説明

多孔質炭素シートおよびその製造方法

【課題】燃料電池のガス拡散体の材料として用いられたとき、短絡や反応ガスのクロスリークが生じにくい、結着が外れた炭素短繊維が十分に除去された多孔質炭素シートを提供すること。
【解決手段】分散している炭素短繊維2が樹脂炭化物3で結着されてなる多孔質炭素シート1の、少なくとも片側表面に、気体を吹き付ける処理を行うことを特徴とする多孔質炭素シートの製造方法である。また、分散している炭素短繊維が樹脂炭化物で結着されてなる多孔質炭素シートであって、粘着力が0.22N/cmの粘着テープを、該多孔質炭素シートの片側表面に貼り付け、24g/cmの面圧を10秒間かけた後に剥がしたとき、該粘着テープに付着した長さ1mm以上の炭素短繊維の数が0.1〜5.0本/cmであることを特徴とする多孔質炭素シートである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質炭素シートおよびその製造方法に関するものである。本発明の多孔質炭素シートは、固体高分子型燃料電池のガス拡散体の材料として好ましく用いることができる。
【背景技術】
【0002】
固体高分子型燃料電池は、水素と酸素を供給することにより発電する。燃料電池において発電反応が起こる膜−電極接合体を構成するガス拡散体の材料としては、炭素短繊維を樹脂炭化物で結着したカーボンペーパーが一般的に用いられる。ここで、カーボンペーパーの表面で樹脂炭化物による結着が外れた炭素短繊維は、固体高分子電解質膜へ突き刺さり、短絡や反応ガスのクロスリークの原因となりうる。
【0003】
このような問題に対して、特許文献1では、炭素短繊維を炭素により結着した炭素シートの少なくとも一方の表面を、吸引する方法、及び/又は刷毛で刷く方法が開示されている。しかし、吸引のみにより、カーボンペーパーから結着が外れた炭素短繊維を除去するためには、高い吸引力が必要となるが、このような吸引を行うと、カーボンペーパー自体を吸い込み、破壊する恐れが高くなる。また、刷毛により刷く方法では、炭素繊維よりも柔らかい繊維からなる刷毛では、結着が外れた炭素短繊維を除去する効果が不十分であり、炭素繊維よりも硬い繊維からなる刷毛では、カーボンペーパーの表面を破壊し、かえって短絡や反応ガスのクロスリークの原因となりうる。したがって、従来技術では、結着が外れた炭素短繊維を十分に除去したカーボンペーパーを提供することができなかった。
【特許文献1】特開2008−34295号公報(第2頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来の技術における上述した問題点に鑑みてなされたものであり、多孔質炭素シートの表面において、樹脂炭化物による結着が外れた炭素短繊維が十分に除去された多孔質炭素シートを提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明の多孔質炭素シートは、次の構成を有する。すなわち、分散している炭素短繊維が樹脂炭化物で結着されてなる多孔質炭素シートであって、粘着力が0.22N/cmの粘着テープを、該多孔質炭素シートの片側表面に貼り付け、24g/cmの面圧を10秒間かけた後に剥がしたとき、該粘着テープに付着した長さ1mm以上の炭素短繊維の数が0.1〜5.0本/cmであることを特徴とする多孔質炭素シートである。
【0006】
また、本発明の多孔質炭素シートの製造方法は、分散している炭素短繊維が樹脂炭化物で結着されてなる多孔質炭素シートの、少なくとも片側表面に、気体を吹き付ける処理を行うことを特徴とする多孔質炭素シートの製造方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の多孔質炭素シートは、該シートの表面において樹脂炭化物による結着の外れた炭素短繊維が十分に除去されている。したがって、本発明の多孔質炭素シートをガス拡散体の材料として用いた燃料電池は、短絡や反応ガスのクロスリークが生じにくく、耐久性が非常に高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る多孔質炭素シート1の表面を示す概略図である。
【0009】
図1において、多孔質炭素シート1は、線状に見える炭素短繊維2が分散しており、炭素短繊維2が樹脂炭化物3で結着されている。
【0010】
図2において、従来技術の多孔質炭素シート4は、本発明に係る多孔質炭素シート1と同様に、線状に見える炭素短繊維2が分散しており、炭素短繊維2が樹脂炭化物3で結着されているが、樹脂炭化物3による結着が外れた炭素短繊維5が多く含まれている。
【0011】
