説明

外殻ロボット駆動システム

外殻ロボットは、ロボット本体と、外殻の周囲でロボットを移動させるための少なくとも一つの駆動モジュールと、搭載型動力源と、この搭載型動力源から動力の供給を受ける駆動モジュール用の動力サブシステムとを含む。複数の永久磁石要素が、駆動モジュールと関連付けられており、かつ、それぞれ、外殻に隣接したときの非短絡状態と、外殻に隣接していないときの短絡状態との間で切り換え可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、典型的には船舶の外殻を掃除および/または検査するよう構成される外殻ロボットに、特にそうした外殻ロボット用の駆動モジュールに関する。
【0002】
本願は、この引用によって本明細書中に組み込まれる、35 U.S.C.§§119,120,363,365および37 C.F.R. §§1.55および1.78のもと2009年10月14日に提出された米国特許出願第12/587,949号の利益ならびにそれに対する優先権を主張する。本願は、2008年11月21日に提出された米国特許出願第12/313,643号ならびに2009年8月19日に提出された米国特許出願第12/583,346号に関連する。
【背景技術】
【0003】
船舶および水中構造体を掃除し検査するためのロボットが提案されている。そうしたロボットは、通常、船舶あるいは構造体外殻の周囲でロボットを移動させるための駆動サブシステムを含む。ある駆動サブシステムは磁気ホイールあるいはローラーを備える。特許文献1〜3を参照されたい。特許文献1に記載の磁気ホイールは、2,000ポンドを上回る保持力を提供すると述べられている。こうしたホイールを駆動するモーターおよびドライブトレーンは、強力な磁気的吸引力に打ち勝つのに十分なトルクを提供する。たとえば、モーターは400RPMを実現する24ボルトDCモーターであると述べられている。
【0004】
別な駆動サブシステムは、ローラーおよび吸引によって外殻に対してロボットを張り付かせる何らかの手段を含む。特許文献4〜6を参照されたい。あるものは、ローラーあるいはホイールと、外殻から離間した磁石とを使用する。特許文献7〜9を参照されたい。特許文献10は、外殻に対してロボットを押し付ける、モーターによって駆動されるインペラを開示している。
【0005】
磁気トラックおよび磁気シューを備えたトラックもまた提案されている。全てが磁石によって加えられる抵抗力を制御するよう選択的に給電可能な電磁石を開示している特許文献11〜14を参照されたい。特許文献15(この引用によって本明細書中に組み込まれる)は、それぞれ連続的に吸引力を加える永久磁石を含む二つのトレッドを備えたブラスト掃除デバイスを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,628,271号明細書
【特許文献2】米国特許第3,088,429号明細書
【特許文献3】米国特許第2,104,062号明細書
【特許文献4】米国特許第4,809,383号明細書
【特許文献5】米国特許第6,102,145号明細書
【特許文献6】米国特許第6,053,267号明細書
【特許文献7】米国特許第6,564,815号明細書
【特許文献8】米国特許第3,922,991号明細書
【特許文献9】米国特許第3,777,834号明細書
【特許文献10】米国特許第4,697,537号明細書
【特許文献11】米国特許第3,960,229号明細書
【特許文献12】米国特許第2,132,661号明細書
【特許文献13】米国特許第4,690,092号明細書
【特許文献14】米国特許第4,890,567号明細書
【特許文献15】米国特許第5,285,601号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
