説明

壁面緑化構造および壁面緑化構造の施工方法

【課題】方立や無目を傷つけることなく構造物に壁面緑化ユニットを容易に取り付けることができる。
【解決手段】植物が植栽される固化培土(植栽基盤)3と、固化培土3を保持するメッシュ(植栽基盤保持部)4と、を備える壁面緑化ユニット2がカーテンウォール構法の構造物21の外壁面に沿って設置される。構造物21には、構造物21の方立22を挟持する挟持部材24と、挟持部材24に支持され方立22に沿って鉛直方向へ延在する縦枠材25と、水平方向に隣り合う縦枠材25間に水平方向へ延在し縦枠材25に支持された横枠材26と、が設置され、壁面緑化ユニット2のメッシュ4は、横枠材26に着脱可能に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンウォール構法の構造物の壁面緑化構造および壁面緑化構造の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、都市部におけるヒートアイランド現象の緩和や大気の浄化、アメニティ空間の創出などを目的に、建物の壁面など様々な場所において緑化が行われている。そして、近年では、植物を植栽する植栽基盤を枠体で保持した壁面緑化ユニットを建物の壁面に取り付ける壁面緑化構造が提案されている(例えば、特許文献1乃至4参照)。このような緑化ユニットを使用することによって、短工期で壁面緑化を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−169658号公報
【特許文献2】特開2002−97653号公報
【特許文献3】特開2002−335765号公報
【特許文献4】特開2007−222015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の壁面緑化構造では、壁面緑化ユニットが、ボルト・ナットやピンなどで建物の壁面に固定されているため、壁面にボルトを挿通させる孔をあけたり、ピンを打ち込んだりする必要がある。
また、建物の外壁をカーテンウォールで構成したカーテンウォール構法の場合には、主要部材である方立や無目にボルトを挿通させる孔をあけたり、ピンを打ち込んだりする必要があるため、方立や無目の強度が低下する虞がある。また、方立や無目に形成された孔から建物内部に雨水などが浸入する虞もある。
なお、カーテンウォールの無目カバーや方立カバーを工夫して、ボルトなどを予め組み込むことも可能であるが、カーテンウォールの種類ごとに型を製作しなくてはならない。
さらに、従来の壁面緑化構造では、壁面緑化ユニットの構造物への設置や取り外しが困難であり、設置作業や交換作業、メンテナンスが行いにくいという問題がある。
【0005】
本発明は、上述する事情に鑑みてなされたもので、どのような断面形状のカーテンウォールであっても、方立や無目を傷つけることなく、また、新たな型を製作することなく構造物に壁面緑化ユニットを容易に取り付けることができる壁面緑化構造および壁面緑化構造の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る壁面緑化構造は、植物が植栽される植栽基盤と、該植栽基盤を保持する植栽基盤保持部と、を備える壁面緑化ユニットがカーテンウォール構法の構造物の壁面に沿って設置される壁面緑化構造であって、前記構造物には、該構造物の方立を挟持する挟持部材と、該挟持部材に支持され前記方立に沿って鉛直方向へ延在する縦枠材と、水平方向に隣り合う前記縦枠材間に水平方向へ延在し前記縦枠材に支持された横枠材と、が設置され、前記壁面緑化ユニットの前記植栽基盤保持部は、前記横枠材に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、構造物には、方立を挟持する挟持部材と、挟持部材に支持され方立に沿って鉛直方向へ延在する縦枠材と、水平方向に隣り合う縦枠材間に水平方向へ延在し縦枠材に支持された横枠材と、が設置され、壁面緑化ユニットの植栽基盤保持部が横枠材に着脱可能に構成されている。これにより、構造物に壁面緑化ユニットを設置する際に、構造物の方立や無目に壁面緑化ユニットを固定するためのボルトを挿通させる孔などを形成する必要がないため、方立や無目を傷つけずに壁面緑化ユニットを構造物に設置することができる。
また、壁面緑化ユニットは、植栽基盤保持部が横枠材に対して着脱可能であるため、構造物の方立や無目に固定される従来の壁面緑化ユニットと比べて、壁面緑化ユニットの設置や取り外しを容易に行うことができる。
