説明

墜落防止用安全具並びに墜落防止安全確保方法並びに墜落防止具用補助具

【課題】作業者が墜落防止具を握ったまま落下しても、墜落防止具の下方位置の親綱に装着した補助具によって作業者の落下を確実に防止できる墜落防止用安全具並びにこの墜落防止用安全具を用いた墜落防止安全確保方法並びに墜落防止具用補助具を提供すること。
【解決手段】親綱2に対し装着可能なロック機構3と作業者Hに連結可能な命綱4とを備えた墜落防止具Mと、この墜落防止具Mより下方位置で親綱2に沿って移動可能に装着する補助具Sとから成り、前記墜落防止具Mが前記親綱2に沿って下動してきた際、この下動する墜落防止具Mを受けることで補助具Sに挿通配設した親綱2を圧接して、この墜落防止具Mの下動につられて補助具Sが下動することを阻止する補助墜落防止機構9を、補助具Sに設けた墜落防止用安全具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、法面などの傾斜面やビル壁面などの垂直面で作業を行う作業者が、墜落防止のために親綱に装着して使用する墜落防止用安全具並びにこの墜落防止用安全具を用いた墜落防止安全確保方法並びに墜落防止具用補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
法面に土留めを形成する場合のような傾斜地での作業は、図2に示すような墜落防止具M(例えば、特許文献1参照。)を法面に上方から垂れ下げられた親綱2に装着し、この墜落防止具Mに備えられた命綱4を作業者Hが身に付けて作業を行っている。
【0003】
この墜落防止具Mを簡単に説明すると、親綱2を挿通可能な本体17に、この本体17に挿通した親綱2を支持する支持部18が設けられ、この支持部18と間隔を置いた対向状態にして親綱2に圧接し得る押圧体19が本体17に回動自在に設けられて、この支持部18と押圧体19との間の対向間隔部に前記親綱2を挿通配設し得るように構成され、また、この押圧体19が、この押圧体19の回動により前記対向間隔部を広狭調整し得る形状に形成されていて、この押圧体19を前記対向間隔部が広くなる方向に回動させることで押圧体19がこの対向間隔部に挿通した前記親綱2を圧接せずに前記本体17が親綱2に対し移動可能となると共に、この押圧体19を前記対向間隔部が狭くなる方向に回動させることで押圧体19がこの対向間隔部に挿通した親綱2を圧接して本体17が親綱2に対し位置決め状態で装着されるロック機構3を備えた構成とされている。
【0004】
更に、この押圧体19には、命綱4が備えられていて、この命綱4を作業者Hに連結してこの命綱4に作業者Hの荷重が加わると、前記押圧体19が親綱2に強く圧接して墜落防止具Mが親綱2に対し位置決めロックして作業者の墜落を防止するように前記ロック機構3が構成されていると共に、この押圧体19には、この押圧体19による親綱2の圧接状態(位置決めロック状態)を、墜落防止具M全体を手で握り込むような動作によって解除操作するための操作部20が設けられていて、作業位置を昇降移動する必要がある場合には、この操作部20を握り込み動作して墜落防止具Mの親綱2に対するロック状態を解除することにより、この墜落防止具Mと共に作業者Hが親綱2に沿って昇降移動することができる構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−307283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
法面のような傾斜面での作業中に、作業者Hが作業位置を昇降移動する場合には、先ず、作業者Hが一方の手で親綱2をしっかりと握って自身の体重をこの一方で手で支えてから、他方の手で墜落防止具Mの操作部20を握り込み動作して墜落防止具Mの位置決めロック状態を解除し移動させるが、傾斜面では足を滑らせ易いため、もし、墜落防止具Mのロック解除中に誤って足を滑らせてしまうと、親綱2を掴んでいる片手だけで作業者Hの全体重を支えることになるため非常に危険である。
【0007】
また、もし、墜落防止具Mのロック解除中に親綱2を掴んでいる手が滑るなどして作業者Hが落下してしまった場合には、作業者Hが落ち着いて墜落防止具M(操作部20)を握った手を離せれば前記ロック機構3が機能して落下を途中停止できるのであるが、多くの作業者Hが落下によって冷静さを欠いてしまうと考えられ、こうなってしまうと必死に何かに掴まって落下を阻止しようとするであろうから、握った墜落防止具Mを簡単に離すとは思えず、墜落事故に繋がってしまう可能性も懸念される。
【0008】
本発明は、このような従来の墜落防止具で生じる可能性のある問題点に注目し、これを解決しようとするためのもので、作業者が墜落防止具を握ったまま落下しても、墜落防止具の下方位置の親綱に装着した補助具によって作業者の落下を確実に防止できる画期的な墜落防止用安全具並びにこの墜落防止用安全具を用いた墜落防止安全確保方法並びに墜落防止具用補助具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0010】
