多層基板とその製造方法
【課題】耐熱フィルムを用いた従来の多層基板において、導電ペーストからなるビアを多層に積層した場合、抜き部分に、皺が発生する場合があり、多層基板の信頼性や、多層基板の表面への部品実装性に影響を与える場合があった。
【解決手段】厚み30μm以下の耐熱フィルム104aと、内層配線102間に設けられた蛇行パターン106を有する抜き部分105と、複数の内層配線102間を層間接続する導電ペースト113とを有する、コア基板部108と、このコア基板部108の両面に、第2の樹脂層もしくは第2の耐熱フィルムを介して固定した表層配線117と、を有する多層基板101であって、蛇行パターン106の大きさやピッチは、共に蛇行パターン106の幅の0.1倍以上5倍以下、長さは3mm以上20mm以下であることを特徴とする多層基板101とする。
【解決手段】厚み30μm以下の耐熱フィルム104aと、内層配線102間に設けられた蛇行パターン106を有する抜き部分105と、複数の内層配線102間を層間接続する導電ペースト113とを有する、コア基板部108と、このコア基板部108の両面に、第2の樹脂層もしくは第2の耐熱フィルムを介して固定した表層配線117と、を有する多層基板101であって、蛇行パターン106の大きさやピッチは、共に蛇行パターン106の幅の0.1倍以上5倍以下、長さは3mm以上20mm以下であることを特徴とする多層基板101とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイミド等の耐熱フィルムと、銅箔からなる複数層の配線とを、接着剤となる熱硬化性樹脂層を介して積層すると共に、前記配線間を、導電ペーストを用いて層間接続してなる多層基板とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化、高性能化に伴い、産業用にとどまらず広く民生用機器の分野においてもLSI等の半導体チップを高密度にベアチップ実装できる多層基板が安価に供給されることが強く要望されてきている。このような多層基板では微細な配線ピッチで形成された複数層の配線パターン間を高い接続信頼性で電気的に接続できることが重要である。
【0003】
また、携帯電話に代表される携帯機器においては特に、機能の集積化の傾向に加えて、より持ち運び性を良くするべく、機器の薄型化の傾向が顕著であり、多層基板にもより高密度で薄いものが要求されている。
【0004】
このような市場の要望に対して従来の多層基板に代えて、絶縁層にフィルム基材を用いた多層基板の任意層に形成した電極を任意の配線パターン位置において層間接続できるインナービアホール接続法すなわち全層IVH構造樹脂多層基板と呼ばれるものがある(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3102326号公報
【特許文献2】特開2003−258431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の絶縁層にフィルム基材を用いた多層基板において、市場ニーズに対応すべく、その全総厚を300μm以下、更には200μm以下と、薄くすることが難しく、また総厚を薄くした場合、内蔵された銅箔からなる配線パターン等が、多層基板の表面に凹凸として表出したり、内層に起因するボイドや皺が発生しやすい。
【0007】
図11(A)(B)は、それぞれ従来のフィルムを用いた極薄の多層基板の断面図と、その内層部分の上面図である。図11(A)(B)に示すように、従来の多層基板1は、内層配線2や、硬化済樹脂層3、耐熱フィルム4a、4b、硬化済接着層5、表層配線6、ペーストビア7等より構成されている。
【0008】
図11(A)において、中心(あるいはコア基板部)となる耐熱フィルム4aの表面には硬化済樹脂層3を介して内層配線2が固定されている。また内層配線2の上には、硬化済接着層5を介して耐熱フィルム4bや、表層配線6が固定されている。
【0009】
図11(A)(B)におけるボイド8は、複数の耐熱フィルム4a、4bの間に挟まれてはいるが、硬化済樹脂層3の内部に形成されたものではない。このボイド8は、特に、耐熱フィルム4bと硬化済接着層5との界面部分に発生しやすく、他にも硬化済樹脂層3と硬化済接着層5との界面、あるいは硬化済樹脂層5の内部に発生することがある。図11(B)は、図11(A)に示す従来の多層基板1の、ボイド8の上面図(あるいは耐熱フィルム4a、4bに平行な面での断面図)である。図11(B)に示すように、ボイド8は、互いに隣接した複数の配線2同士の距離が、離れている部分(いわゆる抜き部分)に発生しやすい。
【0010】
こうしたボイド8の発生した多層基板は、絶縁信頼性や、屈曲性等に課題が発生する可能性がある。
【0011】
次に図12〜図15を用いて、ボイド8の発生メカニズムの一例について説明する。
【0012】
図12は、従来の耐熱フィルムを用いた多層基板のコア基板部の一例を示す斜視図である。図12に示すように、コア基板部16は、耐熱フィルム4と、この両面に硬化済樹脂層3を介して保持された複数の内層配線2a、2b、2c、2d等から形成されている。また内層配線2a、2bとの間には抜き部分9a(即ち銅箔等が除去された部分)が形成されている。また内層配線2c、2dとの間にも、抜き部分9bが形成されている。また抜き部分9a、9bは、耐熱フィルム4の両面に互いに重なるように形成されている。補助線10は、耐熱フィルム4の裏面側の内層配線2c、2dを示す。
【0013】
次に互いに重なった抜き部分9a、9bが原因で、ボイド8が発生するメカニズムについて、図13〜15を用いて説明する。
【0014】
図13(A)(B)は、それぞれ図12に示したコア基板部において、抜き部分に皺が発生する様子を示す上面図と断面図である。図13(A)の矢印A−A’で示す部分の断面が、図13(B)に相当する。
【0015】
図13(A)(B)において、抜き部分9の間に設けられた耐熱フィルム4は硬化済接着層3と一体化した状態で、皺11を形成する。こうした皺11は、抜き部分9の幅に比べ、抜き部分9の長さが大きくなった場合に発生しやすい。
【0016】
図13(A)(B)において、皺11のピッチを矢印13で示している。また皺11の上面図が図13(A)、側面図(あるいは断面図)が図13(B)に相等し、図13(A)と図13(B)の位置関係は、補助線12で示している。
【0017】
次に、図14、図15を用いて、従来の基板の製造工程において、特にコア基板部に皺が発生するメカニズムについて説明する。
【0018】
図14(A)(B)は、抜き部分を有するコア基板部の両面に、接着層が両面に形成された耐熱フィルムや、銅箔を積層する際に皺が発生する様子を説明する断面図である。
【0019】
図14(A)に示すように、抜き部分9が両面に重なるように形成されたコア基板部16の両面に、接着層15が両面に形成された耐熱フィルム4bや銅箔14をセットする。
【0020】
次に図14(B)に示すように、矢印13に示すようにこれら部材を積層する。この際、コア基板部16の内層配線2と、耐熱フィルム4bの接着層15が密着するが、コア基板部16の抜き部分9においては耐熱フィルム4bの接着層15は、浮いた(密着していない)状態となる。
【0021】
図15(A)〜(C)は、加熱加圧によって接着層を軟化させることで、皺やボイドが発生する様子を示す断面図である。図15に示すように、加熱加圧によって、コア基板部16の特に、抜き部分9において、皺11が発生する。これは皺11の両側において、コア基板部16の配線と、耐熱フィルム4bの接着層15が密着しているが、コア基板部16の抜き部分において密着していないためである。その結果、図15(A)に示すようにボイド8が発生する。
【0022】
また図15(A)に示すように、一度発生したボイド8は、図15(B)、(C)に示す銅箔14を表層配線6としてパターニングするパターニング工程において、消失しない。
【0023】
そしてこうしたボイド8は、多層基板1の厚みが薄くなるほど発生しやすいことは言うまでもない。
【0024】
本発明は上記課題を解決するものであり、特に厚み30μm以下の耐熱フィルムを、接着層等を介して複数枚、積層し、導電ペーストを層間接続としてなる多層基板において、ボイド発生を抑制することで、絶縁信頼性や、屈曲性を向上してなる多層基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記目的を達成するために、本発明は、厚み30μm以下の第1の耐熱フィルムと、前記耐熱フィルムの両面に硬化済樹脂層を介して固定された内層配線と、前記配線間に設けられた抜き部分と、前記耐熱フィルムに形成された孔に充填され、複数の前記配線間を層間接続するビアペーストとを有する、コア基板部と、このコア基板部の両面に、第2の接着層もしくは第2の耐熱フィルムを介して固定した表層配線と、を有する多層基板であって、前記抜き部分は、蛇行パターンであり、この蛇行パターンは、耐熱フィルムの厚みが10μm±1μmの場合は6mm2以上25mm2以下の四角形からなる評価パターンが、耐熱フィルムの厚みが12.5μm±1μmの場合は8mm2以上35mm2以下の四角形からなる評価パターンが、耐熱フィルムの厚みが25μm±3μmの場合は15mm2以上50mm2以下の四角形からなる評価パターンが、入るものであることを特徴とする多層基板とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明の多層基板とその製造方法によれば、特に厚み30μm以下の耐熱フィルムを、接着層等を介して積層し、導電ペーストを層間接続としてなる多層基板において、ボイド発生を抑制することができ、絶縁信頼性や、屈曲性を高めると共に、ビア部分や、多層基板の表面(あるいは実装面)における平坦性を高めることができ、半導体チップのベアチップ実装に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の多層基板におけるコア基板部を抜き出して説明する斜視図
