説明

塵芥収集車

【課題】塵芥を確実に塵芥収容箱内へ押し込むことができるとともに塵芥の収容効率を向上させることのできる塵芥収集車を提供する。
【解決手段】押込板8を有し塵芥投入箱に投入された塵芥を塵芥収容箱に積み込む動作を行う積込装置と、塵芥を押込板8との間で圧縮させることのできる排出板18を有している排出装置とを備えている。さらに、塵芥による積込負荷を検出するための圧力センサと、押込板8の押し込み動作位置を検出するための位置センサとを備えている。前記圧力センサが所定の積込負荷を検出した際の押込板8の押し込み動作位置に基づいて排出板18の車両前方向への移動量を変化させる。その移動量は、押込板8の押し込み動作位置が押し込み動作における初期の場合に大きくし、終期の場合に小さくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ごみや粗大ごみ等の塵芥を積み込むことができる塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来知られている塵芥収集車として、塵芥収容箱と、この塵芥収容箱に連接して設けられた塵芥投入箱と、塵芥投入箱に投入された塵芥を塵芥収容箱に積み込む動作を行う積込装置とを備えたものがある。この積込装置は押込板を有しており、この押込板に反転工程・下降による一次圧縮工程・正転による二次圧縮工程・上昇による押込工程といったサイクル動作を繰り返し行わせることで投入された塵芥の積み込みを行っている。塵芥収集車はさらに塵芥収容箱内に排出板を有しており、排出板は伸縮シリンダによって車両前後方向に移動可能とされている(例えば特許文献1参照)。
従来の塵芥収集車において、積込装置の押込板による前記押込工程の際、塵芥をその押込板と前記排出板との間で圧縮し、排出板用の前記伸縮シリンダにおける負荷(油圧)が所定の値まで高くなると、排出板を車両前方向へ移動させている。これにより塵芥を押込板と排出板との間で圧縮しながら塵芥収容箱内へ積み込み、収容効率を高めている。
【0003】
【特許文献1】特開昭58−220001号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の塵芥収集車において、排出板用の伸縮シリンダにおける負荷が所定の値まで高くなると、排出板を一定時間だけ車両前方向へ移動させているものがある。しかし、この構成では、投入された塵芥が大型で圧縮されにくい硬質ゴミである場合、前記一定時間が短く設定されて排出板の移動量が小さいと、押込板と排出板との間が狭くてこの塵芥を塵芥収容箱内に収容することが困難となり、積込装置による積込動作が直ぐに停止してしまう。積込装置が停止した場合、当該装置を反転させて塵芥を一旦取り出し、投入し直さなければならないという問題点を有している。
一方、このような大型の硬質ゴミを塵芥収容箱に押し込むことができるように、前記一定時間を予め長く設定すると排出板が大きく移動してしまい、比較的圧縮されやすい塵芥を押し込む場合に、押込板と排出板との間が広くなりすぎて圧縮が十分に行われず、押込工程における塵芥の圧縮率が低下し、収容効率を低下させてしまうという問題点がある。
そこで、上記のような従来の問題点に鑑み、塵芥を確実に塵芥収容箱内へ押し込むことができるとともに塵芥の収容効率を向上させることのできる塵芥収集車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の塵芥収集車は、塵芥収容箱と、この塵芥収容箱に連接して設けられた塵芥投入箱と、押込板を有しこの押込板を用いて前記塵芥投入箱に投入された塵芥を前記塵芥収容箱に積み込む動作を行う積込装置と、前記塵芥を前記押込板との間で圧縮させることのできる排出板を有しこの排出板を車両前方向に間欠移動させることで塵芥の収容量を漸増させかつ当該排出板を車両後方向に移動させることで収容した塵芥を排出できる排出装置と、前記積込装置によって積み込まれる塵芥により生じる積込負荷を検出するための負荷検出手段と、前記押込板の動作位置を検出するための位置検出手段と、前記負荷検出手段が所定の積込負荷を検出した際の前記位置検出手段による前記押込板の動作位置に基づいて前記排出板の前記車両前方向への移動量を変化させる排出板動作制御手段とを備えているものである。
