説明

増幅回路及び無線通信装置

【課題】ET(Envelope Tracking)方式やEER(Envelope Elimination and Restoration)方式等の電源変調方式で使用される増幅器の歪補償処理を行う増幅回路において、増幅器の利得の周波数特性を改善して、歪補償が容易な状態にする。
【解決手段】増幅器10と、入力信号に基づいて変調された電源電圧を増幅器10に付与する電源変調回路17と、増幅器10に対して前置され、増幅器10の歪特性を打ち消す逆歪特性を生成して入力信号に付加する歪補償回路11とを備えた増幅回路1であって、歪補償回路11と増幅器10との間に利得調整回路12を設け、電源電圧に関わらず増幅器10の周波数特性の形を揃える逆特性を利得調整回路12の周波数特性とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として無線通信装置において、信号電力を増幅するために使用される増幅回路に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば携帯電話の基地局に設置される無線通信装置には、高出力の増幅器(HPA: High Power Amplifier)が使用される。図9は、このような増幅器100を含む増幅回路の一例(但し、簡略化している。)を示すブロック図である。このような増幅器100に関しては、入力信号Pin(RF信号)に基づいて電源変調回路200によりドレイン電圧Vdを変調するET(Envelope Tracking)方式(電源変調方式若しくはバイアス変調方式ともいう。)を採用することにより、その電力効率を高めることができる(例えば、非特許文献1,2参照。)。この場合、増幅器100のドレイン電圧VdはRF信号の包絡線に合わせてダイナミックに変化するので、入力信号Pinの振幅が小さいときでも増幅器100の動作電力が抑制され、その結果、電力効率が向上する。
【0003】
一方、このような増幅器100を用いて電力を増幅するとき、増幅器100自身の入出力特性の歪が規定レベルを満足することができず、所望の出力が得られない場合がある。そこで、このような歪を補償するための歪補償方式として、増幅器100に対して前置された歪補償回路300により増幅器100の歪特性を検出し、この特性とは逆の歪特性(等振幅逆位相の歪特性)をデジタル信号処理により生成して増幅器100の入力に付加するDPD(Digital Pre-Distortion)処理を施す。これにより、増幅器100の歪特性を打ち消すことが可能となる(例えば、非特許文献3,4参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Donald F. Kimball, et al., "High-Efficiency Envelope-Tracking W-CDMA Base-Station Amplifier Using GaN HFETs", IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques, Vol. 54, No. 11, November 2006.
【非特許文献2】Feipeng Wang, et. al., “Design of Wide-Band Envelope-Tracking Power Amplifiers for OFDM Applications”, IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques, Vol.53, No.4, April 2005.
【非特許文献3】Lei Ding, "Digital predistortion of power amplifiers for wireless application", Thesis, Georgia institute of Technology, 2004
【非特許文献4】"Open-Loop Digital Predistorter for RF Power Amplifiers Using Dynamic Deviation Reduction-Based Volterra Series", IEEE TRNSACTIONS ON MICROWAVE THEORY AND TECHNIQUES, VOL. 56, No.7, July 2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようなET方式の増幅器100では、ドレイン電圧に応じて出力インピーダンスZoutが変化する。このため、入力信号Pinの振幅レベルに応じて増幅器100の動作条件が変わる、という事態が生じる。そこで、増幅器100の利得が、入力信号Pinによってどのように変化するかを種々の観点から調べたところ、利得の周波数特性がドレイン電圧によって変化する、という知見を得た。
