説明

塵芥収集車

【課題】塵芥の積込1サイクル時間の初期設定作業を容易かつ高精度に行うことを可能とし、これにより塵芥収集車の生産性およびメンテナンス作業性の向上を図る。
【解決手段】塵芥積込装置10の作動速度が、車体4に搭載された走行用エンジン9の回転数に応じて変化する塵芥収集車1である。搭載可能な塵芥積込装置および走行用エンジンの組み合わせ毎の所定積込1サイクル時間が予め記憶された制御装置20を備える。実装された塵芥積込装置10による塵芥8の積込1サイクル時間の初期設定を行う際には、実装された塵芥積込装置10を作動させることにより計測された塵芥の積込1サイクル時間の計測値と、実装された塵芥積込装置10および走行用エンジン9の組み合わせに対応する所定積込1サイクル時間とが制御装置20に設けた演算処理部としてのCPU21にて比較検証される。そして、CPU21での比較検証結果に基づいて走行用エンジン9の回転数が自動制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
塵芥収集車は、車体に搭載された塵芥収容箱と、塵芥収容箱の後部開口部に開閉自在に連結された塵芥投入箱と、塵芥投入箱の内部に装備された塵芥積込装置とを主体とし、塵芥投入箱に投入された塵芥を塵芥積込装置によって塵芥収容箱内に積み込んで収容するように構成されている。塵芥収集車は、塵芥の積み込み方式(塵芥積込装置の構成)によって、主に、例えば特許文献1に開示されたような回転式と、例えば特許文献2に開示されたようなプレス式とに大別される。回転式の塵芥積込装置は、揺動自在な押込板と、この押込板の下方に位置する回転自在な回転板とを主要部として構成され、プレス式の塵芥積込装置は、昇降自在なパッカープレートと、このパッカープレートの下端部に揺動自在に設けられたプレスプレートとを主要部として構成される。
【0003】
塵芥積込装置が回転式であるか、もしくはプレス式であるかに関わらず、この種の塵芥収集車においては、塵芥収集作業に従事する作業者の安全確保を主たる目的として、客先への出荷前段階、すなわち製造段階において、塵芥積込装置の自動作動による塵芥の積込1サイクル時間が所定値に設定されるようになっている。このような積込1サイクル時間の初期設定作業は、塵芥収集車のメンテナンスを行った後においても同様に行われる。
【0004】
塵芥収集車に装備される塵芥積込装置は、油圧シリンダや油圧モータ等の油圧機器によって駆動されるのが通例であり、油圧機器は、油圧ポンプからの作動油の供給/非供給を切り替えることにより駆動/停止が切り替えられる。また、油圧ポンプは、塵芥収集車の車体に搭載されたエンジン(走行用エンジン)から取り出された動力によって駆動される。従って、塵芥積込装置の作動速度、すなわち塵芥の積込1サイクル時間は走行用エンジンの回転数に応じて変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−244190号公報
【特許文献2】特開2002−19907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記した塵芥積込装置による塵芥の積込1サイクル時間の初期設定は、現状、人手作業にて行われている。しかしながら、塵芥収集車は、複数種の中から選択される一の車体(走行用エンジン)と、複数種の中から選択される一の塵芥積込装置との組み合わせで構成され、多種多様な組み合わせが存在することから、積込1サイクル時間の初期設定作業は一義的に行うことができない。そのため、積込1サイクル時間の初期設定作業は多大な手間を要する難作業であると共に、設定作業に従事する作業者の習熟度等によってその精度にバラツキが生じるという問題が指摘されている。
