説明

多センサ処理

多センサ処理の方法は、第1のセンサシステムにおいて、第2のセンサシステムからトラックデータを受信すること、第1のセンサシステムからのトラックデータを第2のセンサシステムからのトラックデータと比較することであって、或る時間期間の間にトラックが第1のセンサシステムの視野内に存在することになるか否かを判断する、比較すること、第1のセンサシステムにおいて、トラックデータに基づいてトラックの予測品質を求めること、及び、当該トラックの予測品質をブロードキャストすることを含む。本方法は、第2のセンサシステムからトラックの予測品質を受信すること、並びに、第1のセンサシステムによって求められたトラックの予測品質、及び第2のセンサシステムから受信されたトラックの予測品質に基づいて第1のタスクのセットを決定することも含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
レーダシステムのようなセンサシステムは、資源を利用して物体を検出する。いくつかのセンサシステムは、物体を検出及び追跡するための資源の利用を制御するように調整することができる。1つの資源は、センサシステムから伝搬される波形の種類のものとすることができる。別の種類の資源は、その波形を伝搬するのに利用可能なエネルギー量を含むことができる。他の資源は、センサコンタクトを処理するのに専用の処理時間を含むことができる。他の資源は、観察する物体の数を求めることを含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
資源利用の決定において、資源が競合している場合に問題が生じる。たとえば、レーダシステムにおいて、第1の波形は、第2の波形を使用するよりも良好に物体を追跡する。しかしながら、レーダシステムは、第1の波形を伝送してコンタクトを追跡するのに特定のエネルギーを消費するが、第2の波形を伝送するのに消費するエネルギーはより少ない場合がある。資源をどのように割り当てるかを決定することは、単一のセンサシステムにとっての問題であるが、この問題は、2つ以上のセンサシステムを有するセンサネットワーク環境では複雑になってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様において、本発明は、多センサ処理の方法である。本方法は、第1のセンサシステムにおいて、第2のセンサシステムからトラックデータを受信すること、第1のセンサシステムからのトラックデータを第2のセンサシステムからのトラックデータと比較することであって、或る時間期間の間にトラックが第1のセンサシステムの視野内に存在することになるか否かを判断する、比較すること、第1のセンサシステムにおいて、トラックデータに基づいてトラックの予測品質を求めること、及び、当該トラックの予測品質をブロードキャストすることを含む。本方法は、第2のセンサシステムからトラックの予測品質を受信すること、並びに、第1のセンサシステムによって求められたトラックの予測品質、及び第2のセンサシステムから受信されたトラックの予測品質に基づいて第1のタスクのセットを決定することも含む。
【0004】
別の態様において、本発明は、多センサ処理において使用される実行可能命令を記憶する機械可読媒体を含む製品である。この命令は、機械が、第1のセンサシステムにおいて、第2のセンサシステムからトラックデータを受信し、第1のセンサシステムからのトラックデータを第2のセンサシステムからのトラックデータと比較して、或る時間期間の間にトラックが第1のセンサシステムの視野内に存在することになるか否かを判断し、第1のセンサシステムにおいて、トラックデータに基づいてトラックの予測品質を求めると共に、トラックの予測品質をブロードキャストするようにする。この命令はまた、機械が、第2のセンサシステムからトラックの予測品質を受信すると共に、第1のセンサシステムによって求められたトラックの予測品質、及び第2のセンサシステムから受信されたトラックの予測品質に基づいて第1のタスクのセットを決定するようにする。
【0005】
さらなる態様において、本発明は、多センサ処理において使用される装置である。この装置は、回路であって、第1のセンサシステムにおいて、第2のセンサシステムからトラックデータを受信し、第1のセンサシステムからのトラックデータを第2のセンサシステムからのトラックデータと比較して、或る時間期間の間にトラックが第1のセンサシステムの視野内に存在することになるか否かを判断し、第1のセンサシステムにおいて、トラックデータに基づいてトラックの予測品質を求めると共に、トラックの予測品質をブロードキャストする、回路を備える。この装置は、回路であって、第2のセンサシステムからトラックの予測品質を受信すると共に、第1のセンサシステムによって求められたトラックの予測品質、及び第2のセンサシステムから受信されたトラックの予測品質に基づいて第1のタスクのセットを決定する、回路も備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】センサネットワークの一例のブロック図である。