いくつかの提案された掃除ロボットは、ロボットと船舶に搭載された電源との間に接続されたテザーあるいはケーブルを介して給電される。だが、外殻ロボットがより自立的に動作することが有利であり、この場合、駆動サブシステム、掃除ブラシなどのための電源は、通常はバッテリーあるいはバッテリーパックの形態で、ロボットに搭載されるであろう。電磁石を含む駆動サブシステムは好ましくない。というのは、電磁石は作動のための過度の電力を必要とするからである。駆動サブシステム用の高電圧高出力モーターもまた、バッテリーが使用される場合には好ましくない。同時に、永久磁石が使用され、かつ、それが適度に強力な吸引力を提供する場合、適切な駆動サブシステムを設計するのが困難になる。
【0008】
その譲受人によって2008年11月21日に提出された同時係属米国特許出願第12/313.643号は、船舶の航行中に外殻を経て流動する水によって駆動されるタービン/発電機サブシステムを介して充電されるバッテリーパックを備えたロボットを提案している。このようにして、外殻ロボットは、船舶外殻を連続的に掃除しかつ/または検査することができる。そうした外殻ロボットにおいては、永久磁石型駆動トラックが望ましい。だが、上述したように、駆動サブシステムはバッテリー給電されるので、永久磁石によって供給される吸引力を制御するための機構が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ある実施形態は、ある態様において、船舶の航行中に、外殻を経て流動する流体によって動力が供給される外殻掃除および/または検査ロボットに関する。好ましい駆動モジュールは、トンネル体によって拘束されかつ短絡状態と非短絡状態との間で切り換え可能な複数の永久磁石要素を含んでいてもよい。このようにして、磁石は、それらがトンネル体に沿ってその移動の終点に達したとき短絡させられ、そして、バッテリーパワーを保存するためにそれが外殻と再び係合するまで短絡状態のままである。その非短絡状態では、磁石は、船舶の外殻に外殻ロボットを保持するのに十分な吸引力を提供する。別な実施形態では、その駆動モジュールは、外郭掃除および/または検査ロボット以外のシステムと共に使用されてもよい。
【0010】
外殻ロボットの一例は、ロボット本体と、外殻の周囲でロボットを移動させるための少なくとも一つの駆動モジュールと、搭載型動力源と、搭載型動力源から動力の供給を受ける駆動モジュール用の動力サブシステムとを具備してなる。複数の永久磁石要素は駆動モジュールと関連付けられ、それぞれ、外殻に隣接したときの非短絡状態と、外殻に隣接していないときの短絡状態との間で切り換え可能である。
【0011】
動力サブシステムは、外殻を経て流動する流体から動力の供給を受ける少なくとも一つのタービンと、搭載型動力源を充電するためにタービンによって駆動される発電機と、駆動モジュールを駆動する搭載型動力源から動力の供給を受けるモーターとを含んでもよい。典型的な搭載型動力源は少なくとも一つのバッテリーを含む。
【0012】
あるバージョンでは、各磁石要素は、ハウジング内に回転可能に配置された、直径に沿って着磁させられた円柱形磁石を含む。好ましいハウジングは、強磁性素材間に挟み込まれた非磁性素材を含む。各磁石要素はさらに、短絡状態と非短絡状態との間でハウジング内で円柱形磁石を回転させるための、円柱形磁石に対して取り付けられたスイッチを含んでいてもよい。
【0013】
ある例では、駆動モジュールはトンネル体を含んでもよく、かつ、各磁石要素は、トンネル体に対して移動するキャリッジを含んでもよい。トンネル体は対向する側方トラックを含んでもよく、この場合、キャリッジはトンネル体の側方トラック内を移動する離間したベアリングを含む。典型的なトンネル体はドライブトレーンを支持してもよく、そして各キャリッジはドライブトレーンに連結される。ある例では、ドライブトレーンは、チェーンと係合する離間したスプロケットの周囲にチェーンを含んでもよい。各キャリッジは、通常、チェーン内へと延在する少なくとも一つのコネクターを含む。
【0014】
さらに、トンネル体を支持する離間したパネルが存在してもよい。複数の撓み部が、通常、各支持パネルとトンネル体との間で延在してもよい。ある例では、トンネル体はセグメント化され、かつ、各セグメント当たり少なくとも一つの撓み部が存在する。一方あるいは両方のパネルは、それ自体に閉ループ溝を含んでいてもよい。磁気スイッチアセンブリはこの溝の中で移動し、かつ、この溝は、閉ループの対向端部において磁石を回転させるためにスイッチアセンブリを作動させるよう構成される。各磁石要素はまた保護カバーを含んでいてもよい。
