説明

塗装前処理液用濾過装置、及び塗装前処理システム

【課題】前処理液に含まれる金属粉や繊維くずを簡単な構成で効率よく除去することができる塗装前処理液用濾過装置を提供すること。
【解決手段】塗装前処理液用濾過装置5は、注液部24及び排液部25を有し、車体洗浄装置から回収された洗浄水W1を貯溜可能なケース21と、ケース21内にて上流側から下流側に向かって多段状にかつ所定の間隔を隔てて設けられた複数のフィルタ22とを備える。ケース21内において、前段のフィルタ22が目詰まりしたときには、当該前段のフィルタ22の上端を乗り越えた洗浄水W1が後段のフィルタ22により濾過され、洗浄水W1に含まれる鉄粉や繊維くずが除去される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装前に車体を洗浄する車体洗浄装置から回収された前処理液を濾過して金属粉や繊維くずを除去する塗装前処理液用濾過装置、及び塗装前処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電着塗装前の脱脂・化成処理の工程には、自動車ボディを洗浄する水洗工程が含まれている。この水洗工程では、車体洗浄装置内に自動車ボディを搬入し、その自動車ボディに対して高圧のシャワー水を噴霧することにより自動車ボディが洗浄される。そして、自動車ボディの洗浄に使用された洗浄水(塗装の前処理液)は、そのまま廃棄することなく、その洗浄水中に含まれる鉄粉や繊維くずを取り除いた後、車体洗浄装置に戻されて水洗工程で再利用されている。
【0003】
自動車ボディの洗浄で使用した洗浄水中の鉄粉や繊維くずを取り除く方法としては、磁気分離方法、沈降分離方法、浮上分離方法などが知られている。磁気分離方法は、例えばサイクロン中で洗浄水の渦巻流を形成し、次いで遠心分離で濃縮された洗浄水を磁石と接触させることにより、鉄粉等を吸着除去する方法である。また、沈降分離方法は、例えば洗浄水の上昇流を沈降槽の内部に形成することにより、比重の大きい鉄粉を沈降させて槽底より取り出すとともに、洗浄水を槽の上部より回収する方法である。さらに、浮上分離方法は、例えば洗浄水で満たされたシャワータンク内に気泡または気泡を含む水を導入することにより、気泡の浮上と一緒に、比重の小さい繊維くずを浮上させてタンクの上部より取り出すとともに、洗浄水をタンクの下部より回収する方法である。
【0004】
例えば、特許文献1には、沈降分離方法と浮上分離方法とを組み合わせ、洗浄水中の鉄粉や繊維くずを取り除く分離除去システムが開示されている。このシステムでは、沈降槽及びシャワータンクを備える。沈降槽には、車体洗浄装置から回収された使用済みの洗浄水が供給される。沈降槽の底にはスラッジ取り出し部が設けられ、槽底に沈降した鉄粉等がその取り出し部から廃棄される。一方、鉄粉等が沈降分離された洗浄水は、回収部より回収されてシャワータンクに送られる。
【0005】
シャワータンクの外部には、気泡発生装置及びポンプが設けられており、ポンプの運転により、気泡発生装置で調製された気泡含有水がシャワータンクの底部に設けられた気泡吹出し管から導入される。シャワータンク内において洗浄水に気泡が導入されると、その気泡が水面に向かって上昇していく。このとき、洗浄水に残存している微粒子の鉄粉や繊維くずが気泡の浮上と一緒に上昇し、タンク上部にて回収され、外部に取り出される。一方、鉄粉や繊維くずが浮上分離された洗浄水はタンクの下部より回収され、車体洗浄装置で再利用される。
【特許文献1】特開平10−244252号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の従来システムでは、沈降分離方法及び浮上分離方法を採用しているため、サイクロンを用いて磁気分離する方法と比較して処理能力が劣る。さらに、従来システムでは、繊維くずを浮上分離させるために気泡発生装置やポンプなどの装置が必要となるため、装置コストが高くなることに加え、各装置の設置スペースも増大してしまう。また、サイクロンを用いて磁気分離するシステムでは、洗浄水よりも比重が大きい鉄粉は効率よく除去できるが、洗浄水よりも比重が小さい繊維くずは除去することができなかった。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、前処理液に含まれる金属粉や繊維くずを簡単な構成で効率よく除去することができる塗装前処理液用濾過装置、塗装前処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、塗装前に車体を洗浄する車体洗浄装置から回収された前処理液を濾過して金属粉や繊維くずを除去する濾過装置であって、注液部及び排液部を有し、前処理液を貯溜可能な濾過装置筐体と、前記濾過装置筐体内にて前記注液部がある上流側から前記排液部がある下流側に向かって多段状にかつ所定の間隔を隔てて設けられた複数のフィルタとを備え、前段のフィルタが目詰まりしたときには、当該前段のフィルタの上端を乗り越えた前処理液が後段のフィルタにより濾過されることを特徴とする塗装前処理液用濾過装置をその要旨とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、濾過装置筐体内において複数のフィルタが上流側から下流側に向かって多段状にかつ所定の間隔を隔てて設けられている。