説明

増核剤

核剤並びに関連の組成物、物品及び方法が記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、核剤(nucleant)、このような核剤を含む熱可塑性組成物、並びに関連の方法及び物品に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、2004年2月20日出願の、「PHAブレンド」という名称の米国特許出願第10/783,995号の一部継続出願であり、かつ2003年12月30日出願の、「増核剤(nucleating agent)」という名称の米国特許仮出願第60/533,640号に対して優先権を主張する。これらの出願は共に内容が、その全体を参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
背景
熱可塑性物を使用して、幅広い製品を作製することができる。加工用の半晶質の熱可塑性物を調製する場合、熱可塑性物が結晶化する速度を操作するように核剤を半晶質の熱可塑性物に添加することが、しばしば望ましい。結晶化速度を操作することによって、熱可塑性物が粘着性を喪失する速度、及び仕上げ熱可塑性物の機械的強度を制御することができる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
本発明は、核剤、このような核剤を含む熱可塑性組成物、並びに関連の方法及び物品に関する。
【0005】
一の態様では、本発明は、熱可塑性ポリエステルまたはポリオレフィン、及び核剤を含む組成物を特徴とする。核剤は、窒素含有ヘテロ芳香族核を含む化合物を含むことができる。
【0006】
実施形態は、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0007】
窒素含有ヘテロ芳香族核は、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、又はイミダゾールとすることができる。
【0008】
化合物は、式1、式2、式3、式4、式5、又は式6の化学式(そのすべてを下記に詳述する)、及びその組合せ(式中、R1は、それぞれ独立に、H、NR、OH、OR、SR、SOR、SO、CN、COR、CO、CONR、NO、F、Cl、Br、又はIであり、かつ、Rは、それぞれ独立に、H又はC〜Cアルキルである)を有することができる。
【0009】
組成物は、熱可塑性ポリエステルを含むことができる。
【0010】
熱可塑性ポリエステルは、脂肪族ポリエステルを含むことができる。
【0011】
脂肪族ポリエステルを、ポリブチレンスクシナート、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノアート、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、及びその組合せからなる群から選択することができる。
【0012】
脂肪族ポリエステルは、ポリヒドロキシアルカノアートを含むことができる。
【0013】
ポリヒドロキシアルカノアートは、ポリ−3−ヒドロキシブチラート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、及びポリ−4−ヒドロキシブチラートからなる群から選択されたポリヒドロキシアルカノアートホモポリマーとすることができる。
【0014】
ポリヒドロキシアルカノアートは、3−ヒドロキシブチラートと、3−ヒドロキシプロピオナート、3−ヒドロキシバレラート、3−ヒドロキシヘキサノアート、3−ヒドロキシヘプタノアート、3−ヒドロキシオクタノアート、3−ヒドロキシノナオアート、3−ヒドロキシデカノアート、3−ヒドロキシドデカノアート、3−ヒドロキシドデセノアート、3−ヒドロキシテトラデカノアート、3−ヒドロキシヘキサデカノアート、3−ヒドロキシオクタデカノアート、3−ヒドロキシ−4−ペンテノアート、4−ヒドロキシブチラート、4−ヒドロキシバレラート、5−ヒドロキシバレラート、及び6−ヒドロキシヘキサノアートからなる群から選択された少なくとも1種のコモノマーとのコポリマーとすることができる。
【0015】
コポリマーは、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシプロピオナート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−4−ヒドロキシブチラート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシバレラート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシヘキサノアート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシバレラート−コ−3−ヒドロキシヘキサノアート、又はポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシヘキサノアート−コ−3−ヒドロキシオクタノアート−コ−3−ヒドロキシデカノアート−コ−3−ヒドロキシドデカノタート−コ−3−ヒドロキシドデセノタートとすることができる。
【0016】
3−ヒドロキシブチラートは、コポリマー中に約60〜98重量パーセント、約70〜98重量パーセント、約80〜98重量パーセント、又は約90〜98重量パーセントの範囲で存在することができる。
【0017】
脂肪族ポリエステルは、ポリブチレンスクシナート又はポリブチレンスクシナートアジパートを含むことができる。
【0018】
熱可塑性ポリエステルは、芳香族ポリエステルを含むことができる。
【0019】
芳香族ポリエステルは、ポリエチレンテレフタラートを含むことができる。
【0020】
ポリエチレンテレフタラートは、コモノマーを含むことができる。
【0021】
コモノマーは、エーテル、若しくはアミド、又は脂肪族モノマーとすることができる。
【0022】
芳香族ポリエステルは、ポリブチレンアジパート/テレフタラート又はポリメチレンアジパート/テレフタラートとすることができる。
【0023】
核剤は、シアヌル酸を含むことができる。
【0024】
組成物は、ポリオレフィンを含むことができる。
【0025】
ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリブチレンとすることができる。
【0026】
別の態様では、本発明は、熱可塑性ポリエステル又はポリオレフィン、及び核剤を含む組成物を含む物品を特徴とする。核剤は、窒素含有ヘテロ芳香族核を含む化合物を含む。
【0027】
実施形態では、物品は、ファイバー、フィラメント、ロッド、チューブ、又はフィルムの形とすることができる。
【0028】
別の態様では、本発明は、熱可塑性ポリエステル又はポリオレフィン、及び核剤を含む組成物から物品を形成するステップを含む方法を特徴とする。核剤は、窒素含有ヘテロ芳香族核を含む化合物を含む。
【0029】
実施形態では、物品の形成は、組成物を成形又は押出するステップを含む。
【0030】
別の態様では、本発明は、熱可塑性ポリエステル又はポリオレフィン、及び核剤を含む組成物から物品を形成するステップを含む方法によって作製された物品を特徴とする。核剤は、窒素含有ヘテロ芳香族核を含む化合物を含む。
【0031】
別の態様では、本発明は、少なくとも1種の熱可塑性ポリエステル、及び式7(下記に記載)の化合物(式中、Rは、水素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、R及びRは、それぞれ、水素原子、又は1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり、Mは、第III族又は第IV族の金属原子であり、かつ、Xは、HO、O=、又は(HO)である)を含む核剤を含む組成物を特徴とする。組成物は、アルカリ金属カルボキシラート、アルカリ金属β−ジケトナート、β−ケト酢酸エステルのアルカリ金属塩、及びポリエチレンテレフタラートを実質的に含まないことがある。
【0032】
実施形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0033】
Xは、OHとすることができ、Mは、Alとすることができ、Rは、Hとすることができ、Rは、t−Cとすることができ、かつ、Rは、t−Cとすることができる。
【0034】
熱可塑性ポリエステルは、脂肪族ポリエステルとすることができる。
【0035】
脂肪族ポリエステルを、ポリブチレンスクシナート、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノアート、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、及びその組合せからなる群から選択することができる。
【0036】
脂肪族ポリエステルは、ポリヒドロキシアルカノアートとすることができる。
【0037】
ポリヒドロキシアルカノアートは、ポリ−3−ヒドロキシブチラート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、及びポリ−4−ヒドロキシブチラートからなる群から選択されたポリヒドロキシアルカノアートホモポリマーとすることができる。
【0038】
