塵芥収集車
【課題】 走行姿勢にある塵芥収容箱に対して荷箱傾動手段が最大の収縮力を加えることが無く、塵芥収容箱が破損してしまうことを抑制することができる塵芥収集車を提供することを目的とする。
【解決手段】 車体フレーム1bの後部にヒンジP1を介して塵芥収容箱2を支持し、塵芥収容箱2の後部に塵芥投入箱3を連設し、ダンプシリンダ19(荷箱傾動手段)により塵芥収容箱2を傾動させる塵芥収集車1において、塵芥収容箱2が着床した姿勢を検知する近接スイッチLS1と、近接スイッチLS1が塵芥収容箱2が着床したことを検知すると、ダンプシリンダ19の動作力を低下させるようにパワーユニット49に指示を出す制御装置とを備える。
【解決手段】 車体フレーム1bの後部にヒンジP1を介して塵芥収容箱2を支持し、塵芥収容箱2の後部に塵芥投入箱3を連設し、ダンプシリンダ19(荷箱傾動手段)により塵芥収容箱2を傾動させる塵芥収集車1において、塵芥収容箱2が着床した姿勢を検知する近接スイッチLS1と、近接スイッチLS1が塵芥収容箱2が着床したことを検知すると、ダンプシリンダ19の動作力を低下させるようにパワーユニット49に指示を出す制御装置とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥収容箱をダンプさせることで、塵芥収容箱内の塵芥を排出する塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の塵芥収集車は、車体後部に傾動軸(ヒンジ)を介して塵芥収容箱を回動可能に支持し、後部に開口部を備えた該塵芥収容箱の後部に塵芥投入箱を連設し、車体と塵芥収容箱との間に設けたダンプシリンダ(本願発明の荷箱傾動手段)を備え、車体上に載置された着床位置にある塵芥収容箱を該ダンプシリンダを伸長させることにより車両後方に向かって傾斜(ダンプ)させて、塵芥収容箱内に収めた塵芥を排出するようにしている。
【0003】
塵芥収容箱の開口部を開閉する塵芥投入箱は、その内部に積込装置を備えているため塵芥収容箱に比べて非常に重く、また、塵芥投入箱は塵芥収容箱の傾動軸よりも後方に配置されているため、ダンプさせた塵芥収容箱に対して後方へ回動する力を作用させており、ダンプさせた塵芥収容箱を塵芥収容箱の自重により走行姿勢に戻すことができない。
そのため、ダンプシリンダを復動式にし、ダンプシリンダが収縮する力を使い、塵芥収容箱を着床位置までダンプ下げ動作させるようにしている。(例えば特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−292127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、塵芥収容箱を傾斜するほどに塵芥投入箱は塵芥収容箱の傾動軸から車両後方に遠ざかるので、最大角までダンプさせたときにダンプシリンダが収縮するために必要な力が最大となる。そこで塵芥収容箱を走行姿勢まで戻すために必要な最大力にあわせたダンプシリンダを用いなければならず、走行姿勢まで回動した塵芥収容箱に対しても、ダンプシリンダは最大の収縮力を塵芥収容箱に加え続けてしまうという問題があった。
本発明は、以上のような実情に鑑みてなされたものであり、荷箱傾動手段による塵芥収容箱の破損を抑制することができる塵芥収集車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための本発明の塵芥収集車は、車体後部にヒンジを介して塵芥収容箱を支持し、塵芥収容箱の後部に塵芥投入箱を連設し、荷箱傾動手段により塵芥収容箱を傾動させる塵芥収集車において、前記塵芥収容箱が所定姿勢にあることを検知する検知手段と、前記検知手段がダンプ下げ時の所定姿勢を検知すると、前記荷箱傾動手段の動作力を低下させる制御装置とを備えたことを特徴としている。
【0007】
このような構成の塵芥収集車によれば、塵芥収納箱の下降動作において下降途中の所定姿勢を検知し、荷箱傾動手段の動作力を小さくすることができるため、走行姿勢にある塵芥収容箱に対して荷箱傾動手段が最大の収縮力を加えることが無く、塵芥収容箱が破損してしまうことを抑制することができる。
【0008】
また、前記検知手段は塵芥収容箱が走行姿勢にあることを検知する着床位置検知手段であることが好ましい。
【0009】
この場合、塵芥収容箱が走行姿勢に至ったことを知るために用いる塵芥収容箱が着床したことを検知する検知手段を兼用することができるため、安価に塵芥収集車を製造することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の塵芥収集車によれば、走行姿勢にある塵芥収容箱に対して荷箱傾動手段が最大の収縮力を加えることが無く、塵芥収容箱が破損してしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の塵芥収集車を左舷側から見た側面図である。
【図2】塵芥収集車の塵芥投入箱を上げかつ塵芥収容箱をダンプさせた状態を示す側面図である。
【図3】塵芥収集車の背面図である。
【図4】塵芥収集車の平面図である。
【図5】塵芥収集車の油圧回路図である。
【図6】塵芥収集車の制御ブロック図である。
【図7】ユニット化した駆動装置を分解した状態を模式的に示す斜視図である。
【図8】ダンプシリンダの取付部を模式的に示す側面図である。
【図9】収納箱の固縛構造を模式的に示す側面図である。
【図10】塵芥収集車の動作を示すフローチャートである。
【図11】図10の排出動作の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の作業車両である塵芥収集車1を左舷側から見た側面図である。図において、この塵芥収集車1は、運転室(キャブ)1aと、運転室1aの下部から後方へ延びて形成されている左右一対の車体フレーム1bと、車体フレーム1bの上方に配置された塵芥収容箱2と、塵芥収容箱2の後方に配置された塵芥投入箱3とを備えている。塵芥収容箱2の後面には、開口部2aが形成されている。塵芥投入箱3の後部には、塵芥が投入される投入口3aが形成されており、この投入口3aを上下にスライドして開閉する蓋3bが設けられている。塵芥投入箱3の前部には、塵芥投入箱3に投入された塵芥を塵芥収容箱2に収容するための開口3dが設けられている。
【0013】
塵芥収容箱2の底部には主桁2cが固定されており、主桁2cは車体フレーム1bの後端部に設けたヒンジP1により軸支されており、ダンプシリンダ19(荷箱傾動手段)の伸長により塵芥収容箱2は後方にダンプ(傾動)できるようになっている(図2参照)。塵芥投入箱3は、上部に設けられた支点P2を中心に回動可能であり、スイングシリンダ20(図3参照)の伸縮により塵芥収容箱2に対して開閉動作が可能である。塵芥投入箱3は、図1に示す位置では塵芥収容箱2の開口部2aを閉鎖し、図2に示すように上方へ回動したときは塵芥収容箱2の開口部2aを開放する。塵芥投入箱3を上方に回動した状態で、塵芥収容箱2を後方にダンプさせることで、塵芥収容箱2内の塵芥を排出することができる。尚、塵芥投入箱3は、通常はテールゲートロック31(図示せず)により塵芥収容箱2に一体的に固縛されており、そのテールゲートロック31は、塵芥収容箱2をダンプして収容した塵芥を排出する時や点検整備時に固縛解除されて、塵芥投入箱3の回動を可能とする。なお、ダンプシリンダ19とスイングシリンダ20とにより排出装置を構成する。
【0014】
次に、塵芥投入箱3内には、回転板4と押込板5とプッシュシリンダ6と油圧モータMoとからなる積込装置Tを備えている。回転板4は、各両端部が塵芥投入箱3の左右の側壁3cにそれぞれ軸受を介して回転自在に貫通支持された下部支持軸PLと一体で且つその軸線回りに回転可能に設けてある。押込板5は、両端部が塵芥投入箱3の左右の側壁3cにそれぞれ軸受を介して回転自在に貫通支持された上部支持軸PU と一体で且つその軸線回りに前後揺動可能に設けてある。回転板4を時計回りに回転させることにより塵芥投入箱3内に投入された塵芥を該塵芥投入箱3内底部より前方上部に掻き上げることができ、押込板5を揺動することにより回転板4が掻き上げた塵芥を前側(塵芥収容箱2内)に押し込むことができる。前記上,下部支持軸PU ,PL は塵芥投入箱3内を横切って互いに平行に延びている。
【0015】
そして塵芥投入箱3の一方の側壁3cには、下部支持軸PLの外端に連動連結されて該支持軸PL (従って回転板4)を正逆回転駆動し得る油圧モータMoが設けられる。更に塵芥投入箱3内には、該塵芥投入箱3と押込板5の基端部との間に介装されて押込板5を前後に揺動駆動し得るプッシュシリンダ6が収容される。
【0016】
図5は、プッシュシリンダ6、油圧モータMo、ダンプシリンダ19およびスイングシリンダ20に関する油圧回路図である。当該油圧回路は、オイルタンク21、油圧ポンプ22、圧力制御弁23a〜23d、プッシュシリンダ用電磁弁24、油圧モータ用電磁弁25、ダンプシリンダ用電磁弁26、スイングシリンダ用電磁弁27(テールゲートロック用電磁弁を兼用)、切換弁28、逆止弁29a〜29g、およびフィルタ30a、テールゲートロック(シリンダ)31、および圧力センサ32を図示のように接続して構成されている。油圧ポンプ22は後述する電動モータ45により駆動される。また、圧力センサ32は、油圧ポンプ22の吐出油路の作動圧を常時検出し、その検出出力を制御部47(後述)に提供する。なお、前記圧力制御弁23a〜23d、各種電磁弁24〜27、切換弁28、および逆止弁29a〜29fにより、弁体が構成されている。
【0017】
回転板4及び押込板5は、塵芥投入箱3内への投入塵芥を塵芥収容箱2内に強制的に押し込むための所定の塵芥積込みサイクルを互いに協働して実行し得るようになっており、このサイクルは、所定の開始操作入力があると回転板4及び押込板5が各々初期位置(図1の実線で示した位置)にある状態から開始し、それら回転板4及び押込板5が各々初期位置に戻って停止した時に終了する。
【0018】
回転板4及び押込板5が初期位置で停止しているとき、プッシュシリンダ6は伸長状態、油圧モータMoは停止状態にあり、対応する各電磁弁は中立位置にある。ソレノイド24sが励磁されるとプッシュシリンダ6が収縮することにより押込板5が反時計回りに揺動(戻り工程)し、プッシュシリンダ用電磁弁24のソレノイド24eが励磁されるとプッシュシリンダ6が伸長することにより押込板5が時計回りに揺動し(押込工程)する。一方、油圧モータ用電磁弁25のソレノイド25sが励磁されると回転板4が時計回りに回転し(正転工程)、ソレノイド25eが励磁されると回転板4が反時計回りに回転(逆転行程)する。上記回転板4の正転工程、押込板5の戻り工程(回転板4の正転工程は継続)、押込板5の押込工程を順次動作(サイクル動作)することにより塵芥投入箱3内の塵芥を塵芥収容箱2に積込むことができる。
【0019】
塵芥収容箱2が着床位置(図1の姿勢)にあるとき、ダンプシリンダ19は最も収縮した状態にあり、ダンプシリンダ用電磁弁26は中立位置にある。ダンプシリンダ用電磁弁のソレノイド26eが励磁されると、ダンプシリンダ19は伸長動作し、塵芥収容箱2をダンプ上げ動作させる。また、ソレノイド26sが励磁されると、ダンプシリンダ19は収縮動作し、ダンプさせた塵芥収容箱2を着床位置に降下させる(ダンプ下げ動作)。励磁オフでダンプシリンダ用電磁弁が中立位置にあるときは、ダンプシリンダ19の両ポートは封止された状態となる。
【0020】
