説明

変調された光信号用の受信機及び変調された光信号を受信する方法

本発明は、照明デバイス、特にソリッドステート照明(SSL)デバイスからの変調された光信号を受信することに関する。本発明の目的は、主に特定の制限に制約された光(波)信号に対して効率的に作動するようになっている受信機および受信方法を提供することにある。この目的を達成するために、本発明は、所定の数のチップの符号シーケンスにより、キーイングされた変調された光信号のための受信機であって、変調された光信号を受信すると共に、受信した光信号を電気信号に変換する光センサーと、ある数のチップ周期中に電気信号のサンプルを取り込むサンプリング手段と、チップ周期の各々からの1つのサンプルを含むシーケンスを使用することにより、符号シーケンスとの内積を計算するための処理手段とを備える受信機を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明デバイスから、特にソリッドステート照明(SSL)デバイスから、変調された光信号を受信することに関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6,542,270B2号は、光通信のための変調方式を開示している。送信すべき信号は、疑似ランダムノイズ(PN)符号が乗算され、これにより符号化すなわち変調された光信号が生成される。受信機は、変調された光信号を変換し、この変換された信号とPN符号とを相関化して、この信号を復号化する。この種の信号送信のために適した光源として、ソリッドステート照明(SSL)デバイス、例えばLED(発光ダイオード)およびレーザーダイオードがある。多くの照明用LEDは、約1〜10MHzのレートで変調できるので、これらLEDを通して高い送信レートで情報を送信することが可能である。上記米国特許第6,542,270B2号によれば、送信のためのユニークなPN(疑似ノイズ)符号により光信号を符号化できる。これによってCDMA(符号分割マルチアクセス)無線通信システムと同じように、異なるPN符号で符号化されたいくつかの光信号を同時に送信することが可能となる。
【0003】
CDMA符号化された無線信号のための一般に知られている受信機として、固有の(ユニークな)PN符号を使って、受信した信号を復号化するレイク受信機がある。このレイク受信機は、基本的には着信CDMA信号と、予想される着信波形の基準コピーとを相関化する。無線通信システムでは、着信信号は時間に対して波形を拡散する分散チャンネルに置かれるので、受信機は、ダイレクトな着信信号だけでなく、この信号の適当に時間シフトしたバージョンを、送信機が使用した符号シーケンスの基準コピーと相関化する。異なる分散送信チャンネルに対応する信号のいくつかの時間シフトされたバージョンを得るために、着信信号を遅延要素により遅延させてもよいし、または着信信号を符号シーケンスの遅延されたコピーと相関化してもよい。レイク受信機のこれら2つの変形例は、数学的には等価的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、主に特定の制限を有する光(波)信号に効率的に作動するようになっている受信機および受信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、所定の数のチップを有する符号シーケンスでキーイングされた変調された光信号のための受信機であって、
変調された光信号を受信すると共に、受信した光信号を電気信号に変換する光センサーと、
ある数のチップ周期中に電気信号のサンプルを取り込むサンプリング手段と、
チップ周期の各々からの1つのサンプルを含むシーケンスを使用することにより、符号シーケンスとの内積を計算するための処理手段と、を備える受信機を提供するものである。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、所定の数のチップを有する符号シーケンスでキーイングされた変調された光信号を受信する方法であって、
変調された光信号を受信し、この信号を電気信号に変換するステップと、
ある数のチップ周期の間に電気信号のサンプルを取り込むステップと、
チップ周期の各々からの1つのサンプルを含むシーケンスを使用することにより、符号シーケンスとの内積を計算するステップと、を備える方法を提供するものである。
【0007】
本発明によれば、各々の長さが符号サイズに関連している2つのベクトルの内積を計算する。第1ベクトルは、異なる(好ましくは連続する)チップ周期からのサンプルを含み、よって各チップがベクトルの1つの値に寄与する。第2ベクトルは符号シーケンスの基準コピーである。
【0008】
本発明に係わる特徴は、所定の数のチップを有する符号シーケンスでキーイングされた変調された光信号を、光波通信のための特徴的な制限(例えば、高分散送信チャンネル)にもかかわらず、または光源が低速応答機能を有する場合でも、効率的に受信できるという利点を提供する。特に各チップは、その通信機能の他に照明条件も満たす。更に本発明は、発生される光の信号波形が照明条件(例えば、所望の照明強度によって規定されるデューティサイクル)により制限されるようなシステムに適す。本発明は、光変調方法がチップの(繰り返し)パターンを使用しており、各々が通信に使用されるサブ周期と、適応照明のために使用されるサブ周期とを有する場合、特に有効である。通常、光源としてのLEDに対しては、毎秒のオンオフのスイッチングの回数にも制限がある。スイッチングごとにかなりの量のエネルギーが失われるので、頻繁なオンオフスイッチングは望ましくない。従って、デューティサイクルが主に照明の制限によって決定され、一方、データが(平均的)デューティサイクルに無視できる影響しか及ぼさない場合に、比較的長い持続時間の(チップ)波形を選択できる。パルスのデューティサイクルが通信すべきデータにより決定されない場合、および同じチップ周期内でデータパルスが照明パルスに連結される場合にも、(チップ)波形を選択できる。すなわち、変調された情報は、特定の周期的位置(例えば、パルススタート点およびパルス終了点)に位置する。しかしながら、本発明は、照明パルスとデータパルスとが分離しており、すなわちチップが照明パルスと別のデータパルスとを含む(チップ)波形にも適している。本発明は、特定のチップ波形だけに限定されず、上記のような異なる波形を有する光信号を検出するのに適すと理解すべきである。光によるデータの伝送とは対照的に、CDMA無線通信におけるチップなる表記は、一般に符号シーケンスの単一要素を送信する間の短いパルスであると見なされる。本発明は、各チップが符号シーケンスの一部を送信する(データ)周期だけでなく、必要とされる光強度に応じ、ある時間の一部の間に光をオンにし、別の部分で光をオフにする照明周期も含むことができるように、この概念を拡張するものである。本発明(およびサンプルのサブセットを取り込むステップ)は、かかる光信号を受信すること、または検出することに特に適している。本発明の受信機は、特に、かかる(チップ)波形に適している。更に本発明は、何十個もの光源を有する複雑な照明システムにおけるケースとなっている、特にデータを同時に送信する多数の光源(例えばLED)に有用である。本発明によれば、データを検出するか、または光波チャンネルのパラメータを推定するために、異なる光源からの信号を分離できる。本発明の受信機は、特に各チップにおけるサンプルの異なるサブセットを使用するか、すなわち異なるサブセットまたはこれらサブセットの組み合わせとの内積を適用することにより、異なる光源からの別々の信号を分離できる。
【0009】
本発明の更なる拡張は、前記内積計算の複数の具体例(ブランチまたはフィンガー)を使用するものであり、ここでは異なるブランチは、各チップからのサンプルの異なるサブセットを使用する。異なるユーザー/光源からの信号を検出するように異なるブランチを設計できる。
【0010】
本発明に一実施形態によれば、処理手段は、チップ周期の各々からの異なるサンプルを含む数個のシーケンスを使用することにより、符号シーケンスとの数個の内積を計算するようになっており、内積計算の結果を組み合わせ、組み合わせの結果として決定信号を出力するようになっている組み合わせ手段を更に含むことができる。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、受信機の前記処理手段は、
多数の内積計算器であって、各計算器が、チップ周期の各々からの1つのサンプルを含むシーケンスを使用することにより、符号シーケンスとの内積を計算するようになっている多数の内積計算器と、
チップ周期からの異なるサンプルを異なる内積計算器に送るようになっているスイッチング手段と、を備える。内積計算器は、例えば相関器を含むことができる。更に、内積計算器は、受信したサンプルを関連するチップに対応する値で、例えば符号シーケンスの基準コピーからのサンプルで乗算するようにでき、符号シーケンスの基準コピーからのサンプルは、ダイレクトなサンプルでもよいし、または数個のサンプルを組み合わせることにより、光信号から、対応しない周波数成分を除くように、オーバーサンプリングした受信光信号に対して適用されるプリフィルタによって処理した複合サンプルでもよく、内積計算器は、乗算の結果をアキュムレートし記憶するためのアキュムレータを含むことができる。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、受信機の処理手段は、
シリアル−パラレルバッファ内に内積計算のために使用すべきすべてのサンプルを集めて内積ベクトルを形成し、
内積ベクトルについてのマトリックス演算を実行する。
【0013】
マトリックス演算は、内積ベクトルに対するウォルシュ−アダマード演算とすることができる。特に、マトリックス演算は、効率的に実施するためにバタフライ構造を有することができる。この演算は、異なる符号を有する多数の光源からの信号を抽出しなければならない場合に特に有効である。
【0014】
処理手段は、本発明のデジタル信号プロセッサによる受信機の一実施形態によれば、
メモリ内にすべてのサンプルを順次記憶し、
サブサンプリングを示すグループとして別の内積計算毎に記憶されたサンプルを使用するようになっている。
【0015】
符号シーケンスは、N2個のチップを含むことができ、サンプリング手段は、チップ周期毎にN1個のサンプルを取り込むことができる。本発明の一実施形態によれば、処理手段は、更に、
チップ周期内で同じサンプリング位置を有するN2個のサンプルからなるN1個のグループを、メモリのうちのN1個の列に記憶し、各サンプリング位置について内積ベクトルを形成すると共に、
各行内に符号シーケンスを含むマトリックスで各内積ベクトルを乗算することができる。
【0016】
代替的に、処理手段は、
チップ周期内に同じサンプリング位置を有するN2個のサンプルからなるN1個のグループを、メモリのうちのN1個の列に記憶し、各サンプリング位置について内積ベクトルを形成すると共に、
サイズN2×N2のウォルシュ−アダマードマトリックス演算のための入力としてN1個の内積ベクトルの各々を使用することができる。
【0017】
本発明の受信機の一実施形態によれば、内積計算の結果を重み付けファクターで重み付けできるので、内積計算の所定の結果を抑制または強調することができる。例えば、電気信号のパルスのエッジから取り込まれたサンプルの内積計算の結果を強調すると共に、電気信号のパルスの高いフェーズまたは低いフェーズ中に取り込まれたサンプルの内積計算の結果を抑制することが可能となる。
【0018】
本発明の受信機の一実施形態によれば、処理手段は、次の式に従ってj番目の内積djを計算するようになっている。
【0019】
【数1】

