説明

多官能性リンカーを用いて互いが連結されたナノ粒子のフィルムを形成する方法

【課題】多官能性リンカー分子を用いて、互いが連結されたナノ粒子のフィルムを形成する方法を提供する。
【解決手段】特定の前駆体より生成されたジチオカルバメート、キサンテート、ジチオカルボン酸、トリチオカルボネートジチオオキサミドおよびチロニウム塩から選択された多官能性リンカーを用いて、金属ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、および半導体ナノ粒子から選択された1ミクロン未満のナノ粒子を連結、ナノ粒子フィルムを形成する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多官能性リンカーを用いて互いが連結されたナノ粒子のフィルムを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノ粒子フィルム(nanoparticle film)は、分子電子(molecular electron)デバイス、たとえば、化学センサーのような、多くのアプリケーションにおいて、有用である。安定にするために、そのようなフィルムにおけるナノ粒子は、分子をキャップ(cap)すること、または、リンカー(linker)分子によって、キャップ、または、連結され得る。分子と連結された、そのようなナノ粒子フィルムを形成する一方法は、多層自己組織化(layer−by−layer self−assembly)(EP 1 022 560)である。ここでは、基板は、ナノ粒子溶液/分散液(solution/dispersion)と、ジチオール(dithiol)(Joseph, et al.,J.Phys.Chem.B 2003,107,7406)、および、ビス(ジチオカルバメート)(bis(dithiocarbamates))(Wessels et al.,J.An.Chem.Soc.,2004,126,3349)のような、有機分子の溶液との中へ交互に浸される。これは、ナノ粒子フィルムにおいて、その材料の組織化をもたらし、そこでは、そのナノ粒子が連結される。そのフィルムにおけるナノ粒子が、その材料の体積比に対する伝導性と、高い表面(high surface)とにとって最も重要であるが、リンカーまたは分子をキャップするものとして機能する有機分子が、その材料の物理的および化学的特性を決定する(EP 1 215 485)。そのために、調整された特性を有する、広いさまざまな材料は、適したリンカー分子を選択することによって実現され得る。一般に、これらの有機リンカー分子は、予め、合成され、そして、生成されなければならない。Zhaoら(J.Am.Chem.Soc.2005;127;7328)は、金の表面における、ジチオカーボメート(dithiocabomate)単層の自己組織化を示している。本刊行物においては、そのサンプルは、商業的に利用可能な2級アミン、および、その位置(in−situ)でジチオカーボメート分子を形成する反応を受ける二硫化炭素(carbon disulfide)を含む溶液から作成された。本刊行物は、ナノ粒子フィルム(nanoparticulate film)の形成について、関係していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記にて言及された多層自己組織化(layer−by−layer self−assembly)プロセスは、多くの利点を有する。その主な利点は、その作成の再現性(reproducibility)と、そのフィルムの構造的なコントロールである。しかしながら、そのような組織化法の主な不利な点は、有機リンカー(organic linker)分子が、予め、合成され、精製され、そして、分離されなければならないことであって、ここでは、それらは、その中へ基板がナノ粒子の分散と共に交互にディップ(dip)される溶液として使用される。その合成(synthesis)、精製(purification)、および、分離(isolation)は、時間を浪費し、そして、労働を集約し、そして、その結果、不経済になる。それ故、本発明の目的は、ナノ粒子フィルムを、速く、そして、安価に形成する方法を与えることにある。また、本発明の目的は、先行技術から知られる方法よりも、少ないステップを必要とする、ナノ粒子フィルムを形成する方法を与えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これら全ての目的は、多官能性リンカーを用いて互いが連結されたナノ粒子のフィルムを形成する方法であって、前記多官能性リンカーは、反応混合物において生成されており、反応混合物が、前記多官能性リンカーの精製なしに、前記ナノ粒子を連結するために使用されていることを特徴とする方法によって、解決される。
【0005】
一実施形態においては、本発明に従う方法は、以下のステップ、
a)前記多官能性リンカーを生成可能な前駆体を与えること、
b)前記前駆体を含む反応混合物において、好ましくは、前記前駆体の溶液において、前記多官能性リンカーを生成する前記前駆体を含むこと、
c)ステップb)の前記反応混合物を、ナノ粒子を連結する精製なしに、使用すること、を具備する。
【0006】
好ましくは、ステップc)は、ステップb)が終了された後、直ちに、実行される。
【0007】
