説明

変換装置、情報配信装置、通信システム、制御方法及びプログラム

【課題】ストリームデータに関係する関係情報を効率的に取得することが可能な通信システムを提供する。
【解決手段】情報配信サーバ(100)は、ストリームデータに関係する関係情報をmdatボックスに埋め込んだMP4ファイル形式のストリームデータを生成し、該生成したMP4ファイル形式のストリームデータを端末装置(200-1〜200-n)に配信する。端末装置(200-1〜200-n)は、MP4ファイル形式のストリームデータを受信し、MP4ファイル形式のストリームデータのmdatボックスに埋め込まれた関係情報を読み出し、関係情報を取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種データをMP4ファイル形式のデータに変換する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
MP4ファイル形式のデータは、各種のボックス情報で構成し、図6に示すように、ファイル識別情報を格納する『ftypボックス』、ストリームデータを格納する『mdatボックス』、ストリームデータのメタデータを格納する『moovボックス』などを有して構成している。
【0003】
ストリームデータは、ビデオデータやオーディオデータ、字幕データ等があり、『chunk(チャンク)』単位で『mdatボックス』に格納される。なお、ビデオデータとオーディオデータ、字幕データ等は、『mdatボックス』の中に格納される。1つの『chunk』は、複数の『sample(サンプル)』を束ねた単位のデータである。『sample』は、再生の最小単位のデータである。
【0004】
ボックス情報は、階層構造になっており、ボックス情報の中に別のボックス情報を持つ。例えば、『moovボックス』の中には、図7に示す『stblボックス』を有し、『stblボックス』は、更に階層化されており、図7に示すように、『stsdボックス』、『sttsボックス』、『stszボックス』、『stscボックス』、『stcoボックス』のボックス情報を持っている。
【0005】
『stblボックス』は、mdatボックスに格納されたストリームデータのアクセス情報である。『stsdボックス』は、コーデック情報であり、ストリームデータを再生する際に参照する情報である。『sttsボックス』は、サンプル単位の時間情報である。『stszボックス』は、サンプル単位のサイズ情報である。『stscボックス』は、各チャンクを構成するサンプルの個数情報である。『stcoボックス』は、各チャンクの先頭位置情報(ftypボックス先頭からのoffset値)である。
【0006】
標準のMP4ファイル形式のデータは、『mdatボックス』に格納されたビデオデータとオーディオデータにアクセスするには、図7に示す『stscボックス』、『stcoボックス』、『stszボックス』の内容を参照し、この3つのボックス情報からビデオデータとオーディオデータとの位置とサイズを把握することにしている。また、データ再生時にビデオデータとオーディオデータとの同期を取るために、『sttsボックス』を参照し、再生時刻を把握することにしている。
【0007】
なお、標準のMP4ファイル形式のデータは、チャプタ情報(チャプタ番号、再生基準時間(PTS相当)、ストリームデータの位置情報など)を持っていないため、スキップやシークなどの特殊再生を行う場合は、再生要求時に指定された再生開始時間に該当する再生開始位置を『moovボックス』に格納されるメタデータを基に特定し、その特定した再生開始位置に該当するストリームデータを『mdatボックス』の中から特定し、再生することになる。
【0008】
具体的には、『stblボックス』を参照し、その『stblボックス』の『sttsボックス』に記述されているサンプル単位の時間と、『stscボックス』に記述されているチャンク単位のサンプル個数と、を基に、再生開始時間がどのチャンクに含まれるかを特定する(ステップS’1)。サンプル単位の時間と、チャンク単位のサンプル個数から1チャンク単位の時間が求まるため(1チャンク単位の時間=サンプル単位の時間×チャンク単位のサンプル個数)、ステップS’1の処理で再生開始時間がどのチャンクに含まれるかを特定することができる(再生開始時間≒各チャンク単位の時間(サンプル単位の時間×α)の総和)(但し、αは、サンプル数)。
【0009】
