説明

多孔質吸収性樹脂粒子の製造方法

【課題】
吸収速度に優れた吸収性樹脂粒子を得ることができる製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
発泡剤(A)の存在下で、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/若しくは加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに内部架橋剤(b)を逆相懸濁重合して含水ゲルを得る工程(1)、または
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/若しくは加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに内部架橋剤(b)を逆相懸濁重合して得た架橋重合体ゲル(B)と、発泡剤(A)とを混合して含水ゲルを得る工程(2)と、
含水ゲルを加熱処理する加熱工程(3)と
を含むことを特徴とする多孔質吸収性樹脂粒子の製造方法を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質吸収性樹脂粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性樹脂粒子の吸水速度を向上させるために、発泡剤の存在下にモノマーを重合してポリマーゲルを得た後、細断、粉砕、分級して、吸収性樹脂粒子を得る方法が知られている(特許文献1、2)。
【特許文献1】国際公開WO96/17884号パンフレット
【特許文献2】特表平9−507085号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の製造方法により得られた吸収性樹脂粒子では、十分な吸収速度を得ることができないという問題がある。本発明は吸収速度に優れた吸収性樹脂粒子を得ることができる製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の多孔質吸収性樹脂粒子の製造方法の特徴は、発泡剤(A)の存在下で、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/若しくは加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに内部架橋剤(b)を逆相懸濁重合して含水ゲルを得る工程(1)、または
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/若しくは加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに内部架橋剤(b)を逆相懸濁重合して得た架橋重合体ゲル(B)と、発泡剤(A)とを混合して含水ゲルを得る工程(2)と、
含水ゲルを加熱処理する加熱工程(3)と
を含む点を要旨とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の製造方法により得られた多孔性吸収性樹脂粒子は、従来の吸収性樹脂粒子に比較して、著しく優れた吸収速度を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
発泡剤(A)としては、加熱することにより、熱分解又は熱解離して気体を発生することができる化合物であれば制限なく使用できる。
加熱温度(℃)としては、70〜210が好ましく、さらに好ましくは80〜190、特に好ましくは90〜170、最も好ましくは100〜160である。
気体の発生量(ml/g;0℃、1atm)は、発泡剤1g当たり、50〜300が好ましく、さらに好ましくは60〜290、特に好ましくは70〜280、最も好ましくは80〜250である。
【0007】
このような発泡剤(A)としては、公知の発泡剤{特許文献1又は2に記載されたもの等}等が使用できる。
【0008】
これらのうち、アゾ化合物、スルホニルヒドラジド化合物、ニトロソ化合物、炭酸塩及びこれらの混合物が好ましく、さらに好ましくはアゾ化合物及びスルホニルヒドラジド化合物、特に好ましくはアゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、バリウムアゾジカルボキシレート、ジアゾアミノベンゼン、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)、パラトルエンスルホニルヒドラジド、アセトン−p−トルエンスルホニルヒドラゾン、p−トルエンスルホニルヒドラジン、p−メチルウレタンベンゼンスルホニルヒドラジド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド及びトリニトロソトリメチレントリアミンである。
【0009】
