説明

変異体微生物プロテアーゼを含む組成物及び方法

本発明は変異体スブチリシン及び本明細書に規定される少なくとも一つの変異体スブチリシンを含む組成物、及びこれらの変異体及び組成物を用いる方法を提供する。
ある実施の態様においては、本発明は洗濯洗浄において好適な変異体プロテアーゼを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は変異体スブチリシン及び本明細書に規定される少なくとも一つの変異体スブチリシンを含む組成物、及びこれらの変異体及び組成物を用いる方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
セリンプロテアーゼは広い範囲の特異性及び生物学的機能を持つ種々のクラスの酵素を含むカルボニルヒドロラーゼのサブグループである。洗浄及び食料で有用であることを主要な理由としてスブチリシンについて多くの研究がなされて来た。さらに、種々の応用でこれらの酵素の機能に不利な影響を与えることのある悪環境条件(例えば、酸化剤への暴露、キレート剤、極端な温度及び/又はpH)に焦点を当てた努力がなされて来た。それにも拘わらずこれらの悪条件に抗することができ、現在、技術分野で知られている酵素よりも改良された活性を維持し又は持つ酵素システムに対する需要がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明は本明細書に記載のスブチリシン変異体及び少なくとも一つのスブチリシン変異体を含む組成物並びにこれらの変異体及び組成物を使用する方法を提供する。特に、本発明は洗濯において洗浄に適するプロテアーゼ変異体を提供する。本発明は少なくとも一つの修飾を持つスブチリシン変異体を提供し、少なくとも一つの修飾はGl00C, Sl0lD, Sl0lH, Q103D, M124G, L126G, S132H, S161N, Q275Zから選択され及び/又は以下のものから選択される:
【数1】














【0004】
ここで各位置は配列番号2のBPN’スブチリシンの位置に対応する。
【0005】
本発明はまた少なくとも一つの修飾のセットを含むスブチリシン変異体を提供し、前記修飾セットは以下のものから選択される:

【数2】




【0006】
ここでこれらの位置は配列番号2のBPN’スブチリシンの位置に対応する。
【0007】
本発明はさらに少なくとも一つの修飾のセットを含むスブチリシン変異体を提供し、前記の修飾セットは以下のものから選択される:
【数3】




【0008】
ここで各位置は配列番号2のBPN’スブチリシンの位置に対応する。
【0009】
本発明はまた少なくとも一つの修飾セットを含むスブチリシン変異体を提供し、前記修飾セットは以下のものから選択される:
【数4】

【0010】
ここでこれらの位置は配列番号2のBPN’スブチリシンの位置に対応する。
【0011】
本発明はまた置換Y217Lを含むスブチリシン変異体及び、さらに上に記載した任意の少なくとも一つの修飾セットを提供し、その位置はBPN配列番号2のBPN’スブチリシンの位置に対応する。本発明はさらに置換G97A/G128A/Y217Qを含むスブチリシン変異体、及びさらに本発明に記載の任意の修飾中の少なくとも一つの修飾を含み、そして、前記位置はBPN’配列番号2のBPNスブチリシンの位置に対応する。
【0012】
本発明はまた本明細書に記載の少なくとも一つのスブチリシン変異体を含む洗浄組成物を提供する。ある好ましい実施の態様においては、洗浄組成物は洗濯用洗剤である。ある特に好ましい実施の態様においては、洗濯用洗剤は重質液体洗濯洗剤である。ある他の実施の態様においては、洗浄組成物は食器用洗剤である。ある更なる実施の態様においては、洗浄用組成物はさらに以下の群から選択される一以上の追加の酵素又は酵素誘導物を含む:
ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、フォスフォリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポオキシダーゼ、リグリナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β‐グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及びアミラーゼ又はこれらの混合物である。さらなる実施の態様においては、洗浄組成物はさらに少なくとも一つの安定剤を含む。さらなる実施の態様においては、洗浄組成物は本明細書に記載の少なくとも一つの任意のスブチリシン変異体を少なくとも0.0001重量%含み、そして任意選択的に少なくとも一つの好適な付加成分を含む。
【0013】
ある実施の態様においては、本発明は洗浄方法を提供し、前記方法は、表面及び/又は織物を含む商品を本明細書に記載の洗浄組成物の少なくとも一つと接触させ、及び任意選択的に前記表面又は商品を洗浄し及び/又は濯ぐ工程を含む。
【0014】
本発明はまた、本明細書に記載の少なくとも一つのスブチリシン変異体を含む食品加工用組成物のみならず、本発明に記載の少なくとも一つのスブチリシン変異体を含む動物用飼料を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1はインーフレ−ム欠失及び挿入を作るために用いられる方法を表す図表である。ライブラリーは33%の置換されたクローン、33%の挿入を持つクローン及び33%の欠失を持つクローンを持つよう設計された。
【図2A】図2AはpAC-FNAlOのプラスミドマップである。プラスミドの要素は次の通りである:pUBHO =プラスミドpUB110のDNA断片(McKenzie他、プラスミド(Plasmid) 15:93-103 [1986]), pBR322 =プラスミドpBR322のDNA断片(Bolivar他、, 遺伝子(Gene 2:95-113 [1977]), pC194 =プラスミドpC194のDNA断片(Horinouchi及びWeisblum, J. Bacteriol 150:815-825 [1982])。
【図2B】図2BはpHPLT-FNAのマップを提供する。
【図2C】図2CはpHPLT-BPNのマップを提供する。Vector pHPLTはLAT プロモータ(PLAT)、 LATシグナル配列(preLAT)をコードする配列を含む。複製の起点及びネオR(neoR)はプラスミドpUB 110に由来する。
【発明の詳細な説明】
【0016】
本発明は、本明細書に記載の変異体スブチリシン及び少なくとも一つの変異体スブチリシンを含む組成物、及びこれらの変異体及び組成物を用いる方法を提供する。これらの変異体スブチリシンを生成するための本発明のプロテアーゼ前駆体の修飾は少なくとも一つの置換、少なくとも一つの欠失、又は少なくとも一つの挿入を含む。ある実施の態様においては、修飾は突然変異の組み合わせを含む。例えば、ある実施の態様においては、修飾は少なくとも一つの置換及び少なくとも一つの欠失の組み合わせを含む。ある他の実施の態様においては、修飾は少なくとも一つの置換及び少なくとも一つの挿入の組み合わせを含む。さらにある実施の態様においては、修飾は少なくとも一つの欠失及び少なくとも一つの挿入の組み合わせを含む。さらに他のいくつかの実施の態様においては、修飾は少なくとも一つの置換、少なくとも一つの欠失及び少なくとも一つの挿入の組み合わせを含む。
【0017】
本発明の修飾されたポリヌクレオチド配列を生成するための技術についてはいくつかの好適な方法が知られており、以下のものを含むがこれに限定されるものではない:部位飽和突然変異誘発法、走査突然変異誘発法、挿入突然変異誘発法、欠失突然変異誘発法、ランダム突然変異誘発法、部位特異突然変異誘発法及び指向進化、並びに種々の他の組み換えアプローチである。通常用いられる方法にはDNAシャフリング(例えば、Stemmer, Proc Natl Acad Sci U S A.25:10747-51 [1994])、遺伝子の非相同組み換えに基づく方法(例えば、ITCHY) (Ostermeier他, Bioorg Med Chem. 7:2139-44 [1999]), SCRACHY (Lutz他、Proc Natl Acad Sci USA. 98:11248-53 [2001]), SHIPREC (Sieber他、 Nat Biotechnol., 19:456-60 [2001]), 及びNRR (Bittker他, Nat Biotechnol., 20:1024-9 [2001]; Bittker他, Proc Natl Acad Sci. USA. 101 :7011- 6 [2004]),及びオリゴヌクレオチドを用いてランダム及び標的突然変異を挿入する、欠失及び/又は挿入を起こす方法(Ness他, Nat Biotechnol. 20: 1251-5 [2002]; Coco他, Nat Biotechnol., 20:1246-50 [2002]; Zha他, Chembiochem. 3:34-9 [2003], Glaser他, J Immunol., 149:3903-13 [1992], Sondek及びShortle, Proc Natl Acad Sci USA 89:3581-5 [1992], Yanez他、Nucleic Acids Res., 32:el58 [2004], Osuna他, Nucleic Acids Res., 32:el36 [2004], Gaytan他, Nucleic Acids Res., 29:E9 [2001], 及びGaytan他、Nucleic Acids Res., 30:e84 [2002])を含む。
【0018】
ある実施の態様においては、完全長の親ポリヌクレオチドは適当な発現プラスミドに連結され、そして、他の方法も使用することはできるが、以下の突然変異誘発法が本発明の修飾されたプロテアーゼの構築を容易にするために使用された。この方法はPisarchik他 (Pisarchik他, Prot. Eng. Des. Select, 20:257-265 [2007])により記載されているものに拠る。ある実施の態様においては、本発明で使用される制限酵素は認識配列の外で切断すると言う更なる利点を得ることができ、その場合実質的に任意のヌクレオチド配列の消化を可能にし、そして制限部位の傷の形成を排除する。まず、本明細書に記載の様に、完全長のプロテアーゼをコードする自然発生の遺伝子を得て、配列決定し、一以上のアミノ酸において突然変異(欠失、挿入、置換又はそれらの組み合わせ)を起こすことを所望する一以上の位置をスキャンする。所望の配列に適合する様に配列を変えるために遺伝子の突然変異が、一般に知られた方法によるプライマー伸長により完成される。突然変異の所望の点の左右の断片はPCRにより増幅され、Eam 11041制限部位を含むことができる。左右の断片はEam 11041により消化され3つの相補的塩基のオーバーハングを持つ複数の断片を生成し、そしてそれはプールされ一以上の突然変異体を含む修飾された配列のライブラリーを生成する様に連結される。この方法はフレームシフト突然変異の発生を避けることができる。さらに、この方法は、全てのオリゴヌクレオチドが同じ制限部位を持つ様に合成することができるため突然変異プロセスを簡単にすることができ、他の方法で必要とされる制限部位を作るための合成リンカーは必要ない。
【0019】
組成物
本発明は本明細書に記載の変異体プロテアーゼ及び少なくとも一つの変異体スブチリシンを含む組成物を提供する。ある実施の態様においては、本発明は、ポリペプチド分解又は合成が求められる以下の種々の商業的分野の応用においてプロテアーゼを生産する方法を提供する:すなわち、洗浄組成物を含み、また、飼料用成分、繊維加工、皮革仕上げ、穀物処理、肉加工、食料品加工、タンパク質加水分解物、消化補助剤、微生物構成物、静菌性組成物、静真菌性組成物及びパーソナルケア製品(例えば、口腔ケア、ヘアーケア、及びスキンケア組成物)がある。本発明はさらに、現在使用されているスブチリシンプロテアーゼと比べてそれに匹敵し又は改良された洗浄能力を持つ酵素組成物を提供する。
【0020】
洗浄組成物
本発明の洗浄組成物は例えば、洗濯に使用された場合多くの利点を持つ。事実低温液で使用された場合効果が増大すると言うユニークな利点をもつため本発明の酵素は洗濯での応用に理想的に適する。さらに、本発明の酵素は顆粒状及び液体状の組成物で使用することができる。
【0021】
本発明の変異体プロテアーゼはまた洗濯洗浄用の添加製品として使用できる。ある実施の態様においては、低温液での洗浄に使用することができる。添加製品の最も簡単な形は一以上のプロテアーゼである。ある実施の態様においては、添加物は洗浄プロセスに添加するために一定投与量にパッケージされる。任意の好適な単一投与量は本発明で使用することができ、丸薬、錠剤、ジェルキャップ、又は事前に計量された粉末又は液体の様な他の単一投与形態を含む。ある実施の態様においては、充填剤又は担持材料がその様な組成物の容量を増やすために含まれる。好適な充填剤又は担持材料には、タルク、粘土に限られず、種々の硫酸塩、炭酸塩、及びケイ酸塩を含むがこれに限定されるものではない。液体組成物に好適な充填剤又は担持材料には、水又はポリオール及びジオールを含む低分子第一級アルコール及び第二級アルコールを含むがこれに限定されるものではない。その様なアルコールの例にはメタノール、エタノール、プロパノール、及びイソプロパノールを含むが、これに限定されるものではない。ある実施の態様においては、前記組成物はその様な材料を約5%から約90%含む。酸性充填剤はpHを低減させることができる。代替的に洗浄用添加物は、以下により詳しく述べる副次的成分を含む。
【0022】
本発明の洗浄組成物及び洗浄添加物は、それら単独で、又は他のプロテアーゼ及び/又は追加の酵素と組み合わせて、本明細書に記載の少なくとも一つのプロテアーゼ変異体の効果的な量を必要とする。酵素の必要なレベルは本発明の一以上のプロテアーゼ変異体を加えることにより達成される。典型的には、本発明の洗浄組成物は本発明の少なくとも一つの変異体プロテアーゼの重量の、少なくとも約0.0001 重量パーセント、約0.0001から約1,約0.001から約0.5, 又はさらに約0.01 から約0.1重量パーセントを含む。
【0023】
本発明の洗浄組成物は典型的には以下の様に調製される、すなわち、水性洗浄で使用される場合、洗浄水は約 5.0から約11.5又はさらに約7.5から約10.5のpHを持つ。液体製品製剤は典型的には約3.0から約9.0 又はさらに約3から約5のネットpHを持つ。顆粒状洗濯製品は通常約9から約11のpHを持つ様に調製される。pHを推奨使用レベルにコントロールする技術には緩衝液、アルカリ類、酸等を含み当業者によく知られている。
【0024】
好適な低いpHの洗浄組成物は、通常希釈しないpHが約3 から約5であり、通常その様なpH環境において加水分解する界面活性剤を含まない。その様な界面活性剤には、少なくとも一つのエチレン酸化物小部分又はさらには約1から約16モルのエチレン酸化物小部分を含むアルキル硫酸ナトリウム界面活性剤を含む。その様な洗浄組成物は通常水酸化ナトリウム、モノエタノールアミン又は塩酸の様な十分な量のpH調整剤を含み、洗浄組成物のネットpHを約3 から約5にする。その様な組成物は通常少なくとも一つの酸安定酵素を含む。ある実施の態様においては、組成物は液体であり、他の実施の態様においては、組成物は固体である。その様な液体組成物のpHは通常ネットpHとして測定される。その様な固体組成物のpHは、溶媒が蒸留水であるその組成物の10%固体溶液として測定される。これらの実施の態様においては、全てのpHは20℃で測定される。
【0025】
ある実施の態様においては、変異体プロテアーゼが顆粒組成物又は液体で使用される場合、保存中に顆粒組成物の他の成分から変異体プロテアーゼを保護するために変異体プロテアーゼはカプセル化された粒子の形とするのが望ましい。さらにカプセル化は洗浄プロセスでの変異体プロテアーゼの利用レベルをコントロールする手段でもある。ある実施の態様においては、カプセル化は変異体プロテアーゼ及び/又は追加の酵素の機能を高める。この意味で、本発明の変異体プロテアーゼは技術分野で知られている任意のカプセル化材料によりカプセル化される。ある実施の態様においては、カプセル化材料は通常本発明の変異体プロテアーゼの触媒の少なくとも一部をカプセル化する。通常カプセル化材料は水溶性及び/又は水分散性である。ある実施の態様においては、カプセル化材料はガラス転移温度が0℃以上である。ガラス転移温度はWO 97/11151にさらに詳しく記載されている。カプセル化材料は炭水化物、天然又は合成ゴム、キチン、キトサン、セルロース及びセルロース誘導体、ケイ酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、パラフィンワックス、及びこれらの組み合わせからなる群れから選択される。カプセル化材料が炭水化物である場合、それは単糖類、オリゴ糖、多糖類及びこれらの組み合わせから選択される。通常カプセル化材料はデンプンである。好適なデンプンはEP 0 922 499; 米国特許第4,977,252号; 第5,354,559号;及び第5,935,826号に記載されている。ある実施の態様においては、カプセル化材料は熱可塑剤、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル、ポリメタアクリロニトリル、及びこれらの混合物の様なプラスチックからなるミクロスフィアであり、使用可能な、市場で購入可能なミクロスフィアはEXPANCEL(登録商標) (Stockviksverken, Sweden), 及びPM 6545, PM 6550, PM 7220, PM 7228, EXTENDOSPHERES(登録商標)、LUXSIL(登録商標)、Q-CEL(登録商標)、及びSPHERICEL(登録商標) (PQ Corp., Valley Forge, PA)の名称で提供されるものを含む。
【0026】
本明細書に記載の様に、本発明の変異体プロテアーゼは特に洗濯洗剤で使用され得る。これらの応用では酵素は種々の環境上のストレスに置かれる。本発明の変異体プロテアーゼは、種々の条件下で安定性がある理由により現在多く使用されている酵素に比べて有利な点を持っている。
【0027】
事実、洗濯には種々の条件があり、これらは、種々異なる洗剤の調製、洗濯水の量、洗濯水の温度、及び洗濯時間の長さ、洗濯においてどのプロテアーゼに曝されるかを含む。さらに地域が異なることにより異なる洗剤調剤が使用されるため洗濯水中の各関係する成分の濃度が異なる。例えば、欧州では洗剤は通常洗濯水中に約4500-5000 ppmの洗剤成分を持ち、日本では通常洗濯水中に約667ppmの洗剤成分を持ち、北米、特に米国では、洗剤は通常洗濯水中に約975ppmの洗剤成分を持つ。
【0028】
洗剤濃度の低いシステムでは、洗濯水中に約800 ppm未満の洗剤成分を含む。日本の洗剤は、洗濯水中に約667ppmの洗剤成分が存在するため通常低洗剤濃度システムと考えられる。
【0029】
中程度の洗剤濃度は、洗濯水中に約800 ppmから約2000ppmの洗剤成分を含む。洗剤は通常洗濯水中に約975ppmの洗剤成分を持つため、北米の洗剤は、通常中程度の洗剤濃度システムであると考えられる。ブラジルは洗濯水中に約1500 ppmの洗剤成分を持つ。
【0030】
高濃度の洗剤システムは、洗濯水中に約2000 ppmより大きい洗剤成分を含む。欧州では洗剤は洗濯水中に約4500-5000 ppmの洗剤成分を持つので、これは通常高濃度の洗剤システムと考えられる。
【0031】
ラテンアメリカでは洗剤は通常高せっけん水泡リン酸塩ビルダー洗剤であり、ラテンアメリカで使用される洗剤は、洗濯水中に約1500-6000 ppmの洗剤成分を持つので、中程度及び高洗剤濃度の両方に属する。上で述べた様に、ブラジルは通常洗濯水中に約1500 ppmの洗剤成分を持つ。しかし、他の高せっけん水泡リン酸塩ビルダー洗剤の地域には、他のラテンアメリカの国に限られず、洗濯水中に約6000 ppmまでの高洗剤濃度を持つものもある。
【0032】
上に述べた点を考慮すると、典型的な洗濯液中の洗剤組成物の濃度は世界的に見た場合、洗剤組成物が約800 ppm未満(低洗剤濃度の地域)、例えば、日本の約667 ppmから、約800 ppmから約2000 ppm(中洗剤濃度の地域)、例えば、米国の約975 ppm及びブラジルの約1500 ppm、約2000 ppmを超える(高洗剤濃度の地域)、例えば、欧州の約4500 ppmから約5000 ppm及び高せっけん水泡リン酸塩ビルダー地域の約6000 ppmまで明らかに種々異なる。
【0033】
典型的な洗濯溶液の濃度は経験的に決定される。例えば、米国では通常の洗濯機は約64.4 Lの容量がある。したがって、洗濯溶液中に約975 ppmの洗剤の濃度を得ようとすると約62.79 gの洗剤組成物を64.4 Lの洗濯溶液に加える必要がある。この量は、消費者が洗剤に付いている計量コップを用いて洗濯水に通常測って入れる量である。
【0034】
さらに例を挙げると、地域が異なると異なった温度の洗濯液を使用する。日本での洗濯液の温度は通常欧州で使用する温度より低い。例えば、北米及び日本の洗濯水の温度は通常10から30℃(例えば、約20℃)であるが、欧州の洗濯水の温度は通常30から60℃(例えば、約40℃)の間である。
【0035】
また、他の例を挙げると地域が異なると水の硬度が異なる。水の硬度は通常ガロン当たりのCa2+Mg2+の混合グレインで測る。硬度は水中のカルシウム(Ca2+)及びマグネシウム(Mg2+)を測定した量である。米国の殆どの水は硬水であるが、その硬度は異なる。中程度の硬水(60-120 ppm) から硬水(121- 181 ppm) は100万分の1当たり60から181部分の硬度の鉱物を持つ(100万分の1当たり部分のUSガロン当たりグレインへの換算はppmの数値を17.1で除したものがガロン当たりグレインに等しい)。
【数5】

