説明

塗装物の製造装置及び塗装物の製造方法

【課題】本発明は、表面に塗膜が形成された塗装物の製造装置及び塗装物の製造方法を提供する。
【解決手段】電磁誘導を利用して導電体100の表面に塗布された塗料110を乾燥させることで、導電体100の表面に塗膜が形成された塗装物を製造する塗装物製造装置1Aであって、表面に塗料110が塗布された導電体110を加熱する誘導加熱手段2と、誘導加熱手段2に電力を出力する電力出力手段5と、電力出力手段5により出力される電力の強さを制御可能な電力制御手段と、を備え、電力制御手段は、電力出力手段5に、導電体100の加熱が可能な第1加熱電力を所定間隔で間欠的に出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に塗膜が形成された塗装物の製造装置及び塗装物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表面に塗膜が形成された塗膜物を製造する場合、所定形状の構造物の表面に塗料を塗布し、この塗料を乾燥して塗膜を形成する。所定形状の構造物の表面に塗布された塗料は、塗布直後においては液状であるため、把持等して次の工程に搬送することは困難である。また、塗料が液状である場合に、この塗料の上に重ねて他の塗料を塗布することができない。このため、例えば、塗布された所定形状の構造物を一定時間放置するか、又は熱風等の所定の方法により加熱乾燥する必要がある。
【0003】
しかし、例えば自動車のホイール等の工業部品における塗料の乾燥工程では、常温で放置するセッティング工程に3分から5分、乾燥炉中で熱風加熱する乾燥工程に約25分、及び手で取扱える温度まで冷却する冷却工程に2分から5分の所要時間で塗膜が乾燥されており、塗料の塗布から手で取扱い可能になるまで約30分から40分の時間を要している。これら一連の工程のなかで、特に乾燥工程の占める割合は大きく、この乾燥工程にかかる時間の短縮化が望まれている。
【0004】
これに対し、塗料が塗布された所定形状の構造物を該塗料が乾燥可能な温度に短時間で加熱させる方法として、誘導加熱を利用した加熱装置が提案されている。例えば、短時間の加熱と同時に加熱対象である部品全体を均一に加熱するために、該部品の形状に応じ、加熱する面に沿うように変形が可能な螺旋状誘導コイルを有する誘導加熱装置が発明されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、従来技術では対象物の温度を短時間で急速に高温域へ上昇させる手段として誘導加熱が用いられてきたが、緩やかな昇温、または昇温後に一定温度を維持することは誘導加熱装置だけでは困難であり、急激な温度上昇用の誘導加熱装置と温度一定保持用の温風炉を組み合わせた方法が一般的であった(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平7−124512号公報
【特許文献2】特開平8−290111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の誘導加熱装置は、加熱対象の部品全体を均一に加熱するために、螺旋状誘導コイルが加熱対象の形状に応じて変形可能となっているが、この特許文献1の装置では加熱対象の形状が変わるたびに螺旋状誘導コイルの調整が必要になるため、加熱開始までに時間や手間がかかるという問題もある。また、様々な形状の構造物の加熱に対応できないという問題がある。
【0007】
そして、特許文献2では急激な温度上昇用の誘導加熱装置と温度一定保持用の温風炉を組み合わせているため、装置が大きくなる。また、加熱対象物を装置間で移動する必要が生じる。そして、これらが本発明の課題といってよい。
【0008】
本発明は、以上のような問題に鑑みてなされたものであり、表面に塗膜が形成された塗装物の製造装置及び塗装物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者は、上記目的を達成するため、電磁誘導を利用した加熱において、誘導コイル等に出力される電力を間欠的に出力することで加熱対象物を均一に加熱できることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
(1) 電磁誘導を利用して導電体の表面に塗布された塗料を乾燥させることで該導電体の表面に塗膜が形成された塗装物を製造する塗装物製造装置であって、表面に塗料が塗布された導電体を加熱する誘導加熱手段と、前記誘導加熱手段に電力を出力する電力出力手段と、前記電力出力手段により出力される電力の強さを制御可能な電力制御手段と、を備え、前記電力制御手段は、前記電力出力手段に、前記導電体の加熱が可能な第1加熱電力を所定間隔で間欠的に出力させる塗装物製造装置。
【0011】
(1)の塗装物製造装置は、電磁誘導を利用して導電体の表面に塗布された塗料を乾燥させることで導電体の表面に塗膜が形成された塗装物を製造する塗装物製造装置であって、表面に塗料が塗布された導電体を加熱する誘導加熱手段と、誘導加熱手段に電力を出力する電力出力手段と、電力出力手段により出力される電力の強さを制御可能な電力制御手段と、を備え、電力制御手段は、電力出力手段に、導電体の加熱が可能な第1加熱電力を所定間隔で間欠的に出力させる。
【0012】
(2) 電磁誘導を利用して導電体の表面に塗布された塗料を乾燥させることで該導電体の表面に塗膜が形成された塗装物を製造する塗装物製造装置であって、前記塗膜を形成するために表面に塗料が塗布された導電体を加熱する誘導加熱手段と、前記誘導加熱手段に電力を出力する電力出力手段と、前記電力出力手段により出力される電力の強さを制御可能な電力制御手段と、を備え、前記電力制御手段は、前記電力出力手段に、前記誘導加熱手段による前記導電体の加熱が可能な第1加熱電力と、前記第1加熱電力に連続して出力され第1加熱電力よりも弱い電力である第2加熱電力と、を含む所定の出力パターンを周期的に繰り返すよう電力を出力させる塗装物製造装置。
【0013】
(2)の塗装物製造装置は、電磁誘導を利用して導電体の表面に塗布された塗料を乾燥させることで導電体の表面に塗膜が形成された塗装物を製造する塗装物製造装置であって、塗膜を形成するために表面に塗料が塗布された導電体を加熱する誘導加熱手段と、誘導加熱手段に電力を出力する電力出力手段と、電力出力手段により出力される電力の強さを制御可能な電力制御手段と、を備え、電力制御手段は、電力出力手段に、誘導加熱手段による導電体の加熱が可能な第1加熱電力と、第1加熱電力に連続して出力され第1加熱電力よりも弱い電力である第2加熱電力と、を含む所定の出力パターンを周期的に繰り返すよう電力を出力させる。
【0014】
(3) 前記所定の出力パターンは、前記第1加熱電力と前記第2加熱電力とからなり、前記電力制御手段は、前記電力出力手段に前記第1加熱電力と前記第2加熱電力とが交互に繰り返されるよう電力を出力させる(2)に記載の塗装物製造装置。
【0015】
(3)の塗装物製造装置は、所定の出力パターンが、第1加熱電力と第2加熱電力とからなり、電力制御手段は、電力出力手段に第1加熱電力と第2加熱電力とが交互に繰り返されるよう電力を出力させる。
