説明

塵芥収集車及びそれに用いられる駆動装置

【課題】エネルギー効率の向上および騒音の低減を同時に達成する塵芥収集車およびそれに用いる駆動装置を提供する。
【解決手段】塵芥収集車1は、塵芥を収容するコンテナ3と、塵芥をコンテナ3に積み込む積込装置4とを備えている。積込装置4は、積込装置本体5と、積込装置本体5に回転自在に取り付けられ、積込装置本体5に投入された塵芥をすくい上げるための回転板6と、減速機と電動モータとを有し、回転板6を回転駆動する第1ギヤドモータ8とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥収集車及びそれに用いられる駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
塵芥収集車は、特許文献1記載のパッカー式塵芥収集車のように、車台に搭載された塵芥収集用のコンテナに塵芥を積み込むために、車台の後部にテールゲートと呼ばれる塵芥積込装置を備えている。この塵芥積込装置は、水平軸回りに回転して積込装置本体に投入された塵芥をすくい上げるための回転板と、当該回転板によってすくい上げられた塵芥をコンテナへ押し込むための押込板と、回転板を回転駆動するための油圧モータとを備えている。
【0003】
油圧モータは、塵芥収集車のエンジンの回転駆動力を利用して駆動される油圧ポンプから圧送された油によって回転駆動される。
【0004】
このような油圧モータを含む油圧を用いた動力機構は、油圧の発生および伝達時などにおけるエネルギーロスが大きく、エネルギー効率が悪いなどの問題がある。また、油圧ポンプを回転させる際に塵芥収集車のエンジンの出力を上げるので大きな騒音を伴うという問題がある。
【0005】
そこで、近年では、騒音を抑制するために、油圧ポンプの駆動源として電動モータを使用してハイブリッド化した塵芥収集車が提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
このハイブリッド式の塵芥収集車では、あらかじめエンジン出力で発電機を回すかまたは充電器によってバッテリーに電気を蓄えておき、回転板を回転駆動させる際には、バッテリーからの電力によって電動モータを回転させて油圧ポンプを駆動させる。その後は、上記特許文献1記載の塵芥収集車と同様に、油圧ポンプから圧送された油を用いて油圧モータを回転駆動させ、この油圧モータによって回転板を回転駆動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−53207号公報
【特許文献2】特開2009−29602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の特許文献2記載のようなハイブリッド化した塵芥収集車の場合では、油圧ポンプの駆動源として電動モータを使用しているが、油圧ポンプから圧送された油を用いて油圧モータを回転駆動させ、この油圧モータによって回転板を回転駆動させるため、効率の向上が難しいという問題がある。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、塵芥収集車のエネルギー効率の向上および騒音の低減を同時に達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の塵芥収集車は、塵芥を収容するコンテナと、塵芥を前記コンテナに積み込む積込装置とを備えた塵芥収集車であって、前記積込装置は、積込装置本体と、前記積込装置本体に回転自在に取り付けられ、前記積込装置本体に投入された塵芥をすくい上げるための回転板と、減速機と電動モータとを有し、前記回転板を回転駆動する第1ギヤドモータとを備えていることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、塵芥をコンテナに積み込む積込装置が減速機と電動モータとを有する第1ギヤドモータを備えており、この第1ギヤドモータによって塵芥をすくい上げるための回転板を回転駆動させる。そのため、油圧を用いずに第1ギヤドモータにより回転板を直接的に回転駆動させるので、エネルギーロスが少なくて済み、エネルギー効率を向上させることができる。しかも、第1ギヤドモータでは、電動モータと減速機との一体化によって回転板を回転駆動するのに必要なトルクを得ることができるため、従来用いられていた油圧ポンプのようにエンジンの出力を上げる必要がないので、騒音を低減することが可能である。
【0012】
前記積込装置本体に回転自在に取り付けられ、前記回転板によってすくい上げられた塵芥を前記コンテナの内部へ押し込むための押込板と、減速機と電動モータとを有し、前記押込板を回転駆動する第2ギヤドモータをさらに備えているのが好ましい。
【0013】
この構成によれば、回転板によってすくい上げられた塵芥をコンテナの内部へ押し込むための押込板を、減速機と電動モータとを有する第2ギヤドモータで回転駆動させるので、油圧を用いずに第2ギヤドモータにより押込板を直接的に回転駆動させるので、エネルギー効率をさらに向上させることができ、しかも、騒音もさらに低減することが可能である。また、回転板および押込板の両方をギヤドモータによって回転駆動することによって、塵芥収集車は、油圧を用いた駆動系が不要になる。
【0014】
前記第1ギヤドモータおよび前記第2ギヤドモータは、前記積込装置本体の側壁の内部に配置されているのが好ましい。
【0015】
この構成によれば、前記第1ギヤドモータおよび第2ギヤドモータが積込装置の側壁の内部に配置されており、側壁表面から突出しないので、ごみ収集作業時において作業者等が第1ギヤドモータおよび第2ギヤドモータに干渉するおそれが低減される。
