説明

多層構造の粒子、繊維糸、およびスプレーを生産するためのシステムおよび方法ならびにそれらを施すための方法

治療薬、造影剤、および他の薬剤成分などの、少なくとも1つのカプセル封入された、および/または閉じ込められた薬剤を含むカプセルおよび粒子は、電気流体力学的プロセスにより形成されうる。より具体的には、賦形剤、カプセル、粒子、ベクター、または担体内にカプセル封入された薬剤は、治療および/または撮像の悪影響を最小限に抑えつつ悪性癌の治療および/または撮像を最大化することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2006年5月3日に出願した米国仮出願第60/746,311号および2007年1月23日に出願した米国仮出願第60/886,225号の優先権および利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、治療薬、造影剤、および他の薬剤成分などの、少なくとも1つのカプセル封入された、および/または閉じ込められた薬剤を含むカプセルおよび粒子を生産するシステムおよび方法に関する。より具体的には、賦形剤、カプセル、粒子、ベクター、または担体内にカプセル封入された薬剤は、治療および/または撮像の悪影響を最小限に抑えつつ悪性腫瘍の治療および/または撮像を最大化することが可能である。
【背景技術】
【0003】
癌は、無制御の細胞分裂およびそれらの細胞が拡散する能力、侵入により隣接する組織内に直接増殖して入り込むこと、または転移による遠位部位内への着床により特徴付けられる疾病または疾患の一種である。癌は、すべての年齢層の人々に影響を及ぼす可能性があり、年齢とともに増大する傾向にある。これは、先進国では主要な死亡原因の1つである。
【0004】
例えば、国立癌研究所によれば、2003年に、女性10,000人当たり12人から13人が乳癌を患っている。過去20年の間に、撮像および早期診断ツールが向上しているが、現在の乳癌早期発見は絶対確実というのにはほど遠く、特に若い女性にマンモグラムを使用する場合にはそうである。核磁気共鳴映像法(MRIおよび超音波)ならびにレーザーを使用する撮像技術が利用されるか、または評価されているが、健全な組織と癌組織との間のコントラストを可能な限り高めることが、積年の課題となっている。
【0005】
現在科学者たちが直面している難題は、治療の悪影響を最小限に抑えつつ患者体内の悪性の癌の治療および撮像を最大にするために治療薬または造影剤およびその賦形剤、ベクター、または担体をどのように設計すべきかを決定することである。さらに、体の所望の部分への治療薬の選択的送達も、自明でない課題である。現在の治療法では、腫瘍分布または治療薬が不十分になる可能性があり、患者に対し悪影響をもたらすことが多い。治療薬の全身注射は、体内の非特異的分散に関連する結果をもたらし、標的悪性腫瘍全体にわたって治療薬の分布を制限する。これらの欠点を克服する1つの手法は、所望の治療薬を入れたベシクルまたはカプセルを作ることにより有効な治療薬または造影剤送達賦形剤を設計することである。
【0006】
吸入、注射、または皮膚内への浸透を用いて人体内に送達できる十分に小さいベシクルまたはカプセルの形成は、大きな注目を集めている。ベシクルの外皮または外殻は、受容体および他の化学種で化学的に官能化され、特定の臓器を選択的に標的にすることができる。小さなベシクルを加工するのにエレクトロスプレーおよび2毛管ジェットシステムなどの、いくつかの方法が利用可能である。
【0007】
DC同軸エレクトロスプレー、AC同軸エレクトロスプレー、および電気流体力学(EHD)などの乳化重合技術は、ミクロンサイズのカプセルを生産することが可能なよく知られている方法である。一般に、カプセル封入される1つまたは複数の標的化合物を含む溶液は、「カプセル封入剤」とも呼ばれ、他の流体中に乳化され、カプセル封入剤分散液滴の周りに殻または外皮を形成することができる少なくとも1つの物質を有する溶液を作る。乳化重合法は、比較的拡張性があるが、定量的に標的をカプセル封入できないなどの、いくつかの制限がこの方法に関連しており、乳濁液の高剪断生成は、タンパク質、遺伝物質、および生体由来の他の分子などの生物学的成分などの機械的にデリケートなカプセル封入剤の完全性を損なうことがある。
【0008】
カプセル封入剤を含むコア流体および殻形成流体前駆体を送達する同軸毛管固定具と捕集体表面または対向電極との間のDC電位に基づく同軸エレクトロスプレーは、ミクロンおよびサブミクロン範囲のベシクルを生産する能力を有する。DC同軸エレクトロスプレーは、生物学的カプセル封入剤に対し比較的穏やかな場合があるが、その主要な制限は、機器、設計、拡張性の単純さを欠いている点であり、したがって費用効果の面である。
【0009】
DCベースのエレクトロスプレーの代替えとして、ACエレクトロスプレーを採用することができる。例えば、ACエレクトロスプレーは、ポリ乳酸などの生体吸収性生体高分子マトリックス内に閉じ込められたカプセル封入剤を生成するために使用されうる。ACエレクトロスプレーは、本質的に電気的に中性のエレクトロスプレーを生み出す。その一方で、粒子またはエレクトロスプレー液滴が非標的表面上で無差別に吸収する能力の低減、および潜在的電荷蓄積問題の回避など、電荷中立性に関連する利点がある。ACエレクトロスプレーの欠点の1つは、1ミクロンを軽く超えるサイズを有する望ましくない大きさの粒子を生成する点である。血液脳関門の侵入など、多くの医療用途に関して、ACエレクトロスプレー由来の粒子は容認しがたいほど大きい。
【0010】
エレクトロスプレー法に加えて、EHDなどのゾルゲル化学と組み合わせた同軸流体ジェットシステムを使用することで、ベシクルまたはカプセルを加工することができる。電場勾配の存在下で、同軸である2毛管同軸配置を使用して2種類の流体を同時に送達する方法が、当業ではよく知られている。
【0011】
簡単に言うと、この方法では、2種類の流体の化学的性質および物理的特性、ならびに電場の強さおよび2種類の流体の流量などの変数の値により、2毛管同軸配置の出口領域から一定の距離のところに配置されうる、捕集体電極上に集められた物質の構造を決定できるということである。出口領域では、複合2流体構造が、テイラーコーンなどのさまざまな形状をとりうる帯電メニスカスを形成することができる。
【0012】
図1は、従来技術の2同軸毛管システムにより生成される流体流を例示するものであり、電場勾配の存在下の2流体流の流れ100を示しており、そこでは内部流体104が外部流体106に包まれている。擬似円錐形であるテイラーコーン構造108は、その先端部110から帯電複合2流体ジェットを出す。ここでは、帯電流体ジェットは、同じ電荷同士の斥力の効果により細くなる。さらに、ジェットの細さは、誘電率、粘度、伝導度、および表面張力などの2種類の流体の物理的特性に応じて変わりうる。区別される2流体構造は、流体104および流体106が混合しないときに生じうるが、これらの構造は、流体104および流体106が混和性を有するか、または部分的混和性を有する場合にも生じうるが、それは、両方の流体が、いわゆる層流の形で流れるからである。
【0013】
層流は、非乱流であってよく、流れている流体層間の混合を最小にしうる。したがって、この2種類の流体は、単一の流体相を形成するほどの混じり方をしないため、細い帯電2流体ジェットは、気泡現象に似たカオス的経路に入る可能性がある。捕集ゾーンまたは捕集体112に向かう経路にそったある地点において、複合2流体ジェットは、レイリー不安定性と呼ばれる電荷振動現象を生じることがある。これにより、複合2流体ジェットは、もはや細くなる一方ということがなくなり、細くなったり太くなったりの振動を繰り返し、最終的に、ジェットは分散し、液滴の中に液滴が入る形、つまり複合エレクトロスプレー形態をとりうる。
【0014】
この2種類の流体の化学的特性および物理的特性は、捕集ゾーンまたは捕集電極112に捕集されるさまざまな構造物を生成するように制御されうる。例えば、流体106が、固相の溶媒蒸発および沈殿を通じて固体構造を生じる場合、流体104は、例えば、中空糸、中空ビーズ糸、またはカプセルなどの構造物内にカプセル封入されうる。それとは別に、2種類の流体の化学的および物理的特性は、2流体帯電メニスカスから捕集ゾーン112に複合帯電構造物が移動するときに、流体104および流体106の固化、この2種類の流体のうちの一方の固化、または両方の流体の固化を引き起こさないように調節されうる。
【0015】
図1を参照すると、領域3、4、および5が示されている。特定の物理化学的現象が、領域3において流体106の固化を引き起こす場合、流体104を流体106から形成された固体殻の内部にカプセル封入する管状構造物が得られる。しかし、流体106中の固化現象が領域4において発生した場合、カプセル封入された流体104が入っている中空ビーズ糸を得ることができる。それとは別に、流体106中の固化現象が領域5において発生した場合、カプセル封入された流体104が入っているカプセルを得ることができる。濡らされた糸、濡らされたビーズ糸、または濡らされた粒子は、それぞれ、流体104が固化するが、流体106は固化しない場合に、領域3、4、および5において結果として生じうる。コア殻固体構造物は、両方の流体が、捕集ゾーンに到達する前に固化する結果として生じうる。
【0016】
同軸2毛管システムは、上述のコア殻構造物を形成するために使用できるが、従来のシステムにはいくつかの欠点が関連する。特に、工程処理能力を高めるために工程の直接的平行拡張が試みられた場合、微細加工の問題が生じる。例えば、内側および外側毛管の内径の典型的範囲は、それぞれ約0.1から約0.3mmおよび約0.3から約1.0mmである。所望のコア殻構造の生産拡張のため多くのこのような同軸2毛管固定具からなる計測器を製作するには、できる限り同軸に近くなるように位置を揃えた内側および外側毛管を備え、さらに直径の高い再現性を有するそれぞれの個別固定具を生産する必要がある。現代の微細加工技術では、このような難題に応えることができるが、これらの技術は、非常に複雑であり、費用効果が高くない。
【0017】
特に、多くのオリフィス、毛管、導管、または2毛管同軸固定具内を通過する流体流を管理する従来の方法は、すべて同じ流体オリフィス、毛管、導管、または2毛管同軸固定具内に流れを力ずくで通す一手段を使用するものであり、それぞれの個別の流体流路を通る流体の流量を制御するものではない。このことが、例えば、所望のコア殻構造の平行生産拡張を行うのが難しく、費用がかかる理由となっている。1つの2毛管同軸固定具の内側または外側毛管から他方への直径の変動が約2%または3%を超える場合、望ましくない構造をもたらすことなく所望のコア殻構造を形成することは可能でない。このような従来技術の2毛管固定具では、内側および外側毛管の全体的圧力低下プロファイルのわずかな差も、望ましくない効果をもたらす原因となる。
【特許文献1】米国仮出願第60/746,311号
【特許文献2】米国仮出願第60/886,225号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、治療薬および/または造影剤を閉じ込めた、またはカプセル封入したカプセルを製造するためのシステムおよび方法を実現することにより上記のニーズに応えるものである。より具体的には、本発明のシステムおよび方法は、より広い範囲のカプセルサイズを利用可能にし、治療薬および/または造影剤の分解をもたらす化学的相互作用を十分に低い、許容可能なレベルに抑え、必要な製造工程数を減らし、従来の方法に比べてより高い費用効果を有する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つの薬剤がカプセル封入されているカプセルを生産する方法が提示される。この方法は、コア流体を中空管の内部に供給する段階と、殻流体流を供給する段階と、殻流体流を中空管の外壁に対し発生させる段階と、コア流体および殻流体に電位を印加して2流体帯電ジェットを中空管の先端部に形成する段階と、コア領域および殻領域を中空管の先端部に有するカプセルを形成する段階とを含む20ことができる。さらに、この方法は、捕集電極を供給する段階と捕集電極の表面上に形成カプセルを堆積する段階とを含むこともできる。
【0020】
他の態様では、本発明の方法は、カプセルの殻領域内にマグネタイト粒子の少なくとも1つの化学種を分散させる段階を含むことができる。マグネタイト粒子の少なくとも1つの化学種は、約1nmから約300nmまでの範囲のサイズを有することができる。マグネタイト粒子種は、Feとしてよい。
【0021】
さらに他の態様では、この方法は、カプセルの殻領域内に感光性ナノ粒子の少なくとも1つの化学種を分散させる段階を含むことができる。感光性ナノ粒子種は、約1nmから約50nmまでの範囲のサイズを有することができる。感光性ナノ粒子の化学種としては、銀、金、パラジウム、およびこれらの組み合わせが考えられる。
【0022】
他の態様では、コア流体は、約0.005mL/時から約5mL/時の範囲内の流量、特に、約0.025mL/時の流量で供給されうる。殻流体は、約0.005mL/時から約5mL/時の範囲内の流量、特に、約0.75mL/時の流量で供給されうる。正の電気的バイアスは、約5kVから約18kVの電圧を持つことができる。捕集電極は、グラウンド電位にあるものとしてよい。
【0023】
一態様では、この方法は、カプセルの殻の外周に官能基を分散させる段階を含むことができる。官能基とは、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、メルカプト基、ヒドロシリコン基、チオ基、カルボン酸基、アミン基、およびこれらの組み合わせなどの要素としてよい。さらに、官能基は、膵臓癌細胞に化学的または物理的に付着する能力を持ちうる。この官能基は、キナーゼ受容体、線維芽細胞増殖因子受容体、EGF、TGF、VEGF−A、ウロキナーゼ受容体、インターロイキン−4受容体、レチノイン酸受容体、ヘパリン結合EGF様増殖因子、HB−EGF、アンフィレグリン、エピレグリン、ニューレグリン、およびこれらの機能的に同等の物質などの1つまたは複数の化合物とすることができる。官能基は、約0wt%から約1wt%までの範囲内の含有量とすることができる。さらに、この官能基は、小胞体、ミトコンドリア、ゴルジ体、液胞、核、エアロソーム、中心小体、繊毛、グリオキシゾーム、リソソーム、メラノソーム、筋細線維、核小体、ペルオキシソーム、アクチン、チュブリン、原形質膜、およびリボソーム、ベシクルなどの細胞内標的に結合する能力を持ちうる。
【0024】
特定の一態様において、官能基は、グリオーマ細胞に化学的または物理的に付着する能力を有し、これは、上皮成長因子およびその機能的に同等の物質とすることができる。官能基は、カプセル上に約0wt%から約0.02wt%までの範囲内の含有量を有するものとしてよい。
【0025】
他の特定の態様において、官能基は、乳癌細胞に化学的または物理的に付着する能力を持ちうる。官能基は、エストロゲンおよびその機能的に同等の物質とすることができる。それに加えて、官能基は、カプセル上に約0.02wt%から約0.4wt%までの範囲内の含有量を有するものとしてよい。
【0026】
さらに他の特定の態様において、官能基は、リンパ腫、骨髄腫、および白血病癌細胞に化学的または物理的に付着する能力を持ちうる。官能基は、VEGR−2、トスツモマブ、CD20受容体、CD5、CD7、CD13、CD19、CD22、CD33、CD52、CD61に結合できる抗体、抗ミエロペルオキシダーゼ、およびその機能的に同等な物質のうちの1つまたは複数を含むことができる。官能基は、カプセルの殻上に約0.0wt%から約1.0wt%までの範囲内の含有量を有するものとしてよい。
【0027】
本発明の一態様によれば、殻流体は、少なくとも1つの生体適合性ポリマーであってよい。生体適合性ポリマーは、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、キトサン、メタクリル酸アルキル、ポリカプロラクトン、デンプン、ポリエチレングリコール、およびこれらの組み合わせから得られるコポリマーのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0028】
特定の一態様では、コア流体は、治療薬および造影剤のうちの1つまたは複数を含むことができる。治療薬は、核酸、二本鎖DNA、一本鎖DNA、二本鎖RNA、一本鎖RNA、ペプチド核酸(PNA)、アンチセンスDNA、アンチセンスRNA、低分子干渉RNA、タンパク質、脂質、炭水化物、およびこれらの組み合わせなどの1つまたは複数の物質を含むことができる。さらに、治療薬は、少なくとも1つの非生物的物質である。造影剤は、患者の悪性癌を発見するのに適している。
【0029】
他の態様では、治療薬は、何らかの病気を患っている患者を治療するのに好適である場合がある。患者は、乳癌、神経膠腫、リンパ腫、白血病、前立腺癌、膵臓癌、癌腫、肉腫、中皮腫、神経膠腫、胚細胞腫、および絨毛癌などの少なくとも1つの病気で苦しんでいる場合がある。
【0030】
一態様によれば、少なくとも1つのカプセル封入薬剤を入れたカプセルは、上述の本発明の方法により生産することができる。特に、カプセル封入薬剤は、治療薬および造影剤のうちの少なくとも1つを含みうる。カプセルは、殻領域およびコア領域を含むものとしてよい。それに加えて、磁気ナノ粒子を殻領域内に分散させることができる。さらに、カプセルの殻領域は、細孔を有するものとしてもよい。細孔は、約0.5nmから約2.0nmまでの範囲内のサイズとすることができる。
【0031】
特定の一態様において、官能基は、殻領域の外面上に分散させることができる。官能基は、標的細胞に化学的または物理的に付着する親和性を有することができる。標的細胞は、乳癌、神経膠腫、リンパ腫、白血病、前立腺癌、膵臓癌、癌腫、肉腫、中皮腫、神経膠腫、胚細胞腫、および絨毛癌などの悪性癌細胞であるとしてよい。
【0032】
より具体的な一態様では、治療薬は、化学療法薬、放射性同位体、および化学療法増強薬のうちの少なくとも1つとすることができる。治療薬は、抗炎症性化合物、抗アレルギー剤、グルココルチコイド、抗感染症薬、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス薬、粘液溶解薬、防腐薬、血管収縮薬、創傷治癒剤、局部麻酔薬、ペプチド、およびタンパク質などの一化合物としてよい。
【0033】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つの薬剤がカプセル封入されているカプセルを生産するための電気流体力学的システムが実現される。このシステムは、コア流体を受け取るように構成された内部を有する中空管、前記中空管を囲む流体源、コア流体を前記中空管の前記内部に供給するように配列されているコア流体供給管、殻流体を前記殻流体源に供給するように配列されている殻流体供給管、およびコア流体と殻流体に電位を印加して流体に少なくとも2流体帯電流体を含むジェットを形成させる電位発生源を備えることができる。このシステムは、コア流体リザーバを備えることもできる。このシステムは、さらに、殻流体リザーバを備えることもできる。カプセル封入薬剤は、治療薬および造影剤のうちの少なくとも1つであるとしてよい。
【0034】
特定の一態様において、システムは、さらに、流体槽の上に配置された捕集電極を備えることもできる。それに加えて、システムは、流体槽と捕集電極との間に配置されたエクストラクタ本体を備えることができる。
【0035】
より具体的な一態様では、流体源は、流体槽としてよい。流体源は、さらに多孔質材であってよい。多孔質材は、スポンジであってもよい。さらに、流体源は、複数の管であってもよい。
【0036】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つの薬剤がカプセル封入されているカプセルを生産するシステムが実現される。このシステムは、複数の中空管、前記複数の中空管を囲む入れ物、コア流体を前記複数の中空管の内部に供給するように配列されているコア流体供給管、殻流体を供給するように配列されている殻流体供給管、およびコア流体と殻流体に電位を印加して流体に少なくとも2流体帯電流体を含むジェットを形成させる電位発生源を備えることができる。このシステムは、さらに、捕集電極を備えることもできる。さらに、このシステムは、エクストラクタ本体を備えることもできる。
【0037】
他の態様では、本発明のシステムは、コア流体リザーバを備えることができる。さらに、このシステムは、殻流体リザーバを備えることもできる。
【0038】
特定の一態様では、複数の中空管は、前記入れ物内に円周配列されうる。複数の中空管は、さらに、少なくとも2枚の板を備える前記入れ物の中に直線的配列することもできる。この入れ物は、殻流体を受け取り、送達するように構成されうる。殻供給管は、殻流体を前記複数の中空管の間の空間に供給するように構成され、配列されうる。
【0039】
特定の一態様では、本発明のシステムは、上昇流電気流体力学的動作を実行するように構成できる。それとは別に、本発明のシステムは、下降流電気流体力学的動作を実行するように構成できる。
【0040】
本発明の追加の特徴、利点、および実施形態は、以下の詳細な説明、図面、および請求項を考察しつつ説明され明らかにされうる。さらに、本発明の前記の概要および以下の詳細な説明は両方とも、例であり、請求されているように本発明の範囲を制限することなく詳細な説明を行うことを意図されていることは理解されるであろう。
【0041】