【0016】
(4) 前記誘導加熱手段は、前記導電体を囲むよう螺旋状に形成される(1)から(3)のいずれかに記載の塗装物製造装置。
【0017】
(4)の塗装物製造装置は、誘導加熱手段が、導電体を囲むよう螺旋状に形成される。
【0018】
(5) 前記誘導加熱手段は、略平面状に巻回されるように形成されると共に、所定の面が前記導電体に対向するよう配置される(1)から(3)のいずれかに記載の塗装物製造装置。
【0019】
(5)の塗装物製造装置は、誘導加熱手段が、略平面状に巻回されるように形成されると共に、所定の面が導電体に対向するよう配置される。
【0020】
(6) 電磁誘導を利用して導電体の表面に塗布された塗料を乾燥させることで導電体の表面に塗膜が形成された塗装物を製造する塗装物製造方法であって、前記導電体の表面に塗料を塗布する塗布工程と、所定の誘導加熱手段が、表面に塗料が塗布された導電体を加熱する誘導加熱工程と、を含み、前記誘導加熱工程は、前記誘導加熱手段に前記導電体の加熱が可能な第1加熱電力が所定間隔で間欠的に出力されることで、前記誘導加熱手段が前記導電体を間欠的に加熱する塗装物製造方法。
【0021】
(6)の塗装物製造方法は、電磁誘導を利用して導電体の表面に塗布された塗料を乾燥させることで導電体の表面に塗膜が形成された塗装物を製造する塗装物製造方法であって、導電体の表面に塗料を塗布する塗布工程と、所定の誘導加熱手段が、表面に塗料が塗布された導電体を加熱する誘導加熱工程と、を含み、誘導加熱工程は、誘導加熱手段に導電体の加熱が可能な第1加熱電力が所定間隔で間欠的に出力されることで、誘導加熱手段が導電体を間欠的に加熱する。
【0022】
(7) 電磁誘導を利用して導電体の表面に塗布された塗料を乾燥させることで導電体の表面に塗膜が形成された塗装物を製造する塗装物製造方法であって、前記導電体の表面に塗料を塗布する塗布工程と、所定の誘導加熱手段が、表面に塗料が塗布された導電体を加熱する誘導加熱工程と、を含み、前記誘導加熱工程は、前記誘導加熱手段に導電体の加熱が可能な第1加熱電力と、前記第1加熱電力に連続して出力され前記第1加熱電力よりも弱い電力である第2加熱電力と、を含む所定の出力パターンを周期的に繰り返すよう電力が出力されることで、前記誘導加熱手段が前記導電体を所定の加熱パターンで加熱する塗装物製造方法。
【0023】
(7)の塗装物製造方法は、電磁誘導を利用して導電体の表面に塗布された塗料を乾燥させることで導電体の表面に塗膜が形成された塗装物を製造する塗装物製造方法であって、導電体の表面に塗料を塗布する塗布工程と、所定の誘導加熱手段が、表面に塗料が塗布された導電体を加熱する誘導加熱工程と、を含み、誘導加熱工程は、誘導加熱手段に導電体の加熱が可能な第1加熱電力と、第1加熱電力に連続して出力され第1加熱電力よりも弱い電力である第2加熱電力と、を含む所定の出力パターンを周期的に繰り返すよう電力が出力されることで、誘導加熱手段が導電体を所定の加熱パターンで加熱する。
【0024】
(8) 電磁誘導を利用して所定の導電体を加熱する誘導加熱装置であって、前記導電体を加熱する誘導加熱手段と、前記誘導加熱手段に電力を出力する電力出力手段と、前記電力出力手段により出力される電力の強さを制御可能な電力制御手段と、を備え、前記電力制御手段は、前記電力出力手段に、前記導電体の加熱が可能な第1加熱電力を所定間隔で間欠的に出力させる誘導加熱装置。
【0025】
(8)の誘導加熱装置は、電磁誘導を利用して所定の導電体を加熱する誘導加熱装置であって、導電体を加熱する誘導加熱手段と、誘導加熱手段に電力を出力する電力出力手段と、電力出力手段により出力される電力の強さを制御可能な電力制御手段と、を備え、電力制御手段は、電力出力手段に、導電体の加熱が可能な第1加熱電力を所定間隔で間欠的に出力させる。
【0026】
(9) 電磁誘導を利用して所定の導電体を加熱する誘導加熱装置であって、前記導電体を加熱する誘導加熱手段と、前記誘導加熱手段に電力を出力する電力出力手段と、前記電力出力手段により出力される電力の強さを制御可能な電力制御手段と、を備え、前記電力制御手段は、前記電力出力手段に、前記誘導加熱手段による前記導電体の加熱が可能な第1加熱電力と、前記第1加熱電力に連続して出力され前記第1加熱電力よりも弱い電力である第2加熱電力と、を含む所定の出力パターンを周期的に繰り返すよう電力を出力させる誘導加熱装置。
【0027】
(9)の誘導加熱装置は、電磁誘導を利用して所定の導電体を加熱する誘導加熱装置であって、導電体を加熱する誘導加熱手段と、誘導加熱手段に電力を出力する電力出力手段と、電力出力手段により出力される電力の強さを制御可能な電力制御手段と、を備え、電力制御手段は、電力出力手段に、誘導加熱手段による導電体の加熱が可能な第1加熱電力と、第1加熱電力に連続して出力され第1加熱電力よりも弱い電力である第2加熱電力と、を含む所定の出力パターンを周期的に繰り返すよう電力を出力させる。
【0028】
(10) 電磁誘導を利用して所定の導電体を加熱する誘導加熱方法であって、所定の誘導加熱手段が、導電体を加熱する誘導加熱工程を含み、誘導加熱工程は、誘導加熱手段に導電体の加熱が可能な第1加熱電力が所定間隔で間欠的に出力されることで、誘導加熱手段が導電体を間欠的に加熱する誘導加熱方法。
【0029】
(10)の誘導加熱方法は、電磁誘導を利用して所定の導電体を加熱する誘導加熱方法であって、所定の誘導加熱手段が、導電体を加熱する誘導加熱工程を含み、誘導加熱工程は、誘導加熱手段に導電体の加熱が可能な第1加熱電力が所定間隔で間欠的に出力されることで、誘導加熱手段が導電体を間欠的に加熱する。
【0030】
(11) 電磁誘導を利用して所定の導電体を加熱する誘導加熱方法であって、所定の誘導加熱手段が、前記導電体を加熱する誘導加熱工程を含み、前記誘導加熱工程は、前記誘導加熱手段に導電体の加熱が可能な第1加熱電力と、第1加熱電力に連続して出力され前記第1加熱電力よりも弱い電力である第2加熱電力と、を含む所定の出力パターンを周期的に繰り返すよう電力が出力されることで、前記誘導加熱手段が前記導電体を所定の加熱パターンで加熱する誘導加熱方法。
【0031】
(11)の誘導加熱方法は、電磁誘導を利用して所定の導電体を加熱する誘導加熱方法であって、所定の誘導加熱手段が、導電体を加熱する誘導加熱工程を含み、誘導加熱工程は、誘導加熱手段に導電体の加熱が可能な第1加熱電力と、第1加熱電力に連続して出力され第1加熱電力よりも弱い電力である第2加熱電力と、を含む所定の出力パターンを周期的に繰り返すよう電力が出力されることで、誘導加熱手段が導電体を所定の加熱パターンで加熱する。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、表面に塗膜が形成された塗装物の製造装置及び塗装物の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0034】
