説明

塩基性薬物のpHに依存しない安定放出組成物

【課題】塩基性薬物のpHに依存しない放出制御を達成し、かつ分解が抑制された放出制御製剤及びその製造方法に関するものである。
【解決手段】以下の成分、1)塩基性薬物、2)腸溶性高分子、3)炭酸カルシウム、及びゲル化剤を含有し、前記塩基性薬物と、前記腸溶性高分子とが、前記ゲル化剤及び炭酸カルシウムにより、組成物内で接触しないように配置されている。この組成物は、塩基性薬物及び腸溶性高分子の一方を疎水性の中性低融点油脂状化合物又は低粘度の水溶性高分子の固体マトリックスで被覆した粒子に、ゲル化剤、炭酸カルシウムとともに他方の成分を配合して、塩基性薬物と腸溶性高分子とを製剤内において接触を避けて配置することによって調製される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩基性薬物のpHに依存しない放出制御を達成し、かつ分解が抑制された放出制御製剤及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
薬物の投与形態において、放出速度を制御して持続的な薬物放出を達成することは、薬物投与回数を減少させ且つ血中濃度を一定に保つことができるため、副作用低減等の効果が期待できる。そのため、様々な放出制御手法が開発されている。その中で製造が簡便で且つ安定した放出制御が可能となるものとして、ハイドロゲル型放出制御製剤が知られている。このハイドロゲル型放出制御製剤は、ハイドロゲルの種類や処方量をコントロールすることにより放出速度を最適化することができるため、優れている(特許文献1)。
ところで、塩基性薬物は、酸性水溶液中での溶解度が高く、中性又は塩基性水溶液中での溶解度が低くなることが、一般的に知られている。そのため、塩基性薬物は胃内での溶解性が高く、腸内での溶解性が低いことが多い。従って、塩基性薬物の放出制御製剤は、胃内での放出と腸内での放出に放出速度の差が生じ、胃内での放出速度が高く、腸内での放出速度が低くなる。塩基性薬物の放出制御を行なう際の課題として、有効成分の胃内での放出速度と腸管での放出速度の差をできる限り小さくすることが求められる。
【0003】
この課題を解決する方法として、薬剤顆粒を腸溶性高分子でコーティングする方法(特許文献2)、腸溶性高分子と水溶性高分子の混合物でコーティングする方法(特許文献3)、腸溶性高分子を基剤中に含ませる方法(特許文献4)、薬物コアに腸溶性高分子をコーティングし、更に腸溶性高分子と親水性高分子と薬物をコーティングする方法(特許文献5)が知られている。
一方、塩基性薬物には、酸との接触や溶媒との接触により分解が起こる化合物の存在が、一般的に知られている。
特許文献2及び3では、二層のコーティングを採用して、薬剤と、腸溶性高分子を含有する外層とを、内層によって分離する形態の製剤である。すなわち、特許文献2及び3の製剤では、コーティング処理をするため、操作が煩雑且つ溶媒の使用が必須という問題がある。
【0004】
特許文献4では、薬剤を腸溶性高分子と単純に混合しているので、薬剤と腸溶性高分子とが接触している。腸溶性高分子は一般的に酸性であるため、酸との接触により分解する薬物に使用することは困難であると考えられる。また、特許文献5でも、特許文献4と同様に、薬剤が腸溶性高分子と接触していると考えられ、同様の問題を有する。
また、脂溶性固体マトリックス中に塩基性薬物と腸溶性高分子を分散させる方法(特許文献6)では、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどの脂溶性固体マトリックスにおいて、塩基性薬物と腸溶性高分子とが分散されている。しかしながら、特許文献6では、疎水性の固体マトリックス内に両成分を分散させているため、完全に接触を避けることは困難であると考えられる。また、特許文献6における製剤は放出制御された製剤であるが、ハイドロゲル型放出制御錠剤とは異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭58−174311
【特許文献2】WO91/06291
【特許文献3】WO01/076557
【特許文献4】WO2006/070781
【特許文献5】特表2007−507491
【特許文献6】特開平02−223533
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明者は、従来技術の有する問題点に鑑み、鋭意検討した結果、pHにより、放出速度の変動する塩基性薬物と腸溶性高分子とを含む製剤において、塩基性薬物及び腸溶性高分子の一方を疎水性の中性低融点油脂状化合物又は水溶性高分子の固体マトリックスで被覆した粒子に、ゲル化剤、炭酸カルシウムとともにその他の成分を配合して、塩基性薬物と腸溶性高分子とを製剤内において接触を避けて配置することにより、塩基性薬物のpH非依存的な放出制御のみならず、単に混合した場合と比べて安定性が著しく向上することを見出し、本発明に到達したものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、腸溶性高分子が、塩基性薬物と直接接触するのを防止するように、塩基性薬物及び腸溶性高分子の一方を疎水性の中性低融点油脂状化合物又は水溶性高分子の固体マトリックスで被覆した粒子に、ゲル化剤、炭酸カルシウムとともにその他の成分を配合して、塩基性薬物と腸溶性高分子とを製剤内において接触を避けて配置するものである。例えば、腸溶性高分子又は塩基性薬物を、疎水性中性低融点油脂状化合物や、水不溶性物質などに取り込ませ粒子を形成することにより、腸溶性高分子又は塩基性薬物が相互に接触しないようにし、そこにゲル化剤、炭酸カルシウム及び他方の成分を配合又は配置することにより、錠剤を作成するものである。また、腸溶性高分子を含有する粒子、例えば、顆粒又は造粒物を中性水溶性高分子又は糖アルコールでコーティングすることによっても課題を解決できることを見出した。また、本発明によれば、併用するアルカリ添加剤として、炭酸カルシウムを採用することにより、他のアルカリ添加剤、例えば、炭酸水素ナトリウムや、クエン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムなどに比べて、また、酸性添加剤、例えば、フマル酸や、クエン酸などに比べて、塩基性薬物の安定性を高めることが認識された。
即ち、本発明は下記の発明に関するものである。
1.塩基性薬物の放出制御組成物であって、
1)塩基性薬物、
2)腸溶性高分子、
3)炭酸カルシウム、及び
4)ゲル化剤、
を含有し、前記塩基性薬物と、前記腸溶性高分子とが、接触を避けて配置されていることを特徴とするハイドロゲル型徐放性組成物。
【0008】
2.上記1に記載の組成物の製造方法であって、
1)疎水性の中性低融点油脂状化合物を溶融して、溶融中性低融点油脂状化合物を調製する工程、
2)前記溶融中性低融点油脂状化合物に腸溶性高分子を分散させて、分散溶融中性低融点油脂状化合物を得る工程、
3)前記分散溶融中性低融点油脂状化合物を冷却固化後、粉砕する工程、
4)前記粉砕された分散溶融中性低融点油脂状化合物に、塩基性薬物、炭酸カルシウム及びゲル化剤を混合する工程、及び
5)得られた混合物を打錠する工程、
を有する方法。
【0009】
3.上記1に記載の組成物の製造方法であって、
1)疎水性の中性低融点油脂状化合物を溶融して、溶融中性低融点油脂状化合物を調製する工程、
2)前記溶融中性低融点油脂状化合物に塩基性薬物を分散させて、分散溶融中性低融点油脂状化合物を得る工程、
3)前記分散溶融中性低融点油脂状化合物を冷却固化した後、粉砕して、粉砕物を調製する工程、
4)前記粉砕物に、腸溶性高分子、炭酸カルシウム及びゲル化剤を混合する工程、及び
5)得られた混合物を打錠する工程、
を有する方法。
【0010】
4.上記1に記載の組成物の製造方法であって、
1)20℃における2%水溶液の粘度が100mPa・s以下である水溶性高分子の水溶液に腸溶性高分子を懸濁分散させ、懸濁分散液を調製する工程、
2)前記懸濁分散液を乾燥して、乾燥混合物を調製する工程、
3)前記乾燥混合物に、塩基性薬物、炭酸カルシウム及びゲル化剤を混合する工程、及び
4)得られた混合物を打錠する工程、
を有する方法。
【0011】
5.上記1に記載の組成物の製造方法であって、
1)腸溶性高分子に20℃における2%水溶液の粘度が100mPa・s以下である水溶性高分子の水溶液を添加し、造粒物を形成する工程、
2)20℃における2%水溶液の粘度が10mPa・s以下である水溶性高分子および/又は糖アルコールの水溶液を用いて、前記造粒物をコーティングして、コーティング造粒物を調製する工程、
3)コーティング造粒物に、塩基性薬物、炭酸カルシウム及びゲル化剤を混合する工程、及び
4)得られた混合物を打錠する工程、
を有する方法。
【0012】
6.塩基性薬物のpH依存的放出のpH依存性を軽減させる方法であって、
1)塩基性薬物、
2)腸溶性高分子、
3)炭酸カルシウム、及び
4)ゲル化剤、
を、前記塩基性薬物と前記腸溶性高分子とが接触しないように配合した、ハイドロゲル型徐放性組成物を用いる方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、不安定な塩基性化合物に対して、pHに非依存性の放出制御を達成し、かつ分解が抑制された放出制御製剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、塩基性薬物に対して適用される。塩基性薬物は、一般に、分子内において、アミノ基の存在により塩基性を示す化合物である。このような塩基性薬物は、上記の通り、胃内での放出と腸内での放出に放出速度の差が生じ、胃内での放出速度が高く、腸内での放出速度が低くなる。本発明は、このような性質を有する塩基性薬物であれば、特に限定されることなく、広範な塩基性薬物に適用される。
塩基性薬物として、例えば、次式(1)で示されるような塩基性薬物を例示として説明することができる。なお、次式(1)で示される化合物は、アミノアセチルピロリジンカルボニル誘導体として、既に公知の化合物であり、その製造方法は、例えば、WO2005/075421号公報に開示されている。また、塩基性薬物として、例えば、ファモチジンにも適用される。


