説明

塩酸1−シクロプロピル−7−((S,S)−2,8−ジアザジシクロ(4.3.0)ノン−8−イル)−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸の多形およびその調製方法

式(I)の抗菌薬塩酸1−シクロプロピル−7−([S,S])−2,8−ジアザジシクロ[4.3.0]ノン−8−イル)−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸の新規なA形およびB形結晶、その調製、およびそれらの細菌感染症治療用組成物を提供する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩酸1−シクロプロピル−7−([S,S]−2,8−ジアザジシクロ[4.3.0]ノン−8−イル)−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸の2つの新規な多形、その調製方法およびそれらを含む医薬品製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
塩酸モキシフロキサシンという名称によっても知られている塩酸1−シクロプロピル−7−([S,S]−2,8−ジアザジシクロ[4.3.0]ノン−8−イル)−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸は、式
【0003】
【化1】

【0004】
の抗菌剤であり、抗生物質耐性菌による感染症の治療において広く治療的に用いられている。その調製は特許文献1に報告されており、その擬似多形の調製および特性は特許文献2に記載されている。塩酸モキシフロキサシンの既知の唯一の形態は、広範な確認文書が提供されている無水形および一水和物であることがこの特許から明らかである。この特許において、無水形の有効成分は、大気から水を吸収するので、医薬品製剤の調製に適さないことも記述されている。他方で、一水和物形は、吸湿性であるという欠点を有さず、粉体に流動性を与える結晶性プリズム状の形態、または凝集する傾向がある針状の形態のものとして調製することができる。
【0005】
該米国特許によれば、プリズム状の形態の一水和物は、塩酸モキシフロキサシンを最大10%の水を含むエタノール/水混合物に懸濁して製造することができるが、針状の形態の一水和物を生成させるためには、水または10%を超える水分を含む水/アルコール混合物を用いることができる。
【0006】
一水和物形を生成させるために、乾燥ステップにおける相対湿度は30%未満に低下させるべきでないことも該特許の記述において言及されている。その理由は、相対湿度が30%未満という条件は無水形の生成につながるからである。
【0007】
しかし、特許文献2に記載されている無水塩酸モキシフロキサシンの調製の実施例に、使用する溶媒が大量であるため、また後続の生産技術のため、産業上の利用可能性に重大な限界があることが示されている。
【0008】
実際、該方法では、第一に無水形の塩酸モキシフロキサシンを大量の溶媒に溶解し、次いで、有効成分が蒸発残留物として回収されるように溶媒を完全に蒸発させる。しかし、この蒸発乾固は、高温で、例えば、60〜70℃に加熱して行なう場合、生成物の分解につながる可能性があるが、該米国特許の実施例5および6に記載されているように室温で自発的に行なわせる場合、非常に長時間を必要とし、これは産業上実施不可能である。
【0009】
結論として、大量の溶媒の蒸発のための労力を要するステップを必要とせず、最終製品の変性をもたらさないほど十分に迅速かつ緩やかである、安定かつ容易に調剤される形態の塩酸モキシフロキサシンを製造する産業上利用可能な方法を特定する必要が現在依然として存在する。
【0010】
【特許文献1】欧州特許第550,903号明細書
【特許文献2】米国特許第5,849,752号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の対象は、2つの新規、安定かつ容易に調剤される結晶の形態の塩酸モキシフロキサシン、その調製方法およびそれらを含む医薬品製剤である。
a)塩酸モキシフロキサシンを適切な溶媒に懸濁するステップと、
b)混合物を還流下で加熱するステップと、
c)冷却するステップと、
d)分離した生成物を単離するステップと
を含む容易に産業上利用可能な方法により、安定であり、調剤することが容易である、塩酸モキシフロキサシンA形と称する新規な結晶の形態の水和した塩酸モキシフロキサシンが得られることが実際に驚くべきことに発見された。
【0012】
さらに、ステップd)から得られた生成物を
e)固体を適切な溶媒で再びスラリーにするステップと、
f)生成物を単離するステップと
を特徴とする続く追加のステップにかけることにより、
安定であり、調剤することが容易であるB形と称する他の新規な形態の塩酸モキシフロキサシンが調製される。
【0013】