本発明の理解を進めるために添付されている付属の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部をなし、本発明の実施形態を例示し、詳細な説明と併せて本発明の原理を説明するために使用される。本発明および本発明の実施するさまざまな方法に関する基礎事項を理解するうえで必要と思われる以上の詳しさで本発明の構造を説明するつもりはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本発明は、当業者であれば理解しているように、変更できる本明細書で説明されている特定の方法、プロトコル、および試薬に制限されないことは理解される。また、本明細書で使用されている用語は、特定の実施形態のみを説明することのみを目的として使用され、本発明の範囲を制限することは意図されていないことは理解されるであろう。本明細書および付属の請求項で使用されているように、単数形(原文において「a」、「an」、「the」の冠詞)は、文脈上明らかに他の方法を示していない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。このことは、例えば、「カプセル」という言及は、1つまたは複数のカプセルおよび当業で知られているその等価物についての言及であるということである。
【0043】
断りのない限り、本明細書で使用されるすべての技術および科学用語は、本発明が関係している技術分野の当業者に通常理解される意味と同じ意味を有する。本発明のいくつかの実施形態およびそのさまざまな特徴および有利な詳細は、制限しない実施形態を参照しつつより完全に説明され、および/または付属の図面に示され、および以下の説明において詳述される。図面に例示されている特徴は、必ずしも縮尺通り描かれておらず、一実施形態の特徴は、本明細書で明示的に述べられていないとしても、当業者であれば理解するであろう他の実施形態とともに使用されうることに留意されたい。
【0044】
本明細書に引用されている数値は、低い値と高い値との間が少なくとも2単位分離れていると仮定して1単位きざみで低い値から高い値に至るすべての値を含む。例えば、サイズ、温度、圧力、時間などのプロセス変数の成分または値の濃度が、例えば、1から90まで、詳しくは20まで80まで、より詳しくは30から70までと述べられている場合、15から85まで、22から68まで、43から51まで、30から32までなどの値が、本明細書で明示的に列挙されることが意図されている。1よりも小さい値については、1単位は、適宜0.0001、0.001、0.01、または0.1であるとみなされる。これらは、具体的に意図されているものの例にすぎず、最低値と最高値との間の数値の可能なすべての組み合わせは、同様にして本出願において明示的に述べられると考えられる。
【0045】
さらに、このすぐ下に、「定義」の節を設け、そこで本発明に関係するいくつかの用語が特に定義されている。説明されている特定の方法、デバイス、および材料が説明されているが、本明細書で説明されているものに類似しているか同等である方法および材料は、本発明の実施または試験で使用されうる。本明細書で引用されているすべての引用文献は参照により本明細書に組み込まれる。
定義
【0046】
BSAは、ウシ血清アルブミンである。
【0047】
CEDは、滞留増強剤である。
【0048】
CFMは、共焦点蛍光顕微鏡である。
【0049】
EHDは、電気流体力学である。
【0050】
PBSは、リン酸緩衝生理食塩水である。
【0051】
PEGは、ポリ(エチレングリコール)である。
【0052】
PLAは、ポリ(乳酸)である。
【0053】
PCLは、ポリカプロラクトンである。
【0054】
PLGAは、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)である。
【0055】
「活性薬剤」、「薬物」、「治療薬」、および「薬理活性薬剤」は、本明細書では、生命体(ヒトまたは動物)に投与されたときに所望の薬理効果を引き起こす化学物質または化合物を指すために入れ替えて使用されうる。含まれるのは、これらの化合物の誘導体および類似体、または所望の薬理効果ももたらす特に言及されているいくつかのクラスの化合物である。特に、治療薬は、単一の生物学的または非生物学的化合物、あるいは望ましい治療効果を生じさせるために必要と思われる生物学的および非生物学的化合物の組み合わせを含むことができる。
【0056】
「医薬品として許容される担体」は、薬の投与に適しており、生物学的にまたは他の何らかの形で望ましくないということがない物質または複数の物質、つまり、望ましくない生物学的効果を引き起こしたり、含まれる製剤処方の他の成分との有害な相互作用を生じたりすることなく活性薬剤とともに個人に投与されうる物質を意味する。
【0057】
同様に、本明細書で取りあげているような「薬理学的に許容される」塩、エステル、または活性薬剤の他の誘導体は、生物学的にまたは他の何らかの形で望ましくないということがない塩、エステル、または他の誘導体である。
【0058】
本明細書で取りあげているような「有効量」または「治療効果のある量」の薬剤とは、無毒であるが、所望の治療効果をもたらす十分な量の薬剤を意味する。要求される正確な量は、被検者毎に、被検者の年齢、体重、および一般的病状、治療される疾病の重症度、医師の判断などに応じて異なる。したがって、正確な「有効量」を指定することはできない。しかし、個々の症例における適切な「有効な」量は、ルーチン実験のみを用いて当業者により決定されうる。
【0059】
本明細書で使用されているような「治療する」および「治療」などの用語は、症状の重症度および/または頻度の低減、症状および/または根本原因の排除、症状および/またはその根本原因の発生の予防、ならびに損傷の改善もしくは治癒を指す。したがって、例えば、「治療」という用語が本明細書で使用されているように、癌を患っている個人を「治療する」本発明の方法は、臨床的症状を示す個人の癌の治療を包含する。
【0060】
「病気」、「疾病」、および「疾患」という用語は、本明細書で説明されているような治療薬の投与により発見されるか、予防されるか、または治療されうる生理的状態を指すものとして本明細書では入れ替えて使用できる。例示的な疾病および病気は、限定はしないが、乳癌、神経膠腫、膵臓癌、白血病、およびリンパ腫などの癌を含みうる。
【0061】
「患者」の治療のように使う「患者」という用語は、本明細書で指定されているような病気、疾病、または疾患に苦しむか、またはその傾向のある哺乳類個体を指し、ヒトと動物の両方を含む。
【0062】
本明細書で使用されているような「核酸」という用語は、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、またはポリヌクレオチド、およびその断片を含むものであってよく、また一本鎖もしくは二本鎖としてよい、センスもしくはアンチセンス鎖を表す、ゲノムまたは合成起源のDNAまたはRNA、ペプチド核酸(PNA)、低分子干渉RNA(siRNA)分子、または天然もしくは合成起源の任意のDNA類似もしくはRNA類似物質を指す。
【0063】
本明細書で使用されているような「トランスフェクション」という用語は、DNA発現ベクターを細胞内に導入するプロセスを含む。マイクロインジェクションまたはリポフェクションを含むトランスフェクションのさまざまな方法が可能である。
【0064】
本明細書で使用されているような「形質転換」という用語は、一般に、外来DNAが入り込み、受容細胞を変化させるプロセスを指す。これは、当業でよく知られているさまざまな方法を使用して天然または人工の条件の下で生じうる。形質転換は、異質核酸配列を原核生物または真核生物宿主細胞内に挿入するための知られている方法に依存しうる。この方法は、形質転換される宿主細胞の種類に基づいて選択され、限定はしないが、ウイルス感染、エレクトロポレーション、熱ショック、およびリポフェクションを含むことができる。
【0065】
アンチセンス遺伝子:アンチセンス遺伝子は、アンチセンス鎖が転写されるようにそのプロモーターに関して遺伝子の向きを逆にすることにより構成される。
【0066】
アンチセンスRNA:転写にハイブリダイズし、その機能を阻害することができる特定のRNAの転写に相補的なRNA分子。
【0067】
本明細書で使用されているような「機能的等価物」という用語は、一般に、異種タンパク質、ポリペプチド、酵素、または核酸に実質的に類似している機能的または構造的特徴を有するタンパク質または核酸分子を指す。タンパク質の機能的等価物は、特定の機能を実行するための修飾の必要性に応じてそのような修飾を含むことができる。「機能的等価物」という用語は、分子の「断片」、「突然変異体」、「ハイブリッド」、「変種」、「類似体」、または「化学的誘導体」を含むことが意図されている。
【0068】
本明細書で使用されているような「複合帯電流体ジェット」は、一般に、流れが少なくとも2つの異なる流体層からなる流体であることを指す。例えば、2種類の流体が、EHDにより複合帯電ジェットを形成するために使用される場合、外側流体は、複合帯電流体ジェットEHD法により作られたカプセルの殻の流体前駆体であり、内側流体は、カプセルのコアの前駆体である。
【0069】
本発明によれば、薬剤は、カプセルが層化アーキテクチャで少なくとも1つのコア領域と少なくとも1つの粒子殻領域を有するときに「カプセル封入」される。カプセルは、さらに、治療薬および造影剤などの少なくとも1つの薬剤を含むことができる。
【0070】
本発明によれば、薬剤は、例えば、1つまたは複数の生体適合性ポリマーからなる生体適合性マトリックス内に分散されるときに「閉じ込められ」、異なるタマネギ状の層は明らかでない。
【0071】
本明細書で使用されているような「癌腫」という用語は、一般に、上皮細胞に由来する悪性腫瘍を指す。このグループは、乳癌、前立腺癌、肺癌、および結腸癌の共通の形態を含む、最も一般的な癌を代表することができる。
【0072】
本明細書で使用されているような「リンパ腫」および「白血病」という用語は、一般に、血液および骨髄細胞に由来する30の悪性腫瘍を指す。
【0073】
本明細書で使用されているような「肉腫」という用語は、一般に、結合組織または間葉細胞に由来する悪性腫瘍を指す。
【0074】
本明細書で使用されているような「中皮腫」という用語は、一般に、腹膜および肋膜の裏張りとなる中皮細胞に由来する腫瘍を指す。
【0075】
本明細書で使用されているような「神経膠腫」という用語は、一般に、脳細胞のうち最も一般的な種類の細胞である、グリア細胞に由来する腫瘍を指す。
【0076】
本明細書で使用されているような「胚細胞腫」という用語は、一般に、睾丸および卵巣内に一般的に見られる生殖細胞に由来する腫瘍を指す。
【0077】
本明細書で使用されているような「絨毛癌」という用語は、一般に、胎盤に由来する悪性腫瘍を指す。
【0078】
本明細書で使用されているような「付着(する)」という用語は、一般に、共有結合、吸着、および物理的固定化を指す。「関連する」、「結合する」、および「結合された」という用語は、「付着(する)」という用語と意味としては同じである。
【0079】
本明細書で使用されているような「ナノ粒子」という用語は、一般に、約1nmから約1000nmの範囲内の直径を有する、粒子、一般的には、金属、半導体、磁性体、セラミック、および誘電体の粒子を指す。
【0080】
本明細書で使用されているような「ポリマー(高分子)」または「バイオポリマー」という用語は、一般に、2つまたはそれ以上のモノマー単位を有する化合物を指し、線状および分岐ポリマー、ならびにコポリマーを含むことが意図されており、「分岐ポリマー」という用語は、単純な分岐構造だけでなく、超分岐および樹枝状ポリマーをも包含する。「モノマー」という用語は、本明細書では重合体でない化合物を指すために使用される。本明細書の「ポリマー」または「バイオポリマー」は、天然、化学修飾、または化学合成されたものであってよい。
【0081】
「官能基」という用語は、一般に、第1の分子と第2の分子を化学結合して1つにするのに適していると思われる化合物を指す。化学結合は、広い意味で極性結合を有する、または有しないある種の共有原子価に関する性質を持つ結合を含むと考えることができ、またさまざまな程度のイオン結合とともにリガンド−金属結合の特性を持つことができる。官能基は、共有結合が典型的関連とはなりえないリガンド−受容体結合関係を指すものとしてよい。官能基は、分子の組成に基づいて選択されうる。リンカーの他の官能基が、第1の分子および第2の分子を共有結合するのに適している場合がある。共有結合は、広い意味で、シグマ結合、パイ結合、水素結合、その他の非局在化された共有結合および/または他の共有結合タイプを含む共有結合を指し、イオン結合成分などを有する、または有しない分極した結合であってよい。共有結合リンカーは、官能化有機分子を含む。官能基は、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、メルカプト基、およびヒドロシリコン基を含むことができる。
【0082】
本発明は、治療および/または撮像の悪影響を最小限に抑えつつ悪性腫瘍の治療および/または撮像を最大化するために、賦形剤、カプセル、粒子、ベクター、または担体内に閉じ込められた、またはカプセル封入された治療薬もしくは造影剤などの薬剤を調製するためのシステムおよび方法に関する。特に、本発明のシステムおよび方法は、薬剤が閉じ込められるか、またはカプセル封入されているカプセルの生産に単一の毛管を使用して、図1に説明されているように、少なくとも2流体帯電ジェットを形成することができる。より具体的には、本発明は、治療薬、造影剤、および他の薬剤成分などの、少なくとも1つのカプセル封入された、および/または閉じ込められた薬剤を含むカプセルおよび粒子を生産するシステムおよび方法を実現する。
【0083】
本発明の一実施形態では、カプセルは、複数の目的を持つことができる。第1に、カプセルは、標的部位に到達するまでの間カプセル封入薬剤を生物攻撃および劣化から保護することができる。第2に、カプセルは、薬剤の表面相互作用が望ましくないシグナル経路を引き起こし、また標的細胞内にタンパク質またはホルモンのカスケードの発生をもたらして薬剤の有効性を制限するのを防ぐことができる。
【0084】
薬剤が閉じ込められているか、またはカプセル封入されているカプセルは、患者の癌の治療または撮像に使用されうる。例えば、カプセルは、リンパ腫、白血病、肉腫、中皮腫、神経膠腫、胚細胞腫、および絨毛癌などの悪性癌の治療用の治療薬を閉じ込めるか、またはカプセル封入することができる。さらに、カプセルは、癌を発見するための造影剤を閉じ込めるか、またはカプセル封入することができる。本発明のカプセルは、さらに、閉じ込められた、またはカプセル封入された治療薬と造影剤の組み合わせも実現できる。
【0085】
図2は、本発明の実施形態を示しており、異なるコア領域202および殻領域204を持つカプセル200の一般的アーキテクチャを示す略図となっている。コア202は、生物的または非生物的起源の治療薬などの1つまたは複数の薬剤を入れることができる。殻は、1つまたは複数の生体適合性ポリマーから作ることができ、ベシクルが悪性細胞などの標的部位の実質的にごく近く、または内側にあるときに殻の開口部の役割を持つものとしてよい、1つまたは複数の物質の閉じ込められたドメイン206を含むことができる。それに加えて、カプセル200は、さらに、撮像用の造影剤にも使用できる。非生物的または官能基208は、殻204の表面に化学的または物理的にグラフトすることができ、これにより受容体または表面電荷介在性エンドサイトーシスによる悪性細胞などの標的部位への、および/または標的部位内への輸送を促進することができる。特に、例えば、悪性細胞は、特定の受容体を過剰発現させることがあり、悪性細胞の表面上の過剰発現受容体に選択的に結合する官能基208によるカプセル200の表面改質が、カプセル200の悪性細胞への、および/または悪性細胞内への輸送を改善することができる。
【0086】
カプセル200が球状である必要はなく、長円体、管状、および楕円体などの他の構成および形状も本発明における用途に適している場合がある。それに加えて、カプセル200は、独立の粒子として構成されるか、または一連のカプセルを鎖状に互いに付着させた構成にすることもできる。特に、カプセル200が、鎖状に一列に並べた構成をとる場合、カプセルは、約0.03μmから約30μmの範囲の長さを持つことができる。さらに、カプセル200は、長円体形状、管形状、または楕円体形状で、楕円体の場合には短軸、管の場合には直径などの長さが、悪性細胞膜などの標的部位を通過できるくらい十分に短ければ、あれば有効な場合もある。カプセルの直径または短軸は、約10nmから約1μmの範囲内であるとしてよい。
【0087】
本発明の一実施形態によれば、カプセルのアーキテクチャは、殻物質とコア物質との質量比、ならびに例えば、治療薬、造影剤、および他の構成成分などの薬剤の組成および質量に基づくことができる。さらに、異なるコア領域および殻領域も必要というわけではない。治療薬または造影剤などの1つまたは複数の薬剤をバイオポリマーなどの少なくとも1つの生体適合性物質を有する粒子の内部に閉じ込め、および/または分散させることができる。カプセルは、悪性細胞の受容体生化学的特性を利用する化学的官能化表面、カプセルが悪性細胞に実質的近くにあるか、または内部にあると治療薬および/または造影剤の分解または分離を助けることができる分散された粒子などの他の添加剤を含むことができる。
【0088】
本発明の一実施形態によれば、カプセルは、約10nmから約10μmの範囲、より細かくは約20nmから約150nmの範囲の殻厚さを持つことができる。とりわけ、カプセル殻は約20nmの厚さを有する。さらに、カプセルは、約25nmから約25μmの範囲、より細かくは約50nmから約500nmの範囲のサイズを有することができる。特に、カプセルは、約250nmのサイズを有する。
【0089】
他の実施形態では、治療薬または造影剤などの少なくとも1つの薬剤を含むカプセルは、エンドサイトーシス、形質転換、または形質導入などのプロセスにより標的細胞内に輸送されうる。カプセルが、標的細胞内に入ると、治療薬の治療作用が、化学的ストレスまたは外部放射線により引き起こされうる。治療薬は、活性化された後、標的細胞のアポトーシスなどの所望の効果を引き起こすことができる。治療薬は、核酸、RNA、DNA、細菌、ウイルス、タンパク質、核酸断片、遺伝子産物をエンコードする核酸、および非生物的薬剤などの遺伝物質とすることができる。造影剤の実施例としては、磁性粒子、感光物質、放射性同位体、および造影剤が考えられる。
【0090】
本発明のカプセルは、カプセルの外部磁気誘導用に低毒性の磁気ナノ粒子を中に分散させたものとしてよい。特に、磁気ナノ粒子は、金属鉄および遷移金属酸化物などある種の金属酸化物などの強磁性体および希土類ベースの磁性体を含むことができる。特に、磁気ナノ粒子は、約1nmから約300nmの範囲のサイズ、特に約10nmのサイズを有するFeなどのマグネタイトとしてよい。磁気ナノ粒子に加えて、造影効果に使用されうる、金属銀または金などの光または電場に敏感な物質などの他の物質をカプセル内に分散させることができる。さらに、金属銀または金は、造影効果をもたらすβ、γ、またはα放射体などの放射線の放射体と併用することができる。
【0091】
本発明の一実施形態を例示する、図3を参照すると、単一の毛管を使用することにより少なくとも1つの2流体帯電ジェット(図1)を形成する上昇流EHDシステム300が示されている。ここで、システム300は、コア流体が入っている注射器ポンプ302、殻流体が入っている注射器ポンプ304、殻流体308が入っている流体槽306、管310、捕集板312、電圧源314、電極316、コア流体供給管318、殻流体供給管320、管310の開放端322、殻流体324の流体流、円錐状ジェット領域ゾーン326、およびプルーム328を備えることができる。図3に示されているように、コア流体が入っている注射器ポンプ302は、供給管318を介してコア流体を、コア流体を開放端322から上向きに送達する管310に供給するが、殻流体308は、濡れと毛管力とを介して管310の周りの流体槽306から送達される。殻流体の流体流は、番号324で示されている。電極316は、例えば管310、流体槽306、コア流体供給管318、または殻流体320などの複数の位置に置くこともできる。コア流体の電位と殻流体の電位は、同じであってよい。
【0092】
プロセススループットは、後述のように、管310として動作する複数の管を備えるデバイスを製作することにより高められる。殻流体308および管310を通して送達されるコア流体の物理的および化学的特性、管310の開放端322と流体槽306内の各流体308の表面との間の高さの差に応じて、上方に移動している帯電流体ジェット内のコア流体と殻流体の比は変化されうる。
【0093】
さらに、他の実施形態では、捕集電極312は、さまざまな向きで流体槽306内の各流体308の表面の上に配置できる。例えば、平坦な金属面が捕集電極312として使用される場合、捕集電極の表面は、流体槽306内の殻流体308の表面に平行または非平行となるように向き付けられるか、または回転するドラムなどの異なる種類の捕集電極構成を選択することができる。
【0094】
