説明

多層積層フィルム、それを使用した積層材および包装用袋

【課題】 ヒ−トシ−ル性に優れ、その密封性を有する多層積層フィルム、それを使用した積層材および包装用袋を提供することである。
【解決手段】 ヒ−トシ−ル性とイ−ジ−ピ−ル性とを併せ有する共押出多層積層フィルムからなり、更に、その第1層が、メルトフロ−レイト(MFR)が、1〜7g/10分(190℃)である高圧重合法低密度ポリエチレン系樹脂と、メルトフロ−レイト(MFR)が、15〜30g/10分(230℃)であるポリプロピレン系樹脂とを含む樹脂組成物による樹脂膜からなり、また、第2層が、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、密度が、0.935g/m3 以上の高密度ポリエチレン、または、ポリプロピレン系樹脂を含む樹脂組成物による1層ないし2層以上の樹脂膜からなることを特徴とする多層積層フィルム、それを使用した積層材および包装用袋に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層積層フィルム、それを使用した積層材および包装用袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の飲食料品、液体洗剤等の化成品ないし化粧品、医薬品、雑貨品、産業部材、その他の物品を充填包装するために、種々の形態からなるプラスチック製包装用袋が開発され、提案されている。
而して、上記のプラスチック製包装用袋においては、内容物の品質の保護、保存期間の延長、その他等の要請から、ヒ−トシ−ル性に優れ、密封性を十分に満足し得るものであると共に、更に、イ−ジ−ピ−ル性に優れ、消費時に包装用袋を容易に開封することができる易開封性を有することが要求されているものである。
そのため、近年、上記の密封性と易開封性等を兼ね備えたプラスチック製包装用袋を製袋すべく、種々の層構成からなる包装用材料が、開発され、提案されている。
例えば、少なくとも2層からなるヒ−トシ−ル性積層フィルムであって、(a)シ−ル層となる第1層は、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、アイオノマ−、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体およびエチレン・アクリル酸メチル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリマ−(S1)と、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびエチレン・プロピレン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリマ−(S2)とのブレンドポリマ−を含有する層であって、該第1層の厚みが20μm以下であり、かつ、凝集破壊強度が50〜1,000g/15mm幅の範囲内にあり、(b)第1層に隣接する第2層は、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、アイオノマ−、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体およびそれらのマレイン酸グラフト重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリマ−を含有する層であって、該第2層の凝集破壊強度が第1層の凝集破壊強度の1.5倍以上であり、(c)少なくとも第1層および第2層は共押出により積層されたものである、ことを特徴とするイ−ジ−ピ−ル性共押出積層フィルムが提案されている(例えば、特許文献1。)。
また、ポリプロピレンよりなる基材層に、ポリブテンとポリエチレンとポリプロピレンとを含有する組成物からなるヒ−ル層を積層してなることを特徴とするポリプロピレン容器用イ−ジ−ピ−ルフィルムも提案されている(例えば、特許文献2。)。
更に、外層、中間層、及びシ−ル層からなる多層フィルムであって、シ−ル層が50〜90重量%のエチレンメタクリル酸共重合体(EMAA)と10〜50重量%のポリプロピレン(PP)との混合物からなるクッション層とポリエチレン(PE)からなるシ−ラント層の両層からなり、かつ該シ−ラント層が10μm以下であり、かつクッション層のEMAAのメルトフロ−レイト(A)と該シ−ラント層のメルトフロ−レイト(B)が1.5≦B/A≦5.0であることを特徴とする多層フィルムも提案されている(例えば、特許文献3。)。
【特許文献1】特開平5−212835号公報
【特許文献2】特開平6−328639号公報
【特許文献3】特開2002−283513公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の特許文献1に係るイ−ジ−ピ−ル性共押出積層フィルムにおいては、上記のように、エチレンと不飽和カルボン酸またはそのエステル類との共重合体を含んでいる樹脂組成物を共押出すると、当該共重合体成分が、共押出ダイあるいは金型等を構成する金属表面との接着性が極めて高いということから、パ−ジ速度が遅くなり、異物混入の発生原因およびロスの発生原因等となって好ましくないものである。
また、上記の特許文献1に係るイ−ジ−ピ−ル性共押出積層フィルムにおいては、そもそも、エチレンと不飽和カルボン酸またはそのエステル類との共重合体等の1種のポリマ−(S1)と、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはエチレン・プロピレン共重合体1種の1種のポリマ−(S2)との押出温度帯域が異なり、そのことが異臭の発生原因となるばかりではなく、エチレンと不飽和カルボン酸またはそのエステル類との共重合体成分自体、臭気があることから、それを使用することは好ましくないものである。
次に、上記の特許文献2に係るポリプロピレン容器用イ−ジピ−ルフィルムにおいては、ポリブテンを使用し、低温シ−ル性を発現し、シ−ル強度の温度依存性を解決するために大きく役立つものではあるが、ポリブテン自身が、シ−ルの剥離界面において糸引を発生し、例えば、蓋材等を剥離し、その部分に口を当て飲食すると、唇等に傷等を発生し兼ねないという問題点があることから好ましくないものである。
また、上記の特許文献3に係る多層フィルムにおいては、上記の特許文献1に係るイ−ジ−ピ−ル性共押出積層フィルムと同様な問題点を有することから好ましくないものである。
そこで本発明は、ヒ−トシ−ル性に優れ、その密封性を十分に満足し得るものであって、内容物の品質の保護、保存期間の延長、その他等の要請を充足すると共に、更に、イ−ジ−ピ−ル性に優れ、消費時に包装用袋を容易に開封することができると共に極めて美麗な剥離界面を構成し得る易開封性を有する多層積層フィルム、それを使用した積層材および包装用袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、上記のような問題点を解決すべく種々検討の結果、樹脂が有するメルトフロ−レイト(MFR)という特性に着目し、押出温度帯域が近似しているが、そのメルトフロ−レイト(MFR)が異なり、低いメルトフロ−レイト(MFR)の樹脂成分と高いメルトフロ−レイト(MFR)の樹脂成分とを組み合わせ、その両者の相容性を避けてできるだけ微分散状態を回避し、凝集破壊を促進するような大きな海島構造を構成すべく、まず、メルトフロ−レイト(MFR)が、1〜7g/10分(190℃)である高圧重合法低密度ポリエチレン系樹脂と、メルトフロ−レイト(MFR)が、15〜30g/10分(230℃)であるポリプロピレン系樹脂とを主成分とし、その配合割合が、前者が、20〜60重量部、後者が、40〜80重量部からなる第1の樹脂組成物を調製し、他方、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、密度が、0.935g/m3 