説明

塵芥収集車

【課題】塵芥の積載効率を高めることができる塵芥収容室を有する塵芥収集車を提供する。
【解決手段】上段収容室と下段収容室に区画された塵芥収容室を有する塵芥収集車において、上段収容室内および下段収容室内に、塵芥投入方向に垂直な方向に塵芥を均す機構を備え、好ましくは、前記塵芥を均す機構は鋤状であり、材質は、FRP、プラスチック、ステンレス鋼のいずれかであることを特徴とする塵芥収集車。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ごみと可燃ごみを分別したまま収集運搬する塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
生ごみと可燃ごみを分別したまま収集運搬する塵芥収集車は、一般にパッカー車と呼ばれ、従来から種々の提案がなされている。
【0003】
例えば、特開2002−96902号公報(下記特許文献1)には、下層収容室と上層収容室とに区画された塵芥収容箱の後方に、下層収容室及び上層収容室に各々対応した下層用投入室及び上層用投入室を有する塵芥投入箱が連接して配置され、下層用投入室内及び上層用投入室内に各々投入された塵芥を各々対応する下層収容室内及び上層収容室内に積み込む下層用塵芥積込装置及び上層用塵芥積込装置を備えた塵芥収集車において、下層用投入室及び上層用投入室を略同一高さに配置することにより、 圧縮式水平2層型の塵芥収集車において、特に上層の収容室への塵芥の投入作業に要する労力の軽減及び円滑な塵芥収集作業が得られる塵芥収集車が記載されている。
【0004】
また、特開2007−161491号公報には、下層収容室と上層収容室とに区画された塵芥収容箱の後方に、各々対応した下層用投入室及び上層用投入室を有する塵芥投入箱が連接して配置され、下層用投入室内及び上層用投入室内に各々投入された塵芥を各々対応する下層収容室内及び上層収容室内に積み込む下層用塵芥積込装置及び上層用塵芥積込装置を備え、下層用塵芥積込装置の下層用回転板を支持する下層用回転軸と上層用塵芥積込装置の下層用回転板を支持する下層用回転軸が下層収容室の床面と略同一高さに設定されていることにより、圧縮式水平2層型の塵芥収集車において、特に上層の収容室への塵芥の投入作業に要する労力の軽減及び円滑な塵芥収集作業が得られる塵芥収集車が記載されている。
【0005】
この特許文献1および特許文献2は、圧縮式水平2層型の塵芥収集車において、特に上層への投入作業の労力を削減するため、上層への持ち上げ押込みの機械的機構を有する塵芥収集車を提供するものであり、左右の荷重バランスをとるため、水平2層となっているが、ゴミの投入口はごみ袋を噛み込める高さが必要であり、左右に分かれている。
【0006】
左右に分かれた収容室の投入口部分にしか押し込み機構がなく、収容室は上下に分かれているため、左右に分かれた投入口から上下に分かれた収納室へ機械的に押込んでいくため、圧力が直接掛からない部分が発生し、一様に圧力がかけれないので圧縮度が小さく積載量が稼げなくなり、ひいては収集コストの上昇につながるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−96902号公報
【特許文献2】特開2007−161491号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前述のような従来技術の問題点を解決し、塵芥の積載効率を高めることができる塵芥収容室を有する塵芥収集車を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前述の課題を解決するために鋭意検討の結果なされたものであり、その要旨とするところは特許請求の範囲に記載したとおりの下記内容である。
(1)上段収容室と下段収容室に区画された塵芥収容室を有する塵芥収集車において、
上段収容室内および下段収容室内に、塵芥投入方向に垂直な方向に塵芥を均す機構を備えたことを特徴とする塵芥収集車。
【0010】
(2)前記塵芥を均す機構は鋤状であり、材質は、FRP、プラスチック、ステンレス鋼のいずれかであることを特徴とする(1)に記載の塵芥収集車。
<作用>
(1)の発明によれば、均し機構は大きな押込み力は不要であり、偏在する塵芥を均す程度でよいため、簡単な機械装置で構成可能である。
(2)の発明によれば、材質は軽いFRP(Fiber Reinfoced Plastics)、プラスチック若しくは安価なステンレス鋼(SS)で鋤状のものとすることにより、大きな駆動力が不要である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、塵芥の積載効率を高めることができる塵芥収容室を有する塵芥収集車を提供することができ、具体的には下記のような産業上有用な著しい効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】塵芥収集車を例示する側面図である。
【図2】本発明に用いる上段収容室および下段収容室を例示する平面図である。
【図3】本発明に用いる上段収容室および下段収容室を例示する側面図である。
【図4】本発明に用いる上段収容室および下段収容室を例示する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態および実施例について図1〜図4を用いて詳細に説明する。
【0014】
図1は、塵芥収集車を例示する側面図である。
【0015】
一般に、塵芥収集車はパッカー車と呼ばれ、例えば、図1に示すように車両の中央に塵芥収容室が設けられ、この塵芥収容室の後方に塵芥投入口が配置されている。更に、この塵芥投入口から投入された塵芥を塵芥収容室内に積み込む塵芥積込装置が設けられている。
【0016】
