説明

多層接着剤装具

皮膚に捕集袋を固定する接着剤複合体を含む老廃物捕集デバイスが開示される。その接着剤複合体は非常に湿気耐性があるが、水はなお吸収する。接着剤複合体は少なくとも3層、裏打ち層、湿気吸収層および蒸気透過性、低吸収接着剤層を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトの皮膚、たとえばオストミーデバイス(ostomy device)、に捕集デバイスを付着させる接着剤に関する。このような接着剤は、皮膚を乾かすために湿気吸収するのに必要であるが、吸収された湿気は皮膚への接着剤結合を低下させる。本発明は、老廃物捕集(body waste collecting)デバイスを開示し、かなりの湿気吸収後でさえも、その接着剤特性を維持する接着剤複合体を含む。
【背景技術】
【0002】
皮膚接着剤を設計するとき、主な問題の1つは、解離(maceration)を防止するために、接着剤の下で皮膚を相対的に乾かすことである。皮膚が、蒸発からの湿気を除くことができず、皮膚のバリア機能の劣化ならびに皮膚へのデバイスの接着不良を生じるとき、解離は生じる。
【0003】
通常、皮膚接着剤は、湿気透過性(透湿性)であることにより皮膚を乾かす。これは接着剤を通って皮膚側から反対側に湿気を輸送することを可能にし、その反対側では蒸発が可能となる。
【0004】
老廃物捕集袋(pouch)または管(tube)を留めるための接着剤は、不透湿層により被覆されるのが通常であり、皮膚から接着剤を通って透過させて周囲に出すことを許さない。
【0005】
したがって、捕集袋または管を留めるための接着剤は、湿気吸収剤から作成される。親水コロイド(hydrocolloids)の粒子を吸収することは、接着剤マトリックスに混合され、皮膚から湿気を吸収し、それにより皮膚を相対的に乾かす。この方法は、この分野で周知であり、商業的に入手し得るオストミー用接着剤のための基礎を形成する(たとえば、米国特許第4,192,785号明細書)。
【0006】
吸収接着剤を使用する主要な問題は、接着剤が湿気を吸収するにつれて結合特性が変化することである。よく結合された接着剤で開始しても、湿気を吸収した後には、弱い結合となるのが通常である。この作用は、特に親水コロイドに基づく接着剤について問題である。これらの接着剤は、2つの相、すなわち疎水性マトリックスとその中に分散された親水性の親水コロイド(HC)、を含む。接着剤は、皮膚から湿気を吸収するにつれて、親水コロイドは膨張し、皮膚結合帯域で増加する量の空間を占める。皮膚への結合の原因となるとなるのは接着剤の疎水性部分であり、その疎水性部分が、膨張する親水性領域により「絞り出される」(“sqeezed”)につれて、皮膚結合は減少する。さらに、もし湿気の小滴、たとえば活動的発汗、が皮膚と接着剤の間に形成されると、親水コロイドの小さな部分は、その小滴に洗い流され、皮膚と接着剤の間の結合を減少させ得る。これは皮膚−接着剤界面に区域を創り出し、そこではHCはそれ自体、何ら粘着および接着力を有さないので、新しい接着剤結合は形成され得ない。もしHCが存在していなかったら、接着は良好であろうが、したがって接着剤の吸収能力もないであろう。
【0007】
したがって、接着剤の吸収部分を皮膚から単離する必要があり、接着し、水分を吸収する能力をなお維持する必要がある。
【0008】
AU2004224963において、オストミーおよび創傷ケア適用のための2層接着剤が開示されている。その発明は、2層の異なる親水コロイド(HC)に基づく接着剤の機械的作用を組み合わせる。皮膚に近い1つの層は良好な初期粘性を与えるが、もう1つの層は柔らかで(“soft”)あり、良好な湿気抵抗性を与える。その特許は、層中の湿気吸収後の特性変化に関するものではない。もしの解離が寄せ付けられないように保持されるべきであれば、この湿気吸収は、大きくせざるを得ない−その特許に記載されるHC接着剤は、湿気不透過マトリックス中に分散された親水性粒子(HC)に基づく:したがって、透湿は、これらの粒子を通してのみ達成され得る。湿気が接着剤マトリックスを通して浸透するためには、粒子は互いに接触する必要がある。
【0009】
十分な透湿性を達成するために、多数の粒子は互いに接触する必要があり、そしてこれは大量の粒子中で混合することによってのみ達成され得る。これらのすべての粒子は、湿気を吸収し、接着剤全体は水に曝されるときに特性を有意に変える。さらに、その特許は、皮膚に接着する接着剤の能力を破壊する、活動的な発汗によって洗い出され得る、接着剤表面における、HCの課題を解決していない。
