説明

変性されたアミノプラスト樹脂をベースとするポリオール、その製造法およびその使用

一般式I:>N−CHR−OR (I)、[式中、置換基Rは、水素原子、炭素原子1〜6個を有するアルキル基または炭素原子6〜10個を有するアリール基を意味し、かつ置換基Rは、炭素原子1〜6個を有するアルキル基を意味する]の少なくとも3個のアセタール化またはエーテル化されたN−メチロール基を有する少なくとも1つのアミノプラスト樹脂(B)と一般式II:R(−OH) (II)、[式中、添え字nは2〜6の数であり、かつ置換基Rは、2価〜6価の有機基である]の少なくとも1つのポリオール(C)との、当量比III:(B)の基I:ポリオール(C)=0.5〜1.2 (III);における一般式Ia:R−OH (Ia)、[式中、置換基Rは、前で記載された意味を有する]のモノアルコール(D)の少なくとも50モル%の、アミノプラスト樹脂からの脱離下での反応によって製造可能な、変性されたアミノプラスト樹脂をベースとする新規のポリオール(A);その製造法およびその使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、変性されたアミノプラスト樹脂をベースとする新規のポリオールに関する。それ以外に本発明は、アミノプラスト樹脂の新規の変性法に関する。なかでも本発明は、変性されたアミノプラスト樹脂をベースとする新規のポリオールの使用ならびに硬化可能な材料としてのまたはその製造のためのアミノプラスト樹脂の新規の変性法によって製造されたポリオールに関する。
【0002】
従来技術
アミノプラスト樹脂、殊にアセタール化またはエーテル化されたメラミン/ホルムアルデヒド樹脂、ならびに熱的に硬化可能な材料、殊に被覆材料中での架橋剤としてのそれらの使用は、久しい以前から公知である(例えばJohan Bieleman,≫Lackadditive≪,≫7.2.2 Melaminharz−vernetzende Systeme≪,Wiley−VCH,Weinheim,New York,1998,第242頁〜第250頁)。当該被覆材料は、高い表面硬度を有する公知の被覆を供給する。
【0003】
しかしながら、これらの被覆材料は、酸触媒のその含有量に基づき、限られた貯蔵安定性しか有さない。
【0004】
それ以外に、アミノプラスト樹脂は自己縮合の傾向があり、それによって被覆の脆性が高まり、かつその弾性が減少する。
【0005】
アミノプラスト樹脂、殊にエーテル化されたメラミン/ホルムアルデヒド樹脂は、いわゆる多成分系、殊に二成分系から製造される被覆材料中で共架橋剤としても使用される。公知のように、多成分系は、有利にはヒドロキシル基を有する構成成分を含有する少なくとも1つのバインダー成分と、有利にはポリイソシアネートを含有する少なくとも1つの架橋剤成分とを包含する。両成分は互いに分けて貯蔵され、かつ使用の少し前になって初めて、実際の被覆材料の製造のために互いに混合される。これらの被覆材料から製造された被覆は、公知の有利な特性の組み合わせ、例えば良好な耐エッチング性および良好な耐湿潤引掻性(Nasskratzfestigkeit)を有する。
【0006】
しかしながら、これらの被覆材料の熱硬化に際して、アセタールの形で結合されたアルコールがアミノプラスト樹脂から脱離しえ、それによってヒドロキシル基対イソシアネート基の本来の当量比が予測できない仕方で変化する。遊離したアルコールは、次いでポリイソシアネートとの反応によって、結果的に得られる熱硬化性材料中で必然的に網目構造−末端基(Netzwerk-Endgruppen)を形成し、これは網目構造密度ひいては当該被覆の引掻強度を不利に減少させうる。
【0007】
カルバメート基を含有する化合物、例えばメチルカルバメートによるアミノプラスト樹脂の変性は、アメリカ特許出願US2005/0182189A1から公知である。この際、式>N−CH−NH−C(O)−OCHの基を含有するアミノプラスト樹脂が結果的に得られる。しかしながら、これらのアミノプラスト樹脂は、イソシアネート反応性官能基の欠如、それらの高い融点およびそれらの高い架橋温度ゆえに、多成分系の構成成分として適していない。
【0008】
本発明の課題
本発明の基礎をなしている課題は、新規の熱的に硬化可能な材料または新規の熱的に硬化可能な材料のための構成成分としてきわめて優れた形で使用されえ、かつ簡単に、公知の容易に入手されうる出発生成物から製造することができる新規の物質を提供することであった。
【0009】
新規の熱的に硬化可能な材料は、貯蔵安定性および可搬性で、かつ新規の被覆材料、接着剤、シーラントおよび成形品およびシート用の前駆体、殊に被覆材料、特にその使用の少し前に多成分系から製造される被覆材料として殊にきわめて優れた形で適しているべきである。
【0010】
新規の被覆材料は、なかでも電着塗料、プライマー、サーフェーサー、下塗り剤、ベース塗料、ソリッドカラー塗料およびクリア塗料、殊にクリア塗料としてきわめて優れた形で適しているべきである。
【0011】
それ以外に、新規の熱的に硬化可能な材料は、新規の熱硬化性材料、なかでも被覆、接着層、シール、成形品およびシート、殊に被覆の製造のためにきわめて優れた形で適しているべきである。
【0012】
新規の被覆は、きわめて優れた特性プロフィールを有する、なかでも新規の電着塗膜、プライマー塗膜、サーフェーサー塗膜、耐チッピング性下塗り層、ベース塗膜、ソリッドカラー塗膜およびクリア塗膜、殊にクリア塗膜、特に色付与および/または効果付与する多層塗膜のクリア塗膜であるべきである。
【0013】
殊に新規の被覆は、高い耐エッチング性、耐化学薬品性、耐候性および耐湿性、非常に良好なレベリング、きわめて優れた視覚上の全体的印象(外観)、非常に良好な耐湿潤引掻性およびとりわけ高い耐乾燥引掻性(Trockenkratzfestigkeit)を有するべきである。
【0014】
本発明による解決
それに従って、一般式I:
>N−CHR−OR (I)、
[式中、置換基Rは、水素原子、炭素原子1〜6個を有するアルキル基または炭素原子6〜10個を有するアリール基を意味し、かつ置換基Rは、炭素原子1〜6個を有するアルキル基を意味する]の少なくとも3個のアセタール化またはエーテル化されたN−メチロール基を有する少なくとも1つのアミノプラスト樹脂(B)と一般式II:
(−OH) (II)、
[式中、添え字nは2〜6の数であり、かつ置換基Rは、2価〜6価の有機基である]の少なくとも1つのポリオール(C)との、当量比III:
(B)の基I:ポリオール(C)=0.5〜1.2 (III);
における、一般式Ia:
−OH (Ia)、
[式中、置換基Rは、前で記載された意味を有する]のモノアルコール(D)の少なくとも50モル%の、アミノプラスト樹脂(B)からの脱離下での反応によって製造可能な、変性されたアミノプラスト樹脂をベースとする新規のポリオール(A)が見出された。
【0015】
以下で、変性されたアミノプラスト樹脂をベースとする新規のポリオール(A)は、≫本発明によるポリオール(A)≪と呼ばれる。
【0016】
それ以外に、一般式I:
>N−CHR−OR (I)、
[式中、置換基Rは、水素原子、炭素原子1〜6個を有するアルキル基または炭素原子6〜10個を有するアリール基を意味し、かつ置換基Rは、炭素原子1〜6個を有するアルキル基を意味する]の少なくとも3個のアセタール化またはエーテル化されたN−メチロール基を有する少なくとも1つのアミノプラスト樹脂(B)と一般式II:
(−OH) (II)、
[式中、添え字nは2〜6の数であり、かつ置換基Rは、2価〜6価の有機基である]の少なくとも1つのポリオール(C)とを、当量比III:
(B)の基I:ポリオール(C)=0.6〜1.2 (III);
において、一般式Ia:
−OH (Ia)、
[式中、置換基Rは、前で記載された意味を有する]のモノアルコール(D)の少なくとも50モル%のアミノプラスト樹脂からの脱離下で反応させることによる、本発明によるポリオール(A)の新規の製造法が見出された。
【0017】
以下で、本発明によるポリオール(A)の新規の製造法は、≫本発明による方法≪と呼ばれる。
【0018】
なかでも、熱的に硬化可能な材料としてのまたは熱的に硬化可能な材料の製造のための本発明によるポリオール(A)および本発明による方法に従って製造された本発明によるポリオール(A)の新規の使用が見出され、このことは以下で、≫本発明による使用≪と呼ばれる。
【0019】
さらに他の本発明の対象は、発明の詳細な記載から明らかとなる。
【0020】
本発明の利点
従来技術に鑑みて、本発明の基礎をなしていた課題が、本発明によるポリオール(A)、本発明による方法および本発明による使用によって解決できたことは意想外であり、かつ当業者にとって予測可能ではなかった。
【0021】
殊に、本発明によるポリオール(A)が、本発明による使用の範囲内で、新規の熱的に硬化可能な材料または新規の熱的に硬化可能な材料の構成成分としてきわめて優れた形で使用されえ、かつ本発明による方法によってとりわけ簡単に、公知の容易に入手されうる出発生成物から製造できたことは意想外であった。
【0022】
本発明による熱的に硬化可能な材料は、貯蔵安定性および可搬性で、かつ新規の被覆材料、接着剤、シーラントおよび成形品およびシート用の前駆体、殊に被覆材料、特にその使用の少し前に多成分系から製造された被覆材料として殊にきわめて優れた形で適していた。
【0023】
本発明による被覆材料は、なかでも電着塗料、プライマー、サーフェーサー、下塗り剤、ベース塗料、ソリッドカラー塗料およびクリア塗料、殊にクリア塗料としてきわめて優れた形で適していた。
【0024】
それ以外に、本発明による熱的に硬化可能な材料は、新規の熱硬化性材料、なかでも被覆、接着層、シール、成形品およびシート、殊に被覆の製造のためにきわめて優れた形で適していた。
【0025】
本発明による被覆は、なかでもきわめて優れた特性プロフィールを有する、新規の電着塗膜、プライマー塗膜、サーフェーサー塗膜、耐チッピング性下塗り層、ベース塗膜、ソリッドカラー塗膜およびクリア塗膜、殊にクリア塗膜、特に色付与および/または効果付与する多層塗膜のクリア塗膜であった。
【0026】
殊に、本発明による被覆は、高い耐エッチング性、耐化学薬品性、耐候性および耐湿性、非常に良好なレベリング、きわめて優れた視覚上の全体的印象(外観)、非常に良好な耐湿潤引掻性およびとりわけ高い耐乾燥引掻性を有していた。
【0027】
従って、本発明による被覆、殊に本発明によるクリア塗膜は、とりわけ高価な経済的製品、殊に自動車ボディーおよびその一部の被覆にきわめて優れた形で適していた。
【0028】
本発明の詳細な記載
本発明による方法の範囲内での本発明によるポリオール(A)の製造は、一般式I:
>N−CHR−OR (I)、
[式中、置換基Rは、水素原子、炭素原子1〜6個を有するアルキル基または炭素原子6〜10個を有するアリール基、殊にしかし水素原子を意味し、かつ置換基Rは、炭素原子1〜6個、有利には1〜4個を有するアルキル基、殊にしかしメチル、ブチルまたはイソブチルを意味する]の少なくとも3個の、有利には少なくとも4個の、有利には少なくとも5個のおよび殊に6個のアセタール化またはエーテル化されたN−メチロール基を含有する、少なくとも1つの、殊に1つのアミノプラスト樹脂(B)から出発する。
【0029】
有利には、アミノプラスト樹脂(B)は、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、尿素樹脂およびグリコールウリル樹脂ならびにアミドおよび少なくとも2個のカルバメート基を有する化合物から成る群から選択される。殊に、アミノプラスト樹脂(B)はメラミン樹脂である。
【0030】
アミノプラスト樹脂(B)は古くから公知の化合物であり、かつ例えばアメリカ特許出願US2005/0182189A1、第1頁、第[0014]段落〜第4頁、第[0028]段落中で詳細に記載されている。
【0031】
本発明により、アミノプラスト樹脂(B)は、一般式II:
(−OH) (II)、
[式中、添え字nは、2〜6の数、有利には2〜6の整数、有利には2または3および殊に2であり、かつ置換基Rは、2価〜6価の、有利には2価または3価のおよび殊に2価の有機基である]の少なくとも1つのポリオール(C)および有利には少なくとも2つのおよび殊に2つのポリオール(C)と反応させられる。
【0032】