ここで、式中、Aは、CH2、CHF又はCF2を示し、R1は、置換されていてもよい二級アミノ基を示す。
【0015】
具体的には、上記式(1)の化合物において、R1が、次式(2)で示される化合物が好適に例示される。

R2−NH− (2)

ここで、式中、R2は、置換されていてもよいC1〜C6のアルキル基、置換されていてもよいC3〜C10の環状アルキル基、又は置換されていてもよいC2〜C10の環状アミノ基を示す。
【0016】
更に、具体的には、次式(3)で示される化合物が好適に例示される。


ここで、式中、Aは、CH2、CHF又はCF2を示し、R3は、置換されてもよいC1〜C6のアルキル基、置換されてもよいC3〜C8のシクロアルキル基、置換されてもよいアリールメチル基、置換されてもよいアリールエチル基、置換されていてもよい芳香族炭化水素、置換されていてもよい芳香族へテロ環、又は置換されていてもよい脂肪族へテロ環を示し、nは、1又は2を示す。
【0017】
ここで、本明細書中において言及される基の内容は、以下の通りである。
「二級アミノ基」とは、窒素原子に1個の水素原子が置換した脂肪族又は芳香族アミノ基を意味し、例えば、メチルアミノ基や、ブチルアミノ基のようなC1〜C6のアルキル基が結合したアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、アダマンチルアミノ基、ビシクロ[2、2、2]オクタニルアミノ基などのC3〜C10の環状アルキル基が結合したアミノ基、芳香族アミノ基(例えば、アニリル基、ピリジルアミノ基など)を意味する。
「置換されていてもよい二級アミノ基」における置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)や、ヒドロキシル基、シアノ基、C1〜C6のアルコキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、C1〜C6のアルキルカルボニル基、C1〜C6のアルコキシカルボニル基、C1〜C6のアルキルチオ基、アミノ基、モノ又はジ置換のC1〜C6のアルキルアミノ基、1〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよい4〜9員の環状アミノ基、ホルミルアミノ基、C1〜C6のアルキルカルボニルアミノ基、C1〜C6のアルコキシカルボニルアミノ基、C1〜C6のアルキルスルホニルアミノ基、及び置換されていてもよいアリールスルホニルアミノ基から選ばれる置換基が好適に挙げられる。これらの置換基は、1〜5個の範囲で二級アミノ基を置換していてもよい。
【0018】
「置換されていてもよいC1〜C6のアルキル基」とは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、C1〜C6のアルコキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、C1〜C6のアルキルカルボニル基、C1〜C6のアルコキシカルボニル基、C1〜C6のアルキルチオ基、アミノ基、モノ又はジ置換のC1〜C6のアルキルアミノ基、1〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよい4〜9員の環状アミノ基、ホルミルアミノ基、C1〜C6のアルキルカルボニルアミノ基、C1〜C6のアルコキシカルボニルアミノ基、C1〜C6のアルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基から選ばれた1〜5個の置換基を有していてもよいC1〜C6のアルキル基を意味する。
【0019】
ここで、「C1〜C6のアルキル基」とは、直鎖又は分岐したアルキル基を意味し、例えば、メチル基や、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−エチルプロピル基、2−エチルプロピル基、ブチル基、又はヘキシル基などを好適に挙げることができる。
【0020】
「置換されていてもよいC3〜C10の環状アルキル基」とは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、C1〜C6のアルコキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、C1〜C6のアルキルカルボニル基、C1〜C6のアルコキシカルボニル基、C1〜C6のアルキルチオ基、アミノ基、モノ又はジ置換のC1〜C6のアルキルアミノ基、1〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよい4〜9員の環状アミノ基、ホルミルアミノ基、C1〜C6のアルキルカルボニルアミノ基、C1〜C6のアルコキシカルボニルアミノ基、C1〜C6のアルキルスルホニルアミノ基、及び置換されていてもよいアリールスルホニルアミノ基などから選ばれる1〜5個の置換基を有していてもよい、C3〜C10の環状アルキル基を意味する。
ここで、「環状アルキル基」とは、C3〜C8のシクロアルキル基、C5〜C10のビシクロアルキル基又はアダマンチル基を意味する。
【0021】
また、「C3〜C8のシクロアルキル基」とは、シクロアルキル環を有するアルキル基を意味し、例えば、シクロプロピル基や、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などを好適に挙げることができ。
また、「C5〜C10のビシクロアルキル基」とは、ビシクロアルキル環を有するアルキル基を意味し、例えば、ビシクロペンチル基、ビシクロヘキシル基、ビシクロペンチル基、ビシクロオクチル基、ビシクロノニル基又はビシクロデシル基などを好適に挙げることができる。
【0022】
「置換されていてもよいC2〜C10の環状アミノ基」とは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、C1〜C6のアルコキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、C1〜C6のアルキルカルボニル基、C1〜C6のアルコキシカルボニル基、C1〜C6のアルキルチオ基、アミノ基、モノ又はジ置換のC1〜C6のアルキルアミノ基、1〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよい4〜9員の環状アミノ基、ホルミルアミノ基、C1〜C6のアルキルカルボニルアミノ基、C1〜C6のアルコキシカルボニルアミノ基、C1〜C6のアルキルスルホニルアミノ基、置換されていてもよいアリールスルホニルアミノ基から選ばれる1〜5個の置換基を有していてもよいC2〜C10の環状アミノ基を意味する。
【0023】
ここで、「C2〜C10の環状アミノ基」とは、環内に一以上の窒素原子を含有し、また環内に酸素原子、硫黄原子が存在していても良い環状アミノ基を意味し、例えば、アジリジル基や、ピロリジル基、ピペリジル基、モルホリル基、オキサゾリル基、アザビシクロヘプチル基又はアザビシクロオクチル基などを好適に挙げることができる。
「置換されていてもよいC3〜C8のシクロアルキル基」とは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、C1〜C6のアルコキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、C1〜C6のアルキルカルボニル基、C1〜C6のアルコキシカルボニル基、C1〜C6のアルキルチオ基、アミノ基、モノ又はジ置換のC1〜C6のアルキルアミノ基、1〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよい4〜9員の環状アミノ基、ホルミルアミノ基、C1〜C6のアルキルカルボニルアミノ基、C1〜C6のアルコキシカルボニルアミノ基、C1〜C6のアルキルスルホニルアミノ基、及び置換されていてもよいアリールスルホニルアミノ基から選ばれた1〜5個の置換基を有していてもよいC3〜C8のシクロアルキル基を意味する。
【0024】
「C3〜C8のシクロアルキル基」とは、シクロアルキル環を有するアルキル基を意味し、例えばシクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などを挙げることができる。
【0025】
「置換されていてもよいアリールメチル基」とは、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1〜C6のアルキル基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、置換されていてもよいC1〜C6のアルコキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、C1〜C6のアルキルカルボニル基、C1〜C6のアルコキシカルボニル基、C1〜C6のアルキルチオ基、アミノ基、モノ又はジ置換の置換されていてもよいC1〜C6のアルキルアミノ基、置換されていてもよいアリールアミノ基、1〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよい4〜9員の環状アミノ基、ホルミルアミノ基、C1〜C6のアルキルカルボニルアミノ基、C1〜C6のアルコキシカルボニルアミノ基、C1〜C6のアルキルスルホニルアミノ基、及び置換されていてもよいアリールスルホニルアミノ基から選ばれる1〜5個の置換基を有していてもよいアリールメチル基(例えば、フェニルメチル基、ナフチルメチル基、ピリジルメチル基、キノリルメチル基又はインドリルメチル基などを挙げることができる)を意味する。
【0026】
「置換されていてもよいアリールエチル基」とは、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1〜C6のアルキル基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、置換されていてもよいC1〜C6のアルコキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、C1〜C6のアルキルカルボニル基、C1〜C6のアルコキシカルボニル基、C1〜C6のアルキルチオ基、アミノ基、モノ又はジ置換の、置換されていてもよいC1〜C6のアルキルアミノ基、置換されていてもよいアリールアミノ基、1〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよい4〜9員の環状アミノ基、ホルミルアミノ基、C1〜C6のアルキルカルボニルアミノ基、C1〜C6のアルコキシカルボニルアミノ基、C1〜C6のアルキルスルホニルアミノ基、及び置換されていてもよいアリールスルホニルアミノ基から選ばれる1〜5個の置換基を有していてもよいアリールエチル基(例えば、フェニルエチル基、ナフチルエチル基、ピリジルエチル基、キノリルエチル基又はインドリルエチル基などを挙げることができる)を意味する。
【0027】
「置換されていてもよい芳香族炭化水素」とは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、置換されていてもよいC1〜C6のアルキル基、C1〜C6のアルコキシ基、C1〜C6のアルキルチオ基及びC1〜C6のジアルキルアミノ基から選ばれた1〜5個の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環)を意味する。
【0028】
「置換されていてもよい芳香族へテロ環」とは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、C1〜C6のアルキル基、C1〜C6のアルコキシ基及び、C1〜C6のアルキルチオ基から選ばれた1〜5個の置換基を有していてもよい芳香族へテロ環(窒素原子、酸素原子、硫黄原子の中から任意に選ばれた1〜3個のヘテロ原子を含む5員又は6員の芳香族単環式複素環、あるいは9員又は10員の芳香族縮合複素環、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、キノリン環、ナフチリジン環、キナゾリン環、アクリジン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、イソキサゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチアゾール環、ベンズイミダゾール環又はベンゾオキサゾール環)を意味する。
【0029】
「置換されていてもよい脂肪族へテロ環」とは、ハロゲン原子、C1〜C6のアルキル基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、C1〜C6のアルコキシ基及びC1〜C6のアルキルチオ基から選ばれる1〜5個の置換基を有していてもよい脂肪族へテロ環(窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子の中から任意に選ばれた1〜3個のヘテロ原子を含む4〜7員の脂肪族単環式複素環、あるいは9員又は10員の脂肪族縮合複素環、例えば、アゼチジン環、ピロリジン環、テトラヒドロフラン環、ピペリジン環、モルホリン環又はペラジン環)を意味する。
【0030】
本明細書中に示される「腸溶性高分子」とは、腸において溶解する高分子であり、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートや、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートなどが好適に挙げられる。
【0031】
本明細書中に示される「酸との接触により分解する」とは、胃などにおいて、胃液に含まれる酸や水分によって、分解することを意味する。
【0032】
本発明において使用される「ゲル化剤」とは、常温で固体であり、水溶液中でハイドロゲルを形成できる高分子を意味し、ハイドロゲルを形成する高分子としては、例えば、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、グァーガム、カラギーナン、ポリエチレンオキサイド、カルボキシビニルポリマー、ポロビニルピロリドン及びそれらの類縁物質、又はその混合物が包含されるが、これらに限定されるものではない。また、これらのハイドロゲルを形成する高分子は、一種もしくは二種以上を混合して用いることができる。
【0033】
本明細書中に示される「20℃における2%水溶液の粘度が100mPa・s以下である水溶性高分子」とは、高分子に結合している置換基の種類や置換度により様々な粘度の水溶性高分子が市販されているうちの、20℃における2%水溶液の粘度が100mPa・s以下であるものを意味する。本発明においては20℃における2%水溶液の粘度は、50mPa・s以下である水溶性高分子が好ましい。 水溶性高分子とは、例えば、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、グァーガム、カラギーナン、ポリエチレンオキサイド、カルボキシビニルポリマー、ポロビニルピロリドン及びそれらの類縁物質、又はその混合物が包含されるが、これらに限定されるものではない。
なお、懸濁分散させる際に用いる水溶性高分子は、20℃における2%水溶液の粘度が10mPa・s以下である場合には、熱ゲル化特性を有することが必要となる。水溶液を加熱し、熱ゲル化をさせることにより、ゲルに腸溶性高分子を分散させる必要があるためである。
【0034】
本明細書中に示される「20℃における2%水溶液の粘度が10mPa・s以下である水溶性高分子」とは、高分子に結合している置換基の種類や置換度により様々な粘度の水溶性高分子が市販されているうちの、20℃における2%水溶液の粘度が10mPa・s以下であるものを意味する。
水溶性高分子としては、例えば、メトローズや、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコールなどを好適に例示することができる。
【0035】
