説明

外用組成物

【課題】 安全性に優れ、皮膚に対して湿潤性を付与し、洗い流し易く、頭髪に対して柔軟性及び湿潤性を付与し、低温でも安定性が良好で分離が発生しない外用組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
一般式(1)で示される化合物の1種または2種以上からなる成分(A)を必須成分として含有してなる外用組成物である。
【化6】


式中、R1は炭素数6〜30の脂肪族または脂環式炭化水素基;XおよびYは水素原子または−CO−R2で示されるアシル基であり、R2は炭素数1〜30の脂肪族または脂環式炭化水素基であって、XおよびYのうちの少なくとも一方はアシル基であり;AOは炭素数2〜6のアルキレンオキシ基;mおよびnは0または1〜60の整数であり、少なくとも一方は0ではない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は外用組成物、詳しくは、1,2−ジオールのオキシアルキレン誘導体の脂肪酸エステルを含有する外用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧料や毛髪処理剤などの外用剤には、皮膚や毛髪からの水分蒸散抑制、滑らかさ及びツヤ等を付与する目的で油性基剤が広く使用されている。外用剤に使用される油性基剤は、その使用部位が人体の皮膚又は毛髪であるため、特に、安全性の観点から皮膚等に対して刺激や毒性の無いことが重要である。油性基剤としては、安全性の観点から、ヒト角質層に多く含まれるセラミド等を用いること等が試みられている(特許文献−1および2)が、セラミドは、融点が一般的に非常に高く著しい結晶性を示すことや、入手が困難であるために高価であること等の理由から、その用途は非常に限られたものとなっている。
また、1,2−アルカンジオールを外用組成物等に用いることは、N−長鎖アシルグルタミン酸アルカリ金属塩と組合せて皮膚に対する作用の温和な乳化剤として用いた水中油型乳化組成物(特許文献−3)や、アニオン性界面活性剤の皮膚刺激を緩和した界面活性剤組成物(特許文献−4)で開示されており、さらに1,2−アルカンジオールの脂肪酸エステルが外用剤として提案されている(特許文献−5)。さらには、1,2−アルカンジオールのアルキレンオキサイド付加物が界面活性剤として有用であることも知られている(特許文献−6)。
しかしながら、1,2−アルカンジオールは皮膚刺激性が強いという問題があり、1,2−アルカンジオールの脂肪酸エステルや1,2−アルカンジオールのアルキレンオキサイド付加物は、外用剤に使用されるその他の成分と混合された場合に、低温(例えば0℃以下)での安定性が悪く、しばしば分離を起こすという問題があった。
【特許文献−1】特公平6−57651号公報
【特許文献−2】特公平6−37429号公報
【特許文献−3】特公昭61−28367号公報
【特許文献−4】特公平7−59716号公報
【特許文献−5】特開2001−10921号公報
【特許文献−6】特開2002−114844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、安全性に優れ、皮膚に対して湿潤性を付与し、洗い流し易く、頭髪に対して柔軟性及び湿潤性を付与し、低温でも安定性が良好で分離が発生しない外用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者等は、上記の目的を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。
即ち、本発明は、一般式(1)で示される化合物の1種または2種以上からなる成分(A)を必須成分として含有してなる外用組成物である。
【0005】
【化3】

【0006】
式中、R1は炭素数6〜30の脂肪族または脂環式炭化水素基;XおよびYは水素原子または−CO−R2で示されるアシル基であり、R2は炭素数1〜30の脂肪族または脂環式炭化水素基であって、XおよびYのうちの少なくとも一方はアシル基であり;AOは炭素数2〜6のアルキレンオキシ基;mおよびnは0または1〜60の整数であり、少なくとも一方は0ではない。
【発明の効果】
【0007】
本発明の外用組成物は、安全性に優れ、皮膚に対して湿潤性を付与し、洗い流し易く、頭髪に対して柔軟性及び湿潤性を付与し、低温でも分離が発生しない外用組成物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の外用組成物は、一般式(1)で示される化合物の1種以上、好ましくは2種以上さらに好ましくは3〜30種からなる成分(A)を必須成分として含有する。