図1は、本発明の第1実施形態における塗装物の製造装置を説明する斜視図である。図2は、図1における塗装物の製造装置に加熱される金属板の配置及び熱伝導を示す図である。図3は、図1におけるコイル2に出力される電圧の第1パターンを示す図である。図4は、図1におけるコイル2に出力される電圧の第2パターンを示す図である。図5は、第1実施形態における塗装物の製造装置に電圧が第1パターンで出力された場合の温度上昇と、電圧が連続的に出力された場合の温度上昇を示す図である。図6は、第1実施形態における塗装物の製造装置による実施例Aの各結果を示す図である。図7は、本発明の第2実施形態における塗装物の製造装置を示す図である。図8は、第2実施形態における塗装物の製造装置による第1加熱例を示すグラフである。図9は、第2実施形態における塗装物の製造装置による第2加熱例を示すグラフである。図10は、第2実施形態における塗装物の製造装置による第3加熱例を示すグラフである。図11は、第2実施形態における塗装物の製造装置に電圧が第1パターンで出力された場合の温度上昇と、電圧が連続的に出力された場合の温度上昇を示すグラフである。図12は、実施例Bにおける各評価を示す表である。図13は、第2実施形態における塗装物の製造装置による実施例Cの各結果を示す図である。
【0035】
[1]塗装物の製造装置
図1から図14により、本発明における塗装物の製造装置について説明する。
【0036】
[1.1]
図1から図5により、第1実施形態における塗装物の製造装置について説明する。
【0037】
[1.2]塗装物
本実施形態における製造装置の製造対象は、表面に塗膜が形成された塗装物である。塗装物は、塗膜を形成するための塗料が塗布された所定形状の部品等の構造物を、所定の加熱手段により加熱乾燥することで製造される。本発明における塗装物の製造装置は、電磁誘導を利用したコイル等の誘導加熱手段により、所定形状の構造物を加熱することで塗料を乾燥させ、表面に塗膜が形成された塗装物を製造する。本発明のおける所定形状の構造物は導電性であり、上記誘導加熱手段により昇温される。
【0038】
所定形状の構造物の表面に塗膜を形成されるために塗布される塗料は、形成される塗膜の性状等により適宜選択し、調整することができる。詳細には、後述の通りである。
【0039】
[1.3]第1実施形態
[1.3.1]製造装置の概要
図1に示すように、第1実施形態における塗装物の製造装置1Aは、表面に塗料110が塗布された金属板100である対象物10の外周を巻回するように形成される誘導加熱手段であるコイル2と、コイル2に該コイル2を形成する電線20を介して電力を出力する電源装置5と、電源装置5に内蔵され該電源装置5から出力される電力の強さを制御可能な電力制御手段である不図示の電力制御部と、を備える。対象物10に塗布された塗料が乾燥されることで、表面に塗膜が形成された塗装物が製造される。
【0040】
誘導加熱手段であるコイル2は、所定の電線20を螺旋状に巻回するようにして形成される。好ましくは、コイル2は、対象物10の形状や大きさに応じて、その巻回数や形状が調整される。ここで、電線20として、導水用の中空部が形成された中空状の銅線を例示できる。
【0041】
電源装置5は、電線20を介してコイル2に電力を出力すると共に、該電源装置5に内蔵される不図示の電力制御部によりコイル2に出力される電力の強さや出力パターンを制御する。具体的には、図3及び図4に示されるように、不図示の電力制御部は、電源装置5から所定の出力パターンで電力を出力させる。
【0042】
図2(a)(b)に示すように、対象物10は、コイル2により誘導加熱される。図2(a)に示すように、対象物10は、コイル2に近い位置である幅方向における両端側から加熱される。そして、加熱により生じた熱は、矢印H1、H2で示されるように幅方向における中心へ熱伝導する。また、図2(b)に示すように、対象物10は、長手方向における中心側から加熱される。そして、加熱により生じた熱は、矢印H3、H4H長手方向における両端側へ熱伝導する。
【0043】
本実施形態における塗装物の製造装置1Aは、コイル2に所定の出力パターン、例えば、図3及び図4に示すような出力パターンで電力を出力することで、加熱と熱伝導とのバランスをとり、対象物10を短時間で所定温度に加熱すると共に全体を均一に加熱する。
【0044】
[1.3.2]電力出力パターン及び加熱状態
図3及び図4により、電源装置5からコイル2に出力される電力の出力パターンについて説明する。
【0045】
図3は、所定強さの第1加熱電力が、間欠的に出力される場合における電力の出力パターンを説明する図である。第1電力の出力の変化は、所定強さの電流と図3に示される電圧の変化により示される。具体的には、対象物10を誘導加熱可能な第1加熱電力をt1a時間出力する第1加熱電力出力域51と、電力をt1b時間出力しない非電力出力域52と、を交互に繰り返すように電力を出力する。言い換えると、第1加熱電力をt1a時間出力する第1加熱電力出力域51と、電力をt1b時間出力しない非電力出力域52とを1周期(t2時間)として、これを連続的に繰りかえすよう電力を出力する。
【0046】
第1加熱電力が出力される第1加熱電力出力域51において、図1及び図2におけるコイル2は、対象物10を加熱する。第1加熱電力が出力されない非電力出力域52においては、コイル2は、対象物10を加熱しない。この非電力出力域52では、図2に示すように、第1加熱電力出力域51で加熱された熱が隣接する部位に熱伝導(拡散)する。
【0047】
このように、第1加熱電力出力域51における加熱と、非電力出力域52における非加熱及び熱伝導とにより、対象物10である表面に塗料110が塗布された金属板100は、短時間で全体が均一に加熱される。
【0048】
図4は、所定強さの第1加熱電力と、第1加熱電力に連続して出力され該第1加熱電力よりも弱い電力である第2加熱電力とが交互に出力される場合における電力の出力パターンを説明する図である。第1電力及び第2電力の出力の変化は、所定強さの電流と図4に示される電圧の変化により示される。具体的には、対象物10を誘導加熱可能な第1加熱電力をt1a時間出力する第1加熱電力出力域53と、対象物10を実質的に加熱しないか又は弱く加熱する第2加熱電力をt1b時間出力する第2加熱電力出力域54と、を交互に繰り返すように電力を出力される電力である。
【0049】
言い換えると、第1加熱電力をt1a時間出力する第1加熱電力出力域53と、第2加熱電力をt1b時間出力する第2加熱電力出力域54とを1周期(t2時間)として、これを連続的に繰りかえすよう電力を出力する。
【0050】
第1加熱電力が出力される第1加熱電力出力域53において、図1及び図2におけるコイル2は、対象物10を加熱する。第2加熱電力が出力される第2加熱電力出力域54においては、コイル2は、対象物10を実質的に加熱しないか、又は弱く加熱する。この第2加熱電力出力域54では、図2に示すように、第1加熱電力出力域51で加熱された熱が隣接する部位に伝導(拡散)する。ここで、対象物10を弱く加熱する場合における第2加熱電力は、例えば、コイル2により、対象物10からの放熱による温度降下や伝熱による温度降下を補うような加熱が可能な電力である。
