説明

壁面区画構造体およびそれを用いた区画壁面構造

【課題】浴室と器具配置室との仕切り壁の穴に簡単に配置でき、浴室利用を良好にできるようにする壁面区画構造体を提供する。
【解決手段】仕切り壁10を介して互いに隣接される浴室30とチャンバ室31とを連通させる態様で、仕切り壁10に形成された貫通の連通穴9に壁面区画構造体1を配設固定する。壁面区画構造体1は、連通穴9の途中部で該連通穴9の浴室30寄りの領域とチャンバ室31寄りの領域とを仕切る態様で配置されるブロック状の壁板部2を設けて形成する。壁板部2には壁板部2を貫通して浴室30とチャンバ室31とを連通させる貫通孔4を1つ以上形成し、貫通孔4にはチャンバ室31に配置される燃焼器具の配管41または電気配線42を挿入する挿入管路3を嵌合して、壁板部2と一体的に形成する。挿入管路3の両端側は貫通孔4から先方に突出させて設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貫通の連通穴を有する壁により仕切られた浴室と器具配置室とを区画するために、前記連通穴に設けて用いられる壁面区画構造体およびそれを用いた区画壁面構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9には、従来の燃焼装置の一例である風呂釜50の配置構成例が示されている。同図に示されるように、風呂釜50は、浴室30内に配置され、浴槽27に隣接して設けられている。なお、図9において、風呂釜50内が透かした状態で模式的に示されており、風呂釜50には、バーナ46と、該バーナ46によって加熱される熱交換器43とが設けられている。風呂釜50には、該風呂釜50のバーナ46にガスを供給するガス管(図示せず)と、熱交換器43に水を供給する給水管(図示せず)と、電源接続用の電気配線(図示せず)とが接続されている。また、風呂釜50には、バーナ46の燃焼により生じた排気を外部に導出するための排気筒49が接続されている。
【0003】
排気筒49は、浴室30に隣接して設けられたチャンバ室31内に配置されている。チャンバ室31は、仕切り壁10を介して浴室30に隣接されており、例えばその幅Wは50cm、奥行きTは80cmである。排気筒49は、仕切り壁10に形成された貫通の連通穴9を通してチャンバ室31に導入され、排気筒49の排気口48は、チャンバ室31の上端側に設けられた排気導出部47に接続されている。連通穴9には、浴室30の壁面に沿って支持板45が配置されて、排気筒49の外周側に設けられており、この支持板45によって排気筒49が支持されると共に、浴室30がチャンバ室31と仕切られている。風呂釜50のバーナ46の燃焼により生じた排気は、図の矢印に示すように、排気筒49を通り、その排気口48から、(チャンバ室31に隣接した)共用廊下32側に排出される。
【0004】
図8には、従来の燃焼装置の別の例である風呂給湯装置40の配置構成例が示されており(例えば、特許文献1、参照。)、同図において、図9に示した構成と同一名称部分には同一符号が付してある。風呂給湯装置40は、例えば前記風呂釜50の買い換えの際に適用されるものであり、前記チャンバ室31内に配置されている。このように、風呂給湯装置40を、チャンバ室31に配置すると、浴室30内に風呂釜50を設けなくてすむ分だけ浴室30を広く利用できるようになり、図9に示した構成に比べて大きな浴槽27を浴室30内に配置することができる利点がある。
【0005】
図8に示す構成においては、風呂給湯装置40に接続されたガス管や給水管等の配管41や電気配線(図示せず)が板金44(44a,44b)を通して浴室30内に導かれ、配管41は浴室30内に設けられている図示されていないガス供給接続部や給水接続部に接続され、電気配線は電源やリモコンに接続されている。なお、同図では板金44aを透かして示している。板金44a,44bには、それぞれ、配管41や電気配線を通すための複数の穴が設けられており、この穴に対応する配管41または電気配線が通されている。板金44は、連通穴9の開口部の壁面に固定され、仕切り壁10の配設領域が、建築基準法施行令百二十九条の二の五の七で規定されている防火区画等である場合には、モルタル11等の不燃材を配置して、連通穴9を塞ぐことにより防火処理が施されている。
