説明

塞ぎ部材の製造方法、および、飲料容器

【課題】容器に形成された開口を塞ぐ塞ぎ部材に生じる皺を低減する。
【解決手段】塞ぎ部材300には、円形に形成され容器本体の開口を塞ぐ基部310、基部310の周囲に設けられ容器本体のカール部に接着される外周縁320が設けられている。また塞ぎ部材300には、外周縁320から外側方向に向かって延びるように設けられユーザによって塞ぎ部材300が容器本体から剥がされる際にユーザにより把持される把持部330が設けられている。外周縁320には、しごき加工が施されるとともに容器本体のカール部に倣った形状が付与されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塞ぎ部材の製造方法、および、飲料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
金属缶のフランジカール部に対してアルミ箔蓋が取り付けられ、金属缶に形成された開口が塞がれたアルミ箔シール缶が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平1−126928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飲料が収容された容器本体の開口を塞ぐため、塞ぎ部材が容器本体の被接着面に対して接着されることがある。ところで、この被接着面が湾曲していると、塞ぎ部材に皺が発生しやすくなる。そして、このような皺が発生すると、皺が発生しない場合に比べ、塞ぎ部材と容器本体との間に隙間が形成されやすくなる。そしてこのような間隙が発生すると、飲料缶の内容物が漏れ出すおそれがある。また、皺が発生すると見栄えも悪くなり商品価値の低下を招くおそれがある。
本発明の目的は、容器に形成された開口を塞ぐ塞ぎ部材に生じる皺の低減を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が適用される塞ぎ部材の製造方法は、飲料が収容された容器本体の被接着面に接着され当該容器本体に形成された開口を塞ぐ塞ぎ部材の製造方法であって、前記被接着面に倣った形状が付与された型に対し、前記塞ぎ部材の製造に用いられる基材を介して、押し当て部材を押し当て、前記型に前記押し当て部材を押し当てながら当該押し当て部材を移動させることで、当該型と当該押し当て部材とで前記基材をしごきながら当該基材を変形させ、前記被接着面に倣った形状を当該基材に付与する塞ぎ部材の製造方法である。
【0006】
ここで、前記塞ぎ部材は、外周縁を有し、前記塞ぎ部材の前記外周縁が、前記容器本体の前記被接着面に接着され、前記基材のうち、前記塞ぎ部材の前記外周縁となる部位に前記押し当て部材を押し当てながら当該押し当て部材を移動させ、当該基材のしごきを行うことを特徴とすることができる。
また、前記基材のうちの前記外周縁となる部位に前記押し当て部材を押し当てながら当該押し当て部材を移動させる際、当該外周縁となる部位の径方向であって当該外周縁となる部位の外側方向に向けて当該押し当て部材を移動させることを特徴とすることができる。
さらに、前記基材は、前記塞ぎ部材よりも大きく形成され、当該基材が切断されることで、当該基材から当該塞ぎ部材が分離され、前記基材の前記切断は、前記型と前記押し当て部材とによる当該基材のしごきが行われた後に行なわれることを特徴とすることができる。
また、前記押し当て部材は、複数設けられ、複数の前記押し当て部材を前記型に対して押し当てながら移動させ、前記基材のしごきを行うことを特徴とすることができる。
【0007】
また、本発明を飲料容器と捉えた場合、本発明が適用される飲料容器は、開口が形成され、内部に飲料が収容された容器本体と、前記容器本体の被接着面に接着され、当該容器本体に形成された前記開口を塞ぐ塞ぎ部材と、を備えた飲料容器であって、前記塞ぎ部材のうちの前記被接着面に接着される部位は、当該被接着面に倣った形状が付与された型と、当該被接着面に接着される当該部位を介して当該型に押し当てられる押し当て部材と、によってしごき加工が施されていることを特徴とする飲料容器である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、容器に形成された開口を塞ぐ塞ぎ部材に生じる皺の低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施の形態が適用される飲料缶を説明するための図である。
【図2】容器本体に取り付けられる前の塞ぎ部材を示した図である。