【図2】センサシステムの一例のブロック図である。
【図3】センサネットワーク内の各センサシステムによって実施されるプロセスの一例の流れ図である。
【図4】センサネットワーク環境の図である。
【図5】タスクのセットを決定するプロセスの一例の流れ図である。
【図6】候補解のリストの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1を参照すると、センサネットワーク10は、ネットワーク(たとえば、有線ネットワーク、無線ネットワーク、又はそれらの組合せ)によって接続されるセンサシステム(たとえば、センサシステム12a、センサシステム12b、センサシステム12c及びセンサシステム12d)を含む。一実施例では、センサネットワーク10は、各センサシステム12a〜12dがセンサコンタクト(すなわち、トラック)、たとえば、敵ターゲット、友軍ターゲット、未確認ターゲット等を検出及び追跡するのに使用される、戦場センサネットワークである。センサシステム12a〜12dは、たとえば、地上レーダシステム、空中レーダシステム、水上レーダシステム、宇宙レーダシステム又はそれらの任意の組合せを含むことができる。一実施例では、センサシステム12a〜12dは、異なる帯域幅、スペクトルを有する異なるセンサシステムを混合したものとすることができ、また、異なる世代のセンサシステムから成ることができる。
【0008】
各センサシステム12a〜12dは、特定の処理時間をコンタクトの追跡専用にする。いくつかのトラックが進行することができる速度、及びトラックの監視に必要とされる処理速度に起因して、センサシステムは、任務目標(たとえば、船舶を攻撃から防衛すること)を満たすほど十分効率的にすべてのトラックを追跡することが可能でない場合がある。従来のシステムにおいては、センサシステムを監視及び制御する中央資源マネージャが、センサシステムの平衡及び制御を実施していた。しかしながら、中央資源マネージャは、処理応答時間を増大させる。対照的に、新規のセンサネットワークアーキテクチャ10は、センサシステム12a〜12dの処理を管理する中央資源マネージャを有しない分散センサアーキテクチャである。中央資源マネージャが管理するのではなく、センサシステムがセンサネットワーク10の全体の管理に寄与する。たとえば、センサシステム12aは、コンタクトを追跡するためにどのように資源を割り当てるかを、他のセンサシステム12b〜12dから受信されるデータに基づいて判断する。他のセンサシステム12b〜12dもそれぞれ、コンタクトを追跡するためにどのように資源を割り当てるかを、他のセンサシステムによって受信されるデータに基づいて判断する。
【0009】
図2は、一般的なセンサシステム、たとえば、センサシステム12a(図1)を示す。センサシステム12aは、プロセッサ22と、揮発性メモリ24と、不揮発性メモリ26(たとえば、ハードディスク)と、センサ28と、送受信機30とを備える。不揮発性メモリ26は、コンピュータ命令34と、オペレーティングシステム36と、データ38とを含む。センサ28はコンタクトを検出する。たとえば、センサ28はレーダである。送受信機30は、ネットワーク14を通じての他のセンサシステム12b〜12dとの通信を可能にする。
【0010】
図3を参照すると、プロセス50は、センサシステム12a〜12dのそれぞれ、たとえば、センサシステム12aによって実施される、たとえば、センサネットワーク10内の各センサシステムの資源利用を決定するプロセスの一例である。一実施例では、コンピュータ命令34(図2)が揮発性メモリ24(図2)の外でプロセッサ22(図2)によって実行されて、プロセス50が実施される。
【0011】
プロセス50は他のセンサシステムからトラックデータを受信する(52)。たとえば、センサシステム12aは送受信機30を通じてネットワーク14(図1)から、他のセンサシステム12b〜12dからのトラックデータを受信する。一実施例では、図4におけるように、トラック42及びトラック44はセンサシステム12aの視野(すなわち、視角)Ql内にあり、トラック44及びトラック46はセンサシステム12bの視野Q2内にある。センサシステム12bはトラック44及びトラック46に関するトラックデータをセンサシステム12aに送信する。
