説明

多心光ファイバコネクタを有するあらかじめコネクタ接続加工された光ファイバ配線ケーブル

工場で準備されたあらかじめ成端加工されると共にあらかじめコネクタ接続加工された光ファイバ配線ケーブルであって、多心光ファイバフェルールにあらかじめコネクタ接続されている複数本のあらかじめ成端加工された光ファイバへのアクセスを可能にする少なくとも1つの中間分岐点を有する光ファイバ配線ケーブルが提供される。光ファイバ配線ケーブルは、ケーブル又は光ファイバの最小曲げ半径を損なわないで比較的小径の埋設導管に通し又は架空布設溝車及びプーリに掛けて布設されるのに十分な可撓性を有する低プロフィール中間分岐点を提供する。保護包囲剤が、巻取り中、巻出し中、布設中、またコネクタ接続加工された光ファイバドロップ又は分岐ケーブルを相互接続するのに中間分岐点が必要になるまで、中間分岐点を保護すると共に密封する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の参照〕
本願は、2003年11月26日に出願された米国特許出願第10/724,244号の一部継続出願であると共に2003年12月15日に出願された米国特許出願第10/736,394号の一部継続出願である。
【0002】
本発明は、概略的には、あらかじめコネクタ接続加工された光ファイバ配線ケーブルに関し、特に、あらかじめ成端加工(以下、「予備成端加工」ともいう)されると共に多心光ファイバコネクタにあらかじめコネクタ接続加工(以下、「コネクタ接続予備加工」ともいう)された複数本の光ファイバへのアクセスを可能にする少なくとも1つの所定の中間分岐点を有する工場で組み立てられた光ファイバ配線ケーブルに関する。
【背景技術】
【0003】
光ファイバは、音声、映像及びデータ伝送を含む種々の広帯域(ブロードバンド)用途にますます利用されている。その結果、ブロードバンドサービスを加入者と通称されるエンドユーザに提供するために、遠隔点を光ファイバ配線ケーブルに接続する必要がある。この点に関し、「ファイバトューザカーブ(Fiber To The Curb )」(FTTC)、「ファイバトューザビジネス(Fiber To The Business )」(FTTB)、「ファイバトューザホーム(Fiber To The Home )」(FTTH)又は「ファイバトューザプレミシズ(Fiber To The Premise)」(FTTP)(これらは一般に、“FTTx”と呼ばれる)を提供する光ファイバネットワークが開発されている。これらサービスを加入者に提供するため、FTTxネットワークは、「タップ点」と呼ばれる多数の相互接続点を備えなければならず、かかる相互接続点において、配線ケーブルの1本又は2本以上の光ファイバが加入者の場所に通じる1本又は2本以上のケーブルの光ファイバに相互接続され又は結合される。さらに、FTTxネットワークにおける布設の労働コストを削減するため、「プラグアンドプレイ(plug-and-play)」システムと通称される工場で準備された相互接続手段による解決策がますます強く要求されている。
【0004】
必要な多数のタップ点を供給すると共にプラグアンドプレイシステムに関する要求を満たすため、中間分岐点を配線ケーブルの長さに沿って設ける一層効率的な方法が必要であることは明らかである。現在、配線ケーブルの中間分岐を行うためには、現場技術者は先ず最初に、布設された配線ケーブルに沿う都合のよい場所でケーブルシースの一部を除去する。シースをいったん除去すると、技術者は、あらかじめ選択された光ファイバにケーブルシースからアクセスでき、アクセスした光ファイバを切断し、成端加工されている光ファイバの利用可能長さ分を配線ケーブルから引き出す。成端加工光ファイバの利用可能な長さ分は、現場技術者に、配線ケーブルよりも少ない本数の光ファイバを有するケーブル(一般に「ドロップケーブル(引込みケーブル)」と呼ばれている)の1本又は2本以上の光ファイバを配線ケーブルのあらかじめ選択された光ファイバにスプライス接続するのに十分な長さを与える。スプライス接続の終了後、典型的には、スプライス及び配線ケーブルの露出部分を保護するよう設計されたエンクロージャを用いて中間分岐点を被覆する。この時間のかかるプロセスは、熟練度の高い現場技術者により相当多大なコストをかけて且つ理想とは言えない作業条件下で達成されるのが通例である。
【0005】
現場で光ファイバにアクセスし、成端加工し、そしてスプライス接続するという欠点を解決するために幾つかの手法が開発された。一手法では、配線ケーブルへのドロップケーブルのスプライス接続は、ケーブルの製造の際に工場で行われる。1次ケーブル、ドロップケーブル及び関連のスプライスクロージャを含む予備成端加工配線ケーブルを組み立ててケーブルリールに巻き付け、布設場所まで送り届ける。したがって、高品質のスプライスを製作するための工場内における好ましい条件を利用でき、それにより、スプライス品質が向上すると共に現場でのスプライス接続と関連した出費、困難さ及び好ましくない条件が軽減される。この手法の一欠点は、ドロップケーブル及び比較的嵩張っていて不撓性のスプライスクロージャが布設前に配線ケーブルに取り付けられるということである。したがって、小径導管に通したり溝車及びプーリに掛けられて行われる布設は、実質的に困難であり、不可能な場合もある。別の欠点は、中間分岐点が布設後に非使用状態のままである場合、障害物となるスプライスクロージャ及びドロップケーブルが、配線ケーブルに取り付けられたままであるということにある。これとは対照的に、コネクタ接続予備加工された中間分岐点を有する低プロフィール配線ケーブル組立体により、現場技術者は、布設に続き、又、中間分岐点が加入者にサービスを提供する上で必要になったときに、ドロップケーブルを容易に相互接続し、クロージャを配線ケーブルに取り付けることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、工場で組み立てられた光ファイバ配線ケーブルであって、配線ケーブルの長さに沿って設けられ、あらかじめ成端加工され、多心光ファイバコネクタにあらかじめコネクタ接続加工された複数本の光ファイバにアクセスするための1つ又は2つ以上の所定の中間分岐点を有し、各かかる中間分岐点が配線ケーブルの外径よりもほんの僅かだけ大きな外径を有する光ファイバ配線ケーブルを提供することが望ましい。