【図3】飲料缶の比較例を示した図である。
【図4】塞ぎ部材の断面図である。
【図5】塞ぎ部材の製造方法を説明するための図である。
【図6】塞ぎ部材の製造方法を説明するための図である。
【図7】塞ぎ部材の製造方法を説明するための図である。
【図8】塞ぎ部材の製造方法を説明するための図である。
【図9】塞ぎ部材の製造方法を説明するための図である。
【図10】塞ぎ部材の製造方法を説明するための図である。
【図11】塞ぎ部材の容器本体への装着に用いられる装着装置を示した図である。
【図12】装着装置による装着処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態が適用される飲料缶100を説明するための図である。なお同図(A)は飲料缶100の上部の斜視図であり、また同図(B)は、飲料缶100の正面図である。なお同図(B)では、飲料缶100の上部については断面で表示している。
【0011】
同図(A)、(B)に示すように、本実施形態における飲料缶100(飲料容器の一例)には、上部に開口を有するとともに下部に底部を有し且つ筒状に形成され、清涼飲料などの飲料が内部に収容された容器本体(缶胴)200が設けられている。また、飲料缶100には、容器本体200の上部に位置する環状の縁部に接着され容器本体200の上部に位置する開口を塞ぐ塞ぎ部材(シール部材)300が設けられている。
【0012】
ここで、容器本体200の上記環状の縁部には曲げ加工が施されており、この縁部には容器本体200の外側方向に向かって湾曲したカール部220が形成されている。ここで、このようにカール部220が形成されている場合、容器本体200の剛性が増す。また、カール部220を形成した場合、カール部220を形成しない場合に比べ、塞ぎ部材300と容器本体200との接着面積が増加するようになる。
【0013】
本実施形態では、カール部220のうちの外側に露出した面に対して、塞ぎ部材300が接着されている。なお容器本体200は、胴部と底部とが一体で形成された2ピース缶とすることもできるし、別体で形成された胴部と底部とを組み付けることで形成することもできる。また、容器本体200の材質も特に限定されず、例えば、アルミニウムなどの金属や、耐水処理が施された紙などを用いることができる。
【0014】
なお、塞ぎ部材300と容器本体200との接着の信頼性は、接着面積を大きくすることによって向上させることができる。ところで、本実施形態の容器本体200のように、塞ぎ部材300が接着される部位の形状が円環状である場合において接着面積を確保しようとする場合、例えば、容器本体200の直径を大きくし容器本体200の周長を長くする必要が生じる。
【0015】
しかしながら実際には、容器本体200には寸法の制約が存在しこのように周長を長くできない場合が多い。このため、本実施形態では、図1(B)に示すように、カール部220の頂部221のみではなく、この頂部221よりも下方に位置するカール部220の周面に対しても塞ぎ部材300の接着を行い、塞ぎ部材300と容器本体200との接着面積を大きくしている。付言すると、本実施形態におけるカール部220は、容器本体200の軸方向における縁となる箇所に頂部221を有するとともに、この頂部221よりも下方に、容器本体200の外周面に対峙する対峙部222を有している。そして本実施形態では、頂部221および対峙部222の両者に対し、塞ぎ部材300が接着されている。
【0016】
なお対峙部222は、頂部221に接続して設けられるとともに、頂部221との接続部から、容器本体200の底部が位置する側に向かうように形成されている。また、対峙部222は、容器本体200の外側方向(容器本体200の径方向における外側方向)に向かって膨らむように形成され、頂部221Aを有するとともに、この頂部221よりも容器本体200の底部側に端部221Bを有している。ここで、容器本体200の径方向において、端部221Bは、頂部221Aよりも容器本体200の中心部側に位置している。また、本実施形態では、塞ぎ部材300の端部301が、頂部221Aと端部221Bとの間に位置する領域内に位置しており、頂部221Aと端部221Bとの間に位置するこの領域に対しても、塞ぎ部材300が接着されている。
【0017】
ここで、本実施形態では、塞ぎ部材300を予め定められた形状で成形しておく。そして、予め定められた形状で成形しておいたこの塞ぎ部材300を、容器本体200のカール部220(縁部)に対して接着する。付言すると、容器本体200のカール部220に倣った形状を塞ぎ部材300に予め付与しておき、カール部220に倣った形状が付与された塞ぎ部材300を容器本体200に対して接着する。