【0012】
プロセス50は、そのトラックデータを、センサシステムからのセンサ固有のトラックデータと比較する(56)。センサ固有のトラックは、他のトラックがそのセンサシステムの視野内に存在する場合があっても、そのセンサシステムによって特定的に観察されるトラックに関連する。たとえば、センサシステム12aは、センサシステム12aが観察したトラックを、他のセンサシステム12b〜12dによって観察されたトラックと比較する。一実施例では、図4におけるように、センサシステム12aは、トラック44がその視野Ql内にあるにもかかわらず、資源割当ての理由からトラック42のみを観察している。センサシステム12bはトラック44、46を観察している。
【0013】
プロセス50は、トラックが将来の或る時間期間の間にセンサシステムの範囲内に存在することになるか否かを判断する(62)。たとえば、センサシステム12aは、或る時間期間(たとえば、スケジュール期間)にわたってトラックがその範囲内に存在することになるか否かを判断する。一実施例では、図4におけるように、センサシステム12aは、トラック42、44、46がその時間期間においてその視野Ql内に存在することになるか否かを判断する。この例において、センサシステム12aは、トラック44、46が視野Ql内に留まることになること、及び、トラック46がその時間期間の間に視野Ql内に存在することになることを判断する。
【0014】
プロセス50は、トラック観察の品質及び資源コストを予測する(66)。たとえば、トラック観察の品質は、トラック共分散行列及び将来の分解能の確率によって表すことができる。たとえば、トラック共分散行列は、追跡されるターゲットの距離、距離変化率、方位角、方位角変化率、仰角、及び仰角変化率における推定誤差分散、並びにこれらの量のすべての間の共分散、たとえば、これらの量の間の相関に起因する距離及び距離変化率の誤差限界を表す。
【0015】
将来の分解能の確率とは、提案されるシステムが、追跡される物体が将来において存在する場所を予測すること、及び、ネットワーク内の各センサが、個々のセンサの能力に基づいて追跡される物体の位置を分解する、すなわち、独立して測定することが可能である確率を推定することを指す。資源コストは、トラックを検出するために資源期間内で消費される総デューティ又は占有制限の百分率として定量化することができる。トラックの観察に複数の選択肢(たとえば、複数の波形)が存在する場合、観察品質及び資源コストは選択肢ごとに予測される。他の例においては、2つ以上の時点に関して測定品質及び資源コストを予測する。
【0016】
プロセス50は、トラック予測の品質を他のセンサシステムにブロードキャストする(72)。たとえば、センサシステム12aは、ネットワーク14を通じてセンサシステム12b〜12dにトラック予測の品質をブロードキャストする。プロセス50は、他のセンサシステムからトラック予測の品質を受信する(76)。たとえば、センサシステム12aは、ネットワーク14から、センサシステム12b〜12dからのトラック予測の品質を受信する。
【0017】
プロセス50はタスクのセットを決定する(82)。たとえば、センサシステム12b〜12dから受信されるトラック予測の品質、及びセンサシステム12aによって求められるトラック予測の品質に基づいて、センサシステム12aは、資源制約を満たしながら(たとえば、優先度から導出される)特定のコスト関数を最小化するタスクのセット(すなわち、計画)をセンサシステム12a〜12dごとに選択する。タスクのセットは、いずれのトラックを観察するかを含むことができる。タスクのセットはいずれの波形を使用してトラックを観察するかも含むことができる。一実施形態において、他のセンサシステム12b〜12dは、処理50を使用して、センサシステム12aによって決定されるものと同じタスクのセットであるタスクのセットも別個に決定している。
【0018】
プロセス50は、タスクのセットを実行する(84)。たとえば、センサシステム12aは、センサシステム12aに適用可能なタスクのセットの一部を実行する。一実施形態において、他のセンサシステム12b〜12dはそれぞれ、それぞれのセンサシステムに適用可能なタスクのセットを実行する。
【0019】
プロセス50は、タスクのセットが進行中であるか否かを判断する(86)。タスクのセットが進行中でない場合、プロセス50は、トラック観察の品質を予測する(66)。プロセス50は、タスクのセットが進行中であると判断する場合、新たなトラックが存在するか否かを判断する(92)。プロセス50は、新たなトラックが存在すると判断する場合、トラックデータをセンサ固有のトラックデータと比較する(56)。プロセス50は、新たなトラックが存在しないと判断する場合、タスクのセットが進行中であるか否かを判断する(86)。
