説明

塩酸デュロキセチン遅延放出型製剤

塩酸デュロキセチンの遅延放出型製剤と、その製造方法を説明する。好ましい製剤には、不活性コア、塩酸デュロキセチンを含んで成る薬物層、分離層、並びにメタクリル酸共重合体及びヒドロキシプロピル・メチルセルロース・フタラートのうちの少なくとも1種類を含んで成る腸溶性層が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
当該出願は、2006年5月22日付けで出願された米国特許仮出願番号第60/802,849号の利益を主張し、上記出願を本明細書中に援用する。
【0002】
本発明の分野
本発明は、塩酸デュロキセチン遅延放出型製剤、及びその製造方法を網羅する。
【背景技術】
【0003】
本発明の背景
塩酸デュロキセチンは、化学名(+)-(S)-N-メチル-γ-(1-ナフチルオキシ)-2-チオフェンプロピルアミン・ハイドロクロライド、分子式C18H19NOS・HCl、そして、333.88の分子量をもつ、選択的セロトニン及びノレピネフリン再取込阻害剤(「SSRI」)である。塩酸デュロキセチンの化学構造は、以下の式(I):
【化1】

によって表されることができる。
【0004】
塩酸デュロキセチンは、欧州公開番号第273658号にて開示され、現在、20、30、及び60mgは遅延放出型腸溶性カプセル剤としてCYMBALTA(登録商標)という商品名で大うつ病性障害の治療用にEli Lillyによって販売されている。伝えられるところによれば、CYMBALTA(登録商標)錠剤は、塩酸デュロキセチン、並びに不活性成分であるFD&CブルーNo.2、ゼラチン、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピル・メチルセルロース・アセテート・スクシナート、ラウリル硫酸ナトリウム、ショ糖、球状糖(sugar spheres)、タルク、二酸化チタン、クエン酸トリエチル、及び、場合により、黄色酸化鉄を含んでいる。
【0005】
米国特許番号第5,508,276号(「276号特許」)は、腸溶性デュロキセチン・ペレットの形態の遅延放出型デュロキセチン製剤を開示している。開示されている腸溶性コーティング層は、1反復単位につき少数のカルボン酸基しか持たない腸溶性重合体を含んでいる。ヒドロキシプロピル・メチルセルロース・アセテート・スクシナート(「HPMCAS」)は、好ましい腸溶性重合体として開示されている。HPMCASを懸濁液の形態で塗布するとき、276号特許は、塗布前にその懸濁液を20℃未満に冷やすこと、並びに細い径の管を使用し、且つ、その管とスプレードライヤーのノズルを冷やすことが望ましいと開示している。HPMCASを水性溶液の形態で塗布するとき、276号特許は、その溶解を容易にするために、HPMCASを、例えばアンモニアで中和すべきであると開示している。276号特許は、また、デュロキセチンが多くの腸溶性コートと反応して、遅溶性又は不溶性コートを形成することがわかったと開示している。これは、不利な薬物放出特性、及び/又は低い生物学的利用能に通じるかもしれない。276号特許は、また、その生成物が変化のない状態で患者の胃を通過し、そして、それが胃から出て小腸に入ったときに、溶解して、すばやく有効成分を放出するように腸溶性医薬製剤が製造されていることを開示している。これは、胃などの酸性環境において不溶性であるが、小腸などの中性に近い環境において可溶性であるフィルム又はエンベロープの「腸溶性コート」により錠剤又はペレットの内部に有効成分を内包することによって達成される。
【0006】
遅延放出型製剤は、酸性に弱い活性薬剤成分(「API」)を患者の胃の酸性環境にさらすことを防ぎ、そして、APIの分解、及び/又は患者の胃の炎症を予防するのに有利である。これにより、塩酸デュロキセチンの付加的な遅延放出型製剤は有利であるだろう。本発明は、そのような塩酸デュロキセチンの遅延型製剤を提供する。
【発明の開示】
【0007】
発明の概要
本発明は、不活性コア、塩酸デュロキセチンを含んで成る薬物層(drug layer)、分離層(separating layer)、メタクリル酸共重合体及びヒドロキシプロピル・メチルセルロース・フタラートのうちの少なくとも1種類を含んで成る腸溶性層(enteric layer)、及び、場合により仕上げ層(finish layer)を含んで成る塩酸デュロキセチン遅延放出型製剤を網羅する。好ましくは、不活性コアは、球状糖(sugar spheres)又は微結晶性セルロースのペレットを含んで成る。
【0008】
好ましくは、薬物層は、医薬として許容される賦形剤の1種類以上をさらに含んで成る。より好ましくは、賦形剤は、結合剤、流動促進剤(glidants)、コーティング剤、及び帯電防止剤(anti-static agents)から選択される。最も好ましくは、賦形剤は、ショ糖、ポビドン、コロイド状二酸化ケイ素、ヒプロメロース(hypromellose)、及びタルクから選択される。特に好ましい薬物層は、塩酸デュロキセチン、ショ糖、ポビドン、コロイド状二酸化ケイ素、及びヒプロメロースを含んで成る。薬物層は、好ましくは、製剤の約40重量パーセント〜約90重量パーセントの量で存在する。より好ましくは、薬物層は、製剤の約50重量パーセント〜約75重量パーセントの量で存在する。
【0009】
分離層は、好ましくは、コーティング剤、及び、場合により1種類以上の追加的な医薬として許容される賦形剤を含んで成る。好ましくは、賦形剤は、希釈剤、固結防止剤(anti-adherents)、及び増粘剤から選択される。より好ましくは、賦形剤は、ショ糖、タルク、ポビドン、及びコロイド状二酸化ケイ素から選択される。特に好ましい分離層は、ヒプロメロース、二酸化チタン、酸化鉄、ショ糖、及びタルクを含んで成る。分離層は、好ましくは、製剤の約8重量パーセント〜約60重量パーセントの量で存在する。より好ましくは、分離層は、製剤の約15重量パーセント〜約45重量パーセントの量で存在する。
【0010】
メタクリル酸共重合体、及び/又はヒドロキシプロピル・メチルセルロース・フタラートに加えて、腸溶性層は、好ましくは、医薬として許容される賦形剤の1種類以上をさらに含んで成る。好ましくは、賦形剤は、流動促進剤及び可塑剤から選択される。より好ましくは、賦形剤は、タルク及びクエン酸メチルから選択される。腸溶性層は、好ましくは、製剤の約5重量パーセント〜約40重量パーセントの量で存在する。より好ましくは、腸溶性層は、製剤の約10重量パーセント〜約30重量パーセントの量で存在する。
【0011】
任意の仕上げ層は、コーティング剤と、場合により追加的な医薬として許容される賦形剤の1種類以上を含んで成るかもしれない。好ましくは、賦形剤は、増粘剤、流動促進剤、及び着色剤から選択される。好ましくは、賦形剤は、タルク、コロイド状二酸化ケイ素、及び二酸化チタンから選択される。特に好ましい仕上げ層は、ヒプロメロース、タルク、コロイド状二酸化ケイ素、及び二酸化チタンを含んで成る。仕上げ層は、好ましくは、製剤の約1重量パーセント〜約15重量パーセントの量で存在する。より好ましくは、仕上げ層は、製剤の約2重量パーセント〜約10重量パーセントの量で存在する。
【0012】