ポリヒドロキシアルカノアートは、3−ヒドロキシブチラートと、3−ヒドロキシプロピオナート、3−ヒドロキシバレラート、3−ヒドロキシヘキサノアート、3−ヒドロキシヘプタノアート、3−ヒドロキシオクタノアート、3−ヒドロキシノナオアート、3−ヒドロキシデカノアート、3−ヒドロキシドデカノアート、3−ヒドロキシドデセノアート、3−ヒドロキシテトラデカノアート、3−ヒドロキシヘキサデカノアート、3−ヒドロキシオクタデカノアート、3−ヒドロキシ−4−ペンテノアート、4−ヒドロキシブチラート、4−ヒドロキシバレラート、5−ヒドロキシバレラート、及び6−ヒドロキシヘキサノアートからなる群から選択された少なくとも1種のコモノマーとのコポリマーとすることができる。
【0039】
コポリマーは、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシプロピオナート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−4−ヒドロキシブチラート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシバレラート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシヘキサノアート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシバレラート−コ−3−ヒドロキシヘキサノアート、又はポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシヘキサノアート−コ−3−ヒドロキシオクタノアート−コ−3−ヒドロキシデカノアート−コ−3−ヒドロキシドデカノタート−コ−3−ヒドロキシドデセノタートとすることができる。
【0040】
3−ヒドロキシブチラートは、コポリマー中に約60〜98重量パーセント、約70〜98重量パーセント、約80〜98重量パーセント、又は約90〜98重量パーセントの範囲で存在することができる。
【0041】
脂肪族ポリエステルは、ポリブチレンスクシナート又はポリブチレンスクシナートアジパートを含むことができる。
【0042】
熱可塑性ポリエステルは、芳香族ポリエステルを含むことができる。
【0043】
別の態様では、本発明は、少なくとも1種の熱可塑性ポリエステル、及び式7の化合物(式中、Rは、水素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、R及びRは、それぞれ、水素原子、又は1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり、Mは、第III族又は第IV族の金属原子、かつ、Xは、HO、O=、又は(HO)である)を含む核剤を含む組成物を含む物品を特徴とする。組成物は、アルカリ金属カルボキシラート、アルカリ金属β−ジケトナート、β−ケト酢酸エステルのアルカリ金属塩、及びポリエチレンテレフタラートを実質的に含まないことがある。
【0044】
実施形態では、物品は、ファイバー、フィラメント、ロッド、チューブ、又はフィルムの形とすることができる。
【0045】
別の態様では、本発明は、少なくとも1種の熱可塑性ポリエステル、及び式7の化合物(式中、Rは、水素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、R及びRは、それぞれ、水素原子、又は1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり、Mは、第III族又は第IV族の金属原子であり、かつ、Xは、HO、O=、又は(HO)である)を含む核剤を含む組成物から物品を形成するステップを含む方法を特徴とする。組成物は、アルカリ金属カルボキシラート、アルカリ金属β−ジケトナート、β−ケト酢酸エステルのアルカリ金属塩、及びポリエチレンテレフタラートを実質的に含まないことがある。
【0046】
実施形態では、物品の形成は、組成物を成形又は押出するステップを含むことができる。
【0047】
さらに別の態様では、本発明は、少なくとも1種の熱可塑性ポリエステル、及び式7の化合物(式中、Rが、水素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、R及びRは、それぞれ、水素原子、又は1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり、Mは、第III族又は第IV族の金属原子であり、かつ、Xは、HO、O=、又は(HO)である)を含む核剤を含む組成物から物品を形成するステップを含む方法によって作製された物品を特徴とする。組成物は、アルカリ金属カルボキシラート、アルカリ金属β−ジケトナート、β−ケト酢酸エステルのアルカリ金属塩、及びポリエチレンテレフタラートを実質的に含まないことがある。
【0048】
さらに別の態様では、本発明は、熱可塑性組成物を作製する方法を特徴とする。方法は、熱可塑性ポリエステルを核剤と接触させるステップを含む。核剤は、窒素含有ヘテロ芳香族核を含む化合物を含む。
【0049】
実施形態は、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0050】
窒素含有ヘテロ芳香族核は、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、又はイミダゾールとすることができる。
【0051】
化合物は、式1、式2、式3、式4、式5、又は式6の化学式(そのすべてを下記に詳述する)、及びその組合せ(式中、R1は、それぞれ独立に、H、NOR、OH、OR、SR、SOR、SO、CN、COR、CO、CONR、NO、F、Cl、Br、又はIであり、かつ、Rは、それぞれ独立に、H又はC〜Cアルキルである)を有することができる。
【0052】
核剤は、シアヌル酸を含むことができる。
【0053】
追加の態様では、本発明は、熱可塑性組成物を作製する方法を特徴とする。方法は、約260℃以下、例えば、約250℃以下、又は約200℃以下、又は約240〜260℃の範囲の融点を有する熱可塑性ポリエステルを、溶媒に溶解させたメチルベンジリデンソルビトール又はジメチルベンジリデンソルビトールと接触させるステップと、熱可塑性ポリエステルを約260℃以下、例えば約250℃以下、又は約200℃以下、又は約240〜260℃の範囲で溶融させるステップと、熱可塑性ポリエステルを冷却して、それによって熱可塑性組成物を作製するステップとを含む。
【0054】
実施形態は、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0055】
熱可塑性ポリエステルは、ポリヒドロキシアルカノアートとすることができる。
【0056】
ポリヒドロキシアルカノアートは、ポリ−3−ヒドロキシブチラート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、及びポリ−4−ヒドロキシブチラートからなる群から選択されたポリヒドロキシアルカノアートホモポリマーとすることができる。
【0057】
ポリヒドロキシアルカノアートは、3−ヒドロキシブチラートと、3−ヒドロキシプロピオナート、3−ヒドロキシバレラート、3−ヒドロキシヘキサノアート、3−ヒドロキシヘプタノアート、3−ヒドロキシオクタノアート、3−ヒドロキシノナオアート、3−ヒドロキシデカノアート、3−ヒドロキシドデカノアート、3−ヒドロキシドデセノアート、3−ヒドロキシテトラデカノアート、3−ヒドロキシヘキサデカノアート、3−ヒドロキシオクタデカノアート、3−ヒドロキシ−4−ペンテノアート、4−ヒドロキシブチラート、4−ヒドロキシバレラート、5−ヒドロキシバレラート、及び6−ヒドロキシヘキサノアートからなる群から選択された少なくとも1種のコモノマーとのコポリマーとすることができる。
【0058】
コポリマーは、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシプロピオナート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−4−ヒドロキシブチラート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシバレラート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシヘキサノアート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシバレラート−コ−3−ヒドロキシヘキサノアート、又はポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシヘキサノアート−コ−3−ヒドロキシオクタノアート−コ−3−ヒドロキシデカノアート−コ−3−ヒドロキシドデカノタート−コ−3−ヒドロキシドデセノタートとすることができる。
【0059】
3−ヒドロキシブチラートは、コポリマー中に約60〜98重量パーセント、約70〜98重量パーセント、約80〜98重量パーセント、又は約90〜98重量パーセントの範囲で存在することができる。
【0060】
実施形態は、以下の利点のうちの1つ又は複数を有することができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、熱可塑性物の結晶化速度を改善又は上昇させることができ、半晶質の熱可塑性物、例えば熱可塑性ポリエステルとの使用に適した核剤が提供されている。
【0062】
他の実施形態では、改善又は上昇された結晶化速度、及び/又は他の改善された物理的諸特性、例えば増大された機械的強度を有する熱可塑性組成物が提供されている。