塵芥投入箱3が閉鎖(図1の姿勢)されているとき、スイングシリンダ20は最も収縮した状態にあり、スイングシリンダ用電磁弁は中立位置にある。スイングシリンダ用電磁弁27のソレノイド27eが励磁されるとテールゲートロック31がロック解除方向に動作し、スイングシリンダ20が伸長動作して塵芥投入箱3が上方回動する。ソレノイド27eが消磁され、かつ、ソレノイド27sが励磁されると、塵芥投入箱3の自重によりスイングシリンダ20内の作動油がスイングシリンダ用電磁弁27を介してタンク21に戻され、これにより、スイングシリンダ20が収縮動作して塵芥投入箱3が下方回動する。また、塵芥投入箱3が下方回動端に達した後、テールゲートロック31用の切換弁28のソレノイド28sが励磁されると、テールゲートロック31がロック動作し、塵芥投入箱3がロックされる。その後、ソレノイド28sは消磁されテールゲートロック31のロック状態が維持される。
【0021】
圧力制御弁23a〜23d、各電磁弁24〜27、切換弁28、逆止弁29a〜29f、圧力センサ32は、バルブブロック33に内蔵されている。そして、バルブブロック33は、塵芥収容箱2の前面2bの上部であって、車幅方向の略中央部に固定されている。また、バルブブロック33には、各シリンダ6,19,20及び油圧モータMoに作動油を給排するための複数の油圧配管が接続されている。
【0022】
一方、図3において、塵芥投入箱3の左右両側壁3cの後部には、それぞれスイッチボックスSB2,SB3が設けられている。スイッチボックスSB2の側面には、押込板8の動作として「連続サイクル」または「1サイクル」のどちらかの動作モードに選択するための動作選択スイッチ42が、正面には、各動作モードで積込動作を開始させるための積込スイッチ43、連続サイクル動作を停止させるための停止スイッチ44、警告ランプL(報知手段)がそれぞれ設けられている。その他のスイッチについては、緊急時にのみ用いるスイッチ等であり、詳細な説明は省略する。なお、停止スイッチ44は右側のスイッチボックスSB3にも設けられている。
【0023】
図6は、塵芥収集車1の制御ブロック図である。油圧ポンプ22は電動モータ45により駆動され、この電動モータ45は、専用のバッテリ46を動力源として制御部47の出力により駆動される。なお、油圧ポンプ22と電動モータ45とによりパワーユニット49が構成されている。バッテリ46は、充電器50を介して外部の商用電源から供給される電力で充電されるようになっている。なお、1回の充電により、6回の収集作業(1回の収集作業は、積込装置Tの1サイクル動作を100回および収容箱のダンプ動作を1回行う作業)を行うことができる程度の電力を蓄電することができる。充電器50は、バッテリ46の充電を制御する充電制御部50aと、商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換する整流部50bとを備えており、商用電源からの電源ケーブル51をコネクタ52に接続することにより、電力が供給されるようになっている。
【0024】
コネクタ52は、制御ボックス56(後述)に収納されたAC/DCコンバータ53にも接続されている。このAC/DCコンバータ53は、商用電源からコネクタ52を介して供給された交流電力を直流電力に変換し、その直流電力を制御部47に供給するようになっている。これにより、制御部47は、電動モータ45を商用電源からの電力供給によりバッテリ46を介さずに直接駆動させることもできる。なお、AC/DCコンバータ53は、制御部47に内蔵されていてもよい。
【0025】
制御部47は、収納部である制御ボックス56内に収納されており、運転室1a内に設けられたエンジン始動用のキースイッチ55およびメインスイッチ34を介して通電される。また、制御ボックス56内には、制御部47への電力供給を断接するためのコントロールスイッチ57が設けられている。コントロールスイッチ57は、通常時はオン状態に保持されており、制御部47が故障をした場合などの非常時に、キースイッチ55をオフ操作することにより、コントロールスイッチ57をオフ状態に切り換え、バッテリ46およびAC/DCコンバータ53(商用電源)から制御部47への電力供給を遮断できるようになっている。なお、コントロールスイッチ57は、キースイッチ55以外に、別途専用の操作スイッチにより切り換えるようにしてもよい。
【0026】
また、制御ボックス56内には、制御部47をメンテナンス作業するためのメンテナンス部48が収納されている。なお、上記制御部47、メンテナンス部48、AC/DCコンバータ53、制御ボックス56およびコントロールスイッチ57とにより制御装置Cが構成されている。また、上記オイルタンク21、バッテリ46、パワーユニット49、充電器50、コネクタ52および制御装置Cとにより、本発明の駆動装置58が構成されている。なお、駆動装置58の構成部材として、上記以外にバルブブロック33を含めることも可能である。
【0027】
バルブブロック33内の各ソレノイド24e〜27e,24s〜27sおよび切換弁28は、制御部47によって励磁・消磁される。なお、各ソレノイド等のブロックの名称は、機能で表示している。制御部47には、図示の各機能スイッチ(SWと表記。以下同様。)34〜37,42〜44、着床検知近接スイッチLS1(着床位置検知手段)、圧力センサ32、後述する温度計59および回転数センサ60から入力信号が与えられる。また、各種ランプ38〜39が制御部47の出力により点灯する。
【0028】
電動モータ45には、この電動モータ45の温度を検出する温度計59および電動モータ45の回転数を検出する回転数センサ60が取り付けられている。温度計59および回転数センサ60の検出信号は制御部47に与えられ、電動モータ45が温度上昇により破損しないように、制御部47により当該電動モータ45の出力が制御されている。
【0029】
図1において、車体フレーム1b上には、塵芥収容箱2の底部を車体フレーム1bに対して所定の高さ位置で支持するための支持部材61が設けられている。支持部材61は、主桁2cの前部及び後部のそれぞれ下方に配置された前支持部63、後支持部64とを備えている。前支持部63には着床検知近接スイッチLS1(着床位置検知手段)が備えられており、着床位置(図1に示した位置)にある塵芥収容箱2の主桁2cを検知し、出力信号を発する。
【0030】
主桁2cは、前後方向に延びて形成された左右一対のチャンネル材からなり、各主桁2cの上面は、塵芥収容箱2の底板2dに溶接により固定されている。各主桁2cの車両前後方向の長さは、塵芥収容箱2の底板2dの前後方向の長さと略同一に形成されている。また、各主桁2cの車幅方向の配置間隔は、各車体フレーム1bの車幅方向の配置間隔と略同一に形成されている。また、主桁2cの下面前部には、下方に開口する凹部2c1が形成されている(図2参照)。そして、凹部2c1に対応する主桁2cの内面には補強部2c2が固定されている(図4参照)。
【0031】
主桁2cの下面に形成された上記凹部2c1と、前支持部63の後面と、後支持部64の前面とによって、下方に開口する窪み部66が形成されている。この窪み部66と車体フレーム1bの上面との間には箱下空間Sdが形成されている。また、前支持部63の前面および塵芥収容箱2の前壁2bと運転室1aの後壁との間には、箱前空間Sf(キャブバックスペース)が形成されている。
【0032】
箱下空間Sdおよび箱前空間Sfには、前記駆動装置58の全構成部材が一体的にユニット化された状態で配置されている。以下、駆動装置58の各構成部材の配置およびその取付構造について説明する。図7は、駆動装置58を分解した状態を模式的に示す斜視図である。図4は、塵芥収集車1の平面図である。図8は、ダンプシリンダ19の取付部を、図9は制御ボックス56(収納箱)の固縛構造をそれぞれ模式的に示す側面図である。
【0033】
図7において、駆動装置58の各構成部材は、すべて共用の取付部材71に取り付けられて一体化されている。取付部材71は、箱下空間Sdに配置された駆動装置58の一部が取り付けられている箱下取付部72と、箱前空間Sfに配置された駆動装置58の他部が取り付けられている箱前取付部73とを備えている。
【0034】
箱下取付部72は、前後方向に延びる角パイプからなる左右一対の基部フレーム72aと、左右の基部フレーム72aの各内側面に両端が固定された前後一対の角パイプからなるクロスメンバ72b(横桁)とを有している。各クロスメンバ72bの上方には、上記バッテリ46が載置されている。
【0035】
バッテリ46は長方形状に形成されており、その長手方向が車幅方向(左右方向)に延びるように配置されている(図4参照)。バッテリ46の前面および後面には、それぞれ前方および後方に突出する複数の突出部46aが一体形成されており、これらの突出部46aの上面に、コ字形に形成された固定枠46bの支持部46b1がそれぞれボルト(図示せず)により固定されている。各固定枠46bの取付部46b2は、前後のクロスメンバ72bにそれぞれボルト(図示せず)により固定されている。固定枠46bの鉛直部は、取付部46b2がバッテリ46の下面よりも突出する程度の長さで形成されており、バッテリ46を取付部材71に固定する際には、クロスメンバ72bの上方に隙間Suを介して配置するようになっている。この隙間Suの上下方向の隙間寸法は、後述するUボルト77aがバッテリ46の下面と接触しない程度の寸法に形成されている(図8参照)。
【0036】
なお、図7に示すように、上記ボルトによる突出部46a、固定枠46bおよびクロスメンバ72bの各固定位置は、バッテリ46の前面側および後面側のいずれも同様であるため、後面側のみ二点鎖線の矢印で示している。
【0037】
図7において、箱前取付部73にはブラケット73aが溶接により固定されており、該ブラケット73aの上面には、上記充電器50が載置されている。充電器50の後面には、後方へ突出する突出部50cが一体形成されており、この突出部50cがボルト(図示せず)によりブラケット73aに固定されている。
充電器50に接続されるコネクタ52は、その接続口を外側方に向けて取り付けられているおり、外部電源からの電源ケーブル51を車両の右舷側から容易にコネクタ52に接続することができる。
【0038】
箱前取付部73は、箱前空間Sfの右舷側に配置される第一箱前取付部74と、箱前空間Sfの左舷側に配置される第二箱前取付部75(下部保持部)とをさらに有している。
第一箱前取付部74は、前後方向に延びる角パイプからなる基部フレーム74aと、基部フレーム74aの上面に立設された支持フレーム74bと、支持フレーム74bの上下方向の略中央部に固定されたL字型(図7参照)の載置フレーム74cと、を有している。
【0039】
基部フレーム74aは、箱下取付部72の右側の基部フレーム72aの前端部に一体形成されている(図7参照)。これにより、第一箱前取付部74は、箱下取付部72に一体的に設けられている。載置フレーム74cは、基部フレーム74aに対して右側方にオフセットした状態で配置されており、その水平面には上記オイルタンク21が載置された状態でベルト(図示せず)により固定されている。
【0040】