【0016】
前記減速機は、内面に複数の内歯が設けられた外筒と、前記外筒内において回転自在に設けられ、偏心部を有するクランク部材と、前記偏心部に取り付けられ、前記内歯に噛み合いながら前記偏心部の偏心回転に連動して揺動回転する外歯歯車とを備える偏心揺動型の歯車装置であるのが好ましい。
【0017】
この構成によれば、上記の第1ギヤドモータまたは第2ギヤドモータに用いられる減速機が偏心揺動型の歯車装置であり、クランク部材の偏心部の偏心回転に連動して、当該クランク部材の偏心部に取り付けられた外歯歯車が揺動回転することにより、外筒がその内面に設けられた内歯が外歯歯車の歯に噛み合いながら大きい減速比で回転することが可能になる。そのため、小さいスペースで大きな減速比を得ることができる。
【0018】
前記第1ギヤドモータの出力軸に設けられた出力側プーリと、前記回転板の回転軸に設けられた入力側プーリと、前記出力側プーリと入力側プーリとの間に掛け回されたベルトとをさらに備えているのが好ましい。
【0019】
この構成によれば、第1ギヤドモータの回転駆動力を、出力側プーリ、ベルトおよび入力側プーリを介して減速しながら回転軸の回転軸へ伝達することができるので、第1ギヤドモータとして減速比の小さいギヤドモータを採用することが可能になる。そのため、第1ギヤドモータを小型化することが可能になる。
【0020】
本発明の塵芥収集車用駆動装置は、前記塵芥収集車の少なくとも第1ギヤドモータに適用される塵芥収集車用駆動装置であって、扁平な減速機と、ステータおよびロータを有する扁平な電動モータとを備えており、前記減速機および前記電動モータによって扁平なギヤドモータを構成していることを特徴としている。
【0021】
この構成によれば、扁平な減速機および扁平な電動モータによって扁平なギヤドモータを構成しているので、コンパクトな構成であり、取り付け作業が楽である。また、減速機によって電動モータの回転を減速することにより、電動モータの回転駆動力から大きなトルクを得ることができる。
【0022】
前記減速機は、内面に複数の内歯が設けられた外筒と、前記外筒内において回転自在に設けられ、偏心部を有するクランク部材と、前記偏心部に取り付けられ、前記内歯に噛み合いながら前記偏心部の偏心回転に連動して揺動回転する外歯歯車とを備える偏心揺動型の歯車装置であるのが好ましい。
【0023】
この構成によれば、減速機が偏心揺動型の歯車装置であり、クランク部材の偏心部の偏心回転に連動して、当該クランク部材の偏心部に取り付けられた外歯歯車が揺動回転することにより、外筒がその内面に設けられた内歯が外歯歯車の歯に噛み合いながら大きい減速比で回転することが可能になる。そのため、小さいスペースで大きな減速比を得ることができる。
【0024】
前記クランク部材は、前記外筒の中心軸回りに回転可能な中空のセンタークランクからなり、当該センタークランクの内部には、モータが収納されているのが好ましい。
【0025】
この構成によれば、中空のセンタークランク内部にモータを収納することにより、薄型化を達成できる。
【0026】
前記電動モータまたは減速機の可動部分の動きを制動するブレーキ機構をさらに備えているのが好ましい。
【0027】
この構成によれば、ブレーキ機構によって、電動モータまたは減速機の可動部分の動きを所定のタイミングで正確に停止させることができるので、回転板を所定の停止位置に正確に停止させることができる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本発明によれば、塵芥収集車のエネルギー効率の向上および騒音の低減を同時に達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係る塵芥収集車の一部切欠斜視図である。
【図2】図1の第1ギヤドモータの縦断面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る塵芥収集車の一部切欠斜視図である。
【図5】本発明のさらに他の実施形態に係る塵芥収集車の一部切欠斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態に係る塵芥収集車およびそれに用いられる駆動装置について図面を参照して説明する。
【0031】
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態による塵芥収集車の全体構成について説明する。
【0032】
図1に示される塵芥収集車1は、パッカー式の塵芥収集車であり、車台2と、コンテナ3と、塵芥積込装置4とを備えている。
【0033】
コンテナ3は、塵芥が収容される筐体であり、車台2に載せられている。コンテナ3の後部には開口3aが形成され、その開口3aから塵芥が積み込まれる。また、図示されていないが、コンテナ3の内部には、コンテナ3に収集された塵芥を開口3aから外へ押し出す排出機構などが設けられている。
【0034】
塵芥積込装置4は、車台2に搭載されたコンテナ3に塵芥を積み込む装置であり、テールゲートと呼ばれるものである。この塵芥積込装置4は、車台2の後部において、コンテナ3の開口3a付近に設けられている。
【0035】
塵芥積込装置4は、積込装置本体5と、水平軸回りに回転して塵芥を所定の高さに押し上げるための回転板6と、当該回転板6によって押し上げられた塵芥をコンテナ3へ押し込むための押込板7と、回転板7を回転駆動するための第1ギヤドモータ8と、押込板7を回転駆動するための第2ギヤドモータ9とを備えている。
【0036】
積込装置本体5は、コンテナ3の開口3aの両側端および下端の三方を覆うカバーの形状をしている。積込装置本体5の車両後方側の端部は開放されており、車両後方から塵芥を積込装置本体5の内部へ投入することができる。
