説明

塗布装置および塗布方法

【課題】基板上に塗布液を塗布することで所望の構造物を形成する塗布装置および塗布方法において、簡単な装置構成で、優れたスループットおよびパターン自由度を得る。
【解決手段】Y方向に配列された複数の吐出口52bを有する吐出ノズル52を、X方向、Y方向に交互に移動させる。このとき、Y方向への移動量Lyを、吐出口52b間の間隔Dy以上とすることによって、隣接する吐出口により描画されるパターンが互いに接触するようにする。X方向への1回の走査移動が終了した時点で、基板上には格子状パターンが完成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板表面に隔壁や配線などを形成するべく塗布液を塗布する装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイや太陽電池などの電子デバイスを製造する工程においては、平板状の基板表面に配線や隔壁などの構造物を形成する必要がある。このような構造物を形成する技術としては、構造物の材料を含む塗布液をノズルから吐出させながら、基板に対しノズルを相対移動させる、いわゆるノズルスキャン法を用いたものがある。ここで、形成すべき構造物が単純なストライプ状である場合には、基板に対しノズルを一方向に走査移動させれば目的は達成される。しかしながら、一般的には、基板表面に二次元的なパターンを有する構造物を形成することが必要となる場合が多い。
【0003】
このような場合に対応すべく、本願出願人が先に開示した特許文献1に記載の技術では、ガラス基板上に隔壁材料を塗布してプラズマ表示装置用のパネルを製造する技術において、隔壁材料を含む塗布液を吐出するノズルを基板に対しその進行方向と直交する方向に往復動させながら相対移動させることで隔壁材料による波状の繰り返しパターンを形成し、次いでその隣に位相が180度異なる波状パターンを形成することで、擬似的に網目状の二次元パターンを基板上に形成している。あるいは、第1の位相の波状パターンを形成する第1吐出部と、これとは逆位相の波状パターンを形成する第2吐出部とを設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−187694号公報(例えば、図11、図14)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術は、2回のノズル走査移動、または2組のノズルを必要とし、処理のスループットおよび装置コストの点で改良の余地が残されている。また、波状パターンの組み合わせであるため、形成可能なパターンの自由度が限られるという問題もある。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、基板上に塗布液を塗布することで所望の構造物を形成する塗布装置および塗布方法において、装置構成が簡単で、優れたスループットおよびパターン自由度を得ることのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明にかかる塗布装置は、上記目的を達成するため、基板を保持する基板保持部と、前記基板保持部に保持された前記基板表面に対し塗布液を吐出する複数の吐出口を、所定の配列方向に沿って列状に配列した吐出ノズル部と、前記基板に対し前記吐出ノズル部を前記配列方向と異なる第1走査方向に相対移動させるとともに、前記基板に対し相対的に、前記吐出ノズル部を前記第1走査方向と異なる第2走査方向に往復動させる移動機構と、前記移動機構を制御し、前記基板に対し前記吐出ノズル部を前記第2走査方向に往復動させながら前記第1走査方向に走査させることで、互いに隣接する2つの前記吐出口から吐出される塗布液を少なくとも一部で互いに接触させる制御手段とを備えることを特徴としている。
【0008】
なお、以下の説明においては、吐出口から塗布液を吐出させながら吐出ノズル部を基板表面に対し相対移動させることで基板表面にライン状に塗布液を塗布することを「描画」と称することがある。
【0009】
このように構成された発明では、複数の吐出口を有する吐出ノズル部を吐出口の配列方向とは異なる第1走査方向に移動させることで、塗布液による複数のライン状パターンを描画することができる。併せて、吐出ノズル部を第1走査方向とは異なる第2走査方向に往復動させることによって、1つの吐出口によって描画されるライン状パターンが互いに隣接する吐出口により描画されるライン状パターンに接触するようにする。このような構成によれば、複数の吐出口を列状に配した1組の吐出ノズル部による1回の走査移動によって、例えば格子状あるいは網目状などの二次元パターンで塗布液を塗布することができる。このため、装置構成が簡単で、しかも優れたスループットで塗布作業を行うことのできる塗布装置を構成することができる。また、第1走査方向への移動量および往復動の移動量の組み合わせによって種々のパターンを形成することが可能であり、パターン形成の自由度にも優れる。
【0010】
具体的には、例えば、前記基板に対する前記吐出ノズル部の前記第1走査方向への相対移動と、前記基板に対する前記吐出ノズル部の前記第2走査方向への相対移動とを交互に繰り返して実行するようにしてもよい。このようにすると、第1走査方向に沿って伸びるライン状パターンと、第2走査方向に沿って伸びるライン状パターンとが互いに交わってなる格子状あるいは網目状のパターンを描画することができる。
