説明

変調および符号化方式の組合せを選択する方法、装置及び通信システム

【課題】通信システムのために適切な変調およびMCSの組合せを選択する方法、装置及び通信システムを開示する。
【解決手段】通信システムにおけるチャネル品質パラメーターを統計してその確率分布を取得する工程と、満足する必要のある予定された要求に応じて、確率分布からサポートする必要のあるチャネル品質パラメーターの適用範囲を確定する工程と、予定された方式によって適用範囲内におけるM個の目標チャネル品質パラメーター値を確定する工程と、満足する必要のある予定された要求に応じて、すべての可能な変調方式と符号化方式の組合せから、M個の目標チャネル品質パラメーター値の要求をそれぞれ達成するM種類の変調および符号化方式の組合せを選択して使用することができる変調および符号化方式の組合せの集合として選択する工程とを含む方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信に関し、特に通信分野における変調および符号化方式(MCS,Modulation and Coding Scheme)の組合せの設計と選択の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
任意の通信システムでは伝送媒体の影響を多かれ少なかれ受け、伝送の信頼性が低下することがある。伝送の信頼性を向上させるために、常に送受信両端に変調・復調、チャネルコーデック技術を設計する必要があり、この点は無線伝送システムにおいて特に顕著である。一種類の変調および符号化方式の組合せは一種類のスペクトルの効率に対応するが、複数種のMCSの組合せが同一のスペクトル効率に対応することも可能である。例えば、直交位相偏移変調(QPSK)と変調及び符号化率1/2の畳み込みコード或いはターボコードの組合せは、1ビット/シンボル(bit/symbol)の伝送効率を実現することができる。変調の階数(例えば、QPSK、多値位相偏移変調(M-PSK)、16値直交振幅変調(16QAM)、多値直交振幅変調(M-QAM)など)及び/又は符号化率(1/2、2/3、3/4等)を変化することにより、複数種のMCSの組合せを実現することができる。異なるMCSの組合せは異なる伝送環境に応用することができ、例えば、伝送の品質を確保するように、伝送条件の良いチャネルは高スペクトル効率のMCSの組合せを用いて更に多くの情報を伝送することができ、伝送条件の悪いチャネルに低スペクトル効率のMCSの組合せを用いて少ない情報を伝送することができる。通常、通信システムでは、伝送条件の良し悪しは信号干渉雑音比(SINR、Signal to Interference plus Noise Ratio)で評価することができる。もちろん、その他の指標あるいはパラメーター、例えば信号雑音比SNRなどの信号強度の強さを表示するパラメーターにより、チャネル品質の良し悪しを表示することができる。所定のチャネル品質の場合に、一定の伝送要求を満たすため、例えば、伝送エラー率、例えばブロックエラーレート(BLER)がある予定された閾値(例えば10%)を越えないように、通常、できるだけ高いスペクトル効率を持つMCSの組合せを選択することができる。ここで、伝送エラー率はBLERに限定されず、ある変調および符号化方式の組合せの性能を表すパラメーター、例えば、ビットエラーレート(BER)、フレームエラーレート(FER)などでもよい。通常の場合には、各MCSの組合せは異なるチャネル品質パラメーター(例えばSINR)において異なる伝送エラー率(例えばBLER)を有し、そのため、各種のMCSの組合せの伝送エラー率とチャネル品質パラメーターとの曲線図(例えばBLERとSINRの曲線図)を取得することができる。
【0003】
異なる受信チャネル品質(例えば、受信SINR)に応じて異なるMCSの組合せを選択し、これによってなるべく通信システムのスループットを大きく保証するという技術が自己適応のMCS選択技術と称されている。受信SINRの変化範囲は多くの要素、例えば系統の配置、伝送媒体の分布、システムサービスのユーザー状態の変化などで決められるかもしれない。セルラーモバイル無線通信システムを例として、ベースステーションから比較的近いユーザーは無線信号の伝送減衰量が少なく、受信SINRが大きくなり、ベースステーションから比較的遠いユーザーは信号の伝送減衰量が大きく、受信SINRが小さくなる。なお、多重因子が1であるマルチベースステーションのセルラーシステムは、セルのマージンに位置するユーザーが非サービスのベースステーションの干渉を受けて、SINRがセルの中心に位置するユーザーより少し低い。統計学的に言えば、ユーザーが受信するSINRの大きさは確率分布、例えば累積密度関数(CDF、Cumulate Density Function)あるいは確率密度関数(PDF、Probability Density Function)で表示することができる。これらのSINR分布曲線から通信システムにおけるユーザーのSINR変化範囲をほぼ把握することができる。
【0004】
できるだけ十分にシステムキャパシティを利用するために、自己適応のMCS選択の技術はできるだけ正確に当面の伝送チャネルの条件を反映しなければならず、即ち、例えば当面の受信SINR値に基づいて、例えばBLER要求を満たす、なるべく高いスペクトル効率を持つMCSの組合せを選択すべきである。もちろん、送信端が正確的に送信するように、受信端は選択されたMCSの組合せを適切な方式により送信端に通知しなければならない。MCSの組合せ情報を送信するのも伝送チャネルを占めるため、システムがサポートできるMCSの組合せを無制限に設置することもできず、多くの通信標準において送受信両方がサポートできるMCSの組合せを規定している。例えば、非特許文献1では、下の表1に示す11種類のMCSの組合せが規定されている。
【表1】

【0005】
現在すでに公開された多くの文章及び/又は特許から見て、BLERとSINRの関係曲線がさらに急峻になるように、つまり、SINRが定められた場合にBLERがより小さくなるように、スペクトル効率が定められている場合に、いかにしてMCSの組合せを設計するかを検討するものが多い。例えば、非特許文献2〜4を参照することができる。これらの参照文献は援用することによりここに入る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献1】IEEE802.16E標準(IEEE P802.16e/D12 - Draft IEEE Standard for Local and Metropolitan area Networks - Part 16: Air Interface for Fixed and Mobile Broadband Wireless Access Systems - Amendment for Physical and Medium Access Control Layers for Combined Fixed and Mobile Operation in Licensed Bands,2005年10月)
【非特許文献2】Harsini, Lahouti, "Optimized link adaptation for wireless packet communications based on discrete-rate modulation and coding schemes" (Signal Processing Advances in Wireless Communications IEEE 2007