以上の高密度ポリエチレン、または、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする第2の樹脂組成物を調製し、次いで、上記の第1の樹脂組成物と、上記の第2の樹脂組成物の1種またはそれ以上を使用し、これらを、例えば、Tダイ共押出機あるいは共押出インフレ−ション製膜機等を使用し、例えば、上記の第1の樹脂組成物による樹脂膜と上記の第2の樹脂組成物による1層または2層以上の樹脂膜とからなる少なくとも2層以上の共押出多層積層フィルムを製造し、而して、上記で製造した共押出多層積層フィルムをヒ−トシ−ル材として使用し、上記共押出多層積層フィルムを構成する第1の樹脂組成物による樹脂膜からなる第1層を最内層とし、上記の共押出多層積層フィルムを構成する第2の樹脂組成物による1層または2層以上の樹脂膜からなる第2層の面に、例えば、プラスチック基材フィルム、あるいは、バリア性基材フィルムを介して、プラスチック基材フィルムを積層して、種々の層構成からなる積層材を製造し、次いで、該積層材を使用し、その積層材を構成する共押出多層積層フィルムの面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その周辺の外周端部をヒ−トシ−ルして、種々の形態からなる包装用袋を製袋し、しかる後、その包装用袋内に、例えば、各種の飲食料品、液体洗剤等の化成品ないし化粧品、医薬品、雑貨品、産業部材、その他の物品を充填包装して、種々の包装製品を製造したところ、ヒ−トシ−ル性に優れ、その密封性を十分に満足し得るものであって、内容物の品質の保護、保存期間の延長、その他等の要請を充足すると共に、更に、イ−ジ−ピ−ル性に優れ、消費時に包装用袋を容易に開封することができる易開封性を有し、更に、糸引等の現象は認められず極めて美麗な剥離界面を形成し得る多層積層フィルム、それを使用した積層材および包装用袋を製造し得ることを見出して本発明を見出したものである。
【0005】
すなわち、本発明は、ヒ−トシ−ル性とイ−ジ−ピ−ル性とを併せ有する共押出多層積層フィルムからなり、更に、その第1層が、メルトフロ−レイト(MFR)が、1〜7g/10分(190℃)である高圧重合法低密度ポリエチレン系樹脂と、メルトフロ−レイト(MFR)が、15〜30g/10分(230℃)であるポリプロピレン系樹脂とを主成分とし、その配合割合が、前者が、20〜60重量部、後者が、40〜80重量部からなる樹脂組成物による樹脂膜からなり、また、第2層が、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、密度が、0.935g/m3 以上の高密度ポリエチレン、または、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする樹脂組成物による1層ないし2層以上の樹脂膜からなり、更に、上記の第1層が、最内層面となることを特徴とするヒ−トシ−ル性とイ−ジ−ピ−ル性とを併せ有する多層積層フィルム、それを使用した積層材および包装用袋に関するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る多層積層フィルムは、汎用性樹脂であると共に押出温度帯域が近似している低密度ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂の2成分系を使用することにより、Tダイ製膜法あるいはインフレ−ション製膜法等のいずれの製膜法でも製膜化可能なものであり、しかも、製膜時の安定性、製膜条件の自由度等に優れているものである。
また、本発明に係る多層積層フィルムは、汎用性樹脂である低密度ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂等を使用し、それが有する特定の物性を利用し、2成分系により、ヒ−トシ−ル材としての多層積層フィルムを製造するものであり、低廉化を可能とし、極めて優れたコスト的メリットを有するものである。
更に、本発明に係る多層積層フィルムは、ヒ−トシ−ル材として、ヒ−トシ−ル性に優れ、その密封性を十分に満足し得るものであって、内容物の品質の保護、保存期間の延長、その他等の要請を充足すると共に、更に、イ−ジ−ピ−ル性に優れ、消費時に包装用袋を容易に開封することができる易開封性を有し、更に、剥離界面において糸引等の現象は認められない極めて美麗な剥離界面を形成し得るものであり、該多層積層フィルムを使用し、種々の層構成からなる積層材および種々の形態からなる包装用袋を製造し得ることができるという利点を有するものである。
勿論、本発明に係る多層積層フィルムは、ヒ−トシ−ル材として種々の用途に適し、例えば、各種のプラスチック容器用蓋材等にも適用することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
上記の本発明について以下に図面等を用いて更に詳しく説明する。
まず、図1および図2は、本発明に係る多層積層フィルムについてその層構成の一二例を示す概略的断面図であり、図3および図4は、上記の図1に示す本発明に係る多層積層フィルムを使用して製造する本発明に係る積層材についてその層構成の一二例を示す概略的断面図であり、図5は、図3に示す本発明に係る積層材を使用し、これを製袋して製造した本発明に係る包装用袋についてその構成の概略を示す概略的斜視図であり、図6は、図5に示す本発明に係る包装用袋内に内容物を充填包装した包装製品についてその構成の概略を示す概略的斜視図である。
【0008】
まず、本発明において、本発明に係る多層積層フィルムAとしては、例えば、図1に示すように、ヒ−トシ−ル性とイ−ジ−ピ−ル性とを併せ有する共押出多層積層フィルム1からなり、更に、その第1層が、メルトフロ−レイト(MFR)が、1〜7g/10分(190℃)である高圧重合法低密度ポリエチレン系樹脂と、メルトフロ−レイト(MFR)が、15〜30g/10分(230℃)であるポリプロピレン系樹脂とを主成分とし、その配合割合が、前者が、20〜60重量部、後者が、40〜80重量部からなる樹脂組成物による樹脂膜2からなり、また、第2層が、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、密度が、0.935g/m3 以上の高密度ポリエチレン、または、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする樹脂組成物による1層の樹脂膜3からなり、更に、上記の第1層が、最内層面Pとなる構成からなることを基本構造とするものである。
【0009】
あるいは、本発明において、本発明に係る多層積層フィルムA1 としては、例えば、図2に示すように、ヒ−トシ−ル性とイ−ジ−ピ−ル性とを併せ有する共押出多層積層フィルム1aからなり、更に、その第1層が、メルトフロ−レイト(MFR)が、1〜7g/10分(190℃)である高圧重合法低密度ポリエチレン系樹脂と、メルトフロ−レイト(MFR)が、15〜30g/10分(230℃)であるポリプロピレン系樹脂とを主成分とし、その配合割合が、前者が、20〜60重量部、後者が、40〜80重量部からなる樹脂組成物による樹脂膜2からなり、また、第2層が、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、密度が、0.935g/m3 以上の高密度ポリエチレン、または、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする樹脂組成物による2種の樹脂組成物を使用した2層以上の樹脂膜3a、3bからなり、更に、上記の第1層が、最内層面Pとなる構成からなることを基本構造とするものである。
上記の例示は、本発明に係る多層積層フィルムについてその一二例を例示したものであり、本発明はこれによって限定されるものではないことは言うまでもないことである。
【0010】
次に、本発明において、本発明に係る多層積層フィルムを使用した本発明に係る積層材について例示すると、上記の図1に示す本発明に係る多層積層フィルムAを使用する場合で説明すると、まず、図3に示すように、上記の図1に示す本発明に係る多層積層フィルムAを構成する第1層を最内層面Pとし、他方、第2層を構成する樹脂膜3の面に、プラスチック基材フィルム11を積層して、本発明に係る多層積層フィルムAを使用した本発明に係る積層材Bを製造することができ、あるいは、図4に示すように、上記の図1に示す本発明に係る多層積層フィルムAを構成する第1層を最内層面Pとし、他方、第2層を構成する樹脂膜3の面に、バリア性基材フィルム12を介して、プラスチック基材フィルム11を積層して、本発明に係る多層積層フィルムAを使用した本発明に係る積層材B1 を製造することができる。
