説明

多地点のコンピュータ管理システム及び方法

【課題】PCのセキュリティ対策や利用アプリケーションをシンクライアントにより一括管理するシステムにおいて運用管理者を配置する拠点とシステムを導入する拠点の間のネットワークトラヒックを軽減する。
【解決手段】OSイメージ管理装置において、OSメンテナンス用PCからOSの変更が指示されると(S1)、旧世代と指示された新たなイメージファイルの差分を抽出し(S2)、拠点システムのネットワークストレージに領域の複製を指示し(S3)、OSイメージ管理装置は、抽出された差分をネットワークストレージに転送し(S5)、ネットワークストレージは、OSイメージ管理装置から取得した差分を複製された旧世代の領域に書き込み(S4)、OSイメージ管理装置は、管理サーバに対して、拠点システムのディスクレスPCに割り当てるべきネットワークストレージ上の領域の情報を新世代の情報に変更する指示を行う(S7)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多地点のコンピュータ管理システム及び方法に係り、特に、パーソナルコンピュータ(PC)のセキュリティ対策や利用アプリケーションの管理容易化のために、ネットワークストレージとシンクライアント端末を用いたシステムのOSメンテナンス技術における多地点のコンピュータ管理システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図11は、従来のiSCSIブート型のシンクライアントシステムの構成を示す。
【0003】
同図に示すiSCSIブート型のシンクライアントシステムは、WindowsなどのOSが格納されたiSCSIストレージ1の領域にOSメンテナンス用PC2を接続して起動し、セキュリティパッチを当てるなどしてiSCSIストレージ1上のOSデータの更新を行い、エンドユーザ用のディスクレスPC3がその更新された領域(あるいは更新された領域に複製)を使用してPCを起動することによりエンドユーザが常にセキュリティパッチなどのメンテナンスがされた状態でPCを利用できるという技術がある(例えば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2005-326915号公報
【特許文献2】特開2006-53732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のiSCSIブート型のシンクライアントシステムは、メンテナンス用PCでOSの管理を行う際に大量のネットワークトラヒックが発生する点と、導入拠点毎に運用管理者を配置する必要がある。iSCSIストレージ〜OSメンテナンス用PC間、あるいは、iSCSIストレージ〜エンドユーザ用のディスクレスPC間には、一般的なSCSIやIDEなどのPC用のストレージインタフェースと同量のデータアクセスが発生する。iSCSIネットワークトラヒックとして見ると、1台のディスクレスPCでピーク時に数十Mbpsの帯域が最低でも必要となっていた。そのため、従来は、iSCSIストレージとOSメンテナンス用PCとエンドユーザ用のディスクレスPCを同一拠点に設置して導入していた。OSメンテナンス用PCは、運用管理者が日々使用する必要があるため、複数の拠点に導入する場合は各拠点毎に運用管理者を配置していた。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、運用管理者を配置する拠点とシステムを導入する拠点の間のネットワークトラヒックを軽減することが可能な多地点のコンピュータ管理システム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
図1は、本発明の原理構成図である。
【0007】
本発明(請求項1)は、多地点の各拠点のパーソナルコンピュータ(PC)のセキュリティ対策や利用アプリケーションを一括管理する多地点のコンピュータ管理システムであって、
運用管理センタ100と多地点に設けられた各拠点システムとがWANで接続され、
拠点システム200は、
世代別の個別の領域を有し、運用管理センタからの指示により該領域を複製するネットワークストレージ220と、
内蔵ハードディスクを使用せずに、ネットワークストレージ220にアクセスして割り当てられた個別の領域からOSを起動するディスクレスPC210と、
を有し、
運用管理センタ100は、
ハードディスクの内容をディスクレスPCで起動可能な形式でOSイメージファイル化し、転送するOSメンテナンス用PC110と、
各ディスクレスPC210に対してネットワークストレージ220上の個別の領域を割り当てる管理サーバ130と、