【非特許文献3】T. Sampei, S. Morinaga, "Symbol rate and modulation level controlled adaptive modulation/TDMA/TDD for personal communication systems" (IEEE VTC 1995)
【非特許文献4】Rohling, Grunheid R, "Adaptive coding and modulation in an OFDM-TDMA communication system" (IEEE VTC 1998)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の各種の自己適応のMCS選択技術はいずれも通信システムの容量を最大化させるように確保することができない。そのため、MCSの組合せ数が定められた場合に、どのようにシステム設計の観点から出発して、システムスループットの向上を目標として適切なMCSの組合せを選択し、システムキャパシティを最大化するのかが、依然として当面解決しようとする1つの問題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従来の通信システムに存在しているシステムキャパシティを十分に利用することができない問題などに鑑み、本発明は、通信システムのために適切なMCSの組合せを選択する方法、装置及び/又はこの装置を含む通信システムを提供し、少なくとも部分的に従来の技術に存在している前記問題を解決することを目的とする。
【0009】
前記目的を実現するために、本発明の1つの態様によれば、通信システムにおけるチャネル品質パラメーターを統計してこのチャネル品質パラメーターの確率分布を取得する工程と、通信システムが満足する必要のある、予定された要求に応じて、前記確率分布から通信システムがサポートする必要のある前記チャネル品質パラメーターの適用範囲を確定する工程と、予定された方式によって前記適用範囲内におけるM個の目標チャネル品質パラメーター値を確定する工程(ここで、Mは自然数であり、かつ通信システムがサポートできる変調および符号化方式の組合せの総数に等しい)と、通信システムが満足する必要のある予定された要求に応じて、通信システムにとってすべての可能な変調方式とコード方式の組合せから、M個の目標チャネル品質パラメーター値の要求をそれぞれ達成するM種類の変調および符号化方式の組合せを通信システムが選択して使用することができる変調および符号化方式の組合せの集合として選択する工程と、を含む通信システムのために適切な変調および符号化方式(MCS)の組合せを選択する方法が提供される。
【0010】
本発明の別の態様によれば、通信システムにおけるチャネル品質パラメーターを統計してこのチャネル品質パラメーターの確率分布を取得するためのパラメーター統計手段と、通信システムが満足する必要のある各種の予定された要求、及び通信システムが選択できる各種の変調方式とコード方式を格納するための記憶手段と、通信システムが満足する必要のある予定された要求に応じて、前記確率分布から通信システムがサポートする必要のある前記チャネル品質パラメーターの適用範囲を確定し、かつ予定された方式によって前記適用範囲内におけるM個の目標チャネル品質パラメーター値を確定するための目標パラメーター値確定手段(ここで、Mは自然数であり、かつ通信システムがサポートできる変調および符号化方式の組合せの総数に等しい)と、通信システムが満足する必要のある予定された要求に応じて、通信システムにとってすべての可能な変調方式と符号化方式の組合せから、M個の目標チャネル品質パラメーター値の要求をそれぞれ達成するM種類の変調および符号化方式の組合せを通信システムが選択して使用することができる変調および符号化方式の組合せの集合として選択するための選択手段と、を含む通信システムのために適切な変調および符号化方式の組合せを選択する装置が提供されている。
【0011】
本発明の別の態様によれば、通信システムのために適切な変調および符号化方式の組合せを選択する前記装置と、送受信両方の間で互いに通信するときに使用するように、前記選択された変調および符号化方式の組合せの集合を通信システムの変調および符号化方式の組合せとして通信システムにおける送受信両方に通知するための通知装置とを含む通信システムが提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の1つの利点は、通信システムのチャネル品質パラメーター(例えばSINRなど)の分布を統計して分析することにより、この通信システムに適するMCSの組合せの総数が変わらないことを保証しながら、MCSの組合せ(変調方式及び/又は符号化方式を含む)の設計と選択を優れたものにしてシステムキャパシティを最大化させることである。
【0013】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施例に対して行う詳細な説明により、本発明のこれら利点及びその他の利点をさらに明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明は以下の部分における図面を結合して出された記述を参照することにより更によく理解することができる。なお、すべての図面において、同一又は類似の符号で同一又は類似の部品を表示する。前記図面は下記の詳細な説明とともに本明細書に含まれ且つ本明細書の一部になり、しかもさらに例を挙げて本発明の好ましい実施例を説明し、本発明の原理と利点を解釈するために用いる。図面中:
【図1】本発明の実施例によって通信システムのために適切なMCSの組合せを選択する方法を模式的に示すフローチャートである。
【図2】システムシミュレーションにより取得した受信SINRの模式的な確率分布(PDFで表示する。)の一例を示す。
【図3】通信システムが適用できるSINR分布範囲を区間に区分する方法の一例を示す。
【図4】本発明の実施例によって通信システムのために適切なMCSの組合せを選択するMCSの組合せ選択装置を示す模式的なブロック図である。
【0015】
当業者は、図面における要素は簡単と明瞭のために示されているだけであり、かつ必ずしも縮尺に基づいて描画したものではないことを理解するべきである。例えば、本発明の実施例の理解の向上に寄与するように、図面におけるある要素の大きさはその他の要素よりも拡大しているかもしれない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
下記のように本発明の最良の実施形態を図面に基づいて記述する。明瞭且つ簡潔にするために、明細書の中に実際の実施形態のすべての特徴を記述してはいない。ただし、開発者の具体的な目標を実現するように、この種類の実際の実施例のいずれを開発する過程においても、実施形態に特定される多くの決定をしなければならず、例えば、システムと業務に関係するそれらの制限条件に合い、しかもこれらの制限条件は実施形態の違いにともなって改変される可能性があることを理解すべきである。なお、開発作業はとても複雑でかつ時間がかかることもあるが、本公開の内容から益を得た当業者にとっては、この開発作業は定例の任務に過ぎないことが理解されるべきである。
【0017】
ここで、まだ説明する必要がある点は、必要でない細部で本発明が曖昧になることを避けるために、図面には本発明による方案と密接に関連する装置構成及び/又は処理工程のみを示し、本発明とあまり関係がないその他の細部を省略した。
【0018】
上記のように、1つの通信システムの中では、送受信両方がサポートできるMCSの組合せは複数種であってもよく、異なる変調方式を異なる符号化率のチャネル符号化方式と組み合わせることにより、複数種のスペクトル効率が同じであるか又は異るMCSの組合せを発生することができる。