【0051】
このように、第1加熱電力出力域53における加熱と、第2加熱電力出力域54における熱伝導により、対象物10である表面に塗料110が塗布された金属板100は、短時間で全体が均一に加熱される。また、第2加熱電力により放熱による熱のロス等を補うように加熱することで、対象物10を全体的に均一に加熱すると共に、より短時間で所定温度に加熱することができる。
【0052】
図5に示すように、図1及び図2における対象物10を、図3のように第1加熱電力を間欠的に出力して加熱した場合(A)と、第1加熱電力を連続的に出力して加熱した場合(B)とでは、第1加熱電力を連続的に出力して加熱した場合(B)の方が短時間で所定温度(例えば、150℃(433.15K))に昇温される。
【0053】
しかし、第1加熱電力を連続的に出力して対象物を短時間で昇温させた場合には、表面に塗布された塗料が乾燥することで形成される塗膜の品質が不均一であり、かつ、全体的に品質が低い。これに比べて、第1加熱電力を間欠的に出力して加熱した場合には、塗膜は全体的に均一であり、かつ、塗膜の品質も高い。
【0054】
具体的には、第1加熱電力を連続的に出力して加熱した場合、対象物10における所定位置の温度が上昇して全体として不均一に加熱されるため、塗膜の品質が不均一になる。そして、第1加熱電力を間欠的に出力して加熱した場合、対象物10は全体的に均一に加熱されるため、塗膜の品質が均一になる。
【0055】
更には、第1加熱電力を連続的に出力して加熱した場合、表面に塗布された塗料の乾燥速度よりも速く昇温されるため、いわゆるワキ等が発生し塗膜の品質が低くなる。これに対し、第1加熱電力を間欠的に出力して加熱した場合、表面に塗布された塗料の乾燥速度を考慮した昇温速度で加熱することができ、ワキ等の発生を抑制し塗膜の品質を高くすることができる。
【0056】
[1.4]第2実施形態
[1.4.1]製造装置の概要
図7に示すように、第2実施形態における塗装物の製造装置1Bは、表面に塗料110が塗布された金属板100である対象物10の下側に配置され、略平板状に巻回される板状コイル3と、板状コイル3に該板状コイル3を形成する電線20を介して電力を出力する電源装置5と、電源装置5に内蔵され該電源装置5から出力される電力の強さを制御可能な電力制御手段である不図示の電力制御部と、を備える。対象物10に塗布された塗料が乾燥されることで、表面に塗膜が形成された塗装物が製造される。
【0057】
誘導加熱手段である板状コイル3は、所定の電線20を略板状に巻回するようにして形成される。好ましくは、板状コイル3は、対象物10の形状や大きさに応じて、その巻回数や大きさが調整される。ここで、電線20として導水用の中空部が形成された中空状の銅線を例示できる。
【0058】
電源装置5は、電線20を介して板状コイル3に電力を出力すると共に、該電源装置5に内蔵される不図示の電力制御部により板状コイル3に出力される電力の強さや出力パターンを制御する。具体的には、図3及び図4に示されるように、不図示の電力制御部は、電源装置5から所定の出力パターンで電力を出力させる。
【0059】
本実施形態における塗装物の製造装置1Bは、第1実施形態における製造装置1Aと同様に、板状コイル3に所定の出力パターン、例えば、図3及び図4に示すような出力パターンで電力を出力することで、加熱と熱伝導とのバランスをとり、対象物10を短時間で所定温度に加熱すると共に全体を均一に加熱する。
【0060】
[1.4.2]電力出力パターン及び加熱状態
図8から図10に、第2実施形態における塗装物の製造装置1Bにより、図3に示す電力出力パターンで、図7における電源装置5から第1加熱電力が間欠的に出力される場合における対象物10の温度変化を示す。
【0061】
図8から図10は、図7の対象物10における点a、点b、点cそれぞれの温度変化を示すグラフである。各図におけるΔtは、各時間における点a、点b、点cの最も高い温度と最も低い温度との差を示す。
【0062】
図8は、図3における第1加熱電力を出力する出力時間t1aと、第1加熱電力を出力しない出力時間t1bとの関係が好適である場合の温度変化グラフである。つまり、所定位置の加熱と熱伝導のバランスが良く、全体的に均一に加熱されている場合の温度変化グラフである。図8で示されるような温度変化で昇温される場合、対象物10が全体的に均一に加熱されることから、品質の高い塗膜が形成される。
【0063】
図9は、図3における第1加熱電力を出力する出力時間t1aが、第1加熱電力を出力しない出力時間t1bに対して長すぎる場合の温度変化グラフである。つまり、加熱時間が熱伝導に必要な所定時間よりも長いため、加熱される所定位置から他の位置に熱が伝導して全体の温度が均一化される前に更に加熱されるため、対象物10の温度が不均一になる。更に、対象物10の昇温が急すぎるため、ワキ等が生じて形成される塗膜の品質が低くなる場合がある。
【0064】
図10は、図3における第1加熱電力を出力する出力時間t1aと、第1加熱電力を出力しない出力時間t1bとの関係が好適であるが、それぞれの時間が長すぎるため、加熱時間全体が長くなった場合の温度変化グラフである。図8に示される温度変化で加熱された場合と比べると、塗膜の品質は同等であるが、塗料を乾燥させて塗膜を形成する時間が長くなる。つまり、図8に示される温度変化で加熱された場合に比べ、誘導加熱による昇温時間の短縮というメリットが少なくなる。
【0065】
ここで、本発明の塗装物の製造装置に供給される加熱電力の強さや出力パターンは、例えば、対象物10の大きさ、形状及び材質や、誘導加熱手段の形状、大きさ及び対象物10との距離等により決定される。また、誘導加熱手段による加熱能力は、例えば、電圧、電流、周波数、出力時間等により調整される。
【0066】
[1.5]塗装
塗膜を形成するために塗布される塗料としては、所定の熱硬化性の粉体塗料、溶剤塗料、水性塗料等を例示できる。熱硬化性の粉体塗料としては、例えばアクリル系粉体塗料等を例示できる。熱硬化性の溶剤塗料としては、例えばアクリルメラミン系溶剤塗料等を例示できる。熱硬化性の水性塗料としては、例えば水溶性アクリル系塗料、アクリルエマルション系塗料等を例示できる。
【0067】
上述のような塗料を用いることができるが、本発明における塗装物の製造装置は、水性塗料が用いられる場合において特に好適である。本発明における塗装物の製造装置は、高い熱量を生じさせることができるため、比熱が高い水を多く含む水性塗料を乾燥させ塗膜を形成するのに適している。また、本発明における塗膜物の製造装置によれば、塗膜の内側、言い換えると対象物側から水性塗料を加熱することができるので、水性塗料において生じやすいワキ等を抑制しながら塗膜を形成することができる。
【0068】
塗料を乾燥して塗膜を形成するためには、塗料を塗布する工程と、塗布した塗料を乾燥する乾燥工程とが必要である。ここで、乾燥工程における塗料の乾燥には、本発明における塗装物の製造装置を使用することができる。乾燥工程は、塗装物の製造工程に含まれる工程である。