【0063】
さらに他の実施形態では、改善された熱可塑性組成物、例えば熱可塑性ポリエステル(例えば、PHA)及び本明細書に記載する少なくとも1種の核剤を含む組成物を作製する方法が提供されている。
【0064】
さらに他の実施形態では、本明細書に記載する熱可塑性組成物を含み、改善された物理的及び/又は経済的特性を有する物品が提供されている。
【0065】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0066】
別段の定義のない限り、本明細書で使用する技術及び科学用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者によって通常は理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載するものと同様または等価の方法及び材料を、本発明の実施又は試験に使用することができるが、適切な方法及び材料を下記に記載する。本明細書に記載する刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献はすべて、その全体を参照により援用される。抵触の場合、定義を含めて、本明細書が、優先する。さらに、材料、方法、及び実施例は、例示的なものにすぎず、本発明を限定するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
詳細な説明
本発明は、任意の熱可塑性物に添加することができる核剤を提供する。例えば、本明細書に記載する核剤を、熱可塑性ポリエステル、例えばポリヒドロキシアルカノアート(PHA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンスクシナート(PBS)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、PETコポリマー(例えば、PETアジパート、PETスクシナートアジパートなど)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、及びPBTコポリマー(例えば、PBTアジパート、PBTスクシナートアジパートなど)に添加することができる。本明細書に記載する核剤を、例えばポリプロピレンなどのポリオレフィンに添加することもできる。核剤を使用するための方法も提供されている。本発明は、幅広い有用な物品を作製するために使用することができる核剤を含む熱可塑性組成物も含む。
【0068】
I.核剤
「核剤」及び「増核剤」という用語は、熱可塑性物(例えば、溶解又は溶融状態の熱可塑性物)に添加して、熱可塑性物の結晶化用の1つ又は複数の核形成部位を導入することができる化合物を指す。
【0069】
いくつかの実施形態では、核剤は、窒素含有ヘテロ芳香族核を有することができる。適切なヘテロ芳香族核の例には、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、及びイミダゾールが含まれる。ヘテロ芳香族核を、例えば極性又は非極性基で置換することができる。例えば、核剤は、以下の式のうちの1種を有することができる。
【化1】


式中、Rは、それぞれ独立に、H、NR、OR、OH、SR、SOR、SO、CN、COR、CO、CONR、NO、又はハロ(例えば、F、Cl、Br、又はI)であり、かつ、Rは、それぞれ独立に、H又はC〜Cアルキルである。適切な増核剤の例示的種には、ウラシル又はその誘導体、チミン又はその誘導体、及びニトロイミダゾールが含まれるが、これらに限定されない。
【0070】
いくつかの実施形態では、核剤は、次式を有するシアヌル酸(1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオール;「CyA」)
【化2】


とすることができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、核剤は、以下の一般式の環状有機リン酸エステルの塩基性多価金属塩の少なくとも1種とすることができる。
【化3】


式中、Rは、水素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、又はイソブチル)を表し、R及びRは、それぞれ、水素原子、又は1〜12個の炭素原子を有するアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、アミル、tert−アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、tert−オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、及びtert−ドデシル)を表し、Mは、周期表の第III族又は第IV族の金属原子を表し、かつ、Mが周期表の第III族金属原子を表す場合、Xは、HO−を表し、Mが周期表の第IV族金属原子を表す場合Xは、O=又は(HO)−を表す。
【0072】
例えば、いくつかの実施形態では、核剤は、式7の一般式(式中、Xは、OHであり、かつ、Mは、Alである)を有することができる。このような実施形態では、Rは、Hとすることができ、Rは、t−Cとすることができ、かつ、Rは、t−Cとすることができ、あるいはRは、Hとすることができ、Rは、CHとすることができ、かつ、Rは、t−Cとすることができ、あるいはRは、CHとすることができ、Rは、t−Cとすることができ、かつRは、t−Cとすることができる。本明細書では、「ヒドロキシ二リン酸アルミニウム」(AHD)は、式7の一般式(式中、Xは、OHであり、Mは、Alであり、Rは、Hであり、Rは、t−Cであり、かつ、Rは、t−Cである)を有する化合物である。
【0073】
他の実施形態では、核剤は、メチルベンジリデンソルビトール(MBS)及び/又はジメチルベンジリデンソルビトール(DMBS)を含む化合物とすることができる。MBS及びDMBSは、それぞれ、例えばミリケンケミカルズ(Milliken Chemicals)からミラド(Millad)(登録商標)3940及び3988として市販されている。MBSやDMBSなどのベンジリデンソルビトールは、清澄剤として知られており、融点が200℃超である。通常は、清澄剤を、ポリマー(ポリプロピレンなど)と混合し、溶融させる(すなわち、200℃超の温度)。次いで、プラスチック/清澄剤の混合物を冷却する。清澄剤は、冷却中急速に結晶化し、かつ、結晶は、ポリマー用の核剤として働く。
【0074】
MBSやDMBSなどの清澄剤を使用する典型的な方式は、いくつかの熱可塑性ポリエステル、例えばPHAに適合しない。というのは、MBS及びDMBSを溶融させるのに必要とされた温度は、これらの熱可塑性物の分解温度を超えるからである。しかし、出願人は、MBS及びDMBSは、熱可塑性物に熱可塑性物の分解温度より低い温度で分散させた場合、このような熱可塑性物に有効な核剤であることを見出した。この方法によって、熱可塑性物をMBS又はDMBSの融点にまで加熱する必要がなくなる。
【0075】
核剤は、様々な形で提供することができる。例えば、核剤を、乾燥核剤組成物、例えば顆粒または粉末の組成物中に含むことができる。この核剤の粒径は、約100ミクロン未満、例えば約10ミクロン未満または約5ミクロン未満に低減されている。あるいは、核剤を、核剤配合物中に含むことができる。本明細書では、「核剤配合物」は、核剤溶媒に溶解又は分散させた本明細書に記載する1種の核剤(又は、複数の核剤)を含む配合物を指す。「核剤溶媒」という用語は、核剤を溶解し、又は核剤を分散させる媒体として働き、かつ、核剤の核剤としての有効性を耐え難いほどには低減させない液体を意味する。本発明に使用するための核剤溶媒には、一般的な溶媒、及び可塑剤など他の液体/液剤が含まれるが、これらに限定されない。乾燥核剤組成物及び核剤配合物は、熱可塑性物の生成に有用な1種又は複数の化合物、例えば、可塑剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、滑沢剤、顔料、難燃剤、及び/又は帯電防止剤を場合によっては含むことができる。
【0076】
II.熱可塑性組成物
核剤を使用して、1種又は複数の核剤、及び1種又は複数の半晶質の熱可塑性物を含有する熱可塑性組成物を形成することができる。熱可塑性物の例には、ポリエステル、アクリル、セルロース、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリスチレン、及びポリビニルが含まれる。熱可塑性ポリエステルの例には、例えば、PHA、PET、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、及びPETとPBTとの様々なコポリエステルが含まれる。脂肪族二酸、ジオール、又はヒドロキシ酸を重合して、生分解性又は堆肥化できるコポリエステルを生成することによってこのようなポリエステルを生成することができ、さらに、様々な脂肪族ポリエステル及びコポリエステルは、二塩基酸、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼアリック酸(azealic acid)、又はその誘導体、例えば、アルキルエステル、酸塩化物、又はその無水物;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、又は1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのジオール、又はエチレンオキシド、プロピレンオキシド、若しくはTHFなどのその環状オキシド;乳酸又はラクチド、あるいはグリコール酸又はグリコリドから誘導することができる。
