説明

外装パネル体

【課題】冬場には集熱パネルで暖めた外気を通気口から室内に取込み、夏場には通気口を室内の換気口として利用できる外装パネル体を提供する。
【解決手段】本発明に係る外装パネル体1は、躯体19との間に第1通路27を形成する断熱パネル21と、断熱パネル21との間に第2通路29を形成すると共に太陽光を受ける集熱パネル23と、集熱パネル23との間に第3通路31を形成する透光パネル25と、通路切換部材61とを備えており、各通路の下部は外気に連通してあり、第1通路27は躯体19の通気口33に連通しており、通路切換部材61は、通気口33と第1通路27とが連通する位置と、通気口33と第2通路29及び第3通路31が連通する位置に切り換え自在としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の躯体に設けて、冬場には太陽熱を利用して暖めた外気を室内に取込む外装パネル体に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、外壁(躯体)の外面に集熱パネルを取付けて躯体と集熱パネルとの間に通路を形成し、外壁には通気口を形成して、この通気口を躯体と集熱パネルとの間の通路に連通し、通路の下から取込んだ外気を集熱パネルの熱で暖め、室内に太陽熱で暖めた外気を取込むことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献1】第4頁〜第6頁、太陽熱集熱外壁パネル「ソーラスパンドレルII 業務用」カタログ 第1版 2010年8月 新日軽株式会社発行 コードNo.WEJC038 5R・U
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、非特許文献1の技術では、冬場に太陽熱で暖めた外気を取込めるが、夏場には通気口を利用することができず、外壁に設けた通気口が無駄になるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、冬場には集熱パネルで暖めた外気を通気口から室内に取込み、夏場には通気口を室内の換気口として利用できる外装パネル体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、躯体と、躯体の室外側に設けて躯体との間に第1通路を形成する断熱パネルと、断熱パネルの室外側に設けて断熱パネルとの間に第2通路を形成すると共に太陽光を受ける集熱パネルと、集熱パネルの室外側に設けて集熱パネルとの間に第3通路を形成する透光パネルと、通路切換部材とを備え、躯体には室内に開口した通気口が形成してあり、通気口は開閉部材により開閉自在であり、第1通路は躯体の通気口に連通しており、第1通路、第2通路及び第3通路の各通路は、上部が互いに連通しており、下部は外気に連通してあり、通路切換部材は、第1通路に設けてあり、通気口と第1通路とが連通する位置と、通気口と第2及び第3通路が連通する位置に切り換え自在としてあることを特徴とする外装パネル体である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、冬場には、通路切換部材を通気口と第2及び第3通路が連通する位置にして、第2及び第3通路を通る外気を集熱パネルの熱で暖めて躯体の通気口から室内に取込み、夏場には、通路切換部材を通気口と第1通路が連通する位置にして、外気をそのまま室内に取込んで室内の換気をすることができる。したがって、通気口を夏場にも室内の換気用として利用することができる。
集熱パネルの室外側面に第3通路を形成してあり、室内側面に第2通路を形成して集熱パネルが対面する両方の通路を通る空気を暖めることができるので、集熱パネルの両面が利用できるから集熱パネルの熱交換効率が良い。
通気口は開閉部材により開閉自在であるから、例えば、夏場に室内を冷房したり、冬場に暖房しているときには、開閉部材により通気口を閉じることにより、エネルギーの無駄を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態にかかる外装パネル体を取付けた建物の図であり、図3に示すA−A断面図であり。
【図2】本発明の実施の形態にかかる外装パネル体を取付けた建物の図であり、図3に示すB−B断面図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかる外装パネル体を取付けた建物の正面図である。
【図4】通路切換部材の図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は第1通路内に配置された状態を示す側面図である。
【図5】通路切換部材とその操作部を示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)に示すC−C断面図である。
【図6】本発明の実施の形態にかかる外装パネル体の作用を説明する図であり、本発明の主要部分のみを概略的に示す縦断面であり、(a)は冬場の状態、(b)は夏場の状態である。
【図7】本発明の他の実施の形態にかかる外装パネル体の図であり、主要部分のみを概略的に示す縦断面である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図3に示すように、本実施の形態にかかる外装パネル体1は建物3の外壁を構成するものであり、上サッシ5aと下サッシ5bとの間に設けてある。また、外装パネル体1は、上枠7と下枠9と左右の竪枠11とで四周を囲む枠13を備え、枠13内には本体部15と、本体部15の左右に補助部17が設けてある。