有利には、有機基Rは、脂肪族基、脂環族基および/または芳香族基を含有するかまたはこれから成る基である。有利には、該基は2〜50個の、有利には2〜40個の、とりわけ有利には2〜30個の炭素原子を含有する。加えて該基はなお、例えばドイツ特許出願DE19947523A1、第5頁、第38行目〜第47行目の中で記載されるような、脂肪族基、脂環族基および/または芳香族基を互いに結合する官能基を含有してよい。それ以外に、該基は置換されていてもよい。適した置換基の例は、ドイツ特許出願DE19959923A1、第7頁、第65行目〜第8頁、第5行目から公知である。重要なのは、置換基および結合性官能基が、例えばアミノプラスト樹脂(B)とポリオール(C)との反応を妨げるかまたは不所望の副生成物を生じさせるといった形で、この反応にマイナスに影響を及ぼさないことである。
【0033】
適したポリオール(C)の例は、トリオール、テトロール、ペンチトールおよびヘキシトール、例えばトリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、エリトリトール、トレイトール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、ホモペンタエリトリトール、アラビトール、アドニトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、ズルシトールおよびイノシトールである。
【0034】
適したジオール(C)の例は、2個のヒドロキシル基で官能化されている、環式および非環式のC〜C16−アルカンである。
【0035】
ジオール(C)が誘導されるC〜C16−アルカンとして、実質的には、炭素原子9〜16個を有する全ての直鎖のおよび分岐鎖の、有利には分岐鎖のアルカンが考慮に入れられる。
【0036】
有利には、化合物(B)が誘導されるC〜C16−アルカンは、2−メチルオクタン、4−メチルオクタン、2,3−ジメチル−ヘプタン、3,4−ジメチル−ヘプタン、2,6−ジメチル−ヘプタン、3,5−ジメチル−ヘプタン、2−メチル−4−エチル−ヘキサン、イソプロピル−シクロヘキサン、4−エチルオクタン、2,3,4,5−テトラメチル−ヘキサン、2,3−ジエチル−ヘキサン、1−メチル−2−n−プロピル−シクロヘキサン、2,4,5,6−テトラメチル−ヘプタン、3−メチル−6−エチル−オクタン、1'−エチル−ブチル−シクロヘキサン、位置異性体ジエチルオクタン、3,4−ジメチル−5−エチル−ノナン、4,6−ジメチル−5−エチル−ノナン、3,4−ジメチル−7−エチル−デカン、3,6−ジエチル−ウンデカン、3,6−ジメチル−9−エチル−ウンデカン、3,7−ジエチル−ドデカンおよび4−エチル−6−イソプロピル−ウンデカンから成る群から選択される。
【0037】
有利には、C〜C16−アルカンは位置異性体ジエチルオクタンである。
【0038】
それに従って、有利な化合物(B)は位置異性体ジエチルオクタンジオール、とりわけ有利には直鎖C炭素鎖を含有するものである。
【0039】
その際、C炭素鎖は、2個のエチル基に関して置換パターン2,3、2,4、2,5、2,6、2,7、3,4、3,5、3,6または4,5を有してもよい。
【0040】
同様に、C炭素鎖は、2個のヒドロキシル基に関して置換パターン1,2、1,3、1,4、1,5、1,6、1,7、1,8、2,3、2,4、2,5、2,6、2,7、2,8、3,4、3,5、3,6、3,7、3,8、4,5、4,6、4,8、5,6、5,7、5,8、6,7、6,8または7,8を有してもよい。
【0041】
有利には、ジエチルオクタンジオール(B)は、以下から成る群から選択される:
2,3−ジエチルオクタン−1,2−、−1,3−、−1,4−、−1,5−、−1,6−、−1,7−、−1,8−、−2,3−、−2,4−、−2,5−、−2,6−、−2,7−、−2,8−、−3,4−、−3,5−、−3,6−、−3,7−、−3,8−、−4,5−、−4,6−、−4,7−、−4,8−、−5,6−、−5,7−、−5,8−、−6,7−、−6,8−および−7,8−ジオール、
2,4−ジエチルオクタン−1,2−、−1,3−、−1,4−、−1,5−、−1,6−、−1,7−、−1,8−、−2,3−、−2,4−、−2,5−、−2,6−、−2,7−、−2,8−、−3,4−、−3,5−、−3,6−、−3,7−、−3,8−、−4,5−、−4,6−、−4,7−、−4,8−、−5,6−、−5,7−、−5,8−、−6,7−、−6,8−および−7,8−ジオール、
2,5−ジエチルオクタン−1,2−、−1,3−、−1,4−、−1,5−、−1,6−、−1,7−、−1,8−、−2,3−、−2,4−、−2,5−、−2,6−、−2,7−、−2,8−、−3,4−、−3,5−、−3,6−、−3,7−、−3,8−、−4,5−、−4,6−、−4,7−、−4,8−、−5,6−、−5,7−、−5,8−、−6,7−、−6,8−および−7,8−ジオール、
2,6−ジエチルオクタン−1,2−、−1,3−、−1,4−、−1,5−、−1,6−、−1,7−、−1,8−、−2,3−、−2,4−、−2,5−、−2,6−、−2,7−、−2,8−、−3,4−、−3,5−、−3,6−、−3,7−、−3,8−、−4,5−、−4,6−、−4,7−、−4,8−、−5,6−、−5,7−、−5,8−、−6,7−、−6,8−および−7,8−ジオール、
2,7−ジエチルオクタン−1,2−、−1,3−、−1,4−、−1,5−、−1,6−、−1,7−、−1,8−、−2,3−、−2,4−、−2,5−、−2,6−、−2,7−、−2,8−、−3,4−、−3,5−、−3,6−、−3,7−、−3,8−、−4,5−、−4,6−、−4,7−、−4,8−、−5,6−、−5,7−、−5,8−、−6,7−、−6,8−および−7,8−ジオール、
3,4−ジエチルオクタン−1,2−、−1,3−、−1,4−、−1,5−、−1,6−、−1,7−、−1,8−、−2,3−、−2,4−、−2,5−、−2,6−、−2,7−、−2,8−、−3,4−、−3,5−、−3,6−、−3,7−、−3,8−、−4,5−、−4,6−、−4,7−、−4,8−、−5,6−、−5,7−、−5,8−、−6,7−、−6,8−および−7,8−ジオール、
3,5−ジエチルオクタン−1,2−、−1,3−、−1,4−、−1,5−、−1,6−、−1,7−、−1,8−、−2,3−、−2,4−、−2,5−、−2,6−、−2,7−、−2,8−、−3,4−、−3,5−、−3,6−、−3,7−、−3,8−、−4,5−、−4,6−、−4,7−、−4,8−、−5,6−、−5,7−、−5,8−、−6,7−、−6,8−および−7,8−ジオール、