【0007】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、塵芥の積込1サイクル時間の初期設定作業を容易かつ高精度に行うことを可能とし、これにより、塵芥収集車の生産性およびメンテナンス作業性の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために創案された本発明は、車体に搭載された塵芥収容箱と、塵芥収容箱の後部に連結された塵芥投入箱と、塵芥投入箱の内部に装備され、塵芥投入箱に投入された塵芥を塵芥収容箱に積み込むための塵芥積込装置とを備え、塵芥積込装置の作動速度が、車体に搭載された走行用エンジンの回転数に応じて変化する塵芥収集車において、搭載可能な塵芥積込装置および走行用エンジンの組み合わせ毎の所定積込1サイクル時間が予め記憶された制御装置を備え、実装された塵芥積込装置による塵芥の積込1サイクル時間の初期設定を行う際には、実装された塵芥積込装置を作動させることにより計測された塵芥の積込1サイクル時間の計測値と、実装された塵芥積込装置および走行用エンジンの組み合わせに対応する所定積込1サイクル時間とが制御装置に設けた演算処理部にて比較検証され、演算処理部での比較検証結果に基づいて実装された走行用エンジンの回転数が自動制御されることを特徴とする。
【0009】
塵芥積込装置による塵芥の積込1サイクル時間は、塵芥積込装置の作動速度に比例して変化し、塵芥積込装置の作動速度は走行用エンジンの回転数に応じて変化する。そのため、上記本発明の構成によれば、塵芥積込装置による塵芥の積込1サイクル時間の初期設定作業が制御装置にて自動的に行われる。これにより、この種の設定作業に従事する作業者の習熟度等に関わらず、塵芥の積込1サイクル時間の初期設定作業を容易かつ高精度に行うことができ、塵芥収集車の生産性およびメンテナンス作業性の向上を図ることができる。
【0010】
上記の構成において、塵芥積込装置は、揺動自在に設けられた押込板と、押込板の下方に回転自在に設けられた回転板とを備え、押込板の揺動動作と回転板の回転動作との協働により、塵芥投入箱に投入された塵芥を塵芥収容箱に積み込むように構成されたものとすることができる。あるいは、塵芥積込装置は、昇降自在なパッカープレートと、パッカープレートの下端部に揺動自在に設けられたプレスプレートとを備え、パッカープレートの昇降動作とプレスプレートの揺動動作との協働により、塵芥投入箱に投入された塵芥を塵芥収容箱に積み込むように構成されたものとすることができる。すなわち、本発明は、塵芥積込装置が回転式であるか、プレス式であるかを問わず採用することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上に示すように、本発明によれば、塵芥の積込1サイクル時間の初期設定作業を容易かつ高精度に行うことが可能となる。これにより、塵芥収集車の生産性およびメンテナンス作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る塵芥収集車の全体構造を示す左側面図である。
【図2】塵芥積込装置の回転板が回転を開始した状態を示す図である。
【図3】塵芥積込装置の回転板の回転、および押込板の後方への揺動が進行している状態を示す図である。
【図4】塵芥積込装置の押込板が前方側へ揺動を開始する直前の状態を示す図である。
【図5】押込板による塵芥の積み込み作業状態を示す図である。
【図6】制御装置を中心とした電気系統等を模式的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る塵芥収集車1の全体構造を示す左側面図である。同図に示す塵芥収集車1は、車体4に搭載された走行用エンジン9および塵芥収容箱2と、車幅方向に延びた枢支軸5を介して塵芥収容箱2の後部開口に開閉自在に連結された塵芥投入箱3とを備える。塵芥投入箱3の後面には塵芥投入口6が開口しており、この塵芥投入口6は、塵芥8の積込作業時を除いては開閉扉7によって閉塞されるようになっている。塵芥投入箱3の内部には、塵芥投入箱3に投入された塵芥8を塵芥収容箱2に積み込むための塵芥積込装置10が装備されている。
【0015】
