説明

墜落防止装置のレール厚み検査ゲージ

【課題】墜落防止装置のレールの摩耗量が容易にできる検査ゲージの提供。
【解決手段】本発明に係るレール板厚の検査ゲージ2は、墜落防止装置のレール板の第一の面に当接する当て部26と、その先端がこのレール板の第一の面に平行な第二の面に当接しうる回動自在なレバー12を備えている。この検査ゲージ2は、レバー12の回動によってレバー12の先端と当て部26との距離が変動するように構成されている。この距離の最小値は、このレール板の基準厚みに設定されている。好ましくは、この検査ゲージ2の本体4は、ガイド部22及び挿入部24を備えている。このガイド部22、挿入部24及び当て部26は、平板である。この当て部26の基準面36は、下方に面している。このレバー12は、回転径方向外向きに面した測定面52を備えている。上記レバー12の先端と当て部26との距離は、基準面36と測定面52との距離である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所作業等に用いられる墜落防止装置のレールの摩耗量を検査するレール厚み検査ゲージに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に高所作業現場では、足場が平坦ではない。高所作業現場では、転落事故が発生する恐れがある。例えば、石油精製所及び石油中継所では、タンクローリー車のタンクの上で注油作業が行われる。このようなタンクの上は、高所であり、平坦でない。作業者が足を滑らせると転落事故となる怖れがある。このような転落事故を防止するための墜落防止装置が、特開2004−97562号公報に記載されている。
【0003】
図12は、タンクローリー車のタンク上での墜落防止装置112の使用状態が示された側面図である。高所作業現場においては、作業者は転落事故を防止するため墜落防止装置112を使用している。この墜落防止装置112は、構造物に固定されたレール114、レール114に案内されつつ移動可能にされたローラ部116、ローラ部に吊り下げられた巻取機118及び巻取機に巻かれた命綱120を備えている。この命綱120に、作業者の安全帯122が連結されている。
【0004】
図13は、図12の墜落防止装置112の一部が示された正面断面図である。図13には、レール114の断面及びローラ部116が示されている。レール114の断面は、下方に開口した略C型である。この下方の開口は、レール溝124である。レール114の内部には、レール溝124を間にして一対の走行溝126が形成されている。この走行溝126は、レール板128、側壁130及びガイド壁132から構成されている。ガイド壁132は、このレール板128のレール溝124側の端面から上方に延びている。
【0005】
ローラ部116は、フレーム134とこのフレーム134の上方に回転可能に支持されたローラ136を備えている。このローラ136が、レール114のレール板128に回転可能に接している。ローラ136が、走行溝126に案内されて回転する。これにより、ローラー部116はレール114の長手方向に移動可能とされている。
【0006】
図12の安全帯122を装着した作業者は、タンク上を移動する。作業者は、タンク上で注油作業をする。タンクの注油口の蓋が開けられる。注油ホースが注油口にセットされる。注油の後、注油ホースが外されて、注油口に蓋がされる。安全帯122を装着しているので、万一足を滑らせても転落が防止されている。この墜落防止装置112により、作業者は安全に移動して作業できる。この墜落防止装置112は、作業者の移動に伴う命綱120の付け替え作業がない。この墜落防止装置112により、作業者は効率的に作業できる。
【0007】
石油精製所及び石油中継所では、金属類の衝突による火花の発生を確実に防止する必要がある。鋼材で製作されたレール114及びローラ部116では、鋼材同士の衝突及び摺動により火花が発生する怖れがある。この墜落防止装置112では、鋼材を用いることができない。この墜落防止装置112のレール114の材質として、例えば押出成形されたアルミ合金が用いられる。このレール114は、鋼材のレールに比べて摩耗し易い。レール114のレール板128の上面を、ローラ136が転がり摺動する。レール114の摩耗を抑制するため、ローラ136に樹脂材料を用いることが考えられる。
【0008】
