外科用位置調整装置
外科用位置調整装置は、手術室の床に、または手術室台に直接固定できる。外科用位置調整装置は、球面継手に取り付けられた伸縮式支柱を用いて患者の肢を支持する。肢を所定位置に固定するため支柱には使い捨て架台装置が結合される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、「肢位置調整具」の名称で2004年1月23日に出願された米国仮特許出願第60/538,671号と、「外科用位置調整装置」の名称で2005年1月19日に出願された米国特許出願(番号未取得)の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、肢(四肢:limb)の支持体に関し、特に、外科処置中に患者の肢を位置調整および保持するのに使用される支持体に関連する。
【背景技術】
【0003】
多くの外科処置では、外科処置の実施のために患者の一又は複数の肢をいくつかの異なる位置に配置する必要がある。手術を行う外科医または外科助手が、外科処置の過程で必要とされる他の位置および形態に肢を移動させられることが望ましい。このような位置および形態を取るのに使用される位置調整装置が、手術を受ける関節への不要な圧力を緩和することも望ましい。
【0004】
身体部位の位置調整を行うための従来方法の一つは、無菌状態の外科助手に身体部位を所望の位置に保持させ、手術を行う外科医が要求する時に要求の通りにその位置を変えさせることである。この作業は外科助手にとって疲労を伴うもので、この技術では、外科処置にとって充分に正確で安定した方法で患者の身体部位を支持することはできない。患者の肢を位置調整するための他の従来方法は、患者の肢を専用の台に置くか、手術室台の一部の上に肢を吊るすか、着座した、手術を行う外科医の膝の上に肢を載せることである。このような技術はすべて、肢の可能な形態の範囲を非常に制限し、外科医の動作を制約し、結果的に支持の精度と安定性を低下させる。
【0005】
さらに、外科処置中に患者の肢を支持するために使用される従来の装置では、一般的に、肢を支持しながら、同時に1以上の軸上で肢を操作することはできない。このような装置は一般的に完全にロックされるか完全にロックが解除されるかのみで、ロックが解除された時には自重を支持できない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の幾つかの態様の基本的な理解のために、本発明の簡単な要約を以下に提示する。この要約は発明を広範囲に概説するものではない。発明の主要または重要な要素を特定することも、発明の範囲を明確にすることも意図していない。唯一の目的は、後に提示される一層詳細な説明の序文として、発明のいくつかの概念を簡単な形で示すことである。
【0007】
本発明の一態様によれば、外科用位置調整装置は、手術室台の重量によってドッキング部材を床に固定するように手術室台の1以上の脚部の下に配置されるのに適合したドッキング部材と、ドッキングプレートに固定される外科用位置調整装置の基部とを含む。
【0008】
本発明の別の態様によれば、外科用位置調整装置は、患者の肢を支持するように機能する伸縮式支柱と、旋回自在な結合具を介して伸縮式支柱に結合される基部とを含み、伸縮式支柱が患者の肢を垂直方向に支持し、旋回自在結合具が水平面における患者の肢の動作を許容する。
【0009】
本発明のさらに別の態様によれば、外科用位置調整装置は、支柱と、支柱の上部に結合される自在継手と、患者の肢を支持するように自在継手に結合される肢架台とを含む。
【0010】
本発明のさらに別の態様によれば、外科用位置調整装置は、支柱と、保持機構を介して支柱に結合される使い捨て肢架台とを含み、手術室内の無菌領域を壊すことなく使い捨て肢架台が交換されるように保持機構が固定突起と2つの可動突起とを含む。
【0011】
以下の説明と添付図面では、発明のある例示的な態様が詳細に記される。ただし、それらの態様は、発明の原理が用いられる様々な手法の内のわずかを示すもので、本発明はこのような態様とその均等物すべてを含むものとする。発明の他の目的、長所、新規の特徴は、以下の本発明の詳細な説明を図面とともに考慮することにより明らかとなるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の上述および他の特徴と長所は、添付図面を参照して以下の説明を読むことにより、本発明が関連する技術の当業者に明らかとなるだろう。
【0013】
本発明は、外科処置中に患者の肢を位置調整するための装置を提供する。これから図面を参照して本発明を説明するが、全体を通して、同様の要素を指すのに同様の参照番号が使用される。様々な図面では、ある図と別の図でも、所与の図の中でも必ずしも同じ縮尺で描かれているわけではないことと、特に、図面の読み取りを容易にするため部品の大きさが任意で描かれていることを認識すべきである。以下の記載では、説明のため、本発明が完全に理解されるように特定の詳細構成が多数示されている。しかし、これら特定の詳細構成を含まなくても本発明が実施されることは明白だろう。
【0014】
最初に図1を参照すると、本発明の一態様による外科用位置調整装置10の例が図示されている。外科用位置調整装置10は、患者の肢(例えば脚)を伸ばした位置に支持できるように、手術室台15の一部(例えば脚部)に近接して配置される。外科用位置調整装置10は、ドッキング部材25に固定されることが可能である基部20を含む。ドッキング部材25は金属、プラスチック又は他の適当な材料から製造することができ、手術室台15の1以上の脚部の下に配置されるようにシートの形を有することができる。手術室台15の重量は、ドッキング部材25、そして基部20を床に固定するように作用する。基部20をドッキング部材25へ固定するのにラッチ(保持、係止)機構30を採用することができる。ラッチ機構30は、ドッキング部材25に対して基部20を容易に結合および解除する適当なラッチでよい。ドッキング部材25に一つ以上のラッチ機構30が設けられるのが可能であることを認識すべきである。例えば図1に図示されているように、ドッキング部材25は、各々が各外科用位置調整装置を固定する二つのラッチ機構30を含むことが可能である(ただし、図示を容易にするために図1では一つの外科用位置調整装置のみが示されている)。あるいは、外科用位置調整装置の基部20を床に固定するためにラッチ機構30が床に直接固定されることも可能である。
【0015】
また別の代替例として、基部20の底部に配置された一つ以上の吸引カップ(図示せず)を介して基部20を床またはドッキング部材25に固定可能である。このように、適当な構造を介して手術室台15の箇所に対して関連する場所に基部20を固定でき、そのような構成が本発明の範囲に包含されると考えられることを認識すべきである。基部20が別の構造へ確実に結合されていない時に外科用位置調整装置10が直立位置を維持するように、外科用位置調整装置10へ安定性を付与するのに基部20が使用される。
【0016】
さらに、多様な外科用支持および/または位置調整装置を支持するのにドッキング部材と基部アセンブリを採用できることを認識すべきである。さらに、外科処置または肢の支持を必要とする他の処置の間に患者の腕を支持するため、ドッキング部材と基部アセンブリとを手術室台15の側面に配置できる。
【0017】
外科用位置調整装置10はまた、適当な旋回自在結合具40を介して基部20へ結合される支柱35を含む。例を挙げると、旋回自在結合具40は、基部20に対する支柱35の旋回を容易にするとともに支柱35および基部20を所望の位置に保持するためのロック機構を含むロック球状継手または他の適当な継手を含む。例えば、旋回自在結合具40がロック解除状態にある時には、矢印Aで示されたように肢は水平面上で横方向に自由に揺動できる。さらに支柱35は、考えられる他の構造へ旋回自在に結合されることが可能である。例えば、手術室台15または他の何らかの構造へ機能的に結合されるアーム部材(図示せず)へ支柱35を旋回自在に結合できる。旋回自在結合具40をロックおよびロック解除するために容易にアクセス(利用、接触)できる手段を設けるため、旋回自在結合具のためのロック部材45を旋回自在結合具40に機能的に結合できる。例えば、旋回自在結合具のためのロック部材45は、フットペダルでよい。しかし、水平面上の所望の位置に支柱35をロックするために適当なロック機構を旋回自在結合具40に採用できることを認識すべきである。
【0018】
外科用位置調整装置10に垂直方向調節自在性を付与するため、外科用位置調整装置10はさらに、高さ調節機構50を含む。特に、高さ調節機構50がロック解除状態にある時には、矢印Bで示されているように、外科用位置調整装置10は旋回自在結合具40を中心として前後方向に回転できる。こうして、様々な手術室台の高さまたは患者の大きさと位置に対応するように、外科用位置調整装置10の高さを調節できる。高さ調節機構50は、基部20の付近に配置された手動装置でも、他の適当な装置でもよい。
【0019】