図3に、本発明の一形態に係る多孔質炭素シート1が、ガス拡散体6として用いられている、固体高分子型燃料電池の膜−電極接合体7の部分断面の概念図を示す。図3において、ガス拡散体6は、本発明に係る多孔質炭素シート1を基材として、少なくともその片側の表面に、カーボンブラックおよびフッ素樹脂を含むガス拡散層8を有する。また、本発明に係る膜−電極接合体7は、固体高分子電解質膜9の両表面に触媒層10、10を有し、さらに該両触媒層10、10に接してそれぞれガス拡散体6を有する。
【0012】
本発明に係る多孔質炭素シートは、分散している炭素短繊維が樹脂炭化物で結着されてなる多孔質炭素シートであって、粘着力が0.22N/cmの粘着テープを、該多孔質炭素シートの片側表面に貼り付け、24g/cmの面圧を10秒間かけた後に剥がしたとき、該粘着テープに付着した長さ1mm以上の炭素短繊維の数が0.1〜5.0本/cmである。
【0013】
本発明の多孔質炭素シート1を構成する炭素短繊維2の平均繊維径(単繊維の平均繊維径)は、5〜20μmであることが好ましい。平均繊維径が5μm未満の場合、炭素繊維の種類等にもよるが、前記シート1の柔軟性が低下することがある。また、平均繊維径が20μmを超える場合、前記シート1の機械的強度が低下することがある。より好ましい平均繊維径の範囲は、6〜13μmであり、更に好ましい範囲は、6〜10μmである。
【0014】
炭素短繊維2は、通常、長尺の炭素繊維を所望の長さにカットすることによって得られる。炭素短繊維2の平均繊維長は、3〜20mmであることが好ましい。平均繊維長が3mm未満の場合、多孔質炭素シート1の機械的特性が低下することがある。また、平均繊維長が20mmを超える場合、後述する抄造時における繊維の分散性が悪くなり、前記シート1における炭素短繊維2の目付のばらつきが大きくなることがある。より好ましい平均繊維長の範囲は、4〜17mmであり、更に好ましい範囲は、5〜15mmである。
【0015】
炭素短繊維2を構成する炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチ系、レーヨン系等の炭素繊維を用いることができる。なかでも、機械的強度に優れ、しかも、適度な柔軟性を有するハンドリング性に優れた多孔質炭素シートが得られることから、PAN系やピッチ系、特にPAN系の炭素繊維を用いるのが好ましい。
【0016】
ここで、分散した状態とは、炭素短繊維がシート面内において顕著な配向を持たず概ねランダムに、例えば、無作為な方向に存在している状態をいう。具体的には、後述する抄造法により短繊維が分散した状態である。
【0017】
分散している炭素短繊維2は、後述の本発明の実施に用いる多孔質炭素シート1の製造工程において、樹脂含浸工程で含浸した熱硬化性樹脂を、圧縮工程で硬化させ、炭化工程で炭素化させた樹脂炭化物により結着されている。
【0018】
多孔質炭素シート1は、分散している炭素短繊維2が樹脂炭化物3で結着されてなるため、分散した炭素短繊維2が骨格となり、該シート1の内部には十分な空隙が確保されている。多孔質炭素シート1の空隙率は、発電反応に必要な物質の移動性の観点から、70〜90%、好ましくは73〜87%、より好ましくは75〜85%の範囲内にあるのが良い。多孔質炭素シート1の空隙率は、該シート1の真密度と見掛密度とから算出することができる。真密度は、よく知られた浮遊法やピクノメータ法等により得ることができる。また、見掛密度は多孔質炭素シート1の厚さと目付とから得ることができる。多孔質炭素シート1の厚さは、測定子の断面が直径5mmの円形であるマイクロメーターを用いて、該シート1の厚さ方向に0.15MPaの面圧を付与して測定することができる。測定点は1.5cm間隔の格子状で測定点数は20点以上とし、その平均値を厚さとする。多孔質炭素シート1の目付(単位面積当たりの重さ)は、10cm×10cm角の該シート1の重さを10枚分測定し、その平均値として得られる。
【0019】
図4は、多孔質炭素シート1または4の表面において、樹脂炭化物による結着が外れた炭素短繊維の本数を評価する方法を示す概略図である。粘着力が0.22N/cmの粘着テープ12としては、住友スリーエム株式会社製スコッチ(登録商標)印表面保護テープNo.332を用いることができる。前記粘着テープを、作業台11の上に置いた前記シート1または4の片側表面に貼り付け、24g/cmの面圧を10秒間かけた後に剥がすことにより、多孔質炭素シートの表面の樹脂炭化物による結着が外れた炭素短繊維を採取することができる。多孔質炭素シートへの面圧の付与は、発泡ポリエチレンシート等を緩衝材13として間に挟んだ状態で、所定のおもり14を置くことで行う。発泡ポリエチレンシートとしては、積水化成品工業株式会社製セキスイライトロン(登録商標)S#56を用いることができる。おもり14としては、所定の重さの金属板を用いることができる。粘着テープ12とおもり14の間に柔らかい緩衝材13を挟むことで、多孔質炭素シートに付与される面圧が均一となる。作業台11としては、面圧付与の均一性の観点から、定盤を用いるのが好ましい。炭素短繊維を採取した粘着テープ12は、粘着面を向けてPPC用紙に貼り付ける。前記粘着テープ12は半透明であるため、採取した炭素短繊維は、PPC用紙に貼り付けた粘着テープ12の表面を光学顕微鏡で観察することで確認できる。長さ1mm以上の炭素短繊維を数えることにより、単位面積あたりの、多孔質炭素シート表面の結着が外れた炭素短繊維の本数を求めることが出来る。