本発明は、また、本発明の塩酸デュロキセチン遅延放出型製剤の調製方法を網羅する。前記方法は、好ましくは、連続的なステップにおいて、塩酸デュロキセチンを含んで成る薬物層;分離層;メタクリル酸共重合体及びヒドロキシプロピル・メチルセルロース・フタラートのうちの少なくとも1種類を含んで成る腸溶性層;そして場合により、仕上げ層でコアをコーティングすることを含んで成る。
【0013】
より好ましくは、薬物層、分離層、腸溶性層、及び任意の仕上げ層のそれぞれが、それぞれの層の成分の溶液、及び/又は懸濁液から塗布される。最も好ましくは、各層が、所望の層を形成する適切な溶液、及び/又は懸濁液をコア又は直前に形成された層にスプレーすることによって塗布される。
【0014】
例えば、本発明による遅延放出型塩酸デュロキセチン製剤は、連続的なステップにおいて、薬物層を形成するための塩酸デュロキセチンを含んで成る溶液、分離層を形成する成分の懸濁液、腸溶性層を形成するためのメタクリル酸共重合体及びヒドロキシプロピル・メチルセルロース・フタラートのうちの少なくとも1種類から成る懸濁液、並びに場合により仕上げ層を形成する成分の懸濁液で不活性コアをコーティングすることによって形成されるかもしれない、ここで、好ましくは、当該コアはそれぞれのコーティング・ステップの間で乾燥される。
【0015】
本発明による塩酸デュロキセチン遅延放出型製剤は、水や、エタノールや、その混合物などの溶媒又は溶媒の混合物中、塩酸デュロキセチン、及び、場合により、ショ糖、ポビドン、コロイド状二酸化ケイ素、ヒプロメロースの如き1種類以上の賦形剤を含んで成る溶液で不活性コアをコーティングし、そして、好ましくはコアを乾燥させるステップを含んで成る好ましい方法により調製されるかもしれない。ここで、前記溶媒は、最も好ましくは、水とエタノールの80:20混合物である。塩酸デュロキセチン・コーティング・コアは、次に、コーティング剤、及び、場合により希釈剤、固結防止剤又は増粘剤の如き追加的な医薬として許容される賦形剤の1種類以上を含んで成る懸濁液でコーティングされ、その結果、分離層が形成され、その後、好ましくは、それを乾燥させる、ここで、前記懸濁液は、最も好ましくは、水中の、ヒプロメロース、二酸化チタン、酸化鉄、ショ糖、及びタルクを含んで成る。塩酸デュロキセチン及び分離層コーティング・コアは、次に、水などの溶媒中、メタクリル酸共重合体及びヒドロキシプロピル・メチルセルロース・フタラートのうちの少なくとも1種類、並びに、場合により、ヒプロメロース、二酸化チタン、酸化鉄、ショ糖、クエン酸トリエチル、及びタルクの如き医薬として許容される賦形剤の1種類以上でコーティングされ、そして、乾かされ、その結果、塩酸デュロキセチンと分離層でコーティングされたコア上に腸溶性コートが形成される。
【0016】
仕上げ層を所望する場合、本発明の方法は、好ましくは、塩酸デュロキセチン、分離層、及び腸溶性層でコーティングされたコアを、コーティング剤、並びに、場合により、増粘剤、流動促進剤、又は着色剤などの1種類以上の如き追加的な医薬として許容される賦形剤でコーティングし、そして、そのコーティングを乾燥させ、その結果、仕上げ層を形成させるステップをさらに含んで成る、ここで、前記懸濁液は、最も好ましくは、水中、ヒプロメロース、タルク、コロイド状二酸化ケイ素、二酸化チタンを含んで成る。
【0017】
本発明は、また、塩酸デュロキセチン遅延放出型製剤を含んで成る固形の医薬調剤を網羅する。好ましくは、固形の医薬調剤はカプセル剤である。
【0018】
本発明は、また、本発明の塩酸デュロキセチン遅延放出型製剤を、それを必要としている患者に投与するステップを含んで成るうつ病の治療方法を網羅する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
発明の詳細な説明
本発明は、例えば、メタクリル酸共重合体、及び/又はヒドロキシプロピル・メチルセルロース・フタラートを含んで成る腸溶性層をもつ塩酸デュロキセチン遅延放出型製剤を網羅する。メタクリル酸共重合体、及び/又はヒドロキシプロピル・メチルセルロース・フタラートを含んで成る腸溶性層の使用には、例えば、HPMCASを越えるいくつかの利点が一般的にある。例えば、メタクリル酸共重合体及びヒドロキシプロピル・メチルセルロース・フタラートは、標準的な装備を用いて室温にて扱われ得るので、それらは工業規模における使用に関してより好適である。加えて、加工中、これらの重合体の中和を必要としない。さらに、HPMCASとは対照的に、好ましい態様の腸溶性コートにおけるメタクリル酸共重合体、及び/又はヒドロキシプロピル・メチルセルロース・フタラートの使用は、良好な放出特性と、良好な生物学的利用能を有するデュロキセチン製剤を可能にする。
【0020】
本発明は、以下の:(a)不活性コア;(b)塩酸デュロキセチンを含んで成る薬物層;(c)分離層;(d)メタクリル酸共重合体及びヒドロキシプロピル・メチルセルロース・フタラートのうちの少なくとも1種類を含んで成る腸溶性層;並びに場合により(e)仕上げ層を含んで成る塩酸デュロキセチン遅延放出型製剤を網羅する。
【0021】
コアは、いずれかの不活性物質、又は塩酸デュロキセチンと不利に相互作用しないコアとしての使用に関して薬物製剤分野の当業者に知られている材料の混合物を含んで成るかもしれない。好ましくは、コアは、球状糖、又は微結晶性セルロースNFのペレットを含んで成る。コアは、好ましくは、製剤の約50重量パーセント以下の量で存在する。より好ましくは、コアは、製剤の約40重量パーセント以下の量で存在する。好ましくは、コアは、薬物層に対して約1:1〜約2.5:1の重量比で存在する。
【0022】
好ましくは、薬物層は、塩酸デュロキセチン、及び医薬として許容される賦形剤の1種類以上を含んで成る。医薬として許容される賦形剤は、塩酸デュロキセチンと不利に相互作用しない、医薬製剤に一般的に使用される賦形剤を含むかもしれない。好ましくは、医薬として許容される賦形剤は、希釈剤、結合剤、流動促進剤、コーティング剤、及び帯電防止剤から選択される。より好ましくは、医薬として許容される賦形剤は、ショ糖、ポビドン、コロイド状二酸化ケイ素、ヒプロメロース、及びタルクUSPから選択される。薬物層は、好ましくは、製剤の約40重量パーセント〜約90重量パーセントの量で存在する。より好ましくは、薬物層は、製剤の約50重量パーセント〜約75重量パーセントの量で存在する。好ましくは、薬物層は、分離層に対して約0.5:1〜約2:1の重量比で存在する。
【0023】
特に好ましい薬物層は、塩酸デュロキセチン、球状糖、ポビドンUSP(PVP K-30)、AEROSIL(登録商標)200(コロイド状二酸化ケイ素NF)、及びタルクUSPを含んで成る。より好ましくは、薬物層は、約10〜70%の塩酸デュロキセチン、約20〜80%の球状糖、約1〜30%のポビドンUSP(PVP K-30)、約1〜10%のAEROSIL(登録商標)200(コロイド状二酸化ケイ素NF)、及び約1〜20%のタルクUSPを含んで成り、ここで、上記パーセンテージは、薬物層の重さによるものである。
【0024】