【0009】
【化4】

【0010】
一般式(1)において、R1は、好ましくは炭素数8〜20、さらに好ましくは8〜16であり、R1が炭素数6未満では成分(A)を含有する外用剤が十分な低温安定性が得られず、炭素数が30を超えても十分な低温安定性が得られない。
1のうちの脂肪族炭化水素基としては、直鎖または分岐のアルキル基(n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル、n−デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、アイコシル、ドコシル、3,5,7−トリメチルオクチル基等)および直鎖または分岐のアルケニル基(1−ヘキセニル、1−デセニル、6−ドデセニル、オレイル基等)などが挙げられる。
1のうちの脂環式炭化水素基としては、シクロアルキル基(シクロヘキシル等)、アルキルシクロヘキシル基(プロピルシクロヘキシル基、オクチルシクロヘキシル基等)、シクロアルキルアルキル基(シクロヘキシルブチル基、シクロヘキシルオクチル基等)およびシクロアルケニル基(2−シクロヘキセニル基)などが挙げられる。
1のうち好ましいのは、脂肪族炭化水素基であり、これらのうちの炭素数の異なる2種以上を併用してもよい。
【0011】
一般式(1)において、XおよびYは水素原子または−CO−R2で示されるアシル基であり、XおよびYのうち少なくとも一方は−CO−R2で示されるアシル基であって、XおよびYの両方がアシル基であってもよい。好ましいのは両方がアシル基、または両方がアシル基である化合物と一方がアシル基である化合物の併用である。
−CO−R2におけるR2は、炭素数1〜30の脂肪族または脂環式炭化水素基であり、上記のR1で挙げられた基の他に、脂肪族炭化水素基としては炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等)および直鎖または分岐のアルケニル基(ビニル基、プロペニル基、アリル基など)が挙げられる。
2のうち好ましいのは外用剤の低温安定性の観点から脂肪族炭化水素基である。
XおよびYがいずれもアシル基の場合の2個のR2は、いずれも同一の基であっても異なっていてもよいが、製造しやすさの観点から、好ましくは同一の基である。
【0012】
一般式(1)におけるAOで示される炭素数2〜6のアルキレンオキシ基としては、エチレンオキシ基、1,2−プロピレンオキシ基、1,3−プロピレンオキシ基、1,2−ブチレンオキシ基、1,4−ブチレンオキシ基および1,6−へキシレンオキシ基などが挙げられる。AOのうち、成分(A)を含む外用剤の低温安定性および皮膚刺激性の観点から好ましいのはエチレンオキシ基、1,2−プロピレンオキシ基およびこれらの併用である。
【0013】
一般式(1)において、mおよびnは0または1〜60の整数、好ましくは0または1〜30の整数であり、mおよびnのうち少なくとも一方は0ではなく、m+nは1〜120、好ましくは1〜60の整数である。
なお、mおよびnの両方が0である化合物としては、従来から公知の1,2−アルカンジオールのエステル化物が挙げられるが、1,2−アルカンジオールのエステル化物単独では、皮膚刺激性と外用剤の成分として使用した場合の低温安定性において不十分である。
【0014】
本発明における成分(A)は、一般式(1)に示されるように、少なくとも1つのアルキレンエーテル基(−O−(AO)−)を含有している。アルキレンエーテル基は親水基であり、この存在によって皮膚刺激性が低減されるとともに、成分(A)を含む外用剤の低温安定性に好都合であるものと推定される。
【0015】
また、本発明における成分(A)は、一般式(1)で示される化合物を2種以上含むことが好ましい。2種以上を含む場合、R1が異なる2種以上、Aが異なる2種以上、XおよびYが異なる2種以上、並びにm+nが異なる2種以上などの場合がある。これらのうち好ましいのはR1が異なる2種以上およびm+nが異なる2種以上であり、さらに好ましいのはm+nが異なる2種以上であり、特にm+nが異なる3種以上、とりわけ異なる3〜30種を有することが好ましい。m+nが異なる2種以上を有することによって、相乗的効果を発揮し低温安定性が向上し、さらには皮膚刺激性が低くなる傾向にある。
【0016】
本発明における成分(A)は、一般式(1)で示される化合物のm+nが異なる2種以上を含有する場合は、通常は、一般式(2)で示される1,2−ジオールにアルキレンオキサイドを付加反応させて得られるアルキレンオキサイド付加物のカルボン酸エステルである。