【0011】
また、前記第2走査方向が前記配列方向と一致する方向であり、前記制御手段は、前記第2走査方向における前記基板に対する前記吐出ノズル部の移動量が、互いに隣接する2つの前記吐出口から吐出される塗布液により前記基板表面に形成されるライン状パターン間の間隔以上となるように、前記移動機構を制御するようにしてもよい。吐出口の配列方向と同じ方向である第2走査方向に吐出ノズル部を往復動させ、しかもその移動量を、互いに隣接する2つの吐出口により描画されるライン状パターン間の間隔以上とすることにより、隣接する2つの吐出口により描画されるライン状パターン同士を確実に接触させることができ、格子状の二次元パターンを描画することができる。
【0012】
特に、前記第2走査方向における前記基板に対する前記吐出ノズル部の移動量が前記ライン状パターンの間隔と等しくなるようにすると、2つの吐出口によって描画されるライン状パターン同士が確実に接触しながらも、一方によって描画されたライン状パターンの上に他方によって描画されるライン状パターンが重なることは防止されているので、ラインの交わりに起因するパターン表面の高さの変動を抑えることができる。
【0013】
一方、前記第2走査方向における前記基板に対する前記吐出ノズル部の移動量が、前記配列方向における前記吐出口の配列ピッチと等しくなるようにする、つまり、吐出ノズル部が吐出口の配列ピッチ分だけ第2走査方向へ移動するようにしてもよい。このようにすると、第2走査方向への移動の前後で、互いに隣接する吐出口によりそれぞれ描画される第1走査方向のライン状パターンが一直線となる。第2走査方向を吐出口の配列方向と一致させることにより、各吐出口により第2走査方向に描画されるラインはもともと一直線状であるので、結局、第1走査方向および第2走査方向にそれぞれ沿った直線を互いに交差させたのと全く同等の二次元パターンを形成することが可能となる。
【0014】
また、前記第1走査方向を前記配列方向に直交する方向とすると、互いに直交する直線を交差させた形態の格子状パターンを形成することができる。このような格子状パターンは、例えばプラズマ表示装置の隔壁として好適なものである。
【0015】
ここで、前記吐出口それぞれの開口形状が、前記第1走査方向に扁平であるようにしてもよい。こうすることで、第1走査方向に沿って伸びるライン状パターンに対して、第2走査方向に沿って伸びるライン状パターンがより太い二次元パターンを形成することができる。このようなパターンは、例えば太陽電池パネルのフィンガー電極およびバス電極として好適なものである。
【0016】
また、前記複数の吐出口の少なくとも一部に、当該吐出口からの前記塗布液の吐出をオンオフする開閉手段をさらに備えるようにしてもよい。例えば、最外側に位置する吐出口については、より外側に位置する吐出口によって描画されるパターンとの交わりが期待できないので、最外側部では格子状のパターンを不完全にしか形成することができない。そこで、実用にならないパターンの形成を省くため、開閉弁を設けて無用な塗布液の吐出を止めるようにしてもよい。
【0017】
また、この発明にかかる塗布方法は、吐出ノズル部に列状に配列した複数の吐出口から塗布液を吐出させながら前記吐出ノズル部を基板表面に対し相対移動させることにより、前記基板表面に塗布液を塗布する塗布方法であって、上記目的を達成するため、前記基板に対し前記吐出ノズル部を前記吐出口の配列方向と異なる第1走査方向に相対移動させるとともに、前記基板に対し相対的に、前記吐出ノズル部を前記第1走査方向と異なる第2走査方向に往復動させて、互いに隣接する2つの前記吐出口から吐出される塗布液を少なくとも一部で互いに接触させることを特徴としている。
【0018】
また、この塗布方法において、前記基板に対し前記吐出ノズル部を前記第1走査方向に相対移動させる第1走査工程と、前記基板に対し前記吐出ノズル部を前記第2走査方向に相対移動させる第2走査工程とを繰り返して実行し、しかも、前記第2走査工程では、前記第2走査方向を前記配列方向と一致する方向とし、該第2走査方向における前記基板に対する前記吐出ノズル部の移動量が、該第2走査方向における前記基板に対する前記吐出ノズル部の移動量が、互いに隣接する2つの前記吐出口から吐出される塗布液により前記基板表面に形成されるライン状パターン間の間隔以上となるようにしてもよい。
【0019】
これらの塗布方法によれば、上記した塗布装置の発明と同様に、簡単な装置構成で、優れたスループットおよびパターン自由度で塗布液を塗布することができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明にかかる塗布装置および塗布方法によれば、列状に配列した複数の吐出口から塗布液を吐出させ、これらを第1走査方向に走査移動させるとともに第2走査方向に往復動させて、隣接するする吐出口から吐出された塗布液の一部が接触するようにしている。このため、複数の吐出口を列状に配した1組の吐出ノズル部による1回の走査移動によって、例えば格子状あるいは網目状などの二次元パターンで塗布液を塗布することができ、簡単な装置構成で、優れたスループットおよびパターン自由度で塗布液を塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態にかかる塗布装置の概略構成を示す図である。