また、あらかじめコネクタ接続加工された光ファイバ配線ケーブルであって、地中(埋設)布設(例えば、小径の導管を通る)と架空布設(例えば、溝車及びプーリに掛けられる)の両方に適した1つ又は2つ以上の低プロフィール中間分岐点を有する光ファイバ配線ケーブルを提供することが望ましい。さらに、容易に布設され、あらかじめコネクタ接続加工されたドロップケーブルに相互接続されると共に必要に応じて現場で多種多様なクロージャを取り付けることができる工場で準備されたあらかじめコネクタ接続加工されている光ファイバ配線ケーブルを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的及び他の目的を達成するため、本明細書において具体化されると共に概要説明される本発明の目的に従って、本発明は、工場で準備された光ファイバ配線ケーブルであって、配線ケーブルの長さに沿って設けられ、複数本の予備成端加工且つコネクタ接続予備加工光ファイバへのアクセスを可能にする少なくとも1つの所定の中間分岐点を有する光ファイバ配線ケーブルについての種々の実施形態を提供する。かかる中間分岐点の各々は、ケーブル巻取り及び巻出し中、布設作業中、また必要になるまで、完全に保護される。コネクタ接続予備加工光ファイバ配線ケーブルは、布設が容易であるように構成され、低プロフィール(即ち、外径が小さい)であって比較的可撓性が高いので、小径の導管系に通し又は架空布設溝車及びプーリに掛けて布設できる。各中間分岐点は、少なくとも1本のドロップケーブルを配線ケーブルに相互接続するために複数本の予備成端加工され且つコネクタ接続予備加工された光ファイバへのアクセスを可能にする。好ましい実施形態では、各中間分岐点は、予備成端加工され、多心光ファイバフェルールにコネクタ接続予備加工された少なくとも1本の光ファイバリボンを提供する。
【0008】
本明細書において説明する種々の例示の実施形態では、本発明は、少なくとも1つの中間分岐点を有する光ファイバ配線ケーブルであって、この中間分岐点において、配線ケーブルからアクセスした複数本の光ファイバをコネクタ接続加工分岐ケーブル又はドロップケーブルを受け入れることができる多心光ファイバフェルールにあらかじめコネクタ接続(即ち、工場でコネクタ接続)された光ファイバ配線ケーブルを提供する。図面の各図は、単一の中間分岐点を記載しているに過ぎないが、光ファイバ通信ネットワークに関する特注の配線及び成端解決策に対応するよう任意個数の工場で準備された分岐点(アクセス点と呼ばれることもある)を配線ケーブルに設けるのがよいことが考えられる。各中間分岐点では、複数本の光ファイバを成端加工して配線ケーブルの残りの光ファイバから分岐させる。予備成端加工光ファイバをコネクタ接続加工して最終的に、1本又は2本以上の光ファイバ分岐ケーブル又は光ファイバドロップケーブルのそれぞれの光ファイバに光接続する。分岐ケーブル又はドロップケーブルの光ファイバも又好ましくは、配線ケーブル及び分岐ケーブル又はドロップケーブルが真の意味でのプラグアンドプレイ相互接続システムを提供するようコネクタ接続加工され、それにより経験が浅く熟練度の低い現場技術者でも光ファイバ通信ネットワークを容易に構築することができる。分岐ケーブルを用いると、配線ケーブルの予備成端加工光ファイバを別の配線点、例えば光ネットワーク端子に接続することができる。ドロップケーブルを用いて配線ケーブルの光ファイバを加入者構内に接続し、それにより全光化通信ネットワークを加入者構内まで完全に延長させることができる。例示の実施形態の説明において後で用いる「光ファイバドロップケーブル」や「ドロップケーブル」という用語は、任意の光ファイバケーブル、モノチューブ、テザー又は少なくとも1本の光ファイバを引き回すと共にこれを保護する同様な導管(光ファイバ分岐ケーブル又は2次配線ケーブルを含む)を意味する。
【0009】
一実施形態では、予備成端加工且つコネクタ接続予備加工された配線ケーブルは、バッファチューブ内に設けられた少なくとも1本の光ファイバ及び好ましくはバッファチューブ内に設けられた光ファイバリボンを有する光ファイバケーブルから成る。工場で低プロフィール中間分岐を達成するため、ケーブルシースの一部を除去して少なくとも1本のバッファチューブを配線ケーブル内で露出させる。各分岐点に関し、適当なバッファチューブに少なくとも2つの場所でリング切断により又はファイバアクセスツールを用いてアクセスする。適当なバッファチューブアクセス点で始まり、あらかじめ選択された光ファイバの位置を突き止めてこれらを切断する。残りの光ファイバは切断されず、配線ケーブルを通って下流側に続く。次に、成端加工光ファイバをバッファチューブ内の第2の上流側のアクセス点から釣り上げるのがよく、それにより光ファイバの有効長さを露出させる。
【0010】
別の実施形態では、本発明は、少なくとも1つの所定の中間分岐点を有するあらかじめ成端加工されると共にあらかじめコネクタ接続加工された光ファイバ配線ケーブルであって、中間分岐点において、複数本のあらかじめ成端加工された光ファイバにアクセスし、これら光ファイバを多心光ファイバコネクタに光接続する光ファイバ配線ケーブルを提供する。この配線ケーブルは、2本又は3本以上の光ファイバを有する少なくとも1本のバッファチューブと、光ファイバをバッファチューブから移行させることができるバッファチューブ移行ピースと、あらかじめ成端加工されると共にあらかじめコネクタ接続加工された光ファイバの利用可能長さを収容できる長手方向に延びる光チャネル案内チャネルと、布設中、少なくとも1本のバッファチューブ、バッファチューブ移行ピース、光ファイバ案内チャネル及びあらかじめ成端加工されると共にあらかじめコネクタ接続加工された光ファイバを保護できる保護手段とを有する。各中間分岐点は、配線ケーブルの元の外径よりもほんの僅か大きい外径を有する。配線ケーブルは、小径導管に通し又は架空布設溝車又はプーリに掛けて行う布設を可能にする外径及び可撓性を有する。
【0011】
別の実施形態では、本発明は、光ファイバを所定の中間分岐点で光ファイバ配線ケーブルから中間分岐させる方法を提供する。この方法は、(1)少なくとも1本のバッファチューブの所定長さ分を露出させるようケーブルシースの所定長さ分を除去するステップと、(2)バッファチューブ長さに沿って適当なバッファチューブ上の少なくとも第1のアクセス点と第2のアクセス点を互いに約9〜15インチ(約22.86〜38.1cm)離して切断するステップと、(3)光ファイバを第1のアクセス点で切り離してあらかじめ成端加工された光ファイバを生じさせるステップと、(4)あらかじめ成端加工された光ファイバを第2のアクセス点から釣り出してあらかじめ成端加工された光ファイバの使用可能な長さ分を引き出すステップと、(5)あらかじめ成端加工された光ファイバをバッファチューブ移行ピースを通って移行させるステップと、(6)あらかじめ成端加工された光ファイバを多心光ファイバコネクタに光接続するステップとを有する。