【0036】
欧州の水の硬度は通常ガロン当たりCa2+Mg2+の混合グレインで10.5より大きい(例えば、10.5-20.0)(例えば、ガロン当たりCa2+Mg2+の混合物で約15グレイン)。北米の水の硬度は通常日本の水の硬度より大きいが欧州の水の硬度より小さい。例えば、北米の水の硬度は3から10グレイン、3から8グレイン、又は約6グレインでありうる。日本の水の硬度は通常北米の水の硬度より低く、通常4より低く、例えば、ガロン当たりCa2+Mg2+の混合グレインで3である。
【0037】
したがって、ある実施の態様においては、本発明は少なくとも一組の洗濯条件(例えば、水の温度、水の硬度、及び/又は洗剤濃度)において驚くべき洗濯効果を示す変異体プロテアーゼを提供する。ある実施の態様においては、本発明の変異体プロテアーゼは他のスブチリシンプロテアーゼの洗濯効果に匹敵する。ある実施の態様においては、本発明の変異体プロテアーゼは現在市場で購入可能なスブチリシンプロテアーゼに比べて強化された洗濯効果を示す。このように本発明のある好ましい実施の態様においては、本発明において提供される変異体プロテアーゼは強化された酸化安定性、強化された熱安定性及び/又は強化されたキレート安定性を示す。さらに、本発明の変異体プロテアーゼは、洗剤単独で又はビルダー及び安定性剤と組み合わせた洗剤を含まない洗浄組成物で使用することができる。
【0038】
本発明のある実施の態様においては、洗剤組成物は組成物の重量により、少なくとも一つの本発明の変異体プロテアーゼを約0.00001 %から約10%のレベルで含み、残りの部分(例えば、約99.999%から約90.0%)は組成物の重量で洗浄付加材料を含む。本発明の他の特徴として、本発明の洗浄組成物は組成物の重量で約0.0001 %から約10%, 約0.001% から約5%, 約0.001%から約2%, 約0.005%から約0.5%のレベルの少なくとも一つの変異体プロテアーゼを含み、洗浄組成物の残りの部分(例えば、重量により約99.9999%から約90.0%, 約99.999 %から約98%, 約99.995%から約99.5%)は洗浄付加材料を含む。
【0039】
ある実施の態様においては、好ましい洗浄組成物は、本発明で提供される一以上の変異体プロテアーゼに加えて、洗浄効果及び/又は織物ケアの利益を提供する一以上の酵素又は酵素誘導体を含む。その様な酵素には、他のプロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、ペロキシダーゼ、オキシダーゼ(例えば、ラッカーゼ)及び/又はマンナーゼを含むがこれに限定されるものではない。
【0040】
他の任意の好適なプロテアーゼは本発明の組成物中に用いることができる。好適なプロテアーゼには、動物、植物又は微生物起源のプロテアーゼを含む。ある特に好ましい実施の態様においては、微生物プロテアーゼが使用される。ある実施の態様においては、化学的又は遺伝子的に修飾された突然変異体が含まれる。ある実施の態様においては、プロテアーゼはセリンプロテアーゼ、好ましくはアルカリ性微生物プロテアーゼ又はトリプシン類似プロテアーゼである。アルカリ性プロテアーゼの例にはスブチリシンを含み、特にバチルス由来のもの(例えば、スブチリシン、レンツス、アミロリクエファシエンス、スブチリシンカールスベルク、スブチリシン309、スブチリシン147、及びスブチリシン168)を含む。更なる例には米国特許RE 34,606, 第5,955,340号, 第5,700,676号, 第6,312,936号, 及び第6,482,628号に記載の突然変異プロテアーゼを含む。これらの文献は参照により本明細書に組み入れられる。さらにプロテアーゼの他の例には、トリプシン(例えば、豚又は牛起源のもの)及びWO 89/06270に記載のフサリウムを含む。好ましい、市場で購入可能なプロテアーゼ酵素には、MAXATASE(登録商標)、MAXACAL(登録商標), MAXAPEM(登録商標) OPTICLEAN(登録商標), OPTIMASE(登録商標), PROPERASE(登録商標), PURAFECT(登録商標)及びPURAFECT(登録商標)OXP (Genencor); ALCALASE(登録商標), SAVINASE(登録商標), PRIMASE(登録商標)、DURAZYM(登録商標)、RELASE(登録商標)及びESPERASE(登録商標) (Novozymes); 及び BLAP(登録商標)(Henkel Kommanditgesellschaft auf Aktien, Duesseldorf, Germany)を含むがこれに限定されるものではない。
【0041】
種々のプロテアーゼがWO95/23221, WO 92/21760及び米国特許第5,801,039号, 第5,340,735号, 第5,500,364号, 第5,855,625号, RE 34,606, 第5,955,340号, 第5,700,676号, 第6,312,936号, 及び第6,482,628号及び種々の他の特許に記載されている。
【0042】
さらに、好適な任意のリパーゼは本発明で使用することができる。好適なリパーゼには細菌又は真菌起源のものを含むがこれに限定されるものではない。化学的又は遺伝子的に修飾された突然変異体は本発明に含まれる。有用なリパーゼの例にはフミコラ ラヌギノザ リパーゼ(例えば、EP 258 068, 及びEP 305 216を参照)、リゾムコール ミーヘイ リパーゼ(例えば、EP 238 023を参照)、C.アンタークチカ リパーゼの様なカンディダ リパーゼ(例えば、C.アンタークチカ リパーゼA又はB、例えば、EP 214 761を参照)、P.アルカリゲネス及びP.シュドアルカリゲネス リパーゼの様なシュドモナス リパーゼ(例えば、EP 218 272を参照)、P.セパシアリパーゼ(例えば、EP 331 376を参照)、P.ストッツエリ リパーゼ(例えば、GB 1,372,034を参照)、P.フルオレッセンス リパーゼ、バチルス リパーゼ(例えば、B.スブチリス リパーゼ[Dartois他、Biochem. Biophys. Acta 1131 :253-260 [1993]]);B.ステアロテルモフィルス リパーゼ(例えば、JP 64/744992を参照)及びB.プミルスリパーゼ(例えば、WO 91/16422を参照)を含む。
【0043】
さらにクローンされた多くのリパーゼを本発明のある実施の態様において使用することができ、これにはペニシリウム カメンベルチ リパーゼ(Yamaguchi他、Gene 103:61-67 [1991]を参照), ゲオトリウム カンディダデゥム リパーゼ(Schimda他、J. Biochem., 106:383-388 [1989]を参照)及びR.デラマール リパーゼ(Hass他、Gene 109: 117-113 [1991]), R.ニベウス リパーゼ(Kugimiya他、Biosci. Biotech. Biochem. 56:716-719 [1992])及びR. オリザ リパーゼの様な種々のリゾプス リパーゼを含むがこれに限定されるものではない。
【0044】
クチナーゼの様な脂肪分解酵素の他の種類もまた本発明のある実施の態様において用いることができが、シュドモナス メンドシナ(WO 88/09367を参照)由来のクチナーゼ及びフサリウム ソラニ ピシ(WO 90/09446を参照)由来のクチナーゼを含むがこれに限定されるものではない。
【0045】
さらに、好適なリパーゼには、市場で購入可能なリパーゼ、例えば、Ml LIPASE(登録商標) LUMA FAST(登録商標)及びLIPOMAX(登録商標)(Genencor); LIPOLASE(登録商標)及びLIPOLASE(登録商標) ULTRA (Novozymes); 及びLIPASE P(登録商標)"Amano" (Amano Pharmaceutical Co. Ltd., Japan)を含む。
【0046】
本発明のある実施の態様においては、本発明の洗浄組成物はさらに、組成物の重量により、追加のリパーゼを約0.0001%から約10%のレベルで含み、残りの部分は組成物の重量で洗浄付加材料を含む。本発明の他の特徴として、本発明の洗剤組成物はまた組成物の重量に基づき、追加のリパーゼを約0.0001 %から約10%、約0.001%から約5%、約0.001%から約2%、約0.005% から約0.5%のレベルで含む。
【0047】
アルカリ溶液で好適に使用できる任意のアミラーゼ(アルファ及び/又はベータ)は本発明の実施の態様において使用することができる。好適なアミラーゼには細菌又は真菌起源のものを含むがこれに限定されるものではない。化学的又は遺伝子的に修飾された突然変異体は本発明のある実施の態様に含まれる。本発明で使用可能なアミラーゼには、B.リチェニフォルミスから得られるα-アミラーゼを含むがこれに限定されるものではない(例えば、GB 1,296,839を参照)。市場で購入可能なアミラーゼは本発明で使用することができ、DURAMYL(登録商標)、TERMAMYL(登録商標)、FUNGAMYL(登録商標)、及びBAN(登録商標)(Novozymes)及びRAPIDASE(登録商標)及びMAXAMYL(登録商標)P (Genencor)を含むがこれに限定されるものではない。
【0048】
本発明のある実施の態様においては、本発明の洗浄組成物はさらに組成物の重量により約0.0001 %から約10%のレベルのアミラーゼを含み、残りの部分は組成物の重量による洗浄付加材料である。本発明の他の特徴として、本発明の洗浄組成物はまた組成物の重量に基づき、追加のリパーゼを約0.0001 %から約10%、約0.001%から約5%、約0.001%から約2%、約0.005% から約0.5%のレベルのアミラーゼを含む。
【0049】
更なる実施の態様においては、任意の好適なセルラーゼは本発明の洗浄組成物で使用できる。好適なセルラーゼには、細菌又は真菌起源のものを含むがこれに限定されるものではない。化学的又は遺伝子的に修飾された突然変異体は本発明のある実施の態様に含まれる。好適なセルラーゼには、フミコーラ インソレンス セルラーゼを含むがこれに限定されるものではない(例えば、米国特許第4,435,307号を参照)。特に好適なセルラーゼはカラーケアの利点を持つセルラーゼ、例えば、EP 0 495 257を参照)である。本発明で使用することのできる、市場で購入可能なセルラーゼはCELLUZYME(登録商標) (Novozymes)及びKAC-500(B(登録商標) (Kao Corporation)を含むがこれに限定されるものではない。ある実施の態様においては、セルラーゼは成熟野生型又は変異体セルラーゼの部分又は断片として組み入れられ、N末端の一部は欠失している(例えば、米国特許第5,874,276号を参照)。ある実施の態様においては、本発明の洗浄組成物はさらに組成物の重量の約0.00001 % から約10%のレベルのセルラーゼ及び残りの部分は組成物の重量で洗浄付加材料を含む。本発明の他の特徴としては、本発明の洗浄組成物はまた組成物の重量の約0.0001% から約10%, 約 0.001%から約5%, 約0.001%から約2%, 約0.005%から約0.5%のレベルのセルラーゼを含む。
【0050】
また洗剤組成物での使用に適したマンナーゼは本発明で用いることができる。好適なマンナーゼは、細菌又は真菌起源のものを含むがこれに限定されるものではない。本発明で使用可能な化学的又は遺伝子的に修飾された突然変異体はある実施の態様に含まれる。本発明で使用される種々のマンナーゼが知られている(例えば、米国特許第6,566,114号, 第6,602,842号及び第6,440,991号を参照。これらの文献は参照により本明細書に組み入れられる)。ある実施の態様においては、本発明の洗浄組成物はさらに組成物の重量の約0.0001% から約10%の追加のマンナーゼ及び残りの部分は組成物の重量で、洗浄付加材料を含む。本発明の他の特徴としては、本発明の洗浄組成物はまた、組成物の重量に基づき、マンナーゼを約0.0001% から約10%, 約0.001%から約5%, 約0.001%から約2%, 約0.005%から約0.5%のレベルで含む。
【0051】
ある実施の態様においては、ペロキシダーゼは過酸化水素又はそのソース(例えば、過炭酸塩、過ホウ酸塩、過硫酸塩)と組み合わせて本発明の組成物中で使用される。ある他の実施の態様においては、オキシダーゼは酸素と組み合わせて使用される。いずれのタイプの酵素も「漂白液」として使用され(すなわち、繊維が同じ洗濯液で洗濯された場合、染色された繊維から他の繊維に色素が移ることのない様に)、好ましくは増強剤(例えば、WO 94/12621 及び WO 95/01426を参照)と一緒に用いられる。好適なペロキシダーゼ/オキシダーゼには植物、細菌又は真菌起源のものを含むがこれに限定されるものではない。化学的又は遺伝子的に修飾された突然変異体はある実施の態様に含まれる。ある実施の態様においては、本発明の洗浄組成物はさらにペロキシダーゼ及び/又はオキシダーゼ酵素を、組成物の重量により約0.0001% から約10%の追加のペロキシダーゼ及び/又はオキシダーゼ及び残りの部分は組成物の重量に基づき洗浄付加材料を含む。本発明の他の特徴としては、本発明の洗浄組成物は、組成物の重量に基づき、ペロキシダーゼ及び/又はオキシダーゼ酵素を約0.0001% から約10%, 約 0.001%から約5%, 約0.001%から約2%, 約0.005%から約0.5%のレベルで含む。
【0052】
ある実施の態様においては、追加の酵素が使用され、これにはペルヒドロラーゼを含むがこれに限定されるものではない(例えば、WO 05/056782を参照)。さらに、ある特に好ましい実施の態様においては、上に述べた酵素の混合物は本発明に含まれ、特に一以上の追加のプロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、マンナーゼ、及び/又は少なくとも一つのセルラーゼが含まれる。事実これらの酵素の種々の混合物が本発明で用いられることが意図されている。種々のレベルの変異体プロテアーゼ及び一以上の追加の酵素は共に独立して約10%まで、そして洗剤組成物の残りの部分は洗剤付加材料であることが想定されている。特定の洗剤付加材料を選択する場合には、表面、品物、洗浄される繊維、及び使用中(例えば、洗濯用の洗剤の使用)の洗浄条件のための組成物の望ましい形状を考慮して容易に選択される。
【0053】
好適な洗浄付加材料の例には界面活性剤、ビルダー、漂白剤、漂白活性剤、漂白剤触媒、他の酵素、酵素安定化システム、キレート剤、光学的光沢剤、防汚ポリマー、色素移動剤、分散剤、泡抑制剤、色素、香料、着色剤、充填塩、ヒドロトロープ、光活性剤、蛍光物、柔軟剤、加水分解可能界面活性剤、保存料、抗酸化剤、抗収縮剤、しわ取り剤、抗菌剤、防カビ剤、色染み、シルバーケア、抗変色及び/又は抗錆び剤、アルカリ源、可溶化源、担持体、加工助剤、顔料、pH制御剤(例えば、米国特許第6,610,642号, 第6,605,458号, 第5,705,464号, 第5,710,115号, 第5,698,504号, 第5,695,679号, 第5,686,014号及び第5,646,101号を参照、これらの文献は参照により本明細書に組み入れられる。) を含むがこれに限定されるものではない。特定の洗浄組成物材料についての実施の態様については以下に詳細に説明する。洗浄付加材料が洗浄組成物中で本発明の変異体プロテアーゼと共生できない場合の実施の態様においては、2つの成分の組み合わせが適当になるまで、洗浄付加材料及びプロテアーゼを分離する好適な方法が用いられる。その様な分離の方法は技術分野で知られている任意の好適な方法を含む(例えば、ゲルキャップ、カプセル化、錠剤、物理的分離等)。
【0054】
例として、本発明の変異体プロテアーゼが用いられるいくつかの洗浄組成物は以下にさらに詳細に説明する。本発明の洗浄組成物が洗濯機で使用されるに適した組成物として調製される実施の態様においては、本発明の組成物は少なくとも一つの界面活性剤及び少なくとも一つのビルダー化合物、及び好ましくは以下のものから選択される一以上の洗浄付加材料を含むのが良い。すなわち、有機ポリマー化合物、漂白剤、追加酵素、泡抑制剤、分散剤、石灰石けん分散剤、土壌懸濁液、及び再付着防止剤及びさび止め剤である。ある実施の態様においては、洗濯組成物はまた軟化剤(すなわち、追加の洗浄付加材料)を含む。本発明の組成物はまた固体又は液体状の洗剤付加製品で使用することができる。その様な添加製品は従来の洗剤組成物の効果を補い及び/又は高揚させることを意図し、洗剤プロセスの任意の段階において添加しても良い。ある実施の態様においては、本発明の洗濯洗剤組成物の密度は20℃で測定された組成物の約400から約1200 g/lリッターの範囲であり、他の実施の態様においては、約500から約950 g/リッターの範囲である。
【0055】
ある実施の態様においては、米国特許第6,605,458号に記載の様な種々の洗浄組成物は本発明の変異体プロテアーゼとともに使用することができる。このようにある実施の態様においては、本発明の少なくとも一つの変異体プロテアーゼを含む組成物はコンパクトな顆粒状の織物用洗浄組成物であり、他の実施の態様においては、組成物は有色織物の洗濯に有用な顆粒状の織物用洗浄組成物であり、さらに他の実施の態様においては、組成物は洗濯を通して柔らかさを与える顆粒状の織物用洗浄組成物であり、また別の実施の態様においては、前記組成物は重質液体織物洗浄組成物である。ある実施の態様においては、本発明の少なくとも一つ変異体プロテアーゼを含む組成物は、米国特許第6,610,642号及び第6,376,450号に記載の組成物の様な織物洗浄組成物である。さらに本発明の変異体プロテアーゼは欧州又は日本の洗濯条件で特に有用な顆粒洗濯洗剤組成物として使用できる(例えば、米国特許第6,610,642号を参照)。
【0056】
本発明の洗浄組成物は製剤者により選択される任意のプロセスにより任意の好適な形式に調製され、調合される。この例には米国特許第5,879,584号、第5,691,297号、第5,574,005号、第5,569,645号、第5,565,422号、第5,516,448号、第5,489,392号、第5,486,303号に記載のものがあるがこれに限定されるものではない。これらの文献は参照により本明細書に組み入れられる。低pH洗浄組成物を望む場合は、その様な組成物のpHは、モノエタノールアミン又はHCLの様な酸性材料の様な追加の材料により調節される。
【0057】
本発明の目的との関係で必須ではないが、以下に述べる添加物は本洗浄組成物で好適に使用されるが、添加物はこれに限定されるものではない。ある実施の態様においては、これらの添加物は、例えば、洗浄効果を助け又は強化し、洗浄される基質の処理のため、又は香水、着色剤、色素などの洗浄組成物の美観を向上させるために組み入れられる。本発明の変異体プロテアーゼに追加してその様な添加物が使用されると考えられる。
【0058】
これらの追加の成分の厳密な性質及び組み入れるレベルは、組成物の物理的形態及びそれが使用される洗浄作業の性質に依る。好適な添加物材料には以下のものを含むがこれに限定されるものではない:界面活性剤、ビルダー、キレート剤、色素転移抑制剤、沈着補助剤、分散剤、追加酵素、酵素安定剤、触媒材料、漂白活性剤、漂白増強剤、過酸化水素、過酸化水素源、調製された過酸、重合分散剤、粘土除去剤/抗再沈殿剤、漂白剤、泡抑制剤、染料、香料、構造弾性剤、織物柔軟剤、担持体、ヒドロトロープ、加工助剤及び/又は顔料。
【0059】
以下の開示に加え、その他の添加物の好適な例及びその使用レベルは米国特許第5,576,282号、第6,306,812号、及び第6,326,348号に記載のものがある。これら文献は参照により本明細書に組み入れられる。前記の添加物成分は本発明の洗浄組成物の残りの部分を構成することもある。
【0060】
ある実施の態様においては、本発明の洗浄組成物は、界面活性剤又は界面活性剤システムを含み、前記界面活性剤は非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、両性イオン界面活性剤、半極性非イオン性界面活性剤及びこれらの混合物から選択される。
【0061】
さらに他の実施の態様においては、本発明の洗浄組成物は一以上のビルダー又はビルダーシステムを含む。ビルダーは、アルカリ金属、アンモニウム及びポリリン酸のアルカノールアンモニウム塩、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ土類及びアルカリ金属炭酸塩、アルミノケイ酸塩ビルダーポリカルボン酸化合物、ヒドロキシポリカルボン酸塩エーテル、無水マレイン酸とエチレン又はビニルメチルエーテルのコポリマー、1,3, 5-トリヒドロキシベンゼン- 2、4、6-トリスルホン酸及びカルボキシメチルオキシコハク酸、種々のアルカリ金属、エチレンジアミン テトラ酢酸及びニトリロ酢酸の様なポリ酢酸のアンモニウム又は置換アンモニウム塩、及びメリト酸、コハク酸、クエン酸、オキシジクエン酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5-トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸の様なポリカルボン酸塩及びこれらの可溶塩を含むがこれに限定されるものではない。
【0062】
さらに他の実施の態様においては、本発明の洗浄組成物はキレート剤を含む。好適なキレート剤には銅、鉄及び/又はマンガンキレート剤及びこれらの混合物を含む。さらに他の実施の態様においては、本発明の洗浄組成物は沈殿助剤を含む。好適な沈殿助剤には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカルボン酸塩、ポリテレフタル酸の様な防汚ポリマー、カオリン、モンモリナイト、アタパルジャイト、イライト、ベントナイト、ハロイサイトの様な粘土及びこれらの混合物を含む。
【0063】
さらに他の実施の態様においては、本発明の洗浄組成物はまた一以上の染料移動抑制剤を含む。好適な染料移動抑制剤ポリマーにはポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミン N−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドン、及びN―ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン及びポリビニルイミダゾール、又はこれらの混合物を含むがこれに限定されるものではない。
【0064】
さらに他の実施の態様においては、本発明の洗浄組成物はまた、分散剤を含む。好適な水可溶性有機材料にはホモ又は共重合酸又はその塩を含み、ポリカルボン酸は互いに2より大きくない炭素原子により互いに分離された少なくとも2つのカルボキシルラジカルを含む。
【0065】
ある特に好ましい実施の態様においては、洗浄組成物は洗浄効果及び/又は織物ケアの利点を提供する一以上の洗剤用酵素を含む。好適な酵素の例には、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、フォスフォリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポオキシダーゼ、リグリナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β‐グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及びアミラーゼ又はこれらの混合物を含むが、これに限定されるものではない。
【0066】
典型的な組み合わせは、少なくとも一つのプロテアーゼ、少なくとも一つのリパーゼ、少なくとも一つのクチナーゼ、及び/又は少なくとも一つのセルラーゼと少なくとも一つのアミラーゼの組み合わせを含む従来の適用可能な酵素の混合物である。
【0067】
さらに他の実施の態様においては、洗浄組成物で使用される酵素は任意の好適な技術で安定化される。ある実施の態様においては、本発明で使用される酵素は、酵素にイオンを提供する製品組成物中でカルシウム及び/又はマグネシウムイオンの水溶性源の存在により安定化される。
【0068】
さらに他の実施の態様においては、本発明の洗浄組成物は触媒性金属複合体を含む。金属を含む漂白触媒のあるタイプは、例えば、銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデン、又はマンガンカチオン、亜鉛、又はアルミニウムカチオンの様な漂白触媒活性を殆ど又は全く持たない補助金属カチオンの様な、規定の漂白触媒活性を持つ遷移金属カチオンを含み、及び触媒性及び補助金属カチオン特に、エチレンジアミンテトラ酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンリン酸)及びそれらの水溶性塩の規定された安定度定数を持つ金属イオン封鎖剤(seuqestrate)を含む触媒システムである。その様な触媒は米国特許第4,430,243号に開示されている。
【0069】
ある実施の態様においては、本明細書の組成物はマンガン化合物により触媒作用を受ける。その様な化合物及び使用のレベルは技術分野で良く知られており、
例えば、米国特許第5,576,282号に開示されているマンガンベース触媒を含む。さらに、本発明で有用なコバルト漂白触媒が知られており、例えば、米国特許第5,597,936号及び第5,595,967号に開示されている。その様なコバルト触媒は米国特許第5,597,936号及び第5,595,967号の実施例により教示されるように、知られた手順により容易に生成することができる。ある実施の態様においては、本明細書に記載の組成物はまた巨大多環式剛性リガンド(すなわち、「MRL」)を好適に含む。実際問題として、発明を限定する意味ではないが、本明細書に記載の組成物及び洗浄プロセスは調節が可能であり、水性洗濯媒体中で活性MRL種を少なくとも1ppmのレベルで提供し、好ましくは約0.005 ppmから約25 ppm、より好ましくは約0.05 ppmから約10 ppm、最も好ましくは約0.1ppm から約5 ppmの範囲のMRLを提供する。
【0070】
本発明の遷移金属漂白触媒中の好ましい遷移金属はマンガン、鉄及びクロムを含む。本発明の好ましいMRLは5,12-ジエチル-l,5,8,12- テトラアザビシクロ [6.6.2]ヘキサデカンの様な架橋された特殊なタイプの超剛性リガンドである。
【0071】
好適な遷移金属MRLは、例えば、WO 00/332601及び米国特許第6,225,464号の実施例により教示される様な既知の手順により容易に作られる。
【0072】
上で述べた様に、本発明の洗剤組成物は調製者により選択される任意のプロセスにより任意の好適な形に調製される。それらの例は米国特許第5,879,584号、第5,691,297号、第5,574,005号、第5,569,645号、第5,516,448号、第5,489,392号、及び第5,486,303号に記載があるが、これらの例に限定されるものではない。これらの文献は参照により本明細書に組み入れられる。
【0073】
本発明の洗剤組成物は、ある部位(例えば、表面、食器洗浄、又は織物)の洗浄において有用である。通常、その部位の少なくとも一部分に、本発明の洗剤組成物が、洗濯液中で希釈されない形又は希釈された形で接触し、そしてその部位は任意選択的に洗濯され及び/又は濯がれる。本発明の目的との関係では、「洗濯」は手洗い、機械的攪拌を含むが、これに限定されるものではない。ある実施の態様においては、洗浄組成物は通常溶液中で約 500 ppm から15,000 ppmの濃度で使用される。洗濯溶液が水である場合、洗濯温度は通常約5℃から90℃の範囲であり、対象物が織物を含む場合、水と織物の質量比は通常約1:1 から約30:1である。
【0074】
定義
特に断らない限り、本発明においてはタンパク質操作、分子生物学、微生物学、及び組み換えDNAで通常使用される従来の技術を用い、これらの技術は当業者の常識の範囲内にある。その様な技術は当業者に知られており、また当業者に知られている多くの書籍及び参考文献に記載されている(例えば、Sambrook et al.,「分子クローニング(実験室マニュアル)」("Molecular Cloning: A Laboratory Manual), Second Edition (Cold Spring Harbor), [1989]); 及びAusubel et al., 「分子生物学における現在のプロトコール」("Current Protocols in Molecular Biology" )[1987])。本明細書に記載の全ての特許、特許出願、論文及び刊行物は参照により本明細書に組み入れられる
本明細書において、別の意味を持つものとして規定しない限り、本明細書の全ての技術及び科学用語はこの発明が関係する技術分野の当業者により通常理解されると同じ意味を持つ。これらの用語の定義を提供する、当業者に知られた多くの辞書が利用可能である。本明細書に記載のこれらの方法と同様又は同等な方法及び材料は、本発明の実施に用いることができるが、本明細書では好ましい方法及び材料が記載されている。したがって、以下に続いて定義される用語は明細書を全体として考察することにより、より完全に把握することができる。
【0075】
また、本明細書で使用する単数を表わす「a」「an」及び「the」は、文意より明確に異なる意味に解せられない限りその複数形をも含む。数値範囲はその範囲を規定する数値を含む。他に断らない限り、各々、核酸は左から右へ5’ から3’の方向へ記載され;アミノ酸配列は左から右へ、アミノ基からカルボキシ基の方向に記載される。本発明は記載された特定の方法論、手順、及び試薬に限定されるものではないことを理解するべきである。これらは当業者により使用される状況により変わりうるからである。
【0076】
特に断らない限り、本発明においてはタンパク質精製、分子生物学、微生物学、及び組み換えDNA技術及びタンパク質配列決定で通常使用される従来の技術を用い、これらの技術は当業者の常識の範囲内にある。
【0077】
更に、本明細書に記載の各見出しは、本発明の種々の特徴又は実施の態様を限定するものではなく、本発明は明細書を全体として考察することにより把握することができる。したがって、これに直ちに続く定義は明細書を全体として考察することにより更に十分に理解される。しかし、本発明の理解の促進を図るために、多数の用語を以下に定義する。
【0078】