【図2】吐出ノズルの内部構造を示す図である。
【図3】本実施形態の塗布装置により形成可能な構造物の第1の例を示す図である。
【図4】格子状パターンの形成原理を模式的に示す図である。
【図5】格子状パターンを描画する際の2つの描画方法を示す図である。
【図6】格子状パターンの描画処理を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態の塗布装置により形成可能な構造物の第2の例を示す図である。
【図8】集電電極の形成原理を模式的に示す図である。
【図9】集電電極の描画処理を示すフローチャートである。
【図10】厚みの均一なバス電極を形成する方法の例を示す図である。
【図11】吐出口の形状の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は本発明の一実施形態にかかる塗布装置の概略構成を示す図である。この塗布装置1は、基板W表面に塗布液を塗布することにより、所定のパターンを有する隔壁、配線などの構造物を形成するための装置である。この塗布装置1は、例えばプラズマ表示装置用のガラス基板の表面に隔壁を形成したり、光電変換デバイスの光入射面に集電電極を形成する等の用途に好適に使用することができる。
【0023】
この塗布装置1では、基台11上にステージ移動機構2が設けられ、基板Wを保持するステージ3がステージ移動機構2により図1に示すX−Y平面内で移動可能となっている。基台11にはステージ3を跨ぐようにしてフレーム12が固定され、フレーム12にはヘッド部5が取り付けられる。
【0024】
ステージ移動機構2は、下段からステージ3をX方向に移動させるX方向移動機構21、Y方向に移動させるY方向移動機構22、および、Z方向を向く軸を中心に回転させるθ回転機構23を有する。X方向移動機構21は、モータ211にボールねじ212が接続され、さらに、Y方向移動機構22に固定されたナット213がボールねじ212に取り付けられた構造となっている。ボールねじ212の上方にはガイドレール214が固定され、モータ211が回転すると、ナット213とともにY方向移動機構22がガイドレール214に沿ってX方向に滑らかに移動する。
【0025】
Y方向移動機構22もモータ221、ボールねじ機構およびガイドレール224を有し、モータ221が回転するとボールねじ機構によりθ回転機構23がガイドレール224に沿ってY方向に移動する。θ回転機構23はモータ231によりステージ3をZ方向を向く軸を中心に回転させる。以上の構成により、ヘッド部5の基板Wに対する相対的な移動方向および向きが変更可能とされる。
【0026】
ヘッド部5は、ベース51の下面に基板W上に塗布液を吐出する吐出ノズル52を有し、吐出ノズル52には逆止弁521を有する供給管522が取り付けられる。供給管522は分岐しており、一方がポンプ523に接続され、他方が制御弁524を介して塗布液を貯留するタンク525に接続される。塗布液としては、例えばプラズマ表示装置を製造する場合には、素子分離のための隔壁あるいは各素子を制御する電極を構成する材料を含むものを用いることができる。また、例えば太陽電池などの光電変換デバイスを製造する場合には、集電電極を構成するための配線材料を含むものを用いることができる。
【0027】
図2は吐出ノズル52の内部構造を示す図である。図2(a)に示すように、吐出ノズル52の内部はバッファ空間BFとして機能する空洞となっており、このバッファ空間BFにタンク525から送出され供給管522を経由して輸送されてくる塗布液が送り込まれる。Y方向に沿って略等間隔で多数設けられた筒状の空洞52aがこのバッファ空間BFに連通されており、各空洞52aの下方に開口する吐出口52bのそれぞれから一定量の塗布液が吐出されるようになっている。
【0028】
図2(b)に示すように、各空洞52aの途中には例えばバイメタル素子、圧電素子などで構成された開閉弁52cが配設されている。開閉弁52cは制御部6に接続されており、制御部6からの制御信号に応じて各空洞52aを開閉して、それぞれの空洞52aに連通する吐出口52bからの塗布液の吐出を個別にオンオフすることができる。
【0029】
なお、吐出口52bの個数は特に限定されないが、例えば256個とすることができる。また、吐出ノズル52の材質についても特に限定されないが、吐出液に対し汚染物質を混入させることがなく、微細加工ができるという点から、例えばシリコンやジルコニアの結晶を用いることができる。
【0030】
ステージ移動機構2の各モータ、ポンプ523および制御弁524は制御部6に接続され、これらの構成が制御部6により制御されることにより、塗布装置1による基板W上への塗布液の塗布が行われる。以下、図1および図2を参照しつつ、この塗布装置1による隔壁や電極等の構造物形成の基本動作について説明する。
【0031】