【0020】
(ここで、j=1,...,N1である。)ここで、AおよびBは、DC項を除去するようになっている。C[n]が等しい確率で値0および1をとる場合、有効な選択は、A=1かつB=0とすることである。
【0021】
本発明の受信機の別の実施形態によれば、更なる処理のために、内積計算の2k個の結果を受信することができ、
k個の結果の第1の組が「0」パルスのオンランプと「1」パルスのオンランプとの間のチップ周期内のサンプリング位置に対応し、
第1の組のk個の結果とは異なるk個の結果の第2の組が「0」パルスのオフランプと「1」パルスのオフランプとの間のチップ周期内のサンプリング位置に対応する。
【0022】
これによって、センサーによって受信され、電気信号に変換された異なる光信号のパルスを分離することが可能となる。
【0023】
本発明の受信機の別の実施形態によれば、所定の数のチップを有する符号シーケンスでキーイングされた変調光信号を受信する方法は、
チップ周期の各々からの異なるサンプルを含む数個のシーケンスを使用することにより、符号シーケンスとの数個の内積を計算するステップと、
内積計算の結果を組み合わせ、組み合わせの結果として決定信号を出力するステップと、を更に含むことができる。
【0024】
本発明の別の実施形態によれば、内積を計算するステップは、受信したサンプルと、関連するチップに対応する値とを乗算するステップと、乗算の結果をアキュムレートし、記憶するためのステップを備える。代替的に、内積を計算するステップは、内積計算のためのすべてのサンプルを集めるステップと、内積ベクトルを形成するステップと、内積ベクトルに対するマトリックス演算を実行するステップとを備え、マトリックス演算は、内積ベクトルに対するウォルシュ−アダマード演算とすることができ、特に、バタフライ構造を有することができる。
【0025】
本発明の代替的な実施形態によれば、内積計算ステップは、すべてのサンプルを順次記憶するステップと、サブサンプリングを示すグループとして別の内積計算毎に記憶されたサンプルを使用するステップとを備えることもできる。
【0026】
符号シーケンスは、N2個のチップを含むことができ、サンプリング手段は、チップ周期毎にN1個のサンプルを取り込むことができる。本発明の一実施形態によれば、内積計算ステップは、
チップ周期内で同じサンプリング位置を有するN2個のサンプルからなるN1個のグループを記憶し、各サンプリング位置について内積ベクトルを形成するステップと、
各行内に符号シーケンスを含むマトリックスで各内積ベクトルを乗算するステップとを備える。
【0027】
本発明の代替的な実施形態によれば、
内積計算ステップは、
チップ周期内で同じサンプリング位置を有するN2個のサンプルからなるN1個のグループを記憶し、各サンプリング位置に対する内積ベクトルを形成するステップと、
サイズN2×N2のウォルシュ−アダマードマトリックス演算のための入力としてN1個の内積ベクトルの各々を使用するステップとを備える。
【0028】
本方法は、内積計算の結果を重み付けファクターで重み付けするステップを更に含むことができる。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、次の式に従ってj番目の内積djを計算する。ただし、j=1,...,N1である。
【0030】
【数2】