ネットワークストレージ220に領域の複製を指示し、OSメンテナンス用PC110からOSの変更が指示されると、旧世代と指示された新たなイメージファイルの差分を抽出して、ネットワークストレージの複製された領域に書き込むOSイメージ管理装置120と、を有する。
【0008】
また、本発明(請求項2)は、OSイメージ管理装置120において、
ネットワークストレージ220に対して旧世代の領域の複製を指示する領域複製指示手段と、
OSメンテナンス用PC110から転送されたOSイメージファイルを複数世代保持するイメージファイル記憶手段と、
OSメンテナンス用PCから転送された新たなOSイメージファイルと、イメージファイル記憶手段に格納されている1世代前のOSイメージファイルとの差分を抽出し、該差分をネットワークストレージ220の複製された旧世代の領域に書き込む更新手段と、
管理サーバ130に対して、該管理サーバに登録されているディスクレスPCへの割り当てを新世代の領域に変更する指示を行う新世代領域更新指示手段と、を含む。
【0009】
本発明(請求項3)は、多地点の各拠点のパーソナルコンピュータ(PC)のセキュリティ対策や利用アプリケーションを一括管理する多地点のコンピュータ管理システムであって、
運用管理センタと多地点に設けられた各拠点システムとがWANで接続され、
拠点システムは、
運用管理センタとの間の通信情報を圧縮して通信する第1のWAN高速化装置と、
世代別の個別の領域を有し、運用管理センタからの指示により該領域を複製し、第1のWAN高速化装置を介して取得したメンテナンスされた新世代のOSを複製された領域に反映させるネットワークストレージと、
内蔵ハードディスクを使用せずに、ネットワークストレージにアクセスして割り当てられた個別の領域からOSを起動するディスクレスPCと、
を有し、
運用管理センタは、
拠点システムとの間の通信情報を圧縮して通信する第2のWAN高速化装置と、
各ディスクレスPCに対してネットワークストレージ上の個別の領域を割り当てる管理サーバと、
内蔵ハードディスクを使用せずに、ネットワークストレージに直接アクセスして、該ネットワークストレージの旧世代の領域の複製を指示する手段と、メンテナンスされた新世代のOSを第2のWAN高速化装置に転送する手段と、管理サーバに対して、ディスクレスPCへの割り当てを新世代の領域に変更する指示を行うOSメンテナンス用PCと、を有する。
【0010】
本発明(請求項4)は、多地点の各拠点のパーソナルコンピュータ(PC)のセキュリティ対策や利用アプリケーションを一括管理する多地点のコンピュータ管理システムであって、
運用管理センタと多地点に設けられた各拠点システムがWANに接続され、
運用管理センタは、
各ディスクレスPCに対してネットワークストレージ上の個別の領域を割り当てる管理サーバと、
キーボードやマウス操作を含む操作信号及び画面表示の信号のみを通信する画面転送ソフトウェアと、管理サーバに対して拠点システムの領域情報を新世代の情報への書き換えを指示する手段とを有する汎用PCと、
を有し、
拠点システムは、
世代別の個別の領域を有し、運用管理センタからの指示により該領域を複製するネットワークストレージと、
内蔵ハードディスクを使用せずに、管理サーバから通知されたネットワークストレージにアクセスして、割り当てられた個別の領域からOSを起動するディスクレスPCと、
汎用PCから受信した前記操作信号及び前記画面表示の信号に基づいて、複製された旧世代の領域を更新するキーボードOSメンテナンス用PCと、を有する。
【0011】
図2は、本発明の原理を説明するための図である。
【0012】
本発明(請求項5)は、多地点の各拠点のパーソナルコンピュータ(PC)のセキュリティ対策や利用アプリケーションを一括管理する多地点のコンピュータ管理方法であって、
OSメンテナンスPCとOSイメージ管理装置及び管理サーバを有する運用管理センタと、ディスクレスPCとネットワークストレージを有し、多地点に設けられた各拠点システムと、がWANで接続されるシステムにおいて、
運用センタのOSメンテナンスPCにおいて、ハードディスクの内容をディスクレスPCで起動可能な形式でOSイメージファイル化し、OSイメージ管理装置に転送し(ステップ1)、
OSイメージ管理装置において、OSメンテナンス用PCからOSの変更が指示されると、旧世代と指示された新たなイメージファイルの差分を抽出し(ステップ2)、
拠点システムのネットワークストレージに領域の複製を指示し(ステップ3)、
拠点システムのネットワークストレージは、旧世代の領域を複製し(ステップ4)、
OSイメージ管理装置は、抽出された差分を複製された旧世代の領域に書き込み(ステップ5、6)、
OSイメージ管理装置は、管理サーバに対して、拠点システムのディスクレスPCに割り当てるべきネットワークストレージ上の領域の情報を新世代の情報に変更する指示を行う(ステップ7)。