【0006】
上記のように構成された塵芥収集車によれば、積込装置が有する押込板が塵芥収容箱へ塵芥を積み込む動作を行い、その塵芥によって所定の積込負荷が生じたことを負荷検出手段が検出した際に、位置検出手段はその際における押込板の動作位置を検出する。そして、この押込板の動作位置に基づいて排出板動作制御手段は排出板を車両前方向へ移動させる移動量を変化させることができる。つまり押込板による塵芥の圧縮具合に応じて排出板の移動量を変化させることができるため、塵芥が圧縮されてもその体積が大きく塵芥収容箱への収容が困難な場合は排出板の移動量を大きくすることにより、その塵芥を塵芥収容箱内へ収容させることができる。また、押込板による動作の終期まで圧縮される塵芥の場合は排出板の移動量を小さくすることにより、その塵芥の圧縮率を高めることができる。
【0007】
また、上記塵芥収集車において、前記負荷検出手段が前記所定の積込負荷を検出した際の前記位置検出手段による前記押込板の動作位置が、前記押込板により塵芥を前記塵芥収容箱へ積み込むための動作の終了位置に近いほど、前記排出板動作制御手段が前記排出板の車両前方向への移動量を小さくするのが好ましい。
これにより、押込板による動作の終期まで塵芥が圧縮されて前記所定の積込負荷が生じると排出板の移動量を小さくすることにより、その塵芥を十分に圧縮させてから塵芥収容箱内に押し込むことができる。逆に、押込板の動作初期で所定の積込負荷が生じると排出板の移動量を大きくすることにより、塵芥を塵芥収容箱内に押し込むことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の塵芥収集車によれば、押込板が塵芥を塵芥収容箱へ積み込む動作において、所定の負荷が作用した際の押込板の位置に応じて排出板を車両前方向へ移動させる移動量を変化させることができる。従って、塵芥が圧縮されてもその体積が大きく塵芥収容箱への収容が困難な場合であっても、排出板の移動量を大きくすることにより、その塵芥を確実に塵芥収容箱内へ押し込んで収容することができる。また、押込板による動作の終期まで圧縮される塵芥の場合には、排出板の移動量を小さくすることによりその塵芥を十分に圧縮させてから塵芥収容箱内に押し込むことができる。これにより、塵芥を確実に塵芥収容箱に押し込むことができるとともに塵芥の圧縮率を高め、塵芥の収容効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、本発明の一実施形態による塵芥収集車を示す側断面図である。この塵芥収集車は、塵芥の積込動作に圧縮行程を有しているプレス式であり、塵芥の排出が押し出し式の構成とされている。
図1において、この塵芥収集車1は、塵芥収容箱2と、その後部に連接して設けられている塵芥投入箱3とを備えている。塵芥投入箱3の後方には塵芥が投入される投入口3aが設けられており、この投入口3aに対して上下にスライドして開閉される蓋3bが設けられている。また、塵芥投入箱3の前方下部には、塵芥を塵芥収容箱2に積み込むための開口部3dが設けられている。塵芥投入箱3は、上部に設けられた支点Pを中心に回動可能であり、これによって塵芥収容箱2に対しての開閉動作が可能となる。塵芥投入箱3は、図の実線で示す位置で塵芥収容箱2を閉鎖し、図の二点鎖線で示す上方へ回動した位置で塵芥収容箱2を開放し、塵芥を後方へ排出することができる状態となる。
【0010】
塵芥投入箱3内にはプレス式の積込装置50が設けられている。この積込装置50について説明する。積込装置50には、塵芥投入箱3の左右の側壁3cに前方上部から後方下部にまっすぐに延びるガイドレール4がそれぞれ設けられており、このガイドレール4に沿って移動することができるスライダ5が設けられている。スライダ5の左右それぞれには一対のローラ6が取り付けられており、このローラ6がガイドレール4内を斜め上下に移動することができる。スライダ5は、ガイドレール4に沿って延びる左右一対の側面部材5aと、これらの間で車幅方向に延びるプレート等(図示せず)とを有しており、これらが接続されて一体化されたものである。また、スライダ5の下端部には、ピン7を介して押込板8が回動自在に取り付けられている。押込板8もまた、左右一対の側面部材8aと、これらの間で車幅方向に延びるプレート等(図示せず)とを有しており、これらが接続されて一体化されたものである。