【0031】
最後に本方法は、k個の結果の第1の組が、「0」パルスのオンランプと「1」パルスのオンランプとの間のチップ周期内のサンプリング位置に対応し、
第1の組のk個の結果とは異なるk個の結果の第2の組が、「0」パルスのオフランプと「1」パルスのオフランプとの間のチップ周期内のサンプリング位置に対応する更なる処理のために、内積計算の2k個の結果を受信するステップを更に含むことができる。
【0032】
本発明の別の実施形態によれば、コンピュータによって実行するときに本発明に係わる方法を実施するようにイネーブルされるコンピュータプログラムが提供される。例えば、このコンピュータプログラムは、制御信号をデジタル式に発生でき、発生された信号は、コンピュータのインターフェースを通して照明デバイス、例えばLED、または照明ボードの所定のLEDに出力できる。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、本発明に係わるコンピュータプログラムを記憶するのに記憶キャリア、例えばCD−ROM,DVD、メモリカード、フロッピー(登録商標)ディスク、または同様な記憶媒体を提供できる。
【0034】
本発明の別の実施形態は、本発明に係わる方法を実施するようにプログラムできるコンピュータを提供でき、
所定の数のチップの符号シーケンスでキーイングされた変調された光信号を受信し、受信した光信号を電気信号に変換するためのセンサーと、
コンピュータによって更に処理するために、ある数のチップ周期の間に電気信号のサンプルのサブセットを取り込むためのサンプリング手段とを含むことができる。
【0035】
本発明の別の実施形態によれば、光検出の機能と受信処理とを別のデバイス内に分離できる。特にハンドヘルドデバイスが光センサーおよび通信手段、例えば光測定値を中心コンピュータに送るための無線送信機とを含むことができる。本発明に係わる方法を実行するためのプログラムをコンピュータに組み込むことができ、コンピュータは内積計算を含む更なる処理のために、チップ周期のシーケンス中に電気信号のサンプルの数個のサブセットを取り込むための手段を含むことができる。
【0036】
本発明の別の実施形態によれば、本発明に係わる受信機を含む照明検出デバイスが提供される。照明デバイスは、本発明の一実施形態によれば、通信手段を含むことができ、この通信手段は、内積計算の結果を照明インフラストラクチャへ送信し、内積計算の結果を組み合わせ、組み合わせの結果として、照明インフラストラクチャの光源の設定を制御するための決定信号を発生する。
【0037】
以下、説明する実施形態を参照すれば、本発明の上記およびそれ以外の特徴が明らかとなろう。
【0038】
以下、実施形態を参照し、本発明について更に詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれら実施形態だけに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係わる、異なるように符号化された数個の光信号のための受信機の一実施形態のブロック図を示す。
【図2】PPMに従って2つのチップを変調する、本発明に係わるチップの周期中にサンプルを取り込むための時間ポイントを有する符号シーケンスの2つの異なるチップの一例を示す。
【図3】チップシーケンス「011」を含むシーケンスが「0」ビットを符号化し、チップシーケンス「100」を含む別のシーケンスが「1」ビットを符号化する、PPMで変調された3つのチップの2つの異なる符号シーケンスの一例を示す。
【図4】本発明に係わる1つの符号化された光信号のための受信機の一実施形態のブロック図を示す。
【図5】本発明に係わる受信された符号化光信号を処理するためのマトリックス演算を含む受信機の一実施形態のブロック図を示す。
【図6】本発明に係わるOOKに基づく符号のためのレイク受信機における簡略化されたデータ構造を示す。
【図7】本発明に従い、LED CDMA符号を識別するための相関化演算をパラレルに実行するための別の受信機のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
次の記載では、照明手段としてLEDを有する実施形態により本発明を説明するが、この実施形態は、発明を制限するものと理解してはならない。LEDによる通信をするために頻繁にオンオフスイッチングするのは好ましくない。というのは、スイッチングごとにかなりの量のエネルギーが失われるからである。このため、一般に比較的長い持続時間を有する波形が選択されるが、この場合、このパルスのデューティサイクルは、伝送すべきデータによって決定されるわけではない。変調された情報は、特定の周期的位置(例えば、発生される光パルスのパルススタート点およびパルス終了点)に位置する。
【0041】
図1は、いくつかの変調された光信号を受信し、異なる光信号を復号化する受信機10を示す。この受信機10は、受信した光信号を電気信号に変換するためのセンサー12(例えば、フォトダイオード、フォトトランジスタまたは他の感光性材料)と、この電気信号をサンプリングして、この電気信号のサンプルと光信号を変調するために使用された符号シーケンスのチップとの内積を計算する多数の計算器16へ、これらサンプルを周期的に送る周期的スイッチング手段14と、これら内積計算器16の出力からの信号を組み合わせる組み合わせ器18と、検出された光信号のためのいくつかの出力20と、を含む。内積計算器16は、受信したサンプルと、符号の所定のチップとを相関化するように構成された相関器である。
【0042】
受信機は次のように働く。受信した光信号、例えばCDMA(符号分割マルチアクセス)光信号は、センサー12により電気信号に変換される。次に、周期的スイッチング手段14のサンプラーは、電気信号のサンプルを取り込む。チップから取り込まれた各サンプルに対し、相関値16への寄与分が計算される。従って、周期的スイッチング手段から、関連する相関器16へ、各サンプルが送られる。こうして、相関器16の各1つは、この光信号を変調するために使用された符号シーケンスの1つのチップから別のサンプルを受信する。各相関器16は、受信したチップサンプルと、それぞれのチップの基準コピーとを(54内で)乗算し、これらの結果を累算(アキュムレート)する(56)。従って、相関器は、符号シーケンスの第1チップのサンプルだけでなく、他のすべてのチップのサンプルも受信する。相関器16の各々が、チップ周期のスタートからオフセットした特定の時間に符号の存在を観察するということを理解することが重要である。変調の性質により、異なる時間シフトにおいて同時に符号が存在し得る。換言すれば、相関器16の各々は、符号シーケンスの時間シフトしたサンプルを受信するので、どの相関器も符号シーケンスの適時に同期化したサンプルを受信することはない。更に、各相関器16は、光信号の全体の送信チャンネル内で特定の遅延時間を有するある種のチャンネルを提供するので、光送信チャンネルの分散に起因し、受信時のパルスの位置は送信時のパルスの位置とは多少異なる。受信機は、チップのすべての変調された部分から、または遅延及び時間分散したすべての受信信号成分からエネルギーを集めることができる。
【0043】
次に、相関器の機能について更に詳細に説明する。特定のソースの信号を探すだけの受信機に対し、相関器16は、典型的には、サブサンプリングされたセンサー信号と、送信のための光信号を変調するのに使用された符号シーケンスとの内積を計算する。この内積は、多数のサンプルの加法として計算される。各サンプルには、まずファクターが乗算され、このファクターは符号シーケンスの値に対応する。数学的にはj番目の内積は次のように計算できる。
【0044】
【数3】