分離層は、好ましくは、以下の機能:腸溶性層の塗布のための平滑な基礎を提供すること、胃の酸性環境に対する製剤の抵抗性を延長すること、塩酸デュロキセチンと腸溶性層の間の相互作用を抑制することによって製剤の安定性を改善すること、又は光照射から塩酸デュロキセチンを保護することによって製剤の貯蔵安定性を改善すること、の1以上を実施する。分離層は、好ましくは、コーティング剤、及び、場合により追加的な医薬として許容される賦形剤の1種類以上を含んで成る。好ましくは、コーティング剤は、OPADRY(登録商標)及びヒドロキシプロピル・メチルセルロースのうちの少なくとも1つから選択される。Colorcon(West Point, PA)から入手可能なOPADRY(登録商標)には、ヒドロキシプロピル・セルロース、ヒプロメロース、二酸化チタン、及び酸化鉄が含まれる。当業者は、これらの構成要素の混合物が、本発明の範囲から逸脱することなく市販のプレミックスOPADRY(登録商標)製剤に置換されることができると認識しているだろう。
【0025】
追加的な医薬として許容される賦形剤は、塩酸デュロキセチンと不利に相互作用しない、医薬製剤で一般的に使用される賦形剤を含むかもしれない。好ましくは、追加的な医薬として許容される賦形剤は、希釈剤、固結防止剤、及び増粘剤から選択される。より好ましくは、追加的な医薬として許容される賦形剤は、ショ糖、タルク、ポビドンUSP(PVP K-30)、及びコロイド状二酸化ケイ素(AEROSIL(登録商標)200)から選択される。分離層は、好ましくは、製剤の約8重量パーセント〜約60重量パーセントの量で存在する。より好ましくは、分離層は、製剤の約15重量パーセント〜約45重量パーセントの量で存在する。好ましくは、分離層は、腸溶性層に対して約0.5:1〜約3:1の重量比で存在する。
【0026】
特に好ましい分離層は、OPADRY(登録商標)white 39A28677、PHARMACOAT(登録商標)606(ヒプロメロースUSP)、ショ糖NF、及びタルクUSPを含んで成る。より好ましくは、分離層は、約10〜70%のOPADRY(登録商標)white 39A28677、約1〜15%のPHARMACOAT(登録商標)606(ヒプロメロースUSP)、約5〜60%のショ糖NF、及び約20〜75%のタルクUSPを含んで成り、ここで、上記パーセンテージは、分離層の重さによるものである。
【0027】
腸溶性層は、主として小腸における塩酸デュロキセチンの遅延放出を実現するために塗布される。好ましくは、腸溶性層は、胃などの酸性環境において実質的に不溶性であるが、小腸などの中性に近い環境において可溶性である。これにより、製剤は、それが胃の酸性環境を通り抜ける時点で損なわれずに残っているが、それが小腸の中性に近い環境に入るとすぐに、溶解し、そして、塩酸デュロキセチンを放出する。腸溶性層は、好ましくは、約5.5より高いpHにて溶解する重合体を含む。腸溶性層は、ヒドロキシプロピル・メチルセルロース・フタラート、及び/又はメタクリル酸共重合体、例えば、EUDRAGIT(登録商標)メタクリル酸共重合体分散液、例えば、Degussa、Dusseldorf, Germanyから入手可能なEUDRAGIT(登録商標)L30D55など、そして、場合により追加的な医薬として許容される賦形剤の1種類以上を含んで成る。追加的な医薬として許容される賦形剤は、塩酸デュロキセチンと不利に相互作用しない、腸溶性層における使用のために医薬製剤で一般的に使用される賦形剤を含むかもしれない。好ましくは、追加的な医薬として許容される賦形剤は、流動促進剤及び可塑剤から選択される。より好ましくは、追加的な医薬として許容される賦形剤は、タルク及びクエン酸トリエチルから選択される。腸溶性層は、好ましくは、製剤の約5重量パーセント〜約40重量パーセントの量で存在する。より好ましくは、腸溶性層は、製剤の約10重量パーセント〜約30重量パーセントの量で存在する。好ましくは、腸溶性層は、仕上げ層に対して約6:1〜約12:1の重量比で存在する。
【0028】
特に好ましい腸溶性層は、EUDRAGIT(登録商標)L30D55(30%の水性分散液)、クエン酸トリエチルNF、及びタルクUSPを含んで成る。より好ましくは、腸溶性層は、約5〜70%のEUDRAGIT(登録商標)L30D55(30%の水性分散液)、約5〜30%のクエン酸トリエチルNF、及び約10〜50%のタルクUSPを含んで成り、ここで、上記パーセンテージは、腸溶性層の重さによるものである。
【0029】
任意の仕上げ層は、好ましくは、製剤の取り扱いを助けるために塗布される。腸溶性コートには何らかの静電力があり、それが包装への製剤の貼り付きをもたらすかもしれない;仕上げ層は、腸溶性コートが包装と接触するのを防ぎ、それにより、この問題を回避する。任意の仕上げ層は、好ましくは、コーティング剤、及び、場合により追加的な医薬として許容される賦形剤の1種類以上を含んで成る。好ましくは、コーティング剤は、ヒプロメロースである。追加的な医薬として許容される賦形剤は、仕上げ層又はコートに使用するために医薬製剤で一般的に使用される賦形剤を含むかもしれない。好ましくは、追加的な医薬として許容される賦形剤は、増粘剤、流動促進剤、及び着色剤から選択される。より好ましくは、追加的な医薬として許容される賦形剤は、タルク、コロイド状二酸化ケイ素、及び二酸化チタンから選択される。仕上げ層は、好ましくは、製剤の約1重量パーセント〜約15重量パーセントの量で存在する。より好ましくは、仕上げ層は、製剤の約2重量パーセント〜約10重量パーセントの量で存在する。
【0030】
特に好ましい仕上げ層は、タルクUSP、PHARMACOAT(登録商標)603(ヒプロメロース)、及びAEROSIL(登録商標)200(コロイド状酸化ケイ素NF)を含んで成る。より好ましくは、仕上げ層は、約5〜50%のタルクUSP、約5〜50%のPHARMACOAT(登録商標)603(ヒプロメロース)、及び約5〜30%のAEROSIL(登録商標)200(コロイド状二酸化ケイ素NF)を含んで成り、ここで、上記パーセンテージは、仕上げ層の重さによるものである。
【0031】
本発明は、また、塩酸デュロキセチンを含んで成る薬物層;分離層;ヒドロキシプロピル・メチルセルロース・フタラート及びメタクリル酸共重合体のうちの少なくとも1種類を含んで成る腸溶性層;そして、場合により仕上げ層で連続してコアをコーティングするステップを含んで成る、塩酸デュロキセチン遅延放出型製剤の調製方法を網羅する。好ましくは、各層は、懸濁液、及び/又は溶液の形態で塗布され、そして、より好ましくは、各層は、スプレー・コートされる。好ましくは、各層を、次の連続したコーティングの塗布前に乾燥させる。
【0032】
薬物層の溶液は、薬物層の成分を、水又は水とアルコールの混合物と組み合わせることによって調製されるかもしれない。好ましくは、薬物層の成分は、水とエタノールの混合物と組み合わせられる。より好ましくは、薬物層の成分は、精製水:エタノールの80:20の混合物と組み合わせられる。最も好ましくは、エタノールは。95パーセントのエタノールである。精製水は、好ましくは、米国薬局方(第29版、2005)で挙げられる規格を満たす。
【0033】
分離層、腸溶性層、及び仕上げ層の成分の懸濁液は、好ましくは、各層の構成要素を、好ましくは精製水である水と組み合わせることによって調製される。
【0034】
製剤の各層は、当業者に知られているいずれかの方法によって形成されるかもしれない。例えば、各層は、当業者に知られているいずれかの在来法によって先に記載の溶液又は懸濁液でコアに塗布されるかもしれない。好ましくは、コート層は、溶液又は懸濁液をコア上にスプレーすることによって形成される。
【0035】