外科用位置調整装置10にさらに調節自在性を付与するため、支柱35を伸縮式支柱とすることができる。伸縮式支柱35は摺動部材55を含み、摺動部材55は、下方部材を摺動部材55が包囲する下降位置と、下方部材が摺動部材55から延出する上昇位置との間で移動自在である。伸縮式支柱35がいかなる数の伸縮式部品を有してもよく、本発明の範囲に包含されると考えられることは言うまでもない。
【0020】
伸縮式支柱35は、伸縮する複数の長さの一つに支柱35を固定するための適当な構造を有する。こうして伸縮式支柱35は、固定された位置において患者の肢を支持するように機能し、さらに伸縮式支柱35が伸張または収縮できる時に肢をその関節で自然に屈曲させることができる。伸縮式支柱35が多様な伸縮長さに選択的にロックされるように、摺動部材55にはロック機構60が機能的に結合されている。ロック機構60がロック解除状態にある時には、伸縮式支柱35を圧縮すると肢を下降させ、伸縮式支柱35を伸張させると肢を上昇させることができる。言い換えると、摺動部材55を下方部材に沿って下方および上方に摺動させることにより、それぞれ肢を下降および上昇させることができる。ロック機構60は、摺動部材55をロックするためのロックノブまたは他の適当な装置でよい。さらに伸縮式支柱35は、旋回自在結合具40と独立してロックおよびロック解除できることにより、1本の軸に沿って肢をしっかりと保持しながら他の軸に沿った自由運動を許容できる。伸縮式支柱35は、肢の持上げを補助するため支柱35の中に設けられた1本以上のばねまたは他の蓄積エネルギー装置(stored energy devices)(図示せず)を任意で含むことができる。あるいは、伸縮式支柱35は油圧で作動してもよい。
【0021】
少なくとも2本、望ましくは3本の軸上での外科用位置調整装置10の調節自在性により、本発明では、関節への不要な圧力を引き起こすことなく肢の重量を支持する。特に、本発明では肢の重量を支持するのと同時に、外科医が他の軸上で肢を自由に操作することにより、手術を効率的に実施するのに外科医が必要とする肢の動作範囲を提供する。例えば、外科用位置調整装置は肢を垂直方向に支持しながら、外科処置中に水平面上での自由運動を許容する。
【0022】
自在継手65は、伸縮式支柱35と、外科位置に肢を保持するのに採用される肢架台70との間に機能的に結合されている。自在継手65は、肢架台70にある肢に広い角度変化を持つ支持を提供する。例えば、自在継手65により、通常は「4の字」位置として知られる外科位置に肢(例えば脚)を配置および保持できる。さて図2を見ると、本発明の一態様による自在継手65が詳細に図示されている。自在継手65は伸縮式支柱35の摺動部材55の上部に結合され、摺動部材55と係合して自在継手65を横方向にロックするロック機構75を任意で含む。ロック機構75はロックノブでよい。しかし、自在継手65を何らかの適当な方法で摺動部材に結合できることを認識すべきである。
【0023】
自在継手65はさらに保持(ラッチング(latching)、ラッチ、係止)機構80を含む。保持機構80は、一つの固定突起90と二つの可動突起95とを上に有する本体85を含む。以下で詳細に説明するように、突起90,95は肢架台70と係合自在である。固定突起90は本体85の第1エッジ部分に近接して配置され、二つの可動突起95は、本体85の第2および第3エッジ部分に近接して配置される。例えば、可動突起95は相互にほぼ平行に配置されて本体85の対向部分に設けられるのに対して、固定突起90は可動突起95に対してほぼ垂直に本体85に配置されることが可能である。
【0024】
自在継手65はさらに、二つの可動突起95を解離位置へ移動させる少なくとも一つの解除機構100を含む。可動突起95が解離位置へ移動すると、肢架台70は自在継手65から解除される。例えば、各々が各可動突起95と対応する二つの解除機構100を設けることができる。図2には解除機構が一つのみ図示されていることに言及しておく。二つの解除機構の他方は、見える方の解除機構100と反対の側で本体85に配置されている。解除機構100は、可動突起95を肢架台70から解離させる位置に可動突起95を移動させるように機能する。例えば、可動突起95は通常は外方へ付勢されており、解除機構100は操作時に可動突起95を内方へ移動させるように機能できる。あるいは、可動突起95が内方への付勢力を受け、解除機構100が可動突起95を外方へ移動させるように作動することも可能である。
【0025】
上述した突起の形態は本発明に採用できる保持機構の一例に過ぎず、肢架台70を自在継手65へ適当に結合するのに、ここに記載される固定および可動突起はいかなる数でもいかなる形態でもよく、本体85上の適当な箇所に配置されることを理解すべきである。
【0026】
図3は、本発明の一態様による自在継手65と肢架台70との間の結合の例を示す。肢架台70は、無菌の使い捨て肢架台である。したがって、無菌領域を壊すことなく容易に使用済みの肢架台を取り外して新しい肢架台と交換することが可能である。肢架台70は、固定突起90と二つの可動突起95とを中に受け入れるための第1、第2、第3スロット孔105を含む。解除機構100を作動させずに、最初に固定突起90に対応するスロット105を係合してから可動突起95を対応するスロット孔105と係合することにより、肢架台70が自在継手65へ結合される。固定突起90と可動突起95は、肢架台70のスロット孔105を突起90,95と容易に係合させるためのスロープ状の導入部を含むことが可能である。一旦、突起90,95がスロット孔105と係合すると、可動突起95が外方へ付勢されて肢架台70との係合を維持する。肢架台70を取り外すには、解除機構100が押圧されることにより可動突起95が内方へ移動して、肢架台70を解除してその廃棄が可能となる。したがって、無菌領域を壊すことなく、使い捨て肢架台70を外科用位置調整装置10に対して迅速に着脱できるのである。
【0027】
ここに説明される本発明の外科用位置調整装置10では、肢を一点で伸縮式に支持する。この単一点取付は、手術を受ける肢と共に三角形を形成し、旋回自在結合具40と自在継手65と患者の肢関節とが三角形の三つの頂点を成す。このように肢を支持することで、伸縮式支柱が解除されて伸張および収縮する時に、肢が関節で自然に屈曲できる。さらに、旋回自在結合具40がロック解除されている時には、肢は外科医によって横方向に自由揺動できる。また、外科用位置調整装置10に設けられた一つ以上の制御手段(旋回自在継手ロック機構45、伸縮式支柱ロック機構60、自在継手ロック機構75など)により、肢はしかるべき場所にロックされる。
【0028】
図4に図示されているように、外科用位置調整装置10の無菌状態は、無菌の使い捨て肢架台70に結合された保護布110によって維持することができる。保護布110は、外科用位置調整装置を手術室環境から保護するために採用される。あるいは、自在継手65、支柱35または他の適当な構造に布110を結合することもできる。布110は、外科用位置調整装置10が布110によって保護されたまま、外科用位置調整装置10の制御手段(旋回自在継手ロック機構45、伸縮式支柱ロック機構60、自在継手ロック機構75など)へのアクセス(利用、接触)を許容する幾何学形状を有する。
【0029】
図5は、手術室台120に固定できる外科用位置調整装置115の代替例を示す。図の例では、外科用位置調整装置115は手術室台120の脚部125にクランプまたは他の方法で固定されている。ただし、手術室台120の適当な部分へ外科用位置調整装置115を固定できることを認識すべきである。例えば、レールクランプ130を介して手術室台120のレールへ外科用位置調整装置115がクランプされることが可能である。
【0030】
さて図6を見ると、本発明の一態様による別の例の外科用位置調整装置140が図示されている。外科用位置調整装置140は、ドッキング部材150へ固定された基部145を含む。ドッキング部材150は金属薄板、プラスチックなどから製造されたプレートであり、手術台160の1以上の脚部155によってしかるべき場所に固定できる。図7は、基部145とドッキング部材150との結合の例を示す。ドッキング部材150は、基部145を収容するための切欠き部分を含み、切欠き部分の各辺に沿ってガイド155が配置されている。ガイド155は溝形状の開口部を有して、基部145の対応する辺を摺動自在に収容するのに適合されていることにより、基部145とドッキング部材150との整合を容易にする。ドッキング部材はさらに、切欠き部分の後方位置にタブ160を含む。タブ160は、略傾斜した前部と略垂直な後部とを有する。したがって、基部に設けられたラッチ165はタブ160の傾斜部分に「乗り上げ」て垂直な後部に保持され、基部145をドッキング部材150に対してしかるべき場所にロックすることができる。基部145はフットペダル170によりドッキング部材150からロック解除されることが可能であり、フットペダル170は、ラッチ165を上方へ起こすことによりラッチ165をタブ160から解離させるのに適合されている。基部145をドッキング部材150へ固定するための他の適当な機構を採用できることを認識すべきである。
【0031】
