説明

壁掛け型火災警報器

【課題】点検ボタン表面のどの部分を押しても確実にスイッチを押せ、また、ユーザが身の回りにある棒やおたま等で簡単にかつ確実にボタンを押せるようにした壁掛け型火災警報器を得る。
【解決手段】本体1と保護カバー2で構成された筐体内に収容設置されたプリント基板8上に、火災を検知する検知部7とタクトスイッチ9が設けられ、保護カバー2の表面側にタクトスイッチ9を押し操作するボタン部41を有する点検ボタン部材4を設け、ボタン部41を、少なくとも保護カバー2の最下部の略横幅全体にわたった面を含むように配設し、保護カバー2の表面側と下面側にそれぞれ沿った表面側部と下面側部を有する断面略L字形状とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁掛け型火災警報器に係り、特に、住宅用に使用され高所に取り付けられた警報器の点検時にユーザが簡単にかつ確実にボタンを押せるようにした壁掛け型火災警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の火災警報器は、筐体の表側にスイッチ操作用の点検ボタンが設けられており、この点検ボタンにより筐体内に設けられたスイッチ本体を押し操作することで、火災警報状態での一定時間の警報停止、通常の監視状態での報知器の動作チェックが行われるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平5−174266号公報(段落0006〜0008、図1〜4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような従来の火災警報器には、天井面取り付け型と壁掛け型タイプがあるが、壁掛け型タイプの場合、住宅用火災警報器は天井から15〜50cm下の壁面の高い位置に設置しなければ火災検知の効果は薄れてしまう。そのため、背の低いユーザ、高齢者の方にとって点検ボタンを押すことは容易ではない。また、従来の火災警報器の点検ボタンは直径10mm前後と非常に小さいため、直接ボタンを押すには台などに乗ってボタンを押さなければならないが転倒などの恐れもある。また、付属のひもを引っ張ることにより点検を行うこともできるが、警報器からひもが垂れていると美観的に良くないという問題があった。
【0005】
この発明は、上述のような問題点を解決するためになされたもので、点検ボタン表面のどの部分を押しても確実にスイッチを押せることを可能にし、また、高所に取り付けられた警報器の点検時にユーザが身の回りにある棒やおたま等で簡単にかつ確実にボタンを押せるようにした壁掛け型火災警報器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る壁掛け型火災警報器は、本体と保護カバーで構成された筐体内に収容設置されたプリント基板上に、火災を検知する検知部とスイッチが設けられ、該保護カバーの表面側に該スイッチを押し操作するボタン部を有する点検ボタン部材を設けてなる壁掛け型火災警報器において、前記ボタン部を、少なくとも前記保護カバーの最下部の略横幅全体にわたった面を含むように配設したものである。
【0007】
また、前記ボタン部を、前記保護カバーの表面側と下面側にそれぞれ沿った表面側部と下面側部を有する断面略L字形状としたものである。
【0008】
また、前記点検ボタン部材に、前記ボタン部の上部に一体成形され固定用の孔を有する延出片が設けられ、前記保護カバーの内面側に、前記点検ボタン部材の前記固定用の孔に挿通される突起状の熱溶着部と、前記延出片の上端部が当接する突起部と、が設けられ、
前記点検ボタン部材は、前記延出片の前記固定用の孔に前記保護カバーの熱溶着部を挿通して、前記延出片の上端部を前記保護カバーの前記突起部に当接させた状態で、前記熱溶着部を熱溶着して前記保護カバーに固定されるものである。
【0009】
また、前記保護カバーに、前記検知部が収容される検知部収容部が設けられ、前記延出片は、前記保護カバーの前記検知部収容部の外周方向に沿う形状で、前記ボタン部の上部両端側方に延出されているものである。