上記の例示は、本発明に係る多層積層フィルムを使用した本発明に係る積層材についてその一二例を例示したものであり、本発明はこれによって限定されるものではなく、例えば、本発明にかかる積層材は、例えば、充填包装する内容物、その包装目的、包装形態、その他等により、各層間に更に別の基材を積層することができるものである。
また、図示しないが、勿論、上記の図2に示す本発明に係る多層積層フィルムを使用し、上記と同様にして、本発明に係る積層材を上記と同様に製造し得ることは勿論である。
【0011】
次に、本発明において、上記のような本発明に係る積層材を使用し、これを製袋して製造する本発明に係る包装用袋についてその一例を例示して説明すると、かかる本発明に係る包装用袋としては、例えば、上記の図3に示す積層材Bを使用して製袋した包装用袋の場合をを例示して説明すると、図5に示すように、上記の積層材B、Bを2枚用意し、その積層材B、Bを構成する本発明に係る多層積層フィルムA、Aの面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その外周の周辺端部の三方をヒ−トシ−ルしてシ−ル部21、21、21を形成すると共にその上方に開口部22を設けて、三方シ−ル型の包装用袋からなる本発明に係る包装用袋Cを製造する。
而して、本発明においては、図6に示すように、上記で製造した三方シ−ル型の包装用袋からなる本発明に係る包装用袋Cの開口部22から、例えば、飲食品、果汁、ジュ−ス、飲料水、酒、調理食品、水産練り製品、冷凍食品、肉製品、煮物、餅、液体ス−プ、調味料、その他等の各種の飲食料品、液体洗剤、化粧品、化成品、その他の物品からなる内容物23を充填し、次いで、上方の開口部22の端部をヒ−トシ−ルして上方のシ−ル部24等を形成して、本発明に係る包装用袋Cを使用し、これに内容物23を充填包装した種々の形態からなる包装製品Dを製造することができるものである。
なお、本発明においては、本発明に係る包装用袋としては、上記に図示した例示のパウチ形状に限定されるものでないことは言うまでもないことであり、その目的、用途等により、三方シ−ル型、自立性型、ガゼット型、角底型、その他等の種々の形態からなる軟包装袋を製造することができることは言うまでもないことである。
また、本発明においては、上記の図4に示す本発明に係る積層材を使用し、上記と同様に、本発明に係る包装用袋を製造し得ることができることは言うまでもないことであり、更に、上記の図2に示す本発明に係る多層積層フィルムを使用して製造した本発明に係る積層材を使用し、これを上記と同様に製袋して、上記と同様に、本発明に係る包装用袋、包装製品等を製造し得ることは言うまでもないことである。
【0012】
次に、本発明において、本発明に係る多層積層フィルム、積層材、包装用袋等を構成する材料、その製造法等について説明すると、まず、本発明において、本発明に係る多層積層フィルムを構成する第1層の樹脂膜を形成するメルトフロ−レイト(MFR)が、1〜7g/10分(190℃)である高圧重合法低密度ポリエチレン系樹脂としては、高圧重合法によって生成されるエチレンの単独重合体、あるいは、エチレンと、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、その他等のα・オレフィンとの共重合体等を使用することができる。
而して、本発明においては、上記の高圧重合法低密度ポリエチレン系樹脂としては、メルトフロ−レイト(MFR)が、1〜7.0g/10分(190℃)の範囲内のもの、また、密度が、0.900〜0.930g/cm3 の範囲内のものであって、比較的に溶融粘度が高い樹脂を使用することが好ましいものである。
【0013】
上記において、メルトフロ−レイト(MFR)が、1g/10分未満であると、流れ性低下による押出機での樹脂圧上昇、及び、高メルトフロ−レイト(MFR)のポリプロピレン系樹脂との相容性不良を起こし、目に見えるムラ、ブツ(完全分離)の可能性が高くなる等の理由から好ましくなく、また、メルトフロ−レイト(MFR)が、7.0/10分を越えると、ポリプロピレン系樹脂との相容性、流れムラの回避等はできるものの、ポリプロピレン系樹脂のメルトフロ−レイト(MFR)が近くなり、分散度が高く(微分散状態)になってしまい、目的としたイ−ジ−ピ−ル性能が発現できなくなる等の理由から好ましくないものである。
また、上記において、密度が、0.900g/cm3 未満であると、低温シ−ルが可能となるが、糸引き(フェザリング)の可能性、腰問題の低下等が発生する等の理由から好ましくなく、また、密度が、0.930g/cm3 を越えると、低温シ−ル性がなくなり、シ−ラントとしての優位性がなくなる等の理由から好ましくないものである。
なお、本発明において、メルトフロ−レイト(MFR)とは、JIS K6922に準拠した手法から測定したものであり、また、密度は、JIS K7112に準拠した手法から測定したものである。
【0014】
次に、本発明において、本発明に係る多層積層フィルムを構成する第1層の樹脂膜を形成するメルトフロ−レイト(MFR)が、15〜30g/10分(190℃)であるポリプロピレン系樹脂としては、基本的には、ポリプロピレンホモポリマ−あるいはプロピレンとエチレン等のα−オレフィンとの共重合体を使用することができ、更に、上記の共重合体としては、ブロック共重合体またはランダムとも重合体を使用することができる。
而して、本発明においては、上記のポリプロピレン系樹脂としては、メルトフロ−レイト(MFR)が、15〜30.0g/10分(230℃)の範囲内のもの、また、密度が、0.9g/cm3 のものであって、比較的に溶融粘度が低い樹脂を使用することが好ましいものである。
【0015】
上記において、メルトフロ−レイト(MFR)が、15g/10分未満であると、低メルトフロ−レイト(MFR)設定の高圧法低密度ポリエチレン系樹脂と比較的に相容して、微分散状態となってしまい、目的としたイ−ジ−ピ−ル性能が発現しない等の理由から好ましくなく、また、メルトフロ−レイト(MFR)が、30.0/10分を越えると、流れが良すぎて、高圧法低密度ポリエチレン系樹脂と完全分離してしまう可能性が懸念される等の理由から好ましくないものである。
なお、本発明において、メルトフロ−レイト(MFR)とは、JIS K6921に準拠した手法から測定したものであり、また、密度は、JIS K7112に準拠した手法から測定したものである。
【0016】
次に、本発明においては、上記のような高圧重合法低密度ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とを使用し、前者、20〜60重量%に対し、後者、40〜80重量%の範囲内で混合して、それらを主成分とする第1の樹脂組成物を調製する。
上記の樹脂組成物において、更に詳述すると、上記のような高圧重合法低密度ポリエチレン系樹脂の1種ないしそれ以上と上記のようなポリプロピレン系樹脂の1種ないしそれ以上とを使用し、これらを上記のような配合割合で混合し、それらをビヒクルの主成分とし、これらに、必要ならば、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤(脂肪酸アミド等)、難燃化剤、無機ないし有機充填剤、架橋剤、染料、顔料等の着色剤、更には、改質用樹脂、その他等の添加剤の1種ないし2種以上を添加し、更に、要すれば、溶剤、希釈剤等を添加し、十分に混練して、高圧重合法低密度ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とを主成分とする第1の樹脂組成物を調製する。
【0017】
上記において、高圧重合法低密度ポリエチレン系樹脂が、20重量%未満であると、シ−ル温度が高くなることと、ポリプロピレン系樹脂の強度に影響されるため、強シ−ル状態(反イ−ジ−ピ−ル性)となる等の理由により好ましくなく、また、60重量を越えると、低強度となり、包装容器としての密封性が満足し得ない等の理由により好ましくないものである。
【0018】
次に、本発明において、本発明に係る多層積層フィルムを構成する第2層の樹脂膜を形成するシングルサイト触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、密度が、0.935g/m3 以上の高密度ポリエチレン、または、ポリプロピレン系樹脂について説明すると、まず、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体としては、例えば、二塩化ジルコノセンとメチルアルモキサンの組み合わせによる触媒等のメタロセン錯体とアルモキサンとの組み合わせによる触媒、すなわち、シングルサイト触媒(メタロセン触媒)を使用して重合してなるエチレンーα・オレフイン共重合体を使用することができる。