【0077】
熱可塑性組成物の作製及び使用方法は、当業者に周知である。当業者は、本発明の核剤を、これら及び他のいかなる熱可塑性物(又は、このような熱可塑性物の混合物、例えば、少なくとも2種、例えば少なくとも3、4、5、7、又は10種の熱可塑性物の混合物)が天然かそれとも合成であるか、又は生分解性かそれとも非生分解性であるかにかかわらず、熱可塑性物と共に使用できることを理解するであろう。さらに、当業者に知られているように、熱可塑性組成物は、1種又は複数の添加剤、例えば充填剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、滑沢剤若しくはスリップ剤、顔料、エステル交換触媒、又は他の架橋剤、難燃剤、及び/又は帯電防止剤を含有することができる。
【0078】
熱可塑性は、ホモポリマー、コポリマー、又はホモポリマーとコポリマーの任意の組合せ、例えば2種のホモポリマー、2種のコポリマー、又は1種のホモポリマーと1種のコポリマーとすることができる。「ホモポリマー」という用語は、同じモノマー単位を有するポリマーを指す。「コポリマー」という用語は、2種以上の異なるモノマー単位(本明細書では、コモノマー又はコモノマー単位とも呼ばれる)を有するポリマーを指し、例えば交互、ブロック、及びランダムコポリマーが含まれる。
【0079】
本発明の核剤は、PHAとの使用に適している。PHAモノマー単位の例には、3−ヒドロキシブチラート、3−ヒドロキシプロピオナート、3−ヒドロキシバレラート、3−ヒドロキシヘキサノアート、3−ヒドロキシヘプタノアート、3−ヒドロキシオクタノアート、3−ヒドロキシノナオアート、3−ヒドロキシデカノアート、3−ヒドロキシドデカノアート、3−ヒドロキシドデセノアート、3−ヒドロキシテトラデカノアート、3−ヒドロキシヘキサデカノアート、3−ヒドロキシオクタデカノアート、3−ヒドロキシ−4−ペンテノアート、4−ヒドロキシブチラート、4−ヒドロキシバレラート、5−ヒドロキシバレラート、及び6−ヒドロキシヘキサノアートが含まれる。
【0080】
PHAは、ホモポリマー(すなわち、モノマー単位がすべて、同じである)とすることができる。PHAホモポリマーの例には、ポリ3−ヒドロキシアルカノアート(例えば、ポリ3−ヒドロキシプロピオナート、ポリ3−ヒドロキシブチラート、ポリ3−ヒドロキシヘキサノアート、ポリ3−ヒドロキシヘプタノアート、ポリ3−ヒドロキシオクタノアート、ポリ3−ヒドロキシデカノアート、ポリ3−ヒドロキシドデカノアート)、ポリ4−ヒドロキシアルカノアート(例えば、ポリ4−ヒドロキシブチラート)、ポリ5−ヒドロキシアルカノアート(例えば、ポリ5−ヒドロキシペンタノアート)、およびポリ6−ヒドロキシアルカノアート(例えば、ポリ6−ヒドロキシヘキサノアート)が含まれる。
【0081】
いくつかの実施形態では、PHAは、コポリマーとすることができる(すなわち、PHAは、2種以上の異なるモノマー単位を含むことができる)。PHAコポリマーの例には、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシプロピオナート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−4−ヒドロキシブチラート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−4−ヒドロキシペンテノアート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシバレラート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシヘキサノアート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−4−ヒドロキシバレラート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−6−ヒドロキシヘキサノアート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシヘプタノアート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシオクタノアート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシデカノアート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシドデカノタート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシオクタノアート−コ−3−ヒドロキシデカノアート、ポリ3−ヒドロキシデカノアート−コ−3−ヒドロキシオクタノアート、及びポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシオクタデカノアートが含まれる。2種の異なるモノマー単位を有するPHAコポリマーの例が提供されているが、PHAは、3種以上の異なるモノマー単位(例えば、3種の異なるモノマー単位(例えば、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシバレラート−コ−3−ヒドロキシヘキサノアート(ただし、3−ヒドロキシブチラート成分は、全ポリマーの少なくとも約70重量パーセント、例えば少なくとも約80重量パーセント、少なくとも約90重量パーセント、又は少なくとも約96重量パーセントである))、4種の異なるモノマー単位、5種の異なるモノマー単位、6種の異なるモノマー単位(例えば、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシヘキサノアート−コ−3−ヒドロキシオクタノアート−コ−3−ヒドロキシデカノアート−コ−3−ヒドロキシドデカノタート−コ−3−ヒドロキシドデセノタート(ただし、3−ヒドロキシブチラート成分は、全ポリマーの少なくとも約80重量パーセント、例えば少なくとも約90重量パーセント、又は少なくとも約96重量パーセントである))、7種の異なるモノマー単位、8種の異なるモノマー単位、9種の異なるモノマー単位、10種の異なるモノマー単位、又は11種以上の異なるモノマー単位)を有することができる。
【0082】
PHAは、植物バイオマス及び/又は微生物バイオマス(例えば、細菌バイオマス、酵母バイオマス、真菌バイオマス)などのバイオマスに由来することができる。例えばモノマー単位の酵素重合を経由して、バイオマス由来PHAを形成することができる。バイオマスは、様々な単位(entity)の1つまたは複数から形成することができる。このような単位には、例えばPHAを生成するための微生物系統(例えば、アルカリゲネス・ユートロフス(Alcaligenes eutrophus)(ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)と改名)、バシラス(Bacillus)、アルカリゲネス・レータス(Alcaligenes latus)、アゾトバクター(Azotobacter)、エロモナス(Aeromonas)、コマモナス(Comamonas)、シュードモナス(Pseudomonads))、PHAを生成するための遺伝子組み換え有機体(例えば、シュードモナス(Pseudomonas)、ラルストニア(Ralstonia)、大腸菌(Escherichia coli)、クレブシエラ(Klebsiella))、PHAを生成するための酵母、及びPHAを生成するための植物系が含まれる。このような単位は、例えばリー(Lee)、バイオテクノロジー&ビオエンジニアリング(Biotechnology & Bioengineering)、49巻、1〜14頁(1996年);Brauneggら、J. Biotechnology、65巻、127〜161頁(1998年);マディソン(Madison), L. L.及びユイスマン(Huisman), G. W.、ポリ(3−ヒドロキシアルカノアート)の代謝工学:DNAからプラスチックまで(Metabolic Engineering of Poly (3−Hydroxyalkanoates): From DNA to Plastic)、Microbiol. Mol. Biol. Rev.、63巻、21〜53頁(1999年);並びにスネル(Snell)及びピープルズ(Peoples)、Metabolic Engineering、4巻、29〜40頁、2002年に開示されており、これらは参照により本明細書に援用される。
【0083】