【0015】
さらに着目すべきは駆動モジュールであり、これは複数の磁石要素を含み、そのそれぞれが、強磁性素材間に挟み込まれた非磁性素材とハウジング内へと延在する内腔を備えたハウジングと、内腔内に回転可能に配置された磁石と、磁石を回転させるためのスイッチアセンブリとを含む。各磁石のためのキャリッジは、少なくとも一つのベアリングおよびコネクターを含む。トンネル体は、キャリッジのベアリングのための少なくとも一つのトラックを含む。トンネル体のための少なくとも一つのサポートは、キャリッジのコネクターに取り付けられる。少なくとも一つのパネルがトンネル体を支持する。パネルは、通常、スイッチアセンブリを作動させるパネルにおける特徴部のようなスイッチアセンブリを作動させるための手段を含む。この特徴部は、トンネルの対向する端部において磁石を回転させるよう構成される。
【0016】
ある駆動モジュールは、それぞれ非短絡状態と短絡状態との間で切り換え可能な複数の永久磁石要素と、その状態を変化させるために各永久磁石要素を回転させる各磁石要素のためのスイッチアセンブリと、永久磁石要素を拘束するトンネル体と、永久磁石要素に対してトンネル体を動かすためのドライブトレーンとを特徴とする。ある例では、ドライブトレーンは、トンネルアセンブリによって回転可能に支持された離間したホイールと、永久磁石要素に対して連結されたホイールの周りのフレキシブルな部材とを含む。
【0017】
したがって、本発明は、ある実施形態において、上記目的の全てを達成する必要はなく、特許請求の範囲はこれらの目的を達成できる構造あるいは方法には限定されない。
【0018】
好ましい実施形態に関する以下の説明ならびに図面から、その他の目的、特徴および利点は当業者にとって明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】外殻ロボットの一例の底部の概略斜視図である。
【図2】図1の外殻ロボットと関連付けられた一次サブシステムの概略図である。
【図3】典型的な外殻掃除ロボットと関連付けられたサブシステムのいくつかを示すブロック図である。
【図4】駆動モジュールの一例と関連付けられたコンポーネントのいくつかを示す部分的な前側概略斜視図である。
【図5】駆動モジュールの一例と関連付けられた切り換え可能な永久磁石要素の一例を示す部分的な前部概略斜視図である。
【図6】図5の永久磁石要素を、その短絡状態で示す概略側断面図である。
【図7】図5の永久磁石要素を、その非短絡状態で示す概略側断面図である。
【図8】個々の永久磁石要素を拘束するトンネル体の一例の側部概略斜視図である。
【図9】永久磁石要素に対してトンネル体を駆動する機構の一部の一例を示す概略側断面図である。
【図10】分割されたトンネル体の側部概略斜視図である。
【図11】図10に示す分割されたトンネル体を柔軟に支持する離間したサイドプレート部材を示す前部概略斜視図である。
【図12】図11の撓み部材を詳しく示す前部概略斜視図である。
【図13】図11のパネルの一方の内側の概略斜視図である。
【図14】パネルの特徴部がスイッチアクチュエータとしてどのように機能するかを示す、図13に示されたパネルの概略斜視図である。
【図15】外殻ロボットの適所に複数の駆動モジュールを含む例を示す底面側概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下で説明する好ましい実施形態に加えて、本発明は他の実施形態も可能であり、しかもさまざまな様式で実施あるいは達成できる。したがって、本発明は、その適用に関して、以下で言及するかあるいは図面に示す構成の細部およびコンポーネントの配置に限定されるものではないことに留意されたい。ただ一つの実施形態について以下で説明する場合でも、発明は当該実施形態に限定されない。さらに、特許請求の範囲の記載は、特定の排除、制限あるいは放棄を明示する明確かつもっともな証拠が存在しない限り、制限的に解釈すべきではない。
【0021】
