説明

多光軸光電センサ

【課題】周囲のセンサへの外乱光の原因となるような投光量の調整が行われるのを防ぐ。
【解決手段】多光軸光電センサSの各光軸を順に選択して、選択された光軸の発光素子11による投光処理と選択された光軸の受光素子21による受光処理とを実行し、得られた受光量に基づき投光量を調整する。この調整処理では、登録されている入光しきい値に対する受光量の余裕状態があらかじめ定めた上限の余裕状態を超えている場合には、上限を超えない余裕状態になるまで投光量を下げる。一方、入光しきい値に対する受光量の余裕状態が上限の余裕状態を超えていない場合には、現在の投光量を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対向配備された投光器と受光器との間に複数の光軸が設定され、投光器と受光器との間の通信により、各光軸を順に選択して検出処理を実行する多光軸光電センサに関する。
【0002】
なお、以下では、多光軸光電センサを単に「センサ」という場合がある。また投光器および受光器を総称して「機器」と言う場合がある。
【背景技術】
【0003】
多光軸光電センサは、複数の発光素子を有する投光器と、発光素子と同数の受光素子を有する受光素子とを、各素子の光軸を合わせた状態にして対向配備させた構成のセンサである。このセンサでは、各光軸を順に選択にして、投光器側の選択された光軸の発光素子から光を投光すると共に、受光器において、選択された光軸の受光素子からの受光量信号を取り込んで、受光量を計測する処理(受光処理)を実行する。投光器と受光器とは通信回線を介して接続され、両機器間での通信により毎回の投光処理および受光処理のタイミングが調整される。また光軸毎の受光量はあらかじめ定められたしきい値と照合されて、入光か遮光かが判別される。
【0004】
上記の投光処理と受光処理とのタイミングの調整では、各機器間での信号の伝達時間に伴う動作のずれなどを考慮して、一般に、受光処理の期間を、その中に投光処理の期間が含まれるように設定する。しかし、このような制御をすると、投光処理が行われていない状態下で外乱光を受光して、入光状態であると判定する誤動作が生じるおそれがある。また投光中であるが光軸が遮光されている場合にも、同様に外乱光の受光による誤動作が生じるおそれがある。
【0005】
外乱光の主要な要因として、あるセンサの投光器から投光された光が回り込んで別のセンサの受光器に入光する現象が指摘されている。特に、狭い範囲に複数の多光軸光電センサが設置される現場では、この可能性が高まる。
【0006】
外乱光の問題に関しては、まず、外乱光の有無をチェックする方法が提案されている。たとえば特許文献1には、投光処理を実施しない状態下で受光処理を実施することにより外乱光の受光状態を示す受光情報を作成し、この受光情報をパーソナルコンピュータなどに出力して表示することが記載されている。
【0007】
また特許文献2には、投光タイミングに同期するタイミングとそれより後のタイミングの2回における受光量を取得して、これらの値を大小2種類の閾値と比較し、各タイミングにおける比較結果のパターンに基づき外乱光の有無や、過入光や受光量の不足などを検出することが記載されている。さらに特許文献2には、過入光が検出されたときに投光量を下げる調整を行い、受光量の不足が検出されたときに投光量を上げる調整を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−150986号公報
【特許文献2】特開2008−116212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1や特許文献2には、他のセンサからの干渉に対応する処理が記載されているが、それのみでなく、他のセンサの干渉源となることを防ぐ対策も必要である。
【0010】
また特許文献2に記載のセンサは、受光量不足のときに投光量を上げる調整を行っているが、受光量の不足の原因は投光量が不足していることに限らず、投光器と受光器との間で光軸のずれが生じたことに起因している可能性もある。光軸がずれた状態で投光が行われると、入光すべき受光器から外れた光が他のセンサの受光器に入光する可能性がある。したがって受光量の不足に応じて投光量を増やすと、他のセンサへの外乱光の強度が高められて、このセンサに誤動作が生じるおそれがある。
【0011】
