説明

変性ポリオールおよびポリウレタン樹脂

【課題】良好な機械強度および柔軟性を確保しつつ、耐熱性や耐光性などの耐久性に優れるポリウレタン樹脂およびその原料として好適な変性ポリオールを提供すること。
【解決手段】カルボニル基を含有するカルボニル基含有ポリオールに、パーオキサイドの存在下で、ビニルモノマーを反応させることにより、変性ポリオールを得る。得られた変性ポリオールと、ポリイソシアネートと、鎖伸長剤とを反応させることにより、良好な機械強度および柔軟性を確保しつつ、耐熱性および耐光性などの耐久性に優れるポリウレタン樹脂を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変性ポリオールおよびポリウレタン樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオールは、ポリイソシアネートと反応させて、ポリウレタン樹脂を得るための、ポリウレタン原料として広く知られている。
なかでも、ポリエーテルポリオールは、柔軟性に優れ、破断伸びが良好なことから、そのような物性が要求される各種の分野において、広く用いられている。しかし、ポリエーテルポリオールは、耐熱性および耐光性などの耐久性が十分でない場合がある。
【0003】
そこで、かかる耐久性を改良すべく、例えば、ポリオキシプロピレンジオールに、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンの存在下で、メタクリル酸n−ブチル(n−ブチルメタクリレート)を反応させてn−ブチルメタクリレートグラフトポリエーテルポリオールを得ることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、特許文献1では、得られたn−ブチルメタクリレートグラフトポリエーテルポリオールを、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと反応させることにより、ポリウレタン樹脂硬化物を得ることが提案されている。
【特許文献1】国際公開2007/026798号パンフレット(表2の実施例5および6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、ポリウレタン樹脂の成形品には、特許文献1に記載のポリウレタン樹脂硬化物よりも、さらなる耐久性が要求される場合がある。
本発明の目的は、良好な機械強度および柔軟性を確保しつつ、耐熱性や耐光性などの耐久性に優れるポリウレタン樹脂およびその原料として好適な変性ポリオールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の変性ポリオールは、カルボニル基を含有するカルボニル基含有ポリオールに、10時間半減期温度が80〜110℃であるパーオキサイドの存在下で、ビニルモノマーを反応させて得られることを特徴としている。
また、本発明の変性ポリオールでは、前記カルボニル基含有ポリオールが、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオールおよびポリカーボネートポリオールから選択される少なくとも1種のポリオールであることが好適である。
【0006】
また、本発明の変性ポリオールでは、前記カルボニル基含有ポリオール100重量部に対して、前記パーオキサイド3〜10重量部の存在下で、前記ビニルモノマー5〜50重量部を反応させて得られることが好適である。
また、本発明の変性ポリオールでは、前記カルボニル基含有ポリオールの数平均分子量が、800〜3000であることが好適である。
【0007】
また、本発明の変性ポリオールでは、前記パーオキサイドが、パーオキシエステルおよび/またはパーオキシケタールであることが好適である。
また、本発明の変性ポリオールでは、前記カルボニル基含有ポリオールが、多価アルコールと多塩基酸との反応により得られるポリエステルポリオールであり、前記多価アルコールおよび前記多塩基酸の少なくとも1種が、植物を原料としていることが好適である。
【0008】
また、本発明のポリウレタン樹脂は、上記した変性ポリオールと、ポリイソシアネートと、鎖伸長剤とを反応させることにより得られることを特徴としている。
また、本発明のポリウレタン樹脂では、前記ポリイソシアネートが、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートおよび芳香脂肪族ポリイソシアネートから選択される少なくとも1種のポリイソシアネートであることが好適である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の変性ポリオールと、ポリイソシアネートと、鎖伸長剤とを反応させることにより得られる、本発明のポリウレタン樹脂は、良好な機械強度および柔軟性を確保しつつ、耐熱性および耐光性などの耐久性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の変性ポリオールは、カルボニル基含有ポリオールに、パーオキサイドの存在下で、ビニルモノマーを反応させることにより得ることができる。
本発明において、カルボニル基含有ポリオールは、分子中に少なくとも1つのカルボニル基(>C=O)を含有するポリオールである。
カルボニル基含有ポリオールは、例えば、主鎖に、エステル結合、カーボネート結合などを含有するポリオールであり、好ましくは、エーテル結合を含有しないポリオールである。
【0011】
このようなカルボニル基含有ポリオールは、ポリオキシアルキレンポリオールと比較して、耐熱性に優れるとともに、ソフトセグメントとハードセグメントとのミクロ相分離性が向上し、機械強度の向上を図ることができる。
カルボニル基含有ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
【0012】
ポリエステルポリオールとしては、多価アルコールと多塩基酸との反応により得られるポリエステルポリオールであって、例えば、多価アルコールと多塩基酸との縮合反応により得られるポリエステルポリオール、および、多価アルコールと多塩基酸のアルキルエステルとのエステル交換反応により得られるポリエステルポリオールなどが挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,3−または1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの混合物、1,4−シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオール、ビスフェノールA、アルカン(7〜22)ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの2価アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの3価アルコール、例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリンなどの4価アルコール、例えば、キシリトールなどの5価アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール、アリトール、イジトール、ダルシトール、アルトリトール、イノシトール、ジペンタエリスリトールなどの6価アルコール、例えば、ペルセイトールなどの7価アルコール、例えば、ショ糖などの8価アルコールなどの多価アルコール(好ましくは、平均分子量400未満の多価アルコール)が挙げられる。また、上記した多価アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加したアルキレンオキサイド付加物なども挙げられる。
