説明

外用剤組成物

【課題】 植物由来のワックスの反応生成物で、ラノリンに匹敵する抱水性を有する油性成分を配合した外用剤組成物を提供すること。
【解決手段】(1)ホホバワックス、ヒマワリ種子ワックス、ミモザワックスの3種の植物ワックスとポリグリセロール−3とを反応して得られる生成混合物を含有することを特徴とする外用剤組成物。
(2)上記抽出物0.01〜95.0重量%を含有する請求項1に記載の外用剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植物ワックスの反応生成物を含有する外用剤組成物に関する。さらに詳しくは、この反応生成物を抱水性に優れる油性成分として配合した外用剤組成物に関する。ここで外用剤組成物とは、シャンプー、リンス、洗顔フォーム等の洗浄剤、スキンケア化粧品、メーキャップ化粧品、ヘアケア化粧品、芳香化粧品、ボディー化粧品等の化粧品、医薬部外品、医薬品を含む。
【背景技術】
【0002】
洗浄剤、化粧品、医薬品等の外用剤組成物には皮膚からの水分の蒸散を抑制する、毛髪をセットする、使用感触を向上する、光沢を与える、口紅などを固化する等多種多用な目的でワックス(ロウとも呼ばれる)が配合される。
【0003】
動植物から得られるワックスは化学構造上、高級脂肪酸と高級アルコールのエステルが主成分であるが、他に遊離の脂肪酸、高級アルコール、炭化水素、樹脂などを含むこともある。
【0004】
このワックスの例としてはカルナウバロウ、キャンデリラロウ、ホホバ油、ミツロウ、ラノリンなど挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらワックスの中でラノリンはその抱水性(自身で水を包含する性質)が高く、皮膚上での塗布感触が良いことから古くから種々の外用剤組成物に常用されて来た。しかしながら、ラノリンは条件によっては皮膚刺激を起こすことがあり、また、最近消費者の志向として動物由来の原料を回避する傾向があることから、その代替原料が強く求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような状況下でなされたものであり、植物由来のワックスと保湿性の高いポリグリセリンとを反応させて得られる生成混合物を配合することで目的が達成できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明は、(1);ホホバワックス、ヒマワリ種子ワックス、ミモザワックスの3種の植物ワックスとポリグリセロール−3とを反応して得られる生成混合物を含有することを特徴とする外用剤組成物である。
【0008】
本発明は、また(2);上記抽出物0.01〜95.0重量%を含有する(1)に記載の外用剤組成物である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の反応生成混合物を5%含むバームは同量のラノリンを含むバームに比べて安定であり、水を15%まで均一に配合することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1は、ヒト皮膚(25名)に本発明の、ホホバワックス、ヒマワリ種子ワックス、ミモザワックスの3種の植物ワックスとポリグリセロール−3とを反応して得られる生成混合物5%を含有するバームを1日2回塗布した時の経皮蒸散水分量(TEWL)を測定したものである。4週間でコントロールの2倍、ラノリン5%を含有するバームと同等の数値を示し、本発明品のエモリエント効果が確認できた。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳述する。本発明に用いるホホバワックスはホホバの実から採取される油性成分で、C38〜48の不飽和脂肪酸と不飽和アルコールとのモノステルである。常温で液状であり、化粧品処方に配合して皮膚上での広がり、柔軟性を示す。
【0012】
本発明に用いるヒマワリ種子ワックスはヒマワリの種子から採取される油性成分で、主にC40〜56の脂肪酸とアルコールとのモノエステルであって本発明品の硬さと熱安定性に寄与している。
【0013】
本発明に用いるミモザワックスは、遊離のフィトステロール、C38〜48の脂肪族モノエステル、少量の炭化水素から成る。このワックスは本発明品の皮膚の保護効果とフィルム形成能に寄与している。
【0014】
本発明においては、上記の3種の植物ワックスとポリグリセロール−3とを反応するものであるが、得られる生成混合物は、ポリグリセロール−3 エステル、高級アルコール、出発の3種のワックスのエステル交換物、そして未反応の3種のワックスの生成混合物総