あるいは、アルミノキサン、ジスタノキサン、又はアルコキシ−亜鉛及びアルコキシ−アルミニウム化合物など様々な触媒または開始剤を使用して、β−ラクトンモノマーの開環重合などの化学合成によって、PHAを誘導することができる(アゴスティーニ(Agostini), D. E.ら、Polym. Sci., Part A−1、9巻、2775〜2787頁(1971年);グロス(Gross), R. A.ら、Macromolecules、21巻、2657〜2668頁(1988年);デュボア(Dubois), P. I.ら、Macromolecules、26巻、4407〜4412頁(1993年);ルボルニュ(LeBorgne), A.及びスパスキー(Spassky), N.、ポリマー(Polymer)、30巻、2312〜2319頁(1989年);タカハシ(Tanahashi), N.及びドイ(Doi), Y.、Macromolecules、24巻、5732〜5733頁(1991年);ホリ(Hori), Y. M.ら、Macromolecules、26巻、4388〜4390頁(1993年);ケニッツァー(Kemnitzer), J. E.ら、Macromolecules、26巻、1221〜1229頁(1993);ホリ(Hori), Y. M.ら、Macromolecules、26巻、5533〜5534頁(1993年);ホッキング(Hocking), P. J.及びMarchessault, R. H.、Polym Bull.、30巻、163〜170頁(1993年)を参照のこと)。PHAは、エステルの縮合重合(ハッブズ(Hubbs), J. C.及びハリソン(Harrison), M. N.の米国特許第5,563,239号明細書を参照のこと)または化学酵素方法(シェ(Xie)ら、Macromolecules、30巻、6997〜6998頁(1997年)を参照のこと)によって得ることもできる。
【0084】
核剤は、PLA及びポリグリコール酸との使用にも適している。PLA及びポリグリコール酸は、遊離酸の縮合重合、又はジラクトンの触媒開環重合によって調製することが多い。PLA及びポリグリコール酸は、生分解性であり、それぞれ乳酸、及びグリコール酸に分解する。
【0085】
核剤は、PBS、ポリブチレンスクシナートアジパート(PBSA)、及びその混合物を含めて他の生分解性ポリマーとの使用にも適している。PBSポリマーは、一般にグリコールとジカルボン酸又はその酸無水物との縮合重合によって調製される。PBSポリマーは、線状ポリマー、又は長鎖分枝状ポリマーとすることができる。長鎖分枝状PBSポリマーは、一般に3官能性又は4官能性ポリオール、オキシカルボン酸、及び多塩基性カルボン酸からなる群から選択された追加の多官能性成分を使用して調製される。PBSAポリマーは、一般に少なくとも1種のアルキルグリコールと2種以上の脂肪族多官能性酸との重合によって調製される。
【0086】
核剤は、PCLとの使用にも適している。PCLは、生分解性合成脂肪族ポリエステルであり、一般にカプロラクトンの開環重合によって作製される。PCLは、任意の商業用供給業者、例えば、ユニオンカーバイド(Union Carbide)(UCC)から得ることができる。
【0087】
核剤は、PET、及び/又は生分解性となるように改質されたPET(「改質PET」)と共に使用することもできる。PETは、通常は、エチレングリコールと、テレフタル酸ジメチルなどのテレフタル酸エステル、又は場合によってはテレフタル酸との反応によって調製される。改質PETは、加水分解の影響を受けやすい1つ又は複数の結合を提供するコモノマー、例えばエーテル、アミド、又は脂肪族モノマーを含むPETである。市販の改質PETの一例は、デュポン(DuPont)から入手できるバイオマックス(Biomax)(商標)である。改質PBTの例には、ポリブチレンアジパート/テレフタラート(PBAT)及びポリテトラメチレンアジパート/テレフタラート(PTMAT)が含まれる。市販のPBTの例は、BASFから入手できるエコフレックス(Ecoflex)(商標)、及びイ―ストマンケミカルカンパニー(Eastman Chemical Company)から入手できるイースター(Eastar)(商標)である。
【0088】
本発明の核剤は、ポリオレフィンと共に使用することもできる。マイクロファイバーなどの物品に作製することができる任意のポリオレフィンは、本発明での使用に適している。例示的ポリオレフィンは、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、1,3−ブタジエン、及び2−メチル−1,3−ブタジエンを含めて1つ又は複数の脂肪族炭化水素から形成された繰返し単位を含むホモポリマー及びコポリマーである。ポリオレフィンは、高密度又は低密度とすることができ、かつ一般に直鎖又は分枝鎖のポリマーとすることができる。ポリプロピレンなどのポリオレフィンの形成方法は、当業者に知られている。
【0089】
III.熱可塑性組成物の生成および加工
核剤を熱可塑性物に添加するステップを含む当技術分野で知られている方法を使用して、熱可塑性組成物を生成することができる。核剤を、乾燥核剤組成物、及び/又は核剤配合物として、熱可塑性物に添加することができる。核剤を乾燥核剤組成物、例えば顆粒または粉末として添加する場合、粒径は、核形成に及ぼす定性的効果から見て、クリティカルではない。しかし、一般に、小粒径(例えば、約100ミクロン未満)によって、熱可塑性物内で緊密な混合及び完全な分布が可能になる。核剤の粒径を最小限に抑えて、ポリマー中での均一な分散、及び十分な核形成部位数を保証することができる。例えば、米国特許第5,973,100号明細書には、核形成は、核剤の粒径が約700ミクロン未満である場合に生じる可能性があり、粒径をさらに低減した場合有効性が増大することが示唆されている。ポリマーを核形成する際の化学種の有効性を定性評価するには、比較的大きい粒径の核剤を多量(例えば、1重量パーセント超)に使用することが適切である。商業上有用なポリマー配合物には、核剤の粒径をさらに低減すると、核剤の有効性を増大させることができ、かつポリマーでの欠陥および傷を最小限に抑えることができる。高い有効性のためには、約5ミクロン未満、例えば約2ミクロン未満の粒径を使用することができる。核剤の粒径の低減は、通常は粉砕などの機械的方法によって実現する。
【0090】
核剤は、熱可塑性物を溶融又は溶解する前、最中、及び/又は後に、当技術分野で知られている任意の混合手段を使用して、例えば核剤および熱可塑性物を機械的に混和することによって(例えば、混合物を撹拌、振盪、または超音波にかけることによって)、熱可塑性物に添加することができる。例えば、溶媒分散方法を使用することができる。このような方法では、熱可塑性物を溶媒に溶解し、その中で核剤を、例えば混合物を撹拌することによって分散して、均質な熱可塑性物/核剤混合物を形成する。別の方法では、熱可塑性物を溶融し、その中で核剤を高せん断下で分散する。さらに別の方法では、核剤を液体担体、例えば可塑剤中に分散し、熱可塑性物、例えば溶媒に溶解させた又は溶融状態の熱可塑性物と混合する。
【0091】
核剤を、例えば示差走査熱分析(DSC)で結晶化温度の上昇が反映されるように、熱可塑性物の結晶化速度及び/又は最終結晶化度を増大させるのに有効な量で、熱可塑性物と組み合わせる。当業者は、本発明の核剤を、所望の任意の量で熱可塑性物に添加することができることを理解するであろう。添加する最適量は、当業者に知られている様々な要因、例えばコスト、熱可塑性物の所望の物理的諸特性(例えば、機械的強度)、及び行われる加工のタイプ(起毛、例えば線速度、サイクル時間、及び他の加工パラメータの考慮)に依存している。熱可塑性組成物が他の添加剤、例えば可塑剤、安定剤、顔料、充填剤、補強剤、及び/又は離型剤を含むかどうかも考慮されるべきである。しかし、核剤は、一般に、組成物が組成物の全重量に対して約0.005重量%〜約20%、例えば約0.05%〜約10%、約0.5%〜約5%の核剤を含有するように、熱可塑性組成物中に含むことができる。本発明のいくつかの実施形態では、組成物は、約1%〜約10%、例えば約1%〜約5%の核剤を含有する。いくつかの実施形態では、組成物は、約0.1%〜約2.0%の核剤を含有する。
【0092】
特定の理論に拘泥するものではないが、本発明の核剤は、例えば熱可塑性組成物を熱可塑性物の結晶融点より高い温度に加熱し、次いで熱可塑性物の結晶融点より低い温度に冷却する場合その影響を及ぼすことができると考えられる。組成物を結晶融点より高い温度からこのような点より低い温度に冷却する最適速度を選択するのは、当業者の能力の範囲内である。冷却の最適速度を選択する際に、当業者は、使用する熱可塑性物および核剤の種類、組成物中に存在する核剤の量、及び熱可塑性生成物に望ましい結晶構造を考慮することができる。本発明に従って核形成された熱可塑性組成物は、添加された核剤を含まない同様な組成物が別の方法で結晶化するより高速(例えば、核形成中心がより多いため)で結晶化することができる。
【0093】
場合によっては、添加剤を熱可塑性組成物に含むことができる。添加剤は、熱可塑性物の生成に有用であると当業者に知られている任意の化合物とすることができる。例示的添加剤には、例えば可塑剤(例えば、熱可塑性組成物の柔軟性を増大させるため)、酸化防止剤(例えば、熱可塑性組成物をオゾン又は酸素による劣化から保護するため)、紫外線安定剤(例えば、風化から保護するため)、滑沢剤(例えば、摩擦を低減するため)、顔料(例えば、色を熱可塑性組成物に付与するため)、清澄剤、難燃剤、充填剤、及び帯電防止剤が含まれる。添加剤を熱可塑性組成物に含めるべきかどうか、かつ、含む場合は組成物に添加すべき量を決定することは、当然当業者の能力の範囲内である。
【0094】
有用な物品の作製では、熱可塑性組成物を、熱可塑性物の結晶融点より高いが、組成物の材料のうちの少なくとも1つ(例えば、全部)の分解点より低い温度で作製することができる。あるいは、予備作製された本発明の熱可塑性組成物を、単にこのような温度に加熱する。溶融状態の間に、組成物を所望の形状、例えばファイバー、フィラメント、フィルム、シート、ロッド、チューブ、又は他の形状に加工する。このような加工は、当技術分野で知られている任意の技法、例えば押出、射出成形、圧縮成形、ブロー成形、フィルムブロー成形、ファイバー紡糸、ブローンファイバー、スパンボンド繊維同時押出、紙塗工、カレンダー成形、回転成形、流延、または熱成形を使用して行うことができる。こうして形成された物品をその後冷却して、形状を硬化し、結晶化を誘導する。