また、方立を挟持部材で挟持し、縦枠材および横枠材の設置は構造物の外部から設置することができるため、構造物の内部を使用している状態でも壁面緑化ユニットを設置することができる。
また、横枠材は、鉛直方向に延在する縦枠材に支持されていることにより、任意の高さに設置することができる。そして、横枠材の高さを調整すれば、壁面緑化ユニット高さを任意の高さに設置することができるため、構造物の壁面のデザイン性を高めることができる。また、例えば、腰壁のパネルが設置されている部分や、構造物内部に柱が立設されている部分など任意の場所の壁面緑化を行うことができる。
【0008】
また、本発明に係る壁面緑化構造では、前記挟持部材は、前記方立の一方の側部に配される第1側部材と、前記方立の他方の側部に配される第2側部材と、前記方立の前方で前記第1側部材と前記第2側部材との間に配される中間部材と、該中間部材の上下に接合され前記縦枠材が固定される縦枠材用下地部材とを備え、前記第1側部材および前記第2側部材は、前記方立および前記中間部材を側方から挟持していることが好ましい。
本発明では、第1側部材および第2側部材は、方立および中間部材を側方から挟持することにより、方立と中間部材とを固定することができるため、中間部材に固定される縦枠材用下地部材が方立に支持固定された構造とすることができる。これにより、縦枠材用下地部材に固定される縦枠材は、方立に支持固定された構造とすることができる。
【0009】
また、本発明に係る壁面緑化構造では、前記縦枠材と前記方立との間には、前記壁面緑化ユニットに水分を供給する給水管が設けられていることが好ましい。
本発明では、縦枠材と方立との間には、壁面緑化ユニットに水分を供給する給水管が設けられていることにより、植栽基盤の保水状態を常に良好に保持することができる。また、給水管が縦枠材に覆われた状態となるので、給水管が露出せずに外観が良いと共に、給水管の直射日光の影響による経年劣化を抑制することができる。
【0010】
また、本発明に係る壁面緑化構造では、前記横枠材は、前記構造物の無目の近傍に設けられていて、該無目と共に前記構造物の外方から化粧材に被覆されていてもよい。
本発明では、横枠材は、構造物の無目の近傍に設けられていて、無目と共に構造物の外方から化粧材に被覆されていることにより、横枠材が露出しないため、外観をよくすることができる。
【0011】
また、本発明に係る壁面緑化構造では、前記化粧材の上方には、前記壁面緑化ユニットが設置されていて、前記化粧材には、前記壁面ユニットから排出された排水を流す排水溝が形成されていてもよい。
本発明では、化粧材には、上側に設置された壁面ユニットから排出された排水を流す排水溝が形成されていることにより、壁面ユニットから排出された排水によって構造物の壁面が汚れることを防止できる。そして、化粧材に排水溝が形成されていることにより、化粧材と別に排水管などを設置する場合と比べて、部材が少ないため、施工を容易に行うことができる。
【0012】
また、本発明に係る壁面緑化構造の施工方法では、植物が植栽される植栽基盤と、該植栽基盤を保持する植栽基盤保持部と、を備える壁面緑化ユニットがカーテンウォール構法の構造物の外壁面に沿って設置される壁面緑化構造の施工方法であって、前記構造物の外方から、該構造物の方立を挟持する挟持部材を設置する工程と、前記挟持部材に支持されて鉛直方向へ延在する縦枠材を前記方立に沿って設置する工程と、前記縦枠材に支持されて水平方向へ延在する横枠材を水平方向に隣り合う前記縦枠材間に設置する工程と、前記壁面緑化ユニットの前記植栽基盤保持部を前記構造物の外方から前記横枠材に取り付ける工程と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明では、すべての工程を構造物の外方から行うことができるため、構造物の内部を使用した状態でも構造物に壁面緑化構造を施工することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、方立や無目を傷つけずに壁面緑化ユニットを構造物に設置することができることにより、構造物の強度低下を防止することができると共に、壁面緑化ユニットの横枠材への設置および取り外しが容易であるため、施工性やメンテナンス性を向上させることができる。
また、すべての工程を構造物の外方から行うことができるため、構造物の内部を使用した状態でも構造物に壁面緑化構造を施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は本発明の実施の形態による壁面緑化構造の一例を示す図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図2】(a)は挟持部材を説明する図で(b)のB−B線断面図、(b)は挟持部材の正面図である。