この場合、前処理液が各フィルタで濾過されることで、比重の大きい大粒の金属粉は濾過装置筐体の底部に沈むとともに、微粒子の金属粉や比重の小さい繊維くずはフィルタで捕捉される。そして、この濾過装置を継続的に使用して、金属粉や繊維くずによって前段のフィルタが目詰まりしたときには、当該前段のフィルタの上端を乗り越えた前処理液が後段のフィルタによって濾過される。このようにすると、比較的簡単な構成でフィルタの濾過面積を十分に確保することができ、前処理液に含まれる金属粉や繊維くずを効率よく除去することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の塗装前処理液用濾過装置において、前記複数のフィルタの下流側に配置され、液面が前記複数のフィルタの上端よりも低い位置となるように前処理液を堰き止める下流堰部材を備えたことをその要旨とする。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、複数のフィルタの下流側に配置された下流堰部材によって、液面が複数のフィルタの上端よりも低い位置となるように前処理液が堰き止められる。このようにすると、濾過装置筐体内において下流堰に応じた一定の高さまで前処理液が溜まり、その前処理液が均一にゆっくり流れるようになる。従って、各フィルタで繊維くずをより確実に捕捉することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の塗装前処理液用濾過装置において、前記複数のフィルタの上流側に配置され、前処理液の流速を遅くする液流速減速手段を備えたことをその要旨とする。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、複数のフィルタの上流側に配置された液流速減速手段によって、前処理液の流速を遅くすることにより、各フィルタで繊維くずをより確実に捕捉することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の塗装前処理液用濾過装置において、前記複数のフィルタは、耐腐食性金属からなる平板状メッシュ部材を濾過部に有するとともに、前記濾過装置筐体から上方に抜去可能であることをその要旨とする。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、フィルタの濾過部は、平板状メッシュ部材であるので、フィルタを多段状に配置した場合でも濾過装置をコンパクトに形成でき、かつ濾過面積を十分に確保することができる。また、フィルタの濾過部が耐腐食性金属からなるので、前処理液に含まれる水分によって錆びることがなく、油等によって目詰まりすることも回避できる。従って、このフィルタを用いることにより、前処理液を効率よく濾過することができる。また、複数のフィルタは濾過装置筐体から上方に抜去可能であるので、濾過装置の運転中に、目詰まりしたフィルタのみを濾過装置筐体から取り外して洗浄することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の塗装前処理液用濾過装置において、前記複数のフィルタの下端を支持している前記濾過装置筐体の底面は、上流側から下流側に向かうに従って徐々に低くなっていることをその要旨とする。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、濾過装置筐体の底面が上流側から下流側に向かうに従って徐々に低くなっているので、同一サイズのフィルタを用いる場合、各フィルタの上端も、下流側に向かうに従って徐々に低くなる。この場合、前処理液が複数のフィルタの上端をいっぺんに乗り越えてしまうことがなく、上流側のフィルタから順番に乗り越えるよう構成することができる。その結果、各フィルタによって前処理液を適切に濾過することが可能となり、長時間にわたって十分な濾過能力を維持することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の塗装前処理液用濾過装置において、前記複数のフィルタの下端近傍に設けられた清掃用排液手段を備えたことをその要旨とする。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、複数のフィルタの下端近傍に清掃用排液手段が設けられているので、濾過装置筐体内においてフィルタを洗浄した場合、その洗浄廃液を清掃用排液手段から効率よく排出することができる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の塗装前処理液用濾過装置において、前記フィルタの下流側面に対して高圧流体を噴射することにより前記フィルタに付着した繊維くずを洗い流して除去する高圧流体噴射手段を含むフィルタ清掃手段をさらに備えることをその要旨とする。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、フィルタ清掃手段の高圧流体噴射手段から噴射される高圧流体(高圧の液体や気体)によって、フィルタに付着した繊維くずが洗い流されて除去される。この場合、濾過装置筐体内にフィルタを設置した状態で、目詰まりしたフィルタの清掃を行うことができ、そのフィルタの濾過能力を回復させることができる。