【0095】
本発明の熱可塑性組成物を使用して、広範囲の有用な物品、例えば、自動車、消費者使い捨て物品(衛生用物品、ウェットワイプ、及び使い捨て医療用製品を含む)、消費者耐久性物品、建設物品、電気物品、医療用物品、および包装用物品を作成することができる。このような物品も、本発明の範囲内である。
【0096】
例えば、物品は、フィルムとすることができる。フィルムは、厚さに対する長さの比が大きく、厚さに対する幅の比が大きい物質の極めて薄い連続した一部分である。フィルムは、液体不透過性とすることができる。このようなフィルムを、例えば衛生用衣服、例えば、使い捨ておむつ、婦人用衛生製品(陰唇内装置など)など、シュリンクラッピング(例えば食品用ラップ、消費者製品ラップ、パレット及び/又は木箱ラップなど)、又は袋(食料雑貨品用袋、食品貯蔵用袋、サンドイッチ用袋、ゴミ袋など)を含めて様々な使い捨て製品に含むことができる。
【0097】
物品は、シートとすることができる。シートは、厚さに対する長さの比が大きく、厚さに対する幅の比が大きい物質の非常に薄い連続した一部分であり、その材料は、0.254mmより厚い。シーティングは、シーティングは、より剛性であり、かつ自己支持性を有している点を除いて、特性及び製造の点でフィルムと同じ特性を多く共有している。剛性及び支持性についてのこのような違いによって、製造方法のいくつかの修正がもたらされる。
【0098】
物品は、ファイバーとすることができる。ファイバーは、幅に対する長さの比が大きく、横断面が小さい柔軟な均質体である。ファイバーは、例えば衣料用の糸における織物材料として有用である。ファイバーは、植物成長を保護、促進、または制御するための農業用途に有用な軽量の繊維材料を製造するのにも有用である。ファイバーは、ウェットワイプや、おむつ及び婦人用衛生物品の構成要素などの不織物品を作製するのにも有用である。これらは、温室用熱遮蔽物、作物列カバー、芝生カバー、雑草防止物、及び水耕用物品を作製するためにも有用である。
【0099】
物品は、フォームとすることができる。フォームは、その本体全体に多数の気泡が分配されて存在することによって見かけ密度が実質的に低減された熱可塑性物である。フォームを使用して、例えばパッケージング(例えば、熱及び冷食品包装容器)、クッショニング(例えば、コンフォートクッショニングおよびパッキング材料)、断絶物、及び構造部材を作製することができる。
【0100】
物品は、成形品とすることができる。成形品は、例えばガスによって、雌型によって定義された形状に射出、圧縮、又はブロー成形された熱可塑性ポリエステルから形成された物品である。これらの物体は、玩具のような固体物体、又はビンおよび容器のような中空物とすることができる。
【0101】
物品は、不織物とすることができる。不織物は、紡ぎ、織り、又は編む以外の方法によって製造され、ウェブに組み立てられたファイバーで主にまたは全部構成された、通常はフラットシートの形の材料のような多孔質の織物材料である。
【0102】
物品は、エラストマーとすることができる。エラストマーは、応力適用時に広範囲の変形性を示すと共に、除去時に本質的に完全な回復を示す材料である。エラストマーを、他のポリマー(又は、コポリマー)とのブレンド配合物として使用して、より剛性な材料において衝撃強さ及び靭性を増大させることもできる。
【0103】
物品は、接着剤とすることができる。接着剤は、被着体と呼ばれる2つの他の材料を一緒に接合させる材料である。熱可塑性組成物は、例えばホットメルト、溶液、分散液、及び感圧接着剤を含めて様々な接着剤に加工することができる。
【0104】
物品は、使い捨てパーソナルケア製品とすることができる。例えば、物品は、液体透過性表面シート、本明細書に記載するフィルムを含む液体不透過性背面シート、および表面シートと背面シートの間に配置された吸収剤コアを含む堆肥化できる吸収剤物品とすることができる。このような物品には、小児用おむつ、成人尿失禁用ブリーフ及びパッド、並びに婦人衛衛生用パッド及びライナーが含まれる。本発明の熱可塑性物を含むことができる追加のパーソナルケア製品には、個人用クレンジングワイプ;絆創膏、創傷包帯、創傷清浄パッド、手術衣、手術用カバー、手術用パッドなどの使い捨てヘルスケア製品;並びにガウン、ワイプ、パッド、及び寝具用品(例えば、シーツ、枕カバー、及びフォームマットレスパッド)など他の施設用およびヘルスケア用使い捨て品が含まれる。
【0105】
いくつかの実施形態では、本発明の熱可塑性組成物を、例えば熱可塑性デンプン、ポリグリコール酸ポリマー、ポリビニルアルコールポリマー、ポリ乳酸ポリマー、セルロース系材料、又は生分解性合成ポリマーを含めて、他の材料とブレンドするため使用することができる。
【0106】
本発明を、以下の実施例にさらに記載するが、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0107】
実施例1:核剤としてのシアヌル酸、AHD、MBS、及びDMBSの使用
方法
実施例1は、シアヌル酸が、ポリ3−ヒドロキシブチラート(P3HB)、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−11%−4−ヒドロキシブチラート(P3HB−コ−11−4HB)、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−5%−3−ヒドロキシヘキサノアート(P3HB−コ−5−3HH)、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−8%−3−ヒドロキシバレラート(P3HB−コ−8−3HV)、ポリ4−ヒドロキシブチラート(P4HB)、PLA、PET、及びポリプロピレンの有効な核剤であることを実証している。この実施例により、AHDがP3HB−コ−11−4HBの増核剤として働くことが実証されている。さらに、この実施例により、MBSおよびDMBSがP3HB−コ−11−4HBの増核剤として働くことが実証されている。
【0108】
シアヌル酸(CAS番号[108−80−5]、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオール)は、試薬等級(98%、融点>360℃、アルドリッチケミカル(Aldrich Chemical)から)であった。AHDは、市販のNA−21(アムファインケミカルズ(Amfine Chemicals))から、4グラムのNA−21を100mLの試薬等級メタノール中で数時間撹拌することによって分離した。スラリーを濾過し、メタノールで洗浄した。残った固体を真空中、65℃で乾燥した。上澄みをホットプレートで蒸発させ、続いて65℃で真空乾燥して、白色固体を得た。DSC分析は、94及び216℃の融解吸熱(カルボン酸塩、及び遊離カルボン酸)が完全に存在せず、かつ300℃まで追加の融解がないことを示した。これは、添加された成分の完全な除去を示唆している。ベンジリデンソルビトール(BS;ミラド(Millad)3905)、MBS(ミラド(Millad)3940)、及びDMBS(ミラド(Millad)3988)は、ミリケンケミカル(Milliken Chemical)から得た。NX1等級の窒化ホウ素は、GEアドバンストセラミックス(GE Advanced Ceramics)(米国オハイオ州クリーブランド(Cleveland, Ohio))から得た。
【0109】
核剤含有ポリマーフィルムは、下記に記載するように、溶液法(方法A)又は溶融ブレンディング(方法B)によって調製した。
【0110】
ポリマー試料(約10mg)を、示差走査熱分析(TAインスツルメンツ(TA Instruments, Inc.)、DSCモデルQ100)で、以下の温度プログラムを使用して分析した:50℃/分でTmaxに加熱する。3分間保持する。10℃/分で0℃に冷却する(−70℃に冷却したP4HBの場合を除く)。TAユニバーサルアナリシスソフトウェア(TA Universal Analysis software)を用いて、示差熱図を分析した。Tmaxは、P3HB、P3HB−コ−8−3HV、およびP3HB−コ−5−3HHの場合200℃、P3HB−コ−11−4HBの場合185℃、P4HBの場合125℃、PETの場合280℃である。結晶化発熱のピーク温度のシフトは、所与の核剤の有効性の尺度と見なされる。温度の上方シフトが大きくなれば、核剤はより有効になる。
【0111】
方法A:
核剤含有ポリマーフィルムは、試薬等級のクロロホルム中2.5%(w/w)のポリマー溶液8グラムを、核剤4mgと混合することによって調製した。混合物を、出力レベル5で2分間(5秒間オン、1秒間オフ)超音波分散した(ヒートシステムズ(Heat Systems, Inc)、ウルトラソニックプロセッサー(Ultrasonic Processor)XL)。分散液を直径10cmのアルミニウム皿に注ぎ入れ、風乾させ、続いて溶媒の最後の痕跡を真空下、約65℃で終夜除去した。
【0112】
方法B:
乾燥したポリマー2グラム、及び粉砕した核剤20mgを、加熱した小スケール溶融ミキサー(モデルLMM、ラボラトリーミキシングモールダー(Laboratory Mixing Molder)、米国イリノイ州シカゴのアトラスエレクトリックデバイシス(Atlas Electric Devices, Chicago, IL))中、270℃で4分間混合した。