【0037】
回転板6は、その長手方向に延びる回転軸6aを有している。回転軸6aは、積込装置本体5の内壁に回転自在に両端支持されている。回転板6は、積込装置本体5に投入された塵芥をすくい上げ、コンテナ3の開口3aの下端の高さまで持ち上げる。
【0038】
押込板7は、その長手方向に延びる回転軸7aを有しており、回転軸7aが積込装置本体5の内壁に回転自在に両端支持されている。押込板7は、回転軸7a回りに揺動することにより、回転板6によってすくい上げられた塵芥をコンテナ3の開口3aの方へ押して、当該コンテナ3aの内部へ押し込む。
【0039】
また、図示されていないが、塵芥積込装置4は、ゴミ収集作業後にコンテナ3の開口3aを閉じるためのシャッタを備えている。
【0040】
第1ギヤドモータ8および第2ギヤドモータ9は、同一の構成を備えている。これらの詳しい構成については後段で詳細に説明する。第1ギヤドモータ8および第2ギヤドモータ9は、積込装置4の側壁の内部に埋め込まれた状態で配置されている。
【0041】
上記のように構成された塵芥収集車1では、積込装置本体5に投入された塵芥は、積込装置本体5の底壁に沿って回転する回転板6によってすくい上げられ、押込板7によりコンテナ3内へ押し込まれる。具体的には、塵芥が積込装置本体5に投入されると押込板7が前方に退避した状態で回転板6の回転を開始する。そして、回転板6が上方から旋回して積込装置本体5の下側に到達すると、押込板7を後方へ回転させる。次いで、押込板7が後方に位置した状態でさらに回転板6を回転させ、塵芥を回転板6によりすくい上げる。そして、回転板6を停止させて、コンテナ3の開口3aの下端と回転板6とを同一の高さにする。この状態で、回転板6の上面に沿って押込板7を前方に移動させると、押込板7によって回転板6上の塵芥がコンテナ3に押し込まれる。
【0042】
(第1ギヤドモータ8および第2ギヤドモータ9の構成)
つぎに、図2〜3を参照して、本発明の一実施形態による塵芥収集車に用いられる第1ギヤドモータ8および第2ギヤドモータ9の構成について説明する。本実施形態の第1ギヤドモータ8および第2ギヤドモータ9は同一の構成を有しているので、ここでは、代表して回転板6を回転駆動するための第1ギヤドモータ8を例にあげて説明する。
【0043】
図2〜3に示される第1ギヤドモータ8は、モータ11と、偏心揺動型歯車装置からなる減速機12とが一体に組み合わされて構成されている。
【0044】
モータ11は、減速機12の内部に同心状に内蔵された形に配置されている。モータ11には、図示しない電力線を介して車台2から電力供給される。モータ11は、ステータ15と、ロータ16とを備えている。
【0045】
ステータ15は、ホルダ15aと、コイル15bとからなる固定子である。ホルダ15aは、リング状の部分15dと、当該リング状の部分15dの外周から放射状に延びる複数の突起15cとを備えている。コイル15bは、それぞれの突起15cの外周に電線が巻かれて形成されている。リング状の部分15dは、減速機11の第1キャリアカバー24に設けられた突起24aに対してボルト18により連結されている。
【0046】
一方、ロータ16は、リング状のホルダ16aと、そのホルダ16aの内周面に固着された永久磁石16bとを有するリング状の回転子である。ホルダ16aは、減速機12のセンタークランク40の内周面に接着またはネジ止めなどにより固着されている。
【0047】
本実施形態の減速機12は、センタークランク40の偏心部40b、40cに連動して外歯歯車42、44が内歯ピン23に噛み合いながら揺動回転することによりセンタークランク40に入力される回転から減速した出力回転が得られるように構成された、いわゆるセンタークランク式の外歯揺動型の歯車装置である。しかも、本実施形態の減速機12では、固定側であるキャリア25が積込装置本体5の側壁内部に固定され、回転側の外筒22が回転板6の回転軸6aに連結された連結フランジ13に接続されることにより、当該回転板6の回転軸6aを塵芥積込装置4の積込装置本体5に対して相対的に回転させる。
【0048】
具体的には、減速機12は、図2〜3に示すように、外筒22と、内歯ピン23と、第1キャリアカバー24と、キャリア25と、第2キャリアカバー26と、クランク軸36と、センタークランク40と、第1外歯歯車42と、第2外歯歯車44と、センタークランク軸受45と、ころ軸受47と、保護筒48とを備えている。
【0049】
外筒22は、第1ギヤドモータ8の外周壁を構成する略円筒状の部材である。外筒22の端縁には、連結フランジ13がボルト14によって連結されている。連結フランジ13は、回転板6の回転軸6aに同軸状に一体に連結されている。外筒22の内面には、多数のピン溝22bが形成されている。各ピン溝22bは、外筒22の軸方向に延びているとともに、外筒22の内面に周方向に等間隔で設けられている。
【0050】
内歯ピン23は、各ピン溝22bにそれぞれ嵌め込まれている。すなわち、複数の内歯ピン23が外筒22の内面に周方向に等間隔で設けられている。なお、この内歯ピン23は、本発明の内歯の概念に含まれるものである。
【0051】
キャリア25は、略円板状の部材であり、第1部分25aと第2部分とが合体することにより構成されている。第1部分25aには、シャフト部28が一体形成されている。シャフト部28と第2部分25bとがボルト30およびテーパピン31によって締結されることによって、一体化されたキャリア25が構成される。
【0052】