傾斜面1Aや垂直面などの作業面1に垂れ下げた親綱2に沿って移動可能に装着するものであって、親綱2に対し位置決めロック・ロック解除自在に装着可能なロック機構3を備えると共に、作業者Hに連結可能な命綱4を備えて、この命綱4に連結した作業者Hの荷重により前記ロック機構3が親綱2に対し位置決めロックあるいは強固に位置決めロックして作業者Hの墜落を防止するように前記ロック機構3を構成した墜落防止具Mと、前記親綱2に前記ロック機構3を介して装着した前記墜落防止具Mより下方位置で親綱2に沿って移動可能に装着するものであって、親綱2を挿通可能な補助具本体5に、この補助具本体5に挿通した親綱2を支承する支承部6を設け、この支承部6と間隔を置いた対向状態にして親綱2に圧接し得る圧接体7を補助具本体5に設けて、この支承部6と圧接体7との間の間隔部8に前記親綱2を挿通配設し得るように構成した補助具Sとから成り、前記墜落防止具Mが前記親綱2に沿って下動してきた際、この下動する墜落防止具Mを受けることで前記間隔部8に挿通配設した親綱2に前記圧接体7を圧接せしめて、この墜落防止具Mの下動につられて前記補助具Sが下動することを阻止する補助墜落防止機構9を、前記補助具Sに設けたことを特徴とする墜落防止用安全具に係るものである。
【0011】
また、前記圧接体7は、前記補助具本体5に回動自在に設けると共に、この圧接体7は、この圧接体7の回動により前記間隔部8を広狭調整し得る形状に形成して、この圧接体7を前記間隔部8が広くなる方向に回動させることで圧接体7がこの間隔部8に挿通した前記親綱2を圧接せずに前記補助具本体5が親綱2に対し移動可能となると共に、この圧接体7を前記間隔部8が狭くなる方向に回動させることで圧接体7がこの間隔部8に挿通した親綱2を圧接して補助具本体5が親綱2に対し位置決め状態で装着される構成とし、前記補助墜落防止機構9は、前記墜落防止具Mが前記親綱2に沿って下動してきた際、この下動する墜落防止具Mを受けることで前記圧接体7を前記間隔部8が狭くなる方向に回動させて親綱2に圧接せしめる構成としたことを特徴とする請求項1記載の墜落防止用安全具に係るものである。
【0012】
また、前記補助墜落防止機構9は、前記圧接体7に、前記墜落防止具Mと前記補助具本体5の間で前記親綱2に対し移動可能に沿設配設する親綱沿設部10を突設すると共に、この親綱沿設部10は、この親綱沿設部10を親綱2に沿って下動することで、前記圧接体7を前記間隔部8に挿通配設した親綱2に圧接せしめるリンク機構部11を介して圧接体7に突設し、この親綱沿設部10に、前記墜落防止具Mの下部を受支承する受部12を設けて、この受部12で親綱2に沿って下動してきた墜落防止具Mの下部を受支承すると、この墜落防止具Mの下動に伴って親綱沿設部10も親綱2に沿って下動する構成としたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の墜落防止用安全具に係るものである。
【0013】
また、前記リンク機構部11は、前記圧接体7にリンク体13の一側を回動自在に枢着して、このリンク体13の他側を圧接体7より突設すると共に、このリンク体13の他側に前記親綱沿設部10を回動自在に枢着した構成として、この親綱沿設部10の前記受部12が、親綱2に沿って下動してきた前記墜落防止具Mの下部を受支承して墜落防止具Mと共にこの親綱沿設部10が親綱2に沿って下動すると、この親綱沿設部10との他側枢着部15を支点に前記リンク体13が連動すると共に、このリンク体13の一側枢着部14を支点に前記圧接体7が連動して、前記間隔部8に挿通配設した前記親綱2を圧接する構成としたことを特徴とする請求項3記載の墜落防止用安全具に係るものである。
【0014】
また、前記墜落防止具Mと、前記補助具Sとを接続するための接続具16を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の墜落防止用安全具に係るものである。
【0015】
また、傾斜面1Aや垂直面などの作業面1に沿って垂れ下げられた親綱2に対して、前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の墜落防止用安全具の墜落防止具Mを、ロック機構3を介して移動可能に装着すると共に、この墜落防止具Mの命綱4に作業者Hを連結し、この墜落防止具Mより下方位置で前記親綱2に、前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の墜落防止用安全具の補助具Sを移動可能に装着することを特徴とする墜落防止安全確保方法に係るものである。
【0016】
また、傾斜面1Aや垂直面などの作業面1に垂れ下げた親綱2に対し位置決めロック・ロック解除自在に装着可能なロック機構3と、作業者Hに連結可能な命綱4を備えて、この命綱4に連結した作業者Hの荷重により前記ロック機構3が親綱2に対し位置決めロックあるいは強固に位置決めロックして作業者Hの墜落を防止するように前記ロック機構3を構成した墜落防止具Mと共に併用し、親綱2にロック機構3を介して装着したこの墜落防止具Mより下方位置で親綱2に装着する墜落防止具用補助具Sであって、前記親綱2を挿通可能な補助具本体5に、この補助具本体5に挿通した親綱2を支承する支承部6を設け、この支承部6と間隔を置いた対向状態にして親綱2に圧接し得る圧接体7を補助具本体5に設けて、この支承部6と圧接体7との間の間隔部8に前記親綱2を挿通配設し得るように構成し、この補助具本体5若しくは圧接体7に、前記親綱2に沿って下動してきた前記墜落防止具Mを受けることで前記間隔部8に挿通配設した親綱2に前記圧接体7を圧接せしめて、この墜落防止具Mの下動につられて補助具本体5が下動することを阻止する補助墜落防止機構9を設けたことを特徴とする墜落防止具用補助具に係るものである。