本明細書で用いる「プロテアーゼ」(protease)及び「タンパク質分解活性」(proteolytic activity)はペプチド又はペプチド結合を持つ基質を加水分解する能力を示すタンパク質又はペプチドを言う。タンパク質分解活性を測定するための多くの知られた手順が存在する(例えば、Kalisz,「微生物プロチナーゼ」(Microbial Proteinases)Fiechter (編纂), Advances in Biochemical Engineering/Biotechnology, [1988]を参照)。例えば、タンパク質分解活性は比較アッセイにより確認しても良く、それにより市販の基質を加水分解するプロテアーゼの各能力を分析する。プロテアーゼ及びタンパク質分解活性の分析で有用な代表的な基質はジメチル カゼイン(Sigma C-9801), 牛のコラーゲン (Sigma C-9879), 牛のエラスチン(Sigma E- 1625)及び牛のケラチン (ICN Biomedical 902111)を含むがこれに限定されるものではない。これらの基質を使用する熱量アッセイは技術分野で良く知られている(例えば、WO 99/34011及び米国特許第6,376,450号を参照願いたい。両文献は参照により本明細書に組み入れられる。)pNAアッセイ(例えば、Del Mar他、Anal Biochem, 99:316-320 [1979]を参照願いたい)はまた、勾配溶離中に回収される部分の活性酵素濃度を決定するのに用いることが出来る。このアッセイは、酵素が可溶合成基質、スクシニルーアラニンーアラニンープロリンーフェニルアラニンーp−ニトロアニリド(sAAPF-pNA)を加水分解するに連れてp−ニトロアニリンが放出される速度を測定する。加水分解反応から黄色の生成される速度が分光光度計において410nm波長で測定され、これは活性酵素濃度に比例する。さらに280nmでの吸光測定は全タンパク質濃度の決定に用いることができる。活性酵素/全タンパク質の比率は酵素純度を示す。
【0079】
本明細書で用いる「バチルス属」(genius Bacillus)は当業者に知られている「バチルス属」(genius Bacillus)属の範囲内の全ての種を含み、バチルス スブチリス (Bacillus subtilis)、バチルス リチェニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス レンツス(Bacillus lentus)、バチルス ブレビス(Bacillus brevis)、バチルス ステアロテルモフィルス (Bacillus stearothermophilus)、バチルス アルカロフィルス(Bacillus alkalophilus)、バチルス アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルスクラウシ(Bacillus clausii)、バチルス ハロジュランス(Bacillus halodurans)、バチルス メガテリウム(Bacillus megaterium)バチルス コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス シルクランス(Bacillus circulans)、バチルス ランツス(Bacillus lantus)、バチルス ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)を含むがこれに限定されるものではない。Bacillus属は分類上の再編成を受けることが知られている。バチルス属は、これに限定されるものではないが、現在「ゲオバチルス ステアロテルモフィルス」(Geobacillus stearothermophilus)と呼ばれているバチルス ステアロテルモフィルス(Bacillus stearothermophilus)のような有機体を含み、分類上の再編成を受けた種を含むと考えられる。酸素の存在下において耐性のある内生胞子を生産することがバチルス属を規定する特徴と考えられる。この特徴はまた最近命名されたアリシクロバチルス(Alicyclobacillus), アンフィバチルス(Amphibacillus), アネウリニバチルス(Aneurinibacillus), アノキシバチルス(Anoxybacillus), ブレビバチルス(Brevibacillus), フィロバチルス(Filobacillus), グラシリバチルス(Gracilibacillus), ハロバチルス(Halobacillus), パエニバチルス(Paenibacillus), サリバチルス(Salibacillus), テルモバチルス(Thermobacillus), ウレイバチルス(Ureibacillus), ビルギバチルス(Virgibacillus)に当てはまる。
【0080】
「ポリヌクレオチド」(polynucleotide)及び「核酸」(nucleic acid)の用語は本明細書において相互交換的に用いられ、任意の長さのポリマー形式のヌクレオチドを指し、リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドを問わない。これらの用語は単一鎖、二重鎖、又は三重鎖DNA、ゲノムDNA, cDNA, RNA, DNA-RNAハイブリッド又はプリン及びピリミジン塩基を含むポリマー又は他の天然の、化学的、生物学的に修飾された、非天然の、又は誘導体ヌクレオチド塩基を含むがこれに限定されるものではない。以下に挙げるものはポリヌクレオチドの非限定的例である:遺伝子、遺伝子断片、染色体断片、EST, エクソン、イントロン、mRNA, tRNA, rRNA, リボザイム, cDNA, 組み換えポリヌクレオチド、分枝ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の分離RNA、核酸プローブ及びプライマである。ある実施の態様においては、ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドの様な修飾されたヌクレオチド及びヌクレオチドアナログ、ウラシル、他の糖、及びフロロリボース、チオエートのような連結基及びヌクレオチド分枝を含む。他の実施の態様においては、ヌクレオチドの配列は非ヌクレオチド成分により中断される。
【0081】
本明細書で用いる「DNA構築体」(DNA construct)及び「形質転換DNA」(transforming DNA)は相互交換的に用いられ、宿主細胞又は有機体に配列を導入するために用いるDNAを指す。このDNAはインビトロでPCRにより又は技術分野で知られた任意の好適な技術によって生成することができる。ある特に好ましい実施の態様においては、このDNA構築体は関心の対象の配列(例えば、入って来る配列(incoming sequenceとして)を含む。ある実施の態様においては、配列は制御要素(例えば、プロモータ等)の様な追加要素に動作可能にリンクされている。DNA構築体はさらに選択可能なマーカーを含んでも良い。それはさらに、ホモロジーボックスが側面に付いた入ってくる配列を含む。更なる実施の態様においては、形質転換DNAは末端に加えられた他の非相同配列を含む(例えば、スタッファ配列又は側面)。ある実施の態様においては、入ってくる配列の末端は閉じられており、そのため、形質転換DNAは閉じた円を形成する。形質転換配列は野生型、突然変異した又は修飾されたものであっても良い。ある実施の態様においては、DNA構築体は宿主細胞染色体に相同な配列を含む。他の実施の態様においては、DNA構築体は非相同配列を含む。DNA構築体がインビトロで組立てられると、それは1)非相同配列を宿主細胞の所望の標的配列に挿入する、及び/又は2)宿主細胞染色体の領域に突然変異を起させる(例えば、内在性配列を非相同配列で置換する)及び/又は3)標的遺伝子を欠失させる、及び/又は4)宿主に複製型プラスミドを導入する。
【0082】
本明細書で用いる「発現カセット」(expression cassette)及び「発現ベクター」(expression vector)はある標的細胞中の特定の核酸の転写を認める一連の特定された核酸要素(nucleic acid element)を持つ組み換え又は合成により生成された核酸構築体を指す。組み換え発現カセットはプラスミド、染色体、ミトコンドリアのDNA、プラスチドDNA、ウイルス、又は核酸断片に組み入れることができる。典型的には、発現ベクターの組み換え発現カセット部分は、他の配列の中でも、転写される核酸及びプロモータを含む。好ましい実施の態様においては、発現ベクターは宿主細胞に非相同DNA断片を組み入れ及び発現する能力を持つ。多くの原核生物及び真核生物発現ベクターは市場で調達可能である。好適な発現ベクターを選択することは当業者の常識の範囲にある。「発現カセット」(expression casette)の用語は本明細書において「DNA構築体」及びその文法的同等体と相互交換的に用いられる。適当な発現ベクターを選択することは当業者の常識の範囲内にある。
【0083】
本明細書で用いる、「ベクター」(vector)は核酸を一以上の細胞型に導入する様に設計されたポリヌクレオチド構築体を指す。ベクターはクローニングベクター、発現ベクター、シャトルベクター、プラスミド、カセット等を指す。ある実施の態様においては、ポリヌクレオチド構築体は、好適な宿主細胞でDNAの発現をすることのできる好適なプロ配列(例えば、分泌腺など)に動作可能にリンクされているプロテアーゼ(例えば、前駆体又は成熟プロテアーゼ)をコードするDNA配列を含む。
【0084】
本明細書で用いる「プラスミド」(plasmid)はクローニングベクターとして用いられる環状二重鎖(ds)DNA構築体を指し、このプラスミドはある新核生物又は原核生物中の染色体外自己複製遺伝子要素を形成し又は宿主染色体に一体化する。
【0085】
細胞に核酸配列を導入することについて本明細書で用いられる「導入される」(introduced)は核酸配列を細胞に転写するのに好適な任意の方法を指す。導入のためのその様な方法は原形質融合、トランスフェクション、形質転換、接合及び軽質導入を含むがこれに限定されるものではない(例えば、Ferrari他、「遺伝子」(Genetics)、Hardwood 他 (編纂), 「バチルス」(Bacillus)、Plenum Publishing Corp., 57-72ページ [1989]参照)。
【0086】
本明細書で用いる「形質転換された」(transformed)及び「安定的に形質転換された」(stably transformed)は非天然(非相同)ポリヌクレオチド配列がそのゲノムに一体化され又は少なくとも2世代に亙り維持されるエピソーププラスミドとしての細胞を指す。
【0087】
核酸は、他の核酸配列と機能的な関係にある場合、「動作可能にリンクされている」(operably linked)。例えば、分泌リーダー(例えば、シグナル ペプチド)をコードするDNAは、もしポリペプチドの分泌に参加する前タンパク質として発現される場合、ポリペプチドのDNAと動作可能にリンクされており;プロモータ又はエンハンサは、配列の転写に影響する場合は、コード配列に動作可能にリンクされており;リボソーム結合部位は、翻訳を促進するような位置にある場合、コード配列と動作可能にリンクされている。一般的に、「動作可能にリンクされている」はリンクされているDNA配列が連続しており、そして分泌リーダーの場合は連続しかつ読取層にあることを意味する。しかし、エンハンサは連続である必要はない。リンクは適当な制限部位での連結により行われる。もしその様な部位がない場合は、従来の慣例に従い合成オリゴヌクレオチドアダプター又はリンカーが使用される。
【0088】
本明細書で用いる「遺伝子」(gene)はポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、DNAセグメント)を指し、個々のコード配列(エクソン)の間の介在配列(イントロン)のみならずコード領域に先行し及び続く領域を含む。
【0089】
本明細書で用いる、「相同遺伝子」(homologous genes)は異なるが、通常関連している種の少なくとも一対の遺伝子を言い、これらの種は互いに対応し、及びお互いに同一又は非常に類似している。この用語は遺伝子複製によって分離された遺伝子(例えば、パラロガス遺伝子)のみならず、種分化(speciation:すなわち、新しい種の開発)(例えば、オルソロガス遺伝子)によって分離された遺伝子を含む。
【0090】
本明細書で用いる、「オルソログ」(ortholog)及び/又は「オルソロガス遺伝子」(orthologous gene)は種分化によって共通の先祖遺伝子(すなわち、相同遺伝子)より進化した異なる種の遺伝子を言う。典型的には、オルソログは進化の過程で同じ機能を保持する。オルソログの同定は新しく配列決定されたゲノムでの遺伝子機能を予測する信頼される方法として用いられる。
【0091】
本明細書で用いる、「パラログ」(paralog)及び「パラロガス遺伝子」(paralogous gene)はゲノム内で複製されることにより関連する遺伝子を言う。オルソログが進化の過程で同じ機能を保持するのに対し、パラログは、その幾つかの機能は元の機能としばしば関連するものであるが、新しい機能を発展させる。
【0092】
パラロガス遺伝子の例には、これらは全てセリンプロテナーゼであるが、同じ種内で一緒に生じるトリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ及びトロンビンをコードする遺伝子を含むがこれに限定されるものではない。
【0093】
本明細書で用いるタンパク質は、同じ配置において同じ主要な二次構造及び同じ位相連結を持つ場合、通常の「折畳み」(fold)を持つと定義される。同じ「折畳み」を持つ異なるタンパク質はしばしばサイズ及び構造において異なる二次構造の周辺要素及びターン領域を持つ。あるケースではこれらの異なる周辺領域は構造の半分を含むこともある。同じ折畳みの範疇に一緒に含まれるタンパク質は必ずしも進化上で共通の出発点を持っているとは限らない(例えば、ある包装の配置及び鎖トポロジーにとり都合が良いタンパク質の物理的構成及び化学的要素に起因する構造的類似)。
【0094】
本明細書で用いる「相同」(ホモロジー)(homology)は配列の類似又は同一性、好ましくは同一であるのが良いが)を指す。この相同は技術分野で知られている標準的技術により決められる(例えば、Smith及びWaterman, Adv. Appl. Math., 2:482 [1981]; Needleman及びWunsch, J. MoI. Biol., 48:443 [1970]; Pearson及びLipman, Proc. Natl. Acad .Sci. USA, 85:2444 [1988]; Wisconsin Genetics Software Package中のGAP, BESTFIT, FASTA, 及びTFASTAの様なプログラム, Genetics Computer Group, Madison, WI;及びDevereux 他、Nucl. Acid Res., 12:387-395 [1984)を参照)。
【0095】
本明細書で用いる「類似配列」(アナログ配列)(analogous sequence)は、遺伝子の機能が野生型スブチリシンプロテアーゼに基づくものと実質的に同じであるものを指す。さらに、類似遺伝子は野生型スブチリシンプロテアーゼの配列と少なくとも約45%,約50%,約約55%,約60%,約65%,約70%,約75%,約80%,約85%,約90%,約95%,約97%,約98%,約99% 又は約100%同じ配列を含む。代替的に類似配列はバチルス アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)スブチリシンプロテアーゼ領域に見られる遺伝子の約70から約100%の配列アラインメントを持つ。更なる実施の態様においては、一以上の上記の特性が配列に適用される。類似配列は配列アラインメントにおける既知の方法により決定される。本明細書に述べる様に配列アラインメントで用いられる他の方法もあるが、通常用いられるアラインメント方法はBLASTである。
【0096】
有用なアルゴリズムの一つの例はPILEUPである。PILEUPは漸進的、ペアーワイズ アラインメント(progressive, pair-wise alignment)を用いた群の関連配列から多配列を作る。またアラインメントを作るために用いられたクラスター関係を示すツリー(tree)をプロットすることもできる。PILEUPはFeng及びDoolittleの漸進的アラインメントを簡素化したものを用いる (Feng及びDoolittle, J. MoI. Evol., 35:351-360 [1987])。この方法はHiggins及びSharpにより記述されているもの(Higgins及びSharp, CABIOS 5:151-153 [1989])と類似する。有用なPILEUPパラフィンパラメータは3.00のデフォールト ギャップ ウエイト、0.10のデフォールト ギャップ レングスウエイト、及び加重エンドギャップを含む。
【0097】
他の有用なアルゴリズムの例は、BLASTアルゴリズムであり、Altschul他(Altschul他、J. MoI. Biol., 215:403-410 [1990];及びKarlin他、Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 90:5873-5787 [1993))により記述されている。特に有用なBLAST プログラムはWU-BLAST-2 プログラムである(Altschul他, Meth. Enzymol., 266:460-480 [1996]を参照)。WU-BLAST-2は幾つかのサーチパラメータを用いるが、その大半はデフォールト値に設定される。調整可能なパラメータは以下の値に設定される:重複範囲=1、重複画分= 0.125、言語閾値(word threshold (T)) = 11。HSP S及びHSP S2 パラメータは動値であり、特定の配列の組成及び関心の対象となる配列が調査される特定のデータベースの組成に依存するプログラム自体により決定される。しかし、これらの値は感度を高めるように調整しても良い。%アミノ酸配列による同一性の値は一致する同一の残基の数をアラインされる領域中の「より長い」配列の残基の全数によって除して決定される。「より長い」配列はアラインされる領域中に最も確かな残基(mostr actuacl residue)を持つものである(アラインメント数値を最大にする様にWU-Blast-2により導入されたギャップは考慮されない)。
【0098】
宿主細胞「パーセント(%)核酸配列の同一性」(percent (%) nucleic acid sequence identity)は、開始配列のヌクレオチド残基と同一である候補配列中のヌクレオチド残基のパーセントとして定義される。好ましい方法は、重複範囲及び重複画分をそれぞれ1及び0.125のデフォールトパラメータに設定したWU-BLAST-2のBLASTNを用いる。
【0099】
本明細書で用いる「組み換え体」(recombinant)の用語は、非相同核酸配列の導入により修飾され、又はその様に修飾された細胞から誘導された細胞又はベクターを含む。したがって、例えば、組み換え細胞は、細胞の天然(非組み換え)型の中に同一の型がない遺伝子を発現させ、又はそうでなければ異常に発現された又は人の意図的な干渉により低発現し又は発現しない天然の遺伝子を発現させる。
【0100】
「組み換え」(Recombination)、「組み換えること」(recombining)及び「組み換えられた」(recombined)核酸を生成することは一般的に、その集合(assembly)がキメラ遺伝子を作る2以上の核酸断片の集合を作ることである。
【0101】
ある好ましい実施の態様において、突然変異DNA配列は少なくとも一つのコドンで部位飽和突然変異誘発により生成される。他の好ましい実施の態様においては、部位突然変異誘発は2以上のコドンで実行される。さらに他の実施の態様においては、突然変異DNA配列は、野生型配列と50%より大きい、約55%より大きい、約60%より大きい、約65%より大きい、約70%より大きい、約75%より大きい、約80%より大きい、約85%より大きい、約90%より大きい、約95%より大きい、又は約98%より大きい相同性を持つ。他の実施の態様においては、突然変異DNAはインビボで通常知られている任意の突然変異手順、例えば、放射、ニトロソグアジニン等により生成される。そして所望のDNA配列が分離され本明細書に記載の方法に用いられる。
【0102】
本明細書で用いる、「増幅」(amplification)及び「遺伝子増幅」(gene amplification)は、特異DNA配列が不釣合いに複製され、増幅された遺伝子がゲノムに当初存在したよりも多いコピー数で存在するプロセスを言う。ある実施の態様においては、薬剤(例えば、抑制可能な酵素の抑制剤)の存在下で成長によって細胞を選択することにより、薬剤の存在下で成長に必要な遺伝子製品をコードする内生遺伝子を増幅するか、又はこの遺伝子製品をコードする外因性(すなわち、投入された)配列を増幅することのいずれか、又はその双方となる。
【0103】
「増幅」(amplification)は鋳型特異性(template specificity)を含む核酸の複製の特異な場合である。これは非特異的鋳型複製と対比されるべきである(すなわち、複製は鋳型に依存するが、特定の鋳型に依存するものではない)。ここでの鋳型特異性は、複製が忠実であるかどうか(すなわち、適正なポリヌクレオチド配列の合成)及びヌクレオチド(リボ−又はデオキシリボ−)特異性とは区別される。鋳型特異性は、しばしば「標的」(target)特異性と呼ばれる。標的配列は、これらが他の核酸から選定されるという意味で「標的」である。増幅技術は、主にこの選定をするために設計されたものである。
【0104】
本明細書で用いる、「プライマ」(primer)は、精製された制限消化の様に自然に生成されるか、合成により生成されるかを問わず、オリゴヌクレオチドを言う。オリゴヌクレオチドは、プライマ伸長法による、核酸鎖に相補的な合成品が誘発される条件下に置かれる場合、合成の開始点として作動することができる(すなわち、ヌクレオチド及びDNAポリメラーゼの様な誘発剤の存在下及び好適な温度及びpHで)。プライマは、増幅で最大の効果を得るためには好ましくは単一鎖であるのが良いが、代替的に、二重鎖であっても良い。もし、二重鎖の場合は、プライマはまず、伸長製品を得るために使用するには、その鎖を分離する処理がなされる。好ましくは、プライマはオリゴデキシリボヌクレオチドであるのが良い。プライマは誘発剤の存在下で伸長製品の合成を準備するために十分長くなければならない。プライマの正確な長さは、温度、プライマソース及び使用法を含み数多くの要因に依る。
【0105】
本明細書で用いる、「プローブ」(probe)は、精製された制限消化の様に自然に生成されるか、合成により、組み換えにより又はPCR増幅により生成されるかを問わず、オリゴヌクレオチド(すなわち、ヌクレオチド配列)を言い、オリゴヌクレオチドは関心の対象である他のオリゴヌクレオチドにハイブリッドすることができる。プローブは単一鎖であるか又は二重鎖であっても良い。プローブは特定の遺伝子配列の検出、同定及び単離に有用である。本発明で用いられるどのプローブも任意の「レポーター分子」(reporter molecule)によりラベルを付され、酵素(例えば、酵素ベースの組織化学的アッセイのみならずELISA)、蛍光、放射線、及び発光システムを含む検出システムで検出することができるが、これに限定されるものではない。本発明は特定の検出システム又はラベルに限定されるものではない。
【0106】
本明細書で用いる、「標的」(target)は、ポリメラーゼ連鎖反応との関係で用いる場合は、ポリメラーゼ連鎖反応に使用されるプライマにより画された(bounded)核酸の領域を言う。したがって、「標的」は他の核酸配列から選定される。「部分」(segment)は標的配列中の核酸の領域として定義される。
【0107】
本明細書で用いる、「ポリメラーゼ連鎖反応」(polymerase chain reaction (PCR))は米国特許第4,683,195号, 第4,683,202号及び第4,965,188号に記載の方法を言う。これらの文献は参照により本明細書に組み入れられる。この方法は、当業者に良く知られている様に、クローン又は精製をすることなくゲノムDNAの混合物中で標的配列のある部分の濃度を増大させる方法を含む。
【0108】
標的配列を増幅するこのプロセスは、過大な量の2つのオリゴヌクレオチド プライマーを所望の標的配列を含むDNA混合物に導入し、続いてDNAポリメラーゼの存在下で熱サイクルを正確に実施することよりなる。2つのプライマーは2重ストランド標的配列の各ストランドに相補的である。増幅を実施するために、混合物は変性されそしてプライマーは標的分子内の各相補配列にアニールされる。アニールに続いてプライマーはポリメラーゼにより伸長され、相補ストランドの新しいペアーを形成する。変性、プライマーアニーリング及びポリメラーゼ伸長のステップは多数回繰り返すことができ(すなわち、変性、アニーリング、及び伸長は一つの「サイクル」を形成し、多くの「サイクル」があっても良い)、高濃度の所望の標的配列の増幅されたセグメントを得ることができる。所望の標的配列の増幅されたセグメントの長さは各プライマーの相対的位置により決定され、したがって、この長さは制御可能なパラメーターである。このプロセスは繰り返しが可能であるため、この方法は「ポリメラーゼ連鎖反応」(以下、PCR)と呼ばれる。
【0109】
標的配列の所望の増幅部分が混合物中の主要な配列(濃度において)となるため、これらは「PCR増幅された」と言われる。
【0110】
本明細書で用いる、「増幅試薬」(amplification reagent)は、プライマ、核酸鋳型、及び増幅酵素を除く増幅に必要な試薬(デオキリリボヌクレオチド三リン酸、緩衝剤等)を言う。典型的には、増幅試薬は他の反応成分と共に反応容器(テスト管、ミクロウエル等)に置かれ、そして収容される。
【0111】
本明細書で用いる「RT-PCR」(RT-PCR)はRNA配列の複製及び増幅を言う。この方法では、逆転写は、PCRに結合され、その場合非常にしばしば米国特許第5,322,770号に記載の様に熱安定性ポリメラーゼを用いた一つの酵素を用いる手順による。同文献は参照により本明細書に組み入れられる。RT-PCRではRNA鋳型はポリメラーゼの逆転写酵素活性によりcDNAに変換され、そしてポリメラーゼの重合活性(例えば、他のPCR方法の様に)を用いて増幅される。
【0112】
本明細書で用いる「制限エンドヌクレアーゼ」(restriction endonuclease)及び「制限酵素」(restriction enzyme)は細菌酵素を言い、そのそれぞれが特異ヌクレオチド配列において、又はその近辺で二重鎖DNAを切断する。
【0113】
本明細書で用いる「制限部位」(restriction site)はある制限エンドヌクレアーゼにより認識され開裂されるヌクレオチド配列を指し、しばしばDNA断片の挿入部位である。本発明のある実施の態様においては制限部位は操作され選択マーカー及びDNA構築体の5' 及び3'末端に挿入される。
【0114】
「相同的組み換え」(Homologous recombination)は同一又は同一に近いヌクレオチド配列の部位で2つのDNA分子又はペア染色体の間のDNA断片の交換を言う。好ましい実施の態様においては、染色体の統合は相同的組み換えである。
【0115】
本明細書で用いる「アミノ酸」(amino acid)はペプチド又はタンパク質配列又はその一部を指す。「タンパク質」(protein)、「ペプチド」(peptide)及び「ポリペプチド」(polypeptide)の用語は相互交換的に用いられる。
【0116】
本明細書で用いる、「関心の対象のタンパク質」(protein of interest)及び「関心の対象のポリペプチド」は所望され及び/又は評価されるタンパク質/ポリペプチドを指す。ある実施の態様においては、関心の対象のタンパク質は細胞間で発現し、他の実施の態様においては、関心の対象のタンパク質は分泌ポリペプチドである。特に好ましい実施の態様においてはこれらの酵素は本明細書に記載のセリンプロテアーゼを含む。ある実施の態様においては、関心の対象のタンパク質はシグナルペプチドに融合された分泌ポリペプチドである(すなわち、分泌されるタンパク質上のアミノ末端伸張である)。殆んど全ての分泌タンパク質はアミノ末端タンパク質伸張を用い、それは細胞膜に渡り前駆体タンパク質を標的にし、且つ前駆体タンパク質の転座に決定的な役割を果す。この伸張は膜転写の間又はその直後にシグナルペプチダーゼによってタンパク質分解活性により除去される。
【0117】
ポリヌクレオチドは、その天然の状態又は当業者に知られている方法により操作された場合、RNA又はポリペプチドを「コードする」(encode)すると言われ、RNA、ポリペプチド又はその断片を生成するために転写され、及び/又は翻訳され得る。その様な核酸のアンチセンス鎖はまたその配列をコードすると言われる。
【0118】
技術分野で知られている様に、DNAはRNAポリメラーゼにより転写され、RNAを生成することができるが、RNAは逆転写酵素により逆転写されDNAを生成することができる。この様にDNAはRNAをコードしその逆も起きうる。
【0119】
「宿主株」(Host strain)又は「宿主細胞」(host cell)は本発明のDNAを含む発現ベクターに相応しい宿主を指す。
【0120】
酵素は、もし酵素が対応する野生型細胞で発現されるレベルよりもより高度のレベルで細胞で発現される場合、「過剰に発現する」(overexpressed)と言う。
【0121】
「タンパク質」(protein)及び「ポリペプチド」(polypeptide)は相互交換的に使用される。国際生化学分子生物学連合の命名法委員会の生化学命名法(JCBN)(IUPAC-IUB Joint Commission on Biochemical Nomenclature (JCBN))により定めたアミノ酸の3文字コードが本明細書で用いられる。また、ポリペプチドは遺伝子コードの縮退のため一以上のヌクレオチド配列によりコードされることもある。
【0122】
「プロ配列」(prosequence)はシグナル配列とプロテアーゼの分泌に必要な成熟プロテアーゼの間にあるアミノ酸配列である。プロ配列の開裂により成熟活性を持つプロテアーゼが生成される。
【0123】
「シグナル配列」(signal sequence)又はシグナル ペプチド(signal peptide)の用語は成熟した又は前駆体の形のタンパク質の分泌に参加するヌクレオチド及び/又はアミノ酸配列を指す。シグナル配列のこの定義は機能的なものであり、タンパク質遺伝子のN-末端部分によりコードされる全てのこれらのアミノ酸配列を含むことを意味し、このアミノ酸はタンパク質の分泌に参加する。しかし例外がない訳ではないが、これらはしばしばタンパク質のN-末端部分又は前駆体タンパク質のN-末端部分に結合される。シグナル配列は内因性又は外因性であることもある。シグナル配列は通常タンパク質(例えば、プロテアーゼ)と関連し、又は他の分泌されたタンパク質をコードする遺伝子から生成されることもある。一つの代表的な外因性シグナル配列は、バチルス レンツス(Bacillus lentus)(ATCC 21536)のスブチリシンのシグナル配列の残りの部分に融合されるバチルス スブチリス (Bacillus subtilis)のシグナル配列の第一の7つのアミノ酸残基を含む。
【0124】
「ハイブリッド シグナル配列」(hybrid signal sequence)はその配列の一部分が、発現される遺伝子の配列に融合される発現宿主から得られるシグナル配列を言う。ある実施の態様においては合成配列が用いられる。
【0125】
タンパク質又はペプチドの「成熟」形の用語はタンパク質又はペプチドの最終機能形態を指す。例えば、本発明のBPN’スブチリシンプロテアーゼの成熟した形は、少なくとも以下に記す配列番号2の残基位置1-275と同一のアミノ酸配列を含む。
【数6】