【0020】
図5を参照すると、タスクのセットを決定するプロセス(82)の一例が、プロセス100である。概して、タスクのセットを決定するのに利用可能な多くの組合せ最適化技法が存在し得る。本明細書において使用される解とは、タスクのセットである。一実施例では、プロセス100はヒューリスティックプロセスである。
【0021】
厳密解技法は通常、完了まで実行することを許可されている場合には大域最適解(理想的なセンサタスキング)を発見する。しかしながら、十分に大きいタスク選択問題(たとえば、多くのセンサ、多くのターゲット)に関して、厳密解法を完了まで実施することを許可することは一般的に実際的ではない。そうではなく、大域最適解を発見することは保証されていない場合があるが、準最適解を迅速に発見するように設計されているヒューリスティック解技法を利用することが有利である。多くの厳密解技法及びヒューリスティック解技法の詳細な説明が従来技術において得られる。1つの具体的なヒューリスティック解技法、「タブー探索」を実施して、センサタスク選択問題を解決することができる。タブー探索は、大域最適解ではなく局所(すなわち、センサシステム固有の)最適解を発見する戦略を採用することによってセンサシステムによって実施される局所探索アルゴリズムを増強する反復探索法である。プロセス100は初期解を求める(102)。たとえば、センサタスク選択問題に対する初期解は、実現可能な(センサシステム12a〜12dのうちの任意の1つの100%の利用を超えることなく達成することができる)解を決定論的方法で選択することによって生成される。具体的には、各センサシステム12a〜12dに関して、所与のスケジューリング期間内のすべての利用可能な選択肢がセンサごとに収集される。選択肢は、各選択肢によって消費される資源利用によって、各スケジューリング期間を有してソートされる。スケジューリング期間全体にわたって資源利用が最小である選択肢が選択されて、初期解が生成される。生成される初期スケジュールはアルゴリズム内の初期点であり、当該初期点からアルゴリズムは開始して「最良の」解を発見する。初期センサタスク選択は低資源利用をもたらす。
【0022】
他の実施例では、初期解の選択の代替の方法は初期スケジュールを生成する非決定論的方法を使用することである。これによって、コスト関数が解空間にわたって非常に多数の極小値を有する場合に解品質を改善することができる開始点多様性の利点がもたらされる。初期解を選択する非決定論的方法の一例は、スケジューリング期間ごとにランダムに選択肢を選択することである。
【0023】
プロセス100はスケジュール選択肢のリストを生成する(112)。各反復において探索されるスケジュール選択肢のリストは、前回の反復から求められるスケジュール選択肢の組合せ近傍を考慮することによって生成される。具体的には、組合せ近傍が、スケジュール内の単一の選択肢を後述するように1つのステップによって変更することによって取得することができるすべての選択肢として定義される。ステップは次に高い資源利用選択肢又は次に低い資源利用選択肢を選択することとして定義される。
【0024】
図6を参照すると、行列200は、第1の期間スケジュール202、第2の期間スケジュールに対する選択肢のセット(たとえば、第2の期間スケジュールに対する選択肢206a、第2の期間スケジュールに対する選択肢206b、第2の期間スケジュールに対する選択肢206c、...、及び第2の期間スケジュールに対する選択肢206M)、第3の期間スケジュールに対する選択肢のセット(たとえば、第3の期間スケジュールに対する選択肢212a、第3の期間スケジュールに対する選択肢212b、第3の期間スケジュールに対する選択肢212c、...、及び第3の期間スケジュールに対する選択肢212M)、及びN番目の期間スケジュールに対する選択肢のセット(たとえば、N番目の期間スケジュールに対する選択肢218a、N番目の期間スケジュールに対する選択肢218b、N番目の期間スケジュールに対する選択肢218c、...、及びN番目の期間スケジュールに対する選択肢218M)を含む。Nはスケジューリング期間の数を表し、Mはスケジュール選択肢の数(たとえば、期間当たりの利用選択)を表す。
【0025】
図6において、N個の期間当たりM個のスケジュール選択肢が存在することが想定されている。しかしながら、他の実施例では、各期間は期間当たりに異なるスケジュール選択肢を有してもよい。スケジュール選択肢206a〜206M、212a〜212M、218a〜218Mは、対応するスケジューリング期間に対して可能な資源利用を表す。