【0013】
これら多価アルコールは、単独使用または2種以上併用することができる。
多価アルコールとして、好ましくは、2価アルコールが挙げられる。
また、多価アルコールとして、植物を原料とする多価アルコールが挙げられ、好ましくは、デンプンから誘導されるグルコース、グルコースから誘導される乳酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、または、それらの誘導体、さらには、木材から誘導されるセルロース、ヘミセルロース、リグニン、および、それらの誘導体などが挙げられる。
【0014】
多価アルコールの水酸基価は、例えば、140〜1810mgKOH/g、好ましくは、200〜1810mgKOH/gである。
多塩基酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、1,1−ジメチル−1,3−ジカルボキシプロパン、3−メチル−3−エチルグルタール酸、アゼライン酸、セバシン酸、その他の飽和脂肪族ジカルボン酸(炭素数11〜13)、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、その他の不飽和脂肪族ジカルボン酸、例えば、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、その他の芳香族ジカルボン酸、例えば、ヘキサヒドロフタル酸、その他の脂環族ジカルボン酸、例えば、ダイマー酸、水添ダイマー酸、ヘット酸などのその他のカルボン酸、および、それらカルボン酸から誘導される酸無水物、例えば、無水シュウ酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水2−アルキル(C12〜C18)コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水トリメリット酸、さらには、これらのカルボン酸などから誘導される酸ハライドなどが挙げられる。
【0015】
また、多塩基酸としては、植物を原料とする多塩基酸が挙げられ、例えば、ひまし油から誘導されるセバシン酸、糖類から誘導されるフマル酸、さらには、フマル酸から誘導されるコハク酸、大麦や植物油などから誘導されるアゼライン酸などの二塩基酸(ジカルボン酸)などが挙げられる。
これら多塩基酸は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0016】
多価アルコールと多塩基酸との反応では、各成分の配合割合は、多価アルコール1モルに対して、多塩基酸またはそのアルキルエステルが、例えば、0.35〜0.5モル、好ましくは、0.4〜0.5モルである。
また、多価アルコールと多塩基酸との反応において、反応条件は、公知の条件でよく、例えば、不活性ガス雰囲気下、反応温度が、例えば、120〜250℃、好ましくは、180〜240℃であり、反応時間が、例えば、10〜50時間、好ましくは、12〜40時間である。
【0017】
なお、反応においては、必要により、触媒を添加してもよい。
触媒としては、例えば、金属、有機金属化合物、金属ハロゲン化物などが挙げられる。
金属としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属が挙げられる。
有機金属化合物としては、例えば、上記したアルカリ金属のアルコキシド(アルカリ金属アルコキシド)およびその誘導体、例えば、トリエチルアルミニウムなどのアルキルアルミニウム化合物およびその誘導体、例えば、チタン酸テトラブチルなどのアルコキシチタン化合物、2−エチルヘキサン酸錫、オクチル酸錫、ジブチル錫ラウレートなどの有機錫化合物などが挙げられる。
【0018】
金属ハロゲン化物としては、例えば、塩化錫(具体的には、二塩化錫:SnCl2)などの錫ハロゲン化物が挙げられる。
これら触媒のうち、取扱いにおける安全性が高く、かつ、収率が優れることから、好ましくは、オクチル酸錫、二塩化錫、チタン酸テトラブチルが挙げられる。
なお、ポリエステルポリオールとして、例えば、ヒドロキシル基を含有する天然油脂(トリグリセリド)またはその水素添加物のケン化物である、ヒドロキシル基含有脂肪酸またはその水素添加物を縮合させた後、その縮合物を多価アルコールと反応させるか、または、上記した多価アルコールを開始剤として、縮合反応させることにより得られる縮合物なども挙げられる。天然油脂としては、例えば、ひまし油、Dimorphotheca油、Lesquerella油、Lesquerella densipila種子油などが挙げられ、これらのケン化物は、例えば、リシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸を主成分としている。
【0019】
一般に、ポリエステルポリオールの主原料は、石油化学製品であり、焼却廃棄時に多量の二酸化炭素を排出するため、地球環境への負荷が懸念される。一方、バイオマスは、燃焼すると二酸化炭素を排出する一方、その出発原料である生物体、とりわけ、植物は、成長時において、光合成によって大気中の二酸化炭素を吸収するため、バイオマスを燃焼しても大気中の二酸化炭素を実質的に増加させない、カーボンニュートラルに対応している。
【0020】
そのため、上記したポリエステルポリオール(具体的には、多価アルコールおよび多塩基酸の少なくとも1種)が、植物を原料とするものであれば、カーボンニュートラルに対応させることができる。
これらポリエステルポリオールは、単独使用または2種以上併用することができる。
本発明において、ポリカプロラクトンポリオールは、例えば、ラクトンの開環重合により得られ、具体的には、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオールなどが挙げられる。
【0021】
ラクトンとしては、例えば、β−プロピオラクトンなどのβ−ラクトン、γ−ブチロラクトンなどのγ−ラクトン、δ−バレロラクトンなどのδ−ラクトン、ε−カプロラクトンなどのε−ラクトンなどが挙げられる。
さらには、ポリカプロラクトンポリオールとしては、例えば、特許4053799号公報に記載されるラクチド類などから得られるポリオールを挙げることもできる。
【0022】
ポリカプロラクトンポリオールは、単独使用または2種以上併用することができる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、上記した多価アルコールを開始剤とするエチレンカーボネートやフェニルカーボネートの開環重合物(カーボネートモノマー)や、例えば、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオールや1,6−ヘキサンジオールなどの多価アルコールと、上記したカーボネートモノマーとを共重合した非晶性ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
【0023】
ポリカーボネートポリオールは、単独使用または2種以上併用することができる。
これらカルボニル基含有ポリオールとしては、好ましくは、ポリエステルポリオールやポリカプロラクトンポリオールが挙げられ、さらに好ましくは、ポリエステルポリオールが挙げられる。
