説明

壁掛け型情報装置

【課題】レーザ溶着手段を採用しながらも、外観体裁を良好にすることができるとともに製造コストの抑制をも適切に図ることが可能な壁掛け型情報装置を提供する。
【解決手段】壁掛け型情報装置Aの筐体Cは、樹脂製の第1および第2の部材1,2を有しており、第1の部材1は、レーザ光の吸収性を有し、かつ第2の部材2は、第1の部材1よりも高いレーザ透過性を有するものとされて、第1および第2の部材1,2は、レーザ溶着されており、筐体Cには、その前面部26および周側面部27を覆い隠すカバー体4が取り付けられ、カバー体4の正面側から筐体Cの外面が目視されることが妨げられた構成とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室やその他の場所の壁面に取り付けて使用される給湯器用のリモコン装置や、壁掛け型テレビなどの壁掛け型情報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、浴室に設置される給湯器用のリモコン装置は、一般的には、浴室の壁面に取り付けられる筐体内に、所定のデータ処理回路が収容され、前記筐体の前面部には、データ表示画面や操作スイッチが配された構成とされている。筐体は、樹脂製の複数の部材を接合して構成されるが、従来においては、その接合手段として、接着剤を用いた接着手段が多用されている。ただし、前記した接着剤を用いた手段によれば、接着剤塗布作業が煩雑である他、筐体の製造作業工程中において接着剤塗布後の硬化時間が必要となり、筐体を製造するためのリードタイムも長くなる。また、筐体とは異なる成分の接着剤を使用した場合には、リサイクル時などにおいてその分別に苦慮するといった事態も生じる。
【0003】
なお、従来においては、前記した接着剤を用いる手段とは他に、2つの樹脂製部材の間に金属線を挟み込んで、この金属線を外部からの通電によって発熱させることにより、前記樹脂製部材を熱溶着させる手段がある。また、2つの樹脂製部材の間にパッキンを挟み込んだ状態として、それらをビスを用いて連結するといった手段もある。ところが、これらのいずれの手段においても、部品点数が多くなって製造工程の煩雑化を招く。さらに、リサイクル時などにおいては、やはりその分別に苦慮するといった問題があった。
【0004】
一方、特許文献1には、浴室テレビの表示画面を覆う透明カバーを、筐体表面に接着する手段として、レーザ溶着手段を採用することが記載されている。レーザ溶着手段を採用すれば、接着剤を用いる場合の不具合を解消することが可能である。そこで、本発明者は、給湯器用のリモコン装置の筐体を製造する場合において、前記したレーザ溶着手段を用いることを着想した。
【0005】
しかしながら、筐体を構成する2つの部材の接着手段として、レーザ溶着手段を採用する場合には、2つの部材のうち、一方をレーザ光の透過性樹脂とし、かつ他方をレーザ光の吸収性樹脂とする必要があり、それらの光学的特性が限定される。一方、給湯器用のリモコン装置は、外観体裁を良好にすることが強く要請される。したがって、このような要請に応えるべく、筐体を構成する2つの部材をレーザ溶着に適合する光学特性のものにしつつ、筐体全体の外観体裁を良好なものに仕上げるには、レーザの透過性あるいは吸収性を向上させ得るとともに、鮮明な色彩性を得ることが可能な高価な着色剤(顔料、染料)を含有した樹脂を、原材料とする必要が生じる。これでは、筐体の原材料コストが嵩むこととなる。リモコン装置の製造コストを廉価にする観点からすると、このような点において改善すべき余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−212435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであって、レーザ溶着手段を採用しながらも、外観体裁を良好にすることができるとともに製造コストの抑制をも適切に図ることが可能な壁掛け型情報装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明により提供される壁掛け型情報装置は、樹脂製の第1および第2の部材が接着されて、これら第1および第2の部材によって囲まれた領域にデータ処理回路が収容されており、かつ取り付け対象の壁面に背面部が対面するようにして取り付けられる筐体を、備えている、壁掛け型情報装置であって、前記第1の部材は、レーザ光の吸収性を有し、かつ前記第2の部材は、前記第1の部材よりも高いレーザ透過性を有するものとされて、前記第1および第2の部材は、レーザ溶着されており、前記筐体には、前記筐体の前面部および周側面部を覆い隠すカバー体が取り付けられ、前記カバー体の正面側から前記筐体の外面が目視されることが妨げられた構成とされていることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、壁掛け型情報装置の筐体を構成する第1および第2の部材がレーザ溶着されているために、接着剤を用いてそれらを接着する場合にみられるような不具合、たとえば接着剤塗布作業の煩雑さ、接着剤硬化時間の待機によるリードタイムの長期化、および接着剤が環境に与える影響などを好適に解消することができる。