図1及び図2に示すように、本体部15には、躯体19と、断熱パネル21と、集熱パネル23と、透光パネル25とが、室内側から室外側へこの順序で配置されている。
断熱パネル21は、躯体19の室外側に設けて躯体19との間に第1通路27を形成しており、断熱パネル21と集熱パネル23との間に第2通路29を形成しており、集熱パネル23と透光パネル25との間に第3通路31を形成している。
躯体19には、通気口33が形成されており、第1通路27と室内とを連通している。通気口33には室内側にファン35及び開閉部材37が設けてある。開閉部材37は可動ルーバーであり室内の操作により開閉するようになっている。ファン35は、室内に設けたスイッチの操作により必要に応じて駆動するようになっている。
【0010】
第1通路27は、躯体19の室外側面に設けた上下に長い通気部材39で形成している。この通気部材39は室外側に溝底39aを有する溝状であり、通気部材39の溝が第1通路27になっている。
断熱パネル21は、通気部材39の溝部39aの室内側に設けてあり、通気部材39の躯体19側には補助断熱パネル41が設けてあり、第1通路27を室外側と室内側とで断熱している。
集熱パネル23は、黒色に着色したアルミ形材であり、凹凸を形成して集熱面積を稼いでいる。
透光パネル25は、ガラスであり、四周を枠43で固定した嵌め殺しサッシである。
下枠9の下面には、第1外気取込孔45が長手方向に間隔をあけて複数形成されており、各第1外気取込孔45は連通孔46を介して第1通路27に連通している。
透光パネル25の下枠47にはその室外側面に第2外気取込孔49が長手方向に間隔をあけて複数形成されており、第2外気取込孔49は連通孔48を介して第2通路29及び第3通路31の各下端に連通している。
【0011】
図2に示すように、本体部15と左右の補助部17とは方立51により仕切られており、図1に示すように、本体部15の上部空間53と補助部17の上部空間とは方立51の上部に形成された連通孔57により互いに連通されている。
図2に示すように、補助部17には、躯体19に断熱材59が固定してり、断熱材59の室外側に集熱パネル23、及び透光パネル25が設けてあり、断熱材59と集熱パネル23との間に第2通路29が形成されており、集熱パネル23と透光パネル25との間に第3通路31が形成されている。
【0012】
図1に示すように、本体部15において、第1通路27には通気口33と連通する通路を切替える通路切換部材61が設けてある。この通路切換部材61は、室内に設けた操作部63の操作に連動して上下に移動するようになっている。図4に示すように、通路切換部材61は上端部65と、下端部67と、上端65と下端部67を連結する連結部69とが設けてあり、上端部65及び下端部67には各々室外側と室内側とに摩擦部材71が設けてある。各摩擦部材71は、第1通路27の室内側壁面及び室外側壁面に当接しており通路切換部材61は摩擦部材と通路壁面との摩擦により所定位置に保持されている。摩擦部材71は毛状部材であり、いわゆるモヘアである。
【0013】
図5に示すように、通路切換部材61には上下に長い一対の案内孔73と、案内孔73、73間に設けた係合孔75とが形成されている。通路切換部材61の室内側には保持部材77と回転部材79とが設けてあり、保持部材77は通気部材39の溝底39aとの間に間隔をあけてねじ81、81により固定されている。保持部材77を固定しているねじ81、81は各々対応する案内孔73、73に挿通されており、通路切換部材61は保持部材77に対して上下動自在にしてある。
回転部材79には室外側に向けて突設した突部83が設けてあり、突部83が係合孔75に摺動自在に係合している。回転部材79には、巻き掛け状のワイヤ85が掛けてあり、ワイヤ85は操作部63のダイヤル87と共に回転するプーリ89にも掛けてある。この構成により、ダイヤル87を180度回転すると、回転部材79も180度回転して突部83が回転部材79と共に上位置から下位置へ移動するので、突部83が通路切換部材61を押して通路切換部材61を上下に移動する。そして、通路切換部材61は上位置及び下位置で各々摩擦部材71と通気部材39との間の摩擦力によりその位置に保持される。
図6(a)に示すように、通路切換部材61が下位置にあるときには、通気口33と本体部の上部空間53が連通し、図6(b)に示すように、通路切換部材61が上位置にあるときには、第1通路27と通気口33とが連通する。
【0014】
次に、本実施の形態にかかる外装パネル体1の作用及び効果について説明する。
冬場には、図6(a)に示すように、第1通路27内に設けた通路切換部材61を下端に位置させ、上部空間53と通気口33を連通する。
そして、ファン35を駆動すると、第2外気取込口49から取込まれた外気は、第2通路29及び第3通路31を通って、上部空間53から通気口33を通り、室内に取込まれる。外気は、第2通路29及び第3通路31では、太陽光を受けた集熱パネルの熱により温められて、室内に送られる。
また、補助部17でも同様に第2通路29及び第3通路31を通って暖められた外気は補助部の上部空間から連通孔57を通り、本体部15の上部空間53で合流する。
【0015】
一方、夏場には、図5に示すように、ダイヤル87を180度回転し、突部83を上方に上げて図5に示す位置にすることにより、図6(b)に示すように、通路切換部材61を上に移動させる。
