多孔質板の塗装方法
【課題】 多孔質板の塗装方法において、下塗り層及び上塗り層の塗装工程の信頼性の向上を図る。
【解決手段】 本発明の多孔質板の塗装方法は、ALC板10に対して予備加熱を行う工程と、ALC板10上に第1の下塗り層11を塗装する工程と、第1の下塗り層11に対して第1の遠赤外線照射を行う工程と、第1の下塗り層11上に第2の下塗り層12を塗装する工程と、第2の下塗り層12上に上塗り層13を塗装する工程と、上塗り層13に対して第2の遠赤外線照射を行う工程と、を含む。これらの工程により、第1及び第2の下塗り層11,12、及び上塗り層13が、ALC板10の表面と上塗り層13の表面の2つの側から極力全体的に加熱される。
【解決手段】 本発明の多孔質板の塗装方法は、ALC板10に対して予備加熱を行う工程と、ALC板10上に第1の下塗り層11を塗装する工程と、第1の下塗り層11に対して第1の遠赤外線照射を行う工程と、第1の下塗り層11上に第2の下塗り層12を塗装する工程と、第2の下塗り層12上に上塗り層13を塗装する工程と、上塗り層13に対して第2の遠赤外線照射を行う工程と、を含む。これらの工程により、第1及び第2の下塗り層11,12、及び上塗り層13が、ALC板10の表面と上塗り層13の表面の2つの側から極力全体的に加熱される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質板の塗装方法に関し、さらに言えば、表面に下塗り層及び上塗り層を塗装する工程を有する多孔質板の塗装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の外壁としては、土等を塗った土壁等のように、建築現場で施工する外壁が多かったが、最近では、外壁材を工場等で生産し、この外壁材を建物の外壁部分に取り付けた外壁が、速く、均質に、しかも、見栄え良く施工できる等の理由により、広く普及してきている。
【0003】
工場生産される外壁材としては、多孔質板であるALC(Autoclaved Light−weight Concrete;軽量気泡コンクリート)、プレキャストコンクリート、硬質木片セメント等が用いられることが多い。特に、ALCから成る外壁材(以下、ALC板と略称する)は、軽量であるために施工し易く、多くの外壁材に用いられている。
【0004】
上述したようなALC板の表面には、防水性を確保するための下塗り層が塗装される。この下塗り層の塗装は工場内において行われる場合がある。次に、そのようなALC板の下塗り層の塗装方法について、図面を参照して説明する。図6は、従来例に係るALC板、即ち多孔質板の塗装方法を示す図であり、多孔質板の断面を示している。
【0005】
図6に示すように、ヒーター110を用いてALC板20を加熱する。次に、図7に示すように、ヒーター110による加熱の終了後、その余熱を有したALC板20上に、第1の下塗り層21を塗装する。次に、所定のセッティング時間が経過した後、図8に示すように、第1の下塗り層21上に第2の下塗り層22を塗装する。その後、不図示の乾燥装置により、第1及び第2の下塗り層を乾燥させる。
【0006】
こうして第1及び第2の下塗り層21が塗装されたALC板20は、工場外へ搬送もしくは出荷され、建築現場等において用いられる。即ち、当該建築現場等において、耐候性(水分、光、酸素に対する耐性)を確保するための不図示の上塗り層や、不図示のトップコートの塗装が行われる。もしくは、図示しないが、上述した下塗り層、上塗り層、及びトップコートのすべての塗装工程が、工場内、もしくは工場外の建築現場等において行われる場合もある。
【0007】
なお、関連する技術文献としては、例えば以下の特許文献1が挙げられる。
【特許文献1】特開平08−027947号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
工場外の建築現場等おいて、第1及び第2の下塗り層21,22が塗装されたALC板20に対して、さらに上塗り層やトップコートの塗装を行う場合、当該建築現場等における作業工程の増加や作業時間の増長が避けられない。そのような建築現場等における作業工程の増加や作業時間の増長を回避するためには、第1及び第2の下塗り層21,22に加えて、上塗り層やトップコートの塗装工程を、工場内において完了させる必要がある。
【0009】
その場合、上記各層の塗装工程が完了する毎に、大規模な乾燥装置を用いて、ALC板に塗装された各層をそれぞれ乾燥させるが、このような大規模な乾燥装置は、その設備投資の増大のみならず、工場内における当該乾燥装置の設置スペースの増大による作業効率の低下を招く一因となる。
【0010】
上記大規模な乾燥装置を用いる必要のない塗装方法の一つとして、先に塗装された層の乾燥を待たずに、次の層を塗装する塗装方法、即ち、いわゆるウェット・オン・ウェット法を用いることが考えられる。次に、第1及び第2の下塗り層21,22の乾燥を待たずに上塗り層を塗装する塗装方法について、図面を参照して説明する。図9乃至図11は、ALC板20、即ち多孔質板の塗装方法を示す図である。
【0011】
図9に示すように、ALC板20上に、従来例に係る多孔質板の塗装方法と同様にして、第1及び第2の下塗り層21,22が塗装されている。ただし、これら第1及び第2の下塗り層21,22は乾燥が完了していない状態である。そして、第2の下塗り層22上に、上塗り層23を塗装する。その後、図10に示すように、遠赤外線ヒーター120を用いて、上塗り層23の表面に対して遠赤外線照射を行い、当該上塗り層23を加熱する。このときの遠赤外線ヒーター120の表面温度は、例えば約250℃〜400℃である。
【0012】