吐出ノズル52からの塗布液の吐出は、図1に示す逆止弁521、ポンプ523および制御弁524により行われる。まず、制御部6の制御により制御弁524が開放された状態でポンプ523が吸引動作を行う。このとき、逆止弁521により塗布液の逆流が阻止されるため、タンク525からポンプ523へと塗布液が引き込まれる。次に、制御部6の制御により制御弁524が閉じられ、ポンプ523が押出動作を行う。これにより、吐出ノズル52の複数の吐出口52bそれぞれから連続的に塗布液が吐出される。
【0032】
塗布液の吐出が行われる際には、制御部6がステージ移動機構2の各モータを駆動制御し、ヘッド部5の下方で基板Wの表面が(+X)方向に移動するように制御を行う。言い換えれば、ヘッド部5は相対的に基板W表面を走査しながら(−X)方向に移動することになる。これにより、基板W表面には塗布液がX方向に沿った筋状に塗布される。このとき、吐出口52bからは走査移動方向の後方に向かって塗布液が吐出され、吐出された液が吐出口52bの近傍に滞留することが防止される。こうして、基板W上には、吐出口52bから吐出された塗布液が固化してなる平行な筋状の構造物が形成される。塗布液がプラズマ表示装置用の隔壁材料を含むものである場合には、こうして形成された構造物が基板W上の隔壁として機能する。また、塗布液が配線材料を含むものである場合には、構造物が基板W上の電極あるいは配線として機能することになる。
【0033】
次に、上記のように構成された塗布装置による、基板上へ塗布液を塗布することによって構造物を形成する具体的な態様について説明する。第1の例として、例えばプラズマ表示装置等のフラットパネルディスプレイ装置に好適な隔壁の形成について説明する。また、第2の例として、太陽電池パネルに好適な、細く平行な多数のフィンガー電極とこれらを互いに接続するバス電極とを形成する場合に好適な配線の形成について説明する。
【0034】
図3は本実施形態の塗布装置により形成可能な構造物の第1の例を示す図である。図3に示す構造物P1は、例えばプラズマ表示装置用のガラス基板W1の表面に、格子状パターンを有する素子分離用隔壁として形成されるものである。この場合、塗布液としては隔壁材料と溶剤とを含んだものが用いられる。
【0035】
図4は格子状パターンの形成原理を模式的に示す図である。吐出口52bから塗布液を吐出しながら基板Wと吐出ノズル52とをX方向に相対的に走査移動させただけでは、単にX方向に沿って延びる互いに平行な多数のストライプ状のパターンが形成されるだけである。これに対して、図4に示すように、X方向への走査移動と、Y方向への走査移動とを組み合わせることによって、網目状あるいは格子状のパターンを形成することが可能である。ここで、X方向への移動量と、Y方向への移動量とが同じである必要はない。すなわち、X方向のピッチとY方向のピッチとが互いに異なる格子も形成することが可能である。
【0036】
図4は、基板Wに対して相対移動する吐出口52bが基板W表面上に描く軌跡を示しており、この軌跡に沿って塗布液によるパターンが描画される。この塗布装置1では吐出ノズル52を含むヘッド部5を固定して基板Wをステージ3により移動させており、ステージ移動に伴う基板WのX方向、Y方向への移動は、(−X)方向、(−Y)方向への吐出ノズル52の移動と等価である。
【0037】
図4に示すように、吐出ノズル52を(+X)方向に所定距離Lxだけ移動させ、次いで(−Y)方向に距離Lyだけ移動させる。さらに、(+X)方向に所定距離Lxだけ移動させ、次いで(+Y)方向に距離Lyだけ移動させる。これを繰り返すと、当該吐出口52bは基板W上につづら折り状の軌跡を描くこととなる。このとき、Y方向への移動距離Lyを、Y方向における吐出口52b間の間隔Dy以上としておけば、一の吐出口52bから吐出された塗布液はその変曲点において隣接する吐出口から吐出された塗布液と基板W上で接触して格子点を形成することになる。このようにして、基板W上に格子状パターンに塗布液を塗布することが可能となる。
【0038】
ここで、Y方向における格子状パターンの端部(図4において左端)を直線状に仕上げるためには、最も外側(図4において左端)に位置する吐出口52b1が格子の端部よりも外側にはみ出してしまう区間については、開閉弁52cを閉じて塗布液の吐出を停止させるようにすればよい。X方向端部についても同様である。図4における破線は、塗布液の吐出を停止した状態で吐出口52bが移動した軌跡を表している。このようにすることで、端部まで整った格子状パターンを形成することができる。
【0039】
隣接する吐出口52bにより描画されるパターン同士を確実に接触させるためには、少なくとも、吐出ノズル52のY方向への移動量が、互いに隣接する2つの吐出口からそれぞれ吐出される塗布液によって描画されるライン状パターンの間隔以上であることが必要である。移動量がこれより小さければ、2つの吐出口52bにより描かれるパターンは平行を保ったまま接触しない。ここで、具体的に吐出ノズル52の移動量をどう設定するかについては、2つの考え方がある。
【0040】
図5は格子状パターンを描画する際の2つの描画方法を示す図である。図5(a)に示す例では、吐出ノズル52のY方向への移動量を、吐出口52bの間隔Dyと同じになるようにしている。このようにすると、1つの吐出口により描画されるパターンPa1と、これに隣接する吐出口により描画されるパターンPa2とは、変曲点においてその外縁部同士が接触するだけである。そのため、パターン同士は接触しているが、先に塗布液が塗布された位置にさらに新たな塗布液が塗り重ねられることがない。このことは、パターンの厚みの均一性を確保する上で有効である。ただし、X方向に沿って延びるパターンは完全な直線とならない。