オイルタンク21の内側上部には、オイルフィルタ30aが接続されている(図4参照)。また、オイルタンク21の内側下部には、一端が油圧ポンプ22に接続された油圧配管の他端が接続されている。さらに、オイルタンク21の上面および外側面には、ステップ96が配置されており、その上下両端部は支持フレーム74bおよび載置フレーム74cに固定されている。これにより、作業者がステップ96を昇って箱前空間Sfへ移動することにより、塵芥収容箱2の前壁2bに設けられた点検窓(図示せず)から塵芥収容箱2内の点検を容易に行うことができる(図4参照)。
【0041】
第二箱前取付部75は、前後方向に延びる角パイプからなる基部フレーム75aと、基部フレーム75aの上面に固定された前後一対のアングル材からなる支持フレーム75bと、各支持フレーム75bの上方に配置されたアングル材からなる載置フレーム75cとを有している。
基部フレーム75aは、箱下取付部72の左側の基部フレーム72aの前端部に一体形成されている。これにより、第二箱前取付部75は、箱下取付部72に一体的に設けられている。
【0042】
支持フレーム75bと載置フレーム75cとの間には、弾性体である防振ゴム75dが配置されている。この防振ゴム75dは、図示しないボルトにより支持フレーム75bの水平面上に固定されている。また、支持フレーム75bおよび載置フレーム75cは、その長手方向が基部フレーム75aに対して左側方にオフセットした状態で配置されている。
【0043】
左右の載置フレーム75cの上面には、上記パワーユニット49および上記制御ボックス56が取り付けられている。具体的には、図7に示すように、各載置フレーム75cの長手方向の中央部に、上記電動モータ45がボルト(図示せず)により固定されており、電動モータ45の一端部(図7の左側)に上記油圧ポンプ22がボルト(図示せず)により固定されている。また、各載置フレーム75cの左右両端部には、制御ボックス56の四本の脚部56aが、電動モータ45の前後左右を囲むように配置され、各防振ゴム75dの上端に固定されたボルトおよびナット(図示せず)により、各脚部56aが載置フレーム75cに固定されている。
【0044】
各脚部56aの上下方向の長さは、電動モータ45の高さよりも長く形成されており、電動モータ45および制御ボックス56を、相互に干渉することなく載置フレーム75c上に固定することができる。
【0045】
図7において、取付部材71には、上記支持部材61の前支持部63および後支持部64が、駆動装置58の各構成部材とともに一体的にユニット化された状態で取り付けられている。
前支持部63は、箱下取付部72の基部フレーム72aの前端部に配置されており、各基部フレーム72aの上面にそれぞれ溶接により固定された左右一対のアングル材からなる支持フレーム63aと、各支持フレーム63aの上端に左右両端部が固定された平板状の載置フレーム63bとを有している。
【0046】
後支持部64は、箱下取付部72の基部フレーム72aの後端部に配置されており、各基部フレーム72aの上面にそれぞれ溶接により固定された左右一対のチャンネル材からなる支持フレーム64aと、各支持フレーム64aの上端に固定された左右一対の平板状の載置フレーム64bとを有している。各支持フレーム64aの後部にはヒンジP1が設けられている(図1参照)。
【0047】
取付部材71は、固縛手段76により左右の車体フレーム1bに固定されている。固縛手段76は、取付部材71を各車体フレーム1bの上面に固定している複数の第一固縛部77と、複数の第二固縛部78とから構成されている。
第一固縛部77は、Uボルト77aとナット77bとにより、各箱前取付部74,75の基部フレーム74a,75aをそれぞれ車体フレーム1bに固定している。第二固縛部78は、ボルト78aとナット78bとにより、前支持部63又は後支持部64の外側面および車体フレーム1bの外側面にそれぞれ固定されたコ字形の締結ブラケット78c、78d同士を締結することにより、前支持部63(取付部材71)及び後支持部64を車体フレーム1bにそれぞれ固定している。
【0048】
図1において、前支持部63および後支持部64の各載置フレーム63b,64b上には、樹脂製のパッド(図示せず)が固定され、塵芥収容箱2が着床位置にあるときには、該樹脂製のパッド上面に主桁2cが載置される。
【0049】
図7及び図8に示すように、後側のクロスメンバ72bの下面の略中央部には、シリンダブラケット80が固定されている。シリンダブラケット80の下部には孔が設けられており、ヒンジピン80aによりダンプシリンダ19の基部19aが回動可能に軸支されている。なお、ダンプシリンダ19の先部19bは主桁2cに軸支されている。
【0050】
図9に示すように、制御ボックス56の上部は上部保持部90により塵芥収容箱2(荷箱)の上部に保持されている。上部保持部90は、制御ボックスに固定された被係合部91と塵芥収容箱2の前面上部に固定された係合部92とを有している。被係合部91は制御ボックス56の上面に防振ゴム91bを介して固定したプレート91aからなる。プレート91aの中央には孔91cが設けられている。係合部92は塵芥収容箱2に固定したブラケット92aと該ブラケット92aに固定したピン92bとからなる。塵芥収容箱2が着床位置(図9では一点鎖線で示した姿勢)にある際には、係合部92のピン92bが被係合部91の孔91cに挿入され、係合部92のブラケット92aの下面が被係合部91のプレート91aの上面と接触する。なお、係合部91及び被係合部92は車体フレーム1bの上方に位置するようにそれぞれ固定されている(図1,8参照)。
【0051】
次に、塵芥収集車1を製造する際に、支持部材61、駆動装置58および塵芥収容箱2を、車体フレーム1b上に搭載する作業について説明する。
まず、図7に示すように、取付部材71上に、駆動装置58、支持部材61の前支持部63および後支持部64を予め取り付けて一体的にユニット化する。また、支持部材61の主桁2cは、塵芥収容箱2の底板2dに溶接により固定する。
【0052】
次に、車体フレーム1b前部の上面に、上記ユニット化された取付部材71を載置し、図1に示すように、固縛手段76の第一固縛部77および第二固縛部78により、取付部材71の前後を車体フレーム1b上に固定する。
続いて、塵芥収容箱2を車体フレーム1bの上方に搭載する。具体的には、図1に示すように、塵芥収容箱2の底部に固定された主桁2cを、車体フレーム1b側の前支持部63、後支持部64の各上面に載置する。この状態でヒンジP1により後支持部64と主桁2cとを締結する。これにより、上記搭載作業が完了する。
【0053】
以上のように構成された塵芥収集車1の動作について図10及び図11を参照して説明する。
【0054】
まず、図10を参照して塵芥収集車1の基本的な動作を説明する。
メインスイッチ34がONされることにより、制御部47は動作制御をスタートし、バッテリ46の残量をバッテリ46の出力電圧などから検知し(ステップS101)、バッテリ46の残量が所定値(本実施例では満充電の10%以下)であるか否かを判断する(ステップS102)。バッテリ残量が10%よりも上であれば(ステップS102のNo)、積込スイッチ43が押下されているか否かを判断する(ステップS103)。積込スイッチ43が押下されたときは(ステップS103のYes)積込装置Tを積込動作させる(ステップS104)。このとき、制御部47は油圧ポンプ22の吐出圧を高圧にするようにパワーユニット49(特に電動モータ45)を駆動する。積込スイッチ43が押下されておらず、テールゲートスイッチ35またはダンプスイッチ36(以下の説明ではテールゲートスイッチ35とダンプスイッチ36とをまとめて排出スイッチと呼ぶ)が操作されたか否かを判断し(ステップS105)、積込スイッチ43ではなく排出スイッチが操作されている場合は(ステップS103のNoを経てステップS105のYes)、排出動作を行う(ステップ106)。なお、排出動作の詳細は後述する。
【0055】
一方、ステップS102において、バッテリ残量が10%以下であれば(ステップS102のYes)、積込スイッチ43が押下されているか否かを判断し(ステップS107)、積込スイッチ43が押下されたとしても(ステップS107のYes)、警告ランプLを点灯するのみで、積込装置Tの動作を抑制する(ステップS108)。積込スイッチ43ではなく排出スイッチが操作されている場合は(ステップS107のNoを経てステップS109のYes)排出動作を行う(ステップS110、詳細は後述)。
【0056】
次に、図11を参照して排出動作の詳細を説明する。
制御部47は、排出スイッチのいずれかが操作されると(図10のステップS106又はステップS110に至ると)排出動作を開始する。排出動作が開始されるとバッテリ残量が所定値(排出動作を完了できる程度の残量で本実施例では満充電の5%)より残っているか否かを判断し(ステップS201)、5%よりも多い残量が残っている場合は(ステップS201のNo)通常の降ろし動作及び戻し動作を行う。このとき、制御部47はテールゲートスイッチ35が上げ操作された場合であれば(ステップS203のYes)、降ろし動作を開始する。制御部47はパワーユニット49の油圧ポンプ22を高圧で吐出するように電動モータ45を駆動しつつ電磁弁27のソレノイド27sを励磁してスイングシリンダ20を伸長させ、塵芥投入箱3を上昇させる(ステップS204、テールゲート上げ動作)。そして、制御部47はテールゲートスイッチ35に対する操作が解除されるまで(ステップS205のNo)ステップS204を継続し、テールゲートスイッチ35がOFFとなると(ステップS205のYes)テールゲート上げ動作を終了し、ダンプスイッチ36が上げ操作されることを待つ(ステップS206)。このとき、かき出しスイッチ37を操作すれば、制御部47は積込装置Tの所定のサイクル動作をするようにパワーユニット49を高圧で駆動かつ電磁弁24及び25に対して出力信号を送る。
【0057】
ダンプスイッチ36が上げ操作されると(ステップS206のYes)、制御部47はパワーユニット49の油圧ポンプ22を高圧で吐出するように電動モータ45を駆動しつつ電磁弁26のソレノイド26eを励磁してダンプシリンダ19を伸長させ、塵芥投入箱2をダンプ上げ動作させる(ステップS207)。そして、制御部47はダンプスイッチ36に対する操作が解除されるまで(ステップS208のNo)ステップS207を継続し、ダンプスイッチ36がOFFとなると(ステップS208のYes)ダンプ上げ動作を終了し、降ろし動作を完了する。このとき塵芥収集車1は図2に示す姿勢となっているため、塵芥収容箱2の内部に納められたゴミをその自重により排出することができる。
【0058】
ゴミの排出が完了すると、図1に示す走行姿勢にまで戻す戻し動作を行う必要がある。まず塵芥収容箱2をダンプ下げ動作させる必要があるため、作業者はダンプスイッチ36を下げ操作する。すると制御装置47はステップS209のYesからステップS210に至り、パワーユニット49を高圧で駆動しつつ電磁弁26のソレノイド26sを励磁する。これによりダンプシリンダ19は最大の収縮力で収縮を開始し、塵芥収容箱2をダンプ下げ動作させる。着床検知近接スイッチLS1が検知するまで最大の収縮力で収縮を継続する(ステップS211のNo)。塵芥収容箱2の所定姿勢として着床位置までダンプ下げ動作したことを着床検知近接スイッチLS1が主桁2cを検知することで検知信号を制御部47に対して送信する。制御部47は着床検知近接スイッチLS1からの検知信号を受信すると(ステップS211のYes)、ソレノイド26sの励磁は継続しつつパワーユニット49の電動モータ45の動作回転数を低下させ、油圧ポンプ22から吐出される作動油圧を低圧にしダンプシリンダ19の収縮力を低下させる。その後、ダンプスイッチ36がOFFとなると(ステップS213のYes)、塵芥収容箱2のダンプ下げ動作を終了する。