ここで、上塗り層23の表面上には、上記加熱により上塗り層23や第1及び第2の下塗り層21,22から生じる不図示の水蒸気層が形成されるが、この水蒸気層は送風機220による送風により除去される。この水蒸気層の除去により、第1及び第2の下塗り層21,22及び上塗り層23の乾燥が速められる。
【0013】
しかしながら、上塗り層13の表面に対して上記遠赤外線照射を行う過程では、上塗り層23の表面側のみから加熱が行われるため、当該上塗り層23の表面及びその近傍のみが集中的に乾燥される。一方、上塗り層23より下層の第1及び第2の下塗り層21,22は、上記遠赤外線照射によって塗料の分子活動が活発化することにより加熱されるものの、上塗り層23に比して加熱が進行しにくい。
【0014】
そのため、上塗り層23が乾燥する際の収縮応力と、第1及び第2の下塗り層21,22が乾燥する際の収縮応力に差異が生じる。また、多孔質板であるALC板20は、その表面に微細な凹凸を有している。即ち、ALC板20の表面の凹部と上塗り層23の表面までの距離Aよりも、当該表面の凸部と上塗り層23の表面までの距離Bの方が短い。
【0015】
従って、上記収縮応力の差異と、ALC板の表面から上塗り層23の表面までの距離A,Bの差異により、ALC板20の表面の凸部上の上塗り層23に、頻繁に亀裂23Cが生じていた。この亀裂23Cにより、本来ならば上塗り層23により確保されるはずのALC板20の耐候性が劣化していた。
【0016】
そこで、本発明の多孔質板の塗装方法は、下塗り層及び上塗り層の塗装工程の信頼性の向上を図る。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の多孔質板の塗装方法は、上記課題に鑑みて為されたものであり、多孔質板に対して予備加熱を行う工程と、予備加熱の終了後、当該予備加熱の余熱を有した前記多孔質板の表面に第1の下塗り層を塗装する工程と、第1の下塗り層の表面に対して第1の遠赤外線照射を行う工程と、第1の遠赤外線照射の終了後、当該第1の遠赤外線照射の余熱を有した前記第1の下塗り層上に積層するようにして、第2の下塗り層を塗装する工程と、第2の下塗り層を加熱することなく、当該第2の下塗り層上に積層するようにして、上塗り層を塗装する工程と、上塗り層の表面に対して第2の遠赤外線照射を行い、当該第2の遠赤外線照射と、第1の遠赤外線照射の余熱とにより、第1の下塗り層及び上塗り層を全体的に加熱する工程と、を含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の多孔質板の塗装方法は、上記工程において、第2の遠赤外線照射は、送風機による送風を伴い、当該第2の遠赤外線照射の際に上塗り層上に生じる水蒸気層を残存させるように、当該送風機から送風される風の風速を制御しながら行うことを特徴とする。また、第2の遠赤外線照射は、70℃以上100℃以下の温度の乾燥炉室内で行われ、送風機から送風される風の風速は0.5m/s以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、多孔質板であるALC板に下塗り層、及び上塗り層を塗装する際に、遠赤外線照射により、それらの層を、極力偏りなく全体的に加熱して乾燥させることができる。
【0020】
そのため、従来例にみられたように上塗り層に亀裂が生じることを極力抑止することができる。即ち、下塗り層及び上塗り層の塗装工程の信頼性を向上させることができる。結果として、従来例に比してALC板の耐候性を向上させることができる。
【0021】
また、そのような上塗り層の塗装工程を、工場内において、従来例にみられたような大規模な乾燥装置を用いずに行うことが可能となり、乾燥工程に係る設備投資や設置スペースを極力小さく抑えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本実施形態に係る多孔質板の塗装方法について図面を参照して説明する。本実施形態に係る多孔質板の塗装方法では、塗装の対象となる多孔質板は、ALC板であるものとする。また、本実施形態に係る多孔質板の塗装方法は、工場内において、ALC板に下塗り層及び上塗り層を塗装するものである。図1乃至図5は、本実施形態に係るALC板、即ち多孔質板の塗装方法を示す図であり、ALC板の断面を示している。
【0023】
図1に示すように、塗装の対象となるALC板10を準備する。そして、ヒーター100を用いて、ALC板10に対して、所定時間にわたって予備加熱を行う。この予備加熱により、ALC板10が所定の温度に加熱される。なお、ヒーター100は、電気的に発熱するものであることが好ましいが、ALC板10を加熱するものであれば、その他の熱源であってもよい。また、図1では、上記予備加熱は、ALC板10の表面側から行われているが、当該裏面側、もしくは両面から行われてもよい。
【0024】
次に、図2に示すように、予備加熱を終了した後、当該予備加熱の余熱を有したALC板10に、第1の下塗り層11を塗装する。第1の下塗り層11の膜厚は、好ましくは約70μm〜300μmである。第1の下塗り層11の塗装は、特に限定されないが、ロールコーターによる塗装やスプレー塗装又はシャワー/エアカット塗装により行われることが好ましい。
【0025】
また、第1の下塗り層11を構成する塗料は、顔料及び樹脂を含む一般的な下塗り層用の塗料である。第1の下塗り層11を構成する塗料は、例えば、炭酸カルシウムから成る顔料と、アクリルエマルジョン系の樹脂とを含むものであってもよい。
【0026】
ここで、第1の下塗り層11を構成する塗料に含まれる顔料の含有率は、後述する上塗り層13を構成する塗料に含まれる顔料の含有率よりも高い。また、第1の下塗り層11を構成する塗料に含まれる樹脂の含有率は、後述する上塗り層13を構成する塗料に含まれる樹脂の含有率よりも低い。好ましくは、第1の下塗り層11を構成する塗料に含まれる顔料の含有率は約70%(重量比)であり、樹脂の含有率は約30%(重量比)である。この第1の下塗り21は、ALC板10の表面に対して防水性を確保するための塗装膜となる。