【0017】
【化5】

【0018】
式中、R1は炭素数6〜30の脂肪族または脂環式炭化水素基である。
【0019】
一般に、アルキレンオキサイド付加物は、アルキレンオキサイドの付加モル数の分布があり、付加モル数の異なる2種以上の化合物の混合物である。
本発明における1,2−ジオールの1分子当たりのアルキレンオキサイドの平均付加モル数は、好ましくは0.5〜50、さらに好ましくは0.5〜40、特に好ましくは0.5〜30である。平均付加モル数が0.5以上であれば成分(A)を含む外用剤の低温安定性が発揮しやすく、かつ皮膚刺激性が低くなる。また、平均付加モル数が60以下、特に40以下であれば低温安定性十分に発揮し易い。また、混合物を構成するそれぞれの化合物におけるアルキレンオキサイドの付加モル数は、好ましくは1〜120、さらに好ましくは1〜60である。
【0020】
なお、アルキレンオキサイド付加物において、付加モル数が0の化合物、即ち、未反応1,2−ジオールは少ないほど好ましいが、1,2−ジオールに比較的少ないモル数のアルキレンオキサイドを付加反応させる場合に、未反応1,2−ジオールが残存しやすい。未反応1,2−ジオールの含有量は、得られたアルキレンオキサイド付加物の重量(100重量%)に基づいて50重量%未満であることが好ましく、さらに好ましくは40重量%以下、特に好ましくは30重量%以下である。50重量%未満であれば、本発明の効果が発揮しやすく、臭気も少なく、そのカルボン酸エステルである成分(A)を含む外用剤の低温安定性および皮膚刺激性の観点で好ましい。なお、未反応1,2−ジオールが50重量%未満残存していても、そのアルキレンオキサイド付加物が共存していると、そのカルボン酸エステルの低温安定性はアルキレンオキサイド付加物の効果が発現する傾向にある。また、皮膚刺激性についても同様に、未反応1,2−ジオールを含有していても、そのカルボン酸エステルの皮膚刺激性への影響はアルキレンオキサイド付加物によって打ち消される傾向にある。
【0021】
1,2−ジオールのアルキレンオキサイド付加物は、通常のアルキレンオキサイド付加反応によって製造することができる。
【0022】
例えば一般式(2)で表される1,2ジオールに、アルカリ性触媒(アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属酸化物など)または酸触媒(硫酸、塩酸などの無機酸、BF3などのルイス酸など)を使用して、温度90〜180℃、圧力0.3MPa以下で所定量のアルキレンオキサイドを圧入しながら反応させて得られる。また、特開2002−114844号公報に記載の製造法における特定の触媒( Hammetの酸度関数による酸強度H0が−30.0〜−11.0の酸またはその金属塩、並びに シュレディンガーの波動方程式における最低空軌道が−10〜−3である金属の強酸塩など)を使用する製造法であってもよい。
【0023】
アルキレンオキサイドの付加モル数の分布は、試料を過剰のフェニルイソシアネート(試薬特級)と反応させて水酸基をラベル化した後、液体クロマトグラフィーによって、下記の条件で測定することができる。
機 種;島津製作所製 LC−10ADVP
カラム:μ−Porasil(Waters)
移動相;2%イソプロピルアルコール/ブチルクロライド〜
32%イソプロピルアルコール/ブチルクロライド
までグラディエント
検出器;UV(240nm)
温 度;40℃
各付加モル数のピークの面積をそれぞれ該当する付加モル数の化合物の分子量で割ったときの値の比から、各付加モル数の重量比を知ることができ、それに基づいて重量%を算出できる。
【0024】
本発明におけるアルキレンオキサイド付加物のエステル化物は、上記のアルキレンオキサイド付加物と下記一般式(3)で示されるカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体とのエステル化反応によって製造できる。
2−COOH (3)
式中のR2は上記のR2で挙げた基と同様の基が挙げられる。
エステル形成性誘導体としては、カルボン酸ハロゲン化物(カルボン酸クロライドおよびカルボン酸ブロマイド等)、カルボン酸無水物およびカルボン酸低級アルキル(炭素数1〜4のアルキル基)エステルなどが挙げられる。
エステル化反応は、カルボン酸でエステル化する場合は、触媒として無機酸(硫酸、塩酸、硝酸、リン酸など)または有機酸(p−トルエンスルホン酸など)を使用して、80〜150℃で加熱攪拌して系外に水分を除去しながら進行させることができる。また、カルボン酸ハロゲン化物もしくはカルボン酸無水物でエステル化する場合は、無触媒もしくはピリジンなどの触媒を使用して、80〜150℃で加熱攪拌して進行させることができる。