本明細書中に示される「糖アルコール」とは、炭素数4〜12の多価アルコールを意味し、例えば、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、ラクチトールなどが好適に挙げられる。糖アルコールとしては、37℃における臨界相対湿度が70%以上の糖アルコールが好ましく、37℃における臨界相対湿度が85%以上の糖アルコールが更に好ましい。ここで「臨界相対湿度」とは、急激に水分含量の増加が観察されるときの相対湿度を示し、吸湿性のパラメーターとして周知されている。臨界相対湿度が高い物質は吸湿性が低いことを意味する。37℃における臨界相対湿度が70%以上である糖アルコールとしては、例えば、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、マルチトール、及びラクチトールなどが挙げられる。また37℃における臨界相対湿度が85%以上である糖アルコールとしては、マンニトール又はエリスリトールが挙げられる。マンニトールは臨界相対湿度が98%以上であり、特に好ましい。また、これらの糖アルコールを組み合わせて用いることもできる。
【0036】
本明細書中に示される「疎水性の中性低融点油脂状化合物」とは、油脂状を呈し、通常その融点が40〜90℃、好ましくは、50〜70℃であり、更に好ましくは55〜65℃である常温で固体の疎水性中性物質を意味する。
【0037】
疎水性の中性低融点油脂状化合物としては、塩基性薬物に対して悪影響を及ぼさないものであればいかなるものでもよく、例えば、炭化水素や、高級アルコール、多価アルコールの脂肪酸エステル、多価アルコールの高級アルコールエーテルなどが好適に挙げられ、好ましくは、高級アルコールである。
本発明で使用することができる炭化水素としては、例えば、n−ヘプタデカンや、n−オクタデカン、n−ノナデカン、n−エイコサン、n−ヘンエイコサン、n−ドコサン、n−トリコサン、n−テトラコサン、n−ペンタコサン、n−トリアコンタン、n−ペンタトリアコンタン、n−テトラコンタン、n−ペンタコンタン等の炭素数17〜50のn−アルカン及びこれらの混合物(ペトロレイタム、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等)などが挙げられる。
【0038】
本発明で使用することができる高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコールや、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、及びステアリルアルコールなどが挙げられ、好ましくは、セチルアルコールや、ステアリルアルコール、更に好ましくはステアリルアルコールである。
本発明で使用することができる多価アルコールの脂肪酸エステルとしては、例えば、分子内に2個以上の水酸基を有するアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルキレングリコール、マクロゴール、ポリプロピレングリコールあるいはこれらの共重合物などのポリアルキレングリコール、ソルビトール、ショ糖などの糖類、1、5−ソルビタン、1、4−ソルビトール、3、6−ソルビタンなどのソルビトールの分子内脱水化合物、グリセリン、ジエタノールアミン、ペンタエリスリトールなど)と脂肪酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ステアロール酸など)とのエステル、
【0039】
例えば、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンモノパルミテートなど分子量400〜900のソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリパルミテートなど分子量1000〜1500のポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサステアレート、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールトリステアレート、ポリオキシエチレンソルビトールテトララウレートなどのポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトールミツロウ誘導体などのポリオキシアルキレンソルビトールミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンラノリン誘導体などのポリオキシアルキレンラノリン誘導体、プロピレングリコールモノパルミテート、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールジミリステート、プロピレングリコールジパルミテート、プロピレングリコールジステアレートなど分子量200〜700のプロピレングリコール脂肪酸エステル、
【0040】
エチレングリコールモノラウレート、エチレングリコールパルミテート、エチレングリコールマーガレート、エチレングリコールステアレート、エチレングリコールジラウレート、エチレングリコールジミリステート、エチレングリコールジパルミテート、エチレングリコールジマーガレートなど分子量500〜1200のエチレングリコール脂肪酸エステルなどのアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体など分子量3500〜4000のポリオキシアルキレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンオレエート、ポリオキシエチレンパルミテート、ポリオキシエチレンリノレートなど分子量1900〜2200のポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、グリセリンモノアセテート、グリセリンモノプロピオネート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレエート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノリノレートなど分子量300〜600のグリセリンモノ脂肪酸エステル、
【0041】
ショ糖モノラウレート、ショ糖モノミリステート、ショ糖モノパルミテート、ショ糖モノステアレート、ショ糖トリミリステート、ショ糖トリパルミテート、ショ糖トリステアレートなど分子量400〜1300のショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。本発明で使用することができる多価アルコールの高級アルコールエーテルとしては、例えば、多価アルコール(上記多価アルコールの脂肪酸エステルのアルコール成分としてあげたもの)と高級脂肪酸アルコール(例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール)とのエーテル、例えば、ポリオキシエチレンラウリルアルコールエーテル、ポリオキシエチレンセチルアルコールエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアルコールエーテル、ポリオキシエチレンオレイルアルコールエーテル、ポリオキシエチレンオクチルアルコールエーテル、ポリオキシエチレンデシルアルコールエーテルなどのポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンセチルアルコールエーテル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンステアリルアルコールエーテル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンオレイルアルコールエーテル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンオクチルアルコールエーテル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンラウリルアルコールエーテルなどのポリオキシプロピレンポリオキシエチレン高級アルコールエーテルなどが挙げられる。これらの中性低融点油脂状物質は単独で用いても又は二種以上を併用してもよい。
【0042】
本発明において、本発明の効果を損なわないかぎり、必要に応じて、例えば、賦形剤や、結合剤、滑沢剤、フィルムコーティング基剤、糖衣コーティング基剤、可塑剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤、香料等を配合することができる。
【0043】
本発明においては、安定化効果を損なわない範囲において、本発明で使用することができる結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプン、アルギン酸ナトリウム、プルラン、アラビアゴム末、ゼラチン、デキストリン等が挙げられる。本発明で使用することができる滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。本発明で使用することができるフィルムコーティング基剤としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。本発明で使用することができる糖衣コーティング基剤としては、例えば、ショ糖、トレハロース、乳糖、マンニトール、粉末還元麦芽糖水飴等が挙げられる。
【0044】
本発明において、フィルムコーティング、糖衣コーティングを行う場合、必要とあれば、賦形剤や、可塑剤、着色剤等を配合することができる。賦形剤としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン等が挙げられる。可塑剤としては、例えば、マクロゴール6000、コポリビドン、クエン酸トリエチル等が挙げられる。着色剤としては、例えば、酸化チタン、食用黄色5号、食用青色2号、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄等が挙げられる。本発明で使用することができる矯味剤としては、例えば、白糖、ソルビトール、キシリトール、クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、グルタミン酸ナトリウム、5’−イノシン酸ナトリウム、5’−グアニル酸ナトリウム等が挙げられる。本発明で使用することができる矯臭剤としては、例えば、トレハロース、リンゴ酸、マルトース、グルコン酸カリウム、アニス精油、バニラ精油、カルダモン精油等が挙げられる。本発明で使用することができる香料としては、例えば、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、メントール等が挙げられる。
【実施例】
【0045】
以下、本発明について実施例及び比較例を用いて説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例及び比較例に何ら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例では、3種のヒプロメロース(メトローズ60SH−50(、メトローズ60SH−4000およびTC−5EW(信越化学工業))が用いられているが、それらは粘度が異なる。20℃における2%水溶液におけるそれぞれの粘度は、50mPa・s、4000mPa・s、および3mPa・sである。
【0046】
実施例1
(2S,4S)−1−[2−[(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ]アセチル−4−フルオロピロリジン−2−カルボニトリル(化合物1)を使用して打錠を行った。
70〜90℃に加温させたウォーターバスを用いてステアリルアルコールを溶融させ、粉砕機(不二パウダル、KIIG−1S)を用いて粉砕した上記化合物1を加え、懸濁後、室温で冷却固化、粉砕機(岡田精工、ND−10)を用いて粉砕し、マンニトール(商品名 マンニット−P、東和化成工業)、炭酸カルシウム(関東化学)、ヒプロメロース(商品名 メトローズ60SH−50及びメトローズ60SH−4000、信越化学工業)、300μmの篩を通したヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(商品名:HPMCP HP−50,信越化学工業)を加え混合後、ステアリン酸マグネシウム(商品名 ステアリン酸マグネシウム植物性、太平化学産業)を加え混合し、打錠機(畑鉄工所、HT−AP−18−SSII)にて直径7.5mmの臼、曲率半径9mmのR面杵を用いて質量278.8mgとなるように、圧力1750〜1850kgで打錠した。
【0047】
実施例2
70〜90℃に加温させたウォーターバスを用いてステアリルアルコールを溶融させ、粉砕機(不二パウダル、KIIG−1S)を用いて粉砕した化合物1を加え、懸濁後、室温で冷却固化、粉砕機(岡田精工、ND−10)を用いて粉砕し、マンニトール(商品名 マンニット−P、東和化成工業)、炭酸カルシウム(関東化学)、ヒプロメロース(商品名 メトローズ60SH−50及びメトローズ60SH−4000、信越化学工業)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(商品名 AQOAT AS−LF、信越化学工業)を加え混合後、ステアリン酸マグネシウム(商品名 ステアリン酸マグネシウム植物性、太平化学産業)を加え混合し、打錠機(畑鉄工所、HT−AP−18−SSII)にて直径7.5mmの臼、曲率半径9mmのR面杵を用いて質量280mgとなるように、圧力860〜960kgで打錠した。
【0048】
比較例1
化合物1、マンニトール(商品名 マンニット−P、東和化成工業)、ヒプロメロース(商品名 メトローズ60SH−50及びメトローズ60SH−4000、信越化学工業)、300μmの篩を通したヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(商品名:HPMCP HP−50,信越化学工業)を加え混合後、ステアリン酸マグネシウム(商品名 ステアリン酸マグネシウム植物性、太平化学産業)を加え混合し、打錠機(畑鉄工所、HT−AP−18−SSII)にて直径7.5mmの臼、曲率半径9mmのR面杵を用いて質量250mgとなるように、圧力1600〜1810kgで打錠した。
【0049】
比較例2
ステアリルアルコール、化合物1、マンニトール(商品名 マンニット−P、東和化成工業)、炭酸カルシウム(関東化学)、ヒプロメロース(商品名 メトローズ60SH−50及びメトローズ60SH−4000、信越化学工業)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(商品名 AQOAT AS−LF、信越化学工業)を加え混合後、ステアリン酸マグネシウム(商品名 ステアリン酸マグネシウム植物性、太平化学産業)を加え混合し、打錠機(畑鉄工所、HT−AP−18−SSII)にて直径7.5mmの臼、曲率半径9mmのR面杵を用いて質量280mgとなるように、圧力710〜800kgで打錠した。
【0050】
比較例3
化合物1、マンニトール(商品名 マンニット−P、東和化成工業)、炭酸カルシウム(関東化学)をメカノミル(岡田精工、MM−20N)で混合し、マクロゴール6000のエタノール溶液を滴下することにより造粒し、パワーミルで粉砕し顆粒を得た。別にヒプロメロース(商品名 メトローズ60SH−4000、信越化学工業)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(商品名 AQOAT AS−LF、信越化学工業)をメカノミル(岡田精工、MM−20N)で混合し、マクロゴール6000のエタノール溶液を滴下することにより造粒し、パワーミルで粉砕し顆粒を得た。この2種類の顆粒を混合後、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム(商品名 ステアリン酸マグネシウム植物性、太平化学産業)を加え混合し、打錠機(畑鉄工所、HT−AP−18−SSII)にて直径7.5mmの臼、曲率半径9mmのR面杵を用いて質量280mgとなるように、圧力1050〜1200kgで打錠した。
【0051】
【表1】

