説明

多孔体の製造方法

【課題】気孔率の高い多孔体を安定して製造できる多孔体の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】粒状気孔形成材と水溶性高分子とを、前記水溶性高分子の少なくとも一部が溶融し、前記粒状気孔形成材が溶融しない温度で混練することによって、粒状混練物を形成させる第1混練工程と、前記粒状混練物と、非水溶性熱可塑性高分子とを、前記非水溶性熱可塑性高分子の少なくとも一部が溶融し、前記粒状混練物が溶融しない温度で混練する第2混練工程と、前記第2混練工程によって得られた混練物を、前記非水溶性熱可塑性高分子の少なくとも一部が溶融し、前記粒状混練物が溶融しない温度で、所定の形状に成形する成形工程と、前記成形工程によって得られた充実成形体を水に接触させることによって、前記充実成形体から前記粒状混練物を水中に溶出させる溶出工程とを備える多孔体の製造方法を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多孔体の製造方法としては、例えば、脱塩法等が挙げられる。脱塩法とは、塩化ナトリウムや硫酸マグネシウム等の粉末状の気孔形成材(以下、このような塩の気孔形成材を「塩型気孔形成材」という。)を、基材となる樹脂に添加した成形材料を用いて、塩型気孔形成材を含む充実成形体を成形し、得られた充実成形体を水で洗浄することにより、塩型気孔形成材を溶出させて、塩型気孔形成材が存在していた部分に気孔を形成する多孔体の製造方法である。
【0003】
このような脱塩法では、上述したように、充実成形体から塩型気孔形成材が溶出された部分が気孔となる。また、塩型気孔形成材自体は、発泡剤等と異なり、成形時等において膨張や発泡等をほとんどしない。よって、多孔体における気孔の占める割合である気孔率を、充実成形体における塩型気孔形成材の含有率を調整することによって、容易に調整することができる。すなわち、このような脱塩法で所望の気孔率の多孔体を製造するには、所望の気孔率に見合う塩型気孔形成材を、充実成形体に含有させる必要がある。よって、例えば、気孔率が50容積%と気孔率の高い多孔体を製造しようとする場合、充実成形体における塩型気孔形成材の含有率が、容積率で50容積%以上となるように、塩型気孔形成材を樹脂成分に添加する必要がある。
【0004】
しかしながら、塩型気孔形成材の含有率が50容積%以上等の気孔率の高い充実成形体を成形することは、困難である。このことは、塩型気孔形成材の融点が高く、樹脂の成形温度では、通常、塩型気孔形成材が固体(粉末)のままであることによる。すなわち、塩型気孔形成材の含有量が多くなるほど、充実成形体を成形するための成形材料の流動性が低下するので、塩型気孔形成材の含有率が50容積%以上の充実成形体を成形するための成形材料は、流動性が低くなり、成形に必要とされる流動性(MFR値)を達成することが困難である。
【0005】
特に、射出成形法等で成形する場合、金型内に射出する際に液体状態の樹脂成分は射出されても、粉末状の塩型気孔形成材は、充分に射出されない傾向がある。このため、塩型気孔形成材を多量に含有させた成形材料を用いたにもかかわらず、塩型気孔形成材の含有量が少ない充実成形体や、塩型気孔形成材が成形体内部だけに含有されている不均一な充実成形体が得られたりする。そして、充実成形体における塩型気孔形成材の含有量の減少は、形成される多孔体の気孔率の低下をもたらすことになる。また、不均一な充実成形体からは、不均一な多孔体しか得られないことになる。さらに、不均一な充実成形体からは、不均一な多孔体しか得られないばかりか、成形体表面に存在する塩型気孔形成材が少なすぎるために、水洗段階で塩型気孔形成材を充分に溶出することができず、結局、所定の気孔率よりも低い気孔率の多孔体しか得られなかったり、多孔体にならない部分が生じたりするのである。
【0006】
一方、成形温度を上げて、樹脂成分の流動性を高めることも考えられる。しかしながら、この場合であっても、塩型気孔形成材は、粉末状で成形材料中に存在することになる。このため、ダイを通過する際又は金型内に射出する際に、塩型気孔形成材は、樹脂に比べて射出されにくくなる。その結果として、上述の場合と同様、気孔率の高い多孔体を製造することが困難である。
【0007】
また、気孔率を上げようとすると、塩型気孔形成材の含有量を多くしなければならない。しかしながら、このことは、成形材料の粘度上昇、流動性低下につながる。さらに、成形温度を上げて粘度を調整しようとすると、樹脂の劣化を招く場合がある。このような場合、得られた多孔体の特性の低下を引き起こすことになる。
【0008】
上記のような理由から、気孔率の高い多孔体を形成するための充実成形体を、射出成形法等によって成形することは困難であった。
【0009】
そして、上記のような脱塩法においては、気孔形成材として、塩型気孔形成材だけではなく、ペンタエリスリトール等の水溶性の有機化合物の粉末等を用いることも検討されている。
【0010】