エステル化反応終了後は、必要により触媒除去、脱酸および脱色などを行って精製してもよい。
【0025】
本発明における成分(A)が、一般式(1)で示される化合物のうちの、mが1でnが0である化合物とmが0でnが1である化合物の2種の混合物である場合は、通常は、低分子量ジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどの炭素数2〜6のジオール)と長鎖脂肪族1,2−エポキシ化合物(例えば、1,2−エポキシドデカンなど)との反応によって得られる付加物のカルボン酸エステルであり、付加物の製造は、例えば、特開2003−96435号公報などに記載の方法で製造することができる。
【0026】
本発明における成分(A)は、25℃で、通常は固状または液状であり、取り扱いのしやすさの観点から、好ましくは液状である。
【0027】
本発明の外用組成物は、上記の成分(A)を必須成分として含有する外用組成物であり、化粧料、医薬部外品、医薬などの皮膚用組成物および毛髪用組成物として使用されるものである。化粧料としては、ローション、乳液、クリーム(クレンジングクリームなど)、パック類、洗顔剤、ファンデーション類、口紅類、入浴剤等が挙げられる。毛髪用組成物としてはシャンプー、リンス、ヘアートリートメント、ヘアーコンディショナー、ヘアクリーム等が挙げられる。
【0028】
本発明の外用組成物に含まれる、成分(A)以外の成分としては、化粧品、医薬部外品、医薬品等に通常配合される成分を用いることができる。
例えば、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、油分、多価アルコール類、糖類、ビタミン類、植物抽出液、保湿剤、シリコーン、キレート剤、香料、防腐剤、紫外線吸収剤、着色料およびフィラーなどの任意の添加剤が使用できる。
【0029】
アニオン界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルスルホコハク酸2ナトリウム、スルホコハク酸ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ラウロイルエタノールアミド2ナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0030】
非イオン界面活性剤としては、1:1型ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリルジメチルアミンオキシド、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=1〜100)、ジステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=1〜100)、ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)高級アルコール(炭素数8〜32)エーテル、モノラウリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ソルビタン、ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ジオレイン酸メチルグルコシド、ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)牛脂アルキルヒドロキシミリスチレンエーテル、モノステアリン酸エチレングリコール等が挙げられる。
【0031】
カチオン界面活性剤としては、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミドの乳酸塩などが挙げられる。
【0032】
両性界面活性剤としては、ヤシ油脂肪酸アミドプロピイルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム、β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0033】
油分としては、炭化水素(流動パラフィン、スクワランなど)、高級アルコール(ヤシ油アルコール、セチルアルコール、イソステアリルアルコールなど)、高級脂肪酸(ヤシ油脂肪酸およびイソステアリン酸など)、合成エステル油(ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、パルミチン酸オクチルおよび2‐エチルヘキサン酸セチルなど)、シリコーン油(メチルポリシロキサンおよびメチルフェニルポリシロキサンなど)および植物油(紅花油、サンフラワー油、ローズマリー油、ホホバ油、マカダミアナッツ油、オリーブ油、ツバキ油およびヒマシ油など)が挙げられる。