図示例の塵芥積込装置10は、いわゆる回転式であり、押込板11と、押込板11の下方に位置する回転板12とで主要部が構成される。回転板12は、図示外の油圧モータの駆動力を受けて回転する回転軸13に連結されており、油圧モータが駆動されて回転軸13が回転する(図示例では時計回りに回転する)と、回転軸13と一体的に回転する。押込板11は、車幅方向に延びる支軸14にて回転可能に軸支され、基端部に連結された油圧シリンダ15のシリンダロッドの伸縮動作に応じて前後方向に揺動する。このような構成を備えた塵芥積込装置10は、押込板11と回転板12とが以下のように協働して動作することにより、塵芥投入箱3に投入された塵芥8を塵芥収容箱2の内部に積み込む。
【0016】
まず、図2に示すように、開閉扉7を操作して塵芥投入口5を開口させ、塵芥投入箱3に塵芥8を投入する。同図に示す、押込板11が塵芥投入箱3の前方側に揺動した状態では、回転板12が押込板11と干渉せずに回転可能となっている。図3に示すように、回転板12が塵芥投入口5側へ回転すると、油圧シリンダ15のシリンダロッドが短縮動作して押込板11が後方側に揺動する。そして、図4に示すように、回転板12が塵芥投入箱3の底部に溜まった塵芥8を掻き込みつつ回転し、塵芥収容箱2に向けて略水平な状態になると、図5に示すように、油圧シリンダ15のシリンダロッドが伸長動作して押込板11が前方側に揺動し、回転板12上に保持された塵芥8を塵芥収容箱2に積み込む。このような一連の塵芥積み込み動作は、操作スイッチ17(図6を参照)を「ON」の状態とすることによって自動的に行われ、かつ、これを一回のみ行うモードと、連続的に行うモードとが操作スイッチ17で選択可能となっている。
【0017】
図示は省略するが、塵芥収容箱2に収容された塵芥8の排出方式としては、塵芥投入箱3を開動作させて塵芥収容箱2の後部開口部を開放させた状態で、塵芥収容箱2の内部に装備された図示外の排出板を後方まで移動させることにより行う方式(排出板駆動式)と、塵芥投入箱3を開動作させて塵芥収容箱2の後部開口部を開放させた状態で、塵芥収容箱2の前部を上昇させて前部側を後部側よりも上方に位置させた傾倒姿勢とし、塵芥8をその自重で滑落させることにより行う方式(ダンプ式)とがあり、何れの排出方式を用いるか、言い換えると、何れの塵芥排出装置を装備するかは適宜選択される。
【0018】
塵芥収集車1は、走行用エンジン9の動力を取り出すための図示外の動力取出装置(PTO)を備えており、この動力取出装置によって取り出される走行用エンジン9の動力により、各種油圧機器16を作動させるための(各種油圧機器に作動油を送り込むための)図示外の油圧ポンプが駆動されるようになっている。ここでいう各種油圧機器16には、少なくとも、押込板11を揺動させる油圧シリンダ15と、回転板12(回転軸13)を回転させる図示外の油圧モータとが含まれる。かかる構成から、塵芥積込装置10の作動速度は、走行用エンジン9の回転数に応じて変化する。
【0019】
塵芥収集車1は、図6にブロック図で示すように、演算処理部としての中央演算処理装置(以下「CPU」と略称する)21と、各種データを記憶・保存した記憶装置22とを有する制御装置20を備える。制御装置20(CPU21)には、各種の情報がモニタリング表示される液晶表示パネル等の表示装置23と、塵芥積込装置10の操作スイッチ17と、バルブユニット24と、検出器25と、デジタル−アナログ変換回路(以下「D/A変換回路」と略称する)26とが接続されている。
【0020】
記憶装置22には、塵芥収集車1に搭載可能な走行用エンジンに関する各種データ、例えば走行用エンジンの種類・出力・上限回転数・動力取出装置の対エンジン回転比等(以下「シャシ情報」という)、塵芥収集車1に搭載可能な塵芥積込装置に関する各種データ、例えば回転式又はプレス式の別・大きさ・処理能力等(以下「架装情報」という)、搭載可能な走行用エンジンおよび塵芥積込装置の組み合わせ毎の所定積込1サイクル時間等が予め記憶されている。
【0021】
バルブユニット24は、これの下流側に接続される油圧機器16、ここでは押込板11を揺動させる油圧シリンダ15、および回転板12を回転させる油圧モータへの作動油の供給/非供給を切り替えるための電磁弁を備える。そして、CPU21からの作動信号の有無に応じて電磁弁の開閉ポートが切り替えられることにより、図示外の油圧ポンプから油圧シリンダ15および油圧モータへの作動油の供給/非供給、すなわち押込板11および回転板12の作動/停止が切り替えられる。