図1および図2は、組み合わされたタービン/発電機ユニット32aおよび32bを支持するロボット本体16を備えた外殻ロボット10の一例を示している。タービンは、船舶が航行しているとき、船舶外殻を経て流動する流体に反応し、たとえば、タービンインテークはスクリーン30の後方にあり、船舶外郭を経て流動する流体に反応する。タービンは発電機を駆動し、これが、今度は、バッテリーパック38を充電する。電子制御モジュール40は、モーターおよびロボット10に搭載されたその他のパワーデバイスと同様、バッテリーパック38によって給電される。通常、一つのモーターが、たとえば、ギア42bを駆動し、これが今度はギア42aおよび42cを駆動する。このようにして、掃除ブラジ36a〜36cが作動させられる。別なモーターが、通常は、駆動モジュール18と関連付けられるが、これは、外郭上でロボットを保持し、かつ、船舶外殻の周囲でロボットを移動させる。駆動モジュール18のためのモーターシステムは設計変更可能である。たとえば、タービンが直にモジュール18(および/またはブラジ36a〜36c)を駆動してもよい。さらに、ブラジ36a〜36cは別な様式で駆動されてもよい。一つ以上の駆動モジュールが存在してもよい。
【0022】
図3は、タービンサブシステム32(外殻を経て流動する流体によって作動可能な一つ以上のデバイスを含む)および電源40を再充電する発電機70を含む例を示している。モーター72aおよび72bなどの一つ以上のモーターが電源40によって給電される。モーター72aはドライブトレーン74aを介して駆動モジュール18を駆動する。ロボットの移動の方向は電子制御サブシステムによって反転させることができるが、これは、たとえばナビゲーションサブシステム78および/または通信サブシステム80からの入力に基づいてモーター72aの方向を反転させるよう構成されている。電子制御装置41もまた電源40によって給電される。同様に、モーター72bは、ドライブトレーン74bを介して、掃除サブシステム82(たとえば上述したような一つ以上のブラシ)を駆動する。モーター72bもまた電源40から給電される。別な実施形態では、一つ以上のモーターが、電気以外の動力源に基づいて作動してもよい。たとえば、流体駆動されるモーターが知られている。タービンサブシステムは、この場合、モーターへと圧力下の流体を圧送できる。掃除システムが受動的なもの(たとえばパッドおよび/またはスキージ)である場合、モーター72bおよびドライブトレーン74bは必要とされないであろう。別な実施形態では、タービンの駆動シャフトは、掃除ブラシおよび/または駆動モジュールに対して機械的に結合される。したがって、駆動モジュールのための動力サブシステムは変更可能である。
【0023】
図4は、好ましい駆動モジュールのあるバージョンの特定のコンポーネントを大まかに示している。通常は、要素100などの複数の永久磁石要素が存在する。スイッチアセンブリは、短絡および非短絡状態の間で要素100を切り換える。アクチュエータ104は、通常は、要素100が船舶外殻に隣接していない場合の短絡状態と、要素100が船舶外殻に隣接している場合の非短絡状態との間で、スイッチ102を動作させる。トンネル体106は、通常は、あるタイプのキャリッジ108を含む要素100の移動を制限するよう構成されている。矢印110で示すように永久磁石要素100に対してトンネル体106を駆動するための何らかの手段もまた存在する。
【0024】
図5は、永久磁石要素100が、ハウジング122の内腔内に回転可能に配置された直径に沿って着磁された円柱磁石120を含む設計を示している。ハウジング122は、強磁性素材126aおよび126b(たとえば、スチール)間に挟み込まれた非磁性素材124(たとえばアルミニウム、プラスチックなど)を含む。スイッチ102が円柱磁石120に取り付けられ、それを図6および図7に示すように回転させる。図6において、磁石120は短絡させられている。なぜなら、磁界は、N極から、強磁性素材126aおよび126bを通って外向きに、そしてS極へと流れるからである。船舶外殻130への磁石120の吸引力はこうして最小化される。スイッチ102を作動させることで図7に示すように磁石120が回転し、各極は強磁性素材126aあるいは126bに接近する。図示するように、S極は強磁性素材126aと接触状態となり、そしてN極は強磁性素材126bと接触状態となる。磁界は、磁石のN極からボディ126b内へと、船舶の外殻130へと、ボディ126aへと、そしてその後、磁石のS極へと戻るように流れる。この非短絡状態では、外殻130への磁石120の吸引力は最大化される。