【0013】
本発明(請求項6)は、多地点の各拠点のパーソナルコンピュータ(PC)のセキュリティ対策や利用アプリケーションを一括管理する多地点のコンピュータ管理方法であって、
OSメンテナンス用PCと第1のWAN高速化装置及び管理サーバを有する運用管理センタと、第2のWAN高速化装置とネットワークストレージ及びディスクレスPCを有し、多地点に設けられた各拠点システムとがWANで接続されるシステムにおいて、
運用管理センタのOSメンテナンス用PCにおいて、内蔵ハードディスクを使用せずに、拠点システムのネットワークストレージに直接アクセスして、該ネットワークストレージの旧世代の領域の複製を指示し、
ネットワークストレージは、旧世代の領域を複製し、
OSメンテナンス用PCにおいて、新世代のOSを第1のWAN高速化装置に転送し、該第1のWAN高速化装置は、該新世代のOSを圧縮して拠点システムの第2のWAN高速化装置に送信し、
ネットワークストレージは、第2のWAN高速化装置を介して取得した新世代のOSを複製された旧世代の領域に書き込み、
OSメンテナンス用PCにおいて、管理サーバに対して、拠点システムのディスクレスPCに割り当てるべきネットワークストレージ上の領域の情報を新世代の情報に変更する指示を行う。
【0014】
本発明(請求項7)は、多地点の各拠点のパーソナルコンピュータ(PC)のセキュリティ対策や利用アプリケーションを一括管理する多地点のコンピュータ管理システムであって、
汎用PCと管理サーバを有する運用管理センタと、OSメンテナンス用PCとネットワークストレージ及びディスクレスPCを有し、多地点に設けられた各拠点システムがWANに接続されるシステムにおいて、
運用管理センタの汎用PCにおいて、拠点システムのネットワークストレージに対して旧世代の領域の複製を指示し、
ネットワークストレージでは、旧世代の領域を複製し、
汎用PCにおいて、内蔵された画面転送ソフトウェアにより、キーボードやマウス操作を含む操作信号及び画面表示の信号を、拠点システムのOSメンテナンス用PCに送信し、
OSメンテナンス用PCは、ネットワークストレージに対して操作信号及び画面表示信号を転送し、
ネットワークストレージにおいて、操作信号及び画面表示信号に基づいて複製した旧世代領域を新世代領域に更新し、
汎用PCは、管理サーバに対して、拠点システムのディスクレスPCに割り当てるべきネットワークストレージ上の領域の情報を新世代の情報に変更する指示を行う。
【発明の効果】
【0015】
上記のように本発明によれば、運用管理者を配置する拠点とシステムを導入する拠点の間のネットワークトラヒックが軽減されることにより、ネットワーク回線のコストを削減することができる。
【0016】
また、これまでネットワークトラヒックの制限のために同一拠点に閉じて導入していた場合においても、運用管理者を配置する拠点を別にすることが可能になるため、多拠点にシステムを導入する場合に運用拠点が一箇所で済むようになり、システム運用のコスト削減の効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面と共に本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
以下の実施の形態では、iSCSIブート型のシンクライアントシステムにおいて、OSメンテナンス用PCによるiSCSIストレージのデータの更新の際のネットワークトラフィックを軽減して別拠点での運用管理を可能にするための例を説明する。
【0019】
[第1の実施の形態]
図3は、本発明の第1の実施の形態におけるOSイメージ管理装置を設置する際のコンピュータ管理システム構成図である。
【0020】
同図に示すシステムは、運用管理センタ100と、複数の拠点A,B,Cの装置から構成される。
【0021】
運用管理センタ100は、OSメンテナンス用PC110とOSイメージ管理装置120、管理サーバ130から構成される。
【0022】
各拠点システムは、ディスクレスPC210とネットワークストレージ220から構成される。
【0023】
拠点Aのネットワークストレージ220は、世代毎に世代個別記憶領域221,222を有し、運用管理センタからの指示により個別の世代領域を複製する。例えば、現在の世代(N−1)の領域221を次回の世代(N)の領域222とし、領域222を差分情報で更新する。
【0024】
拠点AのディスクレスPC210は、内蔵ハードディスクを使用せずにネットワークストレージ220と直接アクセスして運用管理センタ100の管理サーバ120から割り当てられた個別の領域からOSを起動する。
【0025】