あるいは、一つ以上の吸引カップ(図示せず)のような適当な締結具を介して、基部を床へ直接固定することができる。さらに、外科用位置調整装置140を手術台に対してしかるべき場所に配置するのに、適当な基部形態または基部とドッキング部材との結合を採用できる。
【0032】
図6へ戻ると、外科用位置調整装置140はさらに、患者の肢を支持するための伸縮式支柱180を含む。伸縮式支柱180は手動の高さ調節装置175を含み、この手動高さ調節装置175は、様々な台の高さおよび/または患者の位置に対する位置調整装置140の調節を容易にするように結合されている。伸縮式支柱180は、ばねまたは他の適当な方法で空気、油圧、弾性力によって作動して肢を垂直方向調節自在に支持できる第1継手185を含む。第1ロック部材210(図8)は、第1継手185を選択的にロックおよびロック解除するためのものであり、外科医が容易にアクセスできるように肢架台205の下方に設けられた手動制御手段とすることができる。伸縮式支柱180がロック解除状態にある時、肢架台205に配置された肢は、第1継手185に関して、支柱180を圧縮することによって下降でき、または支柱180を伸張させることによって上昇できる。肢の持上げ補助を行うため、支柱180の中に蓄積エネルギー装置を任意で設けてもよい。あるいは、所望であれば非伸縮式の支柱を外科用位置調整装置140に設けてもよいことを認識すべきである。
【0033】
伸縮式支柱180の第1端部は、ロック球面継手などの第2継手190を介して基部145に結合されている。第2継手190は機械、空気または電気によって作動し、フットペダルまたは他の適当な装置などの第2ロック部材195を介してロックおよびロック解除される。第2継手190は、それぞれ矢印CとDで示されているように支柱180の横方向および前後方向への自由な移動を許容しつつも垂直方向の肢の支持を提供するように適合されている。さらに第2継手190は、横方向のみ、または前後のみ、またはその両方の移動を許容するように選択的にロックおよびロック解除できる。さらに、第1継手185と第2継手190は相互に独立して操作(例えばロックおよびロック解除)されるので、装置140は、1本の軸上で肢をしっかりと支持しながら別の軸上での肢の自由動作を許容できる。
【0034】
図8は、本発明の一態様による外科用位置調整装置140のための第3継手200を示す。第3継手200は、支柱180に対する肢架台205の支持および動作を容易にするため、伸縮式支柱180の第2端部またはその付近に設けられることが可能である。好ましくは第3継手200は自在継手であるが、支柱180と肢架台205を結合するのに適当な継手を利用できることを認識すべきである。第3継手200を様々な位置と様々な軸に選択的にロックおよびロック解除するため、外科用位置調整装置140には第3ロック部材203も設けられている。例えば、第3ロック部材203を介して横方向にロックされている間、第3継手200は前後に自由に移動できる。横方向に移動しないように第3継手をロックすると、外科処置中の肢のねじれが緩和される。
【0035】
図9と10に図示されているように、第2、3継手190,200を組み合わせると、膝関節が0°から90°以上まで自然に屈曲できる。位置調整装置140は、肢を一点で伸縮式に支持する。単一点取付けは、手術を受ける肢とともに三角形を形成し、第2継手190と第3継手200と患者の肢関節とが三角形の三つの頂点を成す。この独自の方法で肢を支持すると、図9と10に見られるように、伸縮式支柱180が解除されて伸張および収縮する時に、肢が関節で自然に屈曲できる。さらに、第1継手185がロックされ第2継手190がロック解除されると、肢は外科医によって横方向に自由に移動できる。さらに、装置に設けられたすべての制御手段をロックすると、肢をしかるべき場所に確実にロックするように機能できる。
【0036】
図8に戻ると、第3ロック部材203は、第3継手200を横方向の軸上で解除するロック解除ボタンでよい。したがってロック解除ボタンが解除されると、手術を受ける肢が図11に図示された「4の字位置」に配置されるように、第3継手200は被制御状態でねじれる。継手が直立位置へ戻ると、第3ロック部材203は自動的に「再ロック」できる。さらに、第3ロック部材203は、任意の適当な位置に第3継手200をロックするように作動可能である。第3継手200は多数の位置に(例えば一つの自由度のみでや、多数の自由度で)ロックされるか、完全ロック解除状態とすることができる。
【0037】
さて図12を見ると、本発明の一態様による肢架台アセンブリの例が示されている。肢架台アセンブリは、上部215と底部220とを含む。上部215は、患者の肢を受け入れるためのエリアを画定する。底部220は上部215に結合されてこれを支持し、さらに支持装置140へ装着するためのエリアを含む。特に底部220は、肢架台の底部220と第3継手200の上部との間に配置された取付プレート225に固定されている。取付プレート225は、一つ以上、好ましくは二つの固定突起230と、一つ以上、好ましくは二つの可動突起235とを含む。肢架台を解除するために対応の解除ボタンが押された時に内方に移動するのに可動突起235が適合しており、所望であれば肢架台を廃棄できる。可動突起235の各々は、解除ボタンを押す必要なく肢架台ボタン220の結合を容易にするための傾斜導入部を含む。これにより、本発明では、無菌領域を壊すことなく位置調整装置140に対して肢架台を着脱することができる。言い換えると、無菌布250(図6)の下にある非滅菌部分のいずれにも触れる必要なく、肢架台を突起230,235へ押し下げて肢架台を所定の場所に係止することができる。あるいは、肢架台が第3継手200へ継続的に取り付けられ、肢架台を含むユニット全体が使い捨て無菌布で覆われもよい。
【0038】
肢を包むフックアンドループ式(マジックテープ式)ファスナによって、肢架台内のしかるべき位置に肢を保持できる。あるいは、スナップおよび/またはバックルファスナで肢をしかるべき位置に保持することもできる。ただし、当業者が考えられる適当な方法で肢架台のしかるべき位置に肢を保持できることを認識すべきである。
【0039】
図6へ戻ると、無菌布250は肢架台205へ結合されており、位置調整装置140の可動部分(たとえば第1、第2、第3継手)を被覆するのに適している。布250を取り付ける際に装置140の周囲に落下しやすくするため、布250はその底部におもりリング255を含む。あるいは、リング255は、布250を下に落とすための複数の別々のおもりでもよい。あるいは上述したように、使い捨ての無菌袋を継続使用できる肢架台に掛けてもよい。さらに、布250の形態は、ロック部材210,195,203のすべてに外科医が容易にアクセスでき、継手185,190,200のすべてが布250で保護されるようなものである。
【0040】
上述したように、外科用位置調整装置は、互いに独立して作動できる各ロック部材に各々が結合された複数の継手を含む。したがって、手術を受ける肢の解剖学的構造に基づいた複数の継手の自由度により、肢の自然な動作を可能にしながらも肢の重量を支持するような選択的なロックおよびロック解除を可能にする。さらに、上述したように、継手の制御手段はすべて無菌領域からアクセス可能である。したがって、外科医が片方の手で制御手段を操作しながら反対の手で肢を支持する必要のある従来の位置調整装置と対照的に、外科医は肢を支持するのと同じ手で制御手段を操作できる。
【0041】
本発明の外科用位置調整装置は、市販の部品、機械加工部品、押出成形品、延伸成形品から製造できる。適当な材料の例は、鋼とアルミニウムであるが、いくつかの異なる材料を代わりに用いてもよいことは自明である。一態様によれば、滅菌された使い捨て架台は、熱成形、回転成形、および/または射出成形されたプラスチックなどの成形プラスチックで製作される。しかし、いくつかの異なる材料を代わりに使用してもよいことは自明である。布は滅菌可能な不透水性材料で製作できる。
【0042】
下肢(下端)を支持するものとして本発明のいくつかの態様を図示および説明したが、上肢(上端)を支持するためにも本発明を使用できることを認識すべきである。さらに、外科用位置調整装置のさまざまな部品を動かすための機械的制御手段を備えるものとして本発明を説明した。しかし、遠隔制御手段などを介して一つ以上の要素を電気的に制御できることを認識すべきである。
【0043】
特定の例を用いて本発明を説明してきたが、発明の範囲を逸脱することなく、さまざまな代替例を使用してもよく、説明された要素またはステップに均等物を代用してもよいことは当業者に理解されるだろう。発明の範囲を逸脱することなく特定の状況または特定の必要性に本発明を適応させるのに変形が必要であってよい。本発明はここで説明された特定の実施例には限定されず、文言通りにまたは均等論により包含されるすべての実施例を含むように請求項には最も広い解釈が与えられるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、本発明の一態様による外科用位置調整装置の例を示す。
【図2】図2は、本発明の一態様による外科用位置調整装置の継手の例を示す。