他の実施形態においては、ステップc)は、ステップb)と共に、ステップb)の前記反応混合物において、ステップb)の開始からナノ粒子を含むことによって、または、ステップb)の過程においてナノ粒子をステップb)の前記反応混合物へ加えることによって、実行される。
【0008】
一実施形態においては、前記多官能性リンカーによって連結されたナノ粒子のフィルムは、前記反応混合物内に基板を浸すことによって、当該基板上に形成される。
【0009】
一実施形態においては、前記多官能性リンカーによって連結されたナノ粒子のフィルムは、前記反応混合物内と、ナノ粒子の分散内とに交互に基板を浸すことによって、当該基板上に形成される。
【0010】
他の実施形態においては、前記多官能性リンカーによって連結されたナノ粒子のフィルムは、その中にナノ粒子も有する前記反応混合物内に、基板を浸すことによって、当該基板上に形成される。
【0011】
一実施形態においては、前記多官能性リンカーは、ナノ粒子への前記官能基の結合において、少なくとも、2つのナノ粒子が連結されるように、前記リンカーをナノ粒子に結合することを、それぞれが可能にする、少なくとも2つの官能基を有している。
【0012】
一実施形態においては、前記多官能性リンカーは、前記リンカーをナノ粒子に結合することを、それぞれが可能にする2つの官能基を有するニ官能性リンカーであることを特徴とし、そして、さらに、前記ニ官能性リンカーが、一般式
Z−R−Z
で示されることを特徴としており、ここでは、Rが、オーガニック・レストを示し、そして、Zが、ナノ粒子表面上における金属原子への結合親和力を有する官能基を示している。
【0013】
より好ましくは、前記ニ官能性リンカーZ−R−Zは、それの前駆体である
X−R−X
と、Bとの反応から生成されることを特徴としており、ここでは、Xが、ナノ粒子表面上における金属原子への非結合親和力を有する官能基を示しており、Rが、オーガニック・レストを示しており、そして、Bが、前記前駆体との反応において、前記ニ官能性リンカーを生成する反応物質を示している。
【0014】
一実施形態においては、前記前駆体X−R−Xは、ニ官能性リンカー分子の形成を許容する反応条件の下で、反応混合物においてBと反応され、そこでは、基板が、交互に、前記反応混合物と、ナノ粒子の分散とにおいて交互に浸されて、前記ニ官能性リンカーによって連結されるナノ粒子の形成を許容し、前記基板上において前記ニ官能性リンカーによって連結されたナノ粒子のフィルムを形成する。
【0015】
他の実施形態においては、前記前駆体X−R−Xは、ニ官能性リンカー分子の形成、および、前記ニ官能性リンカーによって連結されるナノ粒子の形成を許容する反応条件の下で、基板が前記ニ官能性リンカーによって連結されたナノ粒子のフィルムを前記基板上において形成するように浸される反応混合物の中へ、反応混合物においてBおよびナノ粒子と反応される。
【0016】
好ましくは、前記ニ官能性リンカーは、ビス(ジチオカルバメート)、ビス(キサンテート)、ビス(ジチオカルボン酸)、ビス(トリチオカルボネート)、ビス(ジチオオキサミド)、および、ビス(チウロニウム塩)を具備するグループから選択され、ここでは、前記ビス(ジチオカルバメート)にとっては、Zが、−NR−CSSHであり、Xが、−NH−Rであり、Bが、CSであり、前記ビス(キサンテート)にとっては、Zが、−O−CSSHであり、Xが、−OHであり、Bが、CSであり、前記ビス(ジチオカルボン酸)にとっては、Zが、−CSSHであり、XがMgBrであり、Bが、CSであり、前記ビス(トリチオカルボネート)にとっては、Zが、−S−CSSHであり、Xが、SHであり、Bが、CSであり、前記ビス(ジチオオキサミド)にとっては、Zが、−NH−C(S)−C(S)−NH−Rであり、Xが、NHであり、Bが、NH−C(S)−C(S)−NHであり、前記ビス(チウロニウム塩)にとっては、Zが、−S(−NH2)(=NH)Xであり、Xが、Br、Cl、または、Iであり、Bが、NH−C(S)−NHであり、上述の化合物のいずれにとって、Rが、オーガニック・レストである。
【0017】
一実施形態においては、前記ニ官能性リンカー分子の形成を許容する前記反応条件は、前記ビス(ジチオカルバメート)にとっては、トリエチルアミンを溶媒とし、そして、室温であり、前記ビス(キサンテート)にとっては、NaHであって、40〜80°C、好ましくは、50〜70°C、そして、より好ましくは、略60°Cであり、前記ビス(ジチオカルボン酸)にとっては、室温であり、前記ビス(トリチオカルボネート)にとっては、NaHであって、40〜80°C、好ましくは、50〜70°C、より好ましくは、略60°Cであり、前記ビス(ジチオオキサミド)にとっては、室温であり、前記ビス(チウロニウム塩)にとっては、60°C〜100°C、好ましくは、70〜90°C、そして、より好ましくは、略80°Cであり、そして、上述の化合物のいずれにとって、前記ニ官能性リンカーによって連結されるナノ粒子の形成を許容する前記反応条件が、室温である。
【0018】
一実施形態においては、ナノ粒子への前記官能基の結合において、少なくとも、3つのナノ粒子が、それによって、連結されるように、前記リンカーをナノ粒子に結合することを、それぞれが可能にする、少なくとも3つの官能基を有している。
【0019】
一実施形態においては、前記多官能性リンカーは、前記リンカーをナノ粒子に結合することを、それぞれが可能にする3つの官能基を有する三官能性リンカーであることを特徴とし、そして、さらに、前記三官能性リンカーが、一般式
【0020】
【化1】