本発明は上記の問題点に着目し、周囲のセンサへの外乱光の原因となるような投光量の調整を防ぐことによって、自装置および周囲のセンサの双方の検出を安定させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による多光軸光電センサは、複数の発光素子を有する投光器と発光素子と同数の受光素子を有する受光器とが各素子の光軸を合わせた状態で対向配備され、両機器間での通信により各光軸を順に選択して選択された光軸の発光素子による投光処理と選択された光軸の受光素子による受光処理とを実行すると共に、受光処理により得られた受光量をあらかじめ登録されたしきい値と比較することにより選択された光軸が入光状態であるか否かを判別するもので、投光器の各発光素子による投光量を調整する投光量調整手段を具備する。
【0013】
この投光量調整手段は、各受光素子が受光した受光量の全てが上記のしきい値を上回ると共に各受光量のしきい値に対する余裕状態があらかじめ定めた上限の余裕状態を超えている場合には、上限の余裕状態を超えない余裕状態になるまで各発光素子による投光量を下げる調整を行い、各受光素子が受光した受光量のしきい値に対する余裕状態が上限の余裕状態を超えていない場合には、各発光素子による投光量を維持する。
【0014】
全ての光軸で入光と判定されるレベルの受光量が得られるだけでなく、この判定のためのしきい値に対して各光軸に過分の余裕状態が生じている場合には、投光器からの光が強すぎて、他のセンサに対する外乱光の原因となっている可能性がある。このような状態のときに本発明では、投光量を下げる調整を行うので、他のセンサに誤動作を生じさせるような強さの光が入光するのを防ぐことができる。また受光量のしきい値に対する余裕状態が上限の余裕状態を超えていない場合には、各発光素子による投光量を維持するので、光軸のずれが生じ、そのずれによる光が他のセンサに入光したとしても、その光がこれ以上強められることはない。よってこの場合にも、他のセンサに誤動作を生じさせるような強さの光が入光するのを防ぐことができる。
【0015】
上記のセンサの第1の実施形態では、投光量調整手段は、各受光素子が受光した受光量がしきい値より大きい所定のレベルに達している状態を、上限の余裕状態を超えた余裕状態として検出する。この実施形態によれば、しきい値に対してある一定以上の余裕度を確保することができるが、それを超える余裕度が生じた場合には投光量を下げる調整によって余裕度が削減される。
【0016】
第2の実施形態によるセンサには、投光量調整手段により投光量を下げる調整が行われたとき、しきい値を、投光量の調整量に応じた値だけ増加させる方向に調整するしきい値調整手段が、さらに設けられる。投光量を下げる調整がされた場合でも、しきい値に対する受光量の余裕状態は上限の余裕状態に近い状態に留まっているので、しきい値を上げても変更後のしきい値に対する受光量の余裕度を確保することができる。また、しきい値を上げることによって、外乱光への耐性が高められる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、しきい値に対して過分な受光量が得られている場合には投光量を下げる調整が行われるが、受光量が不足している場合に投光量を増加させる調整が行われることはないので、仮に投光器からの光が他のセンサに外乱光として入光しても、その光が他のセンサに誤動作を生じさせる強さになるのを防ぐことができる。また上限を超える余裕状態が検出されたために投光量が調整される場合でも、上限またはこれに近い余裕状態の受光量が確保できているうちに調整を終了するので、検出を安定して行うのに必要な受光量を確保することができる。したがって、上限の余裕状態を上回る受光量が得られるような強度の投光量を投光器に初期設定すれば、投光量の調整処理が何回か実施され、周囲のセンサに干渉する可能性が低く、自装置での検出処理を安定させるのに必要な強度に投光量を調整することができる。これにより自装置および周囲のセンサの双方における検出を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】多光軸光電センサの外観を示す斜視図である。
【図2】多光軸光電センサの主要な回路構成を示すブロック図である。
【図3】センサで実施される主要な処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】図3中の調整処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明が適用される多光軸光電センサの外観を示す。