一方、筐体の前面部および周側面部は、カバー体によって覆い隠され、筐体の外面を目視することが困難な状態とされているために、筐体を構成する第1および第2の部材は、レーザ溶着を行なうのに必要とされる光学的特性を満たせばよいこととなり、所望の色彩を鮮明に生じさせる高価な着色剤を含有する樹脂製にする必要はない。その結果、第1および第2の部材の原材料コストを廉価なものとして、装置全体の製造コストを低減することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記第1の部材には、前記データ処理回路が収容された領域の周囲において前記第2の部材に当接する正面視ループ状の突出部が設けられ、この突出部と前記第2の部材との当接部分に、正面視ループ状のレーザ溶着部が設けられている。
【0012】
このような構成によれば、データ処理回路が収容された領域の周囲が、レーザ溶着部によってシールされた構造となり、前記領域内に水や微小なダスト類が進入するといったことが的確に防止される。したがって、高い防水性あるいは防塵性が求められる用途に好適なものとなる。
【0013】
本発明において、好ましくは、前記第1および第2の部材、ならびに前記カバー体の三者は、色彩が相違している。
【0014】
このような構成によれば、第1および第2の部材を、カバー体と同一の色彩にするための着色剤を含む樹脂製にする必要がない。また、第1および第2の部材どうしを同一の色彩に揃えるための着色剤を用いる必要もない。このため、着色剤の使用量を抑制し、第1および第2の原材料コストを低減するのに、より好ましいものとなる。
【0015】
本発明において、好ましくは、前記第1の部材は、着色剤として、前記第2の部材よりもレーザ吸収率を高めるための着色剤のみを含有する樹脂製であり、前記第2の部材は、着色剤を含有しない樹脂製である。
【0016】
このような構成によれば、第1および第2の部材に含有される着色剤の量を、最小またはそれに近い量とすることが可能となり、原材料コストの低減化をより徹底して図ることができる。
【0017】
本発明において、好ましくは、前記筐体の前面部には、前記データ処理回路に設けられ
たデータ表示器のデータ表示画面を外部から目視可能とするディスプレイ用の開口部が形成されているとともに、前記データ処理回路に設けられている操作スイッチに対応した表示がなされた操作表示シートが貼付されており、前記カバー体は、前記筐体の前面部のうち、前記ディスプレイ用の開口部および前記操作表示シートの貼付領域以外の領域を覆うように構成されている。
【0018】
このような構成によれば、データ表示機能や操作機能を確保しつつ、筐体の外面が外部から目視できないようにすることができる。
【0019】
本発明において、好ましくは、前記筐体の前面部には、この前面部の正面方向に突出する段部が設けられて、この段部に前記ディスプレイ用の開口部が形成され、かつ前記段部の前面部のうち、前記ディスプレイ用の開口部以外の領域が、前記操作表示シートによって覆われており、前記カバー体は、前記筐体の前面部に対向する主壁部に、前記段部が嵌入する開口窓が形成された構成を有し、この開口窓を介して前記データ表示画面の目視が可能とされているとともに、前記操作表示シートの外部への露出が図られている。
【0020】
このような構成によれば、筐体の前面部のうち、段部が形成された領域については操作表示シートによって適切に覆い隠し、かつこれ以外の領域については、カバー体の主壁部によって適切に覆い隠すことができる。筐体の段部は、カバー体の主壁部に設けられた開口窓に嵌入しているために、カバー体の開口窓が前記段部から大きく位置ずれするようなことも適切に防止することが可能である。
【0021】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明が適用された壁掛け型情報装置の具体例としての給湯器用のリモコン装置の一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示すリモコン装置の分解斜視図である。
【図3】図1のIII−III断面図である。
【図4】図3の分解断面図である。
【図5】図3に示す第1および第2部材をレーザ溶着する状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0024】
図1〜図5は、本発明が適用された給湯器用のリモコン装置の一例を示している。本実施形態のリモコン装置Aは、図1に示すように、たとえば浴室の壁面90に取り付けられて使用されるものであり、図2および図3によく表われているように、筐体Cを構成する第1および第2の部材1,2、データ処理回路3が設けられた回路基板30、カバー体4、および操作表示シート5を具備している。