【0017】
また、前記圧接体7は、前記補助具本体5に回動自在に設けると共に、この圧接体7は、この圧接体7の回動により前記間隔部8を広狭調整し得る形状に形成して、この圧接体7を前記間隔部8が広くなる方向に回動させることで圧接体7がこの間隔部8に挿通した前記親綱2を圧接せずに前記補助具本体5が親綱2に対し移動可能となると共に、この圧接体7を前記間隔部8が狭くなる方向に回動させることで圧接体7がこの間隔部8に挿通した親綱2を圧接して補助具本体5が親綱2に対し位置決め状態で装着される構成とし、前記補助墜落防止機構9は、前記墜落防止具Mが前記親綱2に沿って下動してきた際、この下動する墜落防止具Mを受けることで前記圧接体7を前記間隔部8が狭くなる方向に回動させて親綱2に圧接せしめる構成としたことを特徴とする請求項7記載の墜落防止具用補助具に係るものである。
【0018】
また、前記補助墜落防止機構9は、前記圧接体7に、前記墜落防止具Mと前記補助具本体5の間で前記親綱2に対し移動可能に沿設配設する親綱沿設部10を突設すると共に、この親綱沿設部10は、この親綱沿設部10を親綱2に沿って下動することで、前記圧接体7を前記間隔部8に挿通配設した親綱2に圧接せしめるリンク機構部11を介して圧接体7に突設し、この親綱沿設部10に、前記墜落防止具Mの下部を受支承する受部12を設けて、この受部12で親綱2に沿って下動してきた墜落防止具Mの下部を受支承すると、この墜落防止具Mの下動に伴って親綱沿設部10も親綱2に沿って下動する構成としたことを特徴とする請求項7,8のいずれか1項に記載の墜落防止具用補助具に係るものである。
【0019】
また、前記リンク機構部11は、前記圧接体7にリンク体13の一側を回動自在に枢着して、このリンク体13の他側を圧接体7より突設すると共に、このリンク体13の他側に前記親綱沿設部10を回動自在に枢着した構成として、この親綱沿設部10の前記受部12が、親綱2に沿って下動してきた前記墜落防止具Mの下部を受支承して墜落防止具Mと共にこの親綱沿設部10が親綱2に沿って下動すると、この親綱沿設部10との他側枢着部15を支点に前記リンク体13が連動すると共に、このリンク体13の一側枢着部14を支点に前記圧接体7が連動して、前記間隔部8に挿通配設した前記親綱2を圧接する構成としたことを特徴とする請求項9記載の墜落防止具用補助具に係るものである。
【0020】
また、前記墜落防止具Mと接続するための接続具16を備えたことを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の墜落防止具用補助具に係るものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明は上述のように構成したから、作業者が作業面での作業中に足を滑らせた際に、墜落防止具で作業者の墜落を防止できるだけでなく、作業者が昇降移動しようとして墜落防止具のロック機構を解除した時に足を滑らせて落下した場合においても、補助墜落防止機構が機能して作業者の墜落を確実に防止でき、しかも、作業者が、墜落防止具のロック解除操作と補助具の親綱への圧接解除操作とを両手で同時操作して、補助墜落防止機構が機能しなくなるような誤操作を招く可能性が非常に低いなど、極めて秀れた安全性・実用性を発揮する画期的な墜落防止用安全具並びに墜落防止安全確保方法となる。
【0022】
また、請求項2,8記載の発明においては、圧接体が極めて良好に親綱に圧接して補助具の下動を阻止でき、前記作用・効果を確実に発揮する一層実用性に秀れた構成の墜落防止用安全具並びに墜落防止具用補助具となる。
【0023】
また、請求項3,4,9,10記載の発明においては、親綱に沿って下動してきた墜落防止具を受けることで確実に親綱に圧接体を圧接させる前記補助墜落防止機構を簡易構成にして容易に設計実現可能となる一層実用性に秀れた構成の墜落防止用安全具並びに墜落防止具用補助具となる。
【0024】
また、請求項5,11記載の発明においては、墜落防止具と(墜落防止具用)補助具とを接続具で接続することによって、親綱に対して墜落防止具と補助具とを昇降移動させても両者間の距離を略一定に保つことができるので、この接続具の長さを短く設定することで、万一作業者が落下した際に補助墜落防止機構による落下停止までの距離が少なく、恐怖心や落下停止時の作業者の身体にかかる衝撃を小さくとどめることができる構成を簡易に設計実現可能となり、しかも、例えば、常態で補助具の圧接体が親綱に対して弱く圧接していて補助具を親綱に対して簡単に昇降移動できるような構成とすることで、墜落防止具を親綱に対して上昇移動させた際に、接続具に引っ張られて補助具までもが連動上昇移動することになる作業性に秀れた構成を実現可能となるなど、一層実用性に秀れた構成の墜落防止用安全具並びに墜落防止具用補助具となる。
【0025】