出発塩酸モキシフロキサシンは、非晶質形または任意の結晶形であってよく、例えば、特許文献2に記載されているように、無水または一水和物結晶形であってよい。好ましくは、出発塩酸モキシフロキサシンは、0.3%未満の水分含量を有する無水形である。
【0014】
上記の方法に用いる溶媒は、一般的にアルコールまたはポリオール、好ましくはC〜Cアルコールまたはポリオール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、ter−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、メトキシエタノール、メトキシプロパノール等であり、最も好ましくはエタノールもしくはイソプロパノールまたはその混合物である。
【0015】
特に、新規な結晶形の塩酸モキシフロキサシンは、得られる混合物が2.5重量%から0.01重量%の総水分含量を有するならば、塩酸モキシフロキサシンをあらかじめ選択した溶媒に懸濁して、上記のステップに従って製造することができる。「総水分含量」は、出発塩酸モキシフロキサシンの水分含量と溶媒に含まれていた水との合計により得られる水の量を意味する。
【0016】
好ましくは、1%から0.01%、より好ましくは0.3%から0.01%、より好ましくは0.1%から0.01%の水分含量を含む溶媒を用いる。これらの新規な結晶形の製造は、特許文献2に記載されている誤解をまねく教示に照らして特に驚くべきことである。実際に、その記述(右欄62〜65ページ)に「プリズム状の形態の好ましい一水和物形は結晶性無水生成物をエタノール/水混合物、特に、10%の最大の水分含量を含む前記混合物に懸濁して得ることができる。」と述べられており、したがって、2.5%、1%または0.1%の水を含む混合物であることも意味する。実際、これらの条件では、該米国特許により記載されたプリズム状の形態の代わりに、本発明の対象であるA形または追加のステップe)〜f)の後にB形が得られることが驚異的に発見された。
【0017】
A形の調製方法において、溶媒は一般的に、塩酸モキシフロキサシン1g当たりの溶媒のmlで表した50:1から2:1、好ましくは30:1から5:1、より好ましくは約10:1の比率で用いる。
【0018】
塩酸モキシフロキサシンと溶媒との混合物を、溶媒の種類、出発製品の形態、水の総量等の種々の因子に依存する種々の時間、好ましくは少なくとも1時間、より好ましくは約4時間にわたり還流下に保持する(ステップa)。
【0019】
混合物の冷却(ステップb)は、自然冷却とするか、または当業者に知られている適切な手段により加速させてよい。混合物は室温まで冷却してもよく、あるいはより低い温度まで冷却を継続してもよい。一般的に、混合物は、室温に達するまで自然冷却させることが好ましい。
【0020】
特に好ましい方法において、室温への冷却は約2時間で起こり、単離する前に室温にさらに2時間放置する。
【0021】
本発明による新規な結晶形は、通常の技術、例えば、濾過、傾斜または遠心分離により単離する(ステップdおよびf)。
【0022】
塩酸モキシフロキサシンの新規な結晶形Aは、図1および表1に示すX線回折スペクトル(XRD)、図2および表2に示した固体状態13C−NMRスペクトル、図3に示すIRスペクトル、および図4に示すDSCトレースによって特徴付けられる。既知の形との比較における差異は、このスペクトルデータと特許文献2に記載されている無水および一水和物形のスペクトルデータとの比較によって明確に区別することができる。特に、新規な形のXRDスペクトルにおいて、7.2、12.3、16.6および21.6に位置する特性ピークが識別され、固体状態13C−NMRスペクトルにおいて、以下の表の結果として、特性ピークが169.1、164.6、151.8、115.7および67.7に示されている。
【0023】
【表1】

【0024】
【表2】

【0025】
塩酸モキシフロキサシンの新規な結晶A形は、空気中に室温で5日間放置した場合に安定であり(図5)、実際、図からXRDプロファイルが新規なA形の参照プロファイルと実質的に異なっていない。
【0026】
塩酸モキシフロキサシンA形は、製剤化に最適である加工性および流動特性を有し、圧縮試験後でさえこれらの特性を失わない。
【0027】
前述したように、塩酸モキシフロキサシンB形は、以下のステップに従って調製することができる。
a)塩酸モキシフロキサシンをアルコールおよびポリオールまたはその混合物から選択される溶媒に懸濁するステップであって、得られる混合物が2.5重量%から0.01重量%の総水分含量を有するステップと、
b)混合物を還流下で加熱するステップと、
c)冷却するステップと、
d)得られた固体を濾過するステップと、
e)固体をアルコールおよびポリオールまたはその混合物から選択される溶媒で還流状態で再びスラリーにするステップであって、得られる混合物が2.5重量%から0.01重量%の総水分含量を有するステップと、