【0018】
図2は、容器本体200に取り付けられる前の塞ぎ部材300を示した図である。なお、同図(A)は、斜視図であり、同図(B)は、同図(A)のIIB−IIB線における断面図である。
同図(A)、(B)に示すように、本実施形態における塞ぎ部材300は、成形加工が予め施され容器本体200のカール部220に倣った形状が付与されている。より具体的に説明すると、本実施形態における塞ぎ部材300には、同図(A)、(B)に示すように、円形に形成され容器本体200の開口を塞ぐ基部310、基部310の周囲に設けられ容器本体200のカール部220に接着される外周縁320が設けられている。また塞ぎ部材300には、外周縁320から外側方向に向かって延びるように設けられユーザによって塞ぎ部材300が容器本体200から剥がされる際にユーザにより把持される把持部330が設けられている。
【0019】
外周縁320には、同図(B)に示すように、その断面形状がU字状の窪みが形成されている。さらに説明すると、外周縁320には、容器本体200のカール部220に倣った形状が付与されている。より具体的には、容器本体200のカール部220には曲率が付与されており、外周縁320にも、カール部220に付与された曲率に近い曲率が付与されている。
【0020】
ここで本実施形態では、容器本体200への飲料の充填後、容器本体200の上に塞ぎ部材300が載せられる。なおこのとき、容器本体200のカール部220に対し塞ぎ部材300の外周縁320が被せられる。その後、塞ぎ部材300の外周縁320が加熱されることで、塞ぎ部材300に予め塗布されていた接着剤(ヒートシール剤)が溶融する。そしてこの溶融した接着剤が硬化することで、容器本体200に対して塞ぎ部材300が固定される。なお本実施形態では、塞ぎ部材300に予め接着剤が塗布されている場合を一例に説明したが、塞ぎ部材300を容器本体200に対して接着する際に、接着剤を、塞ぎ部材300、容器本体200の何れか一方若しくは両方に塗布することもできる。
【0021】
ここで、本実施形態における塞ぎ部材300の外周縁320には、上記のとおり、容器本体200のカール部220に倣った形状で付与されている。また、塞ぎ部材300は、外周縁320に皺がほとんどない状態で形成されている。このため、本実施形態では、容器本体200に対して塞ぎ部材300を取り付けられた後も、塞ぎ部材300には皺がほとんどない状態となる。
【0022】
さらに説明すると、本実施形態のように容器本体200のカール部220に倣った形状が塞ぎ部材300に既に付与されている場合は、塞ぎ部材300を容器本体200へ取り付ける際、カール部220に倣わせるための塞ぎ部材300の変形をほとんど行わずに済む。このため、本実施形態では、塞ぎ部材300を容器本体200に取り付ける際に生じる皺が発生しにくくなっている。
【0023】
図3は、飲料缶100の比較例を示した図である。なお同図(A)は飲料缶100の上部の斜視図であり、また同図(B)は、飲料缶100の正面図である。なお同図(B)では、飲料缶100の上部については断面で表示している。
容器本体200への塞ぎ部材300の取り付けは、例えば、平面状(シート状)の塞ぎ部材300を容器本体200のカール部220に接着することによって行なうことができる。ところで、この場合、塞ぎ部材300のうちのカール部220に対峙する部位に皺が発生しやすくなる。より詳細に説明すると、この場合、平面状の塞ぎ部材300を、曲率を有したカール部220へ接着させることとなるため、皺が発生しやすくなる。
【0024】
ここで、このような皺が発生すると、皺が発生しない場合に比べ、塞ぎ部材300と容器本体200との間に隙間が形成されやすくなる。そしてこのような間隙が発生すると、飲料缶100の内容物が漏れ出すおそれがある。また、飲料缶100を工場から顧客に移送する際に、飲料缶100に設けられた塞ぎ部材300同士が触れ合うことがあるが、この場合に、塞ぎ部材300に皺が発生していると摩擦抵抗が大きくなる。そしてこの場合、皺がない塞ぎ部材300同士が触れ合う場合に比べ、塞ぎ部材300の剥がれが生じやすくなる。また皺が発生すると、見栄えが悪くなり飲料缶100の商品価値が下がってしまう。
【0025】