この塵芥積込装置は、塵芥投入室内に車幅方向に沿って設けられた回転軸によって回転自在に軸支される回転板と、回転軸の上方で車幅方向に沿って塵芥投入口に設けられた押込板支持軸に支持された押込板とを有し、塵芥投入口に投入された塵芥を回転板によって掻き上げ、この回転板によって掻き上げられた塵芥を押込板によって塵芥収容室内に押し込むように構成されている。
【0017】
ところで、環境問題や資源再利用に対する関心の高まりから、例えば段ボール等の再資源化が叫ばれ、再資源材料となる資源ゴミ等の塵芥と、一般の厨雑芥とを分別して回収することが行われている。そこで、この分別された種類の異なる塵芥を効率的に回収するために、塵芥収容室を複数の収容室に区画した、いわゆる多層型の塵芥収集車が開発されている。
【0018】
この多層型の塵芥収集車としては、例えば塵芥収容室を上下に2分割して積み重ねるように配置された上段及び下段の収容室の後方に各々塵芥投入口及び積込装置を配設した圧縮式水平2層型の塵芥収集車がある。この圧縮式水平2層型の塵芥収集車は、塵芥収容室内が上段収容室1及び下段収容室2に上下に区画され、上段収容室1及び下段収容室2の各後方に、各々上段用投入口及び下段投入口が連設されている。
【0019】
上段用投入口には上段用塵芥積込装置が設けられている。この上段用塵芥積込装置は、上段用投入口に回転軸によって回転自在に軸支される回転板と、押込板支持軸に揺動自在に支持された押込板とを有し、上段用投入口に投入された塵芥を回転板によって掻き上げ、回転板によって掻き上げられた塵芥を押込板によって上段収容室内に押し込むように構成されている。下段用投入口にも同様の下段用塵芥積込装置が設けられ、下段用投入室口に投入された塵芥を回転板によって掻き上げ、回転板によって掻き上げられた塵芥を押込板によって下段収容室に押し込むように構成されている。
【0020】
圧縮式水平2層型の塵芥収集車において、特に上層への投入作業の労力を削減するため、上層への持ち上げ押込みの機械的機構を設け、左右の荷重バランスをとるため、水平2層となっているが、ゴミの投入口はごみ袋を噛み込める高さが必要であり、左右に分かれている。
【0021】
左右に分かれた収容室の投入口部分にしか押し込み機構がなく、収容室は上下に分かれているため、左右に分かれた投入口から上下に分かれた収納室へ機械的に押込んでいくため、圧力が直接掛からない部分が発生し、一様に圧力がかけれないので圧縮度が小さく積載量が稼げなくなり、ひいては収集コストの上昇につながるという問題点があった。
【0022】
本発明においては、上段収容室1と下段収容室2に区画された塵芥収容室を有する塵芥収集車において、上段収容室1内および下段収容室2内に、塵芥投入方向に垂直な方向に塵芥を均す機構3を備えたことを特徴とする。
【0023】
従来方式では、塵芥の偏在により積載効率が稼げないが、均し機構3を備えることにより塵芥の積載効率を向上させることができる。
【0024】
図2は、本発明に用いる上段収容室および下段収容室を例示する平面図である。
【0025】
図2の左側は上段収容室1、図2の右側は下段収容室2の平面図であり、上段収容室1内および下段収容室2内に、塵芥投入方向に垂直な方向に塵芥を均す機構3を備えている。
【0026】
まず、左右のゴミの投入口から塵芥積み込み装置により上下の収容室に塵芥を押込む。
【0027】
上下の収容室では左右の投入口側に塵芥が偏在しており、偏在側から空隙側へ押込まれた塵芥を均し機構3により投入方向に垂直な方向(塵芥収容室の左右方向)に押すことにより収容室の左右方向の塵芥の偏在が緩和される。
【0028】
塵芥偏在の緩和された収容室に、再び左右のゴミの投入口から塵芥積み込み装置により積み込む。
【0029】
これらの動作を繰り返すことで均一な圧縮度が得られ、容積を有効に活用できる。
【0030】
本発明においては,均し機構の形状は問わないが、図2に示すように鋤の形状にすることにより、塵芥の抵抗力を低減することができるので大きな駆動力が不要である。
【0031】
また、均し機構の材質は、強度および耐久性の観点から、軽いFRP(Fiber Reinfoced Plastics)、プラスチック若しくは安価なステンレス鋼(SUS)とすることが好ましい。
【0032】
図3は、本発明に用いる上段収容室および下段収容室を例示する側面図である。図3に示すように、均し機構として回転板3´を用い、回転板3´が図3の矢印の方向に回転することによって塵芥を投入方向に垂直な方向(塵芥収容室の左右方向)に押し、偏在した塵芥を均すことができる。
【0033】
図4は、本発明に用いる上段収容室および下段収容室を例示する側面図である。図4に示すように、均し機構としてプッシャー3´´を用い、プッシャー3´´が塵芥を投入方向に垂直な方向(塵芥収容室の左右方向)に押すことにより収容室の左右方向の塵芥偏在が緩和される。
【符号の説明】
【0034】
1 上段収容室(塵芥収容室)
2 下段収容室(塵芥収容室)
3 均し機構
3´回転板
3´´プッシャー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上段収容室と下段収容室に区画された塵芥収容室を有する塵芥収集車において、
上段収容室内および下段収容室内に、塵芥投入方向に垂直な方向に塵芥を均す機構を備えたことを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
前記塵芥を均す機構は鋤状であり、材質は、FRP、プラスチック、ステンレス鋼のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の塵芥収集車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−215400(P2010−215400A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67138(P2009−67138)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【Fターム(参考)】