【0025】
第1および第2の部材1,2は、互いに重ね合わされて、後述するレーザ溶着部29を介して接着されており、データ処理回路3を収容する領域10を内部に形成している。第1および第2の部材1,2のそれぞれは、たとえばABS樹脂製である。ただし、第1の部材1は、レーザ光を吸収して発熱可能なレーザ光吸収性を有している。このための手段として、第1の部材1は、着色剤(顔料または染料)としてたとえばカーボンブラックを含有した樹脂製とされており、黒色系の色彩を有している。これに対し、第2の部材2は、第1の部材1よりもレーザ光の透過率が高く、レーザ光透過性を有している。このための手段として、第2の部材2は、着色剤を含有していないものとされ、ABS樹脂自体の
色彩、すなわちやや黄みを帯びた白色となっている。なお、第1および第2の部材1,2を構成する樹脂中には、機械的強度を高めるためのフィラが適宜混入されている。
【0026】
第1の部材1は、正面視略矩形の背板部11と、この背板部11の外周縁からその正面に突出する正面視ループ状の突出部12とを有している。第2の部材2は、第1の部材1の正面に重ねられた配置であり、この第2の部材2の外周縁の背面部には、第1の部材1の突出部12に外嵌するループ状の嵌合用凸部20が形成されている。第2の部材2の背面部のうち、嵌合用凸部20に隣接する箇所には、突出部12の先端が当接し、この当接部分にレーザ溶着部29が設けられている。このレーザ溶着部29は、図5に示すように、第2の部材2側からレーザ光を照射することにより設けられる。レーザ光源としては、半導体レーザを用いることが可能であり、その波長は、たとえば800〜940nmの範囲内である。レーザ溶着部29は、突出部12と同様に、正面視ループ状に設けられており、筐体C内の領域10の全周囲を囲み込むシール部として機能する。
【0027】
筐体Cは、第1の部材1の背板部11が浴室の壁面90に対面するようにして壁面90に取り付けられる。筐体Cの取り付け手段としては、図2に示すように、たとえば第1および第2の部材1,2に設けられたネジ体挿通用孔13,23に固定用のネジ体(図示略)を挿通して行なうネジ止め手段、あるいは図3に示すように、壁面90に開口した孔部91内に配置固定されるステイパイプなどの部材(図示略)を用いて第1の部材1を支持させる手段などを適宜採用することができる。
【0028】
データ処理回路3は、回路基板30上に実装された各種の電気・電子部品(図示略)を用いて構成されている。回路基板30には、データ表示器36や複数の操作スイッチ31が設けられている。データ表示器36は、たとえば液晶表示器である。複数の操作スイッチ31は、操作表示シート5および第2の部材2を介して間接的に操作される押圧式である。より詳細には、操作表示シート5は、たとえば合成樹脂製の可撓性を有するシートであり、第2の部材2の前面部26に貼付されている。この操作表示シート5の表面には、複数の操作スイッチ31の位置や機能などを示す表示が付されている(図面では、その詳細を省略)。第2の部材2には、撓み変形が可能な複数の変形可能部24が設けられている。操作表示シート5における操作スイッチの表示箇所がユーザによって押圧されると、その背面に位置する変形可能部24が撓み変形し、操作スイッチ31が押圧される。もちろん、このような押圧式の操作スイッチに代えて、非押圧式(無接触方式)の操作スイッチを採用することもできる。
【0029】
データ処理回路3は、操作スイッチ31の操作に対応して、このリモコン装置Aと給湯器との間で実行されるデータ通信制御や、データ表示器36に所定の必要なデータを表示するなどのデータ処理を実行可能である。第2の部材2には、データ表示器36のデータ表示画面を外部から目視可能とするためのディスプレイ用の開口部25が設けられている。データ処理回路3の電気配線35は、第1の部材1の背板部11に設けられた穴14を介して筐体Cの外部に導出される。
【0030】
第2の部材2の前面部26のうち、中央寄り部分は、他の周辺部分よりも正面側に適当な寸法s1だけ突出した段部26aとして形成されている。この段部26aは、たとえば正面視矩形状であり、この段部26aに、ディスプレイ用の開口部25および複数の変形可能部24が設けられている。操作表示シート5は、段部26aの前面部に貼付されており、段部26aの前面部の全域(開口部25は除く)を覆い隠している。操作表示シート5は、不透明シートである。
【0031】
カバー体4は、不透明な樹脂製であり、たとえば着色剤として二酸化チタンを含有する白色または白色系のABS樹脂製である。このカバー体4は、開口窓42が形成された主