【0012】
さらに別の実施形態では、本発明は、光ネットワークで用いられるあらかじめコネクタ接続加工された光ファイバ配線ケーブルを提供する。あらかじめコネクタ接続加工された形式の配線ケーブルは、配線ケーブルの長さに沿う所定の場所に設けられた複数個の中間分岐点を有する。あらかじめコネクタ接続加工された形式の配線ケーブルは、あらかじめ組み立てられると共に保護された形態で光ネットワーク内に容易に布設できる。現場では、保護コンポーネントを容易に取り外すことができ、そしてクロージャを配線ケーブルに取り付けて所定の中間分岐点を隠すと共にこれを保護することができる。一実施形態では、あらかじめ成端加工されると共にあらかじめコネクタ接続加工された光ファイバをクロージャの外壁に設けられたコネクタポート内に位置決めするのがよい。次に、光ネットワークからのあらかじめコネクタ接続加工されたドロップケーブルをコネクタポートに容易に接続してドロップケーブルの1本又は2本以上の光ファイバを配線ケーブルの1本又は2本以上の光ファイバに光接続することができる。
【0013】
本発明の上記特徴、観点及び利点並びに他の特徴、観点及び利点は、添付の図面を参照して本発明についての以下の詳細な説明を読むと、一層よく理解できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の例示の実施形態が示された添付の図面を参照して本発明を以下に詳細に説明する。しかしながら、本発明は、多種多様な形態で実施でき、本明細書に記載した実施形態に限定されるものと解されるべきではない。これら例示の実施形態は、本明細書の開示が十分且つ完全であり、しかも本発明の範囲を完全に裏付け、当業者が本発明を構成し、利用し、そして実施できるように提供されている。種々の図面全体にわたり、同一の符号は、同一の要素を示している。
【0015】
本発明のコネクタ接続予備加工光ファイバ配線ケーブルは、ケーブルの長さに沿って設けられ、多心光ファイバフェルールに光接続された複数本の光ファイバへのアクセスを可能にする少なくとも1つの所定のアクセス点(本明細書では、「中間分岐点」と称する)を有する。好ましい実施形態では、コネクタ接続予備加工配線ケーブルは、ケーブルの長さに沿って互いに間隔を置いて設けられた複数の所定のアクセス点を有し、最終的に現場でコネクタ接続加工ドロップケーブル又は他のケーブルを配線ケーブルに接合する多数のアクセス点又はタップ点を提供する。コネクタ接続予備加工光ファイバ配線ケーブルを架空及び地中用途において配線及び布設のためにリールに巻き付けるのがよい。コネクタ接続予備加工ケーブルは、工場で製造され、先ず最初に光ファイバケーブルを布設し、次に中間分岐を行い、そして現場でスプライス接続する必要性が無くなる。本発明のケーブルシステムは、元のケーブルの外径よりもほんの僅か大きな外径を備えた、配線ケーブルに設けられる工場で準備され、コネクタ接続加工されたアクセス点を通信サービスプロバイダに提供する。ケーブルシステムをいったん布設すると、保護覆いの一部を除去して少なくとも1つの光コネクタを露出させ、任意の従来型エンクロージャをシステムに追加して保護及びドロップケーブルの接続点を作るのがよい。
【0016】
明細書全体を通じて「配線ケーブル」という用語は、ケーブルジャケット内に納められた複数本の光ファイバを有するあらゆるタイプの光ファイバケーブルを意味するものであり、かかる光ファイバケーブルとしては、ルースチューブ型、モノチューブ型、センターチューブ型、タイトバッファ型、リボン型、ドロップ型、補強又は外装(armored)型、フラット誘電体ドロップ型等が挙げられるが、これらには限定されない。配線ケーブルは、ケーブルシース、バッファチューブ、光伝送コンポーネント及び抗張力コンポーネントを有する。図示の実施形態では、配線ケーブルは、リボン光ファイバを含むバッファチューブを有するが、これは例示目的に過ぎない。配線ケーブルは、多心光ファイバコネクタ内での成端加工に先立って、リボン化される個々の光ファイバを更に有するのがよい。リボン型光ファイバは、全体として扁平なリボンの上端に互いに束ねられた多数本の(代表的には、6本、8本又は12本の)光ファイバから成る。種々の実施形態では、リボンファイバを識別が容易なように着色(カラーコード化)されるのがよい。リボンファイバは、シングルモードかマルチモードかのいずれであってもよく、好ましくは、バッファチューブ内に納められることはいうまでもない。好ましい実施形態では、単一の多心光ファイバコネクタ、例えば従来のMT(Mechanically Transferable:機械的切替え型)フェルールで各リボンファイバを成端加工することができる。変形実施形態では、リボンファイバを複数個の単一ファイバコネクタ内へ多心状態で分離してもよい。他の形式のケーブルを本発明と関連して使用できることはいうまでもない。配線ケーブルは好ましくは、広い温度範囲にわたって安定した性能を発揮すると共に通信用光ファイバに適合するよう設計されている。
【0017】
図示すると共に本明細書において説明する例示の実施形態では、図示の多心光ファイバコネクタは、一般的なMTフェルールであるが、他の多心光ファイバフェルール、例えばMTP、MPO及びMT−RJを本発明の範囲から逸脱することなく使用できる。MTフェルールは、ケーブル長さに沿って位置する所定の場所からアクセスされる成端加工リボン光ファイバの端部に取り付けられる。MTコネクタは、成端加工リボンファイバとクロージャ又はドロップケーブルと関連した光ファイバとの間の半永続的な接続をもたらす。必要ならば、MTコネクタを所望に応じて新たな形態に接続したり切り離してもよい。アクセス点で光ファイバをスプライス接続するのではなくコネクタを設けることによって、所定長さのコネクタ接続加工ドロップケーブルをコネクタに接続してケーブル長さに沿うアクセス点の配設場所の計算ミス分を調整できる。後でドロップケーブルの長さを増大させ又はドロップケーブル以外の或る物、例えばマルチポート接続端子を相互接続することが望まれる場合、既存のドロップケーブルを切り離して交換でき、この場合、光ファイバのスプライス接続を行う必要はない。
【0018】