【0113】
結果
下記の表1に、得られた結果をまとめる。対照実験1は、P3HBポリマーの結晶化を示している。窒化ホウ素(通常は、PHBの場合に利用可能な最善の核剤として知られている)の添加(対照2)により、発熱ピーク温度の62.8℃から107.6℃への大幅な上昇がもたらされる。実験実施例1は、シアヌル酸が結晶化発熱をさらに高い118.4℃に上昇させることを示している。
【0114】
対照3は、P3HB−コ−11−4HBコポリマーの結晶化を示している。窒化ホウ素の添加(対照4)は、これらのコポリマーの増核剤として働く際にあまり有効でないことを示している。実験実施例2〜6は、シアヌル酸、AHD、MBS、及びDMBSという4つの有効な核剤を示している。
【0115】
対照実験5は、P3HB−コ−5−3HHコポリマーの結晶化を示している。対照実験6は、窒化ホウ素が増核剤として働いたこのポリマーを示している。シアヌル酸を用いた実験実施例7は、発熱ピーク温度がほぼ50℃上昇すること、及びシアヌル酸が窒化ホウ素より有効であることを示している。
【0116】
対照実験7及び8は、それぞれ、P3HB−コ−8−3HVコポリマーの結晶化、及び増核剤としての窒化ホウ素の使用を示している。実験実施例8は、シアヌル酸は、このポリマーについてもさらに有効であることを示している。
【0117】
対照実験9及び実験実施例9は、P4HBの場合にシアヌル酸が有効な核剤であることを示している。
【0118】
対照実験10及び実験実施例10は、PETの場合にシアヌル酸が有効な核剤であることを示している。
【0119】
対照実験11及び実験実施例11は、PLAの場合にシアヌル酸が有効な核剤であり、窒化ホウ素より有効であることを示している。
【0120】
対照実験13及び実験実施例12は、シアヌル酸がポリプロピレンの増核剤として働くことを示している。
【0121】
【表1】

【0122】
他の実施形態は、冒頭の特許請求の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリエステル又はポリオレフィンと、
窒素含有ヘテロ芳香族核を含む化合物を含む核剤と、
を含む組成物。
【請求項2】
前記窒素含有ヘテロ芳香族核が、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、又はイミダゾールである請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記化合物が、
【化1】


並びににその組合せ(式中、R1は、それぞれ独立に、H、NR、OH、OR、SR、SOR、SO、CN、COR、CO、CONR、NO、F、Cl、Br、又はIであり、かつ、Rは、それぞれ独立に、H又はC〜Cアルキルである)からなる群から選択された化学式を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、熱可塑性ポリエステルを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記熱可塑性ポリエステルが、脂肪族ポリエステルを含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記脂肪族ポリエステルが、ポリブチレンスクシナート、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノアート、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、及びその組合せからなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記脂肪族ポリエステルが、ポリヒドロキシアルカノアートを含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
前記ポリヒドロキシアルカノアートが、ポリ−3−ヒドロキシブチラート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、及びポリ−4−ヒドロキシブチラートからなる群から選択されたポリヒドロキシアルカノアートホモポリマーである、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記ポリヒドロキシアルカノアートが、3−ヒドロキシブチラートと、3−ヒドロキシプロピオナート、3−ヒドロキシバレラート、3−ヒドロキシヘキサノアート、3−ヒドロキシヘプタノアート、3−ヒドロキシオクタノアート、3−ヒドロキシノナオアート、3−ヒドロキシデカノアート、3−ヒドロキシドデカノアート、3−ヒドロキシドデセノアート、3−ヒドロキシテトラデカノアート、3−ヒドロキシヘキサデカノアート、3−ヒドロキシオクタデカノアート、3−ヒドロキシ−4−ペンテノアート、4−ヒドロキシブチラート、4−ヒドロキシバレラート、5−ヒドロキシバレラート、及び6−ヒドロキシヘキサノアートからなる群から選択された少なくとも1つのコモノマーとのコポリマーである、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記コポリマーが、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシプロピオナート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−4−ヒドロキシブチラート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシバレラート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシヘキサノアート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシバレラート−コ−3−ヒドロキシヘキサノアート、又はポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシヘキサノアート−コ−3−ヒドロキシオクタノアート−コ−3−ヒドロキシデカノアート−コ−3−ヒドロキシドデカノタート−コ−3−ヒドロキシドデセノテートである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記3−ヒドロキシブチラートが、コポリマー中に約60〜98重量パーセント、約70〜98重量パーセント、約80〜98重量パーセント、又は約90〜98重量パーセントの範囲で存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記脂肪族ポリエステルが、ポリブチレンスクシナート又はポリブチレンスクシナートアジパートを含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項13】
前記熱可塑性ポリエステルが、芳香族ポリエステルを含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項14】
前記芳香族ポリエステルが、ポリエチレンテレフタラートを含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記ポリエチレンテレフタラートが、コモノマーを含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記コモノマーが、エーテル、若しくはアミド、又は脂肪族モノマーである、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記芳香族ポリエステルが、ポリブチレンアジパート/テレフタラート又はポリメチレンアジパート/テレフタラートである、請求項13に記載の組成物。
【請求項18】
前記核剤が、シアヌル酸を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が、ポリオレフィンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリブチレンである請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
請求項1に記載の組成物を含む物品。
【請求項22】
前記物品が、ファイバー、フィラメント、ロッド、チューブ、又はフィルムの形である、請求項21に記載の物品。
【請求項23】
請求項1に記載の組成物から物品を形成するステップを含む方法。
【請求項24】
物品の形成が、組成物を成形又は押出するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
請求項21に記載の方法によって作製された物品。
【請求項26】
少なくとも1種の熱可塑性ポリエステルと、
次式の化合物を含む核剤
【化2】


[式中、Rは、水素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、R及びRは、それぞれ、水素原子、又は1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり、Mは、第III族又は第IV族の金属原子であり、かつ、Xは、HO、O=、又は(HO)である]とを含む組成物であって、
アルカリ金属カルボキシラート、アルカリ金属β−ジケトナート、β−ケト酢酸エステルのアルカリ金属塩、及びポリエチレンテレフタラートを実質的に含まない組成物。
【請求項27】