上記のメタロセン触媒は、現行の触媒が、活性点が不均一でマルチサイト触媒と呼ばれているのに対し、活性点が均一であることからシングルサイト触媒とも呼ばれているものである。
具体的には、三菱化学株式会社製の商品名「カーネル」、三井石油化学工業株式会社製の商品名「エポリユー」、米国、エクソン・ケミカル(EXXON CHEMICAL)社製の商品名「エクザクト(EXACT)」、米国、ダウ・ケミカル(DOW CHEMICAL)社製の商品名「アフイニティー(AFFINITY)、商品名「エンゲージ(ENGAGE)」等のシングルサイト触媒(メタロセン触媒)を用いて重合したエチレンーα・オレフイン共重合体を使用することができる。
【0019】
次に、本発明において、本発明に係る多層積層フィルムを構成する第2層の樹脂膜を形成する密度が、0.935g/m3 以上の高密度ポリエチレンとしては、例えば、酸化クロム系触媒、あるいは、チグラ−−ナッタ(Ziegler−Natta)触媒を使用して重合して生成される密度が、0.935g/m3 以上のエチレンの単独重合体、あるいは、エチレンと、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、その他等のα・オレフィンとの共重合体等を使用することができる。
なお、上記の密度は、JIS K7112に準拠した手法から測定したものである。
【0020】
次に、本発明において、本発明に係る多層積層フィルムを構成する第2層の樹脂膜を形成するポリプロピレン系樹脂としては、前述のポリプロピレン系樹脂を同様に使用することができる。
【0021】
次に、本発明において、本発明に係る多層積層フィルムを構成する第2層の樹脂膜を形成するシングルサイト触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、密度が、0.935g/m3 以上の高密度ポリエチレン、または、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする第2の樹脂組成物について説明すると、まず、本発明においては、上記のようなシングルサイト触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体の1種ないしそれ以上をビヒクルの主成分とし、これに、必要ならば、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤(脂肪酸アミド等)、難燃化剤、無機ないし有機充填剤、架橋剤、染料、顔料等の着色剤、更には、改質用樹脂、その他等の添加剤の1種ないし2種以上を添加し、更に、要すれば、溶剤、希釈剤等を添加し、十分に混練して、第2層の樹脂膜を形成するシングルサイト触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体を主成分とする第2樹脂組成物を調製する。
また、本発明においては、上記と同様にして、上記のような密度が、0.935g/m3 以上の高密度ポリエチレンの1種ないしそれ以上をビヒクルの主成分とし、これに、必要ならば、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤(脂肪酸アミド等)、難燃化剤、無機ないし有機充填剤、架橋剤、染料、顔料等の着色剤、更には、改質用樹脂、その他等の添加剤の1種ないし2種以上を添加し、更に、要すれば、溶剤、希釈剤等を添加し、十分に混練して、第2層の樹脂膜を形成する密度が、0.935g/m3 以上の高密度ポリエチレンを主成分とする第2の樹脂組成物を調製する。
更に、本発明においては、上記と同様にして、上記のようなポリプロピレン系樹脂の1種ないしそれ以上をビヒクルの主成分とし、これに、必要ならば、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤(脂肪酸アミド等)、難燃化剤、無機ないし有機充填剤、架橋剤、染料、顔料等の着色剤、更には、改質用樹脂、その他等の添加剤の1種ないし2種以上を添加し、更に、要すれば、溶剤、希釈剤等を添加し、十分に混練して、第2層の樹脂膜を形成するポリプロピレン系樹脂を主成分とする第2の樹脂組成物を調製する。
【0022】
次に、本発明において、上記で調製した第1の樹脂組成物と第2の樹脂組成物とを使用し、本発明に係るヒ−トシ−ル性とイ−ジ−ピ−ル性とを併せ有する共押出多層積層フィルムからなる多層積層フィルムの製膜法について説明すると、上記のような第1の樹脂組成物と、上記のような第2の樹脂組成物の1種ないしそれ以上を使用し、これらを、例えば、Tダイ共押出機、あるいは、複数の押出機と多層のサ−キュラ−ダイを用いる共押出インフレ−ション製膜機等を用いて製膜化することにより、第1の樹脂組成物による樹脂膜と、第2の樹脂組成物による樹脂膜の1層ないし3層とが積層した構成からなる本発明に係るヒ−トシ−ル性とイ−ジ−ピ−ル性とを併せ有する共押出多層積層フィルムからなる多層積層フィルムを製造することができる。
【0023】
而して、上記で製造した本発明に係る多層積層フィルムの膜厚としては、15〜100μm、好ましくは、20〜60μm位が望ましいものである。
上記において、本発明に係る多層積層フィルムの膜厚が、20μm位、更に、15μm未満であると、基本的強度、ヒ−トシ−ル性等の基本的物性に欠け、更に、製膜、製品の品質の悪化等の理由により好ましくなく、また、60μm位、更に、100μmを越えると、コストの問題、環境の問題等の理由から好ましくないものである。
【0024】
また、本発明において、本発明に係る多層積層フィルムを構成する第1層と第2層の膜厚について説明すると、まず、本発明に係る多層積層フィルムを構成する第1の樹脂組成物による樹脂膜からなる第1層の膜厚としては、30μm以下、好ましくは、20μm以下、更には、10μm以下であることが好ましいものである。
上記において、30μmを超えると、更に、20μmを超えると、また、10μmを超えると、シ−ル後、開封する場合、その剥離界面の美麗製性等に欠けることから好ましくないものである。
次に、本発明において、本発明に係る多層積層フィルムを構成する第2の樹脂組成物による樹脂膜からなる第2層の膜厚としては、10μm〜100μm位、好ましくは、15μm〜90μm位が望ましいものである。
上記において、15μm、更には、10μm未満であると、ベ−ス相としての強度が足りず、フィルムの物性を出せない等の理由により好ましくなく、また、90μm、更に、100μmを越えると、コストの問題、環境面の問題等の理由から好ましくないものである。
なお、本発明に係る多層積層フィルムを構成する第2の樹脂組成物による樹脂膜として、2種以上の第2の樹脂組成物を使用し、2層以上の樹脂膜からなる第2層を形成する場合、各樹脂組成物による各樹脂膜の膜厚としては、3〜50μm位、好ましくは、5〜30μm位が望ましいものである。
【0025】
次に、本発明において、本発明に係る多層積層フィルムを使用した本発明に係る積層材を構成するプラスチック基材フィルムについて説明すると、かかるプラスチック基材フィルムとしては、これが、本発明に係る包装用袋を構成するを基本ないし補助素材となることから、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有し、強度、強靱性等に優れ、更に、耐熱性、防湿性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性、透明性、その他等に優れた樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、フッ素系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
而して、上記の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、未延伸フィルム、あるいは、一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。