で示されることを特徴としており、ここでは、Rが、オーガニック・レストを示し、そして、Zが、ナノ粒子表面上における金属原子への結合親和力を有する官能基を示している。
【0021】
好ましくは、前記三官能性リンカーである
【0022】
【化2】

は、それの前駆体である
【0023】
【化3】

と、Bとの反応から生成されることを特徴としており、ここでは、Xが、ナノ粒子表面上における金属原子への非結合親和力を有する官能基を示しており、Rが、オーガニック・レストを示しており、そして、Bが、前記前駆体との反応において、前記三官能性リンカーを生成する反応物質を示している。
【0024】
より好ましくは、前記前駆体である
【0025】
【化4】

は、三官能性リンカー分子の形成を許容する反応条件の下で、反応混合物においてBと反応され、そこでは、基板が、交互に、前記反応混合物と、ナノ粒子の分散とにおいて交互に浸されて、前記三官能性リンカーによって連結されるナノ粒子の形成を許容し、前記基板上において前記三官能性リンカーによって連結されたナノ粒子のフィルムを形成することを特徴とする。
【0026】
他の実施形態においては、前記前駆体である
【0027】
【化5】

は、三官能性リンカー分子の形成、および、前記三官能性リンカーによって連結されるナノ粒子の形成を許容する反応条件の下で、基板が前記三官能性リンカーによって連結されたナノ粒子のフィルムを前記基板上において形成するように浸される反応混合物の中へ、反応混合物においてBおよびナノ粒子と反応される。
【0028】
好ましくは、前記三官能性リンカーは、トリス(ジチオカルバメート)、トリス(キサンテート)、トリス(ジチオカルボン酸)、トリス(トリチオカルボネート)、トリス(ジチオオキサミド)、および、トリス(チウロニウム塩)を具備するグループから選択され、ここでは、前記ビス(ジチオカルバメート)にとっては、Zが、−NR−CSSHであり、Xが、−NH−Rであり、Bが、CSであり、前記ビス(キサンテート)にとっては、Zが、−O−CSSHであり、Xが、−OHであり、Bが、CSであり、前記ビス(ジチオカルボン酸)にとっては、Zが、−CSSHであり、XがMgBrであり、Bが、CSであり、前記ビス(トリチオカルボネート)にとっては、Zが、−S−CSSHであり、Xが、SHであり、Bが、CSであり、前記ビス(ジチオオキサミド)にとっては、Zが、−NH−C(S)−C(S)−NH−Rであり、Xが、NHであり、Bが、NH−C(S)−C(S)−NHであり、前記ビス(チウロニウム塩)にとっては、Zが、−S(−NH2)(=NH)Xであり、Xが、Br、Cl、または、Iであり、Bが、NH−C(S)−NHであり、上述の化合物のいずれにとって、Rが、オーガニック・レストである。
【0029】
一実施形態においては、前記三官能性リンカー分子の形成を許容する前記反応条件は、前記トリス(ジチオカルバメート)にとっては、トリエチルアミンを溶媒とし、そして、室温であり、前記トリス(キサンテート)にとっては、NaHであって、40〜80°C、好ましくは、50〜70°C、そして、より好ましくは、略60°Cであり、前記トリス(ジチオカルボン酸)にとっては、室温であり、前記トリス(トリチオカルボネート)にとっては、NaHであって、40〜80°C、好ましくは、50〜70°C、より好ましくは、略60°Cであり、前記トリス(ジチオオキサミド)にとっては、室温であり、前記トリス(チウロニウム塩)にとっては、60°C〜100°C、好ましくは、70〜90°C、そして、より好ましくは、略80°Cであり、そして、上述の化合物のいずれにとって、前記三官能性リンカーによって連結されるナノ粒子の形成を許容する前記反応条件が、室温である。
【0030】
一実施形態においては、前記ナノ粒子は、それらの表面上に金属原子を有するナノ粒子である。
【0031】
好ましくは、前記ナノ粒子は、金属ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、および、半導体ナノ粒子を具備するグループから選択される。
【0032】
一実施形態においては、前記ナノ粒子は、平均寸法が、<1μm、好ましくは、≦500nm、好ましくは、≦300nm、最も好ましくは、≦100nmを有する粒子である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
ここで使用されているように、用語「精製(purification)」は、また、プロセスを含むことを意味し、そのプロセスにおいては、精製するように試みが行われ、完全に精製された生産物を生ずることは必要とされない。用語「精製」は、また、「濃縮(concentrating)」、または、「分離(isolating)」のプロセスと共に、同意語として、使用されることを意味する。
【0034】
用語「多官能性リンカー(polyfunctional linker)」は、ここで使用されているように、リンカー分子を言及することを意味し、そのリンカー分子においては、ナノ粒子、好ましくは、金属原子または金属イオンへの前記リンカーの結合をナノ粒子上において可能にする、少なくとも2つの独立したサイト(site)が存在する。「官能性」は、この意味においては、それ故に、ナノ粒子への結合の能力を言及する。
【0035】
用語「オーガニック・レスト(organic rest)」は、ここで使用されているように、以下のものを具備するグループから選択される、有機分子レスト(organic molecular rest)を言及することを意味する。