【図3】図3は、本発明の一態様による外科用位置調整装置の肢架台の例を示す。
【図4】図4は、本発明の一態様による、布を有する外科用位置調整装置を示す。
【図5】図5は、本発明の一態様による、手術室台の脚部に取り付けられた外科用位置調整装置を示す。
【図6】図6は、本発明の一態様による外科用位置調整装置の別の例を示す。
【図7】図7は、本発明の一態様による外科用位置調整装置を支持するように機能する基部の例を示す。
【図8】図8は、本発明の一態様による外科用位置調整装置の支柱と肢架台との間の継手の例を示す。
【図9】図9は、本発明の一態様による、第1位置にある外科用位置調整装置を示す。
【図10】図10は、本発明の一態様による、第2位置にある外科用位置調整装置を示す。
【図11】図11は、本発明の一態様による、第3位置にある外科用位置調整装置を示す。
【図12】図12は、本発明の一態様による肢架台アセンブリを示す。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、「肢位置調整具」の名称で2004年1月23日に出願された米国仮特許出願第60/538,671号と、「外科用位置調整装置」の名称で2005年1月19日に出願された米国特許出願(番号未取得)の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、肢(四肢:limb)の支持体に関し、特に、外科処置中に患者の肢を位置調整および保持するのに使用される支持体に関連する。
【背景技術】
【0003】
多くの外科処置では、外科処置の実施のために患者の一又は複数の肢をいくつかの異なる位置に配置する必要がある。手術を行う外科医または外科助手が、外科処置の過程で必要とされる他の位置および形態に肢を移動させられることが望ましい。このような位置および形態を取るのに使用される位置調整装置が、手術を受ける関節への不要な圧力を緩和することも望ましい。
【0004】
身体部位の位置調整を行うための従来方法の一つは、無菌状態の外科助手に身体部位を所望の位置に保持させ、手術を行う外科医が要求する時に要求の通りにその位置を変えさせることである。この作業は外科助手にとって疲労を伴うもので、この技術では、外科処置にとって充分に正確で安定した方法で患者の身体部位を支持することはできない。患者の肢を位置調整するための他の従来方法は、患者の肢を専用の台に置くか、手術室台の一部の上に肢を吊るすか、着座した、手術を行う外科医の膝の上に肢を載せることである。このような技術はすべて、肢の可能な形態の範囲を非常に制限し、外科医の動作を制約し、結果的に支持の精度と安定性を低下させる。
【0005】
さらに、外科処置中に患者の肢を支持するために使用される従来の装置では、一般的に、肢を支持しながら、同時に1以上の軸上で肢を操作することはできない。このような装置は一般的に完全にロックされるか完全にロックが解除されるかのみで、ロックが解除された時には自重を支持できない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の幾つかの態様の基本的な理解のために、本発明の簡単な要約を以下に提示する。この要約は発明を広範囲に概説するものではない。発明の主要または重要な要素を特定することも、発明の範囲を明確にすることも意図していない。唯一の目的は、後に提示される一層詳細な説明の序文として、発明のいくつかの概念を簡単な形で示すことである。
【0007】
本発明の一態様によれば、外科用位置調整装置は、手術室台の重量によってドッキング部材を床に固定するように手術室台の1以上の脚部の下に配置されるのに適合したドッキング部材と、ドッキングプレートに固定される外科用位置調整装置の基部とを含む。
【0008】
本発明の別の態様によれば、外科用位置調整装置は、患者の肢を支持するように機能する伸縮式支柱と、旋回自在な結合具を介して伸縮式支柱に結合される基部とを含み、伸縮式支柱が患者の肢を垂直方向に支持し、旋回自在結合具が水平面における患者の肢の動作を許容する。
【0009】
本発明のさらに別の態様によれば、外科用位置調整装置は、支柱と、支柱の上部に結合される自在継手と、患者の肢を支持するように自在継手に結合される肢架台とを含む。
【0010】
本発明のさらに別の態様によれば、外科用位置調整装置は、支柱と、保持機構を介して支柱に結合される使い捨て肢架台とを含み、手術室内の無菌領域を壊すことなく使い捨て肢架台が交換されるように保持機構が固定突起と2つの可動突起とを含む。
【0011】
以下の説明と添付図面では、発明のある例示的な態様が詳細に記される。ただし、それらの態様は、発明の原理が用いられる様々な手法の内のわずかを示すもので、本発明はこのような態様とその均等物すべてを含むものとする。発明の他の目的、長所、新規の特徴は、以下の本発明の詳細な説明を図面とともに考慮することにより明らかとなるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の上述および他の特徴と長所は、添付図面を参照して以下の説明を読むことにより、本発明が関連する技術の当業者に明らかとなるだろう。
【0013】
本発明は、外科処置中に患者の肢を位置調整するための装置を提供する。これから図面を参照して本発明を説明するが、全体を通して、同様の要素を指すのに同様の参照番号が使用される。様々な図面では、ある図と別の図でも、所与の図の中でも必ずしも同じ縮尺で描かれているわけではないことと、特に、図面の読み取りを容易にするため部品の大きさが任意で描かれていることを認識すべきである。以下の記載では、説明のため、本発明が完全に理解されるように特定の詳細構成が多数示されている。しかし、これら特定の詳細構成を含まなくても本発明が実施されることは明白だろう。
【0014】
最初に図1を参照すると、本発明の一態様による外科用位置調整装置10の例が図示されている。外科用位置調整装置10は、患者の肢(例えば脚)を伸ばした位置に支持できるように、手術室台15の一部(例えば脚部)に近接して配置される。外科用位置調整装置10は、ドッキング部材25に固定されることが可能である基部20を含む。ドッキング部材25は金属、プラスチック又は他の適当な材料から製造することができ、手術室台15の1以上の脚部の下に配置されるようにシートの形を有することができる。手術室台15の重量は、ドッキング部材25、そして基部20を床に固定するように作用する。基部20をドッキング部材25へ固定するのにラッチ(保持、係止)機構30を採用することができる。ラッチ機構30は、ドッキング部材25に対して基部20を容易に結合および解除する適当なラッチでよい。ドッキング部材25に一つ以上のラッチ機構30が設けられるのが可能であることを認識すべきである。例えば図1に図示されているように、ドッキング部材25は、各々が各外科用位置調整装置を固定する二つのラッチ機構30を含むことが可能である(ただし、図示を容易にするために図1では一つの外科用位置調整装置のみが示されている)。あるいは、外科用位置調整装置の基部20を床に固定するためにラッチ機構30が床に直接固定されることも可能である。
【0015】
また別の代替例として、基部20の底部に配置された一つ以上の吸引カップ(図示せず)を介して基部20を床またはドッキング部材25に固定可能である。このように、適当な構造を介して手術室台15の箇所に対して関連する場所に基部20を固定でき、そのような構成が本発明の範囲に包含されると考えられることを認識すべきである。基部20が別の構造へ確実に結合されていない時に外科用位置調整装置10が直立位置を維持するように、外科用位置調整装置10へ安定性を付与するのに基部20が使用される。
【0016】
さらに、多様な外科用支持および/または位置調整装置を支持するのにドッキング部材と基部アセンブリを採用できることを認識すべきである。さらに、外科処置または肢の支持を必要とする他の処置の間に患者の腕を支持するため、ドッキング部材と基部アセンブリとを手術室台15の側面に配置できる。
【0017】
外科用位置調整装置10はまた、適当な旋回自在結合具40を介して基部20へ結合される支柱35を含む。例を挙げると、旋回自在結合具40は、基部20に対する支柱35の旋回を容易にするとともに支柱35および基部20を所望の位置に保持するためのロック機構を含むロック球状継手または他の適当な継手を含む。例えば、旋回自在結合具40がロック解除状態にある時には、矢印Aで示されたように肢は水平面上で横方向に自由に揺動できる。さらに支柱35は、考えられる他の構造へ旋回自在に結合されることが可能である。例えば、手術室台15または他の何らかの構造へ機能的に結合されるアーム部材(図示せず)へ支柱35を旋回自在に結合できる。旋回自在結合具40をロックおよびロック解除するために容易にアクセス(利用、接触)できる手段を設けるため、旋回自在結合具のためのロック部材45を旋回自在結合具40に機能的に結合できる。例えば、旋回自在結合具のためのロック部材45は、フットペダルでよい。しかし、水平面上の所望の位置に支柱35をロックするために適当なロック機構を旋回自在結合具40に採用できることを認識すべきである。
【0018】