【0059】
そして、次に制御部47はテールゲートスイッチ35が下げ操作されるのを待ち(ステップS214)、操作されるとソレノイド28sを励磁しスイングシリンダ20を収縮し、塵芥投入箱3をテールゲート下げ動作させる。なお、塵芥投入箱3のテールゲート下げ動作が完了したことを閉鎖検知近接スイッチ(図示せず)が検知するとロック閉の出力信号をソレノイド27sに対して出力し、テールゲートロック(シリンダ)31をロック方向に動作させる。このときパワーユニット49を高圧で駆動するように制御部47は出力信号を出力する。その後、テールゲートスイッチ35がOFFとなるとテールゲート下げ動作が終了し、戻し動作が完了する。
【0060】
以上のように構成された塵芥収集車1によれば、バッテリ残量が10%以下であれば(ステップS102のYes)、警告ランプLを点灯するため、作業者は塵芥収集車1のバッテリ残量が少なくなっていることを知ることができ、このまま動作を継続すればバッテリ46が空になってしまい、動作ができなくなってしまうことを知ることができる。そして、バッテリ残量が低下したまま次の収集場所に行き、そこでのゴミ収集作業が中途半端になってしまい、バッテリ46の充電後にまた収集を再開するような手間をかけることを防ぐことができ、他の塵芥収集車を次の収集場所に向かわせるようにすることもできる。
【0061】
また、バッテリ残量が少なくなった際には積込スイッチ43が押下されても積込装置Tを動作させないため(ステップS108)、積込装置Tを動作させ続けてバッテリを消費することにより塵芥収集車1にゴミを積み込むための装置である積込装置Tが途中で動作できなくなってしまうことを防止することができ、塵芥投入箱3内にゴミが残されたまま走行して、走行時にゴミを撒き散らしてしまうことを防止することができる。バッテリ残量が少なくなった際には排出スイッチ(テールゲートスイッチ35やダンプスイッチ36)を操作しても排出装置を動作させないため(ステップS202)、塵芥収容箱2や塵芥投入箱3の回動動作が完了できなくなることを抑制することができる。これにより、降ろし動作の途中で排出装置が停止し、排出できなくなることや、戻し動作の途中で排出装置が停止(例えば塵芥投入箱3が上方開放したままの塵芥収集車1が安全に走行できない姿勢で停止)してしまうことを抑制することができる。
さらに、制御部47はバッテリ残量が排出動作を完了することができない容量に近づいた際(本実施例では残量が満充電の10%以下になった場合)には積込装置Tを動作させず、排出装置(ダンプシリンダ19やスイングシリンダ20)の動作を許容するようにしたので、積込装置Tを引き続き動作させ続けてバッテリを消費することにより排出装置が駆動できなくなること防止することができる。なお、本実施例において動作を制限するとは、操作スイッチが操作されたことにより出力された信号を制御部47が認識しない概念と、操作スイッチが操作されたとしても、通常の場合であれば出力する、対応する装置を動作させるための出力信号を制御部47が出力しない概念とを含むものである。
【0062】
また、バッテリ残量が5%以下であれば(ステップS201のYes)、塵芥収容箱2や塵芥投入箱3の動作を抑制し、警告ランプLを点灯する。バッテリ残量が5%以下であれば、塵芥投入箱3の上昇又は下降、塵芥収容箱2の上昇又は下降の動作途中に電力を消費してしまい、塵芥投入箱3や塵芥収容箱2の動作を完了することができなくなる恐れがあるが、ステップS202において動作を開始しないため、塵芥収容箱2や塵芥投入箱3の動作途中で止まってしまい、塵芥収容箱2内にゴミが残ったままになることや、排出が完了した状態(図2の姿勢)から走行姿勢(図1の姿勢)に戻せなくなってしまい走行できなくなることを防止することができる。なお、このとき警告ランプLが点灯しているので、積込装置Tや塵芥収容箱2、塵芥投入箱3が動作しないのが故障ではなくバッテリ残量が少なくなったことにより動作が制限されたことであることを作業者が認識することができる。
【0063】
そして、塵芥収容箱2の下降動作中に着床検知近接センサLS1が検知すると(ステップS211のYes)、ソレノイド26sの励磁は継続しつつパワーユニット49の電動モータ45の動作回転数を低下させ、油圧ポンプ22から吐出される作動油圧を低圧にしたので、ダンプシリンダ19の収縮力を低下させることができる。塵芥収容箱2の主桁2cが前支持部63に着床し、その後にダンプスイッチ35の下げ操作が継続されたとしても、ダンプシリンダ19の収縮力が低下しているため主桁2cの前支持部63に対する押し付け力を小さくすることができる。これにより、塵芥収容箱2を車体フレーム1b(前支持部63及び後指示部64)上に隙間無く搭載するためにダンプ下げ動作を継続させたとしても、塵芥収容箱2(特に凹部2c1)に応力が集中して破損してしまうことを抑制することができる。また、塵芥収容箱2に固定された被係合部92が制御ボックス56の上部を押さえつける力も同時に小さくすることができるため、揺れを抑制するために必要な力以上の力が制御ボックス56に加わることがないようにすることができる。
【0064】
所定姿勢を検知する検知手段として、塵芥収容箱2の着床位置を検知し、ダンプ下げ操作を終了してもよいことを知るための着床検知近接スイッチLS1を用いたので、検知手段を兼用することができ安価に上記制御を行うことができる。
【0065】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0066】
上記実施例では、積込装置及び排出装置の両方をバッテリ46により駆動するように構成したが、積込装置及び排出装置のいずれか一方のみをバッテリ46により駆動するようにしてもよく、PTOを介してエンジンの動力を用いて積込装置や排出装置を駆動するようにしてもよい。また、メインスイッチ34を操作した際にバッテリ残量を検知し、バッテリ残量が残り少なくなったか否かを判断し(ステップS101及びステップS102)バッテリ残量に応じた制御を行うが、積込スイッチ43や排出スイッチ(テールゲートスイッチ35及びダンプスイッチ36)が操作された際にバッテリ残量を検知し、バッテリ残量が残り少なくなったか否かを判断して、バッテリ残量に応じた制御を行うようにしてもよい。
報知手段である動作を抑制したことを作業者に警告する警告ランプLはスイッチボックスSB2に設けたが、運転室内のスイッチボックスSB1に設けてもよく、警告ランプLに替えて液晶ディスプレイを備えて文字を表示したり、ブザーにより警報音を出力するようにしてもよい。
【0067】
荷箱傾動装置としてダンプシリンダ19をクロスメンバ72bと主桁2cとにそれぞれ軸支し、塵芥収容箱2をダンプするようにしたが、リンク機構を用いて塵芥収容箱2をダンプするようにしてもよい。このとき上記リンク機構の一端をクロスメンバ72bに軸支するようにすればよい。
【0068】
また、前支持部63、後支持部64は、一体の部材として構成されているが、別部材として形成し車体フレーム1b上に離間して配置することで窪み部66を形成し、該凹部に駆動装置58の一部又は全部を配置することも可能である。
また、窪み部66は、主桁2c、前支持部63とによって形成されているが、嵩高に形成した主桁2cのみによって形成されることも可能である。この場合、主桁2cの一部を切り欠いて窪み部66を形成し、この窪み部66と車体フレーム1bとによって箱下空間Sdを形成すればよい。
【0069】
箱下空間Sdは、主桁2cの下面よりも下方に形成されているが、主桁2cの車幅方向外側または内側であって、前記下面よりも上方、かつ塵芥収容箱2の底板2dよりも下方の空間を、箱下空間Sdとしてもよい。
【0070】
また、箱下空間Sdに配置される駆動装置58は、塵芥収容箱2を支持部材61上に搭載する前に、箱下取付部72に取り付けられているが、塵芥収容箱2の搭載後に取り付けられるようにしてもよい。
また、箱下空間Sdおよび箱前空間Sfに配置される駆動装置58を、それぞれ箱下取付部72および箱前取付部73を介して車体フレーム1bに取り付けているが、両空間Sd,Sfのうち、いずれか一方または両方の空間に配置される駆動装置58を車体フレーム1bの上面に直接取り付けるようにしてもよい。
【0071】
また、バルブブロック33は、塵芥収容箱2側に固定されているが、車体フレーム1b側に固定されていてもよい。この場合、バルブブロック33と各シリンダ6,19,20及び油圧モータMoとの接続を、油圧配管40に代えて可撓性の油圧ホースにすれば、塵芥収容箱2を傾動させる際に上記接続状態を維持することができる。
【0072】
上記実施例ではダンプシリンダ19の収縮力を低下させるために電動モータ45の回転数を低下させたが、複数の圧力に設定した圧力制御弁を選択可能に電磁制御弁を介して設け、所定姿勢を検知手段が検知すると、前記複数の圧力制御弁のうち設定圧が低い圧力制御弁を連通し、作動圧を低下させるようにしてもよい。着床する前の姿勢を検知して、圧力を低下させるようにしてもよい。ダンプ下げ動作を行うにあたり最大の力が必要であるのは最大角まで傾斜した姿勢から塵芥収容箱2を下方回動を開始する際であり、最大傾斜角よりもわずかでも下方回動すれば必要となる動作力は小さくなる。したがって最小の傾斜角(着床位置を含む)から最大傾斜角(最大傾斜角までダンプした姿勢は含まない)に至るまでの間のいずれかの位置を検知して、動作圧を変更するようにしてもよい。なお、上記実施例では、主桁2cに凹部2c1を設けているため、凹部2c1が破損しない程度の力のみが加わる程度の圧力に設定しているが、塵芥収容箱2や車体フレーム1bやそれらの付属装置が破損しない程度に設定すればよい。また、所定姿勢を検知する検知手段として近接スイッチを用いたが、その他のセンサを用いたり、電動モータの回転数から油圧ポンプ22から吐出した積算流量を計算し所定姿勢を予測することで検知するようにしてもよい。
【0073】
また、駆動装置58は、積込装置Tを構成するすべてのシリンダ及び油圧モータを動作させているが、少なくとも一つのシリンダを動作させていればよい。駆動装置58はバッテリ46により駆動するが、車両のエンジンから動力を取り出して各シリンダ及び油圧モータを駆動するようにしてもよい。
また、積込装置Tは、押込板と回転板との協働により塵芥を積み込む回転板式であったが、押込板のみのサイクル運動で塵芥を積み込むプレス式であってもよい。この場合押込板とこれを動作させるシリンダとが、積込装置Tの一部を構成する。
【符号の説明】
【0074】
1 塵芥収集車
1a 運転室
1b 車体フレーム
2 塵芥収容箱
3 塵芥投入箱
3a 投入口
19 ダンプシリンダ(荷箱傾動手段)
47 制御部
49 パワーユニット
LS1 着床検知近接スイッチ(着床姿勢検知手段)
L 警告ランプ(報知手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥収容箱をダンプさせることで、塵芥収容箱内の塵芥を排出する塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の塵芥収集車は、車体後部に傾動軸(ヒンジ)を介して塵芥収容箱を回動可能に支持し、後部に開口部を備えた該塵芥収容箱の後部に塵芥投入箱を連設し、車体と塵芥収容箱との間に設けたダンプシリンダ(本願発明の荷箱傾動手段)を備え、車体上に載置された着床位置にある塵芥収容箱を該ダンプシリンダを伸長させることにより車両後方に向かって傾斜(ダンプ)させて、塵芥収容箱内に収めた塵芥を排出するようにしている。