発泡剤(A)の使用量(重量%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解性ビニルモノマー(a2)及び内部架橋剤(b)の重量に基づいて、0.1〜20が好ましく、さらに好ましくは0.5〜15、特に好ましくは1〜13、最も好ましくは2〜10である。この範囲であると、さらに吸収速度が良好となる。
【0010】
水溶性ビニルモノマーとは、25℃の水100gに少なくとも100g溶解する性質(溶解度)を持つビニルモノマーを意味する。
なお、溶解度は、「改訂3版 化学便覧 基礎編II(II−166ページ〜II−175ページ)」に記載された方法により測定される。
加水分解性ビニルモノマーとは、加水分解により水溶性ビニルモノマーとなるビニルモノマーを意味する。
【0011】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)としては特に限定がないが、例えば、特開2005−075982号公報に記載の水溶性ラジカル重合単量体が挙げられる。これらのうち、吸収速度等の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)が好ましく、さらに好ましくはアニオン性ビニルモノマー、特に好ましくは炭素数3〜30のビニル基含有カルボン酸(塩){不飽和モノカルボン酸(塩)((メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸及びこれらの塩等);不飽和ジカルボン酸(塩)(マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸及びこれらの塩等);及び不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜8)エステル(マレイン酸モノブチルエステル、フマル酸モノブチルエステル、マレイン酸のエチルカルビトールモノエステル、フマル酸のエチルカルビトールモノエステル、シトラコン酸モノブチルエステル及びイタコン酸グリコールモノエステル等}、次に好ましくは不飽和モノカルボン酸(塩)、最も好ましくはアクリル酸(塩)である。
【0012】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)は、それぞれ、単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)のうち、吸収速度等の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)が好ましく、さらに好ましくは(a1)を単独で使用することである。
【0013】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の両方を使用する場合、これらのビニルモノマーの使用モル比{(a1)/(a2)}は、75/25〜99/1が好ましく、さらに好ましくは85/15〜95/5、特に好ましくは90/10〜93/7、最も好ましくは91/9〜92/8である。
【0014】
本発明の製造方法では、さらに、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマーと共重合できるその他のビニルモノマーを使用することができる{その他のビニルモノマーを使用しないことが好ましい。}。
その他のビニルモノマーとしては、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマーと共重合できるモノマーであれば制限がなく、たとえば、特開2003−225565号公報に記載のビニルモノマー等が挙げられる。
その他のビニルモノマーを使用する場合、その他のビニルモノマーの使用量(モル%)は、吸収速度等の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の合計のモル数に基づいて、0.01〜30が好ましく、さらに好ましくは0.05〜20、特に好ましくは0.1〜15である。
【0015】
内部架橋剤(a3)としては、例えば、特開2003−225565号公報に記載の内部架橋剤が使用できる。これらの内部架橋剤のうち、吸収速度等の観点から、エチレン性不飽和基を2個以上有する内部架橋剤が好ましく、さらに好ましくはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート及び炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテル、特に好ましくはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル、最も好ましくはペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。
【0016】
内部架橋剤(a3)の使用量(モル%)は、吸収速度等の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)のモル数に基づいて、0.01〜1が好ましく、さらに好ましくは0.03〜0.5、特に好ましくは0.05〜0.1である。