(表中の数値の単位はmg)
【0052】
実施例3
転動流動層造粒装置(不二パウダル、NQ−160)を用いて下記処方に従い、マンニトール(商品名 マンニット−P、東和化成工業)(13.2mg)、炭酸カルシウム(関東化学)(20mg)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(商品名 AQOAT AS−LF、信越化学工業)を5%ヒドロキシプロピルセルロース(商品名 NISSO HPC L、日本曹達)水溶液でスプレーすることにより造粒し、乾燥することにより造粒顆粒を得た。この造粒顆粒を用いて、コーティング液としてマンニトール(商品名 マンニット−P、東和化成工業)(30mg)、ヒドロキシプロピルセルロース(商品名 NISSO HPC SL、日本曹達)水溶液をスプレーすることにより、コート顆粒を得た。次に、下記処方に従い、化合物1、得られたコート顆粒(96.2mg)、ヒプロメロース(商品名 メトローズ60SH−50及びメトローズ60SH−4000、信越化学工業)、炭酸カルシウム(関東化学)(30mg)を、乳鉢を用いて3分間混合後、ステアリン酸マグネシウム(商品名 ステアリン酸マグネシウム植物性、太平化学産業)を加え1分間混合した。更にビニール袋中で30秒間混合後、打錠機(畑鉄工所、HT−AP−18−SSII)にて直径8.5mmの臼、曲率半径10mmのR面杵を用いて質量258mgとなるように、下杵圧1050kgで打錠した。
【0053】
【表2】