【0010】
EP1679805において、皮膚接着剤は非常に良好な水蒸気透過性を開示されている。この接着剤は、本質的に非常に低い吸収性を有し、老廃物を捕集するための袋(pouch)を保持するには、上述の理由のために不適である。しかし、接着剤の非常に良好な接着性と高い透過性のために、水に曝されたときに有意に特性を変えないので、皮膚に向い合う層として適切である。したがって、老廃物捕集用袋を付着させて使用するのに適切な粘着性ウエハーを与えるように、吸収層と一緒にされ得る。
【0011】
WO2007/092289において、幾つかの異なる層を含む、多くのオストミーデバイスが開示されている。これらのすべてのデバイスの共通の特徴は、皮膚と向かい合う層は、液体透過性であり、したがって皮膚と向かい合う層の背後の吸収材料層に液体を皮膚から輸送することを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】AU2004224963
【特許文献2】EP1679805
【特許文献3】WO2007/092289
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明に含まれるデバイスにおいては、皮膚と向かい合う層は液体不透過性であるが、透湿性である。皮膚と向かい合う層が吸収層の一部のみを被覆するときでさえ、吸収層はなお液体不透過性であり、皮膚と向かい合う全表面を液体不透過性にする。
【0014】
本発明による層構成は、かなりの吸湿の後でさえ、その接着特性を維持する接着剤ウエハーを含む捕集デバイスを提供することが、驚くべきことに見出された。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、老廃物捕集デバイスを皮膚に固定するための感圧接着剤ウエハーに関する。その感圧接着剤ウエハーは、少なくとも3層を含む複合体である:(1)良好な透湿性を有し、皮膚と向かい合う低吸収接着剤層、(2)湿気吸収層、(3)裏打ち層。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による捕集デバイスにおいて用いられる接着剤層構造の線投影図(edge view)を示す。図における接着剤複合体は、透湿性、低吸収であり、皮膚と向かい合う接着剤層(1)、吸収層(2)、任意のポリマー材料層(4)および裏打ち層(3)を含む。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の目的は、湿気吸収を皮膚−接着剤表面から遠ざけて、さらに接着剤に移動させることにより、湿気吸収接着剤ウエハーの着用時間を増加させることである。
【0018】
本発明の1つの態様において、老廃物捕集デバイスは、捕集袋ならびに身体に付着するための接着剤ウエハーを含み、そしてその接着剤ウエハーは、裏打ち層、吸収材料の少なくとも1つの層、および低吸収性、液体不透過性、透湿性の接着剤組成物の皮膚と向かい合う層、を含む。
【0019】
老廃物捕集デバイスは、所定時間、捕集細目の排出物を捕集し、保持することができるデバイスを意味する。デバイスの場所での保持は皮膚接着剤により得られることができ、捕集はバッグにより得られ得る。
【0020】
本発明の1つの態様において、接着剤複合体は少なくとも2つの層を含む。皮膚と向かい合う第1層(1)は、低湿気吸収能力を有するが、皮膚から第2層(2)に湿気を透過し得る。第2層(2)は良好な湿気吸収特性を有する。このような構成を用いることは、もし皮膚−接着剤海面が水に曝されると、接着剤のはくり力を劇的に増加させる。
【0021】
液体不透過性で透湿性の層は、液体がその層を浸透するのを許さないが、湿気がその層を浸透するのを許す、層である。この層は、汗腺の近くで液状に汗を保持することを許すが、汗をその層を通って吸収層にゆっくりと拡散することを許す、ことを意味する。
【0022】