【0026】
第1の期間スケジュール202は、処理ブロック102において求められる、第1の期間において実施されるべきタスクのセットを表す。プロセス100は、後続の時間期間ごとに期間スケジュールに対する最良の選択肢を決定する。たとえば、第2の時間期間において、第2の期間スケジュールに対する選択肢206a〜206Mが一つずつ選択されて、最良のスケジュール選択肢が決定される。
【0027】
一実施例では、破線の経路は、スケジュール選択肢選択における「次のステップ」を表す。1つの反復において、第2の期間スケジュール206bが選択される。次の反復において、第2の期間スケジュール206cが選択される。すべての反復において、「最良の」解に最も近い利用を選出するように1つのスケジューリング選択肢のみが変更されている。所与のスケジュール選択肢に関して、隣接するスケジュール選択肢は、より低い資源利用選択肢又はより高い資源利用選択肢のいずれかを表す。たとえば、第2の期間スケジュールに対する選択肢206cは第2の期間スケジュール206bよりも低い資源利用を有し、第2の期間スケジュール206bは第2の期間スケジュールに対する選択肢206aよりも低い資源利用を有する。
【0028】
一実施例では、実線の経路222に沿ってスケジュール選択肢を選択することによって、スケジュール選択肢の「最良の」セットがもたらされ、最良の解は最良のスケジュール選択肢から成るセットを含むことになる。たとえば、最良の解は、第2の期間スケジュールに対する選択肢206b、第3の期間スケジュールに対する選択肢212c及びN番目の期間スケジュールに対する選択肢218aのような最良のスケジュール選択肢を含む。
【0029】
プロセス100は選択肢を評価する(116)。たとえば、各候補近傍スケジュール選択肢は、各センサによって成される観察品質予測を使用して、センサタスクの特定の組合せの将来の総計のトラック誤差を計算することによって評価される。加えて、スケジュール選択肢の実現可能性が特定の組合せのセンサタスクの資源活用を計算することによって評価される。
【0030】
プロセス100は最良の許容可能な解を求める(122)。解は「最良の」隣接するスケジュール選択肢になると最良の許容可能な解となる。一実施例では、「最良の」隣接するスケジュール選択肢はコストをより低くし、実現可能である(たとえば、いずれか1つのセンサの100%の利用を超えない)。
【0031】
プロセス100は、停止条件が満たされているか否かを判断する(126)。たとえば、反復は局所的に最適な解が見つかった後の一定数の反復において停止される。他の実施例では、解が必要とされる前の利用可能な計算時間に加えて問題の細部を考慮に入れる大幅により高度な停止条件を定式化することができる。
【0032】
停止条件が満たされない場合、プロセス100は条件を更新する(134)。たとえば、条件は、アルゴリズムによって既に選択されている隣接するスケジュール選択肢を含むことができ、それによって、隣接するスケジュール選択肢はアルゴリズムの将来の反復において探索されない。アルゴリズムは大域的最小値を求めて探索するように設計され、極小値において停止しない。これを達成するために、よりコストの高い後続のスケジュール選択肢を、実行が実現可能である限り、最良の隣接するスケジュール選択肢として選択することができる。
【0033】
停止条件が満たされる場合、プロセス100は最終解(144)を使用する。たとえば、プロセス100は最終スケジュール選択肢を使用する。一実施例では、後続のスケジュール選択肢が実現不能になる場合、進行中のスケジュール選択肢が大域的最小値、すなわち、その探索に対する解であると宣言される。
【0034】
プロセス50は、図2のハードウェア及びソフトウェアを用いる使用には限定されない。プロセス50は、任意の演算環境又は処理環境において、また、コンピュータプログラムを実行することが可能な任意の種類の機械又は機械のセットを用いて適用することができる。プロセス50は、ハードウェア、ソフトウェア、又はそれら2つの組合せにおいて実施することができる。プロセス50は、それぞれ、プロセッサ、記憶媒体又はプロセッサによって読み出すことができる他の製造品(揮発性メモリ及び/又は揮発性記憶素子並びに不揮発性メモリ及び/又は不揮発性記憶素子を含む)、少なくとも1つの入力デバイス、及び1つ又は複数の出力デバイスを含む、プログラマブルコンピュータ/機械上で実行されるコンピュータプログラムにおいて実施することができる。入力デバイスを使用して入力されるデータにプログラムコードを適用して、プロセス50を実施して出力情報を生成することができる。