【0126】
タンパク質又はペプチドの「前駆体」(precursor)の形は、タンパク質のアミノ酸末端又はカルボニル末端に動作可能にリンクされているプロ配列を持つタンパク質の成熟形を指す。前駆体はまたプロ配列のアミノ酸末端に動作可能にリンクされている「シグナル」配列を持つこともある。前駆体はまた翻訳後活動に関係する追加のポリヌクレオチドを持つこともある(例えば、ポリヌクレオチドから開裂されタンパク質又はペプチドの成熟形を残す)。
【0127】
「天然酵素」(Naturally occurring enzyme)は天然に見出される配列と同一の非修飾アミノ酸配列を持つ酵素を指す。天然発生酵素は、天然の酵素、天然に発現された酵素又は特定の微生物に見出される天然の酵素を含む。
【0128】
「由来する」(derived from)及び「から得られる」(obtained from)の用語は問題となる有機体の株から生成され、又は生成されうるプロテアーゼのみならず、その様な株から分離された及びその様なDNA配列を含む宿主有機体中で生成されたDNAによりコードされるプロテアーゼを指す。さらにこの用語は合成及び/又はcDNA起源のDNA配列によりコードされ、問題となるプロテアーゼとして識別される特徴を持つプロテアーゼを指す。
【0129】
この定義の範囲内の「誘導体」(derivative)は誘導体が、野生型、天然、又は親の型と同様の目的に有用であるという限りにおいて、通常野生型、天然、又は親の型において観察される特徴的なタンパク質分解活性を持つ。セリンプロテアーゼの機能的な誘導体は、本発明のセリンプロテアーゼの一般的特徴を持つ天然、合成又は組み換えにより生成されたペプチド又はペプチド断片を含む。
【0130】
「機能的誘導体」(functional derivative)の用語は、セリンプロテアーゼをコードする核酸の機能的特徴を持つ核酸の誘導体を指す。核酸の機能的誘導体は、本発明のセリンプロテアーゼをコードするが、天然、合成又は組み換えにより生成される核酸又は断片を含み、本発明のセリンプロテアーゼの特徴をコードする。本発明のセリンプロテアーゼをコードする野生型核酸は、技術分野で知られている遺伝子コードの縮退の基づく天然の対立遺伝子及び同族体を含む。
【0131】
2つの核酸又はポリペプチド配列について言う「同一」(identical)の用語は、以下の配列の比較又は解析アルゴリズムの一つを用いて測定され、最大の対応を生むようアラインされた場合に同一である2つの配列中の残基を指す。
【0132】
「最適のアラインメント」(optimal alignment)は最大%の同一性の評点を与えるアラインメントを言う。2つのアミノ酸、ポリヌクレオチド及び/又は遺伝子配列(適当である場合)に関する「パーセント配列同一性」(Percent sequence identity)、(「パーセント アミノ酸配列同一性」(percent amino acid sequence identity)、「パーセント遺伝子配列同一性」(percent gene sequence identity)及び/又は「パーセント核酸/ポリヌクレオチド配列同一性」(percent nucleic acid/polynucleotide sequence identity)は、配列が最適にアラインされた場合に2つの配列中の同一の残基のパーセントを言う。したがって、80%のアミノ酸配列が同一であるという意味は2つの最適にアラインされたポリペプチド配列中のアミノ酸の80%が同一であることを意味する。
【0133】
2つの核酸又はポリペプチドについて言う「実質的に同一」(substantially identical)の用語は、標準パラメータを用いたプログラム又はアルゴリズム(例えば、BLAST, ALIGN, 及びCLUSTAL)を用いて、参照配列と比べて、少なくとも約70%同一、好ましくは少なくとも約75%同一、好ましくは少なくとも約80%同一、好ましくは少なくとも約85%同一、好ましくは少なくとも約90%同一、好ましくは少なくとも約95%同一、最も好ましくは少なくとも約97%同一、好ましくは少なくとも約98%及び約99%同一の配列を持つポリヌクレオチド又はポリペプチドを言う。2つのポリペプチドが実質的に同一である一つの印は第一のポリペプチドが第二のポリペプチドと免疫学的に交差反応することである。典型的に、保存アミノ酸置換によって異なるポリペプチドは免疫学的に交差反応する。したがって、例えば、2つのポリペプチドが保存置換のみが異なるポリペプチド場合は実質的に第二ポリペプチドと同一である。2つの核酸配列が実質的に同一である他の印は2つの分子がお互いに厳格な条件(例えば、中程度から高度に厳格な条件の範囲内)においてお互いにハイブリッドすることである
ここで言う「同等」(equivalent)の用語は配列番号1に示す配列を持つポリヌクレオチドに、中程度から最大に厳格な条件でハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドによりコードされるセリンプロテアーゼ酵素を言う。例えば、同等であることは、同等の成熟セリンプロテアーゼが、配列番号2のアミノ酸配列を持つ成熟スブチリシンプロテアーゼと、少なくとも約 70%, 少なくとも約 75%, 少なくとも約 80%, 少なくとも約 85%, 少なくとも約 90%, 少なくとも約 91 %, 少なくとも約 92%, 少なくとも約 93%, 少なくとも約 94%, 少なくとも約 95%, 少なくとも約 96%, 少なくとも約 97%, 少なくとも約 98%及び/又は少なくとも約 99%の配列を持つことを意味する。
【0134】
「分離された」(isolated)又は「精製された」(purified)はその元の環境(例えば、もし天然(自然)に発生する場合は自然環境)から除去された材料を言う。例えば、材料は、それが特別の組成物中で、天然に発生する又は野生型有機体に存在する、又は天然に発生する又は野生型有機体から発現して通常存在しない組成物と組み合わされたものよりもより高い又は低い濃度で存在する場合「精製されている」と言う。例えば、生きている動物中で天然に発生するポリヌクレオチド又はポリペプチドは分離されていないが、天然のシステム中の共存する材料の一部又は全部から分離されている同じポリヌクレオチド又はポリペプチドは分離されている。ある実施の態様においては、その様なポリヌクレオチドはベクターの一部であり、及び/又はその様なポリヌクレオチド又はポリペプチドは組成物の一部であり、及びさらにその様なベクター又は組成物はその自然環境の一部でないと言う点で分離されている。ある好ましい実施の態様において、例えば、もしそれが電気泳動ゲル又はブロットで本質的に一つのバンドを生成する場合は核酸又はタンパク質は精製されていると言われる。
【0135】
DNA配列について使用される場合、「分離された」(isolated)の用語は自然の遺伝子環境から除去されたDNA配列、したがって、他の異質の又は望まれないコード配列を含まず、そして遺伝子的に操作されたタンパク質の生成システム内の使用に適した形である。その様な分離された分子はその自然環境から分離されたものであり、cDNA 及び遺伝子クローンを含む。本発明の分離されたDNA分子は、それが通常関連する他の遺伝子を含まないが、プロモータ又はターミネータのような天然に発生する5' 及び3'非翻訳領域を含んでも良い。関連領域を同定することは当業者にとり明らかである(例えば、Dynan及びTijan, Nature 316:774-78, (1985)を参照)。「分離されたDNA配列」(isolated DNA sequence)の用語は、代替的にまた「クローンされたDNA配列」(cloned DNA sequence)とも呼ばれる。
【0136】
タンパク質との関係で用いられる「分離された」(isolated)の用語は自然環境以外の条件に見出されるタンパク質を指す。ある好ましい形では、分離されたタンパク質は本質的に他のタンパク質、特に他の相同タンパク質を含まない。分離されたタンパク質はSDS-PAGEにより決定される、約10%より高い純度、好ましくは約20%より高い純度、さらに好ましくは約30%より高い純度を持つ。本発明の他の特徴には高度に純粋な形のタンパク質(すなわち、SDS-PAGEにより決定される、約40%より高い純度、約60% より高い純度、約80%より高い純度、約90%より高い純度、約95%より高い純度、約97% より高い純度、さらに約99%より高い純度)を含む。
【0137】
本明細書で用いる「組み合わせ突然変異誘発」(combinatorial mutagenesis)は開始配列の変異体ライブラリーが生成される方法を指す。これらのライブラリーでは、変異体は一組の所定の突然変異から選択される一又は幾つかの突然変異を含む。さらにこれらの方法はランダム突然変異を導入する方法を提供するが、ランダム突然変異は所定の一組の突然変異のメンバーではなかった。ある実施の態様においては、この方法は2000年10月26日出願された米国特許第09/699,250号に規定するものを含む。本文献は参照により本明細書に組み入れられる。他の実施の態様においては、組み合わせ突然変異誘発法は商業的に入手可能なキット(例えば、QUIKCHANGE(登録商標)Multisite, Stratagene, La Jolla, CA)を含む。
【0138】
本明細書で用いる「突然変異体のライブラリー」(library of mutants)はそのゲノムの殆んどで同一であるが、一以上の遺伝子の異なる相同体を含む細胞集団を指す。その様なライブラリーは、例えば、改良された特質を持つ遺伝子又はオペロンを同定するために用いても良い。
【0139】
本明細書で用いる「開始遺伝子」(starting gene)は、本発明を用いて改良及び/又は改変される関心の対象のタンパク質をコードする関心の対象の遺伝子を指す。
【0140】
本明細書で用いる「多配列アラインメント」(multiple sequence alignment)及び「MSA」はアルゴリズム(例えば、Clustal W)を用いてアラインされる開始遺伝子の多重同族体配列を指す。
【0141】
本明細書で用いる「コンセンサス配列」(consensus sequence)及び「正準配列」(canonical sequence)の用語は特定のタンパク質又は関心の対象となる配列の全ての変異体が比較される原始型アミノ酸配列を指す。この用語はまた関心の対象となるDNA配列中に最もしばしば存在するヌクレオチドを記述する配列を指す。遺伝子の各位置に関しては、コンセンサス配列はMSA中のその位置に最も豊富なアミノ酸を作る。
【0142】
「コンセンサス突然変異」(consensus mutation)の用語は開始遺伝子の配列とコンセンサス配列の相違を指す。コンセンサス突然変異は開始遺伝子の配列とMSAから得られたコンセンサス配列を比較することにより同定される。ある実施の態様においては、コンセンサス突然変異は開始遺伝子に導入されるため開始遺伝子はコンセンサス配列により一層類似する。コンセンサス突然変異はまた、開始遺伝子中のアミノ酸を、開始遺伝子中のそのアミノ酸の頻度に比較してその位置のMSA中に、より頻繁に見出されるアミノ酸に変えるアミノ酸の変化を含む。したがって、コンセンサス突然変異の用語は、開始遺伝子のアミノ酸をMSA中のアミノ酸よりもより豊富なアミノ酸によって置換される全ての単一アミノ酸の変化を含む。
【0143】
本明細書で用いる「効果を高めた組み合わせコンセンサス突然変異誘発ライブラリー」(enhanced combinatorial consensus mutagenesis library)はCCM突然変異誘発及びスクリーニングの初期の段階のスクリーニング及び/又は配列決定の結果の基づき設計され及び構築されたCCMライブラリーを指す。ある実施の態様においては、効果を高めたCCMライブラリーはCCMの初期の段階で得られたヒットの配列に基づく。さらに他の実施の態様においては、効果を高めたCCMは、突然変異誘発及びスクリーニングの初期の段階の初期のヒットでしばしば観察される突然変異誘発である様に設計される。ある好ましい実施の態様においては、これは、初期のCCMライブラリーで使用される他のプライマと比べて、能力を低減する突然変異をコードするプライマを除去し、又は能力を増大させる突然変異をコードするプライマの濃度を増すことにより実現される。
【0144】
本明細書で用いる「能力を低減する突然変異」(performance-reducing mutation)はスクリーニングされていない組み合わせコンセンサス突然変異誘発ライブラリーに比べて、スクリーニングされたものから得られたヒットにおいて、より低い頻度で見られる組み合わせコンセンサス突然変異誘発ライブラリー中の突然変異を指す。ある好ましい実施の態様においては、スクリーニングプロセスは「能力を低減する突然変異」を含む大量の変異体を除去し及び/又は低減させる。
【0145】
本明細書で用いる「機能アッセイ」(functional assay)の用語はタンパク質活性の指標を提供するアッセイを言う。特に好ましい実施の態様においては、この用語はタンパク質がその通常の容量で機能する能力を分析するアッセイシステムを言う。例えば、酵素の場合、機能アッセイは反応で触媒作用をする酵素の有効性を決定することを含む。
【0146】
本明細書で用いる「標的特性」(target property)の用語は改変される開始遺伝子の特性を指す。本発明はある特定の標的特性に限定することを意図するものではない。しかし、ある好ましい実施の態様においては、標的特性は遺伝子製品の安定性(例えば、変性、タンパク質分解又は他の分解要素に対する抵抗力)であり、他の実施の態様においては、生成宿主中の生成レベルが変えられる。事実、開始遺伝子の任意の特性は本発明において使用することが考慮されている。
【0147】
本明細書で用いる用語「特性」(property)又はその文法上の同等物は、核酸について言う場合、選択され又は検出され得る核酸の任意の特徴又は属性を言う。これらの特性には、ポリペプチドへの結合に影響を与える特性、特定の核酸を含む細胞についての特性、遺伝子転写に影響する特性(例えば、プロモータ強度、プロモータ認識、プロモータ制御、エンハンサー機能)、RNAプロセスに影響を与える特性(例えば、RNAスプライシング、RNA安定性、RNA配座、及び転写後修飾)、翻訳に影響を与える特性(例えば、レベル、制御、mRNAのリボソームタンパク質への結合、翻訳後の修飾)を含むがこれに限定されるものではない。例えば、核酸の転写因子の結合部位、ポリメラーゼ、制御因子等は所望の特徴を生成し又は望まれない特徴を同定する様に改変しても良い。
【0148】
本明細書で用いるポリヌクレオチド(タンパク質を含む)について用いられる場合、用語「特性」(property)、又はその文法的な同等物は選択され又は検出され得るペプチドの任意の特徴又は属性を言う。これらの特性には、酸化安定性、基質特異性、触媒活性、熱安定性、アルカリ安定性、pH活性、タンパク質分解に対する抵抗力、KM, kcat, kcat/kM比、タンパク質折り畳み、免疫反応誘発、リガンド結合能力、受容体結合能力、分泌しうる能力、細胞表面上に表示される能力、オリゴマー化する能力、シグナルを発する能力、細胞増殖刺激能力、細胞増殖抑制能力、アポトーシス誘発能力、リン酸化又はグリコシル化により修飾される能力、疾病を治療する能力を含むがこれに限定されるものではない。
【0149】
「修飾された配列」(modified sequence)又は「修飾された遺伝子」(modified gene)は、天然発生核酸配列の欠失、挿入、又は中断を含む配列を指し、相互交換的に用いられる。ある好ましい実施の態様においては、修飾された配列の発現生成物は短縮タンパク質(例えば、修飾が配列の欠失、又は中断である場合)である。ある特に好ましい実施の態様においては、短縮されたタンパク質は生物学的活性を維持する。他の実施の態様においては、修飾された配列の発現生成物は細長いタンパク質である(例えば、修飾は核酸配列中に挿入を含む)。ある実施の態様においては、挿入により短縮タンパク質となる(例えば、挿入がストップコドンを形成する場合)。この様に、挿入は、短縮タンパク質又は発現生成物として細長いタンパク質となることもある。
【0150】
本明細書で用いる突然変異配列(mutant sequence)及び突然変異遺伝子(mutant gene)は相互交換的用いられ、宿主細胞の野生型配列中に少なくとも一つのコドンの改変を持つ配列を言う。突然変異配列の発現生成物は野生型と比べて改変されたアミノ酸を持つタンパク質である。発現生成物は改変された機能的能力(例えば、強化された酵素活性)を持つこともある。
【0151】
「変異プライマ」(mutagenic primer)又は「変異オリゴヌクレオチド」(mutagenic oligonucleotide) (本明細書において相互交換的に使用される)は鋳型配列の一部に対応し、かつそれとハイブリッドすることの出来るオリゴヌクレオチド組成物を指す。変異プライマについて言うと、そのプライマは鋳型核酸と厳密にマッチするものでなく、用いられるプライマ中の一のミスマッチ又は複数のミスマッチは核酸ライブラリーに所望の突然変異を導入するのに用いられる。本明細書で用いる「非変異プライマ」(non-mutagenic primer)又は非変異オリゴヌクレオチド(non-mutagenic oligonucleotide)は鋳型核酸と厳密にマッチするオリゴヌクレオチド組成物を指す。本発明のある実施の態様においては、変異プライマのみが使用される。本発明の他の好ましい実施の態様においては、プライマは、変異プライマが含まれている少なくとも一つの領域で、またオリゴヌクレオチド混合物に非変異プライマも含まれる様に設計される。変異プライマ及び少なくとも一つの変異プライマに対応する非変異プライマの混合物を加えることにより、種々の組み合わせ突然変異パターンが生ずる核酸ライブラリーを生成することができる。例えば、変異核酸ライブラリーのメンバーの幾つかがある位置で前駆体配列を維持し、他のメンバーはその様な部位で変異することを望む場合、非変異プライマはある残基の核酸ライブラリー内にある特定のレベルの非変異メンバーを得る能力提供する。本発明の方法は、その塩基の長さが通常10-50、より好ましくは約15-45の間の変異及び非変異オリゴヌクレオチドを用いる。しかし、所望の突然変異誘発の結果を得るためには10塩基より短い又は50塩基より長いプライマを使用することが必要なこともある。対応する変異プライマ及び非変異プライマについて言うと、対応するオリゴヌクレオチドは同一の長さである必要はないが、追加される変異に対応する領域で重複があることが必要である。
【0152】
プライマは本発明により既定の事前に規定された比率で添加される。例えば、結果のライブラリーが、添加されるプライマの量を調整することにより、かなりのレベルのある特定の変異体を持ち、同じ又は異なる部位でより少ない異なる量の変異体を所望する場合、所望の偏ったライブラリーを生成することが可能である。代替的に、より少量の又はより多量の非変異プライマを加えることにより、変異体核酸ライブラリー中に対応する変異の頻度を調整することができる。
【0153】
本明細書で用いる「隣接変異」(contiguous mutation)は同じオリゴヌクレオチドプライマ内に存在する変異を言う。例えば、隣接変異体はお互いに隣合わせており又は近接していることもあるが、それらは同じプライマによって結果の変異体鋳型に導入される。
【0154】
「野生型配列」(wild-type sequence)又は「野生型遺伝子」(wild-type gene)は、本明細書では相互交換的に用いられ、天然に存在し又は宿主細胞中で自然発生的に生じる配列を指す。ある実施の態様においては野生型配列はタンパク質組み換え計画の開始点である(すなわち、「親」配列)関心の対象である配列を言う。野生型配列は相同タンパク質又は非相同タンパク質をコードすることもある。相同タンパク質はインターベンションなしに宿主細胞が生成するタンパク質である。非相同タンパク質は、インターベンションがない場合には宿主細胞は生成しないタンパク質である。
【0155】
本明細書で用いる「プロテアーゼ変異体」(protease variant)「スブチリシン変異体」(subtilisin variant)、「スブチリシンプロテアーゼ変異体」(subtilisin protease variant)は、タンパク質操作の開始点として使用される野生型スブチリシン又は親プロテアーゼ(例えば、スブチリシ)と類似のプロテアーゼを言う場合に用いられる。これらの変異体はその機能において野生型又は他の親に類似するが、変異体が野生型又は親プロテアーゼ(例えば、スブチリシ)とそれによって異なるものとなる理由になる、アミノ酸配列中の突然変異を持つ。特に断らない限りアミノ酸の位置番号は配列番号2の成熟バチルス アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)スブチリシン配列に割り当てられた番号である。しかし本発明はこの特定のスブチリシンの変異に限定されるものではなく、バチルス アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)スブチリシンの特定の同定された残基と「同等」の位置のアミノ酸残基を含む前駆体プロテアーゼをも含む。
【0156】
本明細書で用いる「修飾」(modification)及び「突然変異(変異)」(mutation)はアミノ酸配列中の任意の変化又は改変を言う。この用語は関心の対象となるアミノ酸配列(例えば、スブチリシン配列)中のアミノ酸側鎖の置換、欠失、挿入、及び/又は置き換えを含むことを想定している。また、この用語は関心の対象であるアミノ酸配列(例えば、スブチリシン配列)の化学的修飾を含む。
【0157】
「酸化に安定的」(oxidation stable)の用語はタンパク質分解、加水分解、洗浄又は本発明の他のプロセスにおいて存在する条件下で、例えば、漂白剤又は酸化剤に曝され又は接触している条件で、ある一定の時間に亘りある特定量の酵素活性を維持する本発明のプロテアーゼを指す。ある実施の態様においては、プロテアーゼは、漂白剤又は酸化剤とある一定の時間、例えば、少なくとも約1分、約3分、約5分、約8分、約12分、約16分、約20分等の間接触した後にそのタンパク質分解活性を少なくとも約50%, 約60%, 約70%, 約75%, 約80%, 約85%, 約90%, 約92%, 約95%, 約96%, 約97%, 約98%,又は約99%を維持する。
【0158】
ある実施の態様においては、安定性は実施例に記載の方法で測定される。
【0159】
「キレート剤に安定的」(chelator stable)の用語はタンパク質分解、加水分解、洗浄又は本発明の他のプロセスにおいて存在する条件下で、例えば、キレート剤に曝され又は接触している条件で、ある一定の時間に亘りある特定量の酵素活性を維持する本発明のプロテアーゼを指す。ある実施の態様においては、プロテアーゼは、キレート剤とある一定の時間、例えば、少なくとも約10分、約20分、約40分、約60分、約100分等の間接触した後にそのタンパク質分解活性の少なくとも約50%, 約60%, 約70%, 約75%, 約80%, 約85%, 約90%, 約92%, 約95%, 約96%, 約97%, 約98%,又は約99%を維持する。
【0160】
ある実施の態様においては、キレート剤に対する安定性は実施例に記載の方法で測定される。
【0161】
「熱に安定的」(thermally stable)及び「熱安定的」(thermostable)は、タンパク質分解、加水分解、洗浄又は本発明の他のプロセスにおいて存在する条件(例えば、変更された温度に曝されて)下で、プロテアーゼがある一定の時間に亘りある特定の温度に曝された後にある特定量の酵素活性を維持する本発明のプロテアーゼを指す。変更された温度には、高い又は低い温度を含む。ある実施の態様においては、プロテアーゼは、変更された温度にある一定の時間、例えば、少なくとも約60分、約120分、約180分、約240分、約300分等の間曝した後にそのタンパク質分解活性の少なくとも約50%, 約60%, 約70%, 約75%, 約80%, 約85%, 約90%, 約92%, 約95%, 約96%, 約97%, 約98%,又は約99%を維持する。
【0162】
ある実施の態様においては、熱安定性は実施例に記載の方法で測定される。
【0163】
酸化、キレート剤、熱及び/又はpH安定的プロテアーゼについて用いる場合、「安定性の向上した」(enhanced stability)の用語は、他のセリンプロテアーゼ(例えば、スブチリシン プロテアーゼ)及び/又は野生型酵素に比べて、長時間に亘りより高いタンパク質分解活性が維持されることを言う。
【0164】
酸化、キレート剤、熱及び/又はpH安定的プロテアーゼについて用いる場合、「安定性の低下した」(diminished stability)の用語は他のセリンプロテアーゼ(例えば、スブチリシン プロテアーゼ)及び/又は野生型酵素に比べて、長時間に亘りタンパク質分解活性の維持の程度が低いことを言う。
【0165】
「洗浄活性」(cleaning activity)はタンパク質分解、加水分解、洗浄又は本発明の他のプロセスの間に存在する条件下でプロテアーゼにより達成される洗浄能力を指す。ある実施の態様においては、洗浄能力は、汚れを標準の洗濯条件に付した後に、種々のクロマトグラフィー、分光光度計又は他の数量測定法によって決定される、草、血液、ミルク、又は卵のタンパク質の様な酵素に反応する汚れに関する種々の洗浄アッセイにより決定される。代表的なアッセイには、実施例に記載の方法及びWO 99/34011及び米国特許第6,605,458号(両文献は参照により本明細書に組み入れられる)に記載のものを含むがこれに限定されるものではない。
【0166】
プロテアーゼの「洗浄に効果的な量」(cleaning effective amount)は上で述べたプロテアーゼの量を言い、特定の洗浄組成物において所望のレベルの酵素活性を達成する量である。その様な効果的な量は当業者により容易に確認され、また多くの要因、例えば、使用される特定のプロテアーゼ、洗浄方法、洗浄組成物中の特定の組成物、液体又は乾燥(例えば、粒状、棒状)組成物が必要か等に基づく。
【0167】
本明細書で用いる「洗浄添加材料」(cleaning adjunct material)は特定のタイプの所望の洗浄組成物及び製品の形(例えば、液体、粒状、粉末、棒状、ペースト、霧状、錠剤、ゲル、又は泡組成物)のために選択される任意の液体状、固体状又は気体状材料を指し、その材料はまた好ましくは組成物中で用いられるプロテアーゼ酵素と適合性のあるものが良い。ある実施の態様においては粒状組成物は「コンパクト」な形のものであり、他の実施の態様においては液体組成物は「濃縮された」形である。
【0168】
洗浄活性について言う場合「向上した能力」(enhanced performance)の用語は、標準の洗濯サイクル及び/又は複数の洗濯サイクルの後に通常の評価により決定される、ある酵素に反応する汚れ、例えば、卵、ミルク、草、血液の汚れに対する向上し又は増大した洗浄活性を言う。
【0169】
洗浄活性について言う場合「低減した能力」(diminished performance)の用語は標準の洗濯サイクルの後に通常の評価により決定される、ある酵素に反応する汚れ、例えば、卵、ミルク、草、血液の汚れに対する低減し又は低下した洗浄活性を言う。
【0170】
洗浄活性について言う場合「相対的効果」(comparative performance)は、比較スブチリシンプロテアーゼ(例えば、商業的に入手可能なプロテアーゼ)の少なくとも約60%, 少なくとも約70%, 少なくとも約80% 少なくとも約90% 少なくとも約95%の洗浄活性を指す。これらのスブチリシンプロテアーゼには以下を含むがこれに限定されるものではない:
OPTIMASE(登録商標)プロテアーゼ (Genencor), PURAFECT(登録商標)プロテアーゼ製品(Genencor), SAVINASE(登録商標)プロテアーゼ (Novozymes), BPN' −変異体(例えば、米国特許Re 34,606を参照), RELASE(登録商標), DURAZYME(登録商標)、EVERLASE(登録商標)、KANNASE(登録商標)プロテアーゼ (Novozymes), MAXACAL(登録商標), MAXAPEM(登録商標), PROPERASE(登録商標)プロテアーゼ (Genencor;また米国特許Re 34,606, 及び米国特許第5,700,676号; 第5,955,340号; 第6,312,936号;及び第6,482,628号を参照), 及びバチルス レンツス(Bacillus lentus)変異体プロテアーゼ製品 (例えば、WO 92/21760, WO 95/23221及び/又はWO 97/07770に記載のもの)。
【0171】
洗浄効果は本発明のプロテアーゼを、標準の洗濯サイクル条件を経た後に、通常の分光光度計又は他の分析測定法によって決定される、草、血液、又はミルクの様な酵素に反応する汚れに関する種々の洗浄アッセイによりこれらのスブチリシンプロテアーゼと比較することにより決定することができる。
【0172】
本明細書で用いる「洗浄組成物」(cleaning composition)、「洗浄製剤」(cleaning formulation)は、織物、食器、コンタクトレンズ、他の固体基質、ヘアー(シャンプー)、皮膚(石けん及びクリーム)、歯(口腔洗浄、練歯磨き)等の様な洗浄すべきものから望ましくない化合物を除去するために使用される組成物を言う。この用語は、それらの組成物が組成物に使用されるペルヒドロラーゼ及び他の酵素と共存する限り、特定のタイプの所望の洗浄組成物及び製品の形(例えば、液体、ゲル、粒状又は霧状組成物)とするために選択される任意の材料/化合物を含む。特定の洗浄組成物の材料を選択することは、洗浄される表面、対象物及び織物及び使用される間の洗浄条件に対応する所望の組成物の形状を考慮して容易に実施可能である。
【0173】
この用語はさらに、任意の品目及び/又は表面を洗浄し、漂白し、殺菌及び/又は滅菌するのに適した任意の組成物を言う。この用語は洗剤組成物、例えば、液体及び/又は固体洗濯洗剤及び生地の細かい織物用洗剤、硬い表面洗浄製剤、例えば、ガラス、木、セラミック及び金属性カウンター上部、及び窓、カーペットクリーナー、オーブンクリーナー、織物蘇生剤、及び繊維及び洗濯用事前汚染スポッター、及び食器用洗剤)を含むがこれに限定されるものではない。
【0174】
事実、本明細書で用いる「洗浄用組成物」(cleaning composition)は、特に断らない限り、顆粒状又は粉末状汎用又は「強力」(heavy-duty)洗濯剤、特に洗浄洗剤;液体、ゲル、又はペースト状汎用洗濯用剤、特にいわゆる強力液(HDL)タイプ;液状のきめ細かい織物用洗剤;手洗い用皿洗い用洗剤又は軽質皿洗い用洗剤、特に高泡立ちタイプの皿洗い用洗剤;家庭用及び業務用の種々の錠剤、顆粒、液体及びすすぎ補助タイプを含む機械洗い皿洗い用洗剤;抗菌性手洗いタイプ、洗浄用石鹸、うがい薬、入れ歯洗浄剤、車又はカーペット用シャンプー、フロ洗浄剤を含む液体洗浄剤及び殺菌剤;ヘアシャンプー、及びヘアリンス;シャワーゲル及び泡バス及び金属洗浄剤を含み、並びに漂白用添加剤及び「汚染物用棒」(stain stick)又は事前処理タイプの様な洗浄補助剤を含む。
【0175】
本明細書で用いる、「洗剤組成物」(detergent compopsition)及び「洗剤製剤」(detergent formulation)は、固体物の洗浄のための洗濯媒体で用いる混合物との関係で使用される。ある好ましい実施の態様においては、この用語は織物及び/又は衣料の洗濯に関して使用される(例えば、洗濯洗剤)。他の実施の態様においては、この用語は他の洗剤、例えば、食器、ナイフ/フォーク等(例えば、食器用洗剤)を洗浄するのに用いる洗剤に用いる。本発明は特定の洗剤製剤又は組成物に限定されるものではない。事実、ペルヒドロラーゼに加えて、この用語は界面活性剤、トランスフェラーゼ、加水分解酵素、酸化還元酵素、ビルダー、漂白剤、漂白活性剤、青味剤及び蛍光色素、凝固抑制剤、マスキング剤、酵素活性剤、抗酸化剤、及び可溶化剤を含む洗剤を用いる。
【0176】
本明細書で用いる「織物洗浄組成物」(fabric cleaning composition)は、洗浄用添加組成物及び汚れた織物(例えば、衣服、リンネル、及び他の織物材料)を浸し及び/又は事前処理するのに適した組成物を含む、手洗い及び/又は機械洗い洗浄組成物を含む。
【0177】
本明細書で用いる「非織物洗浄組成物」(non-fabric cleaning composition)は、皿洗浄用組成物、口内洗浄組成物、入れ歯洗浄組成物、パーソナル洗浄組成物を含む非織物(すなわち、非繊維)表面洗浄組成物を含む。
【0178】
本明細書で用いる洗浄組成物の「コンパクト」(compact)な形のものはその密度、及び組成については無機充填塩の量に最も反映される。無機充填塩は粉末形の洗剤組成物に従来用いられる成分である。従来の洗剤組成物では、充填塩は主要な分量、典型的には全組成物の重量の約17-35%存在する。対照的にコンパクトな組成物では、充填塩は全組成物の約15%を超えない量で存在する。ある実施の態様においては、充填塩は組成物の重量の約10%を超えない、より好ましくは約5%を超えない量で存在する。ある実施の態様においては無機充填塩は硫酸塩及び塩化物のアルカリ及びアルカリ土類金属塩から選択される。好ましい充填塩は硫酸ナトリウムである。
【0179】
本発明で用いる「界面活性剤」(surfactant)の用語は表面活性品質を持つことが技術分野で通常認められている化合物全てを含む。界面活性剤は通常アニオン、カチオン、非イオン及び両性イオン化合物を含み、これらは以下にさらに検討する。
【0180】
実験
本発明はさらに以下の実施例において詳細に説明する。これらの実施例は本願発明の範囲を限定するものと解してはならない。添付の図面は本明細書の不可分の一部であると理解されるべきである。以下の実施例は本願発明を説明するために記載されているもので、その発明の範囲を限定するものではない。
【0181】
以下の実験では以下の略称(略語)が用いられる:
PI又はPi(効果指数)、ppm(百万分の一);M (モルの); mM (ミリモルの); μM (ミクロモルの);nM(ナノモルの);mol(モル); mmol(ミリモル);μmol (ミクロモル);nmol(ナノモル); gm(グラム);mg(ミリグラム);μg(ミクログラム);pg(ピコグラム);L(リッター);ml 及びmL(ミリリットル);μl及びυL(ミクロリットル);cm(センチメータ);mm (ミリメータ); μm (ミクロメータ); nm (ナノメータ); U (単位); V (ボルト); MW (分子量); sec (秒); min(s) (分); hr(s) (時間); ℃(摂氏度);QS (十分な量); ND (実施せず); NA (適用なし); rpm(分当り回転数);HO(水);dHO(非イオン水);HCL(塩酸);aa及びAA(アミノ酸);bp(塩基ペア);kb(キロ塩基ペア);kD(キロダルトン); cDNA (DNAのコピー又は相補DNA); DNA (デオキシリボ核酸); ssDNA (単鎖DNA); dsDNA (二重鎖DNA); dNTP (三リン酸デオキシリボ核酸); RNA (リボ核酸); MgCl2 (塩化マグネシウム); NaCl (塩化ナトリウム); w/v (重量対容積); v/v (容積体容積);g(重力);OD(光学濃度);Dulbeccoリン酸緩衝生理食塩水(DPBS); SOC((2% Bacto-Tryptone, 0.5% Bacto Yeast Extract, 10 mM NaCl, 2.5 mM KCl); Terrific Broth (TB; 12 g/1 Bacto Tryptone, 24 g/1 グリセロール, 2.31 g/1 KH2PO4及び12.54 g/1 K2HPO4); OD280 (280 nmの光学濃度); OD600 (600 nmの光学濃度); A40S (405 nmの吸光度); Vmax(酵素触媒による初期最大速度);PAGE (ポリアクリルアミド ゲル電気泳動法); PBS (リン酸緩衝生理食塩水 [150 mM NaCl, 10 mM リン酸ナトリウム緩衝液, pH 7.2]); PBST (PBS+0.25% TWEEN(登録商標) 20); PEG(ポリエチレングリコール); PCR (ポリメラーゼ連鎖反応); RT-PCR (逆転写PCR); SDS (ドデシル硫酸ナトリウム); Tris (トリ(ヒドロメチル)アミノメタン); HEPES(N-[2-ヒドロキシエチル]ピペザジン-N-[2-エタンスルフォン酸]); HBS (HEPES 緩衝生理食塩水); Tris-HCl (トリ [ヒドロキシメチル] アミノメタンーヒドロクロライド); Tricine (N- [トリ-(ヒドロキシメチル)- メチル] -グリシン); CHES (2-(N-シクロ-ヘキシルアミノ)エタン-スルホン酸); TAPS (3-{ [トリ-(ヒドロキシメチル)-メチル]- アミノ}-プロパンスルホン酸); CAPS (3-(シクロ-ヘキシルアミノ)- プロパンスルホン酸; DMSO (ジメチル スルホキシド); DTT (1,4-ジチオ-DL-スレイトール); SA (シナピン酸(s,5-ジメトキシ-4-ヒドロキシ桂皮酸); TCA (トリクロロ酢酸); Glut及びGSH (還元グルタチオン); GSSG (酸化グルタチオン); TCEP (トリ[2-カルボキシエチル]ホスフィン); Ci (キュリー); mCi (ミリキュリー); μCi (ミクロキュリー); HPLC (高圧液体クロマトグラフィ‐); RP-HPLC (逆相高圧液体クロマトグラフィ‐); TLC (薄層クロマトグラフィ‐); MALDI-TOF (マトリックス支援レーザー脱離/イオン化―飛行時間)(time of flight); Ts (トシル基); Bn (ベンジル基); Ph (フェニル基); Ms (メシル基); Et(エチル基), Me (メチル基); Taq (サーマス・アクアチクスDNA ポリメラーゼ); Klenow (DNAポリメラーゼI 大(Klenow)断片); EGTA (エチレングリコール‐ビス(β-アミノエチル エーテル)、N, N, N', N'-テトラ酢酸); EDTA (エチレンジアミンテトラ酢酸); bla (β-ラクタマーゼ又は抗アミピシリン遺伝子);HDL (高密度液体);
MJ Research (MJ Research, Reno, NV); Baseclear (Baseclear BV, Inc., Leiden, the Netherlands); PerSeptive (PerSeptive Biosystems, Framingham, MA); Thermo Finnig an (ThermoFinnigan, San Jose, CA); Argo (Argo BioAnalytica, Morris Plains, NJ);Seitz EKS (SeitzSchenk Filtersystems GmbH, Bad Kreuznach, Germany); Pall (Pall Corp., East Hills, NY); Spectrum (Spectrum Laboratories, Dominguez Rancho, CA); Molecular Structure (Molecular Structure Corp., Woodlands, TX); Accelrys (Accelrys, Inc., San Diego, CA); Chemical Computing (Chemical Computing Corp., Montreal, Canada); New Brunswick (New Brunswick Scientific, Co., Edison, NJ); CFT (Center for Test Materials, Vlaardingen, the Netherlands); Test Fabrics (Test Fabrics, Inc., West Pittiston, PA), Procter & Gamble (Procter & Gamble, Inc., Cincinnati, OH); Epicentre (Epicentre Biotechnologies, Madison, WI); GE Healthcare (GE Healthcare, Chalfont St. Giles, United Kingdom); OXOID (Oxoid, Basingstoke, Hampshire, UK); Megazyme (MegazymeInternational Ireland Ltd., Bray Business Park, Bray, Co., Wicklow, Ireland); Finnzymes (Finnzymes Oy, Espoo, Finland); Kelco (CP Kelco, Wilmington, DE); Corning (Corning Life Sciences, Corning, NY); (NEN (NEN Life Science Products, Boston, MA); Pharma AS (Pharma AS, Oslo, Norway); Dynal (Dynal, Oslo, Norway); Bio-Synthesis (Bio-Synthesis, Lewisville, TX); ATCC (American Type Culture Collection, Rockville, MD); Gibco/BRL (Gibco/BRL, Grand Island , NY); Sigma (Sigma Chemical Co., St. Louis, MO); Pharmacia (Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ); NCBI (National Center for Biotechnology Information); Applied Biosystems (Applied Biosystems, Foster City, CA); BD Biosciences and/or Clontech (BD Biosciences CLONTECH Laboratories, Palo Alto, CA); Operon Technologies (Operon Technologies, Inc., Alameda, CA); MWG Biotech (MWG Biotech, High Point, NC); Oligos Etc (Oligos Etc. Inc, Wilsonville, OR); Bachem (Bachem Bioscience, Inc., King of Prussia, PA); Difco (Difco Laboratories, Detroit, MI); Mediatech (Mediatech, Herndon, VA; Santa Cruz (Santa Cruz Biotechnology, Inc., Santa Cruz, CA); Oxoid (Oxoid Inc., Ogdensburg, NY); Worthington (Worthington Biochemical Corp., Freehold, NJ); GIBCO BRL or Gibco BRL (Life Technologies, Inc., Gaithersburg, MD); Millipore (Millipore, Billerica, MA); Bio-Rad (Bio-Rad, Hercules, CA); Invitrogen (Invitrogen Corp., San Diego, CA); New England Biolabs and NEB (New England Biolabs, Ipswich, MA); Sigma (Sigma Chemical Co., St. Louis, MO); Pierce (Pierce Biotechnology, Rockford, IL); Takara (Takara Bio Inc. Otsu, Japan); Roche (Hoffmann-La Roche, Basel, Switzerland); EM Science (EM Science, Gibbstown, NJ); Qiagen (Qiagen, Inc., Valencia, CA); Biodesign (Biodesign Intl., Saco, Maine); Aptagen (Aptagen, Inc., Herndon, VA); Sorvall (Sorvall brand, from Kendro Laboratory Products, Asheville, NC); United States Testing (United States Testing Co., Hoboken, NJ);Molecular Devices (Molecular Devices, Corp., Sunnyvale, CA); R&D Systems (R&D Systems, Minneapolis, MN); Stratagene (Stratagene Cloning Systems, La Jolla, CA); Marsh (Marsh Biosciences, Rochester, NY); Geneart (Geneart GmbH, Regensburg, Germany); DNA2.0 (DNA2.0, Menlo Park, CA); Gene Oracle (Gene Oracle, Mountain View, CA); Zymo Research (Zymo Research, Orange, CA); Bio-Tek (Bio-Tek Instruments, Winooski, VT); Biacore (Biacore, Inc., Piscataway, NJ); PeproTech (PeproTech, Rocky Hill, NJ);SynPep (SynPep, Dublin, CA); New Objective (New Objective brand; Scientific Instrument Services, Inc., Ringoes, NJ); Waters (Waters, Inc., Milford, MA); Matrix Science (Matrix Science, Boston, MA); Dionex (Dionex, Corp., Sunnyvale, CA); Monsanto (Monsanto Co., St. Louis, MO); Wintershall (Wintershall AG, Kassel, Germany); BASF (BASF Co., Florham Park, NJ); Huntsman (Huntsman Petrochemical Corp., Salt Lake City, UT); Enichem (Enichem Iberica, Barcelona, Spain); Fluka Chemie AG (Fluka Chemie AG, Buchs, Switzerland); Gist-Brocades (Gist-Brocades, NV, Delft, the Netherlands); Dow Corning (Dow Corning Corp., Midland, MI); and Microsoft (Microsoft, Inc., Redmond, WA)。
【0182】
実施例1
アッセイ
以下の実施例において、理解を容易にするために種々のアッセイが実施された。規定のプロトコールからの逸脱については各実施例で示す。本発明ではスブチリシンの番号は以下に示す様に成熟BPN’配列の番号に対応する。
【数7】