【0069】
[2]塗装物製造方法
本発明における塗装物製造方法は、電磁誘導を利用して導電体の表面に塗布された塗料を乾燥させることで導電体の表面に塗膜が形成された塗装物を製造する塗装物製造方法であって、導電体の表面に塗料を塗布する塗布工程と、所定の誘導加熱手段が、表面に塗料が塗布された導電体を加熱する誘導加熱工程と、を含み、誘導加熱工程は、誘導加熱手段に導電体の加熱が可能な第1加熱電力が所定間隔で間欠的に出力されることで、誘導加熱手段が導電体を間欠的に加熱する。本発明における各要件の内容は、上述した塗装物の製造装置における記載を援用できる。
【0070】
また、本発明における塗装物製造方法は、電磁誘導を利用して導電体の表面に塗布された塗料を乾燥させることで導電体の表面に塗膜が形成された塗装物を製造する塗装物製造方法であって、導電体の表面に塗料を塗布する塗布工程と、所定の誘導加熱手段が、表面に塗料が塗布された導電体を加熱する誘導加熱工程と、を含み、誘導加熱工程は、誘導加熱手段に導電体の加熱が可能な第1加熱電力と、第1加熱電力に連続して出力され第1加熱電力よりも弱い電力である第2加熱電力と、を含む所定の出力パターンを周期的に繰り返すよう電力が出力されることで、誘導加熱手段が導電体を所定の加熱パターンで加熱する。本発明における各要件の内容は、上述した塗装物の製造装置における記載を援用できる。
【0071】
[3]誘導加熱装置
本発明における誘導加熱装置は、電磁誘導を利用して所定の導電体を加熱する誘導加熱装置であって、導電体を加熱する誘導加熱手段と、誘導加熱手段に電力を出力する電力出力手段と、電力出力手段により出力される電力の強さを制御可能な電力制御手段と、を備え、電力制御手段は、電力出力手段に、導電体の加熱が可能な第1加熱電力を所定間隔で間欠的に出力させる。本発明における各要件の内容は、上述した塗装物の製造装置における記載を援用できる。
【0072】
また、本発明における誘導加熱装置は、電磁誘導を利用して所定の導電体を加熱する誘導加熱装置であって、導電体を加熱する誘導加熱手段と、誘導加熱手段に電力を出力する電力出力手段と、電力出力手段により出力される電力の強さを制御可能な電力制御手段と、を備え、電力制御手段は、電力出力手段に、誘導加熱手段による導電体の加熱が可能な第1加熱電力と、第1加熱電力に連続して出力され第1加熱電力よりも弱い電力である第2加熱電力と、を含む所定の出力パターンを周期的に繰り返すよう電力を出力させる。本発明における各要件の内容は、上述した塗装物の製造装置における記載を援用できる。
【0073】
[4]誘導加熱方法
本発明の誘導加熱方法は、電磁誘導を利用して所定の導電体を加熱する誘導加熱方法であって、所定の誘導加熱手段が、導電体を加熱する誘導加熱工程を含み、誘導加熱工程は、誘導加熱手段に導電体の加熱が可能な第1加熱電力が所定間隔で間欠的に出力されることで、誘導加熱手段が導電体を間欠的に加熱する。本発明における各要件の内容は、上述した塗装物の製造装置における記載を援用できる。
【0074】
また、本発明の誘導加熱方法は、電磁誘導を利用して所定の導電体を加熱する誘導加熱方法であって、所定の誘導加熱手段が、導電体を加熱する誘導加熱工程を含み、誘導加熱工程は、誘導加熱手段に導電体の加熱が可能な第1加熱電力と、第1加熱電力に連続して出力され第1加熱電力よりも弱い電力である第2加熱電力と、を含む所定の出力パターンを周期的に繰り返すよう電力が出力されることで、誘導加熱手段が導電体を所定の加熱パターンで加熱する。本発明における各要件の内容は、上述した塗装物の製造装置における記載を援用できる。
【実施例】
【0075】
次に、本発明を実施例および比較例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0076】
<実施例A>
図1に示される塗装物の製造装置1Aを用いて、図6に示される条件により塗装物を製造した。この塗装物の製造装置1Aによる加熱中における対象物10の温度を測定して昇温状況及び温度保持状況を観察した。また、各条件で加熱乾燥され形成された塗膜を下記評価基準により評価した。それらの結果を図6の表に示す。
【0077】
図6における表に基づいて、本実施例の各条件等を以下に説明する。
対象物10:金属製の平板(長さ150mm、幅70mm、厚さ0.8mm)
コイル 2:電線が螺旋状に巻回されたコイル(楕円筒状)
:長径φ80mm、短径40mm
距 離 :コイル2から金属製の平板までの距離(最大20mm、最小5mm)
電線20 :中空状の銅線
:直径φ8mm(導水用の中空部:φ6mm)
加熱電力 :出力パターンは図3に示すよう電力を間欠的に出力する
:電圧(V)、電流(A)、周波数f(Hz)、出力時間(t1a)、
:断続比率(t1a/t2)は、図6における表中の実施例No.ごとの
数値を参照
:昇温・保持:図6における表中の実施例No.ごとの数値を参照
:図1における点a、点b、点c、点dの各位置で温度を測定
:各点の平均温度を対象物における温度とする
:最も高い温度と最も低い温度との差を温度差とする
塗 料 :メラミン系水性塗料
(日本ペイント社製、商品名:「オーデエコラインS―100」)
:塗装条件:スプレー塗装/ウェット膜厚は50マイクロメータ
【0078】
<塗膜評価基準>
下記5段階で塗膜を評価した。
◎塗膜異常(ワキ、ピン、ヘコミ)が全く見当たらない
○塗膜異常と判断されるものがφ10mm範囲に1個ある
△塗膜異常と判断されるものがφ10mm範囲に2個から5個ある
×塗膜異常と判断されるものがφ10mm範囲に5個より多くある
××塗膜異常が多発と判断される
【0079】
<結果>
実施例No.1及び実施例No.2における塗膜評価は、乾燥焼付不良である。実施例No.1及び実施例No.2は、断続比率が小さいため、十分な乾燥焼付け温度にならず良好な塗膜が形成されなかった。
【0080】
実施例No.7及び実施例No.8における塗膜評価は、××である。実施例No.7及び実施例No.8は、出力時間t1aが長く、かつ、断続比率(t1a/t2)が大きいため、昇温時間が短すぎる共に全体が不均一に昇温される。このため、形成される塗膜にワキ、ピン、ヘコミ等の塗膜異常が多発した。
【0081】
実施例No.4おける塗膜評価は、△である。実施例No.4における出力時間t1aや断続比率(t1a/t2)は適当であるが、電力(電圧、電流)が大きいため、昇温時及び保持時における温度差が大きくなり、全体が均一に加熱等されていない。このため、形成される塗膜にワキ、ピン、ヘコミ等の塗膜異常が少し発生した。
【0082】
実施例No.3及び実施例No.6おける塗膜評価は、○である。実施例No.3及び実施例No.6は、電力は適当であるが、断続比率(t1a/t2)が小さいため昇温時や温度保持時における温度差が少し大きく、塗膜評価が劣る結果となっている。
【0083】
実施例No5における塗膜評価は、◎である。実施例No.5における出力時間t1aや断続比率(t1a/t2)は適当であり、かつ、電力も適当である。また、温度差も、他の実施例に比べて小さい。このため、本実施例における塗膜評価は好適な評価となっている。