次に図1を参照すると、本発明の少なくとも1つのあらかじめコネクタ接続加工されたアクセス点22を有する光ファイバ配線ケーブル20が、一例としての従来型光ファイバ通信ネットワーク内に布設された状態で示されている。特に、あらかじめ成端加工され、光ファイバ配線ケーブル20の長さに沿う所定のアクセス点のうちの1つのところでアクセスされるリボン型光ファイバ24が、バッファチューブ移行ピース26を通って引き回されている。アクセス点22の保護のために従来型クロージャ28が布設後ケーブル20に追加されている。公知の仕方でリボン型光ファイバ24に成端加工により取り付けられたMTコネクタ30が、2次光ファイバケーブル34の多心光ファイバコネクタ32に光接続されている。クロージャ28は、配線ケーブル20を密封的に受け入れる1対の貫通ポート36及び2次光ファイバケーブル34を密封的に受け入れる出口ポート38を備えている。2次ケーブル24は、コネクタ接続予備加工されており、この2次ケーブルは好ましくは、配線ケーブル20のアクセスされたリボン型光ファイバ24を、従来型ネットワーク接続端子42、例えば、ローカル・コンバージェンス・キャビネット(LCC)、ペデスタル(接続点保護箱)、ネットワークアクセス点(NAP)又はノースカロライナ州ヒッコリーのコーニング・ケーブル・システムズ・エルエルシー(Corning Cable Systems LLC)から入手できるタイプのネットワークインターフェイス装置(NID)(これらには限定されない)内で通信ネットワークの光ファイバにそれぞれ相互接続する1つ又は2つ以上の単心光ファイバ又は多心光ファイバコネクタ40を有する。図示の例示の通信ネットワークでは、2次光ファイバケーブル34は、接続端子42内の複数個の光コネクタ40で終端している。図示していないが、次に、コネクタ接続加工されたドロップケーブルを接続端子42から1つ又は2つ以上の加入者構内に引き回すことができる。
【0019】
図2を参照すると、本発明に従って少なくとも1つのコネクタ接続予備加工分岐点22を有する光ファイバ配線ケーブル20が、従来型光ファイバ通信ネットワークの別の例の中に布設された状態で示されている。この例では、上述の例の場合と同様、成端加工され、バッファチューブ移行ピース26を通って引き回されたリボン型光ファイバ24を露出させるために、分岐点保護覆い(図示せず)が、ケーブル20の布設後に除去してある。分岐点22の保護を行うために従来型クロージャ28を布設後、分岐点22を覆った状態で追加する。リボンファイバ24のMTコネクタ30が、クロージャ28の外壁に設けられたコネクタポート48まで引き回された複数本の光ファイバ46に成端加工により取り付けられた多心光ファイバコネクタ32に公知の仕方で光接続されている。一実施形態では、各コネクタポート48は、コネクタ接続加工されたドロップケーブル50を受け入れるよう設計されたレセプタクルを備えるのがよい。個々のドロップケーブル50を加入者構内に引き回すのがよい。クロージャ28は、配線ケーブル20を密封的に受け入れる1対の貫通ポート36を更に有する。また、ドロップケーブル50を従来型ネットワーク接続端子、例えば、ローカル・コンバージェンス・キャビネット(LCC)、ペデスタル(接続点保護箱)、ネットワークアクセス点(NAP)又はノースカロライナ州ヒッコリーのコーニング・ケーブル・システムズ・エルエルシー(Corning Cable Systems LLC)から入手できるタイプのネットワークインターフェイス装置(NID)(これらには限定されない)まで引き回すのがよい。
【0020】
図1及び図2に示す通信ネットワークを任意公知の仕方でコネクタ接続予備加工光ファイバ配線ケーブルに対応できるよう改造できることがわかる。特定の改造例としては、クロージャの設計及びクロージャ28内で引き回される光ファイバの変更が挙げられる。クロージャ28は、任意の本数のドロップケーブル、任意の個数のレセプタクル又は光接続点をクロージャ28内に固定する任意の方法に対応するよう設計されたものであるのがよい。好ましい実施形態では、予備成端加工光ファイバ24を直接コネクタ接続加工するのがよい。この方法では、多心光ファイバコネクタをバッファチューブから引き出された光ファイバの端部に直接取り付ける。他の実施形態では、予備成端加工光ファイバ24を、一端に裸光ファイバを有すると共に他端部に多心光ファイバコネクタを有するバッファ又はジャケット付きピグテールにスプライス接続し、好ましくは融着接続する。この実施形態は、引き出されて直接コネクタ接続加工される光ファイバの全ファイバ長さよりも長い全ファイバ長さをもたらすために用いられるのがよい。この方法では、ピグテールを工場で光ファイバの引き出されると共に予備成端加工された長さ分にスプライス接続する。スプライス箇所は、スプライスプロテクタを用いて保護され、これらスプライスプロテクタは、予備成端加工光ファイバの端部とピグテールの端部との間のスプライス接合部を保持すると共にこれを保護することができる。
【0021】
図3を参照すると、バッファチューブにアクセスするためにケーブルシースを部分的に除去することにより作られた所定の分岐点を有するコネクタ接続予備加工された光ファイバ配線ケーブル20の斜視図が示されている。図示の例示の実施形態では、光ファイバ配線ケーブル20は、ケーブルシース54内に納められた少なくとも1本のバッファチューブ52を有する。当業者には知られているように、図示すると共に本明細書において説明する配線ケーブル20は、ドロップケーブルのファイバ心線数よりも多くのファイバ心線数を有し、少なくとも1本のバッファチューブ52を有する任意公知の光ファイバケーブルを含むのがよい。好ましい実施形態では、配線ケーブル20の各バッファチューブ52は、バッファチューブ52内への水の侵入を阻止する止水配合物、例えばゲルを有する。しかしながら、配線ケーブル20は、「ドライチューブ(dry-tube)」型ケーブルであってもよい。各バッファチューブ52は、任意本数のリボン型光ファイバを有していてよく、例えば、4本、6本、8本、12本の光ファイバのリボンを用いることができる。
【0022】