【図2】(A)〜(E)は、共にコア基板部の製造方法の一例を説明する断面図
【図3】(A)〜(C)は、共に本発明の多層基板に用いるコア基板部の製造方法の一例を示す断面図
【図4】(A)(B)は、図2〜図3で作成したコア基板部を用いた多層基板の製造方法の一例を説明する断面図
【図5】(A)(B)は、それぞれ蛇行パターンによってコア基板部の抜き部分の皺の発生が低減されるメカニズムを示す断面図と、斜視図
【図6】(A)(B)は、図5に続く、製造方法の一例を説明する断面図
【図7】(A)(B)は、共に蛇行パターンの一例について説明する上面図
【図8】(A)(B)は、共に蛇行パターンの一例について説明する上面図
【図9】蛇行パターンの一例について説明する上面図
【図10】多層基板の一例を示す上面図
【図11】(A)(B)は、それぞれ従来のフィルムを用いた極薄の多層基板の断面図と、その内層部分の上面図
【図12】従来の耐熱フィルムを用いた多層基板のコア基板部の一例を示す斜視図
【図13】(A)(B)は、それぞれ図12に示したコア基板部において、抜き部分に、皺が発生する様子を示す上面図と断面図
【図14】(A)(B)は、抜き部分を有するコア基板部の両面に、接着層が両面に形成された耐熱フィルムや、銅箔を積層する際に皺が発生する様子を説明する断面図
【図15】(A)〜(C)は、加熱加圧によって接着層を軟化させることで、皺やボイドが発生する様子を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0028】
(実施の形態1)
図1を用いて、実施の形態1について説明する。図1は、本発明の多層基板におけるコア基板部を抜き出して説明する斜視図である。図1において、101は多層基板、102a、102b、102c、102dは内層配線、103は硬化済樹脂層、104は耐熱フィルム、105a、105bは抜き部分、106は蛇行パターン、107は点線、108はコア基板部である。
【0029】
109はビアで、耐熱フィルム104や硬化済樹脂層103を貫通する孔(番号は付与していない)と、この孔に充填された銅ペースト等の導電ペースト(番号は付与していない)からなる。なお導電ペーストは、例えば、銅粉に少量のエポキシ樹脂等を添加したものであり、内層配線102bと内層配線102cとを層間接続する。
【0030】
図1において、ポリイミド等の耐熱フィルム104(例えば第1の耐熱フィルム)の両面には、硬化済樹脂層103(例えば第1の硬化済樹脂層)を介して、銅箔等からなる内層配線102a、102b、102c、102dが固定され、コア基板部108を形成している。そしてこのコア基板部108の上に、第2の硬化済樹脂層もしくは第2の耐熱フィルムを(共に図示していない)を介して固定した表層配線(なお表層配線は図示していない)を設けることで、多層基板101が形成される。
【0031】
コア基板部108において、内層配線102aと内層配線102bとの間には、抜き部分105a(すなわち内層配線102aと内層配線102bとの間に設けられていた銅箔部分がエッチング等で抜かれてなる部分)が形成され、互いの配線間が絶縁されている。同様に内層配線102cと内層配線102dの間も、抜き部分105bによって互いに絶縁されている。なお抜き部分105a、105bとは、例えば、銅箔(図示していない)の一部がエッチング等で除去され、その下地となる硬化済樹脂層103が露出している部分に相当する。なお抜き部分105a、105bは、内層配線102a、内層配線102bの間、及び内層配線102c、内層配線102dの間を略同じ距離で絶縁した状態で、共に蛇行してなる、蛇行パターン106とすることが望ましい。なお蛇行パターン106は、互いに略等間隔で隣接した耐熱フィルム104の片面の配線102a、102b間の抜き部分105aのパターン形状としても良いが、更には耐熱フィルム104の両面に形成された抜き部分105a、105bを合成したパターンとすることは有用である。
【0032】
なお蛇行パターン106は、パターンの中心線が、進行方向に対して左右に蛇行していれば良く、蛇行は直接を含むジグザグ状の蛇行であっても、曲線を主体とした曲線状の蛇行であっても良い。また蛇行パターン106をサイン波に例えた場合、蛇行の波長の大きさや、そのピッチ等は必ずしも、同じにする必要は無い。
【0033】
なお蛇行パターン106を、耐熱フィルム104の裏表面で対称とすることは有用である。また耐熱フィルム104の両面に形成された抜き部分であって、その片面だけを蛇行パターン106(それ以外の面を蛇行パターンより大きなパターン、あるいは蛇行していないパターン)としても良い。
【0034】
点線107は、耐熱フィルム104や硬化済樹脂層103の影に隠れた、内層配線102c、102dのパターンを示すものである。点線107に示すように、コア基板部108の両面において、抜き部分105a、105bを、共に蛇行パターン106とすることは有用である。
【0035】
このように、抜き部分105a、105bを蛇行パターン106とすることで、このコア基板部108の両面に、第2の接着層もしくは第2の耐熱フィルムを介して固定した表層配線と、を有する多層基板とした場合の、皺の発生やボイドの発生を抑制できる。
【0036】
なお蛇行パターン106の幅は、1mm以上15mm以下が望ましい。蛇行パターンの幅が1mm未満の場合、蛇行パターン106を設けなくても、皺が発生しにくい場合がある。また蛇行パターンの幅が15mm以上の場合、電子部品の高密度実装化に対応できない場合がある。なお蛇行パターン106の長さ(蛇行パターン106の中心線の長さで評価することが有用である)は、3mm以上20mm以下が望ましい。蛇行パターン106の長さが、3mm未満の場合、蛇行パターン106を設けなくても、皺が発生しにくい場合がある。蛇行パターン106の長さが20mmを超えた場合、電子部品の高密度実装化に対応できない場合がある。なお蛇行パターン106の蛇行の大きさ(蛇行パターン106の中心線で評価することが有用である)やピッチは、蛇行パターン106の幅の0.1倍以上5倍以下(更には0.2倍、更に0.4倍以上、3倍以下)が望ましい。蛇行の大きさ(即ち左右に蛇行する場合の中心線における左右の山谷の差で評価することが有用である)や蛇行ピッチ(中心線で評価することが有用である)が0.1倍未満の場合、あるいは5倍を超えた場合には、皺防止効果が得られない場合がある。
【0037】
言うまでもなく、コア基板部108の両面に形成された抜き部分105a、105bを互いに重ねることで蛇行パターン106とする(あるいは両面の抜き部分105a、105bを合成してなる蛇行パターン106とする)ことも有用である。この場合、例えば抜き部分105a、105bの投影パターン(例えば、抜き部分105aが形成されてなる上面からライトで照らして、抜き部分105bが形成されてなる下面と、合成した投影パターン)を、蛇行パターン106としても良い。
【0038】
このように蛇行パターン106を設けることで、特に厚み30μm以下の耐熱フィルム104を、接着層等を介して積層し、導電ペーストを層間接続としてなる多層基板101において、ボイド108の発生を抑制することができ、絶縁信頼性や、屈曲性を高めると共に、ビア部分や、多層基板の表面(あるいは実装面)における平坦性を高めることができ、半導体チップのベアチップ実装に対応することができる。
【0039】
(実施の形態2)
次に、図2〜図6を用いて、本発明の多層基板の製造方法の一例について説明する。図2〜図3は、本発明の多層基板におけるコア基板部の製造方法の一例である。
【0040】
図2(A)〜(E)は、共にコア基板部108の製造方法の一例を説明する断面図である。図2において、110は樹脂層であり、半硬化あるいは未硬化状態のエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等からなる。111は保護フィルム、112は孔、113は導電ペースト、114は突出部である。
【0041】
まず図2(A)に示すように、樹脂層110をその両面に設けた、厚み30μm以下(望ましくは25μm以下、更には12.5μm以下)のポリイミド等の耐熱フィルム104を用意する。
【0042】
次に、図2(B)に示すように、耐熱フィルム104の裏表面に、樹脂層110を介して、保護フィルム111を貼り付ける。なお保護フィルム111としては、厚み5〜50μm程度のPETフィルム等を用いる。なおPETフィルムの厚みを増減することで、後に説明する導電ペースト113の突出部114の高さを調整することができる。
【0043】
次に、図2(C)に示すように、保護フィルム111毎、耐熱フィルム104に孔112を形成する。孔112の形成は、炭酸ガスレーザー装置の活用が有用である。
【0044】
次に図2(D)に示すように、孔112の中に、導電ペースト113を充填する。導電ペーストとしては、銅粉等の金属粉を、少量のエポキシ樹脂に分散してなるビアペーストを使用することができる。
【0045】
次に図2(E)に示すように、保護フィルム111を除去することで、導電ペースト113からなる突出部114を、孔112(図示していない)の両側に設ける。
【0046】
図3(A)〜(C)は、共に本発明の多層基板に用いるコア基板部の製造方法の一例を示す断面図である。115は銅箔、116は矢印、117は表層配線である。
【0047】