【0010】
また、前記ボタン部に、略U字状のヒンジ片が裏面下部から立設され、前記保護カバーの表面側には、前記ボタン部が収容される凹部が設けられ、該凹部に、前記ヒンジ片が挿入される開口が設けられたものである。
【0011】
また、前記ボタン部の表面に、前記ボタン部を前記筐体の内方へ引き操作するスイッチ操作ひもの一端を結合する操作ひも取付部が設けられ、前記本体の最下部の背面方向に、前記スイッチ操作ひもの他端側を通し、壁面に沿って垂設させるスリットが設けられたものである。
【0012】
また、前記プリント基板の背面側に、前記筐体内に装着されるバッテリーと近接して他の装置に接続される移報用コネクタが設けられ、前記筐体の前記本体に、前記バッテリーを覆うとともに前記移報用コネクタを覆う切欠可能な切欠部を有するバッテリーカバーが設けられ、前記移報用コネクタに前記他の装置を接続するときは、前記バッテリーカバーの切欠部を切り欠いて、前記移報用コネクタを前記筐体外部に露出させるものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明は、ボタン部を、少なくとも保護カバーの最下部の略横幅全体にわたった広い面を含むように配設したので、高所に取り付けられた警報器の点検時に、下方からユーザが身の回りにある棒やおたま等で簡単にかつ確実に点検ボタン部材のボタン部を押すことができる。
【0014】
また、前記ボタン部を、前記保護カバーの表面側と下面側にそれぞれ沿った表面側部と下面側部を有する断面略L字形状としたので、押す方向が表面側のみでなく、コーナーや下面側からの力でも押すことができ、また、おたま等で表面側から押した後の方向を下面方向にそらすようにすることができ操作し易い。
【0015】
また、点検ボタン部材は、延出片の固定用の孔に保護カバーの熱溶着部を挿通して、延出片の上端部を保護カバーの突起部に当接させた状態で、熱溶着部を熱溶着して保護カバーに固定されるので、点検ボタン部材は延出片によりバネ性が付与され、熱溶着部を支点としてボタン部によりスイッチを押し操作することができ、また、ボタン部を押し操作して離せば、ボタン部は確実に通常位置に戻り、ボタン部とスイッチの間隔を良好に維持でき、スイッチの押しっぱなしを防止することができる。
【0016】
また、延出片は、保護カバーの検知部収容部の外周方向に沿う形状で、ボタン部の上部両端側方に延出されているので、点検ボタン部材の支点である延出片の熱溶着部分からボタン部の押圧部までの距離を長くすることができ、押し操作するために必要な力を低減させ、また、ボタン部が片持ちにならず、ボタン部のどの部分を押し操作しても、ボタン部全体が筐体内方に移動するので、確実にスイッチを押すことができる。
【0017】
また、ボタン部に、略U字状のヒンジ片43が裏面下部から立設され、保護カバーの表面側には、ボタン部が収容される凹部が設けられ、該凹部に、ヒンジ片が挿入される開口が設けられたので、開口内に設けられたヒンジ片がストパーとして作用し、点検ボタン部材が筐体外方に引っ張られることによって、点検ボタン部材が破損することを防止し、また、凹部の当接面によって、点検ボタン部材が筐体内方に必要以上に押し操作されることを防止するので、点検ボタン部材のバネ性の劣化および劣化によるスイッチの押しっぱなしを防止することができる。
【0018】
また、ボタン部の表面に、ボタン部を前記筐体の内方へ引き操作するスイッチ操作ひもの一端を結合する操作ひも取付部が設けられ、本体の最下部の背面方向に、スイッチ操作ひもの他端側を通し、壁面に沿って垂設させるスリットが設けられたので、スイッチ操作ひもは美観的に良好にすることができ、また、ひもが切れると、ひもを結合するために保護カバーを外す必要をなくすことができる。
【0019】