【0035】
システムは、少なくとも部分的に、コンピュータプログラム製品(すなわち、情報担体内に(たとえば、機械可読記憶装置内に又は伝搬される信号内に)明白に具現化されるコンピュータプログラム)を介して、データ処理装置(たとえば、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、又は複数のコンピュータ))によって実行するために、又はデータ処理装置の動作を制御するために実施することができる。このような各プログラムは、コンピュータシステムと通信するために高級手続き型プログラミング言語又はオブジェクト指向プログラミング言語で実施することができる。しかしながら、プログラムはアセンブリ言語又は機械語で実施してもよい。言語は、コンパイラ型言語又はインタプリタ型言語とすることができ、任意の形態で、たとえば独立プログラムとして、又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン、若しくは演算環境において使用するのに適切な他の単位として配備することができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、又は、1つの場所にあるか若しくは複数の場所にわたって分散されて通信ネットワークによって相互接続される複数のコンピュータ上で実行されるように配備することができる。コンピュータプログラムは、汎用又は専用のプログラマブルコンピュータによって可読である記憶媒体又は記憶装置(たとえば、CD−ROM、ハードディスク、又は磁気ディスケット)がプロセス50を実施するために当該コンピュータによって読み取られるときに当該コンピュータを構成及び操作するために、当該記憶媒体又は当該記憶装置上に記憶することができる。プロセス50は、コンピュータプログラムを有して構成される機械可読記憶媒体として実施することもできる。ここで、当該コンピュータプログラム内の命令は、実行されると、コンピュータをプロセス50に従って動作するようにする。
【0036】
本明細書において説明されるプロセスは、本明細書において説明されている特定の実施形態には限定されない。たとえば、プロセス30及び50はそれぞれ、図3及び図5の特定の処理順序に限定されない。そうではなく、上述の結果を達成するために、図3及び図5の処理ブロックのうちの任意のものを必要に応じて、並べ直すか、組み合わせるか、又は除去するか、並列に若しくは連続して実施することができる。
【0037】
他の実施形態において、センサシステムのうちの1つ又は複数は、タスクのセットを決定するためにネットワーク内の他のセンサシステムとは異なる種類のプロセスを実施することができる。これらの実施形態では、センサのうちの1つ又は複数によって決定されるタスクのセットは、認められる許容差内で、他のセンサシステムによって決定されるタスクのセットと実質的に同じである。
【0038】
一実施例では、ブロック82(図3)におけるタスクのセットの決定において、各センサシステムのブロードキャストされるトラック予測に基づく組み込み資源利用利益計算は、ネットワークにわたってすべての他のセンサシステムに送信される。組み込み資源利用利益計算が、特定のコスト関数を大幅に改善するタスクのみを維持することによってスケジュール選択肢を通じての経路の総数を低減するために、各タスクに対して実施される。センサ資源利用プロセスの実行において、複数のセンサシステムのロケーション及び各センサシステムの個々の能力の詳細に基づいて、組み込み資源利用利益計算が単一のあり得る実現可能な解を残して、多数のスケジュール選択肢を探索する必要をなくすことができることが可能である。
【0039】
システムの実施に関連付けられる、図3及び図5内の処理ブロックは、1つ又は複数のコンピュータプログラムを実行してシステムの機能を実施する1つ又は複数のプログラマブルプロセッサによって実施することができる。システムのすべて又は一部を、専用論理回路(たとえば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)及び/又はASIC(特定用途向け集積回路))として実施することができる。
【0040】
コンピュータプログラムを実行するのに適切なプロセッサは、一例として、汎用マイクロプロセッサ及び専用マイクロプロセッサの双方、並びに任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ又は複数のプロセッサを含む。概して、プロセッサは、読出し専用メモリ若しくはランダムアクセスメモリ又はその双方から命令及びデータを受信する。コンピュータの要素は、命令を実行するためのプロセッサ、並びに命令及びデータを記憶するための1つ又は複数のメモリ装置を含む。