好ましくは、溶液又は懸濁液は、混合しながら、約1〜約1.2mmのノズルを通してコア上にスプレーされる。好ましくは、溶液又は懸濁液は、約2〜約2.5barの噴霧空気圧にてスプレーされる。好ましくは、入口の空気温度は、約30℃〜約60℃である。好ましくは、出口の空気温度は、約25℃〜約50℃である。好ましくは、フラップは、約80〜約100m3/hrである。好ましくは、スプレー速度は、約5〜約10g/分である。
【0036】
好ましくは、流動床乾燥機内にコアを置くことによって、コアをコーティングの間に乾燥させる。より好ましくは、コアを、約40℃の温度で乾燥させる。好ましくは、コーティングしたコアを、約5分〜約120分間、乾燥させる。
【0037】
本発明の塩酸デュロキセチン遅延放出型製剤を調製するための、特に好ましい本発明の方法は、以下のステップ:(a)不活性コアを準備し;(b)水とエタノールの混合物中、塩酸デュロキセチン、ショ糖、ポビドン、コロイド状二酸化ケイ素、及びヒプロメロースの溶液でコアをコートし;(c)場合により、前記コアを乾燥させ;(d)水中、ヒドロキシプロピル・セルロース、ヒプロメロース、二酸化チタン、酸化鉄、ショ糖、及びタルクの懸濁液で、前にコートされているコアをコートし;(e)場合により、前記コアを乾燥させ;(f)水中、メタクリル酸共重合体、タルク、及びクエン酸トリエチルの懸濁液で、前にコートされているコアをコートし;そして、(g)場合により、前記コアを乾燥させる、を含んで成る。
【0038】
前記方法は、以下のステップ:(h)水中、ヒプロメロース、タルク、コロイド状二酸化ケイ素、及び二酸化チタンの懸濁液で、前にコートしたコアをコーティングし、そして、(i)場合により、コアを乾燥させる、をさらに含んで成るかもしれない。
【0039】
調製されるとすぐに、塩酸デュロキセチン遅延放出型製剤は、錠剤又はカプセル剤の如き固形の医薬調剤に包装されるかもしれない。好ましくは、製剤はカプセル内に充填される。
【0040】
本発明によると、うつ病は、塩酸デュロキセチン遅延放出型製剤を、それを必要としている患者に投与するステップを含んで成る方法により治療されるかもしれない。
【0041】
以下の制限されることのない実施例は、本発明の好ましい態様の単なる例証であって、本発明を制限するものと解釈してはならず、添付した請求項によってその範囲が規定される。
【実施例】
【0042】
高速液体クロマトグラフィー
塩酸デュロキセチンの錠剤中の塩酸デュロキセチン不純物の存在と量を、以下の条件下でHPLCによって分析した:
カラム: Inertsil ODS-3、3ミクロン(3μm)、4.6×150mm
移動相: 溶液A:緩衝溶液:アセトニトリル(80:20)
溶液B:緩衝溶液:アセトニトリル(25:75)
カラム温度: 40℃
検出装置: 290nmのUV
【0043】
実施例1:メタクリル酸共重合体の腸溶性層を含む塩酸デュロキセチン遅延放出型カプセル剤の調製
部分I-コア
球状糖を、調達し、そして、流動床乾燥機内に置いた。球状糖の平均直径は、850〜1000ミクロン(850〜1000μm)であった。
【0044】
部分II-薬物層
ショ糖、ポビドン、塩酸デュロキセチン、コロイド状二酸化ケイ素、及びヒプロメロースを、85パーセントの精製水と15パーセントのエタノールの溶液と、固形が完全に溶解するまでミキサーにより混合した。
【0045】
得られた溶液を、混合しながら、2.5barの噴霧空気圧にて1mmのノズルを通して流動床乾燥機内で球状糖上にスプレーした。入口の空気温度は60℃であり、出口の空気温度は48℃であり、フラップは100m3/hrであり、そして、スプレー速度は5〜10g/分であった。コートした球状糖を、40℃にてさらに5分間、流動床乾燥機内で乾燥させて、薬物コートしたペレットを形成させた。
【0046】
部分III-分離層
ショ糖、OPADRY(登録商標)39A28677、及びヒプロメロースを、完全に溶解するまでミキサーにより精製水と混合して、溶液を形成した。タルクを、ホモジナイザーにより精製水と30分間混合し、そして、得られたタルクと水の混合物をミキサー内で前記溶液に加えた。得られた混合物を、15分間混合した。
【0047】
得られた懸濁液を、ふるいにかけ、次に、流動床乾燥機内で薬物コートしたペレット上にスプレーした。懸濁液を、混合しながら、2.5barの噴霧空気圧にて1.2mmのノズルを通してスプレーした。入口の空気温度は60℃であり、出口の空気温度は45℃であり、フラップは80m3/hrであり、そして、スプレー速度は10g/分であった。薬物コートしたペレットを分離層懸濁液でコートした後に、それらを、流動床乾燥機内で40℃にてさらに5分間乾燥させて、サブコートしたペレットを形成させた。
【0048】
部分IV-腸溶性層
EUDRAGIT(登録商標)L30D55メタクリル酸共重合体分散液、及びクエン酸トリエチルを、ミキサーにより15分間混合して、30パーセント溶液を形成した。タルクを、ホモジナイザーにより30分間、精製水と混合し、そして、得られたタルクと水の混合物をミキサー内で前記溶液に加えた。得られた混合物を、15分間混合した。
【0049】
得られた懸濁液を、ふるいにかけ、次に、流動床乾燥機内でサブコートしたペレット上にスプレーした。懸濁液を、混合しながら、2.5barの噴霧空気圧にて1.2mmのノズルを通してスプレーした。入口の空気温度は38℃であり、出口の空気温度は28℃であり、フラップは85m3/hrであり、そして、スプレー速度は10g/分であった。薬物コートしたペレットを分離層懸濁液でコートした後に、それらを、流動床乾燥機内で40℃にてさらに120分間乾燥させて、腸溶性コートしたペレットを形成させた。
【0050】
部分V-仕上げ層
ヒプロメロース、コロイド状二酸化ケイ素、及び二酸化チタンを、ミキサーにより30分間、精製水と混合して、溶液を形成した。タルクをホモジナイザーにより30分間、精製水中で混合した。次に、タルクと水の混合物を、ミキサー内で前記溶液に加え、そして、15分間混合した。
【0051】
得られた懸濁液を、ふるいにかけ、次に、流動床乾燥機内で腸溶性ペレット上にスプレーした。スプレーを、60分間にわたり1.2mmのノズルを用い、且つ、2.3barの噴霧空気圧にて実行した。入口の空気温度は55℃であり、出口の空気温度は40℃であり、フラップは80m3/hrであり、そして、スプレー速度は10g/分であった。薬物コートしたペレットを分離層懸濁液でコートした後に、それらを、流動床乾燥機内で40℃にてさらに5分間乾燥させた。そして、コートしたペレットを、カプセル内に充填した。
【0052】
実施例1の製剤の構成要素と、製剤におけるそれらの機能を、以下の表1にまとめる、ここで、すべての濃度は、重量パーセントである。
【表1】

【0053】
実施例1の製剤において、コア:薬物層の重量比は1.23:1であり;薬物層:分離層の重量比は1.84:1であり;分離層:腸溶性層の重量比は1.33:1であり;腸溶性層:仕上げ層の重量比は7.15:1である。
【0054】
実施例2:メタクリル酸共重合体の腸溶性層を含む塩酸デュロキセチン遅延放出型カプセル剤の調製
部分I-コア
球状糖を調達し、そして、流動床乾燥機内に置いた。球状糖の平均直径は、850〜1000ミクロン(850〜1000μm)であった。
【0055】
部分II-薬物層