また、本発明において、その樹脂のフィルムないしシ−トの厚さとしては、強度、耐突き刺し性、剛性、その他等について必要最低限に保持され得る厚さであればよく、厚すぎると、コストを上昇するとい欠点もあり、逆に、薄すぎると、強度、耐突き刺し性、剛性、その他等が低下して好ましくないものである。
本発明においては、上記のような理由から、約10μmないし100μm位、好ましくは、約12μmないし50μm位が最も望ましい。
而して、本発明においては、上記の樹脂のフィルムないしシ−トの中でも、特に、厚さ9μm〜30μm位の二軸延伸ポリエステル系樹脂、二軸延伸ポリアミド系樹脂、または、二軸延伸ポリプロピレン系樹脂のフィルムを使用することが好ましいものである。
【0026】
更に、本発明において、上記のプラスチック基材フィルムとしては、賦型性、耐屈曲性、剛性等を持たせるものとして、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは純白ロ−ル紙、クラフト紙、板紙、加工紙等の紙基材、その他等を使用することができる。
上記において、紙層を構成する紙基材としては、坪量約80〜600g/m2 位のもの、好ましくは、坪量約100〜450g/m2 位のものを使用することが望ましい。
勿論、本発明においては、紙層を構成する紙基材と、上記に挙げたプラスチック基材フィルムとしての各種の樹脂のフィルムないしシ−ト等を併用して使用することができる。
【0027】
次に、本発明において、本発明に係る多層積層フィルムを使用した本発明に係る積層材を構成するバリア性基材フィルムについて説明すると、かかるバリア性基材フィルムとしては、例えば、遮光性と、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性を有するアルミニュウム箔またはそのアルミニウムの蒸着膜を有する樹脂のフィルム、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性を有する酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルム、水蒸気、水等に対するバリア性を有する低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等の樹脂のフィルムないしシ−ト、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性を有するポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ナイロンMXD6等の樹脂のフィルムないしシ−ト、その他等を使用することができる。
【0028】
上記において、アルミニウム箔としては、5μmないし30μm位の厚さのもの、また、アルミニウムまたは無機酸化物の蒸着膜としては、厚さ100Åないし2000Å位のものを使用することができる。
また、上記の蒸着膜を支持する樹脂のフィルムとしては、例えば、ポリエステル系樹脂フィルム、ポリアミド系樹脂フィルム、ポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルム、ポリカ−ボネ−ト系樹脂フィルム、ポリ塩化ビニリデン系樹脂フィルム、ポリビニルアルコ−ル系樹脂フィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物のフィルム、その他等を使用することができる。
【0029】
また、上記において、上記の無機酸化物の蒸着膜層を構成する無機酸化物としては、例えば、珪素酸化物(SiOx )、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム等を使用することができる。
更に、本発明においては、無機酸化物としては、一酸化ケイ素と二酸化ケイ素との混合物、あるいはケイ素酸化物と酸化アルミニウムとの混合物であってもよい。
而して、本発明において、無機酸化物の薄膜層を形成する方法としては、イオンビ−ム法、電子ビ−ム法等の真空蒸着法、スパッタリング法、化学気相成長法等によって蒸着膜を構成することによって形成することができる。
上記において、無機酸化物の薄膜層の厚さとしては、十分なバリア−性を得るために、通常、100Å〜2000Å位であることが好ましく、特に、本発明においては、150Å〜1500Å位が望ましい。
上記において、無機酸化物の薄膜層の厚さが、1500Åを超えると、特に、2000Åを超えると、無機酸化物の薄膜層にクラック等が入りやすくなり、そりによりバリア性が低下するという危険性があると共に、材料コストが高くなるという問題点であるので好ましくはなく、また、100Å未満、特に、150Å未満では、その効果が認められることが困難であることから好ましくない。
【0030】
次にまた、本発明において、本発明に係る多層積層フィルムに積層する他の基材としては、例えば、充填包装する内容物中に含まれる香料成分等の吸着が少なく保香性に富み、更に、変味、異臭等を生じない性質を有する樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
具体的には、例えば、ポリアクリル系樹脂、ポリメタクリル系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリメタクリロニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリエチレンテレフタレ−ト系樹脂若しくはそのエチレン成分および/またはテレフタレ−ト成分の一部を他のジまたはたその以上の多価アルコ−ル成分またはジカルボン酸成分で共重合ないし変性した樹脂あるいはポリエチレンナフタレ−ト系樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、その他等の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
而して、本発明においては、上記の樹脂のフィルムないしシ−トの中でも、保香性を有すると共に酸素ガスあるいは水蒸気等に対するバリア性を有する樹脂のフィルムないしシ−トを使用することが望ましく、具体的には、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、ポリアミド系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、または、ポリエステル系樹脂等からなる保香性、バリア性等に富む樹脂のフィルムないしシ−トを使用することが望ましいものである。
また、本発明において、上記の本発明に係る多層積層フィルムに積層する他の基材としては、例えば、太陽光等の光を遮光する性質、例えば、樹脂に顔料等の着色剤を、その他、所望の添加剤を加えて混練してフィルム化してなる遮光性を有する各種の着色樹脂のフィルムないしシ−ト等を使用することができる。
これらの材料は、一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。 上記のフィルムないしシ−トの厚さとしては、任意であるが、通常、5μmないし300μm位、更には、10μmないし100μm位が望ましい。
【0031】
なお、通常、包装用容器は、物理的にも化学的にも過酷な条件におかれることから、包装用容器を構成する包装材料には、厳しい包装適性が要求され、変形防止強度、落下衝撃強度、耐ピンホ−ル性、耐熱性、密封性、品質保全性、作業性、衛生性、その他等の種々の条件が要求され、このために、本発明においては、上記のような諸条件を充足する材料を任意に選択して使用することができる。
具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロ−ス、その他等の公知の樹脂のフィルムないしシ−トから任意に選択して使用することができる。
その他、例えば、セロハン等のフィルム、合成紙等も使用することができる。
本発明において、上記のフィルムないしシ−トは、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。
また、その厚さは、任意であるが、数μmから300μm位の範囲から選択して使用することができる。
更に、本発明においては、フィルムないしシ−トとしては、押し出し成膜、インフレ−ション成膜、コ−ティング膜等のいずれの性状の膜でもよい。
【0032】