【0183】
A. 96ウエルマイクロタイター プレートでのタンパク質含有量決定のTCAアッセイ
BPN’(例えば、参考プロテアーゼ)及びBPN’変異体について、このアッセイはマイクロタイタープレートにおいて、33℃で、230 rpmで振動させそして湿気のある空気を送風して3‐4日成長させてからろ過した培養上澄みを用いることで始めた。
【0184】
新鮮な96ウエル平底マイクロタイタープレート(MTP)がアッセイに使われた。まず、100 μLの 0.25 N HClが各ウエルに入れられた。そして50 μLのろ過培養されたブロスが加えられた。405 nmの光散乱/吸光(プレートリーダーで5秒混合モードを使用)が、「ブランク」(blank)指標を提供するために決定された。試験では、各ウエル100 μLの15% (w/v) トリクロロ酢酸 (TCA)がプレートに置かれ室温で5から30分培養された。405 nmの光散乱/吸光(プレートリーダーで5秒混合モードを使用)が決定された。
【0185】
使用機器はBiomek FX Robot (Beckman Coulter) 及びSpectraMAX (type 340; Molecular Devices) MTP Readerであり、MTPはCostar (type 9017)製であった。
【0186】
TCAを用いた試験測定からブランク(TCAなし)を差引き計算することにより、サンプル中の相対的タンパク質含有量の相対基準値を得た。もし望むならば、標準曲線を既知の換算係数を用いてクローンのAAPFアッセイによりTCA測定値を校正して算出することができる。しかしTCAの結果は50 から500 タンパク質(ppm)の間のタンパク質濃度については線状であり、したがって、良好な挙動をする変異体を選択するためには酵素の効果に対して直接プロットすることができる。サンプル中の濁り/光の散乱の増加は培養上澄み中の全沈殿可能なタンパク質の量に相関する。
【0187】
B. 96ウエルマイクロタイター プレートでのAAPFプロテアーゼアッセイ
本発明のプロテアーゼ及びその変異体のプロテアーゼ活性を決定するために N-スクシニル-L-アラニルl-L-アラニル-L-プロリル-L-フェニル-p-ニトロアニリド (suc-AAPF-pNA)(N-succinyl-L-alanyl-L-alanyl-L-prolyl-L- phenyl-p-nitroanilide (suc-AAPF-pNA) )が測定された。使用された試薬溶液は:0.005% TWEEN(登録商標)-80 (Tris希釈緩衝液)を含む100 mM Tris/HCl, pH 8.6,; 10 mM CaCl2及び0.005% TWEEN(登録商標)-80 (Tris/Ca 緩衝液)を含む100 mM Tris緩衝液 pH 8.6,; 及びDMSO (suc-AAPF-pNA 原液)中の160 mM suc-AAPF-pNA (Sigma: S-7388)であった。 suc-AAPF-pNA 標準溶液を準備するために、 1 ml suc-AAPF- pNA 原液が100 ml Tris/Ca 緩衝液に加えられ、少なくとも10秒間良く混合された。アッセイは10 μlの希釈プロテアーゼ溶液を各ウエルに加え、その後すぐに190 μl 1 mg/ml suc-AAPF-pNA標準溶液加えることにより行われた。溶液は5秒の間混合され、動的モード(5分間に20回測定)での吸光度の変化がMTP リーダー、25°Cにおいて410 nmで測定された。プロテアーゼ活性はAU (活性= ΔOD min-1 ml-1)で表わされた。
【0188】
C. 界面活性剤及びキレート剤安定性アッセイ
各LAS及びLAS/EDTAの存在下に試験用プロテアーゼの培養後にLAS及びLAS/EDTA安定性が、AAPFアッセイを用いて決定された残留活性の関数として測定された。
【0189】
LAS 安定方法
試薬
ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ナトリウム塩(=LAS): Sigma D-2525
TWEEN(登録商標)-80: Sigma P-8074
TRIS緩衝液(遊離酸): (Sigma T-1378); 6.35 gが約 960 ml の水で溶解された; 4N HCl によってpHが8.2に調整された。TRISの最終濃度は 52.5 mM.である。
【0190】
LAS 原液: 10.5 % LAS溶液をMQ水で準備する(=100 ml MQ当たり10.5 g)
TRIS緩衝液- 100 mM / pH 8.6 (100mM Tris/0.005% Tween(登録商標)-80)
TRIS-Ca 緩衝液, pH 8.6 (100mM Tris/lOmM CaC12/0.005% Tween(登録商標)-80)
使用機器:
平底MTPs (Costar No. 9017)
Biomek FX
ASYS Multipipettor
Spectramax MTP Reader
iEMS 培養器/シェーカー
Innova 4330培養器/シェーカー
Biohit マルチチャネル ピペット
BMG Thermostarシェーカー
0.063% LAS溶液がpH 8.2 の52.5 mM Tris 緩衝液で作られた。suc-AAPF-pNA希釈標準溶液が1 mlの100 mg/ml suc-AAPF-pNA原液(DMSO中)をpH 8.6の100 ml (100 mM) TRIS緩衝液に加えて作られた。上澄みを希釈するために平底プレートが希釈緩衝液で満たされ、一定量の上澄みが加えられ良く混合された。希釈率は成長用プレートのプロテアーゼコントロールの濃度に依った(AAPF活性)。望ましい濃度は80 ppmであった。10μlの希釈された上澄みが190 μl 0.063% LAS緩衝液/ウエルに加えられた。MTPがテープで覆われ数秒振動させ、そして培養器 (Innova 4230)に入れ45℃で60分間200 rpmで攪拌した。各ウエルの10 μl 混合物を190μl suc-AAPF-pNA標準溶液を含む新しいMTP に移して10分間培養後当初の活性(t=10分)を決定した。これらの溶液は良く混合され、そしてMTP Reader (25℃で5分間で20回測定)で測定された。
【0191】
最終活性(t=60分)が60分の培養後培養プレートから別の10 μl溶液を採り決定された。AAPF活性が上に記載の様に決定された。サンプルの安定性が残留及び最初のAAPF活性の量を算出して以下の様に決定された:
残留活性(%)=[t-60 の値]*100 / [t-10の値]
LAS/EDTA安定化法
代表的な陰イオン界面活性剤(LAS=線状アルキルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムーDOBS)及びジナトリウムEDTAの存在でのプロテアーゼ変異体の安定性が、規定の条件で培養後測定され、残留活性が、AAPFアッセイを用いて決定された。使用された試薬はドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(DOBS, Sigma No. D- 2525), TWEEN(登録商標)―80 (Sigma No. P-8074)、ジナトリウムEDTA (Siegfried Handel No. 164599-02), HEPES (Sigma No. H-7523)、無ストレス緩衝液50 mM HEPES (11.9 g/1),
0.005% Tween(登録商標)-80), pH8.0, ストレス緩衝液:50mM HEPES(11.9g/l),
0.1% (重量/体積) DOBS (1 g/1), 10 mM EDTA (3.36 g/1), pH 8.0、参考プロテアーゼ及びプロテアーゼ変異体培養上澄みであって、200 - 400 μg/mlのタンパク質を含む。使用機器は希釈プレートとしてV- 又はU-底MTP (各々Greiner 651101及び650161)を使用し、無ストレス及びLAS/EPTA緩衝液のためにF-底MTP(Corning 9017)を使用、及びsuc- AAPF-pNA プレート, Biomek FX (Beckman Coulter)、Spectramax Plus 384 MTP Reader (分子機器)、Thermo Electron Corporation のiEMS培養器/シェーカー (1 mm振幅), シールテープ: Nunc (236366)であった。
【0192】
iEMS培養器/シェーカー (Thermo/Labsystems)が29℃に設定された。培養上澄みが無ストレス緩衝液を含むプレートに希釈され、〜25ppmの濃度にされた(マスター希釈プレート)。マスター希釈プレートのサンプル20μlが180 μl 無ストレス緩衝液を含むプレートに加えられ、最終の培養の濃度を2.5 ppmとした。内容物は混合され室温で維持され、AAPFアッセイがこのプレート上で実施された。マスター希釈プレートからとったサンプル20μlがまた180 μl ストレス緩衝液(50 mM HEPES (11.9 g/1), 0.1 % (重量/体積) DOBS (1 g/1), 10 mM EDTA (3.36 g/1), pH 8.0)を含むプレートに添加された。この溶液は混合され、そして直ちに29℃でiEMSシェーカーで400ppmで30分間振動させた。30分の培養に続いて、AAPFアッセイがこのストレスプレートで実施された。サンプルの安定性は残留及び当初AAPF活性の量を計算して以下の様に決定された。残留活性(%)= [mOD.min-1 ストレス]*100 / [mOD. min-1X ストレス無し]
D. 洗浄効果アッセイ
プロテアーゼ変異体の汚れ除去効果は市販の洗剤で決定された。市販の洗剤調合の熱不活性化はいずれのタンパク質成分の酵素活性を破壊するが、非酵素成分の特性は保持する。このように、この方法は、市販洗剤を本発明の酵素変異体の試験で使用するのに適している。
【0193】
ミクロスウォッチ
円の直径が1/4インチのミクロスウォッチをCFTから得た。単一のミクロスウォッチ又は2つのミクロスウォッチが96ウエルMTPの各ウエルに垂直に置かれ、全表面領域が露出された(すなわち、ウエルの底に平らにではなく)。
【0194】
BMIミクロスウォッチアッセイ血液、ミルク及びインク(BMI)を含む円形の直径が0.25インチのミクロスウォッチをCFTから得た。スウォッチを切断する前に、織物(EMPA 116)を水で洗剤した。一つのミクロスウォッチが96ウエルマイクロタイター プレートの各ウエルに垂直に置かれ全表面領域が露出された(すなわち、ウエルの底に平らにではなく)。所望の洗剤溶液が本明細書に記載の様に準備された。サーモミキサー(Thermomixer)を25℃で平衡された後に、190 μlの洗剤溶液がミクロスウォッチを含むMTPの各ウエルに添加された。この混合物に10 μlの希釈酵素溶液が加えられ、最終酵素の濃度が1 μg/mlとされた (BCAアッセイにより決定)。MTPがテープで密封され、1400rpmで攪拌しながら培養器に30分置いた。適当な条件で培養した後、各ウエルから100 μlの溶液が新たしいMTPに移された。各ウエルに100 μlの溶液を含む新MTPをMTP SpectraMaxリーダーを用いて405nmで測定した。2つのミクロスウォッチ及び洗剤を含むが酵素を含まないコントロールに加えて、ブランク コントロールも含むものであった。
【0195】
「事前洗浄された」スウォッチ
このタイプのミクロスウォッチは非イオン水で室温において20分事前洗剤した。事前洗浄ステップの後に、スウォッチは紙タオルの上に置いて乾燥させた。空気乾燥されたスウォッチはエキスパルション プレス(expulsion press)上で1/4インチ円形金型を用いて打ち抜かれた。最終的に2つのミクロスウォッチが96ウエルMTPの各ウエルに垂直に置かれ全表面領域が露出された(すなわち、ウエルの底に平らにではなく)。
【0196】
洗剤
北米(NA)及び西ヨーロッパ(WE)の重質液体洗濯洗剤(HDL)について、事前に重量が計測された液体洗剤(ガラス瓶入り)を95℃の温浴水に2時間置いて熱不活性化が実施された。洗剤はその土地のスーパーマーケットで購入した。加熱しない及び加熱した洗剤の両方について洗剤を溶解後5分以内にアッセイし正確に非活性化されたパーセントを決定した。酵素活性はAAPFアッセイにより試験した。
【0197】
加熱非活性化された洗剤中の酵素活性の試験では、洗剤の標準溶液が加熱非活性化原液から作られた。硬度(6 gpg 又は12 gpg)の適当な量の水及び緩衝液が所望の条件にマッチするように洗剤溶液に加えられた。溶液は渦巻き状に攪拌され又はビンを逆さにして混合された。
【0198】
酵素及び機器
参考セリンプロテアーゼ変異体のサンプルをMTPプレートで成長させた培養物のろ過培養ブロスから得た。使用機器はBiomek FX Robot (Beckman Coulter), SpectraMAX MTP リーダー (タイプ 340; Molecular Devices), iEMS 培養器 /シェーカー(Thermo/Labsystems); 平底MTPs (培養後に反応プレートを測定するために使用されるCostarタイプ9017)及びV-底MTP (上澄みの事前希釈のために使用したGreiner 651101)であった。このアッセイでは、プロテアーゼが基質を加水分解し基質から色素及び不溶粒子を遊離させる。このように濁りの割合は酵素活性の測定基準となる。
【0199】
参考セリンプロテアーゼ及びその変異体のミクロスウォッチに対する汚れ除去効果が市販の熱不活性化洗剤中でのMTPはかりで決定された。使用された試薬は5 mM HEPES, pH 8.0 又は5 mM MOPS, pH 7緩衝液、3: 1 Ca: Mg の中程度の硬度の水;(CaCl2: MgC12<<6H2O); ガロン当たり15000グレイン(gpg) の原液を6 gpgに希釈、プレート当たり2 BMI (血液/ミルク/インク)スウォッチ:CFT処理された EMPA-116 BMI 綿スウォッチ、及びウエルごとに事前にリンスされ、孔を開けた2つのスウォッチ、及び熱不活性化されたTIDE(登録商標)2X Cold市販の洗剤であり、これらによりプロテアーゼ活性がないことが確認された。
【数8】