【0022】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の塗装前処理液用濾過装置において、前記フィルタに付着した繊維くずを前記フィルタの上流側面から機械的に剥離して除去する剥離除去手段を含むフィルタ清掃手段をさらに備えることをその要旨とする。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、フィルタ清掃手段の剥離除去手段によって、フィルタに付着した繊維くずがフィルタの上流側面から機械的に剥離され除去される。この場合でも、濾過装置筐体内にフィルタを設置した状態で、目詰まりしたフィルタの清掃を行うことができ、フィルタの濾過能力を回復させることができる。
【0024】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の塗装前処理液用濾過装置において、前記前処理液の液高を前記複数のフィルタ間でそれぞれ検出し、液高が所定レベルよりも高いか否かを判定する液高判定手段と、前記液高判定手段によって液高が所定レベルよりも高いと判定されたときに、フィルタ駆動手段を駆動させて目詰まりの発生しているフィルタを上昇移動させる制御、及び、前記フィルタにおける目詰まりの発生を報知する報知装置を駆動させる制御のうちの少なくともいずれかを実行する制御手段と
を備えたことをその要旨とする。
【0025】
請求項9に記載の発明によれば、液高判定手段により、前処理液の液高が複数のフィルタ間でそれぞれ検出される。そして、液高が所定レベルよりも高いと判定されたときには、制御手段によって、フィルタ駆動手段が駆動されて目詰まりの発生しているフィルタを上昇移動させる制御、及び、フィルタにおける目詰まりの発生を報知する報知装置を駆動させる制御のうちの少なくともいずれかが実行される。ここで、目詰まりの発生しているフィルタが上昇移動される場合、目詰まりのない後段側のフィルタに前処理液がスムーズに流れるため、そのフィルタで繊維くずを的確に除去することができる。また、フィルタの目詰まりの発生が報知される場合、作業者がそのフィルタの目詰まりを迅速に知ることができ、濾過装置のメンテナンス作業を適切に行うことができる。
【0026】
請求項10に記載の発明は、塗装前に前処理液で車体を洗浄する車体洗浄装置と、前記車体洗浄装置から前処理液を回収する液回収装置と、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の塗装前処理液用濾過装置と、前記塗装前処理液用濾過装置によって濾過された前処理液を前記車体洗浄装置に圧送する前処理液戻し装置とを備えることを特徴とする塗装前処理システムをその要旨とする。
【0027】
請求項10に記載の発明によれば、車体洗浄装置により、塗装前に前処理液で車体が洗浄され、液回収装置により、車体洗浄装置から前処理液が回収される。そして、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の塗装前処理液用濾過装置により前処理液が濾過されることで、前処理液に含まれる金属粉や繊維くずが効率よく除去される。さらに、前処理液戻し装置により前処理液が車体洗浄装置に圧送されるので、車体洗浄装置で前処理液を再利用することができる。
【0028】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の塗装前処理システムにおいて、前記液回収装置と前記塗装前処理液用濾過装置との間に、金属粉を遠心力で除去するための金属粉除去装置を備え、前記塗装前処理液用濾過装置には、金属粉を磁力で吸着して除去する金属粉除去部材を設けたことをその要旨とする。
【0029】
請求項11に記載の発明によれば、金属粉除去装置により、前処理液に含まれる比較的大粒の金属粉が遠心力によって効率よく除去される。そして、塗装前処理液用濾過装置では、金属粉除去部材によって、前処理液に残存している微粒子の金属粉が磁力で確実に吸着される。このようにすれば、前処理液に含まれる金属粉の含有量が多い場合でも、金属粉除去装置において比較的大粒の金属粉が確実に除去されるため、塗装前処理液用濾過装置において金属粉によりフィルタが目詰まりし難くなる。従って、塗装前処理システムの処理能力を十分に高めることができる。
【発明の効果】
【0030】