【0020】
本発明の多孔質炭素シート1は、粘着力が0.22N/cmの粘着テープ12を、該シート1の片側表面に貼り付け、24g/cmの面圧を10秒間かけた後に剥がしたとき、該粘着テープに付着した長さ1mm以上の炭素短繊維の数が0.1〜5.0本/cmであり、より好ましい範囲は3.5本/cm以下であり、さらに好ましい範囲は2.0本/cm以下である。前記炭素短繊維の数が5.0本/cm以下であるため、本発明の多孔質炭素シート1は、多孔質炭素シートの表面において、樹脂炭化物の結着が外れた炭素短繊維が少なく、固体高分子型燃料電池のガス拡散体6として用いた場合、炭素短繊維2が固体高分子電解質膜9へ突き刺さることによる短絡や反応ガスのクロスリークが生じにくく、前記燃料電池の耐久性が非常に高い。前記炭素短繊維の数は小さいほどより好ましいが、本発明の多孔質炭素シート1では、前記炭素短繊維の数が0.1本/cm程度が限界である。
【0021】
多孔質炭素シート1の厚さは、0.1〜0.25mmであることが好ましい。多孔質炭素シートの厚さは、せん断力が作用したときの該シートの割れや柔軟性に関係する。厚さが0.1mm未満では、多孔質炭素シートを用いて作成されたガス拡散体を用いて作成された燃料電池において、セパレータから該シートがせん断力を受けたときに、該シートが容易に破壊されることがある。また、厚さが0.25mmを超える場合は、多孔質炭素シートの柔軟性が大きく低下し、ロール状への巻き取りが難しくなることがある。多孔質炭素シート1のより好ましい厚さは、0.11〜0.24mmであり、更に好ましい厚さは、0.12〜0.23mmである。
【0022】
本発明の多孔質炭素シート1は、炭素短繊維が40重量%以上であることが好ましく、50重量%以上がより好ましく、60重量%以上がさらに好ましい。多孔質炭素シートに含まれる炭素短繊維が40重量%以上になると、炭素短繊維を結着する結着炭素の比率が上がるため、多孔質炭素シートの表面において、樹脂炭化物の結着が外れた炭素短繊維の数が増加することがある。しかし、本発明の多孔質炭素シート1は、炭素短繊維が40重量%以上であっても、多孔質炭素シートの表面において樹脂炭化物の結着が外れた炭素短繊維が十分に除去されているため、このような問題は生じない。
【0023】
図3において、ガス拡散層8は、フッ素樹脂と、導電性を有するカーボンブラックを含むペーストを、スリットダイコーター等で多孔質炭素シート1の表面に塗工することより形成することができる。多孔質炭素シート1の表面にガス拡散層8を形成することにより、多孔質炭素シート1の表面において樹脂炭化物による結着が外れた炭素短繊維が固体高分子電解質膜9に突き刺さり、短絡や反応ガスのクロスリークが生じるのを更に抑制することができるため好ましい。
【0024】
固体高分子電解質膜9に用いられる固体高分子電解質としては、プロトン伝導性、耐酸化性、耐熱性の高い、パーフルオロスルホン酸系の高分子が好ましい。触媒層10は、前記固体高分子電解質と、触媒担持炭素を含むペーストを、ガス拡散体6の足す拡散層8を形成した面に直接塗工するか、一旦フッ素樹脂フィルム等の基材に塗工したあと固体高分子電解質膜9に転写することにより設けることができる。触媒としては、改質水素が供給される場合にはアノード側に白金およびルテニウムを用いるのが好ましく、酸素が供給されるカソード側には白金を用いるのが好ましい。膜−電極接合体7は、ガス拡散体6、固体高分子電解質膜9、触媒層10をホットプレスで接着することで得ることができる。
【0025】
本発明の多孔質炭素シート1は、以下に説明する方法で製造することができる。
【0026】
図5は、本発明の実施に用いる多孔質炭素シート1の製造工程の一形態を示す工程図であり、抄紙工程、樹脂含浸工程、圧縮工程、炭化工程、表面処理工程からなる。
【0027】
前記抄紙工程では、好適な長さに切断した炭素短繊維を水中に均一に分散させ、分散している炭素短繊維を網上に抄造し、抄造した炭素短繊維シートをポリビニルアルコールの水系分散液に浸漬し、浸漬したシートを引き上げて乾燥させる。前記ポリビニルアルコールは、炭素短繊維同士を結着するバインダの役目を果たし、炭素短繊維が分散した状態において、それらがバインダにより結着された状態の炭素短繊維のシートが製造される。バインダとしては、他に、スチレン−ブタジエンゴム、エポキシ樹脂などを用いることが出来る。