【0200】
培養器が所望の温度(16℃又は32℃)に設定された。〜10 ppm酵素の主希釈プレートから10 μL サンプルが上に示した190 μLの標準溶液のBMI 2-スウォッチププレートに加えられた。容量はアッセイプレート中の変異体の最終濃度が0.5 ppmとなる様に調整された。プレートは直ちにiEMS培養器に移されそして所定の温度で1400 rpmで振動させ30分培養した。培養に続いて100 μLの上澄みが新しい96-ウエルに移され、吸光度405nm 及び/又は600nmでMTP Readerにより測定された。1又は2のミクロスウォッチ及びプロテアーゼサンプルを加えない洗剤を含むコントロールウエルもまた試験に含まれていた。405nmの測定ではより高い数値を与え、色素の除去を示し、600nmでは濁り及び洗浄を示した。
【0201】
全てのミクロスウォッチアッセイ方法の汚れ除去活性の計算
得られた吸光度がブランク値(酵素を持たない基質)に照らし訂正され、加水分解活性の測定基準を提供した。各サンプル(変異体)について、効果指数が計算された。効果指数は変異体の効果(実際の値)及び標準酵素(理論値)を同じタンパク質濃度で比較する。さらに、理論値は標準酵素のラングミュア式のパラメータを用いて計算することができる。
【0202】
E. プロテアーゼ及びその変異体の相対的特異活性
プロテアーゼ変異体を区別するために、相対的特異活性がsuc-AAPF-pNA を基質として用いて計算された。これは変異体と野生型又は標準プロテアーゼの比較及びランク付けを可能にした。suc-AAPF-pNA 基質上の特異活性が、上に述べたアッセイを用いて、タンパク質分解活性を各サンプルの測定されたTCA値により除して決定された。これらの値を用いて相対的特異活性が計算された(変異体の特異活性/参考プロテアーゼの特異活性)。
【0203】
F. 効果指数
効果指数は変異体の効果(実際値)と参考プロテアーゼの標準(理論値)を同じ濃度で比較するものである。さらに、理論値は標準プロテアーゼのラングミュアの式のパラメータを用いて計算することができる。1より大きい効果指数(PI)(PI>1)は標準と比べ(例えば、野生型)、より良い変異体を同定し、1のPI(PI=1)は標準と同じ効果の変異体を同定し、1より小さいPI(PI<1)は標準より悪い効果を奏する変異体を同定する。このように、PIは勝者を識別し、またある環境では使用するのに、より望ましくない変異体を識別する。
【0204】
実施例2
標的ISD(挿入置換欠失)ライブラリー構築
PCRベースによる方法が、図1に示すBPN'-Y217L (成熟領域の63-77及び92-132の位置)の2つの領域の、イン‐フレーム挿入、欠失及び/又は置換を含む修飾されたバチルス アミロリクエファシエンス スブチリシンBPN'-Y217L (PURAFECT(登録商標)PRIME スブチリシンとして市販されている)ポリヌクレオチドのライブラリーを作るために用いられた(Pisarchik 他、Prot. Eng. Des. Select., 20:257-265 [2007])を参照)。392アミノ酸の完全長タンパク質のBPN'-Y217L遺伝子の標的領域を均等にカバーする2組のオリゴヌクレオチドが正方向及び逆方向の両方に向けて、BPN'-Y217L遺伝子の部分の5'及び3'セグメントを増幅するのに使用された。BPN'-Y217L 成熟プロテアーゼのコード領域はクローンの目的のためにKpnl及びXhol制限部位を含む。
【数9】