【0006】
つまり、図7(a)の模式的な断面図に示されるように、連通穴9の一方側の開口部を塞ぐように、チャンバ室31側の壁面に板金44aが配置され、他方側の開口部を塞ぐように、浴室30側の壁面に板金44bを配置され、板金44aと板金44bとの間(電気配線42を挿入する管39や配管41の間の隙間)にモルタル11等の不燃材が設けられて連通穴9がふさがれている。なお、図7(a)において、符号12は、連通穴9の縁部に設けられている木枠を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−154021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来、図8に示したような風呂給湯装置40の配設構成において、連通穴9が、建築基準法施行令百二十九条の二の五の七で規定されている防火区画等の場合には、風呂給湯装置40の配管41や、電気配線42を通した管39を、浴室30側に固定した板金44bの穴に通して、チャンバ室31側から配管41や管39の間にモルタル11等の不燃材を配置して(塗って)、連通穴9を塞ぐ作業を行わなければならない(板金44aは、モルタル11等の不燃材の配置後に設けられる)。
【0009】
しかしながら、チャンバ室31は、前記の如く、幅が50cmで狭いので、そのチャンバ室31側からモルタル11等の不燃材を配置する作業は、図6の模式図に示すような態様で行わなければならず、非常にやりにくかった。特に、最近では、器具の能力アップや環境を配慮しての効率アップに伴い、図5に示すように、風呂給湯装置40の長さを長くしたものが用いられるようになり、この場合、配管41の下端側がU字型に形成されて、配管41が連通穴9よりも下側まで伸びた態様であるために、前記のようにして、モルタル11等の不燃材を設ける作業は、非常にやりにくく、困難を極める。
【0010】
また、従来のように、板金44を設ける構成においては、板金44bが仕切り壁10の浴室30側の壁面に設けられるために、図7(b)に示すように、板金44bから突出させた配管41が浴室30の壁面から先方に突きだした態様になる。そのため、浴槽27を仕切り壁10の壁面に当接させて配置すると、配管41が浴槽27の側面に干渉してしまう。一方、図7(c)に示すように、配管41が浴槽27の側面に干渉しないように浴槽27を配置すると、浴槽27と仕切り壁10の壁面との間に隙間ができてしまい、浴槽30内の有効スペースが狭くなり、また、美観上の問題も生じてしまう。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、器具配置室と浴室との仕切り壁の連通穴に簡単に配置でき、器具配置室側の燃焼器具と浴室側の浴槽との接続態様を最適にすることによって、浴室内の有効スペースを広くでき、美観も良好にできる壁面区画構造体およびそれを用いた区画壁面構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記目的を達成するために、次の構成をもって課題を解決する手段としている。すなわち、第1の発明の壁面区画構造体は、仕切り壁を介して互いに隣接される浴室と器具配置室とを連通させる態様で前記仕切り壁に形成された貫通の連通穴に配置される壁面区画構造体であって、前記連通穴の途中部で該連通穴の前記浴室寄りの領域と前記器具配置室寄りの領域とを仕切る態様で配置されるブロック状の壁板部を備え、該壁板部には該壁板部を貫通して前記浴室と前記器具配置室とを連通させる貫通孔が1つ以上形成されており、該貫通孔には前記器具配置室に配置される燃焼器具の配管または電気配線を挿入する挿入管路が嵌合して前記壁板部と一体的に形成され、前記挿入管路の両端側は前記貫通孔から先方に突出させて設けられている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0013】