皮膚と向かい合う感圧接着剤層は、湿気を皮膚から吸収層に輸送することができなければならない。活動していない、正常なヒトの不活発な発汗(拡散)レベルは、約150g/m/24時間である[Pinnagoda,J.,R.A.Tupker,T.Agner,およびJ.Serup.1990.経表皮水分喪失量(transepidermal water loss (TEWL))測定のためのガイドライン。Standardization Group of the European Society of Contact Dermatitis. Contact Dermatitis 22:164-178]。このように、皮膚と向かい合う層の水透過性は、皮膚を比較的乾いたものに保持できる量のオーダーで、水を透過することができなければならない。皮膚と向かい合う層を通る実際の水透過性は、その皮膚と向かい合う層の透過係数関数のみならず、皮膚と、皮膚と向かい合う層の反対側の吸収材料層との間の蒸気圧の差異の関数である。接着剤層の透過率を測定する適切な方法は、ここに開示される逆カップ法(reverse cup method)である。この方法は、塩類液(〜99%RH)および15%RH蒸気圧間の水蒸気勾配を有する層の水透過性を測定する。吸収層における蒸気圧は少なくとも15%RHであると推測されるので、皮膚と向かい合う層の水蒸気透過性は、逆カップ法を用いて測定すると、少なくとも150g/m/24時間であるべきである。吸収層の蒸気圧は、逆カップ法における等価の15%RHよりもかなり高いのが通常であり、したがって層の好適な水蒸気透過率は450g/m/24時間、そして最も好適には約900g/m/24時間超である。皮膚と向かい合う薄い層は、湿気に晒されるとき、その接着特性を維持するために少量の湿気を吸収することができるべきである。乾いた状態から、塩類水溶液との平衡状態への皮膚と向かい合う接着剤の質量増加は、ここで記載される方法を用いて測定されると、8%未満、好ましくは4%未満であるべきである。そうでないと、はくり力は、もし接着剤が湿気を吸収すると、余りに多く低下する。
【0023】
本発明の1つの態様において、低吸収性、液体不透過性、透湿性の接着剤組成物の、皮膚と向かい合う層の水蒸気透過性は、150g/m/24時間より高く、水吸収能力は、ここで定義されるように、8%未満、好ましくは4%未満である。
【0024】
低吸収性は、水吸収能力が、ここで定義されるように、8%未満、好ましくは4%未満であることを意味する。
【0025】
もし少量の吸収粒子が皮膚と向かい合う純然たる接着材中に分散していると、皮膚と向かい合う層の水吸収能力は、水吸収後に接着性を維持するために吸収層の20%より小さくあるべきである。
【0026】
本発明の1つの態様において、老廃物捕集デバイスは、捕集袋ならびに身体に付着するための接着剤ウエハーを含み、そしてその接着剤ウエハーは、裏打ち層、吸収材料の少なくとも1つの層、ならびに吸収材料の20%未満の吸収能力を有する、低吸収性、液体不透過性、透湿性の接着剤の、皮膚と向かい合う層、を含む。
【0027】
皮膚と向かい合う層の厚さは、選ばれる接着剤の蒸気透過性、接着剤の機械的特性、基質(皮膚)の輪郭、および製造の容易さのような実際的な考慮により、主として支持される。皮膚と向かい合う層の好適な厚さは、20〜500μmの範囲である。
【0028】
皮膚と向かい合う薄い層の感圧接着剤は、良好な蒸気透過性を有する、いかなる疎水性接着剤であってもよい。このような接着剤は、接着結合強度(adhesive cohesive strength)を与える1つ以上のポリマー、および任意に、接着特性を調節するためのオイルおよび粘着付与剤、を含む接着剤であるのが通常である。
【0029】
本発明の1つの態様によれば、低吸収性、液体不透過性、透湿性の接着剤組成物は、ポリプロピレンオキシド、ポリウレタン、エチレンビニルアセテート、シリコーン、ポリアクリレートおよびそれらの混合物からなる群より選ばれる透過性ポリマーを含むが、これらに限定されない。
【0030】
ここで用いられるように、透湿性ポリマーは、平衡で5%未満、好ましくは1%未満、を吸収し、100g/m/24時間より大きい、好ましくは200g/m/24時間より大きい、湿気蒸気透過速度を有する、ポリマーを意味する。皮膚と向かい合う層、を含む。
【0031】
本発明の1つの態様において、皮膚と向かい合う感圧接着剤は架橋されている。ココで用いられるように、架橋は巨大分子(ポリマー鎖構造)における小さな領域を意味し、それから2より多い鎖が出る。連結は、共有結合、物理的またはイオン性であり得る。
【0032】
本発明のもう1つの態様において、皮膚と向かい合う感圧接着剤はブロックコポリマーを含む。ここで用いられるように、ブロックコポリマーは、主鎖の繰り返し単位がブロック状、たとえば-(a)m-(b)n-(a)p-(b)q-、で存在し、ここでaおよびbは繰り返し単位を示し、そしてm、n、p、qは数字である。
【0033】
本発明の好適な態様において、皮膚と向かい合う感圧接着剤はポリプロピレンオキシドを含む。
【0034】
本発明の好適な態様において、皮膚と向かい合う感圧接着剤はポリウレタンを含む。