【図3】挟持部材の分解斜視図である。
【図4】(a)は横枠材化粧カバーおよび無目化粧カバーを説明する図、(b)は(a)のC−C線断面図である。
【図5】(a)、(b)は壁面緑化ユニットの施工工程を説明する図である。
【図6】(a)、(b)は図5に続く壁面緑化ユニットの施工工程を説明する図である。
【図7】図6に続く壁面緑化ユニットの施工工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態による壁面緑化構造について、図1乃至図4に基づいて説明する。
図1(a)、(b)に示すように、本実施の形態による壁面緑化構造1では、板状に形成されて図示しない植物が植栽される固化培土(植栽基盤)3と、固化培土3の両面に設けられたメッシュ(植栽基盤保持部)4と、を備えた壁面緑化ユニット2が、カーテンウォール構法の構造物21の外壁面に設置されている。
【0017】
カーテンウォール構法の構造物21の外壁面には、鉛直方向に延在する方立22と、水平方向に延在する無目23とが配設され、水平方向に隣り合う方立22,22と隣り合う方立22,22間に配設された鉛直方向に隣り合う無目23,23との内方にガラスやパネルなどの面材29が設置されている。壁面緑化ユニット2は、この面材29の外側に設置されている。
【0018】
壁面緑化ユニット2が設置されている部分に隣接する方立22には、この方立22を挟持する挟持部材24が複数取り付けられている。また、この挟持部材24には、方立22に沿って延在する縦枠材25が支持固定されている。そして、水平方向に隣り合う縦枠材25,25間には、水平方向に延在する横枠材26が架設され、横枠材26はその両端が縦枠材25に支持固定されている。本実施の形態では、横枠材26は、壁面緑化ユニット2が設置される部分の上側に位置する無目23の直近下側に設けられている。
壁面緑化ユニット2は、この横枠材26に着脱可能に取り付けられている。
【0019】
図2に示すように、挟持部材24は、方立22の一方の側部22aに配される第1側部材31と、他方の側部22bに配される第2側部材32と、第1および第2側部材31,32間に配される中間部材33と、第1側部材31と第2側部材32とを固定する固定具34と、中間部材33の上下に接合され縦枠材25(図2(a)参照)が固定される縦枠材用下地部材35(図2(b)参照)とを備えている。
【0020】
図2および図3に示すように、第1側部材31は、方立22の一方の側部22a(図2(a)参照)と当接する方立当接部41と、方立22の前面22c(図2(a)参照)側で方立当接部41よりも方立22の中心側に位置し中間部材33と当接する中間部材当接部42と、方立当接部41と中間部材当接部42とを接続する接続部43と、を備えている。
第2側部材32は、第1側部材31と左右対称に形成されていて、方立22の他方の側部22bと当接する方立当接部44と、方立22の前面22c側で方立当接部44よりも方立22の中心側に位置し中間部材33と当接する中間部材当接部45と、方立当接部44と中間部材当接部45とを接続する接続部46と、を備えている。
【0021】
第1側部材31の接続部43、第2側部材32の接続部46には、方立22の前方から方立22の前面22cに向かい、方立22の前面22cに当接するボルト47が挿通される孔部43a,46aが形成されている。このボルト47は、第1側部材31および第2側部材32を方立22側に押さえるためのボルトである。
【0022】
中間部材33は、断面形状が略C字型で、上下方向に長尺の部材で、方立22の前面22c側に配設される。
中間部材33は、第1側部材31の中間部材当接部42または第2側部材32の中間部材当接部45と、方立22への設置前に工場等で当接した状態で接合されていてもよい。本実施の形態では第1側部材31と中間部材33とが予め接合されている。
固定具34は、第1側部材31と第2側部材32とを接近させて固定させる部材である。本実施の形態では固定具34はボルトとナットとで構成され、第1側部材31の中間部材当接部42、第2側部材32の中間部材当接部45および中間部材33に、ボルトが挿通する孔部42a,45a,33aが形成して、これらの孔部42a,45a,33aにボルトを挿通させてナットを締結する構成としてもよい。