図3(A)に示すように、導電ペースト113からなる突出部114を有する耐熱フィルム104の両面に、銅箔115を配設し、矢印116で示すように、加熱、加圧する。そして導電ペースト113を、銅箔115に圧接、密着させた状態で硬化させる。この際、突出部114を設けておくことで、より強い圧力で互いに密着できるため、接続抵抗を小さくし、信頼性を高められる。
【0048】
図3(B)は、これら部材を加圧しながら加熱する様子を示す。加熱することで、樹脂層110を、硬化済樹脂層103とすることができる。
【0049】
その後、図3(C)に示すように、銅箔115を、蛇行パターン106を形成するようにエッチングし、配線102a〜102dとする。なお配線102aと配線102bとの間および配線102cと配線102dとの間には、抜き部分105a、105bが形成されており、抜き部分105のパターンは(上面図として)、蛇行パターン106となる。また配線102bと配線102cとの間は、導電ペースト113が加圧された状態で熱硬化してなるビア109によって層間接続されている。
【0050】
蛇行パターン106の大きさやピッチは、共に蛇行パターンの幅の0.1倍以上5倍以下、長さは3mm以上20mm以下とすることが望ましい。
【0051】
図4〜図6は、共に、本発明の多層基板の製造方法の一例を説明する断面図である。
【0052】
図4(A)(B)は、図2〜図3で作成したコア基板部を用いた多層基板の製造方法の一例を説明する断面図である。
【0053】
図4(A)に示すように、図3(C)で作成したコア基板部108の両側に、両面に未硬化の樹脂層110を形成した耐熱フィルム104bをセットする。なお耐熱フィルムには、導電ペースト113の一部が突出部114として突出させることが望ましい。
【0054】
次に図4(B)の矢印116で示すように、これら部材を加圧、加熱し一体化する。この際、特に、導電ペースト113の厚み(即ち突出部114の高さ)と、コア基板部108の表面に突出するように設けた内層配線102a、102b、102c、102dが最初に互いに接触することとなる。こうすることで、導電ペースト113に、集中的に圧力を印加することができ、導電ペースト113の抵抗値(更には接触抵抗も)を低減することができる。
【0055】
図5(A)(B)は、それぞれ蛇行パターンによってコア基板部108の抜き部分の皺の発生が低減されるメカニズムを示す断面図と、斜視図である。
【0056】
図5(A)に示すように、加熱加圧されることで、耐熱フィルム104bの両面に形成された樹脂層110が低粘度化する。そして、低粘度化した樹脂層110が、抜き部分105に、矢印116aに示すように流れ込むが、蛇行パターン106を設けているため、皺等は発生しない。
【0057】
図5(B)は、蛇行パターン106が形成されることで、コア基板部108の抜き部分が高強度化する様子を示す斜視図である。図5(B)に示すように、蛇行パターン106を設けることで、矢印116b、116c、116dに示すように、コア基板部108が硬くなる(あるいは曲がりにくくなる)。このため、図5(A)に示すように、皺やボイド等は発生しない。
【0058】
図6(A)(B)は、図5に続く、製造方法の一例を説明する断面図である。図6(A)に示すように、未硬化状態であった樹脂層は、ボイド8(図示していない)の発生を抑制した状態で熱硬化し、硬化済樹脂層103となる。
【0059】
その後、図6(B)に示したように、表層に固定した銅箔115を、エッチング等で所定パターンに形成し、表層配線117とし、ソルダーレジスト(図示していない)等を形成し、多層基板101とする。
【0060】
こうしたボイドの発生は、極薄のフィルムを用いた多層基板において、めっきで層間接続を行なう場合は発生しない。これはめっきで層間接続する場合、ボイド発生の原因となる、加圧や加熱等の工程が無いためである。
【0061】
一方、導電ペーストを用いて、極薄の耐熱フィルムを用いた多層基板において、こうしたボイドが発生する可能性があるが、これはペーストビアの形成時に、加熱、加圧が必要となるためである。こうしたペーストビアの形成時(あるいはプレスでの加圧加熱時)に、市販のシート状のクッション材(いわゆる凹凸吸収用の樹脂部材)を用いることは有用であるが、これはクッション材の凹凸追従性を利用することで、皺が発生しやすい抜き部分を、押さえつけることができるためである。しかしクッション材を用いた場合、抜き部分の厚みが薄くなる課題が生じる。このようにクッション材を用いて加圧した場合、皺の抑制は可能であるが、出来上がった多層基板101において、総厚の厚みバラツキが増加してしまう。この結果、半導体等の実装面に、凹凸が発生し、その表面平滑性が低下する。そして実装面の平滑性が低下する結果、半導体チップ等のフェイスダウン実装等に対応することができない。
【0062】
一方、本発明のように、抜き部分105に蛇行パターン106を設けることで、クッション材を使うことなく、プレスでの加圧加熱が可能となるため(すなわち、平面性の優れた硬質の金属製の金型によって直接、加熱加圧するため)、総厚の厚みバラツキを小さく、更に実装面の平坦性を高くすることができる。その結果、半導体チップ等のフェイスダウン実装に対応することができる。
【0063】
なお図2〜図6に示す工程を繰返すことで、6層、8層等の多層基板101を製造することが可能である。
【0064】
なお、図3〜図4に示すように、コア基板部108に形成するビアは、導電ペースト113を用いたもの、とすることが有用である。ビアを導電ペースト113とすることで、図3に示す、加熱温度や、加圧圧力を高くすることができる。これは加熱温度や加圧圧力を増加させても、導電ペーストからなるビアはダメージを受けることが無いためである。これは導電ペースト113の導電メカニズムが、導電ペースト113自体に突出部114を設け、積極的に加圧圧縮することで、導電ペースト113に含まれる銅粉等の金属粉(図示していない)を、互いに面接触するまで変形させることができ、ビア抵抗を小さくすることができるためである。
【0065】
なおコア基板部108として、めっきビアを用いた基板を用いることは望ましくない。これはめっきビアを有する、コア基板部108の両面に、図3に示すように、樹脂層110を設けた耐熱フィルム104や銅箔115を積層し、熱プレス装置で、加熱、一体化した場合、めっきビア部分が変形する可能性があるためである。
【0066】
(実施の形態3)
次に図7〜図9を用いて、蛇行パターン106の形状の最適化について説明する。
【0067】
図7(A)(B)は、共に蛇行パターンの一例について説明する上面図である。図7(A)において、矢印116は、蛇行パターン106を構成する抜き部分105の幅が、略等しいことを示す。
【0068】
図7(B)において、118は評価パターンであり、抜き部分105に形成された蛇行パターン106の中を、所定の寸法の評価パターン118が、いわゆるS字クランク(S字クランクとは自動車学校での訓練の一つである)のように通過する様子を示す。なお評価パターンの最適化については、後述する[表1]等で説明する。評価パターン118の幅方向(すなわち蛇行パターン106を横断する幅方向)をW、評価パターンの長さ方向(すなわち蛇行パターン106の長手方向)をLとする。
【0069】
図8(A)(B)は、共に蛇行パターンの一例について説明する上面図である。図8(A)に示すように、蛇行パターン106を、ジグザグすることは有用である。しかし、矢印116aが示す隙間(あるいは最短距離)が大きくなった場合、矢印116bで示す部分に皺等が発生する可能性がある。
【0070】
こうした場合、図8(B)に示すように、ジグザグとなるパターン同士が重なる(矢印116cが互いの重なり部分の長さを示す)ようにすることは有用である。
【0071】
図9は、蛇行パターンの一例について説明する上面図である。また図8(B)以外にも、図9に示すように、複数のジグザグパターンを平行に設けることも、皺の発生防止に有用である。
【0072】
なお蛇行パターン106は、多層基板101を構成するコア基板部108の耐熱フィルム104aの厚みが30μm以下、更には25μm以下の薄い場合のみに設けることは有用である。これはコア基板部108において、特に厚み30μm以下の耐熱フィルム104を用いた場合に、更には樹脂層110での加熱、一体化温度が100℃以上200℃以下の場合に、特異的に皺11やボイド8が発生しやすいためである。
【0073】
また蛇行パターン106は、厚み30μm以下の耐熱フィルム104の両面に硬化済樹脂層103を介して複数の内層配線102が固定されてなる2層基板となる、コア基板部108のみに設けることも有用である。図4(B)や図5(B)で示した4層基板を、コア基板部108とした場合、6層化、8層化する場合に、コア基板部108に皺11やボイド8が発生することは無い。これはコア基板部108の厚みが厚くなり、剛性が高くなったためである。
【0074】
(実施の形態4)
次に図10を用いて、多層基板において皺の発生しやすい場所について説明する。図10は、多層基板101の一例を示す上面図である。図10において、119は大判ワーク、120は製品基板外形、121は製品外形である。
【0075】
携帯電話等の製造に用いられる多層基板101は、図10に示すように多層基板101となる大判ワーク119(例えば、数十cm角)の中に、製品基板外形120が形成されている。また1個の製品基板外形120の中に、数個の製品外形121が含まれる。なお製品外形121が、携帯電話等の製造に使われる多層基板101に相当する。製品基板外形120とすることは、実装機を使って一度に複数枚の多層基板に部品実装する際に生産性を高めるために有用である。また複数の製品基板外形120を、1つの大判ワークにて製造することは、多層基板101の生産性を高めるために有用である。
【0076】