・メチル(methyl)、エチル(ethyl)、n−プロピル(n−propyl)、イソプロピル(isopropyl)、2−ペンテン−1−イル(2−propen−1−yl)、2−プロピン−1−イル(2−propyn−1−yl)、ドデシル(dodecyl)、ヘキサデシル(hexadecyl)、または、オクタデシル(octadecyl)のように、飽和、または、不飽和のいずれかの炭化水素のサブユニット(sub−unit)を具備する、1から22の炭素元素を有する、直鎖、および、分岐した鎖の炭化水素基であって、2−ブロモエチル(2−bromoethyl)、1−カルボキシエチル(1−carboxyethyl)、2−カルボキシエチル(2−carboxyethyl)、2−シアノエチル(2−cyanoethyl)、2−ヒドロキシ(2−hydroxy)、2−メトキシエチル(2−methoxyethyl)、2−ニトロエチル(2−nitroethyl)、2−メルカプトエチル(2−mercaptoethyl)、2−フォスフォエチル(2−phosphonoethyl)、2−スルフォエチル(2−sulfoethyl)、2,2,2−トリフルオロエチル(2,2,2−trifluoroethyl)、または、2−ビニルエチル(2−vinyloxyethyl)のような、置換された直鎖の炭化水素基を含むもの。

・シクロプロピル(cyclopropyl)、シクロヘキシル(cyclohexyl)、または、アダマンタニル(adamantanyl)のような、飽和炭化水素のサブユニットを具備する3から12の炭素原子を有する環状炭化水素基であって、1−カルボキシシクロプロピル(1−carboxycyclopropyl)、4−ヒドロキシシクロヘキシル(4−hydroxycyclohexyl)、または、グルシチル(glucityl)のような、置換された環状炭化水素基を含むもの。

・2−エトキシエタノール(2−ethoxyethanol)、2−モルフォリノエチル(2−morpholinoethyl)、11−アジド−3,6,9−トリオキサウンデシル(11−azido−3,6,9−trioxaundecyl)、または、ドデカエチレングルコール(dodecaethyleneglycol)のような、飽和炭化水素のサブユニットと、1から12の酸素、および/または、窒素ヘテロ原子とを具備する、2から26の炭素原子を有する、直鎖、および、環状の炭化水素基。

・ベンジル(benzyl)、2−フェニルエチル(2−phenylethyl)、3−フェニルプロピル(3−phenylpropyl)、または、1−ナフチルメチル(1−naphthylmethyl)のような、1から8の炭素原子のアルキル(alkyl)基に直接的に結合された、6から14の炭素原子の炭素環式の芳香族官能基を有するアルキルアリル(alkylaryl)基であって、(4−アミノフェニル)−2−エチル((4−aminophenyl)−2−ethyl)、(4−カルボキシフェニル)−2−エチル((4−carboxyphenyl)−2−ethyl)、または、(4−エチルフェニル)2−エチル)((4−ethylphenyl)−2−ethyl)のような、炭素原子のアルキル基に直接的に結合されている、置換された炭素環式の芳香族官能基を有するアルキルアリル基を含むもの。