本実施形態のシャフト部28は、図2〜3に示すように、外筒22内において外筒22の周方向に等間隔に15個設けられている。各シャフト部28は、図2〜3に示すようにキャリア25の第1部分25aに一体的に設けられており、外筒22の軸方向に沿ってキャリア25の第1部分25aからの第2部分25bへ向かって直線的に延びている。そして、各シャフト部28は、外歯歯車42、44の挿通穴42c、44cに遊びを持った状態で挿通されている。
【0053】
キャリア25は、その中心部において内部空間25cを有している。内部空間25cには、センタークランク40、モータ11およびブレーキ機構51などが収納されている。
【0054】
また、キャリア25の外周面には、ボール軸受34a、34bが設けられている。これらボール軸受34a、34bによって、外筒22は、キャリア25に対して相対的に回転できるように同軸状に支持されている。
【0055】
さらに、キャリア25の内周面には、一対のボール軸受からなるセンタークランク軸受45が設けられている。これらセンタークランク軸受によって、センタークランク40がキャリア25に対して相対的に回転できるように同軸状に支持されている。
【0056】
さらに、キャリア25の軸方向における両端の面には、それぞれ第1キャリアカバー24および第2キャリアカバー26がボルトなどによって締結されている。これら第1キャリアカバー24および第2キャリアカバー26と保護筒48によって、キャリア25の内部空間25cは閉塞される。
【0057】
キャリア25は、積込装置4の積込装置本体5の側壁に埋め込まれた状態でボルトなどによって固定される。
【0058】
センタークランク40は、外筒22の中心軸回りに回転可能なリング状の部材である。センタークランク40は、円筒状のクランク本体40aと、第1偏心部40bと、第2偏心部40cとを有する。第1偏心部40bおよび第2偏心部40cは、クランク本体40aの外周側に一体に形成されている。これら第1偏心部40bおよび第2偏心部40cは、センタークランク40の軸方向に並んで配置されている。第1偏心部40bと第2偏心部40cは、それぞれクランク本体40aの軸心から所定の偏心量で偏心した円柱状に形成されているとともに、相互間に所定角度の位相差を有するように配置されている。
【0059】
第1外歯歯車42と第2外歯歯車44は、外筒22内においてキャリア25の第1部分25aと第2部分25bの間の空間に外筒22の軸方向に並ぶように配設されている。
【0060】
第1外歯歯車42は、図3に示されるように、リング状の形状をしている。第1外歯歯車42は、ころ軸受47を介してセンタークランク40の第1偏心部40bに取り付けられている。第1外歯歯車42は、第1偏心部40bとともに偏心回転することができる。
【0061】
第1外歯歯車42は、外周部に前記内歯ピン23と噛み合う外歯42bを有している。外歯42bの歯数は、内歯の歯数(すなわち、内歯ピン23の数)よりも少ない。第1外歯歯車42は、第1偏心部36aの偏心回転に連動してその外歯42bにおいて内歯ピン23と噛み合いながら揺動回転する。そして、第1外歯歯車42は、外筒22の軸方向に貫通する15個の挿通穴42cを有している。各挿通穴42cは、第1外歯歯車42の周方向に等間隔に配設されている。各挿通穴42cには、上記したように対応するシャフト部28が遊びを持った状態でそれぞれ挿通されている。
【0062】
さらに、第1外歯歯車42には、図3に示すように周方向に等間隔に配置された3つの第1偏心部取付穴42dが設けられている。各第1偏心部取付穴42dは、挿通穴42cの間の部位に配置されている。各第1偏心部取付穴42dには、ころ軸受46aを介して対応するクランク軸36の第1偏心部36aが挿嵌されている。
【0063】
第2外歯歯車44は、第1外歯歯車42と同様の構造を有している。具体的には、第2外歯歯車44は、センタークランク40の第2偏心部40cにころ軸受47を介して取り付けられている。そして、第2外歯歯車44の外歯44bの歯数は、内歯の歯数(すなわち、内歯ピン23の数)よりも少ない。第2外歯歯車44は、第2偏心部40cの偏心回転に連動してその外歯44bにおいて内歯ピン23と噛み合いながら揺動回転する。また、この第2外歯歯車44には、外筒22の軸方向に貫通する3つの挿通穴44cが設けられており、各挿通穴44cに対応するシャフト部28が遊びを持った状態でそれぞれ挿通されている。さらに、第2外歯歯車44には、第1外歯歯車42と同様に、周方向に等間隔に配置された3つの第2偏心部取付穴44dが設けられている。各第2偏心部取付穴44dには、挿通穴44cの間の部位に配置されている。各第2偏心部取付穴44dには、ころ軸受46bを介して対応するクランク軸36の第2偏心部36bが挿嵌されている。
【0064】
クランク軸36は、第1外歯歯車42および第2外歯歯車44の揺動とともに回転する従動軸である。クランク軸36が第1外歯歯車42および第2外歯歯車44をそれぞれ偏心回転を許した状態で拘束することにより、第1外歯歯車42および第2外歯歯車44から外筒22へ回転力(トルク)を伝達することができる。クランク軸36は、キャリア25内に3つ設けられている。各クランク軸36は、クランク軸受38a,38bによりキャリア25に対して回転可能に支持されている。
【0065】
各クランク軸36は、第1偏心部36aと第2偏心部36bとを有する。第1偏心部36aと第2偏心部36bは、クランク軸36のうち両クランク軸受38a、38bによってそれぞれ支持された部位の間の部位に設けられ、クランク軸36の軸方向に並んで配置されている。第1偏心部36aと第2偏心部36bは、それぞれクランク軸36の軸心から所定の偏心量で偏心した円柱状に形成されているとともに、相互間に所定角度の位相差を有するように配置されている。