3,6−ジエチルオクタン−1,2−、−1,3−、−1,4−、−1,5−、−1,6−、−1,7−、−1,8−、−2,3−、−2,4−、−2,5−、−2,6−、−2,7−、−2,8−、−3,4−、−3,5−、−3,6−、−3,7−、−3,8−、−4,5−、−4,6−、−4,7−、−4,8−、−5,6−、−5,7−、−5,8−、−6,7−、−6,8−および−7,8−ジオールおよび
4,5−ジエチルオクタン−1,2−、−1,3−、−1,4−、−1,5−、−1,6−、−1,7−、−1,8−、−2,3−、−2,4−、−2,5−、−2,6−、−2,7−、−2,8−、−3,4−、−3,5−、−3,6−、−3,7−、−3,8−、−4,5−、−4,6−、−4,7−、−4,8−、−5,6−、−5,7−、−5,8−、−6,7−、−6,8−および−7,8−ジオール。
【0042】
有利には、2個のエチル基は2,4位にある。
【0043】
有利には、2個のヒドロキシル基は1,5位にある。
【0044】
殊に、ジオール(C)として、2,4−ジエチルオクタン−1,5−ジオールが使用される。
【0045】
位置異性体ジエチルオクタンジオール(C)は自体公知の化合物であり、通常のかつ公知の有機化学の合成法、例えば塩基触媒アルドール縮合に従って製造されうるか、または2−エチル−ヘキサノールの製造のような大規模な化学合成の副生成物として発生する。
【0046】
適したジオール(C)のさらに他の例は、ドイツ特許出願DE19948004A1、第5頁、第38行目〜第6頁、第7行目から公知である。殊に、プロピレングリコールおよびヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルが使用される。
【0047】
本発明により、アミノプラスト樹脂(B)とポリオール(C)とは、(B)の基I:ポリオール(C)=0.5〜1.2、有利には0.6〜1.1および殊に1の当量比IIIが存在するような量比で互いに反応させられる。
【0048】
本発明により、この反応に際して、一般式Ia:
−OH (Ia)、
[式中、置換基Rは、前で記載された意味を有する]の少なくとも1つのモノアルコール(D)少なくとも50モル%、有利には少なくとも60モル%および殊に少なくとも70モル%がアミノプラスト樹脂(B)から脱離される。有利には、モノアルコール(D)は、メタノール、n−ブタノールおよびイソブタノール、殊にメタノールである。
【0049】
有利には、反応は80〜150℃で実施される。有利には、その際、モノアルコール(D)が連続的に反応混合物から取り除かれる。
【0050】
反応は、有機溶液中で実施してもよい。有利には、反応は本体中(溶剤なし)で実施される。
【0051】
有利には、本発明による方法の場合、アミノプラスト樹脂(B)とポリオール(C)との反応は触媒(E)の存在下で実施される。とりわけ有利には、酸触媒(E)が使用される。殊に、通常、メラミン樹脂の縮合のために使用される酸触媒(E)が用いられる。適した触媒(E)の例は、Johan Bieleman,≫Lackadditive≪,7.2.2 Melaminharz−vernetzende Systeme≪,Wiley−VCH,Weinheim,New York,1998,第242頁〜第250頁から公知である。
【0052】
結果的に得られる本発明によるポリオール(A)は、非常に様々の用途に用いられうる。有利には、それは本発明による使用の範囲内で、本発明による熱的に硬化可能な材料としてのまたは本発明による熱的に硬化可能な材料の製造のために用いられる。
【0053】
それ以外になお、本発明による熱的に硬化可能な材料は、物理的、酸化的にかつ/または化学線により硬化可能でありうる。化学線とは、電磁線、例えば近赤外線(NIR)、可視光線、UV線、X線およびガンマ線、殊にUV線、および粒子線、例えば電子線、ベータ線、中性子線、陽子線およびα線、殊に電子線であると理解される。
【0054】
有利には、本発明による材料は、新規の熱的にまたは熱的にかつ化学線により硬化可能な被覆材料、接着剤、シーラントおよび成形品およびシート用の前駆体として使用される。
【0055】
有利には、それは本発明による被覆材料として用いられる。
【0056】
本発明による被覆材料は、有機溶剤をベースとする従来の被覆材料、水性の被覆材料、粉末状の被覆材料または粉末の懸濁液(粉末スラリー)であってもよい。それは一成分系または多成分系、殊に二成分系であってよい。有利には、それはイソシアネート反応性官能基、殊にヒドロキシル基を有する構成成分を含有するバインダー成分と、ポリイソシアネートを含有する架橋剤成分とから成る二成分系である。
【0057】
とりわけ有利には、本発明による被覆材料は、新規の電着塗料、プライマー、サーフェーサー、下塗り剤、ベース塗料、ソリッドカラー塗料およびクリア塗料、殊にクリア塗料である。
【0058】
方法的に見て、本発明による熱的に硬化可能な材料の製造は特殊性を有するのではなく、むしろ該材料は、本発明によるポリオール(A)と、通常のかつ公知の被覆材料の構成成分との混合によって製造され、その後、該混合物は均質化される。本発明による熱的に硬化可能な材料を製造するための適した混合集成装置は、攪拌釜、インラインディゾルバー、ローター/ステーター式分散装置、ウルトラチュラックス、マイクロフルイダイザー、高圧ホモジナイザーまたはノズルジェット分散装置である。本発明による熱的に硬化可能な材料が、化学線により活性化されうる構成成分を含有するべき場合、製造に際しての化学線の排除および本発明による熱的に硬化可能な材料の引き続く貯蔵が推奨される。
【0059】
その際、本発明による熱的に硬化可能な材料中の本発明によるポリオール(A)の含有率は非常に幅広く変化してよく、かつ個々のケースの要件に最適に合わせられうる。有利には、(A)の含有率は、そのつど本発明による被覆材料の固体に対して5〜95質量%、有利には5〜90質量%、とりわけ有利には10〜80質量%および殊に10〜70質量%であり、その際、≫固体≪とは、本発明による熱的に硬化可能な材料から製造された本発明による熱硬化性材料を構成する全ての構成成分の全体と理解される。