石油精製所及び石油中継所では、静電気による放電の発生を確実に防止する必要がある。図2の作業者の衣服、命綱120及び安全帯122には導電繊維が折り込まれている。この墜落防止装置112は、レール114が固定された構造物への通電が確保されている。作業者に発生する静電気は、構造物に逃がされている。このローラ136に樹脂材料を用いるとローラ136とレール114との間の通電が損なわれる。樹脂のローラ136では、作業者に静電気が蓄積され易くなる。墜落防止装置112のローラ136は、導電性の材料により製作される。ローラ部116の材質として、例えば銅合金である黄銅(Cu−Zn合金)が用いられる。これにより、作業者に静電気が帯電することが抑止されている。この墜落防止装置112は防爆対策が施されている。
【特許文献1】特開2004−97562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
レール板128の上面は、ローラ136が転がり、摺動する面である。この墜落防止装置112のレール114では、ローラ136によりレール板128が摩耗し易い。摩耗によりレール板128の厚みが薄くなると、レール114は破損する怖れがある。レール板128の厚みが、定期的に検査される。
【0010】
レール114は、レール溝124及びレール114の両端が開口となっている。レール板128の厚みは、レール溝124又はレール114の両端の開口から測定器が挿入されて測定される。レール溝124は狭い。レール溝124からの測定では、ガイド壁132を避けて測定しなければならない。ノギス、スケール等の測定器では、レール板128の厚み測定は困難である。ノギス、スケール等で測定する場合には、レール114を構造物から外して切断する必要がある。レール114の両端の開口からの測定では、レールの両端から測定器を挿入する必要がある。レール114の長手方向途中のレール板128の測定では、長手方向の測定箇所まで測定器を移動させる必要がある。長手方向途中のレール板128の厚みの検査は、容易ではない。
【0011】
本発明の目的は、墜落防止装置のレールの摩耗量の検査が容易にできる検査ゲージの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るレール板厚の検査ゲージは、墜落防止装置のレール板の第一の面に当接する当て部と、その先端がこのレール板の第一の面に平行な第二の面に当接しうる回動自在なレバーを備えている。この検査ゲージは、レバーの回動によってレバーの先端と当て部との距離が変動するように構成されている。この距離の最小値は、このレール板の基準厚みに設定されている。
【0013】
好ましくは、この検査ゲージは、本体を備えている。本体は、基部と、基部の左右側面に突出した軸部と、基部から上方に延びるガイド部と、ガイド部の上方から左右に延びる挿入部とを備えている。上記当て部は、挿入部の左右端から下方に延びている。このガイド部、挿入部及び当て部は、平板である。この当て部は、その下方端に基準面を備えている。この基準面は、下方に面している。上記レバーは、本体の軸部に支持されて水平方向の回転軸に回転自在にされている。このレバーは、回転径方向外向きに面した測定面を備えている。この基準面は、第一の面に当接させられている。この測定面は、第二の面に当接しうるように構成されている。上記レバーの先端と当て部との距離は、基準面と測定面との距離である。
【0014】
好ましくは、この検査ゲージは、上記本体に固定された水平板を備えている。本体、水平板及びレバーは、平板である。この本体の軸部は、上下方向の軸部となる上下方向軸部を構成している。この水平板は、前後方向の軸部となる前後方向軸部を備えている。このレバーは、軸孔を備えている。この上下方向軸部と前後方向軸部とは、直交している。このレバーは、上下方向軸部及び前後方向軸部を回転軸として回転可能に支持されている。
【0015】
好ましくは、この検査ゲージの上記本体は、左右方向側面に第一の案内面を備えている。上記水平板は、左右方向側面に第二の案内面を備えている。この第一の案内面と第二の案内面とが同一平面を形成している。この第一の案内面及び第二の案内面は、レバーの回転軸方向の移動を規制している。
【0016】
好ましくは、この検査ゲージは、上記レバーの先端と当て部との距離の最小値が異なる複数のレバーを備えている。
【0017】
好ましくは、この検査ゲージの上記レバーは、回転方向に複数の測定面を備えており、
各測定面と基準面との距離の最小値が異なっている。
【0018】