また、プリント基板の背面側に、前記筐体内に装着されるバッテリーと近接して他の装置に接続される移報用コネクタが設けられ、本体に、バッテリーを覆うとともに移報用コネクタを覆う切欠可能な切欠部を有するバッテリーカバーが設けられたので、バッテリーカバーの一部の切欠部を移報用コネクタのカバーとして、一体化することができ、また、バッテリーカバーから切欠部を切り欠くだけで、容易に移報用コネクタを外部に露出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1、図2はこの発明の実施の形態を示す壁掛け型火災警報器の構成図であり、図1(a)は正面図、図1(b)は図1(a)のA−A断面図、図1(c)は底面(下面)図であり、図2(a)は図1(a)の右側面図、図2(b)は図1(a)の背面図であり、図3は図1(b)の要部拡大図である。
本実施の形態の壁掛け型火災警報器は、煙検知式であり、図1〜図3において、本体1と保護カバー2で構成された筐体内に収容設置されたプリント基板8上に、煙を検知する検知部7、スイッチとしてのタクトスイッチ9、及び報知器としてのLED(図示せず)が固定され、また、報知器としてのスピーカー10、バッテリー6が電気的に接続されている。また、保護カバー2には、スピーカー10の音響孔23、検知部7が収容される検知部収容部24が設けら、検知部収納部24の下側には、点検ボタン部材4が配設されている。
【0021】
また、図3に示すようにタクトスイッチ9は点検ボタン部材4(図1参照)のボタン部41に設けられた押圧部46により押圧され、この押圧時におけるプリント基板8のそりを防止するための基板当たり部12が本体1に設けられている。また、ボタン部41の表面側には、操作ひも取付部44が形成されており、操作ひもの他端側を通し壁面に沿って垂設させるスリット11が本体1の底面の背面方向に設けられている。また、図2(b)に示すように本体1には、バッテリー6を覆うとともに後述する移報用コネクタを覆う切欠可能な切欠部51を有するバッテリーカバー5、壁面への取付用の取付金具挿入部13が設けられている。
【0022】
図4は本体1を取り外した状態で、保護カバー2内の部品配置を示す図である。
図4において、フラッシュライト、増設ブザー等の外部警報器に接続される移報用コネクタ39がプリント基板8の背面側に設けられており、この移報用コネクタ39はバッテリー6と近接配置されている。そして、本体1に取り付けられる切欠可能な切欠部51を有するバッテリーカバー5により、バッテリー6を覆うとともに移報用コネクタ39を覆うが、移報用コネクタ39に外部警報器等を接続するときは、バッテリーカバー5の切欠部51を切り欠くことで、移報用コネクタ39を筐体外部に露出する構造となっている。
【0023】
また、壁掛け型火災警報器は壁掛けされたときに傾かないように、筐体内部に各種部材を配置してある。つまり、壁掛けの取付支点である取付金具挿入部13に対して、重量の重い部材であるバッテリー6、スピーカー10を近接配置することで、傾きを抑えている。さらに、一側にバッテリー6、他側にスピーカー10を配置しているが、このスピーカー10の背面に音響反射部材38を設けており、この音響反射部材38が、音量増加の他に、バランス調整機能を備えている。
【0024】
図5は点検ボタン部材4の構成図であり、図5(a)は正面図、図5(b)は背面図、図5(c)は図5(b)の側面図、図5(d)は底面(下面)図であり、図6は図5(b)の斜視図である。図5、図6において点検ボタン部材4は、押し操作用のボタン部41と、保護カバー2への取付用の延出片42とが一体成形されたものであり、延出片42は、検知部収容部24の外周方向に沿う形状で、ボタン部41の上部両端側方に延出しており、延出片42の略中央部に保護カバー2への固定用の孔45が設けられている。また、ボタン部41の裏面下部に保護カバー2の後述する開口25に挿入される略U字状のヒンジ片43が立設され、ボタン部41の裏面中央部には、タクトスイッチ9を押圧する押圧部46が形成されている。また、ボタン部41の裏面には、表面側に操作ひも取付部44が形成されたる凸部47が設けられている。