なお上記では説明を省略したが、本実施形態における塞ぎ部材300(図1、図2にて説明した塞ぎ部材300)は、図4(塞ぎ部材300の断面図)に示すように、金属材料(本実施形態ではアルミニウムを使用)により形成された基材層341が設けられている。また、基材層341の表面には、基材層341を補強および基材層341の防食を目的として熱収縮性を有した樹脂層342が積層されている。さらに、基材層341の裏面には接着剤層343が形成されている。
【0026】
なお本実施形態では、上記のとおり、塞ぎ部材300の外周縁320に熱が加えられることによって、塞ぎ部材300が容器本体200のカール部220に接着される。これを図4によって補足すれば、容器本体200のカール部220と、塞ぎ部材300の接着剤層343が接着され、樹脂層342を塞ぎ部材300の最外層として容器本体200の開口が封止される。ここで本実施形態では、このとき、樹脂層342のうち、容器本体200の全周に亘って設けられた上記対峙部222(図1(B)参照)の周囲に位置する部位が熱収縮を起こし、この部位が対峙部222の周囲にて縮むようになる。付言すると、環状に形成された対峙部222を締め付けるように熱収縮を起こす。これにより、本実施形態では、塞ぎ部材300の皺がさらに生じにくくなっている。
【0027】
図5〜図10は、図1、図2にて説明した塞ぎ部材300の製造方法を説明するための図である。
ここで、塞ぎ部材300の製造にあたっては、上記基材層341、樹脂層342、および接着剤層343を有する3層構造の基材500を用意する。基材500を容器本体200に接着する方向は、図4で示した状態と同じ向きで、上層が樹脂層342、中間層が基材層341、下層が接着剤層343となるようにして、この基材500を製造装置に投入し上記にて説明した塞ぎ部材300を製造する。
【0028】
ここで塞ぎ部材300は、図5に示す製造装置600によって製造される。なお、同図(A)は製造装置600を正面から見た場合の断面図であり、同図(B)は同図(A)のVB−VB線における断面図であり、同図(C)は同図(A)のVC−VC線における断面図である。
【0029】
ここで、本実施形態における製造装置600では、同図(A)に示すように、円環状のホルダ610が設けられる。ここでこのホルダ610は、基材500の下方に配置され基材500の保持(位置決め)に用いられる。また本実施形態における製造装置600では、ホルダ610の内側に、ダイ620とカッタ630とが設けられている。
【0030】
ダイ620は、塞ぎ部材300を成形する金型である。また、ダイ620は、円柱状に形成されている。さらに、ダイ620の上面には、ダイ620の中心部側に向かうに従い深くなる凹部が形成されている。さらにダイ620には、ダイ620の円柱軸心方向に沿って形成されダイ620を貫通するように設けられた通気孔621が形成されている。
【0031】
また、ダイ620の上端には、ダイ620の外周面から外側方向に向かって突出する突出部622が形成されている。ここでこの突出部622は、ダイ620の周方向に沿うように環状に形成されている。また、突出部622は、その外表面が、径方向における外側側方向に向かって膨らむように形成されている。さらに、突出部622の外表面は、容器本体200のカール部220(図1(B)参照)の外表面に倣った形状で形成されている。さらに説明すると、突出部622の外表面には、塞ぎ部材300が接着される被接着面に倣った形状が付与されている。
【0032】
また本実施形態では、基材500の上方に、プレスダイ640が設けられている。ここで、プレスダイ640のうちダイ620側に位置する面(図中、下面)には、円環状に配置された溝641が形成されている。ここで、この溝641の断面の形状は、同図(A)に示すように扇形となっている。
【0033】
さらに本実施形態では、溝641の内部にて回転(変位)する回転ダイ650が設けられている。ここで、この回転ダイ650は、同図(A)に示すように断面の形状が扇形となっている。さらに、この回転ダイ650は、同図(C)に示すように4つ設けられている。さらに説明すると、4つの回転ダイ650は、環状に形成された溝641の周方向において、並んだ状態で配置されている。
【0034】
また本実施形態では、同図(C)に示すように、互いに隣接する回転ダイ650の端部間に、間隙が形成されている。また本実施形態では、プレスダイ640に形成された上記溝641の内周面に沿って回転ダイ650が滑るようになっている。また本実施形態では、同図(A)に示すように、回転ダイ650に、ヒンジ660が連結されており、このヒンジ660を図中上下に移動させることにより、回転ダイ650が回転するようになっている。