以上詳述したように、請求項1〜9に記載の発明によると、前処理液に含まれる金属粉や繊維くずを簡単な構成で効率よく除去することができる塗装前処理液用濾過装置を提供することができる。また、請求項10,11に記載の発明によると、前処理液に含まれる金属粉や繊維くずを効率よく除去し、前処理液を再利用することができる塗装前処理システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0032】
図1は、本実施の形態の塗装前処理システム1を示す概略構成図である。図1に示されるように、塗装前処理システム1は、車体洗浄装置2と、回収ポンプ(液回収装置)3と、鉄粉除去装置(金属粉除去装置)4と、塗装前処理液用濾過装置5と、貯水タンク6と、圧送ポンプ(前処理液戻し装置)7とを備える。
【0033】
車体洗浄装置2の水洗チャンバ11内において、C型ハンガー12に乗って搬送される自動車ボディ13に向けて高圧シャワー管14が設けられており、その高圧シャワー管14から高圧の洗浄水(前処理液)W1が噴霧されることにより、自動車ボディ13が洗浄される。この洗浄によって、自動車ボディ13に残留する鉄粉や繊維くずが洗い流される。
【0034】
水洗チャンバ11において、洗浄に使用された洗浄水W1は、自動車ボディ13等から流れ落ち、傾斜した底面上を流れ、水洗チャンバ11の最下部に接続された回収配管16を介して回収ポンプ3に供給される。そして、その回収ポンプ3の運転によって、洗浄水W1が鉄粉除去装置4に供給される。
【0035】
鉄粉除去装置4は、サイクロン18中で洗浄水W1の渦巻流を形成し、遠心分離で濃縮された洗浄水W1を磁石と接触させることにより、洗浄水W1中の鉄粉を吸着除去する。そして、その鉄粉除去装置4内において鉄粉が除去された洗浄水W1が塗装前処理液用濾過装置5に供給される。
【0036】
図2は、本実施の形態における塗装前処理液用濾過装置5の平面図であり、図3は、その濾過装置5の正面図である。
【0037】
図2及び図3に示されるように、濾過装置5は、濾過装置筐体としてのケース21と、そのケース21内に収納される複数のフィルタ22とを備える。ケース21は、例えば四角箱状に形成され、その上面が開口している。このケース21は、幅が2.5m、長さが1.4m、高さが0.7mのサイズを有する。このケース21において、一方の端部(図3では左端)の上方には、洗浄水W1を注入するための注液部24が形成され、他方の端部(図では右端)の下方には、洗浄水W1を排出するための排液部(排水管)25が設けられている。ケース21内には、上流側から下流側に向かって多段状にかつ所定の間隔を隔てて複数のフィルタ22が設けられている。なお、本実施の形態における濾過装置5では、六段分のフィルタ22がケース21内に設けられている。
【0038】
図4に示されるように、フィルタ22の濾過部26は、畳型をなし二重補強型ステンレスのメッシュ構造を有する。すなわち、フィルタ22の濾過部26は、ステンレス製の金網(平板状メッシュ部材)27と、その金網27の縁部を挟み込むようにして補強するステンレス製の枠体28とからなる。なお、金網27の網目は150メッシュである。また、濾過部26のサイズは、幅が1.2m、高さが0.5mであり、左右2つの濾過部26によって一段分のフィルタ22が構成される。さらに、本実施の形態の濾過部26は、枠体28の上部に取手29が設けられており、作業者がその取手29を持つことでケース21の上方に抜去可能に構成されている。
【0039】
図2及び図3に示されるように、ケース21内において、各フィルタ22の上流側には板状の上流堰部材(液流速減速手段)31が設けられ、各フィルタ22の下流側には板状の下流堰部材32が設けられている。ケース21内に上流堰部材31を設けることによって、注液部24から注入される洗浄水W1が上流堰部材31で一旦堰き止められ、洗浄水W1の流速が遅くなる。また、ケース21内に下流堰部材32を設けることによって、洗浄水W1が堰き止められ、それに応じた所定の高さとなるよう洗浄水W1が貯えられる。本実施の形態では、下流堰部材32の高さはフィルタ22よりも低く、液面がフィルタ22の上端よりも低い位置となるように洗浄水W1が堰き止められる。なお、上流堰部材31の上端は下流堰部材32の上端よりも若干(5mm程度)高くなっている。
【0040】
図3に示されるように、ケース21の底面34は上流側から下流側向けて徐々に低くなるよう傾斜している。各フィルタ22は、その下端部がケース21の底面34に当接した状態で固定されている。より詳しくは、ケース21の底面34において、フィルタ22の固定位置にはL字状の固定部材35(図5(a)参照)が設けられおり、その固定部材35によってフィルタ22の下端部が下流側に移動不能に固定される。また、ケース21の側面36において、フィルタ22の固定位置にはコ字状の固定部材37(図5(b)参照)が設けられ、フィルタ22の側部がその固定部材37に嵌め込まれることで移動不能に固定されている。ケース21内において各段に使用されるフィルタ22のサイズは全て同一であり、各段におけるフィルタ22の上端は、底面34の傾斜に応じて下流側ほど低くなっている。
【0041】