【0060】
有利には、被覆材料の通常のかつ公知の構成成分は、酸化的、物理的、熱的にかつ/または化学線により硬化可能なバインダー、架橋剤、中和剤;有機溶剤、熱的に、化学線によりかつ熱的に、および化学線により硬化可能な反応性希釈剤;透明なおよび不透明な、色付与する、効果付与するおよび、色付与および効果付与する顔料;透明なおよび不透明な充填剤;ナノ粒子;分子分散可溶性着色剤;光安定剤;酸化防止剤;中和剤;湿潤剤;乳化剤;スリップ剤;重合抑制剤;熱的に架橋するための触媒;熱不安定性ラジカル開始剤;光開始剤および光共開始剤;接着促進剤;レベリング剤;皮膜形成性助剤;レオロジー助剤;難燃剤;腐食抑制剤;ろう剤;乾燥促進剤;殺生剤および艶消し剤;から選択される。
【0061】
有利には、該構成成分は、通常のかつ公知の有効量で使用される。
【0062】
本発明による熱的に硬化可能な材料がクリア塗料または透明なシートおよび成形品用の前駆体である場合、該材料は不透明な構成成分を含有しない。
【0063】
被覆材料の適した構成成分の例は、ドイツ特許出願DE19914899A1、第14頁、第36行目〜第16頁、第63行目、第17頁、第7行目〜第18頁、第13行目、第18頁、第16行目〜第21行目、第19行目、第10行目〜第22行目および第30行目〜第61行目から公知である。
【0064】
本発明による熱的に硬化可能な材料は、本発明による使用の範囲内で、本発明による熱硬化性材料の製造に用いられる。
【0065】
有利には、本発明による熱硬化性材料は、新規の被覆、接着層、シール、成形品およびシート、殊に新規の被覆である。
【0066】
有利には、本発明による被覆は、新規の電着塗膜、プライマー塗膜、サーフェーサー塗膜または耐チッピング性下塗り層、ベース塗膜、ソリッドカラー塗膜およびクリア塗膜、殊にクリア塗膜である。
【0067】
これらの本発明による塗膜は、単層または多層であってもよい。極めて有利には、該塗膜は多層でありかつ、その際に少なくとも2つの塗膜、殊に少なくとも1つの電着塗膜、少なくとも1つのサーフェーサー塗膜または耐チッピング性下塗り層ならびに少なくとも1つのベース塗膜および少なくとも1つのクリア塗膜または少なくとも1つのソリッドカラー塗膜を包含してもよい。
【0068】
とりわけ有利には、本発明による多層塗膜は、少なくとも1つのベース塗膜および少なくとも1つのクリア塗膜を包含する。
【0069】
本発明による多層塗膜のクリア塗膜を、本発明によるクリア塗料から製造することはとりわけ有利である。
【0070】
本発明によるクリア塗膜は本発明による多層塗膜の最も外側の層であり、該層は本質的に視覚上の全体的印象(外観)を決定し、かつ色付与および/または効果付与するベース塗膜を、機械的なかつ化学的な損傷と放射線による損傷とから保護する。その際、本発明によるクリア塗膜は、
−機械的応力、例えば引張、伸び、衝撃、引裂または摩耗に対してとりわけ影響を受けないことがわかり、
−湿分(例えば水蒸気の形における)、溶剤および希釈された化学薬品に対してとりわけ抵抗性であることがわかり、かつ
−環境の影響、例えば温度変動およびUV線に対してとりわけ安定性であることがわかり、かつ
−高い光沢および
−非常に様々の基材上で良好な付着を有する。
【0071】
なかでも、該クリア塗膜はその製造後に黄変を有さない。
【0072】
用途に応じて、本発明による材料は一時的なまたは永続的な基材上に塗布される。
【0073】
有利には、本発明によるシートおよび成形品の製造のために、通常のかつ公知の一時的な基材、例えば金属テープおよびプラスチックテープまたは、金属、ガラス、プラスチック、木材またはセラミックからの中空体が使用され、これらは本発明によるシートおよび成形品が損傷されることなく容易に取り除かれうる。
【0074】
本発明による混合物が、被覆、接着層およびシールの製造のために使用される場合、永続的な基材が用いられる。
【0075】
有利には、基材は以下のものである:
−筋力、熱気または風で駆動される、陸路、水路または空路での移動手段、例えば自転車、軌道車、漕艇、帆艇、熱気球、気球またはグライダー、ならびにその一部、
−エンジンの動力で駆動される、陸路、水路または空路での移動手段、例えばオートバイ、有用車両または自動車両、殊に乗用車、水上船舶または水中艦艇または航空機、ならびにその一部、
−固定浮体、例えば浮標または港湾設備の一部、
−屋内領域および屋外領域における建築物、
−ドア、窓および家具および
−ガラス中空体、
−工業用小部品、例えばボルト、ナット、ハブキャップまたはリム、
−容器、例えばコイル、コンテナまたはパッケージ、
−電気部品、例えば電子巻線、例えばコイル、
−光学部品、
−機械部品および
−白物製品、例えば家庭用器具、暖房用ボイラーおよび放熱器。
【0076】
本発明によるシートおよび成形品は、同様に基材として用いられうる。
【0077】
殊に、基材は自動車ボディーおよびその一部である。その際、有利には、本発明による熱的に硬化可能な材料もしくはこれから製造された本発明による被覆は、自動車ボディの初期塗装(OEM)、または本発明によるおよび本発明によらない初期塗膜の補修塗装に用いられる。本発明による初期塗膜、殊に本発明によるクリア塗膜を含有するものは、きわめて優れた上塗り性を有する。本発明による補修塗膜は、本発明によるおよび本発明によらない初期塗膜に対してきわめて優れた形で付着する。
【0078】
方法上、本発明による熱的に硬化可能な材料の塗布は特殊性を有するのではなく、全ての通常のかつ公知の、それぞれの混合物に適した塗布法、例えば電着塗布、吹き付け塗布、噴霧塗布、ドクターブレード塗布、刷毛塗布、流し込み塗布、浸漬塗布、滴下塗布またはローラー塗布によって行われうる。有利には、吹き付け塗布法が適用される。
【0079】
本発明による熱的に硬化可能な材料が付加的に化学線により硬化可能である場合、塗布に際して、化学線の排除下で作業することが推奨される。
【0080】
本発明による多層塗膜の製造のために、ウェット・オン・ウェット法および、例えばドイツ特許出願DE19930067A1、第15頁、第23行目〜第16頁、第36行目、またはDE19940855A1、第30欄、第39行目〜第31欄、第48行目、および第32欄、第15行目〜第29行目から公知である形成法が適用されうる。本発明による使用の極めて本質的な利点は、実質的には、本発明による多層塗膜の全体の層を本発明による熱的に硬化可能な材料から製造できるということである。