なお、蛇行パターン106は、特にワークサイズが40cm角以上、更には60cm角以上の、大判ワーク119に有用である。発明者らの実験によると、図10に示すように、皺122は、大判ワーク119の周縁部、あるいは最外周に位置する製品基板外形120に発生しやすかった。また最外周に位置する製品基板外形120の4辺の内、最外周に面する面に、皺122は発生しやすいことが判った。これは、フィルム厚30μm以下のコア基板部108の裏表に、導電ペースト113を介して、銅箔115を貼り付ける際、大判ワーク119として一括処理する際、大判ワーク119の外周に近い部分ほど、熱膨張差による寸法変化が矢印116に示すように積算され、その積算分が皺122となるためと考えられるためである。そのため、本発明の蛇行パターン106は、図10に示す皺122の発生しやすい場所、すなわち、最外周に位置する製品基板外形120付近や、最外周に位置する製品基板外形120の4辺の内、最外周に面する面に形成する付近に設けることが有用である。
【0077】
次に、耐熱フィルム104の厚みと、その時の評価パターン118の大きさ(L、W)について評価した結果を、[表1]〜[表3]として、以下に示す。Lは長さ、Wは幅を意味する。
【0078】
[表1]は、耐熱フィルム104として、厚み10μm±1μmのポリイミドフィルムを用いた場合について、評価した結果の一例を示す。前述の図7(B)に示すように、Wは評価パターン118のWを、Lは評価パターン118の長さを示す。
【0079】
[表1]より、W=1mm、L=3mmのような小さな評価パターンしか入らない場合、元々皺自体が発生しない場合が多い。これは抜き部分105の幅が狭く、コア基板部108を構成する耐熱フィルム104に振幅の大きな皺が発生しにくいためと考えられる。またW=1mm、L=7mmの場合、△(効果小)としたのは、もともと皺の発生率が低いためである。W=1mm、L=10mmの場合、○(効果大)としたのは、皺が発生する可能性が考えられるが、評価パターン118によって皺発生が抑制されたためである。
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】
【表3】
【0083】
以上の[表1]〜[表3]に示すように、ポリイミドフィルム厚は、10μmの場合、10μmジャストでなくても、10±1μmの範囲であれば、同様の結果が得られた。また12.5μmの場合も、12.5±1μm以下の範囲であれば、25μmの場合、25±5μmの範囲内であれば同様の結果が得られた。
【0084】
また「−(発生無)」とは、抜き部分105が狭く、元々コア基板部108に皺11が発生しにくい領域である。
【0085】
「○(効果大)」とは、抜き部分105が広く、コア基板部108に皺11や、皺11に起因するボイド8が発生しやすい領域であり、蛇行パターン106が有用な領域である。
【0086】
「△(効果小)」とは、抜き部分105が広く、コア基板部108に皺11や、皺11に起因するボイド8が発生する領域であるが、蛇行パターン106を用いても課題解決できない場合があった領域である。
【0087】
以上の[表1]〜[表3]より、蛇行パターン106を設けることが有用であることが判る。また蛇行パターン106として、評価パターン118を用いることが有用であることが判る。また評価パターン118の大きさは、コア基板部108を構成する耐熱フィルム104(あるいは耐熱フィルム104a)の厚みに応じて変更することが有用である。
【0088】
[表1]より、例えば耐熱フィルム104の厚みが10μm±1μmの場合は、W×Lが、1mm×7mm以上1mm×15mm以下、あるいは2mm×3mm以上2mm×10mm以下、あるいは3mm×3mm以上3mm×7mm以下、あるいは5mm×3mm以下が望ましい。なおこれらをW×Lではなくて、評価パターン118の面積とすると、6mm2以上(更に望ましくは7mm2以上)、25mm2以下(更に望ましくは21mm2以下)の四角形からなる評価パターン118が入るものであることが、有用であることが判る。なお評価パターンが、これより小さい面積(あるいはこれより小さい寸法)では、課題となる皺122が発生しにくい。またこれより大きな面積(あるいはこれより大きな寸法)では、コア基板部108の配線のパターン設計に影響を与える場合がある。
【0089】
[表2]より、コア基板部108を構成する耐熱フィルム104の厚みが12.5μm±1μmの場合は、W×Lが、2mm×7mm以上2mm×15mm以下、あるいは3mm×3mm以上3mm×10mm以下、あるいは5mm×7mm以下が望ましい。なおこれらをW×Lではなくて、評価パターン118の面積で表現すると、8mm2以上(更に望ましくは9mm2以上)、35mm2以下の四角形からなる評価パターン118が入るものであることが有用であることが判る。なお評価パターンが、これより小さい面積(あるいはこれより小さい寸法)では、課題となる皺122が発生しにくい。またこれより大きな面積(あるいはこれより大きな寸法)では、コア基板部108の配線のパターン設計に影響を与える場合がある。
【0090】
[表3]より、コア基板部108を構成する耐熱フィルム104の厚みが25μm±3μmの場合は、W×Lが、2mm×10mm以上2mm×15mm以下、あるいは3mm×7mm以上3mm×15mm以下、あるいは5mm×7mm以下が望ましい。なおこれらをW×Lではなくて、評価パターン118の面積で表現すると、15mm2以上(更には20mm2以上)、50mm2以下(更に45mm2以下)の四角形からなる評価パターン118が、入るものであることが有用であることが判る。
【0091】
なお耐熱フィルム104の厚みが[表1]〜[表3]の範囲内に無い場合は、[表1]〜[表3]の値を元に外挿して(あるいは内挿して)計算することは有用である。また評価パターンのWやLも、[表1]〜[表3]に無い場合、[表1]〜[表3]の値を元に外挿して(あるいは内挿して)計算することは有用である。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の多層基板101とその製造方法は、特に複数枚の耐熱フィルムを積層してなる多層基板であって、導電ペーストをビアとした配線基板において、皺の発生を抑制することで、多層基板101の表面の平滑性を高めることができ、ベアチップ実装等に対応できるため、電子機器の小型化、高密度実装化、高機能化に貢献することができる。
【符号の説明】
【0093】
101 多層基板
102、102a、102b、102c、102d 内層配線
103 硬化済樹脂層
104、104a、104b 耐熱フィルム
105、105a、105b 抜き部分
106 蛇行パターン
107 点線
108 コア基板部
109 ビア
110 樹脂層
111 保護フィルム
112 孔
113 導電ペースト
114 突出部
115 銅箔
116 矢印
117 表層配線
118 評価パターン
119 大判ワーク
120 製品基板外形
121 製品外形
122 皺
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイミド等の耐熱フィルムと、銅箔からなる複数層の配線とを、接着剤となる熱硬化性樹脂層を介して積層すると共に、前記配線間を、導電ペーストを用いて層間接続してなる多層基板とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化、高性能化に伴い、産業用にとどまらず広く民生用機器の分野においてもLSI等の半導体チップを高密度にベアチップ実装できる多層基板が安価に供給されることが強く要望されてきている。このような多層基板では微細な配線ピッチで形成された複数層の配線パターン間を高い接続信頼性で電気的に接続できることが重要である。
【0003】
また、携帯電話に代表される携帯機器においては特に、機能の集積化の傾向に加えて、より持ち運び性を良くするべく、機器の薄型化の傾向が顕著であり、多層基板にもより高密度で薄いものが要求されている。
【0004】
このような市場の要望に対して従来の多層基板に代えて、絶縁層にフィルム基材を用いた多層基板の任意層に形成した電極を任意の配線パターン位置において層間接続できるインナービアホール接続法すなわち全層IVH構造樹脂多層基板と呼ばれるものがある(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3102326号公報
【特許文献2】特開2003−258431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の絶縁層にフィルム基材を用いた多層基板において、市場ニーズに対応すべく、その全総厚を300μm以下、更には200μm以下と、薄くすることが難しく、また総厚を薄くした場合、内蔵された銅箔からなる配線パターン等が、多層基板の表面に凹凸として表出したり、内層に起因するボイドや皺が発生しやすい。
【0007】
図11(A)(B)は、それぞれ従来のフィルムを用いた極薄の多層基板の断面図と、その内層部分の上面図である。図11(A)(B)に示すように、従来の多層基板1は、内層配線2や、硬化済樹脂層3、耐熱フィルム4a、4b、硬化済接着層5、表層配線6、ペーストビア7等より構成されている。
【0008】
図11(A)において、中心(あるいはコア基板部)となる耐熱フィルム4aの表面には硬化済樹脂層3を介して内層配線2が固定されている。また内層配線2の上には、硬化済接着層5を介して耐熱フィルム4bや、表層配線6が固定されている。
【0009】