【0006】
図10の(a)は、一例としてドレイン電圧Vdと出力信号Poutとを示すグラフである。ドレイン電圧Vdは、最低値Vdminから、最高値Vdmaxの範囲内で変化している。図10の(b)は、一例として、増幅器100の利得の周波数特性が、ドレイン電圧Vdによって変化することを示すグラフである。このように、利得の周波数特性が信号レベルによって変化すると、それによる歪み成分を、歪補償回路300で除去することは困難である。
【0007】
かかる従来の問題点に鑑み、本発明は、ET方式やEER(Envelope Elimination and Restoration)方式等の電源変調方式で使用される増幅器の歪補償処理を行う増幅回路において、増幅器の利得の周波数特性を改善して、歪補償が容易な状態にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の増幅回路は、入力信号の電力を増幅する増幅器と、前記入力信号に基づいて変調された電源電圧を前記増幅器に付与する電源変調回路と、前記増幅器に対して前置され、前記増幅器の歪特性を打ち消す逆歪特性を生成して前記入力信号に付加する歪補償回路と、前記歪補償回路と前記増幅器との間に設けられ、前記電源電圧に関わらず前記増幅器の周波数特性の形を揃える逆特性を自己の周波数特性とする利得調整回路とを備えたものである。
上記のように構成された、いわゆる電源変調方式の増幅回路では、利得調整回路が、電源電圧に関わらず増幅器の周波数特性の形を揃える逆特性を有することにより、増幅器の周波数特性を改善する。
【0009】
(2)上記(1)の増幅回路において、利得調整回路は、電源電圧に対応してキャパシタンスを変えるバリキャップによって構成されるイコライザを含むものであってもよい。
この場合、キャパシタンスの連続的な変化が可能である。また、バリキャップのみの構成となるので、回路が簡素で安価である。
【0010】
(3)上記(1)の増幅回路において、利得調整回路は、利得が低下する周波数域が相互にずれている複数のイコライザ要素から、電源電圧に対応して特定のイコライザ要素を選択する構成であってもよい。
この場合、調整は離散的ではあるが、所望の利得を得ることが容易である。そのため、増幅器の複雑な周波数特性にも容易に対応できる。
【0011】
(4)上記(3)の増幅回路において、イコライザ要素は、通過特性が減衰域で交わるハイパスフィルタ及びローパスフィルタによって構成することもできる。
この場合、特定周波数及びその近傍で利得が低下する特性を容易に作り出すことができる。
【0012】
(5)上記(3)の増幅回路において、イコライザ要素は、通過帯域が互いにずれた2つのバンドパスフィルタによって構成されるものであってもよい。
この場合も、特定周波数及びその近傍で利得が低下する特性を容易に作り出すことができる。
【0013】
(6)一方、本発明の無線通信装置は、増幅回路を搭載したものであって、当該増幅回路が、入力信号の電力を増幅する増幅器と、前記入力信号に基づいて変調された電源電圧を前記増幅器に付与する電源変調回路と、前記増幅器に対して前置され、前記増幅器の歪特性を打ち消す逆歪特性を生成して前記入力信号に付加する歪補償回路と、前記歪補償回路と前記増幅器との間に設けられ、前記電源電圧に関わらず前記増幅器の周波数特性の形を揃える逆特性を自己の周波数特性とする利得調整回路とを備えたものである。
上記のように構成された無線通信装置における、いわゆる電源変調方式の増幅回路では、利得調整回路が、電源電圧に関わらず増幅器の周波数特性の形を揃える逆特性を有することにより、増幅器の周波数特性を改善する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の増幅回路又はこれを用いた無線通信装置によれば、増幅器の利得の周波数特性が改善され、歪補償回路による歪補償が容易な状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の各実施形態に係るET方式の増幅回路を示すブロック回路図である。
【図2】図1における利得調整回路の内部回路を示す図である。
【図3】バリキャップによって構成されるイコライザの利得と周波数との関係を、ドレイン電圧Vdをパラメータとして示すグラフである。
【図4】イコライザにより増幅器の利得の周波数特性を改善する様子を示すグラフである。
