説明

塵芥収集車

【課題】塵芥収集車において、簡単な構成で、リサイクル可能な容器をつぶしきらない又はつぶさない状態で効率よく回収してリサイクルを容易にする。
【解決手段】摺動シリンダ13を縮退作動させて摺動板が通常の第2下降終了位置H2よりも上方の第1下降終了位置H1に達するまで下降させ、揺動シリンダを伸長させて圧縮板を前方に揺動させ、アルミ缶をつぶしきらない状態で塵芥収容箱に押し込む。投入工程、反転工程、下降工程、圧縮工程及び上昇工程よりなる1サイクルを少なくとも1回行った後、最後の1サイクルにおいて、投入工程を行わず、反転工程を行った後、摺動シリンダ13を縮退作動させて摺動板を第2下降終了位置H2に達するまで下降させる最終下降工程を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リサイクル可能な容器を収集する塵芥収集車及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車体上に搭載され、後方開口部を有する塵芥収容箱と、この塵芥収容箱の後方開口部に連設された塵芥投入箱と、この塵芥投入箱に設けられ、摺動シリンダの伸縮動作により上下方向に摺動自在な摺動板及び該摺動板の下端部に揺動シリンダの伸縮動作により車体前後方向に揺動自在な圧縮板を備えた塵芥積込装置とを備えた塵芥収集車は知られている。この塵芥収集車では、摺動シリンダ及び揺動シリンダの伸縮動作により摺動板と圧縮板とが反転、下降、圧縮及び上昇を1サイクルとして作動することで、投入口を通じて塵芥投入箱に投入された塵芥を塵芥収容箱に積込むように構成されている。
【0003】
このような塵芥収集車では、例えば、アルミ缶は中途半端につぶした状態で回収すると、リサイクル業者がブロック状に圧縮する際にかえって圧縮しにくいという問題がある。また、瓶においては、割らない状態の方が分別がし易い。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1の塵芥収集車では、油圧により動作する塵芥積込装置と、油圧を所定の設定圧に維持するための油圧調整手段とを備え、塵芥積込装置が、第1油圧シリンダと、この第1油圧シリンダによって上下に摺動される摺動板と、この摺動板の下部に取り付けられた押込板と、この押込板を前後に回動する第2油圧シリンダとを有するプレス式のものであり、油圧調整手段は、摺動板を下降させた状態で押込板の回動により塵芥を二次圧縮する場合のみの設定圧を変更可能となっている。このように、二次圧縮時の圧力を抑えることにより、空き缶や空き瓶などのリサイクル可能な容器を、つぶしきらない又はつぶさない状態で回収し、リサイクルを容易にしている。
【特許文献1】特許第3989177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1では、リリーフ弁を1つ追加するため、部品点数が増えて油圧回路が複雑になり、製造コストがかかると共に、油漏れなどの不具合も発生しやすくなるという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構成で、リサイクル可能な容器をつぶしきらない又はつぶさない状態で効率よく回収してリサイクルを容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明では、摺動シリンダを縮退作動させて圧縮板を下降させるときに、圧縮板を通常の下降終了位置よりも上方で停止させるようにした。
【0008】
具体的には、第1の発明では、車体上に搭載され、後方開口部を有する塵芥収容箱と、
上記塵芥収容箱の後方開口部に連設された塵芥投入箱と、
上記塵芥投入箱に設けられ、摺動シリンダの伸縮動作により上下方向に摺動自在な摺動板及び該摺動板の下端部に揺動シリンダの伸縮動作により車体前後方向に揺動自在な圧縮板を備えた塵芥積込装置とを備え、
上記摺動シリンダ及び揺動シリンダの伸縮動作により摺動板と圧縮板とが反転、下降、圧縮及び上昇を1サイクルとして作動することで、投入口を通じて上記塵芥投入箱に投入されたリサイクル可能な容器を上記塵芥収容箱に積込むように構成された塵芥収集車を対象とする。
【0009】
上記塵芥収集車は、
上記摺動シリンダの伸張を上昇終了位置で終了させる上昇規制手段と、
上記摺動シリンダの縮小を第1下降終了位置において途中で停止させる第1下降規制手段と、