80パーセントの精製水と20パーセントのエタノールから成る溶液を、準備し、そして、ミキサーに加えた。次に、ショ糖、ポビドン、塩酸デュロキセチン、コロイド状二酸化ケイ素、及びヒプロメロースを、そのミキサーに加え、そして、固体が完全に溶解するまで水及びエタノールと混合した。
【0056】
得られた溶液を、混合しながら、240分間にわたり2.5barの噴霧空気圧にて1mmのノズルを通して流動床乾燥機内で球状糖上にスプレーした。入口の空気温度は60℃であり、出口の空気温度は48℃であり、フラップは100m3/hrであり、そして、スプレー速度は5〜10g/分であった。コートした球状糖を、40℃にてさらに5分間、流動床乾燥機内で乾燥させて、薬物コートしたペレットを形成させた。
【0057】
部分III-分離層
ショ糖、OPADRY(登録商標)39A28677、及びヒプロメロースを、完全に溶解するまでミキサーにより精製水と混合して、溶液を形成した。タルクを、ホモジナイザーにより精製水と30分間混合し、そして、得られたタルクと水の混合物をミキサー内で前記溶液に加えた。得られた混合物を、15分間混合した。
【0058】
得られた懸濁液を、ふるいにかけ、次に、流動床乾燥機内で薬物コートしたペレット上にスプレーした。懸濁液を、90分間にわたり2.5barの噴霧空気圧にて1.2mmのノズルを通してスプレーした。入口の空気温度は60℃であり、出口の空気温度は45℃であり、フラップは80m3/hrであり、そして、スプレー速度は10g/分であった。薬物コートしたペレットを分離層懸濁液でコートした後に、それらを、流動床乾燥機内で40℃にてさらに5分間乾燥させて、サブコートしたペレットを形成させた。
【0059】
部分IV-腸溶性層
EUDRAGIT(登録商標)L30D55メタクリル酸共重合体分散液、及びクエン酸トリエチルを、ミキサーにより15分間混合して、30パーセント溶液を形成させた。タルクを、ホモジナイザーにより30分間、精製水と混合し、そして、得られたタルクと水の混合物をミキサー内で前記溶液に加えた。得られた混合物を、15分間混合した。
【0060】
得られた懸濁液を、ふるいにかけ、次に、流動床乾燥機内でサブコートしたペレット上にスプレーした。懸濁液を、45分間にわたり2.5barの噴霧空気圧にて1.2mmのノズルを通してスプレーした。入口の空気温度は38℃であり、出口の空気温度は28℃であり、フラップは85m3/hrであり、そして、スプレー速度は10g/分であった。薬物コートしたペレットを分離層懸濁液でコートした後に、それらを、流動床乾燥機内で40℃にてさらに120分間乾燥させて、腸溶性コートしたペレットを形成させた。
【0061】
部分V-仕上げ層
ヒプロメロース、コロイド状二酸化ケイ素、及び二酸化チタンを、ミキサーにより30分間、精製水と混合して、溶液を形成させた。タルクをホモジナイザーにより30分間、精製水中で混合した。次に、タルクと水の混合物を、ミキサー内で前記溶液に加え、そして、15分間混合した。
【0062】
得られた懸濁液を、ふるいにかけ、次に、流動床乾燥機内で腸溶性ペレット上にスプレーした。スプレーを、60分間にわたり1.2mmのノズルを用い、且つ、2.3barの噴霧空気圧にて実行した。入口の空気温度は55℃であり、出口の空気温度は40℃であり、フラップは80m3/hrであり、そして、スプレー速度は10g/分であった。薬物コートしたペレットを分離層懸濁液でコートした後に、それらを、流動床乾燥機内で40℃にてさらに5分間乾燥させた。そして、コートしたペレットを、カプセル内に充填して、4000個のカプセルを形成させた。
【0063】
実施例2の製剤の構成要素と、製剤におけるそれらの機能を、以下の表2にまとめる、ここで、すべての濃度は、重量パーセントである。
【表2】

【0064】
実施例2の製剤において、コア:薬物層の重量比は1.23:1であり;薬物層:分離層の重量比は1.84:1であり;分離層:腸溶性層の重量比は1.33:1であり;腸溶性層:仕上げ層の重量比は7.15:1である。
【0065】
実施例3:ヒドロキシプロピル・メチルセルロース・フタラートの腸溶性層を含む塩酸デュロキセチン遅延放出型カプセル剤の調製
部分I-コア
球状糖を調達し、そして、流動床乾燥機内に置く。球状糖の平均直径は、850〜1000ミクロン(850〜1000μm)である。
【0066】
部分II-薬物層
75〜90パーセントの精製水と10〜30パーセントのエタノールから成る溶液を準備し、そして、ミキサーに加える。次に、ショ糖、ポビドン、塩酸デュロキセチン、コロイド状二酸化ケイ素、及びヒプロメロースを、そのミキサーに加え、そして、固体が完全に溶解するまで水及びエタノールと混合する。
【0067】
得られた溶液を、混合しながら、240分間にわたり2.5barの噴霧空気圧にて1mmのノズルを通して流動床乾燥機内で球状糖上にスプレーする。入口の空気温度は60℃であり、出口の空気温度は48℃であり、フラップは100m3/hrであり、そして、スプレー速度は5〜10g/分である。コートした球状糖を、40℃にてさらに5分間、流動床乾燥機内で乾燥させて、薬物コートしたペレットを形成させる。
【0068】
部分III-分離層
ショ糖、OPADRY(登録商標)39A28677、及びヒプロメロースを、完全に溶解するまでミキサーにより精製水と混合して、溶液を形成させる。タルクを、ホモジナイザーにより精製水と30分間混合し、そして、得られたタルクと水の混合物をミキサー内で前記溶液に加える。得られた混合物を、15分間混合する。
【0069】
得られた懸濁液を、ふるいにかけ、次に、流動床乾燥機内で薬物コートしたペレット上にスプレーする。懸濁液を、90分間にわたり2.5barの噴霧空気圧にて1.2mmのノズルを通してスプレーする。入口の空気温度は60℃であり、出口の空気温度は45℃であり、フラップは80m3/hrであり、そして、スプレー速度は10g/分である。薬物コートしたペレットを分離層懸濁液でコートした後に、それらを、流動床乾燥機内で40℃にてさらに5分間乾燥させて、サブコートしたペレットを形成させる。
【0070】
部分IV-腸溶性層
HPMCP H-55(ヒドロキシプロピル・メチルセルロース・フタラート)を、25℃以上の温度にてエタノール/精製水(80:20 w/w%)の溶媒系中に溶解させて、5〜7%のHPMCP溶液を形成する。次に、クエン酸トリエチルを、その溶液に加え、そして、その溶液を15分間混合して、HPMCP量に対して8重量パーセントのクエン酸トリエチルを含む溶液を形成する。タルクを、精製水中、ホモジナイザーにより30分間混合し、そして、得られたタルクと水の混合物を、ミキサー内の溶液に加えて、HPMCPの量に対して37重量パーセントの量のタルクを含む混合物を形成する。そして、得られた混合物を15分間混合する。
【0071】
得られた懸濁液を、ふるいにかけ、次に、流動床乾燥機内でサブコートしたペレット上にスプレーする。懸濁液を、180分間にわたり2.5barの噴霧空気圧にて1.0mmのノズルを通してスプレーする。入口の空気温度は45℃〜55℃であり、出口の空気温度は30℃〜40℃であり、フラップは80〜100m3/hrであり、そして、スプレー速度は4〜20g/分である。
【0072】
部分V-仕上げ層