【0003】
塵芥収容箱の開口部を開閉する塵芥投入箱は、その内部に積込装置を備えているため塵芥収容箱に比べて非常に重く、また、塵芥投入箱は塵芥収容箱の傾動軸よりも後方に配置されているため、ダンプさせた塵芥収容箱に対して後方へ回動する力を作用させており、ダンプさせた塵芥収容箱を塵芥収容箱の自重により走行姿勢に戻すことができない。
そのため、ダンプシリンダを復動式にし、ダンプシリンダが収縮する力を使い、塵芥収容箱を着床位置までダンプ下げ動作させるようにしている。(例えば特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−292127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、塵芥収容箱を傾斜するほどに塵芥投入箱は塵芥収容箱の傾動軸から車両後方に遠ざかるので、最大角までダンプさせたときにダンプシリンダが収縮するために必要な力が最大となる。そこで塵芥収容箱を走行姿勢まで戻すために必要な最大力にあわせたダンプシリンダを用いなければならず、走行姿勢まで回動した塵芥収容箱に対しても、ダンプシリンダは最大の収縮力を塵芥収容箱に加え続けてしまうという問題があった。
本発明は、以上のような実情に鑑みてなされたものであり、荷箱傾動手段による塵芥収容箱の破損を抑制することができる塵芥収集車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための本発明の塵芥収集車は、車体後部にヒンジを介して塵芥収容箱を支持し、塵芥収容箱の後部に塵芥投入箱を連設し、荷箱傾動手段により塵芥収容箱を傾動させる塵芥収集車において、前記塵芥収容箱が所定姿勢にあることを検知する検知手段と、前記検知手段がダンプ下げ時の所定姿勢を検知すると、前記荷箱傾動手段の動作力を低下させる制御装置とを備えたことを特徴としている。
【0007】
このような構成の塵芥収集車によれば、塵芥収納箱の下降動作において下降途中の所定姿勢を検知し、荷箱傾動手段の動作力を小さくすることができるため、走行姿勢にある塵芥収容箱に対して荷箱傾動手段が最大の収縮力を加えることが無く、塵芥収容箱が破損してしまうことを抑制することができる。
【0008】
また、前記検知手段は塵芥収容箱が走行姿勢にあることを検知する着床位置検知手段であることが好ましい。
【0009】
この場合、塵芥収容箱が走行姿勢に至ったことを知るために用いる塵芥収容箱が着床したことを検知する検知手段を兼用することができるため、安価に塵芥収集車を製造することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の塵芥収集車によれば、走行姿勢にある塵芥収容箱に対して荷箱傾動手段が最大の収縮力を加えることが無く、塵芥収容箱が破損してしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の塵芥収集車を左舷側から見た側面図である。
【図2】塵芥収集車の塵芥投入箱を上げかつ塵芥収容箱をダンプさせた状態を示す側面図である。
【図3】塵芥収集車の背面図である。
【図4】塵芥収集車の平面図である。
【図5】塵芥収集車の油圧回路図である。
【図6】塵芥収集車の制御ブロック図である。
【図7】ユニット化した駆動装置を分解した状態を模式的に示す斜視図である。
【図8】ダンプシリンダの取付部を模式的に示す側面図である。
【図9】収納箱の固縛構造を模式的に示す側面図である。
【図10】塵芥収集車の動作を示すフローチャートである。
【図11】図10の排出動作の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の作業車両である塵芥収集車1を左舷側から見た側面図である。図において、この塵芥収集車1は、運転室(キャブ)1aと、運転室1aの下部から後方へ延びて形成されている左右一対の車体フレーム1bと、車体フレーム1bの上方に配置された塵芥収容箱2と、塵芥収容箱2の後方に配置された塵芥投入箱3とを備えている。塵芥収容箱2の後面には、開口部2aが形成されている。塵芥投入箱3の後部には、塵芥が投入される投入口3aが形成されており、この投入口3aを上下にスライドして開閉する蓋3bが設けられている。塵芥投入箱3の前部には、塵芥投入箱3に投入された塵芥を塵芥収容箱2に収容するための開口3dが設けられている。
【0013】
塵芥収容箱2の底部には主桁2cが固定されており、主桁2cは車体フレーム1bの後端部に設けたヒンジP1により軸支されており、ダンプシリンダ19(荷箱傾動手段)の伸長により塵芥収容箱2は後方にダンプ(傾動)できるようになっている(図2参照)。塵芥投入箱3は、上部に設けられた支点P2を中心に回動可能であり、スイングシリンダ20(図3参照)の伸縮により塵芥収容箱2に対して開閉動作が可能である。塵芥投入箱3は、図1に示す位置では塵芥収容箱2の開口部2aを閉鎖し、図2に示すように上方へ回動したときは塵芥収容箱2の開口部2aを開放する。塵芥投入箱3を上方に回動した状態で、塵芥収容箱2を後方にダンプさせることで、塵芥収容箱2内の塵芥を排出することができる。尚、塵芥投入箱3は、通常はテールゲートロック31(図示せず)により塵芥収容箱2に一体的に固縛されており、そのテールゲートロック31は、塵芥収容箱2をダンプして収容した塵芥を排出する時や点検整備時に固縛解除されて、塵芥投入箱3の回動を可能とする。なお、ダンプシリンダ19とスイングシリンダ20とにより排出装置を構成する。
【0014】
次に、塵芥投入箱3内には、回転板4と押込板5とプッシュシリンダ6と油圧モータMoとからなる積込装置Tを備えている。回転板4は、各両端部が塵芥投入箱3の左右の側壁3cにそれぞれ軸受を介して回転自在に貫通支持された下部支持軸PLと一体で且つその軸線回りに回転可能に設けてある。押込板5は、両端部が塵芥投入箱3の左右の側壁3cにそれぞれ軸受を介して回転自在に貫通支持された上部支持軸PU と一体で且つその軸線回りに前後揺動可能に設けてある。回転板4を時計回りに回転させることにより塵芥投入箱3内に投入された塵芥を該塵芥投入箱3内底部より前方上部に掻き上げることができ、押込板5を揺動することにより回転板4が掻き上げた塵芥を前側(塵芥収容箱2内)に押し込むことができる。前記上,下部支持軸PU ,PL は塵芥投入箱3内を横切って互いに平行に延びている。
【0015】
そして塵芥投入箱3の一方の側壁3cには、下部支持軸PLの外端に連動連結されて該支持軸PL (従って回転板4)を正逆回転駆動し得る油圧モータMoが設けられる。更に塵芥投入箱3内には、該塵芥投入箱3と押込板5の基端部との間に介装されて押込板5を前後に揺動駆動し得るプッシュシリンダ6が収容される。
【0016】
図5は、プッシュシリンダ6、油圧モータMo、ダンプシリンダ19およびスイングシリンダ20に関する油圧回路図である。当該油圧回路は、オイルタンク21、油圧ポンプ22、圧力制御弁23a〜23d、プッシュシリンダ用電磁弁24、油圧モータ用電磁弁25、ダンプシリンダ用電磁弁26、スイングシリンダ用電磁弁27(テールゲートロック用電磁弁を兼用)、切換弁28、逆止弁29a〜29g、およびフィルタ30a、テールゲートロック(シリンダ)31、および圧力センサ32を図示のように接続して構成されている。油圧ポンプ22は後述する電動モータ45により駆動される。また、圧力センサ32は、油圧ポンプ22の吐出油路の作動圧を常時検出し、その検出出力を制御部47(後述)に提供する。なお、前記圧力制御弁23a〜23d、各種電磁弁24〜27、切換弁28、および逆止弁29a〜29fにより、弁体が構成されている。
【0017】
回転板4及び押込板5は、塵芥投入箱3内への投入塵芥を塵芥収容箱2内に強制的に押し込むための所定の塵芥積込みサイクルを互いに協働して実行し得るようになっており、このサイクルは、所定の開始操作入力があると回転板4及び押込板5が各々初期位置(図1の実線で示した位置)にある状態から開始し、それら回転板4及び押込板5が各々初期位置に戻って停止した時に終了する。
【0018】
回転板4及び押込板5が初期位置で停止しているとき、プッシュシリンダ6は伸長状態、油圧モータMoは停止状態にあり、対応する各電磁弁は中立位置にある。ソレノイド24sが励磁されるとプッシュシリンダ6が収縮することにより押込板5が反時計回りに揺動(戻り工程)し、プッシュシリンダ用電磁弁24のソレノイド24eが励磁されるとプッシュシリンダ6が伸長することにより押込板5が時計回りに揺動し(押込工程)する。一方、油圧モータ用電磁弁25のソレノイド25sが励磁されると回転板4が時計回りに回転し(正転工程)、ソレノイド25eが励磁されると回転板4が反時計回りに回転(逆転行程)する。上記回転板4の正転工程、押込板5の戻り工程(回転板4の正転工程は継続)、押込板5の押込工程を順次動作(サイクル動作)することにより塵芥投入箱3内の塵芥を塵芥収容箱2に積込むことができる。
【0019】
塵芥収容箱2が着床位置(図1の姿勢)にあるとき、ダンプシリンダ19は最も収縮した状態にあり、ダンプシリンダ用電磁弁26は中立位置にある。ダンプシリンダ用電磁弁のソレノイド26eが励磁されると、ダンプシリンダ19は伸長動作し、塵芥収容箱2をダンプ上げ動作させる。また、ソレノイド26sが励磁されると、ダンプシリンダ19は収縮動作し、ダンプさせた塵芥収容箱2を着床位置に降下させる(ダンプ下げ動作)。励磁オフでダンプシリンダ用電磁弁が中立位置にあるときは、ダンプシリンダ19の両ポートは封止された状態となる。
【0020】
塵芥投入箱3が閉鎖(図1の姿勢)されているとき、スイングシリンダ20は最も収縮した状態にあり、スイングシリンダ用電磁弁は中立位置にある。スイングシリンダ用電磁弁27のソレノイド27eが励磁されるとテールゲートロック31がロック解除方向に動作し、スイングシリンダ20が伸長動作して塵芥投入箱3が上方回動する。ソレノイド27eが消磁され、かつ、ソレノイド27sが励磁されると、塵芥投入箱3の自重によりスイングシリンダ20内の作動油がスイングシリンダ用電磁弁27を介してタンク21に戻され、これにより、スイングシリンダ20が収縮動作して塵芥投入箱3が下方回動する。また、塵芥投入箱3が下方回動端に達した後、テールゲートロック31用の切換弁28のソレノイド28sが励磁されると、テールゲートロック31がロック動作し、塵芥投入箱3がロックされる。その後、ソレノイド28sは消磁されテールゲートロック31のロック状態が維持される。
【0021】
圧力制御弁23a〜23d、各電磁弁24〜27、切換弁28、逆止弁29a〜29f、圧力センサ32は、バルブブロック33に内蔵されている。そして、バルブブロック33は、塵芥収容箱2の前面2bの上部であって、車幅方向の略中央部に固定されている。また、バルブブロック33には、各シリンダ6,19,20及び油圧モータMoに作動油を給排するための複数の油圧配管が接続されている。
【0022】