f)生成物を単離するステップ。
【0028】
上述の方法において、ステップa)およびe)の両方における溶媒は一般的に、塩酸モキシフロキサシン1g当たりの溶媒のmlで表した50:1から2:1、好ましくは30:1から5:1、より好ましくは約10:1の比率で用いる。
【0029】
塩酸モキシフロキサシンと溶媒との混合物を、溶媒の種類、出発製品の形態、水の総量等の種々の因子に依存する種々の時間、好ましくは少なくとも1時間、より好ましくは約4時間にわたり還流下に保持する。
【0030】
混合物の冷却(ステップc)は、自然冷却とするか、または当業者に知られている適切な手段により加速させてよい。混合物は室温まで冷却してもよく、あるいはより低い温度まで冷却を継続してもよい。一般的に、混合物は、室温に達するまで自然冷却させることが好ましい。
【0031】
特に好ましい方法において、室温への冷却は約2時間で起こり、単離(ステップd)を行なう前に室温にさらに2時間放置する。
【0032】
得られた生成物を濾過し、湿ったまま反応器に再び入れて、上で定めた溶媒のうちの1つで還流状態で一般的に1時間から4時間の範囲の時間、好ましくは約2時間にわたり再びスラリーにする(ステップe)。冷却後、結晶性物質を一般的に濾過により単離し(ステップf)、真空下で好ましくは40℃で12時間乾燥して、塩酸モキシフロキサシンB形を得る。
【0033】
塩酸モキシフロキサシンの新規な結晶形Bは、図6および表3に示すX線回折スペクトル(XRD)、図7に示すIRスペクトル、および図8に示すDSCトレースによって特徴付けられる。既知の形との比較における差異は、このスペクトルデータと特許文献2に記載されている無水および一水和物形のスペクトルデータとの比較によって明確に区別することができる。特に、新規なB形のXRDスペクトルにおいて、7.2、8.8、10.5および14.7に位置する特性ピークが識別される。
【0034】
【表3】

【0035】
以下の調製実施例は、塩酸モキシフロキサシンの新規な結晶形を得るために用いることができるいくつかの方法を具体的に説明するために示すが、本発明を制限することを意図するものではない。
【実施例1】
【0036】
907.4gの塩酸モキシフロキサシン一水和物と9070mlの無水エタノール(K.F.<0.1%)を機械的撹拌機、還流冷却器および温度計を取り付けたジャケット付きの10リットル反応器に入れた。懸濁液を撹拌しながら還流状態に至らせ、それらの状態に4時間保持した。次いで、温度を20℃に低下させ、固体を濾過し、900mlの無水エタノールで洗浄した。濾過した固体を取り出し、真空(30mmHg)下で40℃で18時間乾燥して、約1%(K.F.)の水分含量を有する塩酸モキシフロキサシンA形を得た。
【実施例2】
【0037】
10gの無水塩酸モキシフロキサシンと0.3%(K.F.)の水分を含む200mlのエタノールを250mlフラスコに入れた。混合物を還流状態に至らせ、それらの状態に4時間保持し、その後、室温に冷却した。固体生成物を濾過し、30mlの無水エタノールで洗浄した。固体を真空(30mmHg)下で40℃で16時間乾燥して、8.5gの塩酸モキシフロキサシンA形を得た。
【実施例3】
【0038】
20gの無水塩酸モキシフロキサシンと0.2%(K.F.)の水分を含む250mlのイソプロパノールを500mlフラスコに入れた。混合物を還流状態に至らせ、それらの状態に4時間保持し、その後、室温に冷却した。固体生成物を濾過し、50mlのイソプロパノールで洗浄した。固体を真空(30mmHg)下で40℃で16時間乾燥して、8.0gの塩酸モキシフロキサシンA形を得た。
【実施例4】
【0039】
10gの無水塩酸モキシフロキサシンと0.3%(K.F.)の水分を含む200mlのイソブタノールを250mlフラスコに入れた。混合物を還流状態に至らせ、それらの状態に4時間保持し、その後、室温に冷却した。固体生成物を濾過し、30mlの無水エタノールで洗浄した。固体を真空(30mmHg)下で40℃で16時間乾燥して、7.8gの塩酸モキシフロキサシンA形を得た。
【実施例5】
【0040】
10gの無水塩酸モキシフロキサシンと0.1%(K.F.)の水分を含む200mlの1,2−プロパンジオールを250mlフラスコに入れた。混合物を還流状態に至らせ、それらの状態に4時間保持し、その後、室温に冷却した。固体生成物を濾過し、30mlの無水エタノールで洗浄した。固体を真空(30mmHg)下で40℃で16時間乾燥して、8.2gの塩酸モキシフロキサシンA形を得た。
【実施例6】
【0041】
200mgの塩酸モキシフロキサシンA形、200mgのAvicel Ph112および5mgのステアリン酸マグネシウムを乳鉢に入れた。
【0042】
粉末を混合し、Graseby Specacプレスに移し、5トンの圧縮力を加えて圧縮した。上述の手順をさらに10回繰返し、10個の同じ錠剤を調製した。
【実施例7】
【0043】