【0025】
通常、スイッチ102は、永久磁石要素100が外殻上でのその移動の終点に達したとき磁石120を短絡させるよう作動させられ、そしてスイッチ102は、永久磁石要素102が外殻と再び接触磁石状態となるとき磁石120を作用させるために再び作動させられる。このようにして、電力使用量が最小化され、しかも、依然として、外殻上でロボットを保持するために付与された非常に強力な吸引力が存在する。電力使用量が最小化されるが、これは、電力が外殻から個々の永久磁石要素を分離させるのに消費されないからである。さらに、外殻へのダメージが最小化されるが、これは永久磁石要素が、それらが実際に外殻と接触状態となるまで、その非短絡状態へと切り換えられないからである。各永久磁石要素は、やはり船舶外殻へのダメージを低減するために保護カバーを備えていてもよい。目的は、磁石によって加えられる保持力を制御し、同時に、電磁石とは異なり電力を消費しない永久磁石を使用することである。
【0026】
図5はまた、離間した回転ベアリング140aおよび140bとコネクター142a〜142dを備えたキャリッジ108'を示している。ベアリング140aおよび140bはトンネル体106'の側方トラック内を移動する(図8)。図8において、長円形状の側方トラック152が示されている。
【0027】
図9は、トンネル体106'が、ホイール160(これはモーター72aおよびドライブトレーン74aによって駆動されてもよい(図3))を含む離間したスプロケットホイールなどのドライブトレーンを、どのように支持しているかを示している。チェーン162が離間したスプロケットホイールの周囲に延在している。永久磁石要素100aのキャリッジ108'のベアリング140bは、トンネル体106'のトラック152内に拘束され、そしてコネクター142cおよび142dはチェーン162内へ突出する。
【0028】
トンネル体106'はロボット本体10に固定されており(図1および図2)、かつ、その非短絡状態にある永久磁石要素100b〜100eは船舶外殻130に対して強力に引き付けられているので、チェーン162は、実際、トンネル体106'を前方(および後方)に駆動し、そして、これによってロボット本体は、スプロケットの周囲のチェーン162の循環によって船舶外殻に対して駆動される。
【0029】
図9はまた、永久磁石要素100aがスイッチ102のポジションによって短絡させられた状態を示している。永久磁石要素100xは、最初に外殻130に対して引き付けられるポジションとなる要素であるか、あるいは、それは、ロボットの移動の方向に依存して外殻を離れる。永久磁石要素100xがちょうど外殻130に対して引き付けられるポジションとなった場合、いったん永久磁石要素100xが永久磁石要素100bのポジションを占有すると、それは、図示する短絡ポジションからその非短絡ポジションへと切り換えられる。永久磁石要素100xがちょうど外殻130を離れた場合、あるいはまさに外殻を離れようとしている場合、それが永久磁石要素100bのポジションを占有した後に、それは短絡状態へと切り換えられる。
【0030】
図10は、トンネル体およびトラックシステムの連結が、外殻130に非均一部170aおよび170bが存在する状況で、各永久磁石要素のための接触面積を最大化することを可能とする、トンネル体106''のためのセグメント設計を示している。図11において、離間したパネル180aおよび180bは撓み部182aおよび182bを介してトンネル体106''を支持している(図11および図12)。通常、図12に示すように、各トンネル体セグメントのために少なくとも一つの撓み部が存在する。側方パネル180aおよび180bは、ロボット本体へ、あるいはロボット本体に回転可能に取り付けられたタレットに固定される。