一方、図3において、塵芥投入箱3の左右両側壁3cの後部には、それぞれスイッチボックスSB2,SB3が設けられている。スイッチボックスSB2の側面には、押込板8の動作として「連続サイクル」または「1サイクル」のどちらかの動作モードに選択するための動作選択スイッチ42が、正面には、各動作モードで積込動作を開始させるための積込スイッチ43、連続サイクル動作を停止させるための停止スイッチ44、警告ランプL(報知手段)がそれぞれ設けられている。その他のスイッチについては、緊急時にのみ用いるスイッチ等であり、詳細な説明は省略する。なお、停止スイッチ44は右側のスイッチボックスSB3にも設けられている。
【0023】
図6は、塵芥収集車1の制御ブロック図である。油圧ポンプ22は電動モータ45により駆動され、この電動モータ45は、専用のバッテリ46を動力源として制御部47の出力により駆動される。なお、油圧ポンプ22と電動モータ45とによりパワーユニット49が構成されている。バッテリ46は、充電器50を介して外部の商用電源から供給される電力で充電されるようになっている。なお、1回の充電により、6回の収集作業(1回の収集作業は、積込装置Tの1サイクル動作を100回および収容箱のダンプ動作を1回行う作業)を行うことができる程度の電力を蓄電することができる。充電器50は、バッテリ46の充電を制御する充電制御部50aと、商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換する整流部50bとを備えており、商用電源からの電源ケーブル51をコネクタ52に接続することにより、電力が供給されるようになっている。
【0024】
コネクタ52は、制御ボックス56(後述)に収納されたAC/DCコンバータ53にも接続されている。このAC/DCコンバータ53は、商用電源からコネクタ52を介して供給された交流電力を直流電力に変換し、その直流電力を制御部47に供給するようになっている。これにより、制御部47は、電動モータ45を商用電源からの電力供給によりバッテリ46を介さずに直接駆動させることもできる。なお、AC/DCコンバータ53は、制御部47に内蔵されていてもよい。
【0025】
制御部47は、収納部である制御ボックス56内に収納されており、運転室1a内に設けられたエンジン始動用のキースイッチ55およびメインスイッチ34を介して通電される。また、制御ボックス56内には、制御部47への電力供給を断接するためのコントロールスイッチ57が設けられている。コントロールスイッチ57は、通常時はオン状態に保持されており、制御部47が故障をした場合などの非常時に、キースイッチ55をオフ操作することにより、コントロールスイッチ57をオフ状態に切り換え、バッテリ46およびAC/DCコンバータ53(商用電源)から制御部47への電力供給を遮断できるようになっている。なお、コントロールスイッチ57は、キースイッチ55以外に、別途専用の操作スイッチにより切り換えるようにしてもよい。
【0026】
また、制御ボックス56内には、制御部47をメンテナンス作業するためのメンテナンス部48が収納されている。なお、上記制御部47、メンテナンス部48、AC/DCコンバータ53、制御ボックス56およびコントロールスイッチ57とにより制御装置Cが構成されている。また、上記オイルタンク21、バッテリ46、パワーユニット49、充電器50、コネクタ52および制御装置Cとにより、本発明の駆動装置58が構成されている。なお、駆動装置58の構成部材として、上記以外にバルブブロック33を含めることも可能である。
【0027】
バルブブロック33内の各ソレノイド24e〜27e,24s〜27sおよび切換弁28は、制御部47によって励磁・消磁される。なお、各ソレノイド等のブロックの名称は、機能で表示している。制御部47には、図示の各機能スイッチ(SWと表記。以下同様。)34〜37,42〜44、着床検知近接スイッチLS1(着床位置検知手段)、圧力センサ32、後述する温度計59および回転数センサ60から入力信号が与えられる。また、各種ランプ38〜39が制御部47の出力により点灯する。
【0028】
電動モータ45には、この電動モータ45の温度を検出する温度計59および電動モータ45の回転数を検出する回転数センサ60が取り付けられている。温度計59および回転数センサ60の検出信号は制御部47に与えられ、電動モータ45が温度上昇により破損しないように、制御部47により当該電動モータ45の出力が制御されている。
【0029】
図1において、車体フレーム1b上には、塵芥収容箱2の底部を車体フレーム1bに対して所定の高さ位置で支持するための支持部材61が設けられている。支持部材61は、主桁2cの前部及び後部のそれぞれ下方に配置された前支持部63、後支持部64とを備えている。前支持部63には着床検知近接スイッチLS1(着床位置検知手段)が備えられており、着床位置(図1に示した位置)にある塵芥収容箱2の主桁2cを検知し、出力信号を発する。
【0030】
主桁2cは、前後方向に延びて形成された左右一対のチャンネル材からなり、各主桁2cの上面は、塵芥収容箱2の底板2dに溶接により固定されている。各主桁2cの車両前後方向の長さは、塵芥収容箱2の底板2dの前後方向の長さと略同一に形成されている。また、各主桁2cの車幅方向の配置間隔は、各車体フレーム1bの車幅方向の配置間隔と略同一に形成されている。また、主桁2cの下面前部には、下方に開口する凹部2c1が形成されている(図2参照)。そして、凹部2c1に対応する主桁2cの内面には補強部2c2が固定されている(図4参照)。
【0031】
主桁2cの下面に形成された上記凹部2c1と、前支持部63の後面と、後支持部64の前面とによって、下方に開口する窪み部66が形成されている。この窪み部66と車体フレーム1bの上面との間には箱下空間Sdが形成されている。また、前支持部63の前面および塵芥収容箱2の前壁2bと運転室1aの後壁との間には、箱前空間Sf(キャブバックスペース)が形成されている。
【0032】
箱下空間Sdおよび箱前空間Sfには、前記駆動装置58の全構成部材が一体的にユニット化された状態で配置されている。以下、駆動装置58の各構成部材の配置およびその取付構造について説明する。図7は、駆動装置58を分解した状態を模式的に示す斜視図である。図4は、塵芥収集車1の平面図である。図8は、ダンプシリンダ19の取付部を、図9は制御ボックス56(収納箱)の固縛構造をそれぞれ模式的に示す側面図である。
【0033】
図7において、駆動装置58の各構成部材は、すべて共用の取付部材71に取り付けられて一体化されている。取付部材71は、箱下空間Sdに配置された駆動装置58の一部が取り付けられている箱下取付部72と、箱前空間Sfに配置された駆動装置58の他部が取り付けられている箱前取付部73とを備えている。
【0034】
箱下取付部72は、前後方向に延びる角パイプからなる左右一対の基部フレーム72aと、左右の基部フレーム72aの各内側面に両端が固定された前後一対の角パイプからなるクロスメンバ72b(横桁)とを有している。各クロスメンバ72bの上方には、上記バッテリ46が載置されている。
【0035】
バッテリ46は長方形状に形成されており、その長手方向が車幅方向(左右方向)に延びるように配置されている(図4参照)。バッテリ46の前面および後面には、それぞれ前方および後方に突出する複数の突出部46aが一体形成されており、これらの突出部46aの上面に、コ字形に形成された固定枠46bの支持部46b1がそれぞれボルト(図示せず)により固定されている。各固定枠46bの取付部46b2は、前後のクロスメンバ72bにそれぞれボルト(図示せず)により固定されている。固定枠46bの鉛直部は、取付部46b2がバッテリ46の下面よりも突出する程度の長さで形成されており、バッテリ46を取付部材71に固定する際には、クロスメンバ72bの上方に隙間Suを介して配置するようになっている。この隙間Suの上下方向の隙間寸法は、後述するUボルト77aがバッテリ46の下面と接触しない程度の寸法に形成されている(図8参照)。
【0036】
なお、図7に示すように、上記ボルトによる突出部46a、固定枠46bおよびクロスメンバ72bの各固定位置は、バッテリ46の前面側および後面側のいずれも同様であるため、後面側のみ二点鎖線の矢印で示している。
【0037】
図7において、箱前取付部73にはブラケット73aが溶接により固定されており、該ブラケット73aの上面には、上記充電器50が載置されている。充電器50の後面には、後方へ突出する突出部50cが一体形成されており、この突出部50cがボルト(図示せず)によりブラケット73aに固定されている。
充電器50に接続されるコネクタ52は、その接続口を外側方に向けて取り付けられているおり、外部電源からの電源ケーブル51を車両の右舷側から容易にコネクタ52に接続することができる。
【0038】
箱前取付部73は、箱前空間Sfの右舷側に配置される第一箱前取付部74と、箱前空間Sfの左舷側に配置される第二箱前取付部75(下部保持部)とをさらに有している。
第一箱前取付部74は、前後方向に延びる角パイプからなる基部フレーム74aと、基部フレーム74aの上面に立設された支持フレーム74bと、支持フレーム74bの上下方向の略中央部に固定されたL字型(図7参照)の載置フレーム74cと、を有している。
【0039】
基部フレーム74aは、箱下取付部72の右側の基部フレーム72aの前端部に一体形成されている(図7参照)。これにより、第一箱前取付部74は、箱下取付部72に一体的に設けられている。載置フレーム74cは、基部フレーム74aに対して右側方にオフセットした状態で配置されており、その水平面には上記オイルタンク21が載置された状態でベルト(図示せず)により固定されている。
【0040】
オイルタンク21の内側上部には、オイルフィルタ30aが接続されている(図4参照)。また、オイルタンク21の内側下部には、一端が油圧ポンプ22に接続された油圧配管の他端が接続されている。さらに、オイルタンク21の上面および外側面には、ステップ96が配置されており、その上下両端部は支持フレーム74bおよび載置フレーム74cに固定されている。これにより、作業者がステップ96を昇って箱前空間Sfへ移動することにより、塵芥収容箱2の前壁2bに設けられた点検窓(図示せず)から塵芥収容箱2内の点検を容易に行うことができる(図4参照)。
【0041】
第二箱前取付部75は、前後方向に延びる角パイプからなる基部フレーム75aと、基部フレーム75aの上面に固定された前後一対のアングル材からなる支持フレーム75bと、各支持フレーム75bの上方に配置されたアングル材からなる載置フレーム75cとを有している。
基部フレーム75aは、箱下取付部72の左側の基部フレーム72aの前端部に一体形成されている。これにより、第二箱前取付部75は、箱下取付部72に一体的に設けられている。
【0042】
支持フレーム75bと載置フレーム75cとの間には、弾性体である防振ゴム75dが配置されている。この防振ゴム75dは、図示しないボルトにより支持フレーム75bの水平面上に固定されている。また、支持フレーム75bおよび載置フレーム75cは、その長手方向が基部フレーム75aに対して左側方にオフセットした状態で配置されている。
【0043】
左右の載置フレーム75cの上面には、上記パワーユニット49および上記制御ボックス56が取り付けられている。具体的には、図7に示すように、各載置フレーム75cの長手方向の中央部に、上記電動モータ45がボルト(図示せず)により固定されており、電動モータ45の一端部(図7の左側)に上記油圧ポンプ22がボルト(図示せず)により固定されている。また、各載置フレーム75cの左右両端部には、制御ボックス56の四本の脚部56aが、電動モータ45の前後左右を囲むように配置され、各防振ゴム75dの上端に固定されたボルトおよびナット(図示せず)により、各脚部56aが載置フレーム75cに固定されている。