縦枠材用下地部材35は、所定の長さを有し、方立22の幅よりもやや小さい幅に形成された断面形状が略C字型の部材である。縦枠材用下地部材35は、中間部材33の上部および下部に溶接などで接合されている。なお、縦枠材用下地部材35と中間部材33とは、方立22への設置前に工場等で接合されていてもよい。
【0023】
図1および図2に示すように、縦枠材25は、方立22と略同じ幅に形成されており、挟持部材24の縦枠材用下地部材35(図2(b)参照)に固定されている。図2(a)に示すように、縦枠材25は、断面形状が略C字型に形成されていて、縦枠材用下地部材35との間には間隙部48が形成されている。この間隙部48には、固化培土3に水を供給する潅水チューブ6が接続される給水管14(図5(b)参照)が設置される。
なお、給水管14は、方立22と中間部材33との隙間に配置されてもよい。
また、縦枠材25には、給水管14と接続される潅水チューブ6が挿通可能な孔部(不図示)が形成されている。
【0024】
横枠材26は、両端部26aが図示しない固定具などで縦枠材25に固定されていて、縦枠材25に対して任意の高さに設置することができる。本実施の形態では、無目23の直下の高さに横枠材26が設置されている。また、固定具は、例えば、縦枠材25と横枠材26に固定されるL型金物などとすることができる。
図4(a)、(b)に示すように、横枠材26には、横枠材26を覆う横枠材化粧カバー(化粧材)15が設置される。横枠材化粧カバー15には、上側に位置する壁面緑化ユニット2の固化培土3からの排水を受ける排水溝15a(図4(b)参照)が形成されている。
なお、横枠材26が無目23の直上または直下にある場合には、横枠材化粧カバー15が横枠材26および無目23を覆う形状としてもよい。
また、横枠材化粧カバー15には、排水溝15aが形成されているが、排水溝15aが形成されていない横枠材化粧カバーとしてもよく、この場合、横枠材化粧カバーと無目23との間に、上側に位置する壁面緑化ユニット2の固化培土3からの排水を流す排水管を設けてもよい。
【0025】
また、壁面緑化ユニット2の下方の無目23も無目化粧カバー16に覆われることが好ましい。この無目化粧カバー16にも壁面緑化ユニット2の固化培土3からの排水を受ける排水溝16a(図4(b)参照)が形成されている。
なお、必要に応じて、縦枠材25と縦枠材用下地部材35との間の間隙部48(図2(a)参照)に、横枠材化粧カバー15の排水溝15aや、無目化粧カバー16の排水溝16aに収容された排水を流す排水管を設けてもよい。
【0026】
固化培土3は、例えば、無機質発泡体などの軽量土に熱融着性繊維を配合させて熱処理により固化してなる培土基盤で構成されている。無機質発泡体の例として、パーライトが挙げられる。固化培土3には、上部側が下部側に比べて保水性の高い材料が使用されることが好ましい。
このように、固化培土3を植栽基盤とすることにより、壁面緑化ユニットの軽量化2を図ることができて、構造物21への荷重負担を軽減することができると共に、壁面緑化ユニット2の設置や取り外しを容易にすることができる。
なお、本実施形態では、固化培土3を植栽基盤としてしているが、固化培土3に代わって、不織布マットやスポンジ状のマットなどを植栽基盤としてもよい。また、植栽基盤は、その形状を保持可能で、飛散しにくく、垂直面への植栽が可能であれば、その他のものとしてもよい。
【0027】
メッシュ4は、鋼線などの線状部材を縦横に格子状に組まれた部材である。固化培土3の両面側に設けられたメッシュ4は互いに固定され、固化培土3が崩れることを防止している。
固化培土3の上部には、その幅の略全長にわたって固化培土3に水を供給する潅水チューブ6が設けられている。潅水チューブ6には、給水用孔部が複数形成されており、固化培土3に水を供給することができるように構成されている。潅水チューブ6は、給水管14に接続されている。
給水管14は、隣接する壁面緑化ユニット2の潅水チューブ6とも接続されている。
【0028】
次に、上述した壁面緑化ユニット2の施工方法(壁面緑化構造の施工方法)について図面を用いて説明する。
まず、図5(a)に示すように、構造物21の方立22に挟持部材24を設置する。
挟持部材24の設置は、図2に示す方立22の一方の側部22aに第1側部材31を設置して、他方の側部22bに第2側部材32を設置し、第1側部材31と第2側部材32との間に中間部材33を設置する。