外科用位置調整装置10に垂直方向調節自在性を付与するため、外科用位置調整装置10はさらに、高さ調節機構50を含む。特に、高さ調節機構50がロック解除状態にある時には、矢印Bで示されているように、外科用位置調整装置10は旋回自在結合具40を中心として前後方向に回転できる。こうして、様々な手術室台の高さまたは患者の大きさと位置に対応するように、外科用位置調整装置10の高さを調節できる。高さ調節機構50は、基部20の付近に配置された手動装置でも、他の適当な装置でもよい。
【0019】
外科用位置調整装置10にさらに調節自在性を付与するため、支柱35を伸縮式支柱とすることができる。伸縮式支柱35は摺動部材55を含み、摺動部材55は、下方部材を摺動部材55が包囲する下降位置と、下方部材が摺動部材55から延出する上昇位置との間で移動自在である。伸縮式支柱35がいかなる数の伸縮式部品を有してもよく、本発明の範囲に包含されると考えられることは言うまでもない。
【0020】
伸縮式支柱35は、伸縮する複数の長さの一つに支柱35を固定するための適当な構造を有する。こうして伸縮式支柱35は、固定された位置において患者の肢を支持するように機能し、さらに伸縮式支柱35が伸張または収縮できる時に肢をその関節で自然に屈曲させることができる。伸縮式支柱35が多様な伸縮長さに選択的にロックされるように、摺動部材55にはロック機構60が機能的に結合されている。ロック機構60がロック解除状態にある時には、伸縮式支柱35を圧縮すると肢を下降させ、伸縮式支柱35を伸張させると肢を上昇させることができる。言い換えると、摺動部材55を下方部材に沿って下方および上方に摺動させることにより、それぞれ肢を下降および上昇させることができる。ロック機構60は、摺動部材55をロックするためのロックノブまたは他の適当な装置でよい。さらに伸縮式支柱35は、旋回自在結合具40と独立してロックおよびロック解除できることにより、1本の軸に沿って肢をしっかりと保持しながら他の軸に沿った自由運動を許容できる。伸縮式支柱35は、肢の持上げを補助するため支柱35の中に設けられた1本以上のばねまたは他の蓄積エネルギー装置(stored energy devices)(図示せず)を任意で含むことができる。あるいは、伸縮式支柱35は油圧で作動してもよい。
【0021】
少なくとも2本、望ましくは3本の軸上での外科用位置調整装置10の調節自在性により、本発明では、関節への不要な圧力を引き起こすことなく肢の重量を支持する。特に、本発明では肢の重量を支持するのと同時に、外科医が他の軸上で肢を自由に操作することにより、手術を効率的に実施するのに外科医が必要とする肢の動作範囲を提供する。例えば、外科用位置調整装置は肢を垂直方向に支持しながら、外科処置中に水平面上での自由運動を許容する。
【0022】
自在継手65は、伸縮式支柱35と、外科位置に肢を保持するのに採用される肢架台70との間に機能的に結合されている。自在継手65は、肢架台70にある肢に広い角度変化を持つ支持を提供する。例えば、自在継手65により、通常は「4の字」位置として知られる外科位置に肢(例えば脚)を配置および保持できる。さて図2を見ると、本発明の一態様による自在継手65が詳細に図示されている。自在継手65は伸縮式支柱35の摺動部材55の上部に結合され、摺動部材55と係合して自在継手65を横方向にロックするロック機構75を任意で含む。ロック機構75はロックノブでよい。しかし、自在継手65を何らかの適当な方法で摺動部材に結合できることを認識すべきである。
【0023】
自在継手65はさらに保持(ラッチング(latching)、ラッチ、係止)機構80を含む。保持機構80は、一つの固定突起90と二つの可動突起95とを上に有する本体85を含む。以下で詳細に説明するように、突起90,95は肢架台70と係合自在である。固定突起90は本体85の第1エッジ部分に近接して配置され、二つの可動突起95は、本体85の第2および第3エッジ部分に近接して配置される。例えば、可動突起95は相互にほぼ平行に配置されて本体85の対向部分に設けられるのに対して、固定突起90は可動突起95に対してほぼ垂直に本体85に配置されることが可能である。
【0024】
自在継手65はさらに、二つの可動突起95を解離位置へ移動させる少なくとも一つの解除機構100を含む。可動突起95が解離位置へ移動すると、肢架台70は自在継手65から解除される。例えば、各々が各可動突起95と対応する二つの解除機構100を設けることができる。図2には解除機構が一つのみ図示されていることに言及しておく。二つの解除機構の他方は、見える方の解除機構100と反対の側で本体85に配置されている。解除機構100は、可動突起95を肢架台70から解離させる位置に可動突起95を移動させるように機能する。例えば、可動突起95は通常は外方へ付勢されており、解除機構100は操作時に可動突起95を内方へ移動させるように機能できる。あるいは、可動突起95が内方への付勢力を受け、解除機構100が可動突起95を外方へ移動させるように作動することも可能である。
【0025】
上述した突起の形態は本発明に採用できる保持機構の一例に過ぎず、肢架台70を自在継手65へ適当に結合するのに、ここに記載される固定および可動突起はいかなる数でもいかなる形態でもよく、本体85上の適当な箇所に配置されることを理解すべきである。
【0026】
図3は、本発明の一態様による自在継手65と肢架台70との間の結合の例を示す。肢架台70は、無菌の使い捨て肢架台である。したがって、無菌領域を壊すことなく容易に使用済みの肢架台を取り外して新しい肢架台と交換することが可能である。肢架台70は、固定突起90と二つの可動突起95とを中に受け入れるための第1、第2、第3スロット孔105を含む。解除機構100を作動させずに、最初に固定突起90に対応するスロット105を係合してから可動突起95を対応するスロット孔105と係合することにより、肢架台70が自在継手65へ結合される。固定突起90と可動突起95は、肢架台70のスロット孔105を突起90,95と容易に係合させるためのスロープ状の導入部を含むことが可能である。一旦、突起90,95がスロット孔105と係合すると、可動突起95が外方へ付勢されて肢架台70との係合を維持する。肢架台70を取り外すには、解除機構100が押圧されることにより可動突起95が内方へ移動して、肢架台70を解除してその廃棄が可能となる。したがって、無菌領域を壊すことなく、使い捨て肢架台70を外科用位置調整装置10に対して迅速に着脱できるのである。
【0027】
ここに説明される本発明の外科用位置調整装置10では、肢を一点で伸縮式に支持する。この単一点取付は、手術を受ける肢と共に三角形を形成し、旋回自在結合具40と自在継手65と患者の肢関節とが三角形の三つの頂点を成す。このように肢を支持することで、伸縮式支柱が解除されて伸張および収縮する時に、肢が関節で自然に屈曲できる。さらに、旋回自在結合具40がロック解除されている時には、肢は外科医によって横方向に自由揺動できる。また、外科用位置調整装置10に設けられた一つ以上の制御手段(旋回自在継手ロック機構45、伸縮式支柱ロック機構60、自在継手ロック機構75など)により、肢はしかるべき場所にロックされる。
【0028】
図4に図示されているように、外科用位置調整装置10の無菌状態は、無菌の使い捨て肢架台70に結合された保護布110によって維持することができる。保護布110は、外科用位置調整装置を手術室環境から保護するために採用される。あるいは、自在継手65、支柱35または他の適当な構造に布110を結合することもできる。布110は、外科用位置調整装置10が布110によって保護されたまま、外科用位置調整装置10の制御手段(旋回自在継手ロック機構45、伸縮式支柱ロック機構60、自在継手ロック機構75など)へのアクセス(利用、接触)を許容する幾何学形状を有する。
【0029】
図5は、手術室台120に固定できる外科用位置調整装置115の代替例を示す。図の例では、外科用位置調整装置115は手術室台120の脚部125にクランプまたは他の方法で固定されている。ただし、手術室台120の適当な部分へ外科用位置調整装置115を固定できることを認識すべきである。例えば、レールクランプ130を介して手術室台120のレールへ外科用位置調整装置115がクランプされることが可能である。
【0030】
さて図6を見ると、本発明の一態様による別の例の外科用位置調整装置140が図示されている。外科用位置調整装置140は、ドッキング部材150へ固定された基部145を含む。ドッキング部材150は金属薄板、プラスチックなどから製造されたプレートであり、手術台160の1以上の脚部155によってしかるべき場所に固定できる。図7は、基部145とドッキング部材150との結合の例を示す。ドッキング部材150は、基部145を収容するための切欠き部分を含み、切欠き部分の各辺に沿ってガイド155が配置されている。ガイド155は溝形状の開口部を有して、基部145の対応する辺を摺動自在に収容するのに適合されていることにより、基部145とドッキング部材150との整合を容易にする。ドッキング部材はさらに、切欠き部分の後方位置にタブ160を含む。タブ160は、略傾斜した前部と略垂直な後部とを有する。したがって、基部に設けられたラッチ165はタブ160の傾斜部分に「乗り上げ」て垂直な後部に保持され、基部145をドッキング部材150に対してしかるべき場所にロックすることができる。基部145はフットペダル170によりドッキング部材150からロック解除されることが可能であり、フットペダル170は、ラッチ165を上方へ起こすことによりラッチ165をタブ160から解離させるのに適合されている。基部145をドッキング部材150へ固定するための他の適当な機構を採用できることを認識すべきである。