【0019】
図1は本発明の実施例によって通信システムのために適切なMCSの組合せを選択する方法100を模式的に示すフローチャートである。
【0020】
説明の便利のために、以下に通信システムの受信側の信号干渉雑音比(即ち、受信SINR、以下「SINR」と略称することがある。)をチャネル品質を示すパラメーターとし、かつブロックエラーレート(BLER)がある予定の閾値(例えば10%)以下であることをシステムの伝送要求として、本発明の実施例によって通信システムのために適切なMCSの組合せを選択する方法について説明する。ただし、当業者は、本発明がこれに限定されず、その他のチャネル品質パラメーター及び/又は伝送要求を有する通信システムに適用できることが分かるはずである。
【0021】
図1に示すように、工程S110において、通信システムにおけるチャネル品質パラメーター(即ち、受信SINR、以下「SINR」と略称することがある。)を統計し、このチャネル品質パラメーターの確率分布を取得する。
【0022】
ここで説明する必要があるのは、通信ネットを実際に配置する前(例えば、通信システムを設計する時)には本発明の実施例に従って方法100を応用すると、システムシミュレーションにより予期される通信システムの受信SINRを統計してSINRの確率分布を取得することができ、既に通信ネットを配置している場合には、本発明の実施例に従ってこの方法を応用すると、実際の運転テストの結果の統計によりSINRの確率分布を取得することができる、ということである。真実の状況を反映するために、異なるベースステーションにおける受信SINRを統計する必要がある。そして、システムシミュレーションを行う場合に、既知のいかなる模擬器及び/又はシミュレーション技術を採用して受信SINRを統計することができる。例えば、セルの中の10000個或いはもっと多くの異なる位置点の各位置点ごとの信号と干渉及び雑音との電力比、即ちSINRを記録し、異なる値の区間にあるSINRの個数を統計してSINRの確率分布図を取得する。
【0023】
図2はシステムシミュレーションにより取得した受信SINRの模式的な確率分布(PDFで表示する)の一例を示す。図2では、横座標がSINRの値を表示し(単位はdB)、縦座標が確率値を表示し、つまり、図2中の曲線におけるある点の縦座標がSINRでこの点の横座標値を有する場合の確率を表示する。図2から、異なったSINR値における確率分布は異なっていることが容易に見出される。また、異なるネットの配置では、受信SINRの確率分布もある程度異なることがある。通常は、受信SINRの値の変化範囲はとても広く、例えば、図2に示すように、SINRの値は-15dBから+30dBまで変化することができる。また、図に示すこの例における中間範囲(例えば、図2に示す-5〜+20dBの範囲)のSINRの値が出る確率は比較的に高い。これは、例えばセルラー無線通信システムにおける個々のユーザーは必然的にある一つのサービス基地局にカバーされるので、大多数のユーザーのSINRの変化は大きくないからである。記述の便利のために、次に図2に示すSINR分布図を例としてシステムキャパシティを最大化するために、どのようにMCSの組合せを選択するかについて説明する。
【0024】
再度図1を参照して、工程S120では、工程S110で取得したSINRの確率分布図に基づいて、通信システムが例えば予定のカバレッジレート等の要求を満たすためにサポートすべきSINR範囲を確定する。
【0025】
具体的には、取得されたSINRの確率分布図に基づいて(例えば、図2に示す確率の分布図)、満足する必要のあるシステムカバレッジレート等の指標に従って、通信システムがサポートするSINR範囲を確定する。例えば、最低SINR点から最高SINR点までのSINR範囲内における曲線領域の面積が、予定されたシステムカバレッジレート、例えば90%、より小さくないように、図2に示す確率分布図における確率値が最高である点を中心にして、左右両側に最低と最高のSINR点を対称に確定し、即ちSINR範囲を対称に拡大する。このように、図2に示すSINRの確率分布図に基づいて、-5dB〜20dBのSINR範囲を得ることができる。明らかに、当業者は必要に応じてその他の方式によりSINRの確率分布図に基づいて最低のSINR点(Xでこの点のSINR値を表示することを仮定する)と最高のSINR点(Yでこの点のSINR値を表示することを仮定する)を確定することができる。例えば、必要に応じてチャネル品質パラメーターの最小値と最大値等を直接に確定してシステムがサポートするSINR範囲(即ち、区間[X、Y])を確定することができる。これはSINR適用範囲とも称することができる。
【0026】
そして、工程S130では、例えばシステムの設計要求、システムのオーバーヘッドの情報などによって、通信システムがサポートできる最多のMCSの組合せ数を確定することができ、自然数Mで表示すると仮定する。簡単のために、以下にM個のMCSの組合せがスペクトル効率の低い順に複数のレベルに並んでいると仮定する。
【0027】
図1に示すように、方法100の処理プロセスが工程S140に移行し、工程S130で確定されたMCSの組合せの数Mによって、予定された方式に従い、前記SINRの確率分布図に基づいて前記SINR範囲内におけるM個の目標SINR値(離散値である)を確定する。通常には、Mは2の整数の累乗であり、例えば8、16、32などであり、ここでM=16を仮定することができる。
【0028】
上文中に記述したように、SINRの変化はあまり大きくないため、適宜M種類のMCSの組合せのレベルを設置することによってSINR値の変化特性を反映することが考えられる。簡単に言えば、SINRの出現確率の高い範囲内では比較的多くの個数のレベルのMCSの組合せを設置することができ、SINRの出現確率の低い範囲内では比較的少ない個数のレベルのMCSの組合せを設置することができる。即ち、SINR分布が均一分布でないときには、対応するMCSの組合せのレベルも均一分布でないように設計し、SINR分布が均一分布である時には、MCSのレベルも均一分布であるように設計する。このように、MCSの組合せのレベルの設置をSINR分布と合わせることにより、システムキャパシティの最大化の目的を達成することができる。
【0029】
具体的には、図1に示す工程S140において、例えば図3に示す方式に従って、SINR適用範囲である区間[X、Y]をM-1個のサブ区間に区分して合計でM個の区間の端点x1=X、x2、……、xM/2、xM/2+1、……、xM-1、xM=Yを確定する。各端点の横座標値は期待される目標SINR値である。つまり、図3に示すように、SINR確率分布図における分布確率値の最高点を中心にし、図3の下の点線で示すL、L+Δ、L+2*Δ、…の区間長さ(即ち、区間長さは差がΔである等差数列を構成する)に従い、左右両側に向かって対称に各サブ区間の端点を順次に確定し、即ち、最も中心点に近い2つの目標SINR点(即ち、図3のxM/2とxM/2+1)の間の距離(即ち、中間の1つのサブ区間の区間長さ)はLであり、この2つの目標SINR点からそれぞれ左と右への第i個のサブ区間の区間長さはL+i*Δ(なお、iは自然数であり、かつ1≦i≦M/2)である。ここで、Lは選択しようとする隣接の2つのレベルのMCSの組合せに対応する2つの目標SINR点間における最小間隔の区間長さを示し、その値はシステムが実際に弁別できるチャネル品質の見積り範囲によって決められ、通常は、0.5dB〜1.5dBの値を選択でき、ここでは1dBの値をとることを仮定する。
【0030】
このように、上記の区間の区分方法によって下記の等式(1)を得ることができる。
【数1】