そして、固定具34のボルトを第1側部材31の中間部材当接部42、第2側部材32の中間部材当接部45、中間部材33のそれぞれに形成された孔部42a,45a,33aに挿入しナットで締結する。これにより、方立22は、第1側部材31および第2側部材32に挟持される
また、第1側部材31の接続部43および第2側部材32の接続部46に形成された孔部43a,46aにボルトを挿入し、第1側部材31および第2側部材32を方立22側に押圧する。
そして、中間部材33に縦枠材用下地部材35を接合する。
【0029】
次に、給水管14を設置する。
図5(b)に示すように、方立22に沿って給水管14を設置する。このとき、必要に応じて、縦枠材25と縦枠材用下地部材35との間の間隙部48(図2(a)参照)に、横枠材化粧カバー15の排水溝15aや、無目化粧カバー16の排水溝16a(図4参照)に収容された排水を流す排水管を設けてもよい。
【0030】
次に、縦枠材25および横枠材26を設置する。
図6(a)に示すように、挟持部材24の縦枠材用下地部材35に縦枠材25を固定する。
そして、隣り合う縦枠材25間で壁面緑化ユニット2を設置する部分の上側の無目23の下方に横枠材26を設置する。このとき、横枠材26の両端部26aを、例えば、L型金物などで縦枠材25に固定する。
このとき、縦枠材25に形成された図示しない孔部から縦枠材25内部に潅水チューブを挿入し、給水管14に潅水チューブ6を接続する。
【0031】
次に、壁面緑化ユニット2の組み立てを行う。
図1に示す固化培土3の両面にメッシュ4を取り付け、メッシュ4で固化培土3を挟んだ状態とする。
なお、壁面緑化ユニット2の組み立ては、縦枠材25および横枠材26を設置する前に行ってもよい。例えば、予め組み立てた壁面緑化ユニット2を設置現場に搬入することで、壁面緑化ユニット2を設置する時間を短縮することができる。
【0032】
次に、壁面緑化ユニット2を横枠材26に固定する。
図6(b)に示すように、横枠材26に壁面緑化ユニット2を固定する。本実施の形態では、横枠材26の下側に壁面緑化ユニット2を配設し、例えば、横枠材26に設けられたフック(不図示)などにメッシュ4の一部を引っ掛けることで壁面緑化ユニット2が横枠材26に固定される。
【0033】
次に、横枠材化粧カバー15および無目化粧カバー16を設置する。
図7に示すように、壁面緑化ユニット2の上方の横枠材26および無目23の前面に横枠材化粧カバー15を設置し、壁面緑化ユニット2の下方の無目23の前面に無目化粧カバー16を設置する。横枠材化粧カバー15および無目化粧カバー16は、横枠材26や無目23に引っ掛けて取り付ける構成とする。
このとき、無目化粧カバー16の排水溝16aに固化培土3からの排水が流入するように位置調整を行う。
次に、潅水タイマー(不図示)や、給水に肥料を混合させる肥料混合装置(不図示)などを例えば潅水用の給水ポンプ(不図示)の近傍に設置する。
そして、固化培土3に植物を植栽し、壁面緑化ユニット2が施工され、本実施の形態の壁面緑化構造1が構築される。なお、植物は予め固化培土3に植栽しておいてもよい。
【0034】
また、メンテナンスなどにより、壁面緑化ユニット2を取り外すときには、まず、横枠材26および無目23から横枠材化粧カバー15を外し、潅水チューブ6を固化培土3と離して、壁面緑化ユニット2を横枠材26から取り外す。
【0035】
次に、上述した本実施の形態の壁面緑化構造1の効果について説明する。
本実施の形態による壁面緑化構造1では、方立22を挟持する挟持部材24に縦枠材25が固定され、この縦枠材25に固定された横枠材26に壁面緑化ユニット2が設置される構造であることにより、壁面緑化ユニット2を固定するために、固定用のボルトを挿通させる孔を方立22や無目23に開けるなど方立22や無目23を傷つけることがないので、構造物21の強度低下を防止できる効果を奏する。
また、方立22や無目23にボルト孔が形成されないので、ボルト孔から構造物21内部に雨水などが浸入するということがない。
また、壁面緑化ユニット2の横枠材26への設置および取り外しが容易であることにより、施工性やメンテナンス性を向上させることができる。
また、壁面緑化ユニット2の施工は構造物21の外方からのみの工事であるので、構造物21内部を使用した状態で施工することができる。
また、横枠材26の高さを任意の高さに設定できるので、デザイン性を高めることができる。また、腰壁部分や、構造物21内に柱がある部分など任意の場所のみの壁面緑化を行うことができる
【0036】