プルーム328は、互いに反発し合い、したがって広がり続ける断面積を有する捕集電極312の方へ移動する同じ電荷の液滴を含むことができる。コア流体の電位と殻流体の電位は、電気的接触が密であるため同じであってよい。電位と電圧は、関係する量である。電位は、領域326などの円錐ジェット領域が形成される点と電極捕集板312との間の分離距離に依存しうる。分離距離は、約1.5インチから約15インチまでの範囲内の距離とすることができる。さらに、印加電圧は、約0.5kVから約50kVの範囲の電圧としてよい。
【0095】
本発明の他の実施形態を例示している、図4を参照すると、殻流体408、管310、捕集板312、殻流体流424、およびエクストラクタ414が示されている。中間電極である、エクストラクタ414は、2流体帯電ジェットの形成を助けるために組み込まれうる。エクストラクタ414は、導電体418上に形成されたオリフィス416とすることができ、管310の開放端422から短距離のところに置くことができる。エクストラクタ本体は、管310と捕集板312との間の中間電位にバイアスされうる。
【0096】
他の実施形態では、帯電2流体が排出される方向は上方向でなくてもよい。コア流体を送達する管または導管の毛管力による類似の濡れが生じて、2流体帯電流体ジェットの下降流を発生させうる。エクストラクタの後にある領域で全または部分放電を受けるように帯電流体または固体構造物が形成されうる。この構成により、1つまたは複数の帯電メニスカスが形成される領域から、捕集ゾーンまで流体または固体構造物が移動する時間が長くなりうるが、これは、電荷が小さいほど移動度が減少するからである。全または部分放出流体または固体構造物は、ガス流を使って捕集ゾーンへ輸送することができる。
【0097】
コア流体を2流体帯電流体ジェットに送達するために使用される管または導管の外壁を濡らすというコンセプトでは、他の構成をとりうる。本発明の一実施形態を例示する、図5を参照すると、コア流体を送達するために使用される管510、殻流体を送達するために使用される第2の管532、および殻流体流524が示されている。流量、電場の強さ、および他の変数に関する考慮事項に加えて、管510の外壁、管532の開放端、および角度536の間の距離を調節することにより、管510の外壁を適宜濡らして、2流体帯電メニスカスおよび帯電2流体ジェットを形成するようにすることができる。殻流体を送達する管532として使用される2つまたはそれ以上の管または導管を加えることは、図5に例示されているシステムの自然な拡張と考えられる。コア流体と殻流体の両方に対する流量は、重力の作用、つまり、それぞれの供給リザーバを帯電2流体メニスカスが形成される領域に関して高い距離に置くことにより、機械的またはデジタルポンプの作用により強制されるか、または一方の流体または両方の流体が磁性を有する場合に磁場により駆動されうる。角度536および管532の目的に用いられる管もしくは導管の数が2流体帯電流体ジェットを発生する自明な自由度とみなすことができると、図5の他の自然な拡張をいくつでも実現できる。
【0098】
例えば、本発明の他の実施形態を例示している図6は、図5の原理に対するそのような1つの自然な拡張を示している。図6Aでは、殻流体を送達するために8本の管または導管632を使用できる。管632は、図5の角度536が定められているのと同じようにして角度が定義された場合に約90度の角度で向き付けることができる。管610は、コア流体入口644により供給されるコア流体を送達し、帯電2流体メニスカスは、殻流体とコア流体の両方が、すでに説明されているように、捕集体ゾーン626、つまり捕集電極に向かう電場勾配の作用により加速される場合に形成される。図6Aでは、殻流体入口ポート640は、殻流体を最初に、管610を包むケース642内に送り込み、次いで、管632に通すために使用されうる。使用される管632の数は、限定はしないが、殻およびコア流体の物理的および化学的特性などの因子、および限定はしないが、コアおよび殻流体の流速、電場の強さ、およびその空間分布などの動作変数に基づくことができる。管610の開放端と管632の開放端との間の距離、および管610と管632の断面積は、さらに、図6Bに示されているように、動作変数、および関連する流体の物理的および化学的特性に基づいて決定されうる。管632は、互いに接触している必要はない。
【0099】
他の実施形態では、コア流体を送達する管または導管を濡らすというコンセプトは、他の実用的な構成に拡張されうる。本発明の一実施形態を例示している図7A、10は、開放端からコア流体を送達するためにその数の管710が使用されうる、構成を示している。管710は、2つの壁714の間にサンドイッチ状に挟むことができる。次いで、殻流体716は、隣接する管710の間の空間に通されうる(図7Bは、図7Aの断面図である)。印加された電場の作用により、帯電2流体メニスカスおよびジェットが形成されうる。
【0100】
さらに、ギャップ718およびギャップ720を、限定はしないが、関わっている2つの流体の流速および電界の強さとその空間分布などの動作変数に基づいて調節または設計できる。特に、帯電メニスカスが密に詰められているほど、つまり、形成されるギャップ720が小さいほど、メニスカスを形成するのに必要な電場は高くなる。帯電メニスカスを囲むガス環境が空気でない場合を除いて、コロナ放電が発生し、プロセスの継続性を損なう可能性がある。したがって、当業者であれば、これらの原理、コアおよび殻流体の物理的および化学的特性に関する知識、ならびにプロセス変数に基づいてギャップ720を決定するであろう。例えば、コアおよび殻流体の物理的および化学的特性ならびに動作変数の値によって、ギャップ720を、隣接する管710の間に殻流体を滴らすのに十分な長さにする必要がある場合、流れ偏向板またはバッフルを隣接する管710の間に組み込んで、管710に向けて外側流体を運ぶようにするとよい。ギャップ718は、管710の外壁と殻流体716との間に生じる濡れ現象により決定されうる。それに加えて、上述のように、エクストラクタ電極オリフィスを、対応する2流体帯電メニスカスから短い距離だけ離れた場所に置き、これを使用して、2流体帯電構造物の形成をしやすくすることができる。
【0101】
本発明の一実施形態を例示する図8Aを参照すると、これは、コア流体を送達する管810のアライメントが、図7A〜7Bに示されているアライメントと異なることを示している。図8A〜8Bに示されているように、管810は、円筒状ケース812と棒814との間にサンドイッチ状に挟まれ、殻流体816は、隣接する管810の間の空間を通して送達されうる。図7A〜7Bおよび図8A〜8Bでコア流体を送達する管の数は、所望のプロセススループットに基づき決定できる。同様に、コア流体810を送達する管の内径は、約0.05mmから約2.0mmの範囲内としてよい。さらに、管810の直径も、関連する流体の特性、および限定はしないが、電界の強さとその空間分布、および流量などの選択された動作変数に基づくことができる。コア流体810を送達する管の断面は、円形である必要はなく、限定はしないが、楕円形および多角形などの他の形状も、帯電2流体メニスカスおよびジェットを形成することができ、管の開いている断面領域は、管の軸に垂直な向きである必要はない。管の開放端は、限定はしないが、円錐形または面取りされた形などの他の形状をとってもよい。
【0102】
図7A〜7Bに示されている複数の固定具を並べて詰めて製品スループットを高めることが、殻形成流体とともにコア流体を送達する導管または管の外壁を濡らすという一般原理を利用するうえで、望ましいと考えられる。同様に、図8A〜8Bに示されているデバイスの動作原理を用いて、円筒状ケース間にコア流体を送達する管または導管の複数の円形層をサンドイッチ状に挟むことができる。図7A〜7Bおよび図8A〜8Bは、したがって、制限的ではないが、それというのも、当業者であれば規則正しい、または不規則な形状を持つ他の表面を使用できるので、コア流体を送達する複数の管をサンドイッチ状に挟むために使用できる表面は、円筒状または平坦である必要がないからである。
【0103】
本発明の一実施形態では、強制流および電場の作用により流体を送達する管または導管の外壁を濡らすというコンセプトを拡張して、多流体帯電メニスカスおよびジェットを形成することができる。本発明の一実施形態を例示する図9を参照すると、これは、コア流体914および殻流体912を送達する2つの同軸管910および916、ならびに第3の流体を送達するために使用される第3の管または導管916を備える配列の使用を示している。2管同軸配列の外側管または導管の外壁の濡れることにより第3の流体の包む流れを形成する原理の自然な拡張がある。例えば、円筒状断面を有する2つよりも多い管を同軸になるように配列し、強制流と電場を介して2つよりも多い流体を送達することができる。したがって、Nをそのような同軸円筒管の数とすると、N本の管の同軸配列の一番外側の円筒管の外壁を濡らすことにより、また強制流と電場の作用により(N+1)の流体を送達し、帯電(N+1)流体メニスカスおよび1つまたは複数のジェットを形成することができる。
【0104】
本発明のさらに他の実施形態を例示する図10は、殻流体とともにコア流体を運ぶ管または導管の外壁を濡らすことを示している。管1002は、コア流体を運ぶ。管1004は、多孔質体1006内に殻流体を送り込む。多孔質体1006は、管1002の外壁の濡れを介して殻流体を送達する。多孔質体1006の体積は、管1002を包み、管1002を外壁1008のごくわずかのところに接触させるように構成されうる。多孔質物質1006の選択は、殻流体の物理的および化学的特性により決まる。一例として、ラテックススポンジは、水と他の溶解または懸濁物質を含む殻流体を取り扱うのに好適な材料といえる。多孔質体1006の種類および多孔質体1006の細孔サイズ分布は、コアおよび殻流体の所望の流量、および殻流体の物理的および化学的特性に基づくものとしてよい。多孔質体の実施例としては、シリコーンベースのポリマー、ポリアミドベースの架橋ポリマー、メラミンホルムアルデヒドベースのポリマー、流動パラフィン、ポリビニルアルコールポリマー、およびポリ(1−ラクチド)酸がある。
【0105】
さらに、複数の管または導管1002の配列を備える固定具を使用することができる。コア流体を送達する管1002の断面は、円形である必要はなく、限定はしないが、楕円形および多角形などの他の形状も、帯電2流体メニスカスおよびジェットを形成することができ、管の開いている断面領域は、管の軸に垂直な向きである必要はない。管の開放端は、限定はしないが、円錐形または面取りされた形などの他の形状をとってもよい。管1002は、上述のように同軸になるように配列された円筒状断面を有する複数の管からなる多管配列で置き換えることができ、強制流と電場を介して2つよりも多い流体を送達することができる。上述のように、エクストラクタ電極オリフィスを、対応する帯電流体メニスカスから短い距離だけ離れた場所に置くというコンセプトを用いて、図10に例示されているシステムを拡張し、多流体帯電構造物の形成をしやすくすることができる。
【0106】
本発明の他の実施形態を例示する図11を参照すると、濡れ現象を介した殻流体の送達が示されている。コア流体に対するリザーバ1102は、殻流体の槽1104内に部分的に浸漬されている間に機械的デバイス(図に示されていない)を使って回転させることができる。殻流体は、毛管力および他の物理現象の作用によりコア流体を有するリザーバの外壁1108を濡らすことができる。リザーバ1102の外壁を殻流体が濡らす現象が発生するゾーンにおいて、オリフィス1106、リザーバ1102の外壁から突き出る毛管、または他の導管形状のうちの少なくとも1つをリザーバ1102の外壁1108に形成し、リザーバ1102と捕集ゾーンまたは捕集電極との間に電場が印加されたときに殻流体薄膜を通してコア流体を送達するようにできる。隣接するオリフィス1106間の距離、毛管または導管の形状、さらには、リザーバ1102の回転速度、リザーバ1102の材質、サイズおよび形状、リザーバ1102の槽1104内への浸漬深さ、オリフィス1106の数およびサイズ、毛管または導管の形状は、コアおよび殻流体の物理的および化学的特性、および限定はしないが、リザーバ1102と捕集ゾーンまたは捕集電極との間に印加される電圧などの動作変数に基づくことができる。
【0107】
一実施形態では、2流体帯電流体ジェットが、本発明の方法により形成された後、さまざまな流体を、限定はしないが、中空糸およびカプセルなどの異なる形状に加工することができる。ゾルゲルと呼ばれる一群の化学合成法を使用することで、2流体帯電ジェットからそのような構造物を形成することができる。例えば、異なる組成のコアおよび殻領域が定められている構造物を形成する一方法では、2流体帯電メニスカスから捕集電極または捕集ゾーンまでの2流体帯電ジェットの排出からの移動時間の間に、全蒸発または溶媒蒸発の作用を受ける必要がある。固形殻の前駆体は、溶媒の臨界画分が周囲に蒸発するまで溶液中に留まりうる。コア流体は、熟練者によりどのように調製されるかにより、捕集ゾーンへの捕集時に固相を生じることもあれば、生じないこともある。
【0108】
本発明の方法は、異なる化学組成を有するさまざまな流体から定められたコア領域および殻領域を有する構造物を形成するために使用できる。限定はしないが、磁気特性などの他の機能をコアまたは殻流体に、または両方に、前記流体の化学作用を生じさせることにより加えることもできる。
【0109】
例えば、溶解タンパク質とともにコア流体を含むカプセルの殻は、本明細書で説明されている方法を使用して加工前に殻流体前駆体中に約100nmから約1nmの範囲のマグネタイト粒子を懸濁させることにより磁気を持たせることができる。コア流体および殻流体の化学作用は、図3に示されている液滴中液滴形態に入る前にコア流体も殻流体も固化作用を受けないように構成することができる。液滴中液滴形態に入った後、殻流体において臨界量の溶媒蒸発が行われ、固体殻および流体コアを含むカプセルが、捕集電極に捕集される。
【0110】
本発明の方法を使用して、さまざまなタンパク質、DNA物質、細胞および他の生物由来物質をカプセル封入することができる。特に、酵素は、生体触媒として使用できるタンパク質の類であり、限定はしないが、pH緩衝水溶液などの流体コア中にカプセル封入され、殻は、懸濁されたマグネタイト粒子を有するゾルゲル前駆体から形成されうる。殻中のマグネタイト質量分率により、流体媒質中に懸濁された後にカプセルの磁気輸送が可能になりうる。カプセル封入された酵素を含むカプセルは、カプセル封入された酵素により触媒される反応が生じるように反応物および生成物を含む流体中に懸濁されうる。カプセル封入された酵素により触媒される反応について反応物および生成物の拡散を許すくらい十分に大きいが、酵素がカプセルから外へ拡散するほどには大きくない穴を持つように殻が設計されている場合、所望の反応程度が達成された後に磁力の助けを借りてカプセル封入されている酵素を回収することが可能である。
【0111】
例えば、本発明の一実施形態では、ケイ素アルコキシドゾルゲル化学により、制御されている場合にカプセル内に約0.5nmから約2.0nmの範囲の細孔を形成することができ、この細孔は、多くの商業的に重要な反応物および生成物を拡散させるのに十分な大きさであるが、例えば、約50kDaから約60kDaのアミノ基転移酵素がゾルゲル法で作成された殻から漏れるほどの大きさではない。このコンセプトの自然な拡張では、限定はしないが、DNA、DNA断片、遺伝子、および細胞などのタンパク質以外の生物由来の物質を含むコア流体調製物を設計する。
【0112】
一実施形態によれば、ケイ素アルコキシドベースの殻化学作用と親和性のあるマグネタイトナノ粒子調製は、約2nmから約4nmの範囲のサイズを有するケイ素アルコキシド層でコーティングされたマグネタイトを生成することができる。このようなケイ素アルコキシド層を用いることで、架橋ゾルゲルプロセスを介してマグネタイトを殻固相に確実に固着するのを理想的にする。殻内のマグネタイト相の比質量分率は、約0.1から約0.8の範囲内である。図12は、マグネタイト粒子が加えられた殻調製物の電場および強制流の下で形成される帯電流体メニスカスの写真である。
【0113】
本発明の他の実施形態では、悪性癌の治療および/または撮像に適しているカプセルは、エレクトロスプレーを使用することにより製造できる。一般に、エレクトロスプレー法は、単一ノズル、毛管、導管、またはオリフィスを通して(複数の)カプセルを含む流体を送達することと、ノズルと捕集領域(ここでは「対向電極」の後)との間に電位を印加することと、(複数の)カプセルを含む流体に対しDCエレクトロスプレーを形成することと、対向電極に向けてDCエレクトロスプレーを加速することと、ベシクルを形成するためにDCエレクトロスプレー液滴を包む殻を形成することとを含むことができる。ベシクルは、エレクトロスプレー中の流体成分と適当な殻形成モノマーとの間の反応を通じて送達領域から対向電極までのDCエレクトロスプレーの飛行時間において形成されうる。殻形成モノマーおよび流体成分は、(複数の)カプセルの完全性と機能を損なうことがない。カプセルは、対向電極上に捕集され、後から使用できるように保存しておくことができる。
【0114】
本発明の一実施形態を例示する図13Aを参照すると、本発明のエレクトロスプレー法が示されている。エレクトロスプレー法は、エレクトロスプレーとその周囲気相との間の化学反応の組み合わせに基づく。図13Aでは、エレクトロスプレーノズル1302および雲1304が示されている。さらに、入口1306および出口ポート1308、対向電極1310、殻形成反応体積1312、および高電圧DC源1314も示されている。入口1306は、殻形成領域または室を、殻形成モノマーを含むガスで充てんすることができる。本発明のエレクトロスプレー法では、単一流体エレクトロスプレーを簡素化し、その拡張性を高めることができ、これにより、複数の同軸毛管ノズルを一緒に使用しなくてすむ。エレクトロスプレーは、低レイノルズ数で、つまり、低剪断条件の下で形成できるので、本発明のエレクトロスプレー法は、真のコア−殻カプセルを生産でき、しかもエマルジョン重合法の低収量および高剪断プロセスという欠点がない。さらに、この方法を用いることで、AC単一流体エレクトロスプレーに比べてかなり小さいカプセルを生産することもできる。
【0115】
一実施形態では、エレクトロスプレーは、気体環境内に適切な濃度の殻形成モノマーがある空間内の領域に送達することができる。図13Aに示されているように、エレクトロスプレー法は、流体を含むエレクトロスプレー処理されたカプセル封入物の供給、モノマー含有ガスの供給、およびカプセル封入された物質の除去がすべて連続的にされるかどうかに応じて、連続または半連続にすることができる。殻形成プロセスは、特定の殻厚さになった後ケース封入された流体コアが殻を無制限に成長させる外部に向かう拡散を介して反応性モノマーと反応する成分を送達できないため停止するように束縛されているので、ベシクルの殻厚さは、限定はしないが、例えばモノマー濃度、エレクトロスプレー中の反応性化学種の濃度、温度、エレクトロスプレーの飛行時間、電圧、エレクトロスプレー平均液滴サイズ、およびモノマーとエレクトロスプレーの化学的特性などの多くのプロセス変数を制御することにより制御することができる。
【0116】
本発明の他の実施形態では、カプセル含有エレクトロスプレーを、前記モノマーを含むガスの代わりに、殻形成モノマーを含む溶液に通すことが可能である。
【0117】
他の実施形態では、本発明のエレクトロスプレー法は、不連続にすることができ、図13Bに示されているように高電圧AC電位を前記殻形成反応体積内に印加することによりモノマー含有ガス体積内の帯電スプレーの懸濁時間を延長することができる。図13Bを参照すると、AC電極1316およびAC電圧源1318が示されている。カプセルを含む流体または溶液は、最初に図13Aに示されているようにエレクトロスプレー雲にされうるが、エレクトロスプレープロセスのある時点において、DC高電圧および流体または溶液を含むカプセル封入物の流体流がスイッチオフにされ、その一方でAC電圧はオンにされる。次いで、帯電した液滴が、2つのAC電極1316の間で振動運動させられ、AC場の周波数は、帯電液滴がAC電極1316の1つに衝突するのを防ぐように設定される。所望の時間が経過した後にAC高電圧源1318をオフにし、DC電圧源をオンに戻すと、DC対向電極1310のベシクルの捕集が可能になる。ベシクルの殻が形成されるゾーン内にエレクトロスプレーが懸濁されたままでいる時間を延ばすことにより、反応を制御することができ、図13Aに示されている設定の場合と比べてかなり広い範囲にわたる殻形成時間が達成されうる。図13Bに示されているベシクル生成方式の自然な拡張として、殻形成室内のガス環境を1つまたは複数の殻形成モノマーを含む絶縁流体または溶液槽で置き換えることができる。
【0118】
本発明の他の実施形態では、少なくとも1つの閉じ込められている薬剤を有するカプセルを形成するために溶液または乳濁液の形態で単一の流体帯電ジェットを使用することができる。乳濁液は、本明細書で使用されているように、一般的には、治療成分および他の成分の同じ濃度範囲、および後述のカプセルと同じ平均粒子サイズを使用し、上述のようなEHD法でカプセルの代わりに粒子を生成するために使用できる単一流体を指す。さらに、磁気ナノ粒子も粒子内に分散させることができる。
【0119】