好ましくは、この検査ゲージは、上記レバーの測定面が回転方向の一端側から他端側までレバーの回転中心から徐々に離れるように形成されている。この測定面の所定の位置における基準面と測定面との距離の最小値が明示されている。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る検査ゲージは、墜落防止装置のレール溝から挿入できる。この検査ゲージは、レールの長手方向の所定箇所のレール板厚を簡単に検査できる。この検査ゲージはレール板の長手方向に摺動させつつ連続して検査することができる。この検査ゲージによるレール板の摩耗量の検査は、容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係るレール厚み検査ゲージ2が示された斜視図である。図2は、図1のゲージ2の分解斜視図である。図2において、X軸方向が左右方向あり、Y軸方向が前後方向であり、Z方向が上下方向である。このゲージ2は、本体4、一対の水平板6、4個の固定板8、4本のリベット10、一対のレバー12、一対の蓋14及び4本の割ピン16を備えている。
【0022】
図3は、図1のゲージ2の本体4の正面図である。図3の一点鎖線L1は、本体4の中心線である。この一点鎖線L1は、ゲージ2の上下方向に平行である。図3の一点鎖線L2は、一点鎖線L1と垂直に交差する直線である。この一点鎖線L2は、ゲージ2の左右方向に平行である。この本体4は、平らな鋼板である。両矢印W1はガイド部22の左右方向の幅である。図2の両矢印T1は、本体4の前後方向の厚みである。この本体4は、一点鎖線L1に対して左右対称である。この本体4は、基部18、一対の上下方向軸部20、ガイド部22、挿入部24及び一対の当て部26を備えている。
【0023】
基部18は、略正方形である。一点鎖線L2は、基部18の上下方向中央を通っている。基部18には、一対の孔28が形成されている。この孔28は左右方向外側に凹部29を備えている。この一対の孔28は、左右方向に一点鎖線L1に対して線対称である。この孔28は、上下方向に一点鎖線L2に対して線対称である。この基部18の左右側面の上下には、第一の案内面30が形成されている。この第一の案内面30は、一点鎖線L2に垂直な面である。
【0024】
上下方向軸部20は、基部18の左右側面から延びている。上下方向軸部20は、上下に位置する第一の案内面30の間に位置する。上下方向軸部20は、上下方向に一点鎖線L2に対して線対称である。上下方向軸部20の先端の近傍には割ピン孔32が形成されている。
【0025】
ガイド部22は、基部18の上方側面の中央から上方に延びている。ガイド部22は、正面視にて略長方形である。ガイド部22は、上下方向を長手方向としている。ガイド部22の左右方向幅W1は、本体4の厚みT1より大きい。
【0026】
挿入部24は、ガイド部22の上方に位置している。挿入部24はガイド部22から左右方向に延びている。挿入部24の中央には、孔34が形成されている。この挿入部24とガイド部22とで、正面視にてT字状の形状に形成されている。
【0027】
当て部26は、挿入部24の左右端の下方側面から下方に延びている。この当て部26の先端の下方面には、基準面36が形成されている。ガイド部22と当て部26との間にはガイド溝38が形成されている。
【0028】
図2に示されるように、水平板6は平らな鋼板である。水平板6は、厚みT1の平板である。水平板6は、前後方向軸部40、凹部41及び第二の案内面42を備えている。前後方向軸部40、凹部41及び第二の案内面42は、水平板6の左右方向一方の側面に形成されている。前後方向軸部40は、前後に位置する第二の案内面42の間に位置する。凹部41は、前後方向軸部40の前後方向中央に位置する。水平板6の前後方向の両端の近傍には、リベット孔44が形成されている。この水平板6が、本体4の孔28に通されている。水平板6は、凹部41と本体4の凹部29が噛み合って位置決めがされている。一方の水平板6は、前後方向軸部40、凹部41及び第二の案内面42を左右方向の一方の外向きにされている。他方の水平板6は、前後方向軸部40、凹部41及び第二の案内面42を左右方向の他方の外向きにされている。
【0029】
固定板8は、平らな鋼板である。固定板8は、前後方向一方の側面から突起45が突出している。左右方向両端近傍にはリベット孔46が形成されている。4つの固定板8のうちの固定板8aは、本体4の前方で水平板6の上に配置されている。固定板8aの突起45が本体4の一方の孔28に挿入されている。固定板8bは、本体4の前方で水平板6の下に配置されている。固定板8bの突起45が本体4の他方の孔28に挿入されている。突起45が孔28に挿入されていることにより、固定板8a及び8bの左右方向位置決めがされている。固定板8c及び固定板8dは、本体4の後方に配置されている。固定板8c及び固定板8dは、固定板8a及び8bと同様にして本体4に位置決めされている。
【0030】