【0084】
また、上記結果を含め、実施例Aにおける各条件の数値範囲等について下記に説明する。電圧は、40Vから300Vであることが好ましい。電圧が40V以下の場合には、目標とする温度の到達できない。また、電圧が300V以上の場合には、極めて短時間に目標温度に到達し、更にこの目標温度を越えてしまうので該目標温度に全体を均一に保持することが困難である。
【0085】
電流は、1.5Aから50Aであることが好ましい。電流が1.5A以下の場合には、目標とする温度の到達できない。また、電流が50A以上の場合には、極めて短時間に目標温度に到達し、更にこの目標温度を越えてしまうので該目標温度に全体を均一に保持することが困難である。
【0086】
周波数は、5KHzから100KHzであることが好ましい。周波数が5KHz以下の場合には、目標とする温度の到達できない。また、周波数が100KHz以上の場合には、極めて短時間に目標温度に到達し、更にこの目標温度を越えてしまうので該目標温度に全体を均一に保持することが困難である。
【0087】
出力時間t1aは、0.1から5秒であることが好ましい。また、出力周期t2に対する出力時間t1aである断続比率(t1a/t2)は、0.05から2.0であることが好ましい。また、昇温時間は、80秒から140秒であることが好ましい。昇温及び保持における温度差は、10℃以下、好ましくは5℃以下である場合が好ましい。
【0088】
ここで、上記数値は、本実施例Aにおける数値であり、例えば、対象物の大きさ、形状、材質が変更した場合には、上記数値は適宜変化する。例えば、本実施例における金属製の平板の面積が大きくなる場合、電圧、電流、周波数等を大きくすることが必要であり、上記好適な数値範囲も変化する。また、例えば、金属製の平板の厚さが大きくなると、電圧、電流、周波数、出力時間t1a、出力周期t2に対する出力時間t1aを大きくする必要があり、上記好適な数値範囲も変化する。
【0089】
また、コイル2の外径が大きくなると、対象物10である金属製の平板との距離が長くなるので、同じ条件でも緩やかな昇温となり、例えば、150℃に昇温するまでの時間が長くなる。逆に、コイル2の外径が大きくなると、対象物10である金属製の平板との距離が短くなるので、同じ条件でも急な昇温となり、例えば、150℃に昇温するまでの時間が短くなる。
【0090】
<実施例B>
図7(a)(b)に示される塗装物の製造装置1Bを用いて、下記に示す条件により塗装物を製造した。図11には、対象物10である金属製の平板の温度変化等が示される。図12には、所定厚さで塗布された塗料を熱風で昇温させた場合と、誘導加熱で昇温させた場合とにおける塗膜評価の結果を示す。
【0091】
本実施例の各条件等を以下に説明する。
対象物10 :金属製の平板(長さ150mm、幅70mm、厚さ0.8mm)
板状コイル3 :電線が略平板状に巻回されたコイル
:外径φ180、内径φ70
距 離 :板状コイル3から金属製の平板までの距離:30mm
電線20 :中空状の銅線
:直径φ8mm(導水用の中空部:φ6mm)
加熱電力 :出力パターンは図3に示すように電力を間欠的に出力する
:電圧250V、電流8A、周波数50kHz、
出力時間t1a=1秒、非出力時間=3秒、出力周期t2=4秒、
断続比率(t1a/t2)=0.25
昇温・保持:
実験A:熱風で150℃まで昇温(5分間)、熱風で150℃に保持(20分間)
実験B:誘導加熱で150℃まで昇温(3分間)、熱風で150℃に保持(20分間)
温度測定 :図7における点a、点b、点c、点dの各位置で温度を測定
:最も高い温度と最も低い温度との差を温度差Δtとする
:室内の温度をRとする
塗 料 :メラミン系水性塗料
(日本ペイント社製、商品名:オーデエコライン100」)
:塗装条件:スプレー塗装
:平均膜厚は図12に示す通りである
セティング:図12に示す通りである。
【0092】
<塗膜評価基準>
下記5段階で塗膜を評価した。
◎塗膜異常(ワキ、ピン、ヘコミ)が全く見当たらない
○塗膜異常と判断されるものがφ10mm範囲に1個ある
△塗膜異常と判断されるものがφ10mm範囲に2個から5個ある
×塗膜異常と判断されるものがφ10mm範囲に5個より多くある
××塗膜異常が多発と判断される
【0093】
<誘導加熱による昇温>
図11に示すように、図7における塗装物の製造装置1Bにより加熱された金属製の平板は、全体的に均一に加熱される。具体的には、図7における点a、点b、点c、点dが大きな温度差Δtなく加熱される。具体的には、金属製の平板は、Δtを約10℃以内に維持しながら加熱される。本実施例において金属製の平板は、約3分間で150℃に昇温される。
【0094】
ここで、図3に示すような間欠的な出力ではなく電力を連続的に出力した場合には、30秒から40秒という短い時間で加熱される。電力を連続的に出力した場合、このように短時間で加熱することができるが、全体的に均一に加熱することができず、昇温速度にムラが生じる。この昇温のムラが塗膜の不均一性やワキ等を生じさせる。
【0095】
<結果>
実施例aと実施例bとを比較する。実施例aは、平均塗膜が13.7μmでセティング時間が10分間である。実施例bは、平均塗膜が14.7でセティング時間が10分間である。塗膜評価は、実施例a及び実施例bの塗膜評価は共に◎である。塗膜が薄い場合には、熱風加熱で昇温した場合でも、また、誘導加熱で昇温した場合でも同様に良好な塗膜が形成された。
【0096】
実施例cと実施例dとを比較する。実施例cは、平均塗膜が52.3μmでセティング時間が10分間である。実施例dは、平均塗膜が43.7μmでセティング時間が10分間である。塗膜評価は、実施例cが××であり、実施例dが◎である。塗膜が厚い場合には、誘導加熱で昇温した場合には良好な塗膜が形成されたが、熱風加熱で昇温した場合には、塗膜異常が多発した。
【0097】
実施例eと実施例fとを比較する。実施例eは、平均塗膜が42.9μmでセティング時間が10分間である。実施例fは、平均塗膜が41.6μmでセティング時間が10分間である。塗膜評価は、実施例cが×であり、実施例dが◎である。上記と同様に、塗膜が厚い場合には、誘導加熱で昇温した場合には良好な塗膜が形成されたが、熱風加熱で昇温した場合には、塗膜異常が多発した。ここで、実施例eは、実施例cよりも塗膜が薄いため塗膜に生じる異常が少ない。このため、実施例eは実施例よりも塗膜評価の結果がよい。
【0098】
実施例gと実施例hとを比較する。実施例gは、平均塗膜が50.0μmであり、セティング時間が5分間である。実施例hは、平均塗膜が46.8μmでセティング時間が5分間である。塗膜評価は、実施例gが××であり、実施例hが◎である。上記と同様に、塗膜が厚い場合には、誘導加熱で昇温した場合には良好な塗膜が形成されたが、熱風加熱で昇温した場合には、塗膜異常が多発した。
【0099】
更に、実施例iと実施例jを比較する。実施例iは、平均塗膜が50.6μmであり、セティング時間が3分間である。実施例hは、平均塗膜が48.1μmでセティング時間が3分間である。塗膜評価は、実施例gが××であり、実施例hが○である。