【0031】
図11はまた、パネル180bの内側の閉ループ溝184aなどの作動機構を示している。図13に示すように、側方パネルのこの溝は、永久磁石要素のスイッチを作動させるよう機能する。溝端部186aおよび186bにはジョグが存在する。外殻ロボットの移動の方向が矢印188で示されるようなものであり、かつ、船舶外殻は図の下部に存在するならば、ジョグ186b永久磁石要素を短絡させるために永久磁石要素スイッチを作動させ、そしてジョグ186aにおいてスイッチは永久磁石要素をその非短絡状態へと復帰させるために再び作動させられる。図14は、より完全な切り換えアセンブリ102a〜102dを示しており、そして、どのようにして、スイッチ102がその短絡ポジションに存在するが、スイッチ102が溝ジョグ186aを介してその非短絡ポジションへと作動させられたかを示している。同様に、ジョグ186bは、トンネル体106'の前部および上部に対応するパネル180aの前部および上部の周囲でのその移動の残りの部分のために、スイッチ102cを短絡ポジションへと切り換える(図9)。
【0032】
図15は、ロボット本体に対して回転可能であってもよいタレット200に設けられた二つの完全な駆動モジュール18aおよび18bを示している。このようにして、タレット200は、船舶外殻周囲のロボットの移動の方向に関係なく、タービン/発電機アセンブリ32aおよび32bのインテークが船舶外殻を経て流動する水の方向と整列した状態を維持するために回転可能である。2009年8月19日に提出された米国特許出願第12/583,346号を参照されたい。
【0033】
ある好ましい設計においては、トンネル体は二つの機能を発揮する。すなわち、それは、永久磁石要素の移動を拘束し、そしてまた、永久磁石要素のキャリッジに連結された駆動機構(たとえば二つのスプロケット周りのチェーン)を収容する役割を果たす。こうした設計はまた、駆動アセンブリにおける弛みに対する構造的なサポートを提供する。側方プレートはまた二つの機能を発揮する。すなわち、それらはトンネル体を柔軟に支持し、かつ、それらは永久磁石要素のスイッチを作動させるための手段を含む。好ましい設計では、磁気要素は、ロボットの移動の方向に関係なく、その最小吸引状態と、その最大吸引状態との間で切り換えられる。本発明の限定は存在しないが、別な設計も可能である。
【0034】
典型的な外殻ロボットに関連付けられるその他の特徴は、背景技術において提示され、この引用によって本明細書中に組み込まれる文献に開示されている。さらに、その譲受人によって2008年11月21日に提出された米国特許出願第12/313,643号もまた、外殻ロボットと関連付けることができる、さらなる特徴を開示している。ここに開示された駆動モジュールは、しかしながら、そうした船舶外殻ロボットに関連した使用には限定されない。駆動モジュールは、たとえば、これに限定されるわけではないが、船舶外殻、水中構造体などを含む、いかなる強磁性体においても使用可能である。本明細書で用いている「外殻」は、この場合、広く、横断される構造体を意味する。
【0035】
それゆえ、本発明の特定の特徴はある図面に示され、別な図面には示されていないが、これは単に便宜的なものであり、各特徴は、本発明に基づいて、別な特徴のいずれかあるいは全てと組み合わせることができる。本明細書で用いている「含む」、「具備してなる」、「有する」、そして「備える」は、広くかつ包括的に解釈されるべきであり、いかなる物理的相互連結にも限定されない。さらに、本願に関して開示された実施形態は、唯一可能な実施形態として解釈すべきではない。
【0036】
さらに、この特許のための特許出願の手続の間に提出される補正は、提出された出願において提示された請求項要素の放棄ではない。当業者が、全ての可能な等価物を厳密な意味で包含するであろう請求項を起草するとは合理的は予期できず、多くの等価物は補正の時点では予見不可能であり、かつ、譲渡されるもの(もしあれば)の公正な解釈を超えており、補正の基礎をなす原理は多くの等価物に対する僅かな関連性以上のものは有しておらず、かつ/または出願人は、補正された請求項の要素に関する、ある想像上の置き換えを開示するとは予期できない。