【図5】本発明の第2実施形態に係るET方式の増幅回路を示すブロック回路図である。
【図6】イコライザ要素の構成例を示すブロック回路図及び通過特性である。
【図7】第2実施形態に係る増幅回路において、イコライザにより増幅器の利得の周波数特性を改善する様子を示すグラフである。
【図8】無線基地局の無線通信装置と、端末装置としての無線通信装置とを有する無線通信システムの構成図の一例である。
【図9】増幅器を含む増幅回路の一例(但し、簡略化している。)を示すブロック図である。
【図10】(a)は、一例としてドレイン電圧Vdと出力信号Poutとを示すグラフである。(b)は、一例として、増幅器の利得の周波数特性が、ドレイン電圧Vdによって変化することを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
《無線通信装置》
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図8は、無線基地局の無線通信装置STと、端末装置としての無線通信装置T1,T2,T3とを有する無線通信システムの構成図の一例である。無線通信装置STは、無線信号を送信するための送信機S、無線信号を受信するための受信機R、及び、送受信信号の処理を行う処理部Pを備えている。無線通信装置T1〜T3も基本的に同様の内部構成を備えている。
【0017】
上記送信機Sは、線形変調信号を送信するものであり、線形変調信号を増幅する増幅回路1を有している。また、上記受信機Rは、線形変調信号を受信するものであり、線形変調信号を受信して増幅するための増幅回路1を有している。増幅回路1の基本的構成は、送信機S及び受信機R共に同様であるので、以下、送信機Sの増幅回路1を代表例として説明する。
【0018】
《増幅回路:第1実施形態》
図1は、本発明の第1実施形態(後述の第2実施形態も同様。)に係るET方式の増幅回路1を示すブロック回路図である。図において、増幅回路1の中核的存在である増幅器(HPA)10は、入力信号Pinの電力を増幅して出力信号Poutとするものである。
【0019】
増幅器10の入力側には、前段側から順に、増幅器10に対して前置された歪補償回路(DPD:Digital Pre-Distorter)11、利得調整回路12、及び、入力整合回路13が設けられている。また、増幅器10の出力側には、出力整合回路14が設けられている。さらに、入力信号Pin及び出力信号Poutをそれぞれ検出する方向性結合器15及び16、並びに、増幅器10及び利得調整回路12に電源電圧(以下、ドレイン電圧という。)Vdを付与する電源変調回路17が設けられている。
【0020】
上記歪補償回路11は、出力信号Poutから増幅器10の歪特性を検出し、この歪特性を打ち消す逆歪特性(逆モデル)を推定して生成する機能と、生成した逆歪特性を入力信号Pinに付加する機能とを有している。
また、上記入力整合回路13及び出力整合回路14はそれぞれ、増幅器10の入力端子及び出力端子に対するインピーダンス整合を図るために設けられている。
また、上記電源変調回路17は、方向性結合器15と接続されており、入力信号Pinに基づいて変調されたドレイン電圧Vdを増幅器10及び利得調整回路12に付与する。
【0021】
図2は、図1における利得調整回路12の内部回路を示す図である。図2において、利得調整回路12は、3つの抵抗121〜123を図示のように接続して成る変換器12T、並びに、2つの直流成分通過阻止用のキャパシタ124,125及び、バリキャップ126を図示のように接続して成るイコライザ12Eによって構成されている。変換器12Tには電源変調回路17からドレイン電圧Vdが付与され、これを、抵抗121,122によって分圧した電圧が、抵抗123を介してバリキャップ126に付与される。なお、変換器12Tの回路は一例に過ぎず、バリキャップ126に対してドレイン電圧Vdに対応した所望の電圧を供給できればよい。
【0022】
バリキャップ126は、印加電圧によってキャパシタンスが変化する可変容量ダイオードであり、印加電圧が高い(低い)ほどキャパシタンスは小さく(大きく)なる。また、一般に、キャパシタンス素子であっても、キャパシタンスC以外に抵抗成分やインダクタンスLの成分を持っているため、自己共振を起こす。自己共振周波数をfsとすると、この周波数fsで、インピーダンス特性が谷底(最低値)となる。また、自己共振周波数fsは、fs=1/{2π(LC)1/2}で表される。
【0023】