・3から13の炭素原子、そして、1から8の炭素原子のアルキル基に直接的に結合された、1から4の酸素、窒素、および/または、硫黄原子のヘテロ環状の芳香族官能基を有するアルキルアリル(alkylaryl)基であって、(2−チオフェニル)メチル((2−thiophenyl)methyl)、インドール−2−エチル(indole−2−ethyl)、または、(4−ピリジル)−2−エチル((4−pyridyl)−2−ethyl)のようなもの。
【0036】
そのフィルムの形成にて選択された「オーガニック・レスト」の種類は、それぞれのナノ粒子フィルムの詳細な物理的および化学的特性を決定する。化学センサー用途にて使用されるケミレジスタ(chemiresistor)にて、特に適するオーガニック・レストは、EP 1 215 485において、明記されており、そこでの全ての内容は、そこでの言及による全体において、ここに組み込まれる。
【0037】
用語「ナノ粒子(nanoparticle)」は、ここで使用されているように、粒子の平均外形寸法(average dimension)が、<1μm、好ましくは、≦500nm、より好ましくは、≦300nm、そして、最も好ましくは、≦100nmである粒子を言及することを意味する。
【0038】
用語「反応混合物(前記多官能性リンカーの)とナノ粒子の分散との中で交互に基板を浸すこと(alternately immersing the substrate in a reaction mixture (of said polyfunctional linker) and a dispersion of nanoparticles)」は、ここで使用されているように、前記基板が、前記反応混合物と、前記ナノ粒子の分散とのそれぞれの中へ、少なくとも、1回、好ましくは、2,3回、4回、5回など、浸されるプロセスを言及することを意味する。「交互に浸すこと(alternately immersing)」の1サイクルは、上記で使用されているように、それ故に、前記反応混合物中への1回の浸漬、そして、ナノ粒子の前記分散への1回の浸漬を含む。もし、いくつかのそのようなサイクルが実行されるのであれば、さまざまなサイクルの間において、任意で、乾燥するステップがある。「前記反応混合物と、ナノ粒子の分散とにおいて交互に浸すこと」の、そのようなプロセスは、ここで使用されているように、用語「多層自己組織化(layer−by−layer self−assembly)」と共に、同意語として、使用されている。
【0039】
用語「前記多官能性リンカーを生成する前記前駆体を含むこと(inducing said precursor to produce said polyfunctional linker)」は、ここで使用されているように、前記前駆体が、その多官能性リンカーを生成することをもたらすことによる、いかなるプロセスをも示すことを意味する。たとえば、そのようなプロセスは、温度、溶媒のような、反応条件の変化を含んでもよく、または、前駆体がその後に多官能性リンカーを生成するように反応する、さらなる試薬の付加をしてもよい。一実施形態においては、その前駆体は、その前駆体の溶液のような、反応混合物中に存在しており、そして、たとえば、CSのような、さらなる試薬が、加えられ、その結果、多官能性リンカーが生成される。
【0040】
本発明者らは、驚いたことに、それらが、多層自己組織化(layer−by−layer self−assembly)によって、多官能性リンカー分子と共に連結されたナノ粒子フィルムを、作成可能であることを見出し、ここでは、組織化(assembly)のために使用されるリンカー溶液が、最初に、多官能性リンカーを、自然発生的に、たとえば、CSのような安定な試薬の添加で生成する前駆体分子を具備し、そして、そのようなリンカー溶液においては、その多官能性リンカーが、そのフィルム組織化プロセスのために、さらなる精製、または、分離、または、濃縮をすること無しに、直接的に、その位置にて(in−situ)使用されている。一実施形態においては、そのようなリンカー溶液は、前述の多層自己組織化プロセスにおいて使用され得る。それに代わって、他の実施形態においては、そのようなリンカー溶液へ、ナノ粒子を加え、そして、基板は、その後、さらにナノ粒子を含む、そのようなリンカー溶液中へ浸される。浸漬(immersion)においては、その多官能性リンカー分子によって連結されたナノ粒子フィルムは、基板上におけるリンカー分子とのナノ粒子の反応によって、沈殿される。本プロセスの両実施形態は、周囲条件の下、都合よく、実行され、そして、そのために、広域な、または、複雑な実験室の取り扱いを必要としない。さらに、膨大な種類の多官能性リンカー分子は、そのような方法において使用され得る。その原位置での生成(in−situ−generation)、および、その後の直接な用途は、さらなる精製、または、分離の必要性を取り除くことであり、そして、それにより、速く、そして、安価な、ナノ粒子フィルムを形成する方法を可能にする。
【0041】
以下においては、図を用いて言及する。
【0042】
さらに、本発明を図解するように与える実施例を言及するが、それと同じものに限定されない。
【0043】
実施例
1.例示的な反応は、図1に従って実行され、ここでは、アミンからのビス(ジチオカルバメート)が、原位置(in situ)で形成された。これは、1mlの溶液a,b,そして,cを共に混合して取り込み、そして、2mlのトルエン(toluene)を加えることによって、5mlのビス(ジチオカルバメート)溶液が得られた。
溶液a:5mlトルエンにおける、3.48μlのN,N’−ジブチル−1,6−ヘキサンジアミン(3.48μl N,N’−Dibutyl−1,6−Hexanediamine in 5ml toluene)
溶液b:14mlトルエンにおける、4.36μlのCS(4.36μl CS in 14ml toluene)
溶液c:12mlトルエンにおける、8.4μlのNEt3(8.4μl NEt3 in 12ml toluene)
【0044】
2.ビス(ジチオカルバメート)のリンカーは、自己組織化プロセスにおいて使用されて、Au−ナノ粒子を連結した。その形成されたフィルムは、そのフィルム材料における、ビス(ジチオカルバメート)分子と、Au−ナノ粒子との結合(incorporation)を確認する光電子スペクトロスコピー(photoelectron spectroscopy)を用いて、調査された。その一サンプルのXPスペクトル(XP spectrum)は、例として、図2において与えられる。同様に、そのフィルムは、走査型電子顕微鏡(scanning electron microscopy)を用いて調査され、そして、その図3において示されたSEMイメージは、確かに、同質の(homogenous)ナノ粒子フィルムが形成されたことを、示している、
【0045】
3.多くのニ官能性または多官能性リンカーの例示的なスキーム(scheme)は、以下のスキームにおいて、集約され得る。反応a)は、多層自己組織化プロセスであって、ここでは、最初に、その多官能性リンカーは、そのような多層自己組織化プロセスにおいて、その反応混合物が、分離、または、濃縮のための更なる精製無しに、直接的に使用されるところにおいて、生成される。反応b)は、ナノ粒子が反応混合物中において存在する間に、多官能性リンカーが生成されるところの反応を示している。本タイプの反応においては、基板は、そのとき、その反応混合物において浸され、そして、その多官能性リンカーによって連結されたナノ粒子フィルムは、基板上において、沈殿される。沈殿(Precipitation)は、自然発生的に生ずる。
【0046】
1)ニ官能性リンカー:
【0047】
【化6】