また、第2の発明の壁面区画構造体は、前記第1の発明の構成に加え、前記貫通孔の内壁と挿入管路の外周との間には、予め定められた発砲温度以上の温度に達したときに発砲し前記挿入管路を内側に向けて押し潰す熱膨張性樹脂が設けられていることを特徴とする。
【0014】
さらに、第3の発明の壁面区画構造体は、前記第1または第2の発明の構成に加え、前記壁板部は四角の外観形状を呈し、その角部の少なくとも一つは丸みを帯びた形状に形成されていることを特徴とする。
【0015】
さらに、第4の発明の壁面区画構造体は、前記第1または第2または第3の発明の構成に加え、前記壁板部の浴室側に対向する面には該壁板部の外縁部から浴室側に向けて突出する突出壁部が形成されていることを特徴とする。
【0016】
さらに、第5の発明の区画壁面構造は、仕切り壁を介して互いに隣接される浴室と器具配置室とを連通させる態様で前記仕切り壁に形成された貫通の連通穴に、前記第1乃至第4のいずれか一つの発明の壁面区画構造体が配置されて前記浴室と前記器具配置室とが壁板部により区分けされていることを特徴とする。
【0017】
さらに、第6の発明の区画壁面構造は、仕切り壁を介して互いに隣接される浴室と器具配置室とを連通させる態様で前記仕切り壁に形成された貫通の連通穴に、前記第4の発明の壁面区画構造体が、突出壁部の先端面が仕切り壁の浴室側の壁面とほぼ同一面となるようにして配置され、前記浴室と前記器具配置室とが壁板部により区分けされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、壁面区画構造体はブロック状の壁板部を有し、該壁板部は、浴槽と器具配置室とを仕切る仕切り壁に形成された貫通の連通穴の途中部で、該連通穴の前記浴室寄りの領域と前記器具配置室寄りの領域とを仕切る態様で配置されるものであり、この壁板部を連通穴の途中部に設けることにより、壁面区画構造体を容易に配設して、浴室と器具配置室とを仕切ることができる。また、壁板部に形成された貫通孔には、器具配置室に配置される燃焼器具の配管または電気配線を挿入する挿入管路が嵌合して前記壁板部と一体的に形成され、前記挿入管路の両端側は前記貫通孔から先方に突出させて設けられているので、挿入管路に燃焼器具の配管や電気配線を挿入して、浴室側に設けられている接続部と容易に接続することができる。
【0019】
さらに、壁板部は、連通穴の途中部に設けられているので、連通穴の開口部に、浴室の壁面に沿って板金を設ける従来例と異なり、壁板部から突出させる挿入管路の突出先端を連通穴からは突出させずに設けることもでき、燃焼器具の配管や電気配線を連通穴から突出させずに配設することができる。したがって、浴槽を浴室の壁面につけて配置しても、配管等が邪魔になることがなく、配管等を浴槽の側面と浴室壁面との間に配設することができるので、浴室の有効スペースを広くでき、美観も良好にできる。さらに、壁面区画構造体を連通穴に挿入する作業を浴室側から行い、モルタル等の不燃材により壁面区画構造体の周囲と連通穴の内壁との隙間を塞ぐ作業も浴室側から行うことにより、幅50cmの狭い器具配置室に入ることなく作業ができるため、壁面区画構造体の配設固定作業が行いやすい。
【0020】
また、本発明において、壁面区画構造体の壁板部の貫通孔の内壁と挿入管路の外周との間には、予め定められた発砲温度以上の温度に達したときに発砲し、前記挿入管路を内側に向けて押し潰す熱膨張性樹脂が設けられているものにおいては、火災が生じたときに、その熱により熱膨張性樹脂が発泡して挿入管路を内側に向けて押しつぶすので、たとえ火災の熱によって挿入管路が溶けてしまったりしても、挿入管路と壁板部の貫通孔との隙間を無くすことができる。そのため、防災上の安全性を非常に高めることができる。
【0021】
さらに、本発明において、壁面区画構造体の壁板部は四角の外観形状を呈し、その角部の少なくとも一つは丸みを帯びた形状に形成されているものにおいては、壁面区画構造体の設置をより行い易くできる。つまり、壁面区画構造体の連通穴への配設時に、丸みを帯びた形状の角部の対角を連通穴の底面に当接させた状態で壁板部を斜めに傾けて配置し、壁板部の底面(連通穴に配設したときに、底面となる面)と連通穴の底面との間に、例えばモルタルを設けた後に、前記対角を軸として壁板部を回動させて壁板部の底面を連通穴の底面にモルタルを介して固定する。