【0066】
さらに、本実施形態の第1ギヤドモータ8は、図2に示されるように、ブレーキ機構51を備えており、センタークランク40の回転を所望の角度及びタイミングで停止することができる。図2のブレーキ機構51は、ドラム式のブレーキであり、ブレーキアーム52と、ブレーキパッド53と、取付ネジ54とをそれぞれ複数備えている。ブレーキパッド53は、ブレーキアーム52におけるセンタークランク40に対向する側の端部に固定されている。ブレーキアーム52におけるブレーキパッド53と反対側の端部は、取付ネジ54によって第2キャリアカバー26の内面に揺動自在に取り付けられている。ブレーキアーム52は、ブレーキパッド53がセンタークランク40の内周面に接触するブレーキ位置と、ブレーキパッド53がセンタークランク40の内周面に接触しない退避位置との間を揺動することが可能である。ブレーキアーム52は、図示しない電磁ソレノイドなどの駆動手段によって揺動される。減速機12を停止させたいときには、駆動手段によってブレーキアーム52をブレーキ位置まで揺動させることにより、ブレーキパッド53をセンタークランク40の内周面に押し当てて、センタークランク40の回転を停止させることができる。また、ブレーキアーム52を退避位置まで揺動させることにより、センタークランク40に対する回転停止状態を解除することができる。
【0067】
図2〜3に示される減速機12では、外筒22と、第1キャリアカバー24と、キャリア25と、第2キャリアカバー26とによって、第1ギヤドモータ8の外形をなすケースが形成され、このケースによって歯車装置の機構部分およびモータ11を外部から隔離している。
【0068】
第1ギヤドモータ8は、積込装置本体5の側壁に収納できるように、その軸方向の幅が、積込装置本体5の側壁の厚さよりも小さくなるように設定されている。
【0069】
また、この減速機12の中心部を貫通するように円筒状の保護筒48が設けられている。保護筒48の両端部は、第1キャリアカバー24と第2キャリアカバー26によって固定されている。保護筒48には、回転板6の回転軸6aが挿通可能な貫通孔19が形成されている。
【0070】
さらに、本実施形態の第1ギヤドモータ8は、キャリア25の外周面と外筒22の内周面との間には、第1ギヤドモータ8の内部に液体や塵などが浸入しないようにパッキン55が設けられ、第1ギヤドモータ8の内部は外部から遮蔽されている。
【0071】
また、第1キャリアカバー24の表面のセンタークランク40に近い位置には、センタークランク40の回転角度を検出する、位置センサ56が設けられている。
【0072】
(第1ギヤドモータ8の動作説明)
次に、本実施形態による第1ギヤドモータ8の動作について説明する。
【0073】
まず、モータ11を回転駆動することによって、ロータ16に固定されたセンタークランク40が回転する。
【0074】
そして、センタークランク40が回転するのに伴って第1偏心部40b及び第2偏心部40cが偏心回転する。それにより、第1偏心部40bの偏心回転に連動して第1外歯歯車42が内歯ピン23に噛み合いながら揺動回転するとともに、第2偏心部40cの偏心回転に連動して第2外歯歯車44が内歯ピン23に噛み合いながら揺動回転する。このとき、第1外歯歯車42および第2外歯歯車44は、クランク軸36によって偏心回転は許されているが自転できないように拘束されているので、第1外歯歯車42および第2外歯歯車44で発生したトルクは、外筒22に伝達される。外筒22に伝えられたトルクは、連結フランジ13を介して回転板6の回転軸6aに伝達される。その結果、減速機12で発生したトルクによって回転板6を回転駆動させることができる。
【0075】
なお、第1ギヤドモータ8と同一の構成を有する第2ギヤドモータ9も同様の動作を行うことにより、押込板7の回転駆動をすることができる。
【0076】
(本実施形態の特徴)
(1)
本実施形態の塵芥収集車1は、塵芥を収容するコンテナ3と、塵芥をコンテナ3に積み込む積込装置4とを備えた塵芥収集車1であって、積込装置4は、積込装置本体5と、積込装置本体5に回転自在に取り付けられ、積込装置本体5に投入された塵芥をすくい上げるための回転板6と、減速機12とモータ11とを有し、回転板6を回転駆動する第1ギヤドモータ8とを備えている。
【0077】
この構成によれば、塵芥をコンテナ3に積み込む積込装置4が減速機12とモータ11とを有した第1ギヤドモータ8を備えており、この第1ギヤドモータ8によって塵芥をすくい上げるための回転板6を回転駆動させる。そのため、油圧を用いずに第1ギヤドモータ8により回転板6を直接的に回転駆動させるので、エネルギーロスが少なくて済み、エネルギー効率を向上させることができる。しかも、第1ギヤドモータ8では、モータ11と減速機12との一体化によって回転板6を回転駆動するのに必要なトルクを得ることができるため、従来用いられていた油圧ポンプのようにエンジンの出力を上げる必要がないので、騒音を低減することが可能である。
【0078】
しかも、回転板6の駆動部として電動の第1ギヤドモータ8を採用することで塵芥収集車1の減速走行時などに蓄えた蓄電器から電力を第1ギヤドモータ8へ直接供給することが可能になり、電動モータにより油圧ポンプを駆動させるハイブリッド式の塵芥収集車よりもエネルギー効率が高い。
【0079】
(2)