【0027】
次に、図3に示すように、遠赤外線ヒーター101を用いて、第1の下塗り層11に対して、所定時間にわたって第1の遠赤外線照射を行う。このときの照射時間は、好ましくは約3分〜5分である。
【0028】
次に、図4に示すように、第1の遠赤外線照射を終了した後、当該第1の遠赤外線照射の余熱を有した第1の下塗り層11上に、第2の下塗り層12を塗装する。第2の下塗り層12の膜厚は、好ましくは約30μm〜100μmである。第2の下塗り層12の塗装は、第1の下塗り層11の塗装と同様に、特に限定されないが、ロールコーターによる塗装やスプレー塗装又はシャワー/エアカット塗装により行われることが好ましい。また、第2の下塗り層12を構成する塗料は、第1の下塗り層11の塗料と同様の顔料及び樹脂を、同様の含有率で含むものである。この第2の下塗り22は、第1の下塗り層11と同様に、ALC板10の表面に対して防水性を確保するための塗装膜となる。
【0029】
さらに、第2の下塗り層12を加熱することなく、当該第2の下塗り層12上に上塗り層13を塗装する。上塗り層13の膜厚は約50μm〜150μmであり、好ましくは約50μmである。上塗り層13の塗装は、第1及び第2の下塗り層11,12の塗装と同様に特に限定されないが、ロールコーターによる塗装やスプレー塗装により行われることが好ましい。
【0030】
また、上塗り層13を構成する塗料は、顔料及び樹脂を含む一般的な上塗り層用の塗料である。上塗り層13を構成する塗料は、例えば、酸化チタンから成る顔料と、アクリルエマルジョン系の樹脂とを含むものであってもよい。
【0031】
ここで、上塗り層13を構成する塗料に含まれる樹脂の含有率は、第1及び第2の下塗り層11,22を構成する塗料に含まれる樹脂の含有率よりも高い。また、上塗り層13を構成する塗料に含まれる顔料の含有率は、第1及び第2の下塗り層11,12を構成する塗料に含まれる顔料の含有率よりも低い。好ましくは、上塗り層13を構成する塗料に含まれる顔料の含有率は約40%(重量比)であり、樹脂の含有率は約60%(重量比)である。この上塗り層13は、ALC板10の表面に対して耐候性(水分、光、酸素に対する耐性)を確保するための塗装膜となる。
【0032】
次に、図5に示すように、遠赤外線ヒーター101を用いて、上塗り層13に対して、所定時間にわたって第2の遠赤外線照射を行う。また、第2の遠赤外線照射は、約70℃〜約100℃の室内もしくは乾燥炉室内で行われることが好ましい。このときの照射温度は、好ましくは、約200℃〜250℃である。ここで、第1及び第2の下塗り層11,12、及び上塗り層13は、ALC板10の表面と上塗り層13の表面の2つの主面から極力全体的に加熱される。
【0033】
即ち、第1の遠赤外線照射の際にALC板10に蓄積された余熱と、第1の遠赤外線照射の際に第1の下塗り層11に蓄積された余熱とが、ALC板10の表面からその上層に向うようにして、第1及び第2の下塗り層11,12、さらには上塗り層13に伝わる。それと同時に、第2の遠赤外線照射による熱が、上塗り層13の表面から、上塗り層13、さらには第1及び第2の下塗り層11,12に伝わる。また、第2の遠赤外線照射によって、上塗り層13のみならず第1及び第2の下塗り層11,12の塗料の分子活動が活発化することにより、それらの層が全体的に加熱される。
【0034】
このような熱の伝わり方によって、第1及び第2の下塗り層11,12、及び上塗り層13が、長時間にわたって、極力偏りなく、即ち全体的に加熱される。従って、上塗り層13のみが急激に乾燥されることを極力抑止することができる。なお、上記約200℃〜250℃の照射温度は、発明者が行った実験によれば、そのような全体的な加熱を実現する上で好適な温度である。
【0035】
ここで、上塗り層13の表面上には、上記加熱により第1及び第2の下塗り層11,12、及び上塗り層13から蒸発した水分から成る水蒸気層14が形成される。一般に、第1及び第2の下塗り層11,12、及び上塗り層13の乾燥速度を速めるためには、当該水蒸気層14を、送風機200等を用いた所定の風速の送風により除去するが、本実施形態では、当該水蒸気層14を除去しない。即ち、水蒸気層14を上塗り層13上に残存させるように、当該送風機から送風される風の風速を制御させながら、第2の遠赤外線照射を行う。このとき、上記風速は、約0.5m/s以下になるように制御されることが好ましい。このようにして水蒸気層14を残存させることで、上塗り層13の急激な乾燥が極力抑止される。
【0036】
上述したような加熱により、第1及び第2の下塗り層11,12が乾燥する際の収縮応力と、上塗り層13が乾燥する際の収縮応力との差異を、極力小さく抑えることが可能となる。従って、乾燥された上塗り層13に、従来例にみられたような亀裂が生じることを極力抑止することができる。即ち、第1及び第2の下塗り層11,12及び上塗り層13の塗装工程の信頼性を向上させることができる。結果として、従来例に比してALC板10の耐候性を向上させることができる。
【0037】
また、そのような上塗り層13の塗装工程を、工場内において、従来例にみられたような大規模な乾燥装置を用いずに行うことが可能となり、乾燥工程に係る設備投資や設置スペースを極力小さく抑えることが可能となる。
【0038】
なお、上述した実施形態では、第1の遠赤外線照射を終了した後、当該第1の遠赤外線照射の余熱を有した第1の下塗り層11上に、第2の下塗り層12を塗装したが、本発明はこれに限定されない。即ち、第1の遠赤外線を終了した後、当該第1の遠赤外線照射の余熱を有した第1の下塗り層11上に、第2の下塗り層12を塗装せずに、上塗り層13を塗装してもよい。
【0039】