図11(A)(B)におけるボイド8は、複数の耐熱フィルム4a、4bの間に挟まれてはいるが、硬化済樹脂層3の内部に形成されたものではない。このボイド8は、特に、耐熱フィルム4bと硬化済接着層5との界面部分に発生しやすく、他にも硬化済樹脂層3と硬化済接着層5との界面、あるいは硬化済樹脂層5の内部に発生することがある。図11(B)は、図11(A)に示す従来の多層基板1の、ボイド8の上面図(あるいは耐熱フィルム4a、4bに平行な面での断面図)である。図11(B)に示すように、ボイド8は、互いに隣接した複数の配線2同士の距離が、離れている部分(いわゆる抜き部分)に発生しやすい。
【0010】
こうしたボイド8の発生した多層基板は、絶縁信頼性や、屈曲性等に課題が発生する可能性がある。
【0011】
次に図12〜図15を用いて、ボイド8の発生メカニズムの一例について説明する。
【0012】
図12は、従来の耐熱フィルムを用いた多層基板のコア基板部の一例を示す斜視図である。図12に示すように、コア基板部16は、耐熱フィルム4と、この両面に硬化済樹脂層3を介して保持された複数の内層配線2a、2b、2c、2d等から形成されている。また内層配線2a、2bとの間には抜き部分9a(即ち銅箔等が除去された部分)が形成されている。また内層配線2c、2dとの間にも、抜き部分9bが形成されている。また抜き部分9a、9bは、耐熱フィルム4の両面に互いに重なるように形成されている。補助線10は、耐熱フィルム4の裏面側の内層配線2c、2dを示す。
【0013】
次に互いに重なった抜き部分9a、9bが原因で、ボイド8が発生するメカニズムについて、図13〜15を用いて説明する。
【0014】
図13(A)(B)は、それぞれ図12に示したコア基板部において、抜き部分に皺が発生する様子を示す上面図と断面図である。図13(A)の矢印A−A’で示す部分の断面が、図13(B)に相当する。
【0015】
図13(A)(B)において、抜き部分9の間に設けられた耐熱フィルム4は硬化済接着層3と一体化した状態で、皺11を形成する。こうした皺11は、抜き部分9の幅に比べ、抜き部分9の長さが大きくなった場合に発生しやすい。
【0016】
図13(A)(B)において、皺11のピッチを矢印13で示している。また皺11の上面図が図13(A)、側面図(あるいは断面図)が図13(B)に相等し、図13(A)と図13(B)の位置関係は、補助線12で示している。
【0017】
次に、図14、図15を用いて、従来の基板の製造工程において、特にコア基板部に皺が発生するメカニズムについて説明する。
【0018】
図14(A)(B)は、抜き部分を有するコア基板部の両面に、接着層が両面に形成された耐熱フィルムや、銅箔を積層する際に皺が発生する様子を説明する断面図である。
【0019】
図14(A)に示すように、抜き部分9が両面に重なるように形成されたコア基板部16の両面に、接着層15が両面に形成された耐熱フィルム4bや銅箔14をセットする。
【0020】
次に図14(B)に示すように、矢印13に示すようにこれら部材を積層する。この際、コア基板部16の内層配線2と、耐熱フィルム4bの接着層15が密着するが、コア基板部16の抜き部分9においては耐熱フィルム4bの接着層15は、浮いた(密着していない)状態となる。
【0021】
図15(A)〜(C)は、加熱加圧によって接着層を軟化させることで、皺やボイドが発生する様子を示す断面図である。図15に示すように、加熱加圧によって、コア基板部16の特に、抜き部分9において、皺11が発生する。これは皺11の両側において、コア基板部16の配線と、耐熱フィルム4bの接着層15が密着しているが、コア基板部16の抜き部分において密着していないためである。その結果、図15(A)に示すようにボイド8が発生する。
【0022】
また図15(A)に示すように、一度発生したボイド8は、図15(B)、(C)に示す銅箔14を表層配線6としてパターニングするパターニング工程において、消失しない。
【0023】
そしてこうしたボイド8は、多層基板1の厚みが薄くなるほど発生しやすいことは言うまでもない。
【0024】
本発明は上記課題を解決するものであり、特に厚み30μm以下の耐熱フィルムを、接着層等を介して複数枚、積層し、導電ペーストを層間接続としてなる多層基板において、ボイド発生を抑制することで、絶縁信頼性や、屈曲性を向上してなる多層基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記目的を達成するために、本発明は、厚み30μm以下の第1の耐熱フィルムと、前記耐熱フィルムの両面に硬化済樹脂層を介して固定された内層配線と、前記配線間に設けられた抜き部分と、前記耐熱フィルムに形成された孔に充填され、複数の前記配線間を層間接続するビアペーストとを有する、コア基板部と、このコア基板部の両面に、第2の接着層もしくは第2の耐熱フィルムを介して固定した表層配線と、を有する多層基板であって、前記抜き部分は、蛇行パターンであり、この蛇行パターンは、耐熱フィルムの厚みが10μm±1μmの場合は6mm2以上25mm2以下の四角形からなる評価パターンが、耐熱フィルムの厚みが12.5μm±1μmの場合は8mm2以上35mm2以下の四角形からなる評価パターンが、耐熱フィルムの厚みが25μm±3μmの場合は15mm2以上50mm2以下の四角形からなる評価パターンが、入るものであることを特徴とする多層基板とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明の多層基板とその製造方法によれば、特に厚み30μm以下の耐熱フィルムを、接着層等を介して積層し、導電ペーストを層間接続としてなる多層基板において、ボイド発生を抑制することができ、絶縁信頼性や、屈曲性を高めると共に、ビア部分や、多層基板の表面(あるいは実装面)における平坦性を高めることができ、半導体チップのベアチップ実装に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の多層基板におけるコア基板部を抜き出して説明する斜視図
【図2】(A)〜(E)は、共にコア基板部の製造方法の一例を説明する断面図
【図3】(A)〜(C)は、共に本発明の多層基板に用いるコア基板部の製造方法の一例を示す断面図
【図4】(A)(B)は、図2〜図3で作成したコア基板部を用いた多層基板の製造方法の一例を説明する断面図
【図5】(A)(B)は、それぞれ蛇行パターンによってコア基板部の抜き部分の皺の発生が低減されるメカニズムを示す断面図と、斜視図
【図6】(A)(B)は、図5に続く、製造方法の一例を説明する断面図
【図7】(A)(B)は、共に蛇行パターンの一例について説明する上面図
【図8】(A)(B)は、共に蛇行パターンの一例について説明する上面図
【図9】蛇行パターンの一例について説明する上面図
【図10】多層基板の一例を示す上面図
【図11】(A)(B)は、それぞれ従来のフィルムを用いた極薄の多層基板の断面図と、その内層部分の上面図
【図12】従来の耐熱フィルムを用いた多層基板のコア基板部の一例を示す斜視図
【図13】(A)(B)は、それぞれ図12に示したコア基板部において、抜き部分に、皺が発生する様子を示す上面図と断面図
【図14】(A)(B)は、抜き部分を有するコア基板部の両面に、接着層が両面に形成された耐熱フィルムや、銅箔を積層する際に皺が発生する様子を説明する断面図
【図15】(A)〜(C)は、加熱加圧によって接着層を軟化させることで、皺やボイドが発生する様子を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0028】
(実施の形態1)
図1を用いて、実施の形態1について説明する。図1は、本発明の多層基板におけるコア基板部を抜き出して説明する斜視図である。図1において、101は多層基板、102a、102b、102c、102dは内層配線、103は硬化済樹脂層、104は耐熱フィルム、105a、105bは抜き部分、106は蛇行パターン、107は点線、108はコア基板部である。
【0029】
109はビアで、耐熱フィルム104や硬化済樹脂層103を貫通する孔(番号は付与していない)と、この孔に充填された銅ペースト等の導電ペースト(番号は付与していない)からなる。なお導電ペーストは、例えば、銅粉に少量のエポキシ樹脂等を添加したものであり、内層配線102bと内層配線102cとを層間接続する。
【0030】
図1において、ポリイミド等の耐熱フィルム104(例えば第1の耐熱フィルム)の両面には、硬化済樹脂層103(例えば第1の硬化済樹脂層)を介して、銅箔等からなる内層配線102a、102b、102c、102dが固定され、コア基板部108を形成している。そしてこのコア基板部108の上に、第2の硬化済樹脂層もしくは第2の耐熱フィルムを(共に図示していない)を介して固定した表層配線(なお表層配線は図示していない)を設けることで、多層基板101が形成される。
【0031】
コア基板部108において、内層配線102aと内層配線102bとの間には、抜き部分105a(すなわち内層配線102aと内層配線102bとの間に設けられていた銅箔部分がエッチング等で抜かれてなる部分)が形成され、互いの配線間が絶縁されている。同様に内層配線102cと内層配線102dの間も、抜き部分105bによって互いに絶縁されている。なお抜き部分105a、105bとは、例えば、銅箔(図示していない)の一部がエッチング等で除去され、その下地となる硬化済樹脂層103が露出している部分に相当する。なお抜き部分105a、105bは、内層配線102a、内層配線102bの間、及び内層配線102c、内層配線102dの間を略同じ距離で絶縁した状態で、共に蛇行してなる、蛇行パターン106とすることが望ましい。なお蛇行パターン106は、互いに略等間隔で隣接した耐熱フィルム104の片面の配線102a、102b間の抜き部分105aのパターン形状としても良いが、更には耐熱フィルム104の両面に形成された抜き部分105a、105bを合成したパターンとすることは有用である。