(表中の数値の単位はmg)
【0054】
比較例4
以下の表3の処方に従い、マンニトール(商品名:マンニットP,東和化成工業)、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−50,信越化学工業)、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−4000,信越化学工業)、炭酸カルシウム(関東化学)、300μmの篩を通したヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(商品名:HPMCP HP−55,信越化学工業)を化合物1とともに、ポリエチレン袋中で1分間混合した。その後、ステアリルアルコール(商品名:NAA−45,日本油脂)及びステアリン酸マグネシウム(商品名:ステアリン酸マグネシウム植物性,大平化学産業)を加えて、更に1分間混合した。次に、打錠機(畑鉄工所、HT−AP−18−SSII)にて直径8.5mmの臼、曲率半径10mmのR面杵を用いて質量250mgとなるように、圧力1000〜1100kgで打錠した。更に、コーティング機(フロイント産業、HCT−MINI)を用いてステアリルアルコール(商品名:NAA−45,日本油脂)をエタノール/水混液に溶解させた液を噴霧し、コーティングした。
【0055】
比較例5
以下の表3の処方に従い、マンニトール(商品名:マンニットP,東和化成工業)、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−50,信越化学工業)、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−4000,信越化学工業)、炭酸カルシウム(関東化学)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(商品名:信越AQOAT AS−LF,信越化学工業)を化合物1とともに、ポリエチレン袋中で1分間混合した。その後、ステアリン酸マグネシウム(商品名:ステアリン酸マグネシウム植物性,大平化学産業)を加えて、更に1分間混合した。次に、打錠機(畑鉄工所、HT−AP−18−SSII)にて直径8.5mmの臼、曲率半径10mmのR面杵を用いて質量250mgとなるように、圧力750〜800kgで打錠した。更に、コーティング機(フロイント産業、HCT−MINI)を用いてステアリルアルコール(商品名:NAA−45,日本油脂)をエタノール/水混液に溶解させた液を噴霧し、コーティングした。
【0056】
比較例6
以下の表3の処方に従い、マンニトール(商品名:マンニットP,東和化成工業)、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−50,信越化学工業)、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−4000,信越化学工業)、炭酸カルシウム(関東化学)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(商品名:信越AQOAT AS−LF,信越化学工業)を化合物1とともに、ポリエチレン袋中で1分間混合した。その後、ステアリン酸マグネシウム(商品名:ステアリン酸マグネシウム植物性,大平化学産業)を加えて、更に1分間混合した。次に、打錠機(畑鉄工所、HT−AP−18−SSII)にて直径8.5mmの臼、曲率半径10mmのR面杵を用いて質量250mgとなるように、圧力750〜800kgで打錠した。更に、コーティング機(フロイント産業、HCT−MINI)を用いてステアリルアルコール(商品名:NAA−45,日本油脂)をエタノール/水混液に溶解させた液を噴霧し、コーティングした。
【0057】
【表3】

(表中の数値の単位はmg)
【0058】
比較例7
化合物1及びβ―シクロデキストリン(商品名:KLEPTOSE/BETA CYCLODEXTRINE,ROQUETTE)を75℃に加温した水にモル比で1:1となるように溶かした後、80℃のオーブンで6時間乾燥して固化させた。これを乳鉢粉砕し、355μmの篩を通し、下記表4の処方に従い、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−50,信越化学工業)、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−4000,信越化学工業)、炭酸カルシウム(関東化学)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(商品名:信越AQOAT AS−LF,信越化学工業)とポリエチレン袋中で1分間混合した。その後、ステアリン酸マグネシウム(商品名:ステアリン酸マグネシウム植物性,大平化学産業)を加えて、更に1分間混合した。次に、打錠機(畑鉄工所、HT−AP−18−SSII)にて直径9mmの臼、曲率半径12mmのR面杵を用いて質量303.7mgとなるように、圧力350〜400kgで打錠した。
【0059】
【表4】