【0035】
本発明の好適な態様において、皮膚と向かい合う感圧接着剤はエチレンビニルアセテートを含む。エチレンビニルアセテートを含む接着剤組成物は、たとえばデンマーク特許出願PA200701003に開示される接着剤組成物のような、当業者に知られている接着剤が適切である。
【0036】
本発明の好適な態様において、皮膚と向かい合う感圧接着剤はシリコーンを含む。
【0037】
本発明の好適な態様において、皮膚と向かい合う感圧接着剤はポリアクリレートを含む。
【0038】
少なくとも、150g/m/24時間の不活発発汗に適応するように、1mm厚さの吸収材料層(〜1000g/m)は、150g/m/24時間相当量を吸収するために、24時間にわたって、それ自体の質量の約15%を吸収することができなければならない。24時間後の吸収材料の水吸収能力は、ここに開示される方法を用いて測定されて、15%より大きくなければならない。好ましくは、水吸収能力は活発発汗の吸収を達成するために30%より大きくなければならない。
【0039】
本発明の1つの態様において、吸収材料層は吸収接着剤層である。水吸収接着剤層は、皮膚と向かい合う水透過接着剤層の接着をさらに助けるために機械的振動減衰特性を有するのが好適である。その層の柔らかく、機械的振動減衰特性は、実際、それを接着剤にするものであり、DMA(動的機械分析)を用いて定量化され得る。ここで、接着剤は、1Hzで測定される、G<330kPa(Dahlquistクライテリオン)のモジュラスおよびtanδ>0.4の振動減衰特性を有する材料として定義される。吸収接着剤の好適な柔らかさは、1Hzで50kPaより小さいGである。パラメータGおよびtanδは、”Dynamics of polymeric liquids”, Vol 1, sec ed 1987, Bird, Armstrong and Hassger, John Wiley and Sons Inc.に定義される。
【0040】
もう1つの態様において、吸収材料の層は、柔らかい非接着性材料を含む。適切な材料は、吸収粒子、柔らかい疎水性発泡体、および他の柔らかい材料を有する疎水性ゲルを含む。柔らかいは1Hzで、G<500kPaより小さいモデュラスを有する材料を意味する。
【0041】
さらなる態様において、吸収材料の層は、しなやかな、すなわち非記憶パテ様(non-memory putty-like)材料である。非記憶パテ様材料は、以下に述べるように測定されるとき、45%未満の歪回復を有する材料を意味する。もっと好適には、材料の歪回復は40%未満、さらにもっと好適には35%未満である。
【0042】
使用時に、接着剤デバイスは、裏面または側面からの過剰な湿気、たとえばデバイスにおける内部孔でのストーマ攻撃からの排出(浸食)、に晒されることが多く、そして外縁は、シャワーまたは水泳時に攻撃される。デバイスの過剰な膨潤および潜在的な破壊を避けるために、吸収層はあまり高すぎる吸収速度を有しないのが好ましい。最大吸収速度は、10,000g/m/日未満、好ましくは5,000g/m/日未満、さらには場合によっては2000、または1000g/m/日と低いのが通常、好適である。
【0043】
本発明の1つの態様によれば、低吸収性、液体不透過性、透湿性の接着剤組成物の皮膚と向かい合う層は、接着剤ウエハーの皮膚と向かい合う全表面を被覆する。任意に、皮膚と向かい合う層は吸収接着剤層の一部のみを被覆する。
【0044】
本発明のもう1つの態様によれば、低吸収性、液体不透過性、透湿性の接着剤組成物の皮膚と向かい合う層は、接着剤ウエハーの皮膚と向かい合う表面を部分的に被覆する。
【0045】
本発明の好適な態様によれば、低吸収性、液体不透過性、透湿性の接着剤組成物の皮膚と向かい合う層は、接着剤ウエハーの皮膚と向かい合う表面の少なくとも75%を被覆する。
【0046】
吸収層は吸収剤粒子を含むのが有利であり得る。本発明の1つの態様によれば、吸収層は吸収剤粒子を含む。その粒子は、皮膚から湿気を吸収する層のための塩類、親水コロイド、微小コロイドまたは超吸収剤である。
【0047】
吸収剤粒子の好適な粒径は、肉眼でみるのが困難であり、眼に好適な製品を与えるので、粒径の上限は吸収層の最小寸法の大きさである。したがって、300μm厚さの吸収層は、300μmを超える粒子を含むべきではない。吸湿性粒子は、凝集する傾向があり、この効果は粒径の減少とともに増加するであろう。したがって、好適な粒径は10〜300μmである。さらに、粒子は小粒子の凝集を低下するために凝集防止剤を含んでいてもよい。