壁部40、およびこの主壁部40の外周縁から背面側に向けて突出した枠状突縁部41を有している。枠状突縁部41は、筐体Cに外嵌しており、この外嵌作用により、筐体Cに対するカバー体4の取り付けが図られている。ただし、枠状突縁部41および筐体Cに、互いに係合可能な凸部または凹部を設けるなどして、カバー体4が筐体Cから容易に外れないようにする手段を適宜採用することもできる。
【0032】
カバー体4の開口窓42には、第2の部材2の段部26aが嵌入している。このことにより、操作表示シート5は外部に露出しており、またデータ表示器36のデータ表示画面を外部から目視することが可能となっている。その一方、筐体Cの前面部26(第2の部材2の前面部)のうち、段部26aを除く領域は、カバー体4の主壁部40によって覆い隠されている。筐体Cの上下左右の周側面部27(第1および第2の部材1,2のそれぞれの周側面部27)の略全域は、カバー体4の枠状突縁部41によって覆い隠されている。
【0033】
次に、前記したリモコン装置Aの作用について説明する。
【0034】
まず、筐体Cは、第1および第2の部材1,2がレーザ溶着部29を介して接着された構成であるために、接着剤を用いてそれらを接着する場合とは異なり、接着剤硬化時間を要することなくリモコン装置Aの製造を迅速に進めることが可能であり、生産性が良い。また、接着剤に起因する環境への悪影響なども好適に解消することができる。さらに、レーザ溶着部29は、優れたシール性を発揮し、データ処理回路3が収容された領域10に水や微小ダスト類が進入することを適切に防止することもでき、データ処理回路3の保護を的確に図ることが可能である。
【0035】
第1の部材1は、たとえばカーボンブラックを着色剤とする樹脂製であり、第2の部材2は、着色剤を含有しない樹脂製であるため、これら第1および第2の部材1,2の原材料コストは廉価にすることが可能である。したがって、かかる原材料コストの低減と、レーザ溶着手段の採用による生産性向上との相乗効果に基づき、リモコン装置Aの製造コストを大きく低減することが可能である。
【0036】
一方、第1および第2の部材1,2は、前記したような樹脂製とされているために、筐体Cは鮮やかな色彩を有さず、見栄えがさほど良好なものではない。これに対し、この筐体Cの前面部26および周側面部27は、着色剤を用いて白色系に適切に着色されているカバー体4によって覆われている。また、カバー体4の開口窓42に対応する箇所は、操作表示シート5によって覆われている。このため、筐体Cの外面は外部から見えず、リモコン装置Aの全体の外観体裁を美麗なものにすることができる。カバー体4の開口窓42は、操作表示シート5が貼付された段部26aに外嵌しており、開口窓42と段部26aとが大きく位置ずれすることも適切に防止される。開口窓42が段部26aから位置ずれしたのでは、筐体Cの前面部26のうち、段部26a以外の箇所が開口窓42を介して外部から見えてしまう不具合を生じるが、本実施形態によれば、そのようなことも適切に防止される。
【0037】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る壁掛け型情報装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0038】
筐体を構成する第1および第2の部材のうち、第1の部材は、レーザ光を受けることにより発熱して溶融することが可能な程度にレーザ光の吸収性があればよい。したがって、レーザ光の吸収性を高くするための着色剤として、カーボンブラック以外の着色剤が用いられていてもよい。また、第1の部材にレーザ光の吸収性をもたせるための手段としては、必ずしもレーザ光吸収用の着色剤を用いなくてよい。第1の部材が、本来的に余り光吸
収性が高くない材質でない場合に、その表面に比較的高出力のレーザ光を照射することによって、その表面を焦がす手段を採用することもできる。レーザ光の照射によって焦げた部分は、濃色となり、レーザ光の吸収性をもたせることが可能である。第2の部材は、レーザ光の透過性を有すればよく、材料コストの低減化を徹底する観点からすると、前記実施形態と同様に、着色剤を含有しない樹脂製とすることが好ましいが、あえて着色剤を含有したものとされていてもかまわない。
【0039】
第1および第2の部材は、これらがレーザ溶着されて組み合わされていることにより、内部にデータ処理回路を収容する領域が形成された筐体を構成するものであればよく、上述した実施形態以外の種々の形状にすることができる。もちろん、その材質は、ABS樹脂に限定されない。第1および第2の部材を、同一または同質の樹脂製とすれば、これらの溶着性を良好にすることが可能であるが、これらを異なる種類の樹脂製としてもかまわない。第1および第2の部材は、同一の色彩とすることも可能である。また、上述の実施形態では、第1の部材が壁面寄りに位置し、第2の部材が第1の部材の正面側に配置されているが、本発明はやはりこれに限定されない。本発明においては、前記とは逆に、レーザ光の透過性を有する第2の部材が壁面寄りに位置し、レーザ光の吸収性を有する第1の部材が第2の部材の正面側に配置された構成とすることもできる。