運用管理センタ100のOSメンテナンス用PC110は、ハードディスクの内容をディスクレスPC210で起動可能な形式でOSイメージファイル化してOSイメージ管理装置120に転送する。
【0026】
運用管理センタ100の管理サーバ130は、各拠点のディスクレスPC210に対してネットワークストレージ上220上の個別の領域を割り当てる。
【0027】
運用管理センタ100のOSイメージ管理装置120は、図4に示す構成を有する。
【0028】
OSイメージ管理装置120は、イメージファイル記憶部121、イメージファイル受信部122、領域複製指示部123、ブロックレベル読込み/書き込み(R/W)部124、差分抽出部125、領域変更指示部127を有する。
【0029】
イメージファイル受信部122は、OSメンテナンス用PC110から転送された複数世代のOSイメージファイルをイメージファル記憶部121に保持する。
【0030】
イメージファイル記憶部121は、世代毎にイメージファイルを格納する。
【0031】
領域複製指示部123は、ネットワークストレージ220に対して領域の複製を指示する。
【0032】
差分抽出部125は、イメージファイル記憶部121のOSイメージファイルの世代間の差分をブロックレベルで抽出する。
【0033】
ブロックレベルR/W部124は、ネットワークストレージ220上の旧世代の領域またはその複製に対して、差分抽出部125で抽出されたOSイメージファイルの世代間の差分をブロックレベルで書き込み処理して新世代の領域に更新する。本実施の形態では、複製された領域に対して差分を書き込むものとする。
【0034】
領域変更指示部127は、新世代への更新処理が完了したら管理サーバ130上に登録されている該当ディスクレスPCへの割り当てを新世代の領域に変更する。
【0035】
上記の構成におけるOS変更時の処理を説明する。
【0036】
図4は、本発明の第1の実施の形態におけるシステム動作のフローチャートであり、図5は、本発明の第1の実施の形態におけるOSイメージ管理装置を設置する方法の処理シーケンスを示す。図4、図5の各ステップ番号は対応する。
【0037】
ステップ101)運用管理センタ100において、運用者によりOSメンテナンス用PC110が起動される。
【0038】
ステップ102) OSメンテナンス用PC110において、運用者の操作に基づいて、OSのメンテナンス(セキュリティパッチ適用など)を行う。
【0039】
ステップ103) 運用者の操作により、OSメンテナンス用PC110において、ハードディスクの内容をディスクレスPC210で起動可能な形式でOSイメージファイル化する機能を実行する。
【0040】
ステップ104) 運用者の操作により、OSメンテナンス用PC110において、OSイメージファイルをOSイメージ管理装置120に転送する。
【0041】
ステップ105) 運用者の操作により、OSイメージ管理装置120において、ネットワークストレージ220上の旧世代の領域を新世代の領域に更新する処理を開始する。
【0042】
ステップ106) OSイメージ管理装置120のイメージファイル受信部122は、OSメンテナンス酔うPC110から新世代のOSイメージファイルを受信し、当該装置120上のイメージファイル記憶部121に新世代のOSイメージファイルを格納する。差分抽出部125は、イメージファイル記憶部121に保持されている旧世代と転送により格納された新世代のOSイメージファイルの差分を抽出する。
【0043】
ステップ107) OSイメージ管理装置120の領域複製指示部123は、ネットワークストレージ220に対して、旧世代の記憶領域221の領域の複製を指示する。
【0044】
ステップ108) ネットワークストレージ220は、旧世代の記憶領域221を複製する。
【0045】
ステップ109) OSイメージ管理装置120のブロックレベルR/W部124は、ネットワークストレージ220上の複製された旧世代の領域に対して、ステップ106の抽出結果(差分)をブロック単位で書き込む。
【0046】
ステップ110) OSイメージ管理装置120の領域変更指示部127は、管理サーバ130に対してディスクレスPC210に割り当てるべきネットワークストレージ220上の領域の情報(領域アドレスなど)を新世代の情報に変更の指示を行う。
【0047】
ステップ111) 拠点A(拠点B,拠点C)のエンドユーザの操作により、ネットワークストレージ220上の領域情報を管理サーバ130に要求し、新世代の領域情報を取得するとディスクレスPC210を起動する(ディスクレスPC210は、OSメンテナンスされた新世代のOSイメージで起動する)。
【0048】
上記のシステムを構築することにより、ネットワークストレージ220とOSメンテナンス用PC110間のネットワークトラヒックは、OSイメージ管理装置120が抽出する世代間の差分情報のみになるので、従来技術よりも軽減される。