上記のような多孔体の製造方法としては、例えば、特許文献1に記載の製造方法等が挙げられる。具体的には、特許文献1には、非水溶性高分子材料に、水溶性高分子を含有する気孔形成剤を分散させてなる成形材料を、該非水溶性高分子材料が熱溶融し、かつ該気孔形成剤の一部又は全部が熱溶融する温度で成形し、冷却して充実成形体を得、次いで該充実成形体中の気孔形成剤を水で溶出させる高分子多孔質体の製造方法が記載されている。この製造方法によれば、高空隙率(高気孔率)を保ちつつ、気孔径の大きい高分子多孔体を製造することができることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−257275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、本願発明者が検討した結果、特許文献1に記載の製造方法では、多孔体を形成することが困難であった。また、多孔体を形成できたとしても、得られた多孔体は、不均一で、緻密性の劣るものであった。
【0013】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、気孔率の高い多孔体を安定して製造できる多孔体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、上記のような不具合の発生を、水溶性高分子を含有する気孔形成剤の一部又は全部が熱溶融する温度で成形するので、成形時に、気孔形成剤が形状を保持できなかったり、溶融された気孔形成剤と、基材となる非水溶性高分子材料とが相分離し、気孔形成剤の分散性が低下したりするためであると考えた。また、気孔形成剤中に、成形温度で溶融しない成分、例えば、ペンタエリスリトールを含有し、ペンタエリスリトールによる気孔が形成できても、気孔が充分に形成されるものではないと推察した。
【0015】
そこで、本発明者は、種々検討した結果、気孔形成材と水溶性高分子とを予め混練させ、さらに、温度条件等を規定した、以下のような本発明に想到するに到った。
【0016】
本発明の一態様に係る多孔体の製造方法は、粒状気孔形成材と水溶性高分子とを、前記水溶性高分子の少なくとも一部が溶融し、前記粒状気孔形成材が溶融しない温度で混練することによって、粒状混練物を形成させる第1混練工程と、前記粒状混練物と、非水溶性熱可塑性高分子とを、前記非水溶性熱可塑性高分子の少なくとも一部が溶融し、前記粒状混練物が溶融しない温度で混練する第2混練工程と、前記第2混練工程によって得られた混練物を、前記非水溶性熱可塑性高分子の少なくとも一部が溶融し、前記粒状混練物が溶融しない温度で、所定の形状に成形する成形工程と、前記成形工程によって得られた充実成形体を水に接触させることによって、前記充実成形体から前記粒状混練物を水中に溶出させる溶出工程とを備えることを特徴とする。
【0017】
このような構成によれば、気孔率の高い多孔体を安定して製造できる多孔体の製造方法を提供することができる。
【0018】
このことは、以下のことによると考えられる。
【0019】
まず、前記第1混練工程で、粒状気孔形成材と水溶性高分子とを、前記水溶性高分子の少なくとも一部が溶融し、前記粒状気孔形成材が溶融しない温度で混練することによって、前記粒状気孔形成材に前記水溶性高分子が被覆された粒状混練物が形成されると考えられる。
【0020】
そして、このような粒状混練物を、非水溶性熱可塑性高分子とともに、前記非水溶性熱可塑性高分子の少なくとも一部が溶融し、前記粒状混練物が溶融しない温度で混練し、得られた混練物を、前記非水溶性熱可塑性高分子の少なくとも一部が溶融し、前記粒状混練物が溶融しない温度で、所定の形状に成形する。そうすることによって、隣り合う前記粒状混練物が、表面に被覆されている水溶性高分子を介して連結された状態で、均一に分散された充実成形体が得られると考えられる。さらに、前記粒状混練物は、水溶性高分子で被覆されていることから、得られた充実成形体の内部だけではなく、表面付近にも均一に分散されていると考えられる。
【0021】
このような充実成形体を水に接触させることによって、前記充実成形体から前記粒状混練物を水中に溶出させる。そうすることによって、前記粒状混練物が、表面に被覆されている水溶性高分子を介して連結された状態で均一に分散されていると考えられるので、連通気孔が均一に形成できると考えられる。さらに、前記粒状混練物は、上述したように、充実成形体の内部だけではなく、表面付近にも均一に分散されていると考えられるので、前記連通気孔が、表面にも露出するように好適に形成されると考えられる。
【0022】
以上のことから、気孔率の高い多孔体を安定して製造できると考えられる。
【0023】
また、前記多孔体の製造方法において、前記粒状気孔形成材が、ペンタエリスリトールを含む粒状物又は水溶性無機化合物を含む粒状物であることが好ましい。このような構成によれば、気孔率の高い多孔体を、より高い製造効率で製造することができる。このことは、まず、ペンタエリスリトールや水溶性無機化合物の融点が比較的高いことから、上記の各温度条件を達成することが容易であることによると考えられる。さらに、ペンタエリスリトールを含む粒状物の場合、ペンタエリスリトールを含む粒状物を含有させた成形材料は、成形後の固化が速くなるので、充実成形体の冷却時間が短くなることにもよると考えられる。