【0022】
検出器25としては、押込板11と回転板12の位置検出を行うための位置センサが複数設けられ、ここでは、少なくとも、押込板11の前方限および後方限と、回転板12の回転開始および回転停止と、を検出するために設けられる。使用する各検出器25は、接触型であっても良いし、非接触型であっても良い。
【0023】
D/A変換回路26は、CPU21から出力されたデジタルの電気信号を受けてアナログの電圧信号に変換し、当該アナログの電圧信号を下流側に出力する。D/A変換回路26の下流側には、エンジン回転数制御装置(以下「ECU」と略称する)27が接続されている。ECU27は、入力されるアナログの電圧信号の大小に応じて、走行用エンジン9の回転数を制御する。かかる構成から、走行用エンジン9の回転数は、制御装置20によって制御可能とされる。CPU21からD/A変換回路26に向けてのデジタル信号の出力方式としては、例えばPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)方式が採用される。
【0024】
以上の構成を備えた制御装置20の記憶装置22には、図2〜図5を参照して説明した塵芥積込装置10による塵芥8の自動積込の1サイクル時間(積込1サイクル時間T1)が記憶されている。この積込1サイクル時間T1は、当該塵芥収集車1を客先に出荷する前の段階、すなわち当該塵芥収集車1の製造段階において、自動的に所定値(所定範囲内)に設定され、記憶装置22に記憶されている。以下、積込1サイクル時間T1の自動設定方法について図6を参照しながら詳述する。
【0025】
まず、記憶装置22に記憶されたシャシ情報および架装情報の中から、塵芥収集車1に実装されている走行用エンジン9と塵芥積込装置10の種類(両者の組み合わせ)を選択する。これにより、塵芥収集車1に実装された走行用エンジン9に関するデータと塵芥積込装置10に関するデータとがCPU21に入力される。これと同時に、記憶装置22からは、選択した走行用エンジン9と塵芥積込装置10の組み合わせに対応した所定積込1サイクル時間(T0)に関するデータが出力され、当該データがCPU21に入力される。
【0026】
次いで、実装された塵芥積込装置10を作動させるべく、塵芥積込装置10の操作スイッチ17を「ON」にし、この信号がCPU21に入力されると、CPU21はバルブユニット24に対して作動信号を出力する。これにより、油圧ポンプから油圧機器16(油圧シリンダ15および油圧モータ)に対して作動油が供給され、塵芥積込装置10(押込板11および回転板12)が、図2〜図5を参照して説明した上記一連の塵芥積込動作を自動的に行う。このとき、塵芥積込装置10による塵芥の積込1サイクル時間がCPU21にて計測されると共に、CPU21からはD/A変換回路26に向けて走行用エンジン9の回転数を制御するための電気信号が出力される。
【0027】
なお、実装された塵芥積込装置10による塵芥8の積込1サイクル時間T1の計測は、押込板11と回転板12の位置検出を行う各検出器25から出力される電気信号がCPU21に入力されることによって開始および完了される。具体的には、回転板12の回転が開始されるのに伴って(図2)、塵芥積込装置10の初期位置を検出していた検出器25から「初期状態解除」の電気信号が出力され、この電気信号がCPU21に入力されると、積込1サイクル時間T1の計測が開始される。そして、押込板11の後方側への揺動開始〜押込板11の後方限への揺動完了(図3)、および回転板12の初期位置への復帰(図4)を検出器25が検出した後、押込板12の前方限への揺動完了(図5)を検出器25が検出し、塵芥積込装置10の「初期状態復帰」の電気信号がCPU21に入力されると、積込1サイクル時間T1の計測が完了する。
【0028】