【0037】
他の実施形態は当業者にとって明らかであり、それは特許請求の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0038】
10 外殻ロボット
16 ロボット本体
18 駆動モジュール
30 スクリーン
32 タービンサブシステム
36a〜36c 掃除ブラジ
38 バッテリーパック
40 電源
41 電子制御装置
42a, 42b,42c ギア
70 発電機
72a,72b モーター
74a,74b ドライブトレーン
78 ナビゲーションサブシステム
80 通信サブシステム
82 掃除サブシステム
100 永久磁石要素
102 スイッチ
104 アクチュエータ
106 トンネル体
108 キャリッジ
120 円柱磁石
122 ハウジング
124 非磁性素材
126a,126b 強磁性素材
130 船舶外殻
140a,140b 回転ベアリング
142a〜142d コネクター
152 側方トラック
160 ホイール
162 チェーン
170a,170b 非均一部
180a,180b パネル
182a,182b 撓み部
184a 閉ループ溝
186a,186b ジョグ
200 タレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外殻ロボットであって、
ロボット本体と、
外殻の周囲で前記ロボットを移動させるための少なくとも一つの駆動モジュールと、
搭載型動力源と、
前記搭載型動力源から動力の供給を受ける前記駆動モジュール用の動力サブシステムと、
それぞれ、前記外殻に隣接したときの非短絡状態と、前記外殻に隣接していないときの短絡状態との間で切り換え可能な、前記駆動モジュールと関連付けられた複数の永久磁石要素と、
を具備してなることを特徴とする外殻ロボット。
【請求項2】
前記動力サブシステムは、前記外殻を経て流動する流体から動力の供給を受ける少なくとも一つのタービンと、前記搭載型動力源を充電するために前記タービンによって駆動される発電機と、前記駆動モジュールを駆動する前記搭載型動力源から動力の供給を受けるモーターと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の外殻ロボット。
【請求項3】
前記搭載型動力源が少なくとも一つのバッテリーを含むことを特徴とする請求項1に記載の外殻ロボット。
【請求項4】
各磁石要素は、ハウジング内に回転可能に配置された、直径に沿って着磁させられた円柱形磁石を含むことを特徴とする請求項1に記載の外殻ロボット。
【請求項5】
前記ハウジングは、強磁性素材間に挟み込まれた非磁性素材を含むことを特徴とする請求項4に記載の外殻ロボット。
【請求項6】
各磁石要素はさらに、前記短絡状態と前記非短絡状態との間で前記ハウジング内で前記円柱形磁石を回転させるための、前記円柱形磁石に対して取り付けられたスイッチを含むことを特徴とする請求項4に記載の外殻ロボット。
【請求項7】
前記駆動モジュールはトンネル体を含み、かつ、各磁石要素は、前記トンネル体に対して移動するキャリッジを含むことを特徴とする請求項1に記載の外殻ロボット。
【請求項8】
前記トンネル体は対向する側方トラックを含み、かつ、前記キャリッジは前記トンネル体の前記側方トラック内を移動する離間したベアリングを含むことを特徴とする請求項7に記載の外殻ロボット。
【請求項9】
前記トンネル体はドライブトレーンを支持することを特徴とする請求項7に記載の外殻ロボット。
【請求項10】
各キャリッジは前記ドライブトレーンに連結されていることを特徴とする請求項9に記載の外殻ロボット。
【請求項11】
前記ドライブトレーンは、チェーンと係合する離間したスプロケットの周囲に前記チェーンを含むことを特徴とする請求項10に記載の外殻ロボット。
【請求項12】
各キャリッジは、前記チェーン内へと延在する少なくとも一つのコネクターを含むことを特徴とする請求項11に記載の外殻ロボット。
【請求項13】
前記トンネル体を支持する離間したパネルをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の外殻ロボット。