ヒプロメロース、コロイド状二酸化ケイ素、及び二酸化チタンを、ミキサーにより30分間、精製水と混合して、溶液を形成する。タルクをホモジナイザーにより30分間、精製水中で混合する。次に、タルクと水の混合物を、ミキサー内で前記溶液に加え、そして、15分間混合する。
【0073】
得られた懸濁液を、ふるいにかけ、次に、流動床乾燥機内で腸溶性ペレット上にスプレーする。スプレーを、60分間にわたり1.2mmのノズルを用い、且つ、2.3barの噴霧空気圧にて実行する。入口の空気温度は55℃であり、出口の空気温度は40℃であり、フラップは80m3/hrであり、そして、スプレー速度は10g/分である。薬物コートしたペレットを分離層懸濁液でコートした後に、それらを、流動床乾燥機内で40℃にてさらに5分間乾燥させる。そして、コートしたペレットを、カプセル内に充填する。
【0074】
実施例3の製剤の構成要素と、製剤におけるそれらの機能を、以下の表3にまとめる、ここで、すべての濃度は、重量パーセントである。
【表3】

【0075】
実施例3の製剤において、コア:薬物層の重量比は1.23:1であり;薬物層:分離層の重量比は1.84:1であり;分離層:腸溶性層の重量比は1.33:1であり;腸溶性層:仕上げ層の重量比は7.15:1である。
【0076】
実施例4:ヒドロキシプロピル・メチルセルロース・フタラートの腸溶性層を含む塩酸デュロキセチン遅延放出型カプセル剤の調製
部分I-コア
CELLETS(登録商標)微結晶性セルロース・ペレットを、調達し、そして、流動床乾燥機内に置く。CELLETS(登録商標)の平均直径は、500〜710ミクロン(500〜710μm)である。
【0077】
部分II-薬物層
75〜90パーセントの精製水と10〜30パーセントのエタノールから成る溶液を、準備し、そして、ミキサーに加える。次に、ショ糖、ポビドン、塩酸デュロキセチン、コロイド状二酸化ケイ素、及びヒプロメロースを、そのミキサーに加え、そして、固体が完全に溶解するまで水及びエタノールと混合する。
【0078】
得られた溶液を、混合しながら、240分間にわたり2.5barの噴霧空気圧にて1mmのノズルを通して流動床乾燥機内で球状糖上にスプレーする。入口の空気温度は60℃であり、出口の空気温度は48℃であり、フラップは100m3/hrであり、そして、スプレー速度は5〜10g/分である。コートした球状糖を、40℃にてさらに5分間、流動床乾燥機内で乾燥させて、薬物コートしたペレットを形成する。
【0079】
部分III-分離層
ショ糖、OPADRY(登録商標)39A28677、及びヒプロメロースを、完全に溶解するまでミキサーにより精製水と混合して、溶液を形成する。タルクを、ホモジナイザーにより精製水と30分間混合し、そして、得られたタルクと水の混合物をミキサー内で前記溶液に加える。得られた混合物を、15分間混合する。
【0080】
得られた懸濁液を、ふるいにかけ、次に、流動床乾燥機内で薬物コートしたペレット上にスプレーする。懸濁液を、90分間にわたり2.5barの噴霧空気圧にて1.2mmのノズルを通してスプレーする。入口の空気温度は60℃であり、出口の空気温度は45℃であり、フラップは80m3/hrであり、そして、スプレー速度は10g/分である。薬物コートしたペレットを分離層懸濁液でコートした後に、それらを、流動床乾燥機内で40℃にてさらに5分間乾燥させて、サブコートしたペレットを形成する。
【0081】
部分IV-腸溶性層
HPMCP H-55(ヒドロキシプロピル・メチルセルロース・フタラート)を、25℃以上の温度にてエタノール/精製水(80:20 w/w%)の溶媒系中に溶解させて、5〜7%のHPMCP溶液を形成する。次に、クエン酸トリエチルをその溶液に加え、そして、その溶液を15分間混合して、HPMCP量に対して8重量パーセントのクエン酸トリエチルを含む溶液を形成する。タルクを、精製水中、ホモジナイザーにより30分間混合し、そして、得られたタルクと水の混合物を、ミキサー内の溶液に加えて、HPMCPの量に対して37重量パーセントの量のタルクを含む混合物を形成する。そして、得られた混合物を15分間混合する。
【0082】
得られた懸濁液を、ふるいにかけ、次に、流動床乾燥機内でサブコートしたペレット上にスプレーする。懸濁液を、180分間にわたり2.5barの噴霧空気圧にて1.0mmのノズルを通してスプレーする。入口の空気温度は45℃〜55℃であり、出口の空気温度は30℃〜40℃であり、フラップは80〜100m3/hrであり、そして、スプレー速度は4〜20g/分である。
【0083】
部分V-仕上げ層
ヒプロメロース、コロイド状二酸化ケイ素、及び二酸化チタンを、ミキサーにより30分間、精製水と混合して、溶液を形成する。タルクをホモジナイザーにより30分間、精製水中で混合する。次に、タルクと水の混合物を、ミキサー内で前記溶液に加え、そして、15分間混合する。
【0084】
得られた懸濁液を、ふるいにかけ、次に、流動床乾燥機内で腸溶性ペレット上にスプレーする。スプレーを、60分間にわたり1.2mmのノズルを用い、且つ、2.3barの噴霧空気圧にて実行する。入口の空気温度は55℃であり、出口の空気温度は40℃であり、フラップは80m3/hrであり、そして、スプレー速度は10g/分である。薬物コートしたペレットを分離層懸濁液でコートした後に、それらを、流動床乾燥機内で40℃にてさらに5分間乾燥させる。そして、コートしたペレットを、カプセル内に充填する。
【0085】
実施例4の製剤の構成要素と、製剤におけるそれらの機能を、以下の表4にまとめる、ここで、すべての濃度は、重量パーセントである。
【表4】

【0086】
実施例4の製剤において、コア:薬物層の重量比は1.26:1であり;薬物層:分離層の重量比は0.62:1であり;そして、分離層:腸溶性層の重量比は2.30:1である。
【0087】
実施例5:メタクリル酸共重合体の腸溶性層を含む塩酸デュロキセチン遅延放出型カプセル剤の調製
部分I-コア
球状糖を、調達し、そして、流動床乾燥機内に置いた。球状糖の平均直径は、850〜1000ミクロン(850〜1000μm)であった。
【0088】
部分II-薬物層
85パーセントの精製水と15パーセントのエタノールから成る溶液を、準備し、そして、ミキサーに加えた。次に、ショ糖、ポビドン、塩酸デュロキセチン、及びコロイド状二酸化ケイ素を、そのミキサーに加え、そして、固体が完全に溶解するまで水及びエタノールと混合して、溶液を形成させた。タルクを、精製水中、Silversonホモジナイザーにより30分間混合し、そして、得られたタルクと水の混合物を、前記ミキサー内の溶液に加えた。得られた混合物を15分間混合した。
【0089】
得られた混合物を、ふるいにかけ、次に、混合しながら、240分間にわたり2.5barの噴霧空気圧にて1.2mmのノズルを通して流動床乾燥機内で球状糖上にスプレーした。入口の空気温度は60℃であり、出口の空気温度は48℃であり、フラップは100m3/hrであり、そして、スプレー速度は5〜10g/分であった。コートした球状糖を、40℃にてさらに5分間、流動床乾燥機内で乾燥させて、薬物コートしたペレットを形成させた。
【0090】
部分III-分離層
ショ糖、OPADRY(登録商標)39A28677、及びヒプロメロースを、完全に溶解するまでミキサーにより精製水と混合して、溶液を形成させた。タルクを、ホモジナイザーにより精製水と30分間混合し、そして、得られたタルクと水の混合物をミキサー内で前記溶液に加えた。得られた混合物を、15分間混合した。