上記摺動シリンダの縮小を上記第1下降終了位置よりも下方の第2下降終了位置で終了させる第2下降規制手段と、を備える構成とする。
【0010】
上記の構成によると、第2下降規制手段の上方に第1下降規制手段を設けるだけで、収集の1サイクルにおける摺動シリンダの縮小動作を第1下降終了位置で止め、圧縮板の下降を途中で止めることができるので、リサイクル可能な容器をつぶしきらない又はできるだけつぶさない状態で塵芥収容箱に収集することができる。また、最後に塵芥投入箱に残った容器を回収するため、最後まで圧縮板を下降させ、容器を塵芥収容箱内に回収する。このときは、塵芥投入箱内には少量の容器しか残っていないので、容器をつぶしきることはない。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、
上記上昇規制手段と、上記第1下降規制手段と、第2下降規制手段とは、近接スイッチで構成され、該近接スイッチが、上記摺動シリンダに設けた金属板を検知するように構成されている。
【0012】
上記の構成によると、摺動シリンダに1つの金属板を設けておけば、その金属板を3つの近接スイッチに反応させることで、摺動シリンダの適切な可動範囲が調整され、リサイクル可能な容器をつぶしきらない状態で塵芥投入箱内に残すことなく回収することができる。
【0013】
第3の発明では、第2の発明において、
上記第1下降規制手段と上記第2下降規制手段とのいずれを上記金属板に反応させるかを切り換える切換スイッチを備えている。
【0014】
上記の構成によると、切換スイッチを押すだけで、リサイクル可能な容器を回収中は第1下降規制手段を反応させ、最後のサイクルにおいては第2下降規制手段を反応させて最後まで下降させて塵芥投入箱に残った容器を回収することができるので、リサイクル可能な容器をつぶしきらないで回収することが極めて容易になる。
【0015】
第4の発明では、リサイクル可能な容器を収集する塵芥収集車の制御方法を前提とし、この制御方法は、
車体上に搭載され、後方開口部を有する塵芥収容箱と、該塵芥収容箱の後方開口部に連設された塵芥投入箱と、該塵芥投入箱に設けられ、摺動シリンダの伸縮動作により上下方向に摺動自在な摺動板及び該摺動板の下端部に揺動シリンダの伸縮動作により車体前後方向に揺動自在な圧縮板を有する塵芥積込装置とを備えた塵芥収集車を用意する準備工程と、
上記摺動シリンダが伸長して摺動板が上昇終了位置にあると共に、上記揺動シリンダが伸長して圧縮板が待機位置にある待機工程と、
上記塵芥投入箱の投入口を通してリサイクル可能な容器を塵芥投入箱内に投入する投入工程と、
上記揺動シリンダを縮退作動させて圧縮板が反転作動し、反転終了位置に達する反転工程と、
上記摺動シリンダが縮退作動して第1下降終了位置に達するまで摺動板を下降させる下降工程と、
上記摺動板が第1下降終了位置に達すると、揺動シリンダを伸長させて圧縮板を前方に揺動させ、上記リサイクル可能な容器をつぶしきらない状態で上記塵芥収容箱に押し込む圧縮工程と、
上記圧縮板が最前方位置まで揺動すると、摺動シリンダを伸長させて摺動板が上昇終了位置に達するまで上昇を終了させる上昇工程とを含んでいる。
【0016】
そして、上記投入工程、反転工程、下降工程、圧縮工程及び上昇工程よりなる1サイクルを少なくとも1回行った後、最後の1サイクルにおいて、上記反転工程を行った後、上記摺動シリンダが縮退作動して摺動板が上記第1下降終了位置よりも下方の第2下降終了位置に達するまで摺動板を下降させる最終下降工程を行い、その後、上記圧縮工程及び上昇行程を行って積込動作を終了する構成とする。
【0017】
上記の構成によると、収集の1サイクルにおける摺動シリンダの縮小動作を第1下降終了位置で止め、圧縮板の下降を途中で止めることができるので、リサイクル可能な容器をつぶしきらない又はつぶさない状態で塵芥収容箱に収集することができる。また、最終下降工程において、最後に塵芥投入箱に残った容器を回収するために第2下降終了位置まで摺動板を下降させ、圧縮板で容器を塵芥収容箱内に回収する。このときは、塵芥投入箱内には少量の容器しか残っていないので、容器をつぶしきることはない。