【0011】
塵芥投入箱3の両側壁3cには左右一対のプッシュシリンダ9の下端部がピン10によりそれぞれ取り付けられており、ピストン先端部はピン11によりスライダ5の側面部材5aの上端部に接続されている。また、押込板8には、左右一対のプレスシリンダ12の下端部がピン13により接続されており、ピストン先端部は上記ピン11により、スライダ5の側面部材5aの上端部に接続されている。従って、プッシュシリンダ9の伸長動作によりスライダ5は押込板8と共に斜め前方に上昇し、収縮動作により斜め後方に下降する。これによりスライダ5は、後述する一次圧縮及び押込に対応した往復動が可能となる。また、押込板8は、プレスシリンダ12の伸長動作によりピン7を中心として時計回り方向に回動し、収縮動作により反時計回り方向に回動する。これにより押込板8は、後述する反転及び二次圧縮に対応した往復回動が可能となる。
【0012】
図2の(a)は積込装置50の主要部である押込板8、プッシュシリンダ9及びプレスシリンダ12を図1から抜き出した動作説明図である(但し、図を見易くするためプッシュシリンダ9の位置を少しずらしている)。押込板8は、(a)に示す位置を原位置として、プレスシリンダ12が収縮動作することにより「反転」の行程を行い、(b)に示す状態となる。次に押込板8は、プッシュシリンダ9が収縮動作することにより「一次圧縮」の行程を行い、(d)に示す状態となる。続いて押込板8は、プレスシリンダ12が伸長動作することにより「二次圧縮」の行程を行い、(c)に示す状態となる。最後に押込板8は、プッシュシリンダ9が伸長動作することにより「押込」の行程を行って塵芥を塵芥収容箱2へ押し込み、(a)に示す状態に戻る。従って、押込板8の先端部8aは、図示のように、動作軌跡が4点を結ぶ閉じた形状を描く。このようにしてプッシュシリンダ9及びプレスシリンダ12が交互に動作することにより、押込板8は1サイクルの行程動作(反転、一次圧縮、二次圧縮、押込)を行う。これにより、積込装置50は押込板8を用いて塵芥投入箱3に投入された塵芥を塵芥収容箱2に積み込む動作を行うことができる。なお、この積込装置50による積込動作は後述するコントローラ19(図5)の指示によって行われる。
【0013】
上記プッシュシリンダ9及びプレスシリンダ12の近傍には、それらの伸縮動作が伸長端及び収縮端に達したことをそれぞれ検知する近接スイッチ(14,15,16,17)が設けられている。第1近接スイッチ14は、プッシュシリンダ9の動作が伸長端に達したことを検知する。第2近接スイッチ15は、プレスシリンダ12に取り付けられたドグ12aを検知することにより、その動作が収縮端に達したことを検知する。第3近接スイッチ16は、プッシュシリンダ9の動作が収縮端に達したことを検知する。そして、第4近接スイッチ17は、プレスシリンダ12の動作が伸長端に達したことを検知する。なお、第1近接スイッチ14及び第3近接スイッチ16は塵芥投入箱3に対して固定的に取り付けられているが、第2近接スイッチ15及び第4近接スイッチ17はスライダ5側に取り付けられており、プッシュシリンダ9の伸縮動作に伴って移動する。これら近接スイッチの信号は、図4のブロック図に示しているようにコントローラ19に入力される。
【0014】
図1において、塵芥収容箱2の内部には、車両前後方向に移動可能とされている排出板18が設けられている。テレスコ式のディスチャージシリンダ20の一端部20aは排出板18に接続され、他端部20bは塵芥収容箱2の車両前方向の端部に接続されている。排出板18は、このディスチャージシリンダ20の伸縮により、図の実線で示す位置から二点鎖線で示す位置までの範囲で移動可能とされている。塵芥が空のとき排出板18は実線で示す位置にあり、排出板18よりも車両後方向に塵芥を積み込むための空間Sが確保されている。そして、排出板18は積込装置50によって積み込まれる塵芥を押込板8との間で圧縮させることができる。この排出板18と、ディスチャージシリンダ20と、後述の油圧機器の一部とを含んで構成させた排出装置51は、排出板18を車両前方向に間欠移動させることで前記空間Sを拡大させて塵芥収容箱2における塵芥の収容量を漸増させ、かつ、排出板18を車両後方向に移動させることで塵芥収容箱2に収容された塵芥を後方へ排出することができる。