次に、『stco』に記述されている各チャンクの位置情報(ftypボックス先頭(=ファイル先頭)からのoffset値)を基に、ステップS’1の処理で取得したチャンクの位置情報(ftypボックス先頭からのoffset値)を特定する(ステップS’2)。ステップS’1の処理で何番目のチャンクか(α)を特定することができたため、各チャンクの位置情報(ftypボックス先頭からのoffset値)を基に、その特定したチャンクの先頭位置を特定することができる。
【0010】
次に、『stszボックス』に記述されているサンプル単位のサイズ情報(byte)と、上記ステップS’2の処理で取得したチャンクの位置情報(ftypボックス先頭からのoffset値)と、を基に、再生開始時間に該当する再生開始位置を算出する(ステップS’3)。ステップS’2の処理でチャンクの先頭位置を特定することができ、ステップS’1の処理で何番目のサンプルか(α)を特定することができるため、ステップS’1の処理で特定したサンプルの番号(α)にサンプル単位のサイズ情報を乗算することで、再生開始時間に該当する再生開始位置を算出することができる。なお、上記処理は、ビデオデータ、オーディオデータの各々で行うことになる。
【0011】
これにより、『stblボックス』に格納されているメタデータを基に、再生要求時に指定された再生開始時間に該当する再生開始位置を特定し、ストリームデータを再生することができる。
【0012】
しかし、スキップやシークなどの特殊再生を行う場合は、上記処理を逐一行う必要があるため、再生を開始するまでに負荷がかかってしまう。
【0013】
このようなことから、スキップやシークなどの特殊再生を行う場合に、上述した処理を逐一行うことなく、再生開始位置を把握することが可能な仕組みの開発が必要視されることになる。
【0014】
なお、MP4ファイル形式のストリームデータにおいて、上述した処理を逐一行うことなく、ストリームデータの再生開始位置を把握するには、チャプタ情報(チャプタ番号、再生基準時間(PTS相当)、ストリームデータの位置情報など)を把握する必要がある。しかし、上述したように、標準のMP4ファイル形式のストリームデータは、チャプタ情報を持っていないため、MP4ファイル形式のストリームデータに対し、チャプタ情報を埋め込むことが好ましい。即ち、MP4ファイル形式のストリームデータに対し、そのストリームデータに関係する関係情報を埋め込むことが好ましい。
【0015】
なお、本発明より先に出願された技術文献として、サムネイルファイルの中に、MP4ファイルの再生情報を埋め込んで記録し、サムネイルファイルを取得した時点で動画像の再生情報を取得できるようにした技術について開示された文献がある(例えば、特許文献1:特開2007-166553号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2007−166553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上記特許文献1には、サムネイルファイルの中に、MP4ファイルの再生情報を埋め込んで記録し、サムネイルファイルを取得した時点で動画像の再生情報を取得できるようにする技術について開示されている。
【0018】
しかし、上記特許文献1のサムネイルファイルは、MP4の『moovボックス』に格納し、MP4の『moovボックス』を利用した再生を行っている。通常、『moovボックス』は、図6に示すように、『mdatボックス』の後ろに配置されることが多い。このため、上記特許文献1の発明では、『mdatボックス』の後ろに配置された『moovボックス』を読み込むまでサムネイルファイルを取得することができない。
【0019】
その結果、上記特許文献1の発明では、動画像を読み込んだ後に、その動画像に関する再生情報を取得することになり、動画像に関する再生情報を取得するまでに時間がかかることになる。
【0020】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ストリームデータに関係する関係情報を効率的に取得することが可能な変換装置、情報配信装置、通信システム、制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
かかる目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有することとする。
【0022】
本発明にかかる変換装置は、
MP4ファイル形式のストリームデータを生成する際に、前記ストリームデータに関係する関係情報をmdatボックスに埋め込むことを特徴とする。
【0023】
本発明にかかる情報配信装置は、
上記記載の変換装置を有する情報配信装置であって、
前記変換装置で生成したMP4ファイル形式のストリームデータを配信することを特徴とする。
【0024】