【0017】
工程(1)において、含水ゲルは、発泡剤(A)の存在下で逆相懸濁重合するという点を除いて、公知の逆相懸濁重合法{たとえば、特開平13−2935号公報、特開2003−147005号公報、特開2003−165883号公報に開示された逆相懸濁重合法}と同様にして得ることができる。
【0018】
発泡剤(A)は、(1)水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解性ビニルモノマー(a2)及び内部架橋剤(b)を含むモノマー水溶液に含有させて、これを疎水性有機溶媒に供給しながら逆相懸濁重合させてもよいし、(2)重合開始剤、連鎖移動剤及び/又はグラフト基材を含む補助液に含有させて、これを疎水性有機溶媒に供給しながら逆相懸濁重合させてもよいし、(3)モノマー水溶液や補助液とは別に、発泡剤(A){必要により発泡剤の水溶液又は水分散液}を疎水性有機溶媒に供給しながら逆相懸濁重合してもよいし、(4)疎水性有機溶媒に含有させておいて逆相懸濁重合させてもよい。これらのうち、吸収速度等の観点から、(1)、(2)又は(4)の方法が好ましく、さらに好ましくは(1)又は(2)の方法である。
【0019】
工程(2)において、架橋重合体ゲル(B)は、公知の逆相懸濁重合法{たとえば、特開平13−2935号公報、特開2003−147005号公報、特開2003−165883号公報に開示された逆相懸濁重合法}と同様にして得ることができる。
【0020】
工程(2)において、含水ゲルは、架橋重合体ゲル(B)と発泡剤(A)とを混合することにより得られる。混合は、疎水性有機溶媒が残存している状態でなされてもよいし、疎水性有機溶媒を留去してからなされてもよい。また、混合方法に制限がなく、通常の混合装置が適用できる。また、混合する際の温度にも制限はないが、60℃以下が好ましい。
【0021】
工程(1)及び(2)において、逆相懸濁重合は疎水性有機溶媒中にモノマー水溶液を供給し、次いで昇温させて重合(一括供給重合)を行わせることもできるが、重合条件下に保持されている疎水性有機溶媒中にモノマー水溶液を逐次供給しつつ懸濁重合(逐次供給重合)を行わせるのが好ましい。
【0022】
工程(1)及び(2)において、逆相懸濁重合は、2段階で行うことが好ましい。2段階で行うことにより、さらに吸収速度が良好となる。
第1段階目の逆相懸濁重合(以下、先行懸濁重合と略する。)では、例えば、分散剤を含む疎水性有機溶媒中に、モノマー水溶液の一部を供給して懸濁重合させる。この先行懸濁重合に際して、モノマー水溶液が微細な液滴(直径約1〜9μm)として分散するように、モノマー水溶液の供給速度及び撹拌強度を制御することが好ましい。この先行懸濁重合に供するモノマー水溶液の割合(重量%)は、全モノマー水溶液の重量に基づいて、0.1〜40が好ましく、さらに好ましくは1〜25である。
【0023】
先行懸濁重合に引き続いて、第2段階目の逆相懸濁重合を行うが、第2段階の逆相懸濁重合は、先行懸濁重合に供したモノマーの重合率が少なくとも10重量%に達してから行う。そのためには、先行懸濁重合におけるモノマー水溶液の供給が終了してから好ましくは3分間以上、さらに好ましくは5分間以上経過してから、第2段階の逆相懸濁重合を開始することが好ましい。なお、この時間が長いと生産性が低下しやすくなるため、60分間以内が好ましく、さらに好ましくは30分間以内である。ここでいう重合率は、生成した重合体の使用したモノマーに対する割合(重量%)である。すなわち、{(使用したモノマー重量)−(残存モノマー重量)}×100/(使用したモノマー重量)である。
【0024】
第2段階の逆相懸濁重合は、先行懸濁重合で生成した重合体を含む疎水性有機溶媒に、残りのモノマー水溶液を供給することにより行う。この第2段階目の逆相懸濁重合におけるモノマー水溶液の供給は、第2段階目の全重合時間の少なくとも10%以上(好ましくは40%以上、特に好ましくは60%以上)の期間に亘って行うことが好ましい。なお、第2段階目の全重合時間とは、第2段階の重合開始(モノマー水溶液の供給開始)から生成する重合体の重合度(重合率)が98重量%、好ましくは98.5重量%に達するまでの時間、又は重合操作を終了させるまでの時間のうち、いずれか短い方を意味する。第2段階目の全重合時間は開始剤の種類等により異なるが、通常2〜8時間である。
【0025】
先行懸濁重合及び第2段階の逆相懸濁重合ともに、モノマー水溶液の供給は一定速度で連続的に行うことが好ましいが、供給速度を変化させてもよい。また途中でモノマー水溶液の供給を一時中断することもできる。第2段階の逆相懸濁重合において、供給したモノマー水溶液は、すでに疎水性有機溶媒中に存在している重合体に吸収されてこれを成長させるか、または供給したモノマー水溶液から生成した重合体がすでに存在している重合物と合体して粒子が成長するものと考えられる。従ってモノマー水溶液の供給速度及び撹拌強度は、モノマー水溶液が十分に分散されるように行うのが好ましい。