上記のように確定されたM、L、XとYを等式(1)に代入すると、Δの値を算出することができ、さらに前記M-1個のサブ区間の端点の横座標値を算出することができる。このM個の端点における横座標値は通信システムが有すべきM個の目標SINR値である。
【0031】
再度図1に戻って参照する。工程S150では、工程S140で取得されたM個の目標SINR値に従って、通信システムにとってすべての可能な変調方式と符号化方式の組合せから、期待される目標SINR値の要求を達成するM種類のMCSの組合せを選択する。
【0032】
この工程では、上記のようにブロックエラーレートBLERが10%以下であることを通信システムが満足しようとする伝送条件とした場合に、通信システムが選択できるすべての可能な変調および符号化方式の組合せに対して、システムシミュレーションにより各種類のMCSの組合せのBLERとSINRの曲線図を取得し、これによりBLERが10%になる時のSINR値をこの種類のMCSの組合せに対応するSINR値として確定する。そして、確定された多くのSINR値から工程S140で取得されたM個の目標SINR値とそれぞれ等しいか又は最も接近するM個のSINR値を見つける。実際の符号化・変調の制限のため、通常には、目標SINR値を達成する、完全に条件に合ったMCSの組合せを取得することが不可能であるため、なるべく対応するSINRが目標SINRと最も接近するMCSの組合せを選択する必要がある。見つけられたこのM個のSINR値に対応するM種類のMCSの組合せは所望の通信システムのために選択して使用するMCSの組合せである。実際の通信システムにこれらのMCSの組合せを応用することにより、定められたBLERに到達する時のSINR値は、上で確定された目標SINR値と等しいか又は最も接近している。
【0033】
しかし、もしシステムシミュレーションの後に、2種類以上のMCSの組合せに対応するSINRがある目標SINR値と等しいか又は同程度に接近することを発見すれば、前記2種類以上のMCSの組合せにおける最高スペクトル効率を持つその種類のMCSの組合せを選択することができる。もちろん、その他の選択基準でもよく、例えば、選択するときに、選択しようとするMCSの組合せの変調階数が増加の趨勢(例えば、変調階数を2から4、6までのように増加させる)などを呈するようにできるだけ保証する。
【0034】
すべての可能な符号化方式と変調方式の組合せから適切なMCSの組合せを選択する際には、現在までに既知の各種の方法を採用することができ、例えば、CTC(畳み込みターボコード、Convolutional Turbo Code)の符号化方式は、スロット方式を採用することができ、LDPC(低密度パリティ・チェックコード、Low Density Parity-Check Code)の符号化方式は、マトリックスを変換して形成する方法を採用することができる、などである。
【0035】
例えば、依然として上記の例を用いて、M=16、確定されたSINR範囲は-5dB〜20dB、最小SINR間隔Lは1dBであり、上記の方法によって、上記のようにΔの値を確定し、そして16個の目標SINR値を確定した後に、取得された目標SINR値に従って、下記の表2に示すCTCコードとQAM変調を採用する16種類のMCSの組合せを選出することができる。
【表2】

【0036】
表2では、各行は1種類のMCSの組合せを表示し、第2列はMCSの組合せにおける符号化方式の符号化率を表示し、第3列はMCSの組合せにおける変調方式の変調階数を表示し、例えば2がQPSKを表し、4が16QAMを表し、6が64QAMを表す、第4列はMCSの組合せの総括的なスペクトル効率を表し、第2列の値を第3列の値に乗算することにより取得でき、第5列はMCSの組合せが伝送要求(即ち、BLERが10%以下)を満たす時に対応するSINR値(単位はdB)を表示し、上記のようにシミュレーションにより取得することができる。
【0037】
以上SINRとBLERを例として発明の実施例に応じる方法100の処理フローについて記述したが、当業者は本発明の原理がこれに限定されておらず、実際の情況又は必要に応じて方法100の処理フローに対して適切な改変を行うことができることが分かるはずである。例えば、通信システムが支持できる最多のMCSの組合せの数Mをすでに知っているか、または予め設定した場合には、工程S130を省くことができる。また、工程S140では、図3に示す区間の区分方式と異なる方式(例えば、各サブ区間の区間長さが別の異なる関係を満たし、最高のSINR分布確率値を持つ点を中心としてそれぞれ左右両側に非対称に異なる方式でサブ区間を区分する、等)に従ってSINRの適用範囲内におけるM個の目標SINR値を取得してもよく、M種類のMCSの組合せのレベルを適当に設置することによりSINR値の変化特性を反映することができればよい。なお、上文で予定の条件を満足するように最高のSINR分布確率値を有する点を中心として外側に向かって対称に分布の範囲を拡大し、SINRの適用範囲を確定することを記述したが、方法100では、SINRの適用範囲は最高のSINR分布確率値を有する点を中心として両側に対称的でなくてもよい。言うまでもなく、方法100は、その他の代替或いは改変された方式があってもよく、ここで一つ一つは列挙しない。
【0038】
図4は本発明の実施例による通信システムのために適切なMCSの組合せを選択するMCSの組合せ選択装置400を示す模式的なブロック図である。このMCSの組合せ選択装置400では、以上の図1に示すフローチャートを参照して記述した方法100を実行することができる。
【0039】
図4に示すように、MCSの組合せ選択装置400はパラメーター統計手段410、記憶手段420、目標パラメーター値確定手段430及び選択手段440を含む。なお、パラメーター統計手段410は以上の図1を結合して記述するように、通信システムにおけるチャネル品質パラメーターを統計してこのチャネル品質パラメーターの確率分布を取得することができる。明細書の簡潔のために、パラメーター統計手段410の具体的な操作の過程は詳しく記述しない。ここで、前記チャネル品質パラメーターは例えば受信SINRなどでもよいが、その他のチャネル品質を表現できるパラメーターでもよい。
【0040】
記憶手段420には通信システムが満足する必要のあるいくつかの要求、例えば、予定のシステムカバレッジレート、最大許容伝送エラー率(例えばブロックエラーレートBLERなど)などの伝送条件、変調および符号化方式の最多許容組合せ数Mなどを格納することができる。これらの要求は記憶手段420に予め格納されていてもよく、MCSの組合せ選択装置400の使用過程に外部から入力して記憶手段420に格納されてもよい。なお、記憶手段420には通信システムが選択できる各種の変調方式と符号化方式が格納されてもよい。
【0041】
目標パラメーター値確定手段430は通信システムが満足する必要のあるいくつかの条件、例えばシステムカバレッジレートなどに応じて、パラメーター統計手段410からのチャネル品質パラメーターの確率分布に基づいて通信システムがサポートしようとするチャネル品質パラメーターの適用範囲を確定することができ、そして予め設定できる方式(例えば、以上の図3に示す区間の区分方法を結合して記述されたように)によってこの適用範囲内におけるM個の目標パラメーター値を確定することができる。
【0042】
選択手段440は、通信システムが満足しようとする伝送条件などの要求に応じて、目標パラメーター値確定手段430に確定されたM個の目標パラメーター値に基づいて、通信システムにとってすべての可能な変調方式と符号化方式の組合せから、期待される目標パラメーター値の要求を達成するM種類のMCSの組合せを選択することができる。