【0028】
前記樹脂含浸工程では、熱硬化性樹脂の溶液中に、抄紙工程で製造された炭素短繊維のシートを浸漬し、浸漬されたシートを引き上げて乾燥させることにより樹脂含浸炭素短繊維シートが製造される。
【0029】
前駆体繊維シートに含まれる樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂や、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。炭化工程での樹脂の炭化収率が高い熱硬化性樹脂を用いるのがより好ましく、中でもフェノール樹脂を用いるのが更に好ましい。
【0030】
前記圧縮工程においては、平板のホットプレスに上熱板と下熱板が互いに平行となるようセットし、所望の熱板温度、面圧で、プレス機の開閉を繰り返しながら上下から離型紙で挟み込んだ樹脂含浸炭素繊維シートを間欠的に搬送しつつ、同じ箇所が所望の時間加熱加圧されるよう圧縮処理する。
【0031】
前記炭化工程においては、バッチ式の加熱炉を用いることもできるが、生産性の観点から、圧縮工程で圧縮処理した樹脂含浸炭素繊維シートを不活性雰囲気に保った加熱炉内を連続的に走行せしめながら少なくとも1,200℃まで昇温し、焼成して前記熱硬化性樹脂を炭素化した後、ロール状に巻き取る連続式であることが好ましい。
【0032】
本発明の多孔質炭素シートの製造方法は、表面処理工程として、分散している炭素短繊維が樹脂炭化物で結着されてなる多孔質炭素シートの、少なくとも片側表面に、気体を吹き付ける処理を行うことを特徴とする。
【0033】
本発明の多孔質炭素シート1の製造方法によれば、従来技術のように多孔質炭素シート自体を破壊したり、多孔質炭素シートの表面を破壊したりすることなく、結着が外れた炭素短繊維を十分に除去した多孔質炭素シート1を提供することができる。
【0034】
図6は、本発明の多孔質炭素シートの製造工程の一形態における表面処理工程を示す断面概略図である。
【0035】
図6において、吹き付け部15の吹き付けノズル16から供給される気体を、多孔質炭素シート1の表面に吹き付ける処理を行っている。気体としては、酸素、窒素、空気などを用いることができるが、用役コストの観点から、コンプレッサー17で圧縮した空気を吹き付けるのが好ましい。気体の吹き付けにより、多孔質炭素シート自体を破壊したり、多孔質炭素シートの表面を破壊したりすることなく、結着が外れた炭素短繊維を十分に除去することができる。多孔質炭素シート自体の破壊と、結着が外れた炭素短繊維除去の効果とのバランスから、多孔質炭素シートに供給する気体の流量は、片側表面あたり、多孔質炭素シート単位幅あたり0.1〜5.0L/分/mmであることが好ましく、0.5〜4.0L/分/mmがより好ましく、2.0〜3.5L/分/mmがさらに好ましい。
【0036】
前記表面処理は、図6において、吸引部18から気体を吸引しながら行うのが好ましい。吸引により、気体の吹き付けで除去された炭素短繊維が多孔質炭素シート1に再度付着するのを防ぐことができるため好ましい。吸引部18には、集塵機19を接続することで、吸引および吸引した炭素短繊維の回収ができる。多孔質炭素シート自体の破壊と、気体の吹き付けで除去された炭素短繊維の再付着防止の観点から、多孔質炭素シートから吸引する気体の流量は、片側表面あたり、多孔質炭素シート単位幅あたり3.0〜6.0L/分/mmであることが好ましく、3.5〜5.5L/分/mmがより好ましく、4.0〜5.0L/分/mmがさらに好ましい。
【0037】
前記処理は、図6に示すように、連続的に行うのが好ましい。連続的とは、長尺の多孔質炭素シートの巻出し部20、巻取り部21を有する装置において、多孔質炭素シートを搬送しながら表面処理をおこなうことをいう。表面処理を連続的に行うことにより、枚葉の多孔質炭素シートを1枚ずつ表面処理するよりも大幅に処理の効率が高くなる。
【0038】
前記表面処理は複数回行うのが好ましい。複数回処理を行うことにより、結着が外れた炭素短繊維をより多く除去することができる。前記表面処理の効率と、結着が外れた炭素短繊維除去の効果のバランスから、処理回数は2〜6回が好ましく、2〜5回がより好ましく、2〜4回がさらに好ましい。
【0039】
前記処理は、多孔質炭素シートの両表面に対して行うのが好ましい。多孔質炭素シートをロール状に巻き取った際、処理がなされていない面から処理面に炭素短繊維が付着する恐れがあるためである。前記表面処理は、図6に示すように、表面処理を行う装置を多孔質炭素シートの両面に配置し、両面同時に行うのが処理の効率の観点から好ましい。また、表面処理を行う装置を、多孔質炭素シートに対して対照に配置し、両面同時に処理を行うことにより、表面処理により該シートにかかる力の表裏でのバランスがとれるため、吹き付けおよび吸引の気体の流量を増加させた場合においても、表面処理による該シートの破壊が生じにくくなる。