【0045】
ここで、Y(i)は着信信号のi番目のサンプルであり、C[ ]は長さN2の符号シーケンスである。N1は厳密に1より大きい整数であり、j=1,2,...N1である。従来のレイク受信機とは異なり、各相関器16は互いに素なサンプルの組を使用しており、各サンプルは1つの関連する相関器16にしか入力されない。
【0046】
符号シーケンスは、2C[n]+1だけスケーリングした後に相関器16で使用され、この場合、2C[n]+1は、C[n]内で生じ得るDC成分を除くのに使用される。組み合わせ器18は多数の相関器16の出力を入力として使用し、決定変数を計算する。この決定変数は、光信号と共に送信されたユーザービットの値を推定するのに使用される。一部のアプリケーションでは、この決定変数は、むしろソースからの光信号の強度を推定するのに使用されるが、信号を変調するためのユーザーデータがない場合もあり得る。
【0047】
次に図2および3を参照し、受信機の作動についてより詳細に説明する。PPMチップパルスから成るCDMA光信号のための受信機について検討する。各PPMチップパルスは、図2に示されるように、CDMA信号の1つのチップであり、図2では水平軸は時間を示し、垂直軸は光の強度を示す。「0チップ」22は、チップ周期24の開始点でスタートするPPMパルスである。図2の下方の図に示されるように、「1チップ」26は、時間フレーム内でより遅れてスタートする。図3に示されるように、多数のチップが符号シーケンスを形成する。本例ではユーザービット「1」のための符号シーケンスは、「100」(図3における参照番号26)であり、符号シーケンスの長さはN2=3である。ユーザービット「0」に対してチップシーケンス「011」(図3における参照番号28)が送信される。
【0048】
図4は、ある特定の光信号を受信し、復号化するための受信機50を示す。図4では、(機能的に)同一の要素を示すのに、図1と同じ参照番号が使用されている。受信機50は、チップの持続時間よりもはるかに高いサンプリングレート(すなわち、「0」チップと「1」チップの異なる位置の差を決定するのに十分高いサンプリングレート)で、着信光信号から発生される電気信号をサンプリングする。図2及び図3では、時間軸上の、より小さいマーカーがサンプリング周期に対応している。どのチップ周期もN1=13のかかるサンプルから成る。より大きな2つのマーカーの間にチップ周期24が延びている。周期的スイッチング手段14は、各チップ周期24のうちの第1サンプル(すなわち、各サンプル1+jN1)を、多数の相関器52のうちの第1番目の相関器へ送る(ここで、jは任意の整数である)。周期的スイッチング手段14は、チップ周期24のうちの第2サンプル(すなわち、各サンプル2+jN1)を相関器16のうちの第2番目の相関器へ送り、同様に、相関器16のうちのN1番目の相関器までサンプルを送る。
【0049】
各相関器16は着信サンプルを取り込み、このサンプルに、符号「011」の基準コピーからの次の入力に対応する値を乗算する。入力が「1」である場合、相関器は1を乗算し、入力が「0」であれば−1を乗算する。その結果が、アキュムレータ56(または「加算器」)に記憶されている値に加算される。各アキュムレータ56は、N1×N2サンプルの周期毎に開始時にゼロにリセットされ、すなわち各符号の送信がスタートする前にゼロにリセットされる。周期の終了時には、各相関器52には、N2個のサンプルの合計がアキュムレートされる。複数の相関器52の出力は組み合わされる(例えば重み付けファクター58を用いて加算される)。この重み付けファクターは、チップ周期内のPPMパルスの位置に応じて決まる。本例では、第1相関器および第2相関器の出力は、それぞれw1=w2=+1で重み付けされる。というのは、変調された光信号の受信サンプルはPPMパルスのアップランプとなるからである。一方、7番目および8番目の相関器の出力は、w7=w8=−1で重み付けされる。というのは、これらサンプルはPPMパルスのダウンランプ(図2参照)、すなわち反転信号となるからである。他の相関器(例えば、4番目の相関器の重み付けファクターw4)は、0にセットすることができる。第1番目、第2番目、第7番目および第8番目の相関器の出力信号を組み合わせることにより、受信機は通信信号からの適当なエネルギーを(庭の熊手「レイク」を使うように)集める。ユーザービットについての決定は、この結果得られる信号に基づいて行うことができる。結果が正であれば、「1」が送信されたと推定される。負であれば、「0」が送信されたと推定される。
【0050】
次のように、受信機のいくつかの拡張例も可能である。
【0051】
多数のソースの信号(例えば、異なる符号シーケンスで変調されたいくつかの光信号)を同時に検出するように受信機を設計できる。これら異なる光信号は、種々のパラメータ(特に、チップ周期内のパルス位置)により、符号の選択時に区別することができる。
【0052】
光信号のすべてのソースが、「0」チップと「1」チップの位置が異なること以外は同じである符号を使用することも可能である。ここで、位置とは、図2及び図3で小さいマーカーにより示されるようなチップ周期内の位置を意味する。位置の番号は、チップ周期内の位置のロケーションを意味し、例えば、位置1は最初の位置(すなわち、チップ周期内の最初のマーカー)を意味する。例えば、「1」チップパルスは、位置4、5、6、7、8、9、10、11、12をカバーし、一方、「0」チップは、位置7、8、9、10、11、12、13、14、15をカバーする。よって、相関器の互いに素な異なる組内で、その信号を見るようになる。組み合わせ器は、これら異なる相関器を使用する。すなわち、信号を抽出するのに位置4、5、6および13、14、15に対して設けられた相関器を使用する。適当な2ソースの受信機は、位置1、2、4、5、6、7、8、13、14、15のための共通するフォトダイオード、共通する周期的スイッチング手段および相関器と、10個の入力および2つの出力を有する組み合わせ器を有する。