なお、ボタン部41は、図1に示すように、検知部収容部24の下縁近傍から保護カバー2の最下部にわたる縦幅で、かつ、保護カバー2の最下部の略横幅全体にわたった横幅の広い面を含む大きなサイズに設定されており、また、その形状は、保護カバー2の表面側と下面側にそれぞれ沿った表面側部と下面側部とを有する断面略L字形状である。
【0025】
図7、図8は保護カバー2の構成図であり、図7(a)は側面図、図7(b)は正面図、図8(a)は図7(b)の背面図、図8(b)は図8(a)の断面図、図8(c)は底面(下面)図であり、図9は図7(b)の要部の斜視図である。
図7、図8において、保護カバー2には、スピーカー収納部31、スピーカー10の音響孔23、検知部7が収容される検知部収容部24、バッテリー収納部30、タクトスイッチ9操作用の点検ボタン部材4のボタン部41が収容される凹部26が形成されている。この凹部26の当接面27には、ボタン部41の裏面下部から立設されたヒンジ片43が挿入される開口25、点検ボタン部材のボタン部41が挿入される開口28、押圧部46が挿入される開口29、プリント基板支え部33が設けられている。
また、保護カバー2の内面側に、点検ボタン部材4の固定用の孔45に挿通される突起状の熱溶着部22と、延出片42の上端部が当接する突起部21が設けられている。
なお、保護カバー2、点検ボタン部材4は合成樹脂から成形されたものである。
【0026】
図10は本体1の正面図と底面図、図11は図10の背面図である。図10、図11において、スイッチ押圧時におけるプリント基板8の背面方向へのそりを防止するため、対応する筐体の本体1の部位に、基板当たり部12、ボタン部41の操作ひも取付部44に取り付けられた操作ひもを通し、壁面に沿って垂設させるスリット11、バッテリーカバー5で覆われるバッテリー装填口16、移報用コネクタ39の周囲を囲む断面コの字形状に立設された移報用コネクタ収納部17、壁面に固定された後述の専用の取付金具に取付けるとき使用され、金具を挟む挟持片14を有する取付金具挿入部13及び汎用のネジ等で取り付けるときに使用する取付穴15が設けられている。
【0027】
図12はバッテリーカバー5の正面図と底面図であり、図12において、裏面に移報用コネクタ39(図4)を覆う切欠溝52を有する切欠部51が設けられている。また、本体1のバッテリー装填口16の縁部をスライドするスライド片53、本体1に係合する係合片54が設けられている。
【0028】
次に、この発明の実施の形態を示す壁掛け型火災警報器の組み立てについて図6、図9、図13、図14により説明する。図13は保護カバー2に点検ボタン部材4を取り付けた状態を示す図、図14は図13のA−A断面図(部分)である。
まず、保護カバー2の点検ボタン部材4のボタン部41が収容される凹部26の当接面27に設けられた開口28にボタン部41を保護カバー2の内面側から挿入し、さらに、開口25、29に各々ボタン部41のヒンジ片43と押圧部46を挿入すると同時に、点検ボタン部材4の延出片42に設けられた孔45に保護カバー2の内面側に設けられた熱溶着部22を挿通して、延出片42の上端部を保護カバー2の内面側に設けられた突起部21に当接させた状態で、熱溶着部22を熱溶着して溶着部22a(図14)を形成して保護カバー2に固定する。
【0029】
このように、点検ボタン部材4は延出片42によりバネ性が付与され、熱溶着部22を支点としてボタン部41によりタクトスイッチ9を押し操作することができる。また、延出片42の上端部には、筐体内方に常に応力がかかっている状態としたので、ボタン部41を押し操作して離せば、ボタン部41は熱溶着部22を支点に確実に通常位置に戻る。つまり、延出片42の上端部は、押し操作による応力の増加を解放しようとするので、ボタン部41は通常位置に良好に復帰することができ、ボタン部41とタクトスイッチ9の間隔を良好に維持でき、タクトスイッチ9の押しっぱなしを防止することができる。
【0030】