【0026】
重合温度は、重合開始剤等にもよるが、通常、40〜150℃で行われる。高温度にしすぎると自己架橋が盛んとなって生成する重合体の吸収速度が低下しやすい。逆に低温度になりすぎると重合に長時間を要するばかりでなく、突発的な重合を引き起こして塊状物を生成するおそれがある。好適な重合温度は60〜90℃であり、特に疎水性有機溶媒の還流条件下で行うのが好ましい。
【0027】
モノマー水溶液のモノマー濃度(重量%)、すなわちモノマー水溶液の重量に対する全モノマー重量の割合(全モノマーの重量×100/モノマー水溶液の重量:重量%)としては、10〜45が好ましく、さらに好ましくは12〜40、特に好ましくは15〜35である。この範囲であると、後に水を除去する際に効率的であることに加え、自己架橋等の副反応が起こらず主鎖の分子量分布が狭くなり最終的に得られる多孔質吸収性樹脂粒子の吸収速度がさらに良好となる。
【0028】
本発明の製造方法には、工程(1)及び工程(2)のうち、吸収速度等の観点から、工程(1)を含むことが好ましい。
【0029】
加熱工程(3)において、含水ゲルを加熱処理する際の温度(℃)は、70〜210が好ましく、さらに好ましくは80〜190、特に好ましくは90〜170、最も好ましくは100〜160である。
発泡剤(A)の一部又は全部は、工程(1)又は工程(2)において、熱分解又は熱解離して気体を発生するが、加熱工程(3)で残存する発泡剤のすべてを熱分解又は熱解離させるものである。
【0030】
加熱工程(3)は、後述する表面架橋工程や乾燥工程にゆだねてもよい。すなわち、表面架橋工程の加熱処理を加熱工程(3)の加熱処理としてもよいし、乾燥工程の加熱処理を加熱工程(3)の加熱処理としてもよい。
【0031】
工程(1)若しくは工程(2)で得られた含水ゲル、又は加熱工程(3)で加熱処理した含水ゲルは、必要に応じて、表面架橋剤により表面架橋処理を行うことができる。表面架橋処理すると、吸収速度がさらに向上する。なお、表面架橋処理は、公知の方法{たとえば、特開平13−2935号公報、特開2003−147005号公報、特開2003−165883号公報に開示された方法}で行うことができる。
【0032】
工程(1)若しくは工程(2)で得られた含水ゲル、加熱工程(3)で加熱処理した含水ゲル、又は表面架橋処理した含水ゲルは、乾燥工程で乾燥することにより、多孔質吸収性樹脂粒子とすることができる。
乾燥方法は、通常の方法が適用でき、例えば、80〜230℃の温度の熱風で乾燥する方法、100〜230℃に加熱されたドラムドライヤー等の使用による薄膜乾燥法、(加熱)減圧乾燥法、凍結乾燥法及び赤外線による乾燥法等が挙げられる。
【0033】
乾燥工程で乾燥された乾燥粒子は、ふるい分け等によって分級してもよいが、粉砕すると吸収速度が低下するため、粉砕しないことが好ましい。
【0034】
得られる多孔質吸収性樹脂粒子の重量平均粒径(μm)は、200〜700が好ましく、さらに好ましくは250〜600、特に好ましくは260〜399である。この範囲であると、さらに吸収速度が良好となる。
【0035】
なお、重量平均粒径は、測定試料の粒度分布を測定し、対数確率紙{横軸:粒子径、縦軸:累積含有量(重量%)}に、累積含有量と粒子径との関係をプロットし、累積含有量が50重量%に対応する粒子径を求めることにより得られる。粒度分布は、JIS Z8815−1994に準拠して測定され、たとえば、内径150mm、深さ45mmのふるい{目開き:840μm、710μm、500μm、420μm、350μm、250μm及び149μm}を、目開きの狭いふるいを下にして重ね、一番上の最も目開きの広いふるいの上に、測定試料50gを入れ、ふるい振動機にて10分間ふるい、各ふるいの上に残った測定試料の重量を測定し、最初の測定試料の重量に基づく各ふるいの上に残った測定試料の重量%を求めることによって測定される。
【0036】
得られる多孔質吸収性樹脂粒子の吸収速度(g/g・秒)は、0.08〜0.25が好ましく、さらに好ましくは0.09〜0.19、特に好ましくは0.1〜0.17である。
なお、吸収速度はJIS K7224−1996に準拠して測定される。
【0037】
得られる多孔質吸収性樹脂粒子には、必要により添加剤を添加することができる。添加剤としては、吸水性重合体又は吸収性物品に用いられる通常の添加剤{たとえば、特許文献1、2、特開平13−2935号公報、特開2003−147005号公報又は特開2003−165883号公報に開示されたもの}等が使用でき、たとえば、防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤、無機質粉末及び有機質繊維状物等が使用できる。
【0038】
得られる多孔質吸収性樹脂粒子の発塵度(CPM)は、60以下が好ましく、さらに好ましくは35以下、特に好ましくは25以下、最も好ましくは10以下である。なお、発塵度は、次のようにして測定される。