【0015】
図3は、上記プッシュシリンダ9、プレスシリンダ12、ディスチャージシリンダ20及びスイングシリンダ45を含む油圧回路図である。なお、スイングシリンダ45は塵芥投入箱3を回動させて塵芥収容箱2に対して開閉動作させるためのものである。
この油圧回路は、タンク21、油圧ポンプ22、圧力制御弁23,28,29,30,33、プッシュシリンダ用電磁弁24、プレスシリンダ用電磁弁25、ディスチャージシリンダ用電磁弁26、スイングシリンダ用電磁弁27、切換弁31,32、フィルタ40,41、テールゲートロックシリンダ42、圧力センサ44、及び各逆止弁を図示のように接続して構成されている。圧力センサ44は、油圧ポンプ22の吐出油路の作動圧を常時検出し、その検出出力を後述のコントローラ19(図5)に提供している。
【0016】
押込板8が原位置(図2の(a))に停止しているとき、プッシュシリンダ9及びプレスシリンダ12は共に伸長状態にあり、対応する各電磁弁24,25は中立位置にある。プレスシリンダ用電磁弁25のソレノイド25sが励磁されると「反転」、ソレノイド25eが励磁されると「二次圧縮」、プッシュシリンダ用電磁弁24のソレノイド24sが励磁されると「一次圧縮」、ソレノイド24eが励磁されると「押込」、の各動作が行われる。
また、排出板18が最も車両後方位置で停止しているとき(図1の実線)、ディスチャージシリンダ20は最も伸長した状態にあり、ディスチャージシリンダ用電磁弁26は中立位置にある。ディスチャージシリンダ用電磁弁26のソレノイド26eが励磁されると、ディスチャージシリンダ20は伸長動作する。また、ソレノイド26sが励磁されると、ディスチャージシリンダ20は収縮動作する。励磁オフでディスチャージシリンダ用電磁弁26が中立位置にあるときは、ディスチャージシリンダ20の両ポートは封止された状態となる。但し、圧力制御弁29や切換弁31が開位置に動作すれば、ディスチャージシリンダ用電磁弁26が中立位置であってもディスチャージシリンダ20が収縮可能となり、排出板18は車両前方向へ移動可能となる。
なお、これら電磁弁24,25,26は、図4に示しているようにコントローラ19の働きによって励磁される。
【0017】
図5はこの塵芥収集車1のシステム構成を示すブロック図である。図5において、塵芥収集車1のエンジン36には発電機37が接続されている。発電機37の出力電圧は、図示しない整流器を介してバッテリ38に供給され、その電圧はインバータ39(ゲート制御回路も含む)に供給される。なお、エンジン36の駆動により発電機37を発電させてバッテリ38を充電している。インバータ39には油圧ポンプ22を駆動するための電動モータ(交流モータ)35が接続されている。電動モータ35は回転数センサ43を備えており、その出力はコントローラ19に入力される。また、圧力センサ44からの信号もコントローラ19に入力される。コントローラ19およびインバータ39は、圧力センサ44の出力及び回転数センサ43の出力をフィードバック信号として用いながら、電動モータ35の回転数制御を行うモータ制御装置を構成している。さらに、コントローラ19の制御により前記各電磁弁24,25,26を動作させ、積込装置50および排出装置51に所定の積込動作を行わせる。また、電動モータ35はエンジン36からの出力によって直接的に回転するように構成したものであってもよい。
なお、動作制御を行うコントローラ19は、CPU、メモリ、インタフェース回路等を含むものから構成されている。また、電動モータ35はエンジン36を回転させた状態またはエンジン36を停止させた状態で駆動させることができる。
【0018】
図3と図5において、前記圧力センサ44は、油圧ポンプ22からの吐出油路の作動圧を常時検出し、その検出出力をコントローラ19に提供する。つまり、この圧力センサ44とコントローラ19とによって、積込装置50のプッシュシリンダ9及びプレスシリンダ12における負荷、つまり積込装置50における塵芥の積込負荷を検出することができる。