【0040】
表面処理工程には、ドクターエシャリッヒ社製の非接触式ダスト除去クリーナー スタティックエア08型、ケルバ社製の非接触ウェブクリーナー モデルK−30/BR41等を用いることができる。これらの装置は、本来、長尺のシート状物の表面から異物を取り除くための装置であるが、本発明は、これらの装置を多孔質炭素シートに適用することにより、該シート自体を破壊したり、該シートの表面を破壊したりすることなく、該シートの表面において樹脂炭化物による結着が外れた炭素短繊維を十分に除去することができることを見出したものである。
【実施例】
【0041】
以下の実施例および比較例における多孔質炭素シートに関する各特性値の定義、および/または、測定方法は、次のとおりである。
(多孔質炭素シートに含まれる炭素短繊維の重量比率)
多孔質炭素シートに含まれる炭素短繊維の重量比率は、上述の多孔質炭素シートの目付W1と、抄紙工程で得られる炭素短繊維シートに含まれる炭素短繊維の目付W2から、次式で算出した。

多孔質炭素シートに含まれる炭素短繊維の重量比率=W2÷W1×100 (I)式

前記炭素短繊維シートに含まれる炭素短繊維の目付の測定方法は、上述の多孔質炭素シートの目付の測定方法と同様だが、樹脂含浸工程で熱硬化性樹脂を含浸する前の炭素短繊維シートを大気中にて400℃で8時間加熱し、炭素短繊維を残してそれ以外のバインダ等を熱分解させたものを炭素短繊維の目付として測定した。
【0042】
(実施例1)
東レ株式会社製ポリアクリロニトリル系炭素繊維“トレカ (登録商標) ”T300−6K(平均単繊維径:7μm、単繊維数:6,000本)を12mmの長さにカットし、水を抄造媒体として連続的に抄造し、さらにポリビニルアルコールの10重量%水系分散液に浸漬し、乾燥させて、炭素短繊維の目付が約20g/mの長尺の炭素繊維紙を得てロール状に巻き取った。ポリビニルアルコールの付着量は、炭素繊維紙100重量部に対して20重量部に相当する。
【0043】
中越黒鉛工業所社製鱗片状黒鉛BF−5A(平均粒径5μm)、フェノール樹脂およびメタノールを1:2:12の重量比で混合した分散液を用意した。上記炭素短繊維シートに、炭素短繊維100重量部に対してフェノール樹脂が131重量部になるように、上記分散液に連続的に含浸し、90℃の温度で3分間乾燥することにより樹脂含浸炭素繊維シートを得てロール状に巻き取った。フェノール樹脂には、レゾール型フェノール樹脂とノボラック型フェノール樹脂とを1:1の重量比で混合した樹脂を用いた。
【0044】
株式会社カワジリ社製100t平板プレスに上熱板と下熱板が互いに平行となるようセットし、熱板温度200℃、面圧0.5MPaで、プレスの開閉を繰り返しながら上下から離型紙で挟み込んだ樹脂含浸炭素繊維シートを間欠的に搬送しつつ、同じ箇所がのべ1.5分間加熱加圧されるよう圧縮処理した。熱板の有効加圧長は1,200mmで、間欠的に搬送する際の前駆体繊維シートの送り量を200mmとした。すなわち、15秒サイクルの加熱加圧、型開き、炭素繊維紙の送り(200mm)、を繰り返すことによって圧縮処理を行い、ロール状に巻き取った。
【0045】
圧縮処理をした上記樹脂含浸炭素繊維シートを前駆体繊維シートとして、窒素ガス雰囲気に保たれた、最高温度が2,000℃の加熱炉に導入し、加熱炉内を連続的に走行させながら、約500℃/分(650℃までは400℃/分、650℃を超える温度では550℃/分)の昇温速度で焼成し、得られた多孔質炭素シートをロール状に巻き取った。
【0046】
炭化工程で得られた多孔質炭素シートに対して、図6に示す表面処理を行い、本発明に係る多孔質炭素シート1を得た。表面処理工程では、吹き付け部15および吸引部18を有するドクターエシャリッヒ社製の非接触式ダスト除去クリーナー スタティックエア08型2台を多孔質炭素シートの両面に配置し、巻出し部20、巻取り部21を有する搬送装置で多孔質炭素シートを5m/分の速度で搬送しながら1回の表面処理を行った。
【0047】
吹き付け部15において吹き出しノズル16から多孔質炭素シートに供給する空気の流量は、片側表面あたり、多孔質炭素シート単位幅あたり0.5L/分/mmであり、吸引部18において多孔質炭素シートから吸引する空気の流量は、片側表面あたり、多孔質炭素シート単位幅あたり3.5L/分/mmである。
【0048】
粘着力が0.22N/cmの粘着テープを、得られた多孔質炭素シート1の片側表面に貼り付け、24g/cmの面圧を10秒間かけた後に剥がしたとき、該粘着テープに付着した長さ1mm以上の炭素短繊維の数は4.1本/cmであった。