【0034】
保湿剤としては、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブタンジオールおよびプロピレングリコール等の多価アルコールが挙げられる。シリコーンとしては、ジメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンのメチル基の一部に各種の有機基を導入した変性シリコン、環状ジメチルシロキサン等が挙げられる。キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸ナトリウム等が挙げられる。防腐剤としては、安息香酸類、ソルビン酸類、トリブロムサランなどが挙げられる。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン誘導体、p−アミノ安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体などがあげられる。着色料としては、無機顔料(酸化チタン、リトポン、鉛白、亜鉛華、コバルト化合物など)および有機顔料(アゾレーキ系、モノアゾ系、ジスアゾ系、キレートアゾ系等のアゾ顔料、ベンジイミダゾロン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、チオインジゴ系、ペリレン系、キノフタロン系、アンスラキノン系等の多環式顔料)が挙げられる。フィラーとしては、無機質粉末(タルク,マイカ,カオリン,炭酸カルシウム,酸化アルミニウム,ケイ酸マグネシウム等)および有機質粉末(プロテインパウダー、ナイロンパウダー、アクリルパウダー、ウレタンパウダー等)が挙げられる。
【0035】
本発明の外用剤組成物は、さらに水および親水性溶媒を含有してもよい。親水性溶媒としては、低級アルコール(炭素数1〜4のアルコール:例えばメタノール、エタノール、プロパノールなど)などが挙げられる。
【0036】
本発明の外用剤組成物は、水および親水性溶媒以外の成分を「固形分」としたとき、固形分の濃度は、通常1〜100%、好ましくは3〜95%である。固形分中の成分(A)の含有量は、固形分100%のうちの10〜100%、好ましくは20〜100%であり、その他の成分の含有量は0〜90%、好ましくは0〜80%である。固形分中の、その他の成分のそれぞれの含有量は、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、油脂類、多価アルコール類、糖類、保湿剤、着色料およびフィラーは、それぞれ50%以下、好ましくは40%以下であり、ビタミン類、植物抽出液、シリコーン、キレート剤、香料、防腐剤および紫外線吸収剤はそれぞれ20%以下、好ましくは10%以下である。
【0037】
[実施例]
以下、実施例により本発明をさらに説明するが本発明はこれに限定されるものではない。実施例中の部は重量部、%は重量%を示す。
【0038】
製造例1
撹拌及び温度調節機能の付いたガラス製オートクレーブに、1,2−n−ドデカンジオール202部(1モル部)、水酸化カリウム0.2部を投入し、混合系内を窒素で置換した後、減圧下(約20mmHg)、120℃にて1時間脱水を行った。次いでEO55部(1.25モル部)を150℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cm2となるように導入した。8時間後、所定量のEOが導入された1,2−n−ドデカンジオールEO付加物(A0−1)257部を得た。EOの付加モル数分布は表1に示した。
撹拌及び温度調節機能の付いたガラス製コルベンに、上記(A0−1)を257部(1モル部)、ラウリン酸440部(2.2モル部)、トルエン700部およびp−トルエンスルホン酸5部を仕込み、115℃で環流下に水分を除去しながら8時間エステル化反応させた。反応終了後、20℃に冷却し、5%水酸化ナトリウム水溶液200部を攪拌しながら投入し、3時間静置したのち下層を分液除去して、上層は減圧下に80℃でトルエンを留去し、50℃で濾過して、エステル化物(A−1)を得た。
【0039】
製造例2