【0100】
セティング時間が短いと、乾燥前に塗料から十分に揮発成分が揮発しないため、乾燥途中に塗膜が形成されつつある塗料から揮発成分が揮発して塗膜異常を生じさせる。従来の熱風による乾燥の場合には、特に表面から塗膜が形成されるので、この表面に塗膜が形成された状態で揮発成分等が揮発すると、ワキ、ピン、ヘコミ等の塗膜異常が発生する。これに対し、誘導加熱により加熱される場合、金属製の平板側から加熱されるため、熱風による加熱により生じる塗膜異常が発生し難い。
【0101】
上記より、誘導加熱により対象物10である金属製の平板を加熱した場合、熱風加熱による場合よりも短時間で加熱できるだけでなく、図3に示すように電力を間欠的に出力して加熱することで、全体が均一的に加熱される。更に、誘導加熱による場合には、塗料の表面側ではなく、金属製の平板側から加熱される。これらのことから、塗装物の製造装置1Bは、品質が良好な塗膜が形成された塗装物を製造することができる。
【0102】
<実施例C>
図7(a)(b)に示される塗装物の製造装置1Bを用いて、図13に示される条件により塗装物を製造した。この塗装物の製造装置1Bによる加熱中における対象物10の温度を測定して昇温状況及び温度保持状況を観察した。また、各条件で加熱乾燥され形成された塗膜を下記評価基準により評価した。それらの結果を図13の表に示す。
【0103】
図13における表に基づいて、本実施例の各条件等を以下に説明する。
対象物10 :金属製の平板(長さ150mm、幅70mm、厚さ0.8mm)
板状コイル3 :電線が略平板状に巻回されたコイル
:外径φ180、内径φ70
距 離 :板状コイル3から金属製の平板までの距離:20mm
電線20 :中空状の銅線
:直径φ8mm(導水用の中空部:φ6mm)
加熱電力 :出力パターンは図3に示すよう電力を間欠的に出力する
:電圧(V)、電流(A)、周波数f(Hz)、出力時間(t1a)、
:断続比率(t1a/t2)は、図13における表中の実施例No.ごとの
数値を参照
:昇温・保持:150℃に昇温/150℃で保持
温度測定 :図7における点a、点b、点c、点dの各位置で温度を測定
:各点の平均温度を対象物における温度とする
:最も高い温度と最も低い温度との差を温度差とする
塗 料 :メラミン系水性塗料
(日本ペイント社製、商品名:オーデエコライン100」)
:塗装条件:スプレー塗装/ウェット膜厚は50マイクロメータ
【0104】
<塗膜評価基準>
下記5段階で塗膜を評価した。
◎塗膜異常(ワキ、ピン、ヘコミ)が全く見当たらない
○塗膜異常と判断されるものがφ10mm範囲に1個ある
△塗膜異常と判断されるものがφ10mm範囲に2個から5個ある
×塗膜異常と判断されるものがφ10mm範囲に5個より多くある
××塗膜異常が多発と判断される
【0105】
<結果>
【0106】
実施例No.6及び実施例No.7における塗膜評価は、××である。実施例No.6及び実施例No.7は、出力時間t1aが長く、かつ、断続比率(t1a/t2)が大きいため、昇温時間が短すぎる共に全体が不均一に昇温される。このため、形成される塗膜にワキ、ピン、ヘコミ等の塗膜異常が多発した。
【0107】
実施例No.1おける塗膜評価は、△である。実施例No.1における出力時間t1aや断続比率(t1a/t2)は適当であるが、電力(電圧、電流)が大きいため、昇温時及び保持時における温度差が大きくなり、全体が均一に加熱等されていない。このため、形成される塗膜にワキ、ピン、ヘコミ等の塗膜異常が少し発生した。
【0108】
実施例No.2及び実施例No.5おける塗膜評価は、○である。実施例No.2及び実施例No.5における電力(電圧、電力)、出力時間t1aや断続比率(t1a/t2)は適当であるが最適とは言えないため、温度差が、後述する実施例No.3及び実施例4よりも少し大きくなっている。これにより、塗膜評価が劣る結果となっている。
【0109】
実施例No3及び実施例4における塗膜評価は、◎である。実施例No.3及び実施例No.4における出力時間t1aや断続比率(t1a/t2)は適当であり、かつ、電力も適当である。また、温度差も、他の実施例に比べて小さい。このため、本実施例における塗膜評価は好適な評価となっている。
【0110】
また、上記結果を含め、実施例Cにおける各条件の数値範囲等について下記に説明する。電圧は、40Vから300Vであることが好ましい。電圧が40V以下の場合には、目標とする温度の到達できない。また、電圧が300V以上の場合には、極めて短時間に目標温度に到達し、更にこの目標温度を越えてしまうので該目標温度に全体を均一に保持することが困難である。
【0111】
電流は、5Aから50Aであることが好ましい。電流が5A以下の場合には、目標とする温度の到達できない。また、電流が50A以上の場合には、極めて短時間に目標温度に到達し、更にこの目標温度を越えてしまうので該目標温度に全体を均一に保持することが困難である。
【0112】
周波数は、5KHzから100KHzであることが好ましい。周波数が5KHz以下の場合には、目標とする温度の到達できない。また、周波数が100KHz以上の場合には、極めて短時間に目標温度に到達し、更にこの目標温度を越えてしまうので該目標温度に全体を均一に保持することが困難である。
【0113】
出力時間t1aは、0.1から5秒であることが好ましい。また、出力周期t2に対する出力時間t1aである断続比率(t1a/t2)は、0.05から0.5であることが好ましい。また、昇温時間は、80秒から140秒であることが好ましい。昇温及び保持における温度差は、10℃以下、好ましくは5℃以下である場合が好ましい。
【0114】
ここで、上記数値は、本実施例Cにおける数値であり、例えば、対象物の大きさ、形状、材質が変更した場合には、上記数値は適宜変化する。例えば、本実施例における金属製の平板の面積が大きくなる場合、電圧、電流、周波数等を大きくすることが必要であり、上記好適な数値範囲も変化する。また、例えば、金属製の平板の厚さが大きくなると、電圧、電流、周波数、出力時間t1a、出力周期t2に対する出力時間t1aを大きくする必要があり、上記好適な数値範囲も変化する。
【0115】
また、コイル3と対象物10である金属製の平板との距離が長くなると同じ条件でも緩やかな昇温となり、例えば、150℃に昇温するまでの時間が長くなる。逆に、コイル3のと対象物10との距離が大きくなると同じ条件でも急な昇温となり、例えば、150℃に昇温するまでの時間が短くなる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の第1実施形態における塗装物の製造装置を説明する斜視図である。
【図2】図1における塗装物の製造装置に加熱される金属板の配置及び熱伝導を示す図である。
【図3】図1におけるコイル2に出力される電力の第1パターンを示す図である。
【図4】図1におけるコイル2に出力される電力の第2パターンを示す図である。