また、上述した実施形態では、第2の下塗り層12上に上塗り層13を塗装したが、本発明はこれに限定されない。即ち、図示しないが、上塗り層13を塗装する前に、第2の下塗り層12上に、さらに積層するようにして、第1及び第2の下塗り層11,12と同様の下塗り層を塗装してもよい。この場合、先に塗装された下塗り層に対して、再び第1の遠赤外線照射を行った後、当該第1の遠赤外線照射の余熱を有した当該下塗り層上に、さらに、次の下塗り層を塗装する。さらに下塗り層を塗装する場合、これらの第1の遠赤外線照射及び下塗り層の塗装を所望の回数繰り返す。そして、最後の下塗り層上に、当該下塗り層を加熱することなく、上塗り層13を塗装する。上塗り層13を塗装した後は、当該上塗り層13に対して、第2の遠赤外線照射を行う。
【0040】
もしくは、第1の下塗り層11上に、当該第1の下塗り層11を加熱することなく、第2の下塗り層12を塗装した後、第1及び第2の下塗り層11,12と同様の下塗り層を塗装してもよい。この場合、先に塗装された第2の下塗り層12に対して、第1の遠赤外線照射を行う。そして、最後の下塗り層上に、当該下塗り層を加熱することなく、上塗り層13を塗装する。上塗り層13を塗装した後は、当該上塗り層13に対して、第2の遠赤外線照射を行う。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態に係る多孔質板の塗装方法を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る多孔質板の塗装方法を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る多孔質板の塗装方法を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る多孔質板の塗装方法を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る多孔質板の塗装方法を示す断面図である。
【図6】従来例に係る多孔質板の塗装方法を示す断面図である。
【図7】従来例に係る多孔質板の塗装方法を示す断面図である。
【図8】従来例に係る多孔質板の塗装方法を示す断面図である。
【図9】多孔質板の塗装方法を示す断面図である。
【図10】多孔質板の塗装方法を示す断面図である。
【図11】多孔質板の塗装方法を示す断面図である。
【符号の説明】
【0042】
10,20 ALC板 11,21 第1の下塗り層
12,22 第2の下塗り層 13,23 上塗り層
14 水蒸気層 23C 亀裂
100,110 ヒーター 101,120 遠赤外線ヒーター
200,220 送風機
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質板の塗装方法に関し、さらに言えば、表面に下塗り層及び上塗り層を塗装する工程を有する多孔質板の塗装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の外壁としては、土等を塗った土壁等のように、建築現場で施工する外壁が多かったが、最近では、外壁材を工場等で生産し、この外壁材を建物の外壁部分に取り付けた外壁が、速く、均質に、しかも、見栄え良く施工できる等の理由により、広く普及してきている。
【0003】
工場生産される外壁材としては、多孔質板であるALC(Autoclaved Light−weight Concrete;軽量気泡コンクリート)、プレキャストコンクリート、硬質木片セメント等が用いられることが多い。特に、ALCから成る外壁材(以下、ALC板と略称する)は、軽量であるために施工し易く、多くの外壁材に用いられている。
【0004】
上述したようなALC板の表面には、防水性を確保するための下塗り層が塗装される。この下塗り層の塗装は工場内において行われる場合がある。次に、そのようなALC板の下塗り層の塗装方法について、図面を参照して説明する。図6は、従来例に係るALC板、即ち多孔質板の塗装方法を示す図であり、多孔質板の断面を示している。
【0005】
図6に示すように、ヒーター110を用いてALC板20を加熱する。次に、図7に示すように、ヒーター110による加熱の終了後、その余熱を有したALC板20上に、第1の下塗り層21を塗装する。次に、所定のセッティング時間が経過した後、図8に示すように、第1の下塗り層21上に第2の下塗り層22を塗装する。その後、不図示の乾燥装置により、第1及び第2の下塗り層を乾燥させる。
【0006】
こうして第1及び第2の下塗り層21が塗装されたALC板20は、工場外へ搬送もしくは出荷され、建築現場等において用いられる。即ち、当該建築現場等において、耐候性(水分、光、酸素に対する耐性)を確保するための不図示の上塗り層や、不図示のトップコートの塗装が行われる。もしくは、図示しないが、上述した下塗り層、上塗り層、及びトップコートのすべての塗装工程が、工場内、もしくは工場外の建築現場等において行われる場合もある。
【0007】
なお、関連する技術文献としては、例えば以下の特許文献1が挙げられる。
【特許文献1】特開平08−027947号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
工場外の建築現場等おいて、第1及び第2の下塗り層21,22が塗装されたALC板20に対して、さらに上塗り層やトップコートの塗装を行う場合、当該建築現場等における作業工程の増加や作業時間の増長が避けられない。そのような建築現場等における作業工程の増加や作業時間の増長を回避するためには、第1及び第2の下塗り層21,22に加えて、上塗り層やトップコートの塗装工程を、工場内において完了させる必要がある。
【0009】