リベット10は、上下に位置する固定板8が水平板6を挟んだ状態で、上下の固定板8のリベット孔46及び水平板6のリベット孔44とに通されている。これにより、水平板6は、本体4に固定されている。上下方向軸部20と前後方向軸部40とは左右方向で同じ位置にされている。上下方向軸部20及び前後方向軸部40の中心線は、一点鎖線L2に一致させられている。本体4の第一の案内面30と水平板6の第二の案内面42とは同一平面上に位置するように固定されている。一点鎖線L2は、この第一の案内面30と第二の案内面42とからなる平面に垂直である。
【0031】
レバー12は、平らな鋼板である。レバー12は、厚みT1の平板である。レバー12は一方向に突出した測定部48を備えている。レバー12には、軸孔50が形成されている。この測定部48の先端の側面には、測定面52が形成されている。測定面52は、軸孔50を軸線を回転軸とする回転径方向外向きに面している。軸孔50の中心から最も離れた側面が測定面52である。この軸孔50が、上下方向軸部20及び前後方向軸部40に通されている。レバー12は、上下方向軸部20及び前後方向軸部40を回転軸として回転可能に支持されている。このレバー12は、左右方向を回転軸として回転可能とされている。この上下方向軸部20及び前後方向軸部40の左右方向の位置は、当て部26の基準面36の左右方向の位置と一致している。
【0032】
蓋14は、平らな鋼板である。この蓋14は、左右方向から見て円形である。この蓋14は、中央部に孔54が形成されている。この孔54に、上下方向軸部20が通されている。本体4の割ピン孔32に割ピン16が通されている。この割ピン16により、レバー12及び蓋14は、上下方向軸部20からの抜け止めがされている。
【0033】
図1のゲージ2の使用方法が説明される。図4、図5、図6及び図7は、図1のゲージ2の使用状態が示された斜視図である。図8は、ゲージ2の図7に示された使用状態の正面図である。図4、図5、図6、図7及び図8では、このゲージ2が、レール56の検査に使用されている。このレール56は、水平方向に延びている。この水平方向に延びている方向がこのレール56の長手方向である。
【0034】
図8には、このレール56の長手方向に垂直な断面が示されている。レール56は、天板58、一対の側壁60、一対のレール板62、一対のガイド壁64を備えている。天板58は、前後方向に長尺の板である。この天板58の左右の端から、上下方向下向きに側壁60が延びている。この左右に位置する側壁60の下端からレール板62が延びている。レール板62は、レール56の左右方向の中央に向かって延びている。レール板62の左右方向の中央側の端からガイド壁64が延びている。このガイド壁64は、上下方向上向きに延びている。左右のガイド壁64の間には、レール溝66が形成されている。レール溝66はレール56の長手方向に延びる開口である。図8の両矢印W2は、このレール溝66の左右方向の幅である。側壁60、レール板62及びガイド壁64は、レール56の内部に走行溝67を形成している。
【0035】
図4に示されるように、ゲージ2は、左右方向をレール56の長手方向に合わせて支持される。ゲージ2の挿入部24が、レール溝66からレール56の内部に挿入される。本体4の厚みT1は、レール溝幅W2より十分に小さい。これにより、挿入部24をレール56の内部に挿入することは、容易である。ゲージ2は、当て部26がガイド壁64より上方に位置する位置まで挿入される。
【0036】
図5に示されるように、この挿入位置でゲージ2は上下方向を回転軸として回転させられる。ゲージ2の前後方向がレール56の長手方向に合わされる。図6に示されるように、ゲージ2の前後方向がレール56の長手方向にされた姿勢のまま下方に下げられる。当て部26が走行溝67に挿入される。当て部26の基準面36がレール板62の第一の面68に当接する。
【0037】
ガイド部22の幅W1は、本体4の厚みT1より大きい。ガイド部22の幅W1は、レール溝幅W2より僅かに小さくされている。これにより、本体4の左右方向の移動範囲は、レール溝幅W2とガイド部22の幅W1との差の範囲に規制されている。これにより、基準面36は、左右方向に大きくずれない。基準面36は、レール板62のローラ136が当接する第一の面68に確実に当接させられている。
【0038】
図7に示すように、レバー12が回転させられる。レバー12は、上下方向軸部20及び前後方向軸部40を回転軸として回転する。レバー12は、本体4の第一の案内面30及び水平板6の第二の案内面42を案内面として回転する。レバー12の測定面52が、レール板62の第二の面69に近づけられる。このレール板62では、この第二の面69は、第一の面68に平行な面である。