【図5】第1実施形態における塗装物の製造装置に電力が第1パターンで出力された場合の温度上昇と、電力が連続的に出力された場合の温度上昇を示す図である。
【図6】第1実施形態における塗装物の製造装置による実施例Aの各結果を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態における塗装物の製造装置を示す図である。
【図8】第2実施形態における塗装物の製造装置による第1加熱例を示すグラフである。
【図9】第2実施形態における塗装物の製造装置による第2加熱例を示すグラフである。
【図10】第2実施形態における塗装物の製造装置による第3加熱例を示すグラフである。
【図11】第2実施形態における塗装物の製造装置に電力が第1パターンで出力された場合の温度上昇と、電力が連続的に出力された場合の温度上昇を示すグラフである。
【図12】実施例Bにおける各評価を示す表である。
【図13】第2実施形態における塗装物の製造装置による実施例Cの各結果を示す図である。
【符号の説明】
【0117】
1A 塗装物の製造装置
2 コイル
5 電源装置
10 対象物
20 電線
100 金属製の平板
110 塗料


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁誘導を利用して導電体の表面に塗布された塗料を乾燥させることで該導電体の表面に塗膜が形成された塗装物を製造する塗装物製造装置であって、
表面に塗料が塗布された導電体を加熱する誘導加熱手段と、
前記誘導加熱手段に電力を出力する電力出力手段と、
前記電力出力手段により出力される電力の強さを制御可能な電力制御手段と、を備え、
前記電力制御手段は、
前記電力出力手段に、前記導電体の加熱が可能な第1加熱電力を所定間隔で間欠的に出力させる塗装物製造装置。
【請求項2】
電磁誘導を利用して導電体の表面に塗布された塗料を乾燥させることで該導電体の表面に塗膜が形成された塗装物を製造する塗装物製造装置であって、
前記塗膜を形成するために表面に塗料が塗布された導電体を加熱する誘導加熱手段と、
前記誘導加熱手段に電力を出力する電力出力手段と、
前記電力出力手段により出力される電力の強さを制御可能な電力制御手段と、を備え、
前記電力制御手段は、
前記電力出力手段に、前記誘導加熱手段による前記導電体の加熱が可能な第1加熱電力と、前記第1加熱電力に連続して出力され前記第1加熱電力よりも弱い電力である第2加熱電力と、を含む所定の出力パターンを周期的に繰り返すよう電力を出力させる塗装物製造装置。
【請求項3】
前記所定の出力パターンは、前記第1加熱電力と前記第2加熱電力とからなり、
前記電力制御手段は、前記電力出力手段に前記第1加熱電力と前記第2加熱電力とが交互に繰り返されるよう電力を出力させる請求項2に記載の塗装物製造装置。
【請求項4】
前記誘導加熱手段は、前記導電体を囲むよう螺旋状に形成される請求項1から3のいずれかに記載の塗装物製造装置。
【請求項5】
前記誘導加熱手段は、略平面状に巻回されるように形成されると共に、所定の面が前記導電体に対向するよう配置される請求項1から3のいずれかに記載の塗装物製造装置。
【請求項6】
電磁誘導を利用して導電体の表面に塗布された塗料を乾燥させることで導電体の表面に塗膜が形成された塗装物を製造する塗装物製造方法であって、
前記導電体の表面に塗料を塗布する塗布工程と、
所定の誘導加熱手段が、表面に塗料が塗布された導電体を加熱する誘導加熱工程と、を含み、
前記誘導加熱工程は、
前記誘導加熱手段に前記導電体の加熱が可能な第1加熱電力が所定間隔で間欠的に出力されることで、前記誘導加熱手段が前記導電体を間欠的に加熱する塗装物製造方法。
【請求項7】
電磁誘導を利用して導電体の表面に塗布された塗料を乾燥させることで導電体の表面に塗膜が形成された塗装物を製造する塗装物製造方法であって、
前記導電体の表面に塗料を塗布する塗布工程と、
所定の誘導加熱手段が、表面に塗料が塗布された導電体を加熱する誘導加熱工程と、を含み、
前記誘導加熱工程は、
前記誘導加熱手段に前記導電体の加熱が可能な第1加熱電力と、前記第1加熱電力に連続して出力され前記第1加熱電力よりも弱い電力である第2加熱電力と、を含む所定の出力パターンを周期的に繰り返すよう電力が出力されることで、前記誘導加熱手段が前記導電体を所定の加熱パターンで加熱する塗装物製造方法。
【請求項8】
電磁誘導を利用して所定の導電体を加熱する誘導加熱装置であって、
前記導電体を加熱する誘導加熱手段と、
前記誘導加熱手段に電力を出力する電力出力手段と、
前記電力出力手段により出力される電力の強さを制御可能な電力制御手段と、を備え、
前記電力制御手段は、
前記電力出力手段に、前記導電体の加熱が可能な第1加熱電力を所定間隔で間欠的に出力させる誘導加熱装置。
【請求項9】
電磁誘導を利用して所定の導電体を加熱する誘導加熱装置であって、
前記導電体を加熱する誘導加熱手段と、
前記誘導加熱手段に電力を出力する電力出力手段と、
前記電力出力手段により出力される電力の強さを制御可能な電力制御手段と、を備え、
前記電力制御手段は、
前記電力出力手段に、前記誘導加熱手段による前記導電体の加熱が可能な第1加熱電力と、前記第1加熱電力に連続して出力され前記第1加熱電力よりも弱い電力である第2加熱電力と、を含む所定の出力パターンを周期的に繰り返すよう電力を出力させる誘導加熱装置。
【請求項10】
電磁誘導を利用して所定の導電体を加熱する誘導加熱方法であって、
所定の誘導加熱手段が、前記導電体を加熱する誘導加熱工程を含み、
前記誘導加熱工程は、
前記誘導加熱手段に前記導電体の加熱が可能な第1加熱電力が所定間隔で間欠的に出力されることで、前記誘導加熱手段が前記導電体を間欠的に加熱する誘導加熱方法。
【請求項11】
電磁誘導を利用して所定の導電体を加熱する誘導加熱方法であって、
所定の誘導加熱手段が、前記導電体を加熱する誘導加熱工程を含み、
前記誘導加熱工程は、
前記誘導加熱手段に前記導電体の加熱が可能な第1加熱電力と、前記第1加熱電力に連続して出力され前記第1加熱電力よりも弱い電力である第2加熱電力と、を含む所定の出力パターンを周期的に繰り返すよう電力が出力されることで、前記誘導加熱手段が前記導電体を所定の加熱パターンで加熱する誘導加熱方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図13】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2007−275720(P2007−275720A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−103272(P2006−103272)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度新エネルギー・産業技術総合開発機構「有害化学物質リスク削減基盤技術研究開発革新的水性塗料の開発」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000230054)日本ペイント株式会社 (626)
【Fターム(参考)】