例えば、治療薬および/または造影剤、ならびに安定化塩および高分子電解質などの少なくとも1つの薬剤を含む乳濁水相を少なくとも1つのバイオポリマーを含む有機溶液中に分散させることができる。その結果得られる乳濁液は、帯電ジェット形成に異なる層を形成しない二相性媒質を含む。この水相は、上述のカプセルの場合のコア流体とまったく同じようにして調製され、また磁気ナノ粒子および/またはフォトニック粒子も含みうる、1つまたは複数のバイオポリマーを含む有機相は、上述のようにカプセルの殻流体のものと同様に調製されうる。それとは別に、限定はしないが、ジメチルスルホキシドなどのいくつかの共溶媒を使用する単一流体帯電ジェットの調製により、1つまたは複数の生体高分子マトリックス前駆体と活性成分および受容体の両方を含む均質流体混合物または溶液が得られる。単一帯電流体ジェット方式を用いると、カプセル封入される代わりに、閉じ込められた活性薬剤が得られる。
【0120】
一実施形態によれば、殻形成モノマーは、例えば、アルキル置換シアノアクリレートなどのシアノアクリレート族の化合物を含むことができる。さらに、カプセル封入剤含有調製物は、カプセル封入剤の意図された機能を化学的に変えることなく対向電極に向かうエレクトロスプレーの飛行時間においてシアノアクリレートモノマーと容易に反応して殻の膜を生成する化合物としてよい。特に、カプセル封入剤は、水を含んでいてもよい。カプセル封入剤は、核酸、DNA、そのDNA断片、RNA、そのRNA断片、タンパク質、脂質、炭水化物、およびその組み合わせ、および/またはその修飾などの生体起源のものとすることができる。それに加えて、カプセル封入剤は、後述のように、非生物的治療薬を含むこともできる。
【0121】
本発明の一実施形態によれば、EHD誘導カプセルの殻を生産するのに適していると考えられるバイオポリマーは、限定はしないが、PLA、PLGA、キトサン、メタクリル酸アルキル、およびPCL、デンプン、およびそれらの組み合わせの結果得られるコポリマーなどの他の生体吸収性ポリマーを含む。さらに、PEGも、ポリマー鎖として、または他のバイオポリマーの1つまたは複数に対するコポリマー断片として組み込まれるか、またはチオ基、カルボン酸基、およびアミン基などの複数の基で官能化されうる。それに加えて、約1nmから約300nmの範囲のサイズのナノサイズマグネタイト粒子および界面活性剤などの他の成分も、磁気感受性MRI材料を生成するためにエレクトロスプレーの前に殻流体内に組み込むことができる。さらに、約1nmから約50nmの範囲のサイズを有する、ナノサイズの感光性の銀、金、パラジウム、またはその組み合わせを、感光性材料を生成するためにエレクトロスプレーの前に殻前駆体流体に加えてもよい。
【0122】
他の実施形態によれば、本発明の方法に適しているコア流体は、生体起源の治療薬、限定はしないが、腫瘍壊死因子α(TNF−α)タンパク質、またはTNF−α、TNF−αのエンコーディングcDNA、またはEgr−TNF、限定はしないが、テモゾロマイド、またはTMZなどのEgr−TNFの作用を誘発することができる1つまたは複数の物質などの1つまたは複数の治療薬、および限定はしないが、アクリジニルアニシジド、アロプリノール、アルトレタミン、アミノグルテチミド、アンドロゲン、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、アザシチジン、抗血管形成、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、セテュキマブ、クロランブシル、シスプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジエチルスチルベストロール、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エストラムスチン、エタニダゾール、エトポシド、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルオソールDA、フトラフール、フルベストラント、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブオゾガマイシン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、インターフェロンアルファ、インターロイキン−2、イリノテカン、レバミソール、ロムスチン、メクロロエタミン、メルファラン、メノガリル、メトトレキサート、メチル−CCNU、マイトマイシン、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、ペントスタチン、プリカマイシン、プロカルバジン、ラルチトレキセド、ストレプトゾシン、フトラフール、テモゾロミド、テニポシド、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、トポテカン、トシツモマブ、トリメトレキサート、バルスポダール、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、酒石酸ビノレルビン、これらの組み合わせ、およびその機能的等価物などの化学療法薬剤の溶液構造を安定させるためのリン酸緩衝液などの緩衝塩および高分子電解質との水相を含む。
【0123】
さらに、本発明のカプセルまたは粒子は、限定はしないが、Xcytrin(モテキサフィンガドリニウム)などの化学療法増強薬、および限定はしないが、アミホスチンなどの化学療法保護薬を含むことができる。いくつかの放射性元素は、癌の治療および/または撮像に適している場合があり、本発明の一実施形態では、放射性元素をエレクトロスプレー生成粒子内に組み込むことができる。例えば、ラジウム−223のアクチニウム−227同位体親核種は、乳癌および前立腺癌に由来する骨格内の転移を治療するために使用されるいわゆるα放射体であり、放射免疫治療では、銅−67は、癌放射免疫治療ならびにリンパ腫、結腸癌、および乳癌の診断で利用されるγおよびβ放射体であり、ヨウ素−131は、乳癌治療、白血病、およびリンパ腫、放射免疫治療を使用して、甲状腺機能および疾病(例えば、癌)研究、さらには甲状腺の非悪性の病気(例えば、甲状腺機能亢進症)に利用することができ、ヨウ素−125は、乳房の腫瘍および前立腺腫瘍のための移植、放射性標識法、前立腺癌近接照射療法、骨粗しょう症発見、トレーサー薬物、造影診断、脳受容体の地図作製、脳腫瘍治療法、組織内照射治療、測定血漿量および糸球体ろ過速度、深部静脈血栓症発見に使用することができ、レニウム−186は、放射免疫治療を介した乳癌、結腸癌、肝臓癌、およびリンパ腫の治療および診断、関節リウマチ治療、および骨肉腫鎮痛に使用され、イットリウム−91は、イットリウム−90のγ放射トレースであり、次いで、乳癌放射免疫治療、さらにリンパ腫、腎臓癌、結腸癌、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌、および肝臓癌の放射免疫治療に使用される。
【0124】
他の実施形態では、放射性同位体は、本発明のカプセルに組み込むことができ、医薬品および関連する分野で最も頻繁に使用されるのは、一般的な癌発見用のカドミウム−109、癌放射免疫治療で使用されるα放射体であるアクチニウム−225およびアクチニウム−225の親およびビスマス−213のグランドペアレントであるトリウム−229、ビスマス−212、および癌放射免疫治療で使用されるα放射体であるビスマス−212の親であるトリウム−228、癌放射線療法、食品および医療用品照射用の放射線源であるコバルト−60、癌治療に使用される陽電子放射体である銅−64、癌放射免疫治療で使用されるジスプロシウム−166、小関節関節リウマチ治療に使用されるエルビウム−169、医療用品および食品照射用の放射線源として使用されるユウロピウム−152およびユウロピウム−154、骨粗しょう症評価に使用されるガドリニウム−153、前立腺癌および脳腫瘍、さらに卵巣癌の移植および腔内治療に使用される金−198、標的骨格治療における骨髄腫治療、骨髄のアブレーション、癌の放射免疫治療、および関節リウマチ治療に使用されるホルミウム−166、脊髄腫瘍および脳腫瘍治療、近接照射療法、および閉鎖血管の治療に使用されるイリジウム−192、閉鎖血管の治療および癌放射免疫治療に使用されるルテチウム−177、テクネチウム−99mの親であり、また肝臓、脳、肺、および心臓の撮像、および深部静脈血栓症発見に使用されるモリブデン−99、癌放射免疫治療に使用されるオスミウム−194、前立腺癌治療で使用されるパラジウム−103、代謝作用およびシスプラチン研究の生体内分布で使用される白金−195m、白血病および真性赤血球増加症(血液細胞の疾病)の治療、骨肉腫の治療および診断、膵臓癌、結腸癌、および肝臓癌の治療、閉鎖血管および腔内療法の治療、および表面腫瘍の診断に使用されるリン−32、白血病治療、骨疾患の治療および診断、閉鎖血管の治療、および放射性標識法に使用されるリン−33、放射免疫治療、関節リウマチの治療、骨肉腫鎮痛、および前立腺癌治療に使用されるレニウム−188、癌放射免疫治療に使用されるロジウム−105、眼癌の治療に使用されるサマリウム−145、癌放射免疫治療および骨肉腫鎮痛に使用されるサマリウム−153、骨肉腫鎮痛および癌放射免疫治療に使用されるスカンジウム−47、副甲状腺の過剰活動の発見、脳評価における放射性追跡子、γシンチグラフィを介した副腎皮質造影、ステロイド産生腫瘍の発見、および膵臓スキャンに使用されるセレン−75、脳スキャンニングおよび骨肉腫発見に使用されるストロンチウム−85、多発性骨髄腫の治療および骨肉腫鎮痛に使用されるストロンチウム−89、医療デバイス植え込み用のエネルギー源として、また血液照射器のγ線放射源として使用されるツリウム−170、骨肉腫鎮痛および癌免疫療法で使用されるスズ−117m、レニウム−188の親であり、また癌治療および診断、関節リウマチ治療、および閉鎖血管の治療および骨肉腫鎮痛に使用されるタングステン−188、肺機能評価、脳疾患撮像、および脳血流量分析で使用されるキセノン−127、癌放射免疫治療で使用されるイッテルビウム−175、ならびにイットリウム−89から得られ、肝臓癌治療に使用されるイットリウム−90である。中性子放射化治療で使用されるGaおよびBなどの金属または非金属ナノ粒子を治療薬と一緒にカプセル封入することができる。本発明のカプセルまたは粒子は、適宜、限定はしないが、Xcytrin(モテキサフィンガドリニウム)などの化学療法増強薬、および限定はしないが、アミホスチンなどの化学療法保護薬を含むことができる。
【0125】
他の実施形態では、本発明のカプセルは、化学的または物理的に付着して上皮成長因子またはEGFを含みうるグリオーマ細胞用のカプセルの親和性を増強することができる少なくとも1つの表面生化学物質を含むことができる。上皮成長因子は、EHD処理の後、または殻流体前駆体の一部としてEHD処理中にカプセルの表面上に組み込まれうる。特に、本発明の方法で形成されたカプセルおよび粒子中のEGFの含有量範囲は、約0から約0.02wt%の範囲内とすることができる。さらに、他の表面生化学物質および化学物質は、インターロイキン−13、インターロイキン−4、末梢型ベンゾジアゼピン、血管内皮細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、線維芽細胞増殖因子、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子、葉酸および葉酸誘導体、ニューロトロフィン成長因子、ソマトスタチン、cBSA、cHSA、プロタミン、インスリン、ApoE誘導ペプチド、ポリソルベート−80、OX−26、転移、グルコース、マンノース、RMP−7、チアミン、これらの組み合わせおよびその機能的等価物を含むことができる。表面生化学物質は、ヒト起源、動物起源、または組み換え型起源であってよく、含有量は、非エストロゲンベースの表面生化学物質については約0から約1wt%の範囲内である。
【0126】
他の実施形態では、カプセルは、VEGR−2、トシツモマブ、CD20受容体に結合するモノクローナル抗体、および他の抗体およびモノクローナル抗体、特に、限定はしないが、CD5、CD7、CD13、CD19、CD22、CD33、CD52、およびCD61などの分化の他のクラスタ用に設計されたもの、および抗ミエロペルオキシダーゼおよびその組み合わせ、およびその機能的等価物などのリンパ腫、骨髄腫、および白血病用のカプセルの親和性を増強するために化学的または物理的に付着できる少なくとも1つの表面生化学物質を含むことができる。これらの生化学物質およびその誘導体は、EHD処理の後、または殻流体前駆体の一部としてEHD処理中にカプセルの表面上に組み込まれうる。カプセル内の表面受容体の含有量範囲は、約0.0から約1.0wt%の範囲内である。カプセル内に組み込むことができる追加の生化学物質および化学物質は、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR−1)、EGF、TGF、VEGF−A、ウロキナーゼ受容体、インターロイキン−4受容体、レチノイン酸受容体、ヘパリン結合性EGF様増殖因子、またはHB−EGFを含む、チロシンキナーゼ受容体、アンフィレグリン、エピレグリン、ニューレグリン、ヒト上皮成長因子2(HER−2)およびその一族、erbB2およびerbB1受容体族、インターロイキン−13およびその一族誘導体、血小板由来増殖因子、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子、葉酸および葉酸誘導体、ニューロトロフィン増殖因子、ソマトスタチン、これらの組み合わせ、およびその機能的等価物を含むことができる。表面生化学物質は、ヒト起源、動物起源、または組み換え型起源であってよく、約0.0から約1.0wt%の含有量範囲内で存在しうる。
【0127】
さらに他の実施形態では、カプセルは、エストロゲンなどの化学的または物理的に付着して乳癌用のカプセルの親和性を増強することができる少なくとも1つの表面生化学物質を含むことができる。エストロゲンおよびその化学的誘導体は、EHD処理の後、または殻流体前駆体の一部としてEHD処理中にカプセルの表面上に組み込まれうる。カプセル内のエストロゲンまたはその誘導体の含有量範囲は、約0.02から約0.4wt%の範囲内としてよい。カプセルおよび粒子の表面に組み込むことができる他の表面生化学物質および化学物質は、ヒト上皮成長因子2(HER−2)およびその一族、erbB2およびerbB1受容体族、インターロイキン−13およびその一族誘導体、血管内皮細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、線維芽細胞増殖因子、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子、葉酸および葉酸誘導体、ニューロトロフィン増殖因子、ソマトスタチン、これらの組み合わせ、およびその機能的等価物を含むことができる。表面生化学物質は、ヒト起源、動物起源、または組み換え型起源であってよく、約0.0から約1wt%の含有量範囲内とすることができる。
【0128】
他の実施形態では、カプセルは、化学的または物理的に付着して膵臓癌細胞用のカプセルの親和性を増強することができる少なくとも1つの表面生化学物質を含むことができ、これは、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR−1)、EGF、TGF、VEGF−A、ウロキナーゼ受容体、インターロイキン4受容体、レチノイン酸受容体、ヘパリン結合性EGF様増殖因子、またはHB−EGF、アンフィレグリン、エピレグリン、ニューレグリン、およびこれらの機能的等価物を含む、チロシンキナーゼ受容体とすることができる。これらの生化学物質およびその誘導体は、EHD処理の後、または殻流体前駆体の一部としてEHD処理中にカプセルの表面上に組み込まれうる。カプセルまたは粒子内のこれらの表面受容体の含有量範囲は、約0.0から約1.0wt%の範囲内とすることができる。カプセルおよび粒子の表面に組み込むことができる追加の表面生化学物質および化学物質は、ヒト上皮成長因子2(HER−2)およびその一族、erbB2およびerbB1受容体族、インターロイキン−13およびその一族誘導体、血小板由来増殖因子、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子、葉酸および葉酸誘導体、ニューロトロフィン増殖因子、ソマトスタチン、これらの組み合わせ、およびその機能的等価物を含むことができる。表面生化学物質は、ヒト起源、動物起源、または組み換え型起源であってよく、約0.0から約1wt%の含有量範囲内とすることができる。
【0129】
さらに、前記カプセルおよび粒子に対する他の表面生化学物質および化学物質は、シグナル配列、ミトコンドリア、核、アクチン、およびチュブリン、ゴルジ体、原形質膜、ペルオキシソーム内に融合することができ、また含有量範囲は、約0.0から約1.0wt%とすることができる。
【0130】
例えば、本発明の一実施形態によれば、カプセルまたは粒子内のパクリタキセルの濃度は、約10から約3200μg/mLとすることができる。特に、カプセルまたは粒子内のTNF−aのタンパク質の濃度は、約100μg/mLから約1,000μg/mLの範囲内とすることができる。より詳しくは、カプセルまたは粒子内のEgr−TNFの濃度は、約10μg/mLから約300μg/mLの範囲内とすることができる。また、治療効果は、パクリタキセル、TNFa、およびEgr−TNF群の3成分のうちの1つまたは2つの化合物を含むカプセルにより達成されうる。狭い範囲の治療成分および他のカプセル成分の質量分率、カプセル平均サイズ、平均殻厚さ、および狭いコア対殻平均質量比は、悪性腫瘍の位置とサイズに基づき選択することができ、前記カプセルを悪性腫瘍へ導くのを補助するために磁気ナノ粒子ドーピングを使用するのは、望ましくない場合がある。例えば、直接的腫瘍注射を、磁気補助送達の代わりに使用し、本発明の方法による粒子またはカプセルと接触する悪性腫瘍の電磁波照射を用いて、治療薬の同時放出とともに粒子の崩壊を引き起こし、限定はしないが、悪性細胞DNA損傷などの生化学的プロセス、または前記電磁波照射誘発プロセスの組み合わせを開始することができる。pGL2−Basic Vectorプラスミドの蛍ルシフェラーゼおよびTKレニラルシフェラーゼの上流に挿入されたpcDNA3のサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターを含むpCMV−Luc+プラスミドを含むDNAマーカーも、マーカーとして使用されうる。
【0131】
他の実施形態では、対流増強送達、略してCEDを、磁気補助送達の代わりに使用し、本発明の方法により作られる粒子またはカプセルと接触する悪性腫瘍の電磁波照射を用いて、治療薬の同時放出とともにカプセルまたは粒子の崩壊を引き起こし、限定はしないが、悪性細胞DNA損傷などの生化学的プロセス、または前記電磁波照射誘発プロセスの組み合わせを開始することができる。
【0132】
本発明のカプセルにおけるカプセル封入または閉じ込めに適した薬剤は、上述のように、癌治療または悪性腫瘍の撮像に適した薬剤に限定されるものと解釈すべきではない。しかし、代替え薬剤は、閉じ込めまたはカプセル封入に適したものでよく、治療薬は、抗炎症性化合物、抗アレルギー剤、グルココルチコイド、抗感染症薬、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス薬、粘液溶解薬、防腐薬、血管収縮薬、創傷治癒剤、局部麻酔薬、ペプチド、およびタンパク質を含むことができる。
【0133】
潜在的に有用な抗炎症化合物の実施例は、医薬品として許容される塩、エステル、異性体、立体異性体、ジアステレオマー、エピマー、溶媒和物または他の水和物、プロドラッグ、誘導体、またはそれぞれの活性部分を含む活性化合物の他の化学的または物理的形態を含む、ベータメタゾン、ベクロメタゾン、ブデゾニド、シクレソニド、デキサメタゾン、デスオキシメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルニソリド、フルチカゾン、アイコメタゾン、ロフレポニド、トリアムシノロンアセトニド、フルオコルチンブチル、ヒドロコルチゾン、ヒドロキシコルチゾン−17−ブチラート、プレドニカルベート、6−メチルプレドニゾロンアセポナート、フランカルボン酸モメタゾン、エラスタン−、プロスタグランジン−、ロイコトリエン、ブラジキニン−拮抗薬、イブプロフェン、インドメタシンなどの非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)などの、グルココルチコイドおよび非ステロイド性抗炎症薬である。
【0134】
潜在的に有用な抗アレルギー薬は、前述のグルココルチコイド、およびネドクロミル、セトリジン、ロラチジン、モンテルカスト、ロフルミラスト、ジロイトン、オマリズマブ、ヘパリンおよびヘパリン様物質および他の抗ヒスタミン剤、アゼラスチン、セチリジン、デスロラタジン、エバスチン、フェキソフェナジン、レボセチリジン、ロラタジンを含む。
【0135】