【0024】
また、前記多孔体の製造方法において、前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールであることが好ましい。このような構成によれば、気孔率の高い多孔体をより安定に製造することができる。このことは、前記水溶性高分子として、ポリビニルアルコールを用いることによって、前述した水溶性高分子による作用を好適に発揮させることができるためであると考えられる。より具体的には、水溶性高分子を被覆した気孔形成材である前記粒状混練物を、表面に被覆された水溶性高分子を介して連結した状態で、充実成形体内部だけでなく、表面付近にも均一に分散させることができるという作用を、好適に発揮させることができるためであると考えられる。
【0025】
また、前記多孔体の製造方法において、前記非水溶性熱可塑性高分子が、ポリオレフィン系樹脂又はポリオレフィン系エラストマーであることが好ましい。このような構成によれば、気孔率の高い多孔体をより安定に製造することができる。このことは、まず、水溶性高分子と気孔形成材とを予め混練した粒状混練物を好適に分散させることができることによると考えられる。また、ポリオレフィン系樹脂やポリオレフィン系エラストマーが、適度な疎水性を有し、水に対して溶解しないだけではなく、膨潤も好適に抑制できることにもよると考えられる。
【0026】
また、前記多孔体の製造方法において、前記粒状気孔形成材の体積平均粒径が、3〜600μmであることが好ましい。このような構成によれば、好適な気孔径の気孔が形成された多孔体を製造することができる。このことは、水溶性高分子と気孔形成材とを予め混練した粒状混練物が充実成形体から溶出された部分が気孔となるので、前記粒状気孔形成材の粒径が、多孔体に形成される気孔の気孔径に影響を与えることによると考えられる。
【0027】
また、前記多孔体の製造方法において、前記溶出工程が、前記充実成形体を水に浸漬させる工程であることが好ましい。このような構成によれば、水溶性高分子と気孔形成材とを予め混練した粒状混練物が充実成形体から容易に溶出させることができる。よって、気孔率の高い気孔体を効率よく製造することができる。
【0028】
また、前記多孔体の製造方法において、前記溶出工程における水の温度が、30〜60℃であることが好ましい。このような構成によれば、水溶性高分子と気孔形成材とを予め混練した粒状混練物が充実成形体から容易に溶出させることができる。よって、気孔率の高い気孔体を効率よく製造することができる。
【0029】
また、前記多孔体の製造方法において、前記成形工程が、射出成形法によって、前記充実成形体を成形する工程であることが好ましい。このような構成によれば、所望の形状の多孔体を製造することができる。また、射出成形法は、様々な形状に成形することができるが、気孔形成材を含有した成形材料を用いた場合、上述したような不具合が発生しやすかった。しかしながら、前記多孔体の製造方法によれば、気孔形成材を含有した成形材料を用いても、気孔率の高い多孔体を好適に製造することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、気孔率の高い多孔体を安定して製造できる多孔体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0032】
本発明の実施形態に係る多孔体の製造方法は、粒状気孔形成材と水溶性高分子とを、前記水溶性高分子の少なくとも一部が溶融し、前記粒状気孔形成材が溶融しない温度で混練することによって、粒状混練物を形成させる第1混練工程と、前記粒状混練物と、非水溶性熱可塑性高分子とを、前記非水溶性熱可塑性高分子の少なくとも一部が溶融し、前記粒状混練物が溶融しない温度で混練する第2混練工程と、前記第2混練工程によって得られた混練物を、前記非水溶性熱可塑性高分子の少なくとも一部が溶融し、前記粒状混練物が溶融しない温度で、所定の形状に成形する成形工程と、前記成形工程によって得られた充実成形体を水に接触させることによって、前記充実成形体から前記粒状混練物を水中に溶出させる溶出工程とを備えるものである。
【0033】
はじめに、前記多孔体の製造方法に用いる各材料について説明する。
【0034】