また、油圧ポンプ22を動作させる電動モータ35は回転数センサ43を有しており、回転数センサ43の出力はコントローラ19に入力される。回転数センサ43は、電動モータ35からの出力パルスにより回転数を検出することができるものであり、この回転数センサ43とコントローラ19とによって、電動モータ35の回転数から油圧ポンプ22の吐出流量の積算値を算出し、プッシュシリンダ9とプレスシリンダ12のそれぞれの伸縮量、すなわち押込板8の動作位置を検出することができる。具体的には、例えば前記押込行程(図2(c)から(a)の動作)におけるプッシュシリンダ9の伸張量から押込板8の移動量を求め、この移動量から押込板8の動作位置を知ることができる。
このように、負荷検出手段としての圧力センサ44が、積込装置50に作用する積込負荷を検出するセンサとされているため、作用する積込負荷を塵芥から押込板8を介して積込装置50において検出でき、所定の積込負荷が積込装置50に生じた際の押込板8の動作位置を、位置検出手段としての前記回転数センサ43によって迅速かつ正確に検出することができる。
【0019】
積込装置50および排出装置51を動作制御するコントローラ19の機能について説明する。
このコントローラ19は、積込装置50を動作させる積込動作制御手段としての機能と、排出装置51を動作させるとともに排出板18の車両前方向への移動量を変化させて設定する排出板動作制御手段としての機能を備えている。これについて説明すると、積込装置50による塵芥の前記押込工程(図2(c)から(a)の動作)において、押込板8が塵芥を押し込むと、図6(a)から(b)に示しているように、その塵芥は排出板18との間で圧縮されながら塵芥収容箱2側へ押し込まれていく。押込板8が押込動作している際、排出板18は停止した状態にあるため、押込板8による塵芥の押込動作によりプッシュシリンダ9に大きな抵抗力(反力)が発生し、その抵抗力がプッシュシリンダ9の推力を超えると、押込板8の動作は停止する。この押込板8とプッシュシリンダ9が停止する際図3の油圧回路における圧力は高くなり、予め設定されている所定の圧力(例えば18MPa)を前記圧力センサ44が検知すると、コントローラ19は電動モータ35を停止させて押込板8の動作を停止させ、さらに、前記回転数センサ42とコントローラ19とによりこの押圧板8の押し込み工程開始位置eからの押し込み動作位置(停止位置)fを検出する。つまり、プッシュシリンダ9が距離dだけ伸張動作して、押圧板8が押し込み行程開始位置eから距離dだけ移動して停止したことを検出する。なお、図6では押し込み工程終了位置を点gとしており、押し込み工程の開始位置eから終了位置gまでの距離をDとしている。
【0020】
圧力センサ44によって前記所定の圧力(18MPa)が検出されると、コントローラ19の排出板動作制御手段としての機能によって排出板18を車両前方向へ移動させる。排出板18の移動は、コントローラ19の制御信号によって図3の切換弁31を開くことでディスチャージシリンダ20内の作動油をタンク21側へ逃がすことができ、塵芥からの積込負荷によって排出板18が車両前方向へ押されてディスチャージシリンダ20を収縮動作させ、排出板18を移動させている。
さらに、この排出板18の移動に際し、排出板動作制御手段としての機能によって排出板18の車両前方向への移動量を設定する。この設定は、圧力センサ44が所定の積込荷重(18MPa)を検出した際の押込板8の前記押し込み動作位置(距離d)に基づいて排出板18の移動量を変化させることで行う。なお、この排出板18の移動量を変化は、当該排出板18の移動可能時間、つまり、前記切換弁31を開状態とする時間を変化させることで行っており、コントローラ19はそのために時間制御部(タイマー部)を有している。この時間制御部には、図7に示しているように、回転数センサ43によって検出される押込板8の押し込み動作位置と、切換弁31を開時間との関係が予め設定され記憶されている。これにより、押込板8の押し込み動作位置に応じて時間制御部が切換弁31を開状態とする時間を変えることにより、排出板18の移動量を変化させることができる。そして、簡単な構成により排出板18の移動量を変化させることができる。