また、ボタン部41を、保護カバー2の最下部の略横幅全体にわたった面を含むように配設して面積を大きくしたことで、保護カバー2には、ボタン部41が収容される凹部26と、検知部7が収容される検知部収容部24が近接して設けられることとなったが、延出片42を保護カバー2の検知部収容部24の外周方向に沿う形状で、ボタン部41の上部両端側方に延出することで、タクトスイッチ9支点である熱溶着部22からボタン部41の押圧部46までの距離を長くすることができ、押し操作するために必要な力を低減させている。また、延出片42をボタン部41の上部両端側方に延出することで、ボタン部41が片持ちにならず、ボタン部41のどの部分を押し操作しても、ボタン部41全体が筐体内方に移動するので、確実にタクトスイッチ9を押すことができる。
【0031】
また、保護カバー2のボタン部41が収容される凹部26の開口25にボタン部41のヒンジ片43が挿入されているので、開口25内に設けられたヒンジ片43がストパーとして作用し、点検ボタン部材4が筐体外方に引っ張られることによって、点検ボタン部材4が破損することを防止し、また、当接面27によって、点検ボタン部材4が筐体内方に必要以上に押し操作されることを防止するので、点検ボタン部材4のバネ性の劣化および劣化によるタクトスイッチ9の押しっぱなしを防止することができる。
【0032】
次に、保護カバー2のLEDキャップ取付部32の表側から、LEDキャップ37を挿入して、その爪部(図示せず)により引っ掛け固定する。次に、検知部7、タクトスイッチ9等が取付済のプリント基板8を保護カバー2の所定位置に載置して、検知部7は検知部収容部24に収納し、スピーカー10はスピーカー収納部31に収納し、図4に示すようにスピーカー10の背面側に音響反射部材38を載置した状態で、音響反射部材38を保護カバー2にねじ止めし、スピーカー10を固定する。そして、保護カバー2と本体1を係合取付、及び、ねじ取付する。最後に、バッテリー装填口16を介して保護カバー2のバッテリー収納部30にバッテリー6を載置して、そのコネクタ(図示せず)を介してプリント基板8と電気的に接続し、バッテリーカバー5を本体1に取付ける。
【0033】
なお、図示しないスイッチ操作ひもは、必要に応じて、一端をボタン部41の操作ひも取付部34に結合し、他端側を本体1の底面の背面方向に設けられたスリット11から壁面に沿って垂設する。
【0034】
次に、壁掛け型火災警報器の壁面への取り付けを図15、図16により説明する。図15は壁面に取付ける取付金具61の壁面側から見た正面図と底面図、図16は取付金具61を壁掛け型火災警報器に固定した状態を示す図である。図15において、取付金具61は断面ハット形状で壁面側取付部61aから両側に折り曲げ延設された警報器側取付部61dから構成され、壁面側取付部61aには、一般的なネジ取付穴61bと、住宅の一般的な壁材として用いられる石膏ボード取付用釘穴61cが設けられている。
【0035】
この取付金具61は壁面側取付部61aのネジ取付穴61bを用いてネジ取付か、または、石膏ボード取付用釘穴61cを用いて石膏ボード取付用釘で壁面に取り付ける。そして、図16に示すように、壁面に取付けた取付金具61の警報器側取付部61dを、本体1の上部に設けられた取付金具挿入部13に挿入し、挟持片14で挟んで固定することにより取り付けられる。なお、場合によっては、取付金具61を使用せず取付金具挿入部13に設けられた取付穴15を用いてねじ止めしてもよい。
【0036】
このように、従来の壁掛け型警報器が、筐体上部に壁掛けの取付支点を配置し、バッテリーを筐体下部の一側に配置し、バランス調整用のおもりを筐体下部の他側に配置している構造であったのに対し、本実施の形態は、図4に示すように、壁掛けの取付支点である取付金具挿入部13に対して、重量の重い部材であるバッテリー6、スピーカー10を近接配置し、さらに、スピーカー10の背面の音響反射部材38によりバランス調整機能を備えているので、余分な部材を必要とすることなく、傾きが発生しない。
また、この取付金具61は、一般的なネジ取付と、住宅の一般的な壁材として用いられる石膏ボード取付を可能とするものである。