その場合、上記各層の塗装工程が完了する毎に、大規模な乾燥装置を用いて、ALC板に塗装された各層をそれぞれ乾燥させるが、このような大規模な乾燥装置は、その設備投資の増大のみならず、工場内における当該乾燥装置の設置スペースの増大による作業効率の低下を招く一因となる。
【0010】
上記大規模な乾燥装置を用いる必要のない塗装方法の一つとして、先に塗装された層の乾燥を待たずに、次の層を塗装する塗装方法、即ち、いわゆるウェット・オン・ウェット法を用いることが考えられる。次に、第1及び第2の下塗り層21,22の乾燥を待たずに上塗り層を塗装する塗装方法について、図面を参照して説明する。図9乃至図11は、ALC板20、即ち多孔質板の塗装方法を示す図である。
【0011】
図9に示すように、ALC板20上に、従来例に係る多孔質板の塗装方法と同様にして、第1及び第2の下塗り層21,22が塗装されている。ただし、これら第1及び第2の下塗り層21,22は乾燥が完了していない状態である。そして、第2の下塗り層22上に、上塗り層23を塗装する。その後、図10に示すように、遠赤外線ヒーター120を用いて、上塗り層23の表面に対して遠赤外線照射を行い、当該上塗り層23を加熱する。このときの遠赤外線ヒーター120の表面温度は、例えば約250℃〜400℃である。
【0012】
ここで、上塗り層23の表面上には、上記加熱により上塗り層23や第1及び第2の下塗り層21,22から生じる不図示の水蒸気層が形成されるが、この水蒸気層は送風機220による送風により除去される。この水蒸気層の除去により、第1及び第2の下塗り層21,22及び上塗り層23の乾燥が速められる。
【0013】
しかしながら、上塗り層13の表面に対して上記遠赤外線照射を行う過程では、上塗り層23の表面側のみから加熱が行われるため、当該上塗り層23の表面及びその近傍のみが集中的に乾燥される。一方、上塗り層23より下層の第1及び第2の下塗り層21,22は、上記遠赤外線照射によって塗料の分子活動が活発化することにより加熱されるものの、上塗り層23に比して加熱が進行しにくい。
【0014】
そのため、上塗り層23が乾燥する際の収縮応力と、第1及び第2の下塗り層21,22が乾燥する際の収縮応力に差異が生じる。また、多孔質板であるALC板20は、その表面に微細な凹凸を有している。即ち、ALC板20の表面の凹部と上塗り層23の表面までの距離Aよりも、当該表面の凸部と上塗り層23の表面までの距離Bの方が短い。
【0015】
従って、上記収縮応力の差異と、ALC板の表面から上塗り層23の表面までの距離A,Bの差異により、ALC板20の表面の凸部上の上塗り層23に、頻繁に亀裂23Cが生じていた。この亀裂23Cにより、本来ならば上塗り層23により確保されるはずのALC板20の耐候性が劣化していた。
【0016】
そこで、本発明の多孔質板の塗装方法は、下塗り層及び上塗り層の塗装工程の信頼性の向上を図る。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の多孔質板の塗装方法は、上記課題に鑑みて為されたものであり、多孔質板に対して予備加熱を行う工程と、予備加熱の終了後、当該予備加熱の余熱を有した前記多孔質板の表面に第1の下塗り層を塗装する工程と、第1の下塗り層の表面に対して第1の遠赤外線照射を行う工程と、第1の遠赤外線照射の終了後、当該第1の遠赤外線照射の余熱を有した前記第1の下塗り層上に積層するようにして、第2の下塗り層を塗装する工程と、第2の下塗り層を加熱することなく、当該第2の下塗り層上に積層するようにして、上塗り層を塗装する工程と、上塗り層の表面に対して第2の遠赤外線照射を行い、当該第2の遠赤外線照射と、第1の遠赤外線照射の余熱とにより、第1の下塗り層及び上塗り層を全体的に加熱する工程と、を含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の多孔質板の塗装方法は、上記工程において、第2の遠赤外線照射は、送風機による送風を伴い、当該第2の遠赤外線照射の際に上塗り層上に生じる水蒸気層を残存させるように、当該送風機から送風される風の風速を制御しながら行うことを特徴とする。また、第2の遠赤外線照射は、70℃以上100℃以下の温度の乾燥炉室内で行われ、送風機から送風される風の風速は0.5m/s以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、多孔質板であるALC板に下塗り層、及び上塗り層を塗装する際に、遠赤外線照射により、それらの層を、極力偏りなく全体的に加熱して乾燥させることができる。
【0020】
そのため、従来例にみられたように上塗り層に亀裂が生じることを極力抑止することができる。即ち、下塗り層及び上塗り層の塗装工程の信頼性を向上させることができる。結果として、従来例に比してALC板の耐候性を向上させることができる。
【0021】
また、そのような上塗り層の塗装工程を、工場内において、従来例にみられたような大規模な乾燥装置を用いずに行うことが可能となり、乾燥工程に係る設備投資や設置スペースを極力小さく抑えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本実施形態に係る多孔質板の塗装方法について図面を参照して説明する。本実施形態に係る多孔質板の塗装方法では、塗装の対象となる多孔質板は、ALC板であるものとする。また、本実施形態に係る多孔質板の塗装方法は、工場内において、ALC板に下塗り層及び上塗り層を塗装するものである。図1乃至図5は、本実施形態に係るALC板、即ち多孔質板の塗装方法を示す図であり、ALC板の断面を示している。
【0023】
図1に示すように、塗装の対象となるALC板10を準備する。そして、ヒーター100を用いて、ALC板10に対して、所定時間にわたって予備加熱を行う。この予備加熱により、ALC板10が所定の温度に加熱される。なお、ヒーター100は、電気的に発熱するものであることが好ましいが、ALC板10を加熱するものであれば、その他の熱源であってもよい。また、図1では、上記予備加熱は、ALC板10の表面側から行われているが、当該裏面側、もしくは両面から行われてもよい。