【0048】
微小コロイド粒子は、この分野でよく知られており、たとえば国際特許出願WO02/066087には、微小コロイド粒子を含む接着剤組成物が記載されている。微小コロイド粒子は、20μm未満の粒径を有し得る。
【0049】
吸収層は、1〜40%w/wの親水コロイド(HC)または超吸収粒子(SAP)、もっと好ましくは5〜30%w/wの粒子、を含み得る。
【0050】
塩は、本発明デバイスに吸収体として用いるのが有利であり得る。塩化ナトリウムのような塩は、皮膚温度で約75%RHの平衡蒸気圧を有し、蒸気圧の差異のために皮膚および排出物から水を吸収する。
【0051】
本発明の1つの態様において、吸収層は、無機塩の粒子を含む。その塩は、1〜50%w/w の量で、もっと好ましくは5〜25%w/w の量で存在し得る。その塩は無機塩または有機塩であり得る。本発明の1つの態様によれば、吸収層は、NaCl,CaCl2,K2SO,NaHCO,Na2CO,KCl,NaBr,NaI,KI,NHCl,AlCl,およびそれらの混合物、好ましくはNaCl、からなる群より選ばれる水溶性無機塩を含むが、これらに限定されない。
【0052】
本発明のもう1つの態様によれば、吸収層は、CHCOONa, CHCOOK,HCOONA, HCOOK,およびそれらの混合物からなる群より選ばれる水溶性有機塩を含むが、これらに限定されない。
【0053】
好適には、低吸収性の、皮膚と向かい合う接着剤および吸収層の疎水性マトリックスは、2つの層の間の種の移行を防止するために組成が同一であるかまたは近似している。
【0054】
本発明の1つの態様において、吸収層は、皮膚と向かい合う層に用いられる透過性接着剤組成物と同一種類のポリマー成分に基づく。このように、吸収層の成分は、ポリプロピレンオキシド、ポリウレタン、エチレンビニルアセテート、シリコーン、ポリアクリレートおよびそれらの混合物の群より選ばれるが、これらに限定されず、任意に粒子を添加することにより吸収性とされてもよい。
【0055】
本発明デバイスの裏打ち層は、好適には、ポリマー膜、コーティング、ラミネート、繊維または不織布の形態である。裏打ち層は高度に柔軟な膜であり、それはたとえばカップリングおよび/または袋の付着、ならびにワンピースでデバイスを取り出す、のに十分強いが、身体の動きに追随するのに十分に柔らかい。
【0056】
1つの態様において、裏打ち層は、ポリウレタンであり、任意にラミネートまたは共押出膜であってもよい。
【0057】
好適には、裏打ち層は、たとえば袋またはカップリングリングの接着剤ウエハーへの結合を可能にする熱可塑性部品を有する。裏打ち層の好ましい厚さは、接着剤ウエハーの柔らかさを維持するために15〜60μmである。
【0058】
本発明の1つの態様において、裏打ち層は、蒸気不透過性である。
【0059】
もう1つの態様によれば、裏打ち層は、多層膜である。膜中の各層は、裏打ち層に特別の特性を与える。薄い結合しうる層は、バッグまたはカップリングに良好な結合を確実にし、そして比較的厚い、柔らかな層は機械的特性を確実にする。
【0060】
もう1つの態様によれば、裏打ち層は、厚さが15〜200μmである発泡体である。適した発泡体裏打ち層は、たとえばポリエチレン発泡体、エチレンビニルアセテート発泡体、ポリウレタン発泡体、ポリアルキレンオキシドおよび/またはポリアルキレンオキシドシロキサン発泡体である。
【0061】
本発明の1つの態様によれば、接着剤ウエハーは、接着剤ウエハーは、の機械的特性を調節するためにポリマー材料からなる任意の層を含む。このような層は、親水コロイド接着剤の疎水性部分からなるが、それに限定されない。
【0062】
本発明によるウエハーは、1つ以上のはくりライナーにより部分もしくは全部を、または付着の前にもしくは間に取り外されるべきカバー膜により、任意に被覆される。保護カバーまたははくりライナーは、たとえばシリコーン化紙であり得る。それはウエハーと同一の輪郭を有する必要はない。はくりライナーは、医療デバイス用のはくりライナーとして有用であると知られている、いかなる材料であってもよい。
【0063】
本発明の1つの態様によれば、捕集袋は着脱自在である。本発明のもう1つの態様によれば、捕集袋はウエハーと一体化される。捕集袋はカップリングシステムまたは袋により接着剤ウエハーから着脱自在であってもよく、そしてウエハーは、たとえば結合によりウエハーと一体化され得る。2つの変形が、オストミー用のワンピースまたはツーピース装具として知られている。
【0064】