【0091】
得られた懸濁液を、ふるいにかけ、次に、流動床乾燥機内で薬物コートしたペレット上にスプレーした。懸濁液を、90分間にわたり2.5barの噴霧空気圧にて1.2mmのノズルを通してスプレーした。入口の空気温度は60℃であり、出口の空気温度は45℃であり、フラップは80m3/hrであり、そして、スプレー速度は10g/分であった。薬物コートしたペレットを分離層懸濁液でコートした後に、それらを、流動床乾燥機内で40℃にてさらに5分間乾燥させて、サブコートしたペレットを形成させた。
【0092】
部分IV-腸溶性層
EUDRAGIT(登録商標)L30D55メタクリル酸共重合体分散液、及びクエン酸トリエチルを、ミキサーにより15分間混合して、25〜30パーセントのフィルム・コーティング溶液を形成させた。タルクを、ホモジナイザーにより30分間、精製水と混合し、そして、得られたタルクと水の混合物をミキサー内で前記溶液に加えた。得られた混合物を、15分間混合した。
【0093】
得られた懸濁液を、ふるいにかけ、次に、流動床乾燥機内でサブコートしたペレット上にスプレーした。懸濁液を、45分間にわたり2.5barの噴霧空気圧にて1.2mmのノズルを通してスプレーした。入口の空気温度は38℃であり、出口の空気温度は28℃であり、フラップは85m3/hrであり、そして、スプレー速度は10g/分であった。薬物コートしたペレットを分離層懸濁液でコートした後に、それらを、流動床乾燥機内で40℃にてさらに120分間乾燥させて、腸溶性コートしたペレットを形成させた。
【0094】
部分V-仕上げ層
ヒプロメロース、コロイド状二酸化ケイ素、及び二酸化チタンを、ミキサーにより30分間、精製水と混合して、溶液を形成させた。タルクをホモジナイザーにより30分間、精製水中で混合した。次に、タルクと水の混合物を、ミキサー内で前記溶液に加え、そして、15分間混合した。
【0095】
得られた懸濁液を、ふるいにかけ、次に、流動床乾燥機内で腸溶性ペレット上にスプレーした。スプレーを、60分間にわたり1.2mmのノズルを用い、且つ、2.3barの噴霧空気圧にて実行した。入口の空気温度は55℃であり、出口の空気温度は40℃であり、フラップは80m3/hrであり、そして、スプレー速度は10g/分であった。薬物コートしたペレットを分離層懸濁液でコートした後に、それらを、流動床乾燥機内で40℃にてさらに5分間乾燥させた。そして、コートしたペレットを、カプセル内に充填して、4000個のカプセルを形成させた。
【0096】
実施例5の製剤の構成要素と、製剤におけるそれらの機能を、以下の表5にまとめる、ここで、すべての濃度は、重量パーセントである。
【表5】

【0097】
実施例5の製剤において、コア:薬物層の重量比は2.30:1であり;薬物層:分離層の重量比は1.01:1であり;分離層:腸溶性層の重量比は0.77:1であり;腸溶性層:仕上げ層の重量比は11.09:1である。
【0098】
実施例6:貯蔵による塩酸デュロキセチン遅延放出型カプセル剤の安定性
a.メタクリル酸共重合体の腸溶性層を含む塩酸デュロキセチン遅延放出型カプセル剤
表6に挙げた処方をもつカプセルを、アルミニウム熱誘導ライナーと小児用安全(clic-loc)38mmプラスチック・キャップを備えた、Owens Brockway Plasticsによって製造されたコンテナ内に詰め込み、そして、40℃(±2℃)及び75%(±5%)の相対湿度にて2カ月間貯蔵した。
【0099】
【表6】

【0100】
前記カプセル剤を、ゼロ時間、1カ月の貯蔵後、及び2カ月の貯蔵後に、HPLCによって分析して、塩酸デュロキセチン不純物の存在と量を測定した。結果を表7に示す。表7中のパーセンテージは、塩酸デュロキセチン標準物質に基づくHPLCによる%面積について表されている。
【0101】
【表7】

【0102】
b.HPMCASの腸溶性層を含むCYMBALTA(登録商標)塩酸デュロキセチン遅延放出型カプセル剤
3カ月間、表8に挙げた処方を有するCYMBALTA(登録商標)60mg遅延放出型カプセル剤を、それらの本来の包装(すなわち、誘導密閉(induction sealed)された小児用安全キャップ(CRC)を備えた高密度ポリエチレン(HDPE)ボトル)内に40℃(±2℃)、75%(±5%)の相対湿度にて貯蔵した。
【0103】
【表8】

【0104】
前記カプセル剤を、ゼロ時間、及び3カ月間の貯蔵後に、HPLCによって分析して、塩酸デュロキセチン不純物の存在と量を測定した。結果を表9に示す。表9中のパーセンテージは、HPLCによる%面積で表されている。
【0105】
【表9】

【0106】
本明細書中に開示した発明が、先に述べた目的を達成するために十分に計算されていることは明らかであるが、当然のことながら、多数の変更及び態様が当業者によって考え出されるかもしれない。そのため、添付した請求項は、本発明の真の趣旨及び範囲に含まれるそのようなすべての変更及び態様におよぶものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の:
(a)不活性コア;
(b)塩酸デュロキセチンを含んで成る薬物層;
(c)分離層;及び
(d)メタクリル酸共重合体及びヒドロキシプロピル・メチルセルロース・フタラートのうちの少なくとも1種類を含んで成る腸溶性層、
を含んで成る塩酸デュロキセチン遅延放出型製剤。
【請求項2】
仕上げ層をさらに含んで成る、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記不活性コアが、球状糖及び微結晶性セルロースのペレットのうちの少なくとも1種類を含んで成る、請求項1又は2に記載の製剤。
【請求項4】
前記コアが、薬物層に対して約1:1〜約2.5:1の重量比で存在する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項5】
前記薬物層が、結合剤、流動促進剤、コーティング剤、及び帯電防止剤から選択される少なくとも1種類の医薬として許容される賦形剤をさらに含んで成る、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項6】
前記薬物層が、ショ糖、ポビドン、コロイド状二酸化ケイ素、ヒプロメロース、及びタルクから選択される少なくとも1種類の医薬として許容される賦形剤をさらに含んで成る、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項7】
前記薬物層が、塩酸デュロキセチン、ショ糖、ポビドン、コロイド状二酸化ケイ素、及びヒプロメロースを含んで成る、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項8】
前記薬物層が、製剤の約40重量パーセント〜約90重量パーセントの量で存在する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項9】
前記薬物層が、製剤の約50重量パーセント〜約75重量パーセントの量で存在する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項10】