【0040】
カバー体の色彩は、白色または白色系に限らず、種々の色彩にすることが可能である。また、カバー体は単一色である必要もなく、模様などが表示されたものとすることができる。カバー体は、このカバー体の正面側から筐体の外面が目視されることを妨げるように、筐体の前面部や周側面部の全域、あるいはそれらの領域のうち、操作表示シートなどによって隠されていない領域を覆い隠すことが可能な構成であればよく、その具体的な形状などは、やはり限定されない。
【0041】
本発明が適用される壁掛け型情報装置は、浴室に設置される給湯器用のリモコン装置に限定されず、浴室以外の場所に設置される給湯器用または給湯器以外の機器用の壁掛け型のリモコン装置、リモコン装置以外のたとえばテレビなどのディスプレイ装置、あるいは通信装置などとして構成することもできる。
【符号の説明】
【0042】
A リモコン装置(壁掛け型情報装置)
C 筐体
1 第1の部材
2 第2の部材
3 データ処理回路
4 カバー体
5 操作表示シート
10 領域(筐体内の)
11 背板部(第1の部材の)
12 突出部(第1の部材の)
26 第2の部材の前面部(筐体の前面部)
26a 段部
27 周側面部(筐体の)
29 レーザ溶着部
31 操作スイッチ
36 データ表示器
40 主壁部(カバー体の)
42 開口窓
90 壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の第1および第2の部材が接着されて、これら第1および第2の部材によって囲まれた領域にデータ処理回路が収容されており、かつ取り付け対象の壁面に背面部が対面するようにして取り付けられる筐体を、備えている、壁掛け型情報装置であって、
前記第1の部材は、レーザ光の吸収性を有し、かつ前記第2の部材は、前記第1の部材よりも高いレーザ透過性を有するものとされて、前記第1および第2の部材は、レーザ溶着されており、
前記筐体には、前記筐体の前面部および周側面部を覆い隠すカバー体が取り付けられ、前記カバー体の正面側から前記筐体の外面が目視されることが妨げられた構成とされていることを特徴とする、壁掛け型情報装置。
【請求項2】
請求項1に記載の壁掛け型情報装置であって、
前記第1の部材には、前記データ処理回路が収容された領域の周囲において前記第2の部材に当接する正面視ループ状の突出部が設けられ、
この突出部と前記第2の部材との当接部分に、正面視ループ状のレーザ溶着部が設けられている、壁掛け型情報装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の壁掛け型情報装置であって、
前記第1および第2の部材、ならびに前記カバー体の三者は、色彩が相違している、壁掛け型情報装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の壁掛け型情報装置であって、
前記第1の部材は、着色剤として、前記第2の部材よりもレーザ吸収率を高めるための着色剤のみを含有する樹脂製であり、
前記第2の部材は、着色剤を含有しない樹脂製である、壁掛け型情報装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の壁掛け型情報装置であって、
前記筐体の前面部には、前記データ処理回路に設けられたデータ表示器のデータ表示画面を外部から目視可能とするディスプレイ用の開口部が形成されているとともに、前記データ処理回路に設けられている操作スイッチに対応した表示がなされた操作表示シートが貼付されており、
前記カバー体は、前記筐体の前面部のうち、前記ディスプレイ用の開口部および前記操作表示シートの貼付領域以外の領域を覆うように構成されている、壁掛け型情報装置。
【請求項6】
請求項5に記載の壁掛け型情報装置であって、
前記筐体の前面部には、この前面部の正面方向に突出する段部が設けられて、この段部に前記ディスプレイ用の開口部が形成され、かつ前記段部の前面部のうち、前記ディスプレイ用の開口部以外の領域が、前記操作表示シートによって覆われており、
前記カバー体は、前記筐体の前面部に対向する主壁部に、前記段部が嵌入する開口窓が形成された構成を有し、この開口窓を介して前記データ表示画面の目視が可能とされているとともに、前記操作表示シートの外部への露出が図られている、壁掛け型情報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−111209(P2012−111209A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264441(P2010−264441)
【出願日】平成22年11月28日(2010.11.28)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】