【請求項14】
各支持パネルと前記トンネル体との間で延在する複数の撓み部をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の外殻ロボット。
【請求項15】
前記トンネル体はセグメント化されており、かつ、各セグメント当たり少なくとも一つの撓み部が存在することを特徴とする請求項14に記載の外殻ロボット。
【請求項16】
各磁石要素は回転可能な磁石およびそれに対して取り付けられたスイッチアセンブリを含むことを特徴とする請求項13に記載の外殻ロボット。
【請求項17】
少なくとも一つの前記パネルはそれ自体に閉ループ溝を含み、前記スイッチアセンブリはこの溝の中で移動し、かつ、前記溝は、前記閉ループの対向端部において前記磁石を回転させるために前記スイッチアセンブリを作動させるよう構成されていることを特徴とする請求項16に記載の外殻ロボット。
【請求項18】
各磁石要素は保護カバーを含むことを特徴とする請求項1に記載の外殻ロボット。
【請求項19】
駆動モジュールであって、
複数の磁石要素であって、それぞれが、
強磁性素材間に挟み込まれた非磁性素材とハウジング内へと延在する内腔とを備えたハウジングと、
前記内腔内に回転可能に配置された磁石と、
前記磁石を回転させるためのスイッチアセンブリと、を含んでいる複数の磁石要素と、
少なくとも一つのベアリングおよびコネクターを含む各磁石のためのキャリッジと、
前記キャリッジの前記ベアリングのための少なくとも一つのトラックを含むトンネル体と、
前記キャリッジの前記コネクターに取り付けられた前記トンネル体のためのドライブトレーンと、
前記トンネル体のための少なくとも一つのサポートと、を具備してなることを特徴とする駆動モジュール。
【請求項20】
前記サポートは、前記スイッチアセンブリを作動させるための手段を含むことを特徴とする請求項19に記載の駆動モジュール。
【請求項21】
作動させるための前記手段は、前記スイッチアセンブリを作動させる前記サポート内の特徴部を含み、前記特徴部は前記トンネルの対向する端部において前記磁石を回転させるよう構成されていることを特徴とする請求項20に記載の駆動モジュール。
【請求項22】
駆動モジュールであって、
それぞれ非短絡状態と短絡状態との間で切り換え可能な複数の永久磁石要素と、
その状態を変化させるために各永久磁石要素を回転させる各磁石要素のためのスイッチアセンブリと、
前記永久磁石要素を拘束するトンネル体と、
前記永久磁石要素に対して前記トンネル体を動かすためのドライブトレーンと、を具備してなることを特徴とする駆動モジュール。
【請求項23】
各磁石要素は、強磁性素材間に挟み込まれた非磁性素材を含むハウジング内に回転可能に配置された、直径に沿って着磁させられた円柱形磁石を含むことを特徴とする請求項22に記載の駆動モジュール。
【請求項24】
各前記スイッチアセンブリは、前記短絡状態と前記非短絡状態との間で直径に沿って着磁させられた円柱形磁石を回転させることを特徴とする請求項23に記載の駆動モジュール。
【請求項25】
前記ドライブトレーンは、前記トンネルアセンブリによって回転可能に支持された離間したホイールと、前記永久磁石要素に対して連結された前記ホイールの周りのフレキシブルな部材と、を含むことを特徴とする請求項22に記載の駆動モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2013−505165(P2013−505165A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529755(P2012−529755)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/002693
【国際公開番号】WO2011/046592
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(507032166)レイセオン カンパニー (12)
【氏名又は名称原語表記】RAYTHEON COMPANY
【Fターム(参考)】