【0031】
あるいは、一つ以上の吸引カップ(図示せず)のような適当な締結具を介して、基部を床へ直接固定することができる。さらに、外科用位置調整装置140を手術台に対してしかるべき場所に配置するのに、適当な基部形態または基部とドッキング部材との結合を採用できる。
【0032】
図6へ戻ると、外科用位置調整装置140はさらに、患者の肢を支持するための伸縮式支柱180を含む。伸縮式支柱180は手動の高さ調節装置175を含み、この手動高さ調節装置175は、様々な台の高さおよび/または患者の位置に対する位置調整装置140の調節を容易にするように結合されている。伸縮式支柱180は、ばねまたは他の適当な方法で空気、油圧、弾性力によって作動して肢を垂直方向調節自在に支持できる第1継手185を含む。第1ロック部材210(図8)は、第1継手185を選択的にロックおよびロック解除するためのものであり、外科医が容易にアクセスできるように肢架台205の下方に設けられた手動制御手段とすることができる。伸縮式支柱180がロック解除状態にある時、肢架台205に配置された肢は、第1継手185に関して、支柱180を圧縮することによって下降でき、または支柱180を伸張させることによって上昇できる。肢の持上げ補助を行うため、支柱180の中に蓄積エネルギー装置を任意で設けてもよい。あるいは、所望であれば非伸縮式の支柱を外科用位置調整装置140に設けてもよいことを認識すべきである。
【0033】
伸縮式支柱180の第1端部は、ロック球面継手などの第2継手190を介して基部145に結合されている。第2継手190は機械、空気または電気によって作動し、フットペダルまたは他の適当な装置などの第2ロック部材195を介してロックおよびロック解除される。第2継手190は、それぞれ矢印CとDで示されているように支柱180の横方向および前後方向への自由な移動を許容しつつも垂直方向の肢の支持を提供するように適合されている。さらに第2継手190は、横方向のみ、または前後のみ、またはその両方の移動を許容するように選択的にロックおよびロック解除できる。さらに、第1継手185と第2継手190は相互に独立して操作(例えばロックおよびロック解除)されるので、装置140は、1本の軸上で肢をしっかりと支持しながら別の軸上での肢の自由動作を許容できる。
【0034】
図8は、本発明の一態様による外科用位置調整装置140のための第3継手200を示す。第3継手200は、支柱180に対する肢架台205の支持および動作を容易にするため、伸縮式支柱180の第2端部またはその付近に設けられることが可能である。好ましくは第3継手200は自在継手であるが、支柱180と肢架台205を結合するのに適当な継手を利用できることを認識すべきである。第3継手200を様々な位置と様々な軸に選択的にロックおよびロック解除するため、外科用位置調整装置140には第3ロック部材203も設けられている。例えば、第3ロック部材203を介して横方向にロックされている間、第3継手200は前後に自由に移動できる。横方向に移動しないように第3継手をロックすると、外科処置中の肢のねじれが緩和される。
【0035】
図9と10に図示されているように、第2、3継手190,200を組み合わせると、膝関節が0°から90°以上まで自然に屈曲できる。位置調整装置140は、肢を一点で伸縮式に支持する。単一点取付けは、手術を受ける肢とともに三角形を形成し、第2継手190と第3継手200と患者の肢関節とが三角形の三つの頂点を成す。この独自の方法で肢を支持すると、図9と10に見られるように、伸縮式支柱180が解除されて伸張および収縮する時に、肢が関節で自然に屈曲できる。さらに、第1継手185がロックされ第2継手190がロック解除されると、肢は外科医によって横方向に自由に移動できる。さらに、装置に設けられたすべての制御手段をロックすると、肢をしかるべき場所に確実にロックするように機能できる。
【0036】
図8に戻ると、第3ロック部材203は、第3継手200を横方向の軸上で解除するロック解除ボタンでよい。したがってロック解除ボタンが解除されると、手術を受ける肢が図11に図示された「4の字位置」に配置されるように、第3継手200は被制御状態でねじれる。継手が直立位置へ戻ると、第3ロック部材203は自動的に「再ロック」できる。さらに、第3ロック部材203は、任意の適当な位置に第3継手200をロックするように作動可能である。第3継手200は多数の位置に(例えば一つの自由度のみでや、多数の自由度で)ロックされるか、完全ロック解除状態とすることができる。
【0037】
さて図12を見ると、本発明の一態様による肢架台アセンブリの例が示されている。肢架台アセンブリは、上部215と底部220とを含む。上部215は、患者の肢を受け入れるためのエリアを画定する。底部220は上部215に結合されてこれを支持し、さらに支持装置140へ装着するためのエリアを含む。特に底部220は、肢架台の底部220と第3継手200の上部との間に配置された取付プレート225に固定されている。取付プレート225は、一つ以上、好ましくは二つの固定突起230と、一つ以上、好ましくは二つの可動突起235とを含む。肢架台を解除するために対応の解除ボタンが押された時に内方に移動するのに可動突起235が適合しており、所望であれば肢架台を廃棄できる。可動突起235の各々は、解除ボタンを押す必要なく肢架台ボタン220の結合を容易にするための傾斜導入部を含む。これにより、本発明では、無菌領域を壊すことなく位置調整装置140に対して肢架台を着脱することができる。言い換えると、無菌布250(図6)の下にある非滅菌部分のいずれにも触れる必要なく、肢架台を突起230,235へ押し下げて肢架台を所定の場所に係止することができる。あるいは、肢架台が第3継手200へ継続的に取り付けられ、肢架台を含むユニット全体が使い捨て無菌布で覆われもよい。
【0038】
肢を包むフックアンドループ式(マジックテープ式)ファスナによって、肢架台内のしかるべき位置に肢を保持できる。あるいは、スナップおよび/またはバックルファスナで肢をしかるべき位置に保持することもできる。ただし、当業者が考えられる適当な方法で肢架台のしかるべき位置に肢を保持できることを認識すべきである。
【0039】
図6へ戻ると、無菌布250は肢架台205へ結合されており、位置調整装置140の可動部分(たとえば第1、第2、第3継手)を被覆するのに適している。布250を取り付ける際に装置140の周囲に落下しやすくするため、布250はその底部におもりリング255を含む。あるいは、リング255は、布250を下に落とすための複数の別々のおもりでもよい。あるいは上述したように、使い捨ての無菌袋を継続使用できる肢架台に掛けてもよい。さらに、布250の形態は、ロック部材210,195,203のすべてに外科医が容易にアクセスでき、継手185,190,200のすべてが布250で保護されるようなものである。
【0040】
上述したように、外科用位置調整装置は、互いに独立して作動できる各ロック部材に各々が結合された複数の継手を含む。したがって、手術を受ける肢の解剖学的構造に基づいた複数の継手の自由度により、肢の自然な動作を可能にしながらも肢の重量を支持するような選択的なロックおよびロック解除を可能にする。さらに、上述したように、継手の制御手段はすべて無菌領域からアクセス可能である。したがって、外科医が片方の手で制御手段を操作しながら反対の手で肢を支持する必要のある従来の位置調整装置と対照的に、外科医は肢を支持するのと同じ手で制御手段を操作できる。
【0041】
本発明の外科用位置調整装置は、市販の部品、機械加工部品、押出成形品、延伸成形品から製造できる。適当な材料の例は、鋼とアルミニウムであるが、いくつかの異なる材料を代わりに用いてもよいことは自明である。一態様によれば、滅菌された使い捨て架台は、熱成形、回転成形、および/または射出成形されたプラスチックなどの成形プラスチックで製作される。しかし、いくつかの異なる材料を代わりに使用してもよいことは自明である。布は滅菌可能な不透水性材料で製作できる。
【0042】
下肢(下端)を支持するものとして本発明のいくつかの態様を図示および説明したが、上肢(上端)を支持するためにも本発明を使用できることを認識すべきである。さらに、外科用位置調整装置のさまざまな部品を動かすための機械的制御手段を備えるものとして本発明を説明した。しかし、遠隔制御手段などを介して一つ以上の要素を電気的に制御できることを認識すべきである。
【0043】