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、摺動シリンダを縮退作動させて摺動板を第1下降終了位置に達するまで下降させた後、揺動シリンダを伸長させて圧縮板を前方に揺動させ、リサイクル可能な容器をつぶしきらない状態で塵芥収容箱に押し込み、最後の1サイクルにおいて、摺動シリンダを縮退作動させて摺動板を上記第1下降終了位置よりも下方の第2下降終了位置まで下降させる最終下降工程を行うようにしたことにより、簡単な構成で、リサイクル可能な容器をつぶしきらない又はつぶさない状態で効率よく回収してリサイクルを容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は本発明の実施形態の塵芥収集車1を示し、塵芥収集車1は自走可能な車体2を備え、この塵芥収集車1の車体2上には、塵芥収容箱3が搭載されている。この塵芥収容箱3の後方開口部4には、その上方で投入箱支持ピン5により軸支された塵芥投入箱6が設けられている。この塵芥投入箱6は、塵芥収容箱3と塵芥投入箱6との間に設けられた回動シリンダ9により、投入箱支持ピン5を中心に回動自在に構成されている。
【0021】
塵芥投入箱6の後部には投入口7が開閉自在に設けられ、その内部には塵芥積込装置30が装備されている。塵芥積込装置30は、塵芥投入箱6内に投入口7を通じて投入されたサイクル可能な容器としてのアルミ缶55を塵芥収容箱3内に積込むためのものである。
【0022】
図2及び図5に示すように、塵芥投入箱6の両側壁には案内溝部材8が補強枠を兼ねて前方上部より後方下部に向かって敷設されている。塵芥投入箱6内にはその横幅一杯に広がる摺動板10が収容されている。この摺動板10の両側縁の上下には、案内ローラ11が回転可能に設けられている。これらの案内ローラ11は、上記案内溝部材8の内壁に沿って摺動自在に嵌入されている。
【0023】
上記摺動板10の背面上部の左右端部に設けたボス部18には、摺動板支持軸12が挿通されている。この摺動板支持軸12が摺動板10の摺動距離に合致して塵芥投入箱6の側壁に形成された摺動用開口31を越えて塵芥投入箱6の内側より外側に突出するように配置されている。
【0024】
塵芥投入箱6の側壁から外側に突出した摺動板支持軸12と塵芥投入箱6の下部間には、塵芥投入箱6の外側で案内溝部材8の傾斜方向に沿って設けられた摺動シリンダ13が連結されている。摺動シリンダ13は、棒状のシリンダロッド13aと、塵芥投入箱6の側壁に取り付けられた円筒状のシリンダチューブ13bとを備えている。この摺動シリンダ13の伸縮作動によって摺動板10を案内溝部材8に沿って上下に往復移動させるようにしている。
【0025】
上記摺動板10の下端には、塵芥投入箱6の横幅一杯に広がる圧縮板15が前後に揺動自在に支持されている。この圧縮板15の先端は前方に向かって若干屈折形成されている。上記圧縮板15の背面に突設した接続部15aと上記摺動板10の背面上部に設けられた摺動板支持軸12との間には、揺動シリンダ14が連結され、この揺動シリンダ14の伸縮作動によって上記圧縮板15を前後に揺動させるようにしている。
【0026】
図1に破線で示すように、上記塵芥収容箱3内には排出板17が前後方向に摺動自在に配設されている。排出板17は、塵芥収容箱3の横幅及び上下高さと略同じ大きさに形成された板状体であり、排出シリンダ16の伸縮動作により塵芥収容箱3内を前後に摺動するようになされている。
【0027】
そして、本発明の特徴として、図3及び図4に示すように、塵芥収集車1は、例えば、左側の摺動シリンダ13の伸張を上昇終了位置H0で終了させる上昇規制手段としての上限リミットスイッチ32を備えている。また、上限リミットスイッチ32の下方には、摺動シリンダ13の縮小を第1下降終了位置H1において途中で停止させる第1下降規制手段としての第1下限リミットスイッチ33が設けられている。さらにその下方には、摺動シリンダ13の縮小を第1下降終了位置H1よりも下方の第2下降終了位置H2で終了させる第2下降規制手段としての第2下限リミットスイッチ34が設けられている。各リミットスイッチ32〜34は、摺動用開口31の周縁にステー35を介して取り付けられている。ステー35は、長孔35aを有し、摺動シリンダ13に沿ってスライド可能に構成され、ボルト35bの締結位置により、検知高さを微調整可能となっている。これら上限リミットスイッチ32と、第1下限リミットスイッチ33と、第2下限リミットスイッチ34とは、近接スイッチで構成されている。
【0028】