次に、本発明において、プラスチック基材フィルム、あるいは、バリア性基材フィルム、その他の基材と、本発明に係る多層積層フィルムとを積層する積層法としては、例えば、ラミネ−ト用接着剤等によるラミネ−ト用接着剤層を設け、次いで、該ラミネ−ト用接着剤層を介して積層するドライラミネ−ト積層方式、あるいは、アンカ−コ−ト剤等による接着助剤層、溶融押出樹脂層等を設け、次いで、該アンカ−コ−ト剤等による接着助剤層、溶融押出樹脂層等を介して積層する溶融押出積層方式等により行うことができる。
なお、本発明において、上記の積層法としては、その他、例えば、ウエットラミネ−ション法、無溶剤型ドライラミネ−ション法、その他等を利用することができる。
而して、本発明においては、上記の積層を行う際に、積層する基材の表面に、必要ならば、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理、火炎処理、その他等の前処理を任意に施すことができる。
また、本発明においては、例えば、イソシアネ−ト系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカ−コ−ティング剤、あるいは、ポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロ−ス系、その他等のラミネ−ト用接着剤等の公知のアンカ−コ−ト剤、接着剤等を任意に使用することができる。
【0033】
なお、本発明において、上記の本発明に係る積層材においては、その積層材を構成するいずれかの素材に任意の印刷模様層を設けることができるものである。
而して、本発明において、上記の印刷模様層としては、例えば、上記のプラスチック基材フィルムの上に、例えば、文字、図形、記号、絵柄、その他等からなる所望の印刷模様を印刷して、印刷模様層を形成することができるものである。
而して、上記の印刷模様層としては、具体的には、まず、樹脂等の1種ないし2種以上からなるインキ用ビヒクルを主成分とし、これに、必要ならば、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤、その他等の添加剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、更に、染料・顔料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練してインキ組成物を調整し、次いで、該インキ組成物を使用し、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、スクリ−ン印刷、転写印刷、フレキソ印刷、その他等の印刷方式を使用し、上記の基材フィルムの上に、文字、図形、記号、絵柄、その他等からなる所望の印刷模様を印刷して、本発明にかかる印刷模様層を形成することができるものである。
【0034】
上記において、インキ用ビヒクルとしては、公知のもの、例えば、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノ−ル系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルブチラ−ル樹脂、アクリルまたはメタクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、フェノ−ル系樹脂、ニトロセルロ−ス、エチルセルロ−ス、塩化ゴム、環化ゴム、その他等の1種ないし2種以上を使用することができる。
【0035】
而して、本発明において、上記のように本発明に係る多層積層フィルムとプラスチッチ基材フィルム等とを積層した積層材を使用して製袋ないし製函して本発明に係る包装用袋を製造する方法について説明すると、例えば、包装用容器がプラスチックフィルム等からなる軟包装袋の場合、上記のような方法で製造した積層材を使用し、その内層のヒ−トシ−ル材としての本発明に係る多層積層フィルムの最内層面を対向させて、それを折り重ねるか、或いはその二枚を重ね合わせ、更に、その外周の周辺端部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部を設けて袋体を構成することができる。
而して、その製袋方法としては、上記の積層材を、その最内層面を対向させて折り曲げるか、あるいはその二枚を重ね合わせ、更にその外周の周辺端部を、例えば、側面シ−ル型、二方シ−ル型、三方シ−ル型、四方シ−ル型、封筒貼りシ−ル型、合掌貼りシ−ル型(ピロ−シ−ル型)、ひだ付シ−ル型、平底シ−ル型、角底シ−ル型、その他等のヒ−トシ−ル形態によりヒ−トシ−ルして、本発明に係る種々の形態からなる包装用袋を製造することができる。
その他、例えば、自立性包装袋(スタンディングパウチ)等も製造することが可能であり、更に、本発明においては、上記の積層材を使用してチュ−ブ容器等も製造することができる。
上記において、ヒ−トシ−ルの方法としては、例えば、バ−シ−ル、回転ロ−ルシ−ル、ベルトシ−ル、インパルスシ−ル、高周波シ−ル、超音波シ−ル等の公知の方法で行うことができる。
なお、本発明においては、上記のような包装用袋には、例えば、ワンピ−スタイプ、ツウ−ピ−スタイプ、その他等の注出口、あるいは開閉用ジッパ−等を任意に取り付けることができる。
【0036】
次にまた、包装用容器として、紙基材を含む液体充填用紙容器の場合には、まず、積層材として、紙基材を積層した積層材を製造し、これから所望の紙容器を製造するブランク板を製造し、しかる後、該ブランク板を使用して胴部、底部、頭部等を製函して、例えば、ブリックタイプ、フラットタイプあるいはゲ−ベルトップタイプの液体用紙容器等を製造することができる。
また、その形状は、角形容器、丸形等の円筒状の紙缶等のいずれのものでも製造することができる。
【0037】
本発明において、上記のようにして製造した包装用袋は、種々の飲食品、接着剤、粘着剤等の化学品、化粧品、洗剤、医薬品、ケミカルカイロ等の雑貨品、その他等の種々の物品の充填包装に包装用容器として使用されるものである。
なお、本発明に係る積層材は、上記のような包装用袋等を製造するばかりではなく、例えば、種々のプラスチック成形容器用蓋材としてしても使用可能なものである。
上記の本発明について以下に実施例を挙げて更に具体的に説明する。
【実施例1】
【0038】
(1).まず、下記の(イ)、および、(ロ)の樹脂組成物を調製した。
(イ).第一層を構成する樹脂組成物
高圧重合法から重合した低密度ポリエチレン(三井化学株式会社製、商品名、ミラソン16P、密度=0.923g/m3 、メルトフロ−レイト:MFR=3.7g/10分)50重量部と、ポリプロピレン(エチレン−プロピレンのランダムコポリマ−樹脂、密度=0.9g/m3 、メルトフロ−レイト:MFR=21.0g/10分、引張弾性率=450MPa)50重量部を充分に混練して樹脂組成物を調製した。
(ロ).第二層を構成する樹脂組成物
シングルサイト系触媒(メタロセン触媒)を使用して共重合したエチレン−α・オレフィン共重合体(三井住友化学株式会社製、商品名、エボリュ−SP2020、密度=0.916g/cm3 、メルトフロ−レイト、MFR=1.5g/10分)100重量部からなる樹脂組成物を調製した。
(2).次に、上記で調製した樹脂組成物を使用し、これらを、2種2層の上吹き空冷インフレ−ション共押出製膜機を用いて、(イ)の樹脂組成物による層を5μm、(ロ)の樹脂組成物による層を25μmにそれぞれ共押出して製膜化して、2種2層の総厚30μmの共押出インフレ−ションフィルムからなる本発明に係る共押出多層積層フィルムからなる多層積層フィルムを製造した。
(3).次に、上記で製造した多層積層フィルムを使用し、その厚さ25μmの(ロ)の樹脂組成物による樹脂層の面にコロナ放電処理し、次に、該コロナ処理面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤を厚さ3.0g/m2 (ドライ)塗布して接着剤層を形成し、しかる後、該接着剤層の面に、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを、そのコナロ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−トし、更に、上記と同様に、上記で積層した2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムのコロナ処理面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤を厚さ3.0g/m2 (ドライ)塗布して接着剤層を形成し、しかる後、該接着剤層の面に、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを、そのコナロ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−トして、本発明に係る積層材を製造した。