本発明にかかる通信システムは、
ストリームデータを配信する情報配信装置と、前記ストリームデータを受信する端末装置と、を有して構成する通信システムであって、
前記情報配信装置は、
前記ストリームデータに関係する関係情報をmdatボックスに埋め込んだMP4ファイル形式のストリームデータを生成するデータ生成手段と、
前記MP4ファイル形式のストリームデータを配信する配信制御手段と、を有し、
前記端末装置は、
前記MP4ファイル形式のストリームデータを受信し、前記MP4ファイル形式のストリームデータのmdatボックスに埋め込まれた前記関係情報を読み出し、前記関係情報を取得することを特徴とする。
【0025】
本発明にかかる制御方法は、
MP4ファイル形式のストリームデータを生成する変換装置で行う制御方法であって、
前記MP4ファイル形式のストリームデータを生成する際に、前記ストリームデータに関係する関係情報をmdatボックスに埋め込む工程を行うことを特徴とする。
【0026】
本発明にかかるプログラムは、
MP4ファイル形式のストリームデータを生成する際に、前記ストリームデータに関係する関係情報をmdatボックスに埋め込む処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ストリームデータに関係する関係情報を効率的に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施形態の通信システムのシステム構成例を示す図である。
【図2】本実施形態の情報配信サーバ100の内部構成例を示す図である。
【図3】情報配信サーバ100を構成するMP4フォーマット変換部12の内部構成例を示す図である。
【図4】チャプタマーカ情報をチャンクの先頭部分に埋め込んだ状態を示す図である。
【図5】MP4フォーマット変換部12の処理動作例を示す図である。
【図6】MP4ファイル形式のデータ構成例を示す図である。
【図7】stblボックスのデータ階層と、mdatボックス内のデータとstblボックスとの対応関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<本実施形態の通信システムの概要>
まず、図1、図2を参照しながら、本実施形態の通信システムの概要について説明する。
【0030】
本実施形態の通信システムは、図1に示すように、ストリームデータを配信する情報配信サーバ100と、ストリームデータを受信する端末装置200-1〜200-n(nは、任意の整数)と、を有して構成する通信システムである。
【0031】
本実施形態の情報配信サーバ100は、図2に示すように、ストリームデータに関係する関係情報をmdatボックスに埋め込んだMP4ファイル形式のストリームデータを生成するデータ生成部1と、MP4ファイル形式のストリームデータを配信する配信制御部2と、を有して構成する。
【0032】
また、本実施形態の端末装置200-1〜200-nは、MP4ファイル形式のストリームデータを受信し、MP4ファイル形式のストリームデータのmdatボックスに埋め込まれた関係情報を読み出し、関係情報を取得する。
【0033】
本実施形態の通信システムは、上記構成を有することで、端末装置200-1〜200-nは、ストリームデータに関係する関係情報を効率的に取得することができる。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態の通信システムについて詳細に説明する。
【0034】
<通信システムのシステム構成例>
まず、図1を参照しながら、本実施形態の通信システムのシステム構成例について説明する。
【0035】
本実施形態の通信システムは、情報配信サーバ100と、端末装置200-1〜200-n(nは、任意の整数)と、を有して構成する。
【0036】
情報配信サーバ100は、各端末装置200-1〜200-nに対してストリームデータを配信する装置である。
【0037】
端末装置200-1〜200-nは、情報配信サーバ100から配信されたストリームデータを受信し、該受信したストリームデータを再生する装置である。
【0038】
<情報配信サーバ100の内部構成例>
次に、図2を参照しながら、本実施形態の情報配信サーバ100の内部構成例について説明する。
【0039】