本発明の1つの態様によれば、接着剤ウエハーはストーマを受け取るための孔を備える。
【0065】
着用時に、端部の巻き上げを避けるために、ウエハーの端部を斜めにするのが有利であり得る。
【0066】
医療用デバイスの接着剤部分におけるたわみ性は、接着剤に斜角をつけるかまたはパターン化するか、のようなデバイス設計により達成されることが多い。
【0067】
接着剤の皮膚と向かい合う面は、皮膚に接着する側を意味する。袋と向かい合う面または皮膚と向かい合わない面は、皮膚から遠ざかる接着剤または裏打ちの側(非結合側)を意味する。
【0068】
もう1つの態様において、皮膚と向かい合う層および吸収層は、ウエハーが付着されるように支持される皮膚表面に垂直な方向に吸収粒子中の勾配として形成される。たとえば、予備硬化された接着剤におけるNaCl粒子は、接着剤が硬化される前に固定されるのを可能にされ得る。その固定は、接着剤に多層を導入しないで、接着剤ウエハーの頂部よりも底部で高い粒子濃度を生じさせる。このように、接着剤層構成は、1層の吸収透過性接着剤からなり、皮膚と向かい合う側の粒子濃度は、接着剤の皮膚と向かい合わない側の粒子濃度よりも少なくとも2倍低く、好ましくは少なくとも4倍低い。
【0069】
この粒子勾配接着剤構成は、接着剤特性が皮膚と向かい合う側で使用時に維持され、接着剤の皮膚と向かい合わない側で健康的な皮膚環境のための吸収能力がえられることを確実にする。
【0070】
全接着剤厚さの皮膚と向かい合う側の最初の10%は、皮膚と向かい合う側の粒子濃度を規定する。接着剤の反対側(皮膚と向かい合わない側)の最初の10%は、皮膚と向かい合わない側の粒子濃度を規定する。
【0071】
好適な態様において、吸収粒子は、皮膚と向かい合う側で3%w/wの塩濃度と皮膚と向かい合わない側で20%w/wの塩濃度で、接着剤厚さにわたって分散された、塩粒子である。
【0072】
本発明の1つの態様によれば、捕集デバイスはオストミー装具である。
【0073】
本発明のもう1つの態様によれば、捕集デバイスはふん便(faecal)捕集デバイスである。
【0074】
本発明のもう1つの態様によれば、捕集デバイスはろう孔(fistula)捕集デバイスである。
【実施例】
【0075】
方法
(水吸収の測定)
ヒト様環境において、測定された水吸収と実際の性能との間のもっと良好な相関を得るために、ISO62規格の修正版が用いられた:1×25×25mmの接着剤片が、両面接着剤を用いて一片のガラス上に固定され、そしてその構造物は塩溶液(0.9%NaCl脱イオン水溶液)に32℃で浸漬された。24時間後に、試料は取り出され、注意深く滴下乾燥され、計量された。質量変化は接着剤の最初の乾燥質量の%で質量増加として記録された。以下では、この値をW24hと呼ぶ。
(湿気蒸気透過速度の測定)(MVTR)
MVTRは、逆Paddingtonカップ法(British Pharmacopoeia, 1993, Addendum 1996, page 1943.HMSO London)を用いて、24時間にわたってg/m2で測定された。水および水蒸気不透過性で開口を有する容器またはカップが使用された。20mL塩溶液(0.9%NaCl脱イオン水溶液)が、容器内に入れられ、開口は試験用接着剤膜で密封された。容器は、控えとともに、電気加熱された恒湿槽に入れられ、容器またはカップは、水が接着剤と接触するように、ひっくり返して置かれた。恒湿槽は、37℃、相対湿度(RH)15%に維持された。約1時間後に、容器は周囲と平衡にあると考えられ、計量された。最初の計量から24時間で、容器は再び計量された。質量の差異は、接着剤膜を通って透過された蒸気の蒸発によるものであった。この差異は、湿気蒸気投下速度、すなわちMVTRを計算するのに用いられた。MVTRは、カップの開口領域により分割され、24時間後の質量損失として計算された(g/m/24時間)。もし接着剤膜が水の質量に耐えることができなかったら、非常に高い透過性を有する支持膜が、支持体として用いられた。
(はくり)
はくり測定は、300mm/分および角度90°でInstron 内で実施された。はくり小片は、幅25mm、長さ100mmであった。測定された力は、はくり時に記録され、報告されたはくり力は、端効果なしに、はくり力の平均である。はくり力はN/25mmで報告される。
(歪回復)
試験される接着剤材料の板が、1mm厚さの板にプレスされた。これから、径25mmの丸い試料が切り出され、Thermo Electron社からのRheoStress RS600レオメーター内に置かれた。適用される形状は、平行な25mm板であった。測定は32℃で実施された。