の商品名「ハイドラシア S」(HYDRACRE S)」として入手することができる。
【0015】
本発明は、上記の生成混合物を外用剤組成物に配合するものであるが、その配合量は、皮膚外用剤全量中に対し、0.01〜95.0重量%、好ましくは0.1〜10.0重量%である。0.01重量%より少ない配合では、抱水性、エモリエント効果、或いは固化機能、感触改善効果等が十分発揮できず、また、95.0重量%を超えて配合しても配合量に見合う機能が期待できない。
【0016】
本発明の皮膚外用剤には上記の必須成分以外に、通常、化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に使用される他の成分を配合することができる。かかる他の成分としては下記成分が例示される。本発明の皮膚外用剤は、上記必須成分にこれらの一種又は二種以上を配合して常法に従って製造される。
【0017】
油性成分として次のものを挙げることができる。オリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、アボガド油、小麦胚芽油、サフラワー油、モリンガ油、綿実油、大豆油、茶実油、ヒマワリ油、月見草油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、牛脂、馬脂、カカオ脂、モクロウ等の油脂類、カルナバロウ、キャンデリラロウ、ホホバ油、ミツロウ、ラノリン等のワックス類、流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン等の炭化水素、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の高級脂肪酸、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、バチルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール等の高級アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、オクタン酸セチル、2−エチルヘキサン酸セチル、ペンタエリスリトールテトラエステル、リンゴ酸ジイソステアリル、クエン酸トリエチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸フィトステアリル、エトキシジグリコールベヘネート、エトキシジグリコールオレエート、ヤシ油脂肪酸ブチレングリコール等のエステル類、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状ジメチルシリコーン油、アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、3次元網目構造シリコーン、シリコーンゴム等のシリコーン。
【0018】
多価アルコールとして次のものを挙げることができる。グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、エトキシジグリコール、ペンタンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール等。
【0019】
糖類として次のものを挙げることができる。ソルビトール、マンニトール、ショ糖、乳糖、キシリトール、マルチトール、トレハロース等。
【0020】
高分子化合物として次のものを挙げることができる。グアーガム、クインスシード、ペクチン、マンナン、カンテン、カラギ−ナン、キサンタンガム、カードラン、ゼラチン、カゼイン、コラーゲン等の天然高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩等の半合成高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ソーダ、POE・POP共重合体等の合成高分子、ベントナイト、ヘクトライト、マグネシウムケイ酸ナトリウム等の無機系増粘剤、両性メタクリル酸エステル共重合体、カチオン化セルロース、ポリ塩化ジメチルピペリジニウム、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、高分子シリコーン、シリコーンレジン等の被膜形成性高分子。
【0021】
界面活性剤として次のものを挙げることができる。高級脂肪酸石鹸、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アシルN−メチルタウリン塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、N−アシルアミノ酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、POEアルキルエーテルカルボン酸塩等のアニオン性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム等のカチオン性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等の両性界面活性剤、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビット脂肪酸エステル、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油、POEアルキルエーテル、POEPOPアルキルエーテル、POEアルキルアミン・脂肪酸アミド、PEG脂肪酸エステル、アルキルアミンオキサイド等のノニオン界面活性剤。
【0022】
色剤及び粉体、粒体として次のものを挙げることができる。黒酸化鉄、ベンガラ、黄酸化鉄、群青、カーボンブラック等の無機顔料、パール顔料、有機顔料、タール色素、天然色素等の色素、タルク、カオリン、雲母、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、無水ケイ酸、酸化チタン、雲母チタン、亜鉛華、ゼオライト等の無機粉体、ナイロンパウダー、ポリエチレン末、セルロースパウダー、シルクパウダー等の有機粉体、ナイロン、ポリエチレン、セルロース、ワックス、脂肪酸エステル、天然物からなる粒体。
【0023】