図2及び図3に示されるように、ケース21において、隣接するフィルタ22で挟まれた領域におけるフィルタ22の下端近傍には、清掃用排液管(清掃用排液手段)38が設けられている。さらに、上流堰部材31及び下流堰部材32の下端近傍にも清掃用排液管38が設けられている。濾過装置5の運転時には清掃用排液管38に設けられた排液コック39が閉状態とされ、清掃時に清掃用排液管38の排液コック39が開状態とされる。そして、洗浄時に排液コック39が開状態とされると、ケース21底部に溜まった鉄粉やフィルタ22から洗い流された繊維くずを含む洗浄排液が清掃用排液管38を通して排出される。
【0042】
図6に示されるように、ケース21の底部には、磁石41を挿入可能な溝42が形成されている。溝42は、フィルタ22と直交する方向(図6では奥行き方向)に延設されている。この溝42に磁石41を装着することにより、ケース21の底部に沈降した鉄粉が上方に再浮上しないように磁力によって吸着される。なお、図6は、注液部24側(図3の左側)から見た濾過装置5の側面図である。
【0043】
図1に示されるように、濾過装置5で濾過された洗浄水W1は貯水タンク6に一旦貯えられる。そして、圧送ポンプ7が運転されることにより、貯水タンク6の洗浄水W1が車体洗浄装置2に圧送され、自動車ボディ13の洗浄水W1として再利用される。
【0044】
次に、本実施の形態における濾過装置5の作用について説明する。
【0045】
塗装前処理システム1が稼働されて、濾過装置5のケース21内に注液部24から洗浄水W1が注入される。図7に示されるように、ケース21内において、洗浄水W1は上流堰部材31で堰き止められ、その上流堰部材31を乗り越えた洗浄水W1が各段のフィルタ22で濾過される。さらに、各フィルタ22で濾過された洗浄水W1は下流堰部材32で堰き止められ、その下流堰部材32を乗り越えた洗浄水W1が排水管25から排出される。ここで、下流堰部材32の高さは、各フィルタ22よりも低いため、洗浄水W1の液面が複数のフィルタ22の上端よりも低い位置となるように洗浄水W1が堰き止められる。この結果、ケース21内において、下流堰部材32に応じた一定の高さまで洗浄水W1が溜まり、洗浄水W1が均一にゆっくり流れるため、各段のフィルタ22により繊維くずが確実に捕捉される。
【0046】
その後、濾過装置5が所定時間使用されることで、一段目のフィルタ22が目詰まりすると、その一段目のフィルタ22の上端を洗浄水W1が乗り越え(オーバーフローし)、その洗浄水W1が二段目以降のフィルタ22で濾過される(図8参照)。二段目以降のフィルタ22についても同様に目詰まりしたときには、そのフィルタ22の上端を乗り越えた洗浄水W1がその後段のフィルタ22により濾過される。
【0047】
さらに、本実施の形態では、濾過装置5の使用中に、目詰まりしたフィルタ22を取り出してその清掃を行うことが可能である。この場合、後段には目詰まりしていないフィルタ22が存在するので、掃除のために1段分のフィルタ22を取り出しても、濾過能力は十分に確保される。
【0048】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0049】
(1)本実施の形態の濾過装置5では、ケース21内において複数のフィルタ22が上流側から下流側に向かって多段状にかつ所定の間隔を隔てて設けられている。この場合、洗浄水W1が各フィルタ22で濾過されることで、比重の大きい大粒の鉄粉はケース21の底部に沈むとともに、微粒子の鉄粉や比重の小さい繊維くずはフィルタ22で捕捉される。そして、この濾過装置5を継続的に使用して、鉄粉や繊維くずによって前段のフィルタ22が目詰まりしたときには、当該前段のフィルタ22の上端を乗り越えた洗浄水W1が後段のフィルタ22によって濾過される。このようにすると、比較的簡単な構成でフィルタ22の濾過面積を十分に確保することができ、洗浄水W1に含まれる鉄粉や繊維くずを効率よく除去することができる。
【0050】
(2)本実施の形態の濾過装置5では、複数のフィルタ22の下流側に配置された下流堰部材32によって、液面が複数のフィルタ22の上端よりも低い位置となるように洗浄水W1が堰き止められる。このようにすると、ケース21内において、下流堰部材32に応じた一定の高さまで洗浄水W1が溜まり、その洗浄水W1が均一にゆっくり流れるため、各フィルタ22で繊維くずを確実に捕捉することができる。
【0051】
(3)本実施の形態の濾過装置5では、複数のフィルタ22の上流側に配置された上流堰部材31によって、洗浄水W1の流速を遅くすることにより、各フィルタ22で繊維くずを確実に捕捉することができる。
【0052】
(4)本実施の形態の場合、フィルタ22は、平板状メッシュ部材としての金網27を濾過部26として有するので、フィルタ22を多段状に配置した場合でも濾過装置5をコンパクトに形成でき、かつ濾過面積を十分に確保することができる。また、このフィルタ22の濾過部26は、耐腐食性金属としてのステンレスからなるので、洗浄水W1によって錆びることがなく、油等によって目詰まりすることも回避できる。また、フィルタ22の濾過部26は、幅が1.2m、高さが0.5mのサイズであり、枠体28の上部に取手29を有するので、作業者がその取手29を持って容易に持ち上げることができる。さらに、フィルタ22の濾過部26は、ケース21の上方に抜去可能であるので、濾過装置5の運転中に、目詰まりしたフィルタ22のみをケース21から取り外して洗浄することができる。