中間の低プロフィール分岐点を達成するため、ケーブルシース54の一部を切断して除去し、それによりその下に位置するバッファチューブ52を露出させる。バッファチューブ52の露出長さは、様々であってよい。しかしながら、好ましい実施形態では、この長さは、約10〜30インチ(約25.4〜76.2cm)である。より好ましい実施形態では、この長さは、約14〜20インチ(約35.56〜50.8cm)である。バッファチューブ52のこの露出長さにより、約10〜30インチのリボン型光ファイバをコネクタ接続のためにバッファチューブ52から引き出すことができ、それにより、2回以上の試みを行うのに十分なファイバ余長が得られる。バッファチューブ52を損傷させないでケーブルシース54を所定の場所でリングカットし、そしてケーブルシース54を2つの実質的に等しい半部の状態に長手方向にスリットすることによりケーブルシース54を除去する。
【0023】
所与の中間分岐点を得るため、適当なバッファチューブ52の2つの部分を除去する。第1の下流側の部分56は、バッファチューブ52をリングカットし、そしてチューブ52の約1〜5インチ(約2.54〜12.7cm)部分を完全に除去することにより作られる。次に、適当な下に位置する光ファイバリボンの全て又は一部を切り離す。次に、下流側部分56の後ろで約9〜12インチ(22.86〜30.48cm)上流側でリングカットを作る。1つのリングカットを作り、2つの部分56,58相互間のバッファチューブ部分を下流側に滑らせ、ついには、このバッファチューブ部分が第1のカットにより露出されたバッファチューブ端部に当接するようにすることにより、上流側部分58を作るのがよい。上流側部分58は又、バッファチューブ52を2つの場所でリングカットし、そして約1〜5インチ部分を従前通り除去することによっても形成できる。別の実施形態では、ノースカロライナ州ヒッコリーのコーニング・ケーブル・システムズ・エルエルシー(Corning Cable Systems LLC)から入手できる標準型のノースラック・オプティカル・ファイバ・アクセス・ツール(No-Slack Optical Fiber Access Tool:NOFAT)を用いてバッファチューブ52に2つの場所でアクセスできる。NOFATツールは、最小量のケーブル余長を得ることができ、バッファチューブ52が中央部材に巻き付けられたままの場所に用いるのに適している。NOFATツールは、バッファチューブ52又はバッファチューブ52内に納められた光ファイバを完全には切断しないで、これらメスでバッファチューブ52の一部をスライスできるようにする案内となる。NOFATツールは、標準型コーニング・ケーブル・システムズのバッファチューブ肉厚に適合している。採用される任意のアクセス方法では、その目的は、バッファチューブ52を部分的に除去してリボン型光ファイバを下流側の場所で切り離して上流側の場所から釣り上げることができるようにすることにある。いったん切り離すと、リボン型光ファイバを配線ケーブル20から予備成端加工し、残りの手を付けなかったリボン型光ファイバは、下流側へ続く。
【0024】
変形実施形態では、代表的には約10〜15インチ(約25.4〜38.1cm)互いに離れた3つの分岐点を適当なバッファチューブ52のところでカットを入れるのがよい。当業者には容易にわかるように、3つの分岐点は、光ファイバについて一層長い長さ分を止水ゲルで満たされたバッファチューブから引き出す上で特に有利である。下流側のバッファチューブアクセス点のところで始まり、所定のリボン型光ファイバにアクセスしてこれらを切り離す。次に、切り離したリボン型光ファイバを同一のバッファチューブ上の中間分岐点から釣り出して、約12〜14インチ(約30.48〜35.56cm)のファイバ長さ分を露出させる。次に、同じリボン型光ファイバを中間分岐点の上流側の第3の分岐点でもう一度釣り上げ、それにより全部で約20〜30インチのリボンファイバ長さ分を露出させる。リボンファイバの最小曲げ半径は、光ファイバの釣り出しプロセス中、損なわれない。リボンファイバをバッファチューブ52から取り出した後、リボン型光ファイバの露出長さ分から止水ゲル(もしバッファチューブ52内に存在していれば)を除去する。
【0025】
種々のケーブル設計において、適当なバッファチューブ52及びリボンファイバを着色によるマーク付け又は着色チューブによりケーブル内に設けるのがよい。さらに、所定の分岐点を不撓点が生じる場所で配線ケーブル20に沿って位置決めするのがよい。不撓点は、バッファチューブの螺旋巻線がその巻き方向を切り替える撚りケーブルに沿う箇所であり、この不撓点は、代表的には、ケーブルの長さに沿って約1mごとに生じる。配線ケーブル20に沿う不撓点をケーブルシース54にマーク付けするのがよい。不撓点により、バッファチューブを残りのバッファチューブ及びその周りのケーブル構造体の上方に僅かに持ち上げて切断ツールを挿入するのに十分なバッファチューブ余長が得られる。
【0026】
図4を参照すると、リボン型光ファイバ(図6に示す)をこれらのそれぞれのバッファチューブ52からいったん引き出すと、リボンファイバをバッファチューブ移行ピース26中へ送ってこの中に配置する。バッファチューブ移行ピース26は好ましくは、バッファチューブ移行ピース26がこれが取り付けられているバッファチューブ52の曲率に一致するよう僅かに曲がることができるようにゴム又は別の軟質材料で作られる。バッファチューブ移行ピース26は、バッファチューブ52の露出開口部分を保護するために上流側分岐点58の周りに位置決めされる。好ましい実施形態では、バッファチューブ移行ピース26は、C字形であり、リボンファイバが導出する露出バッファチューブ部分のところに取り付けられる。バッファチューブ移行ピース26は、光ファイバを直線アレイの状態に維持できる光ファイバスロットを備える。リボンファイバをいったん引き回すと、バッファチューブ移行ピース26に設けられているスロットを密封材料、例えばシリコーンエラストマー又はエポキシ材料で満たして接合部を密封し、移行ピース26にトルクが加わるのを阻止し、存在する場合のある止水ゲルがバッファチューブ52から漏れ出るのを阻止するのがよい。また、下流側分岐点56は、バッファチューブ52内で露出している残りのリボンファイバを保護すると共に存在する場合のある止水ゲルがバッファチューブから漏れ出るのを阻止するよう可撓性のC字形保護コンポーネント60で覆うのがよい。変形例として、下流側分岐点56を形成するよう除去されたバッファチューブ52の部分を元に戻し、粘着性包装材又はテープ、例えば電気用テープを用いて定位置に固定してもよい。図5を参照すると、可撓性部材26,60がいったん定位置にある状態で、熱変形性テープ62又はジッパ状熱及び変形性材料を用いてバッファチューブ分岐点を完全に密封するのがよいが、このようにするかどうかは任意である。
【0027】