上記のようにして計測される塵芥積込装置10による塵芥8の積込1サイクル時間T1は、CPU21において、上記の所定積込1サイクル時間T0と比較検証される。そして、積込1サイクル時間T1が所定積込1サイクル時間T0の範囲外にあるときには、CPU21から走行用エンジン9に向けてエンジン回転数を変化させるための電気信号が出力される。具体的に述べると、積込1サイクル時間T1が所定積込1サイクル時間T0の上限値を超えている場合には、エンジン回転数を上げるための電気信号がCPU21からD/A変換回路26に向けて出力される。この電気信号はD/A変換回路26にてアナログの電圧信号に変換され、出力された電圧信号がECU27に入力されると走行用エンジン9の回転数が上がり、走行用エンジン9の動力、ひいては油圧ポンプの作動油吐出能力が上がる。これにより、油圧機器16にて駆動される塵芥積込装置10の作動速度が速くなり、積込1サイクル時間T1が短縮される。一方、積込1サイクル時間T1が所定積込1サイクル時間T0の下限値を下回る場合には、エンジン回転数を下げるための電気信号がCPU21からD/A変換回路26に向けて出力される。これに伴って、油圧ポンプの作動油吐出能力が下がって塵芥積込装置10(押込板11および回転板12)の作動速度が遅くなり、積込1サイクル時間T1が長くなる。
【0029】
そして、実装された塵芥積込装置10による塵芥8の自動積込動作を繰り返し行うことにより、積込1サイクル時間T1の計測値と所定積込1サイクル時間T0との比較検証を繰り返し行い、積込1サイクル時間T1の計測値が所定積込1サイクル時間T0の範囲内に所定回数(例えば3回)連続して納まったときには、操作スイッチ17を操作して塵芥積込装置10の作動を停止させる。これに伴い、このときのCPU21からD/A変換回路26に向けての信号出力条件が記憶装置22に保存される。そして、このような制御装置20を備えた塵芥収集車1が実使用されるとき(塵芥積込装置10による塵芥8の自動積込動作が行われるとき:図2〜図5を参照)には、記憶装置22に保存された上記の信号出力条件に基づいて走行用エンジン9の回転数が制御され、塵芥積込装置10の各部の作動速度、すなわち積込1サイクル時間T1が一定値に維持される。
【0030】
以上に示すように、本発明にかかる塵芥収集車1は、搭載可能な塵芥積込装置および走行用エンジンの組み合わせ毎の所定積込1サイクル時間T0が予め記憶された制御装置20を備え、実装された塵芥積込装置10による塵芥8の積込1サイクル時間T1の初期設定を行う際には、実装された塵芥積込装置10を作動させることにより計測された塵芥8の積込1サイクル時間T1の計測値と、実装された塵芥積込装置10および走行用エンジン9の組み合わせに対応する所定積込1サイクル時間T0とが制御装置20に設けたCPU21にて比較検証され、CPU21での比較検証結果に基づいて実装された走行用エンジン9の回転数が自動制御される。
【0031】
上記のように、塵芥積込装置10による塵芥8の積込1サイクル時間T1は、塵芥積込装置10の作動速度に比例して変化し、塵芥積込装置10の作動速度は走行用エンジン9の回転数に応じて変化する。そのため、上記本発明の構成によれば、塵芥積込装置10による塵芥8の積込1サイクル時間T1の初期設定作業が制御装置20にて自動的に行われる。これにより、この種の設定作業に従事する作業者の習熟度等に関わらず、塵芥8の積込1サイクル時間T1の初期設定作業を容易かつ高精度に行うことができ、塵芥収集車1の生産性およびメンテナンス作業性の向上を図ることができる。
【0032】
以上、本発明の一実施形態に係る塵芥収集車1について説明を行ったが、上記の制御装置20は、塵芥収集車1の作動状況、作動履歴等を把握するための手段として活用することも可能である。
【0033】
具体的には、塵芥収集車1(塵芥積込装置10)の累積作動時間、塵芥積込装置10の累積作動回数、塵芥排出装置の累積作動回数、検出器25の誤動作・誤検知、走行用エンジン9の回転数(走行用エンジン9の上限回転数)、等に関するデータを制御装置20の記憶装置22に記憶させておくことが可能である。そして、記憶装置22に保存された上記の各種データは、制御装置20に接続したPC等の情報端末の表示装置や上記の表示装置23にモニタリング表示させることができ、モニタリング表示される各種データは、塵芥収集車1のメンテナンス時期(各部材の交換時期、グリスアップのタイミング等)を把握する上での有用なデータとして活用することができる。これにより、塵芥収集車1の故障等が未然に防止される。