前記粒状気孔形成材は、多孔体の気孔を形成するために配合されるものであり、前記多孔体の製造方法によって、気孔を形成できるものであれば、特に限定されない。具体的には、後述する、水溶性高分子や非水溶性熱可塑性高分子より融点が高く、水溶性の粉状物であれば、特に限定されない。より具体的には、水溶性高分子や非水溶性熱可塑性高分子として用いる高分子によって異なるが、例えば、多価アルコールや尿素等の有機化合物、及び水溶性無機化合物等を含む粒状物等が挙げられる。前記多価アルコールとしては、具体的には、例えば、ペンタエリスリトール、L−エリスリトール、D−エリスリトール、meso−エリスリトール、ピナコール等が挙げられる。また、前記水溶性無機化合物としては、具体的には、塩化カリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等のアルカリ金属塩等が挙げられる。前記粒状気孔形成材は、この中でも、単独の組成からなる粉状物であってもよいし、2種以上含む粉状物であってもよい。また、単一の粉状物を用いてもよいし、2種以上の粉状物を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
また、前記粒状気孔形成材としては、ペンタエリスリトールを含む粒状物や水溶性無機化合物を含む粒状物であることが好ましい。そうすることによって、気孔率の高い多孔体を、より高い製造効率で製造することができる。このことは、まず、ペンタエリスリトールや水溶性無機化合物の融点が比較的高いことから、多孔体の製造工程における各温度条件を達成することが容易であることによると考えられる。さらに、ペンタエリスリトールを含む粒状物の場合、ペンタエリスリトールを含む粒状物を含有させた成形材料は、成形後の固化が速くなるので、充実成形体の冷却時間が短くなることにもよると考えられる。
【0036】
また、前記ペンタエリスリトールを含む粒状物としては、例えば、不純物を含むペンタエリスリトールからなる粒状物等が挙げられる。工業用に製造されているペンタエリスリトールは、不純物として、トリペンタエリスリトールやジペンタエリスリトール等を含み、ペンタエリスリトールの融点である260℃より低い温度で溶融し始める。また、不純物を含むペンタエリスリトールからなる粒状物が溶融し始める温度は、不純物の種類や含有量によって異なる。そして、前記ペンタエリスリトールを含む粒状物としては、例えば、220〜240℃で溶融開始する粉状物が好ましく用いられる。
【0037】
また、前記気孔形成材の体積平均粒径が、3〜600μmであることが好ましい。そうすることによって、好適な気孔径の気孔が形成された多孔体を製造することができる。このことは、水溶性高分子と気孔形成材とを予め混練した粒状混練物が充実成形体から溶出された部分が気孔となるので、前記粒状気孔形成材の粒径が、多孔体に形成される気孔の気孔径に影響を与えることによると考えられる。なお、気孔形成材の体積平均粒径は、一般的な粒度計で測定することができる。
【0038】
前記水溶性高分子は、前記気孔形成材と予め混合して用いるものであり、具体的には、前記気孔形成材より融点が低く、後述する非水溶性熱可塑性高分子より融点が高い水溶性高分子であれば、特に限定されない。具体的には、気孔形成材の種類や、非水溶性熱可塑性高分子として用いる高分子によって異なるが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニル重合体、ポリアクリル酸ナトリウム、エチレンオキシド、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。前記水溶性高分子としては、上記各水溶性高分子を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
また、前記水溶性高分子としては、ポリビニルアルコールであることが好ましい。そうすることによって、気孔率の高い多孔体をより安定に製造することができる。このことは、前記水溶性高分子として、ポリビニルアルコールを用いることによって、前述した水溶性高分子による作用を好適に発揮させることができるためであると考えられる。より具体的には、水溶性高分子を被覆した気孔形成材である前記粒状混練物を、表面に被覆された水溶性高分子を介して連結した状態で、充実成形体内部だけでなく、表面付近にも均一に分散させることができるという作用を、好適に発揮させることができるためであると考えられる。
【0040】
また、前記水溶性高分子として用いられるポリビニルアルコールは、ケン化度が65〜90モル%であることが好ましく、70〜80モル%であることがより好ましい。また、前記ポリビニルアルコールは、重合度が300〜1000であることが好ましく、500〜700であることがより好ましい。また、前記水溶性高分子として用いられるポリビニルアルコールとしては、具体的には、例えば、熱溶融成形用ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0041】
前記非水溶性熱可塑性高分子は、製造する多孔体の基材となる樹脂であり、具体的には、前記気孔形成材や前記水溶性高分子より融点が低い非水溶性の高分子であれば、特に限定されない。この非水溶性熱可塑性高分子には、非水溶性の、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーが含まれる。具体的には、前記気孔形成材や前記水溶性高分子によっても異なるが、例えば、以下のようなもの等が挙げられる。なお、熱可塑性エラストマーとは、ゴム状弾性を示すソフトセグメント及び三次元網目の結び目となるハードセグメントから構成されるもので、常温ではゴム弾性を示し、高温で可塑化するものである。