【0048】
2)多官能性リンカー:
【0049】
【化7】

【0050】
X=官能基、NP表面との相互作用がない、または、弱いもの(functional group,no or weak interaction with NP surfaice)
B=試薬(reagent)、NP表面との相互作用がない、または、弱いもの
Z=Bとの反応によってAから形成された官能基、NP表面との相互作用(=結合すること(binding))が強いもの
R=オーガニック・レスト(organic rest),
1=原位置(in−situ)でリンカー分子を形成するための反応条件
2=ナノ粒子ネットワークを形成するための反応条件
3=原位置(in−situ)でリンカー分子を形成するため、そして、ナノ粒子ネットワークを形成するための反応条件
NP=ナノ粒子(nanoparticle)
【0051】
実施例:
ジチオカルバメート(Dithiocarbamate):X=−NH−R,B=CS、1=NEt(at RT),Z=−NR−CSSH
キサンテート(Xanthate):X=OH、B=CS、1=NaH(at60°)、Z=−O−CSSH
トリチオカーボネート(Trithiocarbonate):X=SH、B=CS、1=NaH(at60°)、Z=−S−CSSH
ジチオカルボン酸:X=MgBr、B=CS、1=RT、Z=−CSSH
ジチオオキサアミド(Dithiooxamide):X=NH;B=NH2−C(S)−C(S)−NH;1=RT,Z=−NH−C(S)−C(S)−NH−R
チウロニウム塩(Thiuronium−Salt):X=Br、Cl、I,B=NH−C(S)−NH;1=80°,Z=−S(−NH2)(=NH)X
2=たとえば、室温(RT)での層組織化(layer assembly)による層
3=たとえば、室温での沈殿(precipitation)
【0052】
さらに、その結果として得た、ナノ粒子が連結したフィルム材料は、化学センサーのためのコーティングするものとして、使用され得る。その示されたビス(ジチオカルバメート)のケミレジスタ(chemiresistor)の例として、結果として得たセンサー応答性は、図4において与えられおり、化学センサーにおいて首尾よく使用される、ナノ粒子フィルムが連結されたフィルムの安定性を示している。
【0053】
それ故に、本発明に従う方法において、さまざまな多官能性リンカー分子は、原位置において形成され、その連結された材料の、さらなる精製、または、濃縮、または、分離無しに、そのときに、直接的に、使用され得る。本アプローチは、速く、そして、安価に、ナノ粒子フィルムを形成する方法を可能にし、大量生産(mass production)、そして、工業的なスケールでのプロセスにプロセスを従わせる。
【0054】
本明細書、特許請求の範囲、および/または、添付した図面において開示された本発明の特徴は、両者を分離して、そして、それらのいかなる組み合わせにおいて、それの変形形態にて、本発明を悟るための材料にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は、さらなる精製無しにフィルム組織化のために直接的に使用されるアミンから、原位置でビス(ジチオカルバメート)を、形成する例示的なリンカー溶液における反応を示す。
【図2】図2は、原位置で形成された、指示されたビス(ジチオカルバメート)(bis(dithiocarbamate))と共に作成されたナノ粒子フィルムのX線・光電子測定スペクトルを示す。
【図3】図3は、図2のビス(ジチオカルバメート)と共に組織化されたナノ粒子フィルムのSEMイメージを示す。
【図4】図4は、ビス(ジチオカルバメート)センサーのセンサー応答性(sensor response)を示し、ここでは、原位置で形成された、そのリンカーの構造も、また、示されている(図2も参照)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多官能性リンカーを用いて互いが連結されたナノ粒子のフィルムを形成する方法であって、
前記多官能性リンカーは、反応混合物において生成されており、反応混合物が、前記多官能性リンカーの精製なしに、前記ナノ粒子を連結するために使用されていることを特徴とする
ナノ粒子フィルム形成方法。
【請求項2】
請求項1に従う方法であって、以下のステップ、
a)前記多官能性リンカーを生成可能な前駆体を与えること、
b)前記前駆体を含む反応混合物において、好ましくは、前記前駆体の溶液において、前記多官能性リンカーを生成する前記前駆体を含むこと、
c)ステップb)の前記反応混合物を、ナノ粒子を連結する精製なしに、使用すること、
を具備するナノ粒子フィルム形成方法。
【請求項3】
請求項2に従う方法であって、ステップc)は、ステップb)が終了された後、直ちに、実行されることを特徴とする
ナノ粒子フィルム形成方法。
【請求項4】
請求項2に従う方法であって、ステップc)は、ステップb)と共に、ステップb)の前記反応混合物において、ステップb)の開始からナノ粒子を含むことによって、または、ステップb)の過程においてナノ粒子をステップb)の前記反応混合物へ加えることによって、実行されることを特徴とする
ナノ粒子フィルム形成方法。
【請求項5】
先行する請求項のいずれかに従う方法であって、前記多官能性リンカーによって連結されたナノ粒子のフィルムは、前記反応混合物内に基板を浸すことによって、当該基板上に形成されることを特徴とする
ナノ粒子フィルム形成方法。
【請求項6】
請求項3と5とのいずれかに従う方法であって、前記多官能性リンカーによって連結されたナノ粒子のフィルムは、前記反応混合物内と、ナノ粒子の分散内とに交互に基板を浸すことによって、当該基板上に形成されることを特徴とする