特定の例を用いて本発明を説明してきたが、発明の範囲を逸脱することなく、さまざまな代替例を使用してもよく、説明された要素またはステップに均等物を代用してもよいことは当業者に理解されるだろう。発明の範囲を逸脱することなく特定の状況または特定の必要性に本発明を適応させるのに変形が必要であってよい。本発明はここで説明された特定の実施例には限定されず、文言通りにまたは均等論により包含されるすべての実施例を含むように請求項には最も広い解釈が与えられるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、本発明の一態様による外科用位置調整装置の例を示す。
【図2】図2は、本発明の一態様による外科用位置調整装置の継手の例を示す。
【図3】図3は、本発明の一態様による外科用位置調整装置の肢架台の例を示す。
【図4】図4は、本発明の一態様による、布を有する外科用位置調整装置を示す。
【図5】図5は、本発明の一態様による、手術室台の脚部に取り付けられた外科用位置調整装置を示す。
【図6】図6は、本発明の一態様による外科用位置調整装置の別の例を示す。
【図7】図7は、本発明の一態様による外科用位置調整装置を支持するように機能する基部の例を示す。
【図8】図8は、本発明の一態様による外科用位置調整装置の支柱と肢架台との間の継手の例を示す。
【図9】図9は、本発明の一態様による、第1位置にある外科用位置調整装置を示す。
【図10】図10は、本発明の一態様による、第2位置にある外科用位置調整装置を示す。
【図11】図11は、本発明の一態様による、第3位置にある外科用位置調整装置を示す。
【図12】図12は、本発明の一態様による肢架台アセンブリを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術室台の重量によってドッキング部材を床に固定するように該手術室台の1以上の脚部の下に配置されるのに適合したドッキング部材と、
前記ドッキングプレートに固定される外科用位置調整装置の基部と、
を含む外科用位置調整装置。
【請求項2】
さらに、前記基部を前記ドッキング部材に固定するのに適合した少なくとも一つのラッチ機構を含む、請求項1の外科用位置調整装置。
【請求項3】
前記外科用位置調整装置を回転自在に支持する旋回自在結合具を前記基部が含む、請求項1の外科用位置調整装置。
【請求項4】
さらに、前記旋回自在結合具を所望の位置へ選択的にロックするための前記旋回自在結合具のためのロック機構を含む、請求項3の外科用位置調整装置。
【請求項5】
前記旋回自在結合具のための前記ロック機構がフットペダルである、請求項4の外科用位置調整装置。
【請求項6】
患者の肢を支持するように機能する支柱と、
旋回自在結合具を介して前記支柱に結合された基部と、
を含み、
前記支柱が前記患者の肢を垂直方向に支持し、
前記旋回自在結合具が水平面における前記患者の肢の動作を許容する、
外科用位置調整装置。
【請求項7】
前記支柱が伸縮式支柱である、請求項6の外科用位置調整装置。
【請求項8】
さらに、前記伸縮式支柱を所望の高さに選択的にロックする第1ロック機構を含む、請求項7の外科用位置調整装置。
【請求項9】
さらに、前記旋回自在結合具を所望の位置に選択的にロックする第2ロック機構を含み、前記第1ロック機構と前記第2ロック機構とが互いに独立してロックおよびロック解除される、請求項8の外科用位置調整装置。
【請求項10】
前記第1ロック機構が肢支持箇所に近接して配置される、請求項8の外科用位置調整装置。
【請求項11】
前記肢の持上げ補助を行うために前記支柱内に少なくとも一つの蓄積エネルギー装置を前記伸縮式支柱が含む、請求項7の外科用位置調整装置。
【請求項12】
前記基部がドッキング部材に固定される、請求項6の外科用位置調整装置。
【請求項13】
前記基部が床に固定される、請求項6の外科用位置調整装置。
【請求項14】
さらに、前記肢を支持するための肢架台を含み、該肢架台が、前記支柱の上部に結合された自在継手を介して該支柱へ機能的に結合される、請求項6の外科用位置調整装置。
【請求項15】
前記肢架台が保持機構を介して前記自在継手に結合される、請求項14の外科用位置調整装置。
【請求項16】
前記保持機構が少なくとも一つの固定突起と少なくとも一つの可動突起とを含む、請求項15の外科用位置調整装置。
【請求項17】
さらに、前記少なくとも一つの可動突起を解離位置へ付勢する少なくとも一つの解除機構を含む、請求項16の外科用位置調整装置。
【請求項18】
前記保持機構が、前記肢架台の少なくとも二つのスロット孔と対応する少なくとも二つの突起を含む、請求項15の外科用位置調整装置。
【請求項19】
さらに、外科用位置調整装置を手術室環境から保護する保護布を含む、請求項6の外科用位置調整装置。
【請求項20】
無菌領域を壊さずに外科用位置調整装置の制御手段へアクセスするのを可能にする幾何学形状を前記保護布が有する、請求項19の外科用位置調整装置。
【請求項21】
前記保護布が布底部に重みをつけられた、請求項19の外科用位置調整装置。
【請求項22】
さらに、手術室台のレールへ外科用位置調整装置をクランプするため前記基部に機能的に結合されたレールクランプを含む、請求項6の外科用位置調整装置。
【請求項23】
支柱と、
前記支柱の上部に結合された自在継手と、
患者の肢を支持するため前記自在継手に結合された肢架台と、
を含む、外科用位置調整装置。
【請求項24】
前記支柱が、前記肢を該肢の関節で屈伸させることのできる伸縮式支柱である、請求項23の外科用位置調整装置。
【請求項25】
さらに、前記肢を横に自由に揺動させることのできる、前記支柱の底部の旋回自在結合具を含む、請求項23の外科用位置調整装置。
【請求項26】
さらに、外科用位置調整装置を支持するため前記支柱に結合された基部と該基部に結合されたドッキング部材とを含む、請求項23の外科用位置調整装置。
【請求項27】
前記自在継手が複数の位置に選択的にロックされることが可能である、請求項23の外科用位置調整装置。
【請求項28】
前記自在継手が、第1自由度でロック可能であるとともに第2自由度で移動自在である、請求項23の外科用位置調整装置。
【請求項29】
前記自在継手が完全にロック解除されることが可能である、請求項23の外科用位置調整装置。
【請求項30】
支柱と、
保持機構を介して前記支柱へ機能的に結合される使い捨て肢架台と、
を含み、
手術室において無菌領域を壊さずに前記使い捨て肢架台が装置へ着脱されることが可能であるように、前記保持機構が少なくとも一つの固定突起と少なくとも一つの可動突起とを含む、外科用位置調整装置。
【請求項31】
前記支柱の上部に結合された自在継手に前記保持機構が設けられる、請求項30の外科用位置調整装置。
【請求項32】
前記支柱に設けられた継手と前記肢架台との間に配置された取付プレートに前記保持機構が設けられる、請求項30の外科用位置調整装置。
【請求項33】
さらに、前記少なくとも一つの可動突起を前記肢架台から解離させる少なくとも一つの解除機構を含む、請求項30の外科用位置調整装置。
【請求項34】
前記解除機構を作動させずに前記肢架台が装置に結合されることが可能である、請求項33の外科用位置調整装置。
【請求項35】
一つの固定突起が前記保持機構の本体の第1エッジ部分に近接して配置され、二つの可動突起が該本体の第2および第3エッジ部分に近接して配置される、請求項30の外科用位置調整装置。
【請求項36】
二つの可動突起が前記保持機構の本体の対向部分において相互にほぼ平行に配置され、一つの固定突起が該二つの可動突起に対して略垂直に該本体に配置される、請求項30の外科用位置調整装置。
【請求項37】
前記保持機構の前記少なくとも一つの固定突起および前記少なくとも一つの可動突起に対応するスロット孔を前記肢架台が含む、請求項30の外科用位置調整装置。
【請求項38】
前記保持機構が前記肢架台の下方に配置されることにより、外科医がアクセスできるスペースを患者の肢の上方に残す、請求項30の外科用位置調整装置。
【請求項39】
患者の肢を第1位置に固定するための第1ロック手段と、
前記患者の前記肢を第2位置に固定するための第2ロック手段と、
を含み、前記第1ロック手段と前記第2ロック手段とが互いに独立して作動できる、外科用位置調整装置。
【請求項40】
さらに、前記患者の前記肢を第3位置に固定するための第3ロック手段を含み、該第3ロック手段が前記第1ロック手段および前記第2ロック手段から独立して作動できる、請求項39の外科用位置調整装置。
【請求項41】
前記第1および第2ロック手段が無菌領域からアクセス可能である、請求項39の外科用位置調整装置。
【請求項42】
少なくとも一つの自由度でロックされることが可能である第1継手と、
少なくとも一つの自由度でロックされることが可能である第2継手と、
を含み、前記第1継手と前記第2継手とが互いに独立して制御される、外科用位置調整装置。
【請求項43】
さらに、少なくとも一つの自由度でロックされることが可能である第3継手を含み、該第3継手が前記第1および第2継手から独立して制御される、請求項42の外科用位置調整装置。
【請求項44】
肢の動作を許容するために前記第1および第2継手の一方がロック解除可能であり、該肢の重量を支持するために前記第1および第2継手の他方がロック可能である、請求項42の外科用位置調整装置。