【0042】
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、エチレン系アイオノマー、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリアセタール、アクリロニトリルスチレン共重合体、アクリレート・スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・塩素化ポリエチレン・スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエーテルイミド、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・ビニリデンフロライド共重合体、ポリ3フッ化塩化エチレン、ポリアリレート、ポリブタジエン、ポリメチルメタクリレート、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレンサクシネート、ポリエステルアミド、エチレン・アクリル酸共重合体、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。また、前記熱可塑性樹脂としては、上記各熱可塑性樹脂を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0043】
前記熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリオレフィン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ニトリル系エラストマー、イソプレン系エラストマー、シリコーン系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、フッ素系エラストマー等が挙げられる。この中でも、ポリオレフィン系エラストマーが好ましい。
【0044】
前記ポリオレフィン系エラストマーとしては、例えば、エチレン・プロピレン・ジエン(EPDM)とポリプロピレンとの共重合体等が挙げられる。また、前記ポリスチレン系エラストマーとしては、例えば、ポリブタジエンとポリスチレンとの共重合体やポリイソプレンとポリスチレンとの共重合体等が挙げられる。また、前記ポリアミド系エラストマーとしては、例えば、ナイロン6とポリエーテルとの共重合体等が挙げられる。また、前記ポリエステル系エラストマーとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートと高分子量ポリエチレンエーテルグリコールとの共重合体やポリブチレンテレフタレートと高分子量ポリアルキレンエーテルグリコールとの共重合体等が挙げられる。また、前記ウレタン系エラストマーとしては、例えば、短鎖グリコールが結合したジイソシアナートと長鎖ポリオールが結合したジイソシアナートとの共重合体等の親水性のもの等が挙げられる。
【0045】
また、前記熱可塑性エラストマーとしては、上記各熱可塑性エラストマーを単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0046】
また、前記非水溶性熱可塑性高分子としては、ポリオレフィン系樹脂又はポリオレフィン系エラストマーであることが好ましい。そうすることによって、気孔率の高い多孔体をより安定に製造することができる。このことは、まず、水溶性高分子と気孔形成材とを予め混練した粒状混練物を好適に分散させることができることによると考えられる。また、ポリオレフィン系樹脂やポリオレフィン系エラストマーが、適度な疎水性を有し、水に対して溶解しないだけではなく、膨潤も好適に抑制できることにもよると考えられる。
【0047】
なお、前記非水溶性熱可塑性高分子としては、前記熱可塑性樹脂及び前記熱可塑性エラストマーを単独で用いてもよいが、前記熱可塑性樹脂と前記熱可塑性エラストマーとを組み合わせて用いてもよい。
【0048】
次に、各製造工程について説明する。
【0049】
まず、前記粒状気孔形成材と前記水溶性高分子とを、前記水溶性高分子の少なくとも一部が溶融し、前記粒状気孔形成材が溶融しない温度で混練する。そうすることによって、粒状混練物が形成される。得られた粒状混練物は、前記粒状気孔形成材に前記水溶性高分子が被覆された状態であると考えられる。なお、この工程が、第1混練工程に相当する。
【0050】