(表中の数値の単位はmg)
【0060】
比較例8
下記表5の処方に従い、マンニトール(商品名:マンニットP,東和化成工業)、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−50,信越化学工業)、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−4000,信越化学工業)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(商品名:信越AQOAT AS−LF,信越化学工業)を化合物1とともにポリエチレン袋中で1分間混合した。その後、ステアリン酸マグネシウム(商品名:ステアリン酸マグネシウム植物性,大平化学産業)を加えて、更に1分間混合した。次に、打錠機(畑鉄工所、HT−AP−18−SSII)にて直径8.5mmの臼、曲率半径10mmのR面杵を用いて質量250mgとなるように、圧力900〜950kgで打錠した。
【0061】
比較例9
下記表5の処方に従い、マンニトール(商品名:マンニットP,東和化成工業)、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−50,信越化学工業)、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−4000,信越化学工業)、炭酸カルシウム(関東化学)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(商品名:信越AQOAT AS−LF,信越化学工業)を化合物1とともにポリエチレン袋中で1分間混合した。その後、ステアリン酸マグネシウム(商品名:ステアリン酸マグネシウム植物性,大平化学産業)を加えて、更に1分間混合した。次に、打錠機(畑鉄工所、HT−AP−18−SSII)にて直径8.5mmの臼、曲率半径10mmのR面杵を用いて質量250mgとなるように、圧力750〜800kgで打錠した。
【0062】
比較例10
下記表5の処方に従い、マンニトール(商品名:マンニットP,東和化成工業)、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−50,信越化学工業)、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−4000,信越化学工業)を化合物1とともにポリエチレン袋中で1分間混合した。その後、ステアリン酸マグネシウム(商品名:ステアリン酸マグネシウム植物性,大平化学産業)を加えて、更に1分間混合した。次に、打錠機(畑鉄工所、HT−AP−18−SSII)にて直径8.5mmの臼、曲率半径10mmのR面杵を用いて質量250mgとなるように、圧力1500〜1600kgで打錠した。
【0063】
比較例11
下記表5の処方に従い、マンニトール(商品名:マンニットP,東和化成工業)、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−50,信越化学工業)、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−4000,信越化学工業)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(商品名:信越AQOAT AS−LF,信越化学工業)を化合物1とともにポリエチレン袋中で1分間混合した。その後、ステアリン酸マグネシウム(商品名:ステアリン酸マグネシウム植物性,大平化学産業)を加えて、更に1分間混合した。次に、打錠機(畑鉄工所、HT−AP−18−SSII)にて直径8.5mmの臼、曲率半径10mmのR面杵を用いて質量250mgとなるように、圧力420〜470kgで打錠した。
【0064】
比較例12
下記表5の処方に従い、マンニトール(商品名:マンニットP,東和化成工業)、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−50,信越化学工業)、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−4000,信越化学工業)、炭酸カルシウム(関東化学)、300μmの篩を通したヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(商品名:HPMCP HP−55,信越化学工業)を化合物1とともにポリエチレン袋中で1分間混合した。その後、ステアリルアルコール(商品名:NAA−45,日本油脂)及びステアリン酸マグネシウム(商品名:ステアリン酸マグネシウム植物性,大平化学産業)を加えて、更に1分間混合した。次に、打錠機(畑鉄工所、HT−AP−18−SSII)にて直径8.5mmの臼、曲率半径10mmのR面杵を用いて質量250mgとなるように、圧力1000〜1100kgで打錠した。
【0065】
【表5】

(表中の数値の単位はmg)
【0066】
実施例4
70℃に加温させたウォーターバスを用いてステアリルアルコールを溶融させ、これに、300μmの篩を通したヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(商品名:HPMCP HP−55,信越化学工業)を加えて攪拌・懸濁させた。その後、室温で冷却固化させ、粉砕機(ワンダーブレンダー)を用いて粉砕し、500μmの篩を通し、これに化合物1、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−50,信越化学工業)、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−4000,信越化学工業)、乳糖(200M、フォンテラ)、炭酸カルシウム(関東化学)、を加えて、ポリエチレン袋中で1分間混合した。その後、ステアリン酸マグネシウム(商品名:ステアリン酸マグネシウム植物性,大平化学産業)を加えて、更に1分間混合した。次に、打錠機(畑鉄工所、HT−AP−18−SSII)にて直径8.5mmの臼、曲率半径10mmのR面杵を用いて質量275mgとなるように、圧力1500kgで打錠した。
【0067】
実施例5
ヒプロメロース(TC−5EW、信越化学工業)を精製水で8%(w/w)濃度となるように溶解させ、これに300μmの篩を通したヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(商品名:HPMCP HP−55,信越化学工業)を加え、これを80℃の水浴上でヒプロメロースの熱ゲル化特性を利用して均一分散させ、すぐに80℃に設定したオーブン中に入れ、20時間乾燥させた。これを粉砕機(ワンダーブレンダー)で粉砕後、500μmの篩を通し、これに化合物1、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−50,信越化学工業)、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−4000,信越化学工業)、乳糖(200M、フォンテラ)、炭酸カルシウム(関東化学)、を加えて、ポリエチレン袋中で1分間混合した。その後、ステアリン酸マグネシウム(商品名:ステアリン酸マグネシウム植物性,大平化学産業)を加えて、更に1分間混合した。次に、打錠機(畑鉄工所、HT−AP−18−SSII)にて直径8.5mmの臼、曲率半径10mmのR面杵を用いて質量275mgとなるように、圧力1500kgで打錠した。
【0068】
実施例6
ヒプロメロース(TC−5EW、信越化学工業)を精製水で8%(w/w)濃度となるように溶解させ、これにヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(商品名 AQOAT AS−LF、信越化学工業)を加え、これを80℃の水浴上でヒプロメロースの熱ゲル化特性を利用して均一分散させ、すぐに80℃に設定したオーブン中に入れ、18時間乾燥させた。これを粉砕機(ワンダーブレンダー)で粉砕後、500μmの篩を通し、これに化合物1、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−50,信越化学工業)、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−4000,信越化学工業)、マンニトール(商品名 マンニット−P、東和化成工業)、炭酸カルシウム(関東化学)、を加えて、ポリエチレン袋中で1分間混合した。その後、ステアリン酸マグネシウム(商品名:ステアリン酸マグネシウム植物性,大平化学産業)を加えて、更に1分間混合した。次に、打錠機(畑鉄工所、HT−AP−18−SSII)にて直径8.5mmの臼、曲率半径10mmのR面杵を用いて質量275mgとなるように、圧力1500kgで打錠した。
【0069】
実施例7
ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−50,信越化学工業)を精製水で8%(w/w)濃度となるように溶解させ、これにヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(商品名 AQOAT AS−LF、信越化学工業)を加えて、均一分散させ、80℃に設定したオーブン中に入れ、18時間乾燥させた。これを粉砕機(ワンダーブレンダー)で粉砕後、500μmの篩を通し、これに化合物1、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−50,信越化学工業)、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−4000,信越化学工業)、マンニトール(商品名 マンニット−P、東和化成工業)、炭酸カルシウム(関東化学)、を加えて、ポリエチレン袋中で1分間混合した。その後、ステアリン酸マグネシウム(商品名:ステアリン酸マグネシウム植物性,大平化学産業)を加えて、更に1分間混合した。次に、打錠機(畑鉄工所、HT−AP−18−SSII)にて直径8.5mmの臼、曲率半径10mmのR面杵を用いて質量275mgとなるように、圧力1500kgで打錠した。
【0070】
実施例8
70℃に加温させたウォーターバスを用いてステアリルアルコールを溶融させ、これに、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(商品名 AQOAT AS−LF、信越化学工業)を加えて攪拌・懸濁させた。その後、室温で冷却固化させ、粉砕機(ワンダーブレンダー)を用いて粉砕し、500μmの篩を通し、これに化合物1、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−50,信越化学工業)、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−4000,信越化学工業)、マンニトール(商品名 マンニット−P、東和化成工業)、炭酸カルシウム(関東化学)、を加えて、ポリエチレン袋中で1分間混合した。その後、ステアリン酸マグネシウム(商品名:ステアリン酸マグネシウム植物性,大平化学産業)を加えて、更に1分間混合した。次に、打錠機(畑鉄工所、HT−AP−18−SSII)にて直径8.5mmの臼、曲率半径10mmのR面杵を用いて質量275mgとなるように、圧力1500kgで打錠した。
【0071】
【表6】