【0022】
このようにすると、ブロック状の壁板部を回動によって、容易に連通穴に配設することができ、また、回動される側の角部が丸みを帯びた形状に形成されていることから、壁板部の回動後に、その上面と連通穴の天面との間の隙間が殆どないように、壁板部を配設することができる。したがって、壁板部を適切に配設することができ、壁板部を連通穴に固定するために、設けるモルタルの量を少なくできるので、より容易に、壁面区画構造体を連通穴に配設固定できる。なお、モルタルの代わりに、同様の機能を有する不燃材を適用することもできる。
【0023】
さらに、本発明において、壁板部の浴室側に対向する面には該壁板部の外縁部から浴室側に向けて突出する突出壁部が形成されている構成によれば、この突出壁部の先端面が仕切り壁の浴室側の壁面とほぼ同一面となるようにして配置することにより、壁面区画構造体の配設位置の位置あわせをより容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る壁面区画構造体の一実施例を仕切り壁の連通穴に配設した状態で示す断面説明図である。
【図2】実施例の壁面区画構造体を示す斜視図である。
【図3】実施例の壁面区画構造体を仕切り壁の連通穴に配置する作業を説明するための模式的な断面説明図である。
【図4】他の実施例の壁面区画構造体を示す斜視図である。
【図5】燃焼装置のチャンバ室への配置構成を説明するための説明図である。
【図6】仕切り壁の連通穴にモルタルを設ける従来の作業を説明するための模式図である。
【図7】仕切り壁の連通穴に配管を設けて連通穴を塞ぐための従来の構造を説明するための説明図である
【図8】従来の燃焼装置のチャンバ室への配置構成と区画壁面構造を説明するための説明図である。
【図9】従来の燃焼装置の浴室への配置構成を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、本実施例の説明において、従来例と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略または簡略化する。
【実施例】
【0026】
図1(a)には、本発明の実施例の壁面区画構造体1が、仕切り壁10の連通穴9に配設された状態で、模式的な断面図により示されている。同図に示されるように、本実施例の壁面区画構造体1は、連通穴9に配置されるものであり、ブロック状の壁板部2を備えている。壁板部2は、連通穴9の途中部で、該連通穴9の浴室30寄りの領域とチャンバ室31寄りの領域とを仕切る態様で配置される。壁板部2は、セメントモルタルにより形成されており、図2に示すように、壁板部2は四角の外観形状を呈し、その角部の少なくとも一つは丸みを帯びた形状に形成されている。なお、本実施例では、二カ所の角部において、その厚み方向に丸みを帯びた形状に形成されている。また、壁板部2には、壁板部2を連通穴9に固定するためのボルト7が、壁板部2の両端側(図2においては一端側のみ図示)に、例えば2個ずつ設けられている。
【0027】
本実施例において、壁板部2の大きさは、例えば高さ33cm、幅22cm、厚み10cmである。浴室30とチャンバ室31とを仕切る仕切り壁10の配設領域が、建築基準法施行令百二十九条の二の五の七で規定されている防火区画等の場合、浴室30とチャンバ室31とを仕切る壁の厚みは、例えば鉄筋コンクリートの場合、10cm以上必要であるが、本実施例では、セメントモルタル製の壁板部2の厚みを10cmとすることにより、壁板部2を耐火構造の壁として機能させることができる。壁板部2の浴室30側に対向する面には、該壁板部2の外縁部から浴室30側に向けて突出する突出壁部6が形成されており、突出壁部6の突出高さは3cm、壁厚は3cmに形成されている。
【0028】