そして、このカルボニル基含有ポリオールの平均官能基数は、例えば、1.8〜2.3、好ましくは、1.9〜2.1である。また、カルボニル基含有ポリオールの水酸基価は、例えば、35〜200mgKOH/g、好ましくは、37〜140mgKOH/g、さらに好ましくは、45〜112mgKOH/gである。
【0024】
なお、カルボニル基含有ポリオールの平均官能基数は、例えば、原料として用いられる多価アルコールの官能基数(1分子中に含有する水酸基の数)から算出することができる。また、カルボニル基含有ポリオールの水酸基価は、例えば、原料として用いられる多価アルコールおよび多塩基酸の配合割合から算出することができ、また、アセチル化法またはフタル化法などの公知の水酸基価測定方法などによって算出することもできる。
【0025】
また、カルボニル基含有ポリオールの数平均分子量は、例えば、800〜3000、好ましくは、900〜2800、さらに好ましくは、1000〜2500である。
また、カルボニル基含有ポリオールの水酸基価または数平均分子量が上記した範囲内であれば、機械強度および耐熱性の向上を図ることができる。
本発明において、パーオキサイドは、ビニルモノマーによってカルボニル基含有ポリオールを変性させるラジカル反応開始剤である。
【0026】
このようなパーオキサイドとしては、例えば、無機パーオキサイド化合物、有機パーオキサイド化合物が挙げられ、好ましくは、有機パーオキサイド化合物が挙げられる。
有機パーオキサイド化合物としては、例えば、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイドなどが挙げられ、好ましくは、パーオキシエステル、パーオキシケタールが挙げられる。
【0027】
パーオキシエステルやパーオキシケタールを用いれば、融点以上で透明で、柔軟でガラス転移温度を低下させ、耐熱性や耐光性に優れたポリウレタン樹脂を提供しうる変性ポリオールを得ることができる。
パーオキシエステルしては、例えば、tert−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、tert−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシ−3−メチルベンゾエート、tert−ブチルパーオキシベンゾエートなどが挙げられる。
【0028】
パーオキシケタールとしては、例えば、1,1−ジ(tert−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(tert−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−3,3、5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ジ(4,4−ジ(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパンなどが挙げられる。
【0029】
これらのうち、好ましくは、tert−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、1,1−ジ(tert−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(tert−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンが挙げられる。
【0030】
さらに好ましくは、1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンなどのパーオキシケタールが挙げられる。
これらパーオキサイドは、単独使用または2種以上併用することができる。
パーオキサイドの10時間半減期温度は、80〜110℃、好ましくは、83〜105℃である。
【0031】
10時間半減期温度が上記温度未満であれば、ビニルモノマーの反応(具体的には、ビニルモノマーのラジカル重合)において、ビニルモノマーの転化率が低減され、さらに、ビニルモノマーのホモポリマーを生成し易くなる。一方、10時間半減期温度が上記温度を超過すれば、ビニルモノマーの単独重合によるポリマー粒子を生成し易くなる。
本発明において、ビニルモノマーは、ビニル基を有するモノマーであって、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
【0032】
(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルであって、例えば、下記一般式(1)で示される(メタ)アクリル酸エステルや、下記一般式(2)で示される水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられ、好ましくは、下記一般式(1)で示される(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
【0033】
【化1】

【0034】
(式中、R1は水素原子またはメチルを示し、R2は、炭素数1〜18のアルキル基、または、炭素数7〜18のアラルキル基を示す。)
【0035】
【化2】

【0036】
(式中、R3は水素原子またはメチルを示し、R4は、炭素数1〜18のアルキレン基を示す。)
一般式(1)において、R1は、好ましくは、メチルである。
一般式(1)において、R2で示される炭素数1〜18のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−へプチル、n−オクチル、2−エチルへキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシルなどの直鎖または分岐アルキルなどが挙げられる。好ましくは、n−ブチルが挙げられる。
【0037】
R2で示される炭素数7〜18のアラルキル基としては、例えば、ベンジル、1−または2−フェニルエチル、1−、2−または3−フェニルプロピル、ジフェニルメチル、o、mまたはp−メチルベンジル、o、mまたはp−エチルベンジル、o、mまたはp−イソプロピルベンジル、o、mまたはp−tert−ブチルベンジル、2,3,4−、3,4,5−または2,4,6−トリメチルベンジルなどが挙げられる。
【0038】
上記一般式(1)で示される(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−へプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ウンデシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸n−トリデシル、(メタ)アクリル酸n−テトラデシル、(メタ)アクリル酸n−ペンタデシル、(メタ)アクリル酸n−ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸n−オクタデシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニルエチル(1−または2−フェニルエチル)、(メタ)アクリル酸フェニルプロピル(1−、2−または3−フェニルプロピル)、(メタ)アクリル酸ジフェニルメチル、(メタ)アクリル酸メチルベンジル(o、mまたはp−メチルベンジル)、(メタ)アクリル酸エチルベンジル(o、mまたはp−エチルベンジル)、(メタ)アクリル酸イソプロピルベンジル(o、mまたはp−イソプロピルベンジル)、(メタ)アクリル酸tert−ブチルベンジル(o、mまたはp−tert−ブチルベンジル)、(メタ)アクリル酸トリメチルベンジル(2,3,4−、3,4,5−または2,4,6−トリメチルベンジル)などが挙げられる。