(表中の数値の単位はmg)
【0072】
安定性結果
【0073】
表7 40℃,8週間保存後の安定性試験結果
【表7】

【0074】
表8 40℃,4週間保存後の安定性試験結果
【表8】

【0075】
表9 40℃,4週間保存後の安定性試験結果
【表9】

【0076】
表10 溶出試験結果(実施例3)
【表10】

(表中の溶出率の単位は%)
【0077】
表11 溶出試験結果(比較例3)
【表11】

(表中の溶出率の単位は%)
【0078】
表12 溶出試験結果(実施例2)
【表12】

(表中の溶出率の単位は%)
【0079】
表13 溶出試験結果(実施例1)
【表13】

(表中の溶出率の単位は%)
【0080】
表14 溶出試験結果(比較例4)
【表14】

(表中の溶出率の単位は%)
表15 溶出試験結果(比較例5)
【表15】

(表中の溶出率の単位は%)
【0081】
表16 溶出試験結果(比較例7)
【表16】

(表中の溶出率の単位は%)
【0082】
表17 溶出試験結果(実施例6)
【表17】

(表中の溶出率の単位は%)
【0083】
表18 溶出試験結果(実施例7)
【表18】

(表中の溶出率の単位は%)
【0084】
表19 溶出試験結果(実施例8)
【表19】

(表中の溶出率の単位は%)
【0085】
表20 溶出試験結果(実施例5)
【表20】

(表中の溶出率の単位は%)
【0086】
表21 溶出試験結果(比較例8)
【表21】

(表中の溶出率の単位は%)
【0087】
表22 溶出試験結果(比較例9)
【表22】

(表中の溶出率の単位は%)
【0088】
表23 溶出試験結果(比較例11)
【表23】

(表中の溶出率の単位は%)
【0089】
表24 溶出試験結果(比較例10)
【表24】

(表中の溶出率の単位は%)
【0090】
表25 溶出試験結果(比較例12)
【表25】

(表中の溶出率の単位は%)
【0091】
安定性試験(純度試験法(類縁物質))
錠剤をガラス瓶に充填し、開栓又は密栓した状態で40℃/75%RH、4週間又は8週間保存し、化合物1の分解物生成量を下記の液体クロマトグラフィーで測定し、その含量を化合物1の含量に対する百分率で表した。錠剤は薄めたリン酸(1→500)/液体クロマトグラフィー用アセトニトリル混液(7:3)を用いて抽出した。なお、分解物含量の定量限界が0.05%であるため、定量限界未満の分解物については含量に含めなかった。
【0092】
液体クロマトグラフィーによる試験条件
カラム:Inertsil ODS−3V、内径4.6mm、長さ150mm、粒径5μm、ジーエルサイエンス製
移動相A液:1−オクタンスルホン酸ナトリウムの薄めたリン酸(1→1000)溶液(27→12500)
移動相B液:液体クロマトグラフィー用アセトニトリル
移動相の送液:A液及びB液の混合比を変えて濃度勾配を制御した。
検出器:紫外可視吸光光度計(測定波長:210nm)
【0093】
溶出試験法
試験液に溶出試験第1液及び第2液900mLを用い、パドル法により毎分100回転で溶出試験を行った。なお、錠剤はシンカーに入れて試験を行った。溶出試験開始後1、2、3、4、5及び6時間後に孔径0.45μmのメンブランフィルターを通してサンプリングを行い、以下の条件で液体クロマトグラフ法にて溶出率を算出した。
【0094】
液体クロマトグラフィーによる試験条件
カラム:Inertsil ODS−3V、内径4.6mm、長さ150mm、粒径5μm、ジーエルサイエンス製
移動相A液:1−オクタンスルホン酸ナトリウムの薄めたリン酸(1→1000)溶液(27→12500)
移動相B液:液体クロマトグラフィー用アセトニトリル
移動相の送液:A液及びB液の混合比を一定とした。
検出器:紫外可視吸光光度計(測定波長:210nm)
【0095】
上記の通り、塩基性薬物として、上記アミノアセチルピロリジンカルボキサミド誘導体(化合物1)に対して、本発明の組成物によれば、実施例の記載から認定されるように、4又は8週間の保存後における錠剤中の主薬の化学的安定性は、比較例のものに比べて優れていることが分かる。また、本発明の組成物では、溶出試験1液と、溶出試験2液との差Aは、溶出試験後3時間までは15%以下であり、酸性液中でも良好な徐放性を示すことが分かる。この差Aは、小さいほどpHに対する溶出速度の依存性が少なく、好ましくは10%以下である。
【0096】
比較例13
下記処方に従い、マンニトール(商品名:マンニットP,東和化成工業製)(118.2mg)、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−50,信越化学工業製)(25mg)、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−4000,信越化学工業製)(75mg)をファモチジンとともに、ポリエチレン袋中で1分間混合した。その後、ステアリン酸マグネシウム(商品名:ステアリン酸マグネシウム植物性,大平化学産業製)(1.8mg)を加えて、更に1分間混合した。次に、打錠機(畑鉄工所製、HT−AP−18−SSII)にて直径8.5mmの臼、曲率半径10mmのR面杵を用いて質量250mgとなるように、圧力1400〜1500kgで打錠した。
【0097】
【表26】

(表中の数値の単位はmg)
【0098】
比較例14
下記処方に従い、マンニトール(商品名:マンニットP,東和化成工業製)(93.2mg)、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−50,信越化学工業製)(25mg)、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−4000,信越化学工業製)(75mg)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(商品名:信越AQOAT AS−LF,信越化学工業製)(25mg)をファモチジンとともに、ポリエチレン袋中で1分間混合した。その後、ステアリン酸マグネシウム(商品名:ステアリン酸マグネシウム植物性,大平化学産業製)(1.8mg)を加えて、更に1分間混合した。次に、打錠機(畑鉄工所製、HT−AP−18−SSII)にて直径8.5mmの臼、曲率半径10mmのR面杵を用いて質量250mgとなるように、圧力500〜600kgで打錠した。
【0099】
【表27】

(表中の数値の単位はmg)
【0100】
実施例9
8%(w/w)ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−50,信越化学工業製)水溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(商品名:信越AQOAT AS−LF,信越化学工業製)を上記ヒプロメロースと同量加えて分散させ、80℃で18時間乾燥した。得られた固体をワンダーブレンダー(大阪ケミカル、株式会社製WB−1)にて粉砕後、目開き500μmの篩で篩過することで、処理品Aを得た。次に、下記処方に従い、マンニトール(商品名:マンニットP,東和化成工業製)(43.2mg)、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−50,信越化学工業製)(25mg)、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−4000,信越化学工業製)(75mg)、炭酸カルシウム(関東化学製)(50mg)、処理品A(50mg)をファモチジンとともに、ポリエチレン袋中で1分間混合した。その後、ステアリン酸マグネシウム(商品名:ステアリン酸マグネシウム植物性,大平化学産業製)(1.8mg)を加えて、更に1分間混合した。次に、打錠機(畑鉄工所製、HT−AP−18−SSII)にて直径8.5mmの臼、曲率半径10mmのR面杵を用いて質量275mgとなるように、圧力1350〜1500kgで打錠した。
【0101】
【表28】