【0081】
本発明による熱的に硬化可能な材料の熱硬化は、有利にはすでに室温で行われるかまたは開始される。
【0082】
熱硬化は、しかしまた、ある一定の静止時間後またはフラッシュオフタイム後に初めて行われうる。フラッシュオフタイムまたは静止時間は、30秒〜2時間、有利には1分〜1時間および殊に1〜45分の時間を有してよい。静止時間は、例えば、塗布された本発明による材料のレベリングのためにかつ脱ガスのために、および揮発性構成成分、例えば場合により存在する溶剤の蒸発のために用いられる。フラッシュオフは、高められた温度によってかつ/または減少された湿分によって促進されうる。
【0083】
塗布された本発明による材料の熱硬化は、例えば、ガス状、液状および/または固体の高温媒体、例えば高温空気、加熱油または加熱ローラの、またはマイクロ波放射線、赤外光および/または近赤外光(NIR)の作用によって促進されうる。有利には、加熱は循環空気炉内でか、またはIRランプおよび/またはNIRランプを用いた照射によって行われる。
【0084】
化学線による硬化は、例えばドイツ特許出願DE19818735A1、第10欄、第31行目〜第61行目、ドイツ特許出願DE10202565A1、第9頁、第[0092]段落〜第10頁、第[0106]段落、ドイツ特許出願DE10316890A1、第17頁、第[0128]段落〜第[0130]段落の中で、国際特許出願WO94/11123、第2頁、第35行目〜第3頁、第6行目、第3頁、第10行目〜第15行目、および第8頁、第1行目〜第14行目、または米国特許US6,743,466B2、第6欄、第53行目〜第7欄、第14行目の中で記載される、通常のかつ公知の装置および方法によって実施されうる。
【0085】
本発明による熱的に硬化可能な材料の硬化は、酸素の十分なまたは完全な排除下でも実施されうる。
【0086】
本発明の範囲内で、塗布された本発明による混合物の表面上での酸素濃度が、<21体積%、有利には<18体積%、有利には<16体積%、とりわけ有利には<14体積%、極めて有利には<10体積%および殊に<6体積%である場合、酸素は十分に排除されているものと見なされる。
【0087】
本発明の範囲内で、表面上での酸素濃度が、通常のかつ公知の検出法の検出限界値を下回る場合、酸素は完全に排除されているものと見なされる。
【0088】
有利には、酸素の濃度は、≧0.001体積%、とりわけ有利には≧0.01体積%、極めて有利には≧0.1体積%および殊に≧0.5体積%である。
【0089】
酸素の所望された濃度は、ドイツ特許DE10130972C1、第6頁、第[0047]段落〜第[0052]段落の中で記載された措置によって、またはシートの載置によって調節されうる。
【0090】
結果的に得られる本発明による熱硬化性材料、有利には、本発明によるシート、成形品、被覆、接着層およびシール、とりわけ有利には、本発明による被覆、極めて有利には、本発明による電着塗膜、プライマー塗膜、サーフェーサー塗膜または耐チッピング性下塗り層、ベース塗膜、ソリッドカラー塗膜およびクリア塗膜、殊に本発明によるクリア塗膜は、前で記載された下塗りされたまたは下塗りされなかった基材の被覆、接着、封止、包囲および包装のために、ならびに前で記載された下塗りされたまたは下塗りされなかった基材への取り付けまたは組み込みのためにきわめて優れた形で適している。
【0091】
本発明による被覆により被覆され、本発明による接着層により接着され、本発明によるシールにより封止され、かつ/または本発明によるシートおよび/または成形品により包囲、包装されかつ/または結合されている、結果的に得られる本発明による基材は、とりわけ長期の使用期間と結びついたきわめて優れた使用特性を有する。
【0092】
実施例および比較試験
実施例1
ポリオール(A1)の製造
攪拌機、還流冷却器、内部温度計および不活性ガス導管が備え付けられた反応器中に、Cytec社の市販のメラミン/ホルムアルデヒド樹脂Cymel(R)303 210質量部(ヘキサメトキシメチルメラミン、HMMM、理論数平均分子量390ダルトン)を窒素雰囲気下で装入した。引き続き、2,4−ジエチル−オクタンジオール−1,5 652.6質量部(DEOD、理論数平均分子量202ダルトン)を添加し、その後、結果的に得られる混合物を撹拌下で80℃に加熱した。p−トルエンスルホン酸1.7質量部(反応相手に対して0.2質量%)の添加後、反応混合物を段階的に130℃に加熱した。その際、揮発性構成成分を連続的に留去し、かつメタノールの理論量の約70%を受け器中で捕集した。蒸留液がもはや留出しなくなった後、反応を中断した。反応混合物を50℃に冷却し、かつ有機溶剤を添加せずに排出した。100質量%の理論固体含有率および算出した235のヒドロキシ当量とを有する、室温で液体のポリオール(A1)を得た。
【0093】
ポリオール(A1)は、被覆材料、接着剤、シーラントのならびに成形品およびシート用の前駆体の製造のためにきわめて優れていた。殊に、それはポリイソシアネートを含有する架橋剤成分を包含する多成分系の製造のためにきわめて優れた形で適していた。
【0094】
実施例2〜5
ポリオール(A2)〜(A5)の製造
実施例1に記載した試験形式と同じように、ポリオール(A2)〜(A5)を、第1表の中で記載した出発生成物から製造した。実施例1の場合と同じHMMMを使用した。列挙した部は質量部である。結果的に得られるポリオール(A2)〜(A5)の重要な特性も同様に第1表の中で見られる。
【0095】
【表1】

【0096】
ポリオール(A2)〜(A5)も、被覆材料、接着剤、シーラントのならびに成形品およびシート用の前駆体の製造のためにきわめて優れていた。殊に、それらはポリイソシアネートを含有する架橋剤成分を包含する多成分系の製造のためにきわめ優れた形で適していた。
【0097】
実施例6〜9および比較試験V1
実施例6〜9のクリア塗料1〜4および比較試験V1のクリア塗料V1の製造
実施例6〜9のクリア塗料1〜4および比較試験V1のクリア塗料V1の製造のために、まずヒドロキシル基を有するメタクリレート共重合体をバインダーとして以下の試験形式に従って製造した。