(4).次に、上記で製造した積層材を2枚用意し、その多層積層フィルムの面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成すると共に、上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋からなる包装用袋を形成した。
次に、上記で製造した包装用袋の開口部から、水を充填し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して、包装製品を製造した。
上記で製造した包装製品は、内容物の漏れ、破袋等は認められなかった。
更に、包装製品を1mから落下テストを3回行ったところ、破れ、漏れ等は認められなかった。
また、包装製品について、易開封性(イ−ジ−ピ−ル性)は良好であり、ピ−ル時の裂け、破れ、糸引等も認められなかった。
【実施例2】
【0039】
(1).まず、下記の(イ)、および、(ロ)の樹脂組成物を調製した。
(イ).第一層を構成する樹脂組成物
高圧重合法から重合した低密度ポリエチレン(三井化学株式会社製、商品名、ミラソン16P、密度=0.923g/m3 、メルトフロ−レイト:MFR=3.7g/10分)40重量部と、ポリプロピレン(エチレン−プロピレンのランダムコポリマ−樹脂、密度=0.9g/m3 、メルトフロ−レイト:MFR=21.0g/10分、引張弾性率=450MPa)60重量部を充分に混練して樹脂組成物を調製した。
(ロ).第二層を構成する樹脂組成物
シングルサイト系触媒(メタロセン触媒)を使用して共重合したエチレン−α・オレフィン共重合体(三井住友化学株式会社製、商品名、エボリュ−SP2020、密度=0.916g/cm3 、メルトフロ−レイト、MFR=1.5g/10分)100重量部からなる樹脂組成物を調製した。
(2).次に、上記で調製した樹脂組成物を使用し、これらを、2種2層の上吹き空冷インフレ−ション共押出製膜機を用いて、(イ)の樹脂組成物による層を5μm、(ロ)の樹脂組成物による層を25μmにそれぞれ共押出して製膜化して、2種2層の総厚30μmの共押出インフレ−ションフィルムからなる本発明に係る共押出多層積層フィルムからなる多層積層フィルムを製造した。
以下、上記の実施例1と同様にして、上記の実施例1と同様な結果を得た。
【実施例3】
【0040】
(1).まず、下記の(イ)、および、(ロ)の樹脂組成物を調製した。
(イ).第一層を構成する樹脂組成物
高圧重合法から重合した低密度ポリエチレン(三井化学株式会社製、商品名、ミラソン16P、密度=0.923g/m3 、メルトフロ−レイト:MFR=3.7g/10分)30重量部と、ポリプロピレン(エチレン−プロピレンのランダムコポリマ−樹脂、密度=0.9g/m3 、メルトフロ−レイト:MFR=21.0g/10分、引張弾性率=450MPa)70重量部を充分に混練して樹脂組成物を調製した。
(ロ).第二層を構成する樹脂組成物
シングルサイト系触媒(メタロセン触媒)を使用して共重合したエチレン−α・オレフィン共重合体(三井住友化学株式会社製、商品名、エボリュ−SP2020、密度=0.916g/cm3 、メルトフロ−レイト、MFR=1.5g/10分)100重量部からなる樹脂組成物を調製した。
(2).次に、上記で調製した樹脂組成物を使用し、これらを、2種2層の上吹き空冷インフレ−ション共押出製膜機を用いて、(イ)の樹脂組成物による層を5μm、(ロ)の樹脂組成物による層を25μmにそれぞれ共押出して製膜化して、2種2層の総厚30μmの共押出インフレ−ションフィルムからなる本発明に係る共押出多層積層フィルムからなる多層積層フィルムを製造した。
以下、上記の実施例1と同様にして、上記の実施例1と同様な結果を得た。
【実施例4】
【0041】
(1).まず、下記の(イ)、および、(ロ)の樹脂組成物を調製した。
(イ).第一層を構成する樹脂組成物
高圧重合法から重合した低密度ポリエチレン(三井化学株式会社製、商品名、ミラソン16P、密度=0.923g/m3 、メルトフロ−レイト:MFR=3.7g/10分)40重量部と、ポリプロピレン(エチレン−プロピレンのランダムコポリマ−樹脂、密度=0.9g/m3 、メルトフロ−レイト:MFR=21.0g/10分、引張弾性率=450MPa)60重量部を充分に混練して樹脂組成物を調製した。
(ロ).第二層を構成する樹脂組成物
高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製、商品名、ノバテックHD−HY430、密度=0.955g/cm3 、メルトフロ−レイト、MFR=0.8g/10分)100重量部からなる樹脂組成物を調製した。
(2).次に、上記で調製した樹脂組成物を使用し、これらを、2種2層の上吹き空冷インフレ−ション共押出製膜機を用いて、(イ)の樹脂組成物による層を5μm、(ロ)の樹脂組成物による層を25μmにそれぞれ共押出して製膜化して、2種2層の総厚30μmの共押出インフレ−ションフィルムからなる本発明に係る共押出多層積層フィルムからなる多層積層フィルムを製造した。
以下、上記の実施例1と同様にして、上記の実施例1と同様な結果を得た。
【実施例5】
【0042】
(1).まず、下記の(イ)、(ロ)、および、(ハ)の樹脂組成物を調製した。
(イ).第一層を構成する樹脂組成物
高圧重合法から重合した低密度ポリエチレン(三井化学株式会社製、商品名、ミラソン16P、密度=0.923g/m3 、メルトフロ−レイト:MFR=3.7g/10分)40重量部と、ポリプロピレン(エチレン−プロピレンのランダムコポリマ−樹脂、密度=0.9g/m3 、メルトフロ−レイト:MFR=21.0g/10分、引張弾性率=450MPa)60重量部を充分に混練して樹脂組成物を調製した。
(ロ).第二層を構成する樹脂組成物1
シングルサイト系触媒(メタロセン触媒)を使用して共重合したエチレン−α・オレフィン共重合体(三井住友化学株式会社製、商品名、エボリュ−SP2020、密度=0.916g/cm3 、メルトフロ−レイト、MFR=1.5g/10分)100重量部からなる樹脂組成物を調製した。
(ハ).第二層を構成する樹脂組成物2
ポリプロピレン(エチレン−プロピレンのランダムコポリマ−樹脂、密度=0.9g/m3 、メルトフロ−レイト:MFR=21.0g/10分、引張弾性率=450MPa)100重量部を充分に混練して樹脂組成物を調製した。
(2).次に、上記で調製した樹脂組成物を使用し、これらを、3種3層の上吹き空冷インフレ−ション共押出製膜機を用いて、(イ)の樹脂組成物による層を5μm、(ロ)の樹脂組成物1による層を12.5μm、(ハ)の樹脂組成物2による層を12.5μmにそれぞれ共押出して製膜化して、3種3層の総厚30μmの共押出インフレ−ションフィルムからなる本発明に係る共押出多層積層フィルムからなる多層積層フィルムを製造した。
以下、上記の実施例1と同様にして、上記の実施例1と同様な結果を得た。
【実施例6】
【0043】
(1).まず、下記の(イ)、(ロ)、および、(ハ)の樹脂組成物を調製した。
(イ).第一層を構成する樹脂組成物
高圧重合法から重合した低密度ポリエチレン(三井化学株式会社製、商品名、ミラソン16P、密度=0.923g/m3 、メルトフロ−レイト:MFR=3.7g/10分)40重量部と、ポリプロピレン(エチレン−プロピレンのランダムコポリマ−樹脂、密度=0.9g/m3 、メルトフロ−レイト:MFR=21.0g/10分、引張弾性率=450MPa)60重量部を充分に混練して樹脂組成物を調製した。
(ロ).第二層を構成する樹脂組成物1
シングルサイト系触媒(メタロセン触媒)を使用して共重合したエチレン−α・オレフィン共重合体(三井住友化学株式会社製、商品名、エボリュ−SP2020、密度=0.916g/cm3 、メルトフロ−レイト、MFR=1.5g/10分)100重量部からなる樹脂組成物を調製した。
(ロ).第二層を構成する樹脂組成物2