本明細書で細菌感染症、真菌感染症、およびウイルス感染症に有効な化合物を含むものとして理解されているクラスまたは治療カテゴリにある、つまり、抗菌剤、抗生物質、抗真菌剤、防腐薬、および抗ウイルス薬のクラスを包含する抗感染症薬は、ベンジルペニシリン(ペニシリン−G−ナトリウム、クレミゾンペニシリン、ベンザチンペニシリンG)、フェノキシペニシリン(ペニシリンV、プロピシリン)、アミノベンジルペニシリン(アンピシリン、アモキシシリン、バカンピシリン)、アシルアミノペニシリン(アズロシリン、メズロシリン、ピペラシリン、アパルシリン)、カルボキシペニシリン(カルベニシリン、チカルシリン、テモシリン)、イソオキサゾリルペニシリン(オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン)、およびアミジンペニシリン(メシリナム)を含むペニシリン、セファゾリン(セファゾリン、セファゼドン)を含むセファロスポリン、セフロキシム(セルフォキシム、セファマンドール、セフォチアム)、セフォキシチン(セフォキシチン、セフォテタン、モキサラクタム、フロモキセフ)、セフォタキシム(セフォタキシム、セフトリアキソン、セフチゾキシム、セフィネノキシム)、セフタジジム(セフタジジム、セフピロム、セフェピム)、セファレキシン(セファレキシン、セファクロール、セファドロキシル、セフラジン、ロラカルベフ、セフプロジル)、およびセフィキシム(セフィキシム、セフポドキシムプロキセチル、セフロキシムアキセチル、セフェタメトピボキシル、セフォチアムヘキセチル)、ロラカルベフ、セフェピム、クラブラン酸/アモキシシリン、セフトビプロール、例えばクラブラン酸、スルバクタム、およびタゾバクタムなどのβラクタマーゼ阻害剤を含む共力剤、イミペネム、シラスチン、メロペネム、ドリペネム、テビペネム、エルタペネム、リチペネム、およびビアペネムを含むカルバペネム、アズトレオナムを含むモノバクタム、アプラマイシン、ゲンタマイシン、アミカシン、イセパマイシン、アルベカシン、トブラマイシン、ネチルミシン、スペクチノマイシン、ストレプトマイシン、カプレオマイシン、ネオマイシン、パロモマイシン、およびカナマイシンなどのアミノグリコシド、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、ロキシスロマイシン、アジスロマイシン、ジリスロマイシン、ジョサマイシン、スピラマイシン、およびテリスロマイシンを含むマクロライド、シプロフロキサシン、ガチフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、レボフロキサシン、ペルフロキサシン、ロメフロキサシン、フレロキサシン、ガレノキサシン、クリナフロキサシン、シタフロキサシン、プルリフロキサシン、オラムフロキサシン、カデロフロキサシン、ゲミフロキサシン、バロフロキサシン、トロバフロキサシン、およびモキシフロキサシンを含むジャイレース阻害剤またはフルオロキノロン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、ロリテトラサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、チゲサイクリン、およびアミノサイクリンを含むテトラサイクリン、バンコマイシン、テイコプラニン、リストセチン、アボパルシン、オリタバンシン、ラモプラニン、およびペプチド4を含むグリコペプチド、プレクタシン、ダルババンシン、ダプトマイシン、オリタバンシン、ラモプラニン、ダルババンシン、テラバンシン、バシトラシン、チロトリシン、ネオマイシン、カナマイシン、ムピロシン、パロモマイシン、ポリミキシンB、およびコリスチンを含むポリペプチド、スルファジアジン、スルファメトキサゾール、スルファレン、コトリモキサゾール、コトリメトロール、コトリモキサジン、およびコテトラキサジンを含むスルホンアミド、クロトリマゾール、オキシコナゾール、ミコナゾール、ケトコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、メトロニダゾール、チニダゾール、ビホナゾール、ラブコナゾール、ポサコナゾール、ボリコナゾール、およびオルニダゾールを含むアゾール、およびフルシトシン、グリセオフルビン、トノフタール、ナフチフィン、テルビナフィン、アモロルフィン、シクロピロキソラミン、エキノカンジンを含む他の抗真菌剤、ニトロフラントインおよびニトロフランゾンを含むニトロフラン、アンフォテリシンB、ナタマイシン、ナイスタチン、フルコシトシンを含む−ポリエン、テリスロマイシン、リンコマイシン、クリンダマイシン、オキサゾリンジオン(リンゼゾリド)、ランベゾリド、ストレプトグラミンeA+B、プリスチナマイシンaA+B、ヴァージニアマイシンA+B、ダルホプリスチン/キヌプリスチン(シナシッド)、クロラムフェニコール、エタンブトール、ピラジナミド、テリジドン、ダプソン、プロチオンアミド、ホスホマイシン、フシジン酸、リファンピシン、イソニアジド、サイクロセリン、テリジドン、アンサマイシン、リソスタフィン、イクラプリム、ミロシンB 17、クレロシジン、フィルグラスチム、およびペンタミジンを含む他の抗生物質、アシクロビル、ガンシクロビル、ブリブジン、バラシクロビル、ジドブジン、ジダノシン、チアシチジン、スタブジン、ラミブジン、ザルシタビン、リバビリン、ネビラピリン、デラビルジン、トリフルリジン、リトナビル、サキナビル、インジナビル、フォスカネット、アマンタジン、ポドフィロトキシン、ビダラビン、トロマンタジン、およびプロティナーゼ阻害剤を含む抗ウイルス薬、カモミール、マンサク、エキナシア、キンセンカ、パパイン、テンジクアオイ、エッセンシャルオイル、ミルトル、マツ、リモネン、シネオール、チモール、メントール、ティーツリーオイル、アルファ−ヘデリン、ビサボロール、石松子、ビタフェロールからの植物の抽出物などの植物抽出物または原料、デキサパンテノール、アラントイン、ビタミン、ヒアルロン酸、αアンチトリプシン、無機および有機亜鉛塩/化合物、インターフェロン(α、β、γ)、腫瘍壊死因子、サイトカイン、インターロイキンを含む創傷治癒化合物である。
【0136】
潜在的に有用な粘液溶解薬の実施例は、DNase、P2Y2−作動薬(デヌホゾール)、ヘパリン様物質、グアイフェネシン、アセチルシステイン、カルボシステイン、アンブロキソール、ブロムヘキシン、レシチン、ミルトル、および組み換え型サーファクタントタンパク質である。
【0137】
潜在的に有用な局所麻酔薬の実施例は、ベンゾカイン、テトラカイン、プロカイン、リドカイン、およびブピバカインを含む。
【0138】
潜在的に有用な抗アレルギー薬の実施例は、前述のグルココルチコイド、ネドクロミルを含む。潜在的に有用なペプチドおよびタンパク質は、微生物が生産する毒物に対抗する抗体、抗菌ペプチド、セクロピン、デフェンシン、チオニン、およびカテリシジンを含む。
【0139】
さらに、メトトレキサート、アザチオプリン、シクロスポリンA、タクロリムス、シロリムス、ラパマイシン、ミコフェノール酸塩、モフェチル、細胞増殖抑制剤および転移阻害剤、ニムスチン、メルファンレーン、カルムスチン、ロムスチン、シクロホスファミド、イホスファミド、トロホスファミド、クロランブシル、ブスルファン、トレオスルファン、プレドニムスチン、チオテパなどのアルキル化剤を含む免疫調節薬、代謝拮抗物質、例えば、シタラビン、フルオロウラシル、メトトレキサート、メルカプトプリン、チオグアニン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシンなどのアルカロイド、アクラルビシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン、プリカマイシンなどの抗生物質、カルボプラチン、シスプラチン、およびチタノセンジクロリドなどのメタロセン化合物などの遷移元素(例えば、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Mo、W、Pt)の錯体、アムサクリン、ダカルバジン、エストラムスチン、エトポシド、ベラプロスト、ヒドロキシカルバミド、ミトキサントロン、プロカルバジン、テニポシド、パクリタキセル、イレッサ、ザクチマ、ポリ−ADP−リボース−ポリメラーゼ(PRAP)酵素阻害剤、バノキサントロン、ゲムシタビン、ペメトレキセド、ベバシズマブ、ラニビズマブは、本発明のカプセルに閉じ込めるか、またはカプセル封入するのに適していると思われる。
【0140】
さらに他の実施形態では、他の化合物は、α1抗トリプシンなどのプロティナーゼ阻害剤、トコフェロール、グルタチオンなどの抗酸化薬、下垂体ホルモン、視床下部ホルモン、調節ペプチドおよびその阻害剤、コルチコトロピン、テトラコサクチド、絨毛性性腺刺激ホルモン、尿性卵胞性刺激ホルモン、ウロゴナドトロピン、ソマトトロピン、メテルゴリン、デスモプレッシン、オキシトシン、アルギプレッシン、オルニプレッシン、リュープロレリン、トリプトレリン、ゴナドレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリン、ソマトスタチン、副甲状腺ホルモン、カルシウム代謝調節剤、ジヒドロタキステロール、カルシトニン、クロドロン酸、エチドロン酸、甲状腺治療薬、性ホルモンおよびその阻害剤、同化剤、アンドロゲン、エストロゲン、ゲスターゲン、抗エストロゲン、プロキシバルバール、リスリド、メチセルギド、ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミン、クロニジン、ピゾチフェンなどの抗片頭痛薬、催眠薬、鎮静薬、ベンゾジアゼピン、バルビタール酸塩、シクロビロロン、イミダゾピリジン、抗てんかん薬、ゾルピデム、バルビタール酸塩、フェニトイン、プリミドン、メスキシミド、エトスクシミド、スルチアム、カルバマゼピン、バルプロ酸、ビガバトリン、レボドパ、カルビドパ、ベンセラジド、セレギリン、ブロモクリプチン、アマンタジン、チアプリドなどの抗パーキンソン薬、チエチルペラジン、ブロモプリド、ドンペリドン、グラニセトロン、オンダンセトロン、トロピセトロン、ピリドキシンなどの制吐薬、ブプレノルフィン、フェンタニール、モルヒネ、コデイン、ヒドロモルフォン、メサドン、フェンピプラミド、フェンタニール、ピリトラミド、ペンタゾシン、ブプレノルフィン、ナルブフィン、チリジンなどの鎮痛薬、N−メチル化バルビツール酸塩、チオバルビツール酸塩、ケタミン、エトミダート、プロポフォール、ベンゾジアゼピン、ドロペリドール、ハロペリドール、アルフェンタニル、スフェンタニルなどの麻酔薬、腫瘍壊死因子−α、非ステロイド系抗炎症薬を含む抗リウマチ薬、インスリン、スルホニル尿素誘導体、ビグアニド、グリチゾール、グルカゴン、ジアゾキシドなどの抗糖尿病薬、インターロイキン、インターフェロン、腫瘍壊死因子(TNF)、コロニー刺激因子(GM−CSF、G−CSF、M−CSF)などのサイトカイン、タンパク質、例えば、エポエチン、およびペプチド、例えば、パラチリン、ソマトメジンC、ヘパリン、ヘパリン様物質、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、アデノシン三リン酸分解酵素、プロスタサイクリン、静的興奮剤、または遺伝物質を含む。
【0141】
上記の説明および実施例は、単に説明することのみを目的としており、本発明の可能なすべての実施形態、応用形態、または修正形態の網羅的一覧であることを意図していない。そのため、本発明の説明されている方法およびシステムのさまざまな修正形態および変更形態は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく当業者にとっては明白であろう。本発明は、具体的な実施形態に関して説明されているが、請求されている発明は、そのような特定の実施形態に過度に制限されるべきではないことは理解されるであろう。実際、材料科学、高分子化学、または関連する分野の専門家にとって明らかな本発明を実施するための説明されている形態のさまざまな修正形態は、付属の請求項の範囲内にあることが意図されている。
【0142】
上記のすべての引用文献および刊行物の開示は、それぞれがあたかも個別に参照により組み込まれているかのように参照により本明細書に明確に組み込まれている。
【0143】
(実施例)
(実施例1)
この実施例は、溶液のpHを安定させるためにリン酸塩などの塩の存在下でウシ血清アルブミン(BSA)の溶液からなる殻調製剤の修正形態を用いたタンパク質溶液のカプセル封入を説明するものである。共焦点蛍光顕微鏡(CFM)およびBSAを蛍光標識とともに使用し、カプセルの視覚化を行った。約2mgの蛍光タンパク質をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)約1mLに溶解したが、これは、この水溶液の塩基特性を約7.4に等しいpHに安定させるタイプの緩衝液であった。
【0144】
最終的なBSA濃度を、約3μMに調節した。ゾルエイジング手順に従って、シリカゾルを殻流体前駆体として使用し、第三級アミルアルコールを加えて50:50の体積比にした。
【0145】
一般に、溶液エイジングのために、酸性化されたオルトケイ酸テトラエチルのエタノール溶液を約4から6時間かけて約80℃の温度でエイジング処理することができる。第三級アミルアルコールを加えて、殻流体の疎水性を高めたが、これによりさらに、コア流体と殻流体との間の著しい混合を妨げた。
【0146】
コア流量および殻流量を、それぞれ、約0.025mL/hおよび0.75mL/hに調節した。カプセル設計にあった電圧は、約11から約12kVの範囲内であり、2流体帯電メニスカスと捕集ゾーンとの間の距離は、約4から約14cmの範囲内であった。捕集ゾーン、または捕集電極は、グラウンド電位で平坦な金属面であるが、2流体帯電メニスカスは、約5から約18kVの範囲内の正の電圧バイアスに保たれた。図14は、CFM技術の助けを借りて得られた写真を示しており、BSAの封じ込めは、カプセルのコア流体内で蛍光信号を発生するように計測器の焦点を合わせたときに明らかになった。図14を参照すると、パネルIは、焦点の合っていない蛍光信号を示しており、パネルIIは、焦点の合っている蛍光信号を示している。
【0147】
(実施例2)
実施例1で蛍光BSAをカプセル封入するために使用されるゾルゲル法およびプロセス変数は、アミノ基転移酵素をカプセル封入するようにわずかに修正された。この酵素は、以下の反応を触媒するために使用された。
D,Lグルタミン+グリオキシル酸L−グルタミン(左は未反応)+α−ケト誘導体(D−グルタミンから)+グリシン
【0148】
それぞれの鏡像異性体は、偏光を回転させる能力を有し、偏光分析法と呼ばれる技術を使用して、時間の経過とともに鏡像異性体を伴う化学反応を辿ることができる。上に示されている反応の左側の反応物は、基本的に、D,Lの接頭辞がグルタミンのDおよびL鏡像異性体の約50:50の混合を表しているため、光学活性のない混合物である。上に示されている反応の右側の生成物は、偏光分析法により追跡されうる付随する時間依存旋光信号で、未反応のL−グルタミン内に濃縮されるが、これは、この特定のアミノ基転移酵素がD鏡像異性体を伴う反応のみを触媒するからである。この反応は、PBSで約7.5のpHに中和された。
【0149】
グルタミン異性体の比旋光度は、純水中では低いので、異なる反応時間で偏光分析定量化の前に反応を停止し、また分析技術の感度を高める実験スキームが考案された。これは、酵素を変性させる、反応器から取り出された一定量に37wt%のHClを約1.0mL加えることで達成された。酵素触媒は、バイアルの底に沈殿するか、または遠心分離で取り除かれ、酸性化により、ほぼ中性の溶液中で観察された結果に関して約1/2ほど偏光分析技術の感度を高めた。
【0150】
約50mMの濃度の基質、また酵素濃度約0.5mg/mLを使用して生体触媒試験を実施した。図15は、旋光度が較正曲線の前の決定を用いて等価なD−(またはL−)グルタミン濃度に変換された後のカプセル封入状態と溶液中の遊離状態の両方におけるこのアミノ基転移酵素の活性の実施例を示している。
【0151】
(実施例3)
DNAマーカーとして3.1 LACZを有する粒子
約1wt%のイソプロパノールを含有する約10mMのビス−トリスプロパン緩衝水溶液中の3.1 LACZと約2mMのCaClとを混合することにより治療薬溶液を調製した。3.1 LACZの最終濃度は、700μg/mLであった。
【0152】
2つの官能化されたバイオポリマー、(a)それぞれ同じ命名法を使用して分子量2000−b−1940 Da、およびMw/Mn=1.2のCOOH−ポリ(エチレングリコール)−b−ポリラクチド、略してPEG−b−PLAおよび(b)分子量5,000 DaおよびMw/Mn=1.5のポリ(カプロラクトン)−SH、略してPCSHをクロロホルム中で混合してバイオポリマー溶液を調製した。この溶液を約15nmの平均直径を有するマグネタイト粒子の溶液でドープした。この溶液中のPEG−bPLA、PCSH、およびマグネタイト粒子の重量パーセント含有量は、それぞれ、約0.071wt%、約0.058wt%、および約0.004wt%であった。
【0153】
治療薬とバイオポリマーの溶液を混合し、ジメチルスルホキシド、略してDMSOを加えて、均質な溶液を形成した。平均直径が約0.250から約1μmの範囲内である粒子が形成されたが、プロセス変数を変化させることによりさらに小さなカプセルを形成することもできる。特に、使用される流量は、約0.150mL/hであり、外部電圧は、約7kVであった。
【0154】
(実施例4)
PDsred2−NUCのカプセル封入
この実施例の化合物は、図5に示されている2ジェットシステムにより形成された。PDsred2−NUCと約1wt%のイソプロパノールを含有する約10mMのビス−トリスプロパン水溶液と約2mMのCaClとを混合することにより最初にコア流体溶液を調製した。コア流体溶液中のPDsred2−NUCの最終濃度は、約22.5μg/mLであった。
【0155】
2つの官能化されたバイオポリマー、(a)分子量2000−b−1940、およびMw/Mn=1.2のCOOH−ポリ(エチレングリコール)−b−ポリラクチド、略してPEG−b−PLAおよび(b)分子量5,000 DaおよびMw/Mn=1.5のポリ(カプロラクトン)−SH、略してPCSHをクロロホルム中で混合して殻流体溶液を調製した。殻流体溶液中のPEG−b−PLAおよびPCSHの重量パーセント含有量は、それぞれ、約0.29wt%および約0.31wt%であった。
【0156】
平均直径が約0.250μmから約1μmの範囲内のカプセルを形成した。特に、使用されるコアおよび殻流体の流量は、それぞれ約0.050および約0.300mL/hであり、外部電圧は約7kVであった。
【0157】
PDsred2−NUC使用量が加えられたポリマーの約0.01から約25重量%の範囲内であるカプセルは、コア流体溶液の濃度を調節することによりこの方法で形成されうる。
【0158】
(実施例5)
緑色蛍光タンパク質のカプセル封入
緑色蛍光タンパク質、略してGFPと約1wt%のイソプロパノールと約2mMのCaClを含有する約10mMのビス−トリスプロパン水溶液とを混合することによりコア流体溶液を調製した。コア流体溶液中のGFPの最終濃度は、約30μg/mLであった。
【0159】
2つの官能化されたバイオポリマー、(a)それぞれ同じ命名法を使用して分子量2000−b−1940 Da、およびMw/Mn=1.2のCOOH−ポリ(エチレングリコール)−b−ポリラクチド、略してPEG−b−PLAおよび(b)分子量5,000 DaおよびMw/Mn=1.5のポリ(カプロラクトン)−SH、略してPCSHをクロロホルム中で混合して殻流体溶液を調製した。PEG−b−PLAおよびPCSHの重量パーセント含有量は、それぞれ、約0.32wt%および約0.31wt%であった。
【0160】
平均直径が約0.250μmから約1μmの範囲内であるカプセルが形成されたが、プロセス変数を調節することによりさらに小さなカプセルを形成することもできる。特に、使用されるコアおよび殻流体の流量は、それぞれ約0.050および約0.300ml/hであり、外部電圧は約8kVであった。
【0161】
GFP使用量が加えられたポリマーの約0.01から約20重量%の範囲内であるカプセルは、コア流体溶液の濃度を調節することによりこの方法で形成された。
【0162】
(実施例6)
葉酸官能基を含むドキソルビシンによる粒子
塩酸ドキソルビシン、略してDOXOをジクロロメタン中に溶解することにより、治療薬溶液を調製する。治療薬溶液中のDOXOの濃度は、約1,000μg/mLである。
【0163】
2つの官能化されたバイオポリマー、(a)分子量5,000 Daの葉酸官能化ポリ(エチレングリコール)、略して葉酸PEGおよび(b)分子量5,000 DaおよびMw/Mn=15のポリ(カプロラクトン)−SH、略してPCSHをクロロホルム中で混合してバイオポリマー溶液を調製する。葉酸PEGおよびPCSHの重量パーセント含有量は、それぞれ、約0.30wt%および約0.30wt%である。
【0164】
治療薬とバイオポリマーの溶液を混合して、均質な溶液を形成する。平均直径が約0.250μmから約1μmの範囲内である粒子が形成されるが、プロセス変数を調節することによりさらに小さなカプセルを形成することもできる。特に、使用される流量は、約0.050から約0.300ml/hの範囲内にある。外部電圧は、約7.5kVである。
【0165】
DOXO使用量が加えられたポリマーの約0.01から約25重量%の範囲内である粒子は、コア流体溶液の濃度を調節することによりこの方法で形成されうる。
【0166】
(実施例7)
ドキソルビシンのカプセル封入
約1wt%のイソプロパノールを含有する約10mMのビス−トリスプロパン水溶液中の塩酸ドキソルビシン、略してDOXOと約2mMのCaClを混合することによりコア流体溶液を調製した。コア流体溶液中のDOXOの最終濃度は、約1,000μg/mLであった。
【0167】
2つの官能化されたバイオポリマー、(a)それぞれ同じ命名法を使用して分子量2000−b−1940 Da、およびMw/Mn=1.2のCOOH−ポリ(エチレングリコール)−b−ポリラクチド、略してPEG−b−PLAおよび(b)分子量5,000 DaおよびMw/Mn=1.5のポリ(カプロラクトン)−SH、略してPCSHをクロロホルム中で混合して殻流体溶液を調製した。PEG−b−PLAおよびPCSHの重量パーセント含有量は、それぞれ、約0.3wt%および約0.3wt%であった。