この実施例の多光軸光電センサSは、投光器1と受光器2とを対にしたものである。投光器1および受光器2は長尺状の筐体101,102を本体とする。各筐体101,102の内部には、それぞれ複数の光学素子(投光器1では発光素子11、受光器2では受光素子21)や制御基板(図示せず。)が収容される。また、各筐体101,102の下端部からは、それぞれ接続用のコード101a,102aが引き出される。
【0020】
各筐体101,102の前面には、光を通過させるための窓部が形成されている。発光素子11および受光素子21は、投光面または受光面を窓部に対向させた状態で、筐体101,102の長手方向に沿って整列するように配置される。これらの発光素子11と受光素子21とが一対一の関係で対向するように投光器1と受光器2とを所定の間隔を隔てて対向配備することにより、両者の間に複数の光軸による検知エリアRが形成される。
【0021】
投光器1および受光器2の各コード101a,101bには通信ラインを含む複数の信号線が含まれている。これらの信号線は、各コード101a,101bに接続された延長コードにより分岐され、双方の通信ラインが接続用のコードやコネクタなどを介して連結される。その他の信号線には、図2に示す電源ラインや出力ラインのほか、図示しない設定入力用の信号線が含まれる。
【0022】
図2は、上記のセンサSの主要な回路構成を示す。
投光器1には、発光素子11のほか、発光素子11毎の駆動回路12、光軸順次選択回路14、制御回路15、通信回路16、電源回路18などが設けられる。各発光素子11は、それぞれ駆動回路12および光軸順次選択回路14を介して制御回路15に接続される。
【0023】
受光器2には、受光素子21のほか、受光素子21毎の増幅回路22およびアナログスイッチ23、光軸順次選択回路24、制御回路25、通信回路26、出力回路27、電源回路28が設けられる。また各アナログスイッチ23から制御回路25への伝送ライン29には、増幅回路201やA/D変換回路202が設けられる。
【0024】
投光器1および受光器2の各電源回路18,28は、外部にある共通の直流電源5に接続され、各通信回路16,26は相互に接続される。また受光部2の出力回路27からは、検出信号を出力するために2本の出力ラインが引き出される。これらの出力ラインは、危険領域内の機械の電源供給回路(図示せず。)に接続される。
【0025】
上記の構成において、受光器2の制御回路25は、投光器1の制御回路15に、一定の間隔でタイミング信号を送信する。投光器1の制御回路15は、このタイミング信号に応じて光軸順次選択回路14の光軸の選択を順に切り替えながら点灯制御信号を出力する。また受光器2の制御回路25も、タイミング信号の出力に応じて光軸順次選択回路24の光軸の選択を順に切り替えながら選択中の光軸に対応するアナログスイッチ23を導通状態にする。これにより点灯した発光素子11に対応する受光素子21による受光量信号が伝送ライン29に導かれ、増幅回路201による増幅およびA/D変換回路202によるディジタル変換を経て生成された受光量データが制御回路25に入力される。このようにして光軸の選択を一巡させて投光処理および受光処理を実施することにより、1サイクル分の検出処理が実行される。
【0026】
検出処理において、受光器2の制御回路25は、入力された受光量データをあらかじめ定めた入光しきい値と比較し、入光しきい値以上の受光量が得られている場合には、選択中の光軸が入光状態であると判定し、受光量が入光しきい値を下回る場合には、選択中の光軸は遮光されていると判定する。また、光軸の選択が一巡する都度、光軸毎の判定結果を統合して、検知エリアRが遮光されているか否かを判定し、遮光されていると判断した場合には出力回路27からの出力をオフ状態に設定する。これにより危険領域内の機械への電源の供給が停止する。
【0027】
図3は、上記のセンサSにおいて実施される一連の処理手順を示す。
このセンサSでは、電源の投入に応じて動作モードなどを設定する初期設定処理(ステップST1)を実施する。またステップST1には、投光器1の投光量(各発光素子11の発光強度)の初期値を設定する処理が含まれる。
【0028】
次に、ステップST2では、動作クロックを立ち上げ直したり、作業メモリをクリアするなどの起動処理を実施する。ステップST3では、投光器の投光量および入光しきい値の値を調整する処理を実施する。この処理が終了すると、検出処理(ステップST4)に移行する。検出処理では、先に述べた要領で各光軸を順に選択して投光処理および受光処理を実行する。この処理では、ステップST3で調整された投光量および入光しきい値が使用される。