また、請求項7記載の発明においては、作業者が昇降移動しようとして墜落防止具のロック機構を解除した時に足を滑らせて落下した場合に、補助墜落防止機構が機能して作業者の墜落を確実に防止でき、しかも、作業者が、墜落防止具のロック解除操作と補助具の親綱への圧接解除操作とを両手で同時操作して、補助墜落防止機構が機能しなくなるような誤操作を招く可能性が非常に低いなど、極めて秀れた安全性・実用性を発揮する画期的な墜落防止具用補助具となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施例の使用状態を示す説明図である。
【図2】本実施例を示す説明斜視図である。
【図3】本実施例の補助具を示す分解斜視図である。
【図4】本実施例の使用状態における説明側面図である。
【図5】本実施例の親綱に沿って下動してきた墜落防止具を親綱沿設部が受けて補助墜落防止機構が作動した状態を示す説明側面図である。
【図6】本実施例の補助具を親綱に沿って昇降移動しようとする状態を示す説明側面図である。
【図7】本実施例の墜落防止具を上昇移動した際に接続具によって接続された補助具が連動上昇する様子を示す説明側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0028】
傾斜面1Aや垂直面などの作業面1での作業において、作業面1に垂れ下げられた親綱2にロック機構3を介して墜落防止具Mを移動自在に装着すると共に、この墜落防止具Mの命綱4に作業者Hを連結し、更にこの墜落防止具Mより下方に位置している前記親綱2を、補助具本体5の支承部6と圧接体7との間の間隔部8に挿通配設して、墜落防止具Mより下方位置で親綱2に補助具Sを移動可能に装着する。
【0029】
すると、作業者Hが作業面1で作業中に足を滑らせても、命綱4に連結した作業者Hの荷重により前記ロック機構3が親綱2に対し位置決めロックあるいは強固に位置決めロックして墜落防止具Mの親綱2に対する下動が阻止され、作業者Hの墜落を防止することになる。
【0030】
また、作業面1で作業中の作業者Hが別の位置へと昇降移動したい場合には、先ず、作業者Hが一方の手で親綱2をしっかりと握って自身の体重をこの一方の手で支えてから、他方の手で前記ロック機構3に手を添えてロック解除し、墜落防止具Mを所望する位置へと昇降移動させて作業者H自身も昇降移動することができる。
【0031】
ところが、作業面1である傾斜面1Aや垂直面では足を滑らせ易いため、もし、墜落防止具Mのロック機構3解除中に誤って足を滑らせてしまうと、この間親綱2を掴んでいる片手だけで作業者Hの全体重を支えることになり、手が滑ったり、握力が持たずに落下する可能性がある。
【0032】
しかし、このような事態となっても、本発明においては、墜落防止具Mが前記親綱2に沿って下動してきた際に、この下動する墜落防止具Mを受けることで補助具Sの補助墜落防止機構9が機能し、前記間隔部8に挿通配設した親綱2に前記圧接体7が圧接して、この墜落防止具Mの下動につられて補助具Sが下動することを阻止するので、墜落防止具Mの下動も阻止されて作業者Hの墜落が確実に防止されることになる。
【0033】
尚、墜落防止具Mと補助具Sとは、距離を適度に近づけた状態で両者を親綱2に装着しておいた方が、万一作業者Hが落下した際に補助墜落防止機構9による落下停止までの距離が少なく、恐怖心や落下停止時の作業者Hの身体にかかる衝撃を小さくとどめることができるので好ましい。また、同様の理由で、墜落防止具Mの昇降移動に合わせて補助具Sも昇降移動させて両者の距離を小さく保つことが好ましい。
【0034】
また、墜落防止具Mの昇降移動に合わせて補助具Sを昇降移動させようとする際には、作業者Hが墜落防止具Mのロック機構3の解除操作と補助具Sの圧接体7の親綱2への圧接状態の解除操作とを誤って両手で同時操作してしまい、この際に作業者Hが足を滑らせてしまうと前記補助墜落防止機構9が機能しなくなる可能性も懸念されるが、補助具Sを墜落防止具Mの下方位置に装着した本発明においては、このような危険な事態を招く可能性は非常に低い。
【0035】
即ち、この種の墜落防止具Mは、一般的に作業者Hの腰ベルトの位置より上に装着して使用することが推奨されているから、墜落防止具Mより補助具Sが下方位置に装着されていると、作業者Hは、下方の補助具Sではなく、視線や手の近くにあって操作し易い上方位置の墜落防止具Mを先に動かそうとするため、その前に作業者Hは、墜落防止具Mのロック解除中の安全確保のために必ず一方の手で親綱2をしっかりと掴み、それから他方の手でロック機構3を解除操作して墜落防止具Mを移動させることになる。
【0036】
そのため、常に墜落の危険性が感じられるような現場で一度親綱2を掴んで安心感のある状況を得てしまうと、人間の心理的にそれを離してしまうことは極めて稀なケースと考えられるし、墜落防止具Mの下方に補助具Sが装着されていることと、掴み易さの観点とからほとんどの作業者Hが墜落防止具Mの上方位置で親綱2を掴むことになると想定されるが、してみると墜落防止具Mより上方の親綱2を掴んでいる一方の手よりも墜落防止具Mを操作した他方の手の方が補助具Sに近いこともあって、親綱2を掴んでいる手を離してまで補助具Sを操作しようとはせずに、墜落防止具Mのロック機構3を操作した手を補助具Sに持ち替えてこの補助具Sの移動操作が行われる。
【0037】
従って、墜落防止具Mと補助具Sとを作業者Hが両手を使って同時に親綱2に対し移動操作しようとする可能性は非常に低く、極めて高い墜落防止安全性を発揮する。