【0035】
また本実施形態では、プレスダイ640の中心に、柱状のセンタベンダ670が設けられている。ここで、センタベンダ670のダイ620側の面は、ダイ620側に向かって膨らむように湾曲した状態で形成されている。付言すると、センタベンダ670のダイ620側の面は、センタベンダ670の中心部側に向かうに従い高さが増すように湾曲した状態で形成されている。なお、センタベンダ670は、成形加工が終了した後の塞ぎ部材300の取り出しに用いられる。付言すると、センタベンダ670は、成形加工が終了した後にダイ620の突出部622に対して外周縁320が巻き付いた状態となる塞ぎ部材300の取り出しに用いられる。なおセンタベンダ670にも、センタベンダ670の長手方向に沿った通気孔671が形成されている。
【0036】
図6(A)は、図5にて示した状態から、ホルダ610の上昇およびプレスダイ640の下降が行われ、ホルダ610およびプレスダイ640によって基材500が挟まれ基材500が保持された状態を示している。この状態の後、本実施形態では、同図(B)に示すように、ダイ620の上昇を行い、基材500をプレスダイ640に押し付ける。これにより、塞ぎ部材300の外周縁320(図2参照)となる箇所に対して、絞り加工が施された状態となる。
【0037】
次いで、本実施形態では、図7(A)に示すように、ヒンジ660を下降させる。これにより、回転ダイ650の先端が基材500を介しダイ620の突出部622に押し当てられた状態で、回転ダイ650が回転するようになる。付言すると、プレスダイ640に形成された溝641(図5(A)参照)の内面によって回転ダイ650が案内されながら回転ダイ650が回転する。これにより、回転ダイ650とダイ620とによる基材500の絞り加工がさらに行われ、基材500のうちの、塞ぎ部材300の外周縁320となる箇所が、ダイ620の突出部622の外表面に倣うようになる。
【0038】
付言すると、この製造装置600では、基材500のうちの、塞ぎ部材300の外周縁320となる箇所である塞ぎ部材300の端部301(図1参照)について、ダイ620の突出部622の外周と回転ダイ650の内周の隙間を基材500の厚さより狭くすることにより、基材500を介在させた状態で、回転ダイ650を、ダイ620の突出部622の外周を回転させ、塞ぎ部材300の端部301について、しごき加工が行われる。
さらに説明すると、本実施形態では、上記外周縁320となる箇所は環状となるが、環状となるこの外周縁320となる箇所に対して回転ダイ650を押し当てながら回転ダイ650を移動させる際、この外周縁320となる箇所の径方向における内側方向から径方向における外側方向に向けて回転ダイ650を移動させる。これにより、本実施形態では、塞ぎ部材300の外周縁320となる箇所を湾曲させる処理を行なっているにもかかわらず、しごき加工により板厚を薄くしながら延ばすようにするため、この外周縁320となる箇所に皺が生じにくくなる。
さらに説明すると、塞ぎ部材300が薄板材である場合、型を押し付けただけでは、任意の形状に成形しようとすると皺が発生してしまうことがある。このため、塞ぎ部材300の被接着面に倣った形状が付与された型に対し、塞ぎ部材300の製造に用いられる基材500を介して、押し当て部材の一例としての回転ダイ650を押し当て、上記型に回転ダイ650を押し当てながらこの回転ダイ650を移動させることで、型と回転ダイ650とで基材500をしごきながら基材500を変形させる。これにより、塞ぎ部材300が薄板材であっても、成形加工による変形部の皺の発生が抑えられる。
【0039】
その後、本実施形態では、図7(B)に示すように、ダイ620に設けられた突出部622に向かってカッタ630が進出する。これにより、基材500が切断され、上記にて説明した塞ぎ部材300が完成する。なお本実施形態では、基材500の切断を部分的に行い、塞ぎ部材300が基材500から分離されないようにしている。付言すると、本実施形態では、基材500の切断を塞ぎ部材300の全周に亘って行わずに基材500と塞ぎ部材300とが接続する接続部を設けるようにしている。また、把持部330の切断についても、この時点で行われる。
【0040】
これにより、本実施形態では、塞ぎ部材300の貼付が行われる飲料充填工程への塞ぎ部材300の移送が行いやすくなる。なおこの場合は、この飲料充填工程にて塞ぎ部材300の全周に亘っての基材500の切断が行われ、飲料充填工程にて、基材500からの塞ぎ部材300の分離が行われる。