【0024】
次に、図2に示すように、予備加熱を終了した後、当該予備加熱の余熱を有したALC板10に、第1の下塗り層11を塗装する。第1の下塗り層11の膜厚は、好ましくは約70μm〜300μmである。第1の下塗り層11の塗装は、特に限定されないが、ロールコーターによる塗装やスプレー塗装又はシャワー/エアカット塗装により行われることが好ましい。
【0025】
また、第1の下塗り層11を構成する塗料は、顔料及び樹脂を含む一般的な下塗り層用の塗料である。第1の下塗り層11を構成する塗料は、例えば、炭酸カルシウムから成る顔料と、アクリルエマルジョン系の樹脂とを含むものであってもよい。
【0026】
ここで、第1の下塗り層11を構成する塗料に含まれる顔料の含有率は、後述する上塗り層13を構成する塗料に含まれる顔料の含有率よりも高い。また、第1の下塗り層11を構成する塗料に含まれる樹脂の含有率は、後述する上塗り層13を構成する塗料に含まれる樹脂の含有率よりも低い。好ましくは、第1の下塗り層11を構成する塗料に含まれる顔料の含有率は約70%(重量比)であり、樹脂の含有率は約30%(重量比)である。この第1の下塗り21は、ALC板10の表面に対して防水性を確保するための塗装膜となる。
【0027】
次に、図3に示すように、遠赤外線ヒーター101を用いて、第1の下塗り層11に対して、所定時間にわたって第1の遠赤外線照射を行う。このときの照射時間は、好ましくは約3分〜5分である。
【0028】
次に、図4に示すように、第1の遠赤外線照射を終了した後、当該第1の遠赤外線照射の余熱を有した第1の下塗り層11上に、第2の下塗り層12を塗装する。第2の下塗り層12の膜厚は、好ましくは約30μm〜100μmである。第2の下塗り層12の塗装は、第1の下塗り層11の塗装と同様に、特に限定されないが、ロールコーターによる塗装やスプレー塗装又はシャワー/エアカット塗装により行われることが好ましい。また、第2の下塗り層12を構成する塗料は、第1の下塗り層11の塗料と同様の顔料及び樹脂を、同様の含有率で含むものである。この第2の下塗り22は、第1の下塗り層11と同様に、ALC板10の表面に対して防水性を確保するための塗装膜となる。
【0029】
さらに、第2の下塗り層12を加熱することなく、当該第2の下塗り層12上に上塗り層13を塗装する。上塗り層13の膜厚は約50μm〜150μmであり、好ましくは約50μmである。上塗り層13の塗装は、第1及び第2の下塗り層11,12の塗装と同様に特に限定されないが、ロールコーターによる塗装やスプレー塗装により行われることが好ましい。
【0030】
また、上塗り層13を構成する塗料は、顔料及び樹脂を含む一般的な上塗り層用の塗料である。上塗り層13を構成する塗料は、例えば、酸化チタンから成る顔料と、アクリルエマルジョン系の樹脂とを含むものであってもよい。
【0031】
ここで、上塗り層13を構成する塗料に含まれる樹脂の含有率は、第1及び第2の下塗り層11,22を構成する塗料に含まれる樹脂の含有率よりも高い。また、上塗り層13を構成する塗料に含まれる顔料の含有率は、第1及び第2の下塗り層11,12を構成する塗料に含まれる顔料の含有率よりも低い。好ましくは、上塗り層13を構成する塗料に含まれる顔料の含有率は約40%(重量比)であり、樹脂の含有率は約60%(重量比)である。この上塗り層13は、ALC板10の表面に対して耐候性(水分、光、酸素に対する耐性)を確保するための塗装膜となる。
【0032】
次に、図5に示すように、遠赤外線ヒーター101を用いて、上塗り層13に対して、所定時間にわたって第2の遠赤外線照射を行う。また、第2の遠赤外線照射は、約70℃〜約100℃の室内もしくは乾燥炉室内で行われることが好ましい。このときの照射温度は、好ましくは、約200℃〜250℃である。ここで、第1及び第2の下塗り層11,12、及び上塗り層13は、ALC板10の表面と上塗り層13の表面の2つの主面から極力全体的に加熱される。
【0033】
即ち、第1の遠赤外線照射の際にALC板10に蓄積された余熱と、第1の遠赤外線照射の際に第1の下塗り層11に蓄積された余熱とが、ALC板10の表面からその上層に向うようにして、第1及び第2の下塗り層11,12、さらには上塗り層13に伝わる。それと同時に、第2の遠赤外線照射による熱が、上塗り層13の表面から、上塗り層13、さらには第1及び第2の下塗り層11,12に伝わる。また、第2の遠赤外線照射によって、上塗り層13のみならず第1及び第2の下塗り層11,12の塗料の分子活動が活発化することにより、それらの層が全体的に加熱される。
【0034】
このような熱の伝わり方によって、第1及び第2の下塗り層11,12、及び上塗り層13が、長時間にわたって、極力偏りなく、即ち全体的に加熱される。従って、上塗り層13のみが急激に乾燥されることを極力抑止することができる。なお、上記約200℃〜250℃の照射温度は、発明者が行った実験によれば、そのような全体的な加熱を実現する上で好適な温度である。
【0035】
ここで、上塗り層13の表面上には、上記加熱により第1及び第2の下塗り層11,12、及び上塗り層13から蒸発した水分から成る水蒸気層14が形成される。一般に、第1及び第2の下塗り層11,12、及び上塗り層13の乾燥速度を速めるためには、当該水蒸気層14を、送風機200等を用いた所定の風速の送風により除去するが、本実施形態では、当該水蒸気層14を除去しない。即ち、水蒸気層14を上塗り層13上に残存させるように、当該送風機から送風される風の風速を制御させながら、第2の遠赤外線照射を行う。このとき、上記風速は、約0.5m/s以下になるように制御されることが好ましい。このようにして水蒸気層14を残存させることで、上塗り層13の急激な乾燥が極力抑止される。