【0098】
攪拌機、還流冷却器、内部温度計、窒素導管および2個の供給容器が備え付けられた反応器中に、ペンチルアセテート721質量部を装入し、かつ137℃に加熱した。この温度で、一方の供給容器から、ヒドロキシエチルメタクリレート452.5質量部、スチレン306.7質量部、エチルヘキシルメタクリレート521.5質量部、ヒドロキシブチルアクリレート230.1質量部およびアクリル酸23質量部からの混合物を、4時間にわたって装入物への均一な計量供給を行った。同時に、もう一方の供給容器から、4.5時間にわたって、t−ブチルペルエチルヘキサノエート153.4質量部およびペンチルアセテート92.4質量部からの開始剤溶液の装入物への均一な計量供給を開始した。開始剤計量供給の終了後、反応混合物を2時間にわたって137℃で後重合した。冷却後、結果的に得られるバインダー溶液を、65質量%の固体含有率にペンチルアセテートで希釈した(130℃で1時間にわたって循環空気炉内で測定)。ヒドロキシル価は、303のヒドロキシ当量に相当する185mg KOH/固体樹脂gであった。
【0099】
第2表は、実施例6〜9のクリア塗料1〜4および比較試験V1のクリア塗料V1の物質組成の概観を示す。
【0100】
【表2】

【0101】
第2表の実施例6〜9のバインダー成分は可搬性であり、かつ構成成分が沈殿または分離または粘度上昇することなく何ヶ月も貯蔵することができた。実施例6〜9および比較試験V1の二成分系から製造されたクリア塗料1〜4およびV1は、それらを問題なく塗布することができる数時間のポットライフまたは処理時間を有していた。塗布のために、それらを酢酸ブチルの添加によってDIN4カップにおいて25〜30秒の噴霧粘度に調節した。
【0102】
実施例10〜13および比較試験V2
実施例10〜13の黒色の多層塗膜1〜4および比較試験V2の多層塗膜V1の製造
実施例10の多層塗膜1の製造のために、実施例6のクリア塗料1を使用した。
【0103】
実施例11の多層塗膜2の製造のために、実施例7のクリア塗料2を使用した。
【0104】
実施例12の多層塗膜3の製造のために、実施例8のクリア塗料3を使用した。
【0105】
実施例13の多層塗膜4の製造のために、実施例9のクリア塗料4を使用した。
【0106】
比較試験V2の多層塗膜V1の製造のために、比較試験V1のクリア塗料V1を使用した。
【0107】
黒色の多層塗膜を製造した。なぜなら黒色の塗膜により、レベリング、外観および引掻強度をとりわけ良好に判断することができたからである。該多層塗膜を以下の一般的な試験形式に従って製造した。
【0108】
電着塗膜、サーフェーサー塗膜および硬化された黒色のベース塗膜で被覆したリン酸塩化処理した薄鋼板上に、クリア塗料を、50μmの乾燥皮膜層厚が結果的に得られるように、それぞれ4分の中間フラッシュオフタイムを有する2つの噴霧工程において均一に塗布した。結果的に得られるクリア塗料層を室温で10分間フラッシュオフし、かつ循環空気炉内で60℃にて45分間乾燥させた。
【0109】
レベリングおよび視覚上の全体的印象(外観)を目視により判断した。
【0110】
光沢(20゜)は、DIN67530に従って測定した。
【0111】
耐湿潤引掻性を、洗浄ブラシ試験(Waschbuerstentest)によって10サイクル後に調べた。残留光沢(%)を、曝露(Belastung)後およびリフロー(20時間/60℃)後に測定した。
【0112】
耐乾燥引掻性を、Rotahub試験を用いてかつ摩擦試験機(紙 9μm)を用いて調べた。その際、そのつど光沢(%)は、リフローなしの曝露後に測定した。
【0113】
結果は、第3表の中で見られる。
【0114】
【表3】

【0115】
第3表の結果は、ポリオール(A)がクリア塗膜の耐乾燥引掻性を著しく改善するのみならず、該塗膜のレベリングおよび外観も改善することを明示していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変性されたアミノプラスト樹脂をベースとするポリオール(A)であって、
一般式I:
>N−CHR−OR (I)、
[式中、置換基Rは、水素原子、炭素原子1〜6個を有するアルキル基または炭素原子6〜10個を有するアリール基を意味し、かつ置換基Rは、炭素原子1〜6個を有するアルキル基を意味する]の少なくとも3個のアセタール化またはエーテル化されたN−メチロール基を有する少なくとも1つのアミノプラスト樹脂(B)と一般式II:
(−OH) (II)、
[式中、添え字nは2〜6の数であり、かつ置換基Rは、2価〜6価の有機基である]の少なくとも1つのポリオール(C)との、当量比III:
(B)の基I:ポリオール(C)=0.5〜1.2 (III);
における、一般式Ia:
−OH (Ia)、
[式中、置換基Rは、前で記載された意味を有する]のモノアルコール(D)の少なくとも50モル%の、アミノプラスト樹脂(B)からの脱離下での反応によって製造可能な、変性されたアミノプラスト樹脂をベースとするポリオール(A)。
【請求項2】
アミノプラスト樹脂(B)が、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、尿素樹脂およびグリコールウリル樹脂ならびにアミドおよび少なくとも2個のカルバメート基を有する化合物から成る群から選択されていることを特徴とする、請求項1記載のポリオール(A)。
【請求項3】
アミノプラスト樹脂(B)がメラミン樹脂であることを特徴とする、請求項2記載のポリオール(A)。
【請求項4】
一般式Iの置換基Rが水素原子であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のポリオール(A)。
【請求項5】
一般式IおよびIaのアルキル基Rが炭素原子1〜4個を有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のポリオール(A)。
【請求項6】
一般式IおよびIaのアルキル基Rが、メチル、ブチルおよびイソブチルから成る群から選択されていることを特徴とする、請求項5記載のポリオール(A)。
【請求項7】
一般式Iaのモノアルコール(D)が、メタノール、n−ブタノールおよびイソブタノールから成る群から選択されていることを特徴とする、請求項6記載のポリオール(A)。