【0041】
なお、上記では、基材500からの塞ぎ部材300の分離が飲料充填工程において行われる場合を説明したが、飲料充填工程よりも前に、基材500からの塞ぎ部材300の分離を行うようにしてもよい。
ところで、本実施形態では、基材500に対するしごき加工を行った後に、塞ぎ部材300を分離するための基材500の切断が行われる。ここで、基材500の切断を行った後に基材500のしごき加工を行うこともできるが、この場合、塞ぎ部材300の周縁が円形となりにくくなる。付言すると、塞ぎ部材300の周縁が波打つようになり塞ぎ部材300が非円形になりやすくなる。
【0042】
その後、本実施形態では、図8(A)に示すように、ヒンジ660を上昇させる。これにより、回転ダイ650が回転を行いながら上方へ移動する。これにより、回転ダイ650は初期状態に戻る。その後、同図(B)に示すように、ダイ620を下降させる。これにより、ダイ620の上面に取り付いている塞ぎ部材300もダイ620とともに下降する。付言すると、本実施形態では、ダイ620を下降させる際、塞ぎ部材300の外周縁320(図2参照)がダイ620の突出部622に引っ掛かった状態となり、ダイ620を下降させるとこのダイ620に付随するように塞ぎ部材300も下降する。なお、ダイ620に付随させての塞ぎ部材300の下降をより確実に行なうため、ダイ620に形成した通気孔621を用いて塞ぎ部材300を吸引することができる。
【0043】
その後、図9(A)に示すように、センタベンダ670を下降させる。ここで本実施形態では、センタベンダ670の下面がダイ620側に向かって膨らむように形成されている。このため、センタベンダ670が下降しセンタベンダ670が塞ぎ部材300に接触すると、塞ぎ部材300は、塞ぎ部材300の中心に位置する基部310(図2参照)がダイ620に向かって凸となるように変形する。
【0044】
そしてこのように、ダイ620に向かって凸となるように塞ぎ部材300が変形すると、塞ぎ部材300が反りかえるように変形する。これにより、この外周縁320(図2参照)の曲率半径が大きくなり、塞ぎ部材300がダイ620から外れやすくなる。なお、塞ぎ部材300をダイ620から取り外す際、ダイ620の通気孔621を通じてダイ620と塞ぎ部材300との間に空気を送り込むこともできる。
【0045】
その後、図9(B)に示すように、ダイ620を下降させる。なおこのとき、センタベンダ670の通気孔671を通じて塞ぎ部材300を吸引することが好ましい。この場合、センタベンダ670側に塞ぎ部材300が引き寄せられるようになり、塞ぎ部材300がダイ620側に残ることが起きにくくなる。その後、図10に示すように、ホルダ610を下降させるとともに、プレスダイ640を上昇させる。これにより塞ぎ部材300を製造装置600から取り出せるようになる。なお本実施形態では、上記のとおり、基材500に接続された状態で塞ぎ部材300が完成する。
【0046】
次に、塞ぎ部材300の容器本体200への装着処理について説明する。
図11は、塞ぎ部材300の容器本体200への装着に用いられる装着装置700を示した図である。なお同図(A)は装着装置700を正面から眺めた場合の断面図であり、同図(B)は同図(A)のXIB−XIB線のおける断面図である。
【0047】
同図(A)に示すように、本実施形態における装着装置700は、図中上下方向に沿って進退するロッド711を備えたエアシリンダ710、エアシリンダ710のロッド711の先端部に取り付けられたホルダ720を有している。ここで、ホルダ720は、筒状に形成されるとともに一端に開口が形成され他端が閉鎖されている。そして本実施形態では、ホルダ720の他端がエアシリンダ710のロッド711に取り付けられ、また、ホルダ720の開口が下方を向くようにホルダ720が配置されている。
【0048】
ここで、ホルダ720の内面には、ホルダ720の開口側に設けられホルダ720の開口側からホルダ720の奥側に向かうに従い直径が次第に小さくなる傾斜面(テーパ面)721、傾斜面721よりもホルダ720の奥側に位置するとともに傾斜面721に接続され直径がホルダ720の開口側とホルダ720の奥側とで等しい内周面722が設けられている。
【0049】