【0036】
上述したような加熱により、第1及び第2の下塗り層11,12が乾燥する際の収縮応力と、上塗り層13が乾燥する際の収縮応力との差異を、極力小さく抑えることが可能となる。従って、乾燥された上塗り層13に、従来例にみられたような亀裂が生じることを極力抑止することができる。即ち、第1及び第2の下塗り層11,12及び上塗り層13の塗装工程の信頼性を向上させることができる。結果として、従来例に比してALC板10の耐候性を向上させることができる。
【0037】
また、そのような上塗り層13の塗装工程を、工場内において、従来例にみられたような大規模な乾燥装置を用いずに行うことが可能となり、乾燥工程に係る設備投資や設置スペースを極力小さく抑えることが可能となる。
【0038】
なお、上述した実施形態では、第1の遠赤外線照射を終了した後、当該第1の遠赤外線照射の余熱を有した第1の下塗り層11上に、第2の下塗り層12を塗装したが、本発明はこれに限定されない。即ち、第1の遠赤外線を終了した後、当該第1の遠赤外線照射の余熱を有した第1の下塗り層11上に、第2の下塗り層12を塗装せずに、上塗り層13を塗装してもよい。
【0039】
また、上述した実施形態では、第2の下塗り層12上に上塗り層13を塗装したが、本発明はこれに限定されない。即ち、図示しないが、上塗り層13を塗装する前に、第2の下塗り層12上に、さらに積層するようにして、第1及び第2の下塗り層11,12と同様の下塗り層を塗装してもよい。この場合、先に塗装された下塗り層に対して、再び第1の遠赤外線照射を行った後、当該第1の遠赤外線照射の余熱を有した当該下塗り層上に、さらに、次の下塗り層を塗装する。さらに下塗り層を塗装する場合、これらの第1の遠赤外線照射及び下塗り層の塗装を所望の回数繰り返す。そして、最後の下塗り層上に、当該下塗り層を加熱することなく、上塗り層13を塗装する。上塗り層13を塗装した後は、当該上塗り層13に対して、第2の遠赤外線照射を行う。
【0040】
もしくは、第1の下塗り層11上に、当該第1の下塗り層11を加熱することなく、第2の下塗り層12を塗装した後、第1及び第2の下塗り層11,12と同様の下塗り層を塗装してもよい。この場合、先に塗装された第2の下塗り層12に対して、第1の遠赤外線照射を行う。そして、最後の下塗り層上に、当該下塗り層を加熱することなく、上塗り層13を塗装する。上塗り層13を塗装した後は、当該上塗り層13に対して、第2の遠赤外線照射を行う。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態に係る多孔質板の塗装方法を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る多孔質板の塗装方法を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る多孔質板の塗装方法を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る多孔質板の塗装方法を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る多孔質板の塗装方法を示す断面図である。
【図6】従来例に係る多孔質板の塗装方法を示す断面図である。
【図7】従来例に係る多孔質板の塗装方法を示す断面図である。
【図8】従来例に係る多孔質板の塗装方法を示す断面図である。
【図9】多孔質板の塗装方法を示す断面図である。
【図10】多孔質板の塗装方法を示す断面図である。
【図11】多孔質板の塗装方法を示す断面図である。
【符号の説明】
【0042】
10,20 ALC板 11,21 第1の下塗り層
12,22 第2の下塗り層 13,23 上塗り層
14 水蒸気層 23C 亀裂
100,110 ヒーター 101,120 遠赤外線ヒーター
200,220 送風機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質板に対して予備加熱を行う工程と、
前記予備加熱の終了後、当該予備加熱の余熱を有した前記多孔質板の表面に第1の下塗り層を塗装する工程と、
前記第1の下塗り層の表面に対して第1の遠赤外線照射を行う工程と、
前記第1の遠赤外線照射の終了後、当該第1の遠赤外線照射の余熱を有した前記第1の下塗り層上に積層するようにして、第2の下塗り層を塗装する工程と、
前記第2の下塗り層を加熱することなく、当該第2の下塗り層上に積層するようにして、上塗り層を塗装する工程と、
前記上塗り層の表面に対して第2の遠赤外線照射を行い、当該第2の遠赤外線照射と、前記第1の遠赤外線照射の余熱とにより、前記第1の下塗り層及び前記上塗り層を全体的に加熱する工程と、を含むことを特徴とする多孔質板の塗装方法。
【請求項2】
多孔質板に対して予備加熱を行う工程と、
前記予備加熱の終了後、当該予備加熱の余熱を有した前記多孔質板の表面に第1の下塗り層を塗装する工程と、
前記第1の下塗り層の表面に対して第1の遠赤外線照射を行う工程と、
前記第1の遠赤外線照射の終了後、当該第1の遠赤外線照射の余熱を有した前記第1の下塗り層上に積層するようにして、第2の下塗り層を塗装する工程と、
前記第2の下塗り層の表面に対して、第3の遠赤外線照射を行う工程と、
前記第3の遠赤外線照射の終了後、当該第3の遠赤外線照射の余熱を有した前記第2の下塗り層上に積層するようにして、第3の下塗り層を塗装する工程と、
前記第3の下塗り層を加熱することなく、当該第3の下塗り層上に積層するようにして、上塗り層を塗装する工程と、
前記上塗り層の表面に対して第2の遠赤外線照射を行い、当該第2の遠赤外線照射と、前記第1の遠赤外線照射の余熱とにより、前記第1の下塗り層及び前記上塗り層を全体的に加熱する工程と、を含むことを特徴とする多孔質板の塗装方法。