前記粒状気孔形成材と前記水溶性高分子との配合比は、前記粒状気孔形成材及び前記水溶性高分子の種類等によっても異なるが、例えば、質量比で、19:1〜1:1であることが好ましく、6:1〜8:5であることがより好ましい。前記水溶性高分子が、前記粒状気孔形成材に対して、少なすぎると、前記水溶性高分子を予め混合させる効果が少なくなり、気孔率の高い多孔体を好適に形成できなくなる傾向がある。このことは、前記水溶性高分子が前記粒状気孔形成材を充分に被覆することができないことによると考えられる。また、前記水溶性高分子が、前記粒状気孔形成材に対して、多すぎても、気孔率の高い多孔体を好適に形成できなくなる傾向がある。このことは、前記粒状気孔形成材と前記水溶性高分子とを予め混練した粒状混練物が、前記充実成形体の中で均一に分散しにくくなることによると考えられる。
【0051】
また、前記粒状気孔形成材と前記水溶性高分子とを予め混練した粒状混練物の配合量、すなわち、前記粒状気孔形成材と前記水溶性高分子との合計量は、製造しようとする多孔体の気孔率(空隙率)に応じて、適宜選定することができる。すなわち、配合する粒状混練物の含有量により気孔率を制御することができる。具体的には、後述する、充実成形体中の、前記粒状混練物の含有割合を、所望の気孔率とほぼ同じ体積率とすることによって、所望の気孔率の多孔体を製造することができる。より具体的には、気孔率50体積%の多孔体を製造する場合、前記粒状気孔形成材と前記水溶性高分子とを予め混練した粒状混練物を、充実成形体の体積に対して、50体積%以上となるように含有させる必要がある。
【0052】
よって、気孔率が50体積%以上の多孔体が好ましいので、前記粒状気孔形成材と前記水溶性高分子とを予め混練した粒状混練物を、充実成形体の体積に対して、50体積%以上であることが好ましく、60〜85体積%であることがより好ましい。また、前記粒状気孔形成材と前記水溶性高分子とを予め混練した粒状混練物が多すぎると、後述する、前記粒状混練物と前記非水溶性熱可塑性高分子との混練物を溶融しても、成形に好適な流動性を確保できなくなる傾向がある。よって、気孔率の高い多孔体を製造できない傾向がある。
【0053】
また、前記粒状気孔形成材と前記水溶性高分子との混練は、前記水溶性高分子の少なくとも一部が溶融し、前記粒状気孔形成材が溶融しない温度で混練することができれば、特に限定されない。具体的には、例えば、オープンロール、ニーダー、インテンシブミキサー、単軸スクリュー押出機、及び二軸スクリュー押出機等の装置を使用した混練等が挙げられる。また、前記混練の前に、前記粒状気孔形成材と前記水溶性高分子とを、ヘンシェルミキサー、V字型混合機、ボールミル、リボンブレンダー、タンブルミキサー等の混合機を用いて予め混合してもよい。
【0054】
次に、前記粒状混練物と、前記非水溶性熱可塑性高分子とを、前記非水溶性熱可塑性高分子の少なくとも一部が溶融し、前記粒状混練物が溶融しない温度で混練する。なお、この工程が、第2混練工程に相当する。そして、この混練によって得られた混練物を、成形材料として、前記非水溶性熱可塑性高分子の少なくとも一部が溶融し、前記粒状混練物が溶融しない温度で、所定の形状に成形する。そうすることによって、充実成形体が得られる。なお、この工程が、成形工程に相当する。上記のような工程によって得られた充実成形体は、隣り合う前記粒状混練物が、表面に被覆されている水溶性高分子を介して連結された状態で、均一に分散されたものであると考えられる。さらに、前記粒状混練物は、水溶性高分子で被覆されていることから、得られた充実成形体の内部だけではなく、表面付近にも均一に分散されていると考えられる。
【0055】
前記非水溶性熱可塑性高分子の配合量は、所望の気孔率によって異なるが、例えば、50体積%以下であることが好ましく、15〜40体積%であることが好ましい。
【0056】
また、ここでの混練(第2混練工程での混練)は、前記非水溶性熱可塑性高分子の少なくとも一部が溶融し、前記粒状混練物が溶融しない温度で混練することができれば、特に限定されない。具体的には、第1混練工程と同様、例えば、オープンロール、ニーダー、インテンシブミキサー、単軸スクリュー押出機、及び二軸スクリュー押出機等の装置を使用した混練等が挙げられる。また、前記混練の前に、前記粒状混練物と前記非水溶性熱可塑性高分子とを、ヘンシェルミキサー、V字型混合機、ボールミル、リボンブレンダー、タンブルミキサー等の混合機を用いて予め混合してもよい。
【0057】
なお、前記成形材料には、前記粒状気孔形成材と前記水溶性高分子とを予め混練した粒状混練物と、前記非水溶性熱可塑性高分子とを含有していればよいが、必要に応じて、高分子改質剤等の改質剤、滑剤、老化防止剤、可塑剤、熱安定剤、増粘剤、難燃剤、抗酸化剤(酸化防止剤)、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤、強化材等の添加剤を添加していてもよい。
【0058】
また、前記成形材料(第2混練工程によって得られた混練物)を用いた成形は、前記非水溶性熱可塑性高分子の少なくとも一部が溶融し、前記粒状混練物が溶融しない温度で成形できれば、特に限定されない。具体的には、例えば、圧縮成形法、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法などの成形方法等が挙げられる。なお、温度条件以外の成形条件は、使用する各成分や配合比率等に応じて、適宜、調整すればよい。