Xが、OHであり、Mが、Alであり、Rが、Hであり、Rが、t−Cであり、かつ、Rが、t−Cである、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記熱可塑性ポリエステルが、脂肪族ポリエステルである、請求項26に記載の組成物。
【請求項29】
前記脂肪族ポリエステルが、ポリブチレンスクシナート、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノアート、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、及びその組合せからなる群から選択される、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記脂肪族ポリエステルが、ポリヒドロキシアルカノアートである、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記ポリヒドロキシアルカノアートが、ポリ−3−ヒドロキシブチラート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、及びポリ−4−ヒドロキシブチラートからなる群から選択されたポリヒドロキシアルカノアートホモポリマーである、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
前記ポリヒドロキシアルカノアートが、3−ヒドロキシブチラートと、3−ヒドロキシプロピオナート、3−ヒドロキシバレラート、3−ヒドロキシヘキサノアート、3−ヒドロキシヘプタノアート、3−ヒドロキシオクタノアート、3−ヒドロキシノナオアート、3−ヒドロキシデカノアート、3−ヒドロキシドデカノアート、3−ヒドロキシドデセノアート、3−ヒドロキシテトラデカノアート、3−ヒドロキシヘキサデカノアート、3−ヒドロキシオクタデカノアート、3−ヒドロキシ−4−ペンテノアート、4−ヒドロキシブチラート、4−ヒドロキシバレラート、5−ヒドロキシバレラート、および6−ヒドロキシヘキサノアートからなる群から選択された少なくとも1つのコモノマーとのコポリマーである、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記コポリマーが、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシプロピオナート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−4−ヒドロキシブチラート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシバレラート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシヘキサノアート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシバレラート−コ−3−ヒドロキシヘキサノアート、又はポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシヘキサノアート−コ−3−ヒドロキシオクタノアート−コ−3−ヒドロキシデカノアート−コ−3−ヒドロキシドデカノタート−コ−3−ヒドロキシドデセノタートである、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記3−ヒドロキシブチラートが、コポリマー中に約60〜98重量パーセント、約70〜98重量パーセント、約80〜98重量パーセント、又は約90〜98重量パーセントの範囲で存在する、請求項32に記載の組成物。
【請求項35】
前記脂肪族ポリエステルが、ポリブチレンスクシナート又はポリブチレンスクシナートアジパートを含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項36】
前記熱可塑性ポリエステルが、芳香族ポリエステルを含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項37】
請求項26に記載の組成物を含む物品。
【請求項38】
前記物品は、ファイバー、フィラメント、ロッド、チューブ、又はフィルムの形である、請求項37に記載の物品。
【請求項39】
請求項26に記載の組成物から物品を形成するステップを含む方法。
【請求項40】
物品の形成が、組成物を成形又は押出するステップを含む請求項39に記載の方法。
【請求項41】
請求項39に記載の方法によって作製された物品。
【請求項42】
熱可塑性組成物を作製する方法であって、
熱可塑性ポリエステルを核剤と接触させるステップを含み、前記核剤が窒素含有ヘテロ芳香族核を含む化合物を含む方法。
【請求項43】
前記窒素含有ヘテロ芳香族核が、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、又はイミダゾールである請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記化合物が、
【化3】


並びにその組合せ(式中、R1は、それぞれ独立に、H、NR、OR、OH、SR、SOR、SO、CN、COR、CO、CONR、NO、F、Cl、Br、又はIであり、かつ、Rは、それぞれ独立に、H又はC〜Cアルキルである)からなる群から選択された化学式を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記核剤が、シアヌル酸を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
熱可塑性組成物を作製する方法であって、
融点が約260℃未満の熱可塑性ポリエステルを、溶媒に溶解させたメチルベンジリデンソルビトール又はジメチルベンジリデンソルビトールと接触させるステップと、
熱可塑性ポリエステルを約260℃未満の温度で溶融させるステップと、
熱可塑性ポリエステルを冷却して、それによって熱可塑性組成物を作製するステップと
を含む方法。
【請求項47】
前記熱可塑性ポリエステルが、ポリヒドロキシアルカノアートである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記ポリヒドロキシアルカノアートが、ポリ−3−ヒドロキシブチラート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、及びポリ−4−ヒドロキシブチラートからなる群から選択されたポリヒドロキシアルカノアートホモポリマーである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記ポリヒドロキシアルカノアートが、3−ヒドロキシブチラートと、3−ヒドロキシプロピオナート、3−ヒドロキシバレラート、3−ヒドロキシヘキサノアート、3−ヒドロキシヘプタノアート、3−ヒドロキシオクタノアート、3−ヒドロキシノナオアート、3−ヒドロキシデカノアート、3−ヒドロキシドデカノアート、3−ヒドロキシドデセノアート、3−ヒドロキシテトラデカノアート、3−ヒドロキシヘキサデカノアート、3−ヒドロキシオクタデカノアート、3−ヒドロキシ−4−ペンテノアート、4−ヒドロキシブチラート、4−ヒドロキシバレラート、5−ヒドロキシバレラート、及び6−ヒドロキシヘキサノアートからなる群から選択された少なくとも1つのコモノマーとのコポリマーである、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記コポリマーが、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシプロピオナート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−4−ヒドロキシブチラート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシバレラート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシヘキサノアート、ポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシバレラート−コ−3−ヒドロキシヘキサノアート、又はポリ3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシヘキサノアート−コ−3−ヒドロキシオクタノアート−コ−3−ヒドロキシデカノアート−コ−3−ヒドロキシドデカノタート−コ−3−ヒドロキシドデセノタートである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記3−ヒドロキシブチラートが、コポリマー中に約60〜98重量パーセント、約70〜98重量パーセント、約80〜98重量パーセント、又は約90〜98重量パーセントの範囲で存在する、請求項49に記載の方法。

【公表番号】特表2007−517126(P2007−517126A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547458(P2006−547458)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/043600
【国際公開番号】WO2005/066256
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(505045469)メタボリックス インコーポレイティッド (7)
【Fターム(参考)】