【0049】
また、多孔質炭素シート1に含まれる炭素短繊維の重量比率は47重量%であり、多孔質炭素シートの空隙率は78%であった。
【0050】
(実施例2)
表面処理工程において、多孔質炭素シートに供給する空気の流量を、片側表面あたり、多孔質炭素シート単位幅あたり3.0L/分/mmとし、多孔質炭素シートから吸引する空気の流量を、片側表面あたり、多孔質炭素シート単位幅あたり4.5L/分/mmとした以外は実施例1と同様にして多孔質炭素シート1を得た。
【0051】
粘着力が0.22N/cmの粘着テープを、得られた多孔質炭素シート1の片側表面に貼り付け、24g/cmの面圧を10秒間かけた後に剥がしたとき、該粘着テープに付着した長さ1mm以上の炭素短繊維の数は1.4本/cmであった。
【0052】
また、多孔質炭素シート1に含まれる炭素短繊維の重量比率は47重量%であり、多孔質炭素シート1の空隙率は78%であった。
【0053】
(実施例3)
樹脂含浸工程において、炭素短繊維100重量部に対してフェノール樹脂が87重量部となるようにした以外は実施例2と同様にして多孔質炭素シート1を得た。
【0054】
粘着力が0.22N/cmの粘着テープを、得られた多孔質炭素シート1の片側表面に貼り付け、24g/cmの面圧を10秒間かけた後に剥がしたとき、該粘着テープに付着した長さ1mm以上の炭素短繊維の数は2.1本/cmであった。
【0055】
また、多孔質炭素シート1に含まれる炭素短繊維の重量比率は58重量%であり、多孔質炭素シート1の空隙率は82%あった。
【0056】
(実施例4)
表面処理工程において、表面処理を3回行った以外は実施例2と同様にして多孔質炭素シート1を得た。
【0057】
粘着力が0.22N/cmの粘着テープを、得られた多孔質炭素シート1の片側表面に貼り付け、24g/cmの面圧を10秒間かけた後に剥がしたとき、該粘着テープに付着した長さ1mm以上の炭素短繊維の数は0.6本/cmであった。
【0058】
また、多孔質炭素シート1に含まれる炭素短繊維の重量比率は47重量%であり、多孔質炭素シート1の空隙率は78%であった。
【0059】
(比較例1)通常組成、処理なし
東レ株式会社製ポリアクリロニトリル系炭素繊維“トレカ (登録商標) ”T300−6K(平均単繊維径:7μm、単繊維数:6,000本)を12mmの長さにカットし、水を抄造媒体として連続的に抄造し、さらにポリビニルアルコールの10重量%水系分散液に浸漬し、乾燥させて、炭素短繊維の目付が約20g/mの長尺の炭素繊維紙を得てロール状に巻き取った。ポリビニルアルコールの付着量は、炭素繊維紙100重量部に対して20重量部に相当する。
【0060】
中越黒鉛工業所社製鱗片状黒鉛BF−5A(平均粒径5μm)、フェノール樹脂およびメタノールを1:2:12の重量比で混合した分散液を用意した。上記炭素短繊維シートに、炭素短繊維100重量部に対してフェノール樹脂が131重量部になるように、上記分散液に連続的に含浸し、90℃の温度で3分間乾燥することにより樹脂含浸炭素繊維シートを得てロール状に巻き取った。フェノール樹脂には、レゾール型フェノール樹脂とノボラック型フェノール樹脂とを1:1の重量比で混合した樹脂を用いた。
【0061】
株式会社カワジリ社製100t平板プレスに上熱板と下熱板が互いに平行となるようセットし、熱板温度200℃、面圧0.5MPaで、プレスの開閉を繰り返しながら上下から離型紙で挟み込んだ樹脂含浸炭素繊維シートを間欠的に搬送しつつ、同じ箇所がのべ1.5分間加熱加圧されるよう圧縮処理した。熱板の有効加圧長は1200mmで、間欠的に搬送する際の前駆体繊維シートの送り量を200mmとした。すなわち、15秒サイクルの加熱加圧、型開き、炭素繊維紙の送り(200mm)、を繰り返すことによって圧縮処理を行い、ロール状に巻き取った。
【0062】
圧縮処理をした上記樹脂含浸炭素繊維シートを前駆体繊維シートとして、窒素ガス雰囲気に保たれた、最高温度が2,000℃の加熱炉に導入し、加熱炉内を連続的に走行させながら、約500℃/分(650℃までは400℃/分、650℃を超える温度では550℃/分)の昇温速度で焼成し、得られた多孔質炭素シートをロール状に巻き取った。
【0063】
粘着力が0.22N/cmの粘着テープを、得られた多孔質炭素シートの片側表面に貼り付け、24g/cmの面圧を10秒間かけた後に剥がしたとき、該粘着テープに付着した長さ1mm以上の炭素短繊維の数は28.4本/cmであった。
【0064】
また、多孔質炭素シートに含まれる炭素短繊維の重量比率は47重量%であり、多孔質炭素シートの空隙率は78%であった。
【0065】
(比較例2)