本実施形態の情報配信サーバ100は、データ生成部1と、配信制御部2と、を有して構成する。データ生成部1は、HDD300に格納されているMPEG2-TS形式のストリームデータをMP4ファイル形式のストリームデータに変換し、端末装置200-1〜200-nに配信するMP4ファイル形式のストリームデータを生成する。配信制御部2は、データ生成部1で生成したMP4ファイル形式のストリームデータを端末装置200-1〜200-nに配信するための配信制御を行う。端末装置200-1〜200-nにストリームデータを配信する際の配信方法は、特に限定せず、任意の配信方法が適用可能である。例えば、DTCP-IP配信などが適用可能である。
【0040】
HDD300には、MPEG2-TS形式のストリームデータ(録画番組A、B、C)301と、チャプタテーブル302と、が格納されている。チャプタテーブル302には、MPEG2-TS形式のストリームデータ(録画番組A、B、C)に対応するチャプタ情報(チャプタ番号、再生基準時間(PTS相当)、ストリームデータの位置情報など)を管理している。
【0041】
データ生成部1は、暗号解除部11と、MP4フォーマット変換部12と、データ埋込部13と、暗号化部14と、を有して構成する。
【0042】
暗号解除部11は、HDD300に格納されているMPEG2-TS形式のストリームデータの暗号を解除する。
【0043】
MP4フォーマット変換部12は、暗号解除部11で暗号解除を行ったMPEG2-TS形式のストリームデータをMP4ファイル形式のストリームデータに変換する。
【0044】
データ埋込部13は、MP4ファイル形式のストリームデータに埋め込む各種データを生成する。例えば、DTCP-IP配信を行う場合は、コピー制御情報などを生成する。
【0045】
暗号化部14は、MP4フォーマット変換部12でフォーマット変換したMP4ファイル形式のストリームデータに対し、データ埋込部13で生成した各種データを埋め込む。また、各種データを埋め込んだMP4ファイル形式のストリームデータを暗号化し、端末装置200-1〜200-nに配信するMP4ファイル形式のストリームデータを生成する。暗号化方法は、特に限定せず、配信方式に応じて任意の暗号化が適用可能である。
【0046】
本実施形態のデータ生成部1は、上記構成を有することで、HDD300に格納されているMPEG2-TS形式のストリームデータをMP4ファイル形式のストリームデータに変換し、端末装置200-1〜200-nに配信するMP4ファイル形式のストリームデータを生成することができる。
【0047】
<MP4フォーマット変換部12の詳細構成例>
次に、図3を参照しながら、本実施形態のMP4フォーマット変換部12の詳細構成例について説明する。
【0048】
本実施形態のMP4フォーマット変換部12は、ストリーム解析部121と、メタデータ生成部122と、フォーマット変換部123と、チャンクデータ生成部124と、アクセス情報生成部125と、チャプタ情報読込部126と、マーカ生成部127と、データ結合部128と、を有して構成する。
【0049】
ストリーム解析部121は、MP4フォーマット変換部12が受け付けたMPEG2-TS形式のストリームデータを解析する。
【0050】
メタデータ生成部122は、ストリーム解析部121の解析結果を基に、メタデータを生成する。メタデータは、moovボックス用のデータである。
【0051】
フォーマット変換部123は、MPEG2-TS形式のストリームデータをMP4サンプル形式のストリームデータに変換する。これにより、サンプル単位のビデオデータとオーディオデータとを生成することができる。フォーマット変換部123は、MPEG2-TS形式のストリームデータに含まれるPTSを管理し、サンプル単位のビデオデータとオーディオデータで同期をとれるように時間情報を管理する。
【0052】
チャンクデータ生成部124は、フォーマット変換部123でサンプル化したサンプル単位のストリームデータから、複数個のサンプルで構成するチャンクデータを生成する。これにより、チャンク単位のビデオデータとオーディオデータとを生成することができる。チャンク単位に区分する方法としては、MPEG2-TS形式のストリームデータの場合、1GOP単位に相当するサンプルを1チャンク単位のサンプルとして区分する。なお、1チャンク単位のチャンクサイズ(サンプル個数)は、予めデフォルトとして設定しても良く、また、ストリームデータを配信する配信先の端末装置200-nの要求に応じて動的に変更することも可能である。
【0053】
アクセス情報生成部125は、チャンクデータ生成部124で生成したチャンク単位のストリームデータにアクセスする際に必要なアクセス情報を生成する。アクセス情報は、stblボックス用のデータである。
【0054】
チャプタ情報読込部126は、チャプタテーブル302を参照し、MPEG2-TS形式のストリームデータに対応するチャプタ情報(チャプタ番号、再生基準時間(PTS相当)、ストリームデータの位置情報など)を読み込む。例えば、ストリーム解析部121で解析したMPEG2-TS形式のストリームデータが録画番組Aに該当する場合は、その録画番組Aに対応するチャプタ情報を読み込む。