【請求項3】
多孔質板に対して予備加熱を行う工程と、
前記予備加熱の終了後、当該予備加熱の余熱を有した前記多孔質板の表面に第1の下塗り層を塗装する工程と、
前記第1の下塗り層を加熱することなく、当該第1の下塗り層上に積層するようにして、第2の下塗り層を塗装する工程と、
前記第2の下塗り層の表面に対して第1の遠赤外線照射を行う工程と、
前記第1の遠赤外線照射の終了後、当該第1の遠赤外線照射の余熱を有した前記第2の下塗り層上に積層するようにして、第3の下塗り層を塗装する工程と、
前記第3の下塗り層を加熱することなく、当該第3の下塗り層上に積層するようにして、上塗り層を塗装する工程と、
前記上塗り層の表面に対して第2の遠赤外線照射を行い、当該第2の遠赤外線照射と、前記第1の遠赤外線照射の余熱とにより、前記第1の下塗り層及び前記上塗り層を全体的に加熱する工程と、を含むことを特徴とする多孔質板の塗装方法。
【請求項4】
前記第2の遠赤外線照射は、送風機による送風を伴い、当該第2の遠赤外線照射の際に前記上塗り層上に生じる水蒸気層を残存させるように、当該送風機から送風される風の風速を制御しながら行うことを特徴とする請求項1、2、3のうちのいずれか1項に記載の多孔質板の塗装方法。
【請求項5】
前記第2の遠赤外線照射は、70℃以上100℃以下の温度の乾燥炉室内で行われ、
前記送風機から送風される風の風速は0.5m/s以下であることを特徴とする請求項4に記載の多孔質板の塗装方法。
【請求項1】
多孔質板に対して予備加熱を行う工程と、
前記予備加熱の終了後、当該予備加熱の余熱を有した前記多孔質板の表面に第1の下塗り層を塗装する工程と、
前記第1の下塗り層の表面に対して第1の遠赤外線照射を行う工程と、
前記第1の遠赤外線照射の終了後、当該第1の遠赤外線照射の余熱を有した前記第1の下塗り層上に積層するようにして、第2の下塗り層を塗装する工程と、
前記第2の下塗り層を加熱することなく、当該第2の下塗り層上に積層するようにして、上塗り層を塗装する工程と、
前記上塗り層の表面に対して第2の遠赤外線照射を行い、当該第2の遠赤外線照射と、前記第1の遠赤外線照射の余熱とにより、前記第1の下塗り層及び前記上塗り層を全体的に加熱する工程と、を含むことを特徴とする多孔質板の塗装方法。
【請求項2】
多孔質板に対して予備加熱を行う工程と、
前記予備加熱の終了後、当該予備加熱の余熱を有した前記多孔質板の表面に第1の下塗り層を塗装する工程と、
前記第1の下塗り層の表面に対して第1の遠赤外線照射を行う工程と、
前記第1の遠赤外線照射の終了後、当該第1の遠赤外線照射の余熱を有した前記第1の下塗り層上に積層するようにして、第2の下塗り層を塗装する工程と、
前記第2の下塗り層の表面に対して、第3の遠赤外線照射を行う工程と、
前記第3の遠赤外線照射の終了後、当該第3の遠赤外線照射の余熱を有した前記第2の下塗り層上に積層するようにして、第3の下塗り層を塗装する工程と、
前記第3の下塗り層を加熱することなく、当該第3の下塗り層上に積層するようにして、上塗り層を塗装する工程と、
前記上塗り層の表面に対して第2の遠赤外線照射を行い、当該第2の遠赤外線照射と、前記第1の遠赤外線照射の余熱とにより、前記第1の下塗り層及び前記上塗り層を全体的に加熱する工程と、を含むことを特徴とする多孔質板の塗装方法。
【請求項3】
多孔質板に対して予備加熱を行う工程と、
前記予備加熱の終了後、当該予備加熱の余熱を有した前記多孔質板の表面に第1の下塗り層を塗装する工程と、
前記第1の下塗り層を加熱することなく、当該第1の下塗り層上に積層するようにして、第2の下塗り層を塗装する工程と、
前記第2の下塗り層の表面に対して第1の遠赤外線照射を行う工程と、
前記第1の遠赤外線照射の終了後、当該第1の遠赤外線照射の余熱を有した前記第2の下塗り層上に積層するようにして、第3の下塗り層を塗装する工程と、
前記第3の下塗り層を加熱することなく、当該第3の下塗り層上に積層するようにして、上塗り層を塗装する工程と、
前記上塗り層の表面に対して第2の遠赤外線照射を行い、当該第2の遠赤外線照射と、前記第1の遠赤外線照射の余熱とにより、前記第1の下塗り層及び前記上塗り層を全体的に加熱する工程と、を含むことを特徴とする多孔質板の塗装方法。
【請求項4】
前記第2の遠赤外線照射は、送風機による送風を伴い、当該第2の遠赤外線照射の際に前記上塗り層上に生じる水蒸気層を残存させるように、当該送風機から送風される風の風速を制御しながら行うことを特徴とする請求項1、2、3のうちのいずれか1項に記載の多孔質板の塗装方法。
【請求項5】
前記第2の遠赤外線照射は、70℃以上100℃以下の温度の乾燥炉室内で行われ、
前記送風機から送風される風の風速は0.5m/s以下であることを特徴とする請求項4に記載の多孔質板の塗装方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−159089(P2006−159089A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−354125(P2004−354125)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【出願人】(591077704)東亜工業株式会社 (34)
【出願人】(000230054)日本ペイント株式会社 (626)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【出願人】(591077704)東亜工業株式会社 (34)
【出願人】(000230054)日本ペイント株式会社 (626)
【Fターム(参考)】
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