【0041】
なお、図5(a)の例では、各吐出口52bから吐出された塗布液のY方向への広がりは無視できる、つまりライン状パターンPa1,Pa2の間隔が吐出口42bの間隔Dyと等しいものとしている。塗布液の粘度が十分に高い場合や、基板W表面に対する塗布液の濡れ性が低い場合にはこのように考えてもよいが、より一般的には、各吐出口52bから吐出された塗布液は基板W表面でY方向に広がってゆく。このため、塗布液により形成されるライン状パターンPa1,Pa2のライン幅は吐出口52bのY方向開口幅よりも若干大きくなり、結果としてパターンPa1,Pa2間の間隔は吐出口の間隔Dyよりも小さくなると考えられる。このような場合には、塗布後の塗布液のY方向への広がりを考慮して、広がった後のパターン間の間隔と等しくなるように、吐出ノズル52のY方向への移動量を設定すればよい。塗布液の粘度や温度などの塗布条件から、塗布液の広がり量を予め見積もることが可能である。
【0042】
一方、図5(b)に示す例では、吐出ノズル52のY方向への移動量と、吐出口52bの配列ピッチPyとが同じになるようにしている。このようにした場合、格子点において2つの吐出口から吐出された塗布液が重なるため、この部分でパターンの厚みが増大してしまう可能性がある。しかしながら、X方向に延びるパターンについては、2つの吐出口により描画されるパターンPa1,Pa2が同一直線上に並ぶので、パターンの直線性の点ではこの方法が優れている。目的に応じて、これら2つの描画方法のうちその目的に適した方を選択することができる。
【0043】
なお、図5(b)の例において、格子点において塗布液が塗り重ねられることによって厚みが増大すると説明したが、例えば一方向に延びる直線状パターンを描画した後、これに交わるもう一方向の直線状パターンを形成することで格子状パターンを形成する技術に比べれば、厚みの変動は遥かに小さい。というのは、重ねられるパターンの描画に時間差があると、先に描画したパターンの固化が進み、後のパターンがその上に塗り重ねられることで厚みが増してしまうが、本実施形態のような動作で塗布液を重ねる場合、先の塗布と後の塗布との時間差が少ないので重ねられた塗布液が一体となって流動し、局所的な厚みの増大が緩和される余地があるからである。
【0044】
図6は格子状パターンの描画処理を示すフローチャートである。最初に、外部から未処理の基板Wが搬入されステージ3に載置される(ステップS101)。次いで、ステージ3を移動させて、基板Wと吐出ノズル52との位置関係を所定の描画開始位置に調整する(ステップS102)。この状態で、各吐出口52bからの塗布液の吐出を開始するとともに(ステップS103)、吐出口52bの配列ピッチ(ノズルピッチ)Pyに相当する距離だけ(+Y)方向にステージ3を移動させる(ステップS104)。これにより、吐出ノズル52は基板Wに対して相対的に(−Y方向)に移動してY方向に沿ったパターンを基板W上に描画する。
【0045】
次いで、X方向における格子の1辺の長さとして予め規定された長さ(格子長さ)Lxに相当する距離だけ、ステージ3を(+X)方向に移動させる(ステップS105)。これにより、X方向に延びるパターンが描画される。そして、ステージ3をノズルピッチPy相当分だけ(−Y)方向に移動させ、さらに(+X)方向に格子長さLx相当分だけ移動させる(ステップS107)。上記描画動作(ステップS104〜S107)を、吐出ノズル52が基板W上の終了位置に移動してくるまで繰り返し実行する(ステップS108)。
【0046】
この状態では、基板上のパターンはX方向に延びるラインで終わっているので、端部を整えるために再度Y方向にノズルピッチ分だけ吐出ノズル52を移動させ(ステップS109)、その後、塗布液の吐出およびステージ3の移動を停止して(ステップS110)、図5に示す格子状のパターンが形成された基板Wを搬出することで(ステップS111)、1枚の基板に対する描画処理が終了する。
【0047】
以上のように、この例では、吐出口52bの配列方向に直交するX方向への描画と、吐出口52bの配列方向と一致するY方向への描画とを周期的に切り替えて交互に実行することにより、複数の吐出口52bにより描画されるパターンをつづら折り状としている。そして、基板Wに対する相対的な吐出ノズル52のY方向への移動量を、Y方向に配列された吐出口52bの配列ピッチPyと等しくすることによって、隣接する吐出口52bのそれぞれによって描画されるパターンを互いに接触させて、格子状パターンを形成することができる。なお、前記したように、吐出ノズル52のY方向への移動量を、Y方向における吐出口52b間の間隔DyやパターンPa1,Pa2間の間隔としてももちろん構わない。
【0048】
このような描画方法によれば、一列に並んだ多数の吐出口52bを有する1組の吐出ノズル52を基板Wの一方端から他方端まで1回走査移動させる間に、二次元的な構造を有する格子状のパターンを形成することが可能である。このため、2回の走査により二種類のパターンを形成しそれらの組み合わせによって格子状パターンを形成したり、2組の吐出ノズルからそれぞれ塗布液を吐出する従来技術に比べて、装置構成が簡単で、しかも短時間でパターン描画を行うことができる。このため高いスループットを得ることができる。また、X方向の格子長さとY方向の格子長さとをそれぞれ独立して定めることができるので、パターンの自由度にも優れている。