【0029】
なお、図3には示していないが、この実施例の投光器1および受光器2では、1サイクル分の検出処理が終了すると、センサに設定されている機能(ミューティング機能、ブランキング機能など)に応じた情報処理や回路に異常が生じていないかを診断する処理などを実行する。検出処理は、これらの処理を挟んで繰り返し実行される。
【0030】
この実施例のセンサSの投光器1では、各発光素子11に共通の投光量を設定して、この設定値に基づき各発光素子11を均一な強度で発光させる。ステップST3における調整処理では、検出処理と同様に、各光軸の投光処理および受光処理を順に実施し、光軸毎の受光量をチェックし、必要に応じて投光量を調整する。さらに、投光量が調整された場合には、その調整量に合わせて入光しきい値を調整する。
【0031】
以下、図4を参照して、調整処理の具体的な内容を説明する。
この処理では、まず、調整回数を表すカウンタnに初期値の0をセットする(ステップST31)。次に、ステップST32において、各光軸の投光および受光処理を実行する。受光処理には受光量を計測する処理が含まれる。
【0032】
ステップST33では、上記の処理により得た受光量をチェックする。この結果、受光量が最大レベル(図2のアンプ201およびA/D変換回路202の性能により変換される最大の値)に達していると判定されると、ステップST33が「YES」となってステップST34に進み、投光量を一定値Δpだけ下げる。さらにステップST35でカウンタnをインクリメントした後に、再びステップST32に戻って、調整された投光量に基づく投光処理と受光処理とを実行する。
【0033】
なお、ステップST33では、光軸毎に受光量をチェックして、全ての光軸の受光量が最大レベルに達している場合に「YES」の判定を出すが、この場合の実際の受光量は、ちょうど上限値であるとは限らず、飽和している場合がある。しかし、これらの場合には、ST33で「NO」の判定が得られるまでステップST34およびST35の処理が実施されて、投光量が引き下げられる。
【0034】
受光量が最大レベルより低い光軸が1つでも生じると、ステップST33の判定が「NO」となり、ステップST36に進む。ステップST36では、カウンタnが0より大きいかどうかをチェックする。投光量の調整が1回でも行われている場合にはST36の判定は「YES」となってステップST37に進み、n−1回目の投光処理における投光量を検出処理に適用する投光量としてメモリに保存する。さらにステップST38において、入光しきい値を、初期値にn*Δqを加えた値に更新し、この更新後の入光しきい値を検出処理に適用する値としてメモリに保存する。
なおΔqは、入光しきい値の一単位分の調整値として、あらかじめセンサSのメモリに登録されているものである。
【0035】
一方、投光量が調整されなかったためにn=0となっている場合には、ST36が「NO」となってステップST39に進み、現在の投光量および入光しきい値(すなわち初期値)を検出処理に適用する値としてメモリに保存する。
【0036】
上記のとおり、この実施例の調整処理では、全ての光軸の受光量が最大レベルになっている間は、少なくとも一光軸の受光量が最大レベルより低い状態になるまで投光量をΔp引き下げる処理を繰り返す。したがって、初回の投光および受光処理で受光量の過分な飽和が生じるように投光量の初期値をかなり高い値に設定して調整処理を開始すれば、ST32〜ST35のループが何回か実施されて投光量が引き下げられた後に、ST36からステップST37に進み、n−1回目の投光処理における投光量すなわち最大レベルの受光量が得られていた間の最後の投光処理に適用された投光量がメモリに保存される。この流れにより、各光軸の受光量が最大レベル付近になる(ぴったり最大レベルになるか、最大レベルを僅かに超える程度の飽和状態になる)場合の投光量を、検出処理に適用する値として保存することができる。
【0037】
このような処理により、受光量が過度に飽和するような強い光が投光される状態が解消される一方で、入光しきい値に対する受光量の余裕度が十分に得られているうちに調整処理を終了することができる。したがって、入光しきい値を初期値より高い値に更新する処理(ステップST38)が行われても、更新後の入光しきい値に対する受光量の余裕度を確保することができる。また入光しきい値が初期値よりも高くなれば、自装置に外乱光が入光した場合の受光量が入光しきい値を上回る可能性を低くすることができる。よって外乱光に対する耐性が高められ、安定した検出を行うことができる。