すなわち、バリキャップ126への印加電圧が高くなると、キャパシタンスCが小さくなり、自己共振周波数fsが高くなる。逆に、バリキャップ126への印加電圧が低くなると、キャパシタンスCが大きくなり、自己共振周波数fsが低くなる。自己共振周波数fs及びその近傍の周波数ではインピーダンスが低いので、通過特性としては、利得が下がることになる。
【0024】
上記のようなバリキャップ126の特性により、ドレイン電圧Vdに対応して自己共振周波数fsが変化する任意の周波数特性を作り出すことが可能である。
図3は、このバリキャップ126によって構成されるイコライザ12Eの利得と周波数との関係を、ドレイン電圧Vd(実際にはそれに対応した電圧)をパラメータとして示すグラフである。
【0025】
ドレイン電圧がVdmaxのときは、自己共振周波数fsが比較的高く、その位置で利得が底になる図示のような周波数特性となる。また、ドレイン電圧がVdminのときは、自己共振周波数fsが比較的低く、その位置で利得が底になる図示のような周波数特性となる。また、これらの間では、ドレイン電圧Vdに対応して、利得が底になる位置が連続的に変化する周波数特性(二点鎖線)が得られる。このような周波数特性は、増幅器10における利得の周波数特性(図9の(b)参照。)に対して相補的な逆特性となるように、バリキャップ126の選定等が行われる。なお、バリキャップ126は必要により複数個並列で使うことも可能である。また、自己共振周波数fs付近の位相の周波数特性が大きく、問題となる場合は、バリキャップ126と直列に抵抗を挿入して、Q値(共振の鋭さ)を低下させて使うことも可能である。
【0026】
図4は、上記イコライザ12Eにより増幅器10の利得の周波数特性を改善する様子を示すグラフである。(a)は図3に示したイコライザ12Eの利得の周波数特性、(b)は増幅器10の利得の周波数特性を、それぞれ示している。増幅器10にイコライザ12Eを前置することにより、増幅器10の利得はイコライザ12Eの利得で相補的な影響を受け、全体としての利得の周波数特性は(c)に示すように、ドレイン電圧Vdに関わらず形が揃えられる。
【0027】
このように、利得調整回路12を構成するイコライザ12Eが、増幅器10の利得の周波数特性を改善することにより、歪補償回路11による歪補償が容易な状態にすることができる。
また、イコライザ12Eとしてのバリキャップ126によって、キャパシタンスの連続的な変化が可能である。しかも、バリキャップ126によるイコライザ12Eは、回路が簡素で安価である。
【0028】
《増幅回路:第2実施形態》
図5は、本発明の第2実施形態に係るET方式の増幅回路1を示すブロック回路図である。図2との違いは、利得調整回路12の内部構成であり、その他の構成は同じである。図において、利得調整回路12は、変換器12Tと、イコライザ12Eとによって構成されている。変換器12Tは、ドレイン電圧Vdに基づいて適切な電圧をスイッチ127,128に供給する。
【0029】
イコライザ12Eは、上記2つのスイッチ127,128の他、2つのスイッチ127,128間に介挿されたn個のイコライザ要素EQZ_1〜EQZ_nを備えている。スイッチ127は、入力される電圧範囲Vdmin〜Vdmax(実際にはそれに対応した電圧であるが、簡略化のため、この範囲で説明する。)に応じて、例えば電圧がVdmin以上で、(Vdmin+ΔV)未満であれば、歪補償回路11とイコライザ要素EQZ_1とを繋ぎ、その他のイコライザ要素は歪補償回路11と繋がない。また、このとき同様に、スイッチ128はイコライザ要素EQZ_1と入力整合回路13とを繋ぎ、その他のイコライザ要素は入力整合回路13に繋がない。
【0030】
同様にして、イコライザ12Eは、電圧Vdmin〜Vdmaxの範囲を微小電圧ΔVごとに区画し、対応する電圧範囲のイコライザ要素(EQZ_1〜EQZ_n)を選択する。各イコライザ要素(EQZ_1〜EQZ_n)は周波数特性がそれぞれ異なり、従って、ドレイン電圧Vdによって、有限個数のイコライザ要素の中から、対応する周波数特性を選ぶことができる。
【0031】
図6は、イコライザ要素の構成例を示すブロック回路図及び通過特性である。
例えば(a)に示すようにローパスフィルタ(LPF)とハイパスフィルタ(HPF)とを並列接続し、それぞれの通過特性が減衰域の例えばカットオフ周波数fcで交わるようにすれば、(b)に示すようにカットオフ周波数fc及びその近傍で利得が底を打つ通過特性が得られる。従って、この底の位置すなわちカットオフ周波数を順番に互いにずらしたn個のイコライザ要素(EQZ_1〜EQZ_n)を簡単に用意することができる。
【0032】