【0053】
第1の光源が、単一のユーザーのための例で使用されるような位置を使用しており、第2の光源が、部分的にオーバーラップするような変調された位置の組を使用している場合には、特殊なケースが生じる。すなわち、「1」チップパルスが位置6、7、8、9、10、11をカバーしており、他方、「0」チップが位置8、9、10、11、12、13をカバーしている場合である。組み合わせ器は7番目の相関器の出力を無視できる。というのは、この出力は2つの異なる光源からの値を含むからである。代替的に、ユーザーデータおよびノイズを有するリニア方程式の系に対して、相関器の出力を未知の値として認識することができる。光信号1をS1として示し、光信号2をS2として示すと、次のようになる。
相関器の出力1=信号1+ノイズ1
相関器の出力2=信号1+ノイズ2
相関器の出力6=−信号2+ノイズ6
相関器の出力7=−信号1+信号2+ノイズ7
相関器の出力8=−信号1+ノイズ8
相関器の出力12=−信号2+ノイズ12
相関器の出力13=−信号2+ノイズ13
数字はチップ周期内のサンプル位置を示す。
次に相関器は、最小二乗平均誤差基準に基づき、信号1および信号2に対する推定値を計算できる。実際には、相関器1、2、6、7、8、12および13の出力から、S1およびS2を推定するための特定の最適リニア重み付けファクターが得られる。
【0054】
他方、光源が異なる符号を使用している場合、相関化動作は、使用されている符号の各々の内積を見つけなければならない。特別なケース、例えば符号が互いに周期的にシフトしている場合、または符号がウォルシュ−アダマードマトリックスに従った構造となっている場合には、効率的な実行が可能である。
【0055】
1つの可能性は、シリアル−パラレルバッファ内の内積計算器毎に各々が送られるN2の値すべてを収集し、このベクトルに対してマトリックス演算を実行することである。有効な例は、マトリックス演算がこのベクトルに対するウォルシュ−アダマード(WH)演算となる例であり、この場合、WH演算の効率的なバラフライ実行を利用できる。後に説明するように、かかるケースでは演算のうちのN2個の出力からの出力値2,..N2は、N2−1の異なるユーザーからの異なる信号寄与分を示し、最初の値は環境の光およびその他の光源からの寄与分を含む平均的照明強度を示す。すなわち、そのフィンガーに対応する時間シフト中の照明期間をたまたま有する寄与分である。
【0056】
図5は、データメモリを有するデジタル信号プロセッサでの代表的な実行に関係する一実施形態を示す。この信号処理演算は、図5に示される方式に従うDSPで実行される。メモリ10は、インターリーバーの構造に類似するように描かれている。この図は、サンプルがメモリに順次書き込まれるが、これらサンプルがサブサンプリングを示すグループ内でさらに内積計算毎に使用されることを示している。
【0057】
フルマルチ信号受信機では、すべての列(コラム)が符号ベクトルとの内積を決定するのに使用される。この内積を計算する例は次のとおりである。
1.ベクトルのすべてのエントリーを符号の値に対応する値で乗算する。
2.バラフライ構造を使用して効率的に実行できるウォルシューアダマードマトリックス演算(サイズN2×N2)に対する入力として、N1のコラムの各々を使用する。
【0058】
周期的スイッチング手段および内積のための計算器の出力は、1つの(ポータブル)デバイスで実現でき、このデバイスは、例えば照明インフラストラクチャにおけるコントローラの一部とすることができる別のデバイスと通信するためのケーブルまたは無線手段も有する。計算器の出力は、(ポータブル)デバイスから他のデバイスへ送られ、この他のデバイスは、例えばどの信号が受信されたかを判断するために出力を組み合わせできる照明コントローラである。
【0059】
本発明の受信機の作動は、ON−OFFキーイング(OOK)方式で変調された光信号を受信する場合にも適す。というのは、搬送すべきデータに応じてLEDをオンまたはオフに制御するよう、パルスの一部をスイッチングすることによってこのデータが搬送されるからである。以下の記載では、OOK方式で変調された光信号の受信および内積計算の結果を組み合わせた後の決定信号(またはビット)の決定について詳細に説明する。
【0060】
OOK方式に従って変調された光信号をフォトダイオードが検出し、受信及びサンプリングされた信号y(nT1)は、サイズN3=N12のメモリの入力へ送られる。このメモリは、N1個のサンプルが各行を満たすように、行ごとに満たすことができる。N2個の行が満たされると、メモリはフルシンボルのパルスで占有される。図6は、OOKに基づく符号に対して適合された受信機200(図7)で使用されるデータ構造150を示す。このデータ構造は、上記のようにサンプルを記憶するのに使用されるメモリの視覚化構造として見なすことができる。LEDの個々のパルスおよびそのOOK符号化されたプリフィックスは、データ構造(N1=12、N2=8、C=01100110を有するシステム)のシェード付き領域として示されている。
【0061】
メモリが完全なシンボルで満たされた後に、受信機200はメモリの対応する列に沿って符号との相関化を実行する。この相関化は、相関化を実行するための処理構造をシンボル化したブロック202内で実行される。数学的な条件では、n番目の列(n∈{0,1,...N1−1})およびl番目のユーザー(各ユーザーは自分のユニークな符号を有すると仮定する)に対し、下記の式に従ってi番目のビットに対する決定変数を計算する。
【0062】
【数4】