【0039】
一般式(2)において、R3は、好ましくは、メチルである。
一般式(2)において、R4で示される炭素数1〜18のアルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、n−プロピレン、イソプロピレン、n−ブチレン、イソブチレン、n−ペンチレン、n−ヘキシレン、n−へプチレン、n−オクチレン、2−エチルへキシレン、n−ノニレン、n−デシレン、n−ウンデシレン、n−ドデシレン、n−トリデシレン、n−テトラデシレン、n−ペンタデシレン、n−ヘキサデシレン、n−ヘプタデシレン、n−オクタデシレンなどが挙げられる。好ましくは、メチレンが挙げられる。
【0040】
また、上記一般式(2)で示される水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどが挙げられる。
【0041】
また、ビニルモノマーとして、上記したビニルモノマー以外に、他のビニルモノマーが併用され、このような他のビニルモノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、スチレン、アクリルアミド、酢酸ビニルなどのビニルエステル類、例えば、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類などが挙げられる。これら他のビニルモノマーは、単独使用または2種以上併用することができる。
【0042】
これらビニルモノマーは、単独使用または2種以上併用することができる。
そして、本発明の変性ポリオールを得るには、例えば、上記したカルボニル基含有ポリオールに、パーオキサイドおよびビニルモノマーを配合して反応させる。具体的には、ビニルモノマーに、パーオキサイドおよびビニルモノマーを含有するモノマー溶液を配合して、反応させる。
【0043】
モノマー溶液は、溶媒(モノマー溶液調製用溶媒)に、これらパーオキサイドおよびビニルモノマーを溶解させることにより、調製することができる。
溶媒(モノマー溶液調製用溶媒)としては、例えば、炭化水素溶媒が挙げられ、具体的には、例えば、n−ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素溶媒、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素溶媒、例えば、ミネラルターペン、ミネラルスピリットなどの石油系炭化水素溶媒などが挙げられる。
【0044】
反応において、カルボニル基含有ポリオール、パーオキサイドおよびビニルモノマーの配合方法としては、例えば、カルボニル基含有ポリオールに対してモノマー溶液を一括して仕込む一括仕込み法、例えば、カルボニル基含有ポリオールに対してモノマー溶液を分割して仕込む分割仕込み法、例えば、カルボニル基含有ポリオールに対してモノマー溶液を滴下する滴下法などが挙げられる。
【0045】
なお、溶媒を用いることなく、カルボニル基含有ポリオールに、そのまま、パーオキサイドおよびビニルモノマーを配合して、これらを含有する混合溶液を調製し、その後、それらを反応させることもできる。
上記した反応におけるパーオキサイド(純度100%)の配合モル数は、カルボニル基含有ポリオール1モルに対して、例えば、0.05〜3モル、好ましくは、0.1〜2モル、さらに好ましくは、0.1〜1.3モルである。具体的には、パーオキサイドの配合割合は、カルボニル基含有ポリオール100重量部に対して、例えば、3〜10重量部、好ましくは、4〜8重量部である。
【0046】
パーオキサイドの配合モル数がカルボニル基含有ポリオール1モルに対して上記したモル数を超える場合には、変性ポリオール(例えば、ポリオールにビニルモノマーの重合したポリマーがグラフトするグラフトポリオール)における変性点(例えば、グラフト点、つまり、分岐点)が多くなり、かつ、変性されたビニルモノマーのポリマーの側鎖が短くなり、得られるポリウレタン樹脂の成形品(硬化物)の柔軟性や機械強度、あるいは、耐熱性や耐光性が低下する場合がある。
【0047】
また、ビニルモノマーの配合モル数は、パーオキサイド1モルに対して、例えば、0.8〜30モル、好ましくは、1〜20モル、さらに好ましくは、2〜15モルである。具体的には、ビニルモノマーの配合割合は、カルボニル基含有ポリオール100重量部に対して、例えば、5〜50重量部、好ましくは、6〜30重量部である。
ビニルモノマーのカルボニル基含有ポリオールに対する配合割合が上記した範囲未満であると、ビニルモノマーのポリマーの側鎖が、カルボニル基含有ポリオールに対して過度に短くなり、ポリウレタン樹脂の成形品(硬化物)の柔軟性や機械強度、あるいは、耐熱性や耐光性が低下する場合がある。また、ビニルモノマーのカルボニル基含有ポリオールに対する配合割合が上記した範囲を超えると、ビニルモノマーのポリマーの側鎖が、カルボニル基含有ポリオールに対して過度に長くなり、得られた変性ポリオールは高粘度で加工性が低下する場合がある。
【0048】
反応条件などは、適宜選択されるが、例えば、滴下法が用いられる場合には、例えば、常圧下において、滴下時間が、例えば、5〜600分、好ましくは、60〜450分、さらに好ましくは、120〜300分である。また、反応温度は、例えば、90〜200℃、好ましくは、100〜180℃、さらに好ましくは、110〜160℃であり、反応時間は、例えば、5〜600分、好ましくは、60〜450分、さらに好ましくは、120〜300分である。
【0049】
なお、反応後には、未反応のビニルモノマーおよび溶媒を除去することができる。未反応のビニルモノマーおよび溶媒を除去するには、例えば、0.01〜10kPaの減圧下で、60〜160℃に加熱する。
これにより、本発明の変性ポリオールを得ることができる。
このようにして得られる本発明の変性ポリオールは、平均官能基数が、例えば、1.8〜2.3、好ましくは、1.9〜2.1である。
【0050】
また、変性ポリオールの水酸基価は、例えば、25〜150mgKOH/g、好ましくは、30〜75mgKOH/gである。なお、水酸基価は、上記と同様の方法により求められる。
また、変性ポリオールの数平均分子量は、例えば、1000〜5000、好ましくは、1500〜3800である。
【0051】
そして、本発明のポリウレタン樹脂は、上記した変性ポリオールと、ポリイソシアネートと、鎖伸長剤とを反応させることにより得ることができる。
ポリイソシアネートは、ポリウレタン樹脂に通常使用される公知のポリイソシアネートを用いることができる。このようなポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0052】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート(1,5−ペンタンジイソシアネート)、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−、2,3−または1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)などが挙げられる。
【0053】