さらに、本実施形態の塵芥収集車1は、積込装置本体5に回転自在に取り付けられ、回転板6によってすくい上げられた塵芥をコンテナ3の内部へ押し込むための押込板7と、減速機12とモータ11とを有し、押込板7を回転駆動する第2ギヤドモータ9を備えている。この構成では、この構成では、回転板6によってすくい上げられた塵芥をコンテナ3の内部へ押し込むための押込板7を、減速機12とモータ11とが一体化された第2ギヤドモータ9で回転駆動させるので、油圧を用いずに第2ギヤドモータ9により押込板7を直接的に回転駆動させるので、エネルギー効率をさらに向上させることができ、しかも、騒音もさらに低減することが可能である。また、回転板6および押込板7の両方をギヤドモータによって回転駆動することによって、塵芥収集車1は、油圧を用いた駆動系が不要になる。
【0080】
さらに、押込板7の駆動部として電動のギヤドモータを採用することで塵芥収集車1の減速走行時などに蓄えた蓄電器から電力を得ることが可能になる。しかも、押込板7を用いて塵芥をコンテナ3に押し込んで圧縮する時に大電流が必要な場合も、塵芥収集車のエンジンの出力を上げずに塵芥の圧縮が可能になるため、エネルギー効率がさらに向上するとともに騒音がさらに低減することが可能になる。
【0081】
(3)
さらに、本実施形態では、第1ギヤドモータ8および第2ギヤドモータ9が積込装置4の側壁の内部に配置されており、側壁表面から突出しないので、ごみ収集作業時において作業者等が第1ギヤドモータ8および第2ギヤドモータ9に干渉するおそれが低減される。また、第2ギヤドモータ9も、側壁によって保護されるので、故障も少ない。
【0082】
(4)
さらに、本実施形態における塵芥収集車用駆動装置として用いられる第1ギヤドモータ8および第2ギヤドモータ9は、扁平で高減速比の減速機12と、ステータ15およびロータ16を有する扁平なモータ11とを備えており、減速機12とモータ11とが一体化されて扁平なギヤドモータを構成している。そのため、コンパクトに構成することが可能であり、取り付け作業が楽であり、しかも場所をとらない。また、減速機12によってモータ11の回転を減速することにより、モータ11の回転駆動力から大きなトルクを得ることができる。しかも、本実施形態の減速機12は高減速比を有しているので、かかる減速機12を介してモータ11の回転駆動力が弱くても非常に大きなトルクを得ることができる。
【0083】
しかも、第1ギヤドモータ8および第2ギヤドモータ9は、減速機12とモータ11とが一体化された構成であり、しかも、第1ギヤドモータ8は回転板6の回転軸6aに直接連結され、第2ギヤドモータ9は押込板7の回転軸7aに直接連結されている。そのため、ギヤドモータとは別にプーリーなどの減速用の外付け部品を設ける必要が無くなり、取付作業が非常に容易になる。
【0084】
また、上記実施形態では、回転板6および押込板7を回転駆動するために第1ギヤドモータ8および第2ギヤドモータ9を用いており、油圧を使用しない駆動系を採用しているので、塵芥収集車1の解体時に油漏れの心配もなく、また廃油の処理も不要であるので、環境性にすぐれている。
【0085】
(5)
さらに、本実施形態では、ギヤドモータ8、9の軸方向の幅が積込装置本体5の側壁の厚さよりも小さいので、ギヤドモータ8、9の全体を積込装置本体5の側壁の内部に埋め込んで配置することが可能になり、ごみ収集作業時において作業者等がギヤドモータ8、9に干渉するおそれが解消される。
【0086】
(6)
さらに、本実施形態では、減速機12は、偏心揺動型の歯車装置であり、具体的には、内面に複数の内歯ピン23が設けられた外筒22と、外筒22内において回転自在に設けられ、第1および第2偏心部40b、40cを有するセンタークランク40と、第1および第2偏心部40b、40cに取り付けられ、内歯ピン23に噛み合いながら第1および第2偏心部40b、40cの偏心回転に連動して揺動回転する第1および第2外歯歯車42、44とを備えている。この構成では、センタークランク40の第1および第2偏心部40b、40cの偏心回転に連動して、当該センタークランク40の偏心部に取り付けられた第1および第2外歯歯車42、44が揺動回転することにより、外筒22がその内面に設けられた内歯ピン23が第1および第2外歯歯車42、44の外歯42b、44bに噛み合いながら大きい減速比で回転することが可能になる。そのため、小さいスペースで大きな減速比を得ることができる。
【0087】
(7)
また、本実施形態の減速機12は、クランク部材が外筒22の中心軸回りに回転可能なセンタークランク40からなる、いわゆるセンタークランク式の偏心揺動型の歯車装置であるので、センタークランク40の外周に第1および第2外歯歯車42、44が配置され、さらに第1および第2外歯歯車42、44の外周に外筒22が配置された同軸状にコンパクトに配置された構造になり、扁平な形状の歯車装置を構成することが可能である。これにより扁平な形状でありながら高い減速比(1/30〜1/200)を得ることができ、この高い減速比によって大きいトルクを得ることが可能になる。そのため、動力源であるモータ11のトルクは小さくて済む。
【0088】
(8)
さらに、本実施形態では、センタークランク40は、中空であり、当該センタークランク40の内部には、モータ11が収納されている。この構成では、中空のセンタークランク40内部にモータ11を収納することにより、薄型化を達成できる。しかも、センタークランク40がロータ16に直結しており、機構が簡単であり、扁平なギヤドモータを容易に構成することが可能である。しかも、モータ11で発生した動力を減速機12のセンタークランク40へ直接伝達することができるので、動力の伝達ロスも少ない。
【0089】
(9)
さらに、本実施形態では、外筒22が第1および第2ギヤドモータ8、9の外壁の一部を構成しているため、その外側を覆う部材が不要になり、部品点数を削減することが可能になる。
【0090】
(10)