前記薬物層が、分離層に対して約0.5:1〜約2:1の重量比で存在する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項11】
前記分離層が、コーティング剤を含んで成る、請求項1〜10のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項12】
前記分離層が、希釈剤、固結防止剤、及び増粘剤から選択される少なくとも1種類の追加的な医薬として許容される賦形剤をさらに含んで成る、請求項11に記載の製剤。
【請求項13】
前記分離層が、ショ糖、タルク、ポビドン、及び二酸化ケイ素から選択される少なくとも1種類の追加的な医薬として許容される賦形剤をさらに含んで成る、請求項11又は12に記載の製剤。
【請求項14】
前記分離層が、ヒプロメロース、二酸化チタン、酸化鉄、ショ糖、及びタルクを含んで成る、請求項1〜13のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項15】
前記分離層が、製剤の約8重量パーセント〜約60重量パーセントの量で存在する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項16】
前記分離層が、製剤の約15重量パーセント〜約45重量パーセントの量で存在する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項17】
前記分離層が、腸溶性層に対して約0.5:1〜約3:1の重量比で存在する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項18】
前記腸溶性層が、流動促進剤及び可塑剤から選択される少なくとも1種類の医薬として許容される賦形剤をさらに含んで成る、請求項1〜17のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項19】
前記腸溶性層が、タルク及びクエン酸トリエチルから選択される少なくとも1種類の医薬として許容される賦形剤をさらに含んで成る、請求項1〜18のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項20】
前記腸溶性層が、製剤の約5重量パーセント〜約40重量パーセントの量で存在する、請求項1〜19のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項21】
前記腸溶性層が、製剤の約10重量パーセント〜約30重量パーセントの量で存在する、請求項1〜20のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項22】
前記腸溶性層が、仕上げ層に対して約6:1〜約12:1の重量比で存在する、請求項2に記載の製剤。
【請求項23】
前記仕上げ層が、コーティング剤を含んで成る、請求項2又は22に記載の製剤。
【請求項24】
前記仕上げ層が、ヒプロメロース、タルク、コロイド状二酸化ケイ素、及び二酸化チタンを含んで成る、請求項2又は22〜23のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項25】
前記仕上げ層が、製剤の約1重量パーセント〜約15重量パーセントの量で存在する、請求項2又は22〜24のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項26】
薬物層、分離層、そして、腸溶性層でコアを連続的にコートするステップを含んで成る、請求項1〜25のいずれか1項に記載の製剤の調製方法。
【請求項27】
以下のステップ:
(a)水とエタノールの混合物中、塩酸デュロキセチン、ショ糖、ポビドン、コロイド状二酸化ケイ素、及びヒプロメロースを含んで成る溶液で、不活性コアをコートして、薬物層でコートされた不活性コアを得;
(b)ヒプロメロース、二酸化チタン、酸化鉄、ショ糖、及びタルクを含んで成る水中の懸濁液で、薬物層でコートされた不活性コアをコートして、薬物層及び分離層でコートされた不活性コアを得;そして
(c)(i)メタクリル酸共重合体及びヒドロキシプロピル・メチルセルロース・フタラートのうちの少なくとも1種類、(ii)タルク、並びに(iii)クエン酸トリエチルを含んで成る水中の懸濁液で、薬物層及び分離層でコートされた不活性コアをコートして、請求項1に記載の製剤を得る、
を含んで成る、請求項1〜25のいずれか1項に記載の製剤の調製方法。
【請求項28】
(i)薬物層でコートされた不活性コアをステップ(b)の前に乾燥させる、及び/又は(ii)薬物層及び分離層でコートされた不活性コアをステップ(c)の前に乾燥させる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
請求項1〜25のいずれか1項に記載の製剤を含んで成る固形の医薬調剤。
【請求項30】
カプセル剤の形態をとる、請求項29に記載の固形の医薬調剤。
【請求項31】
請求項29又は30に記載の固形の医薬調剤を、それを必要としている患者に投与するステップを含んで成るうつ病の治療方法。
【請求項32】
以下の:
(a)球状糖、又は微結晶性セルロースのペレットを含んで成る不活性コア;
(b)塩酸デュロキセチン、ショ糖、ポビドン、コロイド状二酸化ケイ素、及びヒプロメロースを含んで成る薬物層;
(c)ヒドロキシプロピル・セルロース、ヒプロメロース、酸化チタン、酸化鉄、ショ糖、及びタルクを含んで成る分離層;
(d)メタクリル酸共重合体、タルク、及びクエン酸トリエチルを含んで成る腸溶性層;並びに
(e)ヒプロメロース、タルク、二酸化チタン、及びコロイド状二酸化ケイ素を含んで成る仕上げ層、
を含んで成る塩酸デュロキセチン遅延放出型製剤。
【請求項33】
以下の:
(a)球状糖又は微結晶性セルロースのペレットを含んで成る不活性コア;
(b)塩酸デュロキセチン、ショ糖、ポビドン、コロイド状二酸化ケイ素、及びヒプロメロースを含んで成る薬物層;
(c)ヒドロキシプロピル・セルロース、ヒプロメロース、酸化チタン、酸化鉄、ショ糖、及びタルクを含んで成る分離層;
(d)ヒドロキシプロピル・メチルセルロース・フタラート、タルク、及びクエン酸トリエチルを含んで成る腸溶性層;並びに
(e)ヒプロメロース、タルク、二酸化チタン、及びコロイド状二酸化ケイ素を含んで成る仕上げ層、
を含んで成る塩酸デュロキセチン遅延放出型製剤。
【請求項34】
以下の:
(a)不活性コア;
(b)塩酸デュロキセチンを含んで成る薬物層;
(c)分離層;及び
(d)少なくとも1種類の腸溶性重合体を含んで成る腸溶性層、但し、上記腸溶性重合体がヒドロキシプロピル・メチルセルロース・アセテート・スクシナートでないことを条件とする、
を含んで成る塩酸デュロキセチン遅延放出型製剤。

【公表番号】特表2009−538315(P2009−538315A)
【公表日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512149(P2009−512149)
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【国際出願番号】PCT/US2007/012387
【国際公開番号】WO2007/139886
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】