【0039】
図8の両矢印T2は、レール板62の初期の厚みを示している。図8の両矢印T3は、レール板62の許容最小厚みを示している。図8の両矢印T2と両矢印T3の差の斜線で示された部分は、レール板62の摩耗量が示されている。
【0040】
レバー12の測定面52と当て部26の基準面36との距離の最小値は、所定の基準厚みに設定されている。このゲージ2では、この最小値は、許容されるレール板62の最小厚みにされている。回転させられるレバー12の測定面52がレール板62の下面に接触して停止すれば、レール板62の厚みは許容最小厚みより厚い。この場合、レール56は、まだ交換時期に至っていない。レバー12がレール板62の下面に接触せず回転すれば、レール板62の厚みは許容される最小厚みより薄い。この場合、レール56は交換される。
【0041】
このレバー12の回転軸は、本体4の上下方向軸部20と水平板6の前後方向軸部40とが直交して形成されている。これにより、レバー12の回転軸は軽量にできている。本体4の第一の案内面30及び水平板6の第二の案内面42が、レバー20の左右方向の回転位置を規制している。上下方向軸部20と前後方向軸部40と直交することで、レバー12は回転軸回りに安定して回転させられる。これにより、このゲージ2は、レール板62の厚みを正確に検査できる。
【0042】
この検査ゲージ2の主要部品は、鋼板を切り抜いて作成されている。このゲージ2は、安価に製作することができる。このゲージ2は、容易に製作することができる。
【0043】
本体4は、当て部26及び上下方向軸部20の位置を変えた本体に変更することができる。このゲージ2は、容易に寸法の異なるレールのレール厚み検査ゲージとして使用することができる。レバー12は、軸孔50の中心から測定面52までの寸法が異なるレバーに容易に交換できる。このゲージ2は、容易に許容最小厚みの異なるレールの検査ゲージとして使用することができる。このゲージ2は、部品の変更で種々のレールの検査ゲージとして使用できる。
【0044】
ここでは、レバー12は、左右方向を回転軸に回転させられている。レバー12は、本体4に形成された上下方向の回転軸に対して回転させられてもよい。基準面36は、上下方向下向きに設けられる。測定面52は上下方向上向きに設けられる。基準面36と測定面52とが上下方向に対向して設けられる。レバー12が、上下方向の回転軸に対して回転する。これにより、基準面36と測定面52との間の距離が変動する。この最小値が、レール板62の所定の厚みに設定される。
【0045】
図9は、本発明の他の実施形態に係るレール厚み検査ゲージ70の斜視図である。ここでは、図1のゲージ2と異なる部分について説明がされる。ゲージ2と同じ構成については、その説明が省略される。ゲージ70は、一対の第一レバー72及び一対の第二レバー74を備えている。第一レバー72は、測定面76を備えている。第二レバー74は、測定面78を備えている。本体4の基準面36と測定面76との距離の最小値は、基準面36と測定面78との距離の最小値より大きい。
【0046】
基準面36と測定面76との距離の最小値は、交換時期の最大厚みに設定されている。基準面36と測定面78との距離の最小値は、許容最小厚みに設定されている。このゲージ70が、図7に示されたゲージ2と同様にレール56に取り付けられる。第一レバー72が、レール板62の第二の面69に近づけられる。第一レバー72により、レール板62が交換時期の厚み以下になっていないか確認される。
【0047】
第一レバー72が回転した場合、レール板62は交換時期の最大厚みより薄い。第一レバー72が回転した位置で、第二レバー74が、レール板62の第二の面69に近づけられる。第二レバー74により、レール板62が許容最小厚み以下になっていないか確認される。このゲージ70は、レール板62を2段階の基準厚みで検査できる。このゲージ70は、いずれか一方のレバーを厚みの検査に使用されてもよい。
【0048】
第一レバー72が回転し、第二レバー74が回転しない場合には、このレール板62は許容最小厚みより厚いが交換時期の最大厚みより薄い。このレール56は、交換時期と判断される。第一レバー72及び第二レバー74が共に回転する場合には、このレール56のレール板62は許容最小厚みより薄い。このレール56は、交換される。
【0049】
このゲージ70は、レバーを2種類備えているが、レバーを3種類備えていてもよい。3種類のレバーを備えたレール厚み検査ゲージは、3段階で厚みを検査できる。更に、レバーは、4種類以上で備えられていてもよい。
【0050】