【0168】
平均直径が約0.250μmから約1μmの範囲内であるカプセルが形成されたが、プロセス変数を調節することによりさらに小さなカプセルを形成することもできる。特に、使用されるコアおよび殻流体の流量は、それぞれ0.050および0.300ml/hであり、外部電圧は8.5kVであった。
【0169】
DOXO使用量が加えられたポリマーの約0.01から約23重量%の範囲内であるカプセルは、コア流体溶液の濃度を調節することによりこの方法で形成されうる。
【0170】
(実施例8)
コバルトナノ粒子のカプセル封入
コバルトナノ粒子、略してNP−Coの水溶液と約1wt%のイソプロパノールおよび約2mMのCaClを含有する10mMのビス−トリスプロパン水溶液とを混合することによりコア流体溶液を調製した。コア流体溶液中のNP−Coの最終濃度は、約1,000から約500μg/mLの範囲内であった。
【0171】
2つの官能化されたバイオポリマー、(a)それぞれ同じ命名法を使用して分子量2000−b−1940 Da、およびMw/Mn=1.2のCOOH−ポリ(エチレングリコール)−b−ポリラクチド、略してPEG−b−PLAおよび(b)分子量5,000 DaおよびMw/Mn=1.5のポリ(カプロラクトン)−SH、略してPCSHをクロロホルム中で混合して殻流体溶液を調製した。PEG−b−PLAおよびPCSHの重量パーセント含有量は、それぞれ、約0.30wt%および約0.30wt%であった。
【0172】
平均直径が約0.250μnから約1μmの範囲内であるカプセルが形成されたが、プロセス変数を調節することによりさらに小さなカプセルを形成することもできる。特に、使用されるコアおよび殻流体の流量は、それぞれ約0.050から約0.150ml/hの範囲内であり、外部電圧は約8kVであった。
【0173】
ナノ粒子(Np)−Co使用量が加えられたポリマーの約0.01から約11重量%の範囲内であるカプセルは、コア流体溶液の濃度を調節することによりこの方法で形成されうる。
【0174】
(実施例9)
EGF官能基を含むドキソルビシンによる粒子
塩酸ドキソルビシン、略してDOXOをジクロロメタン中に溶解することにより、治療薬溶液を調製する。治療薬溶液中のDOXOの濃度は、約1,000μg/mLである。
【0175】
2つの官能化されたバイオポリマー、(a)分子量5,000 DaのEGF官能化ポリ(エチレングリコール)、略してEGF−PEGおよび(b)分子量5,000 DaおよびMw/Mn=1.5のポリ(カプロラクトン)−SH、略してPCSHをクロロホルム中で混合してバイオポリマー溶液を調製する。EGFPEGおよびPCSHの重量パーセント含有量は、それぞれ、約0.30wt%および約0.30wt%である。
【0176】
治療薬とバイオポリマーの溶液を混合して、均質な溶液を形成する。平均直径が約0.250μmから約1μmの範囲内である粒子が形成されるが、プロセス変数を調節することによりさらに小さなカプセルを形成することもできる。特に、使用される流量は、約0.050から約0.300ml/hの範囲内にある。外部電圧は、約7.5kVである。
【0177】
DOXO使用量が加えられたポリマーの約0.01から約25重量%の範囲内である粒子は、コア流体溶液の濃度を調節することにより形成されうる。
【0178】
(実施例10)
DNAマーカーとしてルシフェラーゼを有する粒子
約1wt%のイソプロパノールを含有する10mMのビス−トリスプロパン緩衝水溶液中のルシフェラーゼと約2mMのCaClとを混合することにより治療薬溶液を調製する。ルシフェラーゼの最終濃度は、334.5μg/mLである。
【0179】
2つの官能化されたバイオポリマー、(a)それぞれ同じ命名法を使用して分子量2000−b−1940 Da、およびMw/Mn=1.2のCOOH−ポリ(エチレングリコール)−b−ポリラクチド、略してPEG−b−PLAおよび(b)分子量5,000 DaおよびMw/Mn=1.5のポリ(カプロラクトン)−SH、略してPCSHをクロロホルム中で混合してバイオポリマー溶液を調製する。この溶液を約15nmの平均直径を有するマグネタイト粒子の溶液でドープする。この溶液中のPEG−b−PLA、PCSH、およびマグネタイト粒子の重量パーセント含有量は、それぞれ、約0.071wt%、約0.058wt%、および約0.004wt%である。
【0180】
治療薬とバイオポリマーの溶液を混合し、ジメチルスルホキシド、略してDMSOを加えて、均質な溶液を形成する。平均直径が約0.250から約1μmの範囲内である粒子が形成されるが、プロセス変数を変えることによりさらに小さなカプセルを形成することもできる。特に、使用される流量は、約0.150mL/hであり、外部電圧は、約7kVであった。
【0181】
ルシフェラーゼ使用量が加えられたポリマーの約0.01から約63重量%の範囲内である粒子は、ルシフェラーゼ含有溶液の濃度を調節することにより形成されうる。
【0182】
(実施例11)
DNAマーカーとしてTKレニラルシフェラーゼを有する粒子
約1wt%のイソプロパノールを含有する約10mMのビス−トリスプロパン緩衝水溶液中のTKレニラルシフェラーゼと約2mMのCaClとを混合することにより治療薬溶液を調製した。TKレニラルシフェラーゼの最終濃度は、約334.5μg/mLであった。
【0183】
2つの官能化されたバイオポリマー、(a)それぞれ同じ命名法を使用して分子量2000−b−1940 Da、およびMw/Mn=1.2のCOOH−ポリ(エチレングリコール)−b−ポリラクチド、略してPEG−b−PLAおよび(b)分子量5,000 DaおよびMw/Mn=1.5のポリ(カプロラクトン)−SH、略してPCSHをクロロホルム中で混合してバイオポリマー溶液を調製した。この溶液を約15nmの平均直径を有するマグネタイト粒子の溶液でドープした。この溶液中のPEG−b−PLA、PCSH、およびマグネタイト粒子の重量パーセント含有量は、それぞれ、約0.071wt%、約0.058wt%、および約0.004wt%であった。
【0184】
治療薬とバイオポリマーの溶液を混合し、DMSOを加えて、均質な溶液を形成した。平均直径が約0.250から約1μmの範囲内である粒子が形成されたが、プロセス変数を変えることによりさらに小さなカプセルを形成することもできる。特に、使用される流量は、約0.150mL/hであり、外部電圧は、約7kVであった。
【0185】
TKレニラルシフェラーゼ使用量が加えられたポリマーの約0.01から約63重量%の範囲内である粒子は、TKレニラルルシフェラーゼ含有溶液の濃度を調節することにより形成されうる。
【0186】
(実施例12)
EGFおよびミトコンドリア局在化ベクターを含むカプセルへのコバルトナノ粒子のカプセル封入
コバルトナノ粒子、略してNP−Coの水溶液と約1.0wt%のイソプロパノールおよび約2mMのCaClを含有する10mMのビス−トリスプロパン水溶液とを混合することによりコア流体溶液を調製する。コア流体溶液中のNP−Coの最終濃度は、約1,000から約500μg/mLの範囲内である。
【0187】
3つの官能化されたバイオポリマー、(a)それぞれ同じ命名法を使用して分子量2000−b−1940 Da、およびMw/Mn=1.2のCOOH−ポリ(エチレングリコール)−b−ポリラクチド、略してPEG−b−PLAおよび(b)分子量5,000 DaおよびMw/Mn=1.5のポリ(カプロラクトン)−SH、略してPCSH、および(c)分子量5,000 DaのEGF官能化ポリ(エチレングルコール)、略してEGFPEGをクロロホルム中で混合して殻流体溶液を調製する。この溶液中のPEG−b−PLA、PCSH、およびEGF−PEGの重量パーセント含有量は、それぞれ、約0.30wt%、約0.30wt%、および約0.10wt%である。
【0188】
ミトコンドリアを標的とするプラスミド細胞内局在化ベクターを含む緩衝溶液を加える。殻流体溶液中のベクターの濃度は、約0.0から約1.0wt%の範囲内である。DMSOを加えて、均質な溶液を形成する。
【0189】
平均直径が約0.250μmから約1μmの範囲内であるカプセルが形成されるが、プロセス変数を調節することによりさらに小さなカプセルを形成することもできる。特に、使用されるコアおよび殻流体の流量は、それぞれ約0.050および約0.150ml/hであり、外部電圧は約8kVであった。
【0190】
NP−Co使用量が加えられたポリマーの約0.01から約11重量%の範囲内であるカプセルは、コア流体溶液の濃度を調節することにより形成されうる。
【0191】
(実施例13)
殻上にCD19官能基を含むカプセル内へのクロランブシルのカプセル封入
約1wt%のイソプロパノール、約2mMのCaCl、およびDMSOを含有する約10mMのビス−トリスプロパン水溶液中にクロランブシルを溶解することによりコア流体溶液を調製した。コア流体溶液中のクロランブシルの最終濃度は、約2,000から約500μg/mLの範囲内であった。
【0192】
2つの官能化されたバイオポリマー、(a)それぞれ同じ命名法を使用して分子量2000−b−1940 Da、およびMw/Mn=1.2のCOOH−ポリ(エチレングリコール)−b−ポリラクチド、略してPEG−b−PLAおよび(b)分子量5,000 DaおよびMw/Mn=1.5のポリ(カプロラクトン)−SH、略してPCSHをクロロホルム中で混合して殻流体溶液を調製した。PEG−b−PLAおよびPCSHの重量パーセント含有量は、それぞれ、約0.05wt%および約0.05wt%であった。殻流体溶液を、ジクロロメタンとポリエチレンオキシドの混合物中に溶解したCD19を含む溶液と混合させた(MW=400−1000)。
【0193】
平均直径が約0.250μmから約1μmの範囲内であるカプセルが形成されたが、プロセス変数を調節することによりさらに小さなカプセルを形成することもできる。特に、使用されるコアおよび殻流体の流量は、それぞれ約0.050および約0.150ml/hであり、外部電圧は約8kVであった。
【0194】
クロランブシル使用量が加えられたポリマーの約0.01から約20.0重量%の範囲内であるカプセルは、コア流体溶液の濃度を調節することにより形成されうる。CD19使用量が加えられたポリマーの約5から約100μg/mgの範囲内であるカプセルは、殻流体溶液の濃度を調節することにより形成されうる。
【0195】
(実施例14)
CD20官能基を含むカプセル内へのクロランブシルのカプセル封入
約1.0wt%のイソプロパノール、約2.0mMのCaCl、およびDMSOを含有する約10mMのビス−トリスプロパン水溶液中にクロランブシルを溶解することによりコア流体溶液を調製した。コア流体溶液中のクロランブシルの最終濃度は、約2,000から約500μg/mLの範囲内であった。
【0196】
2つの官能化されたバイオポリマー、(a)それぞれ同じ命名法を使用して分子量2000−b−1940 Da、およびMw/Mn=1.2のCOOH−ポリ(エチレングリコール)−b−ポリラクチド、略してPEG−b−PLAおよび(b)分子量5,000 DaおよびMw/Mn=1.5のポリ(カプロラクトン)−SH、略してPCSHをクロロホルム中で混合して殻流体溶液を調製した。PEG−b−PLAおよびPCSHの重量パーセント含有量は、それぞれ、約0.05wt%および約0.05wt%であった。殻流体溶液を、ジクロロメタンとポリエチレンオキシドの混合物中に溶解したCD20を含む溶液と混合させた(MW=400−1000)。
【0197】
平均直径が約0.250μmから約1μmの範囲内であるカプセルが生成されたが、プロセス変数を調節することによりさらに小さなカプセルを形成することもできる。特に、使用されるコアおよび殻流体の流量は、それぞれ約0.050および約0.150ml/hであり、外部電圧は約8kVであった。
【0198】
クロランブシル使用量が加えられたポリマーの約0.01から約20.0重量%の範囲内であるカプセルは、コア流体溶液の濃度を調節することにより形成されうる。CD20使用量が加えられたポリマーの約5から約100μg/mgの範囲内であるカプセルは、殻流体溶液の濃度を調節することにより形成されうる。
【0199】
(実施例15)
CD19およびCD20官能基を含むカプセル内へのクロランブシルおよび硫酸ヒドロキシクロロキンのカプセル封入
約1.0wt%のイソプロパノール、2mMのCaCl、およびDMSOを含有する約10mMのビス−トリスプロパン水溶液中にクロランブシルおよび硫酸ヒドロキシクロロキン、略してHCQを溶解することによりコア流体溶液を調製した。コア流体溶液中のクロランブシルおよびHCQの最終濃度は、約2,000から約500μg/mLの範囲内であった。
【0200】
2つの官能化されたバイオポリマー、(a)それぞれ同じ命名法を使用して分子量2000−b−1940 Da、およびMw/Mn=1.2のCOOH−ポリ(エチレングリコール)−b−ポリラクチド、略してPEG−b−PLAおよび(b)分子量5,000 DaおよびMw/Mn=1.5のポリ(カプロラクトン)−SH、略してPCSHをクロロホルム中で混合して殻流体溶液を調製した。PEG−b−PLAおよびPCSHの重量パーセント含有量は、それぞれ、0.05wt%および0.05wt%である。殻流体溶液を、ジクロロメタンとポリエチレンオキシドの混合物中に溶解したCD19およびCD20を含む溶液と混合させた(MW=400−1000)。
【0201】
平均直径が約0.250μmから約1μmの範囲内であるカプセルが形成されたが、プロセス変数を調節することによりさらに小さなカプセルを形成することもできる。特に、使用されるコアおよび殻流体の流量は、それぞれ約0.050および約0.300ml/hであり、外部電圧は約8kVであった。
【0202】
クロランブシルおよびHCQの使用量がそれぞれ加えられたポリマーの約0.01から約20.0重量%の範囲内であるカプセルは、コア流体溶液の濃度を調節することにより形成されうる。CD19およびCD20使用量がそれぞれ加えられたポリマーの約5から約100μg/mgの範囲内であるカプセルは、殻流体溶液の濃度を調節することにより形成されうる。
【0203】
(実施例16)
CD19官能基およびゴルジ複合体局在化ベクターを含むカプセル内へのクロランブシルのカプセル封入
約1wt%のイソプロパノール、約2mMのCaCl、およびDMSOを含有する約10mMのビス−トリスプロパン水溶液中にクロランブシルを溶解することによりコア流体溶液を調製する。コア流体溶液中のクロランブシルの最終濃度は、約2,000から約500μg/mLの範囲内である。
【0204】
2つの官能化されたバイオポリマー、(a)それぞれ同じ命名法を使用して分子量2000−b−1940 Da、およびMw/Mn=1.2のCOOH−ポリ(エチレングリコール)−b−ポリラクチド、略してPEG−b−PLAおよび(b)分子量5,000 DaおよびMw/Mn=1.5のポリ(カプロラクトン)−SH、略してPCSHをクロロホルム中で混合して殻流体溶液を調製する。PEG−b−PLAおよびPCSHの重量パーセント含有量は、それぞれ、約0.05wt%および約0.05wt%である。殻流体溶液を、ジクロロメタンとポリエチレンオキシドの混合物中に溶解したCD19を含む溶液と混合する(MW=400−1000)。
【0205】
ゴルジ複合体を標的とするプラスミド細胞内局在化ベクターを含む緩衝溶液を加える。殻流体溶液中のベクターの濃度は、約0から約1wt%の範囲内である。DMSOを加えて、均質な溶液を形成する。
【0206】
平均直径が約0.250μmから約1μmの範囲内であるカプセルが形成されるが、プロセス変数を調節することによりさらに小さなカプセルを形成することもできる。特に、使用されるコアおよび殻流体の流量は、それぞれ約0.050および約0.150ml/hであり、外部電圧は約8kVである。
【0207】
クロランブシル使用量が加えられたポリマーの約0.01から約20.0重量%の範囲内であるカプセルは、コア流体溶液の濃度を調節することにより形成されうる。CD19使用量が加えられたポリマーの約5から約100μg/mgの範囲内であるカプセルは、殻流体溶液の濃度を調節することにより形成されうる。
【0208】
(実施例17)
ヨウ素125およびEGF官能基を含む粒子
ヨウ素125をジクロロメタン中に溶解することにより、治療薬溶液を調製する。治療薬溶液中のヨウ素125の濃度は、約1,000μg/mLである。
【0209】
2つの官能化されたバイオポリマー、(a)分子量5,000 DaのEGF官能化ポリ(エチレングリコール)、略してEGF−PEGおよび(b)分子量5,000 DaおよびMw/Mn=1.5のポリ(カプロラクトン)−SH、略してPCSHをクロロホルム中で混合してバイオポリマー溶液を調製する。EGF−PEGおよびPCSHの重量パーセント含有量は、それぞれ、約0.30wt%および約0.30wt%である。
【0210】
治療薬とバイオポリマーの溶液を混合して、均質な溶液を形成する。平均直径が約0.250μmから約1μmの範囲内である粒子が形成されるが、プロセス変数を調節することによりさらに小さなカプセルを形成することもできる。特に、使用される流量は、約0.050から約0.300ml/hの範囲内にある。外部電圧は、約7.5kVである。
【0211】
ヨウ素125使用量が加えられたポリマーの約0.01から約25重量%の範囲内である粒子は、コア流体溶液の濃度を調節することにより形成されうる。
【0212】
(実施例18)
Ga/Feナノ粒子および上皮成長因子受容体を含むカプセル内へのクロランブシルのカプセル封入
約1.0wt%のイソプロパノール、約2.0mMのCaCl、およびDMSOを含有する10mMのビス−トリスプロパン水溶液中にクロランブシルを溶解することによりコア流体溶液を調製する。コア流体溶液中のクロランブシルの最終濃度は、約2,000から約500μg/mLの範囲内である。
【0213】
2つの官能化されたバイオポリマー、(a)分子量5,000 Daの上皮成長因子官能化ポリ(エチレングリコール)、略してEGF−PEGおよび(b)分子量5,000 DaおよびMw/Mn=1.5のポリ(カプロラクトン)−SH、略してPCSHをクロロホルム中で混合して殻流体溶液を調製する。この溶液を約15nmの平均直径を有するFeおよびGaナノ粒子の溶液でドープする。殻流体溶液中のEGF−PEG、PCSH、Fe、およびGaの重量パーセント含有量は、それぞれ、約0.071wt%、約0.058wt%、約0.004wt%、および約0.004wt%である。
【0214】
平均直径が約0.250μmから約1μmの範囲内である粒子が形成されるが、プロセス変数を調節することによりさらに小さなカプセルを形成することもできる。特に、使用される流量は、約0.050から約0.300ml/hの範囲内にある。外部電圧は、約7.5kVである。
【0215】
クロランブシル使用量が加えられたポリマーの約0.01から約25.0重量%の範囲内である粒子は、コア流体溶液の濃度を調節することにより形成されうる。
【0216】
(実施例19)
Ga/B/Feナノ粒子および上皮増殖因子受容体を含むカプセル内へのクロランブシルのカプセル封入
約1.0wt%のイソプロパノール、約2.0mMのCaCl、およびDMSOを含有する約10.0mMのビス−トリスプロパン水溶液中にクロランブシルを溶解することによりコア流体溶液を調製する。コア流体溶液中のクロランブシルの最終濃度は、約2,000から約500μg/mLの範囲内である。
【0217】
2つの官能化されたバイオポリマー、(a)分子量5,000 Daの上皮成長因子官能化ポリ(エチレングリコール)、略してEGF−PEGおよび(b)分子量5,000 DaおよびMw/Mn=1.5のポリ(カプロラクトン)−SH、略してPCSHをクロロホルム中で混合して殻流体溶液を調製する。この溶液を約15nmの平均直径を有するFe、Ga、およびBナノ粒子の溶液でドープする。殻流体溶液中のEGF−PEG、PCSH、Fe、Ga、およびBの重量パーセント含有量は、それぞれ、約0.071wt%、約0.058wt%、約0.004wt%、約0.004wt%、および約0.004wt%である。
【0218】
平均直径が約0.250μmから約1μmの範囲内である粒子が形成されるが、プロセス変数を調節することによりさらに小さなカプセルを形成することもできる。特に、使用される流量は、約0.050から約0.300ml/hの範囲内にある。外部電圧は、約7.5kVである。
【0219】
クロランブシル使用量が加えられたポリマーの約0.01から約25重量%の範囲内である粒子は、コア流体溶液の濃度を調節することにより形成されうる。
【0220】
(実施例20)
葉酸官能基を含むパクリタキセルによる粒子
パクリタキセルをジクロロメタン中に溶解することにより、治療薬溶液を調製する。治療薬溶液中のパクリタキセルの濃度は、約1,000μg/mLである。
【0221】
2つの官能化されたバイオポリマー、(a)分子量5,000 Daの葉酸官能化ポリ(エチレングリコール)、略して葉酸PEGおよび(b)分子量5,000 DaおよびMw/Mn=1.5のポリ(カプロラクトン)−SH、略してPCSHをクロロホルム中で混合してバイオポリマー溶液を調製する。葉酸PEGおよびPCSHの重量パーセント含有量は、それぞれ、約0.30wt%および約0.30wt%である。
【0222】
治療薬とバイオポリマーの溶液を混合して、均質な溶液を形成する。平均直径が約0.250μmから約1μmの範囲内である粒子が形成されるが、プロセス変数を調節することによりさらに小さなカプセルを形成することもできる。特に、使用される流量は、約0.050から約0.300ml/hの範囲内にある。外部電圧は、約7.5kVである。