比較例1で得られた多孔質炭素シートに対して、吹き付け部および吸引部を有するドクターエシャリッヒ社製の非接触式ダスト除去クリーナー スタティックエア08型1台を多孔質炭素シートの片面に配置し、巻出し部、巻取り部を有する搬送装置で多孔質炭素シートを5m/分の速度で搬送しながら1回の表面処理を行った。
【0066】
吹き付け部において多孔質炭素シートに空気を供給せず、多孔質炭素シートから吸引する空気の流量は、片側表面あたり、多孔質炭素シート単位幅あたり4.5L/分/mmである。
【0067】
粘着力が0.22N/cmの粘着テープを、得られた多孔質炭素シートの片側表面に貼り付け、24g/cmの面圧を10秒間かけた後に剥がしたとき、該粘着テープに付着した長さ1mm以上の炭素短繊維の数は8.7本/cmであった。
【0068】
また、多孔質炭素シート1に含まれる炭素短繊維の重量比率は47重量%であり、多孔質炭素シートの空隙率は78%であった。
【0069】
(比較例3)
表面処理において、多孔質炭素シートから吸引する空気の流量は、片側表面あたり、多孔質炭素シート単位幅あたり9.0L/分/mmとした以外は比較例2と同様にして多孔質炭素シートを得ようとしたところ、搬送していた多孔質炭素シートが吸引部に吸い込まれて破壊され、連続的に多孔質炭素シートを処理することができなかった。
【0070】
(比較例4)
比較例1で得られた多孔質炭素シートに対して、大塚刷毛製造社製プラスチック糊刷毛(毛:馬毛)が多孔質炭素シートの片面接するように配置し、巻出し部、巻取り部を有する搬送装置で多孔質炭素シートを5m/分の速度で搬送しながら1回の表面処理を行った。
【0071】
粘着力が0.22N/cmの粘着テープを、得られた多孔質炭素シートの片側表面に貼り付け、24g/cmの面圧を10秒間かけた後に剥がしたとき、該粘着テープに付着した長さ1mm以上の炭素短繊維の数は27.6本/cmであった。
【0072】
また、多孔質炭素シート1に含まれる炭素短繊維の重量比率は47重量%であり、多孔質炭素シートの空隙率は78%であった。
【0073】
(比較例5)
表面処理に用いる刷毛をスナップオン・ツールズ社製防爆ハンドブラシ(毛:ニッケルアルミ銅合金)とした以外は比較例4と同様にして多孔質炭素シートを得た。
【0074】
粘着力が0.22N/cmの粘着テープを、得られた多孔質炭素シートの片側表面に貼り付け、24g/cmの面圧を10秒間かけた後に剥がしたとき、該粘着テープに付着した長さ1mm以上の炭素短繊維の数は32.6本/cmであった。また、得られた多孔質炭素シートは、刷毛による表面処理により表面が荒れているのが目視で確認された。
【0075】
また、多孔質炭素シート1に含まれる炭素短繊維の重量比率は47重量%であり、多孔質炭素シートの空隙率は78%であった。
【0076】
(比較例6)
表面処理において、吸引部の前に、大塚刷毛製造社製プラスチック糊刷毛(毛:馬毛)が多孔質炭素シートの片面接するように配置した以外は比較例2と同様にして多孔質炭素シートを得た。
【0077】
粘着力が0.22N/cmの粘着テープを、得られた多孔質炭素シートの片側表面に貼り付け、24g/cmの面圧を10秒間かけた後に剥がしたとき、該粘着テープに付着した長さ1mm以上の炭素短繊維の数は7.8本/cmであった。
【0078】
また、多孔質炭素シート1に含まれる炭素短繊維の重量比率は47重量%であり、多孔質炭素シートの空隙率は78%であった。

以上の実施例および比較例について、多孔質炭素シートの諸元、製造条件および評価結果のうち主要なものを、次の表1にまとめた。
【0079】
【表1】

【0080】
上記実施例1〜4の多孔質炭素シート1は、表面処理工程において、該シート1の、少なくとも片側表面に、気体を吹き付ける処理を行っているため、粘着力が0.22N/cmの粘着テープを、該多孔質炭素シートの片側表面に貼り付け、24g/cmの面圧を10秒間かけた後に剥がしたとき、該粘着テープに付着した長さ1mm以上の炭素短繊維の数が0.1〜5.0本/cmである。したがって、実施例1〜4の多孔質炭素シート1は、該シートから結着が外れた炭素短繊維が十分に除去されており、本発明の多孔質炭素シート1をガス拡散体6の材料として用いた燃料電池は、短絡や反応ガスのクロスリークが生じにくく、耐久性が非常に高い。
【0081】
一方、表面処理を行わない比較例1では、多孔質炭素シートから結着が外れた炭素短繊維が該シートの表面に大量に存在している。
【0082】
吸引による表面処理を行った比較例2では、表面処理を行わない比較例1と比べて多孔質炭素シートから結着が外れた炭素短繊維がある程度除去されているが、実施例1〜4と比べると不十分である。これに対して、吸引する空気の流量を増加させた比較例3では、搬送していた多孔質炭素シートが吸引部に吸い込まれて破壊され、連続的に多孔質炭素シートを処理することができなかった。吸引のみにより、結着が外れた炭素短繊維を十分に除去するのは困難であると考えられる。