【0041】
本明細書において説明される異なる実施形態の要素を組み合わせて具体的に上述されてはいない他の実施形態を形成することができる。本明細書において具体的に説明されてはいない他の実施形態も、以下の特許請求の範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多センサ処理の方法であって、
第1のセンサシステムにおいて、第2のセンサシステムからトラックデータを受信すること、
前記第1のセンサシステムからのトラックデータを前記第2のセンサシステムからの前記トラックデータと比較することであって、或る時間期間の間にトラックが前記第1のセンサシステムの視野内に存在することになるか否かを判断する、比較すること、
前記第1のセンサシステムにおいて、前記トラックデータに基づいてトラックの予測品質を求めること、
前記トラックの予測品質をブロードキャストすること、
前記第2のセンサシステムからトラックの予測品質を受信すること、並びに
前記第1のセンサシステムによって求められた前記トラックの予測品質、及び前記第2のセンサシステムから受信された前記トラックの予測品質に基づいて第1のタスクのセットを決定すること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第2のセンサシステムにおいて、前記第1のセンサシステムからトラックデータを受信すること、
前記第2のセンサシステムからのトラックデータを前記第1のセンサシステムからの前記トラックデータと比較することであって、前記時間期間の間にトラックが前記第2のセンサシステムの視野内に存在することになるか否かを判断する、比較すること、
前記第1のセンサシステムからトラックの予測品質を受信すること、並びに
前記第2のセンサシステムによって求められた前記トラックの予測品質、及び前記第1のセンサシステムから受信された前記トラックの予測品質に基づいて第2のタスクのセットを決定すること、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のタスクのセット及び前記第2のタスクのセットは実質的に均等である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のタスクのセットを決定することは、各センサシステムによって実施されるタスクのセットを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のタスクのセットを決定することは、タブーアルゴリズムを使用して前記第1のタスクのセットを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のタスクのセットを決定することは資源の利用を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のタスクのセットを決定することは、前記ブロードキャストされたトラック予測に基づいて組み込み資源利用利益計算を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記トラックの予測品質を求めることは、前記トラックのトラック観察の品質を求めることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記トラックの前記トラック観察の品質を求めることは、該トラックの運動学的測定分散を求めることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記トラックの予測品質を求めることは、前記トラックに関する資源コストを求めることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
多センサ処理において使用される実行可能命令を記憶する機械可読媒体を含む製品であって、前記命令は機械が、
第1のセンサシステムにおいて、第2のセンサシステムからトラックデータを受信し、
前記第1のセンサシステムからのトラックデータを前記第2のセンサシステムからの前記トラックデータと比較して、或る時間期間の間にトラックが前記第1のセンサシステムの視野内に存在することになるか否かを判断し、
前記第1のセンサシステムにおいて、前記トラックデータに基づいてトラックの予測品質を求め、
前記トラックの予測品質をブロードキャストし、