【0049】
図7は本実施形態の塗布装置により形成可能な構造物の第2の例を示す図である。図7に示す構造物P2は、例えば太陽電池パネル用基板W2の表面に集電電極として形成されるものである。この場合、塗布液としては例えば銀粉末などの導電性粒子と溶剤とを含んだものが用いられる。
【0050】
太陽電池パネルなどの光電変換デバイスの集電電極としては、光電変換面の全面を網羅しながら入射光をできるだけ遮蔽しないことが求められる。この目的のため、図7に示すように、多数の極細電極を櫛歯状に並べたフィンガー電極F1,F2と呼ばれる電極と、これらのフィンガー電極間を相互に接続するバス電極Bと呼ばれる電極とを有する構造が用いられる。バス電極Bは、電力損失を抑えるべく幅広に形成される。ここでは、フィンガー電極のうち図7においてバス電極Bの上方に位置する部分を符号F1、バス電極Bよりも下方に位置する部分を符号F2により表している。図1の塗布装置1は、このような電極の形成にも好適に使用可能なものである。
【0051】
図8は集電電極の形成原理を模式的に示す図である。図8では、各吐出口52bにより描画されるパターンの形状を理解しやすくするために、1つの吐出口52b0により描かれるパターンのみを太線で示している。まず、フィンガー電極F1,F2については、単に細く平行な配線を多数描画すればよいので、各吐出口52bから塗布液を吐出しながら吐出ノズル52をX方向に電極の長さ分だけ走査移動させればよい。一方、バス電極Bについては、Y方向に沿って延び、しかも幅広の配線を形成する必要がある。
【0052】
この目的のためには、吐出口52bをX方向に微小距離ずつステップ的に移動させながら、Y方向に大きく揺動させるようにすればよい。Y方向への移動量は、最も外側のフィンガー電極からのバス電極BのY方向への突出量(バス突出長さ)Lbと同じにすればよい。このように、ピッチの細かいつづら折り状すると、各吐出口52bから吐出された塗布液が互いに重なり合って、全体として幅広のバス電極Bが形成されることになる。
【0053】
図9は集電電極の描画処理を示すフローチャートである。最初に、外部から未処理の基板Wが搬入されステージ3に載置される(ステップS201)。次いで、ステージ3を移動させて、基板Wと吐出ノズル52との位置関係を所定の描画開始位置に調整する(ステップS202)。この状態で、各吐出口52bからの塗布液の吐出を開始し(ステップS203)、フィンガー電極F1の長さに相当する距離だけステージ3を(+X)方向に移動させる(ステップS204)。これにより、基板W2上にはフィンガー電極F1が描画される。
【0054】
次に、バス電極Bを形成すべく、吐出ノズル52をバス突出長さLbだけステージ3を(+Y)方向に移動させる(ステップS205)。さらに、ステージ3を(+X)方向に微小量だけ移動させた後(ステップS206)、今度は(−Y)方向にバス突出長さLbの2倍に相当する距離だけステージ3を移動させる(ステップS207)。このように、バス突出長さLbの2倍に相当する距離のY方向への移動(ステップS207、S210)およびX方向への微小距離の移動(ステップS206、S208)を、X方向における所定のバス幅を得られるまで繰り返し実行することにより(ステップS209)、バス電極Bが形成される。
【0055】
その後は、バス突出長さLb分だけ吐出ノズル52をY方向に移動させることで吐出ノズル52のY方向位置を元に戻し(ステップS211)、再びX方向への描画によってフィンガー電極F2を形成することで(ステップS212)、図7に示す配線構造物P2が完成する。そして、吐出ノズル52からの塗布液の吐出およびステージ3の移動を停止し(ステップS213)、電極を形成された基板Wを搬出することで(ステップS214)、1枚の基板Wに対する処理が完了する。
【0056】
なお、図8および図9に示す原理的な描画方法では、バス電極部において、複数の吐出口52bから吐出される塗布液が部分的に何重にも重なって厚みが不均一となる可能性がある。特に、フィンガー電極F1,F2との厚みの差が大きくなると、電極の上部に形成する保護層との密着性が低下するなどの問題が生じうる。この点を改善し均一な厚みの電極を得るためには、例えば次のような方法が考えられる。
【0057】
図10は厚みの均一なバス電極を形成する方法の例を示す図である。図10においては、各吐出口の描く軌跡を理解しやすくするため、代表的に1つの吐出口の軌跡のみを太線で示している。図10(a)の例では、吐出ノズル52をY方向に移動させるときに、X方向にも少しずつ移動させる。このようにすると、図10(a)に示すように、吐出口52bの軌跡はわずかに斜め方向のジグザグ形状となり、隣接する吐出口52bの描くジグザグの軌跡の隙間を通るようになるので、塗布液の重なりに起因する厚みの増大を防止することができる。言い換えれば、塗布液が重ならないように、X方向の送り速度を設定することが可能である。
【0058】