撹拌及び温度調節機能の付いたガラス製オートクレーブに、1,2−ジヒドロキシ−n−デカン174部(1モル部)、過塩素酸アルミニウム9水塩0.2部を投入し、混合系内を窒素で置換した後、減圧下(約20mmHg)、120℃にて1時間脱水を行った。次いでEO110部(2.5モル部)を95℃にて、ゲージ圧が1〜2kgf/cm2となるように導入した。8時間後、所定量のEOが導入された1,2−n−デカンジオールEO付加物(A0−2)284部を得た。EOの付加モル数分布は表1に示した。
撹拌及び温度調節機能の付いたガラス製コルベンに、上記(A0−2)を284部(1モル部)、n−オクタン酸316.8部(2.2モル部)、トルエン500部およびp−トルエンスルホン酸5部を仕込み、115℃で環流下に水分を除去しながら8時間エステル化反応させた。反応終了後、20℃に冷却し、5%水酸化ナトリウム水溶液200部を攪拌しながら投入し、3時間静置したのち下層を分液除去して、上層は減圧下に80℃でトルエンを留去し、50℃で濾過して、エステル化物(A−2)を得た。
【0040】
製造例3〜5
原料の1,2−ジオールの種類と量、および触媒としての水酸化カリウムの量、およびアルキレンオキサイドの種類と量、カルボン酸の種類と量を表1に示したように代えたこと以外は製造例1と同様にして製造例3〜5の1,2−ジオールアルキレンオキサイド付加物のエステル化物(A−3)〜(A−6)を得た。これらの付加モル数分布は表1に示した。
【0041】
比較製造例1
撹拌及び温度調節機能の付いたガラス製コルベンに、1,2−n−ドデカンジオール202部(1モル部)、n−ラウリン酸440部(2.2モル部)、トルエン600部およびp−トルエンスルホン酸5部を仕込み、115℃で環流下に水分を除去しながら8時間エステル化反応させた。反応終了後、20℃に冷却し、5%水酸化ナトリウム水溶液200部を攪拌しながら投入し、3時間静置したのち下層を分液除去して、上層は減圧下に80℃でトルエンを留去し、50℃で濾過して、エステル化物(X−1)を得た。
【0042】
表1中の略号は以下の通り。
8D:1,2−n−オクタンジオール
10D:1,2−n−デカンジオール
12D:1,2−n−ドデカンジオール
16D:1,2−n−ヘキサデカンジオール
24D:1,2−n−テトラエイコサンジオール
EO:エチレンオキサイド
PO:1,2−プロピレンオキサイド
【0043】
【表1】

【0044】
実施例1〜5、比較例1〜3
<油性クレンジング用組成物の製造>
上記の製造例で得られた(A−1)〜(A−5)、並びに比較品(A0−1)、(A0−2)および(X−1)を、表2に示した部数、並びに液状油として流動パラフィンおよびパルミチン酸オクチルを表2に示した部数を配合して、油性クレンジング用組成物を調製した。
(1)低温安定性の評価
各油性クレンジング用組成物について25℃および0℃で24時間、並びに−5℃で6ヶ月間、静置し、外観の変化を目視で観察した。結果を表2に示す。
評価基準
○; 透明液状
△; 若干濁りがある/若干分離傾向
×; 著しく濁りがある/分離
(2)皮膚刺激性の評価
各油性クレンジング組成物を調製し、男女各5名による人パッチテスト(クローズド、48時間、上腕内側)を行い、次の基準で評価しその合計点で表した。
評価基準
反応(紅斑)無し ; 3点
ごく軽度の紅斑 ; 2点
明瞭な紅斑 ; 1点
強度の紅斑 ; 0点
【0045】
(3)洗い流し易さ、洗い上がりのさっぱり感、潤い感の評価
20名のパネラーがファンデーションを顔全体に塗布し約30分間乾燥させた後、各クレンジング用組成物3mLを手にとり、指を使って顔全体に伸ばしてファンデーションと良くなじませた後、約35℃のお湯で洗い流した。このときの洗い流しやすさ、洗い上がりのさっぱり感、および潤い感(湿潤性)を次の採点基準で表し、20名の平均点で評価した。
採点基準
非常に良い ;5点
良い ;4点
普通 ;3点
悪い ;2点
非常に悪い ;1点
【0046】
(4)水との乳化性の評価
50mLのスクリュー管に各クレンジング用組成物1gと水19gを入れ、30秒間振とう混合し、1時間静置後の外観を肉眼で観察し、次の基準で評価した。
評価基準
○; 均一に全体が乳白色(乳化状態良)
△; 均一であるが、薄い白濁(乳化状態やや悪)
×; 均一になっていない、油滴が分離(乳化状態悪)
【0047】
(5)洗浄力の評価
前腕部にメイク(リップカラー赤、50mg/4cm2)を均一に塗布し、5分間室温
にて乾燥させた。その後、各クレンジング用組成物1.0gを、指を用いて通常のメイク落とし行為と同様に塗布部全体に約30秒間なじませ、その後35℃の水道水でこすらずに洗い流し、乾燥後のメイク残存率を求め、洗浄力を次の基準で評価した。なお、メイク残存率は分光測色計(Spectro Photometer SD5000、日本電色製)を用いてリップカラー塗布前後、クレンジング用組成物使用後の色を測定し、下式から洗浄力を求めた。