また、例えば(c)に示すように通過帯域が互いにずれた2つのバンドパスフィルタ(BPF)を並列接続し、それぞれの通過特性が減衰域の例えばカットオフ周波数fcで交わるようにすれば、(d)に示すようにカットオフ周波数fc及びその近傍で利得が底を打つ通過特性が得られる。従って、この底の位置すなわちカットオフ周波数を順番に互いにずらしたn個のイコライザ要素(EQZ_1〜EQZ_n)を簡単に用意することができる。また、カットオフ周波数fc付近の位相の周波数特性が大きく、問題となる場合は、LPF、HPF、またはBPFのQ値を低下させて使うことも可能である。
【0033】
図7は、第2実施形態に係る増幅回路1において、イコライザ12Eにより増幅器10の利得の周波数特性を改善する様子を示すグラフである。(a)は図6の(b)に示したイコライザ12Eの利得の周波数特性、(b)は増幅器10の利得の周波数特性を、それぞれ示している。増幅器10にイコライザ12Eを前置することにより、増幅器10の利得はイコライザ12Eの利得で相補的な影響を受け、全体としての利得の周波数特性は(c)に示すように、ドレイン電圧Vdに関わらず形が揃えられる。
【0034】
このように、利得調整回路12を構成するイコライザ12Eが、増幅器10の利得の周波数特性を改善することによって、歪補償回路11による歪補償が容易な状態にすることができる。
なお、上記のイコライザ要素は有限個であるため、調整は離散的ではあるが、必要な周波数特性のイコライザ要素を用意さえすれば、所望の利得を得ることが容易である。そのため、増幅器10の複雑な周波数特性にも容易に対応できるという利点がある。
また、イコライザ要素を、ローパスフィルタとハイパスフィルタとの組み合わせや、2つのバンドパスフィルタの組み合わせによって構成できるので、特定周波数及びその近傍で利得が低下する特性を容易に作り出すことができる。
【0035】
《その他》
なお、上記各実施形態において、変換器12Tの機能(Vdに対応した所望の電圧を作る。)は、イコライザ12Eに組み込んでもよいし、また、電源変調回路17に組み込んでもよい。
また、上記実施形態はET方式で説明したが、EER方式その他の電源変調方式についても同様である。
【0036】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0037】
1 増幅回路
10 増幅器
11 歪補償回路
12 利得調整回路
12E イコライザ
17 電源変調回路
126 バリキャップ
EQZ_1〜n イコライザ要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号の電力を増幅する増幅器と、
前記入力信号に基づいて変調された電源電圧を前記増幅器に付与する電源変調回路と、
前記増幅器に対して前置され、前記増幅器の歪特性を打ち消す逆歪特性を生成して前記入力信号に付加する歪補償回路と、
前記歪補償回路と前記増幅器との間に設けられ、前記電源電圧に関わらず前記増幅器の周波数特性の形を揃える逆特性を自己の周波数特性とする利得調整回路と
を備えたことを特徴とする増幅回路。
【請求項2】
前記利得調整回路は、前記電源電圧に対応してキャパシタンスを変えるバリキャップによって構成されるイコライザを含む請求項1記載の増幅回路。
【請求項3】
前記利得調整回路は、利得が低下する周波数域が相互にずれている複数のイコライザ要素から、前記電源電圧に対応して特定のイコライザ要素を選択する構成である請求項1記載の増幅回路。
【請求項4】
前記イコライザ要素は、通過特性が減衰域で交わるハイパスフィルタ及びローパスフィルタによって構成される請求項3記載の増幅回路。
【請求項5】
前記イコライザ要素は、通過帯域が互いにずれた2つのバンドパスフィルタによって構成される請求項3記載の増幅回路。
【請求項6】
増幅回路を搭載した無線通信装置であって、当該増幅回路は、
入力信号の電力を増幅する増幅器と、
前記入力信号に基づいて変調された電源電圧を前記増幅器に付与する電源変調回路と、
前記増幅器に対して前置され、前記増幅器の歪特性を打ち消す逆歪特性を生成して前記入力信号に付加する歪補償回路と、
前記歪補償回路と前記増幅器との間に設けられ、前記電源電圧に関わらず前記増幅器の周波数特性の形を揃える逆特性を自己の周波数特性とする利得調整回路と
を備えたことを特徴とする無線通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−211533(P2011−211533A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77921(P2010−77921)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】