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、4,4′−、2,4′−または2,2′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートまたはその混合物(H12MDI)、1,3−または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンまたはその混合物(水添キシリレンジイソシアネート、H6XDI)、2,5−または2,6−ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナンまたはその混合物(NBDI)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0054】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートまたはその混合物(XDI)、1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートまたはその混合物(TMXDI)、ω,ω′−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼンなどが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、4,4′−、2,4′−または2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネートまたはその混合物(MDI)、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートまたはその混合物(TDI)、3,3′−ジメトキシビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、m−またはp−フェニレンジイソシアネートまたはその混合物、4,4′−ジフェニルジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート(TODI)などが挙げられる。
【0055】
また、ポリイソシアネートには、例えば、上記したポリイソシアネートの多量体(例えば、二量体、三量体など)や、上記したポリイソシアネートまたは多量体と、水との反応により生成するビウレット変性体、上記した多価ポリオールとの反応により生成するアロファネート変性体、炭酸ガスとの反応により生成するオキサジアジントリオン変性体、または、上記した多価ポリオールとの反応により生成するポリオール変性体などが含まれる。
【0056】
これらポリイソシアネートは、単独使用または2種類以上併用することができる。
これらポリイソシアネートのうち、好ましくは、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。さらに好ましくは、脂環族ポリイソシアネートが挙げられ、具体的には、H12MDI、CHDI、1,3−H6XDI、1,4−H6XDIが挙げられる。とりわけ好ましくは、1,3−H6XDI、1,4−H6XDIが挙げられる
鎖伸長剤は、例えば、水酸基やアミノ基などの活性水素を含有する活性水素基を2つ以上含有しており、例えば、ポリオール、ポリアミンなどが挙げられる。
【0057】
ポリオールとしては、例えば、上記した多価アルコールなどが挙げられる。
ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,3−または1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、例えば、1,4−シクロヘキサンジアミン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(イソホロンジアミン)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、2,5(2,6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどの脂環族ジアミン、例えば、o、mまたはp−トリレンジアミン(TDA、OTD)、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MOCA)などの芳香族ジアミンや、ヒドラジンなどのその他のジアミンなどが挙げられる。
【0058】
また、ジエチレントリアミンなどの脂肪族トリアミン、例えば、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどのアミノ基を4個以上有する脂肪族ポリアミンなどが挙げられる。これらポリアミンは、単独使用または2種以上併用することができる。
また、鎖伸長剤としては、例えば、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物、ジメチロールアルカン酸や、例えば、カルボン酸塩やスルホン酸塩などの塩を形成することができる活性水素基を含み、かつ、側鎖に、オキシエチレン基などのノニオン性基を含有するノニオン性基含有化合物(ノニオン性内部乳化剤)や、ヒドロキシル基含有ポリアミンなども挙げられる。
【0059】
鎖伸長剤としては、具体的には、ポリウレタン樹脂が熱可塑性ポリウレタン樹脂(後述)として調製される場合には、好ましくは、2価アルコールが挙げられる。
また、鎖伸長剤としては、具体的には、ポリウレタン樹脂が熱硬化性ポリウレタン樹脂(後述)として調製される場合には、好ましくは、官能基数が2以上で、数平均分子量が500以下の多価アルコールが挙げられる。このような多価アルコールとしては、例えば、1,4−ブタンジオール(グリコール)など、2価アルコールのアルキレンオキサイド付加物、例えば、グリセリン(3価アルコール)、トリメチロールプロパン(3価アルコール)や、ペンタエリスリトール(4価アルコール)など、3官能以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物、例えば、ビスフェノールAなどのヒドロキシル基を有するフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、例えば、3,3’−ジシクロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MOCA)などの芳香族アミンなどが挙げられる。
【0060】
また、鎖伸長剤としては、具体的には、ポリウレタン樹脂がセグメント化ポリウレタンウレア(後述)として調製される場合には、好ましくは、脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミンなどが挙げられる。なお、これらは、極性溶媒(例えば、N,N’−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトンなど)中で、鎖伸長反応を実施して、高分子量化させる。
【0061】
また、鎖伸長剤としては、具体的には、ポリウレタン樹脂が水分散型ポリウレタン樹脂(後述)として調製される場合には、好ましくは、脂肪族ポリアミンが挙げられ、その他に、ジメチロールアルカン酸、あるいは、ノニオン性内部乳化剤が挙げられる。ジメチロールアルカン酸またはノニオン性内部乳化剤は、カルボキシル基またはオキシエチレン基が親水性基となり、水中にポリウレタン粒子を安定的に水中に分散させることができる。
【0062】
そして、本発明のポリウレタン樹脂を得るには、上記の各成分(すなわち、変性ポリオール、ポリイソシアネートおよび鎖伸長剤)を、例えば、ワンショット法やプレポリマー法などの合成方法により、反応させる。