【0055】
マーカ生成部127は、チャプタ情報読込部126が読み込んだチャプタ情報を基に、チャプタマーカ情報(チャプタ番号、再生基準時間(PTS相当)、次のチャプタ位置情報(次のチャプタマーカ位置情報)など)を生成し、その生成したチャプタマーカ情報を、チャプタ情報に対応するチャンクデータの先頭部分に埋め込む。マーカ生成部127は、フォーマット変換部123で管理する各サンプルのPTSと、チャプタ情報のPTSと、を比較し、チャプタ情報のPTSに一致するサンプルのPTSが含まれるチャンクデータの先頭部分にチャプタマーカ情報を埋め込む。これにより、図4に示すように、チャプタマーカ情報をチャンクの先頭部分に埋め込むことができる。
【0056】
データ結合部128は、メタデータ生成部122で生成したメタデータと、アクセス情報生成部125で生成したアクセス情報と、チャンクデータ生成部124で生成したチャンクデータと、を結合し、MP4ファイル形式のストリームデータを生成する。これにより、データ結合部128は、ftyp,mdat,moov,stblなどのボックス情報を結合することができる。
【0057】
本実施形態のMP4フォーマット変換部12は、上記構成を有することで、MPEG2-TS形式のストリームデータをMP4ファイル形式のストリームデータに変換することができる。また、MP4フォーマット変換部12は、MPEG2-TS形式のストリームデータをMP4ファイル形式のストリームデータに変換する際に、MPEG2-TS形式のストリームデータに対応するチャプタ情報(チャプタ番号、再生基準時間(PTS相当)、ストリームデータの位置情報など)を基に、チャプタマーカ情報(チャプタ番号、再生基準時間(PTS相当)、次のチャプタ位置情報(次のチャプタマーカ位置情報)など)を生成し、チャプタ情報に対応するチャンクの先頭部分にチャプタマーカ情報を埋め込むことができる。
【0058】
<MP4フォーマット変換部12の処理動作例>
次に、図5を参照しながら、MP4フォーマット変換部12の処理動作例について詳細に説明する。
【0059】
ストリーム解析部121は、MPEG2-TS形式のストリームデータを解析する(ステップS1)。
【0060】
メタデータ生成部122は、ストリーム解析部121の解析結果を基にメタデータを生成する(ステップS2)。
【0061】
フォーマット変換部123は、MPEG2-TS形式のストリームデータをサンプル単位にサンプル化し、サンプル単位のビデオデータとオーディオデータとを生成する(ステップS3)。
【0062】
チャンクデータ生成部124は、フォーマット変換部123でサンプル化したサンプル単位のストリームデータをチャンク単位に区分し、複数個のサンプルで構成するチャンクデータを生成する(ステップS4)。これにより、チャンク単位のビデオデータとオーディオデータとを生成することができる。
【0063】
次に、アクセス情報生成部125は、チャンクデータ生成部124で生成したチャンク単位のストリームデータにアクセスする際に必要なアクセス情報を生成する(ステップS5)。
【0064】
また、チャプタ情報読込部126は、チャプタテーブル302を参照し、MPEG2-TS形式のストリームデータに対応するチャプタ情報(チャプタ番号、再生基準時間(PTS相当)、ストリームデータの位置情報など)を読み込む(ステップS6)。
【0065】
マーカ生成部127は、チャプタ情報読込部126が読み込んだチャプタ情報を基に、チャンクデータ生成部124で生成したチャンク単位のストリームデータがチャプタ位置に該当するか否かを判断し(ステップS7)、チャプタ位置に該当する場合は(ステップS7/Yes)、チャプタ情報読込部126が読み込んだチャプタ情報を基に、チャプタマーカ情報(チャプタ番号、再生基準時間(PTS相当)、次のチャプタ位置情報(次のチャプタマーカ位置情報)など)を生成し、その生成したチャプタマーカ情報を、チャンクデータの先頭部分に埋め込み(ステップS8)、データの多重化を行う(ステップS9)。また、マーカ生成部127は、チャンクデータ生成部124で生成したチャンク単位のストリームデータがチャプタ位置に該当しない場合は(ステップS7/No)、ステップS8のチャプタマーカ情報の生成と埋め込みを行わず、データの多重化を行う(ステップS9)。
【0066】