【実施例】
【0038】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0039】
本実施例は、傾斜面1Aや垂直面などの作業面1に垂れ下げた親綱2に沿って移動可能に装着するものであって、親綱2に対し位置決めロック・ロック解除自在に装着可能なロック機構3を備えると共に、作業者Hに連結可能な命綱4を備えて、この命綱4に連結した作業者Hの荷重により前記ロック機構3が親綱2に対し位置決めロックあるいは強固に位置決めロックして作業者Hの墜落を防止するように前記ロック機構3を構成した墜落防止具Mと、前記親綱2に前記ロック機構3を介して装着した前記墜落防止具Mより下方位置で親綱2に沿って移動可能に装着するものであって、親綱2を挿通可能な補助具本体5に、この補助具本体5に挿通した親綱2を支承する支承部6を設け、この支承部6と間隔を置いた対向状態にして親綱2に圧接し得る圧接体7を補助具本体5に設けて、この支承部6と圧接体7との間の間隔部8に前記親綱2を挿通配設し得るように構成した補助具Sとから成るものである。
【0040】
先ず、本実施例の墜落防止具Mについて説明すると、親綱2を挿通可能な本体17に、この本体17に挿通した親綱2を支持する支持部18を設け、この支持部18と間隔を置いた対向状態にして親綱2に圧接し得る押圧体19を本体17に回動自在に設けて、この支持部18と押圧体19との間の対向間隔部に前記親綱2を挿通配設し得るように構成している。
【0041】
具体的には、本体17は、平面視略U字状をなす板材で構成し、その折り返し状部の内側面を前記支持部18とし、左右の対設板部間に前記押圧体19を上下二箇所で回動自在に枢着している。
【0042】
押圧体19は、略扇形であってやや厚みのある板体とし、その基部を本体17の左右の対向板部22間に架設した枢着部21(枢着軸)に回動自在に枢着し、更に、この押圧体19の円弧状の外周面をギザ歯状に形成してこの外周面を親綱2に圧接する圧接面としている。
【0043】
そして、この支持部18と押圧体19の圧接面との間の対向間隔部に挿通配設した親綱2を、この支持部18と押圧体19(の圧接面)とで挟持圧接して位置決めロックし得るロック解除可能な前記ロック機構3を備えている。
【0044】
また、この押圧体19の圧接面は、この押圧体19の回動により前記支持部18との間の対向間隔部を広狭調整し得る形状に構成している。
【0045】
具体的には、この押圧体19は、圧接面である円弧外周面と前記枢着部21との距離が、この圧接面の一方側の端部から他方側の端部へ行く程長くなる扇形状に設定構成し、この押圧体19を一方向へ回動させると対向間隔部が幅狭くなり、他(逆)方向へ回動させると対向間隔部が幅広くなる構成としている。
【0046】
また、この押圧体19は、対向間隔部が幅狭くなる回動方向に付勢し且つ幅広くなる回動方向に抗する弾性体(図示省略)を備えて、この弾性体により通常は押圧体19(圧接面)が支持部18に近接した状態で付勢保持されるように構成している。
【0047】
従って、押圧体19を弾性体の付勢力に抗する方向に回動させて対向間隔部を親綱2が通れる程幅広くすることで、本体17(墜落防止具M)を親綱2に対して移動可能となり、この挿通した親綱2に弾性体の付勢力によって押圧体19の圧接面を当接させることで、支持部18と押圧体19により親綱2が挟持圧接されて親綱2に対し本体17(墜落防止具M)が位置決めロック状態となるように前記ロック機構3を構成している。
【0048】
また、各押圧体19の圧接面の反対側に取付部22を突設し、この上下の各取付部22間に板状の操作部20を回動自在に枢着して、各押圧体19と操作部20とで平行リンク機構を構成し、この操作部20を本体17と共に手で握り込んで操作部20を本体17に接近させると、各押圧体19が弾性体の付勢力に抗する方向に回動して、本体17(墜落防止具M)を親綱2に対して昇降移動可能となる構成としている。
【0049】
また、下側に位置する押圧体19の取付部22は、その突出先端部を操作部20より更に外方へ延設してこの延設先端部に連結環部23を連設し、この連結環部23に命綱4の一端を連結し、この命綱4の他端を作業者Hに連結し得るようにしている。また、図面では命綱4を二本設けた場合を示している。
【0050】
従って、この命綱4に連結した作業者Hが落下すると、この際の作業者Hの荷重が連結環部23を介して下側の押圧体19へと伝達されてその圧接面が親綱2に強く圧接しようとする回転力に変換され、同時に平行リンク機構を介して上側の押圧体19(の圧接面)も親綱2に強く圧接し、作業者Hの墜落を防止するように前記ロック機構3を構成している。
【0051】
次に、本実施例の補助具Sについて説明すると、図3に示すように、補助具本体5は、平面視略U字状をなす板材で構成し、その折り返し状部の内側面を前記支承部6とし、左右の対設板部間に前記圧接体7を回動自在に枢着している。
【0052】
また、この補助具本体5は、圧接体7が枢着された左右の対向板部を蝶番部24を介して折り返し状部に対し開閉可能に設けて、間隔部8を開放できる構成とし、これにより親綱2への装着を容易に行えるようにしている。図中符号25は間隔部8を閉塞状態に維持する係止錠、26は係止錠25が係止する係止孔である。
【0053】