【0032】
なお蛇行パターン106は、パターンの中心線が、進行方向に対して左右に蛇行していれば良く、蛇行は直接を含むジグザグ状の蛇行であっても、曲線を主体とした曲線状の蛇行であっても良い。また蛇行パターン106をサイン波に例えた場合、蛇行の波長の大きさや、そのピッチ等は必ずしも、同じにする必要は無い。
【0033】
なお蛇行パターン106を、耐熱フィルム104の裏表面で対称とすることは有用である。また耐熱フィルム104の両面に形成された抜き部分であって、その片面だけを蛇行パターン106(それ以外の面を蛇行パターンより大きなパターン、あるいは蛇行していないパターン)としても良い。
【0034】
点線107は、耐熱フィルム104や硬化済樹脂層103の影に隠れた、内層配線102c、102dのパターンを示すものである。点線107に示すように、コア基板部108の両面において、抜き部分105a、105bを、共に蛇行パターン106とすることは有用である。
【0035】
このように、抜き部分105a、105bを蛇行パターン106とすることで、このコア基板部108の両面に、第2の接着層もしくは第2の耐熱フィルムを介して固定した表層配線と、を有する多層基板とした場合の、皺の発生やボイドの発生を抑制できる。
【0036】
なお蛇行パターン106の幅は、1mm以上15mm以下が望ましい。蛇行パターンの幅が1mm未満の場合、蛇行パターン106を設けなくても、皺が発生しにくい場合がある。また蛇行パターンの幅が15mm以上の場合、電子部品の高密度実装化に対応できない場合がある。なお蛇行パターン106の長さ(蛇行パターン106の中心線の長さで評価することが有用である)は、3mm以上20mm以下が望ましい。蛇行パターン106の長さが、3mm未満の場合、蛇行パターン106を設けなくても、皺が発生しにくい場合がある。蛇行パターン106の長さが20mmを超えた場合、電子部品の高密度実装化に対応できない場合がある。なお蛇行パターン106の蛇行の大きさ(蛇行パターン106の中心線で評価することが有用である)やピッチは、蛇行パターン106の幅の0.1倍以上5倍以下(更には0.2倍、更に0.4倍以上、3倍以下)が望ましい。蛇行の大きさ(即ち左右に蛇行する場合の中心線における左右の山谷の差で評価することが有用である)や蛇行ピッチ(中心線で評価することが有用である)が0.1倍未満の場合、あるいは5倍を超えた場合には、皺防止効果が得られない場合がある。
【0037】
言うまでもなく、コア基板部108の両面に形成された抜き部分105a、105bを互いに重ねることで蛇行パターン106とする(あるいは両面の抜き部分105a、105bを合成してなる蛇行パターン106とする)ことも有用である。この場合、例えば抜き部分105a、105bの投影パターン(例えば、抜き部分105aが形成されてなる上面からライトで照らして、抜き部分105bが形成されてなる下面と、合成した投影パターン)を、蛇行パターン106としても良い。
【0038】
このように蛇行パターン106を設けることで、特に厚み30μm以下の耐熱フィルム104を、接着層等を介して積層し、導電ペーストを層間接続としてなる多層基板101において、ボイド108の発生を抑制することができ、絶縁信頼性や、屈曲性を高めると共に、ビア部分や、多層基板の表面(あるいは実装面)における平坦性を高めることができ、半導体チップのベアチップ実装に対応することができる。
【0039】
(実施の形態2)
次に、図2〜図6を用いて、本発明の多層基板の製造方法の一例について説明する。図2〜図3は、本発明の多層基板におけるコア基板部の製造方法の一例である。
【0040】
図2(A)〜(E)は、共にコア基板部108の製造方法の一例を説明する断面図である。図2において、110は樹脂層であり、半硬化あるいは未硬化状態のエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等からなる。111は保護フィルム、112は孔、113は導電ペースト、114は突出部である。
【0041】
まず図2(A)に示すように、樹脂層110をその両面に設けた、厚み30μm以下(望ましくは25μm以下、更には12.5μm以下)のポリイミド等の耐熱フィルム104を用意する。
【0042】
次に、図2(B)に示すように、耐熱フィルム104の裏表面に、樹脂層110を介して、保護フィルム111を貼り付ける。なお保護フィルム111としては、厚み5〜50μm程度のPETフィルム等を用いる。なおPETフィルムの厚みを増減することで、後に説明する導電ペースト113の突出部114の高さを調整することができる。
【0043】
次に、図2(C)に示すように、保護フィルム111毎、耐熱フィルム104に孔112を形成する。孔112の形成は、炭酸ガスレーザー装置の活用が有用である。
【0044】
次に図2(D)に示すように、孔112の中に、導電ペースト113を充填する。導電ペーストとしては、銅粉等の金属粉を、少量のエポキシ樹脂に分散してなるビアペーストを使用することができる。
【0045】
次に図2(E)に示すように、保護フィルム111を除去することで、導電ペースト113からなる突出部114を、孔112(図示していない)の両側に設ける。
【0046】
図3(A)〜(C)は、共に本発明の多層基板に用いるコア基板部の製造方法の一例を示す断面図である。115は銅箔、116は矢印、117は表層配線である。
【0047】
図3(A)に示すように、導電ペースト113からなる突出部114を有する耐熱フィルム104の両面に、銅箔115を配設し、矢印116で示すように、加熱、加圧する。そして導電ペースト113を、銅箔115に圧接、密着させた状態で硬化させる。この際、突出部114を設けておくことで、より強い圧力で互いに密着できるため、接続抵抗を小さくし、信頼性を高められる。
【0048】
図3(B)は、これら部材を加圧しながら加熱する様子を示す。加熱することで、樹脂層110を、硬化済樹脂層103とすることができる。
【0049】
その後、図3(C)に示すように、銅箔115を、蛇行パターン106を形成するようにエッチングし、配線102a〜102dとする。なお配線102aと配線102bとの間および配線102cと配線102dとの間には、抜き部分105a、105bが形成されており、抜き部分105のパターンは(上面図として)、蛇行パターン106となる。また配線102bと配線102cとの間は、導電ペースト113が加圧された状態で熱硬化してなるビア109によって層間接続されている。
【0050】
蛇行パターン106の大きさやピッチは、共に蛇行パターンの幅の0.1倍以上5倍以下、長さは3mm以上20mm以下とすることが望ましい。
【0051】
図4〜図6は、共に、本発明の多層基板の製造方法の一例を説明する断面図である。
【0052】
図4(A)(B)は、図2〜図3で作成したコア基板部を用いた多層基板の製造方法の一例を説明する断面図である。
【0053】
図4(A)に示すように、図3(C)で作成したコア基板部108の両側に、両面に未硬化の樹脂層110を形成した耐熱フィルム104bをセットする。なお耐熱フィルムには、導電ペースト113の一部が突出部114として突出させることが望ましい。
【0054】
次に図4(B)の矢印116で示すように、これら部材を加圧、加熱し一体化する。この際、特に、導電ペースト113の厚み(即ち突出部114の高さ)と、コア基板部108の表面に突出するように設けた内層配線102a、102b、102c、102dが最初に互いに接触することとなる。こうすることで、導電ペースト113に、集中的に圧力を印加することができ、導電ペースト113の抵抗値(更には接触抵抗も)を低減することができる。
【0055】
図5(A)(B)は、それぞれ蛇行パターンによってコア基板部108の抜き部分の皺の発生が低減されるメカニズムを示す断面図と、斜視図である。
【0056】
図5(A)に示すように、加熱加圧されることで、耐熱フィルム104bの両面に形成された樹脂層110が低粘度化する。そして、低粘度化した樹脂層110が、抜き部分105に、矢印116aに示すように流れ込むが、蛇行パターン106を設けているため、皺等は発生しない。
【0057】
図5(B)は、蛇行パターン106が形成されることで、コア基板部108の抜き部分が高強度化する様子を示す斜視図である。図5(B)に示すように、蛇行パターン106を設けることで、矢印116b、116c、116dに示すように、コア基板部108が硬くなる(あるいは曲がりにくくなる)。このため、図5(A)に示すように、皺やボイド等は発生しない。
【0058】
図6(A)(B)は、図5に続く、製造方法の一例を説明する断面図である。図6(A)に示すように、未硬化状態であった樹脂層は、ボイド8(図示していない)の発生を抑制した状態で熱硬化し、硬化済樹脂層103となる。
【0059】
その後、図6(B)に示したように、表層に固定した銅箔115を、エッチング等で所定パターンに形成し、表層配線117とし、ソルダーレジスト(図示していない)等を形成し、多層基板101とする。
【0060】
こうしたボイドの発生は、極薄のフィルムを用いた多層基板において、めっきで層間接続を行なう場合は発生しない。これはめっきで層間接続する場合、ボイド発生の原因となる、加圧や加熱等の工程が無いためである。
【0061】