図6を参照すると、リボン型光ファイバ24が、複数本の予備成端加工光ファイバをバッファチューブ52及び配線ケーブル20から移行させることができるバッファチューブ移行ピース26を通って引き回された状態で示されている。上述したように、成端加工される光ファイバは、後でノースカロライナ州ヒッコリーのコーニング・ケーブル・システムズ・エルエルシーから入手できるFOTAツールを用いてリボン化される個々の光ファイバであるのがよい。リボン型光ファイバを外側ジャケット、ケブラー(Kevlar:登録商標)及び内側チューブから成るファンアウト(fanout)チューブ64内へ挿入する。ファンアウトチューブを成形バッファチューブ移行ピース26内に挿入してエポキシで結合する。光ファイバスロットは、光ファイバがこれらの最小曲げ半径を損なうことなくスムーズに移行されるように光ファイバの源の下流側に位置決めされるべきである。リボン型光ファイバ24の切り離し端部を成端加工して多心光ファイバコネクタ30、例えばMTフェルールを取り付ける。
【0028】
図7を参照すると、バッファチューブ52の残りの露出部分を保護すると共に配線ケーブル20の長さに沿って光ファイバを案内するためのチャネルを設けるために、コネクタ接続加工された光ファイバ24を案内チャネルの開口部66に通して長手方向に延びる案内チャネル部材68内へ引き回す。部材68は好ましくは、螺合を行わないで配線ケーブル20に取り付けることができるようC字形に成形され、この成形部材68は、成形部材68がケーブルの周りに取り付けできるよう末広がりに開くように軟質材料で作られている。バッファチューブ移行ピース26を案内チャネル開口部66と軸方向に整列させる。C字形成形部材68は、コネクタ接続予備加工された光ファイバ24の全長を引き回し、収納し、そして保護できる細長い光ファイバ案内チャネル70を更に備える。光ファイバ24案内チャネル70も又、バッファチューブ移行ピース26と軸方向に整列させる。種々の実施形態では、C字形成形部材68は、単一案内チャネル又は多数の案内チャネルと、単一のチャネル開口部又は多数のチャネル開口部とを有するのがよい。チャネル開口部及び案内チャネルは、ケーブル20に沿って真っ直ぐに延びるのがよく、又はこれらはケーブル直径周りに螺旋に巻き付けられるのがよい。螺旋の場合、C字形成形部材68を平らなシートとして形成し、配線ケーブル20に巻き付けて螺旋のプロフィールを得るのがよい。C字形成形部材68の長さは、様々であってよい。しかしながら、好ましい実施形態では、この長さは、約25〜40インチ(約63.5〜101.6cm)である。
【0029】
図8を参照すると、C字形成形部材68は、露出状態のバッファチューブ部分全体を覆って位置決めされ、C字形成形部材68の両端部のところに位置決めされた熱変形性材料72を用いて定位置に保持されている。熱変形性材料72は、C字形成形部材68を固定すると共にケーブルシース54とC字形成形部材68の互いに異なる外周部相互間のスムーズな移行を可能にし、小径の導管に通し又は架空布設溝車及びプーリに掛けて行われる布設を助けることができる。C字形成形部材68は、C字形成形部材68の各端部のところで所定距離長さ方向に延びる肩74を備え、この肩74は、熱変形性材料72の固定箇所となることができる。熱変形性材料72の一部を収縮させて下に位置するケーブルシース54に嵌める。好ましい実施形態では、熱変形性材料72の両端部には接着剤層が設けられている。別の単一の熱変形性材料72が、2本のリップコード78をその下に設けた状態でC字形部材68の中間部分を覆って位置決めされている。互いに約180°の間隔を置いて設けられた2本のリップコード78は、案内チャネル70から見て遠くに位置するこれらの端部のうちの一方のところで配線ケーブル20に結び付けられている。配線ケーブル20をいったん布設すると、リップコードは、熱変形性材料72を除去して光コネクタ30を露出させるために用いられる。布設後、リボン型光ファイバ24も又光ファイバ案内チャネル70から取り出すのがよく、所望ならばC字形成形部材68を取り外して廃棄する。しかしながら、多心光ファイバコネクタ30にアクセスするためにはC字形成形部材68を取り外す必要はない。
【0030】
次に図9を参照すると、コネクタ30(即ち、多心光ファイバMTフェルール)を通って取られた図8のコネクタ接続予備加工配線ケーブルの拡大断面図が示されている。図示の例示のケーブルは、5本のゲル充填バッファチューブ52を有するケーブルであり、各バッファチューブ52は、3本のリボン型光ファイバ80を有している。図示のように、各リボン80は、4本の個々の光ファイバの平面状アレイから成る。このケーブルは、工場環境において中間分岐を容易にするルースチューブ設計のものである。適当なバッファチューブ52からの所定本数、例えば4本の光ファイバは、予備成端加工されている。ケーブル20は、複数本のバッファチューブ52内に実質的に心出しされた単一の長さ方向に延びる中央抗張力体82を更に有している。或る特定のタイプのケーブルに関し、吸水膨張性テープ及び1本又は2本以上の誘電体抗張力体を複数本のバッファチューブ52の周りに配置するのがよい。ケーブル20は、追加の強度及び水に対する保護を得るために中央部材82に螺旋に巻き付けられた吸水膨張性糸(図示せず)を更に有するのがよい。予備成端加工されなかったバッファチューブ52内の残りの光ファイバは、配線ケーブル20を通って続き、潜在的に、更に下流側の別の分岐点で予備成端加工される。
【0031】
予備成端加工リボン型光ファイバ24をファイバ案内チャネル70内に維持するために、C字形成形部材68をKapton(登録商標)テープ84で包むのがよい。Kapton(登録商標)テープ84は、C字形成形部材68を実質的に覆った状態で螺旋に巻き付けるのがよい。従来型粘着テープを用いてKapton(登録商標)テープ84の両端部を固定するのがよい。また、吸水膨張性テープ86をKapton(登録商標)テープ84の頂部に螺旋に巻き付けるのがよい。適当な止水テープの一例が、英国マンチェスターのスカーパ・ポリメリックス(Scapa Polymerics)社から入手できる35mm不織止水テープ(品番R−14−01−03)を含む。止水テープ86は、中間分岐点において配線ケーブル20内への水の侵入を阻止することができる。最も外側の熱変形性材料72に侵入した水は、テープ又は糸内の超吸収性粉末に接触し、直ちに止水ゲルが作られる。次に、ゲルを不織布の強度により定位置に保持し、それ以上の損傷を阻止する。隙間が熱変形性材料72とその下に位置する材料との間又は熱変形性材料とリップコード78との間に生じている場合、粉末、テープ及び糸の組合せは、従来の吸水膨張性材料よりも徹底的に穴を満たす。これは、水蒸気及び多量の水分がそれ以上ケーブルに入るのを阻止する。