ワンショット法では、変性ポリオールと、ポリイソシアネートと、鎖伸長剤とを、変性ポリオールおよび鎖伸長剤の活性水素基(水酸基またはアミノ基)に対する、ポリイソシアネートのイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/活性水素基:NCOインデックス)が、例えば、0.9〜1.2、好ましくは、0.95〜1.08となる割合で、同時に配合して攪拌混合する。
【0063】
この攪拌混合は、例えば、不活性ガス(例えば、窒素)雰囲気下で、反応温度が、例えば、40〜280℃、好ましくは、100〜260℃で、反応時間が、例えば、30秒〜1時間程度で、実施する。
また、攪拌混合時には、必要により、触媒や、溶媒(ポリウレタン調製用溶媒)を適宜の割合で添加することができる。
【0064】
触媒としては、例えば、錫系化合物、鉛系化合物、ビスマス系化合物などの金属系化合物、例えば、アミン系化合物などが挙げられる。
溶媒(ポリウレタン調製用溶媒)としては、上記した炭化水素溶媒の他に、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのアルキルエステル、例えば、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのグリコールエーテルエステル、例えば、ジイソノニルアジペートなどのアジペート、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル、例えば、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、臭化メチル、ヨウ化メチレン、ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素、例えば、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N’−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの極性非プロトン性溶媒などが挙げられる。
【0065】
プレポリマー法では、まず、変性ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて、イソシアネート基末端プレポリマーを合成し、次いで、そのイソシアネート基末端プレポリマーと鎖伸長剤とを反応させる。
イソシアネート基末端プレポリマーを合成するには、変性ポリオールの水酸基に対する、ポリイソシアネートのイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基:NCOインデックス)が、1.0を超過する割合であって、例えば、1.01〜4.00の割合で、同時に配合し、攪拌混合して反応させる。
【0066】
この反応では、例えば、不活性ガス(例えば、窒素)雰囲気下、反応温度が、40〜150℃で、反応時間が、30秒〜8時間程度で、変性ポリオールと、ポリイソシアネートとを攪拌混合する。また、反応では、必要により、上記した触媒や溶媒を添加することができる。また、反応後には、必要により、未反応のポリイソシアネートを蒸留などにより除去する。
【0067】
次いで、イソシアネート基末端プレポリマーおよび鎖伸長剤を、鎖伸長剤の活性水素基(水酸基またはアミノ基)に対する、イソシアネート基末端プレポリマーのイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/活性水素基:NCOインデックス)が、例えば、0.9〜1.2、好ましくは、0.95〜1.08となる割合で配合し、攪拌混合する。
この攪拌混合は、例えば、反応温度が、例えば、40〜280℃、好ましくは、100〜260℃で、反応時間が、例えば、30秒〜1時間程度で、実施する。また、攪拌混合時には、必要により、上記した触媒や溶媒を適宜の割合で添加することができる。
【0068】
このようにして得られるポリウレタン樹脂の重量平均分子量(標準ポリスチレンを検量線とするGPC測定による重量平均分子量)は、ポリウレタン樹脂が線状である場合には、例えば、50000以上、好ましくは、80000以上、さらに好ましくは、100000以上、通常、300000以下である。
そして、本発明のポリウレタン樹脂は、TPU(熱可塑性ポリウレタン樹脂)、TSU(熱硬化性ポリウレタン樹脂)、SPUU(セグメント化ポリウレタンウレア)、PUD(水分散型ポリウレタン樹脂)などとして調製され、そして、各種工業用途に用いられ、例えば、耐熱性および耐光性などの耐久性に優れる、塗料、接着剤、シーラント、エラストマーなどの用途に用いられる。
【0069】
塗料は、例えば、一液型または二液型として用いられ、一液型として、例えば、車両(自動車)用、床用、船舶用、透明屋外用、防食用、工場などの床あるいはコンクリート、工業塗装、ワイヤーコーティング、含浸ワニスなどに用いられる。また、二液型として、例えば、耐薬塗装用、ゴム用、耐摩耗用、防食用などに用いられる。
接着剤は、例えば、一液型または二液型として用いられ、具体的には、合成(人工)皮革、繊維、食品包装などの衣料、医療材料、木材、ゴム、金属などの接着や前処理(プライマー)として用いられる。
【0070】
シーラントは、例えば、一液型または二液型として用いられ、具体的には、車両(自動車)、土木建築構造物、船舶、道路、空港、橋梁などの伸縮目地材、また、航空機、機器部品などの特殊シーリング材、さらには、土管、ガス管、下水道管のジョイントシール材などに用いられる。
エラストマーとしては、例えば、合成(人工)皮革、シート、フィルム、印刷ドクター、硬質ロール、ベアリング、カップリング、ハンマー、防振材、ライナ、ギヤ、ポンプのメンブランリング、ダイヤフラム、エアブレーキ、スクリュー、エアバネ、ブッシュ、ワイパ、パッキング、靴底、ヒールトップ、電線、弾性繊維、および、上記したポリウレタン樹脂を粒子状に形成し、これをスラッシュ成形することにより得られる自動車内装表皮材などに用いられる。
【0071】
なお、ポリウレタン樹脂には、上記した各用途に応じて、公知の添加剤、例えば、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、可塑剤、ブロッキング防止剤、離型剤、酸化防止剤、顔料、染料、滑剤、フィラー(充填剤)、加水分解防止剤、防錆剤などを添加することができる。これら添加剤は、各成分の合成時に添加してもよく、あるいは、各成分の混合時に添加してもよい。
【0072】
そして、本発明の変性ポリオールと、ポリイソシアネートと、鎖伸長剤とを反応させることにより、良好な機械物性を確保しつつ、耐熱性および耐光性などの耐久性に優れる、本発明のポリウレタン樹脂を得ることができる。
とりわけ、カーボンニュートラルに対応するセバシン酸などの植物を原料とする多塩基酸を用いるポリエステルポリオールは、融点が高いため、かかるポリエステルポリオールを用いるポリウレタン樹脂の成形品(硬化物)は、柔軟性や機械強度、あるいは、耐熱性や耐光性が低下する場合がある。
【0073】
しかし、このポリエステルポリオールに、パーオキサイドの存在下でビニルモノマーを反応させることによって得られる変性ポリオールは、融点の上昇が抑制されており、かかる変性ポリオールを用いるポリウレタン樹脂は、地球環境への負荷の低減が図られながら、柔軟性の低下を有効に防止できるとともに、優れた耐久性を確保することができる。
【実施例】
【0074】
実施例1
(ポリエステルポリオールの製造)