【0039】
<発塵度の測定法>
1リットルの吸引瓶の吸入口とデジタル発塵計(例えば、柴田科学製:MODEL P−5;測定範囲0.01〜100mg/m)の吸入口とを内径7mm、長さ10cmガラス管で接続する。吸引瓶の上部の口から、ロートを用いて試料20gを吸引瓶に落下させる。落下させた試料から1分間に発生した発塵の個数をデジタル発塵計を用いて測定し、この値を発塵度(単位CPM、1CPM=0.001mg/m)とする。
【0040】
本発明の製造方法で得られる多孔質吸収性樹脂粒子は、繊維状物{たとえば、特許文献1、2、特開平13−2935号公報、特開2003−147005号公報又は特開2003−165883号公報に開示されたもの}と共に吸収体を構成することが好ましい。この吸収体は、吸水及び/又は保水が要望される吸収性物品等に好適であり、たとえば、紙おむつ(子供用紙おむつ及び大人用紙おむつ)、生理用ナプキン、失禁用パッド、母乳パッド、手術用アンダーパッド及びペットシート等の衛生用品に最適である。さらに鮮度保持材、保冷材、乾燥剤、ドリップ吸収材、結露防止剤、植物や土壌等の保水剤、ヘドロ等の凝固剤、土木建築用の止水材やパッキング材、電線ケーブルや光ファイバーケーブルの止水材及び人工雪等の各種用途にも極めて有用である。
【実施例】
【0041】
特に定めない限り、部は重量部、%は重量%を示す。
<実施例1>
アクリル酸207.7部(2.88モル部)及び水13.5部の水溶液に、冷却しながら、25%水酸化ナトリウム水溶液346.2部(8.66モル部)を加えて中和した後、発泡剤(a1){2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、大塚化学株式会社、AIBN}0.208部(0.00127モル部)、過硫酸カリウム0.104部(0.000384モル部)及び次亜リン酸ソーダ0.021部(0.000239モル部)を加えて、均一混合して、モノマー水溶液を調製した。
【0042】
攪拌機、還流冷却器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、シクロヘキサン624部を入れ、これにポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルリン酸(第一工業製薬株式会社、プライサーフA210G、「プライサーフ」は同社の登録商標である。)1.56部を加えて溶解した後、液層から窒素ガスを導入しながら、75℃攪拌下で、モノマー水溶液を60分間かけて、一定速度で滴下した。滴下終了後、さらに75℃で30分間、攪拌した後、水をシクロヘキサンとの共沸により留去した。生成した樹脂の含水率が約20%となった時点で攪拌を停止させると、樹脂粒子が沈降したので、デカンテーションにより樹脂粒子をシクロヘキサンから分離した。この樹脂粒子に、シクロヘキサン1500部及びグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセ化成工業株式会社、デナコールEX314、「デナコール」は長瀬産業株式会社の登録商標である。)を濃度0.35%で含むシクロヘキサン溶液40部を加え、60℃で30分間保持した後、シクロヘキサンの還流下に30分間保持した。ついで、約25℃まで冷却して、樹脂粒子を濾過した後、減圧乾燥(80℃)して、本発明の多孔質吸収性樹脂粒子(1)を得た。なお、多孔質吸収性樹脂粒子(1)の重量平均粒径(μm)は、399であった。
【0043】
<実施例2>
発泡剤(a1)の量を「0.208部(0.00127モル部)」から「41.5部(0.253モル部)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の多孔質吸収性樹脂粒子(2)を得た。なお、多孔質吸収性樹脂粒子(2)の重量平均粒径(μm)は、260であった。
【0044】
<実施例3>
「発泡剤(a1)0.208部(0.00127モル部)」を「発泡剤(a2){炭酸水素ナトリウム、氷和化成工業株式会社、セルボン}0.208部(0.00248モル部)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の多孔質吸収性樹脂粒子(3)を得た。なお、多孔質吸収性樹脂粒子(3)の重量平均粒径(μm)は、375であった。
【0045】
<実施例4>
「発泡剤(a1)0.208部(0.00127モル部)」を「発泡剤(a2){炭酸水素ナトリウム、氷和化成工業株式会社、セルボン}41.5部(0.494モル部)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の多孔質吸収性樹脂粒子(4)を得た。なお、多孔質吸収性樹脂粒子(4)の重量平均粒径(μm)は、280であった。
【0046】
<実施例5>