【0032】
図10を参照すると、コネクタ接続予備加工された配線ケーブル20が、組み立て状態の分岐点と共にいつでも地中又は架空設備内に布設できる状態で示されている。この実施形態では、複合成形法により形成された保護シェル88は、ケーブル巻取り及び巻出し中、布設作業中、また分岐点が必要になるまで、中間分岐点及びコネクタ接続予備加工光ファイバを保護することができる。少なくとも1本のリップコード78、好ましくは約180°の間隔を置いて設けられた1対のリップコードが、保護シェル88の各端部のところで保護シェル88を越えて所定距離延びるのがよい。少なくとも1本のリップコード78は、ケーブル布設後保護シェル88を除去するために使用できる。保護シェル88のすぐ下には、成形材料の侵入バリヤとなる複合成形包装材(図示せず)が設けられている。好ましい実施形態では、複合成形包装材も又、全てのコンポーネントの追加のシールとなることができる。変形実施形態では、耐圧潰性を備えた抗張力体(図示せず)を複合成形包装材及び保護シェル88の下に設けるのがよい。
【0033】
分岐点を複合成形するため、配線ケーブル20を成形材料が流入できるキャビティを構成するツール内へクランプする。配線ケーブル20をツールの内部キャビティ内に心出しする。ツールは、成形材料を射出する複数個の射出ポートを有する。成形材料としては、液体の形態で射出でき、実質的に硬化した保護シェルを形成するよう固まるポリマー材料(例えば、二液型ポリウレタン又は熱可塑性材料)が挙げられるが、これには限定されない。成形材料は、ツールと配線ケーブル20との間のボイドに流れ込む。配線ケーブル20を複合成形ツール内に軸方向に心出しするのがよい。複合成形材料は、分岐点の各端部のところで複合成形包装材及びケーブルシース54の少なくとも約1〜2インチ(約2.54〜5.08cm)部分に結合する。しかしながら、好ましくは、複合成形材料は、各端部のところでケーブルシース54の約4〜7インチ(約10.16〜17.78cm)部分に結合する。ケーブル布設後、少なくとも1本のリップコード78を複合成形包装材から引き抜き、保護シェル88を除去してC字形成形部材68を露出させることにより保護シェル88を除去する。次に、C字形成形部材68を除去してコネクタ接続予備加工光ファイバを露出させるのがよい。
【0034】
本発明は、ケーブル布設中、コネクタ接続予備加工された光ファイバの保護をもたらし、いったん布設されると除去可能な工場で準備された低プロフィールタップ点を提供する。この組立体の主要な利点は、その全体サイズが小さいことにあり、中間分岐点の外径は、妨害物の無い配線ケーブルの外径よりも僅かに大きく、又、光ファイバにアクセスし、これを予備成端加工すると共にコネクタ接続予備加工して配線ケーブルの布設に続く現場での時間がかかり且つコスト高のスプライス接続を不要にしたことにある。当業者には容易に解るように、予備成端加工光ファイバを多心光ファイバフェルールに直接コネクタ接続でき又は多心光ファイバフェルールが端部のうちの一方に取り付けられたピグテールに融着接続でき又はメカニカルスプライス接続できる。ケーブルを布設し、保護材料及びC字形成形部材を除去した後、従来型エンクロージャを用いて中間分岐点を密封することができる。好ましくは、バッファチューブ移行ピースは、アクセスが行われたバッファチューブに取り付けられたままである。あらかじめ成端加工されると共にあらかじめコネクタ接続加工された光ファイバ配線ケーブル及びその構成要素の全ては、比較的低プロフィールであり、ケーブルを小径のボア又は導管内に通し又は架空布設溝車及びプーリに掛けて布設するのに十分な程度の可撓性を有する。
【0035】
上記は、例示として与えられているに過ぎない本発明の種々の実施形態についての説明である。予備成端加工且つコネクタ接続予備加工光ファイバ配線ケーブル組立体及び組立法を好ましい実施形態及びその実例と関連して説明したが、他の実施形態及び実例であっても、実質的に同一の機能を発揮すると共に(或いは)実質的に同一の結果を達成することができる。かかる均等例としての実施形態及び実例は全て、本発明の精神及び範囲に含まれると共に特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に包含されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】一例としての従来型光ファイバ通信ネットワーク内に布設された本発明のコネクタ接続予備加工光ファイバ配線ケーブルを示す略図である。
【図2】別の例の従来型光ファイバ通信ネットワーク内に布設された本発明のコネクタ接続予備加工光ファイバ配線ケーブルを示す略図である。
【図3】ケーブルシースの一部を除去して本発明の例示の実施形態に従ってバッファチューブに複数のアクセス点を作ることにより形成された所定の中間分岐点を有するコネクタ接続予備加工光ファイバ配線ケーブルの斜視図である。
【図4】本発明の例示の実施形態に従ってアクセスしたバッファチューブの除去部分を覆うバッファチューブ移行ピース及びC字形保護部材を示す図3のコネクタ接続予備加工光ファイバ配線ケーブルの斜視図である。
【図5】図4のコネクタ接続予備加工光ファイバ配線ケーブルの斜視図であり、本発明の例示の実施形態に従ってバッファチューブの露出部分の密封の仕方を示す図である。
【図6】図5のコネクタ接続予備加工光ファイバ配線ケーブルの斜視図であり、光ファイバリボンの予備成端加工光ファイバをバッファチューブからバッファチューブ移行ピースを介して引き回す仕方を示すと共に光ファイバが本発明の例示の実施形態に従って多心光ファイバフェルールで終端している状態を示す図である。
【図7】図6のコネクタ接続予備加工光ファイバ配線ケーブルの斜視図であり、本発明の例示の実施形態に従ってアクセスした光ファイバを布設中保護できるC字形保護部材を示す図である。
【図8】図7のコネクタ接続予備加工光ファイバ配線ケーブルの斜視図であり、本発明の例示の実施形態に従って熱変形性材料を用いて中間分岐点を密封する仕方を示す図である。
【図9】多心光ファイバフェルールを通って取られた図8のコネクタ接続予備加工光ファイバ配線ケーブルの拡大断面図である。
【図10】図7のコネクタ接続予備加工光ファイバ配線ケーブルの斜視図であり、本発明の別の例示の実施形態に従って複合成形された中間分岐点を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