【0044】
各脚部56aの上下方向の長さは、電動モータ45の高さよりも長く形成されており、電動モータ45および制御ボックス56を、相互に干渉することなく載置フレーム75c上に固定することができる。
【0045】
図7において、取付部材71には、上記支持部材61の前支持部63および後支持部64が、駆動装置58の各構成部材とともに一体的にユニット化された状態で取り付けられている。
前支持部63は、箱下取付部72の基部フレーム72aの前端部に配置されており、各基部フレーム72aの上面にそれぞれ溶接により固定された左右一対のアングル材からなる支持フレーム63aと、各支持フレーム63aの上端に左右両端部が固定された平板状の載置フレーム63bとを有している。
【0046】
後支持部64は、箱下取付部72の基部フレーム72aの後端部に配置されており、各基部フレーム72aの上面にそれぞれ溶接により固定された左右一対のチャンネル材からなる支持フレーム64aと、各支持フレーム64aの上端に固定された左右一対の平板状の載置フレーム64bとを有している。各支持フレーム64aの後部にはヒンジP1が設けられている(図1参照)。
【0047】
取付部材71は、固縛手段76により左右の車体フレーム1bに固定されている。固縛手段76は、取付部材71を各車体フレーム1bの上面に固定している複数の第一固縛部77と、複数の第二固縛部78とから構成されている。
第一固縛部77は、Uボルト77aとナット77bとにより、各箱前取付部74,75の基部フレーム74a,75aをそれぞれ車体フレーム1bに固定している。第二固縛部78は、ボルト78aとナット78bとにより、前支持部63又は後支持部64の外側面および車体フレーム1bの外側面にそれぞれ固定されたコ字形の締結ブラケット78c、78d同士を締結することにより、前支持部63(取付部材71)及び後支持部64を車体フレーム1bにそれぞれ固定している。
【0048】
図1において、前支持部63および後支持部64の各載置フレーム63b,64b上には、樹脂製のパッド(図示せず)が固定され、塵芥収容箱2が着床位置にあるときには、該樹脂製のパッド上面に主桁2cが載置される。
【0049】
図7及び図8に示すように、後側のクロスメンバ72bの下面の略中央部には、シリンダブラケット80が固定されている。シリンダブラケット80の下部には孔が設けられており、ヒンジピン80aによりダンプシリンダ19の基部19aが回動可能に軸支されている。なお、ダンプシリンダ19の先部19bは主桁2cに軸支されている。
【0050】
図9に示すように、制御ボックス56の上部は上部保持部90により塵芥収容箱2(荷箱)の上部に保持されている。上部保持部90は、制御ボックスに固定された被係合部91と塵芥収容箱2の前面上部に固定された係合部92とを有している。被係合部91は制御ボックス56の上面に防振ゴム91bを介して固定したプレート91aからなる。プレート91aの中央には孔91cが設けられている。係合部92は塵芥収容箱2に固定したブラケット92aと該ブラケット92aに固定したピン92bとからなる。塵芥収容箱2が着床位置(図9では一点鎖線で示した姿勢)にある際には、係合部92のピン92bが被係合部91の孔91cに挿入され、係合部92のブラケット92aの下面が被係合部91のプレート91aの上面と接触する。なお、係合部91及び被係合部92は車体フレーム1bの上方に位置するようにそれぞれ固定されている(図1,8参照)。
【0051】
次に、塵芥収集車1を製造する際に、支持部材61、駆動装置58および塵芥収容箱2を、車体フレーム1b上に搭載する作業について説明する。
まず、図7に示すように、取付部材71上に、駆動装置58、支持部材61の前支持部63および後支持部64を予め取り付けて一体的にユニット化する。また、支持部材61の主桁2cは、塵芥収容箱2の底板2dに溶接により固定する。
【0052】
次に、車体フレーム1b前部の上面に、上記ユニット化された取付部材71を載置し、図1に示すように、固縛手段76の第一固縛部77および第二固縛部78により、取付部材71の前後を車体フレーム1b上に固定する。
続いて、塵芥収容箱2を車体フレーム1bの上方に搭載する。具体的には、図1に示すように、塵芥収容箱2の底部に固定された主桁2cを、車体フレーム1b側の前支持部63、後支持部64の各上面に載置する。この状態でヒンジP1により後支持部64と主桁2cとを締結する。これにより、上記搭載作業が完了する。
【0053】
以上のように構成された塵芥収集車1の動作について図10及び図11を参照して説明する。
【0054】
まず、図10を参照して塵芥収集車1の基本的な動作を説明する。
メインスイッチ34がONされることにより、制御部47は動作制御をスタートし、バッテリ46の残量をバッテリ46の出力電圧などから検知し(ステップS101)、バッテリ46の残量が所定値(本実施例では満充電の10%以下)であるか否かを判断する(ステップS102)。バッテリ残量が10%よりも上であれば(ステップS102のNo)、積込スイッチ43が押下されているか否かを判断する(ステップS103)。積込スイッチ43が押下されたときは(ステップS103のYes)積込装置Tを積込動作させる(ステップS104)。このとき、制御部47は油圧ポンプ22の吐出圧を高圧にするようにパワーユニット49(特に電動モータ45)を駆動する。積込スイッチ43が押下されておらず、テールゲートスイッチ35またはダンプスイッチ36(以下の説明ではテールゲートスイッチ35とダンプスイッチ36とをまとめて排出スイッチと呼ぶ)が操作されたか否かを判断し(ステップS105)、積込スイッチ43ではなく排出スイッチが操作されている場合は(ステップS103のNoを経てステップS105のYes)、排出動作を行う(ステップ106)。なお、排出動作の詳細は後述する。
【0055】
一方、ステップS102において、バッテリ残量が10%以下であれば(ステップS102のYes)、積込スイッチ43が押下されているか否かを判断し(ステップS107)、積込スイッチ43が押下されたとしても(ステップS107のYes)、警告ランプLを点灯するのみで、積込装置Tの動作を抑制する(ステップS108)。積込スイッチ43ではなく排出スイッチが操作されている場合は(ステップS107のNoを経てステップS109のYes)排出動作を行う(ステップS110、詳細は後述)。
【0056】
次に、図11を参照して排出動作の詳細を説明する。
制御部47は、排出スイッチのいずれかが操作されると(図10のステップS106又はステップS110に至ると)排出動作を開始する。排出動作が開始されるとバッテリ残量が所定値(排出動作を完了できる程度の残量で本実施例では満充電の5%)より残っているか否かを判断し(ステップS201)、5%よりも多い残量が残っている場合は(ステップS201のNo)通常の降ろし動作及び戻し動作を行う。このとき、制御部47はテールゲートスイッチ35が上げ操作された場合であれば(ステップS203のYes)、降ろし動作を開始する。制御部47はパワーユニット49の油圧ポンプ22を高圧で吐出するように電動モータ45を駆動しつつ電磁弁27のソレノイド27sを励磁してスイングシリンダ20を伸長させ、塵芥投入箱3を上昇させる(ステップS204、テールゲート上げ動作)。そして、制御部47はテールゲートスイッチ35に対する操作が解除されるまで(ステップS205のNo)ステップS204を継続し、テールゲートスイッチ35がOFFとなると(ステップS205のYes)テールゲート上げ動作を終了し、ダンプスイッチ36が上げ操作されることを待つ(ステップS206)。このとき、かき出しスイッチ37を操作すれば、制御部47は積込装置Tの所定のサイクル動作をするようにパワーユニット49を高圧で駆動かつ電磁弁24及び25に対して出力信号を送る。
【0057】
ダンプスイッチ36が上げ操作されると(ステップS206のYes)、制御部47はパワーユニット49の油圧ポンプ22を高圧で吐出するように電動モータ45を駆動しつつ電磁弁26のソレノイド26eを励磁してダンプシリンダ19を伸長させ、塵芥投入箱2をダンプ上げ動作させる(ステップS207)。そして、制御部47はダンプスイッチ36に対する操作が解除されるまで(ステップS208のNo)ステップS207を継続し、ダンプスイッチ36がOFFとなると(ステップS208のYes)ダンプ上げ動作を終了し、降ろし動作を完了する。このとき塵芥収集車1は図2に示す姿勢となっているため、塵芥収容箱2の内部に納められたゴミをその自重により排出することができる。
【0058】
ゴミの排出が完了すると、図1に示す走行姿勢にまで戻す戻し動作を行う必要がある。まず塵芥収容箱2をダンプ下げ動作させる必要があるため、作業者はダンプスイッチ36を下げ操作する。すると制御装置47はステップS209のYesからステップS210に至り、パワーユニット49を高圧で駆動しつつ電磁弁26のソレノイド26sを励磁する。これによりダンプシリンダ19は最大の収縮力で収縮を開始し、塵芥収容箱2をダンプ下げ動作させる。着床検知近接スイッチLS1が検知するまで最大の収縮力で収縮を継続する(ステップS211のNo)。塵芥収容箱2の所定姿勢として着床位置までダンプ下げ動作したことを着床検知近接スイッチLS1が主桁2cを検知することで検知信号を制御部47に対して送信する。制御部47は着床検知近接スイッチLS1からの検知信号を受信すると(ステップS211のYes)、ソレノイド26sの励磁は継続しつつパワーユニット49の電動モータ45の動作回転数を低下させ、油圧ポンプ22から吐出される作動油圧を低圧にしダンプシリンダ19の収縮力を低下させる。その後、ダンプスイッチ36がOFFとなると(ステップS213のYes)、塵芥収容箱2のダンプ下げ動作を終了する。
【0059】
そして、次に制御部47はテールゲートスイッチ35が下げ操作されるのを待ち(ステップS214)、操作されるとソレノイド28sを励磁しスイングシリンダ20を収縮し、塵芥投入箱3をテールゲート下げ動作させる。なお、塵芥投入箱3のテールゲート下げ動作が完了したことを閉鎖検知近接スイッチ(図示せず)が検知するとロック閉の出力信号をソレノイド27sに対して出力し、テールゲートロック(シリンダ)31をロック方向に動作させる。このときパワーユニット49を高圧で駆動するように制御部47は出力信号を出力する。その後、テールゲートスイッチ35がOFFとなるとテールゲート下げ動作が終了し、戻し動作が完了する。
【0060】
以上のように構成された塵芥収集車1によれば、バッテリ残量が10%以下であれば(ステップS102のYes)、警告ランプLを点灯するため、作業者は塵芥収集車1のバッテリ残量が少なくなっていることを知ることができ、このまま動作を継続すればバッテリ46が空になってしまい、動作ができなくなってしまうことを知ることができる。そして、バッテリ残量が低下したまま次の収集場所に行き、そこでのゴミ収集作業が中途半端になってしまい、バッテリ46の充電後にまた収集を再開するような手間をかけることを防ぐことができ、他の塵芥収集車を次の収集場所に向かわせるようにすることもできる。
【0061】