一方、シリンダロッド13aには、取付ブラケット37が後方へ突出して形成され、この取付ブラケット37には、金属板36がボルト締めされている。この金属板36は、リミットスイッチ32〜34から所定の距離を空けて取り付けられ、リミットスイッチ32〜34が、近付いてきた金属板36を検知し、その検知信号を制御回路装置50に送るように構成されている。
【0029】
図11に示すように、塵芥収集車1には、第1下限リミットスイッチ33と第2下限リミットスイッチ34とのいずれを金属板36に反応させるかを切り換える切換スイッチ38を備えている。切換スイッチ38は、例えば、塵芥収集車1のキャブ内に制御回路装置50と共に設けられている。
【0030】
−油圧回路構成−
図11は、本実施形態にかかる塵芥収集車の油圧回路61の構成を示す回路図である。同図に示すように、油圧回路61は、車体2に搭載されたエンジン40に動力取出装置(図示せず)を介して駆動される油圧ポンプ51を備え、4種類のシリンダ9,13,14,16をそれぞれ油圧制御している。
【0031】
各シリンダ9,13,14,16は、油圧配管61cを介して油圧切換部63に接続されている。この油圧切換部63は、図示しない複数の電磁弁を備え、制御回路装置50によって制御されるようになっている。制御回路装置50の信号を受けて電磁弁の開閉ポートを切り換えることにより、油圧ポンプ51から吐出された作動油を所望のシリンダに対して供給するものであり、これにより、シリンダロッドの伸縮動作の切り換えが制御され、又は運転が停止される。
【0032】
油圧回路61は、作動油を貯留する油圧タンク62を備え、油圧タンク62内の作動油を油圧ポンプ51で吸い上げて供給側の油圧配管61aに流通させて油圧切換部63に供給するように構成されている。そして、油圧切換部63を通過した作動油は、回収側の油圧配管61bを流通し、リターンフィルタ64で濾過された後、再び油圧タンク62に回収されるようになっている。
【0033】
−アルミ缶の回収作業−
以下、アルミ缶55の回収作業について図3,図5〜図10及び図12を用いて説明する。
【0034】
塵芥積込装置30は、制御回路装置50により制御される。図5に示すように、待機工程では、摺動シリンダ13が伸長して上限リミットスイッチ32が反応し、摺動板10が上昇終了位置H0にある。また、揺動シリンダ14が伸長して圧縮板15が待機位置Oにある。
【0035】
次いで、投入工程において、塵芥投入箱6の投入口7を通してアルミ缶55を塵芥投入箱6内に投入する。アルミ缶55は、通常、全く潰れていない又は若干潰れている状態で回収される。
【0036】
次いで、図示しない始動スイッチをON操作することで、油圧ポンプ51を駆動して油圧が供給され、積込動作を開始する。
【0037】
すると、図6に示すように、反転工程において、揺動シリンダ14を縮退作動させて圧縮板15が反転作動し、反転終了位置Aに達する。
【0038】
次いで、下降工程において、摺動シリンダ13が、金属板36が第1下限リミットスイッチ33に当接するまで縮退作動し、図7に示すように、第1下降終了位置H1に達するまで摺動板10が下降する。同時に圧縮板15は第1圧縮終了位置B1に達する。
【0039】
次いで、図8に示すように、圧縮工程において、揺動シリンダ14を伸長させて圧縮板15を前方に揺動させ、最前方位置C1に到る。すると、圧縮板15が完全に下がりきっていない状態で回動するので、従来の回収時のようにアルミ缶55の大部分が圧縮されるのではなく、アルミ缶55は、つぶしきらない状態で塵芥収容箱3に押し込まれる。
【0040】
次いで、上昇工程において、摺動シリンダ13を伸長させて摺動板10が上昇終了位置H0に達するまで上昇する。そのことで、圧縮板15は、待機位置Oに戻る。
【0041】
そして、上記投入工程、反転工程、下降工程、圧縮工程及び上昇工程よりなる1サイクルを少なくとも1回行った後、最後の1サイクルが行われる。
【0042】
まず、切換スイッチ38を切り換える。すると、制御回路装置50は、第2下限リミットスイッチ34の検知信号を受けて摺動シリンダ13の縮小動作を停止させるように切り換えられる。このように切換スイッチ38のみの操作で切換が行えるので便利である。
【0043】
最後の1サイクルでは、投入工程を行わず、すぐに反転工程を行い、摺動シリンダ13が縮退作動して反転終了位置Aに達する。
【0044】