「発泡剤(a1)0.208部(0.00127モル部)」を「発泡剤(a3){N,N’−ニトロソペンタメチレンテトラミン、氷和化成工業株式会社、セルラー}0.208部(0.00112モル部)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の多孔質吸収性樹脂粒子(5)を得た。なお、多孔質吸収性樹脂粒子(5)の重量平均粒径(μm)は、280であった。
【0047】
<実施例6>
「発泡剤(a1)0.208部(0.00127モル部)」を「発泡剤(a3){N,N’−ニトロソペンタメチレンテトラミン、氷和化成工業株式会社、セルラー}41.5部(0.223モル部)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の多孔質吸収性樹脂粒子(6)を得た。なお、多孔質吸収性樹脂粒子(6)の重量平均粒径(μm)は、300であった。
【0048】
<実施例7>
アクリル酸207.7部(2.88モル部)及び水13.5部の水溶液に、冷却しながら、25%水酸化ナトリウム水溶液346.2部(8.66モル部)を加えて中和した後、過硫酸カリウム0.104部(0.000384モル部)及び次亜リン酸ソーダ0.021部(0.000239モル部)を加えて、均一混合して、モノマー水溶液を調製した。
【0049】
攪拌機、還流冷却器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、シクロヘキサン624部を入れ、これにポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルリン酸(第一工業製薬株式会社、プライサーフA210G、「プライサーフ」は同社の登録商標である。)1.56部を加えて溶解した後、液層から窒素ガスを導入しながら、75℃攪拌下で、モノマー水溶液を60分間かけて、一定速度で滴下した。滴下終了後、さらに75℃で30分間、攪拌した後、発泡剤(a1)0.208部(0.00127モル部)を加えて攪拌してから、水をシクロヘキサンとの共沸により留去した。生成した樹脂の含水率が約20%となった時点で攪拌を停止させると、樹脂粒子が沈降したので、デカンテーションにより樹脂粒子をシクロヘキサンから分離した。この樹脂粒子に、シクロヘキサン1500部及びグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセ化成工業株式会社、デナコールEX314、「デナコール」は長瀬産業株式会社の登録商標である。)を濃度0.35%で含むシクロヘキサン溶液40部を加え、60℃で30分間保持した後、シクロヘキサンの還流下に30分間保持した。ついで、約25℃まで冷却して、樹脂粒子を濾過した後、減圧乾燥(80℃)して、本発明の多孔質吸収性樹脂粒子(7)を得た。なお、多孔質吸収性樹脂粒子(7)の重量平均粒径(μm)は、399であった。
【0050】
<実施例8>
発泡剤(a1)の量を「0.208部(0.00127モル部)」から「41.5部(0.253モル部)」に変更したこと以外、実施例7と同様にして、本発明の多孔質吸収性樹脂粒子(8)を得た。なお、多孔質吸収性樹脂粒子(8)の重量平均粒径(μm)は、260であった。
【0051】
<実施例9>
「発泡剤(a1)0.208部(0.00127モル部)」を「発泡剤(a2)0.208部(0.00248モル部)」に変更したこと以外、実施例7と同様にして、本発明の多孔質吸収性樹脂粒子(9)を得た。なお、多孔質吸収性樹脂粒子(9)の重量平均粒径(μm)は、375であった。
【0052】
<実施例10>
「発泡剤(a1)0.208部(0.00127モル部)」を「発泡剤(a2)41.5部(0.494モル部)」に変更したこと以外、実施例7と同様にして、本発明の多孔質吸収性樹脂粒子(10)を得た。なお、多孔質吸収性樹脂粒子(10)の重量平均粒径(μm)は、340であった。
【0053】
<実施例11>
「発泡剤(a1)0.208部(0.00127モル部)」を「発泡剤(a3)0.208部(0.00112モル部)」に変更したこと以外、実施例7と同様にして、本発明の多孔質吸収性樹脂粒子(11)を得た。なお、多孔質吸収性樹脂粒子(11)の重量平均粒径(μm)は、280であった。
【0054】
<実施例12>
「発泡剤(a1)0.208部(0.00127モル部)」を「発泡剤(a3)41.5部(0.223モル部)」に変更したこと以外、実施例7と同様にして、本発明の多孔質吸収性樹脂粒子(12)を得た。なお、多孔質吸収性樹脂粒子(12)の重量平均粒径(μm)は、300であった。
【0055】
<比較例1>
発泡剤(a1)を用いないこと以外、実施例1と同様にして、比較用の吸収性樹脂粒子(H1)を得た。
【0056】
<比較例2>
発泡剤(a2)を用いないこと以外、実施例3と同様にして、比較用の吸収性樹脂粒子(H2)を得た。
【0057】
<比較例3>
発泡剤(a3)を用いないこと以外、実施例5と同様にして、比較用の吸収性樹脂粒子(H3)を得た。
【0058】
<比較例4>