【請求項45】
前記第1および第2継手の少なくとも一方が第1自由度でロックされるとともに第2自由度でロック解除されることが可能である、請求項42の外科用位置調整装置。
【請求項1】
手術室台の重量によってドッキング部材を床に固定するように該手術室台の1以上の脚部の下に配置されるのに適合したドッキング部材と、
前記ドッキングプレートに固定される外科用位置調整装置の基部と、
を含む外科用位置調整装置。
【請求項2】
さらに、前記基部を前記ドッキング部材に固定するのに適合した少なくとも一つのラッチ機構を含む、請求項1の外科用位置調整装置。
【請求項3】
前記外科用位置調整装置を回転自在に支持する旋回自在結合具を前記基部が含む、請求項1の外科用位置調整装置。
【請求項4】
さらに、前記旋回自在結合具を所望の位置へ選択的にロックするための前記旋回自在結合具のためのロック機構を含む、請求項3の外科用位置調整装置。
【請求項5】
前記旋回自在結合具のための前記ロック機構がフットペダルである、請求項4の外科用位置調整装置。
【請求項6】
患者の肢を支持するように機能する支柱と、
旋回自在結合具を介して前記支柱に結合された基部と、
を含み、
前記支柱が前記患者の肢を垂直方向に支持し、
前記旋回自在結合具が水平面における前記患者の肢の動作を許容する、
外科用位置調整装置。
【請求項7】
前記支柱が伸縮式支柱である、請求項6の外科用位置調整装置。
【請求項8】
さらに、前記伸縮式支柱を所望の高さに選択的にロックする第1ロック機構を含む、請求項7の外科用位置調整装置。
【請求項9】
さらに、前記旋回自在結合具を所望の位置に選択的にロックする第2ロック機構を含み、前記第1ロック機構と前記第2ロック機構とが互いに独立してロックおよびロック解除される、請求項8の外科用位置調整装置。
【請求項10】
前記第1ロック機構が肢支持箇所に近接して配置される、請求項8の外科用位置調整装置。
【請求項11】
前記肢の持上げ補助を行うために前記支柱内に少なくとも一つの蓄積エネルギー装置を前記伸縮式支柱が含む、請求項7の外科用位置調整装置。
【請求項12】
前記基部がドッキング部材に固定される、請求項6の外科用位置調整装置。
【請求項13】
前記基部が床に固定される、請求項6の外科用位置調整装置。
【請求項14】
さらに、前記肢を支持するための肢架台を含み、該肢架台が、前記支柱の上部に結合された自在継手を介して該支柱へ機能的に結合される、請求項6の外科用位置調整装置。
【請求項15】
前記肢架台が保持機構を介して前記自在継手に結合される、請求項14の外科用位置調整装置。
【請求項16】
前記保持機構が少なくとも一つの固定突起と少なくとも一つの可動突起とを含む、請求項15の外科用位置調整装置。
【請求項17】
さらに、前記少なくとも一つの可動突起を解離位置へ付勢する少なくとも一つの解除機構を含む、請求項16の外科用位置調整装置。
【請求項18】
前記保持機構が、前記肢架台の少なくとも二つのスロット孔と対応する少なくとも二つの突起を含む、請求項15の外科用位置調整装置。
【請求項19】
さらに、外科用位置調整装置を手術室環境から保護する保護布を含む、請求項6の外科用位置調整装置。
【請求項20】
無菌領域を壊さずに外科用位置調整装置の制御手段へアクセスするのを可能にする幾何学形状を前記保護布が有する、請求項19の外科用位置調整装置。
【請求項21】
前記保護布が布底部に重みをつけられた、請求項19の外科用位置調整装置。
【請求項22】
さらに、手術室台のレールへ外科用位置調整装置をクランプするため前記基部に機能的に結合されたレールクランプを含む、請求項6の外科用位置調整装置。
【請求項23】
支柱と、
前記支柱の上部に結合された自在継手と、
患者の肢を支持するため前記自在継手に結合された肢架台と、
を含む、外科用位置調整装置。
【請求項24】
前記支柱が、前記肢を該肢の関節で屈伸させることのできる伸縮式支柱である、請求項23の外科用位置調整装置。
【請求項25】
さらに、前記肢を横に自由に揺動させることのできる、前記支柱の底部の旋回自在結合具を含む、請求項23の外科用位置調整装置。
【請求項26】
さらに、外科用位置調整装置を支持するため前記支柱に結合された基部と該基部に結合されたドッキング部材とを含む、請求項23の外科用位置調整装置。
【請求項27】
前記自在継手が複数の位置に選択的にロックされることが可能である、請求項23の外科用位置調整装置。
【請求項28】
前記自在継手が、第1自由度でロック可能であるとともに第2自由度で移動自在である、請求項23の外科用位置調整装置。
【請求項29】
前記自在継手が完全にロック解除されることが可能である、請求項23の外科用位置調整装置。
【請求項30】
支柱と、
保持機構を介して前記支柱へ機能的に結合される使い捨て肢架台と、
を含み、
手術室において無菌領域を壊さずに前記使い捨て肢架台が装置へ着脱されることが可能であるように、前記保持機構が少なくとも一つの固定突起と少なくとも一つの可動突起とを含む、外科用位置調整装置。
【請求項31】
前記支柱の上部に結合された自在継手に前記保持機構が設けられる、請求項30の外科用位置調整装置。
【請求項32】
前記支柱に設けられた継手と前記肢架台との間に配置された取付プレートに前記保持機構が設けられる、請求項30の外科用位置調整装置。
【請求項33】
さらに、前記少なくとも一つの可動突起を前記肢架台から解離させる少なくとも一つの解除機構を含む、請求項30の外科用位置調整装置。
【請求項34】
前記解除機構を作動させずに前記肢架台が装置に結合されることが可能である、請求項33の外科用位置調整装置。
【請求項35】
一つの固定突起が前記保持機構の本体の第1エッジ部分に近接して配置され、二つの可動突起が該本体の第2および第3エッジ部分に近接して配置される、請求項30の外科用位置調整装置。
【請求項36】
二つの可動突起が前記保持機構の本体の対向部分において相互にほぼ平行に配置され、一つの固定突起が該二つの可動突起に対して略垂直に該本体に配置される、請求項30の外科用位置調整装置。
【請求項37】
前記保持機構の前記少なくとも一つの固定突起および前記少なくとも一つの可動突起に対応するスロット孔を前記肢架台が含む、請求項30の外科用位置調整装置。
【請求項38】
前記保持機構が前記肢架台の下方に配置されることにより、外科医がアクセスできるスペースを患者の肢の上方に残す、請求項30の外科用位置調整装置。
【請求項39】
患者の肢を第1位置に固定するための第1ロック手段と、
前記患者の前記肢を第2位置に固定するための第2ロック手段と、
を含み、前記第1ロック手段と前記第2ロック手段とが互いに独立して作動できる、外科用位置調整装置。
【請求項40】
さらに、前記患者の前記肢を第3位置に固定するための第3ロック手段を含み、該第3ロック手段が前記第1ロック手段および前記第2ロック手段から独立して作動できる、請求項39の外科用位置調整装置。
【請求項41】
前記第1および第2ロック手段が無菌領域からアクセス可能である、請求項39の外科用位置調整装置。
【請求項42】
少なくとも一つの自由度でロックされることが可能である第1継手と、
少なくとも一つの自由度でロックされることが可能である第2継手と、
を含み、前記第1継手と前記第2継手とが互いに独立して制御される、外科用位置調整装置。
【請求項43】
さらに、少なくとも一つの自由度でロックされることが可能である第3継手を含み、該第3継手が前記第1および第2継手から独立して制御される、請求項42の外科用位置調整装置。
【請求項44】
肢の動作を許容するために前記第1および第2継手の一方がロック解除可能であり、該肢の重量を支持するために前記第1および第2継手の他方がロック可能である、請求項42の外科用位置調整装置。
【請求項45】
前記第1および第2継手の少なくとも一方が第1自由度でロックされるとともに第2自由度でロック解除されることが可能である、請求項42の外科用位置調整装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2007−518536(P2007−518536A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551323(P2006−551323)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/002034
【国際公開番号】WO2005/072273
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(505352378)ハイレンブランド インダストリーズ,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/002034
【国際公開番号】WO2005/072273
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(505352378)ハイレンブランド インダストリーズ,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]