【0063】
ここで、jに対する合計は、符号のN2個の要素のすべてとの相関性を表す。上記式内のcjlは、ユーザーlに対する既知の符号シーケンスを与えるが、ym(iT3+jT2+nT1)はt=iT3+jT2+nT1でサンプリングされ受信された電気信号を示す。2/N2は、固定された正規化を示すことに留意されたい。
【0064】
LEDからセンサーへの光チャンネルは2つの主な効果を有する。すなわちこのチャンネルは、光を減衰すると共にノイズν(t)および他の光源からの干渉ζ(t)を加える。αl,mは、LEDlと検出器mとの間での伝達を示し、伝搬減衰の効果を含む。
更に、ζは環境光の強度を示す。
このチャンネルのモデルを挿入すると、次の式が得られる。
【0065】
【数5】

【0066】
この式は次のようにも記載できる。
【0067】
【数6】

【0068】
図7の受信構造200では、結果dil[n]はn番目のフィンガーとも称される。DC成分を有しない符号では、一定の環境光ζは決定変数に対して効果を及ぼさない。更に、直交符号の場合、l番目のものとは異なる信号からの寄与分はない。従って次の式が得られる。
【0069】
【数7】

【0070】
送信信号sli,j,nに対する式を挿入すると、受信信号dil[n]は次のようになる。
【0071】
【数8】

【0072】
上記式では、各LEDからの信号に対する符号シーケンスとの明示的な乗算が得られる。実際にウォルシュ−アダマード符号を用いると、図6に示されるような完全な列を取り込み、バタフライ構造を使用してウォルシュ−アダマード変換を実行しなければならない。この演算は、複雑なN2 2logN2の演算となる。この演算は、−1と1による乗算であるので、これら演算はN2 2logN2の加算に簡略化される。
【0073】
式を簡略化するために次のようにn番目のフィンガー内でノイズ
【数9】

を定義する。
【0074】
【数10】

【0075】
このノイズのばらつきは、N2σ2である。更に、<Cl,l>=N2を思い出すと、次の式が得られる。
【0076】
【数11】

【0077】
LEDlからの所望する主要信号は、フィンガーn= τil, τil +1,.. τil +kil-1 の出力に生じる。この信号は、パス減衰αl,mに対する送信機Ailにおけるそのときの振幅とそのときのシンボルbilの積に直接比例する。
【0078】
最も包括的なケースでは、(リニアな)組み合わせ(すなわち、ブロック204における決定パラメータにわたる重み付け和)は、次のような決定変数dilを発生させる。
【0079】
【数12】

【0080】
ここで、ξl = [ξ0l1l,..ξN1-1l] はl番目のLEDに対する重み付けのベクトルを示す。
【0081】
分析から分かるように、1つのフィンガー、すなわち、LEDlからのデータが存在するn= τil, τil +1,.. τil +kil-1 内の1つのフィンガーを観察するだけで、1つのLEDからの信号を検出でき、他の決定変数を無視できる。
【0082】
受信機200は、Ail αl,m wil としてl番目のLEDからのローカル照明を決定でき、この場合、デューティサイクルpil = wil N2 はローカルに知ることができる(例えばこの値が予め設定されているか、またはこの値がLEDによりデータと共に送られる場合)。
【0083】
ここで、ローカル光強度Ail αl,m は、次のように推定される。
【0084】
【数13】