【0037】
次に、この壁掛け型火災警報器の動作について説明する。
検知部7で煙が検知されると、その検知信号によってバッテリー6から電源供給を受ける報知器が動作して火災警報を発する。そして、火災警報状態で点検ボタン部材4のボタン部41を押し操作すると、一定時間の警報停止が行われ、通常の監視状態で点検ボタン部材4のボタン部41を押し操作すると、報知器及び火災警報器の動作チェックが行われる。
このとき、ボタン部41は保護カバー2の最下部の略横幅全体にわたった広い面を含むように配設されているので、高所に取り付けられた壁掛け型警報器の点検時に、下方からユーザが身の回りにある棒やおたま等で簡単にかつ確実に点検ボタン部材4のボタン部41を押することができる。
【0038】
また、ボタン部41を、保護カバー2の表面側と下面側にそれぞれ沿った表面側部と下面側部を有する断面略L字形状としたので、押す方向が表面側のみでなく、コーナーや下面側からの力でも押すことができ、また、おたま等で表面側から押した後の方向を下面方向にそらすようにすることができ操作し易い。
また、図4に示す移報用コネクタ39から、フラッシュライト、増設ブザー等の外部警報器に接続するときは、バッテリーカバー5から切欠部51を切り欠いて移報用コネクタ39を外部に露出して使用する。
従って、従来の壁掛け型警報器は、移報用コネクタを外部に露出するために、筐体の本体に開口が設けられており、常時はシールで封止していた。そのため、シール代、工数がかかり、また、貼り忘れやはがれることがあり、ゴキブリ等が内部に侵入して基板がショートすることがあったのに対し、本実施の形態は、バッテリーカバー5の一部の切欠部51を移報用コネクタのカバーとして、一体化することができ、また、バッテリーカバー5から切欠部51を切り欠くだけで、容易に移報用コネクタを外部に露出することができる。
【0039】
なお、操作ひも取付部34にスイッチ操作ひもの一端を結合し、かつ、スイッチ操作ひもの他端側を本体1の底面の背面方向に設けられたスリット11から壁面に沿って垂設すると、この垂設されたスイッチ操作ひもの他端の引き操作によって、スリット11を支点として、スイッチ操作ひもの一端が筐体内方に移動するので、ボタン部41を筐体の内方へ引き操作してタクトスイッチ9を押し操作することができる。
【0040】
また、スイッチ操作ひもが壁面に沿って垂設されるので、スイッチ操作ひもは美観的に良好となり、また、従来の壁掛け型火災警報器は、スイッチ操作ひもの一端を筐体内部で結合し、筐体を構成する保護カバーと本体の間に設けられた孔からその外部へ突出垂設していたので、ひもが切れると、ひもを結合するために保護カバーを外す必要があったが、その必要をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明の実施の形態を示す壁掛け型火災警報器の構成図である。
【図2】この発明の実施の形態を示す壁掛け型火災警報器の構成図である。
【図3】図1の要部拡大図である。
【図4】この発明の実施の形態を示す壁掛け型火災警報器の部品配置図である。
【図5】この発明の実施の形態を示す壁掛け型火災警報器の点検ボタン部材の構成図である。
【図6】図5の斜視図である。
【図7】この発明の実施の形態を示す壁掛け型火災警報器の保護カバーの構成図である。
【図8】この発明の実施の形態を示す壁掛け型火災警報器の保護カバーの構成図である。
【図9】図7の要部斜視図である。
【図10】この発明の実施の形態を示す壁掛け型火災警報器の本体の構成図である。
【図11】この発明の実施の形態を示す壁掛け型火災警報器の本体の構成図である。
【図12】この発明の実施の形態を示す壁掛け型火災警報器の本体のバッテリーカバーの構成図である。
【図13】この発明の実施の形態を示す壁掛け型火災警報器の保護カバーに点検ボタン部材を取り付けた状態を示す図である。
【図14】図13の部分断面図である。
【図15】この発明の実施の形態を示す壁掛け型火災警報器の取付金具の構成図である。