また、装着装置700には、容器本体200に載せられた塞ぎ部材300を部分的に加熱することで、接着剤層343(図4参照)における接着剤を溶融させ、塞ぎ部材300を容器本体200に接着する第1シーラー730、第2シーラー740が設けられている。ここで本実施形態では、ホルダ720の内部に、第1シーラー730および第2シーラー740は設けられている。また本実施形態では、第1シーラー730の方が第2シーラー740よりもホルダ720の奥側に配置されている。
【0050】
また、本実施形態では、ホルダ720と第1シーラー730との間に、第1シーラー730の加圧を行なう加圧バネ750が設けられている。また本実施形態では、加圧バネ750によって加圧(押圧)される第1シーラー730、および、第1シーラー730を介して加圧バネ750により加圧される第2シーラー740のホルダ720からの脱落を防止する脱落防止部材760が、ホルダ720の開口に取り付けられている。
【0051】
第1シーラー730は、加圧バネ750側に配置された円盤状の基部731と、この基部731よりも小径で形成されるとともに円盤状に形成され基部731に対向配置された対向部732と、基部731および対向部732よりも小径に且つ柱状に形成され基部731と対向部732とを接続する接続部733とを備えている。また本実施形態の第1シーラー730では、基部731と対向部732との間に間隙734が形成されている。ここで、この第1シーラー730は、塞ぎ部材300の上方から塞ぎ部材300に接近することで塞ぎ部材300に接触し塞ぎ部材300を上方から押圧する。
【0052】
第2シーラー740は、図11(B)に示すように、4つの構成部材741から構成されている。ここで構成部材741の各々は、円筒状に形成されたホルダ720の周方向に沿って並ぶように設けられている。また互いに隣接する構成部材741間には、間隙742が形成されている。さらに、構成部材741の各々は、同図(A)に示すように、断面形状がL字状に形成されており、第1シーラー730に形成された上記間隙734に入り込む第1部位741Aと、第1部位741Aに接続され容器本体200が位置する側に向かって延びる第2部位741Bを有している。
【0053】
さらに本実施形態では、同図(A)に示すように、第1シーラー730の接続部733と構成部材741の第1部位741Aとの間に、第1部位741Aを押圧するリターンバネ770が設けられている。また、第1シーラー730および第2シーラー740の内部には、不図示の温度センサに基づき温度管理されるヒーター780が設けられている。
【0054】
さらに、第2シーラー740とホルダ720の傾斜面721との間には、球状のベアリング球790が設けられている。また、傾斜面721の内面には、ベアリング球790を保持するための有底穴が形成されている。傾斜面721にあるベアリング球790は、この有底穴によりホルダ720に対して位置が固定され、この位置から移動することはない。また、第2シーラー740にもベアリング球790を収めるためのU字状の溝が形成されている。ここで本実施形態では、第2シーラー740の側面上に形成された2列の溝内に、ホルダ720に対して不動の位置を有するベアリング球790が各列2個ずつ収められるため、第2シーラー740は傾斜面721に沿ってのみ動くようになる。なおホルダ720に形成された有底穴は、ホルダ720の傾斜面721に形成され、第2シーラー740に形成された溝は、構成部材741の進退方向(第2シーラー740の軸方向)に沿って形成されている。
【0055】
装着装置700により塞ぎ部材300が容器本体200に装着される際には、図12(装着装置700による装着処理を説明するための図)の(A)、(B)に示すように、容器本体200の上に、塞ぎ部材300が置かれた状態にて、エアシリンダ710の駆動が行われ、塞ぎ部材300に向けてのロッド711の進出が行われる。これにより、同図(B)に示すように、第1シーラー730の対向部732が塞ぎ部材300に対して押し付けられる。これにより、塞ぎ部材300が容器本体200に対して押し付けられるとともに塞ぎ部材300が加熱される。なおこのとき、第2シーラー740は、第2シーラー740を構成する上記4つの構成部材741がリターンバネ770により押圧され、外側に拡がった状態にある。
【0056】
その後、本実施形態では、同図(C)に示すように、エアシリンダ710のロッド711が更に進出する。これにより、塞ぎ部材300が更に押圧される。なおこのとき、塞ぎ部材300は、ロッド711により直接押圧されずに加圧バネ750を介して押圧される。このため、塞ぎ部材300(容器本体200)が過度に押圧されることが防止される。また、同図(C)に示すように、エアシリンダ710のロッド711の更なる進出が行われると、ホルダ720のみが移動するようになる。付言すると、第1シーラー730および第2シーラー740は移動せず、ホルダ720のみが移動するようになる。