【0076】
15%および5%(合計20%)のずり変形(γ)が、変形の行き過ぎを避けるために2段階で適用され、その20%変形は60秒間、保持された(その変形の行き過ぎは22%を超えるべきではない)。合計変形時間は、90秒未満とすべきである。応力が除去され、残留弾性力は適用された変形のいくらかを回復した。得られる変形の回復は、1000秒後に測定された。
【0077】
歪回復は、大きなステップ歪からの回復%として定義され、次のように計算された:
歪回復=γ−γ1000/γ、ここでγは0.20であり、γ1000は1000秒後のずり変形であり、レオメーターにより与えられる曲線からみられ得る。
(材料)
次の材料が、本発明および比較のための感圧接着剤組成物によって、感圧接着剤を用意するのに用いられた:
ACX003,Kanekaからのアリル末端ポリエーテル(ポリプロピレンオキシド)粘度16Pa.s白金触媒、PT-VTS. PT-VTSはIPA中のPt-ジビニルテトラメチルジシロキサン(Pt3.0wt%)である。
CR600、Kanekaから入手し得るポリ−アルキル水素シロキサン硬化剤
Aquasorb A500,Hercules からの親水コロイド
裏打ち層−PU膜:BL9601,Intellicoat
はくりライナー
(結果)
2つの 接着剤試料が用意された:第1の接着剤基材150gは、表1に示される比で、ポリマー、架橋剤および触媒を含んで調製された。
【0078】
【表1】

【0079】
この接着剤10gが、厚さ100μmではくりライナー上に被覆され、そして硬化するために炉に入れられた。接着剤20gは、1mm厚さのシートに、2つのはくりライナー間でプレスされ、そして1時間、100℃で硬化された。この試料は、試料1と呼ばれる。残りの接着剤基材100gは、Aquasorb A500親水コロイド(HC)25gと混合され、HCの全含有量は20%であった。このように、2つの接着剤が調製された。
接着剤1:
接着剤基材を含むHC25gが裏打ち膜上に置かれ、はくりライナーが頂部に置かれ、そしてそのサンドイッチが2つのホットプレート間に、接着剤が1000μmであるように、距離を置いて100℃のホットプレスの中に置かれた。
接着剤2:
接着剤基材を含むHC20gが裏打ち膜上に置かれ、ステップ1からの1000μm厚さの接着層を有するはくりライナーが頂部に置かれ、そしてそのサンドイッチが2つのホットプレート間に、2つの接着剤が合計厚さ1000μmであるように、距離を置いて100℃のホットプレスの中に置かれた。
【0080】
接着剤1および2ならびに試料1が、後硬化するために100℃で30分間、炉内に置かれた。接着剤1は、PU裏打ち膜およびはくりライナー間に、1層の接着剤を含んでいたが、接着剤2は、はくりライナーとPU裏打ち膜の間に2つの接着剤層を有していた−PU側に吸収接着剤の1層およびはくりライナーと面する(皮膚と向かい合う側)低吸収接着剤の1層である。低吸収層は100μm厚さであった。
接着剤1および2ならびに試料1の水吸収
水吸収実験がここに開示される試験方法により実施された。
乾燥はくり
はくり小片(peel strips)が2つの接着剤シートから切断された。小片は、ボランティアの前腕上に置かれ、小片の付着後、5分ではくりされた。
湿はくり
はくり小片は、2つの接着剤シートから切断された。小片は、塩類水に15分間入れられ、ついで接着剤は水から取り出され、過剰の水は迅速に滴下乾燥された。そして、接着剤は、ボランティアの前腕上に置かれ、緩和に5分間与えられ、ついではくりされた。
MVTR
一部の薄層がPU裏打ちに移され、層のMVTRは1800g/m/24時間であることがわかった。PU裏打ち単独のMVTRは約10000g/m/24時間であり、したがって接着剤層に比べて無視し得る。したがって、100μm接着剤膜のMVTRは1800g/m/24時間に近い。
結果
【0081】
【表2】

【0082】
その結果は、吸収接着剤の皮膚と向かい合う側に接着剤の低吸収層を加えることにより;水吸収能力は40%低下したことを示す。乾燥はくり力は、余分な層によりほとんど影響されないが、湿はくり力は、その層なしの接着剤より300%大きい。したがって、吸収層は、低吸収接着剤層が接着剤の皮膚と向かい合う側に被覆されたとき、適切にとどまる能力がかなり良好であるが、良好な湿気吸収特性は維持された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