データ結合部128は、データが終端か否かを判定し(ステップS10)、データが終端でない場合は(ステップS10/No)、ステップS4,ステップS5に移行し、チャンクデータ生成部124は、チャンク単位のストリームデータを生成し(ステップS4)、チャプタ情報読込部126は、チャプタ情報の読み込みを行う(ステップS6)。
【0067】
また、データ結合部128は、データが終端である場合は(ステップS10/Yes)、メタデータ生成部122で生成したメタデータと、アクセス情報生成部125で生成したアクセス情報と、チャンクデータ生成部124で生成したチャンクデータと、を結合し(ステップS11)、MP4ファイル形式のストリームデータを生成する。これにより、MP4フォーマット変換部12は、MPEG2-TS形式のストリームデータをMP4ファイル形式のストリームデータに変換する際に、MPEG2-TS形式のストリームデータに対応するチャプタ情報(チャプタ番号、再生基準時間(PTS相当)、ストリームデータの位置情報など)を基に、チャプタマーカ情報(チャプタ番号、再生基準時間(PTS相当)、次のチャプタ位置情報(次のチャプタマーカ位置情報)など)を生成し、チャプタ情報に対応するチャンクの先頭部分にチャプタマーカ情報を埋め込むことができる。
【0068】
<端末装置200-nの処理動作例>
次に、本実施形態の端末装置200-nの処理動作例について説明する。
【0069】
端末装置200-nは、MP4ファイル形式のストリームデータを情報配信サーバ100から受信した場合に、そのストリームデータを解析し、mdatボックスに含まれるチャプタマーカ情報(チャプタ番号、再生基準時間(PTS相当)、次のチャプタ位置情報(次のチャプタマーカ位置情報)など)を読み込んで取得する。これにより、端末装置200-nは、チャプタマーカ情報を基に、ストリームデータの再生開始位置を取得することができる。
【0070】
なお、mdatボックスに含まれるチャプタマーカ情報を読み込む機能を実装していない既存の端末装置の場合には、従来と同様にmadatボックスに含まれるチャプタマーカ情報を認識せずに無視することになる。このため、チャプタマーカ情報をmdatボックスに含んだMP4ファイル形式のストリームデータを既存の端末装置に配信しても、既存の端末装置は、従来と同様に問題なくストリームデータの再生処理を行うことができる。但し、既存の端末装置においてスキップやシークなどの特殊再生を行う場合は、従来と同様にmoovボックスに含まれるメタデータを基に、再生開始位置を特定することになる。
【0071】
<本実施形態の通信システムの作用・効果>
このように、本実施形態の情報配信サーバ100は、ストリームデータに関係するチャプタマーカ情報をmdatボックスに埋め込んだMP4ファイル形式のストリームデータを生成し、該生成したMP4ファイル形式のストリームデータを端末装置200-1〜200-nに配信し、端末装置200-1〜200-nは、MP4ファイル形式のストリームデータを受信し、MP4ファイル形式のストリームデータのmdatボックスに埋め込まれたチャプタマーカ情報を読み出し、チャプタマーカ情報を取得する。これにより、端末装置200-1〜200-nは、ストリームデータに関係するチャプタマーカ情報を効率的に取得することができる。その結果、端末装置200-1〜200-nは、チャプタマーカ情報を基に、ストリームデータの再生開始位置を取得することができる。
【0072】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0073】
例えば、上述した本実施形態の通信システムを構成する各装置における制御動作は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成を用いて実行することも可能である。
【0074】
なお、ソフトウェアを用いて処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして実行させることが可能である。あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。
【0075】
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、リムーバブル記録媒体に、一時的、あるいは、永続的に格納(記録)しておくことが可能である。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することが可能である。なお、リムーバブル記録媒体としては、フロッピー(登録商標)ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magneto optical)ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどが挙げられる。