前記第2のセンサシステムからトラックの予測品質を受信すると共に、
前記第1のセンサシステムによって求められた前記トラックの予測品質、及び前記第2のセンサシステムから受信された前記トラックの予測品質に基づいて第1のタスクのセットを決定するようにする、製品。
【請求項12】
前記機械が、
前記第2のセンサシステムにおいて、前記第1のセンサシステムからトラックデータを受信し、
前記第2のセンサシステムからのトラックデータを前記第1のセンサシステムからの前記トラックデータと比較して、前記時間期間の間にトラックが前記第2のセンサシステムの視野内に存在することになるか否かを判断し、
前記第1のセンサシステムからトラックの予測品質を受信すると共に、
前記第2のセンサシステムによって求められた前記トラックの予測品質、及び前記第1のセンサシステムから受信された前記トラックの予測品質に基づいて第2のタスクのセットを決定するようにする命令をさらに含む、請求項11に記載の製品。
【請求項13】
前記第1のタスクのセット及び前記第2のタスクのセットは実質的に均等である、請求項12に記載の製品。
【請求項14】
前記機械が前記第1のタスクのセットを決定するようにする前記命令は、前記機械が各センサシステムによって実施されるタスクのセットを決定するようにする命令を含む、請求項11に記載の製品。
【請求項15】
前記機械が前記第1のタスクのセットを決定するようにする前記命令は、前記機械がタブーアルゴリズムを使用して前記第1のタスクのセットを決定するようにする命令を含む、請求項11に記載の製品。
【請求項16】
多センサ処理において使用される装置であって、
回路であって、
第1のセンサシステムにおいて、第2のセンサシステムからトラックデータを受信し、
前記第1のセンサシステムからのトラックデータを前記第2のセンサシステムからの前記トラックデータと比較して、或る時間期間の間にトラックが前記第1のセンサシステムの視野内に存在することになるか否かを判断し、
前記第1のセンサシステムにおいて、前記トラックデータに基づいてトラックの予測品質を求め、
前記トラックの予測品質をブロードキャストし、
前記第2のセンサシステムからトラックの予測品質を受信すると共に、
前記第1のセンサシステムによって求められた前記トラックの予測品質、及び前記第2のセンサシステムから受信された前記トラックの予測品質に基づいて第1のタスクのセットを決定する、回路を備える、装置。
【請求項17】
前記回路は、プロセッサ、メモリ、プログラマブル論理及び論理ゲートのうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記第2のセンサシステムにおいて、前記第1のセンサシステムからトラックデータを受信し、
前記第2のセンサシステムからのトラックデータを前記第1のセンサシステムからの前記トラックデータと比較して、前記時間期間の間にトラックが前記第2のセンサシステムの視野内に存在することになるか否かを判断し、
前記第1のセンサシステムからトラックの予測品質を受信すると共に、
前記第2のセンサシステムによって求められた前記トラックの予測品質、及び前記第1のセンサシステムから受信された前記トラックの予測品質に基づいて第2のタスクのセットを決定する回路をさらに備える、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記第1のタスクのセット及び前記第2のタスクのセットは実質的に均等である、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記第1のタスクのセットを決定する前記回路は、各センサシステムによって実施されるタスクのセットを決定する回路を含む、請求項16に記載の装置。
【請求項21】
前記第1のタスクのセットを決定する前記回路は、タブーアルゴリズムを使用して前記第1のタスクのセットを決定する回路を含む、請求項16に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−513932(P2010−513932A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543038(P2009−543038)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/086590
【国際公開番号】WO2008/133741
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(503455363)レイセオン カンパニー (244)
【Fターム(参考)】