また、バッテリ残量が少なくなった際には積込スイッチ43が押下されても積込装置Tを動作させないため(ステップS108)、積込装置Tを動作させ続けてバッテリを消費することにより塵芥収集車1にゴミを積み込むための装置である積込装置Tが途中で動作できなくなってしまうことを防止することができ、塵芥投入箱3内にゴミが残されたまま走行して、走行時にゴミを撒き散らしてしまうことを防止することができる。バッテリ残量が少なくなった際には排出スイッチ(テールゲートスイッチ35やダンプスイッチ36)を操作しても排出装置を動作させないため(ステップS202)、塵芥収容箱2や塵芥投入箱3の回動動作が完了できなくなることを抑制することができる。これにより、降ろし動作の途中で排出装置が停止し、排出できなくなることや、戻し動作の途中で排出装置が停止(例えば塵芥投入箱3が上方開放したままの塵芥収集車1が安全に走行できない姿勢で停止)してしまうことを抑制することができる。
さらに、制御部47はバッテリ残量が排出動作を完了することができない容量に近づいた際(本実施例では残量が満充電の10%以下になった場合)には積込装置Tを動作させず、排出装置(ダンプシリンダ19やスイングシリンダ20)の動作を許容するようにしたので、積込装置Tを引き続き動作させ続けてバッテリを消費することにより排出装置が駆動できなくなること防止することができる。なお、本実施例において動作を制限するとは、操作スイッチが操作されたことにより出力された信号を制御部47が認識しない概念と、操作スイッチが操作されたとしても、通常の場合であれば出力する、対応する装置を動作させるための出力信号を制御部47が出力しない概念とを含むものである。
【0062】
また、バッテリ残量が5%以下であれば(ステップS201のYes)、塵芥収容箱2や塵芥投入箱3の動作を抑制し、警告ランプLを点灯する。バッテリ残量が5%以下であれば、塵芥投入箱3の上昇又は下降、塵芥収容箱2の上昇又は下降の動作途中に電力を消費してしまい、塵芥投入箱3や塵芥収容箱2の動作を完了することができなくなる恐れがあるが、ステップS202において動作を開始しないため、塵芥収容箱2や塵芥投入箱3の動作途中で止まってしまい、塵芥収容箱2内にゴミが残ったままになることや、排出が完了した状態(図2の姿勢)から走行姿勢(図1の姿勢)に戻せなくなってしまい走行できなくなることを防止することができる。なお、このとき警告ランプLが点灯しているので、積込装置Tや塵芥収容箱2、塵芥投入箱3が動作しないのが故障ではなくバッテリ残量が少なくなったことにより動作が制限されたことであることを作業者が認識することができる。
【0063】
そして、塵芥収容箱2の下降動作中に着床検知近接センサLS1が検知すると(ステップS211のYes)、ソレノイド26sの励磁は継続しつつパワーユニット49の電動モータ45の動作回転数を低下させ、油圧ポンプ22から吐出される作動油圧を低圧にしたので、ダンプシリンダ19の収縮力を低下させることができる。塵芥収容箱2の主桁2cが前支持部63に着床し、その後にダンプスイッチ35の下げ操作が継続されたとしても、ダンプシリンダ19の収縮力が低下しているため主桁2cの前支持部63に対する押し付け力を小さくすることができる。これにより、塵芥収容箱2を車体フレーム1b(前支持部63及び後指示部64)上に隙間無く搭載するためにダンプ下げ動作を継続させたとしても、塵芥収容箱2(特に凹部2c1)に応力が集中して破損してしまうことを抑制することができる。また、塵芥収容箱2に固定された被係合部92が制御ボックス56の上部を押さえつける力も同時に小さくすることができるため、揺れを抑制するために必要な力以上の力が制御ボックス56に加わることがないようにすることができる。
【0064】
所定姿勢を検知する検知手段として、塵芥収容箱2の着床位置を検知し、ダンプ下げ操作を終了してもよいことを知るための着床検知近接スイッチLS1を用いたので、検知手段を兼用することができ安価に上記制御を行うことができる。
【0065】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0066】
上記実施例では、積込装置及び排出装置の両方をバッテリ46により駆動するように構成したが、積込装置及び排出装置のいずれか一方のみをバッテリ46により駆動するようにしてもよく、PTOを介してエンジンの動力を用いて積込装置や排出装置を駆動するようにしてもよい。また、メインスイッチ34を操作した際にバッテリ残量を検知し、バッテリ残量が残り少なくなったか否かを判断し(ステップS101及びステップS102)バッテリ残量に応じた制御を行うが、積込スイッチ43や排出スイッチ(テールゲートスイッチ35及びダンプスイッチ36)が操作された際にバッテリ残量を検知し、バッテリ残量が残り少なくなったか否かを判断して、バッテリ残量に応じた制御を行うようにしてもよい。
報知手段である動作を抑制したことを作業者に警告する警告ランプLはスイッチボックスSB2に設けたが、運転室内のスイッチボックスSB1に設けてもよく、警告ランプLに替えて液晶ディスプレイを備えて文字を表示したり、ブザーにより警報音を出力するようにしてもよい。
【0067】
荷箱傾動装置としてダンプシリンダ19をクロスメンバ72bと主桁2cとにそれぞれ軸支し、塵芥収容箱2をダンプするようにしたが、リンク機構を用いて塵芥収容箱2をダンプするようにしてもよい。このとき上記リンク機構の一端をクロスメンバ72bに軸支するようにすればよい。
【0068】
また、前支持部63、後支持部64は、一体の部材として構成されているが、別部材として形成し車体フレーム1b上に離間して配置することで窪み部66を形成し、該凹部に駆動装置58の一部又は全部を配置することも可能である。
また、窪み部66は、主桁2c、前支持部63とによって形成されているが、嵩高に形成した主桁2cのみによって形成されることも可能である。この場合、主桁2cの一部を切り欠いて窪み部66を形成し、この窪み部66と車体フレーム1bとによって箱下空間Sdを形成すればよい。
【0069】
箱下空間Sdは、主桁2cの下面よりも下方に形成されているが、主桁2cの車幅方向外側または内側であって、前記下面よりも上方、かつ塵芥収容箱2の底板2dよりも下方の空間を、箱下空間Sdとしてもよい。
【0070】
また、箱下空間Sdに配置される駆動装置58は、塵芥収容箱2を支持部材61上に搭載する前に、箱下取付部72に取り付けられているが、塵芥収容箱2の搭載後に取り付けられるようにしてもよい。
また、箱下空間Sdおよび箱前空間Sfに配置される駆動装置58を、それぞれ箱下取付部72および箱前取付部73を介して車体フレーム1bに取り付けているが、両空間Sd,Sfのうち、いずれか一方または両方の空間に配置される駆動装置58を車体フレーム1bの上面に直接取り付けるようにしてもよい。
【0071】
また、バルブブロック33は、塵芥収容箱2側に固定されているが、車体フレーム1b側に固定されていてもよい。この場合、バルブブロック33と各シリンダ6,19,20及び油圧モータMoとの接続を、油圧配管40に代えて可撓性の油圧ホースにすれば、塵芥収容箱2を傾動させる際に上記接続状態を維持することができる。
【0072】
上記実施例ではダンプシリンダ19の収縮力を低下させるために電動モータ45の回転数を低下させたが、複数の圧力に設定した圧力制御弁を選択可能に電磁制御弁を介して設け、所定姿勢を検知手段が検知すると、前記複数の圧力制御弁のうち設定圧が低い圧力制御弁を連通し、作動圧を低下させるようにしてもよい。着床する前の姿勢を検知して、圧力を低下させるようにしてもよい。ダンプ下げ動作を行うにあたり最大の力が必要であるのは最大角まで傾斜した姿勢から塵芥収容箱2を下方回動を開始する際であり、最大傾斜角よりもわずかでも下方回動すれば必要となる動作力は小さくなる。したがって最小の傾斜角(着床位置を含む)から最大傾斜角(最大傾斜角までダンプした姿勢は含まない)に至るまでの間のいずれかの位置を検知して、動作圧を変更するようにしてもよい。なお、上記実施例では、主桁2cに凹部2c1を設けているため、凹部2c1が破損しない程度の力のみが加わる程度の圧力に設定しているが、塵芥収容箱2や車体フレーム1bやそれらの付属装置が破損しない程度に設定すればよい。また、所定姿勢を検知する検知手段として近接スイッチを用いたが、その他のセンサを用いたり、電動モータの回転数から油圧ポンプ22から吐出した積算流量を計算し所定姿勢を予測することで検知するようにしてもよい。
【0073】
また、駆動装置58は、積込装置Tを構成するすべてのシリンダ及び油圧モータを動作させているが、少なくとも一つのシリンダを動作させていればよい。駆動装置58はバッテリ46により駆動するが、車両のエンジンから動力を取り出して各シリンダ及び油圧モータを駆動するようにしてもよい。
また、積込装置Tは、押込板と回転板との協働により塵芥を積み込む回転板式であったが、押込板のみのサイクル運動で塵芥を積み込むプレス式であってもよい。この場合押込板とこれを動作させるシリンダとが、積込装置Tの一部を構成する。
【符号の説明】
【0074】
1 塵芥収集車
1a 運転室
1b 車体フレーム
2 塵芥収容箱
3 塵芥投入箱
3a 投入口
19 ダンプシリンダ(荷箱傾動手段)
47 制御部
49 パワーユニット
LS1 着床検知近接スイッチ(着床姿勢検知手段)
L 警告ランプ(報知手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体後部にヒンジを介して塵芥収容箱を支持し、塵芥収容箱の後部に塵芥投入箱を連設し、荷箱傾動手段により塵芥収容箱を傾動させる塵芥収集車において、
前記塵芥収容箱が所定姿勢にあることを検知する検知手段と、
前記検知手段がダンプ下げ時の所定姿勢を検知すると、前記荷箱傾動手段の動作力を低下させる制御装置とを備えたことを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
前記検知手段は、塵芥収容箱が走行姿勢にあることを検知する着床姿勢検知手段であることを特徴とする請求項1記載の塵芥収集車。
【請求項1】
車体後部にヒンジを介して塵芥収容箱を支持し、塵芥収容箱の後部に塵芥投入箱を連設し、荷箱傾動手段により塵芥収容箱を傾動させる塵芥収集車において、
前記塵芥収容箱が所定姿勢にあることを検知する検知手段と、
前記検知手段がダンプ下げ時の所定姿勢を検知すると、前記荷箱傾動手段の動作力を低下させる制御装置とを備えたことを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
前記検知手段は、塵芥収容箱が走行姿勢にあることを検知する着床姿勢検知手段であることを特徴とする請求項1記載の塵芥収集車。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−241065(P2011−241065A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115870(P2010−115870)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000163095)極東開発工業株式会社 (215)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000163095)極東開発工業株式会社 (215)
【Fターム(参考)】
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