【0049】
[第2の実施の形態]
本実施の形態では、第1の実施の形態におけるOSイメージ管理装置に代わりWAN高速化装置を用いる例を説明する。
【0050】
図7は、本発明の第2の実施の形態におけるWAN高速化装置を設置したコンピュータ管理システムの構成図である。なお、図3と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0051】
図7に示す運用管理センタ300は、iSCSIブート型シンクライアントシステムのOSメンテナンス用PC310とWAN高速化装置320及び管理サーバ330を有する。また、各拠点A,B,Cは、図3の構成に加えて、WAN高速化装置230を有する。
【0052】
OSメンテナンス用PC310は、ディスクレスPC210と同様に内蔵ハードディスクを使用せずに、ネットワークストレージ220と直接アクセスして管理サーバ330から割り当てられた個別の領域からOSを起動させる。
【0053】
WAN高速化装置320、230は、OSメンテナンス用PC310とネットワークストレージ220との間の通信情報を圧縮して送受信する。
【0054】
図8は、本発明の第2の実施の形態における「WAN高速化装置」を設置する方法の処理シーケンスを示す。
【0055】
ステップ201) OSメンテナンス用PC310は、運用管理センタ300の運用者により、旧世代の領域の複製を指示されると、ネットワークストレージ220に対して旧世代の記憶領域221の領域の複製を指示する。
【0056】
ステップ202) ネットワークストレージ220は、旧世代の記憶領域221の領域の複製を行う。
【0057】
ステップ203) OSメンテナンス用PC310が運用者により電源が投入されると、旧世代の領域の複製からOSを起動させる。
【0058】
ステップ204) OSメンテナンス用PC310は、運用者によりセキュリティパッチ適用等のOSメンテナンスが指示されると、ネットワークストレージ220と、ブロックアクセスを行う。
【0059】
ステップ205) WAN高速化装置320は、ネットワークストレージ220に送信する通信情報を取得すると、当該通信情報を圧縮して、ネットワークストレージ220に送信する。これにより、ネットワークストレージ220は、旧世代の領域の複製が受信した情報に基づいてOSメンテナンスされ、新世代の領域になる。
【0060】
ステップ206) 運用者がディスクレスPC210に割り当てるネットワークストレージ上の領域の情報を新世代の情報への変更を指示すると、OSメンテナンス用PC310は、管理サーバ130に対して、起動する領域の割り当て変更を行う。
【0061】
ステップ207) ディスクレスPC210からネットワークストレージ220上の領域情報を管理サーバ330に要求する。
【0062】
ステップ208) 管理サーバ330は、ディスクレスPC210に対して、起動する領域を割り当てる。
【0063】
ステップ209) ディスクレスPC210は、起動する領域に基づいてOSを起動させる。
【0064】
上記のようにWAN高速化装置320、230を利用することにより、ネットワークトラヒックを軽減する。
【0065】
[第3の実施の形態]
本実施の形態では、運用管理センタにおいて、汎用PCを用いる場合を示す。本実施の形態では、汎用PCを用いるために、第1の実施の形態のOSイメージ管理装置を使用しない代わりに、画面転送ソフトウェアを使用してネットワークトラヒックを軽減させる。
【0066】
図9は、本発明の第3の実施の形態における汎用PCに画面転送ソフトウェアを使用した場合のシステム構成を示す。同図において、図3と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0067】
運用管理センタ400は、画面ソフトウェア401を内蔵した汎用PC410と管理サーバ430を有する。
【0068】
各拠点A,B,Cは、ディスクレスPC210、ネットワークストレージ220の他に、第2の実施の形態と同様の構成を有するOSメンテナンスPC240を有する。
【0069】
汎用PC410に内蔵される画面転送ソフトウェア401は、iSCSIブート型シンクライアントシステムのOSメンテナンス用PC240のキーボード・マウス操作の信号、及び画面表示信号のみを通信する機能を有する。
【0070】
図10は、本発明の第3の実施の形態における「画面転送ソフトウェア」を使用する方法の処理シーケンスを示す。
【0071】
ステップ301) 運用管理センタ400の運用者が旧世代の領域の複製をネットワークストレージ220に対して、OSメンテナンス用PC240を介して指示する。