図6(b)に示す状態では、通気口33と上部空間53との連通が閉じ、第1通路27と通気口33とが連通する。
ファン35の駆動により、第1外気取込孔45から取込まれた外気は、第1通路27を通って、室内に取込まれる。第1通路27では、第2通路29や第3通路31のように、集熱パネル23による外気の加温がないから、外気をそのまま取込んで室内の換気をすることができる。
尚、空調装置により冬場に暖房したり、夏場に冷房したりするときには開閉部材37により通気口35を閉じることができる。
【0016】
本実施の形態にかかる外装パネル体1によれば、冬場には、通路切換部材61を通気口33と、第2通路29及び第3通路31が連通する位置にして、第2通路29及び第3通路31を通る外気を集熱パネル23の熱で暖めて通気口33から室内に取込み、夏場には、通路切換部材61を通気口33と第1通路27が連通する位置にして、外気をそのまま室内に取込み、室内の換気をすることができる。
集熱パネル23はその室外側の第3通路31と室内側の第2通路29との両方の通路を通る空気を暖めることができるので、集熱パネル23の両面が利用できるから集熱パネル23の熱交換効率が良い。
外装パネル体1は本体部15の左右に補助部17を設けて、冬場には補助部17の集熱パネル23で暖めた外気を本体部15で暖めた外気と合流するので、効率良く集熱できる。
通気口33は開閉部材37により、開閉自在であるから、例えば、夏場に室内を冷房したり、冬場に暖房しているときには、開閉部材37により通気口33を閉じることにより、エネルギーの無駄を防止できる。
通路切換部材61は、摩擦部材71によりその位置を保持しているので、ワイヤ85を掛けたダイヤル87の操作のみで上位置と下位置とに保持することができるから、構成を簡易にできる。
断熱パネル21は、通気部材39の溝底39aに固定しているので、断熱パネル21の取り付けが簡単にできる。
【0017】
以下に本発明の他の実施の形態を説明するが、以下に説明する実施の形態において、上述した第1実施の形態と同一の作用効果を奏する部分には同一の符号を付することによりその部分の詳細な説明を省略し、以下の説明では第1実施の形態と主に異なる点を説明する。
図7に本発明の第2実施の形態にかかる外装パネル体1を示している。この第2実施の形態では、通気口33を躯体19の下方に設けている。但し、この実施の形態では、建物は2階建てであり、通気口33は1階(1F)の天井に近い位置にある。
この第2実施の形態では、第2通路29及び第3通路31を通った外気を上方で合流して第1通路27の上方から通気口33へ導いている。
この第2実施の形態によれば、第1実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0018】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、第1外気取込孔45は外装パネル体1の下枠9に形成することに限らず、竪枠11の下部に設けるものであっても良い。また、第1外気取込孔45又は第2外気取込孔49を第1通路27、第2通路29及び第3通路31の共通の外気取込用孔として用いても良い。
集熱パネル23には、パンチメタルのように多数の孔を形成して第2通路29と第3通路31との通気を自由に図るものであっても良い。
ファン35は無くても良く、例えば、室内のドアを開いたり、換気装置の駆動により室内を減圧にして、通気口33から外気を取込んでも良い。
外装パネル体1は、補助部17を設けないで本体部15のみとしても良い。
通路切換部材61は、ワイヤ85を操作して移動させる構造に限らず、モータ駆動により上位置と下位置との間を移動する構成にしても良いし、通路切換部材61の駆動方法は限定されない。
開閉部材37は、開閉ルーバーに限らず、板材を上下にスライドさせて開閉するものであっても良く、その構成は限定されない。
【符号の説明】
【0019】
1 外装パネル体
19 躯体
21 断熱パネル
23 集熱パネル
25 透光パネル
27 第1通路
29 第2通路
31 第3通路
33 通気口
37 開閉部材
61 通路切換部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体と、躯体の室外側に設けて躯体との間に第1通路を形成する断熱パネルと、断熱パネルの室外側に設けて断熱パネルとの間に第2通路を形成すると共に太陽光を受ける集熱パネルと、集熱パネルの室外側に設けて集熱パネルとの間に第3通路を形成する透光パネルと、通路切換部材とを備え、躯体には室内に開口した通気口が形成してあり、通気口は開閉部材により開閉自在であり、第1通路は躯体の通気口に連通しており、第1通路、第2通路及び第3通路の各通路は、上部が互いに連通しており、下部は外気に連通してあり、通路切換部材は、第1通路に設けてあり、通気口と第1通路とが連通する位置と、通気口と第2及び第3通路が連通する位置に切り換え自在としてあることを特徴とする外装パネル体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−255314(P2012−255314A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129847(P2011−129847)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000175560)三協立山株式会社 (529)
【Fターム(参考)】