【0223】
パクリタキセル使用量が加えられたポリマーの約0.01から約25重量%の範囲内である粒子は、コア流体溶液の濃度を調節することにより形成されうる。
【0224】
(実施例21)
葉酸官能基を含むパクリタキセルによるカプセル
DMSO中のパクリタキセルと約10wt%のγ−シクロデキストリンとを約1wt%のイソプロパノールおよび約2mMのCaClを含有する約10mMのビス−トリスプロパン水溶液中で混合することによりコア流体溶液を調製する。コア流体溶液中のパクリタキセルの最終濃度は、約20μg/mLである。
【0225】
2つの官能化されたバイオポリマー、(a)分子量5,000 Daの葉酸官能化ポリ(エチレングリコール)、略して葉酸PEGおよび(b)分子量5000 DaおよびMw/Mn=1.5のポリ(カプロラクトン)−SH、略してPCSHをクロロホルム中で混合して殻流体溶液を調製する。葉酸PEGおよびPCSHの重量パーセント含有量は、それぞれ、約0.30wt%である。
【0226】
平均直径が約0.250μmから約1μmの範囲内であるカプセルが生成されるが、プロセス変数を調節することによりさらに小さなカプセルを形成することもできる。特に、使用されるコアおよび殻流体の流量は、それぞれ約0.050および約0.300ml/hであり、外部電圧は約7.5kVである。
【0227】
パクリタキセル使用量が加えられたポリマーの約001から約0.2重量%の範囲内であるカプセルは、コア流体溶液の濃度を調節することにより形成される。
【0228】
(実施例22)
パクリタキセルによる粒子
パクリタキセルをジクロロメタン中で混合することにより、治療薬溶液を調製する。治療薬溶液中のパクリタキセルの濃度は、約1,000μg/mLである。
【0229】
2つの官能化されたバイオポリマー、(a)それぞれ同じ命名法を使用して分子量2000−b−1940 Da、およびMw/Mn=1.2のCOOH−ポリ(エチレングリコール)−b−ポリラクチド、略してPEG−b−PLAおよび(b)分子量5,000 DaおよびMw/Mn=1.5のポリ(カプロラクトン)−SH、略してPCSHをクロロホルム中で混合してバイオポリマー溶液を調製する。PEG−b−PLAおよびPCSHの重量パーセント含有量は、それぞれ、約0.3wt%および約0.3wt%である。
【0230】
治療薬とバイオポリマーの溶液を混合して、均質な溶液を形成する。平均直径が約0.250μmから約1μmの範囲内である粒子が形成されるが、プロセス変数を調節することによりさらに小さなカプセルを形成することもできる。特に、流量は、約0.050から約0.300 ml/hの範囲内であり、外部電圧は約7.5kVである。
【0231】
パクリタキセル使用量が加えられたポリマーの約0.01から約25重量%の範囲内である粒子は、コア流体溶液の濃度を調節することにより形成されうる。
【0232】
(実施例23)
パクリタキセルのカプセル封入
DMSO中のパクリタキセルと約10wt%のγ−シクロデキストリンとを約1wt%のイソプロパノールおよび約2mMのCaClを含有する約10mMのビス−トリスプロパン水溶液中で混合することによりコア流体溶液を調製する。コア流体溶液中のパクリタキセルの最終濃度は、約20μg/mLである。
【0233】
2つの官能化されたバイオポリマー、(a)それぞれ同じ命名法を使用して分子量2000−b−1940 Da、およびMw/Mn=1.2のCOOH−ポリ(エチレングリコール)−b−ポリラクチド、略してPEG−b−PLAおよび(b)分子量5,000 DaおよびMw/Mn=1.5のポリ(カプロラクトン)−SH、略してPCSHをクロロホルム中で混合して殻流体溶液を調製する。PEG−b−PLAおよびPCSHの重量パーセント含有量は、それぞれ、約0.3wt%である。
【0234】
平均直径が約0.250μmから約1μmの範囲内であるカプセルが形成されるが、プロセス変数を調節することによりさらに小さなカプセルを形成することもできる。特に、使用されるコアおよび殻流体の流量は、それぞれ約0.050および約0.300ml/hであり、外部電圧は約7kVである。
【0235】
パクリタキセル使用量が加えられたポリマーの約0.01から約0.2重量%の範囲内であるカプセルは、コア流体溶液の濃度を調節することにより形成されうる。
【0236】
(実施例24)
金ナノ粒子のカプセル封入
金ナノ粒子、略してNP−Auの水溶液と約1wt%のイソプロパノールおよび約2mMのCaClを含有する10mMのビス−トリスプロパン水溶液とを混合することによりコア流体溶液を調製する。コア流体溶液中のNP−Auの最終濃度は、約1,000から約500μg/mLの範囲内である。
【0237】
2つの官能化されたバイオポリマー、(a)それぞれ同じ命名法を使用して分子量20007b−1940 Da、およびMw/Mn=1.2のCOOH−ポリ(エチレングリコール)−b−ポリラクチド、略してPEG−b−PLAおよび(b)分子量5,000 DaおよびMw/Mn=1.5のポリ(カプロラクトン)−SH、略してPCSHをクロロホルム中で混合して殻流体溶液を調製する。PEG−b−PLAおよびPCSHの重量パーセント含有量は、それぞれ、約0.30wt%および約0.30wt%である。
【0238】
平均直径が約0.250μmから約1μmの範囲内であるカプセルが形成されるが、プロセス変数を調節することによりさらに小さなカプセルを形成することもできる。特に、使用されるコアおよび殻流体の流量は、それぞれ約0.050および約0.150ml/hであり、外部電圧は約8kVである。
【0239】
金ナノ粒子使用量が加えられたポリマーの約0.01から約11重量%の範囲内であるカプセルは、コア流体溶液の濃度を調節することにより形成されうる。
【0240】
(実施例25)
銀ナノ粒子のカプセル封入
銀ナノ粒子、略してNP−Agの水溶液と約1wt%のイソプロパノールおよび約2mMのCaClを含有する10mMのビス−トリスプロパン水溶液とを混合することによりコア流体溶液を調製する。コア流体溶液中のNP−Agの最終濃度は、約1,000から約500μg/mLの範囲内である。
【0241】
2つの官能化されたバイオポリマー、(a)それぞれ同じ命名法を使用して分子量2000−b−1940 Da、およびMw/Mn=1.2のCOOH−ポリ(エチレングリコール)−b−ポリラクチド、略してPEG−b−PLAおよび(b)分子量5,000 DaおよびMw/Mn=1.5のポリ(カプロラクトン)−SH、略してPCSHをクロロホルム中で混合して殻流体溶液を調製する。PEG−b−PLAおよびPCSHの重量パーセント含有量は、それぞれ、約0.30wt%および約0.30wt%である。
【0242】
平均直径が約0.250μmから約1μmの範囲内であるカプセルが形成されるが、プロセス変数を調節することによりさらに小さなカプセルを形成することもできる。特に、使用されるコアおよび殻流体の流量は、それぞれ約0.050および約0.150 ml/hであり、外部電圧は約8kVである。
【0243】
銀ナノ粒子使用量が加えられたポリマーの約0.01から約11重量%の範囲内であるカプセルは、コア流体溶液の濃度を調節することにより形成されうる。
【0244】
(実施例26)
パラジウムナノ粒子のカプセル封入
パラジウムナノ粒子、略してNP−Pdの水溶液と約1wt%のイソプロパノールおよび約2mMのCaClを含有する約10mMのビス−トリスプロパン水溶液とを混合することによりコア流体溶液を調製する。コア流体溶液中のNP−Pdの最終濃度は、約1,000から約500μg/mLの範囲内である。
【0245】
2つの官能化されたバイオポリマー、(a)それぞれ同じ命名法を使用して分子量2000−b−1940 Da、およびMw/Mn=1.2のCOOH−ポリ(エチレングリコール)−b−ポリラクチド、略してPEG−b−PLAおよび(b)分子量5,000 DaおよびMw/Mn=1.5のポリ(カプロラクトン)−SH、略してPCSHをクロロホルム中で混合して殻流体溶液を調製する。PEG−b−PLAおよびPCSHの重量パーセント含有量は、それぞれ、約0.30wt%および約0.30wt%である。
【0246】
平均直径が約0.250μmから約1μmの範囲内であるカプセルが形成されるが、プロセス変数を調節することによりさらに小さなカプセルを形成することもできる。特に、使用されるコアおよび殻流体の流量は、それぞれ約0.050および約0.150ml/hであり、外部電圧は約8kVである。
【0247】
パラジウムナノ粒子使用量が加えられたポリマーの約0.01から約11重量%の範囲内であるカプセルは、コア流体溶液の濃度を調節することにより形成されうる。
【0248】
(実施例27)
パクリタキセルおよびエストラジオール官能基を含む粒子
パクリタキセルをジクロロメタン中で混合することにより、治療薬溶液を調製する。治療薬溶液中のパクリタキセルの濃度は、約1,000μg/mLである。
【0249】
2つの官能化されたバイオポリマー、(a)分子量5,000 Daのエストラジオール官能化ポリ(エチレングリコール)、略してEST−PEGおよび(b)分子量5,000 DaおよびMw/Mn=1.5のポリ(カプロラクトン)−SH、略してPCSHをクロロホルム中で混合してバイオポリマー溶液を調製する。EST−PEGおよびPCSHの重量パーセント含有量は、それぞれ、約0.30wt%である。
【0250】
治療薬とバイオポリマーの溶液を混合して、均質な溶液を形成する。平均直径が約0.250μmから約1μmの範囲内である粒子が形成されるが、プロセス変数を調節することによりさらに小さなカプセルを形成することもできる。特に、流量は、約0.050から約0.300ml/hの範囲内であり、外部電圧は約7.5kVである。
【0251】
パクリタキセル使用量が加えられたポリマーの約0.01から約25重量%の範囲内である粒子は、コア流体溶液の濃度を調節することにより形成されうる。
【0252】
(実施例28)
パクリタキセルおよびエストラジオール官能基を含むカプセル
DMSO中のパクリタキセルと約10wt%のγ−シクロデキストリンとを約1wt%のイソプロパノールおよび2mMのCaClを含有する約10mMのビス−トリスプロパン水溶液中で混合することによりコア流体溶液を調製する。コア流体溶液中のパクリタキセルの最終濃度は、約20μg/mLである。
【0253】
2つの官能化されたバイオポリマー、(a)分子量5,000 Daのエストラジオール官能化ポリ(エチレングリコール)、略してEST−PEGおよび(b)分子量5,000 DaおよびMw/Mn=1.5のポリ(カプロラクトン)−SH、略してPCSHをクロロホルム中で混合して殻流体溶液を調製する。EST−PEGおよびPCSHの重量パーセント含有量は、それぞれ、約0.30wt%である。
【0254】
平均直径が約0.250μmから約1μmの範囲内であるカプセルが形成されるが、プロセス変数を調節することによりさらに小さなカプセルを形成することもできる。特に、使用されるコアおよび殻流体の流量は、それぞれ約0.050および約0.150ml/hであり、外部電圧は約8kVである。
【0255】
(実施例29)
パクリタキセルおよび上皮成長因子群を含む粒子
パクリタキセルをジクロロメタン中に溶解することにより、治療薬溶液を調製する。治療薬溶液中のパクリタキセルの濃度は約1,000μg/mLである。
【0256】
3つの官能化されたバイオポリマー、(a)それぞれ同じ命名法を使用して分子量2000−b−1940 Da、およびMw/Mn=1.2のCOOH−ポリ(エチレングリコール)−b−ポリラクチド、略してPEG−b−PLAおよび(b)分子量5,000 DaおよびMw/Mn=1.5のポリ(カプロラクトン)−SH、略してPCSH、および(c)分子量5,000 Daの上皮成長因子官能化ポリ(エチレングルコール)、略してEGF−PEGをクロロホルム中で混合してバイオポリマー溶液を調製する。この溶液中のPEG−b−PLA、PCSH、およびEGF−PEGの重量パーセント含有量は、それぞれ、約0.30wt%、約0.30wt%、および約0.10wt%である。
【0257】
治療薬とバイオポリマーの溶液を混合して、均質な溶液を形成する。平均直径が約0.250μmから約1μmの範囲内である粒子が形成されるが、プロセス変数を調節することによりさらに小さなカプセルを形成することもできる。特に、使用される流量は、約0.050から約0.300ml/hの範囲内にある。外部電圧は約7.5kVである。
【0258】
パクリタキセル使用量が加えられたポリマーの約0.01から約25重量%の範囲内である粒子は、コア流体溶液の濃度を調節することにより形成されうる。
【0259】
(実施例30)
パクリタキセルおよび上皮成長因子群を含むカプセル
DMSO中のパクリタキセルと約10wt%のγ−シクロデキストリンとを約1wt%のイソプロパノールおよび2mMのCaClを含有する約10mMのビス−トリスプロパン水溶液中で混合することによりコア流体溶液を調製する。コア流体溶液中のパクリタキセルの最終濃度は、約20μg/mLである。
【0260】
3つの官能化されたバイオポリマー、(a)それぞれ同じ命名法を使用して分子量2000−b−1940 Da、およびMw/Mn=1.2のCOOH−ポリ(エチレングリコール)−b−ポリラクチド、略してPEG−b−20 PLAおよび(b)分子量5,000 DaおよびMw/Mn=1.5のポリ(カプロラクトン)−SH、略してPCSH、および(c)分子量5,000 Daの上皮成長因子官能化ポリ(エチレングルコール)、略してEGF−PEGをクロロホルム中で混合して殻流体溶液を調製する。この溶液中のPEG−b−PLA、PCSH、およびEGF−PEGの重量パーセント含有量は、それぞれ、約0.30wt%、約0.30wt%、および約0.10wt%である。
【0261】
平均直径が約0.250μmから約1μmの範囲内であるカプセルが形成されるが、プロセス変数を調節することによりさらに小さなカプセルを形成することもできる。特に、使用されるコアおよび殻流体の流量は、それぞれ約0.050および約0.300ml/hであり、外部電圧は約7.5kVである。
【0262】
パクリタキセル使用量が加えられたポリマーの約0.01から約0.2重量%の範囲内であるカプセルは、コア流体溶液の濃度を調節することにより形成される。
【0263】
(実施例31)
pCMV−Lucプラスミドのカプセル封入
pGL2−Basic Vectorプラスミドの蛍ルシフェラーゼの上流に挿入されたpcDNA3のサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターを含むpCMV−Lucプラスミドを含む緩衝液を薬1wt%のイソプロパノールおよび約2mMのCaClを含有する10mMのビス−トリスプロパン水溶液と混合することによりコア流体溶液を調製する。コア流体溶液中のpCMV−Lucの最終濃度は、約1から約1000μg/mLの範囲内である。
【0264】
2つの官能化されたバイオポリマー、(a)それぞれ同じ命名法を使用して分子量2000−b−1940 Da、およびMw/Mn=1.2のCOOH−ポリ(エチレングリコール)−b−ポリラクチド、略してPEG−b−10 PLAおよび(b)分子量5,000 DaおよびMw/Mn=1.5のポリ(カプロラクトン)−SH、略してPCSHをクロロホルム中で混合して殻流体溶液を調製する。PEG−b−PLAおよびPCSHの重量パーセント含有量は、それぞれ、約0.30wt%および約0.30wt%である。
【0265】
平均直径が約0.250μmから約1μmの範囲内であるカプセルが形成されるが、プロセス変数を調節することによりさらに小さなカプセルを形成することもできる。特に、使用されるコアおよび殻流体の流量は、それぞれ約0.050および約0.150ml/hであり、外部電圧は約8kVである。
【0266】
pCMV−Luc使用量が加えられたポリマーの約0.01から約11重量%の範囲内であるカプセルは、コア流体溶液の濃度を調節することにより形成されうる。
【0267】
(実施例32)
425 TNF−α DNAおよびウシ血清アルブミンローダミン抱合体のカプセル封入
約1wt%のイソプロパノールと約2mMのCaClを含有する約10mMのビス−トリスプロパン水溶液中で、425 TNF−α DNA、およびウシ血清アルブミンローダミン抱合体、またはBSA−ローダミンを混合することによりコア流体溶液を調製した。コア流体溶液中の425 TNF−α DNAおよびBSA−ローダミンの最終濃度は、それぞれ約12.2μg/mLおよび約200μg/mLであった。
【0268】
分子量3,400 Daのフルオレセイン標識ポリ(エチレングルコール)−NHSバイオポリマーにグラフトされたEGF、略してF−PEG−EGFを混合することにより殻流体溶液を調製した。殻流体溶液中のF−PEG−EGFの量は、約0.317wt%であった。
【0269】
平均直径が約0.41μmのカプセルが形成されたが、プロセス変数を調節することによりさらに小さなカプセルを形成することもできる。特に、使用されるコアおよび殻流体の流量は、それぞれ約.05および約0.30ml/hであり、印加電圧は約6.5kVであった。
【0270】
425 TNF−α DNA使用量が加えられたポリマーの約0.01から約30重量%の範囲内であるカプセルは、コア流体溶液の濃度を調節することにより形成されうる。
【0271】
(実施例33)
テモゾロミドのカプセル封入
テモゾロミド、略してTMZを約0.1Mの緩衝酢酸溶液中でコア流体溶液を調製した。コア流体溶液中のTMZの最終濃度は、約10μMである。
【0272】
2つの官能化されたバイオポリマー、(a)それぞれ同じ命名法を使用して分子量2000−b−1940 Da、およびMw/Mn=1.2のCOOH−ポリ(エチレングリコール)−b−ポリラクチド、略してPEG−b−PLAおよび(b)分子量5,000 DaおよびMw/Mn=1.5のポリ(カプロラクトン)−SH、略してPCSHをクロロホルム中で混合して殻流体溶液を調製した。殻流体溶液中のPEG−b−PLAおよびPCSHの含有量は、それぞれ、約0.080wt%および約0.086wt%であった。
【0273】
平均直径が約1.3μmのカプセルが形成されたが、プロセス変数を調節することによりさらに小さなカプセルを形成することもできる。特に、コアおよび殻流体の流量は、それぞれ約0.05および約0.30ml/hであり、印加電圧は約8.0kVであった。
【0274】
テモゾロミド使用量が加えられたポリマーの約0.01から約2.4重量%の範囲内であるカプセルは、コア流体溶液の濃度を調節することにより形成されうる。
【0275】
(実施例34)
TNF−αタンパク質およびウシ血清アルブミンフルオレセイン抱合体のカプセル封入
約1wt%のイソプロパノールと約2mMのCaClを含有する約10mMのビス−トリスプロパン水溶液中で、TNF−αタンパク質、およびウシ血清アルブミンフルオレセイン抱合体、またはBSA−fluor 594を混合することによりコア流体溶液を調製した。コア流体溶液中のTNF−αタンパク質およびBSA−fluorの最終濃度は、それぞれ約345μg/mLおよび約200μg/mLであった。
【0276】
2つの官能化されたバイオポリマー、(a)それぞれ同じ命名法を使用して分子量2000−b−1940 Da、およびMw/Mn=1.2のCOOH−ポリ(エチレングリコール)−b−ポリラクチド、略してPEG−b−PLAおよび(b)分子量5,000 DaおよびMw/Mn=1.5のポリ(カプロラクトン)−SH、略してPCSHをクロロホルム中で混合して殻流体溶液を調製した。殻流体溶液を約15nmの平均直径を有するマグネタイト粒子の溶液でドープする。殻流体溶液中のPEG−b−PLA、PCSH、およびマグネタイト粒子の含有量は、それぞれ、約0.080wt%、約0.086wt%、および約0.006wt%であった。
【0277】
平均直径が約0.225μmおよび0.550μmのカプセルが形成されたが、プロセス変数を調節することによりさらに小さなカプセルを形成することもできる。特に、コアおよび殻流体の流量は、それぞれ約0.050および約0.300ml/hであり、印加電圧は約7.0kVであった。
【0278】
TNF−αタンパク質使用量が加えられたポリマーの約0.01から約23重量%の範囲内であるカプセルは、コア流体溶液の濃度を調節することにより形成されうる。
【0279】
上記の実施例は、単に説明することのみを目的としており、本発明の可能なすべての実施形態、応用形態、または修正形態の網羅的一覧であることを意図していない。そのため、本発明の説明されている方法およびシステムのさまざまな修正形態および変更形態は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく当業者にとっては明白であろう。本発明は、具体的な実施形態に関して説明されているが、請求されている発明は、そのような特定の実施形態に過度に制限されるべきではないことは理解されるであろう。実際、高分子科学、分子生物学、または関連する分野の専門家にとって明らかな本発明を実施するための説明されている形態のさまざまな修正形態は、付属の請求項の範囲内にあることが意図されている。
【0280】
上記のすべての引用文献および刊行物の開示は、それぞれがあたかも個別に参照により組み込まれているかのように参照により本明細書に明確に組み込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0281】