【0072】
ステップ302) ネットワークストレージ220は、世代個別記憶領域221の旧世代の領域を複製する。
【0073】
ステップ303) OSメンテナンス用PC240は、運用者から電源ONの指示を受けると、電源を投入し、複製された旧世代の領域のOSを起動させる。
【0074】
ステップ304) 汎用PC410は、運用者からセキュリティパッチ適用などのOSのメンテナンスが指示されると、内蔵されている画面転送ソフトウェア401において、キーボード・マウス操作の信号及び画面表示の信号のみをOSメンテナンス用PC240に送信する。
【0075】
ステップ305) OSメンテナンス用PC240は、汎用PC410から送信された
信号を受信し、ネットワークストレージ220とブロックアクセスを行う。
【0076】
ステップ306) これにより、ネットワークストレージ220の世代個別記憶領域221は、旧世代の領域の複製がOSメンテナンスされて新世代の領域になる。
【0077】
ステップ307) 運用管理者が管理サーバ430に対して、ディスクレスPC210に割り当てるネットワークストレージ220上の領域の情報を新世代の情報へ変更する指示を行う。これにより、管理サーバ430は、領域情報を変更する。
【0078】
ステップ308) ディスクレスPC210からネットワークストレージ220上の領域情報を管理サーバ430に要求する。
【0079】
ステップ309) 管理サーバ430は、新世代の領域情報をディスクレスPC210に通知する。
【0080】
ステップ310) ディスクレスPC210は、新世代の領域情報を受信してOSを起動させる。
【0081】
上記のような構成であってもネットワークトラヒックを軽減させることができる。
【0082】
なお、上記の各実施の形態における、運用管理センタの装置の動作及び、各拠点の装置の動作をプログラムとして構築し、運用管理センタの装置、各拠点の装置として利用されるコンピュータにインストールして実行させる、または、ネットワークを介して流通させることが可能である。
【0083】
また、構築されたプログラムをハードディスクや、フレキシブルディスク・CD−ROM等の可搬記憶媒体に格納し、コンピュータにインストールする、または、配布することが可能である。
【0084】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において種々変更・応用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、PCのセキュリティ対策や利用アプリケーションの管理を行う技術に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の原理構成図である。
【図2】本発明の原理を説明するための図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるOSイメージ管理装置を設置した場合のコンピュータ管理システムの構成図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるOSイメージ管理装置の構成図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるシステム動作のフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施の形態におけるOSイメージ管理装置を設置する方法の処理シーケンスである。
【図7】本発明の第2の実施の形態におけるWAN高速化装置を設置した場合のコンピュータ管理システムの構成図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態におけるWAN高速化装置を設置する方法の処理シーケンスである。
【図9】本発明の第3の実施の形態における汎用PCに画面転送ソフトウェアを使用した場合のコンピュータ管理システム構成図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態における画面転送ソフトウェアを使用する方法の処理シーケンスである。
【図11】従来のiSCSIブート型シンクライアントシステム構成図である。
【符号の説明】
【0087】
100 運用管理センタ
110 OSメンテナンス用PC(パーソナルコンピュータ)
120 OSイメージ管理装置
121 イメージファイル記憶部
122 イメージファイル受信部
123 領域複製指示部
124 ブロックレベルR/W(読込み・書き込み)部
125 差分抽出部
127 領域更新指示部
130 管理サーバ
200 拠点システム
210 ディスクレスPC
220 ネットワークストレージ