また、圧接体7は、前記押圧体19と同等の構成を採用している。
【0054】
即ち、この圧接体7を前記間隔部8が広くなる方向に回動させることで圧接体7がこの間隔部8に挿通した前記親綱2を圧接せずに前記補助具本体5が親綱2に対し移動可能となると共に、この圧接体7を前記間隔部8が狭くなる方向に回動させることで圧接体7がこの間隔部8に挿通した親綱2を圧接して補助具本体5が親綱2に対し位置決め状態で装着される構成としている。図中符号30は圧接体7の枢着部(枢着軸)である。
【0055】
また、この圧接体7は、前記押圧体19と同様に、間隔部8が幅狭くなる回動方向に付勢し且つ幅広くなる回動方向に抗する弾性体27(トーションバネ)を備えて、この弾性体27により通常は圧接体7(の圧接面)が支承部6に近接した状態で付勢保持されるように構成している。
【0056】
本実施例は、前記墜落防止具Mが前記親綱2に沿って下動してきた際、この下動する墜落防止具Mを受けることで前記間隔部8に挿通配設した親綱2に前記圧接体7を圧接せしめて、この墜落防止具Mの下動につられて前記補助具Sが下動することを阻止する補助墜落防止機構9を、前記補助具Sに設けている。
【0057】
具体的には、補助墜落防止機構9は、前記圧接体7に、前記墜落防止具Mと前記補助具本体5の間で前記親綱2に対し移動可能に沿設配設する親綱沿設部10を突設すると共に、この親綱沿設部10は、この親綱沿設部10を親綱2に沿って下動することで、前記圧接体7を前記間隔部8に挿通配設した親綱2に圧接させるリンク機構部11を介して圧接体7に突設し、この親綱沿設部10に、前記墜落防止具Mの下部を受支承する受部12を設けて、この受部12で親綱2に沿って下動してきた墜落防止具Mの下部を受支承すると、この墜落防止具Mの下動に伴って親綱沿設部10も親綱2に沿って下動する構成としている。
【0058】
更に詳しくは、圧接体7に、その圧接面の反対側に突設部28を突設し、この突設部28にリンク体13の一端を回動自在に枢着して、このリンク体13の他側を圧接体7より突設すると共に、このリンク体13の他端に前記親綱沿設部10を回動自在に枢着した構成として、この親綱沿設部10の前記受部12が、親綱2に沿って下動してきた前記墜落防止具Mの下部を受支承して墜落防止具Mと共にこの親綱沿設部10が親綱2に沿って下動すると、この親綱沿設部10との他側枢着部15(軸ピン)を支点に前記リンク体13が連動すると共に、このリンク体13の一側枢着部14(軸ネジ)を支点に前記圧接体7が連動して、前記間隔部8に挿通配設した前記親綱2を圧接するように前記リンク機構部11を構成している。
【0059】
また、圧接体7と前記リンク体13の一端との一側枢着部14が、前記間隔部8に挿通した親綱2に対して、前記圧接体7の枢着部30よりも外方へ離れた位置に存するようにリンク機構部11を構成して、前記作動が確実に行われるようにしている。
【0060】
また、親綱沿設部10は、リンク体13の他端にシャックル10Aを回動自在に枢着して形成された環状部10とし、この環状部10内に親綱2を挿通することでこの親綱沿設部10が親綱2に沿って昇降移動する構成とすると共に、このシャックル10Aを水平状態とした際の環状部10の上側面(水平状態としたシャックル10Aの上側面とリンク体13の他端の上側面)を前記受部12として、この受部12で墜落防止具Mの本体17の下端を当接支承する構成としている。図中符号29はシャックル10Aの下方への過回動を阻止するストッパである。
【0061】
また、本実施例では、前記墜落防止具Mと、前記補助具Sとを接続するための接続具16を備えている。
【0062】
接続具16は、ロープの両端に掛環部を設けた構成とし、図面では、この接続具16の一端側の掛環部を補助具Sの前記一側枢着部14たる軸ネジ14に掛止し、他端側の掛環部をカラビナ31を介して墜落防止具Mの前記連結環部23に掛止して墜落防止具Mと前記補助具Sとを接続した場合を示している。
【0063】
次に、このように構成した本実施例の墜落防止用安全具(墜落防止具Mと補助具S)を用いた墜落防止安全確保方法を、その作用・効果を伴って説明する。尚、図面は、傾斜面1A(作業面1)での作業を示している。
【0064】
傾斜面1Aに垂れ下げられた親綱2にロック機構3を介して墜落防止具Mを移動自在に装着すると共に、この墜落防止具Mの命綱4に作業者Hを連結する。
【0065】
また、この墜落防止具Mより下方に位置している前記親綱2を、補助具本体5の支承部6と圧接体7との間の間隔部8に挿通配設して、墜落防止具Mより下方位置で親綱2に補助具Sを移動可能に装着すると共に、親綱沿設部10に墜落防止具Mと補助具Sの間に存する親綱2を挿通することでこの墜落防止具Mと補助具Sの間に存する親綱2に親綱沿設部10を沿設する(図1,図2,図4参照。)。
【0066】
このようにしておくことにより、作業者Hが作業面1で作業中に足を滑らせても、命綱4に連結した作業者Hの荷重により前記ロック機構3が親綱2に対し位置決めロックあるいは強固に位置決めロックして墜落防止具Mの親綱2に対する下動が阻止され、作業者Hの墜落を防止することになる。
【0067】