動植物抽出物として次のものを挙げることができる。ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム等のムコ多糖類、キチン・キトサン、コラーゲン、エラスチン、ペプチド等の動物抽出物、アロエエキス、オオバクエキス、オオヒレアザミ、オドリコソウエキス、カモミラエキス、カンゾウエキス、クルミの種子エキス、シコンエキス、シラカバエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、茶エキス、トウキエキス、ニンニクエキス、ニンジンエキス、ハマメリスエキス、ヒノキチオール、ビワ葉エキス、ブナの木の幼芽エキス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ヤナギランエキス、ケーパーエキス、キバナオランダセンニチエキス、クルミ種子エキス、モモ葉エキス、ユーカリエキス、ローズ水、アスパラゴプシスアルマタエキス等の植物抽出物。
【0024】
鉱物抽出物として次のものを挙げることができる。孔雀石、菱マンガン鉱石、菱亜鉛鉱石、赤鉄鉱等の抽出物。
【0025】
殺菌・防腐剤として次のものを挙げることができる。安息香酸、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸エステル(エチルパラベン、ブチルパラベン等)、トリクロロカルバニリド、フェノキシエタノール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジン、ジンクピリチオン、トリクロサン等。
【0026】
酸化防止剤として次のものを挙げることができる。没食子酸エステル、亜硫酸水素ナトリウム等。酸化防止助剤としては次のものを挙げることができる。リン酸、クエン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマール酸、ケファリン、フィチン酸、EDTA等。
【0027】
金属封鎖剤として次のものを挙げることができる。エデト酸塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸、リン酸、クエン酸、コハク酸、フィチン酸等。
【0028】
紫外線吸収剤として次のものを挙げることができる。2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸等のベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル等のパラアミノ安息香酸誘導体、パラメトキシ桂皮酸オクチル、ジパラメトキシ桂皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル等のメトキシ桂皮酸誘導体、サリチル酸オクチル等のサリチル酸誘導体、ウロカニン酸等。
【0029】
pH調整剤として次のものを挙げることができる。水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア水、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールアミン等のアルカリ剤、クエン酸、リン酸等の酸。
【0030】
各種薬剤して次のものを挙げることができる。アルブチン、コウジ酸、ビタミンC類等の美白剤、センブリエキス、γ−オリザノール、トウガラシチンキ、ニコチン酸ベンジルエステル、エストラジオール、エチニルエストラジオール、パントテン酸、感光素301等の育毛用薬剤、β−グリチルレチン酸、グリチルリチン酸誘導体、アラントイン、ε−アミノカプロン酸、酸化亜鉛、硫酸アルミニウム、タンニン酸、乳酸、メントール、副腎皮質ホルモン、抗ヒスタミン剤等の肌荒れ防止用薬剤、イオウ、サリチル酸、レゾルシン、塩化ベンザルコニウム、ハロカルバン等のニキビ用薬剤、クロルヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、酸化亜鉛等の制汗剤、ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2及びその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15及びその誘導体等のビタミンB類、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステル(塩)、アスコルビン酸ジパルミテート等のビタミンC類、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート、ビタミンEニコチネート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン等のビタミン類、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン、タウリン、アルギニン、ヒスチジン等のアミノ酸とこれらの塩酸塩。
【0031】
本発明の皮膚外用剤の剤型は液状、乳液状、クリーム状、ゲル状、エアゾールフォーム状、固形、粉末分散系など、通常皮膚外用剤として用いられる形態をとることができる。
【実施例】
【0032】
次に本発明について、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。配合量は特に断りがない限り重量%で示す。
【0033】
実施例1 化粧水

上記成分配合の化粧水を常法に従って調製した。
【0034】
実施例2 美容液

上記成分配合の美容液を常法に従って調製した。
【0035】
実施例3 スキンクリーム


上記成分配合のクリームを常法に従って調製した。
【0036】
実施例6 リップバーム

上記成分配合のリプバームを常法に従って調製した。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホホバワックス、ヒマワリ種子ワックス、ミモザワックスの3種の植物ワックスとポリグリセロール−3とを反応して得られる生成混合物を含有することを特徴とする外用剤組成物。
【請求項2】
上記抽出物0.01〜95.0重量%を含有する請求項1に記載の外用剤組成物。

【公開番号】特開2011−26286(P2011−26286A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187868(P2009−187868)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(391056701)池田物産株式会社 (22)
【Fターム(参考)】