洗浄力(%)=100−[(E2−E0)/(E1−E0)}×100
E0; リップカラー塗布前の色
E1; リップカラー塗布後の色
E2; クレンジング料使用後の色
【0048】
表2から分かるように本発明の組成物である実施例1〜5は優れた評価結果が得られた。
【0049】
【表2】

【0050】
実施例6〜10、比較例4〜6
<ヘアーコンディショナーの製造>
上記の製造例で得られた(A−1)〜(A−5)、および比較品(A0−1)、(A0−2)、(X−1)を、下記に示した部数、並びにその他の成分として下記の成分を使用してヘアーコンディショナー(100部)を調製した。
【0051】
(A−1)〜(A−5)、比較品(A0−1)、(A0−2)、(X−1)のいずれか
2.0部
ポリオキシエチレン(平均10モル)セチルエーテル 1.0部
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.0部
セチルアルコール 5.0部
グリセリン 5.0部
パラオキシ安息香酸メチル 0.1部
精製水 残余
【0052】
(1)低温安定性の評価
各ヘアーコンディショナーについて25℃および0℃で24時間、並びに−5℃で6ヶ月間、静置し、外観の変化を目視で観察した。結果を表3に示す。
評価基準
○; 透明液状
△; 若干濁りがある/若干分離傾向
×; 著しく濁りがある/分離
(2)毛髪の柔軟性および潤い感の評価
各ヘアーコンディショナーについて、女性パネラー20名によって、1日1回、3日間使用して、毛髪の柔らかさ(柔軟性)、および潤い感(湿潤性)を次の採点基準で表し、20名の平均点で評価した。
採点基準
非常に良い ;5点
良い ;4点
普通 ;3点
悪い ;2点
非常に悪い ;1点
【0053】
表3から分かるように本発明の組成物である実施例6〜10は優れた評価結果が得られた。
【0054】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の外用組成物は、化粧料、医薬部外品、医薬などの皮膚用組成物および毛髪用組成物として使用できる。化粧料としては、ローション、乳液、クリーム、パック類、洗顔剤、ファンデーション類、口紅類、入浴剤等が挙げられる。
毛髪用組成物としてはシャンプー、リンス、ヘアートリートメント、ヘアーコンディショナー、ヘアクリーム等が挙げられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で示される化合物の1種または2種以上からなる成分(A)を必須成分として含有してなる外用組成物。
【化1】

(式中、R1は炭素数6〜30の脂肪族または脂環式炭化水素基;XおよびYは水素原子または−CO−R2で示されるアシル基であり、R2は炭素数1〜30の脂肪族または脂環式炭化水素基であって、XおよびYのうちの少なくとも一方はアシル基であり;AOは炭素数2〜6のアルキレンオキシ基;mおよびnは0または1〜60の整数であり、少なくとも一方は0ではない。)
【請求項2】
成分(A)が、一般式(2)で示される1,2−ジオールにアルキレンオキサイドを付加反応させて得られるアルキレンオキサイド付加物と、カルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体とのエステル化物である請求項1記載の外用組成物。
【化2】

(式中、R1は炭素数6〜30の脂肪族または脂環式炭化水素基である。)
【請求項3】
アルキレンオキサイド付加物が、1,2−ジオールにアルキレンオキサイドを平均付加モル数0.5〜50で付加させて得られた付加物である請求項2記載の外用組成物。
【請求項4】
アルキレンオキサイド付加物中の未反応1,2−ジオールの含有量が、アルキレンオキサイド付加物の重量に基づいて50重量%未満である請求項2または3記載の外用組成物。
【請求項5】
外用組成物が化粧料である請求項1〜4のいずれか記載の外用組成物。
【請求項6】
外用組成物が頭髪用である請求項1〜4のいずれか記載の外用組成物。

【公開番号】特開2008−88063(P2008−88063A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−267216(P2006−267216)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】