図10は、本発明の更に他の実施形態に係るレール厚み検査ゲージ80の斜視図である。ここでは、図1のゲージ2と異なる部分について説明がされる。ゲージ2と同じ構成については、その説明が省略される。ゲージ80は、レバー82を備えている。
【0051】
このレバー82は、測定部84、86及び88を備えている。測定部84、86及び88は、レバー82の回転方向に等間隔に位置している。測定部84は、その先端に測定面90を備えている。測定部86は、その先端に測定面92を備えている。測定部88は、その先端に測定面94を備えている。
【0052】
本体4の基準面36と測定面90との距離の最小値は、基準面36と測定面92との距離の最小値より大きい。基準面36と測定面92との距離の最小値は、基準面36と測定面94との距離の最小値より大きい。基準面36と測定面90との距離の最小値は、交換時期の最大厚みに設定されている。基準面36と測定面92との距離の最小値は、許容最小厚みに設定されている。基準面36と測定面94との距離の最小値は、使用禁止厚みに設定されている。
【0053】
このゲージ80が、図7に示されたゲージ2と同様にレール56をスライドさせられる。この測定部84が、レール板62の第二の面69に近づけられる。測定部84が回転する場合、このレール板62は交換時期である。このレール板62の第二の面69に、測定部86が近づけられる。測定部86が回転する場合、このレール板62は交換される。このレール板62の第二の面69に、測定部88が近づけられる。測定部88が回転する場合、このレール板62は使用禁止にされる。このレール62は、直ちに交換される。このゲージ80は、3段階で厚みを検査できる。このレバー82は、3つの測定部84、86及び88を備えているが、測定部は2つでもよい。測定部は、4つ以上であってもよい。
【0054】
図11は、本発明の更に他の実施形態に係るレール厚み検査ゲージ96の斜視図である。ここでは、図1のゲージ2と異なる部分について説明がされる。ゲージ2と同じ構成については、その説明が省略される。このゲージ96は、レバー98を備えている。このレバー98は、測定部100を備えている。測定部100は、その先端に測定面102を備えている。
【0055】
図11の点Pは、このレバー98の回転中心である。両矢印R1は、測定面102の回転方向の一端の面から点Pまでの距離である。両矢印R2は、測定面102の回転方向の他端の面から点Pまでの距離である。距離R1は、距離R2より短くされている。この測定面102は、一端側の面から他端側の面まで徐徐に点Pから離れている。この先端部100には、目盛がつけられている。この目盛は、目盛の示す位置での測定面102と基準面36との距離の最小値を示している。
【0056】
このゲージ96が、図7に示されたゲージ2と同様にレール56をスライドさせられる。このレバー98が回転させられる。このゲージ96の測定面102とレール板62の第二の面69が接触する。これによりレバー98の回転が止められる。レール板62の第二の面69に対するこの測定面102の接触位置により、レール板62の厚みが測定される。このゲージ96は、レール板62の厚みを簡易に測定できる。このレバー98は、ゲージ70又はゲージ80に用いられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、高所作業等の墜落防止装置のレールの摩耗量を検査する、レール厚み検査ゲージに適用しうる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るレール厚み検査ゲージが示された斜視図である。
【図2】図2は、図1のレール厚み検査ゲージの分解斜視図である。
【図3】図3は、図1のレール厚み検査ゲージの本体の正面図である。
【図4】図4は、図1のレール厚み検査ゲージの使用状態が示された斜視図である。
【図5】図5は、図1のレール厚み検査ゲージの使用状態が示された斜視図である。
【図6】図6は、図1のレール厚み検査ゲージの使用状態が示された斜視図である。
【図7】図7は、図1のレール厚み検査ゲージの使用状態が示された斜視図である。
【図8】図8は、本発明に係るレール厚み検査ゲージの図7に示された使用状態の正面図である。
【図9】図9は、本発明の他の実施形態に係るレール厚み検査ゲージの斜視図である。
【図10】図10は、本発明の更に他の実施形態に係るレール厚み検査ゲージの斜視図である。
【図11】図11は、本発明の更に他の実施形態に係るレール厚み検査ゲージの斜視図である。
【図12】図12は、タンクローリー車のタンク上での墜落防止装置の使用状態が示された側面図である。
【図13】図13は、図12の墜落防止装置の一部が示された正面断面図である。