【0053】
(5)本実施の形態の濾過装置5では、ケース21の底面34が上流側から下流側に向かうに従って徐々に低くなっているので、同一サイズのフィルタ22を用いることにより、各段におけるフィルタ22の上端も、下流側に向かうに従って徐々に低くなる。このようにすれば、洗浄水W1が複数のフィルタ22の上端をいっぺんに乗り越えてしまうことがなく、上流側のフィルタ22から順番に乗り越えるよう構成できる。その結果、各フィルタ22によって洗浄水W1を適切に濾過することが可能となり、長時間にわたって十分な濾過能力を維持することができる。
【0054】
(6)本実施の形態の濾過装置5では、各フィルタ22の下端近傍に清掃用排液管38が設けられているので、ケース21内においてフィルタ22を洗浄した場合、その洗浄廃液を清掃用排液管38から効率よく排出することができる。
【0055】
(7)本実施の形態の塗装前処理システム1において、濾過装置5で濾過された洗浄水W1は、貯水タンク6に貯えられた後、圧送ポンプ7により車体洗浄装置2に圧送されるので、自動車ボディ13の洗浄水W1として再利用することができる。
【0056】
(8)本実施の形態の塗装前処理システム1では、回収ポンプ3と塗装前処理液用濾過装置5との間に鉄粉除去装置4が設けられている。従って、鉄粉除去装置4を使用して、洗浄水W1に含まれる比較的大粒の鉄粉を遠心力により効率よく除去することができる。また、塗装前処理液用濾過装置5におけるケース21の底部には、磁石41が着脱可能に設けられているので、洗浄水W1に残存している微粒子の鉄粉を磁力で確実に吸着することができる。このようにすれば、洗浄水W1に含まれる鉄粉の含有量が多い場合でも、鉄粉除去装置4において比較的大粒の鉄粉が確実に除去されるため、塗装前処理液用濾過装置5において鉄粉によりフィルタ22が目詰まりし難くなる。従って、塗装前処理システム1の処理能力を十分に高めることができる。
【0057】
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0058】
・上記実施の形態の濾過装置5では、ケース21内における各フィルタ22の上流側に、液流速減速手段としての上流堰部材31を設けるものであったが、これに限定されるものではない。例えば、注液部24の近傍に絞り弁などの液流速減速手段を設け、それにより洗浄水W1の流速を遅くするよう構成してもよい。なお、液流速減速手段としてはケース21外部に設けてもよい。
【0059】
・上記実施の形態の濾過装置5では、排水管25がケース21の底部に設けられていた。この排水管25の設置位置は、掃除等のメンテナンスを考慮したものであり、装置の設置場所などによって適宜変更することができる。例えば、ケース21の側面の所定の高さとなる位置に排水管25を設けてもよい。この場合、排水管25よりも下側の側面が洗浄水W1を堰き止める下流堰部材として機能するため、上記実施の形態のように、フィルタ22の下流側に下流堰部材32を設ける必要はない。
【0060】
・上記実施の形態の濾過装置5では、目詰まりしたフィルタ22をケース21から取り外して洗浄するものであったが、ケース21内にフィルタ22を設置した状態で目詰まりしたフィルタ22を洗浄可能に構成してもよい。その具体例を図9に示している。図9の濾過装置51では、フィルタ22の下流側面に対して高圧の洗浄液(高圧流体)を噴射する洗浄ノズル52(高圧流体噴射手段)と、その洗浄ノズル52を上下方向に昇降させる昇降装置53とを含む清掃装置54(フィルタ清掃手段)が設けられている。そして、目詰まりしたフィルタ22の洗浄時には、昇降装置53により洗浄ノズル52が下降され、フィルタ22の下流側面に洗浄液を噴射することで、そのフィルタ22に付着した繊維くずが洗い流されて除去される。そして、洗浄の終了時には、濾過処理の邪魔にならないように洗浄ノズル52が昇降装置53により上方に退避される。また、フィルタ清掃装置54としては、洗浄ノズル52に代えて、例えば、洗浄ブラシ55(剥離除去手段)を含む構成に変更してもよい。この場合、昇降装置53により洗浄ブラシ55が下降され、フィルタ22の上流側面に対応する位置で往復移動されることにより、フィルタ22に付着した繊維くずが機械的に剥離されて除去される。そして、洗浄の終了時には、濾過処理の邪魔にならないように洗浄ブラシ55が昇降装置53により上方に退避される。なお、図9では、上流側の1つのフィルタ22に対応してフィルタ清掃装置54が図示されているが、各段のフィルタ22毎にフィルタ清掃装置54を設けてもよい。また、フィルタ清掃装置54を上流側から下流側に移動可能に構成し、そのフィルタ清掃装置54によって各段のフィルタ22の洗浄を行えるようにしてもよい。
【0061】