撹拌機、温度計、窒素導入口、および、ラヒシリングを充填した充填塔および水冷コンデンサーを装着したセパラブルフラスコに、ひまし油から誘導されるセバシン酸(伊藤製油社製)3011.1重量部、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(クラレ社製)1038重量部、および、1,6−ヘキサンジオール(宇部興産社製)1038重量部を仕込み、120℃まで昇温後、同温度にて3時間撹拌して、これらを反応させた。その後、反応液中に窒素を通気しながら、200℃まで徐々に昇温し、同温度で5時間撹拌して、さらに反応させた。
【0075】
その後、220℃までさらに昇温後、減圧しながら、留出する水を除去し、水酸基価を測定しながら、反応を継続した。そして、水酸基価が10mgKOH/gに到達した時点で、オクチル酸錫(商品名:スタノクト、触媒、エーピーアイコーポレーション社製)を25ppmの濃度となるように添加し、同温度にて、脱水しながら、水酸基価が56mgKOH/gになるまで反応をさらに継続した。
【0076】
その後、60℃まで冷却することにより、ポリエステルポリオールを得た。
なお、得られたポリエステルポリオールの水酸基価は56.2mgKOH/gであった。
(変性ポリオールの調製)
撹拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着したセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下、上記により得られたポリエステルポリオール100重量部を仕込み、オイルバスにて120℃に加熱した。次に、予め、ビニルモノマーとしてメタクリル酸n−ブチル20重量部と、パーオキサイドとしてパーヘキサC(商品名、日本油脂社製、1、1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンを純度70%に炭化水素溶媒で希釈したもの。10時間半減期温度90.7℃。)9.6重量部とを均一に混合した溶液を同温度にて、4時間かけて均一な速度で上記したセパラブルフラスコに滴下し、さらに5時間反応させた。その後、液相に窒素を通気しながら、120℃、1.3kPaにて4時間減圧処理し、未反応のモノマーを除去した。その後、室温まで冷却し、水酸基価が45.7mgKOH/gの変性ポリオールを得た。
【0077】
(ポリウレタン樹脂のフィルムの製造)
撹拌機、温度計、還流管および窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、上記により得られた変性ポリオールと、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(商品名:タケネート600、1,3−H6XDI、三井化学ポリウレタン社製)とを、NCOインデックス(イソシアネート基/活性水素基)が3.93となるように仕込み、窒素雰囲気下、80℃にてイソシアネート基含量が目標値である7.64重量%になるまで反応させ、イソシアネート基末端プレポリマーを得た。
【0078】
なお、イソシアネート基含量は、電位差滴定装置を用いて、JIS K−1556に準拠したn−ジブチルアミン法により測定した。
次いで、撹拌機、温度計および窒素導入管を備えたセパラブルフラスコに、温度を予め80℃に調整したイソシアネート基末端プレポリマーと、1,4−ブタンジオール(三菱化学社製)とを、NCOインデックス(イソシアネート基/活性水素基)が1.01となるように仕込んだ後、同温度で1分間撹拌混合して、これらを反応させた。その後、イソシアネート基末端プレポリマーおよび1,4−ブタンジオールの合計の重量部数に対して、耐熱安定剤(商品名:イルガノックス245、ヒンダードフェノール系、チバスペシャルティケミカル社製)、紫外線吸収剤(商品名:チヌビン213、ベンゾトリアゾール系、チバスペシャルティケミカル社製)、および、耐光安定剤(商品名:チヌビン765、ヒンダードアミン系、チバスペシャルティケミカル社製)をそれぞれ、0.3重量%、0.2重量%および0.2重量%添加した後、オクチル酸錫(商品名:スタノクト、触媒、エーピーアイコーポレーション社製)をジイソノニルアジペート(商品名:DINA、ジェイ・プラス社製)を用いて固形分を4重量%に希釈した溶液を、同じくイソシアネート基末端プレポリマーおよび1,4−ブタンジオールの合計の重量部数に対して、オクチル酸錫が25ppmとなるように添加し、さらに約2分間全体が均一になるまで十分に撹拌して、混合液を調製した。
【0079】
その後、調製した混合液を、窒素を導入可能で、二軸スクリューを装着したラボプラストミル(型式4C−150、東洋精機製作所社製)に移液した後、窒素雰囲気下で、混練した。混練条件は、二軸スクリューの回転数を100s-1、ミキシングチャンバーの温度を170℃、混練時間を約20分間に設定した。その後、ラボプラストミルから樹脂を取り出した後、窒素雰囲気下で、70℃のオーブン中で24時間アニールした。その後、23℃、相対湿度55%の恒温恒湿下で、1週間熟成した後、切断して円柱状の、ポリウレタン樹脂からなるペレットを得た。
【0080】
次いで、得られたペレットを窒素雰囲気下で、80℃のオーブン中で12時間乾燥させた。その後、乾燥したペレットを、厚さ5mmのステンレス製板、厚さ1mmのステンレス製板、厚さ0.3mmのアルミ製スペーサーおよびテフロン(登録商標)シートを順次積層したモールドに載置し、その上から、さらに、テフロンシート、厚さ1mmのステンレス製板、厚さ5mmのステンレス製板を順次積層して、予め175〜180℃に温度を調整したプレス機に装入して、プレスした。
【0081】
このプレスでは、175〜180℃、6分間、プレス機内でペレットを挟んだモールドを予備加熱した後、175〜180℃、7MPaにて4分間プレスした。その後、モールドをプレス機から取り出し、25℃、3MPaにて5分間モールドを冷却した。その後、モールドから厚み約0.3mmのフィルム(硬化物)を取り出した後、80℃のオーブン中で24時間アニールした。その後、23℃、相対湿度55%の恒温恒湿下、1週間静置して、フィルムを得た。
【0082】
実施例2〜実施例13および比較例1〜比較例4
表1の配合処方に従い、実施例1の処方に準じて、ポリエステルポリオールを調製し、続いて、変性ポリオール(比較例4を除く。)を調製し、その後、実施例1と同様にして、混合液を調製し、続いて、ポリウレタン樹脂のフィルムを得た。
(評価)
各実施例および各比較例により得られたポリウレタン樹脂のフィルムについて、下記の評価を測定した。これらの結果を、表1に示す。
<ガラス転移温度(柔軟性)>
得られたポリウレタン樹脂のフィルムについて、動的粘弾性測定装置(モデル:RSA−III、レオメトリックス・サイエンティフィック・エフ・イー社製)により、温度分散を測定した。
【0083】
詳しくは、温度分散の測定前に、予め、ポリウレタン樹脂のフィルムを短冊形状に切断加工し、その後、このサンプルを液体窒素により、−90℃に冷却した後、周波数1Hz、3℃/minの速度で昇温する過程でのガラス転移領域におけるtanδのピーク温度をガラス転移温度として評価した。
<破断伸び>
ポリウレタン樹脂のフィルムをダンベル形状(試料の最大長さ:30mm)に切断加工してサンプルを得た後、このサンプルを、23℃、相対湿度55%の実験室内に設置した引張試験機(モデル:205型、インテスコ社製)により、引張試験を実施した。
【0084】
引張試験では、サンプルを、引張速度500mm/minで、試料の長手方向に沿って引張り、サンプルが破断した時の伸びを破断伸びとして評価した。
<耐熱試験後の破断伸びの保持率>
ポリウレタン樹脂のフィルムを、110℃のオーブンで300時間静置後、23℃、相対湿度55%の実験室内で一昼夜静置した。その後、上記した<破断伸び>と同様の方法により、引張試験を実施して、破断伸びを測定した。