さらに、本実施形態では、第1ギヤドモータ8および第2ギヤドモータ9は、モータ11または減速機12の可動部分の動きを制動するブレーキ機構51を備えている。このブレーキ機構51によって、モータ11または減速機12の可動部分の動きを所定のタイミングで正確に停止させることができるので、回転板6および押込板7を所定の停止位置に正確に停止させることができる。
【0091】
(他の実施形態)
(A)
上記の実施形態では、第1ギヤドモータ8および第2ギヤドモータ9は、同一の構成の偏心揺動型の歯車装置を備えている例をあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、それぞれ異なる構成のギヤドモータを採用してもよい。
【0092】
(B)
上記実施形態では、第1ギヤドモータ8および第2ギヤドモータ9の例として、外歯歯車42、44が偏心揺動可能に支持するためにクランク軸36を有する歯車装置を例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、外歯歯車42、44が偏心揺動可能に支持できるものであれば他の部材を採用することが可能であり、例えばピンなどのような部材でもよい。
【0093】
(C)
また、上記実施形態では、キャリア25を積込装置本体5へ固定して、外筒22を回転させて回転板6および押込板7の回転駆動力を取り出しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、外筒22を積込装置本体5に固定して、キャリア25を回転させて回転板6および押込板7の回転駆動力を発生させても良い。
【0094】
(D)
また、本実施形態では、外筒22と、第1キャリアカバー24と、キャリア25と、第2キャリアカバー26とによって、第1および第2ギヤドモータ8、9の外周を取り囲むケースが形成されているが、これらの部材とは別体のケースを設けてもよい。
【0095】
(E)
上記の実施形態では、減速機12として偏心揺動型の歯車装置を例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の減速機でも良い。例えば、ハーモニックドライブの減速機であっても減速機内部にモータを内蔵して扁平なギヤドモータを構成することが可能である。
【0096】
(F)
上記実施形態の塵芥収集車1では、回転板6を回転駆動させるために第1ギヤドモータ8を設けるとともに押込板7を回転駆動させるために第2ギヤドモータ9を設けることによって、油圧駆動系を必要としない油圧レスの駆動系を実現しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも回転板6を回転駆動させるために第1ギヤドモータ8を設けていれば本発明の範囲に含まれるものである。したがって、本発明の他の実施形態として、図4に示されるように、押込板7を回転駆動させるために第2ギヤドモータ9の代わりに従来どおりの油圧シリンダ60を採用してもよい。
【0097】
図4に示される油圧シリンダ60は、ピストン部61と、ピストン部61を油圧によって直線往復駆動するシリンダ部62とを有している。油圧シリンダ60の一方の端部60aを、積込装置本体5に回転軸7a回りに回転自在に支持された押込板7の端部に連結するとともに、他方の端部60bを積込装置本体5の上端付近に設けられたブラケット63に連結される。油圧シリンダ60は、従来どおり油圧ポンプから圧送される油圧によって往復直線駆動することができる。これにより、押込板7は、油圧シリンダ60から受けた駆動力によって、回転軸7a回りに回転することができ、押込板7が回転軸7a回りに揺動することによって塵芥をコンテナ3の内部へ押し込むことができる。この構造では、押込板7を回転駆動させるために油圧シリンダ60を用いているので、従来の塵芥収集車と同様に油圧によって押込板7にトルクを与えることができる。
【0098】
(G)
上記実施形態の塵芥収集車1では、回転板6の回転軸6aに第1ギヤドモータ8が直接連結され、かつ、押込板7の回転軸7aに第2ギヤドモータ9が直接連結されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明のさらに他の実施形態として、図5に示されるようにプーリー101、102、105、106およびベルト103、104を介して、第1および第2ギヤドモータ108、109の回転駆動力をこれらの回転軸6aおよび7aに伝達するようにしてもよい。
【0099】
この場合、第1および第2ギヤドモータ108、109の回転駆動力は、入力側のプーリー101、102および出力側のプーリ105、106によって減速されるので、第1および第2ギヤドモータ108、109として、減速比が低いギヤドモータを採用することが可能になり、第1および第2ギヤドモータ108、109の小型化を達成することが可能になる。
【0100】
具体的な構成は以下の通りである。図5に示される塵芥処理車1では、入力側プーリ101、102、ベルト103、104、第1ギヤドモータ108、および第2ギヤドモータ109は、それぞれ積込装置4の側壁内部に形成された空間部に収容されている。
【0101】
第1ギヤドモータ108および第2ギヤドモータ109は、上記の実施形態に係る図2〜3に示される第1および第2ギヤドモータ8、9と同一の内部構成を有する。ただし、第1ギヤドモータ108および第2ギヤドモータ109の出力軸である外筒122の外周側には、ベルト103、104が掛け回されることが可能な出力側プーリ105、106が当該外筒122と一体形成されている。なお、第1ギヤドモータ108および第2ギヤドモータ109は、外筒122と別体の出力側プーリを外筒122に連結した構成にしてもよい。