また、図10(b)の例では、バス電極形成時に一部の吐出口のみから塗布液を吐出させ他からの吐出を停止させることで、塗布液の重なりを防止する。図10(b)において、軌跡上の白丸印はその位置で塗布液の吐出を停止することを表している。また、黒丸印はその位置で塗布液の吐出を再開することを表している。この方法では、バス突出長さLbを吐出口の配列ピッチPyのN倍(Nは自然数、図10(b)の例ではN=2)に設定しておく。そして、バス電極形成時には吐出口52を振幅(N×Py)でY方向に往復動させるとともに、塗布液を吐出する吐出口を以下のように制限する。すなわち、ある1つの吐出口から塗布液を吐出する場合、その両側に隣接するそれぞれ(2N−1)個の吐出口からの吐出は停止させる。
【0059】
1つの吐出口により描画されるパターンはY方向に(2N×Py)の範囲で広がるから、上記のようにこの範囲内の他の吐出口からの吐出を制限することにより、塗布液の重なりは防止され、バス電極Bの厚みの増大が回避される。
【0060】
このように、吐出ノズル52をY方向に何度も往復動させてバス電極を形成する場合、処理に時間がかかる場合がある。これを解消するためには、例えば次のように吐出口の形状を変更する方法が考えられる。
【0061】
図11は吐出口の形状の他の例を示す図である。図11に示すように、吐出ノズル521に穿設する吐出口521bを、X方向に長く、Y方向に短い、すなわちX方向に扁平な形状とする。このようにすると、吐出ノズル52がX方向に移動する際には吐出口521bのY方向開口長さに対応する細いパターンP3aが描画される。その一方、吐出ノズル52がY方向に移動する際には、吐出口521bのX方向開口長さに対応する幅広いパターンP3bが描画されることになる。図11において、一点鎖線で示した矢印は、1つの吐出口521bの中心の軌跡を示している。このようにすると、細いフィンガー電極と幅広いバス電極とを、吐出ノズル521の少ない往復回数で効率よく描画することができ、処理時間の短縮を図ることができる。例えば、吐出口521bのX方向に沿った開口長さをバス電極幅と同じにした場合、Y方向への1回の走査移動によりバス電極パターンを描画することが可能となる。
【0062】
なお、このように極端に扁平した吐出口を用いる場合、吐出口からの塗布液の吐出量が一定であれば、X方向に描画するときとY方向に描画するときとで単位面積当たりの塗布量が大きく異なってくる。そのため、パターンの厚みを一定に保つためには、例えばX方向への移動とY方向への移動とで移動速度や吐出量を変化させる等の配慮が必要である。
【0063】
以上のように、図1に示す塗布装置1では、X方向およびY方向の移動を組み合わせることにより、図3に示す格子状パターンや図7に示す集電電極パターンなどを形成することができる。この場合において、複数の吐出口を一列に並べた単一吐出ノズル52を1回走査移動させることによって上記のようなパターンを形成することができるので、簡単な装置構成でありながら、高いスループットで隔壁や電極等の構造物を形成することができる。また、X方向、Y方向への動きを適宜組み合わせることにより、種々のパターンを形成することができ、パターン形成の自由度という点においても優れている。
【0064】
以上説明したように、この実施形態では、吐出ノズル52が本発明の「吐出ノズル部」として機能している。また、ステージ3およびステージ移動機構2が本発明の「基板保持部」および「移動機構」としてそれぞれ機能している。また、制御部6および開閉弁52cがそれぞれ本発明の「制御手段」および「開閉手段」として機能している。また、本実施形態においては、X方向が本発明の「第1走査方向」に相当する一方、Y方向が「第2走査方向」に相当している。
【0065】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態の塗布装置1は、隔壁材料または配線材料と溶剤とを主成分とする塗布液を基板Wに塗布するものであるが、塗布液に光重合開始剤を含有させ、例えば紫外線などの光照射によって硬化する性質を持たせるようにしてもよい。この場合、塗布後の基板に光照射を行う工程を付加することによって、隔壁や配線などの構造物をより強固なものとすることができる。この場合において、吐出ノズル52に光照射機能を持たせて塗布直後の塗布液に順次光照射を行うようにしてもよく、また塗布終了後の基板全体に光を照射するようにしてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、吐出ノズル52における吐出口52bの配列方向と、吐出ノズル52の主たる走査方向(X方向;第1走査方向)とが垂直の関係にあるが、これに限定されない。すなわち、吐出口の配列を第1走査方向に対し斜行させるようにしてもよい。特に、図7に示すバス電極Bのように幅広の構造物を形成する場合には、吐出ノズルのY方向への移動時に、斜行した吐出口の配列が第1走査方向に少しずつずれた軌跡を描くので往復回数を少なくすることができる。また、第1走査方向と第2走査方向とが直交していなくてもよい。
【0067】
また、吐出口の形状は上記のような矩形のものに限らず、円形や頂円形など他の形状であってもよい。また、上記実施形態では全ての吐出口52bに開閉弁52cを設けているが、吐出を個別に停止させる必要のない吐出口についてはこのように開閉弁を設ける必要は必ずしもない。