一方、導電ペーストを用いて、極薄の耐熱フィルムを用いた多層基板において、こうしたボイドが発生する可能性があるが、これはペーストビアの形成時に、加熱、加圧が必要となるためである。こうしたペーストビアの形成時(あるいはプレスでの加圧加熱時)に、市販のシート状のクッション材(いわゆる凹凸吸収用の樹脂部材)を用いることは有用であるが、これはクッション材の凹凸追従性を利用することで、皺が発生しやすい抜き部分を、押さえつけることができるためである。しかしクッション材を用いた場合、抜き部分の厚みが薄くなる課題が生じる。このようにクッション材を用いて加圧した場合、皺の抑制は可能であるが、出来上がった多層基板101において、総厚の厚みバラツキが増加してしまう。この結果、半導体等の実装面に、凹凸が発生し、その表面平滑性が低下する。そして実装面の平滑性が低下する結果、半導体チップ等のフェイスダウン実装等に対応することができない。
【0062】
一方、本発明のように、抜き部分105に蛇行パターン106を設けることで、クッション材を使うことなく、プレスでの加圧加熱が可能となるため(すなわち、平面性の優れた硬質の金属製の金型によって直接、加熱加圧するため)、総厚の厚みバラツキを小さく、更に実装面の平坦性を高くすることができる。その結果、半導体チップ等のフェイスダウン実装に対応することができる。
【0063】
なお図2〜図6に示す工程を繰返すことで、6層、8層等の多層基板101を製造することが可能である。
【0064】
なお、図3〜図4に示すように、コア基板部108に形成するビアは、導電ペースト113を用いたもの、とすることが有用である。ビアを導電ペースト113とすることで、図3に示す、加熱温度や、加圧圧力を高くすることができる。これは加熱温度や加圧圧力を増加させても、導電ペーストからなるビアはダメージを受けることが無いためである。これは導電ペースト113の導電メカニズムが、導電ペースト113自体に突出部114を設け、積極的に加圧圧縮することで、導電ペースト113に含まれる銅粉等の金属粉(図示していない)を、互いに面接触するまで変形させることができ、ビア抵抗を小さくすることができるためである。
【0065】
なおコア基板部108として、めっきビアを用いた基板を用いることは望ましくない。これはめっきビアを有する、コア基板部108の両面に、図3に示すように、樹脂層110を設けた耐熱フィルム104や銅箔115を積層し、熱プレス装置で、加熱、一体化した場合、めっきビア部分が変形する可能性があるためである。
【0066】
(実施の形態3)
次に図7〜図9を用いて、蛇行パターン106の形状の最適化について説明する。
【0067】
図7(A)(B)は、共に蛇行パターンの一例について説明する上面図である。図7(A)において、矢印116は、蛇行パターン106を構成する抜き部分105の幅が、略等しいことを示す。
【0068】
図7(B)において、118は評価パターンであり、抜き部分105に形成された蛇行パターン106の中を、所定の寸法の評価パターン118が、いわゆるS字クランク(S字クランクとは自動車学校での訓練の一つである)のように通過する様子を示す。なお評価パターンの最適化については、後述する[表1]等で説明する。評価パターン118の幅方向(すなわち蛇行パターン106を横断する幅方向)をW、評価パターンの長さ方向(すなわち蛇行パターン106の長手方向)をLとする。
【0069】
図8(A)(B)は、共に蛇行パターンの一例について説明する上面図である。図8(A)に示すように、蛇行パターン106を、ジグザグすることは有用である。しかし、矢印116aが示す隙間(あるいは最短距離)が大きくなった場合、矢印116bで示す部分に皺等が発生する可能性がある。
【0070】
こうした場合、図8(B)に示すように、ジグザグとなるパターン同士が重なる(矢印116cが互いの重なり部分の長さを示す)ようにすることは有用である。
【0071】
図9は、蛇行パターンの一例について説明する上面図である。また図8(B)以外にも、図9に示すように、複数のジグザグパターンを平行に設けることも、皺の発生防止に有用である。
【0072】
なお蛇行パターン106は、多層基板101を構成するコア基板部108の耐熱フィルム104aの厚みが30μm以下、更には25μm以下の薄い場合のみに設けることは有用である。これはコア基板部108において、特に厚み30μm以下の耐熱フィルム104を用いた場合に、更には樹脂層110での加熱、一体化温度が100℃以上200℃以下の場合に、特異的に皺11やボイド8が発生しやすいためである。
【0073】
また蛇行パターン106は、厚み30μm以下の耐熱フィルム104の両面に硬化済樹脂層103を介して複数の内層配線102が固定されてなる2層基板となる、コア基板部108のみに設けることも有用である。図4(B)や図5(B)で示した4層基板を、コア基板部108とした場合、6層化、8層化する場合に、コア基板部108に皺11やボイド8が発生することは無い。これはコア基板部108の厚みが厚くなり、剛性が高くなったためである。
【0074】
(実施の形態4)
次に図10を用いて、多層基板において皺の発生しやすい場所について説明する。図10は、多層基板101の一例を示す上面図である。図10において、119は大判ワーク、120は製品基板外形、121は製品外形である。
【0075】
携帯電話等の製造に用いられる多層基板101は、図10に示すように多層基板101となる大判ワーク119(例えば、数十cm角)の中に、製品基板外形120が形成されている。また1個の製品基板外形120の中に、数個の製品外形121が含まれる。なお製品外形121が、携帯電話等の製造に使われる多層基板101に相当する。製品基板外形120とすることは、実装機を使って一度に複数枚の多層基板に部品実装する際に生産性を高めるために有用である。また複数の製品基板外形120を、1つの大判ワークにて製造することは、多層基板101の生産性を高めるために有用である。
【0076】
なお、蛇行パターン106は、特にワークサイズが40cm角以上、更には60cm角以上の、大判ワーク119に有用である。発明者らの実験によると、図10に示すように、皺122は、大判ワーク119の周縁部、あるいは最外周に位置する製品基板外形120に発生しやすかった。また最外周に位置する製品基板外形120の4辺の内、最外周に面する面に、皺122は発生しやすいことが判った。これは、フィルム厚30μm以下のコア基板部108の裏表に、導電ペースト113を介して、銅箔115を貼り付ける際、大判ワーク119として一括処理する際、大判ワーク119の外周に近い部分ほど、熱膨張差による寸法変化が矢印116に示すように積算され、その積算分が皺122となるためと考えられるためである。そのため、本発明の蛇行パターン106は、図10に示す皺122の発生しやすい場所、すなわち、最外周に位置する製品基板外形120付近や、最外周に位置する製品基板外形120の4辺の内、最外周に面する面に形成する付近に設けることが有用である。
【0077】
次に、耐熱フィルム104の厚みと、その時の評価パターン118の大きさ(L、W)について評価した結果を、[表1]〜[表3]として、以下に示す。Lは長さ、Wは幅を意味する。
【0078】
[表1]は、耐熱フィルム104として、厚み10μm±1μmのポリイミドフィルムを用いた場合について、評価した結果の一例を示す。前述の図7(B)に示すように、Wは評価パターン118のWを、Lは評価パターン118の長さを示す。
【0079】
[表1]より、W=1mm、L=3mmのような小さな評価パターンしか入らない場合、元々皺自体が発生しない場合が多い。これは抜き部分105の幅が狭く、コア基板部108を構成する耐熱フィルム104に振幅の大きな皺が発生しにくいためと考えられる。またW=1mm、L=7mmの場合、△(効果小)としたのは、もともと皺の発生率が低いためである。W=1mm、L=10mmの場合、○(効果大)としたのは、皺が発生する可能性が考えられるが、評価パターン118によって皺発生が抑制されたためである。
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】
【表3】
【0083】
以上の[表1]〜[表3]に示すように、ポリイミドフィルム厚は、10μmの場合、10μmジャストでなくても、10±1μmの範囲であれば、同様の結果が得られた。また12.5μmの場合も、12.5±1μm以下の範囲であれば、25μmの場合、25±5μmの範囲内であれば同様の結果が得られた。
【0084】
また「−(発生無)」とは、抜き部分105が狭く、元々コア基板部108に皺11が発生しにくい領域である。
【0085】
「○(効果大)」とは、抜き部分105が広く、コア基板部108に皺11や、皺11に起因するボイド8が発生しやすい領域であり、蛇行パターン106が有用な領域である。
【0086】
「△(効果小)」とは、抜き部分105が広く、コア基板部108に皺11や、皺11に起因するボイド8が発生する領域であるが、蛇行パターン106を用いても課題解決できない場合があった領域である。
【0087】
以上の[表1]〜[表3]より、蛇行パターン106を設けることが有用であることが判る。また蛇行パターン106として、評価パターン118を用いることが有用であることが判る。また評価パターン118の大きさは、コア基板部108を構成する耐熱フィルム104(あるいは耐熱フィルム104a)の厚みに応じて変更することが有用である。
【0088】
[表1]より、例えば耐熱フィルム104の厚みが10μm±1μmの場合は、W×Lが、1mm×7mm以上1mm×15mm以下、あるいは2mm×3mm以上2mm×10mm以下、あるいは3mm×3mm以上3mm×7mm以下、あるいは5mm×3mm以下が望ましい。なおこれらをW×Lではなくて、評価パターン118の面積とすると、6mm2以上(更に望ましくは7mm2以上)、25mm2以下(更に望ましくは21mm2以下)の四角形からなる評価パターン118が入るものであることが、有用であることが判る。なお評価パターンが、これより小さい面積(あるいはこれより小さい寸法)では、課題となる皺122が発生しにくい。またこれより大きな面積(あるいはこれより大きな寸法)では、コア基板部108の配線のパターン設計に影響を与える場合がある。