10gの無水塩酸モキシフロキサシンと0.3%(K.F.)の水分を含む200mlのエタノールを250mlフラスコに入れた。混合物を還流状態に至らせ、それらの状態に4時間保持し、その後、室温に冷却した。固体生成物を濾過し、30mlの無水エタノールで洗浄した。固体を250mlフラスコに再び入れ、0.1%(K.F.)の水分を含む200mlの無水エタノールを加え、混合物を還流状態に至らせ、これらの状態に1時間保持した。次いで、温度を25℃に低下させ、結晶性固体を濾過し、無水エタノールで洗浄した。真空(30mmHg)下で40℃で16時間乾燥して、8.0gの塩酸モキシフロキサシンB形を得た。
【実施例8】
【0044】
20gの無水塩酸モキシフロキサシンと0.2%(K.F.)の水分を含む250mlのイソプロパノールを500mlフラスコに入れた。混合物を還流状態に至らせ、それらの状態に4時間保持し、その後、室温に冷却した。固体生成物を濾過し、50mlのイソプロパノールで洗浄した。固体を250mlフラスコに再び入れ、0.1%(K.F.)の水分を含む200mlのイソプロパノールを加え、混合物を還流状態に至らせ、これらの状態に1時間保持した。次いで、温度を25℃に低下させ、結晶性固体を濾過し、イソプロパノールで洗浄した。真空(30mmHg)下で40℃で16時間乾燥して、17.2gの塩酸モキシフロキサシンB形を得た。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】塩酸モキシフロキサシンA形のX線回折スペクトルを示す図である。
【図2】塩酸モキシフロキサシンA形の固体状態13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図3】塩酸モキシフロキサシンA形のIRスペクトルを示す図である。
【図4】塩酸モキシフロキサシンA形のDSCグラフを示す図である。
【図5】空気中に室温で5日間放置した後の塩酸モキシフロキサシンA形のX線回折スペクトルを示す図である。
【図6】塩酸モキシフロキサシンB形のX線回折スペクトルを示す図である。
【図7】塩酸モキシフロキサシンB形のIRスペクトルを示す図である。
【図8】塩酸モキシフロキサシンB形のDSCグラフを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の主ピーク
【表1】

を有するX線回折スペクトルを示すことを特徴とする塩酸モキシフロキサシンA形。
【請求項2】
図1に示したX線回折スペクトルを示すことを特徴とする塩酸モキシフロキサシンA形。
【請求項3】
図2に示した固体状態13C−NMRスペクトルを示すことを特徴とする塩酸モキシフロキサシンA形。
【請求項4】
図3に示したIRスペクトルを示すことを特徴とする塩酸モキシフロキサシンA形。
【請求項5】
図4に示したDSCグラフを示すことを特徴とする塩酸モキシフロキサシンA形。
【請求項6】
塩酸モキシフロキサシンA形を調製する方法であって、
a)塩酸モキシフロキサシンをアルコールおよびポリオールまたはその混合物から選択される溶媒に懸濁するステップであって、得られる混合物が2.5重量%から0.01重量%の総水分含量を有するステップと、
b)混合物を還流下で加熱するステップと、
c)冷却するステップと、
d)生成物を単離するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
ステップa)における塩酸モキシフロキサシンが無水または一水和物結晶の形態であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
塩酸モキシフロキサシンが0.3%未満の水分含量を有する無水形であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
溶媒がC〜Cアルコールまたはポリオール、好ましくは、エタノールまたはイソプロパノールであることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項10】
溶媒が1%から0.01%、好ましくは0.3%から0.01%、より好ましくは0.1%から0.01%の水分含量を有することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項11】
混合物を室温に冷却することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項12】
溶媒を、塩酸モキシフロキサシン1g当たりの溶媒のmlで表した50:1から2:1、好ましくは30:1から5:1、より好ましくは約10:1の比率で用いることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項13】