【0057】
これにより、同図(C)に示すように、ベアリング球790を介して、第2シーラー740がホルダ720(ホルダ720の内周面)によって外側から押圧される。そしてこの場合、第2シーラー740を構成する4つの構成部材741が容器本体200に近づくように移動し、容器本体200の側方から、塞ぎ部材300が第2シーラー740によって押圧される。これにより、塞ぎ部材300の外周縁320(図2参照)が、カール部220の対峙部222(図1参照)に押し付けられるようになる。また、塞ぎ部材300の外周縁320のうち、対峙部222に対向する部位が加熱されるようになる。
【0058】
その後、本実施形態では、エアシリンダ710のロッド711の後退が行われる。これにより、第1シーラー730および第2シーラー740による塞ぎ部材300の押圧が解除される。また、エアシリンダ710のロッド711の後退が行われると、塞ぎ部材300の加熱も停止され、塞ぎ部材300の冷却が開始される。これにより、溶融状態にあった接着剤層343(図4参照)の硬化が開始される。そして接着剤層343の硬化が完了すると、塞ぎ部材300が容器本体200に張り付いた状態となる。
【符号の説明】
【0059】
100…飲料缶、200…容器本体、300…塞ぎ部材、500…基材、620…ダイ、650…回転ダイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料が収容された容器本体の被接着面に接着され当該容器本体に形成された開口を塞ぐ塞ぎ部材の製造方法であって、
前記被接着面に倣った形状が付与された型に対し、前記塞ぎ部材の製造に用いられる基材を介して、押し当て部材を押し当て、
前記型に前記押し当て部材を押し当てながら当該押し当て部材を移動させることで、当該型と当該押し当て部材とで前記基材をしごきながら当該基材を変形させ、前記被接着面に倣った形状を当該基材に付与する塞ぎ部材の製造方法。
【請求項2】
前記塞ぎ部材は、外周縁を有し、
前記塞ぎ部材の前記外周縁が、前記容器本体の前記被接着面に接着され、
前記基材のうち、前記塞ぎ部材の前記外周縁となる部位に前記押し当て部材を押し当てながら当該押し当て部材を移動させ、当該基材のしごきを行うことを特徴とする請求項1記載の塞ぎ部材の製造方法。
【請求項3】
前記基材のうちの前記外周縁となる部位に前記押し当て部材を押し当てながら当該押し当て部材を移動させる際、当該外周縁となる部位の径方向であって当該外周縁となる部位の外側方向に向けて当該押し当て部材を移動させることを特徴とする請求項2記載の塞ぎ部材の製造方法。
【請求項4】
前記基材は、前記塞ぎ部材よりも大きく形成され、当該基材が切断されることで、当該基材から当該塞ぎ部材が分離され、
前記基材の前記切断は、前記型と前記押し当て部材とによる当該基材のしごきが行われた後に行なわれることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の塞ぎ部材の製造方法。
【請求項5】
前記押し当て部材は、複数設けられ、
複数の前記押し当て部材を前記型に対して押し当てながら移動させ、前記基材のしごきを行うことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の塞ぎ部材の製造方法。
【請求項6】
開口が形成され、内部に飲料が収容された容器本体と、
前記容器本体の被接着面に接着され、当該容器本体に形成された前記開口を塞ぐ塞ぎ部材と、
を備えた飲料容器であって、
前記塞ぎ部材のうちの前記被接着面に接着される部位は、当該被接着面に倣った形状が付与された型と、当該被接着面に接着される当該部位を介して当該型に押し当てられる押し当て部材と、によってしごき加工が施されていることを特徴とする飲料容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−35015(P2013−35015A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172559(P2011−172559)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000186854)昭和アルミニウム缶株式会社 (155)
【Fターム(参考)】