【0083】
繊維が柔らかい馬毛の刷毛による表面処理を行った比較例4では、表面処理を行わない比較例1と比べると多孔質炭素シートから結着が外れた炭素短繊維が減少しているが、実施例1〜4と比べるとその効果はわずかである。
【0084】
繊維が硬いニッケルアルミ銅合金のブラシによる表面処理を行った比較例5では、表面が荒れているのが目視で確認され、多孔質炭素シートから結着が外れた炭素短繊維も増加している。硬い繊維がかえって多孔質炭素シートの表面を破壊したためであると考えられる。
【0085】
吸引および繊維が柔らかい馬毛の刷毛による表面処理を組み合わせた比較例6では、比較例の中では、多孔質炭素シートから結着が外れた炭素短繊維が最も少ないが、実施例1〜4と比べるとその効果は不十分である。
【0086】
以上実施例および比較例から明らかなとおり、本発明の多孔質炭素シートによれば、燃料電池のガス拡散体の材料として用いられたとき、短絡や反応ガスのクロスリークが生じにくい、結着が外れた炭素短繊維が十分に除去された多孔質炭素シートを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明に係る多孔質炭素シートは、固体高分子型燃料電池のガス拡散体の材料として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る多孔質炭素シート1の表面を示す概略図である。
【図2】図2は、従来技術に係る多孔質炭素シートの表面を示す概略図である。
【図3】図3は、本発明の一形態に係る多孔質炭素シート1が、ガス拡散体6の材料として用いられている、固体高分子型燃料電池の膜−電極接合体7の部分断面図である。
【図4】多孔質炭素シート表面で結着が外れた炭素短繊維の本数を評価する方法を示す概略図である。
【図5】図5は、本発明の実施に用いる多孔質炭素シートの製造工程の一形態を示す工程図である。
【図6】図6は、本発明の多孔質炭素シートの製造工程の一形態における表面処理工程を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0089】
1:多孔質炭素シート
2:炭素短繊維
3:樹脂炭化物
4:(従来技術の)多孔質炭素シート
5:(結着の外れた)炭素短繊維
6:ガス拡散体
7:膜−電極接合体
8:ガス拡散層
9:固体高分子電解質膜
10:触媒層
11:作業台
12:粘着テープ
13:緩衝材
14:おもり
15:吹き付け部
16:吹き付けノズル
17:コンプレッサー
18:吸引部
19:集塵機
20:巻出し部
21:巻取り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散している炭素短繊維が樹脂炭化物で結着されてなる多孔質炭素シートの、少なくとも片側表面に、気体を吹き付ける処理を行うことを特徴とする多孔質炭素シートの製造方法。
【請求項2】
気体を吸引しながら前記処理を行う請求項1に記載の多孔質炭素シートの製造方法。
【請求項3】
前記処理を連続的に行う請求項1または2のいずれかに記載の多孔質炭素シートの製造方法。
【請求項4】
前記処理を複数回行う請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質炭素シートの製造方法。
【請求項5】
前記多孔質炭素シートの両表面に対して前記処理を行う請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質炭素シートの製造方法。
【請求項6】
分散している炭素短繊維が樹脂炭化物で結着されてなる多孔質炭素シートであって、粘着力が0.22N/cmの粘着テープを、該多孔質炭素シートの片側表面に貼り付け、24g/cmの面圧を10秒間かけた後に剥がしたとき、該粘着テープに付着した長さ1mm以上の炭素短繊維の数が0.1〜5.0本/cmであることを特徴とする多孔質炭素シート。
【請求項7】
前記多孔質炭素シートに含まれる炭素短繊維が40重量%以上である請求項6に記載の多孔質炭素シート。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれかに記載の方法により製造される、請求項6または7のいずれかに記載の多孔質炭素シート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−70433(P2010−70433A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242253(P2008−242253)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】