混合物を少なくとも1時間、好ましくは約4時間にわたり還流下で加熱することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から5に記載の塩酸モキシフロキサシンA形をそのような治療を必要とする患者に投与することを含むことを特徴とする細菌感染症を治療する方法。
【請求項15】
薬剤として使用することを特徴とする請求項1から5に記載の塩酸モキシフロキサシンA形。
【請求項16】
細菌感染症の治療用の薬剤を製造するためのものであることを特徴とする請求項1から5に記載の塩酸モキシフロキサシンA形の使用。
【請求項17】
請求項1から5に記載の塩酸モキシフロキサシンA形および少なくとも1つの薬剤として許容される賦形剤を含むことを特徴とする薬剤組成物。
【請求項18】
以下の主ピーク
【表2】

を有するX線回折スペクトルを示すことを特徴とする塩酸モキシフロキサシンB形。
【請求項19】
図6に示したX線回折スペクトルを示すことを特徴とする塩酸モキシフロキサシンB形。
【請求項20】
図7に示したIRスペクトルを示すことを特徴とする塩酸モキシフロキサシンB形。
【請求項21】
図8に示したDSCグラフを示すことを特徴とする塩酸モキシフロキサシンB形。
【請求項22】
塩酸モキシフロキサシンB形を調製する方法であって、
a)塩酸モキシフロキサシンをアルコールおよびポリオールまたはその混合物から選択される溶媒に懸濁するステップであって、得られる混合物が2.5重量%から0.01重量%の総水分含量を有するステップと、
b)混合物を還流下で加熱するステップと、
c)冷却するステップと、
d)生成物を単離するステップと、
e)固体をアルコールおよびポリオールまたはその混合物から選択される溶媒で還流状態で再びスラリーにするステップであって、得られる混合物が2.5重量%から0.01重量%の総水分含量を有するステップと、
f)生成物を単離するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
ステップa)における塩酸モキシフロキサシンが無水または一水和物結晶の形態であることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
塩酸モキシフロキサシンが0.3%未満の水分含量を有する無水形であることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ステップa)およびe)の溶媒がC〜Cアルコールまたはポリオール、好ましくは、エタノールまたはイソプロパノールであることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項26】
ステップa)およびe)の溶媒が1%から0.01%、好ましくは0.3%から0.01%、より好ましくは0.1%から0.01%の水分含量を有することを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項27】
混合物を室温に冷却することを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項28】
溶媒を、塩酸モキシフロキサシン1g当たりの溶媒のmlで表した50:1から2:1、好ましくは30:1から5:1、より好ましくは約10:1の比率で用いることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項29】
ステップe)が混合物を1から4時間、好ましくは約2時間にわたり還流下で加熱することによって実施されることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項30】
請求項18から21に記載の塩酸モキシフロキサシンB形をそのような治療を必要とする患者に投与することを含むことを特徴とする細菌感染症を治療する方法。
【請求項31】
薬剤として使用することを特徴とする請求項18から21に記載の塩酸モキシフロキサシンB形。
【請求項32】
細菌感染症の治療用の薬剤を製造するためのものであることを特徴とする請求項18から21に記載の塩酸モキシフロキサシンB形の使用。
【請求項33】
請求項16から19に記載の塩酸モキシフロキサシンB形および少なくとも1つの薬剤として許容される賦形剤を含むことを特徴とする薬剤組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−511580(P2007−511580A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540424(P2006−540424)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052699
【国際公開番号】WO2005/054240
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(503375175)ケミー ソシエタ ペル アチオニ (3)
【Fターム(参考)】