【0205】
BPN'-Y217L前駆体タンパク質のアミノ酸配列は以下の通りである。この配列では太字は成熟BPN'-Y217L プロテアーゼを示す。
【数10】

【0206】
成熟BPN'-Y217L プロテアーゼのアミノ酸配列が本明細書に記載の変異体ライブラリーを作るベースとして使用された。
【数11】

【0207】
各オリゴヌクレオチドはテンプレート、標的コドン(縮退がある又はない)及びEaml104I認識配列にアニールするために必要な約20−24のヌクレオチドを含んでいた。続く全てのプライマーは標的領域の端に到するまで3bp下流に移動させた。2つのPCR反応(5'及び 3'セグメント)は、対応する逆方向プライマーオリゴヌクレオチドと組み合わせされた各オリゴヌクレオチドに隣接する5’正方向又は3逆方向遺伝子配列を含んでいた。5’断片はpAC-FNAlOプラスミド(図2Aを参照)から、単一正方向プライマー(P3203, TGGATCAGTTTGCTGTTTGCT; 配列番号6)及び逆方向プライマーP4385-P4441 (表2-1を参照)を用いて増幅され、各プライマーはEaml 1041Iを含んでいた。3' 断片が単一逆方向プライマー(P3435, ATGTATCAAGATAAGAAAGAACAAG; 配列番号7)及び正方向プライマーP4328-P4384 (表2-1を参照)を用いて増幅され、各プライマーはEam 1104I制限部位を含んでいた。
【数12】








【0208】
各増幅反応は30pmolの各オリゴヌクレオチド及び100 ngのpAC- FNA10のテンプレートDNAを含むものであった。増幅はVent DNAポリメラーゼ (New England Biolabs)を用いて実施された。PCR混合物(20 ul) が最初に95℃ で2分半加熱され、続いて94℃で15秒間変性、55℃で15秒アニール、そして72℃で40秒伸長するサイクルを30サイクル実施した。増幅に続いてPCR反応で生成された左右の断片がゲル精製され、混合された(各断片約200 ng)。各混合物は3つの隣接するコドンを標的とする3つの左側の断片及び同じコドンを標的とする3つの右側の断片を含んでいた。これらの混合物はEam 1104Iにより消化され、T4 DNA リガーゼで連結され、そして隣接プライマー(P4299 CGTTGAAGAAGATCA CGTAGCA; 配列番号122及びP3246TTTATTTTATAAACTCATTCCCTGAT; 配列番号123)で増幅された。
【0209】
できた断片はMIuI 及びXholで消化され、バチルススブチリス発現プラスミドpHPLT- FNA (図2B)中のMluI/XholI部位にクローンされた。使用されたpHPLTベクター由来のBPN'-Y217L 発現カセットは以下に示すポリヌクレオチド配列を持つ。
【0210】
pHPLTベクター(Plat promoter-pre-pro-BPN'-Y217L -ターミネータ) (配列番号124)由来のBPN'-Y217L 発現カセットのポリヌクレオチド配列を以下に示す。
【数13】




【0211】
連結混合物は製造者指示(Epicentre)に従いローリングサークル増幅を用いて増幅された。1ulの連結混合物が5 ulのサンプル緩衝液と混合され、95℃ まで3分加熱されそして氷上で冷却された。続いて、5 ul 反応緩衝液及び0.2 ul酵素が各管に加えられ、続いて30℃で10時間培養された。ローリングサークル増幅による生成物は100倍に希釈されバチルス スブチリスを形質転換するために用いられた。キシロース誘導プロモータ(例えば、Hahn他, MoI Microbiol, 21 :763-775 [1996]を参照)のコントロール下でcomK遺伝子の誘導によりコンピテントにされたバチルス スブチリス細胞(遺伝子型ΔaprE, ΔnprE, ΔspoIIE, amyE::xylRPxylAcomK-phleo)が変異された領域を持つ
BPN'-Y217LプロテアーゼをコードするDNA配列を含む45ライブラリーにより形質転換された。細胞は1 ml のLuria Broth (LB)中で37℃で1時間成長させ、その後1.6% スキムミルク及び10 mg/1 ネオマイシンを含むLBプレートに平板培養のため移され、37℃で一夜培養された。各45ライブラリーから少なくとも2000クローンがハロー生成のためにスクリーニングされた。スキムミルク プレートに塗布されると0.05%から20%のクローンがハローを生成した。ハローを生成する限られた数のクローンが配列決定された。これらのクローンは挿入及び欠失の比率は種々であったが、フレームシフト変異を持つものはなかった。ハローを生成するクローンを実施例1に記載の、96ウエルプレートアッセイを用いてさらにAAPF活性のためにスクリーニングした。BPN'-Y217L 変異体タンパク質が上で述べた様に、96マイクロタイターウエルプレート中でバチルス スブチリス形質転換体を成長させて生成された。培養上澄みのタンパク質濃度が実施例1に記載のTCA 沈殿法により決定された。
【0212】
実施例3
標的化ISDにより生成されたBPN'-Y217L変異体の汚れ除去効果
汚れ除去活性(EMPA 116スウォッチ (BMI 汚れ, CFT)を用いて、pH 8、温度16°Cで洗濯での汚れ除去効果を決定するミクロスウォッチアッセイ及び上に述べた様に生成されたBPN'-Y217L変異体をTCA 沈殿法(関心の対象の特性についての試験)によりタンパク質が決定された)を決定するための実験の結果を表3−1に示す。結果は、実施例1に示す方法に、汚れ除去効果アッセイについて以下の変更を加えて実施して得た。
【0213】
使用された試験用洗剤は熱不活性化Tide 2X洗剤(Procter & Gamble)であった。
【0214】
市販の洗剤配合の熱不活性化は全てのタンパク質成分の内因性酵素活性を破壊するが非酵素成分の特性を維持するのに役立つ。洗剤の熱不活性化が事前に計量された量の液体洗剤(ガラスビン中)を95℃の温浴槽に2時間置くことにより実施された。洗剤はその地域のスーパーマーケットで購入した。加熱しない及び加熱した洗剤の両方の洗剤が溶解後5分以内にアッセイされ、正確に不活性化のパーセントが決定された。
【0215】
酵素活性がAAPFアッセイにより試験された。随所で説明したように、BPN'-Y217L変異体の機能が、変異体の親タンパク質BPN'-Y217Lに対する効果比率である、効果指数(「Pi」又は「PI」)として数値化された。BMI汚れ除去効果及び/又はTCA沈殿が0.5に等しい又はこれより大きいPI値を示すBPN'-Y217Lは改善された洗剤効果及び/又は発現を示した。
【0216】
突然変異は親アミノ酸に対する1文字コードとそれに続く3桁の位置番号と変異体アミノ酸についての1文字により呼称される。例えば、位置87のグリシン(G)のをセリン(S)への変異は「G087S」で表わされる。多重突然変異は突然変異の間に「/」を挿入することで示す。位置87と90の突然変異は「G087S/A090Y」と表す。
【0217】
欠失は、1文字コード「Z」を使う。親配列との関係での挿入は1文字コード「Z」を位置番号の左に入れる。欠失については、1文字コード「Z」は位置番号の右側にいれる。挿入について、位置番号は挿入されたアミノ酸の前の番号に各アミノ酸について0.01を追加する。例えば、位置87及び88の間に、アラニン(A),セリン(S)及びチロシン(Y)の3つのアミノ酸を挿入した場合は、「Z087.01 A/Z087.02S/Z087.03Y」で示す。上の全ての突然変異の組み合わせに加えて位置100における欠失は「G087S/ Z087.01A/Z087.02S/Z087.03Y/ A090Y/A100Z」で表わす。
【数14】














