次いで、最終下降工程において、図9に示すように、摺動板10を第1下降終了位置H1よりも下方の第2下降終了位置H2に達するまでを下降させる。このことで、圧縮板10が第1圧縮終了位置B1よりも下方の第2圧縮終了位置B2に達する。
【0045】
次いで、図10に示すように、圧縮工程を行い、揺動シリンダ14を伸長させて圧縮板15を前方に揺動させ、最前方位置C2に到る。このとき、アルミ缶55を塵芥収容箱3内に回収する。このときは、塵芥投入箱6内には少量のアルミ缶55しか残っていないので、アルミ缶55をつぶしきることはない。
【0046】
最後に上昇行程を行って、待機位置Oに戻り、積込動作を終了する。
【0047】
そして、このようにサイクル可能な容器としてのアルミ缶55を積込んで塵芥収容箱3が満杯状態になると、サイクル可能な容器としてのアルミ缶55の排出作業に移る。すなわち、塵芥収集車1をリサイクル業者等へ移動させた後、制御回路装置50の指示により、油圧ポンプ51を回転させる。この油圧により、回動シリンダ9を伸長させ、塵芥投入箱6を投入箱支持ピン5を中心にして上方に回動させて塵芥収容箱3の後部を開放状態にした後、排出シリンダ16を伸長させ、塵芥収容箱3の前部に位置する排出板17を後方に移動させることで、この塵芥収容箱3内に収容されたサイクル可能な容器としてのアルミ缶55を排出する。
【0048】
すると、アルミ缶55は、必要以上に潰れていないので、直方体状にアルミ缶を圧縮する圧縮機に放り込んでも圧縮作業がスムーズであるので、リサイクルが非常に容易である。
【0049】
このように、第2下限リミットスイッチ34の上方に第1下限リミットスイッチ33を設け、摺動シリンダ13に1つの金属板36を設けるという簡単な構成で、収集の1サイクルにおける摺動シリンダ13の縮小動作を第1下降終了位置H1で止め、圧縮板15の下降を途中で止めることができる。
【0050】
−実施形態の効果−
したがって、本実施形態にかかる塵芥収集車1によると、摺動シリンダ13を縮退作動して摺動板10を第1下降終了位置H1に達するまで下降させた後、揺動シリンダ14を伸長させて圧縮板15を前方に揺動させ、アルミ缶55をつぶしきらない状態で塵芥収容箱3に押し込み、最後の1サイクルにおいて、摺動シリンダ13を縮退作動させて摺動板10を第1下降終了位置H1よりも下方の第2下降終了位置まで下降させる最終下降工程を行うようにしたことにより、簡単な構成で、アルミ缶55をつぶしきらない状態で効率よく回収してリサイクルを容易にすることができる。
【0051】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0052】
すなわち、上記実施形態では、塵芥収集車1は、リサイクル可能な容器としてアルミ缶を回収しているが、リサイクル可能な瓶を回収するようにしてもよい。瓶であれば、色別にリサイクル処理されるので、できるだけ割らない方がリサイクルしやすい。このため、瓶を割らないように第1下限リミットスイッチ33の位置を調整すればよい。
【0053】
上記実施形態では、左側の摺動シリンダ13の位置検出をしたが、右側の摺動シリンダ13の位置検出をするようにしてもよい。
【0054】
上記実施形態では、塵芥収集箱3は、排出板17で押し出して排出するようにしたが、傾斜させて排出するダンプ式で構成してもよい。
【0055】
上記実施形態では、切換スイッチ38は、塵芥収集車1のキャブ内に設けたが、投入口7の近傍に設けたコントローラ60に設けてもよい。
【0056】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態にかかる塵芥収集車の側面図である。
【図2】塵芥投入箱における摺動シリンダ及びその周辺を拡大して示す側面図である。
【図3】各リミットスイッチ及びその周辺を拡大して示す側面図である。
【図4】図3のIV方向矢視図である。
【図5】塵芥積込装置の待機位置を説明する概略図である。
【図6】塵芥積込装置の反転終了位置を説明する概略図である。
【図7】塵芥積込装置の第1下降終了位置を説明する概略図である。
【図8】塵芥積込装置の第1下降終了位置に対応する最前方位置の状態を説明する概略図である。
【図9】塵芥積込装置の第2下降終了位置を説明する概略図である。
【図10】塵芥積込装置の第2下降終了位置に対応する最前方位置の状態を説明する概略図である。