壁板部2には、該壁板部2を貫通して、浴室30と器具配置室としてのチャンバ室13とを連通させる貫通孔4が1つ以上(ここでは3つ)形成されている。貫通孔4には、チャンバ室13に配置される風呂給湯装置40等の燃焼器具の配管41または電気配線42を挿入する樹脂製の挿入管路3(3a,3b,3c)が嵌合し、該挿入管路3が壁板部2と一体的に形成されている。貫通孔4の内壁と挿入管路3の外周との間には、予め定められた発砲温度(例えば400℃)以上の温度に達したときに発砲し、挿入管路3を内側に向けて押し潰す熱膨張性樹脂5が設けられている。
【0029】
挿入管路3(3a,3b,3c)の両端側は、貫通孔4から先方に突出させて設けられており、例えば図1(b)に示すように、挿入管路3a,3bには配管41が挿入され、挿入管路3cには電気配線42が挿入される。電気配線42の外周側と挿入管路3cの内壁との間には、この間の隙間を埋めるシーリング剤8が設けられる。なお、挿入管路3には、電気配線42と配管41のいずれかが、適宜挿入されるものであり、風呂給湯装置40等の燃焼機器の配管41の数や電気配線42の数に対応させて、適宜の本数の挿入管路3が壁板部2に挿入固定される。
【0030】
本実施例は以上のように構成されており、作業者が浴室30側に立って壁面区画構造体1を持ち、例えば、図3(a)に示すように、壁板部2の丸みを帯びた形状の角部の対角を連通穴9の底面9aに当接させた状態で壁板部2を斜めに傾けて配置する。なお、壁板部2の底面2a(連通穴に配設したときに、底面となる面)と連通穴9の底面9aとの間には、例えばモルタル11等の不燃材を設ける。そして、図の矢印に示すように、前記対角を軸として壁板部2を回動させ、図3(b)に示すように、壁板部2の底面2aを連通穴9の底面9aにモルタル11等の不燃材を介して固定する。なお、ボルト7の壁板部2からの突出長さを調節することにより、壁面区画構造体1を連通穴9にがたつきがない状態に固定することができる。そして、壁板部2の上面や側面および突出壁部6の外周面と連通穴9との隙間には、モルタル11等の不燃材を塗って、壁面区画構造体1を連通穴9に隙間無く固定する。なお、壁面区画構造体1の連通穴9への配設固定に際し、突出壁部6の先端面が仕切り壁10の浴室30側の壁面とほぼ同一面となるようにして配置する。
【0031】
本実施例では、前記の如く、壁板部2の角部に丸みを形成することにより、図3に示すような配置動作の際、同図の破線に示す丸みを形成していない態様と異なり、壁板部2の角部が連通穴9の上側の内壁面に当たることを防げるので、連通穴9の高さに対応する大きさの壁板部2を有する壁面区画構造体1を形成できる。そのため、壁面区画構造体1と連通穴9の上側の内壁面との隙間を小さくでき、この隙間を埋めるモルタル11等の不燃材の量を少なくでき、モルタル11等の不燃材を配置する作業もより短時間で行うことができる。
【0032】
以上のようにして、本実施例の壁面区画構造体1を連通穴9に配設固定することにより、浴室30とチャンバ室31とが壁板部2により区分けされた区画壁面構造が形成される。
【0033】
なお、本発明は前記実施例に限定されることなく、様々な実施の形態を採り得る。例えば、前記実施例の壁面区画構造体1は、壁板部2の浴室30側に対向する面に、壁板部2の外縁部から浴室30側に向けて突出する突出壁部6が形成されていたが、例えば図4(a)、(b)に示すように、突出壁部6は省略することもできるし、図4(a)の破線に示すように、突出壁部6を壁板部2の上下の外縁部のみに形成することもできるし、左右の外縁部のみに形成することもできる。このように、突出壁部6の形成態様は特に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。
【0034】
また、壁板部2の角部に丸みを形成する場合に、図4(a)のような態様としてもよいし、図4(b)に示すように、厚み方向の対角位置に丸みを形成してもよいし、壁板部2の形状は適宜設定されるものである。また、その大きさも、連通穴9の大きさ等に対応させて適宜設定されるものである。
【0035】