240 OSメンテナンス用PC
300 運用管理センタ
310 OSメンテナンス用PC
320 WAN高速化装置
330 管理サーバ
400 運用管理センタ
410 汎用PC
401 画面転送ソフトウェア
430 管理サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多地点の各拠点のパーソナルコンピュータ(PC)のセキュリティ対策や利用アプリケーションを一括管理する多地点のコンピュータ管理システムであって、
運用管理センタと多地点に設けられた各拠点システムとがWAN(Wide Area Network)で接続され、
前記拠点システムは、
世代別の個別の領域を有し、前記運用管理センタからの指示により該領域を複製するネットワークストレージと、
内蔵ハードディスクを使用せずに、前記ネットワークストレージにアクセスして割り当てられた個別の領域からOSを起動するディスクレスPCと、
を有し、
前記運用管理センタは、
ハードディスクの内容を前記ディスクレスPCで起動可能な形式でOSイメージファイル化し、転送するOSメンテナンス用PCと、
前記各ディスクレスPCに対して前記ネットワークストレージ上の個別の領域を割り当てる管理サーバと、
前記ネットワークストレージに前記領域の複製を指示し、前記OSメンテナンス用PCからOSの変更が指示されると、旧世代と指示された新たなイメージファイルの差分を抽出して、前記ネットワークストレージの複製された領域書き込むOSイメージ管理装置と、
を有することを特徴とする多地点のコンピュータ管理システム。
【請求項2】
前記OSイメージ管理装置は、
前記ネットワークストレージに対して旧世代の領域の複製を指示する領域複製指示手段と、
前記OSメンテナンス用PCから転送されたOSイメージファイルを複数世代保持するイメージファイル記憶手段と、
前記OSメンテナンス用PCから転送された新たなOSイメージファイルと、前記イメージファイル記憶手段に格納されている1世代前のOSイメージファイルとの差分を抽出し、該差分を前記ネットワークストレージの複製された旧世代の領域に書き込む更新手段と、
前記管理サーバに対して、該管理サーバに登録されている前記ディスクレスPCへの割り当てを新世代の領域に変更する指示を行う新世代領域更新指示手段と、
を含む請求項1記載の多地点のコンピュータ管理システム。
【請求項3】
多地点の各拠点のパーソナルコンピュータ(PC)のセキュリティ対策や利用アプリケーションを一括管理する多地点のコンピュータ管理システムであって、
運用管理センタと多地点に設けられた各拠点システムとがWANで接続され、
前記拠点システムは、
前記運用管理センタとの間の通信情報を圧縮して通信する第1のWAN高速化装置と、
世代別の個別の領域を有し、前記運用管理センタからの指示により該領域を複製し、前記第1のWAN高速化装置を介して取得したメンテナンスされた新世代のOSを複製された領域に反映させるネットワークストレージと、
内蔵ハードディスクを使用せずに、前記ネットワークストレージにアクセスして割り当てられた個別の領域からOSを起動するディスクレスPCと、
を有し、
前記運用管理センタは、
前記拠点システムとの間の通信情報を圧縮して通信する第2のWAN高速化装置と、
前記各ディスクレスPCに対して前記ネットワークストレージ上の個別の領域を割り当てる管理サーバと、
内蔵ハードディスクを使用せずに、前記ネットワークストレージに直接アクセスして、該ネットワークストレージの旧世代の領域の複製を指示する手段と、メンテナンスされた新世代のOSを前記第2のWAN高速化装置に転送する手段と、前記管理サーバに対して、前記ディスクレスPCへの割り当てを新世代の領域に変更する指示を行うOSメンテナンス用PCと、
を有することを特徴とする多地点のコンピュータ管理システム。
【請求項4】
多地点の各拠点のパーソナルコンピュータ(PC)のセキュリティ対策や利用アプリケーションを一括管理する多地点のコンピュータ管理システムであって、
運用管理センタと多地点に設けられた各拠点システムがWANに接続され、
前記運用管理センタは、
前記各ディスクレスPCに対して前記ネットワークストレージ上の個別の領域を割り当てる管理サーバと、
キーボードやマウス操作を含む操作信号及び画面表示の信号のみを通信する画面転送ソフトウェアと、前記管理サーバに対して前記拠点システムの領域情報を新世代の情報への書き換えを指示する手段とを有する汎用PCと、
を有し、
前記拠点システムは、
世代別の個別の領域を有し、前記運用管理センタからの指示により該領域を複製するネットワークストレージと、
内蔵ハードディスクを使用せずに、前記管理サーバから通知された前記ネットワークストレージにアクセスして、割り当てられた個別の領域からOSを起動するディスクレスPCと、