【0089】
[表2]より、コア基板部108を構成する耐熱フィルム104の厚みが12.5μm±1μmの場合は、W×Lが、2mm×7mm以上2mm×15mm以下、あるいは3mm×3mm以上3mm×10mm以下、あるいは5mm×7mm以下が望ましい。なおこれらをW×Lではなくて、評価パターン118の面積で表現すると、8mm2以上(更に望ましくは9mm2以上)、35mm2以下の四角形からなる評価パターン118が入るものであることが有用であることが判る。なお評価パターンが、これより小さい面積(あるいはこれより小さい寸法)では、課題となる皺122が発生しにくい。またこれより大きな面積(あるいはこれより大きな寸法)では、コア基板部108の配線のパターン設計に影響を与える場合がある。
【0090】
[表3]より、コア基板部108を構成する耐熱フィルム104の厚みが25μm±3μmの場合は、W×Lが、2mm×10mm以上2mm×15mm以下、あるいは3mm×7mm以上3mm×15mm以下、あるいは5mm×7mm以下が望ましい。なおこれらをW×Lではなくて、評価パターン118の面積で表現すると、15mm2以上(更には20mm2以上)、50mm2以下(更に45mm2以下)の四角形からなる評価パターン118が、入るものであることが有用であることが判る。
【0091】
なお耐熱フィルム104の厚みが[表1]〜[表3]の範囲内に無い場合は、[表1]〜[表3]の値を元に外挿して(あるいは内挿して)計算することは有用である。また評価パターンのWやLも、[表1]〜[表3]に無い場合、[表1]〜[表3]の値を元に外挿して(あるいは内挿して)計算することは有用である。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の多層基板101とその製造方法は、特に複数枚の耐熱フィルムを積層してなる多層基板であって、導電ペーストをビアとした配線基板において、皺の発生を抑制することで、多層基板101の表面の平滑性を高めることができ、ベアチップ実装等に対応できるため、電子機器の小型化、高密度実装化、高機能化に貢献することができる。
【符号の説明】
【0093】
101 多層基板
102、102a、102b、102c、102d 内層配線
103 硬化済樹脂層
104、104a、104b 耐熱フィルム
105、105a、105b 抜き部分
106 蛇行パターン
107 点線
108 コア基板部
109 ビア
110 樹脂層
111 保護フィルム
112 孔
113 導電ペースト
114 突出部
115 銅箔
116 矢印
117 表層配線
118 評価パターン
119 大判ワーク
120 製品基板外形
121 製品外形
122 皺
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み30μm以下の第1の耐熱フィルムと、前記耐熱フィルムの両面に硬化済樹脂層を介して固定された内層配線と、前記内層配線間に設けられた蛇行パターン部を有する抜き部分と、前記耐熱フィルムに形成された孔に充填され、複数の前記内層配線間を層間接続するビアペーストとを有する、コア基板部と、このコア基板部の両面に、第2の接着層もしくは第2の耐熱フィルムを介して固定した表層配線と、を有する多層基板であって、
前記蛇行パターン部の大きさやピッチは、共に蛇行パターンの幅の0.1倍以上5倍以下、長さは3mm以上20mm以下であることを特徴とする多層基板。
【請求項2】
厚み30μm以下の第1の耐熱フィルムと、前記耐熱フィルムの両面に硬化済樹脂層を介して固定された内層配線と、前記内層配線間に設けられた抜き部分と、前記耐熱フィルムに形成された孔に充填され、複数の前記内層配線間を層間接続するビアペーストとを有する、コア基板部と、このコア基板部の両面に、第2の硬化済樹脂層もしくは第2の耐熱フィルムを介して固定した表層配線と、を有する多層基板であって、
前記抜き部分は、蛇行パターンであり、
この蛇行パターンは、耐熱フィルムの厚みが10μm±1μmの場合は6mm2以上25mm2以下の四角形からなる評価パターンが、
耐熱フィルムの厚みが12.5μm±1μmの場合は8mm2以上35mm2以下の四角形からなる評価パターンが、
耐熱フィルムの厚みが25μm±3μmの場合は15mm2以上50mm2以下の四角形からなる評価パターンが、入るものであることを特徴とする多層基板。
【請求項3】
少なくとも、
第1の耐熱フィルムの両側に第1の樹脂層を形成する工程と、
前記第1の耐熱フィルムの両面に前記第1の樹脂層を介して保護フィルムを配設する保護工程と、
前記第1の耐熱フィルムに孔を形成する孔工程と、
前記孔に導電ペーストを充填する充填工程と、
前記保護フィルムを剥離し前記導電ペーストからなる突出部を形成する突出工程と、
前記第1の耐熱フィルムの両面に第1の銅箔を配設する第1の銅箔設置工程と、
前記第1の耐熱フィルムと第1の銅箔とを加圧加熱し前記樹脂層を硬化済樹脂層とする第1の一体化工程と、
前記第1の銅箔を、抜き部分を有する蛇行パターンを有する内層配線とするコア基板工程と、
前記コア基板の両面に、導電ペーストからなる突出部と表面に第2の樹脂層とを有する第2の耐熱フィルムと、第2の銅箔とを設置する第2の銅箔設置工程と、
前記コア基板と、前記第2の耐熱フィルムと、前記第2の銅箔とを加圧加熱し一体化する第2の一体化工程と、
前記第2の銅箔をパターニングし配線層とした4層基板とする4層基板工程と、
を有する多層基板の製造方法であって、
前記蛇行パターンは、前記第1の耐熱フィルムの厚みが10μm±1μmの場合は6mm2以上25mm2以下の四角形からなる評価パターンが、
前記第1の耐熱フィルムの厚みが12.5μm±1μmの場合は8mm2以上35mm2以下の四角形からなる評価パターンが、
前記第1の耐熱フィルムの厚みが25μm±3μmの場合は15mm2以上50mm2以下の四角形からなる評価パターンが、それぞれ入ることを特徴とする多層基板の製造方法。
【請求項1】
厚み30μm以下の第1の耐熱フィルムと、前記耐熱フィルムの両面に硬化済樹脂層を介して固定された内層配線と、前記内層配線間に設けられた蛇行パターン部を有する抜き部分と、前記耐熱フィルムに形成された孔に充填され、複数の前記内層配線間を層間接続するビアペーストとを有する、コア基板部と、このコア基板部の両面に、第2の接着層もしくは第2の耐熱フィルムを介して固定した表層配線と、を有する多層基板であって、
前記蛇行パターン部の大きさやピッチは、共に蛇行パターンの幅の0.1倍以上5倍以下、長さは3mm以上20mm以下であることを特徴とする多層基板。
【請求項2】
厚み30μm以下の第1の耐熱フィルムと、前記耐熱フィルムの両面に硬化済樹脂層を介して固定された内層配線と、前記内層配線間に設けられた抜き部分と、前記耐熱フィルムに形成された孔に充填され、複数の前記内層配線間を層間接続するビアペーストとを有する、コア基板部と、このコア基板部の両面に、第2の硬化済樹脂層もしくは第2の耐熱フィルムを介して固定した表層配線と、を有する多層基板であって、
前記抜き部分は、蛇行パターンであり、
この蛇行パターンは、耐熱フィルムの厚みが10μm±1μmの場合は6mm2以上25mm2以下の四角形からなる評価パターンが、
耐熱フィルムの厚みが12.5μm±1μmの場合は8mm2以上35mm2以下の四角形からなる評価パターンが、
耐熱フィルムの厚みが25μm±3μmの場合は15mm2以上50mm2以下の四角形からなる評価パターンが、入るものであることを特徴とする多層基板。
【請求項3】
少なくとも、
第1の耐熱フィルムの両側に第1の樹脂層を形成する工程と、
前記第1の耐熱フィルムの両面に前記第1の樹脂層を介して保護フィルムを配設する保護工程と、
前記第1の耐熱フィルムに孔を形成する孔工程と、
前記孔に導電ペーストを充填する充填工程と、
前記保護フィルムを剥離し前記導電ペーストからなる突出部を形成する突出工程と、
前記第1の耐熱フィルムの両面に第1の銅箔を配設する第1の銅箔設置工程と、
前記第1の耐熱フィルムと第1の銅箔とを加圧加熱し前記樹脂層を硬化済樹脂層とする第1の一体化工程と、
前記第1の銅箔を、抜き部分を有する蛇行パターンを有する内層配線とするコア基板工程と、
前記コア基板の両面に、導電ペーストからなる突出部と表面に第2の樹脂層とを有する第2の耐熱フィルムと、第2の銅箔とを設置する第2の銅箔設置工程と、
前記コア基板と、前記第2の耐熱フィルムと、前記第2の銅箔とを加圧加熱し一体化する第2の一体化工程と、
前記第2の銅箔をパターニングし配線層とした4層基板とする4層基板工程と、
を有する多層基板の製造方法であって、
前記蛇行パターンは、前記第1の耐熱フィルムの厚みが10μm±1μmの場合は6mm2以上25mm2以下の四角形からなる評価パターンが、
前記第1の耐熱フィルムの厚みが12.5μm±1μmの場合は8mm2以上35mm2以下の四角形からなる評価パターンが、
前記第1の耐熱フィルムの厚みが25μm±3μmの場合は15mm2以上50mm2以下の四角形からなる評価パターンが、それぞれ入ることを特徴とする多層基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−89744(P2013−89744A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228563(P2011−228563)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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