【図11】塵芥収集車の油圧回路図である。
【図12】圧縮板の軌跡を示す側面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 塵芥収集車
2 車体
3 塵芥収容箱
4 後方開口部
6 塵芥投入箱
7 投入口
10 摺動板
13 摺動シリンダ
14 揺動シリンダ
15 圧縮板
30 塵芥積込装置
32 上限リミットスイッチ(上昇規制手段)
33 第1下限リミットスイッチ(第1下降規制手段)
34 第2下限リミットスイッチ(第2下降規制手段)
36 金属板
37 切換スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体上に搭載され、後方開口部を有する塵芥収容箱と、
上記塵芥収容箱の後方開口部に連設された塵芥投入箱と、
上記塵芥投入箱に設けられ、摺動シリンダの伸縮動作により上下方向に摺動自在な摺動板及び該摺動板の下端部に揺動シリンダの伸縮動作により車体前後方向に揺動自在な圧縮板を備えた塵芥積込装置とを備え、
上記摺動シリンダ及び揺動シリンダの伸縮動作により摺動板と圧縮板とが反転、下降、圧縮及び上昇を1サイクルとして作動することで、投入口を通じて上記塵芥投入箱に投入されたリサイクル可能な容器を上記塵芥収容箱に積込むように構成された塵芥収集車であって、
上記摺動シリンダの伸張を上昇終了位置で終了させる上昇規制手段と、
上記摺動シリンダの縮小を第1下降終了位置において途中で停止させる第1下降規制手段と、
上記摺動シリンダの縮小を上記第1下降終了位置よりも下方の第2下降終了位置で終了させる第2下降規制手段と、
を備えていることを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
請求項1に記載の塵芥収集車において、
上記上昇規制手段と、上記第1下降規制手段と、第2下降規制手段とは、近接スイッチで構成され、該近接スイッチが、上記摺動シリンダに設けた金属板を検知するように構成されている
ことを特徴とする塵芥収集車。
【請求項3】
請求項2に記載の塵芥収集車において、
上記第1下降規制手段と上記第2下降規制手段とのいずれを上記金属板に反応させるかを切り換える切換スイッチを備えている
ことを特徴とする塵芥収集車。
【請求項4】
リサイクル可能な容器を収集する塵芥収集車の制御方法において、
車体上に搭載され、後方開口部を有する塵芥収容箱と、該塵芥収容箱の後方開口部に連設された塵芥投入箱と、該塵芥投入箱に設けられ、摺動シリンダの伸縮動作により上下方向に摺動自在な摺動板及び該摺動板の下端部に揺動シリンダの伸縮動作により車体前後方向に揺動自在な圧縮板を有する塵芥積込装置とを備えた塵芥収集車を用意する準備工程と、
上記摺動シリンダが伸長して摺動板が上昇終了位置にあると共に、上記揺動シリンダが伸長して圧縮板が待機位置にある待機工程と、
上記塵芥投入箱の投入口を通してリサイクル可能な容器を塵芥投入箱内に投入する投入工程と、
上記揺動シリンダを縮退作動させて圧縮板が反転作動し、反転終了位置に達する反転工程と、
上記摺動シリンダが縮退作動して第1下降終了位置に達するまで摺動板を下降させる下降工程と、
上記摺動板が第1下降終了位置に達すると、揺動シリンダを伸長させて圧縮板を前方に揺動させ、上記リサイクル可能な容器をつぶしきらない状態で上記塵芥収容箱に押し込む圧縮工程と、
上記圧縮板が最前方位置まで揺動すると、摺動シリンダを伸長させて摺動板が上昇終了位置に達するまで上昇を終了させる上昇工程とを含み、
上記投入工程、反転工程、下降工程、圧縮工程及び上昇工程よりなる1サイクルを少なくとも1回行った後、最後の1サイクルにおいて、上記反転工程を行った後、上記摺動シリンダが縮退作動して摺動板が上記第1下降終了位置よりも下方の第2下降終了位置に達するまで摺動板を下降させる最終下降工程を行い、その後、上記圧縮工程及び上昇行程を行って積込動作を終了する
ことを特徴とする塵芥収集車の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−76890(P2010−76890A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246698(P2008−246698)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】