【0102】
回転板6の回転軸6aの端部には、入力側プーリ101が同軸状に連結されている。入力側プーリ101と第1ギヤドモータ108の外筒122に一体形成された出力側プーリ105と間には、ループ状のベルト103が掛け回されている。第1ギヤドモータ108で発生した回転駆動力は、ベルト103を介して出力側プーリ105から入力側プーリ101に所定の減速比で減速して伝達される。これにより、回転駆動力は、入力側プーリ101に連結された回転軸6aに伝達されるので、回転板6を回転駆動させることが可能である。
【0103】
同様に、押込板7の回転軸7aの端部には、入力側プーリ102が同軸状に連結されている。入力側プーリ102と第2ギヤドモータ109の外筒122に一体形成された出力側プーリ106と間には、ループ状のベルト104が掛け回されている。第2ギヤドモータ109で発生した回転駆動力は、ベルト104を介して出力側プーリ106から入力側プーリ102に所定の減速比で減速して伝達される。これにより、回転駆動力は、入力側プーリ102に連結された回転軸7aに伝達されるので、押込板7を回転駆動させることが可能である。
【0104】
なお、図5に示される塵芥処理車1では、第1ギヤドモータ108および第2ギヤドモータ109の両方について、プーリを介して動力伝達を行っているが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1ギヤドモータ108のみについてプーリを介して動力伝達を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0105】
1 塵芥収集車
2 車台
3 コンテナ
4 塵芥積込装置
5 積込装置本体
6 回転板
7 押込板
8 第1ギヤドモータ
9 第2ギヤドモータ
11 モータ
12 減速機
15 ステータ
16 ロータ
22、122 外筒
23 内歯ピン(内歯)
40 センタークランク
40b 第1偏心部(偏心部)
40c 第2偏心部(偏心部)
42 第1外歯歯車(外歯歯車)
44 第2外歯歯車(外歯歯車)
51 ブレーキ機構
101、102 入力側プーリ
103、104 ベルト
105、106 出力側プーリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵芥を収容するコンテナと、
塵芥を前記コンテナに積み込む積込装置とを備えた塵芥収集車であって、
前記積込装置は、
積込装置本体と、
前記積込装置本体に回転自在に取り付けられ、前記積込装置本体に投入された塵芥をすくい上げるための回転板と、
減速機と電動モータとを有し、前記回転板を回転駆動する第1ギヤドモータと
を備えていることを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
前記積込装置本体に回転自在に取り付けられ、前記回転板によってすくい上げられた塵芥を前記コンテナの内部へ押し込むための押込板と、
減速機と電動モータとを有し、前記押込板を回転駆動する第2ギヤドモータと
をさらに備えている請求項1に記載の塵芥収集車。
【請求項3】
前記第1ギヤドモータおよび前記第2ギヤドモータは、前記積込装置本体の側壁の内部に配置されている、
請求項2に記載の塵芥収集車。
【請求項4】
前記減速機は、
内面に複数の内歯が設けられた外筒と、
前記外筒内において回転自在に設けられ、偏心部を有するクランク部材と、
前記偏心部に取り付けられ、前記偏心部の偏心回転に連動して前記内歯に噛み合いながら揺動回転する外歯歯車とを備える、
偏心揺動型の歯車装置である、
請求項1から3のいずれかに記載の塵芥収集車。
【請求項5】
前記第1ギヤドモータの出力軸に設けられた出力側プーリと、
前記回転板の回転軸に設けられた入力側プーリと、
前記出力側プーリと入力側プーリとの間に掛け回されたベルトと、
をさらに備えている、
請求項1から4のいずれかに記載の塵芥収集車。
【請求項6】
請求項1に記載の塵芥収集車の少なくとも第1ギヤドモータに適用される塵芥収集車用駆動装置であって、
扁平な減速機と、
ステータおよびロータを有する扁平な電動モータと、
を備えており、
前記減速機および前記電動モータによって扁平なギヤドモータを構成している、
ことを特徴とする塵芥収集車用駆動装置。
【請求項7】
前記減速機は、
内面に複数の内歯が設けられた外筒と、
前記外筒内において回転自在に設けられ、偏心部を有するクランク部材と、
前記偏心部に取り付けられ、前記偏心部の偏心回転に連動して前記内歯に噛み合いながら揺動回転する外歯歯車とを備える、
偏心揺動型の歯車装置である、
請求項6に記載の塵芥収集車用駆動装置。
【請求項8】
前記クランク部材は、前記外筒の中心軸回りに回転可能な中空のセンタークランクからなり、
当該センタークランクの内部には、モータが収納されている、
請求項6または7に記載の塵芥収集車用駆動装置。
【請求項9】
前記電動モータまたは減速機の可動部分の動きを制動するブレーキ機構をさらに備えている、
請求項6から8のいずれかに記載の塵芥収集車用駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−176809(P2012−176809A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39353(P2011−39353)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ハーモニックドライブ
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【Fターム(参考)】