また、作業面1で作業中の作業者Hが別の位置へと昇降移動したい場合には、先ず、作業者Hが一方の手で親綱2をしっかりと握って自身の体重をこの一方で手で支えてから、他方の手で前記ロック機構3に手を添えてロック解除し、墜落防止具Mを所望する位置へと昇降移動させて作業者H自身も昇降移動することができるが、この墜落防止具Mのロック機構3解除中に誤って足を滑らせた上、親綱2を掴んでいる手が滑ったり、握力が持たなかったりして作業者Hが落下してしまった場合には、親綱2に沿って下動する墜落防止具Mの下部を親綱沿設部10が受けることでリンク機構部11が動作して補助具Sの補助墜落防止機構9が機能し、前記間隔部8に挿通配設した親綱2に前記圧接体7が圧接して、この墜落防止具Mの下動につられて補助具Sが下動することを阻止するので、墜落防止具Mの下動も阻止されて作業者Hの墜落が確実に防止されることになる(図5参照。)。
【0068】
また、補助具Sは、墜落防止具Mと一緒に昇降移動させて、両者の距離が略一定の近距離に保たれるようにし、これにより万一作業者Hが落下した際に補助墜落防止機構9による落下停止までの距離が少なく、恐怖心や落下停止時の作業者Hの身体にかかる衝撃が小さくなるようにすることが望ましい。補助具Sを移動させる場合は、前記突設部28を補助具本体5と共に手で握り込んで突設部28を支承部6に接近させると、圧接体7が前記弾性体27の付勢力に抗する方向に回動して間隔部8が広くなるので、親綱2に対して移動可能となる。
【0069】
また、墜落防止具Mと補助具Sとを接続具16で接続していることで、両者の距離を適度に近づけた状態で確実に親綱2に対して昇降移動操作でき、補助具Sの移動し忘れも防止できる。
【0070】
また、補助具Sは、常態では圧接体7が弾性体27の力だけで親綱2に弱く圧接していて補助具Sだけをフリーに動かすことが可能であるため、補助具Sより下方に垂れ下がる親綱2にある程度の重量を具備する長さがあると、墜落防止具Mを親綱2に対し上昇移動させた際に、接続具16に引っ張られて補助具Sも連動上昇移動することになる(図7参照。)。
【0071】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0072】
1 作業面
1A 傾斜面
2 親綱
3 ロック機構
4 命綱
5 補助具本体
6 支承部
7 圧接体
8 間隔部
9 補助墜落防止機構
10 親綱沿設部
11 リンク機構部
12 受部
13 リンク体
14 一側枢着部
15 他側枢着部
16 接続具
H 作業者
M 墜落防止具
S 補助具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜面や垂直面などの作業面に垂れ下げた親綱に沿って移動可能に装着するものであって、親綱に対し位置決めロック・ロック解除自在に装着可能なロック機構を備えると共に、作業者に連結可能な命綱を備えて、この命綱に連結した作業者の荷重により前記ロック機構が親綱に対し位置決めロックあるいは強固に位置決めロックして作業者の墜落を防止するように前記ロック機構を構成した墜落防止具と、前記親綱に前記ロック機構を介して装着した前記墜落防止具より下方位置で親綱に沿って移動可能に装着するものであって、親綱を挿通可能な補助具本体に、この補助具本体に挿通した親綱を支承する支承部を設け、この支承部と間隔を置いた対向状態にして親綱に圧接し得る圧接体を補助具本体に設けて、この支承部と圧接体との間の間隔部に前記親綱を挿通配設し得るように構成した補助具とから成り、前記墜落防止具が前記親綱に沿って下動してきた際、この下動する墜落防止具を受けることで前記間隔部に挿通配設した親綱に前記圧接体を圧接せしめて、この墜落防止具の下動につられて前記補助具が下動することを阻止する補助墜落防止機構を、前記補助具に設けたことを特徴とする墜落防止用安全具。
【請求項2】
前記圧接体は、前記補助具本体に回動自在に設けると共に、この圧接体は、この圧接体の回動により前記間隔部を広狭調整し得る形状に形成して、この圧接体を前記間隔部が広くなる方向に回動させることで圧接体がこの間隔部に挿通した前記親綱を圧接せずに前記補助具本体が親綱に対し移動可能となると共に、この圧接体を前記間隔部が狭くなる方向に回動させることで圧接体がこの間隔部に挿通した親綱を圧接して補助具本体が親綱に対し位置決め状態で装着される構成とし、前記補助墜落防止機構は、前記墜落防止具が前記親綱に沿って下動してきた際、この下動する墜落防止具を受けることで前記圧接体を前記間隔部が狭くなる方向に回動させて親綱に圧接せしめる構成としたことを特徴とする請求項1記載の墜落防止用安全具。
【請求項3】
前記補助墜落防止機構は、前記圧接体に、前記墜落防止具と前記補助具本体の間で前記親綱に対し移動可能に沿設配設する親綱沿設部を突設すると共に、この親綱沿設部は、この親綱沿設部を親綱に沿って下動することで、前記圧接体を前記間隔部に挿通配設した親綱に圧接せしめるリンク機構部を介して圧接体に突設し、この親綱沿設部に、前記墜落防止具の下部を受支承する受部を設けて、この受部で親綱に沿って下動してきた墜落防止具の下部を受支承すると、この墜落防止具の下動に伴って親綱沿設部も親綱に沿って下動する構成としたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の墜落防止用安全具。
【請求項4】