ナノ粒子フィルム形成方法。
【請求項7】
請求項4と5とのいずれかに従う方法であって、前記多官能性リンカーによって連結されたナノ粒子のフィルムは、その中にナノ粒子も有する前記反応混合物内に、基板を浸すことによって、当該基板上に形成されることを特徴とする
ナノ粒子フィルム形成方法。
【請求項8】
先行する請求項のいずれかに従う方法であって、前記多官能性リンカーは、ナノ粒子への前記官能基の結合において、少なくとも、2つのナノ粒子が連結されるように、前記リンカーをナノ粒子に結合することを、それぞれが可能にする、少なくとも2つの官能基を有していることを特徴とする
ナノ粒子フィルム形成方法。
【請求項9】
請求項2〜8のいずれかに従う方法であって、前記多官能性リンカーは、前記リンカーをナノ粒子に結合することを、それぞれが可能にする2つの官能基を有するニ官能性リンカーであることを特徴とし、そして、さらに、前記ニ官能性リンカーが、一般式
Z−R−Z
で示されることを特徴としており、ここでは、Rが、オーガニック・レストを示し、そして、Zが、ナノ粒子表面上における金属原子への結合親和力を有する官能基を示している
ナノ粒子フィルム形成方法。
【請求項10】
請求項9に従う方法であって、前記ニ官能性リンカーである、
Z−R−Z
は、それの前駆体である
X−R−X
と、Bとの反応から生成されることを特徴としており、ここでは、Xが、ナノ粒子表面上における金属原子への非結合親和力を有する官能基を示しており、Rが、オーガニック・レストを示しており、そして、Bが、前記前駆体との反応において、前記ニ官能性リンカーを生成する反応物質を示している
ナノ粒子フィルム形成方法。
【請求項11】
請求項10に従う方法であって、前記前駆体X−R−Xは、そのニ官能性リンカー分子の形成を許容する反応条件の下で、反応混合物においてBと反応され、そこでは、基板が、交互に、前記反応混合物と、ナノ粒子の分散とにおいて交互に浸されて、前記ニ官能性リンカーによって連結されるナノ粒子の形成を許容し、前記基板上において前記ニ官能性リンカーによって連結されたナノ粒子のフィルムを形成することを特徴とする
ナノ粒子フィルム形成方法。
【請求項12】
請求項10に従う方法であって、前記前駆体X−R−Xは、そのニ官能性リンカー分子の形成、および、前記ニ官能性リンカーによって連結されるナノ粒子の形成を許容する反応条件の下で、基板が前記ニ官能性リンカーによって連結されたナノ粒子のフィルムを前記基板上において形成するように浸される反応混合物の中へ、反応混合物においてBおよびナノ粒子と反応されることを特徴とする
ナノ粒子フィルム形成方法。
【請求項13】
請求項11〜12のいずれかに従う方法であって、前記ニ官能性リンカーは、ビス(ジチオカルバメート)、ビス(キサンテート)、ビス(ジチオカルボン酸)、ビス(トリチオカルボネート)、ビス(ジチオオキサミド)、および、ビス(チウロニウム塩)を具備するグループから選択され、ここでは、前記ビス(ジチオカルバメート)にとっては、Zが、−NR−CSSHであり、Xが、−NH−Rであり、Bが、CSであり、
前記ビス(キサンテート)にとっては、Zが、−O−CSSHであり、Xが、−OHであり、Bが、CSであり、
前記ビス(ジチオカルボン酸)にとっては、Zが、−CSSHであり、XがMgBrであり、Bが、CSであり、
前記ビス(トリチオカルボネート)にとっては、Zが、−S−CSSHであり、Xが、SHであり、Bが、CSであり、
前記ビス(ジチオオキサミド)にとっては、Zが、−NH−C(S)−C(S)−NH−Rであり、Xが、NHであり、Bが、NH−C(S)−C(S)−NHであり、
前記ビス(チウロニウム塩)にとっては、Zが、−S(−NH2)(=NH)Xであり、Xが、Br、Cl、または、Iであり、Bが、NH−C(S)−NHであり、
上述の化合物のいずれにとって、Rが、オーガニック・レストであることを特徴とする
ナノ粒子フィルム形成方法。
【請求項14】
請求項13に従う方法であって、前記ニ官能性リンカー分子の形成を許容する前記反応条件は、
前記ビス(ジチオカルバメート)にとっては、トリエチルアミンを溶媒とし、そして、室温であり、
前記ビス(キサンテート)にとっては、NaHであって、40〜80°C、好ましくは、50〜70°C、そして、より好ましくは、略60°Cであり、
前記ビス(ジチオカルボン酸)にとっては、室温であり、
前記ビス(トリチオカルボネート)にとっては、NaHであって、40〜80°C、好ましくは、50〜70°C、より好ましくは、略60°Cであり、
前記ビス(ジチオオキサミド)にとっては、室温であり、
前記ビス(チウロニウム塩)にとっては、60°C〜100°C、好ましくは、70〜90°C、そして、より好ましくは、略80°Cであり、
そして、上述の化合物のいずれにとって、前記ニ官能性リンカーによって連結されるナノ粒子の形成を許容する前記反応条件が、室温であることを特徴とする
ナノ粒子フィルム形成方法。
【請求項15】
請求項2〜8のいずれかに従う方法であって、ナノ粒子への前記官能基の結合において、少なくとも、3つのナノ粒子が、それによって、連結されるように、前記リンカーをナノ粒子に結合することを、それぞれが可能にする、少なくとも3つの官能基を有していることを特徴とする
ナノ粒子フィルム形成方法。
【請求項16】
請求項15に従う方法であって、前記多官能性リンカーは、前記リンカーをナノ粒子に結合することを、それぞれが可能にする3つの官能基を有する三官能性リンカーであることを特徴とし、そして、さらに、前記三官能性リンカーが、一般式
【化1】