【0021】
図7について説明すると、圧力センサ44が所定の積込負荷を検出した際の回転数センサ43による押込板8の押し込み動作位置が押込工程の終了位置gに近いほど、排出板18の車両前方向への移動量が小さくなるように、時間制御部は設定されている。つまり、圧力センサ44が所定の積込負荷を検出した際の回転数センサ43による押込板8の押し込み動作位置が、押し込み動作における初期の場合に、切換弁31の開時間が長くされており、排出板18の車両前方向への移動量を大きくしている。一方、押込板8の押し込み動作位置が、押し込み動作における終期の場合に開時間が短くされており、排出板18の移動量を小さくするように設定されている。例えば、押込板8の開始位置eから動作位置fまでの距離dが250mm(d=250mm)の場合、切換弁31を1.0秒だけ開いて、その時間だけ排出板18を車両前方向へ移動させる。なお、図6と図7において、押し込み工程の開始位置eから終了位置gまでの距離D、つまり押込工程の全ストロークは800mmとされている。
【0022】
以上のように構成された塵芥収集車によれば、積込装置50が有している押込板8が塵芥を押し込み、塵芥によって所定の積込負荷が生じたことを圧力センサ44が検出した際に、回転数センサ43はその際における押込板8の動作位置を検出することができる。そして、この押込板8の動作位置に基づいてコントローラ19の排出板動作制御手段としての機能により、排出板18を車両前方向へ移動させる移動量を変化させて設定することができる。
つまり、押込工程において、塵芥が押込板8と排出板18の間で圧縮されてもその体積が大きく塵芥収容箱2への収容が困難なものである場合は、押込板8による押し込み動作初期で所定の積込負荷が生じることとなる。この場合、コントローラ19は排出板18の移動量を大きくして、その塵芥を塵芥収容箱内へ収容させることができる。一方、押込板8による押し込み動作の終期まで塵芥が圧縮されて所定の積込負荷が生じた場合、排出板18の移動量を小さくして、その塵芥を十分に圧縮させてから塵芥収容箱2内に押し込むことができ、塵芥の圧縮率を高めることができる。すなわち、本発明の塵芥収集車によれば、投入された塵芥が圧縮されてもその体積が大きく塵芥収容箱2への収容が困難な場合であっても、その塵芥を確実に塵芥収容箱2内へ押し込んで収容することができる。さらに、比較的圧縮されやすい塵芥の場合には、その塵芥を十分に圧縮させてから塵芥収容箱2内に押し込むことができ、塵芥の圧縮率を高め、塵芥の収容効率を向上させることが可能となる。
また、この押込工程において、所定の積込負荷が生じることなく押込板8が終了位置gにまで達した場合は、排出板18を移動させることなくそのまま停止状態とし、積込装置50に次の反転工程を行わせる。
【0023】
なお本発明において、上記各実施形態では負荷検出手段を積込装置に作用する積込負荷を検出する圧力センサ44として説明したが、これに限らず、電流センサ(電流計)として、図5の電動モータ35に接続されているインバータの出力電流値や、図5の電動モータ35における出力電流値を測定することによって積込装置50における積込負荷を検出するように構成してもよい。
さらに、位置検出手段を電動モータ35に対する回転数センサ43として説明したが、これに限らず、図3に示した油圧回路において油圧ポンプ22の吐出流量を測定する流量センサ(流量計)とすることができる。この場合、作動油の流量の積算値を算出することによって、シリンダ9,12の伸縮量から押込板8の動作位置を検出することができる。
また、以上のような負荷検出手段と位置検出手段を油圧回路に設ける場合、油圧ポンプ22における圧力や流量を測定するために油圧ポンプ22の近傍に取り付けているが、これ以外に、プッシュシリンダ9とプレスシリンダ12における圧力や流量を測定するために各シリンダ9,12の近傍に設けても良い。
【0024】
また本発明において、積込装置50によって積み込まれる塵芥により生じる積込負荷を検出するための負荷検出手段を、積込装置50側ではなく、排出装置51側としてもよい。つまり、ディスチャージシリンダ20側における圧力によって検出する圧力センサ(図示せず)としてもよい。