前記汎用PCから受信した前記操作信号及び前記画面表示の信号に基づいて、複製された旧世代の領域を更新するキーボードOSメンテナンス用PCと、
を有することを特徴とする多地点のコンピュータ管理システム。
【請求項5】
多地点の各拠点のパーソナルコンピュータ(PC)のセキュリティ対策や利用アプリケーションを一括管理する多地点のコンピュータ管理方法であって、
OSメンテナンスPCとOSイメージ管理装置及び管理サーバを有する運用管理センタと、ディスクレスPCとネットワークストレージを有し、多地点に設けられた各拠点システムと、がWAN(Wide Area Network)で接続されるシステムにおいて、
前記運用センタの前記OSメンテナンスPCにおいて、ハードディスクの内容を前記ディスクレスPCで起動可能な形式でOSイメージファイル化し、前記OSイメージ管理装置に転送し、
前記OSイメージ管理装置において、前記OSメンテナンス用PCからOSの変更が指示されると、旧世代と指示された新たなイメージファイルの差分を抽出し、
前記拠点システムの前記ネットワークストレージに前記領域の複製を指示し、
前記拠点システムの前記ネットワークストレージは、旧世代の領域を複製し、
前記OSイメージ管理装置は、抽出された前記差分を前記ネットワークストレージの複製された前記旧世代の領域に書き込み、
前記OSイメージ管理装置は、前記管理サーバに対して、前記拠点システムのディスクレスPCに割り当てるべき前記ネットワークストレージ上の領域の情報を新世代の情報に変更する指示を行う
ことを特徴とする多地点のコンピュータ管理方法。
【請求項6】
多地点の各拠点のパーソナルコンピュータ(PC)のセキュリティ対策や利用アプリケーションを一括管理する多地点のコンピュータ管理方法であって、
OSメンテナンス用PCと第1のWAN高速化装置及び管理サーバを有する運用管理センタと、第2のWAN高速化装置とネットワークストレージ及びディスクレスPCを有し、多地点に設けられた各拠点システムとがWANで接続されるシステムにおいて、
前記運用管理センタの前記OSメンテナンス用PCにおいて、内蔵ハードディスクを使用せずに、前記拠点システムの前記ネットワークストレージに直接アクセスして、該ネットワークストレージの旧世代の領域の複製を指示し、
前記ネットワークストレージは、旧世代の領域を複製し、
前記OSメンテナンス用PCにおいて、新世代のOSを前記第1のWAN高速化装置に転送し、該第1のWAN高速化装置は、該新世代のOSを圧縮して前記拠点システムの前記第2のWAN高速化装置に送信し、
前記ネットワークストレージは、前記第2のWAN高速化装置を介して取得した前記新世代のOSを複製された旧世代の領域に書き込み、
前記OSメンテナンス用PCにおいて、前記管理サーバに対して、前記拠点システムのディスクレスPCに割り当てるべき前記ネットワークストレージ上の領域の情報を新世代の情報に変更する指示を行う
ことを特徴とする多地点のコンピュータ管理方法。
【請求項7】
多地点の各拠点のパーソナルコンピュータ(PC)のセキュリティ対策や利用アプリケーションを一括管理する多地点のコンピュータ管理システムであって、
汎用PCと管理サーバを有する運用管理センタと、OSメンテナンス用PCとネットワークストレージ及びディスクレスPCを有し、多地点に設けられた各拠点システムがWANに接続されるシステムにおいて、
前記運用管理センタの前記汎用PCにおいて、前記拠点システムの前記ネットワークストレージに対して旧世代の領域の複製を指示し、
前記ネットワークストレージでは、前記旧世代の領域を複製し、
前記汎用PCにおいて、内蔵された画面転送ソフトウェアにより、キーボードやマウス操作を含む操作信号及び画面表示の信号を、前記拠点システムのOSメンテナンス用PCに送信し、
前記OSメンテナンス用PCは、前記ネットワークストレージに対して前記操作信号及び前記画面表示信号を転送し、
前記ネットワークストレージにおいて、前記操作信号及び前記画面表示信号に基づいて複製した旧世代領域を更新し、
前記汎用PCは、前記管理サーバに対して、前記拠点システムのディスクレスPCに割り当てるべき前記ネットワークストレージ上の領域の情報を新世代の情報に変更する指示を行う
ことを特徴とする多地点のコンピュータ管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−258922(P2009−258922A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−106159(P2008−106159)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】