【図1】本発明の原理により少なくとも2つの異なる流体層を含むことができる流体の流れである、2流体帯電ジェットを示す略図である。
【図2】本発明の方法により生産されるカプセルの一般的アーキテクチャを示す略図である。
【図3】本発明の原理による、上昇流電気流体力学的システムを示す略図である。
【図4】エクストラクタの追加を示す、図3の上昇流電気流体力学的システムの展開図である。
【図5】本発明の原理により、単一毛管を使用して2流体帯電ジェットを形成する下降流電気流体力学的システムを示す略図である。
【図6A】本発明の原理により、複数の管または導管を使用して殻流体を送達する下降流電気流体力学的システムを示す略図である。
【図6B】図6Aの断面図である。
【図7A】本発明の原理により、2枚の板の間に配置された複数の毛管を使用してコア流体を送達する下降流電気流体力学的システムを示す略図である。
【図7B】図7Aの断面図である。
【図8A】本発明の原理により、複数の毛管を使用してコア流体を送達する下降流電気流体力学的システムを示す略図である。
【図8B】図8Aの断面図である。
【図9】本発明の原理により、少なくとも3つの層を有するカプセルを生産するために使用される下降流電気流体力学的システムを示す略図である。
【図10】本発明の原理により、多孔質体を使用して殻流体を送達し2流体テイラーコーンを生産する下降流電気流体力学的システムを示す略図である。
【図11】本発明の原理により、コア流体リザーバが回転できる上昇流電気流体力学的システムを示す略図である。
【図12】殻調製の電場および強制流の下で形成される帯電メニスカスの写真である。
【図13A】本発明の原理による、エレクトロスプレーとその周囲気相との間の化学反応の組み合わせに基づく本発明の方法を示す略図である。
【図13B】本発明の原理による、エレクトロスプレーとその周囲気相との間の化学反応の組み合わせに基づく本発明の方法を示す略図である。
【図14】共焦点型顕微鏡で撮った写真である。パネルIは、カプセルのコア流体領域内における、集束されない信号であり、パネルIIは、集束信号を示す。
【図15】旋光度が較正曲線を用いて等価なD−(またはL−)グルタミン濃度に変換された後の、カプセル封入状態と自由溶液の両方におけるアミノ基転移酵素の活性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0282】
10 カプセル含有
20 流体
100 2流体流の流れ
104 内部流体
106 外部流体
108 テイラーコーン構造
110 先端部
112 捕集体
200 カプセル
202 コア領域
204 殻領域
206 ドメイン
208 非生物的または官能基
300 上昇流EHDシステム
302 注射器ポンプ
304 注射器ポンプ
306 流体槽
308 殻流体
310 管
312 捕集板
314 電圧源
316 電極
318 コア流体供給管
320 殻流体供給管
322 開放端
324 殻流体
326 円錐状ジェット領域ゾーン
328 プルーム
408 殻流体
414 エクストラクタ
416 オリフィス
418 導電体
422 開放端
424 殻流体流
510 管
524 殻流体流
532 管
536 角度
610 管
626 捕集体ゾーン
632 導管
640 殻流体入口ポート
642 ケース
644 コア流体入口
710 管
714 壁
716 殻流体
718 ギャップ
720 ギャップ
810 管
812 円筒状ケース
814 棒
816 殻流体
910、916 同軸管
912 殻流体
914 コア流体
916 第3の管または導管
1002 管
1004 管
1006 多孔質体
1008 外壁
1102 リザーバ
1104 槽
1106 オリフィス
1108 外壁
1302 エレクトロスプレーノズル
1304 雲
1306 入口
1308 出口ポート
1310 対向電極
1312 殻形成反応体積
1314 高電圧DC源
1316 AC電極
1318 AC電圧源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのカプセル封入された薬剤を有するカプセルを形成する方法であって、
コア流体を中空管の内部に供給する段階と、
殻流体流を供給する段階と、
前記中空管の外壁への殻流体流を発生する段階と、
前記中空管の先端部に2流体帯電ジェットを形成するように前記コア流体および前記殻流体に電位を加える段階と、
コア領域および殻領域を有するカプセルを中空管の先端部に形成する段階とを含む方法。
【請求項2】
前記コア流体は、約0.005mL/時から約5mL/時までの範囲内の流量で供給される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コア流体の流量は、約0.025mL/hである請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記殻流体は、約0.005mL/時から約5mL/時までの範囲内の流量で供給される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記殻流体の流量は、約0.75mL/hである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
捕集電極を備える段階と、
前記形成されたカプセルを前記捕集電極の表面上に堆積する段階とをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記電位は、正の電気的バイアスである請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記正の電気的バイアスは、約5kVから約18kVの範囲内の電圧を有する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記捕集電極の電位は、グラウンド電位である請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記電位が前記2流体帯電ジェットと捕集電極との間の電位にバイアスされるようにエクストラクタ本体を備える段階をさらに含む請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記カプセルの前記殻領域内にマグネタイト粒子の少なくとも1つの化学種を分散させる段階をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記マグネタイト粒子種は、Feである請求項11に記載の方法。
【請求項13】
マグネタイト粒子の前記少なくとも1つの化学種は、約1nmから約300nmの範囲内のサイズを有する請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記カプセルの前記殻領域内に感光ナノ粒子の少なくとも1つの化学種を分散させる段階をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項15】
感光ナノ粒子の前記化学種は、銀、金、パラジウム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択された化合物である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記感光ナノ粒子種は、約1nmから約50nmの範囲内のサイズを有する請求項14に記載の方法。
【請求項17】
さらに、前記カプセルの前記殻の外周上に官能基を分散させる段階を含む請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記官能基は、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、メルカプト基、ヒドロシリコン基、チオ基、カルボン酸基、アミン基、およびこれらの組み合わせからなる群から選択された物質である請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記官能基は、膵臓癌細胞に化学的または物理的に付着する能力を有する請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記官能基は、キナーゼ受容体、線維芽細胞増殖因子受容体、EGF、TGF、VEGF−A、ウロキナーゼ受容体、インターロイキン−4受容体、レチノイン酸受容体、ヘパリン結合EGF様増殖因子、HB−EGF、アンフィレグリン、エピレグリン、ニューレグリン、およびこれらの機能的に同等の物質からなる群から選択された1つまたは複数の化合物である請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記官能基は、約0wt%から約1wt%の範囲内の含有量を有する請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記官能基は、グリオーマ細胞に化学的または物理的に付着する能力を有する請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記官能基は、上皮成長因子およびその機能的に同等の物質である請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記官能基は、約0wt%から約0.02wt%の範囲内の含有量をカプセル上に有する請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記官能基は、乳癌細胞に化学的または物理的に付着する能力を有する請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記官能基は、エストロゲンおよびその機能的に同等の物質である請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記官能基は、約0.02wt%から約0.4wt%の範囲内の含有量をカプセル上に有する請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記官能基は、リンパ腫、骨髄腫、および白血病癌細胞の少なくとも一つに化学的または物理的に付着する能力を有する請求項17に記載の方法。
【請求項29】
前記官能基は、VEGR−2、トスツモマブ、CD20受容体、CD5、CD7、CD13、CD19、CD22、CD33、CD52、CD61に結合できる抗体、抗ミエロペルオキシダーゼ、およびその機能的に同等な物質からなる群から選択された1つまたは複数の化合物である請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記官能基は、約0.0wt%から約1.0wt%の範囲内の含有量をカプセルの殻上に有する請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記殻流体は、少なくとも1つの生体適合性ポリマーである請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも1つの生体適合性ポリマーは、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、キトサン、メタクリル酸アルキル、ポリカプロラクトン、デンプン、ポリエチレングリコール、およびこれらの組み合わせから得られるコポリマーからなる群から選択されたポリマーである請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記コア流体は、治療薬および造影剤のうちの少なくとも1つである請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記治療薬は、核酸、二本鎖DNA、一本鎖DNA、二本鎖RNA、一本鎖RNA、ペプチド核酸(PNA)、アンチセンスDNA、アンチセンスRNA、低分子干渉RNA、タンパク質、脂質、炭水化物、およびこれらの組み合わせからなる群から選択された1つまたは複数の生物由来物質である請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記治療薬は、少なくとも1つの生体由来物質である請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記治療薬は、何らかの病気を患っている患者を治療するのに適している請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記患者は、乳癌、神経膠腫、リンパ腫、白血病、前立腺癌、膵臓癌、癌腫、肉腫、中皮腫、神経膠腫、胚細胞腫、および絨毛癌からなる群から選択された少なくとも1つの病気を患っている請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記造影剤は、患者の悪性癌を発見するのに適している請求項33に記載の方法。
【請求項39】
請求項1に記載の方法により生産される少なくとも1つのカプセル封入された薬剤を入れたカプセル。
【請求項40】
前記カプセル封入された薬剤は、治療薬および造影剤のうちの少なくとも1つである請求項39に記載のカプセル。
【請求項41】
前記カプセルは、殻領域とコア領域とを備える請求項39に記載のカプセル。
【請求項42】
磁気ナノ粒子が、前記殻領域内に分散される請求項41に記載のカプセル。
【請求項43】
前記官能基は、前記殻領域の外面上に分散される請求項41に記載のカプセル。
【請求項44】
前記官能基は、標的細胞に化学的または物理的に付着する親和性を有する請求項43に記載のカプセル。
【請求項45】
前記標的細胞は、乳癌、神経膠腫、リンパ腫、白血病、前立腺癌、膵臓癌、癌腫、肉腫、中皮腫、神経膠腫、胚細胞腫、および絨毛癌からなる群から選択された悪性癌細胞である請求項44に記載のカプセル。
【請求項46】
前記殻領域は、細孔を備える請求項41に記載のカプセル。
【請求項47】
前記細孔は、約0.5nmから約2.0nmの範囲内のサイズを有する請求項46に記載のカプセル。
【請求項48】
前記治療薬は、化学療法薬、放射性同位体、および化学療法増強薬のうちの少なくとも1つである請求項39に記載のカプセル。
【請求項49】
前記治療薬は、抗炎症性化合物、抗アレルギー剤、グルココルチコイド、抗感染症薬、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス薬、粘液溶解薬、防腐薬、血管収縮薬、創傷治癒剤、局部麻酔薬、ペプチド、およびタンパク質からなる群から選択された1つの化合物である請求項39に記載のカプセル。
【請求項50】
前記官能基は、細胞内標的を対象とする能力を有する請求項17に記載のカプセル。
【請求項51】
前記細胞内標的は、小胞体、ミトコンドリア、ゴルジ体、液胞、核、エアロソーム、中心小体、繊毛、グリオキシゾーム、リソソーム、メラノソーム、筋細線維、核小体、ペルオキシソーム、アクチン、チュブリン、原形質膜、およびリボソーム、ベシクルからなる群から選択された1つまたは複数の構成要素である請求項50に記載のカプセル。
【請求項52】
カプセルであって、
コア領域と、
約0.5nmから約2.0nmの範囲内のサイズを有する細孔を備えるような殻領域と、
少なくとも1つの閉じ込められた、および/またはカプセル封入された薬剤と、
前記殻領域の表面上に分散された官能基とを含むカプセル。
【請求項53】
前記カプセル封入された、および/または閉じ込められた薬剤は、治療薬および造影剤のうちの少なくとも1つである請求項52に記載のカプセル。
【請求項54】
磁気ナノ粒子が、前記殻領域内に分散される請求項52に記載のカプセル。
【請求項55】
前記官能基は、標的細胞に化学的または物理的に付着する親和性を有する請求項52に記載のカプセル。
【請求項56】
前記標的細胞は、乳癌、神経膠腫、リンパ腫、白血病、前立腺癌、膵臓癌、癌腫、肉腫、中皮腫、神経膠腫、胚細胞腫、および絨毛癌からなる群から選択された悪性癌細胞である請求項55に記載のカプセル。
【請求項57】
前記治療薬は、化学療法薬、放射性同位体、および化学療法増強薬のうちの少なくとも1つである請求項53に記載のカプセル。
【請求項58】
前記治療薬は、抗炎症性化合物、抗アレルギー剤、グルココルチコイド、抗感染症薬、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス薬、粘液溶解薬、防腐薬、血管収縮薬、創傷治癒剤、局部麻酔薬、ペプチド、およびタンパク質からなる群から選択された1つの化合物である請求項57に記載のカプセル。
【請求項59】
前記官能基は、細胞内標的を対象とする能力を有する請求項52に記載のカプセル。
【請求項60】
前記細胞内標的は、小胞体、ミトコンドリア、ゴルジ体、液胞、核、エアロソーム、中心小体、繊毛、グリオキシゾーム、リソソーム、メラノソーム、筋細線維、核小体、ペルオキシソーム、アクチン、チュブリン、原形質膜、およびリボソーム、ベシクルからなる群から選択された1つまたは複数の構成要素である請求項52に記載のカプセル。
【請求項61】
少なくとも1つのカプセル封入された薬剤を有するカプセルを形成するための電気流体力学システムであって、
コア流体を受け入れるように構成された内部を備える中空管と、
前記中空管を取り囲む流体源と、
前記コア流体を前記中空管の前記内部に供給するように配列されたコア流体供給管と、
前記殻流体を前記殻流体源に供給するように配列された殻流体供給管と、
前記コア流体および前記殻流体に電位を加えて、前記流体に少なくとも2流体帯電流体を含むジェットを形成させる電位源とを備える電気流体力学システム。
【請求項62】
流体槽の上に配置された捕集電極をさらに備える請求項61に記載のシステム。
【請求項63】
前記流体槽と前記捕集電極との間に配置されたエクストラクタ本体をさらに備える請求項62に記載のシステム。
【請求項64】
前記カプセル封入された薬剤は、治療薬および造影剤のうちの少なくとも1つである請求項61に記載のシステム。
【請求項65】
コア流体リザーバをさらに備える請求項61に記載のシステム。
【請求項66】
殻流体リザーバをさらに備える請求項61に記載のシステム。
【請求項67】
前記流体源は、流体槽である請求項61に記載のシステム。
【請求項68】
前記流体源は、多孔質材である請求項61に記載のシステム。
【請求項69】
前記多孔質材は、スポンジである請求項68に記載のシステム。
【請求項70】
前記流体源は、複数の管を備える請求項61に記載のシステム。
【請求項71】
少なくとも1つのカプセル封入された薬剤を有するカプセルを形成するためのシステムであって、
複数の中空管と、
前記複数の中空管を取り囲むケースと、
コア流体を前記複数の中空管の前記内部に供給するように配列されたコア流体供給管と、
殻流体を供給するように配列された殻流体供給管と、
前記コア流体および前記殻流体に電位を加えて、前記流体に少なくとも2流体帯電流体を有するジェットを形成させる電位源とを備えるシステム。
【請求項72】
前記複数の中空管のうちの少なくとも1つは、前記ケース内に円周配列される請求項71に記載のシステム。
【請求項73】
前記殻供給管は、前記殻流体を前記複数の中空管の間の空間に供給するように構成され、配列される請求項72に記載のシステム。
【請求項74】
前記複数の中空管は、少なくとも2枚の板を備える前記ケース内に直線状に配列される請求項71に記載のシステム。
【請求項75】
前記殻供給管は、前記殻流体を前記複数の中空管の間の空間に供給するように構成され、配列される請求項74に記載のシステム。
【請求項76】
上昇流電気流体力学的作用を行わせるように配列された請求項71に記載のシステム。
【請求項77】
下降流電気流体力学的作用を行わせるように配列された請求項71に記載のシステム。
【請求項78】
捕集電極をさらに備える請求項71に記載のシステム。
【請求項79】
前記システムはエクストラクタ本体をさらに備える請求項71に記載のシステム。
【請求項80】
前記カプセル封入された薬剤は、治療薬および造影剤のうちの少なくとも1つである請求項71に記載のシステム。
【請求項81】
コア流体リザーバをさらに備える請求項71に記載のシステム。
【請求項82】
殻流体リザーバをさらに備える請求項71に記載のシステム。
【請求項83】
前記ケースは、前記殻流体を受け入れ、また送達するように構成される請求項71に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図15】
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【図14】
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【公表番号】特表2009−536084(P2009−536084A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510081(P2009−510081)
【出願日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【国際出願番号】PCT/US2007/068173
【国際公開番号】WO2007/131128
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(508327250)テラピア・セルラー・エルエヌ・インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】