【符号の説明】
【0059】
2・・・ゲージ
4・・・本体
6・・・水平板
8、8a、8b、8c、8d・・・固定板
10・・・リベット
12・・・レバー
14・・・蓋
16・・・割ピン
18・・・基部
20・・・上下方向軸部
22・・・ガイド部
24・・・挿入部
26・・・当て部
28・・・孔
29・・・凹部
30・・・案内面
32・・・割ピン孔
34・・・孔
36・・・基準面
38・・・ガイド溝
40・・・前後方向軸部
41・・・凹部
42・・・案内面
44・・・リベット孔
45・・・突起
46・・・リベット孔
48・・・測定部
50・・・軸孔
52・・・測定面
54・・・孔
56・・・レール
58・・・天板
60・・・側壁
62・・・レール板
64・・・ガイド壁
66・・・レール溝
67・・・走行溝
68、69・・・面
70・・・ゲージ
72・・・第一レバー
74・・・第二レバー
76、78・・・測定面
80・・・ゲージ
82・・・レバー
84、86、88・・・測定部
90、92、94・・・測定面
96・・・ゲージ
98・・・レバー
100・・・測定部
102・・・測定面
112・・・墜落防止装置
114・・・レール
116・・・ローラ部
118・・・巻取機
120・・・命綱
122・・・安全帯
124・・・レール溝
126・・・走行溝
128・・・レール板
130・・・側壁
132・・・ガイド壁
134・・・フレーム
136・・・ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
墜落防止装置のレール板の第一の面に当接する当て部と、
その先端がこのレール板の第一の面に平行な第二の面に当接しうる回動自在なレバーを備えており、
このレバーの回動によってレバーの先端と当て部との距離が変動するように構成されており、
この距離の最小値がこのレール板の基準厚みに設定されているレール板厚の検査ゲージ。
【請求項2】
本体を備えており、
本体が基部と、基部の左右側面に突出した軸部と、基部から上方に延びるガイド部と、ガイド部の上方から左右に延びる挿入部とを備えており、
上記当て部が挿入部の左右端から下方に延びており、
このガイド部、挿入部及び当て部が平板であり、
この当て部がその下方端に基準面を備えており、
この基準面が下方に面しており、
上記レバーが本体の軸部に支持されて水平方向の回転軸に回転自在にされており、
このレバーが回転径方向外向きに面した測定面を備えており、
この基準面が第一の面に当接させられて、
この測定面が第二の面に当接しうるように構成されており、
上記レバーの先端と当て部との距離が基準面と測定面との距離である請求項1に記載の検査ゲージ。
【請求項3】
上記本体に固定された水平板を備えており、
本体、水平板及びレバーが平板であり、
この本体の軸部が上下方向の軸部となる上下方向軸部を構成しており、
この水平板が前後方向の軸部となる前後方向軸部を備えており、
このレバーが軸孔を備えており、
この上下方向軸部と前後方向軸部とが直交しており、
このレバーが上下方向軸部及び前後方向軸部を回転軸として回転可能に支持されている請求項1又は2に記載の検査ゲージ。
【請求項4】
上記本体が左右方向側面に第一の案内面を備えており、
上記水平板が左右方向側面に第二の案内面を備えており、
この第一の案内面と第二の案内面とが同一平面を形成しており、
この第一の案内面及び第二の案内面がレバーの回転軸方向の移動を規制している請求項3に記載の検査ゲージ。
【請求項5】
上記レバーの先端と当て部との距離の最小値が異なる複数のレバーを備えている請求項1から4のいずれかに記載の検査ゲージ。
【請求項6】
上記レバーが回転方向に複数の測定面を備えており、
各測定面と基準面との距離の最小値が異なっている請求項2から4のいずれかに記載の検査ゲージ。
【請求項7】
上記レバーの測定面が回転方向の一端側から他端側までレバーの回転中心から徐々に離れるように形成されており、
この測定面の所定の位置における基準面と測定面との距離の最小値が明示されている請求項2から6に記載の検査ゲージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−2262(P2010−2262A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160315(P2008−160315)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000223687)藤井電工株式会社 (60)
【出願人】(391009372)ミドリ安全株式会社 (201)
【Fターム(参考)】