・上記実施の形態の濾過装置5では、作業者が目詰まりしたフィルタ22を手で持ってケース21から取り外す構成であったが、これに限定するものではなく、図10に示される濾過装置61のように、ケース21からフィルタ22を自動的に上昇移動させるよう構成してもよい。具体的には、図10の濾過装置61は、各フィルタ22の間で洗浄水W1の液高(液面の高さ)を検出する複数の液高センサ62(液高判定手段)と、各フィルタ22を上昇移動させる複数のアクチュエータ63(フィルタ駆動手段)と、フィルタ22における目詰まりの発生を報知する報知装置64(例えば、警告ランプや警告ブザーなど)と、液高センサ62の検出結果に基づいてアクチュエータ63や報知装置64を駆動するためのコントローラ65(制御手段)とを備える。コントローラ65は、CPU、ROM、RAM、入出力ポート等からなる周知のコンピュータにより構成されている。この濾過装置61において、液高センサ62の検出結果に基づいて、洗浄水W1の液高が所定レベルよりも高いと判定されたとき、コントローラ65は、液高センサ62の下流側のフィルタ22が目詰まりしていると認識する。そして、コントローラ65は、アクチュエータ63を駆動することにより目詰まりの発生しているフィルタ22を上昇移動させる。またこのとき、コントローラ65は、報知装置64を駆動して警告ランプを点灯したり警告ブザーを鳴らしたりする。このようにすれば、目詰まりしていない後段側のフィルタ22に洗浄水W1がスムーズに流れるため、そのフィルタ22で繊維くずを的確に除去することができる。また、報知装置64の警告ランプや警告ブザーによって、フィルタ22の目詰まりを迅速に知ることができ、濾過装置61のメンテナンス作業を適切に行うことができる。
【0062】
また、2つの濾過装置61を並列に設けて、一方の濾過装置61の稼働中に他方の濾過装置61の清掃作業を行うように構成してもよい。具体的には、鉄粉除去装置4と各濾過装置61とを接続する流路の途中に流路切り替え用のバルブを設ける。そして、コントローラ65は、一方の濾過装置61の稼働中において、液高センサ62の検出結果に基づきフィルタ22の目詰まりを判断したときに、バルブを駆動することで洗浄水W1の供給流路を他方の濾過装置61側に切り替える。これにより、他方の濾過装置61を使用して洗浄水W1の濾過処理を行い、一方の濾過装置61では、目詰まりしたフィルタ22の清掃作業を行う。このようにすれば、塗装前処理システム1を停止させることなく、洗浄水W1の濾過処理を連続的に行うことができる。
【0063】
・上記各実施の形態の濾過装置5,51,61では、ケース21内において各フィルタ22はほぼ垂直に立設されていたが、例えば、下流側に鋭角に傾斜するよう各フィルタ22を設けてもよい。
【0064】
・上記実施の形態の塗装前処理システム1は、回収ポンプ3と濾過装置5との間に鉄粉除去装置4を備えるものであったが、これに限定されるものではない。例えば、車体洗浄装置2での使用済み洗浄水W1に含まれる鉄粉の含有量が少ない場合、その鉄粉を濾過装置5で十分に除去することができるので、鉄粉除去装置4を省略してもよい。また、濾過装置5のケース21内に洗浄水W1を十分に貯水できる場合には、貯水タンク6を省略してもよい。
【0065】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0066】
(1)請求項3において、前記流速減速手段は、前記複数のフィルタの上流側で前処理液を堰き止める上流堰部材であることを特徴とする塗装前処理液用濾過装置。
【0067】
(2)請求項4において、前記複数のフィルタの濾過部は、二重補強型ステンレスのメッシュ構造を有することを特徴とする塗装前処理液用濾過装置。
【0068】
(3)請求項4において、前記複数のフィルタは、その上部に取手を有することを特徴とする塗装前処理液用濾過装置。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】一実施の形態の塗装前処理システムを示す概略構成図。
【図2】塗装前処理液用濾過装置を示す平面図。
【図3】塗装前処理液用濾過装置を示す正面図。
【図4】(a)は、フィルタの濾過部を示す平面図、(b)は、その濾過部を示す一部断面図。
【図5】(a)は、フィルタの底部を固定するための固定部材の断面図、(b)は、フィルタの側部を固定するための固定部材の断面図。
【図6】塗装前処理液用濾過装置を示す側面図。
【図7】塗装前処理液用濾過装置を示す断面図。
【図8】塗装前処理液用濾過装置を示す断面図。
【図9】別の実施の形態の塗装前処理液用濾過装置を示す断面図。
【図10】別の実施の形態の塗装前処理液用濾過装置を示す断面図。
【符号の説明】
【0070】
1…塗装前処理システム
2…車体洗浄装置
3…液回収装置としての回収ポンプ
4…金属粉除去装置としての鉄粉除去装置
5,51,61…塗装前処理液用濾過装置
7…前処理液戻し装置としての圧送ポンプ
13…車体としての自動車ボディ
21…濾過装置筐体としてのケース
22…フィルタ
24…注液部
25…排液部としての排水管
26…濾過部
27…平板状メッシュ部材としての金網
