有する。そして、内キャップ3の上端部には、第1吐出口6を有し、前記塗布体4は、弾性のある素材からなり、球面状の上部を有していて、該上部で上端部の周りに複数の第2吐出口7を有し、前記内キャップ3と前記塗布体4の間には、塗布液を一時保持する、塗布液貯留空間8を有する。
【0036】
本例の塗布容器100の封止機構では、第1吐出口6は、塗布体4の上端部内面より下方に一体として設けられた柱状ピン12が通っており、柱状ピン12の先端の膨らみ部13が、前記第1吐出口6を内側から封止している。そして、前記塗布体4を上方から押圧することによって、封止していた膨らみ部13を押し下げ、第1吐出口6が開口される。
【0037】
容器本体2は、プラスチックでも良いし、ガラスは、金属でできていても良い。容器本体2の開口部には内キャップ3が取り付けられている。内キャップ3は、プラスチック素材であることが好ましいが、金属でできていてもかまわない。
【0038】
内キャップ3の上端部には、第1吐出口6が開けられている。内キャップ3の内部は中空で、容器本体2内部とから、第1吐出口6まで連通していている。そして、容器本体2の中の塗布液を内キャップ3と塗布体4の間の塗布液貯留空間8に吐出できるようになっている。
【0039】
内キャップ3の上部には、塗布体4が液密に取り付けられている。本例では、内キャップ3を、塗布体4が覆うように取り付けられている。そして、塗布体4の下端部と内キャップ3と容器本体2の先端部とを一体となるように固定し、押さえられている。
【0040】
本例の塗布体4も図3と同形状である。すなわち、塗布体4の上部には、複数の第2吐出口7が、上端部を取り巻くようにその周りに開けられている。第2吐出口7の形状は、丸孔であることが、スムーズな塗布ができることから好ましいが、これに限られることで
はない。
【0041】
塗布体4は、押されるとへこむ必要があり、ゴム弾性を有するエラストマーからなることが好ましい。第2吐出口7の孔の大きさは、丸孔の場合は直径が、1mm以上、3mm以下であることが好ましいが、塗布する塗布液の量と塗布液の粘性によって、調整すればよい。
【0042】
外キャップ5は、容器本体2と嵌合あるいは螺合して、閉めたときに、しっかり所定の位置までかぶさるようになっていて、外キャップ5の上部内面に設けられた環状突起11が塗布体4に開けられた第2吐出口7を外側から塞ぐようになっている。外キャップ5もプラスチックあるいは金属でできていることが好ましい。
【0043】
この塗布容器100を使うには、外キャップ5を外して、逆さにして、塗布体4の上端部を押して、容器本体2の中の塗布液を、第1吐出口6を通して塗布液貯留空間8に溜める。そして、塗布面に塗布体4を押し付けて圧迫すると塗布液貯留空間8に溜まっていた塗布液が、第2吐出口7から塗布体4の外表面に出て、塗布液を塗布面に塗布することが出きる。
【0044】
塗布容器1を仕舞うときは、外キャップ5を容器本体2に嵌合あるいは螺合させてはめる。これによって、第2吐出口7は環状突起11によって外側から塞がれる。また、第1吐出口6も、押圧されていないので、柱状ピン12の先端の膨らみ部13が内側より、第1吐出口6を封止している。このように、第1吐出口6と第2吐出口7が閉まっているので、塗布液が漏れたり、蒸散したりすることがない。
【符号の説明】
【0045】
1、100・・・塗布容器
2・・・容器本体
3・・・内キャップ
4・・・塗布体
5・・・外キャップ
6・・・第1吐出口
7・・・第2吐出口
8・・・塗布液貯留空間
9・・・弾性体
10・・・封止ピン
11・・・環状突起
12・・・柱状ピン
13・・・膨らみ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と内キャップと塗布体と外キャップとを有する塗布容器であって、
前記内キャップの上端部には、第1吐出口を有し、
前記塗布体は、弾性のある球面状の上部を有していて、該上部で上端部の周りに複数の第2吐出口を有し、
前記内キャップと前記塗布体の間には、塗布液を一時保持する、塗布液貯留空間を有し、前記第1吐出口は、前記塗布体を上方から押圧することによって開口する封止機構によって封止されていることを特徴とする塗布容器。
【請求項2】
前記外キャップは、内面に環状突起を有し、該外キャップを閉めたときに、前記環状突起が、前記第2吐出口を外側から塞ぐことを特徴とする請求項1に記載の塗布容器。
【請求項3】
前記封止機構が、前記弾性体によって封止ピンが押し上げられ、該封止ピンが前記第1吐出口を内側から封止する機構であることを特徴とする請求項1または2に記載の塗布容器。
【請求項4】
前記封止機構が、前記塗布体の上端部内面より下方に、前記第1吐出口を通って、一体として設けられ、柱状ピンの先端の膨らみ部が、前記第1吐出口を内側から封止する機構であることを特徴とする請求項1または2に記載の塗布容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−12056(P2012−12056A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148944(P2010−148944)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】