【0034】
また、以上では、揺動自在の押込板11と、押込板11の下方に位置する回転自在の回転板12とで主要部が構成され、押込板11の揺動動作と回転板12の回転動作の協働で塵芥投入箱3に投入された塵芥8を塵芥収容箱2に積み込む、いわゆる回転式の塵芥積込装置10を備えた塵芥収集車1に本発明を適用した場合について説明を行ったが、本発明は、昇降自在なパッカープレートと、このパッカープレートの下端部に揺動自在に設けられたプレスプレートとで主要部が構成され、パッカープレートの昇降動作とプレスプレートの揺動動作との協働で塵芥投入箱3に投入された塵芥8を塵芥収容箱2に積み込む、いわゆるプレス式の塵芥積込装置10を備えた塵芥収集車1にも好ましく適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 塵芥収集車
2 塵芥収容箱
3 塵芥投入箱
4 車体
8 塵芥
9 走行用エンジン
10 塵芥積込装置
11 押込板
12 回転板
15 油圧シリンダ
16 油圧機器
20 制御装置
21 中央演算処理装置(演算処理部)
22 記憶装置
23 表示装置
24 バルブユニット
25 検出器
26 デジタル−アナログ変換回路
27 エンジン回転数制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に搭載された塵芥収容箱と、該塵芥収容箱の後部に開閉自在に連結された塵芥投入箱と、該塵芥投入箱の内部に装備され、前記塵芥投入箱に投入された塵芥を前記塵芥収容箱に積み込むための塵芥積込装置とを備え、前記塵芥積込装置の作動速度が、前記車体に搭載された走行用エンジンの回転数に応じて変化する塵芥収集車において、
搭載可能な塵芥積込装置および走行用エンジンの組み合わせ毎の所定積込1サイクル時間が予め記憶された制御装置を備え、
実装された塵芥積込装置による塵芥の積込1サイクル時間の初期設定を行う際には、
実装された塵芥積込装置を作動させることにより計測された塵芥の積込1サイクル時間の計測値と、実装された塵芥積込装置および走行用エンジンの組み合わせに対応する前記所定積込1サイクル時間とが前記制御装置に設けた演算処理部にて比較検証され、前記演算処理部での比較検証結果に基づいて実装された走行用エンジンの回転数が自動制御されることを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
前記塵芥積込装置は、揺動自在に設けられた押込板と、該押込板の下方に回転自在に設けられた回転板とを備え、
前記押込板の揺動動作と前記回転板の回転動作との協働により、前記塵芥投入箱に投入された塵芥を前記塵芥収容箱に積み込むように構成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の塵芥収集車。
【請求項3】
前記塵芥積込装置は、昇降自在なパッカープレートと、該パッカープレートの下端部に揺動自在に設けられたプレスプレートとを備え、
前記パッカープレートの昇降動作と前記プレスプレートの揺動動作との協働により、前記塵芥投入箱に投入された塵芥を前記塵芥収容箱に積み込むように構成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の塵芥収集車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−225311(P2011−225311A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94975(P2010−94975)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(000192073)株式会社モリタホールディングス (80)
【Fターム(参考)】