【0076】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールすることになる。また、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送することになる。また、ネットワークを介して、コンピュータに有線で転送することになる。
【0077】
また、本実施形態における情報配信サーバ100や端末装置200-nは、上記実施形態で説明した処理動作に従って時系列的に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に実行するように構築することも可能である。
【符号の説明】
【0078】
100 情報配信サーバ(情報配信装置)
1 データ生成部
11 暗号解除部
12 MP4フォーマット変換部(変換装置)
121 ストリーム解析部
122 メタデータ生成部
123 フォーマット変換部
124 チャンクデータ生成部
125 アクセス情報生成部
126 チャプタ情報読込部
127 マーカ生成部
128 データ結合部
13 データ埋込部
14 暗号化部
2 配信制御部
200−1〜n 端末装置
300 HDD
301 ストリームデータ
302 チャプタテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
MP4ファイル形式のストリームデータを生成する際に、前記ストリームデータに関係する関係情報をmdatボックスに埋め込むことを特徴とする変換装置。
【請求項2】
MPEG2−TS形式のストリームデータをMP4ファイル形式のストリームデータに変換し、前記MP4ファイル形式のストリームデータを生成する際に、前記関係情報をmdatボックスに埋め込むことを特徴とする請求項1記載の変換装置。
【請求項3】
前記関係情報は、前記ストリームデータに対応するチャンクの先頭部分に埋め込むことを特徴とする請求項1または2記載の変換装置。
【請求項4】
MPEG2−TS形式のストリームデータをMP4ファイル形式のサンプル単位にサンプル化し、サンプル単位のストリームデータを生成するフォーマット変換手段と、
前記サンプル単位のストリームデータをまとめてチャンク単位のストリームデータを生成するチャンクデータ生成手段と、
前記MPEG2−TS形式のストリームデータに対応する前記関係情報を読み込み、前記ストリームデータに対応するチャンク単位のストリームデータの先頭部分に前記関係情報を埋め込むマーカ生成手段と、
を有することを特徴とする請求項3記載の変換装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載の変換装置を有する情報配信装置であって、
前記変換装置で生成したMP4ファイル形式のストリームデータを配信することを特徴とする情報配信装置。
【請求項6】
ストリームデータを配信する情報配信装置と、前記ストリームデータを受信する端末装置と、を有して構成する通信システムであって、
前記情報配信装置は、
前記ストリームデータに関係する関係情報をmdatボックスに埋め込んだMP4ファイル形式のストリームデータを生成するデータ生成手段と、
前記MP4ファイル形式のストリームデータを配信する配信制御手段と、を有し、
前記端末装置は、
前記MP4ファイル形式のストリームデータを受信し、前記MP4ファイル形式のストリームデータのmdatボックスに埋め込まれた前記関係情報を読み出し、前記関係情報を取得することを特徴とする通信システム。
【請求項7】
MP4ファイル形式のストリームデータを生成する変換装置で行う制御方法であって、
前記MP4ファイル形式のストリームデータを生成する際に、前記ストリームデータに関係する関係情報をmdatボックスに埋め込む工程を行うことを特徴とする制御方法。
【請求項8】
MP4ファイル形式のストリームデータを生成する際に、前記ストリームデータに関係する関係情報をmdatボックスに埋め込む処理をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−175608(P2012−175608A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38101(P2011−38101)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(311012169)NECパーソナルコンピュータ株式会社 (116)
【Fターム(参考)】