さらに、図示しないが、ディスチャージシリンダ20の伸張位置を検出するための位置検出手段を設け、この位置検出手段によって検出した前記伸張位置に基づいて、前記切換弁31の開時間を変え、これにより、コントローラ19で排出板18の移動量を変化させるように構成することができる。つまり、負荷検出手段が所定の積込負荷を検出した際の排出板18の車両前後方向の位置によって、排出板18の移動量を変化させている。この場合の位置検出手段としては、前記回転数センサ43によるものであってもよく、または、ディスチャージシリンダ20の近傍に複数設けたリミットスイッチなどの位置検出センサとすることができる。
【0025】
さらに、本発明について塵芥収集車の積込装置をプレス式(図1)として説明したが、本発明の塵芥収集車は図示しないが回転板と押込板とを有する回転板式の積込装置を備えたものであってもよい。この場合、塵芥投入箱内の所定位置まで回動した回転板の上に載っている塵芥を、押込板が塵芥収容箱に押し込む動作を押込工程とし、前記コントローラによる排出板動作制御手段としての機能により(図1と同様に)、押込板の動作位置(停止位置)に基づいて排出板の移動量を設定し、排出板をその移動量だけ車両前方向へ移動させればよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施例によるプレス式塵芥収集車を示す側断面図である。
【図2】積込装置の主要部である押込板、プッシュシリンダ及びプレスシリンダの動作説明図である。
【図3】塵芥収集車における油圧回路図である。
【図4】塵芥収集車のシステム構成の一部を示すブロック図である。
【図5】塵芥収集車のシステム構成についてのブロック図である。
【図6】押込工程におけるコントローラの機能を説明するための説明図である。
【図7】押込板の動作位置と排出板を移動させる時間との関係図である。
【符号の説明】
【0027】
1 塵芥収集車
2 塵芥収容箱
3 塵芥投入箱
8 押込板
19 コントローラ
43 回転数センサ(位置検出手段)
44 圧力センサ(負荷検出手段)
50 積込装置
51 排出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵芥収容箱と、
この塵芥収容箱に連接して設けられた塵芥投入箱と、
押込板を有しこの押込板を用いて前記塵芥投入箱に投入された塵芥を前記塵芥収容箱に積み込む動作を行う積込装置と、
前記塵芥を前記押込板との間で圧縮させることのできる排出板を有し、この排出板を車両前方向に間欠移動させることで塵芥の収容量を漸増させかつ当該排出板を車両後方向に移動させることで収容した塵芥を排出できる排出装置と、
前記積込装置によって積み込まれる塵芥により生じる積込負荷を検出するための負荷検出手段と、
前記押込板の動作位置を検出するための位置検出手段と、
前記負荷検出手段が所定の積込負荷を検出した際の前記位置検出手段による前記押込板の動作位置に基づいて前記排出板の前記車両前方向への移動量を変化させる排出板動作制御手段と、
を備えていることを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
前記負荷検出手段が前記所定の積込負荷を検出した際の前記位置検出手段による前記押込板の動作位置が、前記押込板により塵芥を前記塵芥収容箱へ積み込むための動作の終了位置に近いほど、前記排出板動作制御手段が前記排出板の車両前方向への移動量を小さくする請求項1に記載の塵芥収集車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−55745(P2007−55745A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−243049(P2005−243049)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【出願人】(000163095)極東開発工業株式会社 (215)
【Fターム(参考)】