31…下流堰部材
32…液流速減速手段としての上流堰部材
34…ケースの底面
38…清掃用排液手段としての清掃用排液管
41…金属粉除去部材としての磁石
52…高圧流体噴射手段としての洗浄ノズル
54…フィルタ清掃手段としての清掃装置
55…剥離除去手段としての洗浄ブラシ
62…液高判定手段としての液高センサ
63…フィルタ駆動手段としてのアクチュエータ
64…報知装置
65…制御手段としてのコントローラ
W1…前処理液としての洗浄水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗装前に車体を洗浄する車体洗浄装置から回収された前処理液を濾過して金属粉や繊維くずを除去する濾過装置であって、
注液部及び排液部を有し、前処理液を貯溜可能な濾過装置筐体と、
前記濾過装置筐体内にて前記注液部がある上流側から前記排液部がある下流側に向かって多段状にかつ所定の間隔を隔てて設けられた複数のフィルタと
を備え、前段のフィルタが目詰まりしたときには、当該前段のフィルタの上端を乗り越えた前処理液が後段のフィルタにより濾過されることを特徴とする塗装前処理液用濾過装置。
【請求項2】
前記複数のフィルタの下流側に配置され、液面が前記複数のフィルタの上端よりも低い位置となるように前処理液を堰き止める下流堰部材を備えたことを特徴とする請求項1に記載の塗装前処理液用濾過装置。
【請求項3】
前記複数のフィルタの上流側に配置され、前処理液の流速を遅くする液流速減速手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の塗装前処理液用濾過装置。
【請求項4】
前記複数のフィルタは、耐腐食性金属からなる平板状メッシュ部材を濾過部に有するとともに、前記濾過装置筐体から上方に抜去可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の塗装前処理液用濾過装置。
【請求項5】
前記複数のフィルタの下端を支持している前記濾過装置筐体の底面は、上流側から下流側に向かうに従って徐々に低くなっていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の塗装前処理液用濾過装置。
【請求項6】
前記複数のフィルタの下端近傍に設けられた清掃用排液手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の塗装前処理液用濾過装置。
【請求項7】
前記フィルタの下流側面に対して高圧流体を噴射することにより前記フィルタに付着した繊維くずを洗い流して除去する高圧流体噴射手段を含むフィルタ清掃手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の塗装前処理液用濾過装置。
【請求項8】
前記フィルタに付着した繊維くずを前記フィルタの上流側面から機械的に剥離して除去する剥離除去手段を含むフィルタ清掃手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の塗装前処理液用濾過装置。
【請求項9】
前記前処理液の液高を前記複数のフィルタ間でそれぞれ検出し、液高が所定レベルよりも高いか否かを判定する液高判定手段と、
前記液高判定手段によって液高が所定レベルよりも高いと判定されたときに、フィルタ駆動手段を駆動させて目詰まりの発生しているフィルタを上昇移動させる制御、及び、前記フィルタにおける目詰まりの発生を報知する報知装置を駆動させる制御のうちの少なくともいずれかを実行する制御手段と
を備えたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の塗装前処理液用濾過装置。
【請求項10】
塗装前に前処理液で車体を洗浄する車体洗浄装置と、
前記車体洗浄装置から前処理液を回収する液回収装置と、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の塗装前処理液用濾過装置と、
前記塗装前処理液用濾過装置によって濾過された前処理液を前記車体洗浄装置に圧送する前処理液戻し装置と
を備えることを特徴とする塗装前処理システム。
【請求項11】
前記液回収装置と前記塗装前処理液用濾過装置との間に、金属粉を遠心力で除去するための金属粉除去装置を備え、
前記塗装前処理液用濾過装置には、金属粉を磁力で吸着して除去する金属粉除去部材を設けたことを特徴とする請求項10に記載の塗装前処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−112920(P2009−112920A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287374(P2007−287374)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000110343)トリニティ工業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】