【0218】
表3−2は組み合わせを作っている挿入を示すリストである。
【数15】

【0219】
実施例4
BPN' 3の組み合わせ変異体の構築
BPN'G97A-G128A-Y217Q (「BPN'3」)を親として用いて、組み合わせ変異体が、4つの遺伝子断片を用いて伸長(融合)PCRを使用するストラテジーにより作られた。断片1がP4974及びP4977 (表4-1を参照)プライマーにより増幅された。断片4がP4978及びP4976により増幅された(表4-1を参照)。断片1及び4の両方とも突然変異は含んでいなかった。各断片2及び3は、BPN'3をテンプレートとして、又はテンプレートが存在しない場合は一部重複する正方向及び逆方向プライマーを用いて、所望の突然変異を含む12及び16配列のセットとしてそれぞれ作られた。
【0220】
断片2の配列のセットは以下のプライマーにより増幅された。
【0221】
01 : P4979 及び P4980 (BPN'3をテンプレートとして)
02: P4981 及び P4982 (テンプレートなし)
03: P4983 及び P4984 (テンプレートなし)
04: P4985 及び P4986 (テンプレートなし)
05: P4987 及び P4988 (テンプレートなし)
06: P4989 及び P4990 (テンプレートなし)
07: P4991 及び P4992 (テンプレートなし)
08: P4993 及び P4994 (テンプレートなし)
09: P4995 及び P4996 (テンプレートなし)
10: P4997 及び P4998 (テンプレートなし)
11 : P4999 及び P5000 (テンプレートなし)
12: P5001 及び P5002 (テンプレートなし)
断片3の」配列のセットは以下のプライマーにより増幅された。
【0222】
01 : P5003 及び P5004 (BPN'3 をテンプレートとして)
02: P5005 及び P5006 (テンプレートなし)
03: P5007 及び P5008 (テンプレートなし)
04: P5009 及び P5010 (テンプレートなし)
05: P5011 及び P5012 (テンプレートなし)
06: P5013 及び P5014 (テンプレートなし)
07: P5015 及び P5016 (テンプレートなし)
08: P5017 及び P5018 (テンプレートなし)
09: P5019 及び P5020 (テンプレートなし)
10: P5021 及び P5022 (テンプレートなし)
11:P5023 及び P5024 (テンプレートなし)
12: P5025 及び P5026 (テンプレートなし)
13: P5027 及び P5028 (テンプレートなし)
14: P5029 及び P5030 (テンプレートなし)
15: P5031 及び P5032 (テンプレートなし)
16: P5033 及び P5034 (テンプレートなし)
組み合わせ変異体の構築に使用されたプライマーを表4−1に示す。
【数16】








【0223】
各増幅反応は30 pmol の各オリゴヌクレオチド及び100 ngのテンプレートDNAを含むものであった。増幅はVent DNAポリメラーゼ(New England Biolabs)を用いて実施された。PCR混合物(20 ul) が最初に95℃で2分半加熱され、続いて94℃で15秒間変性し、55℃で15秒アニールし、そして72℃で40秒伸長させるサイクルを30サイクル実施した。
【0224】
増幅に続いて全ての断片がGel Band Purificationキット(Qiagen)により精製され、P4975及び P4948プライマーを用いて融合PCRのテンプレートとして使用するため混合された。融合PCR反応で生成された、完全長の断片がGel Band Purificationキット(Qiagen)により精製され、BamHI及びHindIII制限酵素によって消化され、バチルス発現プラスミドpHPLT-BPN partial opt (図2C)中で連結され、そして同じ制限酵素により切断された。
【0225】
連結混合物は製造者指示(Epicentre)に従いローリングサークル増幅を用いて増幅された。1ulの連結混合物が5 ulのサンプル緩衝液と混合され、95℃まで3分加熱されそして氷上で冷却された。続いて、5 ul反応緩衝液及び0.2ul酵素が各管に加えられ、続いて30℃で10時間培養された。実施例2に記載の様にローリングサークル増幅による生成物は100倍に希釈され、そして1 ulのこの希釈液がバチルス スブチリス細胞(遺伝子型ΔaprE, ΔnprE, ΔspoIIE, amyE::xylRPxylAcomK-phleo)を形質転換するのに用いられた。
【0226】
形質転換体は、1.6% スキムミルク及び10 ppm ネオマイシンを含むLBプレートで平板培養のため移され、37℃で一夜培養された。
【0227】
ハローを持つコロニーのみが取り出され、実施例2に記載の様にさらに分析するためにマイクロタイターで成長させた。培養上澄みのタンパク質濃度が実施例1に記載の様にTCA沈殿法で決定された。
【数17】










【0228】
実施例5
BPN' 3の組み合わせ変異体の汚れ除去効果
実施例4に記載の様に生成されたBPN' 3の組み合わせ変異体の汚れ除去活性が実施例3に記載の方法で試験された。
【0229】
各所で説明したように、BPN'変異体の機能が、変異体の親タンパク質BPN' 3に対する比率である効果指数(「Pi」)として数値化された。BMI汚れ除去効果及び/又はTCA沈殿が0.5に等しいか又はこれより大きいPi値を示すBPN' 3変異体は改善された洗剤効果及び/又は発現を示した。
【0230】
表では0.05以下の効果指数が0.05に固定され、太字斜字体で表わす。結果を表5−1に示す。
【数18】




【0231】
実施例6
位置128,129及び130のBPN' 3の組み合わせ変異体の構築
BPN'G97A-G128A-Y217Q (BPN' 3)の位置128/129/130の回りに焦点をあてた組み合わせライブラリーが部位飽和特異突然変異及び/又は部位特異挿入及び/又は欠失を用いて作られた。生成された変異体は置換、挿入及び欠失変異を含んでいる。ライブラリーLl, L2 及びL3はWT位置S130S 及びL4 はS130Aに基づくものである。位置128/129及び130の回りに焦点を当てた4つの飽和ライブラリーが表6−1に示す様に構築された。
【数19】

【0232】
ライブラリー構築の前に、プロテアーゼを不活性化するためにBPN' 3配列の位置128及び129に2つのストップコドンが導入された。これはライブラリー中の親プラスミドの低バックグラウンドを確実なものにするためである。親プラスミド(pHPLT-BPN'3)は、NEBプロトコールに従い2ミクログラムのプラスミドDNA及びメチラーゼ(New England Biolabs)を用いてメチル化された。その後メチル化されたDNAがZymo ResearchのDNA洗浄及び濃縮キットにより精製された。突然変異誘発は、その後StratageneのQuikChange 多部位特異的突然変異誘発法(QCMS)キットの改良版を用いて既知の方法(Amin他, Biotechniques 35: 1134-1140, [2003]を参照)により実施された。
【0233】
突然変異誘発反応は60 ngテンプレートプラスミド、0.5 ul正方向プライマー128/129 ストップF (25 uM), 0.5 ul 逆方向プライマー128/129ストップR (25 uM), 1 ul dNTP (QCMS kit), 2.5 ul 10x QCMS反応緩衝液、18.5 ul脱イオン化水、及び1 ul酵素ブレンド(QCMS kit)を含み、全容量は25ulであった。突然変異誘発反応では、使用されたサーモサイクラー プログラムは95℃で1分の1サイクル、続いて95℃で1分、55℃を1分及び68℃を11分を全25サイクル(MJ Research thermocycler)行った。テンプレートDNAはDpnl (QCMS kit, Qiagen)で消化され、1.5uLの反応液が、Templiphiキット(Amersham)を製造者指示に従い使用することでローリングサイクル増幅(RCA)により増幅された。
【数20】

【0234】
1マイクロリットルの増幅されたDNAが100μLのコンピテントバチルススブチリス細胞(遺伝子型: ΔaprE, ΔnprE, ΔspoIIE, amyE::xylRPxylAcomK-phleo)を形質転換するために使用された。20uL又は80 uLの形質転換体混合物が10μg/mlのネオマイシン+ 1.6% スキムミルク (Teknova) を加えたLuria寒天プレートに平板培養された。成長させた後にプラスミドの正確な配列を同定するためにスキムミルク プレート上でハローを形成しない4コロニーが採取された。位置128/129で「pHPLT-BPN' 128/129 ストップ」と呼ばれる、2つのストップコドンを持つ正当な変異体が、表6−1に記載の組み合わせライブラリーの構築のための親プラスミドとして選択された。
【0235】
pHPLT-BPN' 128/129 ストップ プラスミドがメチル化され、表6−3に示す縮重プライマーペアーを持つテンプレートとして使用された。
【数21】

【0236】
中央のNNSコドンと重複する正方向及び逆方向プライマー(PAGEによる精製)及び17−20隣接塩基が各選択されたライブラリーについてデザインされた。各正方向(F)及び逆方向(R)プライマーの配列は表6−3に示す。4つの反応に対するQuik-change突然変異誘発及びローリングサークル増幅は上に述べた様に実施した。形質転換体が10 μg/mlのネオマイシン+ 1.6% スキムミルクを加えたLuria寒天プレートで平板培養された。全てのハロー形成コロニーが採取され、10 μg/mlのネオマイシンを加えた125ul LB媒体を含む2つのマイクロタイタープレートに入れられた。クローンがQuintara Biosciencesにより配列決定された。タンパク質発現のために、培養物をMOP緩衝液をベースとする180ulの準規定強化媒体を含むミクロフィルタ プレート(.22um, Millipore) で一夜成長させた。尿素を主要な窒素元とし、グルコースを主要炭素元とし、強力な細胞の成長のために1%ソイトーン(soytone)及び2.5ug/mlのネオマイシンを加えた。培養物は37℃で64時間、250rpm、70%の湿度で成長させた。培養上澄みのタンパク質濃度は実施例1で記載したTCA沈殿により決定された。
【0237】
実施例7
位置128, 129, 及び 130のBPN' 3組み合わせ変異体の汚れ除去効果
実施例6に記載の様に、位置128, 129, 及び 130のBPN' 3組み合わせ変異体の汚れ除去活性が実施例3に記載の様に試験された。各所で説明したように、BPN'変異体の機能が、変異体の、親タンパク質BPN'3に対する効果比率である、効果指数(「Pi」)として数値化された。BMI汚れ除去効果及び/又はTCA沈殿が0.5以上のPi値を示すBPN'3変異体は改善された洗剤効果及び/又は発現を示した。結果は表7−1に示す。
【数22】






【0238】
実施例8
BPN'の組み合わせ変異体の構築
BPN'の組み合わせ変異体は、次のBPN'突然変異体--BPN' G97A/G128A/Y217Q, BPN' M124V/L126A/Y217Q, BPN' G128A/Y217Q及びBPN' N123G/Y217Qを親分子として使用する伸長(融合)PCRにより、位置96, 98, 129及び/又は222に挿入又は置換を作ることで作られた。各作られた組み合わせ突然変異体について、用いられた親DNA分子、導入された突然変異及びPCRプライマーは表8−1に示す。
【0239】
各突然変異体を作るために、2つの断片1及び2が、表8−1に記載の各親分子を用いて、遺伝子の5'及び3'領域でPCRプライマー(表8−2)により生成された。これらの断片は混合され、そして隣接プライマーP4973及びP4950 (表8-2)により増幅され、完全長遺伝子に回復された。
【0240】
各増幅反応は30 pmol の各PCRプライマー及び100 ngのテンプレートDNAを含むものであった。増幅はVent DNAポリメラーゼ(New England Biolabs)を用いて実施された。PCR混合物(20 ul) が最初に95℃ で2分半加熱され、続いて94℃で15秒間変性させ、55℃で15秒アニールし、そして72℃で40秒伸長するサイクルを30サイクル実施した。
【0241】
増幅に続いて5'及び3'断片がQiagen Gel Band Purificationキットによりゲル精製され、混合され、そしてP4973及びP4950隣接プライマーを用いて増幅された。生成された完全長の断片がQiagen Gel Band Purificationキットによりゲル精製され、そしてBamHI及びHindIII制限酵素によって消化され、各親分子を含むpHPLT-BPN’ベクターにより連結され、そして同じ制限酵素により切断された。
【0242】
連結混合物は製造者指示(Epicentre)に従いローリングサークル増幅を用いて増幅された。1ulの連結混合物が5 ulのサンプル緩衝液と混合され、95℃まで3分加熱され、そして氷上で冷却された。続いて、5 ul 反応緩衝液及び0.2 ul酵素が各管に加えられ、続いて30℃で10時間培養された。実施例2に記載の様にローリングサークル増幅による生成物は100倍に希釈され、そしてバチルス スブチリス細胞(遺伝子型ΔaprE, ΔnprE, ΔspoIIE, amyE::xylRPxyl AcomK-phleo)を形質転換するのに用いられた。
【0243】
形質転換体は、1.6% スキムミルク及び10ppm ネオマイシンを含むLBプレートで平板培養のため移され、37℃で一夜培養された。
【0244】
ハローを持つコロニーのみが取り出され、実施例2に記載の様にさらに分析するためにマイクロタイターで成長させた。培養上澄みのタンパク質濃度が実施例1に記載の様にTCA沈殿で決定された。
【数23】




【0245】
実施例9
BPN'3組み合わせ変異体の汚れ除去効果
実施例8に記載の様に生成されたBPN'3組み合わせ変異体の汚れ除去活性が実施例3に記載の様に試験された。各所で説明したように、BPN'変異体の機能が、変異体の、タンパク質BPN'3(BPN' G97A-G128A-Y217Q)に対する比率である効果指数(「Pi」)として数値化された。BMI汚れ除去効果及び/又はTCA沈殿が0.5以上のPi値を示す変異体は改善された洗剤効果及び/又は発現を示した。表では0.05以下の効果指数は0.05に固定され、太字斜字体で示す。
【0246】
結果は表9−1に示す。
【数24】




【0247】
本明細書に記載の全ての特許、刊行物はこの発明が関係する技術分野の当業者の水準を示すものである。
【0248】
その技術分野の当業者であれば、本発明に固有のものに限らず、本発明を、本明細書に記載の目的を実施するために容易に改変されうることを、直ちに理解し、本明細書に記載の目的と利益を達成するであろう。本明細書に記載の組成物、方法は好ましい実施の形態の代表例であり、本発明の範囲を限定するものと解してはならない。本発明の範囲及び精神から離れることなく種々の置換、修飾を加えることは当業者にとって容易なことである。
【0249】
本明細書に記載された発明は、特にそこで記載されていない要素、限定が含まれていない場合においても適切に実施しうると考える。用いられた用語、及び表現は説明のために用いられるもので、限定的な意味に解してはならない。そのようは用語及び表現は、その特徴を持つ同等物及びその部分を除外するものではない、しかし、本発明の特許請求の範囲内において種々の修飾が可能であることを認識すべきである。このように、本発明は、好ましい実施の形態及び任意選択された特徴によって特に開示されたものであるが、本明細書に開示された概念の修飾及び変形は当業者により実施が可能であり、したがって、そのような修飾及び変形は特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内であると解される。
【0250】
本発明は、広く又一般的な表現により記載されている。一般的な開示に含まれるより狭い範囲の種類、亜属のグループの夫々もまた本発明の部分を構成する。したがって、これは、排除された材料が特に本明細書に記載されているか否かを問わず、その属からあるものを除外するという条件又は否定的限定を持つ本発明の一般的な記載についても同様に適用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの修飾を含むスブチリシン変異体であって、前記修飾は
【化1】

から選択され、及び/又は
【化2】








から選択される少なくとも1セットの修飾であって、前記位置は配列番号2のBPN’スブチリシンの位置に対応する、前記スブチリシン変異体。
【請求項2】
少なくとも1つの修飾を含むスブチリシン変異体であって、前記修飾は
【化3】

から選択され、前記位置は配列番号2のBPN’スブチリシンの位置に対応する、前記スブチリシン変異体。
【請求項3】
少なくとも2つの修飾を含むスブチリシン変異体であって、前記修飾は
【化4】



から選択され、前記位置は配列番号2のBPN’スブチリシンの位置に対応する、前記スブチリシン変異体。
【請求項4】
少なくとも2つの修飾を含むスブチリシン変異体であって、前記修飾は
【化5】

から選択され、前記位置は配列番号2のBPN’スブチリシンの位置に対応する、前記スブチリシン変異体。
【請求項5】
置換Y217L及びさらに請求項1乃至4の何れか1項に記載の少なくとも1つの修飾セットを含むスブチリシン変異体であって、前記位置が配列番号2のBPN’スブチリシンの位置に対応する、前記スブチリシン変異体。
【請求項6】
置換G97A/G128A/Y217Q及びさらに請求項1乃至4の何れか1項に記載の少なくとも一つの修飾セットを含むスブチリシン変異体であって、前記位置が配列番号2のBPN’スブチリシンの位置に対応する、前記スブチリシン変異体。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の少なくとも一つのスブチリシン変異体を含む洗浄組成物。
【請求項8】
前記洗浄組成物が洗濯用洗剤である、請求項7の洗浄組成物。
【請求項9】
前記洗濯用洗剤が重質液体洗濯洗剤である、請求項8の洗濯用洗剤。
【請求項10】
前記洗浄組成物が食器洗い用洗剤である、請求項7の洗浄組成物。
【請求項11】
洗浄組成物が以下の群、すなわち、
ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、フォスフォリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノール オキシダーゼ、リポオキシダーゼ、リグリナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β‐グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及びアミラーゼ又はこれらの混合物から選択される一以上の追加の酵素又は酵素誘導物をさらに含む、請求項7乃至10の何れか1項に記載の洗浄組成物。
【請求項12】
さらに少なくとも一つの安定化剤を含む、請求項7乃至11の何れか1項に記載の洗浄組成物。
【請求項13】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の少なくとも一つのスブチリシン変異体を少なくとも0.0001重量%で含み、及び任意選択的に少なくとも一つの好適な付加成分を含む、前記洗浄組成物。
【請求項14】
洗浄方法であって、前記方法は
a) 物の表面及び/又は織物を含む商品を請求項7乃至13の何れか1項に記載の洗浄組成物に接触させる工程、及び
b)任意選択的に前記表面及び商品を洗浄し及び/又はすすぐ工程、
を含む、洗浄方法。
【請求項15】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の少なくとも一つのスブチリシン変異体を含む、動物用飼料。
【請求項16】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の少なくとも一つのスブチリシン変異体を含む食品加工用組成物。

【図1】
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【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【公表番号】特表2011−524166(P2011−524166A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512604(P2011−512604)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/046067
【国際公開番号】WO2009/149145
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(509240479)ダニスコ・ユーエス・インク (81)
【Fターム(参考)】