で示されることを特徴としており、ここでは、Rが、オーガニック・レストを示し、そして、Zが、ナノ粒子表面上における金属原子への結合親和力を有する官能基を示している
ナノ粒子フィルム形成方法。
【請求項17】
請求項16に従う方法であって、前記三官能性リンカーである
【化2】

は、それの前駆体である
【化3】

と、Bとの反応から生成されることを特徴としており、ここでは、Xが、ナノ粒子表面上における金属原子への非結合親和力を有する官能基を示しており、Rが、オーガニック・レストを示しており、そして、Bが、前記前駆体との反応において、前記三官能性リンカーを生成する反応物質を示している
ナノ粒子フィルム形成方法。
【請求項18】
請求項17に従う方法であって、前記前駆体である
【化4】

は、三官能性リンカー分子の形成を許容する反応条件の下で、反応混合物においてBと反応され、そこでは、基板が、交互に、前記反応混合物と、ナノ粒子の分散とにおいて交互に浸されて、前記三官能性リンカーによって連結されるナノ粒子の形成を許容し、前記基板上において前記三官能性リンカーによって連結されたナノ粒子のフィルムを形成することを特徴とする
ナノ粒子フィルム形成方法。
【請求項19】
請求項17に従う方法であって、前記前駆体である
【化5】

は、三官能性リンカー分子の形成、および、前記三官能性リンカーによって連結されるナノ粒子の形成を許容する反応条件の下で、基板が前記三官能性リンカーによって連結されたナノ粒子のフィルムを前記基板上において形成するように浸される反応混合物の中へ、反応混合物においてBおよびナノ粒子と反応されることを特徴とする
ナノ粒子フィルム形成方法。
【請求項20】
請求項18〜19のいずれかに従う方法であって、前記三官能性リンカーは、トリス(ジチオカルバメート)、トリス(キサンテート)、トリス(ジチオカルボン酸)、トリス(トリチオカルボネート)、トリス(ジチオオキサミド)、および、トリス(チウロニウム塩)を具備するグループから選択され、ここでは、前記ビス(ジチオカルバメート)にとっては、Zが、−NR−CSSHであり、Xが、−NH−Rであり、Bが、CSであり、
前記ビス(キサンテート)にとっては、Zが、−O−CSSHであり、Xが、−OHであり、Bが、CSであり、
前記ビス(ジチオカルボン酸)にとっては、Zが、−CSSHであり、XがMgBrであり、Bが、CSであり、
前記ビス(トリチオカルボネート)にとっては、Zが、−S−CSSHであり、Xが、SHであり、Bが、CSであり、
前記ビス(ジチオオキサミド)にとっては、Zが、−NH−C(S)−C(S)−NH−Rであり、Xが、NHであり、Bが、NH−C(S)−C(S)−NHであり、
前記ビス(チウロニウム塩)にとっては、Zが、−S(−NH2)(=NH)Xであり、Xが、Br、Cl、または、Iであり、Bが、NH−C(S)−NHであり、
上述の化合物のいずれにとって、Rが、オーガニック・レストであることを特徴とする
ナノ粒子フィルム形成方法。
【請求項21】
請求項20に従う方法であって、前記三官能性リンカー分子の形成を許容する前記反応条件は、
前記トリス(ジチオカルバメート)にとっては、トリエチルアミンを溶媒とし、そして、室温であり、
前記トリス(キサンテート)にとっては、NaHであって、40〜80°C、好ましくは、50〜70°C、そして、より好ましくは、略60°Cであり、
前記トリス(ジチオカルボン酸)にとっては、室温であり、
前記トリス(トリチオカルボネート)にとっては、NaHであって、40〜80°C、好ましくは、50〜70°C、より好ましくは、略60°Cであり、
前記トリス(ジチオオキサミド)にとっては、室温であり、
前記トリス(チウロニウム塩)にとっては、60°C〜100°C、好ましくは、70〜90°C、そして、より好ましくは、略80°Cであり、
そして、上述の化合物のいずれにとって、前記三官能性リンカーによって連結されるナノ粒子の形成を許容する前記反応条件が、室温であることを特徴とする
ナノ粒子フィルム形成方法。
【請求項22】
先行する請求項のいずれかに従う方法であって、前記ナノ粒子は、それらの表面上に金属原子を有するナノ粒子であることを特徴とする
ナノ粒子フィルム形成方法。
【請求項23】
請求項22に従う方法であって、前記ナノ粒子は、金属ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、および、半導体ナノ粒子を具備するグループから選択されることを特徴とする
ナノ粒子フィルム形成方法。
【請求項24】
請求項22〜23のいずれかに従う方法であって、前記ナノ粒子は、平均外形寸法が、<1μm、好ましくは、≦500nm、好ましくは、≦300nm、最も好ましくは、≦100nmを有する粒子であることを特徴とする
ナノ粒子フィルム形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−291363(P2007−291363A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−79057(P2007−79057)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(397051508)ソニー ドイチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (140)
【Fターム(参考)】