【0068】
また、上記説明では、例えばプラズマ表示装置に用いられるガラス基板上への隔壁形成および太陽電池パネル上への電極形成の態様を採り上げているが、本発明にかかる塗布装置および塗布方法の適用範囲はこれらに限定されるものではなく、目的とする構造物の材料を含む塗布液を基板上に塗布することによって当該構造物を形成する技術全般に適用することができる。また、上記実施形態では基板Wの片面にのみ配線を形成しているが、基板Wの両面に配線や隔壁等の構造物を形成する場合にも、本発明を適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0069】
この発明は、例えばプラズマ表示装置用の隔壁形成や太陽電池表面への電極形成のように、目的とする構造物の材料を含む塗布液を基板上に塗布することによって当該構造物を形成する技術分野に特に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 塗布装置
2 ステージ移動機構(移動機構)
3 ステージ(基板保持部)
6 制御部(制御手段)
21 X方向移動機構
22 Y方向移動機構
23 θ回転機構
52 吐出ノズル(吐出ノズル部)
52c 開閉弁(開閉手段)
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部に保持された前記基板表面に対し塗布液を吐出する複数の吐出口を、所定の配列方向に沿って列状に配列した吐出ノズル部と、
前記基板に対し前記吐出ノズル部を前記配列方向と異なる第1走査方向に相対移動させるとともに、前記基板に対し相対的に、前記吐出ノズル部を前記第1走査方向と異なる第2走査方向に往復動させる移動機構と、
前記移動機構を制御し、前記基板に対し前記吐出ノズル部を前記第2走査方向に往復動させながら前記第1走査方向に走査させることで、互いに隣接する2つの前記吐出口から吐出される塗布液を少なくとも一部で互いに接触させる制御手段と
を備えることを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記基板に対する前記吐出ノズル部の前記第1走査方向への相対移動と、前記基板に対する前記吐出ノズル部の前記第2走査方向への相対移動とを交互に繰り返して実行させる請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記第2走査方向は、前記配列方向と一致する方向であり、前記制御手段は、前記第2走査方向における前記基板に対する前記吐出ノズル部の移動量が、互いに隣接する2つの前記吐出口から吐出される塗布液により前記基板表面に形成されるライン状パターン間の間隔以上となるように、前記移動機構を制御する請求項2に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記第2走査方向における前記基板に対する前記吐出ノズル部の移動量が、前記ライン状パターンの間隔と等しい請求項3に記載の塗布装置。
【請求項5】
前記第2走査方向における前記基板に対する前記吐出ノズル部の移動量が、前記配列方向における前記吐出口の配列ピッチと等しい請求項3に記載の塗布装置。
【請求項6】
前記第1走査方向は、前記配列方向に直交する方向である請求項1ないし5のいずれかに記載の塗布装置。
【請求項7】
前記吐出口それぞれの開口形状が、前記第1走査方向に扁平である請求項1ないし6のいずれかに記載の塗布装置。
【請求項8】
前記複数の吐出口の少なくとも一部に、当該吐出口からの前記塗布液の吐出をオンオフする開閉手段をさらに備える請求項1ないし7のいずれかに記載の塗布装置。
【請求項9】
吐出ノズル部に列状に配列した複数の吐出口から塗布液を吐出させながら前記吐出ノズル部を基板表面に対し相対移動させることにより、前記基板表面に塗布液を塗布する塗布方法において、
前記基板に対し前記吐出ノズル部を前記吐出口の配列方向と異なる第1走査方向に相対移動させるとともに、前記基板に対し相対的に、前記吐出ノズル部を前記第1走査方向と異なる第2走査方向に往復動させて、互いに隣接する2つの前記吐出口から吐出される塗布液を少なくとも一部で互いに接触させる
ことを特徴とする塗布方法。
【請求項10】
前記基板に対し前記吐出ノズル部を前記第1走査方向に相対移動させる第1走査工程と、
前記基板に対し前記吐出ノズル部を前記第2走査方向に相対移動させる第2走査工程と
を繰り返して実行し、しかも、
前記第2走査工程では、前記第2走査方向を前記配列方向と一致する方向とし、該第2走査方向における前記基板に対する前記吐出ノズル部の移動量が、互いに隣接する2つの前記吐出口から吐出される塗布液により前記基板表面に形成されるライン状パターン間の間隔以上である請求項9に記載の塗布方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−9022(P2011−9022A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150495(P2009−150495)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】