【0085】
このデータビットは、次のように推定できる。
【0086】
【数14】

【0087】
本発明は、照明デバイス(例えば、単一のLED、多数のLEDまたは何十個ものLEDを含む照明ボード)の変調された光放射を受信し、符号(特に、光放射を変調するために使用されている拡散符号)を検出することにより、所定の照明デバイスの光放射を識別するのに適している。本発明は、数個の照明デバイス(例えば、何十個または何百個ものLEDを有するLED照明ボード)を含む照明手段からの光信号を受信し、復号化するのに適している。というのは、光放射を変調するために使用されている符号により、各照明デバイスの光放射を検出できるからである。受信及び復号化された光信号は、例えば光放射を制御するのに使用できる。この技術の用途の代表例は、LED照明ボードから発せられる光信号を受信し、復号化することにより、部屋内で使用されているLED照明ボードの照明を制御すると共に、ユーザーの好みに従って、ボードのそれぞれのLEDを調節するように構成されたルームコントローラである。本発明の別の利点は、異なる符号を送信し、および/またはチップ周期内の光パルスの異なるスタート位置を使用することにより、異なる光源からの光を区別するためのオプションにある。
【0088】
本発明の機能のうちの少なくとも一部、例えば内積計算は、ハードウェアまたはソフトウェアによって実行できる。ソフトウェアで実行する場合、本発明を実施する単一または多数のアルゴリズムを処理するために、単一または多数の標準的なマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを使用できる。
【0089】
本明細書における「含む」または「備える」なる単語は、他の要素またはステップが存在することを否定するものではなく、「1つの」または「ある」なる単語は複数存在することを否定するものではない。更に、特許請求項に記載されている参照符号は本発明の範囲を限定するものと見なしてはならない。
【符号の説明】
【0090】
10、15−−−受信機
12−−−−−−光センサー
14−−−−−−スイッチング手段
16−−−−−−内積計算器
18−−−−−−組み合わせ器
20−−−−−−決定信号
54−−−−−−相関器
100−−−−−メモリ
102−−−−−マトリックス
106−−−−−内積ベクトル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の数のチップを有する符号シーケンスでキーイングされた変調された光信号のための受信機であって、
前記変調された光信号を受信すると共に、受信した光信号を電気信号に変換する光センサーと、
ある数のチップ周期中に前記電気信号のサンプルを取り込むサンプリング手段と、
チップ周期の各々からの1つのサンプルを含むシーケンスを使用することにより、前記符号シーケンスとの内積を計算するための処理手段と、を備える受信機。
【請求項2】
前記処理手段は、チップ周期の各々からの異なるサンプルを含む数個のシーケンスを使用することにより、前記符号シーケンスとの数個の内積を計算するようになっており、
前記内積計算の結果を組み合わせ、組み合わせの結果として決定信号を出力するようになっている組み合わせ手段を更に含む、請求項1に記載の受信機。
【請求項3】
前記処理手段は、
多数の内積計算器であって、各計算器が、チップ周期の各々からの1つのサンプルを含むシーケンスを使用することにより、符号シーケンスとの内積を計算するようになっている多数の内積計算器と、
チップ周期からの異なるサンプルを異なる内積計算器に送るようになっているスイッチング手段と、を備える、請求項1または2に記載の受信機。
【請求項4】
内積計算器は、相関器を備える、請求項3に記載の受信機。
【請求項5】
内積計算器は、受信したサンプルと、関連するチップに対応する値とを乗算するようになっており、内積計算器は、前記乗算の結果を積算し、記憶するためのアキュムレータを備える、請求項3または4に記載の受信機。
【請求項6】
前記処理手段は、
シリアル−パラレルバッファ内に内積計算のために使用すべきすべてのサンプルを集めて内積ベクトルを形成し、
前記内積ベクトルについてのマトリックス演算を実行するようになっている、請求項1に記載の受信機。
【請求項7】
前記マトリックス演算は、前記内積ベクトルについてのウォルシュ−アダマード演算である、請求項6に記載の受信機。
【請求項8】
前記マトリックス演算は、バタフライ構造を有する、請求項7に記載の受信機。
【請求項9】
前記処理手段は、
メモリ内にすべてのサンプルを順次記憶し、
サブサンプリングを示すグループとして別の内積計算毎に前記記憶されたサンプルを使用するようになっているデジタル信号プロセッサにより実現されている、請求項1に記載の受信機。
【請求項10】
前記符号シーケンスは、N2個のチップを含み、
前記サンプリング手段は、チップ周期毎にN1個のサンプルを取り込むようになっており、
前記処理手段は、更に、
チップ周期内で同じサンプリング位置を有するN2個のサンプルからなるN1個のグループを、前記メモリのうちのN1個の列に記憶し、各サンプリング位置について内積ベクトルを形成すると共に、
各行内に符号シーケンスを含むマトリックスで各内積ベクトルを乗算するようになっている、請求項9に記載の受信機。
【請求項11】
前記符号シーケンスは、N2個のチップを含み、
前記サンプリング手段は、チップ周期毎にN1個のサンプルを取り込むようになっており、
前記処理手段は、更に、
チップ周期内に同じサンプリング位置を有するN2個のサンプルからなるN1個のグループを、前記メモリのうちのN1個の列に記憶し、各サンプリング位置について内積ベクトルを形成すると共に、
サイズN2×N2のウォルシュ−アダマードマトリックス演算のための入力として前記N1個の内積ベクトルの各々を使用するようになっている、請求項9に記載の受信機。
【請求項12】
内積計算の前記結果は、重み付けファクターで重み付けされる、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の受信機。
【請求項13】
前記符号シーケンスCは、N2個のチップを含み、
前記サンプリング手段は、チップ毎にN1個のサンプルYを取り込むようになっており、
前記処理手段は、次の式
【数1】