【請求項8】
一般式IIの添え字nが2〜6の整数であることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載のポリオール(A)。
【請求項9】
一般式IおよびIaの添え字n=2または3であることを特徴とする、請求項8記載のポリオール(A)。
【請求項10】
一般式IIの有機基Rが2価または3価であることを特徴とする、請求項9記載のポリオール(A)。
【請求項11】
当量比III=0.6〜1.1であることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載のポリオール(A)。
【請求項12】
当量比III=1であることを特徴とする、請求項11記載のポリオール(A)。
【請求項13】
モノアルコール(D)の少なくとも60モル%が脱離されていることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載のポリオール(A)。
【請求項14】
モノアルコール(D)がポリオール(A)から取り除かれていることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載のポリオール(A)。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか1項記載の変性されたアミノプラスト樹脂をベースとするポリオール(A)の製造法において、一般式I:
>N−CHR−OR (I)、
[式中、置換基Rは、水素原子、炭素原子1〜6個を有するアルキル基または炭素原子6〜10個を有するアリール基を意味し、かつ置換基Rは、炭素原子1〜6個を有するアルキル基を意味する]の少なくとも3個のアセタール化またはエーテル化されたN−メチロール基を有する少なくとも1つのアミノプラスト樹脂(B)と一般式II:
(−OH) (II)、
[式中、添え字nは2〜6の数であり、かつ置換基Rは、2価〜6価の有機基である]の少なくとも1つのポリオール(C)とを、当量比III:
(B)の基I:ポリオール(C)=0.6〜1.2 (III);
において、一般式Ia:
−OH (Ia)、
[式中、置換基Rは、前で記載された意味を有する]のモノアルコール(D)の少なくとも50%のアミノプラスト樹脂(B)からの脱離下で反応させることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載の変性されたアミノプラスト樹脂をベースとするポリオール(A)の製造法。
【請求項16】
アミノプラスト樹脂(B)をポリオール(C)と80〜150℃で反応させることを特徴とする、請求項15記載の方法。
【請求項17】
モノアルコール(D)を、アミノプラスト樹脂(B)とポリオール(C)との反応中に連続的に取り除くことを特徴とする、請求項15または16記載の方法。
【請求項18】
アミノプラスト樹脂(B)とポリオール(C)との反応を触媒(E)の存在下で実施することを特徴とする、請求項15から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
酸触媒(E)を使用することを特徴とする、請求項18記載の方法。
【請求項20】
熱的に硬化可能な材料としてのまたは熱的に硬化可能な材料を製造するための、請求項1から14までのいずれか1項記載のポリオール(A)および請求項15から19までのいずれか1項記載の方法に従って製造されたポリオール(A)の使用。
【請求項21】
熱的に硬化可能な材料が付加的に、物理的、酸化的にかつ/または化学線により硬化可能であることを特徴とする、請求項20記載の使用。
【請求項22】
熱的に硬化可能な材料が熱硬化性材料の製造に用いられることを特徴とする、請求項20または21記載の使用。
【請求項23】
熱的に硬化可能な材料が、被覆材料、接着剤、シーラントおよび成形品およびシート用の前駆体であることを特徴とする、請求項20から22までのいずれか1項記載の使用。
【請求項24】
被覆材料が、電着塗料、プライマー、サーフェーサー、下塗り剤、ベース塗料、ソリッドカラー塗料およびクリア塗料であることを特徴とする、請求項23記載の使用。
【請求項25】
被覆材料がクリア塗料であることを特徴とする、請求項24記載の使用。
【請求項26】
熱硬化性材料が、被覆、接着層、シール、成形品およびシートであることを特徴とする、請求項22から25までのいずれか1項記載の使用。
【請求項27】
被覆が、下塗りされたまたは下塗りされなかった基材上の電着塗膜、プライマー塗膜、サーフェーサー塗膜、耐チッピング性下塗り層、ベース塗膜、ソリッドカラー塗膜およびクリア塗膜であることを特徴とする、請求項26記載の使用。
【請求項28】
被覆がクリア塗膜であることを特徴とする、請求項27記載の使用。
【請求項29】
被覆が、色付与および/または効果付与する多層塗膜のクリア塗膜であることを特徴とする、請求項28記載の使用。
【請求項30】
色付与および/または効果付与する多層塗膜がウェット・オン・ウェット法によって製造されることを特徴とする、請求項29記載の使用。
【請求項31】
下塗りされたおよび下塗りされなかった基材が自動車ボディーおよびその一部であることを特徴とする、請求項27から30までのいずれか1項記載の使用。

【公表番号】特表2009−526106(P2009−526106A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553689(P2008−553689)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001141
【国際公開番号】WO2007/090679
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(390008981)ビーエーエスエフ コーティングス アクチェンゲゼルシャフト (155)
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings AG
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D−48165 Muenster,Germany
【Fターム(参考)】