【0043】
パラメーター統計手段410、目標パラメーター値確定手段430と選択手段440は以上の図1〜3を参照して記述したようにそれぞれ対応する操作又は処理を行うことができ、そのため、必要でない繰り返しを避けるために、ここでそれらの具体的な操作又は処理についてさらに詳しく記述していない。
【0044】
通信システムのために適切なMCSの組合せを選択した後、それを通信システムにおける送受信の両方に通知して、その後に互いに通信伝送の中で使用することができる。
【0045】
なお、本開示のその他の一実施例では、図4に示すMCSの組合せ選択装置400を適当に改良することができる。例えば、記憶手段420に通常の情況に使用可能ないくつかのMCSの組合せを予め格納しておき、そして通信システムの統計分析で取得されたチャネル品質パラメーターの確率分布に応じて、その中からこの通信システムに適するM種類のMCSの組合せを選択し、そしてこれをこのシステムが現在使用できるMCSの組合せとしてシステムの各方面に通知することができる。
【0046】
以上、SINRとBLERを例として具体的な実施例を結合して本開示に応じた、通信システムのために適切なMCSの組合せを選択する方法及び装置について記述したが、明らかに、本開示は記述された具体的な実施例のみに限定されておらず、また当業者は完全に実際の必要に応じて方法のステップ或いは装置の構造に対してある程度の修正あるいは変更を行うことができる。
【0047】
なお、以上は変調と符号化方式の選択を自己適応で行う通信システムの環境における本開示の実施例による方法及び装置について記述したが、当業者は、本開示が同様に変調と符号化方式を非自己適応で選択する通信システムに適用することができることが分かるはずである。
【0048】
以上の記述を通して、本開示の実施例による方法を使用し及び/又は本開示の実施例による装置を含む通信システムでは、システムのチャネル品質パラメーターの統計分析、例えばSINRの分布からMCSの組合せの設計と選択を優れたものにし、チャネル品質パラメーターの分布確率値が比較的に高い領域に比較的多くのMCSの組合せを設定し、チャネル品質パラメーターの分布確率値が比較的に低い領域に比較的少なくMCSの組合せを設定して、MCSの組合せの総数が変わらないことを確保した状態でMCSの組合せにおける変調方式及び/又は符号化方式を適当に変化させてシステムキャパシティの最大化を実現することができる。
【0049】
なお、本開示の実施例によるMCSの組合せの選択方法及び/又は装置は、通信システムの設計の時にシステムがサポートする必要のあるMCSの組合せを確定するために使用して、あるいは通信システムの配置が変化する時にすでに存在しているMCSの組合せを修正し及び/又は更新して使用して、できるだけ十分にシステムキャパシティを利用することができる。
【0050】
なお、本開示による前記方法の各操作過程は、各種の機器が読取り可能な記憶媒体に格納されているコンピュータ実行可能なプログラムの方式で実現してもよいことは明らかである。
【0051】
また、本開示の目的は、以下の方式:前記実行可能なプログラムコードを格納している記憶媒体をシステム又は設備に、直接又は間接に提供し、かつこのシステム又は設備におけるコンピュータ又は中央処理装置(CPU)で前記プログラムコードを読み出して実行すること、により実現してもよい。
【0052】
この時、このシステム又は設備がプログラムを実行する機能を有しさえすれば、本開示の実施形態はプログラムに限定されず、かつこのプログラムは任意の形式、例えば、オブジェクトプログラム、インタプリターにより実行されるプログラム又はOSに提供されるシナリオのプログラムなどでもよい。
【0053】
前記これらの機器が読取り可能な記憶媒体は、各種のメモリ及び記憶手段、半導体の設備、ディスク装置例えば光、磁気及び光磁気ディスク、及び情報の格納に適するその他の媒体などを含むが、これらに限定されていない。
【0054】
なお、コンピュータはインターネットの対応するウェブサイトに接続することにより、かつ本開示によるコンピュータのプログラムコードをダウンロードしてコンピュータにインストールしてからこのプログラムを実行し、本開示を実現することもできる。
【0055】
本開示は、一利点として、どのように通信システムが満足する必要のある多くの要求に応じて通信システムのために適切なMCSの組合せを設計し又は選択するかということのために、従来の各種のMCSの設計或いは選択方法より優れた設計或いは選択の構想を提供している。
【0056】
本開示は、さらに別の一利点として、本開示による方法及び/又は装置が通信システムの開始設計の時に使うことができ、通信システムの配置が変化する時にも使うことができることである。
【0057】
本開示は、さらに別の一利点として、本開示による方法及び/又は装置が自己適応のMCS選択方法を使用する通信システムに適用することができるだけでなく、非自己適応のMCS選択方法を使用する通信システムにも適用することができる。
【0058】
最後に、説明する必要があるのは、用語の「含む」、「有する」あるいはいかなるその他の変形語も、非排他性の包含をカバーする意味であり、それによって一連の要素を含む過程、方法、物品あるいは設備がこれらの要素を含むだけではなく、明確に示されていないその他の要素も含み、又はこの種類の過程、方法、物品あるいは設備に固有される要素も含む。さらなる制限がない場合には、文における「一つの……を含む」により限定される要素は、前記要素を含む過程、方法、物品あるいは設備に別の同じ要素も存在することを排除しない。
【0059】
以上、図面を結合して本開示の実施例について詳しく説明したが、以上に記述された実施形態は本開示を説明するために用いただけであり、本開示の限定を構成していないことが分かるはずである。当業者にとって、本発明の本質と範囲を背離していない範囲で前記実施形態に対して各種の修正及び変更を行うことができる。そのため、本発明の範囲は添付のクレーム及びこれと同等の含意のみにより限定される。
【0060】
上記の実施形態及び実施例に関して以下の付記を記載する。
(付記1) 通信システムにおけるチャネル品質パラメーターを統計してこのチャネル品質パラメーターの確率分布を取得する工程と、
通信システムが満足する必要のある予定された要求に応じて、前記確率分布から通信システムがサポートする必要のある前記チャネル品質パラメーターの適用範囲を確定する工程と、
予定された方式によって前記適用範囲内におけるM個(ここで、Mは自然数であり、かつ通信システムがサポートできる変調および符号化方式の組合せの総数に等しい)の目標チャネル品質パラメーター値を確定する工程と、
通信システムが満足する必要のある予定された要求に応じて、通信システムにとって可能なすべての変調方式と符号化方式の組合せの中から、M個の目標チャネル品質パラメーター値の要求を達成するM種類の変調および符号化方式の組合せをそれぞれ選択して、通信システムが選択して使用することができる変調および符号化方式の組合せの集合として選択する工程と、
を含む、通信システムのために適切な変調および符号化方式の組合せを選択する方法。
(付記2) 前記チャネル品質パラメーターの適用範囲を確定する工程は、
予定の条件を満足するように前記確率分布における最高の確率値を有する点から外側に向かってチャネル品質パラメーターの分布範囲を拡大し、この時のチャネル品質パラメーターの分布範囲を前記適用範囲とすることをさらに含む、付記1に記載の方法。