(ここで、j=1,....N1であり、AおよびBは、DC項を除去するのに使用される)に従ってj番目の内積djを計算するようになっている、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の受信機。
【請求項14】
k個の結果の第1の組が、「0」パルスのオンランプと「1」パルスのオンランプとの間のチップ周期内のサンプリング位置に対応し、
前記第1の組のk個の結果とは異なるk個の結果の第2の組が、「0」パルスのオフランプと「1」パルスのオフランプとの間のチップ周期内のサンプリング位置に対応する別の処理のために、前記内積計算の2k個の結果を受信するようになっている、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の受信機。
【請求項15】
所定の数のチップを有する符号シーケンスでキーイングされた変調された光信号を受信する方法であって、
前記変調された光信号を受信し、この信号を電気信号に変換するステップと、
ある数のチップ周期の間に前記電気信号のサンプルを取り込むステップと、
チップ周期の各々からの1つのサンプルを含むシーケンスを使用することにより、前記符号シーケンスとの内積を計算するステップと、を備える方法。
【請求項16】
チップ周期の各々からの異なるサンプルを含む数個のシーケンスを使用することにより、前記符号シーケンスとの数個の内積を計算するステップと、
前記内積計算の結果を組み合わせ、組み合わせの結果として決定信号を出力するステップと、を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記内積を計算するステップは、受信したサンプルと、関連するチップに対応する値とを乗算するステップと、前記乗算の結果を積算し、記憶するためのステップを備える、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記内積を計算するステップは、
内積計算のためのすべてのサンプルを集めるステップと、内積ベクトルを形成するステップと、前記内積ベクトルについてのマトリックス演算を実行するステップと、を備える、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記マトリックス演算は、前記内積ベクトルについてのウォルシュ−アダマード演算である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記マトリックス演算は、バタフライ構造を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記内積計算ステップは、
すべてのサンプルを順次記憶するステップと、
サブサンプリングを示すグループとして別の内積計算毎に前記記憶されたサンプルを使用するステップとを備える、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記符号シーケンスは、N2個のチップを含み、
サンプリング手段は、チップ周期毎にN1個のサンプルを取り込むようになっており、
前記内積計算ステップは、更に、
チップ周期内で同じサンプリング位置を有するN2個のサンプルからなるN1個のグループを記憶し、各サンプリング位置について内積ベクトルを形成するステップと、
各行内に符号シーケンスを含むマトリックスで各内積ベクトルを乗算するステップと、を備える、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記符号シーケンスは、N2個のチップを含み、
サンプリング手段は、チップ周期毎にN1個のサンプルを取り込むようになっており、
前記内積計算ステップは、更に、
チップ周期内で同じサンプリング位置を有するN2個のサンプルからなるN1個のグループを記憶し、各サンプリング位置について内積ベクトルを形成するステップと、
サイズN2×N2のウォルシュ−アダマードマトリックス演算のための入力として前記N1個の内積ベクトルの各々を使用するステップと、を備える、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
内積計算の前記結果を重み付けファクターで重み付けする、請求項15乃至23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記符号シーケンスCは、N2個のチップを含み、
チップ毎にN1個のサンプリングYを取り込み、
次の式
【数2】

(ここで、j=1,...,N1である)に従ってj番目の内積djを計算する、請求項15乃至24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
k個の結果の第1の組が、「0」パルスのオンランプと「1」パルスのオンランプとの間のチップ周期内のサンプリング位置に対応し、
前記第1の組のk個の結果とは異なるk個の結果の第2の組が、「0」パルスのオフランプと「1」パルスのオフランプとの間のチップ周期内のサンプリング位置に対応する更なる処理のために、前記内積計算の2k個の結果を受信するステップを更に含む、請求項15乃至25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
コンピュータに請求項15乃至26のいずれか1項に記載の方法を実施させるコンピュータプログラム。
【請求項28】
請求項27に記載のコンピュータプログラムを記憶する記憶キャリア。
【請求項29】
請求項15乃至26のいずれか1項に記載の方法を実行するようにプログラムされたコンピュータであって、
所定の数のチップの符号シーケンスでキーイングされた変調された光信号を受信し、前記受信した光信号を電気信号に変換するためのセンサーと、
前記コンピュータによって更に処理するために、ある数のチップ周期の間に前記電気信号の前記サンプルのサブセットを取り込むためのサンプリング手段とを含むコンピュータ。
【請求項30】
変調された光信号を受信し、受信した光信号を処理するためのシステムであって、
請求項15乃至26のいずれか1項に記載の方法に従って、受信した光の測定値を処理するようになっている光信号処理デバイスへ光の測定値を送るようになっている通信手段を含む光検出デバイスを備えた、システム。
【請求項31】
前記光検出デバイスは、ハンドヘルドデバイスであり、前記光信号処理デバイスは、請求項15乃至26のいずれか1項に記載の方法を実行するようにプログラムされたコンピュータであり、この光信号処理デバイスは、内積計算を含む更なる処理を行うために、チップ周期のシーケンスの間に前記電気信号のサンプルの数個のサブセットを取り込むための手段を含む、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
請求項1に記載の受信機を含む照明検出デバイス。
【請求項33】
前記内積計算の結果を照明インフラストラクチャへ送信し、前記照明インフラストラクチャの光源の設定を制御するよう、前記内積計算の結果を組み合わせ、この組み合わせの結果として決定信号を発生するようになっている通信手段を含む、請求項32に記載の照明デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−509797(P2010−509797A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535167(P2009−535167)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【国際出願番号】PCT/IB2007/054381
【国際公開番号】WO2008/053422
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】