さらに、壁面区画構造体1を連通穴9に配設する仕方は、前記実施例に適用した方法とするとは限らず、例えば壁板部2の角部への丸みの形成位置に対応させて設定する等、適宜設定されるものである。例えば、壁板部2の一つの角部を連通穴9の底面9aに接するようにし、壁面区画構造体1を連通穴9から前方に突出させ、かつ、斜めに傾けて配置した後、壁板部2を、前記連通穴9の底面9aに接する角部を軸として水平方向に回動させ、その後、垂直方向に回動させる方法を用いてもよい。
【0036】
さらに、前記実施例では、壁面区画構造体1の壁板部2の両端側に、2つずつボルト7を設けたが、ボルト7の配設形態は特に限定されるものではなく、適宜設定されるものであり、また、ボルト7を省略することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の壁面区画構造体および区画壁面構造は、浴室と器具配置室とをその連通穴内で仕切り、その際、器具配置室に設けられる燃焼機器の配管や電気配線を浴室側に通すことができるので、浴室と器具配置室とを仕切りながら、浴室内の浴槽と器具配置室内の燃焼機器の接続もできる構造として利用できる。
【符号の説明】
【0038】
1 壁面区画構造体
2 壁板部
3 挿入管路
4 貫通孔
5 熱膨張製樹脂
6 突出壁部
9 連通穴
10 仕切り壁
11 モルタル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕切り壁を介して互いに隣接される浴室と器具配置室とを連通させる態様で前記仕切り壁に形成された貫通の連通穴に配置される壁面区画構造体であって、前記連通穴の途中部で該連通穴の前記浴室寄りの領域と前記器具配置室寄りの領域とを仕切る態様で配置されるブロック状の壁板部を備え、該壁板部には該壁板部を貫通して前記浴室と前記器具配置室とを連通させる貫通孔が1つ以上形成されており、該貫通孔には前記器具配置室に配置される燃焼器具の配管または電気配線を挿入する挿入管路が嵌合して前記壁板部と一体的に形成され、前記挿入管路の両端側は前記貫通孔から先方に突出させて設けられていることを特徴とする壁面区画構造体。
【請求項2】
貫通孔の内壁と挿入管路の外周との間には、予め定められた発砲温度以上の温度に達したときに発砲し前記挿入管路を内側に向けて押し潰す熱膨張性樹脂が設けられていることを特徴とする請求項1記載の壁面区画構造体。
【請求項3】
壁板部は四角の外観形状を呈し、その角部の少なくとも一つは丸みを帯びた形状に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の壁面区画構造体。
【請求項4】
壁板部の浴室側に対向する面には該壁板部の外縁部から浴室側に向けて突出する突出壁部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3記載の壁面区画構造体。
【請求項5】
仕切り壁を介して互いに隣接される浴室と器具配置室とを連通させる態様で前記仕切り壁に形成された貫通の連通穴に、請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の壁面区画構造体が配置されて前記浴室と前記器具配置室とが壁板部により区分けされていることを特徴とする区画壁面構造。
【請求項6】
仕切り壁を介して互いに隣接される浴室と器具配置室とを連通させる態様で前記仕切り壁に形成された貫通の連通穴に、請求項4記載の壁面区画構造体が、突出壁部の先端面が仕切り壁の浴室側の壁面とほぼ同一面となるようにして配置され、前記浴室と前記器具配置室とが壁板部により区分けされていることを特徴とする区画壁面構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−38359(P2011−38359A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188600(P2009−188600)
【出願日】平成21年8月17日(2009.8.17)
【出願人】(000129231)株式会社ガスター (277)
【出願人】(593080294)株式会社カンドー (20)
【出願人】(390024877)トーセツ株式会社 (28)
【Fターム(参考)】