前記リンク機構部は、前記圧接体にリンク体の一側を回動自在に枢着して、このリンク体の他側を圧接体より突設すると共に、このリンク体の他側に前記親綱沿設部を回動自在に枢着した構成として、この親綱沿設部の前記受部が、親綱に沿って下動してきた前記墜落防止具の下部を受支承して墜落防止具と共にこの親綱沿設部が親綱に沿って下動すると、この親綱沿設部との他側枢着部を支点に前記リンク体が連動すると共に、このリンク体の一側枢着部を支点に前記圧接体が連動して、前記間隔部に挿通配設した前記親綱を圧接する構成としたことを特徴とする請求項3記載の墜落防止用安全具。
【請求項5】
前記墜落防止具と、前記補助具とを接続するための接続具を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の墜落防止用安全具。
【請求項6】
傾斜面や垂直面などの作業面に沿って垂れ下げられた親綱に対して、前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の墜落防止用安全具の墜落防止具を、ロック機構を介して移動可能に装着すると共に、この墜落防止具の命綱に作業者を連結し、この墜落防止具より下方位置で前記親綱に、前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の墜落防止用安全具の補助具を移動可能に装着することを特徴とする墜落防止安全確保方法。
【請求項7】
傾斜面や垂直面などの作業面に垂れ下げた親綱に対し位置決めロック・ロック解除自在に装着可能なロック機構と、作業者に連結可能な命綱を備えて、この命綱に連結した作業者の荷重により前記ロック機構が親綱に対し位置決めロックあるいは強固に位置決めロックして作業者の墜落を防止するように前記ロック機構を構成した墜落防止具と共に併用し、親綱にロック機構を介して装着したこの墜落防止具より下方位置で親綱に装着する墜落防止具用補助具であって、前記親綱を挿通可能な補助具本体に、この補助具本体に挿通した親綱を支承する支承部を設け、この支承部と間隔を置いた対向状態にして親綱に圧接し得る圧接体を補助具本体に設けて、この支承部と圧接体との間の間隔部に前記親綱を挿通配設し得るように構成し、この補助具本体若しくは圧接体に、前記親綱に沿って下動してきた前記墜落防止具を受けることで前記間隔部に挿通配設した親綱に前記圧接体を圧接せしめて、この墜落防止具の下動につられて補助具本体が下動することを阻止する補助墜落防止機構を設けたことを特徴とする墜落防止具用補助具。
【請求項8】
前記圧接体は、前記補助具本体に回動自在に設けると共に、この圧接体は、この圧接体の回動により前記間隔部を広狭調整し得る形状に形成して、この圧接体を前記間隔部が広くなる方向に回動させることで圧接体がこの間隔部に挿通した前記親綱を圧接せずに前記補助具本体が親綱に対し移動可能となると共に、この圧接体を前記間隔部が狭くなる方向に回動させることで圧接体がこの間隔部に挿通した親綱を圧接して補助具本体が親綱に対し位置決め状態で装着される構成とし、前記補助墜落防止機構は、前記墜落防止具が前記親綱に沿って下動してきた際、この下動する墜落防止具を受けることで前記圧接体を前記間隔部が狭くなる方向に回動させて親綱に圧接せしめる構成としたことを特徴とする請求項7記載の墜落防止具用補助具。
【請求項9】
前記補助墜落防止機構は、前記圧接体に、前記墜落防止具と前記補助具本体の間で前記親綱に対し移動可能に沿設配設する親綱沿設部を突設すると共に、この親綱沿設部は、この親綱沿設部を親綱に沿って下動することで、前記圧接体を前記間隔部に挿通配設した親綱に圧接せしめるリンク機構部を介して圧接体に突設し、この親綱沿設部に、前記墜落防止具の下部を受支承する受部を設けて、この受部で親綱に沿って下動してきた墜落防止具の下部を受支承すると、この墜落防止具の下動に伴って親綱沿設部も親綱に沿って下動する構成としたことを特徴とする請求項7,8のいずれか1項に記載の墜落防止具用補助具。
【請求項10】
前記リンク機構部は、前記圧接体にリンク体の一側を回動自在に枢着して、このリンク体の他側を圧接体より突設すると共に、このリンク体の他側に前記親綱沿設部を回動自在に枢着した構成として、この親綱沿設部の前記受部が、親綱に沿って下動してきた前記墜落防止具の下部を受支承して墜落防止具と共にこの親綱沿設部が親綱に沿って下動すると、この親綱沿設部との他側枢着部を支点に前記リンク体が連動すると共に、このリンク体の一側枢着部を支点に前記圧接体が連動して、前記間隔部に挿通配設した前記親綱を圧接する構成としたことを特徴とする請求項9記載の墜落防止具用補助具。
【請求項11】
前記墜落防止具と接続するための接続具を備えたことを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の墜落防止具用補助具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−200969(P2010−200969A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49626(P2009−49626)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(391007747)株式会社興和 (17)
【出願人】(000223687)藤井電工株式会社 (60)
【Fターム(参考)】