(表中の数値の単位はmg)
【0102】
比較例15
下記処方に従い、マンニトール(商品名:マンニットP,東和化成工業製)(43.2mg)、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−50,信越化学工業製)(25mg)、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH−4000,信越化学工業製)(75mg)、炭酸カルシウム(関東化学製)(50mg)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(商品名:信越AQOAT AS−LF,信越化学工業製)(25mg)をファモチジンとともに、ポリエチレン袋中で1分間混合した。その後、ステアリン酸マグネシウム(商品名:ステアリン酸マグネシウム植物性,大平化学産業製)(1.8mg)を加えて、更に1分間混合した。次に、打錠機(畑鉄工所製、HT−AP−18−SSII)にて直径8.5mmの臼、曲率半径10mmのR面杵を用いて質量250mgとなるように、圧力500〜600kgで打錠した。
【0103】
【表29】

(表中の数値の単位はmg)
【0104】
安定性結果
表30 40℃/75%RH,2週間保存後の安定性試験結果
【表30】

【0105】
ファモチジンに対して、実施例9によれば、2週間の保存後における分解に対する安定性は、比較例14及び15に比べて優れていた。なお、比較例13は、腸溶性化合物を含まないものであり、そのため、次の溶出試験結果から分かるように、溶出差Aは、本発明(実施例9)に比べて遙かに劣っていることがわかる。
【0106】
表31 溶出試験結果(比較例13)
【表31】

(表中の溶出率の単位は%)
【0107】
表32 溶出試験結果(比較例14)
【表32】

(表中の溶出率の単位は%)
【0108】
表33 溶出試験結果(実施例9)
【表33】

(表中の溶出率の単位は%)
【0109】
表34 溶出試験結果(比較例15)
【表34】

(表中の溶出率の単位は%)
【0110】
安定性試験(純度試験法(類縁物質))
錠剤をガラス瓶に充填し、開栓状態で40℃/75%RH、2週間保存し、ファモチジンの分解生成物量を以下の液体クロマトグラフィーで測定し、その含量をファモチジンの含量に対する百分率で表した。なお、錠剤は溶出試験第2液/液体クロマトグラフィー用メタノール混液(4:1)で抽出した。
液体クロマトグラフィーによる試験条件
カラム:Inertsil ODS−3、内径4.6mm、長さ250mm、粒径5μm、ジーエルサイエンス製
移動相:20mMリン酸二水素ナトリウム水溶液/液体クロマトグラフィー用メタノール混液(4:1)
検出器:紫外可視吸光光度計(測定波長:254nm)
【0111】
溶出試験法
試験液に0.01M塩酸及び溶出試験第2液900mLを用い、パドル法により毎分100回転で溶出試験を行った。なお、錠剤はシンカーに入れて試験を行った。溶出試験開始後1、2、3、4、5及び6時間後に孔径0.45μmのメンブランフィルターを通してサンプリングを行い、以下の条件で液体クロマトグラフ法にて溶出率を算出した。
【0112】
液体クロマトグラフィーによる試験条件
カラム:Inertsil ODS−3、内径4.6mm、長さ250mm、粒径5μm、ジーエルサイエンス製
移動相:20mMリン酸二水素ナトリウム水溶液/液体クロマトグラフィー用メタノール混液(4:1)
検出器:紫外可視吸光光度計(測定波長:254nm)
【0113】
上記の溶出試験結果から、ファモチジンに対して、本発明の組成物は、比較例13、14に比べて優れた溶出安定性を示す。なお、比較例15は、本発明のものと同様な溶出安定性を示すが、上記安定性試験結果(表30)から分かるように、分解安定性は大変劣っている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基性薬物の放出制御組成物であって、
1)塩基性薬物、
2)腸溶性高分子、
3)炭酸カルシウム、及び
4)ゲル化剤、
を含有し、前記塩基性薬物と、前記腸溶性高分子とが、接触しないように配置されていることを特徴とするハイドロゲル型徐放性組成物。
【請求項2】
前記塩基性薬物が、酸との接触により分解する塩基性薬物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記塩基性薬物が、次式(1)、


(式中、Aは、CH2、CHF又はCF2を示し、
R1は、置換されていてもよい二級アミノ基を示す。)
で示される化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
式(1)の化合物において、R1が、次式(2)、
R2−NH− (2)
(式中、R2は、置換されていてもよいC1〜C6のアルキル基、置換されていてもよいC3〜C10の環状アルキル基、又は置換されていてもよいC2〜C10の環状アミノ基を示す。)
で表される二級アミノ基である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記塩基性薬物が、次式(3)、


(式中、Aは、CH2、CHF又はCF2を示し、
R3は、置換されてもよいC1〜C6のアルキル基、置換されてもよいC3〜C8のシクロアルキル基、置換されてもよいアリールメチル基、置換されてもよいアリールエチル基、置換されていてもよい芳香族炭化水素、置換されていてもよい芳香族へテロ環、又は置換されていてもよい脂肪族へテロ環を示し、
nは、1又は2を示す。)
で示されるアミノアセチルピロリジンカルボキサミド誘導体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の組成物の製造方法であって、
1)疎水性の中性低融点油脂状化合物を溶融して、溶融中性低融点油脂状化合物を調製する工程、
2)前記溶融中性低融点油脂状化合物に腸溶性高分子を分散させて、腸溶性高分子分散液を得る工程、
3)前記腸溶性高分子分散液を冷却固化した後、粉砕し、粉砕物を調製する工程、
4)前記粉砕物に、塩基性薬物、炭酸カルシウム及びゲル化剤を混合する工程、及び
5)得られた混合物を打錠する工程、
を有することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の組成物の製造方法であって、
1)疎水性の中性低融点油脂状化合物を溶融して、溶融中性低融点油脂状化合物を調製する工程、
2)前記溶融中性低融点油脂状化合物に塩基性薬物を分散させて、塩基性薬物分散物を得る工程、
3)前記塩基性薬物分散物を冷却固化した後、粉砕して、粉砕物を調製する工程、
4)前記粉砕物に、腸溶性高分子、炭酸カルシウム及びゲル化剤を混合する工程、及び
5)得られた混合物を打錠する工程、
を有することを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の組成物の製造方法であって、
1)20℃における2%水溶液の粘度が100mPa・s以下である水溶性高分子の水溶液に腸溶性高分子を懸濁分散させ、懸濁分散液を調製する工程、
2)前記懸濁分散液を乾燥して、乾燥混合物を調製する工程、
3)前記乾燥混合物に、塩基性薬物、炭酸カルシウム及びゲル化剤を混合する工程、及び
4)得られた混合物を打錠する工程、
を有することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の組成物の製造方法であって、
1)腸溶性高分子に20℃における2%水溶液の粘度が100mPa・s以下である水溶性高分子の水溶液を添加し、造粒物を形成する工程、
2)20℃における2%水溶液の粘度が10mPa・s以下である水溶性高分子および/又は糖アルコールの水溶液を用いて、前記造粒物をコーティングして、コーティング造粒物を調製する工程、
3)コーティング造粒物に、塩基性薬物、炭酸カルシウム及びゲル化剤を混合する工程、及び
4)得られた混合物を打錠する工程、
を有することを特徴とする方法。
【請求項10】
塩基性薬物のpH依存的放出のpH依存性を軽減させる方法であって、
1)塩基性薬物、
2)腸溶性高分子、
3)炭酸カルシウム、及び
4)ゲル化剤、
を、前記塩基性薬物と前記腸溶性高分子とが接触しないように配合した、ハイドロゲル型徐放性組成物を用いることを特徴とする方法。

【公開番号】特開2011−37787(P2011−37787A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187758(P2009−187758)
【出願日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(000001395)杏林製薬株式会社 (120)
【Fターム(参考)】