高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製、商品名、ノバテックHD−HY430、密度=0.955g/cm3 、メルトフロ−レイト、MFR=0.8g/10分)100重量部からなる樹脂組成物を調製した。
(2).次に、上記で調製した樹脂組成物を使用し、これらを、3種3層の上吹き空冷インフレ−ション共押出製膜機を用いて、(イ)の樹脂組成物による層を5μm、(ロ)の樹脂組成物1による層を12.5μm、(ハ)の樹脂組成物2による層を12.5μmにそれぞれ共押出して製膜化して、3種3層の総厚30μmの共押出インフレ−ションフィルムからなる本発明に係る共押出多層積層フィルムからなる多層積層フィルムを製造した。
以下、上記の実施例1と同様にして、上記の実施例1と同様な結果を得た。
【0044】
〔実験例〕
上記の実施例1〜6で製造した本発明に係る多層積層フィルムを使用して製造した本発明に係る積層材について、下記の物性を測定した。
(1).膜厚の測定
これは、実施例1〜6で製造した本発明に係る多層積層フィルムを使用して製造した本発明に係る積層材について、ソニ−株式会社製、μ−メ−タにより測定した。
(2).シ−ル強度の測定
これは、実施例1〜6で製造した本発明に係る多層積層フィルムを使用して製造した本発明に係る積層材について、インパルスシ−ラ−から本発明に係る多層積層フィルムの面を重ね合わせてシ−ルし、そのT字剥離強度を15mm巾、300mm/minの条件にて測定した。
上記の測定結果について、下記の表1に示す。
【0045】
(表1)
┌────┬──────┬─────────┐ │ │ 膜厚 │ 包装用袋製品の │ │ │ (μm) │ シ−ル強度(N)│ ├────┼──────┼─────────┤ │実施例1│ 54 │ 12 │ ├────┼──────┼─────────┤ │実施例2│ 54 │ 13 │ ├────┼──────┼─────────┤ │実施例3│ 54 │ 15 │ ├────┼──────┼─────────┤ │実施例4│ 54 │ 16 │ ├────┼──────┼─────────┤ │実施例5│ 54 │ 16 │ ├────┼──────┼─────────┤ │実施例6│ 54 │ 15 │ └────┴──────┴─────────┘
【0046】
上記の表1に示す結果より明らかなように、本発明に係る多層積層フィルムを使用して製造した本発明に係る積層材は、ヒ−トシ−ル性、イ−ジ−ピ−ル性等においてすぐれているものであった。
【産業上の利用可能性】
【0047】
更に、本発明に係る多層積層フィルムは、ヒ−トシ−ル材として、ヒ−トシ−ル性に優れ、その密封性を十分に満足し得るものであって、内容物の品質の保護、保存期間の延長、その他等の要請を充足すると共に、更に、イ−ジ−ピ−ル性に優れ、消費時に包装用袋を容易に開封することができる易開封性を有し、更に、剥離界面において糸引等の現象は認められない極めて美麗な剥離界面を形成し得るものであり、該多層積層フィルムを使用し、種々の層構成からなる積層材および種々の形態からなる包装用袋を製造し得ることができるものである。
また、本発明に係る多層積層フィルムは、ヒ−トシ−ル材として種々の用途に適し、例えば、各種のプラスチック容器用蓋材等にも適用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る多層積層フィルムについてその一例の層構成を示す概略的断面図である。
【図2】本発明に係る多層積層フィルムについてその一例の層構成を示す概略的断面図である。
【図3】図1に示す本発明に係る多層積層フィルムを使用して製造した本発明に係る積層材についてその一例の層構成を示す概略的断面図である。
【図4】図1に示す本発明に係る多層積層フィルムを使用して製造した本発明に係る積層材についてその一例の層構成を示す概略的断面図である。
【図5】図3に示す本発明に係る積層材を使用し、これを製袋して製造した本発明に係る包装用袋についてその一例の構成を示す概略的斜視図である。
【図6】図5に示す本発明に係る積層材を使用し、これを製袋して製造した本発明に係る包装用袋内に内容物を充填包装した包装製品についてその一例の構成を示す概略的斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
1 共押出多層積層フィルム
1a 共押出多層積層フィルム
2 樹脂膜
3 樹脂膜
3a 樹脂膜
3b 樹脂膜
A 多層積層フィルム
1 多層積層フィルム
P 最内層面
11 プラスチック基材フィルム
12 バリア性基材フィルム
B 積層材
1 積層材
21 シ−ル部
22 開口部
23 内容物
24 上方のシ−ル部
C 包装用袋
D 包装製品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒ−トシ−ル性とイ−ジ−ピ−ル性とを併せ有する共押出多層積層フィルムからなり、更に、その第1層が、メルトフロ−レイト(MFR)が、1〜7g/10分(190℃)である高圧重合法低密度ポリエチレン系樹脂と、メルトフロ−レイト(MFR)が、15〜30g/10分(230℃)であるポリプロピレン系樹脂とを主成分とし、その配合割合が、前者が、20〜60重量部、後者が、40〜80重量部からなる樹脂組成物による樹脂膜からなり、また、第2層が、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、密度が、0.935g/m3 以上の高密度ポリエチレン、または、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする樹脂組成物による1層ないし2層以上の樹脂膜からなり、更に、上記の第1層が、最内層面となることを特徴とするヒ−トシ−ル性とイ−ジ−ピ−ル性とを併せ有する多層積層フィルム。
【請求項2】
第1層が、膜厚が、30μm以下の範囲からなることを特徴とする上記の請求項1に記載するヒ−トシ−ル性とイ−ジ−ピ−ル性とを併せ有する多層積層フィルム。
【請求項3】
第1層が、凝集破壊強度が、2〜20N/15mm幅の範囲からなることを特徴とする上記の請求項1〜2のいずれか1項に記載するヒ−トシ−ル性とイ−ジ−ピ−ル性とを併せ有する多層積層フィルム。
【請求項4】
第1層を構成するポリプロピレン系樹脂が、エチレンとプロピレンとのランダム共重合体またはブロック共重合体からなることを特徴とする上記の請求項1〜3のいずれか1項に記載するヒ−トシ−ル性とイ−ジ−ピ−ル性とを併せ有する多層積層フィルム。
【請求項5】
ヒ−トシ−ル性とイ−ジ−ピ−ル性とを併せ有する共押出多層積層フィルムからなり、更に、その第1層が、メルトフロ−レイト(MFR)が、1〜7g/10分(190℃)である高圧重合法低密度ポリエチレン系樹脂と、メルトフロ−レイト(MFR)が、15〜30g/10分(230℃)であるポリプロピレン系樹脂とを主成分とし、その配合割合が、前者が、20〜60重量部、後者が、40〜80重量部からなる樹脂組成物による樹脂膜からなり、また、第2層が、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、密度が、0.935g/m3 以上の高密度ポリエチレン、または、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする樹脂組成物による1層ないし2層以上の樹脂膜からなり、更に、上記の第1層が、最内層面となる構成からなるヒ−トシ−ル性とイ−ジ−ピ−ル性とを併せ有する多層積層フィルムを使用し、その多層積層フィルムを構成する第2層の面に、プラスチック基材フィルムを積層することを特徴とする積層材。
【請求項6】
多層積層フィルムとプラスチック基材フィルムとの間に、更に、バリア性基材フィルムを積層することを特徴とする上記の請求項5に記載する積層材。
【請求項7】
請求項5〜6のいずれか1項に記載する積層材を製袋しなることを特徴とする包装用袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−1055(P2006−1055A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−177401(P2004−177401)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】