以上、本発明による壁面緑化構造の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態では、横枠材26は、壁面緑化ユニット2の上側に設置してあるが、壁面緑化ユニット2の上下に横枠材26を設置し、この上下の横枠材26に壁面緑化ユニット2固定してもよい。この場合、壁面緑化ユニット2の下側の横枠材26にも横枠材化粧カバー15を設置し、この横枠材化粧カバー15の排水溝15aに壁面緑化ユニット2の固化培土3からの排水が流れ込むようにすることが好ましい。
また、例えば、本実施の形態では、壁面緑化ユニット2は、固化培土3を固化培土3の両面に沿って設置されたメッシュ4で保持しているが、メッシュ4に代わって、枠材などで固化培土3を保持してもよい。
また、例えば、本実施の形態では、挟持部材24は、第1側部材31および第2側部材32が、方立22および中間部材33を側方から挟持し、中間部材33に縦枠材用下地部材35が固定されているが、中間部材33が縦枠材用下地部材35を兼ねる構成とし、中間部材33に縦枠材25が固定される構成としてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 壁面緑化構造
2 壁面緑化ユニット
3 固化培土(植栽基盤)
4 メッシュ(植栽基盤保持部)
14 給水管
15 横枠材化粧カバー
21 構造物
22 方立
23 無目
24 挟持部材
25 縦枠材
26 横枠材
31 第1側部材
32 第2側部材
33 中間部材
35 縦枠材用下地部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物が植栽される植栽基盤と、該植栽基盤を保持する植栽基盤保持部と、を備える壁面緑化ユニットがカーテンウォール構法の構造物の外壁面に沿って設置される壁面緑化構造であって、
前記構造物には、該構造物の方立を挟持する挟持部材と、
該挟持部材に支持され前記方立に沿って鉛直方向へ延在する縦枠材と、
水平方向に隣り合う前記縦枠材間に水平方向へ延在し前記縦枠材に支持された横枠材と、が設置され、
前記壁面緑化ユニットの前記植栽基盤保持部は、前記横枠材に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする壁面緑化構造。
【請求項2】
前記挟持部材は、前記方立の一方の側部に配される第1側部材と、前記方立の他方の側部に配される第2側部材と、前記方立の前方で前記第1側部材と前記第2側部材との間に配される中間部材と、該中間部材の上下に接合され前記縦枠材が固定される縦枠材用下地部材とを備え、前記第1側部材および前記第2側部材は、前記方立および前記中間部材を側方から挟持していることを特徴とする請求項1に記載の壁面緑化構造
【請求項3】
前記縦枠材と前記方立との間には、前記壁面緑化ユニットに水分を供給する給水管が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の壁面緑化構造。
【請求項4】
前記横枠材は、前記構造物の無目の近傍に設けられていて、該無目と共に前記構造物の外方から化粧材に被覆されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の壁面緑化構造。
【請求項5】
前記化粧材の上方には、前記壁面緑化ユニットが設置されていて、前記化粧材には、前記壁面ユニットから排出された排水を流す排水溝が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の壁面緑化構造。
【請求項6】
植物が植栽される植栽基盤と、該植栽基盤を保持する植栽基盤保持部と、を備える壁面緑化ユニットがカーテンウォール構法の構造物の外壁面に沿って設置される壁面緑化構造の施工方法であって、
前記構造物の外方から、該構造物の方立を挟持する挟持部材を設置する工程と、
前記挟持部材に支持されて鉛直方向へ延在する縦枠材を前記方立に沿って設置する工程と、
前記縦枠材に支持されて水平方向へ延在する横枠材を水平方向に隣り合う前記縦枠材間に設置する工程と、
前記壁面緑化ユニットの前記植栽基盤保持部を前記構造物の外方から前記横枠材に取り付ける工程と、を備えることを特徴とする壁面緑化構造の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−48(P2012−48A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137464(P2010−137464)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】