【0085】
110℃、300時間静置後の破断伸びをL2(%)、23℃での破断伸びをL1(%)とした時に、次式により、耐熱試験後の破断伸びの保持率を算出した。
(耐熱試験後の破断伸びの保持率)=L2/L1×100
<キセノンランプ照射試験後のΔE>
ポリウレタン樹脂のフィルムを短冊形状に切断加工してサンプルを得た後、色彩色素計(モデル:CR−200、ミノルタカメラ社製)により、サンプルの色差基準色のデータ(Lt*、at*、bt*)を測定後、キセノンランプ照射試験により評価した。
【0086】
その後、得られたフィルムのデータ(L*、a*、b*)から、次式により変化率を算出して、ΔEを求めた。
ΔL*=L*−Lt*
Δa*=a*−at*
Δb*=b*−bt*
ΔE=((ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)21/2
ΔEは、その値が小さいほど、耐光性が良好であることを示す。
【0087】
なお、キセノンランプ照射試験は、スーパーキセノンウエザーメーター(型式:SX75−AP、スガ試験機社製)により、ブラックパネル温度89℃、相対湿度50%、キセノンランプ放射照度100W/m2(照射波長300〜400nm)の条件にて、28日間実施した。
【0088】
【表1】

【0089】
なお、表1中の各成分の名称およびその略称を、以下に記載する。
ポリカプロラクトンポリオール:ポリカプロラクトンジオール、商品名:プラクセル220N、数平均分子量2000、ダイセル化学社製
ポリカーボネートポリオール:商品名:プラクセルCD220、ポリカーボネートジオール、室温で固体、数平均分子量2000、ダイセル化学社製
ポリエーテルポリオール:商品名「Diol2000」、見かけの平均官能基数2、数平均分子量(見かけの平均官能基数と水酸基価とから算出した数平均分子量)2000、
三井化学ポリウレタン社製
AIBN:2,2‘−アゾビスイソブチロニトリル、10時間半減期温度65℃、和光純薬工業社製
BPO:過酸化ベンゾイル、純度75%品、10時間半減期温度73.6℃、和光純薬工業社製
1,3−H6XDI:1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン
1,4−H6XDI:1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン
1,4−BD:1,4−ブタンジオール
なお、1,4−H6XDIは、下記の方法により製造した。
【0090】
すなわち、13C−NMR測定によるトランス/シス比が93/7の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(三菱瓦斯化学社製)を原料として、冷熱2段ホスゲン化法を加圧下で実施した。
具体的には、電磁誘導撹拌機、自動圧力調整弁、温度計、窒素導入ライン、ホスゲン導入ライン、凝縮器および原料フィードポンプを備え付けたジャケット付き加圧反応器に、オルトジクロロベンゼン2500質量部を仕込んだ。次いで、ホスゲン1425質量部をホスゲン導入ラインより加え撹拌を開始した。反応器のジャケットには冷水を通し、内温を約10℃に保った。そこへ、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン400質量部をオルトジクロロベンゼン2500質量部に溶解した溶液を、フィードポンプにて60分かけてフィードし、30℃以下、常圧下で冷ホスゲン化を実施した。フィード終了後、フラスコ内は淡褐白色スラリー状液となった。
【0091】
次いで、反応器内液を60分で140℃に昇温しながら0.25MPaに加圧し、さらに圧力0.25MPa、反応温度140℃で2時間熱ホスゲン化した。また、熱ホスゲン化の途中でホスゲンを480質量部追加した。熱ホスゲン化の過程でフラスコ内液は淡褐色澄明溶液となった。熱ホスゲン化終了後、100〜140℃で窒素ガスを100L/時で通気し、脱ガスした。
【0092】
次いで、減圧下で溶媒のオルトジクロルベンゼンを留去した後、ガラス製フラスコに、充填物(住友重機械工業株式会社製、商品名:住友/スルザーラボパッキングEX型)を4エレメント充填した蒸留管、還流比調節タイマーを装着した蒸留塔(柴田科学株式会社製、商品名:蒸留頭K型)および冷却器を装備する精留装置を用いて、138〜143℃、0.7〜1KPaの条件下、さらに還流しながら精留し、1,4−H6XDIを382質量部得た。
【0093】
得られた1,4−H6XDIのガスクロマトグラフィー測定による純度は99.9%、APHA測定による色相は5、13C−NMR測定によるトランス/シス比は93/7であった。加水分解性塩素(HC)は19ppmであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボニル基を含有するカルボニル基含有ポリオールに、10時間半減期温度が80〜110℃であるパーオキサイドの存在下で、ビニルモノマーを反応させて得られることを特徴とする、変性ポリオール。
【請求項2】
前記カルボニル基含有ポリオールが、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオールおよびポリカーボネートポリオールから選択される少なくとも1種のポリオールであることを特徴とする、請求項1に記載の変性ポリオール。
【請求項3】
前記カルボニル基含有ポリオール100重量部に対して、前記パーオキサイド3〜10重量部の存在下で、前記ビニルモノマー5〜50重量部を反応させて得られることを特徴とする、請求項1または2に記載の変性ポリオール。
【請求項4】
前記カルボニル基含有ポリオールの数平均分子量が、800〜3000であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の変性ポリオール。
【請求項5】
前記パーオキサイドが、パーオキシエステルおよびパーオキシケタールの少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の変性ポリオール。
【請求項6】
前記カルボニル基含有ポリオールが、多価アルコールと多塩基酸との反応により得られるポリエステルポリオールであり、
前記多価アルコールおよび前記多塩基酸の少なくとも1種が、植物を原料としていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の変性ポリオール。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の変性ポリオールと、
ポリイソシアネートと、
鎖伸長剤とを反応させることにより得られることを特徴とする、ポリウレタン樹脂。
【請求項8】
前記ポリイソシアネートが、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートおよび芳香脂肪族ポリイソシアネートから選択される少なくとも1種のポリイソシアネートであることを特徴とする、請求項7に記載のポリウレタン樹脂。

【公開番号】特開2010−132733(P2010−132733A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−307718(P2008−307718)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(501140544)三井化学ポリウレタン株式会社 (115)
【Fターム(参考)】