捕集袋ならびに身体に付着するための接着剤ウエハーを含み、そしてその接着剤ウエハーは、裏打ち層、吸収材料の少なくとも1つの層、および低吸収性、液体不透過性、透湿性の接着剤組成物の皮膚と向かい合う層、を含む老廃物捕集デバイス。
【請求項2】
吸収材料の層が、ここに開示される方法による、少なくとも15%、好適には少なくとも30%の水吸収能力を有する請求項1に記載の捕集デバイス。
【請求項3】
吸収材料の層が吸収剤粒子を含む請求項1または2に記載の捕集デバイス。
【請求項4】
吸収剤粒子が、皮膚から湿気を吸収する層のための塩類、親水コロイド、微小コロイドおよび超吸収剤からなる群より選ばれる請求項1〜3のいずれかに記載の捕集デバイス。
【請求項5】
低吸収性、液体不透過性、透湿性の接着剤組成物の、皮膚と向かい合う層の水蒸気透過性が、150g/m/24時間より高く、水吸収能力は、ここで定義されるように、8%未満、好ましくは4%未満である請求項1〜4のいずれかに記載の捕集デバイス。
【請求項6】
低吸収性、液体不透過性、透湿性の接着剤組成物の、皮膚と向かい合う層が、ポリプロピレンオキシド、ポリウレタン、エチレンビニルアセテート、シリコーン、ポリアクリレートおよびそれらの混合物の群より選ばれる透過性ポリマーを含む請求項1〜5のいずれかに記載の捕集デバイス。
【請求項7】
低吸収性、液体不透過性、透湿性の接着剤組成物の皮膚と向かい合う層は、接着剤ウエハーの皮膚と向かい合う全表面を被覆する請求項1〜6のいずれかに記載の捕集デバイス。
【請求項8】
低吸収性、液体不透過性、透湿性の接着剤組成物の皮膚と向かい合う層は、接着剤ウエハーの皮膚と向かい合う表面を部分的に被覆する請求項1〜7のいずれかに記載の捕集デバイス。
【請求項9】
低吸収性、液体不透過性、透湿性の接着剤組成物の皮膚と向かい合う層は、接着剤ウエハーの皮膚と向かい合う表面の少なくとも75%を被覆する請求項1〜8のいずれかに記載の捕集デバイス。
【請求項10】
接着剤ウエハーが、ポリマー材料を含む任意の層を含む請求項1〜9のいずれかに記載の捕集デバイス。
【請求項11】
接着剤ウエハーが、ストーマを受け取るための開口を備える請求項1〜10のいずれかに記載の捕集デバイス。
【請求項12】
捕集袋が着脱自在である請求項1〜11のいずれかに記載の捕集デバイス。
【請求項13】
捕集袋がウエハーと一体的である請求項1〜12のいずれかに記載の捕集デバイス。
【請求項14】
吸収層が、皮膚と向かい合う層に用いられる透過性接着剤組成物と同一種類のポリマー成分に基づく請求項1〜13のいずれかに記載の捕集デバイス。
【請求項15】
捕集袋ならびに身体に付着するための接着剤ウエハーを含み、そしてその接着剤ウエハーは、裏打ち層、吸収材料の少なくとも1つの層、ならびに吸収材料の20%未満の吸収能力を有する、低吸収性、液体不透過性、透湿性の接着剤の、皮膚と向かい合う層、を含む老廃物捕集デバイス。
【請求項16】
吸収材料の層が吸収接着剤層である請求項1〜15のいずれかに記載の捕集デバイス。
【請求項17】
少なくとも裏打ち材、ならびに吸収粒子を有する、吸収性、液体不透過性、透湿性の接着剤組成物の層からなり、皮膚と向かい合う側の粒子濃度は、接着剤の皮膚と向かい合わない側の粒子濃度よりも少なくとも2倍低く、好ましくは少なくとも4倍低いことを特徴とする、身体に付着させるための接着剤ウエハー。
【請求項18】
捕集デバイスがオストミー装具である請求項1〜16いずれかに記載の捕集デバイス。
【請求項19】
捕集デバイスがふん便(faecal)捕集デバイスである請求項1〜16いずれかに記載の捕集デバイス。
【請求項20】
捕集デバイスがろう孔(fistula)捕集デバイスである請求項1〜16いずれかに記載の捕集デバイス。

【図1】
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【公表番号】特表2010−531161(P2010−531161A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512523(P2010−512523)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【国際出願番号】PCT/DK2008/050148
【国際公開番号】WO2008/154930
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(500085884)コロプラスト アクティーゼルスカブ (153)
【Fターム(参考)】