【0059】
また、前記成形が、射出成形法によって、前記充実成形体を成形するものであることが好ましい。そうすることによって、所望の形状の多孔体を製造することができる。また、射出成形法は、様々な形状に成形することができるが、気孔形成材を含有した成形材料を用いた場合、上述したような不具合が発生しやすかった。しかしながら、本実施形態に係る多孔体の製造方法によれば、気孔形成材を含有した成形材料を用いても、気孔率の高い多孔体を好適に製造することができる。
【0060】
最後に、前記成形によって得られた充実成形体を水に接触させることによって、前記充実成形体から前記粒状混練物を水中に溶出させる。そうすることによって、前記粒状混練物が、表面に被覆されている水溶性高分子を介して連結された状態で均一に分散されていると考えられるので、連通気孔が均一に形成できると考えられる。さらに、前記粒状混練物は、上述したように、充実成形体の内部だけではなく、表面付近にも均一に分散されていると考えられるので、前記連通気孔が、表面にも露出するように好適に形成されると考えられる。なお、この工程は、溶出工程に相当する。
【0061】
また、前記のような水の接触は、前記充実成形体から前記粒状混練物を水中に溶出させることができれば、特に限定されない。具体的には、例えば、前記充実成形体を水に浸漬させて、所定時間放置する方法、前記充実成形体に水を噴射させる方法、及び前記充実成形体を水を用いて洗浄する方法等が挙げられる。この中でも、前記充実成形体を水に浸漬させて、所定時間放置する方法が好ましい。また、前記充実成形体に接触させる水の温度は、前記非水溶性熱可塑性樹脂の融点以下であればよく、特に限定されない。具体的には、例えば、30〜60℃であることが好ましい。
【0062】
上記のような製造方法によって、気孔率が高い、具体的には、例えば、気孔率が50体積%以上の多孔体を形成することができる。そして、得られた多孔体は、気孔率が高いだけではなく、上述したように、連通気孔が均一に形成されていると考えられる。よって、得られた多孔体は、いわゆる、連続気泡タイプの多孔体である。よって、得られた多孔体は、浸透印やエアフィルタに好適に用いることができる。具体的には、例えば、上記製造方法によって製造された多孔体を浸透印として用いた場合、鮮明な印字が形成でき、印字品質の良好な浸透印が得られる。すなわち、上記製造方法は、浸透印やエアフィルタに好適に用いることができる多孔体を効率良く製造できるものである。
【0063】
以上、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0064】
[実施例]
まず、粒状気孔形成材として、ペンタエリスリトール(広栄化学工業株式会社製のペンタリット、溶融開始温度:232℃)270質量部と、水溶性高分子として、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製のCP1210T05、融点:174℃)90質量部とを、混合機で混合した。得られた混合物を、二軸押出機を用いて、190℃で混練した。その後、得られた混練物を、ペレタイザーでペレット化した。
【0065】
そして、得られたペレット360質量部と、非水溶性熱可塑性高分子として、ポリオレフィン系エラストマー(三井化学株式会社製のタフマーA−1085S、融点66℃)100質量部とを、混合機で混合した。得られた混合物を、二軸押出機を用いて、160℃で混練した。その後、得られた混練物を、ペレタイザーでペレット化した。
【0066】
そして、得られたペレットを用いて、成形温度150℃で射出成形することによって、65mm×90mm×2mmのシート状の充実成形体を得た。得られた充実成形体を、50℃の温水に、24時間、浸漬させた。そうすることによって、前記粒状気孔形成材及び前記水溶性高分子が、前記充実成形体から溶出した。その後、充分に乾燥させた。そうすることによって、多孔体が得られた。
【0067】
得られた多孔体は、表面状態が非常に均一で、緻密な連続気泡のシート状の多孔体であった。
【0068】
そして、得られた多孔体の気孔率(空隙率)を以下の方法により測定した。
【0069】
まず、得られた多孔体の重量を測定した。そして、その多孔体を水に浸漬させて、水を充分に含ませた多孔体の重量を測定した。その差分から、多孔体の含水量を算出した。この含水量は、多孔体にある空隙の体積であると考えられる。
【0070】
そして、多孔体の寸法を測定し、測定した寸法から多孔体の体積を算出した。
【0071】
上記のように算出した、多孔体の含水量を多孔体の体積で除した値を気孔率(空隙率)とした。
【0072】
上記のようにして得られた気孔率(空隙率)は、70%であった。
【0073】
[比較例1]
水溶性高分子を用いないこと以外、実施例と同様に行った。
【0074】