発泡剤(a1)を用いないこと以外、実施例7と同様にして、比較用の吸収性樹脂粒子(H4)を得た。
【0059】
<比較例5>
発泡剤(a2)を用いないこと以外、実施例9と同様にして、比較用の吸収性樹脂粒子(H5)を得た。
【0060】
<比較例6>
発泡剤(a3)を用いないこと以外、実施例11と同様にして、比較用の吸収性樹脂粒子(H6)を得た。
【0061】
<比較例7>
アクリル酸ナトリウム88部(0.94モル部)、アクリル酸22.85部(0.3174モル部)、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.3部(0.002モル部)、脱イオン水293部及びジクロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ルテニウム0.001部を攪拌・混合しながら、温度を1〜2℃に保ち、この混合液中に窒素を流入して、混合液中の溶存酸素濃量を0.5ppm以下とした。
【0062】
引き続き、この混合液に、1%過酸化水素水溶液0.3部、0.2%アスコルビン酸水溶液0.8部及び2%の2,2’−アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライド水溶液0.8部を添加・混合して重合を開始させ、反応液が80℃に達した後、重合温度80±2℃で約5時間重合することにより、含水ゲルを得た。この含水ゲル400部及び発泡剤(a1)0.208部を均一混合してから、ミンチ機(目皿穴径:6mm、飯塚工業社製 12VR−400K)にて25℃で5分間細断した後、通気型バンド乾燥機(135℃、2.0m/秒;井上金属工業(株)製)で乾燥し、乾燥重合体を得た。
【0063】
この乾燥重合体をジューサーミキサー(National MX−X53、松下電器(株)製)で粉砕し、目開き150及び710μmのふるいを用いて150〜710μmの粒子径範囲に調整した後、この100部を高速攪拌(細川ミクロン製 高速攪拌タービュライザーミキサー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの1%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=60/40)の5.5部{エチレングリコールジグリシジルエーテル0.055部(0.00032モル部)}をスプレー噴霧しながら添加・混合し、140℃で30分間静置し加熱架橋(表面架橋)することにより比較用の多孔質吸収性樹脂粒子(H5)を得た。
【0064】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡剤(A)の存在下で、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/若しくは加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに内部架橋剤(b)を逆相懸濁重合して含水ゲルを得る工程(1)、または
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/若しくは加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに内部架橋剤(b)を逆相懸濁重合して得た架橋重合体ゲル(B)と、発泡剤(A)とを混合して含水ゲルを得る工程(2)と、
含水ゲルを加熱処理する加熱工程(3)と
を含むことを特徴とする多孔質吸収性樹脂粒子の製造方法。
【請求項2】
発泡剤(A)がアゾ化合物、スルホニルヒドラジド化合物、ニトロソ化合物及び炭酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
発泡剤(A)の使用量が、水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解性ビニルモノマー(a2)、及び内部架橋剤(b)の重量に基づいて、0.1〜20重量%である請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
加熱工程(3)が、含水ゲルを70〜210℃で加熱処理する工程である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載された製造方法で得られた多孔質吸収性樹脂粒子と、繊維状物とを含有してなる吸収体。
【請求項6】
請求項5に記載された吸収体を備えてなる吸収性物品。

【公開番号】特開2009−280668(P2009−280668A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−132876(P2008−132876)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(301023009)サンダイヤポリマー株式会社 (57)
【Fターム(参考)】