【0038】
また、受光量が過度に飽和している場合に投光量を下げることにより、仮に投光器1からの光が他のセンサに入光したとしても、その光が誤動作を起こすレベルにまで上がるのを防ぐことができる。
また、初回の投光および受光処理においてかなり高い投光量を設定したのに、得られた受光量が最大レベルに達していない場合には、その受光量の少なさは光軸のずれにより生じた可能性がある。上記の調整処理では、このような場合に投光量が調整されることがないので、ずれた光軸からの光が他のセンサに入光したとしても、その光の強度が強められるのを回避することができる。
【0039】
よって、上記の投光量の調整処理によれば、他のセンサに干渉するような強い光が生じるのを防ぐと共に、自装置でも安定した検出を行うのに必要なレベルの受光量を得ることができる。
【0040】
なお、投光量の初期値を、受光量に飽和を生じさせる強度に設定して図4の処理を開始することを前提とすれば、最初の投光および受光処理により得た受光量が最大レベルに達せずにステップST33が「NO」となった場合には、処理を中止して、ランプ、ブザーなどの手段により警報を出力してもよい。このようにすれば、ユーザは、投光器1と受光器2との間の光軸がずれていることに気づき、ずれを是正することができる。ずれが是正された場合には、調整処理を最初から実施することにより、投光量および入光しきい値を検出に適した状態に設定することが可能になる。
【0041】
図4の実施例では、全ての光軸の受光量が最大レベルに達していることを、投光量を調整する条件としたが、これに限らず、一部の光軸のみで最大レベルの受光量が得られた場合であっても、その光軸数が所定数を上回った場合には投光量を調整してもよい。また、図4の調整処理においては、投光量の調整が行われた場合には、その調整終了時の投光量の一段階前の投光量を検出処理に適用することにより、受光量が若干飽和するのを許容しているが、これに代えて、調整終了時の投光量を採用してもよい。
また最大レベルより低いが、入光しきい値の初期値に対して十分な余裕度を有する値を基準に、投光量を調整する条件を定めてもよい。
【0042】
また図4に示した調整処理は、検出処理を開始する前に限らず、検出処理が開始された後も、適宜、各検出処理の合間の制御や自己診断処理の期間を利用して実施してもよい。
【符号の説明】
【0043】
S 多光軸光電センサ
1 投光器
2 受光器
11 発光素子
21 受光素子
15,25 制御回路
16,26 通信回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子を有する投光器と発光素子と同数の受光素子を有する受光器とが各素子の光軸を合わせた状態で対向配備され、両機器間での通信により各光軸を順に選択して選択された光軸の発光素子による投光処理と選択された光軸の受光素子による受光処理とを実行すると共に、受光処理により得られた受光量をあらかじめ登録されたしきい値と比較することにより選択された光軸が入光状態であるか否かを判別する多光軸光電センサにおいて、
各受光素子が受光した受光量が全て前記しきい値を上回ると共に各受光量の前記しきい値に対する余裕状態があらかじめ定めた上限の余裕状態を超えている場合には、上限の余裕状態を超えない余裕状態になるまで各発光素子による投光量を下げる調整を行い、各受光量が受光した受光量の前記しきい値に対する余裕状態が上限の余裕状態を超えていない場合には各発光素子による投光量を維持する投光量調整手段を具備する、
ことを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項2】
前記投光量調整手段は、各受光素子が受光した受光量が前記しきい値より大きい所定のレベルに達している状態を、上限の余裕状態を超えた余裕状態として検出する、請求項1に記載された多光軸光電センサ。
【請求項3】
前記投光量調整手段により投光量を下げる調整が行われたとき、前記しきい値を、投光量の調整量に応じた値だけ増加させる方向に調整するしきい値調整手段を、さらに具備する請求項1または2に記載された多光軸光電センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−195674(P2012−195674A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56568(P2011−56568)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】