(付記3) 前記確率分布における最高の確率値を有する点を中心にして、外側に向かって対称にチャネル品質パラメーターの分布範囲を拡大し、前記確率分布の当該分布範囲内における曲線領域の面積を通信システムの満足する必要のあるシステムカバレッジレート以上にし、この時のチャネル品質パラメーターの分布範囲を前記適用範囲とする、付記2に記載の方法。
(付記4) 前記M個の目標チャネル品質パラメーター値を確定する工程は、
チャネル品質パラメーターの分布確率値が高い領域に設置される変調および符号化方式の組合せの数量が多くなり、チャネル品質パラメーターの分布確率値が低い領域に設置される変調および符号化方式の組合せの数量が少なくなるように、予定された方式によって前記チャネル品質パラメーターの適用範囲をM-1個の区間に区分し、
前記M-1個の区間の端点のチャネル品質パラメーター値を前記M個の目標チャネル品質パラメーター値として確定することをさらに含む、付記1に記載の方法。
(付記5) 前記チャネル品質パラメーターの適用範囲を確定する工程は、
前記確率分布における最高の確率値を有する点を中心にして、外側に向かって対称にチャネル品質パラメーターの分布範囲を拡大し、前記確率分布の当該分布範囲内における曲線領域の面積が通信システムの満足する必要のあるシステムカバレッジレート以上にし、この時のチャネル品質パラメーターの分布範囲を前記適用範囲とし、
ここで、前記M個の目標チャネル品質パラメーター値を確定する工程において、以下の方式:
前記確率分布における最高の確率値を有する点を中心にして、前記適用範囲の中間に位置し、区間の長さLを有する中間区間を確定し、中間区間の二つの端点からそれぞれ外側に向かって区間の長さがL+i*Δ(ここで、iは自然数であり、かつ1≦i≦M/2、Lは正数である)である第iの区間を順次に確定し、それによって前記適用範囲をM-1個の区間に区分し、
X〜Yで前記チャネル品質パラメーターの適用範囲を表示することを仮定して、下記の等式(1):
【数2】

によってΔの値を計算し、かつ計算して得たΔ値に基づいて前記M-1個の区間の端点のチャネル品質パラメーター値を前記M個の目標チャネル品質パラメーター値として計算する、
によって前記チャネル品質パラメーターの適用範囲を区間に区分して前記目標チャネル品質パラメーター値を確定することをさらに含む、付記4に記載の方法。
(付記6) Lの値は、通信システムが弁別できるチャネル品質パラメーターの範囲に基づいて選択される、付記5に記載の方法。
(付記7) 前記M種類の変調および符号化方式の組合せを選択する工程は、
すべての可能な変調方式と符号化方式の組合せにおける組合せごとに対して、システムシミュレーションにより、通信システムの中で当該組合せを応用した場合に予定の伝送要求を達成する時のチャネル品質パラメーター値をこの種類の組合せに対応するチャネル品質パラメーター値として確定し、
すべての可能な変調方式と符号化方式の組合せから、対応するチャネル品質パラメーター値がそれぞれM個の目標チャネル品質パラメーター値と等しい又はそれと最も接近するM種類の組合せを選択し、選択されたM種類の組合せは前記M個の目標チャネル品質パラメーター値の要求を達成するM種類の変調および符号化方式の組合せであることをさらに含む、付記1に記載の方法。
(付記8) 前記予定の伝送要求は、伝送エラー率が予定の閾値以下である、付記7に記載の方法。
(付記9) 前記伝送エラー率はブロックエラーレートBLER、ビット誤り率BER、或いはフレームエラーレートFERである、付記8に記載の方法。
(付記10) 複数種の常用の変調および符号化方式の組合せが予め格納されており、かつ前記M種類の変調および符号化方式の組合せを選択する工程において前記格納された常用の変調および符号化方式の組合せから優先的にM個の目標チャネル品質パラメーター値の要求を達成する変調および符号化方式の組合せを選択する、付記7に記載の方法。
(付記11) 前記方法は通信システムを設計する時に実行され、かつ前記統計工程でシステムシミュレーションにより通信システムのチャネル品質パラメーターの統計データを取得する、付記1〜10の何れか1項に記載の方法。
(付記12) 前記方法は既に通信システムが配置済みの時に実行され、かつ前記統計工程で実際の運転テストにより通信システムのチャネル品質パラメーターの統計データを取得する、付記1〜10の何れか1項に記載の方法。
(付記13) 前記チャネル品質パラメーターは通信システムにおける受信側の信号干渉雑音比SINR又は信号雑音比SNRである、付記1〜10の何れか1項に記載の方法。
(付記14) Mは2の整数累乗である、付記1〜10の何れか1項に記載の方法。
(付記15) 変調及び符号化方式を自己適応で選択する通信システム或いは変調及び符号化方式を非自己適応で選択する通信システムのために、適切な変調および符号化方式の組合せを選択することに適用することができる、付記1〜10の何れか1項に記載の方法。
(付記16) 通信システムにおけるチャネル品質パラメーターを統計して、このチャネル品質パラメーターの確率分布を取得するためのパラメーター統計手段と、
通信システムが満足する必要のある各種の予定された要求、及び通信システムが選択できる各種の変調方式と符号化方式を格納するための記憶手段と、
通信システムが満足する必要のある予定された要求に応じて、前記確率分布から通信システムがサポートする必要のある前記チャネル品質パラメーターの適用範囲を確定し、かつ予定された方式によって前記適用範囲内におけるM個(ここで、Mは自然数であり、かつ通信システムがサポートできる変調および符号化方式の組合せの総数に等しい)の目標チャネル品質パラメーター値を確定するための目標パラメーター値確定手段と、
通信システムが満足する必要のある予定された要求に応じて、通信システムにとって可能なすべての変調方式と符号化方式の組合せから、M個の目標チャネル品質パラメーター値の要求をそれぞれ達成するM種類の変調および符号化方式の組合せを通信システムが選択して使用することができる変調および符号化方式の組合せの集合として選択するための選択手段と、
を含む、通信システムのために適切な変調および符号化方式の組合せを選択する装置。
(付記17) 前記目標パラメーター値確定手段は、予定の条件を満足するように前記確率分布における最高の確率値を有する点から外側に向かってチャネル品質パラメーターの分布範囲を拡大し、かつこの時のチャネル品質パラメーターの分布範囲を前記適用範囲に確定する、付記16に記載の装置。
(付記18) 前記目標パラメーター値確定手段は、前記確率分布における最高の確率値を有する点を中心にして、外側に対称にチャネル品質パラメーターの分布範囲を拡大し、前記確率分布の当該分布範囲内における曲線領域の面積を通信システムの満足する必要のあるシステムカバレッジレート以上にし、かつこの時のチャネル品質パラメーターの分布範囲を前記適用範囲に確定する、付記17に記載の装置。
(付記19) 前記目標パラメーター値確定手段は、下記の方式:
チャネル品質パラメーターの分布確率値が高い領域に設置された変調および符号化方式の組合せの数量が多くなり、チャネル品質パラメーターの分布確率値が低い領域に設置された変調および符号化方式の組合せの数量が少なくなるように、予定された方式によって前記チャネル品質パラメーターの適用範囲をM-1個の区間に区分し、
前記M-1個の区間の端点のチャネル品質パラメーター値を前記M個の目標チャネル品質パラメーター値として確定する、
によって前記M個の目標チャネル品質パラメーター値を確定する、付記16に記載の装置。
(付記20) 前記目標パラメーター値確定手段は、前記確率分布における最高の確率値を有する点を中心にして、外側に向かって対称にチャネル品質パラメーターの分布範囲を拡大し、前記確率分布の当該分布範囲内における曲線領域の面積を通信システムの満足する必要のあるシステムカバレッジレート以上にし、かつこの時のチャネル品質パラメーターの分布範囲を前記適用範囲に確定し、前記目標パラメーター値確定手段は、下記の方式:
前記確率分布における最高の確率値を有する点を中心にして、前記適用範囲の中間に位置し、区間の長さLを有する中間区間を確定し、中間区間の二つの端点からそれぞれ外側に向かって区間の長さがL+i*Δ(ここで、iは自然数であり、かつ1≦i≦M/2、Lは正数である)である第iの区間を順次に確定し、それによって前記適用範囲をM-1個の区間に区分し、
X〜Yで前記チャネル品質パラメーターの適用範囲を表示することを仮定して、下記の等式(1):
【数3】

によってΔの値を計算し、かつ計算して得たΔ値に基づいて前記M-1個の区間の端点のチャネル品質パラメーター値を前記M個の目標チャネル品質パラメーター値として計算する、
によって前記チャネル品質パラメーターの適用範囲を区間に区分して前記目標チャネル品質パラメーター値を確定する、付記19に記載の装置。
(付記21) Lの値は、通信システムが弁別できるチャネル品質パラメーターの範囲に基づいて選択される、付記20に記載の装置。
(付記22) 前記選択手段は、下記の方式:
すべての可能な変調方式と符号化方式の組合せにおける組合せごとに対して、システムシミュレーションにより、通信システムの中でこの種類組合せを応用した場合に予定の伝送要求を達成する時のチャネル品質パラメーター値を、この種類の組合せに対応するチャネル品質パラメーター値として確定し、
すべての可能な変調方式と符号化方式の組合せから、対応するチャネル品質パラメーター値がそれぞれM個の目標チャネル品質パラメーター値と等しい又はそれと最も接近するM種類の組合せを選択し、選択されたM種類の組合せを前記M個の目標チャネル品質パラメーター値の要求を達成するM種類の変調および符号化方式の組合せとする、
によって前記M種類の変調および符号化方式の組合せを選択する、付記16に記載の装置。
(付記23) 前記予定の伝送要求は、伝送エラー率が予定の閾値以下である、付記22に記載の装置。
(付記24) 前記伝送エラー率は、ブロックエラーレートBLER、ビット誤り率BER、又はフレームエラーレートFERである、付記23に記載の装置。
(付記25) 前記記憶手段に複数種の常用の変調および符号化方式の組合せが予め格納されており、かつ前記選択手段は前記格納された常用の変調および符号化方式の組合せから優先的にM個の目標チャネル品質パラメーター値の要求を達成する変調および符号化方式の組合せを選択する、付記22に記載の装置。
(付記26) 前記装置は通信システムを設計する時に使用され、かつ前記パラメーター統計手段はシステムシミュレーションにより通信システムのチャネル品質パラメーターの統計データを取得する、付記16〜25の何れか1項に記載の装置。
(付記27) 前記装置は既に通信システムを配置済みの時に使用され、かつ前記パラメーター統計手段は実際的な運転テストにより通信システムのチャネル品質パラメーターの統計データを取得する、付記16〜25の何れか1項に記載の装置。
(付記28) 前記チャネル品質パラメーターは通信システムにおける受信側の信号干渉雑音比SINR又は信号雑音比SNRである、付記16〜25の何れか1項に記載の装置。
(付記29) Mは2の整数の累乗である、付記16〜25の何れか1項に記載の装置。
(付記30) 変調及び符号化方式を自己適応で選択する通信システム或いは変調及び符号化方式を非自己適応で選択する通信システムのために、適切な変調および符号化方式の組合せを選択することに適用することができる、付記16〜25の何れか1項に記載の装置。
(付記31) 通信システムのために適切な変調および符号化方式の組合せを選択する付記16〜29の何れか1項に記載の装置と、
前記選択された変調および符号化方式の組合せの集合を通信システムの変調および符号化方式の組合せとして通信システムにおける送受信の両方に通知して、送受信の両方の間で互いに通信するときに使用するようにするための通知装置と、を含む通信システム。
(付記32) 前記通信システムは、変調および符号化方式を自己適応で選択する通信システムであり或いは変調および符号化方式を非自己適応で選択する通信システムである、付記31に記載の通信システム。
【符号の説明】
【0061】
400 MCS組み合わせ選択装置
410 パラメーター統計手段
420 記憶手段
430 目標パラメーター値確定手段
440 選択手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信システムにおけるチャネル品質パラメーターを統計してこのチャネル品質パラメーターの確率分布を取得する工程と、
通信システムが満足する必要のある予定された要求に応じて、前記確率分布から通信システムがサポートする必要のある前記チャネル品質パラメーターの適用範囲を確定する工程と、
予定された方式によって前記適用範囲内におけるM個(ここで、Mは自然数であり、かつ通信システムがサポートできる変調および符号化方式の組合せの総数に等しい)の目標チャネル品質パラメーター値を確定する工程と、
通信システムが満足する必要のある予定された要求に応じて、通信システムにとって可能なすべての変調方式と符号化方式の組合せの中から、M個の目標チャネル品質パラメーター値の要求を達成するM種類の変調および符号化方式の組合せをそれぞれ選択して、通信システムが選択して使用することができる変調および符号化方式の組合せの集合として選択する工程と、
を含む、通信システムのために適切な変調および符号化方式の組合せを選択する方法。
【請求項2】
前記チャネル品質パラメーターの適用範囲を確定する工程は、
予定の条件を満足するように前記確率分布における最高の確率値を有する点から外側に向かってチャネル品質パラメーターの分布範囲を拡大し、この時のチャネル品質パラメーターの分布範囲を前記適用範囲とすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記確率分布における最高の確率値を有する点を中心にして、外側に向かって対称にチャネル品質パラメーターの分布範囲を拡大し、前記確率分布の当該分布範囲内における曲線領域の面積を通信システムの満足する必要のあるシステムカバレッジレート以上にし、この時のチャネル品質パラメーターの分布範囲を前記適用範囲とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記M個の目標チャネル品質パラメーター値を確定する工程は、
チャネル品質パラメーターの分布確率値が高い領域に設置される変調および符号化方式の組合せの数量が多くなり、チャネル品質パラメーターの分布確率値が低い領域に設置される変調および符号化方式の組合せの数量が少なくなるように、予定された方式によって前記チャネル品質パラメーターの適用範囲をM-1個の区間に区分し、
前記M-1個の区間の端点のチャネル品質パラメーター値を前記M個の目標チャネル品質パラメーター値として確定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記チャネル品質パラメーターの適用範囲を確定する工程は、
前記確率分布における最高の確率値を有する点を中心にして、外側に向かって対称にチャネル品質パラメーターの分布範囲を拡大し、前記確率分布の当該分布範囲内における曲線領域の面積が通信システムの満足する必要のあるシステムカバレッジレート以上にし、この時のチャネル品質パラメーターの分布範囲を前記適用範囲とし、
ここで、前記M個の目標チャネル品質パラメーター値を確定する工程において、以下の方式:
前記確率分布における最高の確率値を有する点を中心にして、前記適用範囲の中間に位置し、区間の長さLを有する中間区間を確定し、中間区間の二つの端点からそれぞれ外側に向かって区間の長さがL+i*Δ(ここで、iは自然数であり、かつ1≦i≦M/2、Lは正数である)である第iの区間を順次に確定し、それによって前記適用範囲をM-1個の区間に区分し、
X〜Yで前記チャネル品質パラメーターの適用範囲を表示することを仮定して、下記の等式(1):
【数4】

によってΔの値を計算し、かつ計算して得たΔ値に基づいて前記M-1個の区間の端点のチャネル品質パラメーター値を前記M個の目標チャネル品質パラメーター値として計算する、
によって前記チャネル品質パラメーターの適用範囲を区間に区分して前記目標チャネル品質パラメーター値を確定することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記M種類の変調および符号化方式の組合せを選択する工程は、
すべての可能な変調方式と符号化方式の組合せにおける組合せごとに対して、システムシミュレーションにより、通信システムの中で当該組合せを応用した場合に予定の伝送要求を達成する時のチャネル品質パラメーター値をこの種類の組合せに対応するチャネル品質パラメーター値として確定し、
すべての可能な変調方式と符号化方式の組合せから、対応するチャネル品質パラメーター値がそれぞれM個の目標チャネル品質パラメーター値と等しい又はそれと最も接近するM種類の組合せを選択し、選択されたM種類の組合せは前記M個の目標チャネル品質パラメーター値の要求を達成するM種類の変調および符号化方式の組合せであることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
通信システムにおけるチャネル品質パラメーターを統計して、このチャネル品質パラメーターの確率分布を取得するためのパラメーター統計手段と、
通信システムが満足する必要のある各種の予定された要求、及び通信システムが選択できる各種の変調方式と符号化方式を格納するための記憶手段と、
通信システムが満足する必要のある予定された要求に応じて、前記確率分布から通信システムがサポートする必要のある前記チャネル品質パラメーターの適用範囲を確定し、かつ予定された方式によって前記適用範囲内におけるM個(ここで、Mは自然数であり、かつ通信システムがサポートできる変調および符号化方式の組合せの総数に等しい)の目標チャネル品質パラメーター値を確定するための目標パラメーター値確定手段と、
通信システムが満足する必要のある予定された要求に応じて、通信システムにとって可能なすべての変調方式と符号化方式の組合せから、M個の目標チャネル品質パラメーター値の要求をそれぞれ達成するM種類の変調および符号化方式の組合せを通信システムが選択して使用することができる変調および符号化方式の組合せの集合として選択するための選択手段と、
を含む、通信システムのために適切な変調および符号化方式の組合せを選択する装置。
【請求項8】
前記目標パラメーター値確定手段は、予定の条件を満足するように前記確率分布における最高の確率値を有する点から外側に向かってチャネル品質パラメーターの分布範囲を拡大し、かつこの時のチャネル品質パラメーターの分布範囲を前記適用範囲に確定する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記目標パラメーター値確定手段は、前記確率分布における最高の確率値を有する点を中心にして、外側に対称にチャネル品質パラメーターの分布範囲を拡大し、前記確率分布の当該分布範囲内における曲線領域の面積を通信システムの満足する必要のあるシステムカバレッジレート以上にし、かつこの時のチャネル品質パラメーターの分布範囲を前記適用範囲に確定する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記目標パラメーター値確定手段は、下記の方式:
チャネル品質パラメーターの分布確率値が高い領域に設置された変調および符号化方式の組合せの数量が多くなり、チャネル品質パラメーターの分布確率値が低い領域に設置された変調および符号化方式の組合せの数量が少なくなるように、予定された方式によって前記チャネル品質パラメーターの適用範囲をM-1個の区間に区分し、
前記M-1個の区間の端点のチャネル品質パラメーター値を前記M個の目標チャネル品質パラメーター値として確定する、
によって前記M個の目標チャネル品質パラメーター値を確定する、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記目標パラメーター値確定手段は、前記確率分布における最高の確率値を有する点を中心にして、外側に向かって対称にチャネル品質パラメーターの分布範囲を拡大し、前記確率分布の当該分布範囲内における曲線領域の面積を通信システムの満足する必要のあるシステムカバレッジレート以上にし、かつこの時のチャネル品質パラメーターの分布範囲を前記適用範囲に確定し、前記目標パラメーター値確定手段は、下記の方式:
前記確率分布における最高の確率値を有する点を中心にして、前記適用範囲の中間に位置し、区間の長さLを有する中間区間を確定し、中間区間の二つの端点からそれぞれ外側に向かって区間の長さがL+i*Δ(ここで、iは自然数であり、かつ1≦i≦M/2、Lは正数である)である第iの区間を順次に確定し、それによって前記適用範囲をM-1個の区間に区分し、
X〜Yで前記チャネル品質パラメーターの適用範囲を表示することを仮定して、下記の等式(1):
【数5】

によってΔの値を計算し、かつ計算して得たΔ値に基づいて前記M-1個の区間の端点のチャネル品質パラメーター値を前記M個の目標チャネル品質パラメーター値として計算する、
によって前記チャネル品質パラメーターの適用範囲を区間に区分して前記目標チャネル品質パラメーター値を確定する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記選択手段は、下記の方式:
すべての可能な変調方式と符号化方式の組合せにおける組合せごとに対して、システムシミュレーションにより、通信システムの中でこの種類組合せを応用した場合に予定の伝送要求を達成する時のチャネル品質パラメーター値を、この種類の組合せに対応するチャネル品質パラメーター値として確定し、
すべての可能な変調方式と符号化方式の組合せから、対応するチャネル品質パラメーター値がそれぞれM個の目標チャネル品質パラメーター値と等しい又はそれと最も接近するM種類の組合せを選択し、選択されたM種類の組合せを前記M個の目標チャネル品質パラメーター値の要求を達成するM種類の変調および符号化方式の組合せとする、
によって前記M種類の変調および符号化方式の組合せを選択する、請求項7に記載の装置。
【請求項13】
通信システムのために適切な変調および符号化方式の組合せを選択する請求項7乃至12の何れか1項に記載の装置と、
前記選択された変調および符号化方式の組合せの集合を通信システムの変調および符号化方式の組合せとして通信システムにおける送受信の両方に通知して、送受信の両方の間で互いに通信するときに使用するようにするための通知装置と、を含む通信システム。

【図1】
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【図4】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−81594(P2010−81594A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198374(P2009−198374)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】