【図16】取付金具61を壁掛け型火災警報器に固定した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1 本体、2 保護カバー、4 点検ボタン部材、5 バッテリーカバー、6 バッテリー、7 検知部、8 プリント基板、9 タクトスイッチ、11 スリット、21 突起部、22 熱溶着部、24 検知部収容部、25 開口、26 凹部、27 当接面、39 移報用コネクタ、41 ボタン部、42 延出片、43 ヒンジ片、44 操作ひも取付部、45 孔、51 切欠部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と保護カバーで構成された筐体内に収容設置されたプリント基板上に、火災を検知する検知部とスイッチが設けられ、該保護カバーの表面側に該スイッチを押し操作するボタン部を有する点検ボタン部材を設けてなる壁掛け型火災警報器において、
前記ボタン部を、少なくとも前記保護カバーの最下部の略横幅全体にわたった面を含むように配設したことを特徴とする壁掛け型火災警報器。
【請求項2】
前記ボタン部を、前記保護カバーの表面側と下面側にそれぞれ沿った表面側部と下面側部を有する断面略L字形状としたことを特徴とする請求項1記載の壁掛け型火災警報器。
【請求項3】
前記点検ボタン部材に、前記ボタン部の上部に一体成形され固定用の孔を有する延出片が設けられ、
前記保護カバーの内面側に、
前記点検ボタン部材の前記固定用の孔に挿通される突起状の熱溶着部と、
前記延出片の上端部が当接する突起部と、
が設けられ、
前記点検ボタン部材は、前記延出片の前記固定用の孔に前記保護カバーの熱溶着部を挿通して、前記延出片の上端部を前記保護カバーの前記突起部に当接させた状態で、前記熱溶着部を熱溶着して前記保護カバーに固定されることを特徴とする請求項1または2記載の壁掛け型火災警報器。
【請求項4】
前記保護カバーに、前記検知部が収容される検知部収容部が設けられ、
前記延出片は、前記保護カバーの前記検知部収容部の外周方向に沿う形状で、前記ボタン部の上部両端側方に延出されていることを特徴とする請求項3記載の壁掛け型火災警報器。
【請求項5】
前記ボタン部に、略U字状のヒンジ片が裏面下部から立設され、前記保護カバーの表面側には、前記ボタン部が収容される凹部が設けられ、該凹部に、前記ヒンジ片が挿入される開口が設けられたことを特徴とする請求項3乃至4のいずれかに記載の壁掛け型火災警報器。
【請求項6】
前記ボタン部の表面に、前記ボタン部を前記筐体の内方へ引き操作するスイッチ操作ひもの一端を結合する操作ひも取付部が設けられ、
前記本体の最下部の背面方向に、前記スイッチ操作ひもの他端側を通し、壁面に沿って垂設させるスリットが設けられたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の壁掛け型火災警報器。
【請求項7】
前記プリント基板の背面側に、前記筐体内に装着されるバッテリーと近接して他の装置に接続される移報用コネクタが設けられ、
前記筐体の前記本体に、前記バッテリーを覆うとともに前記移報用コネクタを覆う切欠可能な切欠部を有するバッテリーカバーが設けられ、
前記移報用コネクタに前記他の装置を接続するときは、前記バッテリーカバーの切欠部を切り欠いて、前記移報用コネクタを前記筐体外部に露出させることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の壁掛け型火災警報器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−59278(P2006−59278A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−242926(P2004−242926)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【出願人】(000190301)新コスモス電機株式会社 (112)
【Fターム(参考)】