あらかじめコネクタ接続加工された光ファイバ配線ケーブルであって、
前記ケーブル内に納められた複数本の光ファイバと、
前記ケーブルの長さに沿って設けられた少なくとも1つの所定の分岐点であって、光ファイバ通信ネットワークにおける前記ケーブルの布設に先立って構成され、前記複数本の光ファイバへのアクセスを可能にして前記光ファイバのうちの2本又は3本以上が前記ケーブル内の残りの前記光ファイバからあらかじめ成端加工されるようになっている分岐点と、
前記成端加工光ファイバの端部に取り付けられた多心光ファイバコネクタとを備えている、
ことを特徴とするあらかじめコネクタ接続加工された光ファイバ配線ケーブル。
【請求項2】
複数本のあらかじめ成端加工されると共にあらかじめコネクタ接続加工された光ファイバにアクセスするために少なくとも1つの所定の中間分岐点を有するあらかじめコネクタ接続加工された光ファイバ配線ケーブルであって、
前記ケーブル内に納められた複数本の光ファイバと、
前記複数本の光ファイバのうちのあらかじめ成端加工された光ファイバを前記ケーブルから移行させることができる移行ピースと、
前記あらかじめ成端加工された光ファイバの端部に取り付けられた多心光ファイバコネクタと、
前記あらかじめ成端加工された光ファイバ及び前記多心光ファイバコネクタの所定の使用可能長さ分を収納できる長手方向に延びる光ファイバ案内チャネルを備えた細長い部材と、
前記あらかじめコネクタ接続加工された光ファイバ配線ケーブルの布設中、前記少なくとも1つの中間分岐点を保護すると共に密封できる保護手段とを備えている、
ことを特徴とするあらかじめコネクタ接続加工された光ファイバ配線ケーブル。
【請求項3】
前記保護手段は、前記細長い部材を固定すると共に前記ケーブルの外周部と前記細長い部材との間のスムーズな移行部となることができる熱変形性材料である、
請求項2に記載のあらかじめコネクタ接続加工された配線ケーブル。
【請求項4】
前記保護手段は、複合成形包囲シェルである、
請求項2に記載のあらかじめコネクタ接続加工された配線ケーブル。
【請求項5】
前記配線ケーブル、前記移行ピース、前記細長い部材及び前記保護手段は、埋設導管を通して布設できかつ溝車及びプーリに掛けて架空布設できるだけの可撓性を有する、
請求項2に記載のあらかじめコネクタ接続加工された配線ケーブル。
【請求項6】
前記あらかじめ成端加工されると共にあらかじめコネクタ接続加工された光ファイバの長さは、約10〜約30インチ(約25.4〜約76.2cm)である、
請求項2に記載のあらかじめコネクタ接続加工された配線ケーブル。
【請求項7】
前記保護手段の下に設けられ、前記保護手段をケーブル布設後に除去するための少なくとも1本のリップコードを更に有する、請求項2に記載のあらかじめコネクタ接続加工された配線ケーブル。
【請求項8】
布設後に前記ケーブルに取り付けられ、前記少なくとも1つの中間分岐点を包囲すると共に密封することができるクロージャを更に有する、
請求項2に記載のあらかじめコネクタ接続加工された配線ケーブル。
【請求項9】
前記移行ピース及び前記細長い部材はそれぞれ、前記移行ピース及び前記細長い部材を前記ケーブルに螺着することなく前記ケーブルに取り付けることができるようC字形になっている、
請求項2に記載のあらかじめ接続加工された配線ケーブル。
【請求項10】
前記保護手段と前記細長い部材との間に設けられた吸水膨張性テープを更に有する、
請求項2に記載のあらかじめ接続加工された配線ケーブル。
【請求項11】
複数本のあらかじめ成端加工されると共にあらかじめコネクタ接続加工された光ファイバへのアクセスを可能にする少なくとも1つの分岐点を有するあらかじめコネクタ接続加工された光ファイバ配線ケーブルであって、
少なくとも1本のチューブ内に納められた複数本の光ファイバを有し、前記複数本の光ファイバの少なくとも一部は、あらかじめ成端加工されて前記少なくとも1つの分岐点のところで前記チューブから引き出されており、
前記あらかじめ成端加工された光ファイバに光接続された多心光ファイバコネクタを有する多心光ファイバピグテールを有し、
前記複数本の光ファイバを前記チューブ及び前記ケーブルから移行させることができるチューブ移行ピースを有し、
前記分岐点を包囲する保護シェルを有し、前記保護シェルは、布設中及び分岐ケーブル又はドロップケーブルを相互接続するために前記少なくとも1つの分岐点が必要になるまで、前記ケーブルに付けられたままである、
ことを特徴とするあらかじめコネクタ接続加工された光ファイバ配線ケーブル。
【請求項12】
前記保護シェルは、熱変形性材料である、
請求項11に記載のあらかじめコネクタ接続加工された配線ケーブル。
【請求項13】
前記保護シェルは、複合成形包囲シェル、である、
請求項11に記載のあらかじめコネクタ接続加工された配線ケーブル。
【請求項14】
前記ケーブルと、前記少なくとも1本のチューブと、前記チューブ移行ピースと、前記保護シェルとが、埋設導管を通して布設できかつ溝車及びプーリに掛けて架空布設できるだけの可撓性がある、
請求項11に記載のあらかじめコネクタ接続加工された配線ケーブル。
【請求項15】
前記あらかじめ成端加工されると共にあらかじめコネクタ接続加工された光ファイバの長さは、約10〜約30インチ(約25.4〜約76.2cm)である、
請求項11に記載のあらかじめコネクタ接続加工された配線ケーブル。
【請求項16】
前記保護手段の下に設けられ、前記保護手段をケーブル布設後に除去するための少なくとも1本のリップコードを更に有する、
請求項11に記載のあらかじめコネクタ接続加工された配線ケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−501151(P2008−501151A)
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515710(P2007−515710)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/033113
【国際公開番号】WO2006/044080
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(501209863)コーニング ケーブル システムズ リミテッド ライアビリティ カンパニー (65)
【Fターム(参考)】