具体的には、まず、粒状気孔形成材として、ペンタエリスリトール(広栄化学工業株式会社製のペンタリット、溶融開始温度:232℃)360質量部と、非水溶性熱可塑性高分子として、ポリオレフィン系エラストマー(三井化学株式会社製のタフマーA−1085S、融点66℃)100質量部とを、混合機で混合した。得られた混合物を、二軸押出機を用いて、160℃で混練した。その後、得られた混練物を、ペレタイザーでペレット化した。
【0075】
そして、得られたペレットを用いて、成形温度150℃で射出成形しても、シート状には成形できなかった。さらに、成形温度を210℃に上昇させても、キャビティー内に成形材料が充填しなった。このため、多孔体を製造できなかった。
【0076】
[比較例2]
成形温度を、180℃に変えたこと以外、実施例と同様にした。
【0077】
しかしながら、成形によって得られた充実成形体を、水に浸漬させたら、水に溶解し、多孔体を製造できなかった。
【0078】
[比較例3]
まず、粒状気孔形成材として、ペンタエリスリトール(広栄化学工業株式会社製のペンタリット、溶融開始温度:232℃)270質量部と、水溶性高分子として、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製のCP1210T05、融点:174℃)90質量部と、ポリオレフィン系エラストマー(三井化学株式会社製のタフマーDF110、融点94℃)100質量部とを、混合機で混合した。得られた混合物を、二軸押出機を用いて、190℃で混練した。その後、得られた混練物を、ペレタイザーでペレット化した。
【0079】
そして、得られたペレットを用いて、成形温度150℃で射出成形することによって、65mm×90mm×2mmのシート状の充実成形体を得た。しかしながら、得られた充実成形体を、水に浸漬させたら、水に溶解し、多孔体を製造できなかった。
【0080】
以上のことから、本発明のように、粒状気孔形成材と水溶性高分子とを、前記水溶性高分子の少なくとも一部が溶融し、前記粒状気孔形成材が溶融しない温度で混練することによって、粒状混練物を形成させる第1混練工程と、前記粒状混練物と、非水溶性熱可塑性高分子とを、前記非水溶性熱可塑性高分子の少なくとも一部が溶融し、前記粒状混練物が溶融しない温度で混練する第2混練工程と、前記第2混練工程によって得られた混練物を、前記非水溶性熱可塑性高分子の少なくとも一部が溶融し、前記粒状混練物が溶融しない温度で、所定の形状に成形する成形工程と、前記成形工程によって得られた充実成形体を水に接触させることによって、前記充実成形体から前記粒状混練物を水中に溶出させる溶出工程とを備える多孔体の製造方法によれば、気孔率の高い多孔体を安定して製造できることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状気孔形成材と水溶性高分子とを、前記水溶性高分子の少なくとも一部が溶融し、前記粒状気孔形成材が溶融しない温度で混練することによって、粒状混練物を形成させる第1混練工程と、
前記粒状混練物と、非水溶性熱可塑性高分子とを、前記非水溶性熱可塑性高分子の少なくとも一部が溶融し、前記粒状混練物が溶融しない温度で混練する第2混練工程と、
前記第2混練工程によって得られた混練物を、前記非水溶性熱可塑性高分子の少なくとも一部が溶融し、前記粒状混練物が溶融しない温度で、所定の形状に成形する成形工程と、
前記成形工程によって得られた充実成形体を水に接触させることによって、前記充実成形体から前記粒状混練物を水中に溶出させる溶出工程とを備えることを特徴とする多孔体の製造方法。
【請求項2】
前記粒状気孔形成材が、ペンタエリスリトールを含む粒状物又は水溶性無機化合物を含む粒状物である請求項1に記載の多孔体の製造方法。
【請求項3】
前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールである請求項1又は請求項2に記載の多孔体の製造方法。
【請求項4】
前記非水溶性熱可塑性高分子が、ポリオレフィン系樹脂又はポリオレフィン系エラストマーである請求項1〜3のいずれか1項に記載の多孔体の製造方法。
【請求項5】
前記粒状気孔形成材の体積平均粒径が、3〜600μmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の多孔体の製造方法。
【請求項6】
前記溶出工程が、前記充実成形体を水に浸漬させる工程である請求項1〜5のいずれか1項に記載の多孔体の製造方法。
【請求項7】
前記溶出工程における水の温度が、30〜60℃である請求項1〜6のいずれか1項に記載の多孔体の製造方法。
【請求項8】
前記成形工程が、射出成形法によって、前記充実成形体を成形する工程である請求項1〜7のいずれか1項に記載の多孔体の製造方法。

【公開番号】特開2011−161639(P2011−161639A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23204(P2010−23204)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(394002073)株式会社プリンス技研 (2)
【Fターム(参考)】